JP2004132563A - 焼却炉及び焼却炉の運転方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】廃棄物焼却炉において、廃棄物の供給量が一時的に変動しても、燃焼性を良好な状態に維持する。
【解決手段】焼却炉3に供給された廃棄物の下方から該廃棄物を乾燥及び燃焼させるための1次空気を供給し、更に炉の上部から燃焼用の2次空気と3次空気を供給して廃棄物を焼却する焼却炉の運転方法において、特定波長域の輻射熱線のみを検知できる放射温度計7を用い、廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスの特定波長域の輻射熱線のみを測定した熱流束からガス吸収係数を計算し、得られたガス吸収係数からガス中のH2O含有量を計算し、求められたH2O含有量に基づいて廃棄物の供給量を算定し、算定された廃棄物の供給量に見合った空気量になるように、2次空気量および3次空気量を制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】焼却炉3に供給された廃棄物の下方から該廃棄物を乾燥及び燃焼させるための1次空気を供給し、更に炉の上部から燃焼用の2次空気と3次空気を供給して廃棄物を焼却する焼却炉の運転方法において、特定波長域の輻射熱線のみを検知できる放射温度計7を用い、廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスの特定波長域の輻射熱線のみを測定した熱流束からガス吸収係数を計算し、得られたガス吸収係数からガス中のH2O含有量を計算し、求められたH2O含有量に基づいて廃棄物の供給量を算定し、算定された廃棄物の供給量に見合った空気量になるように、2次空気量および3次空気量を制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は廃棄物等の焼却炉とその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物等の焼却炉では、通常、燃料である廃棄物に1次空気を供給して部分燃焼させ、その後、炉の下流側に2次空気や3次空気を供給して未燃ガスを完全に燃焼させる方式が採用されている。これは流動床式焼却炉でもストーカ式焼却炉でも同様である。この方式により、燃料のある程度のカロリー変動や、供給量変動に起因する燃焼状況の変動を緩和し、燃焼性を良好な状態に維持することが可能になっている。
【0003】
しかし、廃棄物等の焼却炉では、しばしば燃料(廃棄物)の供給量が一時的に大幅に増大する現象(どさ落ち現象)を生じるため、供給量変動に応じた空気量制御等を行う必要がある。従来、燃料供給量の変化を検知するため、焼却炉出口における酸素濃度を測定し、得られた酸素濃度に応じて1次空気又は2次空気の供給量を変化させる技術が知られている(例えば特許文献1参照)。また、熱電対で炉内温度を監視し、検知された炉内温度に応じて1次空気又は2次空気の供給量を変化させる技術も知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−332122号公報
【発明が解決しようとする課題】
炉出口の酸素濃度を測定することで、数秒〜数十秒前の燃料供給量の変動を知ることができる。この情報を用いて、炉に供給する空気量を制御した場合、炉出口の酸素濃度を測定した時点とその情報に基づいて制御された量の空気が吹きこまれる時点での燃料供給量が必ずしも同じではないため、場合によっては燃焼状況が悪化することがある。
【0005】
また、炉内温度を熱電対で監視する場合、得られる温度は正確なガス温度ではなく、熱電対が炉内各所から受けた輻射熱を含む温度であるため、熱電対で検出した温度に基づいて燃料供給量の変動を知ることは困難である。
【0006】
本発明の課題は、廃棄物等を燃焼させる焼却炉において、廃棄物である燃料の供給量が一時的に変動しても、燃焼性を良好な状態に維持することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するには、燃料供給量の変動をできるだけ早く、かつ変動量をできるだけ正確に検出することが必要である。発明者等は、燃料供給量の変動にともなって変動する物理量(炉内状態量)につき、種々検討した結果、廃棄物の燃焼の前段階の乾燥過程で発生する水分量、具体的には炉内ガス中のH2O含有量が、燃料供給量の変動を検出するのに適切であることを見出した。
【0008】
ごみ供給量が変動すると、ごみと共に持ちこまれる焼却炉内の水分の絶対量も変化するため、炉内のH2Oの分圧が変化する。図4に示すように、H2Oの分圧に応じて、炉内のガスの吸収係数が変化するため、ガス吸収係数を測定することで炉内のガスの水分量を知ることができる。炉内のガスの水分量は、ごみ供給量の変動とともに変動するから、水分量の変動によりごみ供給量の変動を検知できる。
【0009】
通常、放射温度計は壁面温度の測定に使用され、壁面及びガス体からの放射熱線量をデイテクタで検知し、温度に換算するものである。壁面の温度を測定する場合、壁面からの輻射熱線を、該壁面と放射温度計の間にあるガス体が一部吸収、放射するため、その影響を避けるために、特定波長域の輻射熱線のみを検知している。これは、図5に示すように輻射熱線に対し不透明なガスであるH2O及びCO2は特定波長のみで熱線を吸収、放射するため、これらの波長域を避けるためである。逆に言えば、H2O及びCO2は特定波長域でのみ輻射熱線を吸収、放射するため、その波長域のみの熱線を検知することで、ガス体のガス吸収係数を測定できる。
