JP2004129185A - Sawセンサ、sawセンサを用いた個体識別装置、およびsawセンサの製造方法 - Google Patents
Sawセンサ、sawセンサを用いた個体識別装置、およびsawセンサの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】小型、薄型で、かつ高周波信号伝送時の損失の低減化が図られた高性能なSAWセンサ、各種測定装置および個体識別装置を得る。
【解決手段】SAW素子搭載部11とSAW素子駆動信号発生部12とを有するSAWセンサであって、SAW素子搭載部11は、圧電基板1上に櫛形電極よりなるSAW素子2とアンテナ4とを有するものとし、櫛形電極およびアンテナが同一基板上に薄膜形成技術によって同一工程で形成されているSAWセンサを提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】SAW素子搭載部11とSAW素子駆動信号発生部12とを有するSAWセンサであって、SAW素子搭載部11は、圧電基板1上に櫛形電極よりなるSAW素子2とアンテナ4とを有するものとし、櫛形電極およびアンテナが同一基板上に薄膜形成技術によって同一工程で形成されているSAWセンサを提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、SAW(弾性表面波:Surface Acoustic Wave)を利用した小型センサ、この小型センサを用いた個体識別装置およびこの製造方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
近年、物質の温度、湿度、圧力、その他雰囲気等の変化をワイヤレスで計測するセンサシステムへの要求が高まっている。
例えば、製造ライン内を移動する製品の温度を計測する場合には、無線のワイヤレス温度センサが使用されている。このようなワイヤレスセンサは、通信する電波の強度によって通信可能な距離が異なるものである。電波法によって定められている電界強度の範囲内で通信距離を延長しようとすると、延長した距離に応じて高感度なアンテナを使用するか、あるいは受信した信号を増幅するための機能を付加した装置を使用することが必要となり、センサ装置の大型化、複雑化、およびコスト高を招来するといった問題が発生する。
【0003】
ところで従来センサとして、弾性表面波の伝搬特性の変化、例えば周波数変化によって物質の状態変化を検知するSAWセンサが知られている(例えば、下記特許文献1〜9参照。)。
このようなSAWセンサは、SAW素子、アンテナ、および整合回路を有するSAW素子搭載部と、このSAW素子搭載部を駆動しSAW素子搭載部から発せられた周波数変化を受信するSAW素子駆動信号発生部とにより構成されている。
【0004】
SAW素子搭載部を構成するSAW素子は、弾性表面波を伝搬する圧電基板上にSAWの励起および出力を行う対の櫛形電極が形成されてなり、圧電基板の材料特性変化に従い、出力するSAW信号の特性をシフトさせるものである。
例えばSAWセンサを温度センサに適用する場合には、圧電基板には、SAWの出力信号を変化させる温度係数のある材料を選定する。
【0005】
このようなSAWセンサは、高周波信号の伝送、反射を利用したものであり、計測対象物に取り付けるセンサ側に外部電源を必要とせずに送受信が可能であるという利点を有している。
例えばサーミスタを利用した温度センサ等と比較すると、電池の交換や配線が不要であり、小型で安全性が高く、メンテナンス管理が低減化できるといった特徴を有することから、種々の態様に利用されている。
【0006】
また、複数のSAW素子を具備するSAWセンサにおいては、各々のSAW素子が異なる信号パターンを発生させるような構成とすることにより、IDカードやバーコードと同様に、個体識別を行う装置として利用できる。
【0007】
例えばIDカードについては、所定のカードをカードリーダーに接触させて信号の読み取りを行う方式から、最近においては、操作の簡便さや耐久性、高速アクセス性に優れていることから非接触で信号の読み取りを行う方式へと移行してきている。
非接触で信号の読み取りを行うものには、SAW信号の変化によって識別を行うものと、半導体チップに書き込まれた個別情報を読み取って識別を行うものとが挙げられる。
【0008】
カード内に半導体チップを具備するタイプでは、カードの動作を行うために電力を必要とするので、従来はカード内部に電池を内蔵させていたが、小型化に支障を来たすため、最近においては電池を内蔵させない構成のものを採用している。この場合、動作時の電力は信号の読み取りを行う機械から電磁誘導によって供給するので、必然的にカードと読み取り機械とは接近させる必要が生じ、現実的には、通信距離は数十センチ以内程度となる。
【0009】
一方、SAW素子を利用するタイプのIDカードにおいては、動作に電力を必要としないため、上述した半導体を使用するタイプのものに比べ、読み取り機械との距離を大きくとることができる。すなわち電力供給時の接近が必要ではなく、無線の通信可能距離分だけ離れて使用できるという利点を有している。
【0010】
