JP2004129206A - 信号符号化方法、信号復号方法、信号符号化装置、信号復号装置、信号符号化プログラム、及び、信号復号プログラム - Google Patents

信号符号化方法、信号復号方法、信号符号化装置、信号復号装置、信号符号化プログラム、及び、信号復号プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】効率的に符号化できる信号符号化方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る信号符号化方法は、分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析し、その分割区間単位の符号化対象信号を算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値を導出すると共に、符号化対象信号について別にヘッダに付与する既出の情報と該既出の情報に所定の方法によって組合わせる調整値とに確率関連情報の初期値を変換し、該調整値を設定情報として導出する設定情報導出ステップと、設定情報及び既出の情報に基づいて、分割区間単位における符号化対象信号を算術符号化する符号化ステップと、分割区間単位ごとに算術符号化された信号に設定情報及び既出の情報を含むヘッダを付加する設定情報付加ステップとを備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モバイル映像伝送システムなどの画像伝送システムに好適に適用することが可能な信号符号化方法、信号復号方法、信号符号化装置、信号復号装置、及び信号伝送システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、動画像の符号化方式として、ITU−T H.26xシリーズやISO/IEC MPEGシリーズなどの国際標準化動画像符号化方式が知られている。これらの動画像符号化方式においては、フレーム画像を分割したマクロブロックのそれぞれの画像に対して、動き補償(MC:Motion Compensation)や離散コサイン変換(DCT:Discrete Cosine Transform)などの所定のデータ変換操作を行うことによって、符号化対象となる画像データが作成される。
【0003】
また、データ変換操作によって作成された画像データは、さらにエントロピー符号化されて、画像伝送に用いられる圧縮データである符号化データとなる。このようなエントロピー符号化方法の1つとして、算術符号化(AC:ArithmeticCoding)が用いられている。以下、算術符号化の概要について述べるが、算術符号化の詳細については、M.ネルソン/J.−L.ゲィリー著 萩原剛志/山口英訳「データ圧縮ハンドブック」等を参照されたい。
【0004】
一般に、複数種類のシンボルを組み合わせた情報源系列(シンボル系列)に対して算術符号化を行う場合、まず、[0.0,1.0)の数直線(確率数直線)上において、それぞれのシンボルに対して、シンボルの出現確率に応じて一定の区間を割り当てる。このとき、シンボルと数直線上の区間との対応関係を表したものは、確率テーブルと呼ばれる。算術符号化によって情報源系列をエントロピー符号化する際には、この確率テーブルを参照することによって、情報源系列を数直線上で表現した符号語が生成される。
【0005】
ここで、図14〜図16を参照して、算術符号化について説明する。具体的には、文字列「ARITHMETIC」を符号化対象の情報源系列とし、その算術符号化を例として説明する。
【0006】
上記した情報源系列内には、A、C、E、H、I、M、R、Tの8種類の文字(シンボル)が現れる。これらの文字に対し、図14の表に示すように、[0.0,1.0)の数直線(確率数直線)上で、文字列における各文字の出現確率に比例した区間長となるようにそれぞれ区間を割り当てる。この文字と数直線上の区間との対応関係を表す図14に示した表が、算術符号化に用いられる確率テーブルとなる。
【0007】
図15は、図14に示した確率テーブルを用いた文字列「ARITHMETIC」の符号化について示す図である。算術符号化においては、確率テーブルに基づいた区間縮小操作を、情報源系列に含まれる各シンボルに対して順次行うことによって、情報源系列を符号化した符号語を生成する。
【0008】
図15に示した例では、まず、符号化対象である文字列「ARITHMETIC」の第1の文字「A」に対して、図14に示した確率テーブルを参照して、数直線上の区間[0,1)を各文字に対応する8個の区間に区分する。そして、それらの区間のうちで、文字「A」に対応する区間[0.0,0.1)へと区間を縮小する。次に、第2の文字「R」に対して、確率テーブルを参照して、区間[0.0,0.1)を8個の区間に区分する。そして、それらの区間のうちで、文字「R」に対応する区間[0.07,0.08)へと区間を縮小する。
【0009】
以下、この区間縮小による符号化操作を各文字に対して順次行っていく。そして、最終的に得られた数直線上の区間[0.0757451536,0.0757451552)において、その区間内にある数値「0.0757451536」が、文字列「ARITHMETIC」を算術符号化した符号語として生成される。
【0010】
図16は、図14に示した確率テーブルを用いた符号語「0.0757451536」の文字列「ARITHMETIC」への復号について示す図である。
【0011】
図16に示した例では、まず、復号対象である符号語「0.0757451536」に対して、図14に示した確率テーブルを参照して、符号語が含まれている区間長0.1の区間[0.0,0.1)を特定する。そして、特定された区間に対応する文字「A」を第1の文字として出力するとともに、(符号語−下限)/(区間長)によって、新たな符号語「0.757451536」を生成する。次に、符号語「0.757451536」に対して、確率テーブルを参照して、符号語が含まれている区間長0.1の区間[0.7,0.8)を特定する。そして、特定された区間に対応する文字「R」を第2の文字として出力するとともに、新たな符号語「0.57451536」を生成する。
【0012】
以下、この復号操作を符号語に対して順次行っていく。そして、算術符号化された符号語「0.0757451536」から、文字列「ARITHMETIC」が復元される。
【0013】
このように、算術符号化を用いた情報源系列のエントロピー符号化では、情報源系列に含まれるシンボルと数直線上の区間とを対応付けることにより、任意の情報源系列を[0.0,1.0]の数直線上の符号語によって表現することができる。また、シンボルと区間とを対応付ける確率テーブルを各シンボルの出現確率に応じて設定することにより、情報源系列のエントロピー符号化を効率良く行って、符号化によるデータ圧縮の効率を向上することができる。
【0014】
【非特許文献1】
M.ネルソン/J.−L.ゲィリー著 萩原剛志/山口英訳「データ圧縮ハンドブック」
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
図5は、上述した算術符号化によるエントロピー符号化を用いた動画像符号化方法の一例を示すフローチャートである。図5に示した画像符号化方法では、ITU−T H.26L動画像符号化方式で用いられているコンテキストモデリングを用いたCABAC(Context−based Adaptive Binary Arithmetic Coding)と呼ばれる方法によって、画像データの算術符号化を行っている。ITU−T H.26L動画像符号化方式やCABACについての詳細は、VCEG−M10 H.26L Test Model Long Term Number 8 (TML−8) draft0 を参照されたい。
【0016】
H.26L動画像符号化方式での動画像データの符号化においては、まず、符号化対象の画像を所定サイズの画像ブロックに分割する。この画像ブロックは、データ処理の単位となる画像ブロックであり、マクロブロックと呼ばれる。マクロブロック毎にイントラフレーム符号化(Intra−Frame Coding、フレーム内符号化)やインターフレーム符号化(Inter−Frame Coding、フレーム間符号化)、DCT等の直交変換などの必要なデータ変換操作を行って、マクロブロック内にある画像を表す画像データを生成する。そして、その画像データに対して、算術符号化などを用いてエントロピー符号化を行って、データ圧縮された符号化データが生成する。
【0017】
図5に示した動画像符号化方法においては、特に、あらかじめ固定に設定された条件によって符号化を行うのではなく、マクロブロック毎の画像データを符号化する際に、コンテキストモデリングを行っている(ステップS901、Context Modeling)。コンテキストモデリングを用いた算術符号化では、画像データの符号化に用いる確率テーブルについて、符号化対象のマクロブロックの画像データに対して適用する確率テーブルが、隣接するマクロブロックでの画像符号化の処理結果などの符号化条件を参照して切り換えて設定される。
【0018】
コンテキストモデリングによる確率テーブルの設定を終了したら、符号化対象の画像データ(例えば複数のDCT係数)を2値化して、算術符号化を行うべきデータ系列を生成する(S902、Binarization)。そして、2値化されたデータ系列に対して算術符号化を行って(S903、Adaptive Binary Arithmetic Coding)、符号化データを得る。
【0019】
具体的には、2値化されたデータ系列の各ビットに対し、コンテキストモデリングによって設定された確率テーブルを割り当てて確率評価を行う(S904、Probability Estimation)。そして、割り当てられた確率テーブルを用いてデータ系列を算術符号化し、符号化データである数直線上の符号語を生成する(S905、Arithmetic Coding)。また、算術符号化の処理結果に基づいて、符号化したビットの発生頻度などの情報を確率テーブルへとフィードバックすることによって確率評価を更新し、符号化の傾向を確率テーブルに反映させる(S906、Probability Estimation Update)。
【0020】
コンテキストモデリングを用いた算術符号化による上記の動画像符号化方法によれば、符号化条件や処理結果に応じて使用する確率テーブルを切り換えることによって、符号化データでの冗長度を低減することが可能である。
【0021】
ここで、フレーム画像を符号化して得られる符号化データでは、フレーム画像に対応するフレームレイヤに対して、フレームレイヤを1または複数のスライスレイヤに分割して符号化データを作成する場合がある。スライスレイヤは、それぞれのスライスの単位で単独で復号することができるように構成されて、同期コードが付加されたり、パケット化されたりして伝送される。したがっていずれかのスライスにて伝送中に誤りが発生してデータが失われても、次のスライス以降では復号を再開することができる。
【0022】
また各スライスにおいては、算術符号化に適用される確率テーブルが初期化される。この確率テーブルの初期化は、上記した同期の回復と同様に、エラーの発生により復号不能となった算術符号化情報を復号可能にするなどの効果がある。
【0023】
この初期化に用いられる確率テーブルの値として、通常は符号化対象の動画像によらず、平均的な一定値が用いられる。このため、符号化対象の画像によってはその性質が平均的な画像の性質から大きく外れているために、確率テーブルの初期値として適切でない場合がある。このような場合、CABACでは、符号化を進めながら符号化対象信号に含まれるシンボルの発生割合に基づいて確率テーブルを更新させる。これにより、画像の性質に適した確率テーブルへと学習させていくことができ、最終的には適切な確率テーブルによって効果的に算術符号化を行うことができる。しかしながら、確率テーブルの更新が十分なされる前の学習途上においては、効率的に算術符号化を行うことができない。特に、利用頻度が少なく、更新が十分になされないような確率テーブルにおいては、確率テーブルの学習が十分になされず、効率的な符号化を行うことは困難である。また、確率テーブルは、分割単位ごとに初期化が行われるので、分割単位ごとに確率テーブルを学習させる必要がある。このため、前述したような学習期間が伝送中に定期的に数多く発生し、符号化が非効率になる。
【0024】
そこで、本発明は上記課題を解決し、効率的に符号化できる信号符号化方法、信号符号化装置、及び信号符号化プログラム、符号化された信号を効率的に復号できる信号復号方法、信号復号装置、及び信号復号プログラムを提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明に係る信号符号化方法は、符号化の対象となる符号化対象信号を分割し、その分割区間単位の先頭で初期化された確率関連情報に基づいて算術符号化を行う信号符号化方法であって、(1)上記分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析し、その分割区間単位の符号化対象信号を算術符号化する際に用いられる上記確率関連情報の初期値を導出すると共に、上記符号化対象信号について別にヘッダに付与する既出の情報と該既出の情報に所定の方法によって組合わせる調整値とに上記確率関連情報の初期値を変換し、該調整値を設定情報として導出する設定情報導出ステップと、(2)上記設定情報及び上記既出の情報に基づいて、上記分割区間単位における符号化対象信号を算術符号化する符号化ステップと、(3)上記分割区間単位ごとに算術符号化された信号に上記設定情報及び上記既出の情報を含むヘッダを付加する設定情報付加ステップとを備えることを特徴とする。
