JP2004130204A - ハロゲン化合物の脱ハロゲン化処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上記目的を実現するための処理装置は、冷却加熱制御装置13,温度計12,圧力計56及び圧力調節弁20を設置した難分解性ハロゲン化合物の貯蔵容器
11とフィルタ14及び定流量ポンプ15からなるハロゲン化合物供給系,冷却加熱制御装置23,温度計a22,圧力計57,圧力調節弁30及びマグネットスターラ31を設置したアルカリ金属分散体の貯蔵容器21とフィルタ24及び定流量ポンプ25からなるアルカリ金属分散体供給系,冷却加熱制御装置41,温度計42と2種類の流体の供給流路2A,交差連通部9及び前記流体を混合及び反応させることが出来る混合反応流路2Bを有するリアクタ1からなる処理系で構成される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化合物を脱ハロゲン化処理する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
難分解性ハロゲン化合物は化学的に安定な物質であり、絶縁性,耐熱性に優れた物質として工業的に広く使用されてきた。現在では、環境及び人体への影響等の理由から使用が禁止されている。しかし、それらを脱ハロゲン化処理する場合、化学的に安定な物質ゆえに脱ハロゲン化処理が困難であり、近年処理方法が多く検討されている。一般に処理方法として、焼却による手段が多く使用されている。大量に処理できるとされているが、1400℃程度の高温で処理が必要なため、特殊な焼却炉が必要で、焼却の際、ダイオキシン等の別の有害物質が発生し環境破壊につながる可能性がある。
【0003】
そこで、難分解性ハロゲン化合物を脱ハロゲン化処理する代表的な方法として、ハロゲン化合物と分散状態にあるアルカリ金属を攪拌器内で混合し、120℃程度に加熱することで脱ハロゲン化処理する方法が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭49−82570号公報(第3−4頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公知技術には以下の課題が存在する。
【0006】
公知技術においては、大量に難分解性ハロゲン化合物を脱ハロゲン化処理する場合、難分解性ハロゲン化合物と前記ハロゲン化合物を処理することが出来るアルカリ金属分散体を攪拌するための大型の攪拌羽根とそれを駆動させるための電動機を備えた大型の攪拌器が必要になる。また、前記2種類の流体の反応は、分散状態にあるアルカリ金属の粒子とハロゲン化合物のハロゲン元素が接触することで引き起こされる。
【0007】
公知技術では攪拌器内の流体を攪拌羽根で混合することや前記容器内の流体温度を高めることで、2種類の流体を接触しやすくし反応を活性化させている。したがって、2種類の流体を確実に反応処理させるには、攪拌器内の流体を十分混合させることや前記流体の温度を高めることが必要である。しかし、攪拌羽根を備えた攪拌器による混合手段では、均一混合に長時間費やしてしまうことが考えられる。さらに、短時間で大量に2種類の流体を反応させようとすると、反応時に発生する熱により流体温度が急激に上昇し、反応を制御できない可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、ハロゲン化合物とアルカリ金属分散体とを短時間に混合し効率良くハロゲン化合物を脱ハロゲン化処理することができる装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題を解決するための手段の特徴点は、アルカリ金属分散体を通す第1流路と、ハロゲン化合物を通す第2流路と、前記第1と第2の各流路を通ってきた前記アルカリ金属分散体とハロゲン化合物とを合流させる合流部と、前記合流部から下流側に設けられて前記合流後の混合反応流体、即ち前記アルカリ金属分散体と前記ハロゲン化合物が合流することにより生成された反応生成物を含む流体、を通す混合反応流路とを備えた点に有り、前述の各流路を用いてハロゲン化合物とアルカリ金属分散体とを流しながら連続して両者を混合及び反応を起こさせることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施例を図1〜図3より説明する。