JP2004125084A - 燃料用の複層樹脂ホース - Google Patents
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Abstract
【目的】PA12/PA11等のポリアミド基含有率の小さなかつコスト高なPAを使用する必然性がなく、しかも、耐水分透過性や耐塩化カルシウム性の問題点も解決できる複層樹脂ホースを提供すること。
【構成】脂肪族ポリアミド(PA)をベースとするPA押出材料で形成されたPA層14と、該PA層14に外側に接触し、高密度ポリエチレン(HDPE)系押出材料で形成されたHDPE系層16とを備えてなる燃料用の複層樹脂ホース。HDPE系押出材料が、HDPEを主成分とするとともにジカルボン酸変性ポリオレフィン(変性PO)を含むポリマーアロイである。ここで、変性POの溶融粘度がHDPEのそれより格段に大きい。
【選択図】 図1
【構成】脂肪族ポリアミド(PA)をベースとするPA押出材料で形成されたPA層14と、該PA層14に外側に接触し、高密度ポリエチレン(HDPE)系押出材料で形成されたHDPE系層16とを備えてなる燃料用の複層樹脂ホース。HDPE系押出材料が、HDPEを主成分とするとともにジカルボン酸変性ポリオレフィン(変性PO)を含むポリマーアロイである。ここで、変性POの溶融粘度がHDPEのそれより格段に大きい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、燃料用の複層樹脂ホースに関し、特に、燃料インレットホースの如く、燃料に直接接触するとともに、燃料ベーパの耐透過性も要求され,さらに、蛇腹部を有し大きな層間接着性が要求される配管に好適なものである。ここでは、燃料インレットホースを例に採り説明するが、これらに限られるものではない。
【0002】
なお、燃料としては、ガソリン、軽油、LPG等の自動車系燃料であればいずれにも適応可能である。
【0003】
【背景技術】
従来、燃料インレットホースは、脂肪族ポリアミド樹脂を押出成形した単層構成のものが多かった。
【0004】
そして、脂肪族ポリアミドとしては、ポリアミド66(PA66:ナイロン66)に比して融点が低く、成形性が良好で、剛性(弾性率)が低く、かつ安価なポリアミド6(PA6:ナイロン6)が使用されていた。
【0005】
しかし、PA6は、水分透過性(燃料中の水分透過率が高くなる。)や塩化カルシウム(融雪剤として使用される。)に対する耐性に問題があった。
そこで、耐塩化カルシウム性を有するポリアミド12(PA12:ナイロン12)やポリアミド11(PA11:ナイロン11)を使用したものがあるが、コスト高の上、低温時の耐衝撃性に問題が発生し易い。
【0006】
このため、特許文献1において、PA11及び/又はPA12からなる外層と、ポリアミド6からなる内層とを備えた複層樹脂ホースが提案されている。
【0007】
しかし、当該複層樹脂ホースは、PA11やPA12を使用することが前提であり、かつ、PA各層の組み合わせであるため、水分透過性の問題は若干残ると推定される。
【0008】
なお、本発明の発明性に影響を与えないが、ポリアミド層を備えた燃料用の複層樹脂ホース係る先行技術文献情報として、特許文献2〜3がある。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−311482公報
【特許文献2】
特開平8−247345号公報
【特許文献3】
特開2000−225425公報
【0010】
【発明の開示】
本発明は、上記にかんがみて、PA12/PA11等のポリアミド基含有率の小さなかつコスト高なPAを使用する必然性がなく、しかも、耐水分透過性や耐塩化カルシウム性の問題点も解決できる複層樹脂ホースを提供することを目的とする。
【0011】
本発明は、下記構成により上記課題
(目的)を解決するものである。
【0012】
脂肪族ポリアミド(PA)をベースとするPA押出材料で形成されたPA層と、該PA層に外側に接触し、高密度ポリエチレン(HDPE)系押出材料で形成されたHDPE系層とを備えてなる燃料用の複層樹脂ホースにおいて、
