JP2004130124A - 生理状態管理システムおよび生理状態管理方法 - Google Patents

生理状態管理システムおよび生理状態管理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 生命の危機に瀕した患者の救命のために、全身の体温管理と呼吸循環管理と代謝・麻酔管理とを、自動的に行うシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、全自動体熱管理装置101と、全自動体内ガス管理装置201と、活動レベル管理装置301と、を提供して、患者の体熱と、呼吸状況と、代謝状況とを、精密に計測して管理する。また、それらの装置を有機的かつ総合的に管理する医療治療システムを提供する。機能的には、生理状態の監視と、判断と、制御とが可能となるシステムを提供する。さらに、前記判断の処理に最適適応制御の理論を用いて、患者の代謝状況の変化に応じて、患者の生理状態が、医療的経験則に基づく目標値を常に追従するように構成した。
【選択図】    図10

Description

 本発明は、外傷により生命維持が困難な状況にある対象者の生命維持のために、対象者の生理状態を示す指標を用いて、これらの指標を最適な値に管理する生理状態管理方法、生理状態管理システム、脳温管理装置、人工呼吸装置、および麻酔装置に関する。
 従来より、ICUでは、生死の境界にある患者を治療するため、患者の生理状態は厳密に管理されている。具体的には、患者の呼吸数、心拍数、血圧、体温、意識レベル等の指標を測定し、この測定値に従って、個々の医師が経験に基づき調節する。
 例えば、脳低温療法では、患者の頭部、頸部、胴体の温度および深部体温を測定して、これらの温度を低温に維持することにより、脳温および体温を低温で管理する。また、麻酔療法では、患者の体温、心拍数、血圧を測定して、麻酔ガスの濃度や量を調節している。また、人工呼吸では、患者の末梢動脈血酸素飽和度を測定して、空気量やこの空気に含まれる酸素量を調節している。
 しかしながら、以上のように生理状態を示す指標を手動で調節する方法では、熟練した医師でなければできないうえに、指標を厳密に維持することは困難であった。また、生理状態の危険領域を医師の経験と勘で推定することになるため、医師の心理的負担が大きかった。
 そこで、本発明は、指標で示した患者の生理状態を、容易かつ確実に調節でき、医師の肉体的(身体的)負担および心理的負担を軽減できる生理状態管理システムを提供することを目的とする。
 本発明者は、以上の事情を顧みて、これまでの研究を重ねた結果、上記課題を解決する本発明を完成するに至った。
 (1) 対象者の生理状態を示す指標を最適な値に管理する生理状態管理システムであって、前記指標の現状値を検出する検出センサー、前記対象者の生理状態を変化させる出力装置、および、この出力装置を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記指標の目標値を設定する目標値設定手段と、前記検出センサーで検出した現状値と前記目標値との差に基づいて、前記出力装置のパラメータを数学的に推定するパラメータ推定手段と、前記パラメータに基づいて、前記出力装置を駆動させることにより、前記指標の現状値を前記目的値に近づける出力手段と、を備えていることを特徴とする生理状態管理システム。
 ここで、パラメータは、膨大な患者の生理データに基づいて、医学上の判断に従って、推定される。
 人間の生理状態は、年齢、性別などによって異なるだけでなく、同一人であっても、日や時刻により、常に変化している。そのため、人間の生理状態を古典的なフィードバック制御により制御しようとしても、システムのパラメータが一定にならないため、対象者の生理状態に確実に対応できない場合がある。
 しかしながら、(1)の発明によれば、対象者の生理状態を示す指標に対して最適適応制御(オプティマル・アダプティブ・コントロール)を行う。すなわち、指標の目標値を最適な値に設定し、この指標の現状値を検出センサーで検出する。次に、この検出した現状値と目標値との差に基づいて、出力装置のパラメータを数学的に推定する。続いて、パラメータに基づいて、対象者に対して出力装置から出力することにより、前記指標の現状値を目的値に近づける。その後、現状値の検出、パラメータの推定、出力装置からの出力を繰り返す。
 したがって、対象者の個人差、環境の変動、治療経過などに関係なく、対象者の生理状態に対応してパラメータを変化させることができるから、対象者の生理状態に確実に対応して、目的とした生理状態を容易かつ確実に調節でき、医師の肉体的負担および心理的負担を軽減できる。
 その結果、臨床的に重篤な患者の蘇生、救命、長時間の外科手術を実現できる。
 (2) 対象者の脳を低温状態にして保護する脳低温療法に用いられる脳温管理装置であって、前記対象者の脳温を検出する脳温検出センサー、前記対象者の頭部を冷却する頭部冷却装置、前記対象者の頸部を冷却する頸部冷却装置、前記対象者の胴体を冷却する胴体冷却装置、および、これらの各冷却装置の温度を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記脳温の目標値を設定する目標値設定手段と、前記脳温検出センサーで検出した現状値と前記目標値との差に基づいて、前記各冷却装置のパラメータを数学的に推定するパラメータ推定手段と、前記パラメータに基づいて、前記各冷却装置を駆動させることにより、前記指標の現状値を前記目的値に近づける出力手段と、を備えていること特徴とする脳温管理装置。
 頭部冷却装置、頸部冷却装置、および胴体冷却装置は、例えば、冷却帽子、冷却マフラー、および冷却ブランケットがある。また、各装置の冷却方式としては、例えば、水冷方式、空冷方式がある。
 制御装置は、例えば、冷却帽子、冷却マフラー、および冷却ブランケットを異なる温度に調節できる分散型温度制御装置である。
 検出センサーは、例えば、対象者に接触する冷却帽子、冷却マフラー、および冷却ブランケットの内側に設けられた温度センサーである。
 (2)の発明によれば、(1)と同様に、対象者の個人差、環境の変動、治療経過などに関係なく、対象者の生理状態に対応して制御装置のパラメータを変化させることができるから、対象者の生理状態に確実に対応して、指標で示した生理状態を容易かつ確実に調節でき、医師の肉体的負担および心理的負担を軽減できる。
 (3)前記各冷却装置は、空冷式である脳温管理装置。
 脳温管理装置は、例えば、対象者の全身をおさめて密閉された箱状の脳冷却インキュベータである。この脳冷却インキュベータは、成人だけでなく、新生児にも応用できる。この脳冷却インキュベータでは、インキュベータ内に低温冷却空気を循環し、冷却空気の温度調整によって、対象者の脳を冷却する。
 (3)の発明によれば、各冷却装置を水冷式とした場合に比べ、以下のような効果がある。1)頭部、頸部、胸部などの外科手術領域をより効果的に冷却できる。2)冷却の部位の温度差を解消できる。3)各冷却装置の重量を軽減できるから、皮下末梢循環への圧迫を軽減できる。4)接触冷却による褥瘡を回避できる。5)患者の皮膚色を容易に観察できる。6)点滴、痰取り等の治療処置を行う条件を改善できる。7)狭く密閉されたシステムなので、室内のような広い範囲での環境管理が必要なくなる。
 (4) 低温状態で対象者の脳を保護する脳低温療法に用いられる携帯型脳温管理装置であって、前記対象者の頭部に配置され頭部表面の温度を検出する脳温検出センサー、前記対象者の頭部を冷却する頭部冷却装置、および、この冷却装置の温度を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記脳温の目標値を設定する目標値設定手段と、前記脳温検出センサーで検出した現状値と前記目標値との差に基づいて、前記冷却装置のパラメータを数学的に推定するパラメータ推定手段と、前記パラメータに基づいて、前記冷却装置を駆動させることにより、前記指標の現状値を前記目的値に近づける出力手段と、を備えていることを特徴とする携帯型脳温管理装置。