【0026】
同様に、本発明に係る信号符号化装置は、符号化の対象となる符号化対象信号を分割し、その分割区間単位の先頭で初期化された確率関連情報に基づいて算術符号化を行う信号符号化装置であって、(1)上記分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析し、その分割区間単位の符号化対象信号を算術符号化する際に用いられる上記確率関連情報の初期値を導出すると共に、上記符号化対象信号について別にヘッダに付与する既出の情報と該既出の情報に所定の方法によって組合わせる調整値とに上記確率関連情報の初期値を変換し、該調整値を設定情報として導出する設定情報導出手段と、(2)上記設定情報導出ステップにおいて導出された設定情報及び上記既出の情報に基づいて、上記分割区間単位における符号化対象信号を算術符号化する符号化手段と、(3)上記分割区間単位ごとに算術符号化された信号に上記設定情報及び上記既出の情報を含むヘッダを付加する設定情報付加手段とを備えることを特徴とする。
【0027】
同様に、本発明の信号符号化プログラムは、符号化の対象となる符号化対象信号を分割し、その分割区間単位の先頭で初期化された確率関連情報に基づいて算術符号化を行うための信号符号化プログラムであって、コンピュータに、(1)上記分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析し、その分割区間単位の符号化対象信号を算術符号化する際に用いられる上記確率関連情報の初期値を導出すると共に、上記符号化対象信号について別にヘッダに付与する既出の情報と該既出の情報に所定の方法によって組合わせる調整値とに上記確率関連情報の初期値を変換し、該調整値を設定情報として導出する設定情報導出ステップと、(2)上記設定情報及び上記既出の情報に基づいて、上記分割区間単位における符号化対象信号を算術符号化する符号化ステップと、(3)上記分割区間単位ごとに算術符号化された信号に上記設定情報及び上記既出の情報を含むヘッダを付加する設定情報付加ステップとを実行させることを特徴とする。
【0028】
これらの発明によれば、各分割区間単位において確率関連情報の初期値を導出するための上記の既出の情報と設定情報とがヘッダに含められるで、分割区間単位ごとに異なる確率関連情報の初期値を用いて符号化を行うことができる。そして、各分割区間単位において用いられる設定情報は、それぞれの分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析することによって導出されているので、それぞれの分割区間単位の符号化対象信号に応じて、効率良く符号化できる設定情報を用いることができる。
【0029】
また、本発明に係る信号復号方法は、符号化信号を分割区間単位に逆算術符号化する信号復号方法であって、(1)上記符号化信号のヘッダに既出の情報と、該既出の情報に所定の方法によって組合わせることによって上記分割区間単位の符号化対象信号を逆算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値を導出するための情報であり上記符号化信号のヘッダに含まれる設定情報とに基づいて、確率関連情報の初期値を設定する初期値設定ステップと、(2)上記初期値設定ステップにおいて初期値が設定された確率関連情報に基づいて分割区間単位ごとに符号化信号の逆算術符号化を行う逆算術符号化ステップとを備えることを特徴とする。
【0030】
また、本発明に係る信号復号装置は、符号化信号を分割区間単位に逆算術符号化する信号復号装置であって、(1)上記符号化信号のヘッダに既出の情報と、該既出の情報に所定の方法によって組合わせることによって上記分割区間単位の符号化対象信号を逆算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値を導出するための情報であり上記符号化信号のヘッダに含まれる設定情報とに基づいて、確率関連情報の初期値を設定する初期値設定手段と、(2)上記初期値設定ステップにおいて初期値が設定された確率関連情報に基づいて分割区間単位ごとに符号化信号の逆算術符号化を行う逆算術符号化手段とを備えることを特徴とする。
【0031】
また、本発明に係る信号復号プログラムは、符号化信号を分割区間単位に逆算術符号化するための信号復号プログラムであって、コンピュータに、(1)上記符号化信号のヘッダに既出の情報と、該既出の情報に所定の方法によって組合わせることによって上記分割区間単位の符号化対象信号を逆算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値を導出するための情報であり上記符号化信号のヘッダに含まれる設定情報とに基づいて、確率関連情報の初期値を設定する初期値設定ステップと、(2)上記初期値設定ステップにおいて初期値が設定された確率関連情報に基づいて分割区間単位ごとに符号化信号の逆算術符号化を行う逆算術符号化ステップとを実行させることを特徴とする。
【0032】
このようにヘッダに含まれる上記の既出の情報と設定情報とに基づいて確率関連情報の初期値を設定し、設定された初期値に基づいて分割区間単位ごとに符号化信号の逆算術符号化を行うことにより、それぞれの分割区間単位について設定情報によって符号化された信号を復号することができる。
【0033】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る信号符号化方法は、符号化の対象となる符号化対象信号を分割し、複数の状態番号各々に確率関連情報が関連付けられた状態遷移図を用いて、分割された区間ごとに符号化対象信号を算術符号化する信号符号化方法であって、(1)上記分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析し、その分割区間単位の符号化対象信号を算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値を導出すると共に、上記符号化対象信号について別にヘッダに付与する既出の情報に基づいて導出する値と該値に所定の方法によって組合わせる調整値とに上記確率関連情報の初期値が関連付けられた状態番号を変換し、該調整値を設定情報として導出する設定情報導出ステップと、(2)上記設定情報導出ステップにて導出された確率関連情報の初期値に基づいて、上記分割区間単位における符号化対象信号を算出符号化する符号化ステップと、(3)上記分割区間単位ごとに算術符号化された信号に上記既出の情報及び上記設定情報を含むヘッダを付加する設定情報付加ステップとを備えることを特徴とする。
【0034】
同様に、本発明に係る信号符号化装置は、符号化の対象となる符号化対象信号を分割し、複数の状態番号各々に確率関連情報が関連付けられた状態遷移図を用いて、分割された区間ごとに符号化対象信号を算術符号化する信号符号化装置であって、(1)上記分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析し、その分割区間単位の符号化対象信号を算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値を導出すると共に、上記符号化対象信号について別にヘッダに付与する既出の情報に基づいて導出する値と該値に所定の方法によって組合わせる調整値とに上記確率関連情報の初期値が関連付けられた状態番号を変換し、該調整値を設定情報として導出する設定情報導出手段と、(2)上記設定情報導出ステップにて導出された確率関連情報の初期値に基づいて、上記分割区間単位における符号化対象信号を算出符号化する符号化手段と、(3)上記分割区間単位ごとに算術符号化された信号に上記既出の情報及び上記設定情報を含むヘッダを付加する設定情報付加手段とを備えることを特徴とする。
【0035】
同様に、本発明に係る信号符号化プログラムは、符号化の対象となる符号化対象信号を分割し、複数の状態番号各々に確率関連情報が関連付けられた状態遷移図を用いて、分割された区間ごとに符号化対象信号を算術符号化するための信号符号化プログラムであって、コンピュータに、(1)上記分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析し、その分割区間単位の符号化対象信号を算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値を導出すると共に、上記符号化対象信号について別にヘッダに付与する既出の情報に基づいて導出する値と該値に所定の方法によって組合わせる調整値とに上記確率関連情報の初期値が関連付けられた状態番号を変換し、該調整値を設定情報として導出する設定情報導出ステップと、(2)上記設定情報導出ステップにて導出された確率関連情報の初期値に基づいて、上記分割区間単位における符号化対象信号を算出符号化する符号化ステップと、(3)上記分割区間単位ごとに算術符号化された信号に上記既出の情報及び上記設定情報を含むヘッダを付加する設定情報付加ステップとを実行させることを特徴とする。
【0036】
これらの発明によれば、各分割区間単位において符号化対象信号の算術符号化に用いられる確率関連情報の初期値と関連付けられている初期の状態番号を導出するための上記の既出の情報と設定情報とがヘッダに含められるで、分割区間単位ごとに異なる確率関連情報の初期値を用いて符号化を行うことができる。そして、各分割区間単位において用いられる設定情報は、それぞれの分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析することによって導出されているので、それぞれの分割区間単位の符号化対象信号に応じて、効率良く符号化できる設定情報を用いることができる。
【0037】
また、本発明に係る信号復号方法は、複数の状態番号各々に確率関連情報が関連付けられた状態遷移図を用いて、符号化信号を分割区間単位に逆算術符号化する信号復号方法であって、(1)上記分割区間単位の符号化対象信号を逆算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値が関連付けられている初期の状態番号を所定の方法によって導出するために上記符号化信号のヘッダに含められた既出の情報及び該既出の情報に組合わせる設定情報とに基づいて、初期の状態番号を導出する初期値設定ステップと、(2)上記初期の状態番号に関連付けられている確率関連情報に基づいて上記符号化信号を逆算出符号化する逆算術符号化ステップとを備えることを特徴とする。
【0038】
また、本発明に係る信号復号装置は、複数の状態番号各々に確率関連情報が関連付けられた状態遷移図を用いて、符号化信号を分割区間単位に逆算術符号化する信号復号装置であって、(1)上記分割区間単位の符号化対象信号を逆算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値が関連付けられている初期の状態番号を所定の方法によって導出するために上記符号化信号のヘッダに含められた既出の情報及び該既出の情報に組合わせる設定情報とに基づいて、初期の状態番号を導出する初期値設定手段と、(2)上記初期の状態番号に関連付けられている確率関連情報に基づいて上記符号化信号を逆算出符号化する逆算術符号化手段とを備えることを特徴とする。
【0039】
また、本発明に係る信号復号プログラムは、複数の状態番号各々に確率関連情報が関連付けられた状態遷移図を用いて、符号化信号を分割区間単位に逆算術符号化するための信号復号プログラムであって、コンピュータに、(1)上記分割区間単位の符号化対象信号を逆算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値が関連付けられている初期の状態番号を所定の方法によって導出するために上記符号化信号のヘッダに含められた既出の情報及び該既出の情報に組合わせる設定情報とに基づいて、初期の状態番号を導出する初期値設定ステップと、(2)上記初期の状態番号に関連付けられている確率関連情報に基づいて上記符号化信号を逆算出符号化する逆算術符号化ステップとを実行させることを特徴とする。
【0040】
このようにヘッダに含まれる上記の既出の情報と設定情報とに基づいて確率関連情報の初期値が関連付けられている初期の状態番号を導出することができ、この初期の状態番号に関連付けられている確率関連情報を用いて分割区間単位ごとに符号化信号の逆算術符号化を行うことにより、それぞれの分割区間単位について設定情報によって符号化された信号を復号することができる。
【0041】
また、本発明に係る信号符号化方法は、符号化の対象となる符号化対象信号を分割し、その分割区間単位の先頭で初期化された確率関連情報に基づいて算術符号化を行う信号符号化方法であって、(1)上記分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析し、その分割区間単位の符号化対象信号を算術符号化する際に用いられる上記確率関連情報を初期化するための初期値に関する情報を設定情報として導出する設定情報導出ステップと、(2)上記設定情報に基づいて、上記分割区間単位における符号化対象信号を算術符号化する符号化ステップと、(3)上記分割区間単位ごとに算術符号化された信号に上記設定情報を含むヘッダを付加する設定情報付加ステップとを備え、上記設定情報導出ステップでは、符号化対象信号を分析することによって導出された確率関連情報の初期値と、符号化対象信号の既出の情報として別にヘッダに付与する情報を、所定の方法によって組み合わせることによって上記設定情報を導出することを特徴とする。