上述したように、SAW素子を利用した個体識別装置は、計測対象物に取り付けるユニットの電源が不要で、かつ非接触で信号読み取りが可能であるといった特徴を有し、読み取り機械と通信可能な距離も極めて大きくすることができるという実用上の利点を有していることから、今後においても利用が促進されるものと期待されている。
【0011】
【特許文献1】
特公平6−54262号公報
【特許文献2】
特開2001−44788号公報
【特許文献3】
特開平5−183373号公報
【特許文献4】
特開平7−122964号公報
【特許文献5】
特開平8−307191号公報
【特許文献6】
特開平9−223944号公報
【特許文献7】
特開平10−135767号公報
【特許文献8】
WO98/51011号公報
【特許文献9】
特開平5−199057号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したようなSAW素子を利用したSAWセンサや個体識別装置は、今後各種カードや携帯型機器へ搭載することを考慮すると、未だ小型化や薄型化が充分に実現できていないという問題を有している。
特にカードタイプのものに応用する場合には、SAW素子を含んだセンサ自体を小型化、薄型化するとともに、大量生産のために設備投資を低減化し、同時に歩留まりの向上を図ることが必要である。
【0013】
従来においては図3に示すように、先ず所定の圧電基板を用意し、この圧電基板上にスパッタや蒸着によって電極パターンを形成してSAW素子形成およびSAW素子加工を行い、その後SAW素子にパッケージングを行い、デバイス化したSAW部品と、マッチング調整を行うインダクタやコンデンサ等の整合回路用電子部品、電波を送受信するアンテナといった各部品を回路化し、さらに外装を組み立てることによってユニットを作製していた。
【0014】
しかしながら、上述したような構成においては、完成品のユニットの高さが大きくなってしまい、形状的にカード型の媒体に搭載することは不可能であった。
【0015】
上記従来構成を採りつつユニットの低背化を図るためには、まず圧電基板の厚さを薄くすることが必要となる。しかしながら圧電基板を薄くすると、各素子をパッケージ形状に合わせて機械的加工を行う際に、強度不足のため素子破壊が発生しやすくなり、歩留まりの低下を招来するおそれがあるので、圧電基板の厚さは0.2〜0.3mm程度を確保する必要がある。
【0016】
またSAW素子は、組み立てを自動化するためには表面実装部品等へパッケージングする必要があり、素子の接続をワイヤボンディング方式からフリップチップ方式に変更することで低背化が図られるが、積層セラミックスやプラスチック製キャリアと、蓋の高さの分が素子自体の厚さに加算される。さらには素子よりも厚さのある各種SAW部品とアンテナ等をケース等に組み立てる必要があることからも、全体として充分な小型化、薄型化が図られていない。
また、上記構成を有するSAWセンサを大量に生産するためには、非常にコストが高くなるという問題もある。
【0017】
そこで本発明においては、一般的なキャッシュカード等と同等な大きさを想定したカード型筐体にも適用可能になるようにSAWセンサ、およびSAWセンサを具備する個体識別装置の小型化を図り、かつ作製工程の簡易化、コストの低減化を図ったSAWセンサの製造方法を提供する。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のSAWセンサは、測定対象物の状態変化を弾性表面波の伝搬特性の変化として感知するSAW素子搭載部と、SAW素子搭載部を駆動し、SAW素子搭載部から発せられた弾性表面波の伝搬特性の変化を受信するSAW素子駆動信号発生部とを有し、SAW素子搭載部と、SAW素子駆動信号発生部とは、無線通信によって信号交換がなされるものとし、SAW素子搭載部は、圧電基板上に少なくとも櫛形電極よりなるSAW素子とアンテナとを有して成り、櫛形電極およびアンテナが同一基板上に薄膜形成技術によって形成されているものとする。
【0019】
また、本発明の個体識別装置は、測定対象物の状態変化を弾性表面波の伝搬特性の変化として感知するSAW素子搭載部と、SAW素子搭載部を駆動しSAW素子搭載部から発せられた弾性表面波の伝搬特性の変化を受信するSAW素子駆動信号発生部とを有するものであり、SAW素子搭載部は、弾性表面波の伝搬特性、例えば、周波数、位相、速度、遅延時間のいずれかに対する物性係数を有する材料によって形成された圧電基板上に櫛形電極よりなるSAW素子とアンテナとを有して成るものとし、SAW素子搭載部とSAW素子駆動信号発生部とは、固有周波数を無線通信により送受信するようになされているものとし、櫛形電極およびアンテナは、同一基板上に薄膜形成技術によって形成されているものとする。
【0020】
本発明のSAWセンサの製造方法は、測定対象物の状態変化を弾性表面波の伝搬特性の変化として感知するSAW素子搭載部と、SAW素子搭載部を駆動しSAW素子搭載部から発せられた弾性表面波の伝搬特性の変化を受信するSAW素子駆動信号発生部とを有し、SAW素子搭載部と、SAW素子駆動信号発生部とは、無線通信によって信号交換がなされ、SAW素子搭載部は、圧電基板上に櫛形電極よりなるSAW素子とアンテナとを有するものであるSAWセンサを製造する際に、櫛形電極およびアンテナを同一基板上に、薄膜形成技術によって同一工程で形成するものとする。