 (4)の発明によれば、(1)と同様に、対象者の個人差、環境の変動、治療経過などに関係なく、対象者の生理状態に対応して制御装置のパラメータを変化させることができるから、対象者の生理状態に確実に対応して、指標で示した生理状態を容易かつ確実に調節でき、医師の肉体的負担および心理的負担を軽減できる。
 (5) 対象者に人工呼吸を行う人工呼吸装置であって、前記対象者の末梢動脈血酸素飽和度を検出する酸素飽和度検出センサー、前記対象者に空気を送る空気圧送装置、この空気圧送装置の空気量を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記末梢動脈血酸素飽和度の目標値を設定する目標値設定手段と、前記酸素飽和度検出センサーで検出した現状値と前記目標値との差に基づいて、前記空気圧送装置のパラメータを数学的に推定するパラメータ推定手段と、前記パラメータに基づいて、前記空気圧送装置を駆動させることにより、前記指標の現状値を前記目的値に近づける出力手段と、を備えていることを特徴とする人工呼吸装置。
 (5)の発明によれば、(1)と同様に、対象者の個人差、環境の変動、治療経過などに関係なく、対象者の生理状態に対応して制御装置のパラメータを変化させることができるから、対象者の生理状態に確実に対応して、指標で示した生理状態を容易かつ確実に調節でき、医師の肉体的負担および心理的負担を軽減できる。
 (6) 対象者に麻酔を行う麻酔装置であって、前記対象者の呼気麻酔ガス濃度および血中麻酔ガス濃度のうち少なくとも一方を検出する麻酔ガス検出センサー、前記対象者に麻酔薬を送る麻酔注入装置、この麻酔注入装置の麻酔薬量を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記指標の目標値を設定する目標値設定手段と、前記麻酔ガス検出センサーで検出した現状値と前記目標値との差に基づいて、前記麻酔注入装置のパラメータを数学的に推定するパラメータ推定手段と、前記パラメータに基づいて、前記麻酔注入装置を駆動させることにより、前記指標の現状値を前記目的値に近づける出力手段と、を備えていることを特徴とする麻酔装置。
 (6)の発明によれば、(1)と同様に、対象者の個人差、環境の変動、治療経過などに関係なく、対象者の生理状態に対応して制御装置のパラメータを変化させることができるから、対象者の生理状態に確実に対応して、指標で示した生理状態を容易かつ確実に調節でき、医師の肉体的負担および心理的負担を軽減できる。
 (7) 対象者の生理状態を示す指標を、治療効果をもたらす最適な値に管理する生理状態管理方法であって、前記指標の目標値を最適な値に設定する目標値設定手順と、前記指標の現状値を検出センサーで検出する現状値検出手順と、この検出した現状値と前記目標値との差に基づいて、出力装置のパラメータを数学的に推定するパラメータ推定手順と、前記パラメータに基づいて、前記対象者に対して前記出力装置から出力することにより、前記指標の現状値を前記目的値に近づける出力手順と、前記現状値検出手順、パラメータ推定手順、および出力手順を繰り返す手順と、を備えていることを特徴とする生理状態管理方法。
 (7)の発明によれば、(1)と同様に、対象者の個人差、環境の変動、治療経過などに関係なく、対象者の生理状態に対応して制御装置のパラメータを変化させることができるから、対象者の生理状態に確実に対応して、指標で示した生理状態を容易かつ確実に調節でき、医師の肉体的負担および心理的負担を軽減できる。
 本発明は上記の構成を備え、次の効果を有する。総合的には医療上最も管理の困難な部分の自動化に資する。すなわち、生理状態の計測管理の自動化によって、経験的温度管理曲線や呼吸ガス濃度管理や麻酔深度の管理の自動化が可能である。
 (a) 体温・呼吸・循環、さらに麻酔深度など、生命維持に極めて重要な生理データを多チャネル大容量に自動化計測とその管理によって異常発見が可能で、患者生命を常に安全な範囲内に維持することができる。医療従事者は、これまでに要求された高度な体温管理技術を要さずに、考えうる種々の臨床処置を行える。例えば、リハビリテーションを行っている患者に対しては、医療従事者以外の人も患者管理が容易に行える。また、緊急時に有効性を発揮する、個体差に対応可能となる、遠隔操作が可能となる、などの効果が期待できる。
 (b) 全身的表面冷却装置により、患者の脳温など体温を目標温に自動的に管理する。これにより、医療コスト・医療ミスの減少、医療従事者の労働・ストレスの削減を実現する。精密な温度調整が可能なので、脳低温治療法そのものの効果を高める。
 (c) 換気不全のときに、適応制御(あるいは最適制御)やファジィ制御を用いた動脈血・肺胞気炭酸ガス濃度の自動制御システムにより、空気および酸素吸入による末梢酸素飽和度の監視と患者側の視点に立った患者に優しい制御を行う新しい医療の方法になる。低酸素症の患者についても末梢の酸素飽和度を所望の値に制御する。制御系全体の入出力特性が適当な過渡特性を満足するようにマスクの装着ずれや気体のもれ、咳にも安定な動作を保証する。患者にとって苦痛のない換気量、吸入気酸素分圧の操作により、生理情報を反映する生化学指標の制御を可能にする。医師の行う個別性による換気効果や治療効果の判断が客観的に行える。
 (b)、(c)のシステムを併用して呼気ガス、血液ガス分圧、中心静脈圧、電気生理的情報、深部体温などから総合的にファジィ理論により麻酔深度を推定判断し危険があるとき麻酔医の注意を喚起する。とくに手術中は、長時間にわたって患者を観察しなければならないが、その労力を低減するので、麻酔事故の防止につながる。すなわち、長時間の拘束によるミスと手術中の集中力減退による患者の生命危機を回避できる医療上きわめて有効な手段になる。
 (d) 活動レベル管理システムでは、麻酔深度制御に用いる場合、種々の揮発性、不揮発性麻酔薬および酸素を混合して、患者の全身麻酔と蘇生時の管理を行うことができる。すなわち、麻酔レベル(深度)を客観的に監視し、これを制御するシステムとして手術室やICUで用いるのにきわめて有効である。このシステムは、呼吸管理による麻酔ガス供給の制御と、循環による直接的麻酔薬の静脈注射を行う補助循環装置と、からなる。
 (e) インキュベータ式温度自動管理システムを採用することによって、ブランケットを用いる以上に高精度な脳温管理の自動化が行える。さらに、システムに最適適応制御を適用することによって、最適かつ精密な温度管理過程の実現を図ることができる。
 以下、本発明を実施するための最良の形態について図1〜図15に基づいて説明する。
[生理状態管理システムの構成]
 図1は、本発明の一実施例の生理状態管理システムの構成を示す。生理状態管理システムは、人体の生理状態を管理するシステムであり、人体の各部位に取り付けられた種々のセンサーにて人体の生理状態を検知し、検知した生理状態に応じて、人体の各部位に取り付けられた各装置を制御することによって、人体の生理状態をコントロールするものである。この生理状態管理システムは、全自動体熱管理装置101と、全自動体内ガス管理装置201と、活動レベル管理装置301とを含んで構成される。