【0042】
この発明によれば、各分割区間単位において確率関連情報の初期値を導出するための上記の既出の情報と設定情報とがヘッダに含められるで、分割区間単位ごとに異なる確率関連情報の初期値を用いて符号化を行うことができる。そして、各分割区間単位において用いられる設定情報は、それぞれの分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析することによって導出されているので、それぞれの分割区間単位の符号化対象信号に応じて、効率良く符号化できる設定情報を用いることができる。
【0043】
また、本発明に係る信号復号方法は、符号化信号を分割区間単位に逆算術符号化する信号復号方法であって、(1)上記分割区間単位の符号化対象信号を逆算術符号化する際に用いられる確率関連情報を初期化するための初期値に関する情報であり符号化信号に付加されたヘッダに含まれる設定情報に基づいて確率関連情報の初期値を設定する初期値設定ステップと、(2)上記初期値設定ステップにおいて初期値が設定された確率関連情報に基づいて分割区間単位ごとに符号化信号の逆算術符号化を行う逆算術符号化ステップとを備え、上記初期値設定ステップにおいて、符号化信号に付加されたヘッダに含まれる設定情報と、符号化信号のヘッダにて既出である情報を所定の方法により組み合わせて確率関連情報の初期値を設定することを特徴とする。
【0044】
このようにヘッダに含まれる上記の既出の情報と設定情報とに基づいて確率関連情報の初期値を設定し、設定された初期値に基づいて分割区間単位ごとに符号化信号の逆算術符号化を行うことにより、それぞれの分割区間単位について設定情報によって符号化された信号を復号することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、図面とともに本発明による信号符号化方法、信号復号方法、信号符号化装置、信号復号装置、及びそれを用いた信号伝送システムの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0046】
まず、本実施形態に係る信号符号化方法について説明する。ここでは、動画像(映像情報)に所定のデータ変換操作を行うことによって得られた映像符号化関連信号を算術符号化する動画像符号化方法を例として説明する。
【0047】
図1は、本実施形態に係る動画像符号化方法を概略的に示すフローチャートである。符号化方法は、動画像でのフレーム画像である入力フレーム画像D1に対して所定のデータ変換操作及び符号化操作を行って、動画像伝送システムにおいて伝送可能なデータ圧縮された符号化データD7を生成する動画像符号化方法である。
【0048】
まず、入力フレーム画像D1を所定サイズ(所定の画素数)のマクロブロックに分割し(ステップS100)、フレーム画像D1内にあるマクロブロックのそれぞれの画像に対して所定のデータ変換操作を行って、符号化対象となる画像データD6を作成する(S101、変換ステップ)。本実施形態においては、この変換ステップは2つのステップS102、S103からなる。
【0049】
具体的には、フレーム画像D1に対して所定のデータ処理操作を行って画像データを変換し、空間座標によって表された画像データ(空間画像データ)D5とする(ステップS102)。ここで行われるデータ処理操作としては、例えば、動画像でのフレーム画像に対してインターフレーム符号化(フレーム間符号化)を行う場合の動き補償(MC:Motion Compensation)フレーム間予測がある。また、フレーム画像に対してイントラフレーム符号化(フレーム内符号化)を行う場合には、例えば、入力フレーム画像D1の画像データがそのまま空間画像データD5となる。
【0050】
次に、空間画像データD5に対して直交変換操作を行って、空間周波数によって表された画像データ(周波数画像データ)である複数の直交変換係数D6を生成する(S103、直交変換ステップ)。この直交変換は、フレーム画像を分割したマクロブロック毎に行われ、入力フレーム画像D1に含まれる各マクロブロックに対して、それぞれ直交変換係数が得られる。また、この直交変換係数に対して、必要に応じて量子化操作がさらに行われ、エントロピー符号化対象の画像データとなる量子化直交変換係数が生成される。
【0051】
続いて、複数の直交変換係数D6に対して算術符号化を用いてエントロピー符号化を行い、圧縮データである符号化データD7を生成する(S104、符号化ステップ)。すなわち、量子化直交変換係数D6に対して適用する確率テーブル(確率関連情報)を所定の確率テーブルに設定する(S105)。
【0052】
ここで、符号化データD7は、スライスレイヤとフレームレイヤとシーケンスレイヤによる階層構造を有する。スライスレイヤは複数のマクロブロックからなるレイヤ、フレームレイヤは、1または複数のスライスレイヤからなると共にフレーム画像に対応するレイヤ、シーケンスレイヤは符号化データ全体に対応するレイヤである。また、エントロピー符号化に用いられる確率テーブルの初期値は、それぞれのスライスレイヤのデータを効率的に符号化できるように決定されるが、この方法については後述する。そして、設定された確率テーブルを用いて量子化直交変換係数D6を算術符号化して(S106)、符号化データD7とする。そして、符号化データを生成するために用いた確率テーブルの初期値を設定情報として符号化データのヘッダに付加する(S107)。また、S107にて、画像全体もしくはスライス全体を符号化するための条件、例えばフレーム内符号化もしくはフレーム間符号化のいずれかを示すための情報もあわせて付加する。
【0053】
図2は、本発明による動画像符号化装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。以下、図2に示した動画像符号化装置を参照しつつ、図1に示した動画像符号化方法についてさらに説明する。なお、以下においては、符号化対象として動画像符号化装置に入力される入力フレーム画像D1について、主に時系列のフレーム画像からなる動画像を想定している。ただし、本発明による動画像符号化方法及び動画像符号化装置は、図2における動き補償関連のブロック図がないこととして省略すれば、1フレームからなる静画像に対しても同様に適用することが可能である。
【0054】
符号化対象として入力された入力フレーム画像D1は、まず、フレーム画像分割部10によって16画素×16ラインのサイズのマクロブロックへと分割される。なお、後述するDCT(直交変換)では、例えばH.26L符号化方式では、4画素×4ラインのサイズのDCTブロックが用いられる。この場合、1個のマクロブロックは、DCTにおいて、16個の輝度(Luma)ブロックと、8個の色差(Chroma)ブロックとを有する。画像符号化はこれらのブロック毎に行われる。
【0055】
フレーム画像D1は動き検出部11に入力され、マクロブロック内の画像の動きが検出される。動き検出部11は、動きを検出しようとするマクロブロックでの画像データと、参照されるフレーム画像での画像データとを比較して、画像の動きを示す動きベクトルD2を検出する。
【0056】
具体的には、動き検出部11では、符号化済のフレーム画像としてフレームメモリ20に格納されている局所復号画像D8内の所定の画像領域を参照して、現在の符号化対象となっている入力フレーム画像D1のマクロブロックと類似するパターンを見つけ出す。そして、その類似パターンとマクロブロックとの間の空間的な移動量によって、動きベクトルD2を決定する。また、このとき、動き補償について用意された複数の符号化モードから、マクロブロックでの動き補償に用いられる符号化モードが選択される。
【0057】
図3は、動き補償について用意される符号化モードの一例を示す模式図である。この図3に例示した符号化モードでは、動き補償を行わないスキップ(Skip)モード0と、それぞれ異なる動き補償用ブロックへのブロック区分を用いてインターフレーム符号化を行うインターモード1〜7と、それぞれ異なるブロック区分を用いてイントラフレーム符号化を行うイントラモード8、9との10個の符号化モードが用意されている。なお、上記した動きベクトルD2は、インターフレーム符号化を行うインターモード1〜7の各マクロブロックに対して、図3に示した区分された動き補償用ブロック毎に付与される。
【0058】
動きベクトルD2が求められたら、動き補償部12において、動き検出部11からの動きベクトルD2と、フレームメモリ20からの局所復号画像D8とを用いて、動き予測画像を生成する。フレーム画像D1に含まれる全てのマクロブロックについて動きベクトルD2を決定して動き予測画像を生成することにより、入力フレーム画像D1に対する予測フレーム画像D4が得られる。続いて、減算器13において、入力フレーム画像D1と予測フレーム画像D4との間の差分(予測残差)フレーム画像D5が生成される。また、イントラフレーム符号化によるフレーム画像の符号化がなされる場合には、予測フレーム画像D4は作成されず、入力フレーム画像D1がそのままフレーム画像D5とされる。このフレーム画像D5は、入力フレーム画像D1と同様に空間座標によって表された画像データであり、この空間画像データD5が以後の直交変換及び算術符号化の対象となる。
【0059】
フレーム画像D5の画像データは、直交変換部(直交変換手段)14へと入力される。直交変換部14では、空間座標によるフレーム画像D5に対して、マクロブロックに含まれる直交変換ブロック(例えば16個の輝度ブロックと8個の色差ブロック)毎に直交変換が行われる。そして、空間周波数による画像データとして、複数の直交変換係数が生成される。また、この直交変換係数は、量子化部15において所定の量子化パラメータによって量子化されて、算術符号化の対象となる最終的な量子化直交変換係数D6が得られる。
【0060】
図4は、画像データの直交変換について示す図である。フレーム画像D5内にある直交変換用に分割された各ブロックの画像データは空間画像データであり、図4(a)に4×4の画像成分によって例示するように、水平座標と垂直座標とで規定される4×4の空間画像成分a11〜a44によって表される。直交変換部14は、この空間画像データを所定の変換方法で直交変換することによって、図4(b)に示す画像データへと変換する。この画像データは周波数画像データであり、水平周波数と垂直周波数とで規定される4×4の周波数画像成分である直交変換係数f11〜f44によって表される。
【0061】
具体的な直交変換としては、例えば、離散コサイン変換(DCT:Discrete Cosine Transform)を適用することができる。DCTは、フーリエ変換のコサインの項を用いる直交変換であり、画像符号化において多く用いられている。空間画像データに対してDCTを行うことにより、周波数画像データであるDCT係数f11〜f44が生成される。なお、DCTにおいては、例えばH.26L符号化方式では、直交変換用のブロックとして、図4(a)及び図4(b)に示したように4×4のDCTブロックが用いられる。
【0062】
直交変換部14及び量子化部15によって生成された量子化直交変換係数D6は、エントロピー符号化部(符号化手段、設定情報導出手段に相当)16において、所定の確率テーブルを用いた算術符号化によってエントロピー符号化される。これにより、入力フレーム画像D1の圧縮データである符号化データD7が生成される。
【0063】
また、動きベクトルD2及び符号化モード情報D3の算術符号化においては、通常は、量子化直交変換係数D6の算術符号化とは異なる確率テーブルが用いられる。また、量子化直交変換係数D6の算術符号化においても、輝度ブロックの算術符号化と色差ブロックの算術符号化とで、異なる確率テーブルを用いても良い。なお、図示されていないが、画像全体もしくはスライス全体を符号化するための条件、例えばフレーム内符号化もしくはフレーム間符号化のいずれかを示すための情報もあわせてヘッダに付加される。
【0064】
また、直交変換部14及び量子化部15によって生成された量子化直交変換係数D6は、本動画像符号化装置内において、逆量子化部17及び逆直交変換部18によって復号される。そして、復号された画像データと予測フレーム画像D4とが加算器19において加算されて、局所復号画像D8が生成される。この局所復号画像D8はフレームメモリ20に格納されて、他のフレーム画像の動き補償に利用される。
【0065】
次に、算術符号化ステップ(S106、図1参照)についてより詳細に説明する。ここでは、図5を参照しながら算術符号化の一例を説明する。まず、算術符号化に用いる確率テーブルが、コンテクストモデリングによって切り替える数だけ用意されている。本実施形態ではコンテクストモデリングとして隣接するマクロブロックでの画像符号化処理結果(フレーム間なのかフレーム内なのかetc)に応じた複数の確率テーブルを用意する。また一つの確率テーブルには信号[1]の発生頻度を記憶するカウンタaと、信号全体(信号[0]+信号[1]の回数)の発生頻度を記憶するカウンタbが備えられる。まず、スライス内の符号化を始める前に、この確率テーブル全てのカウンタに初期値を代入する。そして、エントロピー符号化部16において、入力された符号化データを元にしたコンテクストモデリング(図5、S901)と、符号化テーブルの2値化処理を行い(図5、S902)、2値化処理された各ビットに対し使用する確率テーブルを決定する。その後適応2値算術符号化部において、まず使用する確率テーブル内のカウンタから信号[1]の発生する確率a/bを算出し、この確率を用いて算術符号化を行う。この算術符号化を行った後、確率テーブルの学習を行うために、使用した確率テーブルのカウンタに対し、符号化したのが信号[0]であった場合には、カウンタbに1を加え、信号[1]であった場合にはカウンタaとbに1を加える。なお、算術符号化の途中結果である区間の上限を保持するバッファの大きさによっては、確率を細かくしてしまうと、計算結果に不備が生ずることがあるので、カウンタbの値が有る一定値になった場合、カウンタa,b共に2で割り、カウンタの値を減らす。この一連の処理をスライス内の全ての符号化データに対して行うことによりCABACによるエントロピー符号化が行える。