前記HDPE系材料が、HDPEを主成分とするとともにジカルボン酸変性ポリオレフィン(変性PO)を含むポリマーアロイであり、
該変性POのメルトマスフローレート(MFR)値(230℃:JIS K 7210)が前記HDPEのMFR値(190℃:JIS K 7210)に比して大きいことを特徴とする。
【0013】
PA層の外側にHDPE系層を形成することにより、耐水分透過性及び耐塩化カルシウム性に相対的に劣るポリアミド基濃度が高いPA6等の材料で内側層を形成しても、耐水分透過性及び耐塩化カルシウム性を確保できる。そして、PA層とHDPE系層との間には、後述の試験例で示す如く、良好な層間接着性を確保することができる。
【0014】
上記、HDPE系押出材料におけるポリマーアロイの組成は、HDPE:50〜75質量部、エチレン−αオレフィン共重合体:5〜10質量部、変性PO:20〜45質量部の組成とすることが望ましい。接着成分であるジカルボン酸変性ポリオレフィンの量が、HDPEの量より少なくても、上記溶融粘度比の関係から接着成分がマトリックス相(連続相)となる。よって接着力が従来のHDPEベースの燃料ホースに比して高くなる。また、ゴム成分であるエチレン−αオレフィン共重合体を含有することで、複層樹脂ホースの柔軟性が向上する。
【0015】
本発明の他の構成は、脂肪族PAをベースとするPA押出材料で形成されたPA層と、該PA層に外側に接触し、HDPE系押出材料で形成されたHDPE系層とを備えてなる複層樹脂ホースにおいて、
前記HDPE系押出材料が、ジカルボン変性高密度ポリエチレン(変性HDPE)をベースとし、変性HDPEが、メルトマスフローレート(MFR)値(190℃;JIS K 7210)約0.02〜10.0g/10分の要件を満たすジカルボン酸変性物であることを特徴とする。
【0016】
ジカルボン酸変性HDPEで外層を形成することにより、外層に所定の柔軟性を付与し易く、また、PA層との接着性を接着剤層レスで確保できる。
【0017】
上記各構成において、脂肪族ポリアミドとしてPA6を使用することが望ましい。PA6がコスト安であり、PA66に比して剛性が低い(柔らかい)上、PA6の耐水分透過性及び耐塩化カルシウム性の問題点を解決でき、本発明の効果が顕著となる。
【0018】
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明を行う。本明細書において、配合量を表す「%」、「部」等は、特に断らない限り質量単位とする。また、燃料透過性(CE10)は、透過対象燃料として Fuel C(JIS K 6258 表1)/エチルアルコール(容積比)=90/10を使用した場合の値である。
【0019】
以下の説明でMFR値とは、押出形プラストメーターを用いた熱可塑性プラスチックの流動性試験で、規定する温度と圧力の条件下、ダイを通して押し出した材料の1分間当りの質量であって、該押出温度における材料粘度と密接に関係する。即ち、該温度における材料粘度が高いほど値は小さくなる。なお、本明細書中、MFR値は、JIS K 7210(ISO 1133又はASTM D 1238に対応)に基づく値である。
【0020】
(1)本発明の複層樹脂ホース12は、図1に示す如く、PAをベースとするPA押出材料で形成されたPA層14と、該PA層14の外側に接触し、HDPE系押出材料で形成されたHDPE系層16とを備えてなるものである。
【0021】
ここで、PAとしては、通常、PA66に比して安価でかつ柔らかいPA6を使用するが、他の脂肪族PA、たとえば、PA46、PA66、PA610、PA612、PA7、PA11、PA12等、特に限定されない。そして、PA系押出材料には、適宜、慣用の副資材を配合することもできる。
【0022】
(2)上記構成において、本発明の一つは、HDPE系材料が、HDPEを主成分とするとともにジカルボン酸変性ポリオレフィン(ジカルボン酸変性PO)を含むポリマーアロイであることを第一の構成要件とする。
【0023】
HDPEは、複層樹脂ホース12の分野において汎用されている材料である。ここでは、密度930〜975kg/m3のものを使用する。