【0021】
本発明によれば、SAW素子を構成する櫛形電極やアンテナ等を同一基板上に薄膜形成技術によって同一工程で形成したことによって、極めて小型で薄型で、かつ高周波信号伝送時の損失の低減化が図られた高性能なSAWセンサやこれを利用した各種測定装置、個体識別装置が得られる。
【0022】
また、本発明のSAWセンサの製造方法によれば、SAW素子を構成する櫛形電極、アンテナ、および各種回路を同一基板上に薄膜形成技術によって同一の工程で形成するものとしたことによって、SAWパッケージの省略が図られ、各部品を接続する際の半田付け等の工程が不要となり、SAW素子加工や組み立て工程を簡略化でき、しかも電気的な特性のばらつきの発生を抑制でき、SAWセンサや、SAWセンサを具備する個体識別装置を歩留まり良く、低コストで作製することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のSAWセンサについての具体的な実施形態を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0024】
図1に本発明のSAWセンサ100の概略構成図を示す。SAWセンサ100は、SAW素子搭載部11とSAW素子駆動信号発生部12とにより構成されている。SAW素子搭載部11は、圧電基板1上にSAW素子2とその整合回路3およびアンテナ4が形成された構成を有している。
SAW素子駆動信号発生部12は、アンテナ5、送受信回路7、駆動信号発生回路8、演算回路9および表示部10により構成されており、SAW素子搭載部11とSAW素子駆動信号発生部12とは、それぞれのアンテナ4、5間において、送信波、返信波の無線通信がなされる。
【0025】
圧電基板1としては、SAW素子2、整合回路3、アンテナ4の共通基板にする圧電材料を外径20mm、厚さ0.1nmとして表面を鏡面に加工したものを適用する。
なお図1においては圧電基板1を円盤形状としたが、この形状に限定されるものではなく、設計上各種形状に形成することができる。
【0026】
また、圧電基板1用の圧電材料としては、測定対象の状態変化に応じて所定の物性係数を有するものを適用する。
例えば本発明のSAWセンサを温度計測センサとする場合には、所望の種類の弾性表面波を発生し、弾性表面波の伝搬特性に対する温度係数を有する圧電材料を適用する。例えばレイリー波を発生するニオブ酸リチウム単結晶の128°回転Yカット基板を適用することができる。その他、水晶、タンタル酸リチウム、四ホウ酸リチウム、ランガサイト等を適用することができる。
【0027】
また、本発明のSAWセンサにおいて測定対象の状態変化は、弾性表面波の伝搬特性の変化として感知するが、この弾性表面波の伝搬特性の変化としては、周波数の変化の他、位相変化、速度変化、遅延時間変化等が挙げられる。
【0028】
なお、本発明のSAWセンサは温度計測センサに限定するものではなく、圧力、変位、湿度、ガス成分分析等の各種センサとしても適用できるものとし、その計測対象に応じた圧電基板を選定する。
【0029】
SAW素子2は、SAWの励起・取り出しを行う対の櫛形電極と、周波数シフトしたSAW信号を反射させる反射器から構成されている。
櫛形電極は、例えばλ/2ピッチ、電極幅がλ/4、対数50本とし、反射器は、例えばλ/2ピッチ、電極幅がλ/4で18本組とすることができる。
また櫛形電極の厚さはλ/100とすることができるが、これに限定されず、励起効率や反射効率を勘案して適宜決定することができる。
【0030】
本発明のSAWセンサ100のSAW素子搭載部11は、図2の工程図に示すように、圧電基板1上に、SAW素子2を構成する櫛形電極、反射器、整合回路3のパターン、およびアンテナ4のパターンを、薄膜形成技術により同一の工程によって形成される。
【0031】
また、SAW素子を構成する櫛形電極、反射器、整合回路およびアンテナを形成する材料としては、Alが電気抵抗が小さく、軽量であり、パターンニングが容易であることから好適な例として挙げられるが、これに限定されるものではなく、Cu、Ti、Cr、Au等を適用してもよく、さらには各種金属を積層させたり、合金化させたりしてもよい。
また、櫛形電極、反射器、整合回路およびアンテナは、設計に応じたインダクタンス、キャパシタンス等が得られるように、薄膜の材質、幅、厚さを調整する。薄膜形成方法としては、スパッタ法の他、蒸着等の真空薄膜形成技術や、メッキ法、ペースト印刷等も適用することができる。
【0032】
なお、本発明のSAWセンサ100においては、SAW素子2とアンテナ4との特性の兼ね合いを考慮して、整合回路3を省略した構成とすることもできる。
【0033】
上述したように、圧電基板1上にSAW素子2、整合回路3およびアンテナ4をそれぞれ薄膜形成技術によって同一工程で形成した後、所定の外装組み立てを行うことによって、最終的に厚さが0.2mm以下程度の極めて小型で薄型のSAW素子搭載部11が作製できる。またSAW素子搭載部11の素子形成面側を、例えば膜厚0.1mm程度のポリエチレンテレフタレートフィルム等でSAWの伝搬面上を中空にして外装することによってカード型機器に適用することが可能となる。