【0010】
ごみ焼却炉では炉の寸法が大きいため、対向壁からの輻射熱線が放射温度計に到達せず、ガス体のみの輻射熱線量を検知できるため、精度良くガス体の吸収係数を測定することが可能となる。
【0011】
ここで、ガス吸収係数の算出方法について述べる。放射温度計ではデイテクタで熱流束の値、すなわち放射熱量q[W/m2]を測定し、その値から対象物の温度T[K]を算出する。この際、対象物の放射率εを仮定し、次式(1)が成立する。
【0012】
q=σε(T4−T0 4) (1)
ここで、σはステファン・ボルツマン定数と呼ばれる一定値であり、T0は検出器の温度である。また、ガス吸収係数αと放射率εには次式(2)の関係がある。
【0013】
α+ε=1 (2)
式(1)において、qは測定量であり、σ、T0は既知の値である。また、εを仮定すると、α及びTが算出できる。ここで、瞬間的なごみ供給量変動時にはガス体の温度がほぼ一定とみなせるので、初期条件として、ε及びTを求めておけば、ごみ供給量の変動に対し、ε及びαが変動することになり、ガス吸収係数の測定が可能となる。ガス吸収係数は前述のようにガス中の水分量により決まるから、予め、ガス吸収係数とガス中の水分量の関係をデータとして保有しておけば、測定したガス吸収係数に基づいてガス中の水分量を算定することができる。また、ガス中の水分量は、焼却炉に投入されるごみの種類、量(ごみ供給量)により変動するが、ごみの種類、内容に大きな変化がなければ、ガス中の水分量は、ごみ供給量で決まる。すなわち、ガス中の水分量が分かれば、焼却炉に供給されたごみの量が算定できる。
【0014】
一方、燃焼を安定化させるためには、ごみ供給量に応じた適切な量の空気を炉内に投入する必要がある。したがって、2次空気または3次空気投入位置よりも上流側のガス吸収係数を測定し、測定したガス吸収係数に基づいて算定したごみ供給量に応じて2次空気量または3次空気量、あるいはその双方を制御することで、ごみ供給量に応じた適切な量の空気を炉内に投入することができ、常に最適な燃焼状態を保つことができる。2次空気量または3次空気量、あるいはその双方を制御する際は、一次空気量を考慮に入れて制御を行う必要がある。
【0015】
なお、ガス吸収係数とガス放射率は一対一の関係があるため、ガス吸収係数の代わりにガス放射率を測定してもよい。
【0016】
すなわち、上記の課題は、以下の構成を用いることで解決できる.
焼却炉に供給された廃棄物の下方から該廃棄物を乾燥及び燃焼させるための1次空気を供給し、更に炉の上部から燃焼用の2次空気あるいは2次空気と3次空気を供給して廃棄物を焼却する焼却炉の運転方法において、廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスの特定波長域の輻射熱線のみを検知できる検知手段を用いて測定した熱流束の値からガス吸収係数を計算し、得られたガス吸収係数からガス中のH2O含有量を計算し、求められたH2O含有量に基づいて廃棄物の供給量を算定し、算定された廃棄物の供給量に見合った空気量になるように、2次空気量または3次空気量または2次空気量および3次空気量を制御する。
【0017】
前記検知手段によりガスの特定波長域の輻射熱線を検知する位置は、前記乾燥工程でガスが生成する位置の直後から2次空気又は3次空気を吹き込む位置との間とする。
【0018】
前記検知手段としては、廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスの特定波長域の輻射熱線のみを検知できる放射温度計、もしくは廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスの特定波長域の輻射熱線のみが通過することが可能な光学フィルタ及び熱流束測定装置を用いることができる。
【0019】
上記課題はまた、焼却炉に供給された廃棄物の下方から該廃棄物を乾燥及び燃焼させるための1次空気を供給し、更に炉の上部から燃焼用の2次空気あるいは2次空気と3次空気を供給して廃棄物を焼却する焼却炉において、廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスの特定波長域の輻射熱線のみを検知できる検知手段と、該検知手段から出力される熱流束の値からガス吸収係数を計算しガス吸収係数からガス中のH2O含有量を計算しガス中のH2O含有量から廃棄物の供給量を演算する演算手段と、この演算手段からの信号により廃彙物の供給量に見合った2次空気量または3次空気量または2次空気量及び3次空気量を制御する制御手段を設けることによって達成される。
【0020】
前記検知手段は、前記乾燥工程でガスが生成する位置の直後から2次空気または3次空気を吹き込む位置との間に設ける。
【0021】
廃棄物等には多量の水分(全質量の30%〜60%)が含まれるため、廃棄物等の供給量が変動すれば必然的に焼却炉内の水分量も変動する。したがって、焼却炉内の水分量を測定できれば、供給量を知ることができる。ごみ供給量が変動すれば、必然的に焼却炉内の水分の絶対量も変化するため、炉内のガスのH2Oの分圧が変化する。ガスの吸収係数はH2Oの分圧に依存して変化するため、ガス吸収係数を測定することでガスの水分量を知ることができる。ガスの水分量を知ることができれば、ごみ供給量の変動を検知できる。