 全自動体熱管理装置101は、CPU、RAM、ROM(図示せず)などから構成される制御装置(図示せず)と、周辺機器との接続を取り持つ接続インターフェース(図示せず)とを含んで構成される。前述の周辺機器には、人の胴体を冷却する装置と、人の胴体の諸部位の温度を検知するセンサーがある。なお、このセンサーは、後述する活動レベル管理装置301に接続されるものであってもよい。このセンサーにより検知した人体の体熱に関する情報が前述の制御装置に伝達される。その伝達された情報に基づき、目標とする人体の体熱の状況へ至るべく、前述の制御機器が、所定の制御方法に基づき、前述の人の胴体を冷却する装置を制御する。このような制御を繰り返すことによって、人体の体温が、目標とする温度となる。本実施例では、特に人体の頭部に前述のセンサーを装着することによって、脳の温度を管理することが可能となる。なお、前述の人の胴体を冷却する装置は、内部で冷却水を循環させることが可能なブランケットおよびその冷却水を全自動体熱管理装置101との間で還流または潅流させるパイプから構成されるブランケット方式である。または、後述するように、人体を収納する箱であって、冷気をその箱の中に送り込み還流させるインキュベータ方式であってもよい。
 全自動体内ガス管理装置201は、CPU、RAM、ROM(図示せず)などから構成される制御装置(図示せず)と、周辺機器との接続を取り持つ接続インターフェース(図示せず)とを含んで構成される人工呼吸装置である。前述の周辺機器には、人体から排出される呼気を回収し人体に吸気を送り込む呼吸気シリンダーと、人体の酸素飽和度を検知するセンサー(後述する、パルスオキシメータを含む)がある。なお、このセンサーは、後述する活動レベル管理装置301に接続されるものであってもよい。また、呼気ガス分析装置(酸素計)により検知した呼気の酸素濃度に関する情報が前述の制御装置に伝達される。その伝達された情報に基づき、前述の制御装置が、所定の制御方法に基づき前述の呼吸気シリンダーを制御して、人体に送り込む吸気の量を調整することによって、目標とする人体の酸素飽和度の状況へ至る。このような制御を繰り返すことによって、人体の各組織の酸素濃度、特に動脈血・肺胞気炭酸ガス濃度または末梢動脈血酸素飽和度が、目標とする飽和度となる。
 活動レベル管理装置301は、CPU、RAM、ROM(図示せず)などから構成される制御装置(図示せず)と、周辺機器との接続を取り持つ接続インターフェース(図示せず)とを含んで構成される。前述の周辺機器には、人体に各種薬剤(例えば、麻酔薬など)を自動的に注入する薬剤静注制御装置と、吸入麻酔制御装置と、人体の生理活動状態をモニタリングする各種モニタリングセンサーとがある。この各種モニタリングセンサーには、前述の人の胴体の諸部位の温度を検知するセンサーおよび人体の各組織の酸素濃度を検知するセンサー(パルスオキシメータを含む)が含まれるように構成してもよい。このセンサーにより検知した人体の生理活動状態に関する情報、全自動体熱管理装置101が検知して活動レベル管理装置301に送信した体熱情報、全自動体内ガス管理装置201が検知して活動レベル管理装置301に送信した動脈血・肺胞気炭酸ガス濃度または末梢動脈血酸素飽和度の情報が、前述の制御装置に伝達される。その伝達された情報に基づき、前述の制御装置が所定の制御方法に基づき、前述の薬剤静注制御装置と吸入麻酔制御装置を制御して、目標とする人体の生理活動状態の状況へ至る。このような制御を繰り返すことによって、人体の生理活動状態が、目標とする生理活動状態となる。
 このように、全自動体熱管理装置101、全自動体内ガス管理装置201、活動レベル管理装置301の3つの装置が連携して、医療措置を施した患者の体熱管理、体内ガス管理および生体活動レベル管理を行い、患者の生命維持を自動的に行う。体熱管理は脳温の自動管理を可能とするものであり、加えて全身総合管理を行うことにより、生命維持の最危急時における生体総合管理を可能とする。
 これらのシステムの効果を調節し、患者の病態を快復するのに適切なように総合的に調節を行う。この調節は医師の経験則を考慮した制御理論にもとづいて行う。これらの理論はプログラム化して総合管理システムの各制御装置に組み込まれているので、医療従事者はこれを意識することなく利用することができる。この制御理論は、「適応制御」と言われるものであり、その詳細は後述する。本発明は、「適応制御」を医療機器に初めて応用したところに特徴がある。
[生理状態管理システムの人体への適用]
 図2は、生理状態管理システムを人体へ適用して、生理状態の管理を行う概略を示す。図では、全自動体熱管理装置101が、全自動体内ガス管理装置201および活動レベル管理装置301と連携をとりつつ、人体に装着された胴体冷却装置102を制御することにより、人体の体温をコントロールする状況が示されている。生化学反応を正しく進行させるうえで、生理的に体温の制御は極めて重要である。とくに、脳挫傷時に低体温を保つことによって脳の機能が損なわれることなく回復することが臨床で認められている。人体に、外部温度の制御による全身各部の頭部冷却装置104、頸部冷却装置103、胴体冷却装置102(いずれも図6参照)を装着することにより、間接的な体温制御が可能である。全自動体内ガス管理装置201にはマスク202が接続されており、人体から排出される呼気ガス濃度および人体に吸入される吸気量と酸素濃度をコントロールする。
[生理状態管理システムの動作の概念]
 図3は、上述の生理状態管理システム(生命維持管理システム)の動作の概念図である。活動レベル管理装置301には各系統モニタリングセンサー、各種警告等を表示する表示装置あるいは警告音を発するアラーム、薬剤静注制御装置および吸入麻酔制御装置が接続されている。各系統モニタリングセンサーは、人体の各部位に取り付けられ、所定の時間間隔で人体の生理状況を示す各種指標をモニタリングして、活動レベル管理装置301にその情報を供給する。この情報を供給された活動レベル管理装置301は、人体の生理状態を総合的に判断し評価する。そして、その判断および評価の結果に応じて、前述の表示装置に警告を表示する、あるいは前述のアラームにて警告音を発生させる。また、同様にその判断・評価結果に応じて、薬剤静注制御装置と吸入麻酔制御装置を制御して、人体の活動レベルを制御する。あるいは、全自動体熱管理装置101に対して、人体の体温を制御するよう信号を送出したり、全自動体内ガス管理装置201に対して、人体の各組織の酸素濃度、特に動脈血・肺胞気炭酸ガス濃度または末梢動脈血酸素飽和度を制御するよう信号を送出したりする。
[各種モニタリングセンサー]
 図4では、生理状態管理システムが備える各種モニタリングセンサーと、それらのセンサーの人体の取り付け部位の例を示す。
 各種モニタリングセンサーには、呼吸系モニタリングセンサー、循環系モニタリングセンサー、筋・神経系モニタリングセンサー、電解質・代謝・体熱系モニタリングセンサー、泌尿系モニタリングセンサーなどがある。
 モニタリングセンサーにより、体表面の複数点の温度を測定して、表面温度分布から理論的に特定の部位の深部体温を算出する(図8参照)。特に脳温測定のために深部体温を算出する。
 全自動体内ガス管理装置201が、各種モニタリングセンサーから得られた患者の生理データを総合的にモニタリングし、患者の呼吸や循環系のガス濃度をもとに総合判断・評価および表示・警報を行い、生体内ガス濃度制御を行う概要を示す。この際、人為的な装着脱は容易であるが、装着後にはそれ以外の力では簡単にはずれないマスク(図8参照)を用いる。
 全自動体内ガス管理装置201は、ガス濃度計測制御システムを用いて、換気不全の患者の動脈血・肺胞気炭酸ガス濃度を自動制御する。その方法は、空気および酸素吸入による末梢酸素飽和度の監視と患者側の視点に立った、患者に苦痛を与えず、換気量が少なく、手術中の会話が可能な、患者に優しい、明確な手順に基づく自動制御を行う新規方法によるものである。低酸素症の患者についても末梢の酸素飽和度を所望の値に制御する方法である。