【0034】
以下、具体的に本発明のSAWセンサ100を用いて対象物の温度変化を測定する場合について説明する。
先ず、SAW素子搭載部11を測定対象物に取り付け、例えば30〜45℃の範囲で温度を変化させた。SAW素子搭載部11と例えば1m程度離れた位置に設置したSAW素子駆動信号発生部12の駆動信号発生回路8から送信指令信号を出し、この信号を受けて、送受信回路7を介してアンテナ5から、出力1mW、周波数300MHzの送信波をアンテナ4に送信した。この送信波が放射されて所定時間後にアンテナ4からの返信波がSAW素子駆動信号発生部12に返って来る。
この返信波形はSAWのエコーよりなるものであり、特性の変化、例えば周波数変化、位相変化、速度変化、遅延時間変化等が、測定対象物の温度情報を含んでいる。
駆動信号発生回路8は、エコーの特性変化を数値的に検出し、これに応じて演算回路9によって温度が算出され、表示部10で温度を表示したところ、追従性良く温度の変化を確認することができた。
【0035】
本発明のSAWセンサ100は、温度変化を測定する場合の他、圧力変化、湿度変化、ガス成分変化等の各種物性変化を検知し、測定するセンサとしても適用できる。
【0036】
また、本発明のSAWセンサ100については、圧電基板1あるいはSAW素子2を構成する櫛形電極パターンによって、固有周波数の信号を送受信するようにするような構成とすることによって、測定対象を個別認識する機能を持たせることができる。また、測定対象物を認識した信号のデータベースから対象を個別に割り出すようにすることにより、例えば各種料金システム用のユーザーカードや、各種セキュリティシステム用の通行カード、ユーザー個人のIDカード等に適用可能である。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、SAW素子を構成する櫛形電極やアンテナ等を同一基板上に薄膜形成技術によって同一工程で形成したことによって、極めて小型、薄型で、かつ高周波信号伝送時の損失の低減化が図られた高性能なSAWセンサやこれを利用した各種測定装置、個体識別装置が得られた。
【0038】
また、本発明のSAWセンサの製造方法によれば、SAW素子を構成する櫛形電極、アンテナおよび各種回路を同一基板上に薄膜形成技術によって、同一の工程で形成することとしたことによって、SAWパッケージ工程の省略が図られ、各部品を接続する際の半田付け等の工程が不要となり、SAW素子加工や組み立て工程を簡略化でき、しかも電気的な特性のばらつきの発生を抑制でき、SAWセンサや、SAWセンサを具備する個体識別装置を歩留まり良く、低コストで作製することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のSAWセンサの概略構成図を示す。
【図2】本発明のSAWセンサの製造フローを示す。
【図3】従来のSAWセンサの製造フローを示す。
【符号の説明】
1……圧電基板、2……SAW素子、3……整合回路、4……アンテナ、5……アンテナ、7……送受信回路、8……駆動信号発生回路、9……演算回路、10……表示部、11……SAW素子搭載部、12……SAW素子駆動信号発生部、100……SAWセンサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、SAW(弾性表面波:Surface Acoustic Wave)を利用した小型センサ、この小型センサを用いた個体識別装置およびこの製造方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
近年、物質の温度、湿度、圧力、その他雰囲気等の変化をワイヤレスで計測するセンサシステムへの要求が高まっている。
例えば、製造ライン内を移動する製品の温度を計測する場合には、無線のワイヤレス温度センサが使用されている。このようなワイヤレスセンサは、通信する電波の強度によって通信可能な距離が異なるものである。電波法によって定められている電界強度の範囲内で通信距離を延長しようとすると、延長した距離に応じて高感度なアンテナを使用するか、あるいは受信した信号を増幅するための機能を付加した装置を使用することが必要となり、センサ装置の大型化、複雑化、およびコスト高を招来するといった問題が発生する。
【0003】
ところで従来センサとして、弾性表面波の伝搬特性の変化、例えば周波数変化によって物質の状態変化を検知するSAWセンサが知られている(例えば、下記特許文献1〜9参照。)。
このようなSAWセンサは、SAW素子、アンテナ、および整合回路を有するSAW素子搭載部と、このSAW素子搭載部を駆動しSAW素子搭載部から発せられた周波数変化を受信するSAW素子駆動信号発生部とにより構成されている。
【0004】
SAW素子搭載部を構成するSAW素子は、弾性表面波を伝搬する圧電基板上にSAWの励起および出力を行う対の櫛形電極が形成されてなり、圧電基板の材料特性変化に従い、出力するSAW信号の特性をシフトさせるものである。
