JP2004133291A - 自動現像装置の現像補充液補充方法、及び自動現像装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】現像液劣化原因に応じて予め定めた現像補充液補充条件に基づき、現像槽20に貯留される現像液に、現像補充液として現像補充液原液と現像補充液希釈液とをそれぞれ計量し補充する自動現像装置2の現像補充液補充方法において、現像液に補充した現像補充液原液の積算値に対する、現像液に補充した現像補充液希釈液の積算値の割合である現像液希釈率を算出し、該現像液希釈率の値を表示手段98に表示する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば感光性平版印刷版の自動現像装置の現像補充液補充方法、及び自動現像装置に関し、詳しくは現像処理条件の変化に対する現像液感度の変動を最小限に抑えつつ現像補充液を補充する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、感光性平版印刷版の自動現像装置では、現像液の感度を管理する手法として、現像液が貯留された現像槽内に現像補充液を経時的に補充すると共に、処理される平版印刷版の版面積を計測し、該計測値に応じた量の現像補充液を補充する現像補充液の経時及び処理補充方式(以下「面積経時基準補充方式」という。)が採用されている。
【0003】
しかしながら、このような面積経時基準補充方式では、自動現像装置の現像処理部に、平版印刷版の版面積測定装置が必要となり、構造の複雑化及びコスト高を招くという問題があった。また、平版印刷版の感光面が片面のみなのか両面なのか(以下「片面/両面」という)の判別、及び版種(感光層の塗布量が異なる版等)の判別が困難である。このため、平版印刷版の版面積・片面/両面・版種の変化に起因して、現像補充液の適正な補充量が変化すると、現像補充量の補充を適正に行うことが困難となる問題があった。
【0004】
そこで従来、特許文献1には、感光性平版印刷版用の自動現像装置の現像補充液補充方法として、現像液の電導度を測定すると共に、測定値を、予め実験で求めた最適感度を示す電導度値(以下、「適正電導度値」という。)を設定した目標電導度値と比較し、測定値が目標電導度値を下回った場合に、現像補充液を補充する補充方式(以下、「電導度基準補充方式」という。)が記載されている。このような電導度基準補充方式では、例え処理される平版印刷版の版面積・片面/両面・版種が変化しても、適正な現像補充液の補充を行うことができ、現像液の感度を適正に保つことができる。
【0005】
ところが、現像液の電導度は、現像液中の水分の自然蒸発によっても変化(上昇)するので、自動現像装置の設置環境等によって現像液中の水分の自然蒸発が多くなると、上述した電導度基準補充方式では、現像補充液の適切な補充が行えなくなってしまう。
【0006】
また上述した電導度基準補充方式では、通常、時間経過に伴い炭酸ガスによって疲労した現像液と、版処理によって疲労した現像液とでは適正電導度値が異なるため(シリケート系処理剤/経時疲労(炭酸ガス疲労)−補充回復時:65mS/cm、処理疲労−補充回復時:55mS/cm、非シリケート系処理剤/経時疲労−補充回復時:56mS/cm、処理疲労−補充回復時:39mS/cm)、処理頻度、例えば1日あたりの処理量が変化してしまうような場合、経時補充量と処理補充量との比率が変わってしまうので、それぞれの適正電導度から算出される現像液の正しい目標電導度値が変化し、事前に設定した目標電導度値との間に食い違いが生じ、現像液感度を適正に保つことができなくなってしまう。
【0007】
この問題に対し、特許文献2では、現像液補充液を適正量より多く、且つ/又は、濃度の濃く(補充液原液量に対する補充液希釈液量の割合(以下、「補充液希釈率」という。)が小さい)した補充条件で面積経時基準補充を行った後、現像液の電導度を測定し、この測定値を、予め実験で得た実験値から求められる適正電導度値を用いて演算した目標電導度値と比較し、測定値が目標電導度値を上回った場合に、希釈液を補充する補充方式(以下、「電導度基準希釈液補充方式」という。)が記載されている。この電導度基準希釈液補充方式では、現像液中の水分が自然蒸発してしまっても、希釈液を水とした場合には、自動的に蒸発分を補うことができる。
【0008】
また電導度基準希釈液補充方式では、面積経時基準補充を同時に行っているので、経時補充量と処理補充量との比率が常に明確であり、それに応じた適正電導度値を算出することができるので、処理頻度の変動による感度変動が少ない。
【0009】
この電導度基準希釈液補充方式では、測定した現像液電導度値が演算した目標電導度値より大きい場合、測定値が目標電導度値を下回るまで希釈液を補充し、現像液を薄く(現像液に補充された補充液原液の積算量に対する現像液に補充された希釈液の積算量の割合(以下、現像液希釈率という)を大きく)して感度が高くなるのを防ぐ。また同時に、補充液希釈率が標準値より小さい補充条件で面積経時基準補充方式を行うことによって、処理補充量・経時補充量よりも実際の疲労が大きい場合でも、現像液を濃く(現像液希釈率を小さく)して感度が低くなるのを防いでいる。すなわち、電導度基準希釈液補充方式では、感度を一定に保つために、実際の疲労の変化に対し現像液の現像液希釈率を変化させて対応している。
【0010】
そのため、処理する感光材料の平均版面積の変更による処理補充液補充量の変化や、環境炭酸ガス濃度の変動による経時補充液補充量の変化等により、実際の処理条件と予め定めた処理条件との差異が大きくなると、現像液の現像液希釈率が異常な値を示してしまう可能性がある。
【0011】
現像液の現像液希釈率が異常に大きくなってしまうと、現像液・補充液成分である分散剤・安定剤の濃度が薄くなり、一部の感光材料と現像液の組み合わせでは、現像液中にカスが発生し、それが感光材料表面に付着して製版トラブルになってしまう。
【0012】
また、現像液の現像液希釈率が異常に小さくなった場合も、感光材料と現像液の組み合わせによっては、現像速度が抑制されてしまい、些細な環境変化等に基づく僅かな感度低下によって、現像残膜が発生してしまう。
【0013】
【特許文献1】
特開昭64−21451号公報(第2頁右下欄第20行〜第3頁左下欄第10行参照)
【特許文献2】
特開2001−290249号公報(図2及び段落(0063)〜(0065)参照)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる事情に鑑み、電導度基準希釈液補充方式において現像液希釈率の異常に伴う製版トラブルを解消し、自動現像装置の現像部を簡易で安価な構成としながら、現像処理条件の変化に対する現像液感度の変動を最小限に抑えることができる、自動現像装置の現像補充液補充方法、及び自動現像装置を提供することを課題としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、下記構成により達成される。
(1)現像液劣化原因に応じて予め定めた現像補充液補充条件に基づき、現像槽に貯留される現像液に、現像補充液として現像補充液原液と現像補充液希釈液とをそれぞれ計量し補充する自動現像装置の現像補充液補充方法において、前記現像液に補充した現像補充液原液の積算値に対する、前記現像液に補充した現像補充液希釈液の積算値の割合である現像液希釈率を算出し、該現像希釈率の値を表示することを特徴とする自動現像装置の現像補充液補充方法。
【0016】
この自動現像装置の現像補充液補充方法では、自動現像装置の実際の運転条件に合わせて予め設定された現像補充液補充条件に基づいて、現像槽に貯留される現像液に現像補充液の補充がなされる。そして、現像液に補充した現像補充液原液の積算値と現像補充液希釈液の積算値とから現像液希釈率を算出し、この現像液希釈率の値が表示される。これにより、現像液の状態を表す現像液希釈率の値を、製版作業者へ正確かつ確実に確認させることができ、異常発生時等に、自動現像装置に対していち早く適切な処置を実行することが可能となる。ここで、現像補充液の補充としては、経時補充(現像液の経時変化による現像液活性度の低下を補償するための補充)及び処理補充(現像液の現像処理による現像液活性度の低下を補償するための補充)が行なわれる。例えば現像補充液が補充された現像液の電導度の測定値が、予め算出された電導度目標値を上回っていた場合には、電導度の測定値が電導度目標値を下回るまで現像槽内に現像補充液希釈液を補充し、現像液感度を安定に維持する。
【0017】
(2)前記現像液希釈率が、予め設定した希釈率下限値を下回ったとき、又は予め設定した希釈率上限値を上回ったときに、その旨の警告を発することを特徴とする(1)記載の自動現像装置の現像補充液補充方法。
【0018】
この自動現像装置の現像補充液補充方法では、現像液希釈率の値が予め設定した希釈率下限値を下回ったとき、又は希釈率上限値を上回ったときに、その旨の警告を発するので、自動現像装置の製版作業者に現像液希釈率の異常を正確かつ確実に判別させることができ、いち早く適切な処置を行わせることができる。
【0019】
(3)前記現像液希釈率が、予め設定した希釈率下限値を下回ったとき、又は予め設定した希釈率上限値を上回ったときに、自動的に前記現像補充液補充条件を変更することを特徴とする(1)又は(2)記載の自動現像装置の現像補充液補充方法。
【0020】
この自動現像装置の現像補充液補充方法では、現像液希釈率の値が予め設定した希釈率下限値を下回ったとき、又は希釈率上限値を上回ったとき、自動的に現像補充液補充条件である処理補充量設定値・経時補充量設定値に対し予め設定した値を加減する。これにより、環境因子の急変等により、実際の処理条件と、予め定めた処理条件との差異が大きくなった場合でも、現像液が異常な現像液希釈率になり製版トラブルが発生してしまうこと無く、現像感度を安定に保ち適正な処理を行うことが可能となる。