 なお、制御系全体の入出力特性が適切な過渡特性を満足するように複素平面上の極の配置を定め、常に動作が安定領域に存在するようにしてあるので、マスクの装着ずれや呼気ガスのもれに、ある程度の範囲で対処できる。咳込んだ場合やファイティングに対しても安定な動作を保証する。操作可能なのは、換気量、吸気酸素分圧(濃度)のみであるが、生理状態を反映する化学指標を選定したので代謝量や血流の制御は不要である点が画期的である。医師が行う個体差による換気量の効果や治療効果の判断を論理記述するので、この方法により換気量の与え方が患者に優しくなる。
 活動レベル管理装置301は、各種モニタリングセンサーから得られた患者の生理データを総合的にモニタリングし、患者の生理状態の総合判断・評価および表示・警報を行い、生体活動度制御を行う(図3、図7参照)。また、全自動体熱管理装置101および全自動体内ガス管理装置201に体温管理および呼吸管理に必要な患者の総合的生理状態および評価を送信する。
 麻酔の深度が一定レベルを超える場合、自発呼吸が停止するので、人工呼吸装置によって呼吸管理を行う。この時、ガス交換などの代謝が適切に行われなければならないので、患者の呼気ガス中に含まれるガス成分を中心としてモニタリングした患者の生理状態から、呼吸の手法について決定し、呼吸管理を行う。
 代謝機能の低下によって患者の循環機能の低下をモニタリングした場合、適切な投薬を行うことでこれを自動的に適切な状態に調節する。
[生理状態管理システムのサブシステム]
 図5は、生理状態管理システムのサブシステムの一覧である。生理状態管理システムは複数の個々の制御管理システムで構成される。上述したように、本実施例における生理状態管理システムのサブシステムは、全自動体熱管理装置101、全自動体内ガス管理装置201、活動レベル管理装置301である。
[各サブシステムの構成]
 図6を参照すると、全自動体熱管理装置101には、胴体冷却装置102、頸部冷却装置103、頭部冷却装置104が、潅流パイプ105および還流パイプ106を介して接続されている。全自動体熱管理装置101は、潅流パイプ105を通して胴体冷却装置102に冷却水を送り込み、還流パイプ106を通して冷却水を回収する。頭部、頸部による脳温度制御、循環血液の温度・流量制御による双線形システムとしての制御を行う。また、生理的に危険な異常温度に対する判断と警報を行う装置を全自動体熱管理装置101(図7参照)に載せる。また、全自動体熱管理装置101は、説明図8に示すように、皮膚表面の温度から深部体温を測定するために、専用センサーおよび測温回路を含む。
 さらに図6を参照すると、全自動体内ガス管理装置201には、吸気管、呼気管、患者の吸気と呼気の流路を制御する制御弁、呼気を適正湿度まで加湿する熱式加湿器、人体の酸素飽和度を検知するパルスオキシメータなどが接続されている。全自動体内ガス管理装置201は、駆動用コンピュータの制御により、パルスオキシメータが検知した人体の酸素飽和度にしたがってシリンダーを制御して、人体に送り込む吸気の量を調節する。なおパルスオキシメータは、前述の通り、全自動体内ガス管理装置201または活動レベル管理装置301のいずれかに接続されるものであるとしてよい。
 さらに図6を参照すると、活動レベル管理装置301には、各種モニタリングセンサーとして、直腸体温計、頭部と足の指に取り付けられた末梢体温計、中心静脈圧および動脈圧を測定する血圧計、心電図をとるためのセンサー、マスク202に備えられた呼気ガス分析装置、胸壁聴診器、尿の排泄を検知する導尿センサー、人体の酸素飽和度を検知するパルスオキシメータなどが接続されている。なおパルスオキシメータは、前述の通り、全自動体内ガス管理装置201または活動レベル管理装置301のいずれかに接続されるものであるとしてよい。また、活動レベル管理装置301に制御される制御装置として、吸入麻酔制御器と、輸液・輸血・薬剤静注制御器がある。活動レベル管理装置301は、前述の各種モニタリングセンサーの検知結果を総合的に判断し、評価して、吸入麻酔制御器および輸液・輸血・薬剤静注制御器を制御して、患者に麻酔を投与または吸入させることにより、患者の活動レベルを調節する。
 なお、前述の患者の体温を調節することには、患者の体内に特定の薬品を注入することにより、体の物性を変え、熱伝導率を変えることも含む。また、患者の体内に特定の薬品を注入することにより、脳血流を増加させ、熱の取り出しを容易にすることによる脳温冷却速度の向上も含む。
[ハードウェアの概要]
 図7は、全自動体熱管理装置101、全自動体内ガス管理装置201、および活動レベル管理装置301のハードウェアの概要図である。
 全自動体熱管理装置101は、電気部分と機械部分に大別される。電気部分は制御機能を持ち、PC(パーソナルコンピュータ)がその主制御回路を構成する。PCには、A/D(アナログからデジタルへの変換)ボード、D/A(デジタルからアナログへの変換)ボード、I/O(入出力)ボードが接続されている。A/Dボードには、信号変換器を介して、体温を検知する生体機能情報入力温度センサーと、潅流パイプ105を流れる冷却水の流量を検知する流量センサーとが接続されており、検知した体温の情報と冷却水の流量の情報がデジタル変換されてPCに供給される。また、D/Aボードには、潅流パイプ105を流れる冷却水の流量を調節する流量弁、患者の胴体を暖めるため、水冷ブランケットの温度を上げるヒータが接続されている。PCの制御信号がアナログに変換されて、これらの機器を制御する。また、I/Oには、電源やアラーム装置が接続されている。機械部分は、冷水を貯蔵する冷水槽、その冷水槽の冷水を胴体冷却装置102などへ送出するためのポンプで構成される。この機械部分には、胴体冷却装置102などが接続されているが、胴体冷却装置102は冷却ブランケットであり、その他に冷却帽子(人体の頭部を冷却する頭部冷却装置104)、冷却マフラー(人体の頸部を冷却する頸部冷却装置103)が接続されている。
 この全自動体熱管理装置101は、モニタリングした患者生理データと、プログラム化した生命維持の手順にもとづいて体熱調節システムにより患者の脳および体幹を低体温に維持する。
 全自動体内ガス管理装置201は、制御用PC(パーソナルコンピュータ)、計測用PC、通信用PCの、3つのPCから構成される。制御用PCは、計測用PCから送信されるセンサー入力の演算結果に基づき、制御データの演算と制御信号の生成を行う。ここで生成された制御信号が通信用PCへ送信される。計測用PCには、操作パネル、各種センサー、モータ(吸気を送出するためのシリンダーを駆動するためのモータ)、呼吸ガスモニタが接続されている。計測用PCと操作パネルとの間では、操作パネルから計測用PCへはマニュアル操作入力の信号が送信され、計測用PCから操作パネルへは、表示データ出力のためのデータが送信される。各種センサーから計測用PCへは、センサーの入力情報の信号が送信される。計測用PCからモータへは、モータ制御の制御データが送信される。通信用PCは、前述のように計測用PCと各接続機器(操作パネル、各種センサー、モータ、呼吸ガスモニタ)との間で送受信される各種信号の通信を制御する。
 活動レベル管理装置301に接続する各種モニタリングセンサーは、他の2つの管理系統(全自動体熱管理装置101および全自動体内ガス管理装置201)別に分類され、モニタリングも行われる。
 活動レベル管理装置301は、他の2つの管理系統別にモニタリングされた患者の生理データから患者の各系統別の生理状態および総合的な生理状態について、生体の持つ個人差、時間変化性、非線型性を考慮しながら判断・評価する。
 活動レベル管理装置301は、判断・評価された患者の各系統別および総合的生理・病態状態を、管理者の負担を軽減し得るように集約的に表示し、必要に応じて警報を行う。
