JP2004130065A - レーザー処置に関するゲルシートの使用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザー処置に関するゲルシートの使用方法。
【解決手段】適当なサイズ、厚さのクリアフィルムの固体若しくはゲルであるシートを提供する段階、及びレーザー処置の前の処置されるべき皮膚の領域を覆うクリアフィルムのシートを配置する段階を含むレーザー処置を行うための方法である。その方法は、さらに定期的な処置の間にシートを新しいクリアフィルムのシートと取替える方法を含む。
【選択図】なし

Description

【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
この出願は、2002年5月23日に出願された「レーザー処置におけるゲルシートの使用」、シリアルナンバー60/382,373と題された米国仮出願による優先権を請求し、これによりその内容を援用して本明細書の一部とする。
【0002】
本発明は、一概に対象のレーザー処置に関する。
【背景技術】
【0003】
レーザーは、数十年にわたり医療適用で使用されてきた。レーザーは瘢痕組織の減少及び皮膚の表面外観を改良する能力のために、皮膚科学の適用において特に有効である。例えば、光熱レーザー(PTL)装置は、管障害、いくらかの良性色素沈着障害、入れ墨の除去のような皮膚科学の適用、並びに毛の除去にも利用できる先端処置を提供することができる。しかしながら多くの問題がPTL装置の使用と関係している。
【0004】
PTL装置は高温で作動し、当然処置を受けている対象を不快又は苦しい感覚にさせる。結果として処置の応諾及び成功率が減少し、処置に伴う時間が増大する。
【0005】
この問題の解決を試みるために、冷却送風機(クーリングファン)、アイスパック又は冷蔵ユニットが、レーザーを適用する前に使用されてきた。しかしながら、そのような冷却プロセスの適用は処置をかなり複雑にする。さらに最近、レーザー処置が適用される前に、液体窒素の「ショット(shots)」が皮膚に短く注がれてきた。これらの技術は、集中的な作業及び時間浪費であり、習慣の決まりきった課程を崩し、対象にとって結局不快又はなおとても苦痛であるために不十分である(例:液体窒素適用)。
【0006】
さらに、あらかじめ冷やした皮膚におけるPTL処置はあまり効果的でないことがわかっている。レーザー適用の前に深く冷却された皮膚表面は、それほど深く冷却されていない表面よりもよりゆっくり反応し、そして光熱分解に対してあまり都合よくない。従って、エネルギー密度はしばしば、レーザーによる所望の効果を達成するために上げる必要があり、これは次に対象が感じる痛みを増す。
【0007】
有効なPTL処置は皮膚の透明性を要求し、これが二番目の問題である。PTLは可視光の異なる波長を利用し、皮膚の標的領域(すなわち深い表皮並びに真皮)で最良の効果を達成するために、皮膚表面は、処置されるべき組織までレーザービームを透過可能にするためできるだけ透明性でなければならない。透明性が高いほど、上首尾の処置に必要なエネルギー密度はより小さくなり、傷つけられるべきでない表面上皮に引き起こされる損傷はより小さくなる。これらの状況においてのみ、レーザー処置は外科代替よりも外傷性が少なく、より選択的に効果的である。この点に関する重要な構造は、血管、表皮及び表面真皮における色素沈着、毛小胞並びに外因性色素(入れ墨)である。
【0008】
PTL装置での3番目の問題は、上首尾のレーザー処置を達成するため、また皮膚やけどを伴うことなく、多くのPTL装置が皮膚表面と連続的かつ直接的接触を要求することである。豊富な量の半液体超音波ゲルが、レーザーと連続的かつ直接的接触を可能にするために皮膚に通常適用される。対象にとって見苦しい外観及び不快な感覚に加えて、この場合、レーザー処置がスライムバス(slime bath)中で事実上低下することがある。療法士もまた、接触技術を維持するためにレーザーヘッドの下に十分なゲル残余を確保するために最大の配慮が必要とされる。塗布具(アプリケーター)のみの一定の動きは、一方にゲルを押しやるのに充分で、そこでゲルをすくい上げなければならず、アプリケーターの下に押しもどさなければならない。このプロセスは単調で、時間を浪費し、専門的ではなく、並びに処置されるべき領域の視界をさえぎってしまう。網膜静脈瘤やクーパロース(couperose)のような管変化を処置する技術だけでなく、ホクロ及び多毛性早熟症のための脱毛を処置するような色素沈着処置にも、そのような半液体ゲルは特定の障害とみなされる。半液体ゲルが使用される場合、べたつく層を皮膚上に展開するが、これはレーザー処置の間、透明性及び可視性を減じることにもなる。