本発明の第1の実施例に適用するハロゲン化物の脱ハロゲン化処理する処理装置は、難分解性ハロゲン化合物供給系,アルカリ金属分散体供給系,難分解性ハロゲン化合物処理系、前記の各供給系及び処理系に付属する温度制御系等で構成されている。
【0011】
難分解性ハロゲン化合物供給系は、密閉型の貯蔵容器11と、その貯蔵容器
11に弁を介して接続された配管16と、貯蔵容器の上部に弁を介して接続されたガス導入配管18と、同じく弁を介して接続されたガス排出配管19と、貯蔵容器の下部に弁を介して配管17で直列に順次接続されたフィルタ14及び定流量ポンプ15と、リアクタ1への配管17の接続側において配管17に設けた弁と、貯蔵容器11に装備した圧力計56とから構成されている。
【0012】
アルカリ金属分散体供給系は、密閉型の貯蔵容器21と、その貯蔵容器21に弁を介して接続された配管26と、貯蔵容器21の上部に弁を介して接続されたガス導入配管28と、同じく弁を介して接続されたガス排出配管29と、貯蔵容器21の下部に弁を介して配管27で直列に順次接続されたフィルタ24及び定流量ポンプ25と、リアクタ1への配管27の接続側において配管27に設けた各弁と、貯蔵容器21に装備した圧力計57と、貯蔵容器21内低部に設けたマグネットバー32と、貯蔵容器21外にマグネットバー32と対向して設けたマグネットスターラ31とから構成されている。
【0013】
難分解性ハロゲン化合物処理系は、配管17が入口7に配管27が入口8に接続されたリアクタ1と、リアクタ1の混合液出口10に弁を介して並列に接続されたサンプリング配管43及び配管44とから構成されている。配管17を入口7に接続するには、入口7を液密に塞ぐ蓋をリアクタ1に設け、その蓋に配管の継手を設け、その継手と入口7を連通する流路を蓋に設け、その継手に配管17を接続する。入口8と配管27との接続や混合液出口10とサンプリング配管
43及び配管44との接続に関しても同様である。
【0014】
難分解性ハロゲン化合物供給系に付属する温度制御系は、貯蔵容器11に装備された温度計12と、その温度計12に接続されて温度計12の計測結果に基づいて制御される冷却加熱制御装置13とから構成される。
【0015】
アルカリ金属分散体供給系に付属する温度制御系は、貯蔵容器21に装備された温度計22と、その温度計22に接続されて温度計22の計測結果に基づいて制御される冷却加熱制御装置23とから構成される。
【0016】
難分解性ハロゲン化合物処理系に付属する温度制御系は、リアクタ1に装備されてリアクタ1内部の温度を計測する温度計42と、その温度計42に接続されて温度計42の計測結果に基づいて制御される冷却加熱制御装置41とから構成される。
【0017】
本実施例のリアクタ1は、難分解性ハロゲン化合物処理系に用いられ、難分解性ハロゲン化合物とアルカリ金属分散体とを供給する供給流路,難分解性ハロゲン化合物とアルカリ金属分散体との合流部である交差連通部と前記2種類の流体を混合及び反応できる混合反応流路を各々1つ以上有する構造である。
【0018】
難分解性ハロゲン化合物は、配管16より導入し貯蔵容器11に保管する。貯蔵容器11には、温度計12により貯蔵容器11内の温度を制御することが出来る冷却加熱制御装置13が設置されている。ハロゲン化合物を冷却加熱制御装置13によりアルカリ金属分散体として使用するアルカリ金属(本実施例ではナトリウムを使用)の融点(98℃)以上の温度110℃に制御後、フィルタ14,定流量ポンプ15及び配管17を介して難分解性ハロゲン化合物の処理系であるリアクタ1の入口7に供給する。
【0019】