【0024】
ジカルボン酸変性POとしては、不飽和ジカルボン酸であるマレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びそれらの無水物等で変性したポリオレフィン等を使用可能である。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等を使用可能である。具体的には、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが好適に使用可能である。
【0025】
上記変性方法としては、上記で例示したジカルボン酸と、オレフィンモノマーとを共重合させることにより、ポリオレフィンにジカルボン酸モノマーを導入する方法や、ポリオレフィンに上記ジカルボン酸をグラフト共重合させることにより導入する方法などがあるが、いずれも使用可能である。
【0026】
また、ジカルボン酸変性POの変性率は、約0.1〜5%、望ましくは約0.3〜3%、さらに望ましくは約0.5〜1.5%とする。変性率が低すぎても高すぎてもHDPE系層に対する接着性を確保し難くなり、また、高すぎる場合は、剛性が高くなりホース全体の柔軟性を確保し難くなる。
【0027】
ここで、ジカルボン酸変性POの代わりに、アクリル酸、メタクリル酸等で変性したモノカルボン酸変性や、グリシジルメタクリレートで変性したエポキシ基変性の各変性物の使用も考えられるが、ジカルボン酸変性物に比して効果が小さいと推定される。
【0028】
そして、本発明においては、上記ジカルボン酸変性POのMFR値(230℃)が上記HDPEのMFR値(190℃)に比して大きいことを第二の構成要件とする。
【0029】
上記の如く、接着成分であるジカルボン酸変性POがマトリックス相(連続相)になるような粘度関係でポリマーアロイとされていることにより、内層であるPA層14と外層であるHDPE系層16との間に実用的な接着強さを確保可能となる。
【0030】
上記構成において、ポリマーアロイが、HDPE:約25〜80部、望ましくは約45〜75部、さらに望ましくは、約50〜70部、エチレン−αオレフィン共重合体:約1〜30部、望ましくは約3〜20部、さらに望ましくは、約5〜10部、ジカルボン酸変性PO:約20〜45部、望ましくは約25〜40部、さらに望ましくは、約30〜35部を含有してなることが望ましい。
【0031】
接着成分であるジカルボン酸変性POの量が、上記の如くHDPEとエチレンαオレフィンとの合計量より少なくても、ポリマーアロイは、粘度比の関係から接着成分(ジカルボン酸変性PO)がマトリックス相(連続相)になっている。よって前述の如く、PA層とHDPE系層との間に実用的な接着強さが確保可能となる。
【0032】
HDPEの量が少なすぎると、チューブの耐熱性、耐燃料油性が低下する。逆に多すぎると、チューブの可撓性が低下する(剛性が高くなりすぎる。)おそれがあるとともに、PA層14−HDPE系層16間に実用接着強さを確保し難くなる。
【0033】
また、ジカルボン酸変性POの量が少なすぎると、PA層14−HDPE系層16間に実用接着強さを確保し難くなり、逆に多すぎると、コスト高となる。
【0034】
上記でポリマーアロイ中に含有するエチレン−αオレフィン共重合体は、ゴム成分であって、複層樹脂ホース12に柔軟性を付与するために含有するものである。エチレン−αオレフィン共重合体としては、通常、エチレンープロピレン共重合体や、それらに1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどがさらに共重合された三成分共重合体等が使用可能である。
【0035】
上記エチレン−αオレフィン共重合体のポリマーアロイ中の含有量が少ないと、複層樹脂ホース12の柔軟性が確保しがたい。逆に含有量が多すぎると、耐熱性及び耐燃料油性を確保しがたい。
【0036】
なお、上記外層には本発明の効果(接着性、柔軟性等)に悪影響を及ぼさない範囲で、汎用の添加剤や、その他のポリマーを含有してもよい。
【0037】
上記ジカルボン酸変性POとしては、前述のポリマーアロイの欄で述べたものを使用することができる。