【0066】
次に、本実施形態の特徴の一つであるエントロピー符号化における初期値の設定方法について、具体的に説明する。
【0067】
確率テーブルの初期値を符号化対象の動画像の特性に合うような値に設定するには、符号化対象の動画像全体を分析して決定することが望ましい。これを実現する方法を説明する。まず符号化対象の原映像信号に対し動き補償、直交変換等の図1において説明した符号化を進め、算術符号化を行う対象データである量子化直交変換係数や動きベクトル等のデータを作成する。次に作成したデータに対してCABACにおけるコンテクストモデリングと2値化処理を行い、コンテクストモデリングによって割り当てられた各確率テーブルの、[0]と[1]のシンボル発生回数を集計する。このとき実際に算術符号化の処理をする必要はなく、各確率テーブルにおける[0]と[1]の発生頻度がわかればよい。そして、ここで求めた確率テーブルごとのシンボルの発生頻度から、符号化に適した初期値を算出する。なお、この算出の方法としては、[0]と[1]の頻度の比と同程度の整数比となる初期値が得られるような方法であることが望ましい。また、CABACにおいて確率テーブルの表現できる値の最大値を超えないようにする必要がある。例えば、集計の結果が[0]:4000、[1]:1000であり、確率テーブルの採りうる最大値が[0]と[1]合計で50であった場合,設定する初期値は([0]:[1])=(4:1),(8:2),(12:3),・・・,(36:9)のいずれかであることが望ましい.このとき,0と1の発生の傾向が各スライスを通してほぼ一定であるならば,(4:1)のような小さい値ではなく、もっと大きい初期値にして、確率の変動を緩やかにするほうが望ましい。逆にスライスごとに[0]と[1]の発生傾向の変化が大きいときは、初期値を小さくして学習速度が速くなるようにすることが望ましい。
【0068】
また、初期化直後の符号化効率の改善を目指すという観点から、画像全体の代わりに各スライスについてのみ分析し、上記の符号化処理及び集計を行って、初期値を求めても良い。こうすることによって、上記の手法のような映像全体の特徴を見るための符号化処理をより軽減することができ、かつ初期化直後の符号化効率の向上も行える。なお、上記の実施形態では、符号化対象となる画像/スライスを分析して初期値を設定したが、符号化対象となる画像/スライスより前に符号化された画像/スライスの統計量に基づいて初期値を設定してもよい。
【0069】
また、H.26L方式においてはHigh Complexity Modeという最適化手法を用いることができるが、このモード上における上記初期値設定は以下に示す方法により実現できる。図6にHigh Complexity Mode上での処理の流れを示す。
【0070】
High Complexity Modeでは、最初に初期値を設定し(S300)、その初期値に基づいて図3に示すような各符号化モードそれぞれにつき実際に符号化を行って(S302)、その符号化結果による復号画像の品質と符号化するのに必要なビット量を求め、その2つの結果が符号化効率の観点で最も良い符号化モードを選択することを行う(S304)。これにより、初期値を変えない場合での最高の符号化効率を得ることのできる符号化モードを探索することができる。符号化の分割区間単位である1スライスを構成する全てのマクロブロックについて、このフローを繰り返し(S306)、最適な符号化モードを探索する。続いて、本実施形態の初期値設定を当モードにて行う場合には、選択されたモードの結果について各確率テーブル内のカウンタに記録された回数を集計しておき(S308)、1つのスライス内の全てのマクロブロックについての計算が終了したあとで、最終的に得られたカウンタの値に基づき、各確率テーブルの初期値を算出する(S310)。次に、算出された初期値とステップS300においてあらかじめ設定された初期値との差に基づいて、初期値の最適化を行うかどうかを判定する(S312)。最適化を続けないと判定された場合には、算出された初期値によって再度そのスライスについてのHigh Complexity Modeによる符号化を行う(S314)。こうすることにより、最適な初期値探索と同時にHigh Complexity Modeによる符号化を行うことができる。また、この作業を、そのスライスについて、設定した確率テーブルの初期値と、上記算出後に最終的に得られる確率テーブルの値とが一定範囲内に収束するまで行うことにより、最適な初期値と、その初期値による効率最大の符号化結果を得ることができる符号化モードを探索できる。
【0071】
なお、ここで説明した初期値の算出方法は本実施形態の一例であり、他の方法によって初期値を算出することとしても良い。例えば、初期値となるべきいくつかの候補値と、それらの候補値を使うことが適当であるような動画像の信号値変動の性質との関係を調べておき、符号化時には事前符号化をせず、符号化すべき動画像の信号値変動の解析のみを行い、それから用いられるべき初期値を判断するようにしても良い。
【0072】
また本実施形態ではITU−T H.26L動画像符号化方式に準じた構成について述べたが、本発明はH.26L方式あるいは動画像符号化方式に限定されることはなく、符号化対象信号に対して分割区間単位での算術符号化が行われ、かつ区間毎に算術符号化の確率関連情報が初期化されるような、様々な信号符号化方式に適用可能である。
【0073】
次に、設定情報付加部(設定情報付加手段に相当)30が確率テーブルの初期値に関する設定情報をヘッダに付加する方法について説明する。
【0074】
設定情報をヘッダに含ませる手法としては、初期値を2値化し、それをそのまま固定長の符号として含ませることとしてもよいし、ハフマン符号等によるエントロピー符号化を用いて伝送しても良い。ハフマン符号を利用する場合には例えばH.26Lで用いられている、UVLC(Universal VLC)を用いても良い。UVLCによる符号化の例を図7に挙げる。図7のように定義すれば、どのような初期値でも符号化することができる。なお、設定情報を通知するタイミングは、対象のレイヤ内の算術符号化データより前である必要がある。シーケンスレイヤのヘッダに設定情報を付加した場合のデータ伝送の例について図8を参照しながら説明する。
【0075】
図8によれば、シーケンスの符号化を開始し(S400)、前述の初期値決定を行った後(S402)、決定した初期値を出力する(S404)。その後、フレームレイヤの符号化を開始し(S406)、続いてスライスレイヤの符号化を開始する(S408)。スライスレイヤの符号化において、決定した初期値によって確率テーブルの初期化を行い(S410)、その確率テーブルを用いてスライスレイヤ内の算術符号化を行う(S412)。算術符号化が終了すると、算術符号化済データを通知し(S414)、スライスレイヤの符号化が終了する(S416)。以下、同様にしてフレーム内の全てのスライスレイヤを符号化するまで繰り返し符号化を行い(S418)、フレームレイヤの符号化が終了すると(S420)、同様にしてシーケンス内の全てのフレームレイヤを符号化するまで繰り返し符号化を行い(S422)、全てのフレームを符号化するとシーケンスレイヤの符号化は終了する(S424)。
【0076】
図23は、図8に示す処理によって生成されるデータフォーマットを示す。図23に示すデータフォーマットには、シーケンスヘッダ1010と、フレームヘッダ1011と、スライスヘッダ1012及び1014、スライスの画像データ1013及び1015と、設定情報の符号化データ1016とが含まれている。シーケンスヘッダ1010は、シーケンスの開始を示すものである。シーケンスヘッダ1010には、例えば、画像サイズ、順次走査か飛び越し操作かといったシーケンス全体に関する共通情報が格納される。フレームヘッダには、フレーム内符号化もしくはフレーム間符号化といった符号化の種類を示す情報のようにフレーム画像に関する共通情報が格納される。図23においては、シーケンスの第1フレームのフレームヘッダ1011が示されている。スライスヘッダには、スライスにおけるデータを量子化するための量子化ステップ初期値といったスライスに関する共通情報が格納される。図23においては、第1フレームにおける第1スライスのスライスヘッダ1012と、第2スライスのスライスヘッダ1014が示されている。図8に示す処理では、算術符号化に用いられる初期値に関する設定情報の符号化データ1016は、シーケンスヘッダ1010内に格納される。
【0077】
本実施形態では確率テーブルの初期値の情報をシーケンスヘッダに含ませて通知することとしているが、シーケンスレイヤよりも下位のレイヤにあたるフレームレイヤ、スライスレイヤのヘッダに設定情報を入れるようにしても良い。この場合、シーケンスヘッダに入れる場合に比べて頻繁に設定情報を変動させることができるため、シーンチェンジにより途中で映像の特徴が大きく変わることが頻繁にある動画像や、動きが激しく同じフレーム内で動画像の特徴が大きく変わるような動画像の場合などのように、同一シーケンスの中でも確率テーブルの初期化時に用いられるべき設定情報を様々に変化させた方がよい場合に効果がある。この場合、初期値は当該フレーム・スライス内の符号化結果をもとにフレーム毎、スライス毎に判断することが望ましい。
【0078】
なお、各フレームレイヤ・スライスレイヤに設定情報を入れると、追加する設定情報の情報量が初期値を変更することによる効果分より大きくなってしまい、全体として符号化効率が上がらなくなるということもある。そのため、設定情報の変更があるか否かを示すフラグを各フレームレイヤのヘッダまたは各スライスレイヤのヘッダ、あるいはその両方に含ませることとし、初期値の変更による効果が十分ある場合には、フラグをONにするとともに設定情報を通知し、効果が少ないと判断される場合にはフラグをOFFとして設定情報は通知しないようにすることとしても良い。この際、初期値を通知しないとしたときに初期化に用いる設定情報としては、直前のスライスやフレームにおいて用いた設定情報でもよいし、シーケンスレイヤやフレームレイヤなど、より上位のレイヤにて決定された設定情報でもよい。前者であれば、動画像にシーンチェンジによる性質変動が生じて、変更した初期値が長く用いられる場合に有効であるし、後者であれば、動画像の性質変化が局所的なものであり、変更した初期値により効率的な符号化が可能となるのが、当該スライスもしくは当該フレームのみとなる場合に効果がある。また、これらの初期値を変更しない場合に用いられる設定情報の判別方法として、以下のような方法を用いることにより、明示的に通知せずとも符号化側と復号側とで設定情報の判別を一致させることができる。すなわち、通常は設定情報の変更が当該スライスのみにて用いられることとして後者のようにより上位のレイヤにて決定された設定情報に回復されることとし、設定情報の変更が複数のスライスもしくはフレームに連続しその回数が一定の閾値を越えた際には、設定情報が持続的に変化したものとして前者のように直前のスライスやフレームにおいて用いた設定情報が用いられることとすることができる。
【0079】
次に、スライスのヘッダにて設定情報を通知する場合の符号化及びデータ排出手法の一例に関するフローを図9に示す。まず、シーケンスレイヤの符号化が開始され(S500)、続いて、シーケンスレイヤ内のフレームレイヤの符号化が開始され(S502)、さらに、フレームレイヤ内のスライスレイヤの符号化が開始される(S504)。まず、スライスレイヤを初期化するための初期値を設定し(S506)、設定された初期値が通知され(S508)、その初期値によって確率テーブルが初期化される(S510)。初期値が設定された確率テーブルによってスライスレイヤの算術符号化が行われ(S512)、算出符号化が終了すると算術符号化済データが通知され(S514)、スライスレイヤの符号化が終了する(S516)。以下、同様にしてフレーム内の全てのスライスレイヤを符号化するまで繰り返し符号化を行い(S518)、フレームレイヤの符号化が終了すると(S520)、同様にしてシーケンス内の全てのフレームレイヤを符号化するまで繰り返し符号化を行い(S522)、全てのフレームを符号化するとシーケンスレイヤの符号化は終了する(S524)。
【0080】
図24は、図9に示す処理によって生成されるデータフォーマットを示す。図24に示すデータフォーマットには、シーケンスヘッダ1020と、フレームヘッダ1021と、スライスヘッダ1022及び1024、スライスの画像データ1023及び1025と、設定情報の符号化データ1026及び1027とが含まれている。シーケンスヘッダ1020は、シーケンスの開始を示すものである。シーケンスヘッダ1020には、例えば、画像サイズ、順次走査か飛び越し操作かといったシーケンス全体に関する共通情報が格納される。フレームヘッダには、フレーム内符号化もしくはフレーム間符号化といった符号化の種類を示す情報のようにフレーム画像に関する共通情報が格納される。図24においては、シーケンスの第1フレームのフレームヘッダ1021が示されている。スライスヘッダには、スライスにおけるデータを量子化するための量子化ステップ初期値といったスライスに関する共通情報が格納される。図24においては、第1フレームにおける第1スライスのスライスヘッダ1022と、第2スライスのスライスヘッダ1024が示されている。図9に示す処理では、算術符号化に用いられる初期値に関する設定情報の符号化データ1026、1027はそれぞれ、対応するスライスへッダ1022、1024に格納される。