 活動レベル管理装置301は、患者の生体活動レベルの管理・制御を行う。このために、患者の麻酔深度、各系統別および総合的生理状態判断・評価に従い、適切な麻酔薬投与、輸液・輸血管理および薬剤投与管理によって患者の生体活動レベルを制御する。
 活動レベル管理装置301を用いて笑気ガスなどの、揮発性麻酔薬および酸素を混合して、患者の全身麻酔と蘇生時の管理を行う。したがって、手術時などのガス供給部と呼吸回路部と判断機構からなる呼吸管理による麻酔深度管理装置として用いることができる。ガス供給部は、蘇生時の酸素供与に揮発性・不揮発性麻酔薬を混合し、緊急時に大量の酸素を送り込む酸素フラッシュ装置などからなる。
[成人冷却用インキュベータ]
 成人脳低温療法のための脳冷却インキュベータの概要が図9に示されている。このインキュベータは、前述の通り、冷却ブランケット(胴体冷却装置102)、冷却帽子(人体頭部冷却装置104)、冷却マフラー(人体の頸部を冷却する頸部冷却装置103)に代わって、人体を冷却することができる。
 脳低温療法の患者は網状支持体の上に置かれ、全身の空気冷却が可能となる。インキュベータ内へ送気する冷却空気は加湿器を通し、湿度がほぼ100%となるように制御されるが、その温度は冷却の目的に応じて調節可能である。また、インキュベータ内で冷却空気の流速を高めることによって、冷却装置内の空気温度の均一性を図ると同時に冷却効率を高める。インキュベータ本体はほぼ真空状態に減圧した二層透明な材質よりなるので、断熱性に優れている。したがって、インキュベータの内部温熱環境は外部環境温度にほとんど影響されない。
 このようなインキュベータの変形例としては、例えば患者の病室全体をエア・コンディショナーで冷却することによって、患者の体温、特に脳温を管理するシステムが挙げられる。また、救急車の車内においても、同様に全体空気を冷却することにより、患者の脳温管理が可能となる。
[最適適応制御を適用したインキュベータ]
 以下、図10〜図15に基づいて、「最適制御」を、全自動体熱管理装置101としての成人冷却用インキュベータに適用した場合を説明する。なお、「最適制御」は、全自動体熱管理装置101としての冷却ブランケット(胴体冷却装置102)、冷却帽子(頭部冷却装置104)、冷却マフラー(頸部冷却装置103)の組合せによるシステムにも適用可能であるが、ここでは、「最適制御」の具体的適用例として、成人冷却用インキュベータに適用した場合を説明する。これは、従来は水冷ブランケット等が主な脳温管理装置であったが、全身直接冷却が不可能などの問題点があり、非接触、空気冷却、密閉の温度管理装置が求められていたという要請により、成人冷却用インキュベータが考案されたという経緯に基づく。すなわち、「最適制御」を適用した成人冷却用インキュベータが、あらゆる問題点を克服した、脳低温療法のための温度自動制御システムであることによる。
 なお、「最適制御」は、全自動体熱管理装置101に限らず、全自動体内ガス管理装置201、活動レベル管理装置301にも適応可能である。さらに、全自動体熱管理装置101、全自動体内ガス管理装置201、活動レベル管理装置301個々の装置に適用可能であるばかりでなく、全自動体熱管理装置101、全自動体内ガス管理装置201、活動レベル管理装置301を組み合わせたシステムにも適用可能である。
[最適適応制御とは]
 図10に示した、最適制御による脳温自動制御システムは、モデル参照型適応制御により実現される。その際、制御入力である冷水温度を如何に定めるかを、図13に示すように、信号合成適応制御系と最適レギュレータを用いて行う。すなわち、参照モデルの脳温出力と目標脳温とを比較して、その差をもとに参照モデルの冷却温度入力を定め、参照モデルの脳温出力を目標脳温冷却曲線に追従させる最適追従制御方式を採用する。同時に、信号合成適応制御系は臨床のP−I生体温熱システム(患者−インキュベータを常に一体のものとして取り扱った温熱物理系)の脳温出力と参照モデルの脳温出力との差および参照モデルの冷水温度入力を基に、リアルタイムで、P−I生体温熱システムの冷却空気温度入力を調整する。それにより、P−I生体温熱システムの脳温出力を参照モデルの脳温出力に追従する制御を行う。よって、P−I生体温熱システムの脳温出力が目標とする脳温冷曲線に追従できる。
 すなわち、「最適制御」とは、特定のパラメータによって特徴付けられる制御システムにおいて、システムへのある入力値に対する出力値と目標値との差を数学的に分析して、ある制約条件(評価関数)の下でその差が最小になるように、前述のパラメータを計算し、その計算結果のパラメータをシステムに反映させることを入力値毎に繰り返すことによって、システムの出力値が目標値に追従することが可能となる制御である。
 以下では、参照モデルに対する最適制御とP−I生体温熱システムに対する適応制御のアルゴリズムを示す。
[P−B(患者−ブランケット)伝達関数温熱モデル]
 冷水ブランケットの温度変化に対して、患者の脳温には特徴的な変化が現れる。脳低温療法の温度管理過程は脳温のレベルと治療の過程の進行によって、冷却期、維持期、復温期、管理期の4期に分けられる。例えば、冷却期では、水冷ブランケットの冷水温度を低下させても、最初は脳温がほとんど変化せず、しばらくして急に変化する。その後はゆっくりとした変化となり、最後に一定値となる。このような脳温変化の時間遅れは脳低温療法の復温期にも存在する。
 よって、システム論的視点から、水冷ブランケットの冷水温度Twaterと患者の脳温Tbrainをそれぞれシステムの温度入力と温度出力とし、P−B生体温熱システムの動特性を一次遅れとむだ時間要素からなる次のP−B伝達関数温熱モデルG(s)で近似表現する。
Figure 2004130124
 ここでは、Tbrain(s)とTwater(s)はそれぞれ脳温と冷水温度の変化量に対するラプラス変換値である。sはラプラス演算子であり、K、Lとτはそれぞれシステムのゲイン、むだ時間と時定数である。
[患者−ブランケット伝達関数温熱モデルの検証]
 P−B伝達関数温熱モデルの妥当性を検証するために、このモデルを用いて脳温のPID制御のシミュレーション実験を行う。PIDレギュレータの各定数の最適調整値はZigler−Nicholsの方法に従い次のように与える。
Figure 2004130124
 目標脳温Rとモデルの脳温出力Tbrainとの差(e=R−Tbrain)に基づいて、モデルの冷水温度入力Twaterを次のような制御則により定める。
Figure 2004130124
[参照モデルの離散時間表現]
 デジタル制御およびコンピュータプログラムの利便性から、以下では全て離散時間システムに変換した形で説明する。
 P−B伝達関数温熱モデルでは時定数に比べて、そのむだ時間が極めて小さいので、実質的に、むだ時間を無視できる。よって、式(1)から次の差分方程式(3)を得ることができる。
Figure 2004130124
 ここでは、添字modelは参照モデルを意味する。iはサンプル数であり、時系列の番号iはサンプリング周期νとする時サンプル時刻iνに対応する。なお、次式が成り立つ。
Figure 2004130124
[最適追従型アルゴリズム]
 参照モデルであるP−B伝達関数温熱モデルに対して最適追従制御を施すことを考える。ここでは、次のように定義する。
Figure 2004130124
 この定義に従えば、次の誤差システムを得ることができる。
Figure 2004130124
 ただし、状態変数X(i)と係数行列A、G、Gは次のようになる。
Figure 2004130124
 よって、最適追従制御を行うために参照モデルへの冷水温度入力は次のように算出できる。
Figure 2004130124