【0021】
(4)現像液劣化原因に応じて予め定めた現像補充液補充条件を記憶する第1記憶手段と、現像補充液原液を現像槽に貯留された現像液に補充する現像補充液原液補充手段と、現像補充液希釈液を現像槽に貯留された現像液に補充する現像補充液希釈液補充手段と、前記第1記憶手段に記憶された現像補充液補充条件に基づいて、現像補充液として現像液に補充する現像補充液原液補充量と現像補充液希釈液補充量をそれぞれ算出し、該現像補充液原液補充手段と該現像補充液補充手段を動作させる第1制御手段と、を少なくとも有する自動現像装置であって、前記第1制御手段で算出された前記現像補充液原液補充量と前記現像補充液希釈液補充量をそれぞれ積算し、現像補充液原液補充量の積算値に対する現像補充液希釈液補充量の積算値の割合である現像液希釈率を算出する第2制御手段と、該第2制御手段によって算出された前記現像液希釈率を表示する表示手段と、を有することを特徴とする自動現像装置。
【0022】
この自動現像装置では、第1制御手段が、第1記憶手段に記憶された現像補充液補充条件に基づいて、現像補充液として現像液に補充する現像補充液原液補充量と現像補充液希釈液補充量をそれぞれ算出し、現像補充液原液補充手段と該現像補充液補充手段を動作させ、第2制御手段により、第1制御手段で算出された現像補充液原液補充量と現像補充液希釈液補充量をそれぞれ積算し、現像補充液原液補充量の積算値に対する現像補充液希釈液補充量の積算値の割合である現像液希釈率を算出し、この現像液希釈率を表示手段により表示する。これにより、現像液希釈率の値を製版作業者へ正確かつ確実に確認させることができ、異常発生時等に、自動現像装置に対していち早く適切な処置を実行することが可能となる。
【0023】
(5)予め設定した希釈率下限値と希釈率上限値を記憶する第2記憶手段と、現像液希釈率の異常を警告する警告手段と、前記第2制御手段によって算出された現像液希釈率が、前記第2記憶手段に記憶された希釈率下限値を下回ったとき、又は前記第2記憶手段に記憶された希釈率上限値を上回ったときに、前記警告手段を動作させる第3制御手段と、を有することを特徴とする(4)記載の自動現像装置。
【0024】
この自動現像装置では、第2制御手段によって算出された現像液希釈率が、第2記憶手段に記憶された希釈率下限値を下回ったとき、又は第2記憶手段に記憶された希釈率上限値を上回ったときに、第3制御手段が警告手段を動作させて現像液希釈率の異常を警告する。これにより、自動現像装置の製版作業者に現像液希釈率の異常を正確かつ確実に警告することができ、いち早く適切な処置を行わせることができる。
【0025】
(6)予め設定した希釈率下限値と希釈率上限値を記憶する第2記憶手段と、前記第2制御手段によって算出された現像液希釈率が、前記第2記憶手段に記憶された希釈率下限値を下回ったとき、又は前記第2記憶手段に記憶された希釈率上限値を上回ったときに、自動的に前記第1記憶手段に記憶された前記現像補充液補充条件を変更する第4制御手段と、を有することを特徴とする(4)記載の自動現像装置。
【0026】
この自動現像装置では、第2制御手段によって算出された現像液希釈率が、第2記憶手段に記憶された希釈率下限値を下回ったとき、又は第2記憶手段に記憶された希釈率上限値を上回ったときに、第4制御手段が自動的に第1記憶手段に記憶された現像補充液補充条件を変更する。これにより、環境因子の急変等により、実際の処理条件と予め定めた処理条件との差異が大きくなってしまった場合でも、現像液が異常な現像液希釈率になり製版トラブルが発生してしまうこと無く、現像感度を安定に保ち適正な処理を行うことが可能となる。
【0027】
なお、上記(1)〜(3)における自動現像装置の現像補充液補充方法は、例えば、感光材料の自動現像装置の現像補充液の補充方法であって、予め設定された補充液補充条件に基づいて、該自動現像装置の稼働時及び/又は停止時の現像活性度の低下を補償するために必要な現像補充液と、予め設定された補充液補充条件に基づいて感光材料の処理による現像液活性度の低下を補償するために必要な現像補充液の、希釈率/補充量を求め、目的の希釈率/補充量となるように、現像補充液原液と希釈液とをそれぞれ現像液に計量補充した後、該現像液の電導度の測定値が、予め設定した値から算出した適正電導度値を上回っていた場合、前記測定値が前記目標値を下回るまで前記現像槽内に希釈液を補充することを特徴とする自動現像装置の現像補充液補充方法であってもよい。
また、この補充方法において、現像液に計量補充した現像補充液原液量と希釈液量との比率から現像液希釈率を算出し、該現像液希釈率の値を表示したり、前記現像液希釈率が、予め設定した希釈率下限値を下回ったとき、又は予め設定した希釈率上限値を上回ったときにその旨の警告を発したり、あるいは、前記現像液希釈率が、予め設定した希釈率下限値を下回ったとき、又は予め設定した希釈率上限値を上回ったとき、前記現像補充液補充条件を変更して、前記現像液希釈率を、希釈率下限値以上且つ希釈率上限値以下の範囲内に設定するようにしても良い。
【0028】
なお、本発明において、「現像補充液」とは、現像性能を一定に保つために補充する処理液のことである。一般に、この現像補充液は、補充液原液を希釈液(例、水)で希釈して調製されたものや、希釈することなく用いるものがあるが、本発明においては、「現像補充液」とは補充液原液を希釈液で希釈したものを意味する。また、補充方法としては、予め希釈して調製した現像補充液を現像液に補充することもあれば、補充液原液と希釈液とを別々に直接現像液に補充する方法もある。
【0029】
また、本発明において、現像液の電導度値の測定方法としては交流電導度計、交流ブリッジ計あるいは、その他の電導度計などの公知の手段を用いることができる。また、該測定装置の測定電流値や発振周波数等は、現像液の組成等により最適条件は異なるが、電流値は装置的にも、又水溶性の現像液の電気分解を防ぐ為にもある程度低いことが好ましく、数百mAから数μAが好ましい。また、周波数は、現像液中の静電容量成分との関係から、数百Hz〜数百kHzのものが好ましい。
【0030】
電解質を含む現像液の電導度値は、水溶液の温度に依存し、液温が上がるとその値は低下する。従って、より好ましくは、温度センサ及び温度補償回路を付した測定器で電導度値を測定するのが好ましい。また、補充を制御する制御装置において、実際に測定した液抵抗値と液温度から、予め定めた温度における電導度値に換算し温度補償することも可能である。交流電導度計、交流ブリッジ計あるいは、その他の電導度計のセンサ設置位置は、測定時に現像液に浸漬され、現像液の交流電導度値が測定できる場所であれば良く、例えば自動現像装置液の現像液循環系、特に現像タンク中もしくは、循環パイプ中が好ましい位置である。又検出部としては電極に白金、ステンレス等を用いた公知の測定セルを使用することが出来る。
【0031】
次に、本発明において用いることのできる現像液及び現像補充液について説明する。
1.現像液及び現像補充液
[アルカリ剤]
本発明に用いられる現像液および現像補充液は、pH9.0〜13.5、より好ましくは10.0〜13.3のアルカリ水溶液である。かかる現像液および現像補充液としては従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、重炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムなどの無機アルカリ剤が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。
【0032】
これらのアルカリ剤の中で好ましいのはケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由はケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率(一般に[SiO2]/[M2O]のモル比で表す)と濃度によってpHや現像性の調節が可能とされるためである。例えば、SiO2/K2Oのモル比が0.5〜2.0(即ち[SiO2]/[K2O]が0.5〜2.0)であって、SiO2の含有量が1〜4質量%のケイ酸カリウムの水溶液からなるアルカリ金属ケイ酸塩が本発明に好適に用いられる。
【0033】
更に他の好ましいアルカリ剤としては弱酸と強塩基からなる緩衝液が挙げられる。かかる緩衝液として用いられる弱酸としては、酸解離定数(pKa)10.0〜13.3を有するものが好ましく、特にpKaが11.0〜13.1のものが好ましい。また、例えばスルホサリチル酸の場合、第3解離定数は11.7であり、本発明に好適に使用できる。即ち、多塩基酸の場合、少なくとも一つの酸解離定数が上記範囲内にあれば本発明に使用できる。
【0034】