例えばSAWセンサを温度センサに適用する場合には、圧電基板には、SAWの出力信号を変化させる温度係数のある材料を選定する。
【0005】
このようなSAWセンサは、高周波信号の伝送、反射を利用したものであり、計測対象物に取り付けるセンサ側に外部電源を必要とせずに送受信が可能であるという利点を有している。
例えばサーミスタを利用した温度センサ等と比較すると、電池の交換や配線が不要であり、小型で安全性が高く、メンテナンス管理が低減化できるといった特徴を有することから、種々の態様に利用されている。
【0006】
また、複数のSAW素子を具備するSAWセンサにおいては、各々のSAW素子が異なる信号パターンを発生させるような構成とすることにより、IDカードやバーコードと同様に、個体識別を行う装置として利用できる。
【0007】
例えばIDカードについては、所定のカードをカードリーダーに接触させて信号の読み取りを行う方式から、最近においては、操作の簡便さや耐久性、高速アクセス性に優れていることから非接触で信号の読み取りを行う方式へと移行してきている。
非接触で信号の読み取りを行うものには、SAW信号の変化によって識別を行うものと、半導体チップに書き込まれた個別情報を読み取って識別を行うものとが挙げられる。
【0008】
カード内に半導体チップを具備するタイプでは、カードの動作を行うために電力を必要とするので、従来はカード内部に電池を内蔵させていたが、小型化に支障を来たすため、最近においては電池を内蔵させない構成のものを採用している。この場合、動作時の電力は信号の読み取りを行う機械から電磁誘導によって供給するので、必然的にカードと読み取り機械とは接近させる必要が生じ、現実的には、通信距離は数十センチ以内程度となる。
【0009】
一方、SAW素子を利用するタイプのIDカードにおいては、動作に電力を必要としないため、上述した半導体を使用するタイプのものに比べ、読み取り機械との距離を大きくとることができる。すなわち電力供給時の接近が必要ではなく、無線の通信可能距離分だけ離れて使用できるという利点を有している。
【0010】
上述したように、SAW素子を利用した個体識別装置は、計測対象物に取り付けるユニットの電源が不要で、かつ非接触で信号読み取りが可能であるといった特徴を有し、読み取り機械と通信可能な距離も極めて大きくすることができるという実用上の利点を有していることから、今後においても利用が促進されるものと期待されている。
【0011】
【特許文献1】
特公平6−54262号公報
【特許文献2】
特開2001−44788号公報
【特許文献3】
特開平5−183373号公報
【特許文献4】
特開平7−122964号公報
【特許文献5】
特開平8−307191号公報
【特許文献6】
特開平9−223944号公報
【特許文献7】
特開平10−135767号公報
【特許文献8】
WO98/51011号公報
【特許文献9】
特開平5−199057号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したようなSAW素子を利用したSAWセンサや個体識別装置は、今後各種カードや携帯型機器へ搭載することを考慮すると、未だ小型化や薄型化が充分に実現できていないという問題を有している。
特にカードタイプのものに応用する場合には、SAW素子を含んだセンサ自体を小型化、薄型化するとともに、大量生産のために設備投資を低減化し、同時に歩留まりの向上を図ることが必要である。
【0013】
従来においては図3に示すように、先ず所定の圧電基板を用意し、この圧電基板上にスパッタや蒸着によって電極パターンを形成してSAW素子形成およびSAW素子加工を行い、その後SAW素子にパッケージングを行い、デバイス化したSAW部品と、マッチング調整を行うインダクタやコンデンサ等の整合回路用電子部品、電波を送受信するアンテナといった各部品を回路化し、さらに外装を組み立てることによってユニットを作製していた。
【0014】
しかしながら、上述したような構成においては、完成品のユニットの高さが大きくなってしまい、形状的にカード型の媒体に搭載することは不可能であった。
【0015】
上記従来構成を採りつつユニットの低背化を図るためには、まず圧電基板の厚さを薄くすることが必要となる。しかしながら圧電基板を薄くすると、各素子をパッケージ形状に合わせて機械的加工を行う際に、強度不足のため素子破壊が発生しやすくなり、歩留まりの低下を招来するおそれがあるので、圧電基板の厚さは0.2〜0.3mm程度を確保する必要がある。
【0016】
またSAW素子は、組み立てを自動化するためには表面実装部品等へパッケージングする必要があり、素子の接続をワイヤボンディング方式からフリップチップ方式に変更することで低背化が図られるが、積層セラミックスやプラスチック製キャリアと、蓋の高さの分が素子自体の厚さに加算される。さらには素子よりも厚さのある各種SAW部品とアンテナ等をケース等に組み立てる必要があることからも、全体として充分な小型化、薄型化が図られていない。
また、上記構成を有するSAWセンサを大量に生産するためには、非常にコストが高くなるという問題もある。
【0017】