【考案の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、対象にとってより有用で、痛み又は不快感が少ないPTL処置を行うための新しく及び改良された方法に対する要請がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、レーザー処置を行うための方法は、固体若しくはゲルのクリアフィルム物質のシートの提供を含み、このシートは当該領域にレーザー処置を行う前の処置されるべき対象の処置を受ける範囲上に適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本方法は、処置されるべき対象の表面の領域にレーザー処置を行うためのものである。その方法は、クリアフィルム物質のシートを提供することを含み、ここでこのクリアフィルム物質のシートは固体又はゲルである。クリアフィルム物質のシートは、処置されるべき対象の表面の領域上に適用される。表面は対象の皮膚表面又は対象の目表面のような処置されるべき対象のいかなる領域でも良い。好ましい実施形態では、本方法は対象の皮膚表面の処置に関する。
【0012】
本発明の実施形態によれば、レーザーで処置されるべき皮膚表面の領域は、シート又はストリップ(strip)形状であってもよい有機透明性ゲルの親水性のクリアフィルムで覆われる。好ましくは、ゲル物質は透明性のフィルムであり、約0.1〜25mmの範囲内の厚さを有し、好ましくは約0.5〜10mm、より好ましくは約1〜5mm範囲内のものである。
【0013】
本発明の実施形態によれば、ゲルは親水性ポリマーと少なくとも一つの高分子量のゲル化可能物質の混合物を含んでいる。特に好ましいゲル組成物とフィルムは、米国特許第4,556,056号、第4,905,705号、及び第5,076,265号に開示されており、各々の全内容を援用して本明細書の一部とする。例として、GELIPERM(登録商標)と呼ばれる市販のポリアクリルイミド寒天ゲルフィルム(polyacrylimide agar gel film)が適切な物質である。GELIPERM(登録商標)は、本発明の譲渡人であるEd Geistlich Soehne AG fuer Chemische Industrie, Wolhusen, Switzerlandの登録商標であり、ここより生産されている。
【0014】
本発明の実施形態によれば、処置の前にクリアフィルムはPTL装置でレーザー処置に付されるべき皮膚表面に適用される。レーザー処置はクリアゲルフィルムを通して皮膚に適用される。
【0015】
本発明の実施形態によれば、適当なサイズ及び厚さのクリアフィルムを提供する段階と、レーザー処置の前に処置されるべき皮膚の領域上に当該フィルムを置くことを含むレーザー処置を行うための方法が提供された。その方法は、さらに処置を通じて定期的にフィルムを新しいクリアフィルムと取替える段階をさらに含んでも良い。
さらなる本発明の適用と利点は、下記で議論される。
【0016】
本発明の実施形態によれば、レーザーが処置される対象の皮膚の領域と一定に接触し続けられ得るように、クリアフィルムが処置の前に皮膚に適用される。処置に使われるレーザーは、アルゴンレーザー、Qスイッチルビーレーザー、ダイオードレーザー(メディオスター:脱毛、及びドルニエ:静脈星)及びアラミス・リンクルレーザー(Aramis wrinkle laser)のような商業的に利用できるPTL装置で良い。許容できるフィルムは、ゲル組成物の中で述べられており、フィルムは米国特許第4,556,056号、第4,905,705号、及び第5,076,265号で開示されており、これは既に援用されて本明細書の一部となっている。しかしながら、その技術分野において通常の知識を有するものは、この中で述べられたような同様の品質と特徴を持つ他のフィルムと取替えられてもよいことを理解するであろう。