冷却加熱制御装置13による温度制御により、難分解性ハロゲン化合物の流体の粘性を小さくでき、配管やリアクタ1内の流路内で流体が流れやすくなる。難分解性ハロゲン化合物とアルカリ金属分散体との反応を活性化する観点から制御する温度は高い方が良いが、コスト低減の観点から、装置の設置及び運用にかかる費用や保守費等はできるだけ少ない方が良い。(制御する温度が低いほど設備にかかる費用も少なく出来る。)
【0020】
また、一定の温度を維持することで安定した流れで難分解性ハロゲン化合物処理系に流体を供給することが出来る。なお、貯蔵容器11内で難分解性ハロゲン化合物を保管する場合、貯蔵容器11の気相空間は不活性ガスが望ましく、貯蔵容器11に設けたガス導入配管18により不活性ガスを貯蔵容器11内に導入し、貯蔵容器11内の既存のガスをガス外出配管19を通じて排気して貯蔵容器11内の気相空間を不活性ガスに置換することが出来る。なお、難分解性ハロゲン化合物には、ポリ塩化ビフェニルやポリ塩化ビフェニル混合油に代表される液体状のものや、ポリ臭化ビフェニルに代表される固体状のものがある。本実施例では難分解性ハロゲン化合物としてポリ塩化ビフェニルを用いている。
【0021】
一方、アルカリ金属分散体は、配管26より導入し貯蔵容器21に保管する。貯蔵容器21には、温度計22により貯蔵容器21内の温度を制御することが出来る冷却加熱制御装置23が設置されている。アルカリ金属分散体を冷却加熱制御装置23によりアルカリ金属分散体として使用するアルカリ金属(本実施例ではナトリウムを使用)の融点(98℃)以上の温度110℃に制御後、フィルタ24,定流量ポンプ25及び配管27を介して難分解性ハロゲン化合物の処理系であるリアクタ1に供給する。
【0022】
難分解性ハロゲン化合物供給系と同様に冷却加熱制御装置23による温度制御により、アルカリ金属分散体の流体の粘性を小さくでき、配管27やリアクタ1内の流路内で流体が流れやすくなる。なお、アルカリ金属分散体を製造するためのアルカリ金属には、ナトリウム,カリウム,リチウム,ルビジウム,セシウム等がある。アルカリ金属分散体として本実施例ではナトリウムを鉱油に分散させたナトリウム分散体、平均粒子径0.01mm(最大粒子径0.05mm未満)を用いている。また、貯蔵容器21には、アルカリ金属と鉱油の密度差によるアルカリ金属粒子の沈降を防止するためのマグネットスターラ31を設置している。マグネットスターラ31により貯蔵容器21内のマグネットバー32を回転させ、流体を攪拌することで、アルカリ金属粒子の沈降を防止し、アルカリ金属粒子を均一に分散させることが出来る。すなわち、アルカリ金属粒子が均一に分散したアルカリ金属分散体をハロゲン化合物処理系に供給出来るため、効率の良い反応処理が可能となる。
【0023】
このように本実施例では攪拌・混合手段として、マグネットスターラ31を使用しているが、超音波発生装置あるいは攪拌羽根などを用いても同様の効果が得られる。また、難分解性ハロゲン化合物を希釈(例えば、鉱油などでハロゲン化合物を希釈)してハロゲン化合物処理系に供給する場合には、本実施例と同様にマグネットスターラ31等を設置することで、鉱油などで難分解性ハロゲン化合物の密度差による前記ハロゲン化合物の沈降を防止することが出来る。なお、貯蔵容器21内でアルカリ金属分散体を保管する場合、貯蔵容器21の気相空間は不活性ガスが望ましく、貯蔵容器21に設けたガス導入配管28により不活性ガスを貯蔵容器21に導入し、貯蔵容器21内の既存のガスをガス外出配管29を通じて排気して貯蔵容器21内の気相空間を不活性ガスに置換することが出来る。
【0024】
ハロゲン化合物処理系では、難分解性ハロゲン化合物の流体を入口7からリアクタ1に供給し、アルカリ金属分散体の流体を入口8からリアクタ1に供給している。リアクタ1に供給された2種類の流体は供給流路2Aを介し交差連通部9で混合及び反応し、混合液が形成され、混合反応流路2Bを通って混合液出口10から排出される。2種類の流体の反応時には、有害なポリ塩化ビフェニルの塩素原子がナトリウム金属原子と反応し塩化ナトリウムとなり、脱塩処理されたポリ塩化ビフェニルは無害なビフェニルとなる。