そこで本発明においては、一般的なキャッシュカード等と同等な大きさを想定したカード型筐体にも適用可能になるようにSAWセンサ、およびSAWセンサを具備する個体識別装置の小型化を図り、かつ作製工程の簡易化、コストの低減化を図ったSAWセンサの製造方法を提供する。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のSAWセンサは、測定対象物の状態変化を弾性表面波の伝搬特性の変化として感知するSAW素子搭載部と、SAW素子搭載部を駆動し、SAW素子搭載部から発せられた弾性表面波の伝搬特性の変化を受信するSAW素子駆動信号発生部とを有し、SAW素子搭載部と、SAW素子駆動信号発生部とは、無線通信によって信号交換がなされるものとし、SAW素子搭載部は、圧電基板上に少なくとも櫛形電極よりなるSAW素子とアンテナとを有して成り、櫛形電極およびアンテナが同一基板上に薄膜形成技術によって形成されているものとする。
【0019】
また、本発明の個体識別装置は、測定対象物の状態変化を弾性表面波の伝搬特性の変化として感知するSAW素子搭載部と、SAW素子搭載部を駆動しSAW素子搭載部から発せられた弾性表面波の伝搬特性の変化を受信するSAW素子駆動信号発生部とを有するものであり、SAW素子搭載部は、弾性表面波の伝搬特性、例えば、周波数、位相、速度、遅延時間のいずれかに対する物性係数を有する材料によって形成された圧電基板上に櫛形電極よりなるSAW素子とアンテナとを有して成るものとし、SAW素子搭載部とSAW素子駆動信号発生部とは、固有周波数を無線通信により送受信するようになされているものとし、櫛形電極およびアンテナは、同一基板上に薄膜形成技術によって形成されているものとする。
【0020】
本発明のSAWセンサの製造方法は、測定対象物の状態変化を弾性表面波の伝搬特性の変化として感知するSAW素子搭載部と、SAW素子搭載部を駆動しSAW素子搭載部から発せられた弾性表面波の伝搬特性の変化を受信するSAW素子駆動信号発生部とを有し、SAW素子搭載部と、SAW素子駆動信号発生部とは、無線通信によって信号交換がなされ、SAW素子搭載部は、圧電基板上に櫛形電極よりなるSAW素子とアンテナとを有するものであるSAWセンサを製造する際に、櫛形電極およびアンテナを同一基板上に、薄膜形成技術によって同一工程で形成するものとする。
【0021】
本発明によれば、SAW素子を構成する櫛形電極やアンテナ等を同一基板上に薄膜形成技術によって同一工程で形成したことによって、極めて小型で薄型で、かつ高周波信号伝送時の損失の低減化が図られた高性能なSAWセンサやこれを利用した各種測定装置、個体識別装置が得られる。
【0022】
また、本発明のSAWセンサの製造方法によれば、SAW素子を構成する櫛形電極、アンテナ、および各種回路を同一基板上に薄膜形成技術によって同一の工程で形成するものとしたことによって、SAWパッケージの省略が図られ、各部品を接続する際の半田付け等の工程が不要となり、SAW素子加工や組み立て工程を簡略化でき、しかも電気的な特性のばらつきの発生を抑制でき、SAWセンサや、SAWセンサを具備する個体識別装置を歩留まり良く、低コストで作製することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のSAWセンサについての具体的な実施形態を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0024】
図1に本発明のSAWセンサ100の概略構成図を示す。SAWセンサ100は、SAW素子搭載部11とSAW素子駆動信号発生部12とにより構成されている。SAW素子搭載部11は、圧電基板1上にSAW素子2とその整合回路3およびアンテナ4が形成された構成を有している。
SAW素子駆動信号発生部12は、アンテナ5、送受信回路7、駆動信号発生回路8、演算回路9および表示部10により構成されており、SAW素子搭載部11とSAW素子駆動信号発生部12とは、それぞれのアンテナ4、5間において、送信波、返信波の無線通信がなされる。
【0025】
圧電基板1としては、SAW素子2、整合回路3、アンテナ4の共通基板にする圧電材料を外径20mm、厚さ0.1nmとして表面を鏡面に加工したものを適用する。
なお図1においては圧電基板1を円盤形状としたが、この形状に限定されるものではなく、設計上各種形状に形成することができる。
【0026】
また、圧電基板1用の圧電材料としては、測定対象の状態変化に応じて所定の物性係数を有するものを適用する。
例えば本発明のSAWセンサを温度計測センサとする場合には、所望の種類の弾性表面波を発生し、弾性表面波の伝搬特性に対する温度係数を有する圧電材料を適用する。例えばレイリー波を発生するニオブ酸リチウム単結晶の128°回転Yカット基板を適用することができる。その他、水晶、タンタル酸リチウム、四ホウ酸リチウム、ランガサイト等を適用することができる。
【0027】
また、本発明のSAWセンサにおいて測定対象の状態変化は、弾性表面波の伝搬特性の変化として感知するが、この弾性表面波の伝搬特性の変化としては、周波数の変化の他、位相変化、速度変化、遅延時間変化等が挙げられる。
【0028】