【0022】
上記解決手段によれば、廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスの特定波長域の輻射熱線のみを検知して特定波長域のガス吸収係数を算出でき、特定波長域のガス吸収係数からガス中のH2O含有量を計算できる。ガス中のH2O含有量により、廃棄物の供給量が算出され、算出された廃棄物の供給量に見合った燃焼空気量になるように、2次空気量または3次空気量または2次空気量および3次空気量が制御されるから、廃棄物供給量が一時的に変動しても該廃棄物の燃焼時点で必要な燃焼空気が供給されるから、燃焼性を常に良好に保つことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態を図1を参照して説明する。図1は、本発明を流動床式ごみ焼却炉に適用した例を示す断面図である。図示の焼却装置は、焼却炉3と、焼却炉3の給じん口3aに下流端を接続して配置され搬送した燃料であるごみ(以下、燃料という)を前記給じん口3aに供給する供給装置2と、供給装置2の上流端の上方に配置され供給装置2に燃料を供給する供給ホッパ1と、を含んで構成されている。
【0024】
焼却炉3は、上下方向の中間部がくびれて上部と下部が膨らんだ形状に形成された炉体と、炉体下部に配置された流動床と、この流動床の下方から流動床にダンパ制御装置6aで制御された1次空気を供給する1次空気供給手段である1次空気ノズルと、前記流動床の上方のくびれた部分にダンパ制御装置6bで制御された2次空気を供給する2次空気供給手段である2次空気ノズルと、その上方にダンパ制御装置6cで制御された3次空気を供給する3次空気供給手段である3次空気ノズルと、前記流動床と2次空気ノズルの間の部分燃焼領域に配置されて特定波長域の輻射熱線のみを検知する検知手段をなすガス吸収係数測定装置である放射温度計7と、放射温度計7の出力を入力として制御手段である前記ダンパ制御装置6b、6cを制御する演算手段である演算装置5と、を含んで構成されている。前記給じん口3aは、流動床の上方の炉壁に取付けられ、放射温度計7は、前記給じん口3aに対向する炉壁に取り付けられている。
【0025】
上記装置において、ごみは供給ホッパ1から供給装置2に供給され、供給装置2は供給されたごみを搬送して給じん口3aから炉内に投入する。投入されたごみは流動床(流動媒体)の上に落下し、流動床の下方から上方に向かって吹出される1次空気により、流動媒体とともに流動化される。ごみは燃焼に先だって流動層内で乾燥され、水分が蒸発する。その後、ごみ中の可燃物である揮発分及び固定炭素の燃焼が始まる。ただし、流動層内では空気不足の状態で燃焼するため、未燃のガスは上部に設置された2次空気ノズル及び3次空気ノズルから吹き込まれる燃焼用空気により、完全燃焼する。
【0026】
部分燃焼領域(2次空気ノズル設置位置と流動床の間の領域)に設置された放射温度計7は、部分燃焼したガス体からの熱流束を測定している。ごみの供給量が定常供給量(定量)より増加した場合、ごみ中に含まれて炉内に入ってくる水分量も増加する。したがって、部分燃焼したガス体、云いかえると部分燃焼領域の雰囲気には、ごみが定量供給されている状態のときよりも多くの水蒸気が含まれている。このため、ガス体に吸収される輻射熱線が増加し、放射温度計7で検知される熱流束は小さくなる。
【0027】
演算装置5は、放射温度計7から入力される熱流束の値からガス吸収係数を算出し、さらに、ガス吸収係数とH2Oの分圧の関係から、ガス体中のH2Oの割合を算出する。演算装置5は次いで、あらかじめ測定したごみ定量供給時のガス体中のH2Oの割合と、算出されたガス体中のH2Oの割合に基づいてその時点(正確にはやや前の時点)でのごみ供給量を算出し、算出したごみ供給量に基づいて前記ダンパ制御装置6b、6cを制御して、2次空気ノズルおよび3次空気ノズルから算出したごみ供給量に見合う量の燃焼用空気を、炉内に供給する。このとき、一次空気ノズルから供給された空気も燃焼に寄与するから、1次空気量も考慮に入れてダンパ制御装置6b、6cを制御する。
【0028】
図2に、本実施の形態において測定した部分燃焼領域の水分量の時間変化のデータを、縦軸に水分量と酸素濃度(%)、横軸に経過時間をとって示す。酸素濃度は炉出口で測定した値である。図示のように、水分量は通常ほぼ一定となっているが、途中で急激に増加して再び減少している。これに対して酸素濃度はほぼ一定に推移しており、燃焼用空気の供給量がごみ供給量の一時的な増加に応じて増加あるいは減少されていることが確認できる。
【0029】
本実施の形態によれば、廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスのガス吸収係数を測定し、測定したガス吸収係数に基づいて乾燥工程で生成した水分量を算出して焼却炉に投入されたごみ供給量を把握し、その供給量にみあった2次空気量または3次空気量、あるいはその双方を応答遅れのないように制御して燃焼を行わせることができる。従って、ごみ供給量が一時的に変動しても常に最適な燃焼状態を保つことができる
また、本発明を適用したことにより、炉出口のダイオキシン濃度を約1/10に低減できた。また、ごみ供給量の変動に備えて常時過剰な空気量を炉に供給しておく必要がないため、排ガス量が低減でき、排ガス処理設備等の小型化が可能になった。