【0025】
リアクタ1の流路は角型形状で流路幅及び流路深さが0.5mm の供給流路2A及び混合反応流路2Bで構成されているので、速やかに化学反応を行うことができる。また、2種類の流体の交差連通部9以降の混合反応流路2B内で2種類の流体が混合している滞在時間を確保することで難分解性ハロゲン化合物を効率良く反応処理できるとともに、リアクタ1は1本以上の供給流路2A及び混合反応流路2Bで構成されているため大量に処理することもできる。
【0026】
さらに、2種類の流体の混合液を温度計42を備えた冷却加熱制御装置41によりアルカリ金属分散体として使用するアルカリ金属(本実施例ではナトリウムを使用)の融点(98℃)以上の温度110℃に制御でき、反応を促進させることも可能である。流体の温度が高いほど、2種類の流体が接触しやすくなり反応が活性化するが、流体の温度を上昇させるものとして冷却加熱制御装置41が必要になる。また、コスト低減の観点から、装置の設置及び運用にかかる費用や保守費等はできるだけ少ない方が良い。(制御する温度が低いほど設備にかかる費用も少なく出来る。)また、2種類の流体が反応する時の熱の発生により流体の温度が上昇するが、反応量によっては温度が急激に上昇する可能性がある。そのため、急激な流体の温度上昇抑制と一定温度維持のために冷却加熱制御装置41が必要になる。
【0027】
また、2種類の流体の混合比を調整することは、定流量ポンプ15,定流量ポンプ25の流量調整により容易に実現できる。
【0028】
最後に、リアクタ1で脱ハロゲン化処理できた混合液を配管44より排出する。混合液としては、アルカリ金属により難分解性ハロゲン化合物からハロゲン元素が分離して生成されたアルカリ金属ハロゲン化合物とハロゲン元素が分離した炭化水素化合物等の反応生成物があり、それぞれ貯蔵容器(図示せず)に保管され、必要な後処理を行う。
【0029】
図2,図3に本発明の第1の実施例に用いるリアクタ1の構造図について説明する。図2(a)(b)に示すように、供給流路2A及び混合反応流路2Bとなる角型形状で0.5mm の流路幅及び流路深さの溝3,溝4を平板5,平板6に加工する。
【0030】
なお、本実施例では溝3,4を角型で加工しているが、半丸型や逆三角型でも問題ない。また、流路幅とは流路断面における開口部長さとし、流路深さとは流路断面における開口部面から底面まであるいは流路断面の開口部面から頂点までの長さとする。さらに、単一の流路での処理量を多くするために流路幅及び流路深さを大きくすることが考えられる。そこで、流路幅及び流路深さが本実施例で説明した0.5mm より大きな場合(例えば、流路幅及び流路深さが1mm)であっても、2種類の流体が混合した後の混合反応流路2Bの長さを長くする、すなわち、混合反応流路2B内での混合液の滞在する時間を長くすれば、上記同様に問題なく反応処理できる。
【0031】
次に、図2の(c)に示すように、前記溝3,4を加工した面が重なり合うように平板5と平板6を組み合わせる。このように組み合せた平板5と平板6はボルト・ナットによる機械的結合又は接着剤又は拡散接合等の冶金的接合方法によってずれないように固定される。このように平板5と平板6を組み合わせることで、前記溝3,4が立体交差する交差連通部9に難分解性ハロゲン化合物とアルカリ金属分散体との合流部が生じ、その合流部で難分解性ハロゲン化合物とアルカリ金属分散体との混合がなされる。平板5と平板6に溝3,4を作って溝3,4が立体交差となるように平板5と平板6を組み合わせたが、溝3,4を一方の平板に集中して作って平板5と平板6を組み合せて溝3,4を平面交差するようにしても同様に交差部に合流部が出現する。
【0032】
このように平板5と平板6を組み合わせることで、難分解性ハロゲン化合物(図2中で流体Aと表示)の入口7及びアルカリ金属分散体(図2中で流体Bと表示)の入口8から、複数の交差連通部9を介して、流体Aと流体Bの混合液出口10まで連通した混合反応流路2Bを実現できる。また、異なる平面の流路を組み合わせることにより、複数の混合反応流路2Bで同時に反応処理ができるため、大量処理に適する。