【0017】
フィルムシートは、処置されるべき皮膚の領域を覆うために適当なサイズに切断若しくは付形されてよく、又は予め切断若しくは予めサイズに合わされていてもよい。ゲル物質は、透明性のクリアフィルムであるべきで、約0.1〜25mmの範囲内の厚さを有し、好ましくは約0.5〜10mm、より好ましくは1〜5mmの範囲内である。フィルムは使い捨てのものであってもよい。透明性は最適化されるべきである。
【0018】
Geliperm(登録商標)と呼ばれる商業的に利用ができる製品は、極度に高い透明性特徴を有し、それ故に模範的な好ましいフィルムである。レーザーアプリケーター(例:PTL装置)と皮膚表面の間の接触が、体のいかなる部分、例えば鼻の鼻翼やあご先に対しても簡単に維持される。従って、上首尾の適用のために冷却、透明性又は皮膚接触を要求され得るPTLでの処置を、体の全ての部分に問題なく利用することができる。
【0019】
処置の前のフィルムの適用は、皮膚の痛みのない及び持続冷却を可能にする。本発明の一つの新しい結果は、角質(ケラチン)を含む組織の加熱により起こる悪臭の減少である。さらに、熱紅斑を遅らせることができる。一般に通常急速に発症する熱紅斑が、特定領域が妨害無しにレーザーで処置され得る限り遅らす。紅斑はしばしば、小さな管が紅斑で「見えなくなる」ためにそれらを処置することができないという結果を生ずる。従って、紅斑の遅延は血管を処置するとき特に重要である。
【0020】
本発明の実施形態によれば、フィルムは衛生要件も満足しなければならない。フィルムは使い捨ての物品であることができ、理想の冷却、透明性及び接触が常に最適であることを保障するために一回の処置の間に数回取替えられても良い。
【0021】
出願人等は、上首尾の結果を示す重要な試験を行った。100×30×3.3mm寸法のGeliperm(登録商標)ポリアクリルアミド寒天モイストゲルプレートの透明性傷カバー、1Hz 44/Jcm、1Hz 35/Jcm及び1Hz 10/Jcmのテストビーム特性を使う透過(transmission)テストが使用され、これらはGeliperm(登録商標)なしの最終イメージ(final image)と比較してビーム特性に識別できる違いはなかった。
【0022】
【表1】
Figure 2004130065
【0023】
連続手術における加熱テスト
Geliperm(登録商標)をテーパー(taper)上に置き、4Hz 15Jcmで20分間焼いた。20分後、Geliperm(登録商標)に識別できる変化は無く、乾燥は無く、Geliperm(登録商標)の加熱は無い。
【0024】
毛髪燃焼(burning hair)テスト
毛髪のふさ(tufts)をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスク上に置き、Geliperm(登録商標)で覆った。12mmのハンドピース(hand piece)を載せ、1Hz 44J/cmでレーザーを発射した。10ショット後、Geliperm(登録商標)は同じ位置で途中まで燃えた。テーパーに対する損傷は無かった。
【0025】
熱容量テスト(皮膚接触なし)
測定は、室温22℃において熱電対及びIR温度計をもちいて行った。結果は下記の表に示されている。
【0026】
【表2】
Figure 2004130065
【0027】
熱容量テスト(皮膚接触あり)
IR温度計を用いた測定は室温22℃において行われた。結果は下記表に示される。
【0028】
【表3】
Figure 2004130065
【0029】
皮膚温度テスト
測定はIR温度計を用いて行われ、結果は下記表に示される。
【0030】
【表4】
Figure 2004130065
【0031】