このような弱酸としては、Pergamon Press社発行のIONISATION CONSTANTS OF ORGANIC ACIDSIN AQUEOUS SOLUTIONなどに記載されているものから選ばれ、例えば2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール−1(pKa 12.74)、トリフルオロエタノール(同12.37)、トリクロロエタノール(同12.24)などのアルコール類、ピリジン−2−アルデヒド(同12.68)、ピリジン−4−アルデヒド(同12.05)などのアルデヒド類、ソルビトール(同13.0)、サッカロース(同12.7)、2−デオキシリボース(同12.61)2−デオキシグルコース(同12.51)、グルコース(同12.46)、ガラクトース(同12.35)、アラビノース(同12.34)、キシロース(同12.29)、フラクトース(同12.27)、リボース(同12.22)、マンノース(同12.08)、L−アスコルビン酸(同11.34)などの糖類、サリチル酸(同13.0)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(同12.84)、カテコール(同12.6)、没食子酸(同12.4)、スルホサリチル酸(同11.7)、3,4−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸(同12.2)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(同11.94)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン(同11.82)、ハイドロキノン(同11.56)、ピロガロール(同11.34)およびレゾルシノール(同11.27)などのフェノール性水酸基を有する化合物、2−ブタノンオキシム(同12.45)、アセトキシム(同12.42)、1,2−シクロヘプタンジオンジオキシム(同12.3)、2−ヒドロキシベンズアルデヒドオキシム(同12.10)、ジメチルグリオキシム(同11.9)、エタンジアミドジオキシム(同11.37)、アセトフェノンオキシム(同11.35)などのオキシム類、2−キノロン(同11.76)、2−ピリドン(同11.65)、4−キノロン(同11.28)、4−ピリドン(同11.12)、5−アミノ吉草酸(同10.77)、2−メルカプトキノリン(同10.25)、3−アミノプロピオン酸(同10.24)などのアミノ酸類、フルオロウラシル(同13.0)、グアノシン(同12.6)、ウリジン(同12.6)、アデノシン(同12.56)、イノシン(同12.5)、グアニン(同12.3)、シティジン(同12.2)、シトシン(同12.2)、ヒポキサンチン(同12.1)、キサンチン(同11.9)などの核酸関連物質、他に、ジエチルアミノメチルホスホン酸(同12.32)、1−アミノ−3,3,3−トリフルオロ安息香酸(同12.29)、イソプロピリデンジホスホン酸(同12.10)、1,1−エチリデンジホスホン酸(同11.54)、1,1−エチリデンジホスホン酸1−ヒドロキシ(同11.52)、ベンズイミダゾール(同12.86)、チオベンズアミド(同12.8)、ピコリンチオアミド(同12.55)、バルビツル酸(同12.5)などの弱酸が挙げられる。
【0035】
これらの弱酸に組み合わせる強塩基としては、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムが用いられる。これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わせて用いられる。これらのアルカリ緩衝剤の中で好ましいのは、スルホサリチル酸、サリチル酸、サッカロースおよびソルビトールと水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムとを組み合わせたものである。中でも好ましい組み合わせはソルビトールと水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムである。上記の各種アルカリ剤は濃度および組み合わせによりpHを好ましい範囲内に調整して使用される。
【0036】
[界面活性剤]
本発明に用いられる現像液および補充液には、現像性の促進や現像カスの分散および印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々界面活性剤や有機溶剤を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤の好ましい例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類などのアニオン界面活性剤、アルキルアミン塩類、テトラブチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などのカチオン性界面活性剤、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミダゾリン類などの両性界面活性剤が挙げられる。以上挙げた界面活性剤の中でポリオキシエチレンとあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンなどのポリオキシアルキレンに読み替えることもでき、それらの界面活性剤もまた包含される。
【0037】
更に好ましい界面活性剤は分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系の界面活性剤である。かかるフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのアニオン型、パーフルオロアルキルベタインなどの両性型、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩などのカチオン型およびパーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基含有ウレタンなどの非イオン型が挙げられる。
【0038】
上記の界面活性剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて使用することができ、現像液中に0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%の範囲で添加される。
【0039】
[現像安定化剤]
本発明に用いられる現像液および補充液には、種々の現像安定化剤が用いられる。それらの好ましい例として、特開平6−282079号公報記載の糖アルコールのポリエチレングリコール付加物、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウム塩およびジフェニルヨードニウムクロライドなどのヨードニウム塩が好ましい例として挙げられる。
【0040】
更には、特開昭50−51324号公報記載のアニオン界面活性剤または両性界面活性剤、また特開昭55−95946号公報記載の水溶性カチオニックポリマー、特開昭56−142528号公報に記載されている水溶性の両性高分子電解質がある。
【0041】
更に、特開昭59−84241号公報のアルキレングリコールが付加された有機ホウ素化合物、特開昭60−111246号公報記載のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック重合型の水溶性界面活性剤、特開昭60−129750号公報のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンを置換したアルキレンジアミン化合物、特開昭61−215554号公報記載の質量平均分子量300以上のポリエチレングリコール、特開昭63−175858号公報のカチオン性基を有する含フッ素界面活性剤、特開平2−39157号公報の酸またはアルコールに4モル以上のエチレンオキシドを付加して得られる水溶性エチレンオキシド付加化合物と、水溶性ポリアルキレン化合物などが挙げられる。
【0042】
[有機溶剤]
現像液および現像補充液には更に必要により有機溶剤が加えられる。かかる有機溶剤としては、水に対する溶解度が約10質量%以下のものが適しており、好ましくは5質量%以下のものから選ばれる。例えば、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニル−1−プロパノール、4−フェニル−1−ブタノール、4−フェニル−2−ブタノール、2−フェニル−1−ブタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、o−メトキシベンジルアルコール、m−メトキシベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノールおよび4−メチルシクロヘキサノール、N−フェニルエタノールアミンおよびN−フェニルジエタノールアミンなどを挙げることができる。有機溶剤の含有量は使用液の総質量に対して0.1〜5質量%である。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な関係があり、有機溶剤の量が増すにつれ、界面活性剤の量は増加させることが好ましい。これは界面活性剤の量が少なく、有機溶剤の量を多く用いると有機溶剤が完全に溶解せず、従って、良好な現像性の確保が期待できなくなるからである。
【0043】
[還元剤]
本発明に用いられる現像液および補充液には更に還元剤が加えられる。これは印刷版の汚れを防止するものであり、特に感光性ジアゾニウム塩化合物を含むネガ型感光性平版印刷版を現像する際に有効である。好ましい有機還元剤としては、チオサリチル酸、ハイドロキノン、メトール、メトキシキノン、レゾルシン、2−メチルレゾルシンなどのフェノール化合物、フェニレンジアミン、フェニルヒドラジンなどのアミン化合物が挙げられる。更に好ましい無機の還元剤としては、亜硫酸、亜硫酸水素酸、亜リン酸、亜リン酸水素酸、亜リン酸二水素酸、チオ硫酸および亜ジチオン酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などを挙げることができる。これらの還元剤のうち汚れ防止効果が特に優れているのは亜硫酸塩である。これらの還元剤は使用時の現像液に対して好ましくは、0.05〜5質量%の範囲で含有される。
【0044】
[有機カルボン酸]
本発明に用いられる現像液および補充液には更に有機カルボン酸を加えることもできる。好ましい有機カルボン酸は炭素原子数6〜20の脂肪族カルボン酸および芳香族カルボン酸である。脂肪族カルボン酸の具体的な例としては、カプロン酸、エナンチル酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸などがあり、特に好ましいのは炭素数8〜12のアルカン酸である。また炭素鎖中に二重結合を有する不飽和脂肪酸でも、枝分かれした炭素鎖のものでもよい。