【0030】
本発明の第2の実施の形態を、図3を参照して説明する。本実施の形態は、ストーカ式ごみ焼却炉に本発明を適用した例である。図示のストーカ式ごみ焼却炉は、炉の下部に下流側が低くなるように傾斜して配置されごみの水分を蒸発させて乾燥させる乾燥段8と、この乾燥段8の下流端に接続して同じく下流側が低くなるように傾斜して配置され乾燥したごみを部分燃焼させる燃焼段9と、この燃焼段9の下流端に接続して同じく下流側が低くなるように傾斜して配置され燃え残りのごみを燃焼させる後燃焼段10と、乾燥段8、燃焼段9および後燃焼段10にそれぞれ独立に、ダンパ制御装置6aにより制御された一次空気を下方から供給する一次空気ノズルと、前記乾燥段8の上流端にごみを供給する給じん口3aと、前記乾燥段8の上方に塔状に形成された完全燃焼領域と、この完全燃焼領域にダンパ制御装置6bにより制御された2次空気を供給する2次空気ノズルと、完全燃焼領域の前記2次空気ノズルの上方に配置されダンパ制御装置6cにより制御された3次空気を供給する3次空気ノズルと、前記乾燥段8の上流端上部の空間に対向する前記給じん口3a下方壁面に装着されたガス吸収係数測定装置である放射温度計7と、この放射温度計7の出力に基づいてダンパ制御装置6bおよびダンパ制御装置6cを制御する演算装置5と、を含んで構成されている。
【0031】
本実施の形態においては、給じん口3aから投入されたごみは、乾燥段8を下流側に向かって移送されつつ下方から吹き上げる1次空気により乾燥され、水分を蒸発させる。乾燥段8で乾燥されたごみは燃焼段9を下流側に向かって移送されつつ燃焼され、さらに後燃焼段10で完全に燃焼される。燃焼段9および後燃焼段10で発生した未燃ガスは完全燃焼領域に上昇し、供給される2次空気および3次空気で燃焼される。演算装置5は放射温度計7の出力に基づいてごみの供給量を算出し、算出されたごみ量に対応した空気量を供給するよう、ダンパ制御装置6b、6cを制御する。このとき、一次空気ノズルから供給された空気も燃焼に寄与するから、1次空気量も考慮に入れてダンパ制御装置6b、6cを制御する。
【0032】
本実施の形態によっても、廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスのガス吸収係数を測定し、測定したガス吸収係数に基づいて乾燥工程で生成した水分量を算出して焼却炉に投入されたごみ供給量を把握し、その供給量にみあった2次空気量または3次空気量、あるいはその双方を応答遅れのないように制御して燃焼を行わせることができる。従って、常に最適な燃焼状態を保つことができるとともに未燃分の発生やダイオキシンの発生を抑制できる。
【0033】
なお、乾燥工程で生成したガスのガス吸収係数を測定し、乾燥工程で生成した水分量を素早く検知して応答遅れがない最適な制御を行うには、ガス吸収係数を測定する装置は、水分が発生した直後すなわち流動層炉の場合は層上の近傍に、ストーカ炉の場合は乾燥段に設けることが必要である。
【0034】
熱流束の測定装置としては、前記放射温度計のほかに、特定波長域の輻射熱線のみが通過することが可能な光学フィルタ及び熱流束測定装置を用いることもできる。この方法によっても、本発明と同等の効果が得られる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、供給されるごみの量が一時的に変動しても、焼却炉内の燃焼を常に安定した良好な状態に保てる効果がある。このため、ダイオキシン等の有害物質の発生量を大幅に低減できる。また、常時過剰な空気量を炉に供給しておく必要がないため、排ガス量が低減でき、排ガス処理設備等の小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における残存酸素濃度と焼却炉ないの水分量の関係を示す概念図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図4】炉内のH2Oの分圧と炉内のガスのガス吸収係数の関係を示す概念図である。
【図5】H2O及びCO2は特定波長のみで輻射熱線を吸収、放射することを示す概念図である。
【図6】廃棄物焼却炉の概略構成を示す断面図である。
【図7】従来技術の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 供給ホッパ
2 供給装置
3 焼却炉
3a 給じん口
4 酸素濃度計
5 演算装置
6、6a〜6c ダンパ制御装置
7 ガス吸収係数測定装置
8 乾燥段
9 燃焼段
10 後燃焼段
【発明の属する技術分野】
本発明は廃棄物等の焼却炉とその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物等の焼却炉では、通常、燃料である廃棄物に1次空気を供給して部分燃焼させ、その後、炉の下流側に2次空気や3次空気を供給して未燃ガスを完全に燃焼させる方式が採用されている。これは流動床式焼却炉でもストーカ式焼却炉でも同様である。この方式により、燃料のある程度のカロリー変動や、供給量変動に起因する燃焼状況の変動を緩和し、燃焼性を良好な状態に維持することが可能になっている。
【0003】