【0033】
また、流体A(流体B)が入口7(入口8)から交差連通部9を介して入口8(入口7)に流れないようにする(逆流防止の)ための方法として以下の好ましい構造がある。交差連通部9A(9B)から流体Aの入口7までの供給流路2A長さと入口7から交差連通部9B(9A)までを加えた長さを交差連通部9Aから交差連通部9Bまでの直線長さより長くしていることで、交差連通部9A(9B)から流体Aの入口7までの長さと入口7から交差連通部9B(9A)までを加えた長さの方が流路長による圧力損失が大きくなり、入口8から交差連通部9A(9B)を介して入口7へ流体Bが流れること(逆流)を防止できる。
【0034】
また、交差連通部9B(9C)から流体Bの入口8までの供給流路2A長さと入口8から交差連通部9C(9B)までを加えた長さを交差連通部9Bから交差連通部9Cまでの直線長さより長くしていることで、前記と同様に、交差連通部9B(9C)から流体Bの入口8までの長さと入口8から交差連通部9C(9B)までを加えた長さの方が流路長による圧力損失が大きくなり、入口7から交差連通部9B(9A)を介して入口8へ流体Aが流れることを防止できる。なお、流体Aを供給する5本の供給流路2Aの入口7から流体Aの入口側の交差連通部9までの長さは全て同じ長さである。
【0035】
また、流体Bを供給する5本の供給流路2Aの入口8から流体Bの入口側の交差連通部9までの長さは全て同じ長さである。また、交差連通部9A(9B)から流体Aの入口7までの供給流路2A長さと入口7から交差連通部9B(9A)までを加えた長さと交差連通部9Aから交差連通部9Bまでの直線長さが同じ長さの場合でも、流体Aの流路入口に一番近い交差連通部9から混合液出口10までの流路幅及び流路深さより、流体Aの入口7から流体Aの入口側の交差連通部9までの流路幅及び流路深さと流体Bの入口8から流体Bの入口側の交差連通部9までの流路幅及び流路深さを狭くすることで、交差連通部9A(9B)から流体Aの入口7までの流路幅及び流路深さと入口7から交差連通部9B(9A)までの流路幅及び流路深さによる圧力損失が大きくなり、入口8から交差連通部9A(9B)を介して入口7へ流体Bが流れることを防止できる。なお、流体Aの入口7から交差連通部9B(9A)を介して入口8へ流体Aが流れることも同様に防止できる。
【0036】
さらに、流体Aと流体Bの混合液が交差連通部9Cで流体Bの入口8に流れないようにする(逆流防止の)ための方法として好ましい構造がある。交差連通部9Cから入口8までの距離より交差連通部9Cから混合液出口10までの距離を長くすることや、交差連通部9Cから混合液出口10までの流路幅や流路深さより、交差連通部9Cから入口8までの流路幅や流路深さを狭くすることで、逆流は防止できる。但し、交差連通部9Cから混合液出口までの長さを決める場合、難分解性ハロゲン化合物の脱ハロゲン化処理が可能な長さにすることも必要である。
【0037】
また、リアクタの材質を鋼製,ガラス製またはセラミック製にすることで高温高圧条件に使用できるとともに、耐腐食性が向上するため、長期的な使用に適する。
【0038】
また、図3(a)に示すように、図2で説明した2枚の平板5,6の溝3,4の加工面を重ね合わせたリアクタを積層し、その積層群の上下に長方形の平板を当てて各入口7,8や混合液出口10の上下端を閉鎖できる状態とする。積層したリアクタ間やリアクタと長方形の平板との間はボルト・ナットや接着剤や拡散接合などで互いに固定される。各入口7,8や混合液出口10には液漏れのないように蓋50がかぶせられて密閉される。その全ての蓋50には、図3の(b)で例示するように配管の継手52,53が装備される。その継手52,53は蓋50に加工した流路を通じて入口7や入口8や混合液出口10に通じている。継手52には配管27が接続され、流体A(難分解性ハロゲン化物)が供給される。継手53には配管27が接続され、流体B(アルカリ金属分散体)が供給される。混合液出口10を塞ぐ蓋に設けた継手には、サンプリング配管43や配管44が接続されている。このようにして積層型リアクタ51を構成する。その他の構成は図1と同じである。