【0081】
なお、フレームレイヤのヘッダにて設定情報を通知する場合に関しても、初期値決定と初期値情報通知をフレームレイヤの開始とスライスレイヤ開始の間に行うようにすればよい。
【0082】
また、ヘッダに含ませる設定情報については、設定情報として確率テーブルの初期値をそのまま送るのではなく、前述の前フレームやスライスの初期値との差分を送っても良いし、より上位のレイヤにて設定された初期値との差分を送ることとしても良い。このような形で設定情報を含ませることにより、ハフマン符号等によるエントロピー符号化により設定情報を通知する場合には、設定情報の発生確率を偏らせることができるので、適切な可変長符号の設計によって設定情報に必要なオーバーヘッドを低減することができる。
【0083】
次に、第1実施形態にかかる動画像符号化プログラムについて説明する。この動画像符号化プログラムは、コンピュータに上述した動画像符号化方法を実行させるためのプログラムである。すなわち、この動画像符号化プログラムは、符号化対象フレームをマクロブロックに分割するステップ(S100)と、動き補償フレーム間予測(S102)及び直交変換及び量子化(S103)を含む変換ステップ(ステップS101)と、確率テーブルの初期値の設定及び設定情報の導出(S105、設定情報導出ステップ)及び算術符号化(S106)を含む符号化ステップ(S104)と、設定情報を含むヘッダを符号化信号に付加するステップ(S107、設定情報付加ステップ)とをコンピュータに実行させるプログラムである。かかる動画像符号化プログラムは、例えば、搬送波に重畳されたコンピュータデータ信号として提供されるものである。
【0084】
次に、第1実施形態に係る動画像符号化方法及び動画像符号化装置の効果について説明する。
【0085】
図1に示した動画像符号化方法においては、フレーム画像D1に対して動き補償や直交変換などのデータ変換操作を行ってエントロピー符号化対象の量子化直交変換係数D6とした後、その量子化直交変換係数D6を所定の確率テーブルを用いて算術符号化することによって、データ圧縮された符号化データD7を生成する。そして、符号化データD7を最終的に出力する際に、確率テーブルの初期値をヘッダに挿入している。
【0086】
これにより、算術符号化に利用する確率テーブルの初期値を符号化側で自由に設計できるようになる。すなわち、本実施形態で説明したように符号化対象の動画像の特性に合うような値に初期値を設定することにより、確率テーブルが初期化された直後に、確率テーブルが更新され学習されるまでの間に生じる符号化効率の低下を小さくすることができる。
【0087】
また、本実施形態に係る動画像符号化装置も、上記動画像符号化方法と同様に、確率テーブルの初期値をヘッダに挿入するので各分割区間単位で適切な初期値を設定することができる。本実施形態で説明したように、符号化対象の動画像の特性に合うような値に初期値を設定することにより、確率テーブルが初期化された直後に、確率テーブルが更新され学習されるまでの間に生じる符号化効率の低下を小さくすることができる。
【0088】
次に、本発明を利用した動画像復号方法及び動画像復号装置について説明する。
【0089】
図10は、本発明による動画像復号方法の一実施形態を概略的に示すフローチャートである。本復号方法は、図1に示した動画像符号化方法によって生成された符号化データD7に対して所定の復号操作及びデータ復元操作を行って、入力フレーム画像D1に対応する画像として出力フレーム画像D10を復元する動画像復号方法である。
【0090】
図10に示した画像復号方法においては、まず、符号化データD7に対して逆算術符号化を用いてエントロピー復号を行い、空間周波数によって表された画像データである複数の量子化直交変換係数D6を生成する(S201、復号ステップ)。
【0091】
また符号化データD7は、スライスレイヤ、フレームレイヤとシーケンスレイヤによる階層構造を有しており、各スライスレイヤにおいて、確率テーブルの初期化を行う。ここで、本実施形態においては、確率テーブルの初期値をヘッダに付加された設定情報に基づいて確率テーブルの初期値を設定する。すなわち、符号化データD7に対して適用される確率テーブルの初期値が、符号化データD7のヘッダにおいて通知され、これが確率テーブルの初期値として設定される(S202)。そして、この初期値により初期化された確率テーブルを用いて符号化データD7を逆算術符号化して(S203)、周波数画像データである量子化直交変換係数D6とする。
【0092】
次に、フレーム画像内にあるマクロブロックのそれぞれについての画像データである量子化直交変換係数D6に対して所定のデータ復元操作を行って、フレーム画像を復元する(S200、復元ステップ)。本実施形態においては、この復元ステップは、2つのステップS204、S205からなる。
【0093】
具体的には、量子化直交変換係数D6に対して逆量子化操作及び逆直交変換操作を順次行って、空間座標によって表された画像データ(空間画像データ)D9を生成する(S204、逆直交変換ステップ)。そして、空間画像データD9に対して所定のデータ処理操作を行って画像データを変換し、出力フレーム画像D10を復元する(S205)。
【0094】
図11は、本発明による動画像復号装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【0095】
復号対象として入力された符号化データD7はエントロピー復号部(初期値設定手段、逆算術符号化手段に相当)21に入力されて所定の確率テーブルを用いた逆算術符号化によってエントロピー復号され、符号化モード情報D3と動きベクトルD2,及び周波数画像データである量子化直交変換係数D6等を生成する。ここで、エントロピー復号部21における逆算術符号化に用いられる確率テーブルの設定及び初期化、確率テーブルの初期値の受信については、図10に示したフローチャートにおける説明として上述したとおりである。
【0096】
エントロピー復号部21において復号された量子化直交変換係数D6は、逆量子化部22、逆直交変換部23、動き補償部24、及び加算器26を含んで構成された復元手段に入力される。復元手段は、フレーム画像内にあるブロックのそれぞれについての画像データである量子化直交変換係数D6に対して所定のデータ復元操作を行って、フレーム画像D10を復元する。
【0097】
まず、量子化直交変換係数D6は、逆量子化部22及び逆直交変換部(逆直交変換手段)23によって逆量子化、逆直交変換される。これにより、空間画像データである復元フレーム画像D9が生成される。この復元フレーム画像D9は、符号化前のフレーム画像D5に対応したフレーム画像である。
【0098】
一方、動きベクトルD2は、動き補償部24へと入力される。動き補償部24では、エントロピー復号部21からの動きベクトルD2と、フレームメモリ25に格納されている復号済みのフレーム画像とを用いて、予測フレーム画像D4が生成される。そして、加算器26において、復元フレーム画像D9と予測フレーム画像D4とが加算されて、復元されたフレーム画像が出力フレーム画像D10として出力される。なお,イントラフレーム符号化による符号化がなされていた場合には、復元フレーム画像D9をそのまま出力フレーム画像D10として出力する。
【0099】
次に、第1実施形態に係る動画像復号プログラムについて説明する。この動画像復号プログラムは、コンピュータに上述した動画像復号方法を実行させるためのプログラムである。すなわち、この動画像復号プログラムは、符号化信号のヘッダに含まれる設定情報に基づいて確率テーブルの初期値を設定するステップ(S202、初期値設定ステップ)、及び初期値を設定した確率テーブルに基づいて逆算術符号化を行うステップ(S203、逆算術符号化ステップ)を含む復号ステップ(S201)と、復号されたデータを逆量子化及び逆直交変換するステップ(S204)、及び所定のデータ処理操作によって画像データを復元するステップ(S205)を含む復元ステップ(S200)とをコンピュータに実行させるためのプログラムである。かかる動画像復号プログラムは、例えば、搬送波に重畳されたコンピュータデータ信号として提供されるものである。
【0100】
本実施形態による動画像復号方法の効果について説明する。
【0101】
図10に示した動画像復号方法においては、符号化データD7に対して所定の確率テーブルを用いて逆算術符号化を行って画像データD6とした後、その画像データD6に対してデータ復元操作を行って、フレーム画像D10を復元する。そして、逆算術符号化に使用する確率テーブルの初期値を、ヘッダから読み取った値で設定している。
【0102】
これにより、符号化側でそれぞれの動画像の性質に合わせて好適に設定した確率テーブルを、復号側においても使用することができる。したがって、スライスレイヤ、フレームレイヤとシーケンスレイヤとによる階層構造を有する符号化データD7に対し、確率テーブルが好適に設定されて、データ圧縮の効率が向上された符号化データD7から、フレーム画像を好適に復元することが可能となる。
【0103】
次に、本発明の第2実施形態に係る動画像符号化方法(装置)及び動画像復号方法(装置)について説明する。第2実施形態に係る動画像符号化方法(装置)及び動画像復号方法(装置)は、第1実施形態に係る動画像符号化方法(装置)及び動画像復号方法(装置)と基本的なフローは同じであるので、同じ図面(図1、図2、図10、図11)を参照しながら説明する。以下、第2実施形態に係る動画像符号化方法(装置)及び動画像復号方法(装置)について第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行う。
【0104】
第2実施形態における動画像符号化方法(装置)では、符号化に用いられた確率テーブルの初期値を、設定情報付加ステップで(設定情報付加手段が)、既知、もしくはヘッダにて通知される初期値リストの中から選択し、設定情報としてヘッダに挿入する点が第1実施形態の動画像符号化方法とは異なる。また、第2実施形態に係る動画像符号化方法をコンピュータに実現させるための第2実施形態の動画像符号化プログラムも、コンピュータに実行させる設定情報導出ステップ及び設定情報付加ステップが第1実施形態の動画像符号化プログラムと異なる。すなわち、第2実施形態の動画像符号化プログラムがコンピュータに実行させる設定情報導出ステップでは、符号化に用いられた確率テーブルの初期値が、既知、もしくはヘッダにて通知される初期値リストの中から選択され、設定情報付加ステップでは初期値リストの中から選択された値が設定情報としてヘッダに挿入される。これにより、第2実施形態の動画像符号化方法(装置)は、第1実施形態の場合と同じく、算術符号化に利用する確率テーブルの初期値を符号化側で指定することができるようになる。このとき指定する初期値を、符号化対象の動画像の特性に合うような値に設定しておけば、確率テーブルが初期化された直後に、確率テーブルが更新され学習されるまでの間に生じる符号化効率の低下を小さくすることができる。さらに、実際に伝送するものが初期値そのものではなく、初期値リスト内の番号であるので、各スライスヘッダにおいて通知することとしても、通知に必要な符号量は大きく増加しないという利点がある。
【0105】
第2実施形態に係る動画像復号方法(装置)は、ヘッダにて確率テーブルの初期値を示す番号を受け取り、その番号と初期化リストを照合して初期値を取り出し、その値によって当該スライスの初期化を行う。また、第2実施形態に係る動画像復号方法をコンピュータに実行させるための第2実施形態の動画像復号プログラムも、コンピュータに実行させる初期値設定ステップが第1実施形態の動画像復号プログラムと異なる。すなわち、第2実施形態の動画像復号プログラムがコンピュータに実行させる初期値設定ステップでは、ヘッダにて確率テーブルの初期値を示す番号が受け取られ、その番号と初期化リストを照合して確率テーブルの初期値が設定される。このため第2実施形態では、符号化側でそれぞれの動画像の性質に合わせて好適に設定した確率テーブルを、復号側においても使用することができる。従って、スライスレイヤ、フレームレイヤとシーケンスレイヤとによる階層構造を有する符号化データD7に対し、確率テーブルが好適に設定されて、データ圧縮の効率が向上された符号化データD7から、フレーム画像を好適に復元することが可能となる。
【0106】
以下、初期値リスト内から選択し、選択した初期値を通知する手法について説明する。
【0107】
動画像の統計情報として、各確率テーブルのシンボルの発生頻度が得られた際、最適な初期値をリスト内から選択する方法としては、[0]と[1]の発生頻度の比を求め、その比に最も近い初期値をリスト内から選択することが望ましい。図12に初期値リストとそのコードテーブルの例を示す。例えば頻度が[0]:2000、[1]:3000であった場合は、図12(a)のリスト内から選択するとすれば、(2,3)の初期値を選択することが望ましい。
【0108】