 ここでは、Tmodel,brain(0)とTmodel,water(0)はそれぞれ平衡状態にある参照モデルの脳温出力と冷水温度入力である。
 また、hとhは最適追従制御のための状態フィードバック係数であり、次のように予め与えることができる。
Figure 2004130124
 なお、パラメータq、qとrは最適追従効果を得られるように定める。(6)はRiccati方程式であるので、式(6)からPを求めることができる。
[モデル参照型適応制御アルゴリズム]
 生体システムを扱う場合には、個体差のみならず、経時的なその特性の変動および環境の変化がある。したがって、臨床上患者の全ての特性を把握し、完全に記述することは不可能である。このような生体システムに対して、どのサンプル時刻にあっても、絶えずシステムの特性を把握する同定機能を有するモデル参照型適応制御が有効と考えられる。
 ここでは、目標脳温冷却過程を実現するために、次のようなアルゴリズムに従ってP−I生体温熱システム(実際はP−I物理温熱モデル)の冷却空気温度入力を調整する。すなわち、P−I生体温熱システムの同定モデルを、次のように仮定する。
Figure 2004130124
 このとき、適応パラメータベクトル、適応状態ベクトルおよび適応ゲインの初期値を次のようにする。
Figure 2004130124
 このとき、パラメータ調整則および適応ゲインは以下のように与えることができる。
Figure 2004130124
 ただし、次の式が成り立つ。
Figure 2004130124
 よってP−I生体温熱システムの冷却空気温度入力は次のように与えられる。
Figure 2004130124
 なお、パラメータf、fとhは望ましい適応制御効果を与えられるように任意に決めることができる。
[脳温の自動制御システム]
 図10は、脳温の自動制御システムの構成概念図である。自動制御と手動制御による冷水温度調整の流れはそれぞれ実線と点線により示されている。自動制御メカニズムはソフトウェアで実現されている。
[患者温熱モデルの構造]
 図11は、患者温熱モデルを示す。この図では、患者の体を、頭部、顔面部、頸部、上肢、胸部、腹部、下肢、心臓の8区分で表す。頭部、胸部、腹部の各組織は、それぞれ、脳、肺、内臓のような核心層と、骨格と筋肉からなる内層と、皮膚と皮下脂肪からなる外層の3層に区分する。また、顔面部、頸部、上下肢は、内層と外層の2層に区分する。
 生体の外部環境である冷却装置は患者温熱モデルの一部分とみなす。
 血流からみて、モデルの全ての層は並列の接続関係にあるとする。その理由は、生体内において、血液と組織との間の対流性熱交換が、主に内径0.2mm〜0.5mmの細い血管床で発生することによる。心臓は肺を含む各層に血液を送り、また各層から血液を収容するとした。心臓自身への冠循環を無視すれば、肺に循環する血液の量が他の層への循環血液の総量に等しいとみなせる。
 熱交換的にみて、代謝性エネルギーは各区分の外層から冷却装置へと伝達する。肺では肺実質の代謝性熱産生が行われるとともに、呼吸による一定の熱損失が生ずる。また、層間熱交換は同じ区分の層同士の間のみに存在するとし、区分同士の間には熱伝導がないものとする。なお、心臓と各々の層には、それぞれ均一の生理パラメータと代表温度を仮定する。すなわちここで構築する患者温熱モデルは、集中定数モデルである。
[患者温熱モデルの状態空間表現]
 前述の全ての層において、層内蓄熱E、層内代謝性熱産生Q、循環血液による熱収支W、隣接層との熱交換C、冷却装置への熱伝達Dなどのエネルギー収支関係から各々の代表温度を定める方程式を次のように記述できる。
Figure 2004130124
 ここで、各層の代表温度をT[℃]、血液温度をTbl[℃]、隣接区分の温度をT[℃]、冷却装置の温度をTapparatus[℃]、表面積をS[m]、各層の体積をV[m]、各隣接区分の間の伝導熱交換比率をk[W/m/℃]、人体から冷却装置への対流熱交換比率をksa[W/m/℃]、密度をρ[kg/m]、ρbl=1069[kg/m]、熱容量をc[J/kg/℃]、cbl=3650[J/kg/℃]、血液潅流率をw[mblood/s/mtissue]、代謝性熱産生をq[W/m]とすると、式(8)の各項は次のように表せる。
Figure 2004130124
 ただし、式(8)においては、Dは外層のみに表れ、Cは頭部と胸部と腹部の内層の場合は二つの項となる。また、Qは肺において、代謝性熱産生と呼吸による熱損失との差となる。
 心臓においては、式(8)は次のようになる。
Figure 2004130124
 ここでは、ΣWが循環血液による心臓と各層との熱収支の和を意味する。よって、頭部3層(脳、内層、外層)、顔面部2層(内層、外層)、頸部2層(内層、外層)、上肢部2層(内層、外層)、胸部3層(心臓、内層、外層)、腹部3層(内臓、内層、外層)、下肢部2層(内層、外層)、心臓全体について、併せて18個の微分方程式を得る。さらにこれらの方程式をまとめて次の状態方程式を得る。
Figure 2004130124
 ただし、T(18×1)は脳温Tbrainをはじめとする各層の代表温度からなるベクトルであり、Tapparatus(3×1)は冷却装置の温度からなるベクトルである。A(18×18)とB(18×3)はその要素が生理パラメータより計算できる係数行列であり、それぞれシステムの内部の動特性と外部からの影響を表す。Q(18×1)は組織の代謝性熱産生および呼吸による熱損失からなるベクトルである。また、C=[1、0、・・・、0](1×18)である。
 システムの係数行列AとBを求めるには、各層の形状パラメータおよび生理パラメータが必要である。
 形状パラメータは、本実施例ではFialaらの分布定数モデルを基に各区分の各層の比例配分を決め、それぞれの長さと半径を得る。それをもとに、各層の密度、体積、質量、比熱、体積あたり血液潅流率および正常状態の代謝性熱産生率などの生理パラメータを定める。
 また、同一区分内の層同士における層間熱交換係数については、LouとYangによる方法に従って算出する。その際、各層の熱伝導率は主にWernerとWebbのデータを利用する。これらのデータを用いて解析に必要な全ての形状・生理パラメータを算出できる。
 生体表面から冷却装置への熱伝達は、式(13)に示したように、両者の温度差、および表面熱伝達係数の大きさにより決まる。脳低温療法の場合では、正常の静止状態の大気中の環境と比べて、その熱伝達が大きい。その理由は、生体表面と冷却装置との間の大きな温度差および熱伝達係数にある。
 ところで、生体表面と冷却装置との間の熱伝達係数に関する正確なデータは存在しないため、静止水槽中の裸体マネキンに関する実験データを参考にして、適切な値を与える。
 一方、冷却装置への熱伝達を高めた結果、平衡状態にある各層の代表温度が大気環境下の正常体温に比べて低くなることが、式(8)から分かる。したがって、初期温度として、患者温熱モデルの各層に正常の体温の設定が困難である。そのため、本実施例では、患者温熱モデルの各層における代謝性熱産生を正常より高く設定し、次式により患者温熱モデルの初期温度を定める。
Figure 2004130124
 ただし、T(0)(18×1)は各層の初期代表温度からなるベクトルである。αは代謝性熱産生率の補正係数である。
[実験装置の構成]
 図12は、本実施例における、マネキンを使った実験装置の構成を示した図である。
 この実験では、マネキンを箱型のインキュベータに収めてインキュベータを冷却し、マネキンの脳温とインキュベータ内の空気温度および風速を計測し、その計測結果に基づきインキュベータの冷却を制御する。