しかし、廃棄物等の焼却炉では、しばしば燃料(廃棄物)の供給量が一時的に大幅に増大する現象(どさ落ち現象)を生じるため、供給量変動に応じた空気量制御等を行う必要がある。従来、燃料供給量の変化を検知するため、焼却炉出口における酸素濃度を測定し、得られた酸素濃度に応じて1次空気又は2次空気の供給量を変化させる技術が知られている(例えば特許文献1参照)。また、熱電対で炉内温度を監視し、検知された炉内温度に応じて1次空気又は2次空気の供給量を変化させる技術も知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−332122号公報
【発明が解決しようとする課題】
炉出口の酸素濃度を測定することで、数秒〜数十秒前の燃料供給量の変動を知ることができる。この情報を用いて、炉に供給する空気量を制御した場合、炉出口の酸素濃度を測定した時点とその情報に基づいて制御された量の空気が吹きこまれる時点での燃料供給量が必ずしも同じではないため、場合によっては燃焼状況が悪化することがある。
【0005】
また、炉内温度を熱電対で監視する場合、得られる温度は正確なガス温度ではなく、熱電対が炉内各所から受けた輻射熱を含む温度であるため、熱電対で検出した温度に基づいて燃料供給量の変動を知ることは困難である。
【0006】
本発明の課題は、廃棄物等を燃焼させる焼却炉において、廃棄物である燃料の供給量が一時的に変動しても、燃焼性を良好な状態に維持することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するには、燃料供給量の変動をできるだけ早く、かつ変動量をできるだけ正確に検出することが必要である。発明者等は、燃料供給量の変動にともなって変動する物理量(炉内状態量)につき、種々検討した結果、廃棄物の燃焼の前段階の乾燥過程で発生する水分量、具体的には炉内ガス中のH2O含有量が、燃料供給量の変動を検出するのに適切であることを見出した。
【0008】
ごみ供給量が変動すると、ごみと共に持ちこまれる焼却炉内の水分の絶対量も変化するため、炉内のH2Oの分圧が変化する。図4に示すように、H2Oの分圧に応じて、炉内のガスの吸収係数が変化するため、ガス吸収係数を測定することで炉内のガスの水分量を知ることができる。炉内のガスの水分量は、ごみ供給量の変動とともに変動するから、水分量の変動によりごみ供給量の変動を検知できる。
【0009】
通常、放射温度計は壁面温度の測定に使用され、壁面及びガス体からの放射熱線量をデイテクタで検知し、温度に換算するものである。壁面の温度を測定する場合、壁面からの輻射熱線を、該壁面と放射温度計の間にあるガス体が一部吸収、放射するため、その影響を避けるために、特定波長域の輻射熱線のみを検知している。これは、図5に示すように輻射熱線に対し不透明なガスであるH2O及びCO2は特定波長のみで熱線を吸収、放射するため、これらの波長域を避けるためである。逆に言えば、H2O及びCO2は特定波長域でのみ輻射熱線を吸収、放射するため、その波長域のみの熱線を検知することで、ガス体のガス吸収係数を測定できる。
【0010】
ごみ焼却炉では炉の寸法が大きいため、対向壁からの輻射熱線が放射温度計に到達せず、ガス体のみの輻射熱線量を検知できるため、精度良くガス体の吸収係数を測定することが可能となる。
【0011】
ここで、ガス吸収係数の算出方法について述べる。放射温度計ではデイテクタで熱流束の値、すなわち放射熱量q[W/m2]を測定し、その値から対象物の温度T[K]を算出する。この際、対象物の放射率εを仮定し、次式(1)が成立する。
【0012】
q=σε(T4−T0 4) (1)
ここで、σはステファン・ボルツマン定数と呼ばれる一定値であり、T0は検出器の温度である。また、ガス吸収係数αと放射率εには次式(2)の関係がある。
【0013】
α+ε=1 (2)
式(1)において、qは測定量であり、σ、T0は既知の値である。また、εを仮定すると、α及びTが算出できる。ここで、瞬間的なごみ供給量変動時にはガス体の温度がほぼ一定とみなせるので、初期条件として、ε及びTを求めておけば、ごみ供給量の変動に対し、ε及びαが変動することになり、ガス吸収係数の測定が可能となる。ガス吸収係数は前述のようにガス中の水分量により決まるから、予め、ガス吸収係数とガス中の水分量の関係をデータとして保有しておけば、測定したガス吸収係数に基づいてガス中の水分量を算定することができる。また、ガス中の水分量は、焼却炉に投入されるごみの種類、量(ごみ供給量)により変動するが、ごみの種類、内容に大きな変化がなければ、ガス中の水分量は、ごみ供給量で決まる。すなわち、ガス中の水分量が分かれば、焼却炉に供給されたごみの量が算定できる。
【0014】
一方、燃焼を安定化させるためには、ごみ供給量に応じた適切な量の空気を炉内に投入する必要がある。したがって、2次空気または3次空気投入位置よりも上流側のガス吸収係数を測定し、測定したガス吸収係数に基づいて算定したごみ供給量に応じて2次空気量または3次空気量、あるいはその双方を制御することで、ごみ供給量に応じた適切な量の空気を炉内に投入することができ、常に最適な燃焼状態を保つことができる。2次空気量または3次空気量、あるいはその双方を制御する際は、一次空気量を考慮に入れて制御を行う必要がある。
【0015】
なお、ガス吸収係数とガス放射率は一対一の関係があるため、ガス吸収係数の代わりにガス放射率を測定してもよい。
【0016】
すなわち、上記の課題は、以下の構成を用いることで解決できる.