リスト内から選択した初期値を通知するには、その初期値を示す番号を通知すればよい。この番号の通知方法としては、第1実施形態にて初期値の通知方法として述べたように、固定長の符号を利用したり、ハフマン符号のような可変長符号を利用したりすることができる。特に後者の方法によれば、初期値の発生確率に応じて符号長を決めることができるので、効率的な符号化が行える。ハフマン符号による番号の符号化の例を図12(a)のコードに示す。この例によれば、初期値の値が小さくなるにつれて符号長が短くなり、効率的に符号化が行える。また、第1実施形態にて述べたように、動画像の特徴の変化の大きさに対応するために、初期値コードに続いて、初期値に対する乗数を示す乗数コードをつけるようにして、既定の初期値の倍数を用いることができるようにしても良い。このようにより大きな初期値を用いることにより、初期化後の学習による確率テーブル更新の影響を制御して、学習途上における確率テーブル更新が算術符号化の効率に悪影響を与えないようにすることができる。
【0109】
乗数コードの例を図12(b)に示す。例えば、図12(a)にて(2,3)、乗数として2を選択する場合は、(2,3)を示す”11100”の後コード”10”を付加する。これにより初期値を(4,6)として符号化・復号することが可能となる。
【0110】
なお、これらの初期値リストおよび初期値コードテーブルに関しては一例であり、他の初期値リスト・初期値コードテーブルを用いることも考えられる。例えば0の発生する確率が大変高いことがあらかじめわかっているような場合には、図12(c)のように0の確率が高い初期値の符号長が短くなる初期値リスト・初期値コードテーブルを利用すればよい。またこのような複数の初期値リスト・初期値コードテーブルを確率テーブルの種別毎に使い分けるようにしても良い。この場合、使い分けのパターンは、前もって符号化器・復号器で共有しておいても良いし、あるいは初期値リスト毎に番号を割り当てておき、シーケンスヘッダにて、確率テーブルの種別毎に使用する初期値リストを示す情報を送って指定することとしても良い。
【0111】
また、初期値リスト内にて、あるスライスの符号化に適した初期値が無かった場合には、当該スライスについては初期値の番号ではなく、実際の初期値が通知されることとすることができる。この通知の手法としては、リスト内のどの初期値コードにも当てはまらないエスケープコードが伝送されることとし、その後に初期値の値を通知することが望ましい。こうすることにより、初期値リスト内に算術符号化の効率を向上できるような確率テーブルの初期値が無かった場合においても、適切な初期値を伝送して算術符号化の効率向上を図ることができる。
【0112】
また、ひとつの初期値番号によって制御できる初期値の数としては、ひとつでもよいし、複数の確率テーブルをグループ化してまとめて制御することとしても良い。前者であれば、細かい初期値設定が可能となるし、後者であれば伝送が必要な初期値番号の情報量を減らすことが出来る。なお、このときの確率テーブルの組み合わせ方として、似た性質を示す符号化要素の確率テーブルを一つにグループ化することが望ましい。例えば、図3に示すマクロブロックモードの符号化においては、用いられる確率テーブルはひとつではなく、モード情報が二値化された情報に対して複数の確率テーブルが用いられて算術符号化が行われる。このようにひとつの符号化要素に関わる確率テーブルであれば、他のテーブルとの相関関係が存在すると思われることから、それらすべてをまとめたひとつのグループで初期値を制御することが望ましい。また、画面全体が暗くなる場合など、スライス全体で輝度が変化するような場合においては、輝度に関わる、DCT係数のうちのDC係数に関する性質が変化すると考えられる。DC係数の符号化においても、用いられる確率テーブルはひとつではなく、DC係数が2値化された情報に対して複数の確率テーブルが用いられて算術符号化が行われることから、これらの確率テーブルをまとめて処理することが望ましい。
【0113】
複数の確率テーブルをグループ化してまとめて制御しようとする場合、全ての確率テーブルの初期値をひとつののコードによって制御することとしても良い。例えば、映像のジャンルごとに初期値を定義する方法がある。スポーツ系の映像であれば、動き情報が大きくなる傾向があるので、動きが大きくなるものが効率が良くなるように、それぞれの確率テーブルの初期値のセットを用意して設定するようにすればよいし、風景映像であれば、単純な動きであるので、動きが小さくなるものの効率が良くなるよう設定すればよい。
【0114】
また、ここではスライスヘッダにて情報を送る手法について説明したが、本実施形態で示したような初期値の番号は、他のシーケンスヘッダやスライスヘッダにて伝送されることとしても良いし、スライスヘッダを含めた複数種類のレイヤにて同時に行われることとしても良い。
【0115】
次に、本発明の第3実施形態に係る動画像符号化方法(装置)及び動画像復号方法(装置)について説明する。第3実施形態に係る動画像符号化方法(装置)及び動画像復号方法(装置)は、第1実施形態および第2実施形態に係る動画像符号化方法(装置)及び動画像復号方法(装置)と基本的なフローは同じであるので、同じ図面(図1、図2、図10、図11)を参照しながら説明する。以下、第1実施形態および第2実施形態に係る動画像符号化方法(装置)及び動画像復号方法(装置)について第1実施形態および第2実施形態と異なる部分についてのみ説明を行う。
【0116】
第3実施形態における動画像符号化方法(装置)では、符号化に用いられた確率テーブルの初期値を、設定情報付加ステップにてヘッダに挿入した設定情報と、ヘッダに含まれる既出情報を組み合わせて求める点が第1実施形態および第2実施形態の動画像符号化方法とは異なる。また、第3実施形態に係る動画像符号化方法をコンピュータに実現させるための第3実施形態の動画像符号化プログラムも、コンピュータに実行させる設定情報導出ステップ及び設定情報付加ステップが第1及び第2の実施形態の動画像符号化プログラムと異なる。すなわち、第3実施形態の動画像符号化プログラムがコンピュータに実行させる設定情報付加ステップでは、符号化に用いられた確率テーブルの初期値が、ヘッダに含められる既出の情報とヘッダに挿入する設定情報との所定の方法による組み合わせに変換され、設定情報付加ステップでは符号化信号のヘッダに上記の既出の情報と設定情報とが含められる。これにより、第3実施形態の動画像符号化方法(装置)は、第1実施形態および第2実施形態の場合と同じく、算術符号化に利用する確率テーブルの初期値を符号化側で指定することができるようになる。このとき指定する初期値を、符号化対象の動画像の特性に合うような値に設定しておけば、確率テーブルが初期化された直後に、確率テーブルが更新され学習されるまでの間に生じる符号化効率の低下を小さくすることができる。さらに、ヘッダに既出の情報も用いるため、算術符号化の初期値と画像サイズ、量子化ステップ値、フレーム内符号化・フレーム間符号化などとの相関を利用することにより、初期値の通知に必要な情報量を削減することができる。
【0117】
第3実施形態に係る動画像復号方法(装置)は、ヘッダにて確率テーブルの初期値を示す設定情報を受け取り、その設定情報とヘッダに既出の情報と組み合わせて初期値を算出し、その値によって当該スライスの初期化を行う。また、第3実施形態に係る動画像復号方法をコンピュータに実行させるための第3実施形態の動画像復号プログラムも、コンピュータに実行させる初期値設定ステップが第1及び第2の実施形態の動画像復号プログラムと異なる。すなわち、第3実施形態の動画像復号プログラムがコンピュータに実行させる初期値設定ステップでは、ヘッダにて確率テーブルの初期値を示す設定情報が受け取られ、その設定情報とヘッダに既出の情報と組み合わせて確率テーブルの初期値が算出される。このため第3実施形態では、符号化側でそれぞれの動画像の性質に合わせて好適に設定した確率テーブルを、復号側においても使用することができる。従って、スライスレイヤ、フレームレイヤとシーケンスレイヤとによる階層構造を有する符号化データD7に対し、確率テーブルが好適に設定されて、データ圧縮の効率が向上された符号化データD7から、フレーム画像を好適に復元することが可能となる。
【0118】
以下、ヘッダに既出の情報を用いて、初期値を通知する手法について説明する。
【0119】
動画像の各種ヘッダに記載される情報としては、映像サイズ、量子化ステップ値、タイムコード、フレームの符号化種類(フレーム内、フレーム間)などがある。これらのパラメータは符号化する映像パラメータと密接な相関がある。たとえば映像サイズと、映像内の動きの大きさを表す動きベクトルの間には、映像サイズが大きくなればなるほど動きベクトルも大きくなりやすい、という相関関係がある。また量子化ステップ値が大きくなると、直交変換係数が小さくなったり、0になったりすることが多くなる。タイムコードからは一定時間当たりのフレーム数がわかるため、動きベクトルの大きさの傾向の目安となる。
【0120】
これらのヘッダ情報と初期値情報を組み合わせる方法としては、大まかな初期値の値をヘッダに既出となる情報で決定し、細かい調整を初期値設定情報にて行うようにすればよい。ヘッダ情報から初期値を決定する例を図17に示す。図17は、動きベクトル情報の符号化に用いる確率テーブルの1つを示している。図17に示すbin番号は、動きベクトル情報をあらわすバイナリ信号の各Bitを示しており、0の初期値・1の初期値はそれぞれ各binにおける算術符号化の確率テーブルの初期値をあらわしている。また、この例では、画像サイズがQCIF(176x144ピクセル)である場合と、CIF(352x288ピクセル)である場合によって、確率テーブルの初期値を変動させている。例えばbin番号0は、動きベクトルが存在するかしないか、つまり動きの有無を示すコンテクストであるが、QCIFサイズでは動きとして判別できない動きも、CIFサイズになると判別できるようになることが増えるため、このbinにおけるシンボルの発生確率に差がつくことが予想される。そこで図17のように初期値に差をつけることにより、初期値として採用すべき値に近づけることができる。そしておおまかな初期値に対し加減算するための値を設定情報としてヘッダに付与する。この設定情報は、第1実施形態にて述べたような手法にて値をそのまま付与してもよいし、第2実施形態にて述べたようにリストを用意し、その中から選択した値を固定符号や可変長符号にて付与してもよい。図18に、第2実施形態にて述べたリストによる初期値設定の例を示す。この例によれば、直接初期値を指定するよりも少ない情報量で符号化が可能となる。
【0121】
なお、ここで示したヘッダ情報と初期値情報を組み合わせる方法に関しては一例であり、他の方法を用いることも考えられる。例えば、初期値設定情報を、図18で示すような加減算のための値ではなく、図12(b)で示した乗数コードとしてもよいし、両方のコードを用意して置き,共に用いるようにしても良い。またヘッダに既出の情報を用いた初期値リストを複数用意しておき、初期値設定情報として使用するリストを示すコードを通知することとしても良い。その例を図19に示す。図19では、画面サイズによるbin0の切り替えに加え、同一画面サイズにおいて、動きの大きさによって3通りの初期値リストを用意し、利用したリスト情報を初期値設定情報としている。また、使用するヘッダ既出情報の種類は1種類でも良いし複数種類でも良い。
【0122】
またヘッダ既出情報を組み入れた計算式から初期値を算出しても良い。例えば量子化ステップ値は、H.26Lでは0から31まで1刻みで設定できるため、全ての量子化ステップに対し図17,19のようなリストを設定していては、リストの情報量が多くなり、メモリを圧迫することが考えられる。そこで量子化ステップ値を用いた関数式にて初期値設定を行うことにより、メモリ消費を抑えることができる。関数式の一例として、直交変換係数を符号化するコンテクストの初期値の場合を示す。直交変換係数においては、量子化ステップ値が小さくなると係数が0となる確率が下がり、逆に量子化ステップ値が大きくなると係数が0となる確率が上がる。以下に関数式の例を挙げる
【0123】
lni(0)=(設定値)+QP/10
【0124】
lni(1)=(設定値)−QP/10 (QP:量子化ステップ値)
【0125】
ここで上記の関数で求められた0の初期値をIni(0)とし、1の初期値をIni(1)とする。また、設定値とはヘッダに付与する初期値設定情報から、上記コードテーブルなどで導出する値である。上記例のようにすることによって、量子化ステップ値を初期値設定に有効に利用することができ、初期値設定情報に必要な情報量を減らすことが出来る。なお、ここでは既出ヘッダ情報として量子化ステップ値を利用したが、その他のパラメータでもよい。たとえば,スライスヘッダには、スライス内のマクロブロック数、つまりスライスの大きさが記載される。このためスライス内マクロブロック数からは、学習可能期間がわかるため、この値によって初期値設定情報に対して乗算する値を変え、学習速度を制御させてもよい。
【0126】
次に、本発明の第4実施形態に係る動画像符号化方法(装置)及び動画像復号方法(装置)について説明する。本実施形態では算術符号化方式として図20のような確率状態遷移図を利用する。状態遷移図に関して詳しくは「小野文孝,渡辺裕共著,”国際標準画像符号化の基礎技術”,コロナ社」を参照されたい。ここでは簡単に説明をする。また算術符号化方式以外の第4実施形態に係る動画像符号化方法(装置)及び動画像復号方法(装置)については第3実施形態までの実施例とフローは同じであるので、説明は省略する。
【0127】