 インキュベータには、インキュベータの内部に2箇所とインキュベータの外部に1箇所、送風のためのファンが備えられている。インキュベータの内部のファンは、1つはマネキンに直接送風するためのものである。もう1つのファンは、冷却フィン(放熱板)に取り付けられており、冷却フィン周辺に送風するためのものである。
 インキュベータの底の外部には、Peltier(ペルチェ)素子が備えられている。このPeltier素子を挟むように、上方には冷却フィンが面で接している。一方、Peltier素子の下方には、散熱フィン(放熱板)が面で接している。Peltier素子と散熱フィンは、インキュベータの外部にあり、冷却フィンはインキュベータの内部にある。
 Peltier素子に通電すると、ペルチェ効果により、冷却フィン側の面から散熱フィン側の面へ熱が移動する。したがって、冷却フィンの周辺の空気は温度が相対的に低く、散熱フィン側の空気は温度が相対的に高い。冷却フィンの周辺の空気は、冷却フィンに取り付けられたファンにより、インキュベータ内部に拡散される。散熱フィンの周辺の空気は、散熱フィンに取り付けられたファンにより、インキュベータ外部に拡散される。このようにして、インキュベータ内部と外部の熱交換が行われる。
 インキュベータ内に取り付けられた空気温度および風速を検知するセンサー、マネキンの脳温を検知するセンサーは、それぞれ検知信号を制御装置へ送信する。この検知信号を受信した制御装置は、A/D変換を行って検知信号をデジタル情報に変換する。次いで、このデジタル情報を入力して制御プログラムを実行する。この制御プログラムは、「最適適応制御」理論に基づくアルゴリズムで制御を行うプログラムである。このプログラムは、マネキンの脳温が、目標とする値に追従するように実行結果を求める。さらに、制御プログラムの実行結果である制御情報をD/A変換を行って制御信号に変換する。さらに、制御信号を電圧可変直流電源に送信し、電圧可変直流電源では、この制御信号に基づき、電圧を制御することにより、Peltier素子と3つのファンの出力を調節する。このようにして、「最適適応制御」理論を用いて、インキュベータ内の温度が制御され、その結果、マネキンの脳温が目標とする値に追従するようになる。
 なお、このような実験装置を応用して、インキュベータなどの冷却装置の温度変化に応じた人体の脳温の推移をシミュレートする、シミュレータの実現が可能である。
[脳温のモデル参照型適応制御]
 信号合成適応は生体温熱システムの脳温出力を参照モデルの脳温出力に追従させる。図13の点線内の制御アルゴリズムは、図10の自動制御メカニズムに相当し、ソフトウェアにより実現可能である。
[脳温とインキュベータ内空気温度と患者の人体の代謝比率との関係]
 図14を参照すると、患者の人体の代謝比率(Metabolic Rate)が5%上昇したとき、脳温Tbrain(Temperature)が上昇してTmodel,brain(Temperature)よりやや高く変化している。このときインキュベータ内空気温度Tair(Temperature)が一時的に25℃付近から15℃付近へ下げられる。そうすると、一時的に脳温Tbrainは目標脳温Tmodel,brainより低い温度に下がり、その後Tmodel,brainに漸近する。インキュベータ内空気温度Tairを15℃から上昇させて25℃付近に保っても、脳温Tbrainは徐々に上昇するが、Tmodel,brainに漸近するだけであり、Tmodel,brainを超えることはない。
 次に、患者の人体の代謝比率が元の状態へ戻ると、脳温Tbrainが下降して32℃付近まで変化している。このときインキュベータ内空気温度Tairが一時的に25℃から30℃近くまで上げられる。そうすると、一時的に脳温TbrainはTmodel,brainに漸近するように上昇していく。インキュベータ内空気温度Tairを30℃付近から下降させて25℃付近に保っても、脳温Tbrainは徐々に上昇するが、Tmodel,brainに漸近するだけであり、Tmodel,brainを超えることはない。
 このようにインキュベータ内空気温度を制御することによって、人体の代謝比率の変化に従って脳温を適応的に調整して、目標脳温にほぼ近い状態に保つことができる。
[脳温のモデル参照型適応制御のシミュレーション結果]
 図15を参照すると、入力値であるインキュベータ内空気温度Tairおよび冷水温度Twaterの変化に応じて、P−I生体温熱モデルの脳温出力Tbrainと参照モデルの脳温出力Tmodel,brainがほぼ一致していることが分かる。参照モデルの温度入力が最適追従制御則により与えられ、参照モデルの脳温出力は、目標脳温冷却曲線Rによく追従する。同時にP−I生体温熱モデルの温度入力が、自身の出力と参照モデルの脳温出力との誤差および参照モデルの温度入力をもとに信号合成適応制御則により自動的に調整され、P−I生体温熱モデルの脳温出力は、参照モデルのそれによく追従している。その結果として、P−I生体温熱モデルと参照モデルの2つの脳温出力はともに目標脳温冷却曲線Rによく追従し、3つの曲線がほぼ重なっている。適応制御アルゴリズムには、状況や環境の変化に関する事前情報がまったく必要なく、制御の過程でこれらの変動を自動的に検出し、それに対応可能であるという重要な特徴がこのシミュレーション結果で示されている。
[変形例]
 本実施例では、全自動体熱管理装置101、全自動体内ガス管理装置201、活動レベル管理装置301の各制御装置は、PC(パーソナルコンピュータ)により構成されているとした。近年のPCの小型化・高性能化により、制御装置の小型を図ることができる。よって、全自動体熱管理装置101、全自動体内ガス管理装置201、活動レベル管理装置301が、各装置を携帯しうる程度の大きさ、重量となる実施例が可能である。
 以上、本発明の実施例を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は対象者の生理状態を示す指標を最適な値に管理する生理状態管理システムであって、前記指標の現状値を検出する検出センサー、前記対象者の生理状態を変化させる出力装置、および、この出力装置を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記指標の目標値を設定する目標値設定手段と、前記検出センサーで検出した現状値と前記目標値との差に基づいて、前記出力装置のパラメータを数学的に推定するパラメータ推定手段と、前記パラメータに基づいて、前記出力装置を駆動させることにより、前記指標の現状値を前記目的値に近づける出力手段と、を備えていることを特徴とする生理状態管理システムであるが、検出センサー、出力装置、制御装置、目標値設定手段、パラメータ推定手段、出力手段などの各手段の具体的構成は、適宜設計変更可能である。
 本実施例によれば、循環により直接麻酔薬の静脈注射による速効で効果が大きい麻酔が可能である。その他、呼気ガス分析、血液ガス分析、動脈圧、中心静脈圧、心電図、脳電図、筋電図、深部体温、直腸温、尿成分と尿量、胸壁聴診音の状態により麻酔を総合的に判断し麻酔医の注意を喚起し、麻酔深度を監視する。このとき、肺動脈の圧力とガス分析が重要である。すなわち、肺動脈の圧力と肺動脈血(混合静脈血)のガス分析から重傷患者のように生命に危険があるとき、持続的に動脈圧を観血的に測定する。血液量の過不足は肺のガス交換に重大な影響をもたらすので、これを反映するのが中心静脈圧である。麻酔事故の多発とガイドラインの必要性から、麻酔レベルを客観的に評価し、深度を監視し、これらを客観的に制御する方法である。麻酔の深度を総合的に判断し、この深度を具体的な数値段階的に記述する。