【0039】
さらに、図3(b)に示すように積層型リアクタ51の複数個を各配管17,27,43,44に並列接続して、複数組み合わせることで、難分解性ハロゲン化合物を大量に反応処理できる処理装置を実現できる。また、積層型リアクタ51により装置形状がコンパクトになり、リアクタの設置時または移動時、さらには交換時には、容易に取り扱うことが出来る。また、流体供給用の継手52,53及び混合液出口の継手(図示せず)の配置に制限はないが、1面方向に2種類の流体入口及び混合液出口を配置すれば、よりコンパクトになり、設置スペースの有効利用もできる。
【0040】
図4を用いて本発明の第2の実施例を説明する。
【0041】
本実施例を適用する難分解性ハロゲン化物の脱ハロゲン化処理装置は、図1を用いて説明した実施例と同様の構成で、図1の実施例と変わったてんは、定流量ポンプの代わりに流量計54,流量計55を配管17,配管27に設け、難分解性ハロゲン化合物及びアルカリ金属分散体の流量を貯蔵容器11,21とリアクタ1の混合液出口10との圧力差で制御するものである。なお、貯蔵容器11,21及びリアクタ1の混合液出口10には圧力制御及び監視用として圧力計56,57,58がそれぞれ設置してある。
【0042】
図4の実施例では定流量ポンプの代わりに流量計54,55を用いることで、動的機器を削除できるため、信頼性及び経済性が向上する。なお、貯蔵容器11,21内の圧力制御は貯蔵容器11,21に設けた不活性ガスを導入するためのガス導入配管18,28と、貯蔵容器11,21に設けたガス排出配管19,29,圧力計56,57,58及び圧力調節弁20,30により実現できる。
【0043】
図5を用いて本発明の第1の実施例に用いたリアクタ1の第1変形例の構造を説明する。
【0044】
本実施例のリアクタ1の特徴は、難分解性ハロゲン化合物(流体A)及びアルカリ金属分散体(流体B)の2種類の流体のリアクタ1内への供給流路2Aが同一であって、その2種類の流体のリアクタ1内への入口7,8が供給流路2Aの両端に振り分けられているということである。これに伴って、混合反応流路2Bの左端は閉鎖されている形状となる。その他の構成は図1,図2と同様である。
【0045】
図5の実施例では、流体Aと流体Bの供給入口が各々1箇所であるとともに、流体Aと流体Bを供給するための供給流路2Aが共通である。そのため、リアクタ1を積層して用いた場合を想定した場合に図3の例に対してリアクタ1外部からの流体供給口の継手53が少なくなるため、継手53の製作に対する加工作業の削除と物量低減による経済性を向上できる。また、2種類の流体の衝突作用を利用することで、均一混合を促進でき短時間に大量に処理できる。
【0046】
図6を用いて本発明の第1の実施例に用いたリアクタ1の第2変形例の構造を説明する。本実施例のリアクタ1の特徴は、難分解性ハロゲン化合物(流体A)及びアルカリ金属分散体(流体B)の2種類の流体のリアクタ1内への供給流路2A及び混合反応流路2Bを縦横に配した複数本の中空管59で構成していることである。そして、各中空管59が立体交差する部位は、各中空管59同士が連通接続されており、この部分が難分解性ハロゲン化合物(流体A)及びアルカリ金属分散体(流体B)の2種類の流体の合流部とされる。中空管59の各端部は中空管60に連通接続され、その中空管60が第1実施例の入口7,8や混合液出口10に利用される。その他の構成は、図1,図2と同様である。
【0047】
図2,図3及び図5に記載の実施例では、2枚の平板の各々に供給流路2A及び混合反応流路2Bとなる溝を5本加工し、加工した面を重ね合わせることで、2種類の流体入口から2種類の流体の混合液出口までを連通させた流路を構成している。本実施例では、内径において等価直径が0.5mm 以上かつ1mm以下の中空管59を使用して、前記平板の溝流路と同様の流路を構成し、リアクタ1外部との流体供給口の接続部には中空管60を用いる。したがって、平板に溝を加工するための加工作業が削除できる。また、平板では流路として使用する溝以外は余分な物量であり、供給流路2A及び混合反応流路2Bを中空管にすることで余分な物量を低減でき経済性が向上する。また、図6で供給流路2Aの左端を閉鎖して、図5のように、共通の供給流路2Aの両端にそれぞれ異なる流体A,Bを振り分けて流入させる構成を用いても問題はないし、上下に積層して用いても良い。