【0045】
芳香族カルボン酸としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などにカルボキシル基が置換された化合物で、具体的には、o−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、o−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸などがあるがヒドロキシナフトエ酸は特に有効である。
【0046】
上記脂肪族および芳香族カルボン酸は水溶性を高めるためにナトリウム塩やカリウム塩またはアンモニウム塩として用いるのが好ましい。本発明で用いる現像液の有機カルボン酸の含有量は格別な制限はないが、0.1質量%より低いと効果が十分でなく、また10質量%以上ではそれ以上の効果の改善が計れないばかりか、別の添加剤を併用する時に溶解を妨げることがある。従って、好ましい添加量は使用時の現像液に対して0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜4質量%である。
【0047】
[防腐剤]
防腐剤は、現像液、水洗水、フィニッシング液に添加することができる。防腐剤は、繊維、木材加工、食品、化粧品、農薬分野等で使用されている公知のものが使用できる。例えば、第4級アンモニウム塩、一価フェノール誘導体、二価フェノール誘導体、多価フェノール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾロピリミジン誘導体、一価ナフトール、カーボネート類、スルホン誘導体、有機スズ化合物、シクロペンタン誘導体、フェニル誘導体、フェノールエーテル誘導体、フェノールエステル誘導体、ヒドロキシルアミン誘導体、ニトリル誘導体、ナフタリン類、ピロール誘導体、キノリン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、第2級アミン、1,3,5トリアジン誘導体、チアジアゾール誘導体、アニリド誘導体、ピロール誘導体、ハロゲン誘導体、二価アルコール誘導体、ジチオール類、シアン酸誘導体、チオカルバミド酸誘導体、ジアミン誘導体、イソチアゾール誘導体、一価アルコール、飽和アルデヒド、不飽和モノカルボン酸、飽和エーテル、不飽和エーテル、ラクトン類、アミノ酸誘導体、ヒダントイン、シアヌール酸誘導体、グアニジン誘導体、ピリジン誘導体、飽和モノカルボン酸、ベンゼンカルボン酸誘導体、ヒドロキシカルボン酸誘導体、ビフェニル、ヒドロキサム酸誘導体、芳香族アルコール、ハロゲノフェノール誘導体、ベンゼンカルボン酸誘導体、メルカプトカルボン酸誘導体、第4級アンモニウム塩誘導体、トリフェニルメタン誘導体、ヒノキチオール、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、イソキノリン誘導体、アルシン誘導体、チオカルバミン酸誘導体、リン酸エステル、ハロゲノベンゼン誘導体、キノン誘導体、ベンゼンスルホン酸誘導体、モノアミン誘導体、有機リン酸エステル、ピペラジン誘導体、フェナジン誘導体、ピリミジン誘導体、チオファネート誘導体、イミダゾリン誘導体、イソオキサゾール誘導体、アンモニウム塩誘導体等の中の公知の防腐剤が使用できる。特に好ましい防腐剤として、ピリジンチオール−1−オキシドの塩、サリチル酸およびその塩、1,3,5−トリスヒドロキシエチルヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,3,5−トリスヒドロキシメチルヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、5−クロル−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオールが挙げられる。好ましい添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、使用液に対して0.01〜4質量%の範囲が好ましく、また種々のカビ、細菌に対して効力のあるように2種以上の防腐剤を使用することが好ましい。
【0048】
[その他]
本発明で用いられる現像液および補充液には、更に必要に応じて、消泡剤および硬水軟化剤などを含有させることもできる。硬水軟化剤としては例えば、ポリリン酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸および1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸などのアミノポリカルボン酸およびそれらのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ(メチレンホスホン酸)および1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸やそれらのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩を挙げることができる。
【0049】
このような硬水軟化剤はそのキレート化力と使用される硬水の硬度および硬水の量によって最適値が変化するが、一般的な使用量を示せば、使用時の現像液に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲である。この範囲より少ない添加量では所期の目的が十分に達成されず、添加量がこの範囲より多い場合は、色抜けなど、画像部への悪影響がでてくる。
【0050】
現像液および補充液の残余の成分は水であるが、更に必要に応じて当業界で知られた種々の添加剤を含有させることができる。本発明に用いられる現像液および補充液は使用時よりも水の含有量を少なくした濃縮液としておき、使用時に水で希釈するようにしておくことが運搬上有利である。この場合の濃縮度は各成分が分離や析出を起こさない程度が適当である。現像液温度は15〜40℃が好ましく、更に好ましくは20〜35℃である。現像時間は5〜60秒が好ましく、更に好ましくは7〜40秒である。
【0051】
以上の現像液の他に、EP0836120A1、EP0908785A、EP0908306A、EP0914941A1、特開平11−327163、特開平11−327160、特願2000−255670号明細書、等に記載の現像液にも適用することができる。
【0052】
次に、本発明に用いることのできる感光性平版印刷版について以下に説明する。赤外線レーザ露光によって記録可能な画像記録材料として、特開平7−285275号公報、特開平11−119419、特願平11−182751等には、クレゾール樹脂のような結着剤と、光を吸収して熱を発生する物質と、キノンジアジドのような熱分解性でありかつ分解しない状態では前記結着剤の溶解性を実質的に低下させる物質とを含むポジ型画像記録材料が提案されている。このポジ型画像記録材料は、露光部分において、光を吸収して熱を発生する物質が発熱し、露光部分の溶解性を発現させるものである。
【0053】
また、特開平7−20625号公報および特開平11−218903号公報、特願平11−308286、特願平11−332936等には、光または熱により分解して酸を発生する化合物と、酸により架橋する架橋剤と、アルカリ可溶性樹脂の少なくとも一種と、赤外線吸収剤とを含有してなるネガ型画像記録材料が記載されている。このネガ型画像記録材料は、露光部分において、光を吸収して熱を発生する物質が発熱し、その熱によって分解して酸を発生する化合物が酸を発生し、その酸により架橋する架橋剤とアルカリ可溶性樹脂との架橋反応を促進することにより、画像記録を行うものである。
【0054】
以上のような画像記録材料を平版印刷版として用いることができる。平版印刷版を形成するには、赤外線レーザ露光によって平版印刷版に画像の記録を行った後、必要に応じて加熱処理を施し、次いで現像処理を行う。
【0055】
また、本発明は、例えば特願平10−251521号明細書、特開2000−39724、特願2000−276811等に開示されている、光重合性組成物を用いた感光性平版印刷版の処理にも適用できる。光重合性組成物を用いた感光性平版印刷版は、アルミニウム板に親水化処理を施した支持体上に、付加重合可能なエチレン性二重結合を有する化合物と架橋性基を側鎖に有する重合体とを含有する光重合性感光層を有する。本発明は、この平版印刷版をレーザ光で画像露光後、現像する処理にも適用できる。
【0056】
また、本発明は、例えば特開平9−274324号公報、特開2000−231188、特願2000−13656等に記載されている、従来より広く使用されているポジ型感光性平版印刷版の処理にも適用することができる。このポジ型感光性平版印刷版は支持体としてのアルミニウム板上にo−キノンジアジド化合物からなる感光層を設けたものである。o−キノンジアジド化合物は紫外線露光によりカルボン酸に変化することが知られており、従って、これをアルカリ水溶液で現像すると感光層の露光部のみが除去されて支持体表面が露出する。アルミニウム支持体の表面は親水性なので現像で支持体が露出された部分(非画像部)は水を保持して油性インキを反発する。一方、現像によって感光層が除去されなかった領域(画像部)は、親油性なので水を反発し、インキを受け付ける。これらのポジ型感光性平版印刷版の感光層には、上記のo−キノンジアジド化合物の結合剤(バインダー)として、通常はクレゾールノボラック樹脂が用いられている。また、特開平7−295212号公報、特願2000−103135号明細書に開示されている、ネガ型感光性平版印刷版の処理にも適用することができる。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、図示実施形態により、本発明を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る自動現像装置の構成図であり、図2から図4は、自動現像装置の現像部における現像補充液の補充方法のフローチャートである。