当業者は、接触ゲル又は冷却装置を用いて作用し、冷却若しくはより良い透明性が望ましく、或いはケラチンを含む構造の加熱により生じる臭いの時々の発生が避けられるべきレーザーの使用を、本発明の技術がかなり改良し、簡略化することをたやすく理解するであろう。ポリアクリルアミド寒天モイストゲルは全表面にそれ自身を理想的に形成し、ゲル流出のような不快さ、効果の損失を伴う透過層の薄化又は痛みの増加を起こさない。より短い時間で行う処置は、医者及び対象も同様に液体ゲルを用いるよりもかなり快適であり、完全に衛生的であり、クリーニングの必要性なく、及び鋭敏で高価なレーザー接触表面を守り保護する。処置の間、レーザービームがクリアフィルムを通して通り、処置されるべき皮膚及び構造物にぶつかってもレーザービームの減衰は無い。
【0032】
Geliperm(登録商標)は、皮膚及び傷への医療適用のために改良され、使い捨て物品として利用できる。広い及び小さい領域の全部分が自動的及び素早く処置されることができる。本発明は疑いなく使い易く、並びに対象応諾でもある。テストにおいて、対象は二つの技術、即ち、液体ゲル又は新しい物品を評価し、液体ゲルよりもフィルムを明確に選んだ。
【0033】
このようにして、本発明は引用図を参照して充分に記述されてきた。本発明はこれら好適実施形態に基づいて記述されてきたが、本発明の精神及び範囲内にある限り、一定の改良、変更及び他の構成が明らかとなり得ることは当業者には自明であろう。従って本発明の境界線を決定するためには、添付の請求の範囲に対して言及されるべきである。

Claims (18)

  1. 実質的にクリアなフィルム物質のシートであって、固体若しくはゲルである当該クリアフィルム物質のシートを提供する段階と、
    処置されるべき対象の表面の領域にレーザー処置を行う前に当該領域上にシートを適用する段階と
    を含むレーザー処置を行うための方法。
  2. 前記領域に前記シートを適用した後、前記領域にレーザー処置を行う段階をさらに含み、ここで当該処置の間にレーザービームが前記領域に前記シートを通して当てられる請求項1に記載の方法。
  3. 前記クリアフィルムのシートを第2のクリアフィルムのシートと取替えて、当該第2のクリアフィルムのシートが適用された後にレーザー処置を続ける段階をさらに含む請求項1に記載の方法。
  4. 前記クリアフィルムのシートが親水性の有機透明性ゲルである請求項1に記載の方法。
  5. 前記クリアフィルムのシートがポリアクリルアミド寒天モイストゲルである請求項1に記載の方法。
  6. 前記クリアフィルムのシートがおよそ0.1〜25mmの範囲の厚さを有する請求項1に記載の方法。
  7. 前記クリアフィルムのシートがおよそ0.5〜10mmの範囲の厚さを有する請求項1に記載の方法。
  8. 前記クリアフィルムのシートがおよそ1〜5mmの範囲の厚さを有する請求項1に記載の方法。
  9. 前記クリアフィルムのシートが処置の間、実質的に同じクリアフィルムのシートと定期的に取替えられる請求項1に記載の方法。
  10. 前記クリアフィルムのシートがおよそ0.1〜25mmの範囲の厚さを有する請求項4に記載の方法。
  11. 前記クリアフィルムのシートがおよそ0.5〜10mmの範囲の厚さを有する請求項4に記載の方法。
  12. 前記クリアフィルムのシートがおよそ1〜5mmの範囲の厚さを有する請求項4に記載の方法。
  13. 前記表面が皮膚である請求項1に記載の方法。
  14. 処置されるべき対象における皮膚の領域を決定する段階と、
    当該領域と実質的に同じサイズ又はより大きなクリアゲルを提供する段階と、
    レーザー皮膚処置の前に当該クリアゲルで当該領域を覆う段階と
    を含むレーザー皮膚処置のための領域を準備する方法。
  15. 処置されるべき対象の表面の領域にレーザー処置を行う前に、当該領域を覆う固体若しくはゲルのクリアフィルム物質のシートを含む医薬製造におけるクリアフィルム物質の使用。
  16. 前記クリアフィルムのシートが親水性の有機透明性ゲルである請求項14に記載の使用。
  17. 前記クリアフィルムのシートがポリアクリルアミド寒天モイストゲルである請求項14に記載の使用。
  18. 前記クリアフィルムのシートがおよそ0.1〜25mmの範囲の厚さを有する請求項14に記載の使用。
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