焼却炉に供給された廃棄物の下方から該廃棄物を乾燥及び燃焼させるための1次空気を供給し、更に炉の上部から燃焼用の2次空気あるいは2次空気と3次空気を供給して廃棄物を焼却する焼却炉の運転方法において、廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスの特定波長域の輻射熱線のみを検知できる検知手段を用いて測定した熱流束の値からガス吸収係数を計算し、得られたガス吸収係数からガス中のH2O含有量を計算し、求められたH2O含有量に基づいて廃棄物の供給量を算定し、算定された廃棄物の供給量に見合った空気量になるように、2次空気量または3次空気量または2次空気量および3次空気量を制御する。
【0017】
前記検知手段によりガスの特定波長域の輻射熱線を検知する位置は、前記乾燥工程でガスが生成する位置の直後から2次空気又は3次空気を吹き込む位置との間とする。
【0018】
前記検知手段としては、廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスの特定波長域の輻射熱線のみを検知できる放射温度計、もしくは廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスの特定波長域の輻射熱線のみが通過することが可能な光学フィルタ及び熱流束測定装置を用いることができる。
【0019】
上記課題はまた、焼却炉に供給された廃棄物の下方から該廃棄物を乾燥及び燃焼させるための1次空気を供給し、更に炉の上部から燃焼用の2次空気あるいは2次空気と3次空気を供給して廃棄物を焼却する焼却炉において、廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスの特定波長域の輻射熱線のみを検知できる検知手段と、該検知手段から出力される熱流束の値からガス吸収係数を計算しガス吸収係数からガス中のH2O含有量を計算しガス中のH2O含有量から廃棄物の供給量を演算する演算手段と、この演算手段からの信号により廃彙物の供給量に見合った2次空気量または3次空気量または2次空気量及び3次空気量を制御する制御手段を設けることによって達成される。
【0020】
前記検知手段は、前記乾燥工程でガスが生成する位置の直後から2次空気または3次空気を吹き込む位置との間に設ける。
【0021】
廃棄物等には多量の水分(全質量の30%〜60%)が含まれるため、廃棄物等の供給量が変動すれば必然的に焼却炉内の水分量も変動する。したがって、焼却炉内の水分量を測定できれば、供給量を知ることができる。ごみ供給量が変動すれば、必然的に焼却炉内の水分の絶対量も変化するため、炉内のガスのH2Oの分圧が変化する。ガスの吸収係数はH2Oの分圧に依存して変化するため、ガス吸収係数を測定することでガスの水分量を知ることができる。ガスの水分量を知ることができれば、ごみ供給量の変動を検知できる。
【0022】
上記解決手段によれば、廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスの特定波長域の輻射熱線のみを検知して特定波長域のガス吸収係数を算出でき、特定波長域のガス吸収係数からガス中のH2O含有量を計算できる。ガス中のH2O含有量により、廃棄物の供給量が算出され、算出された廃棄物の供給量に見合った燃焼空気量になるように、2次空気量または3次空気量または2次空気量および3次空気量が制御されるから、廃棄物供給量が一時的に変動しても該廃棄物の燃焼時点で必要な燃焼空気が供給されるから、燃焼性を常に良好に保つことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態を図1を参照して説明する。図1は、本発明を流動床式ごみ焼却炉に適用した例を示す断面図である。図示の焼却装置は、焼却炉3と、焼却炉3の給じん口3aに下流端を接続して配置され搬送した燃料であるごみ(以下、燃料という)を前記給じん口3aに供給する供給装置2と、供給装置2の上流端の上方に配置され供給装置2に燃料を供給する供給ホッパ1と、を含んで構成されている。
【0024】
焼却炉3は、上下方向の中間部がくびれて上部と下部が膨らんだ形状に形成された炉体と、炉体下部に配置された流動床と、この流動床の下方から流動床にダンパ制御装置6aで制御された1次空気を供給する1次空気供給手段である1次空気ノズルと、前記流動床の上方のくびれた部分にダンパ制御装置6bで制御された2次空気を供給する2次空気供給手段である2次空気ノズルと、その上方にダンパ制御装置6cで制御された3次空気を供給する3次空気供給手段である3次空気ノズルと、前記流動床と2次空気ノズルの間の部分燃焼領域に配置されて特定波長域の輻射熱線のみを検知する検知手段をなすガス吸収係数測定装置である放射温度計7と、放射温度計7の出力を入力として制御手段である前記ダンパ制御装置6b、6cを制御する演算手段である演算装置5と、を含んで構成されている。前記給じん口3aは、流動床の上方の炉壁に取付けられ、放射温度計7は、前記給じん口3aに対向する炉壁に取り付けられている。
【0025】
上記装置において、ごみは供給ホッパ1から供給装置2に供給され、供給装置2は供給されたごみを搬送して給じん口3aから炉内に投入する。投入されたごみは流動床(流動媒体)の上に落下し、流動床の下方から上方に向かって吹出される1次空気により、流動媒体とともに流動化される。ごみは燃焼に先だって流動層内で乾燥され、水分が蒸発する。その後、ごみ中の可燃物である揮発分及び固定炭素の燃焼が始まる。ただし、流動層内では空気不足の状態で燃焼するため、未燃のガスは上部に設置された2次空気ノズル及び3次空気ノズルから吹き込まれる燃焼用空気により、完全燃焼する。