図1に示すように、この自動現像装置2は、感光性平版印刷版(以下「PS版」という。)4を現像処理するための現像部6と、現像後のPS版4に付着した現像液を洗い流すとともにガム液を塗布する2段構成のフィニッシャー部8と、ガム液塗布後のPS版を乾燥する乾燥部10とを備えている。
【0058】
また、現像処理前に加熱が必要なPS版を処理する場合には、図1に図示しない前加熱部も備えることができる。前加熱部は、現像部6の搬送方向上流側に設置され、PS版を搬送しながら指定したPS版面温度を指定した時間だけ維持する機能を持つ。前加熱部に挿入されたPS版は、加熱されながら自動的に次工程へ搬送される。またさらに、図1に図示しない前水洗部を備えることも可能である。前水洗部は、現像部6の搬送方向上流側、且つ前加熱部の搬送方向下流側に設置され、PS版を搬送しながらPS版表面を水洗水によって洗浄し冷却する機能を持つ。前水洗部に挿入されたPS版は、自動的に次工程である現像部6に搬送される。
【0059】
自動現像装置2の側板12には挿入口14が形成され、挿入口14から挿入されたPS版4は、搬送ローラ16により現像部6へ搬送される。挿入口14には、ゴムブレード18が備えられ、PS版4が挿入されていないとき、挿入口14はゴムブレード18により閉じられている。
現像部6の現像槽20内には、搬送方向上流側から順に、搬送ローラ22、ブラシローラ24、スクイズローラ26が備えられ、これらの間の適所にバックアップローラ28が備えられている。PS版4は搬送ローラ22により搬送されながら現像液中を浸漬されて現像処理される。
【0060】
現像部6に連続したフィニッシャー部8は、第1フィニッシャー部8aと第2フィニッシャー部8bとからなる。各フィニッシャー部8a,8bにはPS版4を搬送する搬送ローラ30a,30bと、フィニッシャー槽32a,32b内のガム液をPS版4に吹き付ける噴射部材34a,34bが設けられている。そして、現像処理後のPS版4は、搬送ローラ30a,30bにより搬送されながら、噴射部材34a,34bによりガム液を吹き付けられて塗布される。なお、下流側にある第2フィニッシャー部8bのフィニッシャー槽32b内のガム液は、上流側にある第1フィニッシャー部8aのフィニッシャー槽32a内にオーバーフローして供給されるが、このような構成に代えて、ポンプ等で同様に供給してもよい。
【0061】
フィニッシャー部8に連続した乾燥部10は、搬送方向上流側から順に、ガイドローラ36、一対の串ローラ38が設けられている。また、乾燥部10には図示しない温風供給手段、発熱手段等の乾燥手段が設けられている。乾燥部10には排出口40が設けられ、乾燥手段により乾燥されたPS版4は排出口40から排出される。また、乾燥部10とフィニッシャー部8との間の通路にはシャッター44が設けられ、PS版4が通路46を通過していないとき、通路46はシャッター44により閉じられている。
【0062】
また、第2フィニッシャー槽32bにはガム液タンク56内のガム液がポンプ77により補充されるとともに補充希釈液貯留タンク53内の補充希釈液57が補充希釈液供給ポンプ78により補充される。ここで、ガム液と希釈液との補充割合は例えば1:1である。この補充に伴い、第1フィニッシャー槽32aからオーバーフローしたガム廃液は、現像廃液と同様に廃液タンクに回収される。
現像槽20には槽壁と一体に箱状の遮蔽蓋60が設けられている。遮蔽蓋60の底壁は、搬送ローラ22、ブラシローラ24、バックアップローラ28の上部外周面と接触しないように、円弧状に連続して湾曲し、ローラ等と干渉しないようになっている。
【0063】
遮蔽蓋60が箱状であることにより、現像槽20の上部に気密空間が画成されており、現像部6内の空気量ができる限り少なくされている。また、遮蔽蓋60が設けられていることにより、現像液と空気との接触面積ができる限り少なくされている。
【0064】
上記構成の自動現像装置2は、適所にゴムブレード62が設けられ、現像部6から第2フィニッシャー部8bまでが、外部雰囲気に対して実質的に気密に構成されており、外気が流入しないようになっている。また、現像部6と第1フィニッシャー部8aとの間もゴムブレード62により実質的に気密に構成されており、第1フィニッシャー部8a内の空気が現像部6に流入しないようになっている。したがって、現像部6はPS版4の通過時には空気が若干流入するものの、実質的に気密であり、空気がほとんど流入しない密閉型構成である。
【0065】
次に、現像部6について詳述する。現像槽20には、現像液の循環用配管80が接続される。循環用配管80中には、現像液循環用ポンプ71、電導度センサ73及びフィルタ(図示せず)がそれぞれ設けられる。
現像液循環用ポンプ71は、現像槽20内の現像液を、現像槽20底部の吸入孔から循環用配管80中に吸入させるとともに、循環用配管80中を流通させ、再び現像槽20中に吐出させる。前記フィルタは、循環用配管80中を流れる現像液を濾過する。前記電導度センサ73は、循環用配管80中を流れる現像液の電導度を測定する。
【0066】
また、現像部6には、それぞれ補充装置を構成する、補充用配管90,91と、補充用配管90に接続される補充原液貯留タンク55と、前記補充用配管90に介在される補充原液供給ポンプ74と、補充用配管91に接続される補充希釈液貯留タンク53と、補充用配管91に介在される補充希釈液供給ポンプ76とが設けられ、現像槽20からオーバーフローした現像廃液は、廃液タンク54に回収される。
【0067】
具体的に説明すると、前記現像槽20近傍には、現像補充原液58を補充希釈液57で希釈して得られる現像補充液の補充用配管90,91が、一対設けられる。現像補充原液58の補充用配管90は、他端(図1中下端)を補充原液貯留タンク55に接続されており、配管中には、補充原液供給ポンプ74が設けられる。補充原液供給ポンプ74は、現像補充原液58を補充原液貯留タンク55から現像槽20に計量して供給する。即ち、補充用配管90、補充原液供給ポンプ74、補充原液貯留タンク55によって現像補充原液補充手段が構成されている。
補充希釈液57の補充用配管91は、他端(図1中下端)を補充希釈液貯留タンク53に接続されており、配管中には、補充希釈液供給ポンプ76が設けられる。補充希釈液供給ポンプ76は、補充希釈液(水)57を補充希釈液貯留タンク53から現像槽20に計量して供給する。即ち、補充用配管91、補充希釈液供給ポンプ76及び補充希釈液貯留タンク53によって現像補充希釈液補充手段が構成されている。
【0068】
上記補充原液供給ポンプ74は、版検出センサ27及び時間計測部52に基づいて、補充希釈液供給ポンプ76は、版検出センサ27、時間計測部52及び電導度センサ73からの信号に基づいて、現像補充液の補充条件等が記憶された制御ROM及びRAM(第1記憶手段、第2記憶手段に相当)51及び時間計測部52を備えた制御装置(第1〜第4制御手段に相当)50によって制御される。即ち、制御装置50は、版が搬送されてきたかどうかの有無及びその搬送された版の版面積等を測定可能な版検出センサ27から信号に基づいて、補充原液供給ポンプ74及び補充希釈液供給ポンプ76を制御し、自動現像装置2の実際の運転条件に合わせて設定された現像液の制御ROM及びRAM51によって記憶された補充条件に基づいて補充を行う。これにより制御装置50は、補充条件に見合う量の現像補充液(現像補充原液58+補充希釈液57)を、補充原液貯留タンク55及び補充希釈液貯留タンク53から例えば版1枚毎の処理毎に補充する。ここで、処理補充としては、版1枚毎とせず、複数の版が通過した後に補充する等して構成してもよい。
【0069】
また、制御装置50は、時間計測部52によって所定時間の経過が判明すると、自動現像装置100の実際の運転条件に合わせて設定された現像液の補充条件に基づいて、補充を行い、制御ROM及びRAM51に記憶された補充条件に見合う量の現像補充液(現像補充原液58+補充希釈液57)を、補充原液貯留タンク55及び補充希釈液貯留タンク53から時間経過に伴い補充する。
さらに、制御装置50は、現像補充液を補充された現像液の電導度センサ73による電導度測定値が、現像補充液の置換率等に基づいて算出された目標電導度値を上回っている場合、電導度測定値が目標電導度値を下回るまで、補充希釈液57を補充希釈液貯留タンク53から現像槽20に供給する。
【0070】
加えて、制御装置50は、補充原液供給ポンプ74が実際に供給した現像液補充液原液の補充液量と、補充希釈液供給ポンプ76が実際に供給した現像補充液希釈液の補充液量とをそれぞれ積算し、現像補充液原液の積算値に対する現像補充液希釈液の積算値の割合である現像液の現像液希釈率を演算する。そして、求めた現像液希釈率を現像液希釈率表示装置98に表示させる。さらに、予め定めた希釈率上限値と比較して演算した現像液希釈率が大きければ、警告手段としての警告表示装置99に現像液希釈率が過大であることを表示する。また、予め定めた希釈率下限値と比較して演算した現像液希釈率が小さければ、警告手段としての警告表示装置99に現像液希釈率が過小であることを表示する。あるいは、予め定めた希釈率上限値と比較して演算した現像液希釈率が大きければ、予め定めた補充条件である処理補充量設定値と経時補充量設定値を予め定めた量だけ自動的に減少させ、予め定めた希釈率下限値と比較して演算した現像液希釈率が小さければ、予め定めた補充条件である処理補充量設定値と経時補充量設定値を予め定めた量だけ自動的に増加させる。
【0071】
次に、制御装置50による制御を図2を用いて説明する。図2、図3及び図4は本発明による制御方式を示すものであり、以下、それぞれを第1の方式、第2の方式、第3の方式として説明する。