【0048】
このように、2枚の平板の各々に1本以上の直線状の溝を加工し、加工した2枚の平板の溝が互いに交差し連通するように重ね合わせて、難分解性ハロゲン化合物とアルカリ金属分散体とを供給する供給流路、交差連通部と前記2種類の流体を混合及び反応できる混合反応流路を各々1つ以上有する構造のリアクタを用いる例では、難分解性ハロゲン化合物とアルカリ金属分散体を混合反応流路内で短時間かつ均一に混合及び反応させることができる。さらに難分解性ハロゲン化合物とアルカリ金属分散体の供給流体の温度,リアクタの温度あるいは混合反応流路を通る混合反応流体、即ちアルカリ金属分散体と前記ハロゲン化合物が合流することにより生成された反応生成物を含む流体、の温度を前記アルカリ金属分散体のアルカリ金属の融点以上かつ処理装置耐熱温度未満で制御する冷却加熱制御装置を備えたことで、流体の粘性が小さくなるため流路内を流れやくすなり、2種類の流体が接触が多くなり反応が活性化し短時間で処理が可能となる。
【0049】
また、難分解性ハロゲン化合物とアルカリ金属分散体とを供給する供給流路及び混合反応流路の流路幅及び流路深さを0.5mm 以上かつ1mm以下にすることで、2種類の流体が接触しやすくなり、短時間で反応処理が可能となる。また、流路幅及び流路深さが狭い単一流路の単位時間当たりに反応させる処理量は微量であり、2種類の流体の混合時に発生する反応熱による急激な温度上昇は防止できる。
【0050】
また、リアクタを積層して積層型リアクタとし、前記積層型リアクタを並列に接続し、複数組み合わせた例では、難分解性ハロゲン化合物を大量に処理することができる。また、リアクタ設置時や移動時、さらにリアクタ交換時には容易に取り扱うことができ、コンパクトなリアクタが実現できる。また、コンパクトな構造であるため設置スペースも有効に利用できる。
【0051】
また、リアクタの材質を鋼製,ガラス製またはセラミック製にすることで、高温高圧条件で使用できるとともに、リアクタを長期的に使用する場合には耐腐食性も向上する。
【0052】
また、難分解性ハロゲン化合物にポリ塩化ビフェニルを用いても効率良く脱ハロゲン化処理することができる。
【0053】
また、等価直径が0.5mm 以上かつ1mm以下の中空管を用いた例では、平板に溝を加工して製作した流路に対して、溝の加工作業を削減できるとともに物量を低減でき、経済性が向上する。また、中空管自体が流路となるため、積層するリアクタにおいては、さらに小型化が実現できる。また、平板に溝を加工し流路を形成するリアクタの混合液出口の端に中空管を接続することで、容易に混合反応流路の流路長さを延長でき、管内での混合反応流体の滞在時間を長くすることで、2種類の流体を一層均一に混合及び反応処理が実現できる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ハロゲン化合物とアルカリ金属分散体とを流路に沿って流しながら混合反応させて連続的にハロゲン化合物の脱ハロゲン化処理を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による脱ハロゲン化処理装置の全体系統図である。
【図2】本発明の第1の実施例に使用したリアクタの構造図であり、(a)図はリアクタを構成する片方の平板の斜視図であり、(b)図はリアクタを構成する他方の平板の斜視図であり、(c)図は(a)図と(b)図の各平板同士を組合せ状態でのリアクタ内の流路を示した図である。