【0026】
部分燃焼領域(2次空気ノズル設置位置と流動床の間の領域)に設置された放射温度計7は、部分燃焼したガス体からの熱流束を測定している。ごみの供給量が定常供給量(定量)より増加した場合、ごみ中に含まれて炉内に入ってくる水分量も増加する。したがって、部分燃焼したガス体、云いかえると部分燃焼領域の雰囲気には、ごみが定量供給されている状態のときよりも多くの水蒸気が含まれている。このため、ガス体に吸収される輻射熱線が増加し、放射温度計7で検知される熱流束は小さくなる。
【0027】
演算装置5は、放射温度計7から入力される熱流束の値からガス吸収係数を算出し、さらに、ガス吸収係数とH2Oの分圧の関係から、ガス体中のH2Oの割合を算出する。演算装置5は次いで、あらかじめ測定したごみ定量供給時のガス体中のH2Oの割合と、算出されたガス体中のH2Oの割合に基づいてその時点(正確にはやや前の時点)でのごみ供給量を算出し、算出したごみ供給量に基づいて前記ダンパ制御装置6b、6cを制御して、2次空気ノズルおよび3次空気ノズルから算出したごみ供給量に見合う量の燃焼用空気を、炉内に供給する。このとき、一次空気ノズルから供給された空気も燃焼に寄与するから、1次空気量も考慮に入れてダンパ制御装置6b、6cを制御する。
【0028】
図2に、本実施の形態において測定した部分燃焼領域の水分量の時間変化のデータを、縦軸に水分量と酸素濃度(%)、横軸に経過時間をとって示す。酸素濃度は炉出口で測定した値である。図示のように、水分量は通常ほぼ一定となっているが、途中で急激に増加して再び減少している。これに対して酸素濃度はほぼ一定に推移しており、燃焼用空気の供給量がごみ供給量の一時的な増加に応じて増加あるいは減少されていることが確認できる。
【0029】
本実施の形態によれば、廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスのガス吸収係数を測定し、測定したガス吸収係数に基づいて乾燥工程で生成した水分量を算出して焼却炉に投入されたごみ供給量を把握し、その供給量にみあった2次空気量または3次空気量、あるいはその双方を応答遅れのないように制御して燃焼を行わせることができる。従って、ごみ供給量が一時的に変動しても常に最適な燃焼状態を保つことができる
また、本発明を適用したことにより、炉出口のダイオキシン濃度を約1/10に低減できた。また、ごみ供給量の変動に備えて常時過剰な空気量を炉に供給しておく必要がないため、排ガス量が低減でき、排ガス処理設備等の小型化が可能になった。
【0030】
本発明の第2の実施の形態を、図3を参照して説明する。本実施の形態は、ストーカ式ごみ焼却炉に本発明を適用した例である。図示のストーカ式ごみ焼却炉は、炉の下部に下流側が低くなるように傾斜して配置されごみの水分を蒸発させて乾燥させる乾燥段8と、この乾燥段8の下流端に接続して同じく下流側が低くなるように傾斜して配置され乾燥したごみを部分燃焼させる燃焼段9と、この燃焼段9の下流端に接続して同じく下流側が低くなるように傾斜して配置され燃え残りのごみを燃焼させる後燃焼段10と、乾燥段8、燃焼段9および後燃焼段10にそれぞれ独立に、ダンパ制御装置6aにより制御された一次空気を下方から供給する一次空気ノズルと、前記乾燥段8の上流端にごみを供給する給じん口3aと、前記乾燥段8の上方に塔状に形成された完全燃焼領域と、この完全燃焼領域にダンパ制御装置6bにより制御された2次空気を供給する2次空気ノズルと、完全燃焼領域の前記2次空気ノズルの上方に配置されダンパ制御装置6cにより制御された3次空気を供給する3次空気ノズルと、前記乾燥段8の上流端上部の空間に対向する前記給じん口3a下方壁面に装着されたガス吸収係数測定装置である放射温度計7と、この放射温度計7の出力に基づいてダンパ制御装置6bおよびダンパ制御装置6cを制御する演算装置5と、を含んで構成されている。
【0031】
本実施の形態においては、給じん口3aから投入されたごみは、乾燥段8を下流側に向かって移送されつつ下方から吹き上げる1次空気により乾燥され、水分を蒸発させる。乾燥段8で乾燥されたごみは燃焼段9を下流側に向かって移送されつつ燃焼され、さらに後燃焼段10で完全に燃焼される。燃焼段9および後燃焼段10で発生した未燃ガスは完全燃焼領域に上昇し、供給される2次空気および3次空気で燃焼される。演算装置5は放射温度計7の出力に基づいてごみの供給量を算出し、算出されたごみ量に対応した空気量を供給するよう、ダンパ制御装置6b、6cを制御する。このとき、一次空気ノズルから供給された空気も燃焼に寄与するから、1次空気量も考慮に入れてダンパ制御装置6b、6cを制御する。
【0032】
本実施の形態によっても、廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスのガス吸収係数を測定し、測定したガス吸収係数に基づいて乾燥工程で生成した水分量を算出して焼却炉に投入されたごみ供給量を把握し、その供給量にみあった2次空気量または3次空気量、あるいはその双方を応答遅れのないように制御して燃焼を行わせることができる。従って、常に最適な燃焼状態を保つことができるとともに未燃分の発生やダイオキシンの発生を抑制できる。
【0033】