最初に、第1の方式に関して図2を参照して説明する。
ステップ1(以降はS1と略記する)において、自動現像装置2の実際の運転条件に合わせて設定された現像液の補充条件(制御ROM及びRAM51に記憶されている)に基づいて、現像液に経時補充・処理補充が行われる。
次にS2において、補充液置換率と現像液希釈率を演算する。例えば、演算式は以下のように表せる。
【0072】
Xn:現像液中の補充液の割合である補充液置換率
Zn:現像液中の、補充液原液と、補充液希釈液及び/又は現像液電導度を下げるために補充した希釈液、との割合である現像液希釈率
Vt:現像槽内の現像液の容量
Vwi:経時、及び/又は、処理によって補充した補充液の補充液希釈液、及び/又は、現像液電導度を下げるために補充した希釈液の容量
Vhi:経時、及び/又は、処理によって補充した補充液原液の容量
【0073】
Xn=(Vt・Xn−1+Vhi+Vwi)/(Vt+Vhi+Vwi)
Zn=[Vt・Xn・Zn−1+Vwi・(Zn−1+1)]
/[Vt・Xn+Vhi・(Zn−1+1)]
【0074】
演算の後、S3において、算出された現像液希釈率を現像液希釈率表示装置98に表示する。
次にS4では、補充液置換率と現像液希釈率とから、目標電導度値が算出される。このとき、例えば、目標電導度値の算出方法は以下のとおりである。
【0075】
d:目標電導度値
Vhc:経時によって補充した補充液原液と希釈液の合計容量
Vhd:処理によって補充した補充液原液と希釈液の合計容量
C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9:実験から導き出される処理液・装置に固有の定数
とすると、
【0076】
d=(1−Xn)・C3+Xn・[[1−(C5+C4/(Zn+1))]
・C6+[C5+C4/(Zn+1)]C9]
【0077】
さらに、経時補充量と処理補充量の割合を用いて目標電導度値を補正する場合は、例えば、以下のような演算式を用いることができる。
【0078】
Fn:現像液中の補充液の内、経時によって補充された補充液の割合である、経時補充液比率
【0079】
Fn=[Vt・Xn・[C2+C1/(Zn+1)]・Fn+Vhc]
/[Vt・Xn・[C2+C1/(Zn+1)]+Vhc+Vhd]
d=(1−Xn)・C3+Xn・[[1−(C5+C4/(Zn+1))]C6
+(C5+C4/(Zn+1))・[(1−Fn)・C7+Fn・C8]]
【0080】
次に、S5において、予め定めた周期に基づいて現像液電導度の測定が、電導度センサ73によって行われる。S6においては、S4で算出された目標電導度値と、S5で測定された電導度測定値とが比較される。S6において、電導度測定値が目標電導度値よりも大きい場合には、S7において、予め定めた量の希釈液が現像液に補充され、その後S8でS2と同様に補充液置換率と現像液希釈率を演算した後、S9にて継続して装置が運転状態にあることを確認し、運転スイッチがONであれば、S1に戻り、運転スイッチがOFFされれば制御を終了する。一方、S6において、電導度測定値が目標電導度値よりも小さい場合には、現像液に希釈液が補充されることなく、S9へ移行する。
【0081】
次に、図3に示される第2の方式を説明する。
第2の方式は、S1〜S3では第1の方式と同様に動作する。
S3の後にS2で演算した現像液希釈率を予め定めた希釈率下限値と比較するS11を行う。S11での比較の結果、現像液希釈率が希釈率下限値より小さい場合は、警告表示装置99に現像液希釈率過小警告を表示するS12を実行した後に、S4に進みそれ以降は第1の方式と同様である。S11において現像液希釈率が希釈率下限値より大きい場合は、S13に進む。
【0082】
S13では、現像液希釈率を予め定めた希釈率上限値と比較する。現像液希釈率が希釈率上限値より大きい場合は、警告表示装置99に現像液希釈率過大警告を表示するS14を実行した後に、S4に進みそれ以降は第1の方式と同様である。S13において現像液希釈率が希釈率上限値より小さい場合は、警告表示装置99に何も表示しないでS4に進みそれ以降は第1の方式と同様である。
【0083】
次に、図4に示される第3の方式を説明する。
第3の方式も、S1〜S3では上記第1の方式と同様に動作する。
S3の後にS2で演算した現像液希釈率を予め定めた希釈率下限値と比較するS21を行う。S21での比較の結果、現像液希釈率が希釈率下限値より小さい場合は、予め定めた補充条件の経時補充量設定値と処理補充量設定値に予め定めた増量を加えるS22を実行した後に、S4に進みそれ以降は第1の方式と同様である。S21において現像液希釈率が希釈率下限値より大きい場合は、S23に進む。
【0084】
S23では、現像液希釈率を予め定めた希釈率上限値と比較する。現像液希釈率が希釈率上限値より大きい場合は、予め定めた補充条件の経時補充量設定値と処理補充量設定値から予め定めた減量を減じるS24を実行した後に、S4に進みそれ以降は第1の方式と同様である。S23において現像液希釈率が希釈率上限値より小さい場合は、補充量設定値の変更をしないでS4に進みそれ以降は第1の方式と同様である。
【0085】
上記第1〜第3の方式による制御によれば、次のような効果が得られる。即ち、処理する感光材料の平均サイズの変更による処理補充液補充量の変化、環境炭酸ガス濃度の変動による経時補充液補充量の変化等により、実際の処理条件と予め定めた処理条件との差異が大きくなり、現像液の現像液希釈率が仮に異常な値となる事態となっても、現像液希釈率を表示することで、製版作業者にトラブルの予兆が報知され、自動現像装置に対して、いち早く適切な処置を実行することが可能となる。また、現像液希釈率が規定範囲外になったときに警告を発することで、製版作業者への報知が一層確実にかつ短時間のうちに行うことができ、さらに、現像補充液の補充条件を自動的に適切に変更することで、製版作業者が状況判断して条件設定を行う場合と比較して、より迅速に正常な状態へ戻すことが可能となる。
【0086】
これにより、現像液希釈率が異常に大きくなった場合に、現像液・補充液成分である分散剤・安定剤の濃度が薄くなり、一部の感光材料と現像液の組み合わせにおいて、現像液中にカスが発生し、それが感光材料表面に付着して製版トラブルを生じることが未然に防止される。また、逆に現像液の現像液希釈率が異常に小さくなった場合に、感光材料と現像液の組み合わせによっては、現像速度が抑制されてしまい、些細な環境変化等に基づく僅かな感度低下によって、現像残膜が発生してしまうことも未然に防止される。
特に、環境炭酸ガス濃度の変動を起因として発生する製版トラブルの場合、トラブルの予兆が製版作業員に発見され難かったが、現像液希釈率の値を表示することで、現像液の現像液希釈率の値を製版作業者へ正確かつ確実に確認させることができ、感光材料や現像液を無駄にしてしまうことが確実に防止できる。
【0087】
従って、電導度基準希釈液補充方式において、現像液希釈率の異常に伴う製版トラブルを解消し、自動現像装置の現像部を簡易で安価な構成としながら、現像処理条件の変化に対する現像液感度の変動を最小限に抑えることができる。
なお、上記警告としては、警告表示装置99に表示することの他、警報音や音声を発するものや、自動現像装置に接続された上位コンピュータ等へ警告信号を発するものであってもよい。
【0088】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係る自動現像装置の構成図である。
本実施形態の自動現像装置100は、内部の処理部が外板パネル114で覆われている。外板パネル114の内部には、PS版112を現像処理するための現像槽118及び現像槽118からオーバーフローした現像液を回収するオーバーフロー管120を備えた現像部122と、PS版112に付着した現像液を水洗処理する水洗部124と、水洗後のPS版112にガム液を塗布して不感脂化処理するフィニッシャー部126と、が配設されている。なお、水洗部124には、水洗槽128が配設され、フィニッシャー部126には、ガム液槽130が配設されている。
【0089】
外板パネル114には、スリット状の挿入口202及び排出口204がそれぞれ設けられている。外板パネル114の上面には、現像部122と水洗部124との間にPS版112を挿入するリエントリー用挿入口(副挿入口)250が設けられている。この副挿入口250からは、現像処理を除く処理を行うためのPS版112の挿入口とされている。
【0090】
この副挿入口250には、ブレード252が配設されている。ブレード252は、先端部が副挿入口250の案内支持面とされる外板パネル114に接触され、基部がブラケット254を介して外板パネル114の裏面側に固定されている。このため、副挿入口250は、ブレード252によって閉塞された状態となる。
【0091】
乾燥部(図示せず)は、図示しない多数のローラによって、フィニッシャー部126から送り出されたPS版112を搬送しながら、このPS版112の両面に温風を吹き付けて乾燥するようになっている。
現像部122の現像槽118へのPS版112の挿入側には、一対の搬送ローラ132が配設されており、この一対の搬送ローラ132の間にPS版112が挿入口202から挿入されるようになっている。
【0092】
搬送ローラ132の下流側近傍には、ゴム製ブレード206が取付けられている。ブレード206は、その先端部が現像部122の現像槽118の側壁に接触されており、基部がブラケット256を介して外板パネル114に取付けられている。ブラケット256は、固定部256Aと固定部に蝶ねじ258で取り付けられたスライド部256Bとによって構成され、ブレード206はスライド部256Bに固着されている。このため、ブレード206は、蝶ねじ258を緩めスライド部256Bを固定部256Aに対してスライドさせることにより、先端部を現像槽118の側壁から離反させることができる構成となっている。