なお、本発明のSAWセンサは温度計測センサに限定するものではなく、圧力、変位、湿度、ガス成分分析等の各種センサとしても適用できるものとし、その計測対象に応じた圧電基板を選定する。
【0029】
SAW素子2は、SAWの励起・取り出しを行う対の櫛形電極と、周波数シフトしたSAW信号を反射させる反射器から構成されている。
櫛形電極は、例えばλ/2ピッチ、電極幅がλ/4、対数50本とし、反射器は、例えばλ/2ピッチ、電極幅がλ/4で18本組とすることができる。
また櫛形電極の厚さはλ/100とすることができるが、これに限定されず、励起効率や反射効率を勘案して適宜決定することができる。
【0030】
本発明のSAWセンサ100のSAW素子搭載部11は、図2の工程図に示すように、圧電基板1上に、SAW素子2を構成する櫛形電極、反射器、整合回路3のパターン、およびアンテナ4のパターンを、薄膜形成技術により同一の工程によって形成される。
【0031】
また、SAW素子を構成する櫛形電極、反射器、整合回路およびアンテナを形成する材料としては、Alが電気抵抗が小さく、軽量であり、パターンニングが容易であることから好適な例として挙げられるが、これに限定されるものではなく、Cu、Ti、Cr、Au等を適用してもよく、さらには各種金属を積層させたり、合金化させたりしてもよい。
また、櫛形電極、反射器、整合回路およびアンテナは、設計に応じたインダクタンス、キャパシタンス等が得られるように、薄膜の材質、幅、厚さを調整する。薄膜形成方法としては、スパッタ法の他、蒸着等の真空薄膜形成技術や、メッキ法、ペースト印刷等も適用することができる。
【0032】
なお、本発明のSAWセンサ100においては、SAW素子2とアンテナ4との特性の兼ね合いを考慮して、整合回路3を省略した構成とすることもできる。
【0033】
上述したように、圧電基板1上にSAW素子2、整合回路3およびアンテナ4をそれぞれ薄膜形成技術によって同一工程で形成した後、所定の外装組み立てを行うことによって、最終的に厚さが0.2mm以下程度の極めて小型で薄型のSAW素子搭載部11が作製できる。またSAW素子搭載部11の素子形成面側を、例えば膜厚0.1mm程度のポリエチレンテレフタレートフィルム等でSAWの伝搬面上を中空にして外装することによってカード型機器に適用することが可能となる。
【0034】
以下、具体的に本発明のSAWセンサ100を用いて対象物の温度変化を測定する場合について説明する。
先ず、SAW素子搭載部11を測定対象物に取り付け、例えば30〜45℃の範囲で温度を変化させた。SAW素子搭載部11と例えば1m程度離れた位置に設置したSAW素子駆動信号発生部12の駆動信号発生回路8から送信指令信号を出し、この信号を受けて、送受信回路7を介してアンテナ5から、出力1mW、周波数300MHzの送信波をアンテナ4に送信した。この送信波が放射されて所定時間後にアンテナ4からの返信波がSAW素子駆動信号発生部12に返って来る。
この返信波形はSAWのエコーよりなるものであり、特性の変化、例えば周波数変化、位相変化、速度変化、遅延時間変化等が、測定対象物の温度情報を含んでいる。
駆動信号発生回路8は、エコーの特性変化を数値的に検出し、これに応じて演算回路9によって温度が算出され、表示部10で温度を表示したところ、追従性良く温度の変化を確認することができた。
【0035】
本発明のSAWセンサ100は、温度変化を測定する場合の他、圧力変化、湿度変化、ガス成分変化等の各種物性変化を検知し、測定するセンサとしても適用できる。
【0036】
また、本発明のSAWセンサ100については、圧電基板1あるいはSAW素子2を構成する櫛形電極パターンによって、固有周波数の信号を送受信するようにするような構成とすることによって、測定対象を個別認識する機能を持たせることができる。また、測定対象物を認識した信号のデータベースから対象を個別に割り出すようにすることにより、例えば各種料金システム用のユーザーカードや、各種セキュリティシステム用の通行カード、ユーザー個人のIDカード等に適用可能である。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、SAW素子を構成する櫛形電極やアンテナ等を同一基板上に薄膜形成技術によって同一工程で形成したことによって、極めて小型、薄型で、かつ高周波信号伝送時の損失の低減化が図られた高性能なSAWセンサやこれを利用した各種測定装置、個体識別装置が得られた。
【0038】
また、本発明のSAWセンサの製造方法によれば、SAW素子を構成する櫛形電極、アンテナおよび各種回路を同一基板上に薄膜形成技術によって、同一の工程で形成することとしたことによって、SAWパッケージ工程の省略が図られ、各部品を接続する際の半田付け等の工程が不要となり、SAW素子加工や組み立て工程を簡略化でき、しかも電気的な特性のばらつきの発生を抑制でき、SAWセンサや、SAWセンサを具備する個体識別装置を歩留まり良く、低コストで作製することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のSAWセンサの概略構成図を示す。
【図2】本発明のSAWセンサの製造フローを示す。