【図3】本発明の第1の実施例においてリアクタを積層して用いた場合のリアクタの積層状態を示す図であり、(a)図はリアクタの積層状態を示す斜視図であり、(b)図は積層したリアクタの複数使用例の配置を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施例による脱ハロゲン化処理装置の全体系統図である。
【図5】本発明の第1実施例に使用したリアクタの第1変形例によるリアクタの構造図である。
【図6】本発明の第1の実施例に使用したリアクタの第2変形例によるリアクタの構造図である。
【符号の説明】
1…リアクタ、2A…供給流路、2B…混合反応流路、3,4…溝、5,6…平板、7,8…入口、9,9A,9B,9C…交差連通部、10…混合液出口、11,21…貯蔵容器、12,42…温度計、13,23,41…冷却加熱制御装置、15,25…定流量ポンプ、16,17,44…配管、18,28…ガス導入配管、19,29…ガス排出配管、20,30…圧力調節弁、51…積層型リアクタ、52,53…継手、54,55…流量計、56,57,58…圧力計、59,60…中空管。
Claims (7)
- アルカリ金属分散体とハロゲン化合物とを混合させてハロゲン化合物の脱ハロゲン化処理を行うハロゲン化合物の脱ハロゲン化処理装置において、
アルカリ金属分散体を通す第1の流路と、ハロゲン化合物を通す第2の流路と、前記第1と第2の各流路を通ってきた前記アルカリ金属分散体とハロゲン化合物とを合流させる合流部と、前記合流部から下流側に設けられて前記アルカリ金属分散体と前記ハロゲン化合物が合流することにより生成された反応生成物を含む流体を通す混合反応流路とを備えたハロゲン化合物の脱ハロゲン化処理装置。 - 請求項1において、前記第1の流路と前記第2の流路とは一直線状に連通し合っている流路であって、前記一直線状に連通し合っている流路の一端側がアルカリ金属分散体の入口とされ、前記共通の流路の他端側がハロゲン化合物の入口とされているハロゲン化合物の脱ハロゲン化処理装置。
- 請求項1又は請求項2において、前記アルカリ金属分散体と前記ハロゲン化合物と前記混合反応流体とをアルカリ金属の溶融温度以上に加熱する加熱手段を備えているハロゲン化合物の脱ハロゲン化処理装置。
- アルカリ金属分散体を導く第1の流路、及び前記第1の流路に接続されてハロゲン化合物を導く第2の流路、並びに前記アルカリ金属分散体と前記ハロゲン化合物が合流することにより生成された反応生成物を含む流体を排出する第3の流路とを備えたリアクタと、
前記リアクタを加熱する加熱装置とを備えたハロゲン化合物の脱ハロゲン化処理装置。 - 請求項4において、前記第1の流路にアルカリ金属分散体を供給するアルカリ金属分散体供給系と、
前記第2の流路にハロゲン化合物を供給するハロゲン化合物供給系と、
前記リアクタと前記第3の流路に接続された配管とを有するハロゲン化物処理系と、
前記アルカリ金属分散体供給系と前記ハロゲン化合物供給系と前記ハロゲン化物処理系とに装備されて、前記アルカリ金属分散体と前記ハロゲン化合物と前記反応生成物を含む流体とを加熱する手段と、
を備えたハロゲン化合物の脱ハロゲン化処理装置。 - 請求項4又は請求項5において、前記第1の流路と第2の流路とは一直線状に連通し合っている流路であって、前記一直線状に連通し合っている流路の一端側がアルカリ金属分散体の導入口とされ、前記共通の流路の他端側がハロゲン化合物の導入口とされているハロゲン化合物の脱ハロゲン化処理装置。
- 請求項4から請求項6までのいずれか一項において、前記リアクタが複数個が積層されているハロゲン化合物の脱ハロゲン化処理装置。
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Family Applications (1)
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2002
- 2002-10-10 JP JP2002296878A patent/JP2004130204A/ja active Pending
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