【0093】
また、この挿入口102の近傍には、PS版12の有無及びその搬送された版の版面積等を測定可能な版検出センサ208が取付けられている。
現像槽118は上方が開口され底部中央部が下方に向けて突出された略逆山形状とされている。この現像槽118内には、ポンプ260が設けられ、このポンプ260によって現像槽118内の現像液が吸い出され、後述のスプレーパイプ144,272から噴出されるようになっている。これにより、現像槽118内に貯留された現像液は循環されるようになっている。この循環中に現像液の電導度を測定する電導度センサ262を通過するようになっている。また、現像槽118には、ポンプ264を介して現像補充原液タンク266から補充原液が供給されるようになっている。さらに後述するが、現像槽118には、ポンプ286を介して水洗槽128から希釈水が供給されるようになっている。
【0094】
上記ポンプ264は版検出センサ208及び時間計測部52からの信号に基づいて、ポンプ286は、版検出センサ208、時間計測部52及び電導度センサ262からの信号に基づいて、現像補充液の補充条件等が記憶された制御ROM及びRAM(第1記憶手段、第2記憶手段に相当)51及び時間計測部52を備えた制御装置(第1〜第4制御手段に相当)50によって制御される。なお、その他、制御装置50の作用効果は第1実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
現像槽118内には、上流側にガイド板268、下流側に多数のガイドローラ134及び回転ブラシローラ270が配設されている。これらのガイドローラ134及び回転ブラシローラ270は、現像槽118の一対の側板の間に回転可能に掛け渡されている。
【0095】
前記ガイド板268の上方には、比較的大径のガイドローラ136が、ガイドローラ134の上方には、回転ブラシローラ138,270及びガイドローラ140が各々配設される。また、現像槽118内の中央部には、PS版112の表面をスクイズする機能を備えた一対の絞りローラ142が配設されている。
現像槽118の最下流側には、前記オーバーフロー管120が配設され、現像液の液面が所定のレベルを超えると、現像液を廃液タンク284へ案内して廃棄するようになっている。
【0096】
現像槽118内の現像液表面には、液面蓋150が配置されている。この液面蓋150は回転ブラシローラ138とこれに隣接したガイドローラ140に対応する部分が略円弧状に突出され、現像液表面と空気との接触をできるだけ少なくするため現像液面に密着され、現像液の増減に応じて上下するように、この液面蓋150のPS版112の搬送方向両端が、図示しない側板にスライド可能な構造によって取り付けられている。
【0097】
この液面蓋150の搬送方向下流側端には、ブレード274の先端が接触されている。このブレード274はブラケット276を介して外板パネル114に固定されている。このブレード274によって液面蓋150の搬送方向下流端から露出する現像液の液面と、液面蓋150の上方との間が仕切られ、前記挿入口202の近傍のブレード206(現像槽118の側壁と接触した状態)とによって、液面蓋150の上方は外気と完全に隔離されることになり、現像液の蒸発を抑制することができる。
現像槽118の搬送方向の最下流側には、PS版112を挟持して搬送すると共に、PS版112の表面から現像液を絞り取るローラ対154が配置されている。
【0098】
一方、自動現像装置100には、現像部122の下流側に水洗部124の水洗槽128が配設されている。水洗槽128の上方には、2対の搬送ローラ152,153が配設されている。
水洗槽128には、現像槽118から送り出されたPS版112から現像液を洗い落とした後の水洗水が貯留されている。搬送ローラ153の上流側、かつ搬送路よりも上側には、スプレーパイプ156が配設されており、このスプレーパイプ156の外周には内部と連通する複数の吐出口が設けられている。スプレーパイプ156からは、水洗水タンク278からポンプ280によって汲み上げられた水洗水が搬送ローラ153の上側のローラに滴下され、搬送ローラ153が回転することによって、PS版112の表面に水洗水が速やかに広がり、PS版112の表面が水洗水によって洗浄される。
【0099】
また、搬送ローラ152,153の下側におけるローラの下部は、受け皿162に収容されている。受け皿162には、水洗水が貯留されるようになっており、下側のローラで汲み上げられて、PS版112の裏面を洗浄すると共に上側の搬送ローラ152,153が乾くのを抑えている。
また、PS版112の表面上を幅方向へ拡散した水洗水は、PS版112の幅方向両端部から下方の受け皿162へ落ち、この受け皿162から汲み上げられた水洗水によってPS版112の裏面が処理される構成となっている。受け皿162から溢れた水洗水は水洗槽128へ案内される。水洗槽128には、オーバーフロー管282が配設され、所定の液面を超えると、廃液タンク284へ廃棄される。
【0100】
また、この水洗槽128と現像槽118とは、ポンプ286を介して連通されており、ポンプ286の駆動によって、水洗槽128内の水洗水が現像槽118へ案内され、現像槽118に補充原液を供給する際の希釈液として利用可能となっている。
フィニッシャー部126のガム液槽130の上方には、一対の搬送ローラ178が設けられている。搬送ローラ153によって送り出されたPS版112は、この搬送ローラ178へ案内されるようになっている。
【0101】
また、搬送ローラ178の上流側には、搬送路の上下方向にスプレーパイプ182,288が配設されている。このスプレーパイプ182,288からは、ガム液タンク290からポンプ292によって汲み上げられたガム液が吐出され、PS版112の表面及び裏面に供給される。
搬送ローラ178は、PS版112を挟持して搬送すると共に、PS版112の表面を不感脂化処理するためにスプレーパイプ182によって供給されたガム液をスクイズするようになっている。PS版112の表面からスクイズされたガム液は、ガム液槽130に回収される。ガム液槽130内のガム液は、ポンプ294によって循環されるようになっている。また、このガム液槽130には、オーバーフロー管296が設けられ、ガム液が所定の液面を超えると廃液タンク284へ案内され廃棄される構成となっている。
【0102】
また、下側の搬送ローラ178の下部はガム液槽130に貯留されたガム液に浸されており、PS版112の裏面側は、下側の搬送ローラ178が、ガム液槽130からガム液を汲み上げることにより、塗布処理を行っている。これによって、搬送ローラ178がガム液を持ち出してPS版112の裏面の不感脂化処理を行うと共に上側の搬送ローラ178の乾きが抑えられ、搬送ローラ178の表面に処理液の成分が析出しないようになっている。
このフィニッシャー部126での処理が終了したPS版112は、ケーシング200の排出口204を通過して、乾燥部(図示せず)へ送り出されるようになっている。
【0103】
ここで、排出口204には、仕切板としての蓋体210が設けられている。この蓋体210は、軸212に固着されている。軸212は図示しない駆動手段で(例えばソレノイド)回動可能とされている。
この軸212の回転は、挿入口202の近傍に設けられた前記版検出センサ208によるPS版112の検出に基づいてなされる。すなわち、版検出センサ208でPS版112を検出している間及び検出しなくなってから(後端を検出してから)所定時間経過するまでの間は、蓋体210は略水平(排出口204の開放状態)で保持され、それ以外は垂直(排出口204の閉塞状態)とされるようになっている。
【0104】
以下に本実施形態の作用を説明する。まず、現像槽118、水洗槽128、ガム液槽130等の処理槽は、上蓋114、本体108等のケーシング200によって覆われている。また、自動現像装置100によって、PS版112の現像処理が行われていない状態では、挿入口202は、ブレード206が現像槽118の側壁に接触し合っているため、閉塞されている。一方、排出口204は、センサ208でPS版112を検出していないので、蓋体210が垂直状態とされ、この排出口204も閉塞されている。さらに、副挿入口250もブレード252によって閉塞され、現像部122の液面蓋150の上方もブレード206、122によって閉塞されている。このため、現像槽118内の現像液、水洗部124内の水洗水及びフィニッシャー部126内のガム液は、外気に晒されることはなく、CO2疲労は殆ど無い。このため、経時的劣化による現像能力の低下を抑えることができるので、例えば、現像部122における補充原液の補充量を激減することができる。特に、現像槽118の現像液表面は液面蓋150で覆われているので現像液と外気との接触防止の効果は大きい。
【0105】
なお、現像液と外気との接触をできるだけ少なくするため、蓋体210の開いている時間をできるだけ短くする方がよい。従って、PS版112が通過している間のみ開いていて、それ以外の間は閉じている構造が好ましい。
また、制御装置50による制御は、第1実施形態において説明した図2から図4における現像補充液の補充方法のフローチャートと同様なので、その説明を省略する。
【0106】
【実施例】
次に、上記実施形態における現像補充液の補充方法、及び従来の現像補充液の補充方法をそれぞれ適応した場合について、現像液感度の変動量幅、製版トラブルの発生を実験により求めた。表1に実験条件をまとめて示した。
【0107】
【表1】
【0108】
[実施例1]
実施例1で使用する現像液A、補充液A、感光材料A、の作製方法を記す。この組み合わせの場合での、製版トラブルが発生しない希釈比範囲と現像液感度の許容変動範囲を表2に示した。ここで、上記許容変動範囲を設定する際に想定した処理条件及び環境条件を、表3、表4にそれぞれ示した。