 本発明の体熱管理システム、体内ガス濃度管理システム、さらに活動レベル管理システムの三つのサブシステムおよび総合システムにより重篤な内科的・外科的症状にある患者の生理状態を個々に、また統合した形での総合管理システムにより、集中治療室でとくに使われる。医療上、連続入手困難な生理データを容易に収集できるので、医療従事者を煩わせることなく、生命維持に適切な状態を目標となる生理状態を外部から設定することにより、医療において客観性のある重要な指標と働きをもたらす。
 まず体温管理については、外傷時に患者の体温管理を精密に行い、たとえば脳低温療法時に、冷水温度、頭部・頸部・胴体を含む全身の冷却は冷却用アクセサリーによって、目標温をより確実に得られると同時に、温度の調整に多様性をもたらす。ガス濃度管理システムについてはこれを呼吸装置として用い、呼吸ガス濃度を自動計測してこれを適応的に制御し、末梢動脈血の酸素飽和度に関して、生理的に安全な範囲で個体差に関係せず行われる制御により、医師が与えた目標値を自在に実現する。その他、換気異常時の警報作動の方法は、常に状態観測、ネットワークチェックにより、支持されている方法を用いる。従って、これ自身完全自動化呼吸管理システムである。
 なお、麻酔深度による活動レベルに対しては血液中の化学物質の測定と呼気ガス中の麻酔ガス濃度の測定および微調整などの基本かつ必要な対応策を講じることができる。
 それによって、生命の危機や手術時に際して、最適な体温管理、血中ガス濃度の制御や麻酔の最適な深度を容易に実現でき、医療上画期的な効果をもたらす。
 なお、本発明の実施例に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
本実施例における生理状態の総合管理システムの構成図である。 本実施例における生理状態の総合管理システムを人体への適用する概要図である。 本実施例における生理状態管理システムの動作の概念の説明図である。 本実施例における生理状態管理システムの全身生理データのモニタリングシステムの説明図である。 本実施例における生理状態管理システムのサブシステムの構成図である。 本実施例における生理状態管理システムの各サブシステムの構成図である。 本実施例における生理状態管理システムの各サブシステムのハードブロック図である。 本実施例における生理状態管理システムの皮膚温度測定用センサーと呼吸管理用マスクの説明図である。 本実施例における生理状態管理システムの成人冷却用インキュベータの説明図である。 本実施例における生理状態管理システムの脳温の自動制御システムの説明図である。 本実施例における生理状態管理システムの脳温の患者温熱モデルのブロック図である。 本実施例における生理状態管理システムのマネキンによる実験装置のブロック図である。 本実施例における生理状態管理システムの脳温のモデル参照型適応制御のブロック図である。 本実施例における生理状態管理システムにおける脳温とインキュベータ内空気温度と患者の人体の代謝比率との関係図である。 本実施例における生理状態管理システムの脳温のモデル参照型適応制御のシミュレーション結果を表した図である。
符号の説明
101 全自動体熱管理装置
201 全自動体内ガス管理装置
301 活動レベル管理装置

Claims (7)

  1.  対象者の生理状態を示す指標を最適な値に管理する生理状態管理システムであって、
     前記指標の現状値を検出する検出センサー、前記対象者の生理状態を変化させる出力装置、および、この出力装置を制御する制御装置を備え、
     前記制御装置は、前記指標の目標値を設定する目標値設定手段と、
     前記検出センサーで検出した現状値と前記目標値との差に基づいて、前記出力装置のパラメータを数学的に推定するパラメータ推定手段と、
     前記パラメータに基づいて、前記出力装置を駆動させることにより、前記指標の現状値を前記目的値に近づける出力手段と、を備えていることを特徴とする生理状態管理システム。
  2.  対象者の脳を低温状態にして保護する脳低温療法に用いられる脳温管理装置であって、
     前記対象者の脳温を検出する脳温検出センサー、前記対象者の頭部を冷却する頭部冷却装置、前記対象者の頸部を冷却する頸部冷却装置、前記対象者の胴体を冷却する胴体冷却装置、および、これらの各冷却装置の温度を制御する制御装置を備え、
     前記制御装置は、前記脳温の目標値を設定する目標値設定手段と、
     前記脳温検出センサーで検出した現状値と前記目標値との差に基づいて、前記各冷却装置のパラメータを数学的に推定するパラメータ推定手段と、
     前記パラメータに基づいて、前記各冷却装置を駆動させることにより、前記指標の現状値を前記目的値に近づける出力手段と、を備えていることを特徴とする脳温管理装置。
  3.  請求項2に記載の脳温管理装置において、
     前記各冷却装置は、空冷式である脳温管理装置。
  4.  低温状態で対象者の脳を保護する脳低温療法に用いられる携帯型脳温管理装置であって、
     前記対象者の頭部に配置され頭部表面の温度を検出する脳温検出センサー、前記対象者の頭部を冷却する頭部冷却装置、および、この冷却装置の温度を制御する制御装置を備え、
     前記制御装置は、前記脳温の目標値を設定する目標値設定手段と、
     前記脳温検出センサーで検出した現状値と前記目標値との差に基づいて、前記冷却装置のパラメータを数学的に推定するパラメータ推定手段と、
     前記パラメータに基づいて、前記冷却装置を駆動させることにより、前記指標の現状値を前記目的値に近づける出力手段と、を備えていることを特徴とする携帯型脳温管理装置。
  5.  対象者に人工呼吸を行う人工呼吸装置であって、
     前記対象者の末梢動脈血酸素飽和度を検出する酸素飽和度検出センサー、前記対象者に空気を送る空気圧送装置、この空気圧送装置の空気量を制御する制御装置を備え、
     前記制御装置は、前記末梢動脈血酸素飽和度の目標値を設定する目標値設定手段と、
     前記酸素飽和度検出センサーで検出した現状値と前記目標値との差に基づいて、前記空気圧送装置のパラメータを数学的に推定するパラメータ推定手段と、
     前記パラメータに基づいて、前記空気圧送装置を駆動させることにより、前記指標の現状値を前記目的値に近づける出力手段と、を備えていることを特徴とする人工呼吸装置。
  6.  対象者に麻酔を行う麻酔装置であって、
     前記対象者の呼気麻酔ガス濃度および血中麻酔ガス濃度のうち少なくとも一方を検出する麻酔ガス検出センサー、前記対象者に麻酔薬を送る麻酔注入装置、この麻酔注入装置の麻酔薬量を制御する制御装置を備え、
     前記制御装置は、前記指標の目標値を設定する目標値設定手段と、
     前記麻酔ガス検出センサーで検出した現状値と前記目標値との差に基づいて、前記麻酔注入装置のパラメータを数学的に推定するパラメータ推定手段と、
     前記パラメータに基づいて、前記麻酔注入装置を駆動させることにより、前記指標の現状値を前記目的値に近づける出力手段と、を備えていることを特徴とする麻酔装置。
  7.  対象者の生理状態を示す指標を、治療効果をもたらす最適な値に管理する生理状態管理方法であって、
     前記指標の目標値を最適な値に設定する目標値設定手順と、
     前記指標の現状値を検出センサーで検出する現状値検出手順と、
     この検出した現状値と前記目標値との差に基づいて、出力装置のパラメータを数学的に推定するパラメータ推定手順と、
     前記パラメータに基づいて、前記対象者に対して前記出力装置から出力することにより、前記指標の現状値を前記目的値に近づける出力手順と、
     前記現状値検出手順、パラメータ推定手順、および出力手順を繰り返す手順と、を備えていることを特徴とする生理状態管理方法。
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