なお、乾燥工程で生成したガスのガス吸収係数を測定し、乾燥工程で生成した水分量を素早く検知して応答遅れがない最適な制御を行うには、ガス吸収係数を測定する装置は、水分が発生した直後すなわち流動層炉の場合は層上の近傍に、ストーカ炉の場合は乾燥段に設けることが必要である。
【0034】
熱流束の測定装置としては、前記放射温度計のほかに、特定波長域の輻射熱線のみが通過することが可能な光学フィルタ及び熱流束測定装置を用いることもできる。この方法によっても、本発明と同等の効果が得られる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、供給されるごみの量が一時的に変動しても、焼却炉内の燃焼を常に安定した良好な状態に保てる効果がある。このため、ダイオキシン等の有害物質の発生量を大幅に低減できる。また、常時過剰な空気量を炉に供給しておく必要がないため、排ガス量が低減でき、排ガス処理設備等の小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における残存酸素濃度と焼却炉ないの水分量の関係を示す概念図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図4】炉内のH2Oの分圧と炉内のガスのガス吸収係数の関係を示す概念図である。
【図5】H2O及びCO2は特定波長のみで輻射熱線を吸収、放射することを示す概念図である。
【図6】廃棄物焼却炉の概略構成を示す断面図である。
【図7】従来技術の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 供給ホッパ
2 供給装置
3 焼却炉
3a 給じん口
4 酸素濃度計
5 演算装置
6、6a〜6c ダンパ制御装置
7 ガス吸収係数測定装置
8 乾燥段
9 燃焼段
10 後燃焼段
Claims (5)
- 焼却炉に供給された廃棄物の下方から該廃棄物を乾燥及び燃焼させるための1次空気を供給し、更に炉の上部から燃焼用の2次空気あるいは2次空気と3次空気を供給して廃棄物を焼却する焼却炉の運転方法において、廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスの特定波長域の輻射熱線のみを検知できる検知手段を用いて測定した熱流束の値から前記ガスのガス吸収係数を計算し、得られたガス吸収係数からガス中のH2O含有量を計算し、求められたH2O含有量に基づいて廃棄物の供給量を算定し、算定された廃棄物の供給量に見合った空気量になるように、2次空気量または3次空気量または2次空気量および3次空気量を制御することを特徴とする焼却炉の運転方法。
- 請求項1記載の焼却炉の運転方法において、前記検知手段によりガスの特定波長域の輻射熱線を検知する位置は、前記乾燥工程でガスが生成する位置の直後から2次空気又は3次空気を吹き込む位置との間とすることを特徴とする焼却炉の運転方法。
- 請求項1または2記載の焼却炉の運転方法において、前記検知手段は、廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスの特定波長域の輻射熱線のみを検知できる放射温度計、もしくは廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスの特定波長域の輻射熱線のみが通過することが可能な光学フィルタ及び熱流束測定装置であることを特徴とする焼却炉の運転方法。
- 焼却炉に供給された廃棄物の下方から該廃棄物を乾燥及び燃焼させるための1次空気を供給し、更に炉の上部から燃焼用の2次空気あるいは2次空気と3次空気を供給して廃棄物を焼却する焼却炉において、廃棄物の燃焼過程における乾燥工程で生成したガスの特定波長域の輻射熱線のみを検知できる検知手段と、該検知手段から出力される熱流束の値から前記ガスのガス吸収係数を計算しガス吸収係数からガス中のH2O含有量を計算しガス中のH2O含有量から廃棄物の供給量を演算する演算手段と、この演算手段からの信号により廃彙物の供給量に見合った2次空気量または3次空気量または2次空気量及び3次空気量を制御する制御手段を設けたことを特徴とする焼却炉。
- 請求項4記載の焼却炉において、前記検知手段は、前記乾燥工程でガスが生成する位置の直後から2次空気または3次空気を吹き込む位置との間に設けられていることを特徴とする焼却炉。
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JP2002294993A JP2004132563A (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | 焼却炉及び焼却炉の運転方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100997250B1 (ko) | 2010-07-13 | 2010-11-29 | (주) 태종 엔이씨 | 소각로용 2차 연소공기 유량유속조절 댐퍼와 소각로내 온도측정값 및 열정산 프로그램을 이용한 소각로 자동 운전 제어시스템 |
CN110631026A (zh) * | 2019-10-17 | 2019-12-31 | 航天凯天环保科技股份有限公司 | 一种植物专用焚烧炉 |
-
2002
- 2002-10-08 JP JP2002294993A patent/JP2004132563A/ja active Pending
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