【図3】従来のSAWセンサの製造フローを示す。
【符号の説明】
1……圧電基板、2……SAW素子、3……整合回路、4……アンテナ、5……アンテナ、7……送受信回路、8……駆動信号発生回路、9……演算回路、10……表示部、11……SAW素子搭載部、12……SAW素子駆動信号発生部、100……SAWセンサ
Claims (10)
- 測定対象物の状態変化を弾性表面波の伝搬特性の変化として感知するSAW素子搭載部と、
上記SAW素子搭載部を駆動し、当該SAW素子搭載部から発せられた弾性表面波の伝搬特性の変化を受信するSAW素子駆動信号発生部とを有し、
上記SAW素子搭載部と、上記SAW素子駆動信号発生部とは、無線通信によって信号交換がなされるものであり、
上記SAW素子搭載部は、圧電基板上に櫛形電極よりなるSAW素子とアンテナとを有して成り、上記櫛形電極およびアンテナが、同一基板上に薄膜形成技術によって形成されていることを特徴とするSAWセンサ。 - 測定対象物の状態変化を、弾性表面波の周波数、位相、速度、遅延時間の少なくともいずれかの変化として感知するSAW素子搭載部と、
上記SAW素子搭載部を駆動し、当該SAW素子搭載部から発せられた弾性表面波の周波数、位相、速度、遅延時間の少なくともいずれかの変化を受信するSAW素子駆動信号発生部とを有することを特徴とする請求項1に記載のSAWセンサ。 - 上記SAW素子と上記アンテナとが整合回路によって連結されてなり、上記整合回路は、上記櫛形電極および上記アンテナと同一基板上に薄膜形成技術によって形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のSAWセンサ。
- 上記圧電基板が、弾性表面波の周波数、位相、速度、遅延時間の少なくともいずれかに対する温度係数を有する材料によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のSAWセンサ。
- 測定対象物の状態変化を弾性表面波の伝搬特性の変化として感知するSAW素子搭載部と、
上記SAW素子搭載部を駆動し、当該SAW素子搭載部から発せられた弾性表面波の伝搬特性の変化を受信するSAW素子駆動信号発生部とを有し、
上記SAW素子搭載部は、弾性表面波の伝搬特性に対する物性係数を有する材料によって形成された圧電基板上に櫛形電極よりなるSAW素子とアンテナとが形成されてなり、
上記SAW素子搭載部と上記SAW素子駆動信号発生部とは、上記圧電材料あるいは上記櫛型電極のパターンにより、固有周波数を無線通信により送受信するようになされており、
上記櫛形電極およびアンテナが、同一基板上に、薄膜形成技術によって形成されているものであることを特徴とする個体識別装置。 - 測定対象物の状態変化を弾性表面波の周波数、位相、速度、遅延時間の少なくともいずれかの変化として感知するSAW素子搭載部と、
上記SAW素子搭載部を駆動し、当該SAW素子搭載部から発せられた弾性表面波の周波数、位相、速度、遅延時間の少なくともいずれかの変化を受信するSAW素子駆動信号発生部とを有し、
上記SAW素子搭載部は、弾性表面波の周波数、位相、速度、遅延時間の少なくともいずれかに対する物性係数を有する材料によって形成された圧電基板上に櫛形電極よりなるSAW素子とアンテナとが形成されてなることを特徴とする請求項5に記載の個体識別装置。 - 測定対象物の状態変化を弾性表面波の伝搬特性の変化として感知するSAW素子搭載部と、
上記SAW素子搭載部を駆動し、当該SAW素子搭載部から発せられた弾性表面波の伝搬特性の変化を受信するSAW素子駆動信号発生部とを有し、
上記SAW素子搭載部と、上記SAW素子駆動信号発生部とは、無線通信によって信号交換がなされ、上記SAW素子搭載部は、圧電基板上に少なくとも櫛形電極よりなるSAW素子とアンテナとを有するものであるSAWセンサの製造方法であって、
上記櫛形電極および上記アンテナを、薄膜形成技術によって同一基板上に、同一工程で形成することを特徴とするSAWセンサの製造方法。 - 測定対象物の状態変化を弾性表面波の周波数、位相、速度、遅延時間の少なくともいずれかの変化として感知するSAW素子搭載部と、
上記SAW素子搭載部を駆動し、当該SAW素子搭載部から発せられた弾性表面波の周波数、位相、速度、遅延時間の少なくともいずれかの変化を受信するSAW素子駆動信号発生部とを有し、
上記SAW素子搭載部と、上記SAW素子駆動信号発生部とは、無線通信によって信号交換がなされ、上記SAW素子搭載部は、圧電基板上に少なくとも櫛形電極よりなるSAW素子とアンテナとを有するものである請求項7に記載のSAWセンサの製造方法。 - 上記SAW素子と上記アンテナとが整合回路によって連結されてなるSAWセンサの製造方法であって、
上記櫛形電極、アンテナおよび整合回路を、薄膜形成技術によって同一基板上に、同一工程で形成することを特徴とする請求項7に記載のSAWセンサの製造方法。 - 上記薄膜形成技術が、スパッタリング法あるいは蒸着法のいずれかであることを特徴とする請求項7に記載のSAWセンサの製造方法。
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