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【表5】
【0112】
[現像液A]
非還元糖と塩基とを組み合わせたD−ソルビット/酸化カリウムK2Oよりなるカリウム塩5.0%、オルフィンAK−02(日信化学製)0.015%及び界面活性剤D−1105(竹本油脂(株)製)0.010%を含有した水溶液1リッ
トルに対して、下記の化合物を0.01gの割合で添加したものを現像槽容量分調整した。
【0113】
【化1】
【0114】
[補充液A]
以下の処方で調整した。非還元糖と塩基とを組み合わせたD−ソルビット/酸化カリウムK2Oよりなるカリウム塩6.0%及びオルフィンAK−02(日信化学製)0.015%を含有した水溶液1リットルに対して、下記の化合物を0.01gの割合で添加したものを現像槽容量分調製した。
【0115】
【化2】
【0116】
[感光材料A]
特開平11−119419記載の実施例1に基づいて作成した。得られた感光板を、プレートセッターLuxcel Platesetter 9000CTP(富士写真フイルム(株)製)を用いて(出力216mW、回転数1000rpm、解像度2438dpi、画像面積率約20%)で画像露光した。現像液感度の評価は、Luxcel Platesetter 9000CTPのオリジナルパターンを用いて、露光量を27mW(13.5mJ/cm2)から270mW(135mJ/cm2)まで、13.5mW(13.5mJ/cm2)毎に変化させて露光した感光材料で行った。即ち、この段階的露光は、版面エネルギーの最大値に対し、10%、15%、…90%、95%、100%のように変化させて行ったものであり、このことから、隣接する露光部との版面エネルギーの差は5〜50%である。
【0117】
[実施例1の処理]
表1に示した処理条件で継続処理を行い、現像液感度安定性、製版トラブルを評価した。結果を表5に示す。
【0118】
[比較例1]
比較例1では、上記現像液A、補充液A、感光材料A、を使用した。この組み合わせの場合での、製版トラブルが発生しない希釈比範囲と現像液感度の許容変動範囲を表2に示した。
【0119】
[比較例1の処理]
表1に示した処理条件で継続処理を行い、現像液感度安定性、製版トラブルを評価した。その結果を表5に示す。
現像液希釈率が範囲を越え製版トラブルが発生した比較例1に対し、本発明方式(第3の方式)を使用した実施例1では、製版トラブルの発生が抑制され、現像感度も許容範囲に収まっていることが確認できた。
【0120】
[実施例2]
実施例2で使用する現像液B、補充液B、感光材料B、感光材料C、の作製方法を記す。この組み合わせの場合での、製版トラブルが発生しない希釈比範囲と現像液感度の許容変動範囲を、表2に示した。
[現像液B]
富士写真フイルム社製現像液DP−7を1/9に希釈して使用した。
[補充液B]
富士写真フイルム社製現像補充液DP−7RWを使用した。
[感光材料B]
特開2000−231188明細書記載の実施例1に基づいて作製した。得られた感光材料に、米国ヌアーク社製プリンターFT26V2UPNS(光源:2kWメタルハライドランプ)で50カウント画像露光した。現像液液感度の評価は、富士写真フイルム(株)製ステップウェツジ(各段の濃度差が0.15)画像を上
記条件で露光した感光材料を用いて行った。
[感光材料C]
特開平7−295212記載の実施例1に基づいて作製した。得られた感光材料に、米国ヌアーク社製プリンターFT26V2UPNS(光源:2kWメタルハライドランプ)で50カウント画像露光した。現像液感度の評価は、富士写真フイルム(株)製ステップウェッジ(各段の濃度差が0.15)画像を上記条件で露光
した感光材料を用いて行った。
【0121】
[実施例2の処理]
表1に示した処理条件で継続処理を行い、現像液感度安定性、製版トラブルを評価した。結果を表5に示す。
【0122】
[比較例2]
比較例2では、上記現像液B、補充液B、感光材料B、感光材料Cを使用した。この組み合わせの場合での、製版トラブルが発生しない希釈比範囲と現像液感度の許容変動範囲を表2に示した。
【0123】
[比較例2の処理]
表1に示した処理条件で継続処理を行い、現像液感度安定性、製版トラブルを評価した。結果を表5に示す。
現像液希釈率が範囲を越え製版トラブルが発生した比較例2に対し、本発明方式(第3の方式)を使用した実施例2では、製版トラブルの発生が抑制され、現像感度も許容範囲に収まっていることが確認できた。
【0124】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、現像劣化原因に応じて予め定めた現像補充液補充条件に基づいて、現像槽に貯留された現像液に現像補充液として現像補充液原液と現像補充液希釈液とをそれぞれ計量し補充する際に、現像液に補充した現像補充液原液の積算値に対する、現像液に補充した現像補充液希釈液の積算値の割合である現像液希釈率を算出し、該現像希釈率の値を表示するようにし、又は/且つ、現像液希釈率の値が、予め設定した希釈率下限値を下回ったとき、又は予め設定した希釈率上限値を上回ったときに、その旨の警告を発し、又は/且つ、現像液希釈率が、予め設定した希釈率下限値を下回ったとき、又は予め設定した希釈率上限値を上回ったときに、自動的に現像補充液補充条件を変更するようにした。これにより、環境因子の急変等により、実際の処理条件と予め定めた処理条件との差異が大きくなった場合でも、現像液が異常な現像液希釈率になり製版トラブルが発生してしまうこと無く、現像感度を安定に保ち処理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における自動現像装置の構成図である。
【図2】第1実施形態及び第2実施形態の自動現像装置の現像部における第1の方式による現像補充液の補充方法のフローチャートである。
【図3】第1実施形態及び第2実施形態の自動現像装置の現像部における第2の方式による現像補充液の補充方法のフローチャートである。
【図4】第1実施形態及び第2実施形態の自動現像装置の現像部における第3の方式による現像補充液の補充方法のフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態における自動現像装置の構成図である。
【符号の説明】
2,100 自動現像装置
4,112 PS版(感光材料)
20 現像槽
50 制御装置(第1〜第4制御手段)
51 制御ROM及びRAM(第1,第2記憶手段)
98 現像液希釈率表示装置(表示手段)
99 警告表示装置(警告手段)
Claims (6)
- 現像液劣化原因に応じて予め定めた現像補充液補充条件に基づき、現像槽に貯留される現像液に、現像補充液として現像補充液原液と現像補充液希釈液とをそれぞれ計量し補充する自動現像装置の現像補充液補充方法において、
前記現像液に補充した現像補充液原液の積算値に対する、前記現像液に補充した現像補充液希釈液の積算値の割合である現像液希釈率を算出し、該現像希釈率の値を表示することを特徴とする自動現像装置の現像補充液補充方法。 - 前記現像液希釈率が、予め設定した希釈率下限値を下回ったとき、又は予め設定した希釈率上限値を上回ったときに、その旨の警告を発することを特徴とする請求項1記載の自動現像装置の現像補充液補充方法。
- 前記現像液希釈率が、予め設定した希釈率下限値を下回ったとき、又は予め設定した希釈率上限値を上回ったときに、自動的に前記現像補充液補充条件を変更することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動現像装置の現像補充液補充方法。
- 現像液劣化原因に応じて予め定めた現像補充液補充条件を記憶する第1記憶手段と、現像補充液原液を現像槽に貯留された現像液に補充する現像補充液原液補充手段と、現像補充液希釈液を現像槽に貯留された現像液に補充する現像補充液希釈液補充手段と、前記第1記憶手段に記憶された現像補充液補充条件に基づいて、現像補充液として現像液に補充する現像補充液原液補充量と現像補充液希釈液補充量をそれぞれ算出し、該現像補充液原液補充手段と該現像補充液補充手段を動作させる第1制御手段と、を少なくとも有する自動現像装置であって、
前記第1制御手段で算出された前記現像補充液原液補充量と前記現像補充液希釈液補充量をそれぞれ積算し、現像補充液原液補充量の積算値に対する現像補充液希釈液補充量の積算値の割合である現像液希釈率を算出する第2制御手段と、該第2制御手段によって算出された前記現像液希釈率を表示する表示手段と、を有することを特徴とする自動現像装置。 - 予め設定した希釈率下限値と希釈率上限値を記憶する第2記憶手段と、現像液希釈率の異常を警告する警告手段と、前記第2制御手段によって算出された現像液希釈率が、前記第2記憶手段に記憶された希釈率下限値を下回ったとき、又は前記第2記憶手段に記憶された希釈率上限値を上回ったときに、前記警告手段を動作させる第3制御手段と、を有することを特徴とする請求項4記載の自動現像装置。
- 予め設定した希釈率下限値と希釈率上限値を記憶する第2記憶手段と、前記第2制御手段によって算出された現像液希釈率が、前記第2記憶手段に記憶された希釈率下限値を下回ったとき、又は前記第2記憶手段に記憶された希釈率上限値を上回ったときに、自動的に前記第1記憶手段に記憶された前記現像補充液補充条件を変更する第4制御手段と、を有することを特徴とする請求項4記載の自動現像装置。
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-
2002
- 2002-10-11 JP JP2002299101A patent/JP2004133291A/ja not_active Abandoned
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