状態遷移図による算術符号化では,確率の変動・適応化を、複数の確率状態を持った確率推定テーブル上を遷移させていくことにより行う。図20は確率推定テーブルの状態遷移図の一例である。ここでは、0と1のうち発生数が支配的であるほうを優性シンボル、逆を劣性シンボルとして扱う。図20のうち#が状態を示すアドレス値、LSZが劣性シンボルの確率の16進数表記、NMが優性シンボルが選択されたときの次に遷移する状態のコード値、NLが劣性シンボルが選択されたときの次に遷移する状態のアドレス、SWがその状態において劣性シンボルが選択された際に、優性シンボルと劣性シンボルを切り替えることを示している。#0の状態において、確率はほぼ50%に設定されている。
【0128】
図20を用いた算術符号化においては、まず初期状態として#0、すなわち優性シンボルと劣性シンボルの確率がほぼ同一であるところからスタートする。そして符号化の際に#0のLSZを確率に適用した後、選択されたシンボルによって、別の状態へと確率を遷移させる。例えば#0において優性シンボルが選択された場合は、#1に遷移し、次のシンボルの符号化では#1のLSZを計算に適用する。逆に劣性シンボルが選択された場合には#1に遷移すると共に、優性シンボルと劣性シンボルを入れ替える。このように徐々に遷移させていくことによって、確率を符号化対象に適用させながら変動させていくことが可能となっている。また遷移図の構成としては、確率を早く定常的な値へと学習させるために、状態遷移による確率の変動を、符号化開始時は大きく変化させ、符号化が進むにつれて小さく変化するように設定されている。例にあげた図20の遷移図においては#0から#5、#6から#13、#14から#45までの3段階に分けられている。
【0129】
第4実施形態における動画像符号化方法(装置)では、符号化に用いられた状態遷移図の初期状態を、設定情報付加ステップにて付与する。これにより、第4実施形態の動画像符号化方法(装置)は、これまでの実施形態の場合と同じく、算術符号化に利用する確率の初期値を符号化側で指定することができるようになる。このとき指定する初期値を、符号化対象の動画像の特性に合うような値に設定しておけば、確率が初期化された直後に、状態遷移による確率の変動が定常化状態へと進むまでの間に生じる符号化効率の低下を小さくすることができる。
【0130】
第4実施形態に係る動画像復号方法(装置)は、ヘッダにて状態遷移図の初期状態を示す設定情報を受け取り、その値によって当該スライスの初期化を行う。このため第4実施形態では、符号化側でそれぞれの動画像の性質に合わせて好適に設定した確率を、復号側においても使用することができる。従って、スライスレイヤ、フレームレイヤとシーケンスレイヤとによる階層構造を有する符号化データD7に対し、確率が好適に設定されて、データ圧縮の効率が向上された符号化データD7から、フレーム画像を好適に復元することが可能となる。
【0131】
以下、状態遷移図の初期状態を通知する手法について説明する。
【0132】
初期状態を通知する手法としては、状態を示す番号を固定符号や可変長符号に変換し、ヘッダに付与することが考えられる。しかしながら、図20の状態遷移図では46状態存在しているため、用意すべき符号長が大きくなり、また平均符号長も長くなってしまうという問題がある。そこで第3実施形態にて述べたように、ヘッダに既出の情報を用いて付与する情報量を削減することが望ましい。その例を図21,22に示す。図21では動きベクトルの算術符号化に関する状態遷移図の初期状態を、既出のパラメータである画面サイズを利用して定めている。ここで、bin番号は第3実施形態で示したものと同じく、動きベクトル情報の各ビットの番号であり、初期開始位置はそのビットのコンテクストにおける、状態遷移図の初期状態番号、優性シンボルは、「0」と「1」のうち初期状態において優性シンボルとするシンボルを示している。図22は、図21に示したbinごとの初期開始位置を変換するための設定情報を定めている.図22において「番号」は各設定情報に設けられた通し番号であり,遷移値は図21の初期状態番号からの遷移量を示す。「方向」は、遷移の方向を示すものであり、遷移の方向によって正負の値が割り当てられている。「コード」は各設定情報に割り当てられた可変長符号であり、この符号を各種ヘッダに含ませることにより、設定情報の付加が可能となる。
【0133】
図21と図22による復号時の初期状態番号の設定の手順を図25に示す.図25に示すように、復号時の初期状態番号の設定を行うために、まず映像情報のヘッダから映像の大きさに関わるデータを読み取る(S601)。次に、binNに関わる情報として、ヘッダからbinNに関する設定情報Sを読み取る(S602)。次に、上記の映像の大きさから図21に示すbinNの初期開始位置P0、優性シンボルM0を読み取る(S603)。そして、設定情報Sに基づき、初期開始位置P0、優性シンボルM0を変換させ、変換初期開始位置P、変換優性シンボルMを得る(S604)。設定情報Sによる変換方法は、遷移値がプラス方向であるならば、その遷移値回数分MPS側が選択されたとして、遷移値がマイナスであれば、遷移値回数分LPSが選択されたとして、状態遷移図上を遷移させることにより行う。例えば、状態遷移図を図20とし、初期開始状態P0・・・30、優性シンボルM0=1、設定情報Sの遷移値・・・3であったならば、求める変換初期開始位置Pは33となる。この場合では変換優性シンボルMはM0と変わらず1となる。このように変換されて得られたP,MをbinNの初期開始位置として設定する(S605)。その後この処理をすべてのbinについて繰り返す(S606、S607)。なお、これらの初期状態コードテーブルや変換方法は一例であり、他の初期状態コードテーブルや変換方法を用いることもできる。
【0134】
またここでは画面サイズ情報を利用したが、これは一例であり、これに限定するものではない。例えば画像符号化するための符号化条件である量子化パラメータ値を用いて、第3実施形態で示した関数式を定義して初期状態を設定するようにしてもよく、画像をフレーム内もしくはフレーム間で符号化するかに関する情報を用いてもよい。また,図20の状態遷移図のように、確率の変動が段階的になっている場合には、開始時の確率変動を変更できるように、設定情報にて、どの変動状態から開始するようにするか伝えてもよい。例えば図20においては、#0と#6と#14は同一確率であるが、確率変動の傾きが異なっている。そこで、上記の各状態に対し固定符号や可変長符号を割り当て、設定情報としてヘッダに付与するようにしてもよい。
【0135】
次に、第4実施形態に係る動画像符号化方法をコンピュータに実現させるための第4実施形態の動画像符号化プログラムについて説明する。この動画像符号化プログラムがコンピュータに実行させる設定情報付加ステップでは、符号化に用いられた初期の確率テーブルが関連付けられている初期の状態番号がヘッダに付与する上記の既出の情報と上記の設定情報との所定の方法による組合わせに変換される。また、符号化ステップにおいては、上述したように状態遷移図を用いて状態番号を遷移させることによって確率テーブルを更新しつつ算術符号化が行われる。また、設定情報付加ステップにて、上記の既出の情報と設定情報とが、符号化信号に付加するヘッダに含められる。
【0136】
次に、第4実施形態に係る動画像復号方法をコンピュータに実現させるための第4実施形態の動画像復号プログラムについて説明する。この動画像復号プログラムがコンピュータに実行させる設定初期値設定ステップでは、符号化に用いられた初期の確率テーブルが関連付けられている初期の状態番号がヘッダに付与された上記の既出の情報と上記の設定情報との所定の方法による組合わせによって導出される。また、逆算術符号化ステップでは、上述したように状態遷移図を用いて状態番号を遷移させることによって確率テーブルを更新しつつ逆算術符号化が行われる。
【0137】
上記第3、第4の実施形態で、第2の実施形態のようにリストにて初期値設定情報および初期状態設定情報を設定する場合においては、ひとつの初期値設定情報および初期状態設定情報によって制御できる初期値の数としては、ひとつでもよいし、複数の確率情報をグループ化してまとめて制御することとしても良い。前者であれば、細かい初期確率設定が可能となるし、後者であれば伝送が必要な初期値設定情報および初期状態設定情報の情報量を減らすことが出来る。なお、このときの確率情報の組み合わせ方として、似た性質を示す符号化要素の確率情報を一つにグループ化することが望ましい。例えば、図3に示すマクロブロックモードの符号化においては、用いられる確率情報はひとつではなく、モード情報が二値化された情報に対して複数の確率情報が用いられて算術符号化が行われる。このようにひとつの符号化要素に関わる確率情報であれば、他の確率情報との相関関係が存在すると思われることから、それらすべてをまとめたひとつのグループで初期値を制御することが望ましい。また、画面全体が暗くなる場合など、スライス全体で輝度が変化するような場合においては、輝度に関わる、DCT係数のうちのDC係数に関する性質が変化すると考えられる。DC係数の符号化においても、用いられる確率情報はひとつではなく、DC係数が2値化された情報に対して複数の確率情報が用いられて算術符号化が行われることから、これらの確率情報をまとめて処理することが望ましい。
【0138】
複数の確率情報をグループ化してまとめて制御しようとする場合、全ての確率情報の初期値をひとつのコードによって制御することとしても良い。例えば、映像のジャンルごとに初期値を定義する方法がある。スポーツ系の映像であれば、動き情報が大きくなる傾向があるので、動きが大きくなるものが効率が良くなるように、それぞれの確率情報の初期値のセットを用意して設定するようにすればよいし、風景映像であれば、単純な動きであるので、動きが小さくなるものの効率が良くなるよう設定すればよい。
【0139】
最後に、本発明による信号伝送システムの実施形態について説明する。ここでは、映像情報を符号化して伝送する画像伝送システムを例として説明する。図13は、実施形態に係る画像伝送システム(例えば、モバイル映像伝送システム)の構成を示す図である。画像伝送システムは、図1に示した画像符号化方法が実現される画像符号化装置(例えば、図2に示した画像符号化装置)と、図10に示した画像復号方法が実現される画像復号装置(例えば、図11に示した画像復号装置)とを備えて構成される。
【0140】
本システムにおいて、入力フレーム画像D1は、画像符号化装置1において符号化されて符号化データD7が生成され、有線または無線の所定の伝送路へと出力される。そして、画像符号化装置1から伝送路を伝送された符号化データD7は、画像復号装置2に入力され、出力フレーム画像D10として復元される。
【0141】
このような画像伝送システムによれば、それぞれの分割区間単位で画像データが効率良く符号化されて、効率的に画像を伝送することができる。
【0142】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、効率的に符号化できる信号符号化方法、信号符号化装置、及び信号符号化プログラム、符号化された信号を効率的に復号できる信号復号方法、信号復号装置、及び信号復号プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像符号化方法の一実施形態を概略的に示すフローチャートである。
【図2】画像符号化装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図3】動き補償に用いられる符号化モードの一例を示す模式図である。
【図4】画像データの直交変換について示す図である。
【図5】算術符号化を用いた画像符号化方法の一例を示すフローチャートである。
【図6】High Complexity Mode上での初期化処理の流れを示す図である。
【図7】UVLCによる符号化の例を示す図である。
【図8】シーケンスレイヤのヘッダに設定情報を付加した場合のデータ伝送の例について説明する図である。
【図9】スライスレイヤのヘッダに設定情報を付加した場合のデータ伝送の例について説明する図である。
【図10】画像復号方法の一実施形態を概略的に示すフローチャートである。
【図11】画像復号装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図12】初期値リストとそのコードテーブルの例を示す図である。
【図13】画像伝送システムの一実施形態の構成を示す模式図である。
【図14】算術符号化に用いられる確率テーブルの一例を示す表である。
【図15】図14に示した確率テーブルを用いた文字列の符号化について示す図である。
【図16】図14に示した確率テーブルを用いた文字列の復号について示す図である。
【図17】ヘッダ情報から初期値を決定する例を示す図である。
【図18】第2実施形態で述べたリストによる初期値設定の例を示す図である。
【図19】ヘッダに既出の情報を用いた初期値リストを複数用意しておき、初期値設定情報として使用するリストを示すコードを通知する例を示す図である。
【図20】確立状態遷移図の例を示す図である。
【図21】動きベクトルの算術符号化に関する状態遷移図の初期状態を、既出のパラメータである画面サイズを利用して定めた例を示す図である。
【図22】設定情報の例を示す図である。
【図23】シーケンスレイヤのヘッダに設定情報を付加した場合のデータフォーマットを概略的に示す図である。
【図24】スライスレイヤのヘッダに設定情報を付加した場合のデータフォーマットを概略的に示す図である。
【図25】状態遷移図を用いた算術符号化における初期状態番号の設定の手順を示す図である。
【符号の説明】
10…フレーム画像分割部、11…動き検出部、12…動き補償部、13…減算器、14…直交変換部、15…量子化部、16…エントロピー符号化部、17…逆量子化部、18…逆直交変換部、19…加算器、20…フレームメモリ、21…可変長復号部、22…逆量子化部、23…逆直交変換部、24…動き補償部、25…フレームメモリ、26…加算器、30…設定情報付加部、D1…入力フレーム画像、D2…動きベクトル、D3…符号化モード情報、D4…予測フレーム画像、D5…差分フレーム画像、D6…直交変換係数、D7…符号化データ、D8…局所復号画像、D9…復元差分フレーム画像、D10…出力フレーム画像。

Claims (14)

  1. 符号化の対象となる符号化対象信号を分割し、その分割区間単位の先頭で初期化された確率関連情報に基づいて算術符号化を行う信号符号化方法であって、
    前記分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析し、その分割区間単位の符号化対象信号を算術符号化する際に用いられる前記確率関連情報の初期値を導出すると共に、前記符号化対象信号について別にヘッダに付与する既出の情報と該既出の情報に所定の方法によって組合わせる調整値とに前記確率関連情報の初期値を変換し、該調整値を設定情報として導出する設定情報導出ステップと、
    前記設定情報及び前記既出の情報に基づいて、前記分割区間単位における符号化対象信号を算術符号化する符号化ステップと、
    前記分割区間単位ごとに算術符号化された信号に前記設定情報及び前記既出の情報を含むヘッダを付加する設定情報付加ステップと
    を備えることを特徴とする信号符号化方法。
  2. 符号化信号を分割区間単位に逆算術符号化する信号復号方法であって、
    前記符号化信号のヘッダに既出の情報と、該既出の情報に所定の方法によって組合わせることによって前記分割区間単位の符号化対象信号を逆算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値を導出するための情報であり前記符号化信号のヘッダに含まれる設定情報とに基づいて、確率関連情報の初期値を設定する初期値設定ステップと、
    前記初期値設定ステップにおいて初期値が設定された確率関連情報に基づいて分割区間単位ごとに符号化信号の逆算術符号化を行う逆算術符号化ステップと
    を備えることを特徴とする信号復号方法。
  3. 符号化の対象となる符号化対象信号を分割し、その分割区間単位の先頭で初期化された確率関連情報に基づいて算術符号化を行う信号符号化装置であって、
    前記分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析し、その分割区間単位の符号化対象信号を算術符号化する際に用いられる前記確率関連情報の初期値を導出すると共に、前記符号化対象信号について別にヘッダに付与する既出の情報と該既出の情報に所定の方法によって組合わせる調整値とに前記確率関連情報の初期値を変換し、該調整値を設定情報として導出する設定情報導出手段と、
    前記設定情報及び前記既出の情報に基づいて、前記分割区間単位における符号化対象信号を算術符号化する符号化手段と、
    前記分割区間単位ごとに算術符号化された信号に前記設定情報及び前記既出の情報を含むヘッダを付加する設定情報付加手段と
    を備えることを特徴とする信号符号化装置。
  4. 符号化信号を分割区間単位に逆算術符号化する信号復号装置であって、
    前記符号化信号のヘッダに既出の情報と、該既出の情報に所定の方法によって組合わせることによって前記分割区間単位の符号化対象信号を逆算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値を導出するための情報であり前記符号化信号のヘッダに含まれる設定情報とに基づいて、確率関連情報の初期値を設定する初期値設定手段と、
    前記初期値設定ステップにおいて初期値が設定された確率関連情報に基づいて分割区間単位ごとに符号化信号の逆算術符号化を行う逆算術符号化手段と
    を備えることを特徴とする信号復号装置。
  5. 符号化の対象となる符号化対象信号を分割し、その分割区間単位の先頭で初期化された確率関連情報に基づいて算術符号化を行うための信号符号化プログラムであって、
    コンピュータに、
    前記分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析し、その分割区間単位の符号化対象信号を算術符号化する際に用いられる前記確率関連情報の初期値を導出すると共に、前記符号化対象信号について別にヘッダに付与する既出の情報と該既出の情報に所定の方法によって組合わせる調整値とに前記確率関連情報の初期値を変換し、該調整値を設定情報として導出する設定情報導出ステップと、
    前記設定情報及び前記既出の情報に基づいて、前記分割区間単位における符号化対象信号を算術符号化する符号化ステップと、
    前記分割区間単位ごとに算術符号化された信号に前記設定情報及び前記既出の情報を含むヘッダを付加する設定情報付加ステップと
    を実行させることを特徴とする信号符号化プログラム。
  6. 符号化信号を分割区間単位に逆算術符号化するための信号復号プログラムであって、
    コンピュータに、
    前記符号化信号のヘッダに既出の情報と、該既出の情報に所定の方法によって組合わせることによって前記分割区間単位の符号化対象信号を逆算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値を導出するための情報であり前記符号化信号のヘッダに含まれる設定情報とに基づいて、確率関連情報の初期値を設定する初期値設定ステップと、
    前記初期値設定ステップにおいて初期値が設定された確率関連情報に基づいて分割区間単位ごとに符号化信号の逆算術符号化を行う逆算術符号化ステップと
    を実行させることを特徴とする信号復号プログラム。
  7. 符号化の対象となる符号化対象信号を分割し、複数の状態番号各々に確率関連情報が関連付けられた状態遷移図を用いて、分割された区間ごとに符号化対象信号を算術符号化する信号符号化方法であって、
    前記分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析し、その分割区間単位の符号化対象信号を算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値を導出すると共に、前記符号化対象信号について別にヘッダに付与する既出の情報に基づいて導出する値と該値に所定の方法によって組合わせる調整値とに前記確率関連情報の初期値が関連付けられた状態番号を変換し、該調整値を設定情報として導出する設定情報導出ステップと、
    前記設定情報導出ステップにて導出された確率関連情報の初期値に基づいて、前記分割区間単位における符号化対象信号を算出符号化する符号化ステップと、前記分割区間単位ごとに算術符号化された信号に前記既出の情報及び前記設定情報を含むヘッダを付加する設定情報付加ステップと
    を備えることを特徴とする信号符号化方法。
  8. 複数の状態番号各々に確率関連情報が関連付けられた状態遷移図を用いて、符号化信号を分割区間単位に逆算術符号化する信号復号方法であって、
    前記分割区間単位の符号化対象信号を逆算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値が関連付けられている初期の状態番号を所定の方法によって導出するために前記符号化信号のヘッダに含められた既出の情報及び該既出の情報に組合わせる設定情報とに基づいて、初期の状態番号を導出する初期値設定ステップと、
    前記初期の状態番号に関連付けられている確率関連情報に基づいて前記符号化信号を逆算出符号化する逆算術符号化ステップと
    を備えることを特徴とする信号復号方法。
  9. 符号化の対象となる符号化対象信号を分割し、複数の状態番号各々に確率関連情報が関連付けられた状態遷移図を用いて、分割された区間ごとに符号化対象信号を算術符号化する信号符号化装置であって、
    前記分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析し、その分割区間単位の符号化対象信号を算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値を導出すると共に、前記符号化対象信号について別にヘッダに付与する既出の情報に基づいて導出する値と該値に所定の方法によって組合わせる調整値とに前記確率関連情報の初期値が関連付けられた状態番号を変換し、該調整値を設定情報として導出する設定情報導出手段と、
    前記設定情報導出ステップにて導出された確率関連情報の初期値に基づいて、前記分割区間単位における符号化対象信号を算出符号化する符号化手段と、
    前記分割区間単位ごとに算術符号化された信号に前記既出の情報及び前記設定情報を含むヘッダを付加する設定情報付加手段と
    を備えることを特徴とする信号符号化方法。
  10. 複数の状態番号各々に確率関連情報が関連付けられた状態遷移図を用いて、符号化信号を分割区間単位に逆算術符号化する信号復号装置であって、
    前記分割区間単位の符号化対象信号を逆算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値が関連付けられている初期の状態番号を所定の方法によって導出するために前記符号化信号のヘッダに含められた既出の情報及び該既出の情報に組合わせる設定情報とに基づいて、初期の状態番号を導出する初期値設定手段と、
    前記初期の状態番号に関連付けられている確率関連情報に基づいて前記符号化信号を逆算出符号化する逆算術符号化手段と
    を備えることを特徴とする信号復号装置。
  11. 符号化の対象となる符号化対象信号を分割し、複数の状態番号各々に確率関連情報が関連付けられた状態遷移図を用いて、分割された区間ごとに符号化対象信号を算術符号化するための信号符号化プログラムであって、
    コンピュータに、
    前記分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析し、その分割区間単位の符号化対象信号を算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値を導出すると共に、前記符号化対象信号について別にヘッダに付与する既出の情報に基づいて導出する値と該値に所定の方法によって組合わせる調整値とに前記確率関連情報の初期値が関連付けられた状態番号を変換し、該調整値を設定情報として導出する設定情報導出ステップと、
    前記設定情報導出ステップにて導出された確率関連情報の初期値に基づいて、前記分割区間単位における符号化対象信号を算出符号化する符号化ステップと、前記分割区間単位ごとに算術符号化された信号に前記既出の情報及び前記設定情報を含むヘッダを付加する設定情報付加ステップと
    を実行させることを特徴とする信号符号化プログラム。
  12. 複数の状態番号各々に確率関連情報が関連付けられた状態遷移図を用いて、符号化信号を分割区間単位に逆算術符号化するための信号復号プログラムであって、
    コンピュータに、
    前記分割区間単位の符号化対象信号を逆算術符号化する際に用いられる確率関連情報の初期値が関連付けられている初期の状態番号を所定の方法によって導出するために前記符号化信号のヘッダに含められた既出の情報及び該既出の情報に組合わせる設定情報とに基づいて、初期の状態番号を導出する初期値設定ステップと、
    前記初期の状態番号に関連付けられている確率関連情報に基づいて前記符号化信号を逆算出符号化する逆算術符号化ステップと
    を実行させることを特徴とする信号復号プログラム。
  13. 符号化の対象となる符号化対象信号を分割し、その分割区間単位の先頭で初期化された確率関連情報に基づいて算術符号化を行う信号符号化方法であって、
    前記分割区間単位ごとに符号化対象信号を分析し、その分割区間単位の符号化対象信号を算術符号化する際に用いられる前記確率関連情報を初期化するための初期値に関する情報を設定情報として導出する設定情報導出ステップと、
    前記設定情報に基づいて、前記分割区間単位における符号化対象信号を算術符号化する符号化ステップと、
    前記分割区間単位ごとに算術符号化された信号に前記設定情報を含むヘッダを付加する設定情報付加ステップと
    を備え、
    前記設定情報導出ステップでは、符号化対象信号を分析することによって導出された確率関連情報の初期値と、符号化対象信号の既出の情報として別にヘッダに付与する情報を、所定の方法によって組み合わせることによって前記設定情報を導出することを特徴とする信号符号化方法。
  14. 符号化信号を分割区間単位に逆算術符号化する信号復号方法であって、
    前記分割区間単位の符号化対象信号を逆算術符号化する際に用いられる確率関連情報を初期化するための初期値に関する情報であり符号化信号に付加されたヘッダに含まれる設定情報に基づいて確率関連情報の初期値を設定する初期値設定ステップと、
    前記初期値設定ステップにおいて初期値が設定された確率関連情報に基づいて分割区間単位ごとに符号化信号の逆算術符号化を行う逆算術符号化ステップと
    を備え、
    前記初期値設定ステップにおいて、符号化信号に付加されたヘッダに含まれる設定情報と、符号化信号のヘッダにて既出である情報を所定の方法により組み合わせて確率関連情報の初期値を設定することを特徴とする信号復号方法。
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