【0038】
(3)本発明の他の一つは、HDPE系押出材料が、ジカルボン変性高密度ポリエチレン(ジカルボン酸変性HDPE)をベースとすることを第一の要件とする。
【0039】
HDPEをジカルボン酸で変性することでHDPE系層16とPA層14との間に実用接着強度を確保可能となる。
【0040】
ジカルボン酸変性HDPEとしては、ジカルボン酸であるマレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びそれらの無水物等で変性したHDPE等を使用可能である。具体的には、無水マレイン酸変性HDPEが好適に使用可能である。
【0041】
上記変性方法としては、上記で例示したジカルボン酸と、エチレンモノマーとを共重合することにより、HDPEにジカルボン酸モノマーを導入する方法や、HDPEに上記ジカルボン酸をグラフト共重合により導入する方法などがあるが、いずれも使用可能である。
【0042】
また、ジカルボン酸変性HDPEの変性率は、約0.1〜10%、望ましくは、約0.1〜5%、さらに望ましくは約0.1〜3%とする。変性率が低すぎても高すぎても接着性が低下する。
【0043】
ここで、ジカルボン酸変性HDPEの代わりに、アクリル酸、メタクリル酸等で変性するモノカルボン酸変性HDPEや、グリシジルメタクリレートで変性するエポキシ基変性物の使用も考えられるが、ジカルボン酸変性物に比して効果が小さいと推定される。
【0044】
そして、上記ジカルボン酸変性HDPEが、MFR値(190℃)が約0.02〜10.0g/10分、望ましくは約0.1〜5.0g/10分、さらに望ましくは約0.2〜3.0g/10分であることを第二の要件とするものである。
【0045】
ジカルボン酸変性HDPEを含有するHDPE系押出材料でHDPE系層16をPA層14の外側に接触させて形成することにより、ホース全体の柔軟性を確保しやすく、PA層14との間に実用接着強さの確保が可能となる。
【0046】
上記変性HDPEは、密度約930〜975kg/m3の範囲から、要求物性に応じて適宜選択をする。
【0047】
なお、上記変性HDPEには、アロイ成分として、分岐の多いオレフィン系共重合体及び/又は中密度、低密度ポリエチレンのブレンド物を使用してポリマーアロイ化してもよい。上記変性HDPEをアロイ化することにより柔軟性が増す。
【0048】
なお、上記HDPE系層には本発明の効果(接着性、柔軟性等)に悪影響を及ぼさない範囲で、汎用の添加剤や、その他のポリマーを含有させてもよい。
【0049】
(4)上記各構成において、複層樹脂ホース12の肉厚は、柔軟性、耐燃料透過性(液体、蒸気の双方を含む。)、耐水分透過性等を考慮して設定することができる。
【0050】
具体的には、複層樹脂ホース径:25〜40mmとした場合、複層樹脂ホース12の総肉厚:約0.5〜2.5mm、望ましくは約0.8〜2.0mm、PA層厚:約0.2〜1.5mm、望ましくは約0.5〜1mmの範囲で、耐燃料透過性(CEO10):約5g/(m2・day)以下、望ましくは約4g/(m2・day)以下となるように設定する。
【0051】
PA層が厚すぎると複層樹脂ホース12の可撓性に問題が発生しやすく、逆に薄すぎると耐燃料透過性(バリア性)の問題が発生しやすい。また、HDPE系層が厚すぎると可撓性に問題が発生しやすく、逆に薄すぎるとよじれやすい。あるいは耐候性に問題が発生しやすい。
【0052】
肉厚と剛性を上記のごとく設定することにより、耐燃料透過性及び水分透過性を確保でき、かつ、可撓性のある複層樹脂ホース12を得ることができる。
【0053】
なお、上記PA押出材料においても、本発明の効果(接着性、柔軟性等)に悪影響を及ぼさない範囲で、汎用の添加剤や、その他のポリマーを含有させてもよい。
【0054】
また、上記HDPE系押出材料には、本発明の効果(接着性、柔軟性等)に悪影響を及ぼさない範囲で、汎用の添加剤や、その他のポリマーが含有されていてもよい。また、PA層についても同じく本発明の効果(接着性、柔軟性等)に悪影響を及ぼさない範囲で、汎用の添加剤や、その他のポリマーが含有されていてもよい。
【0055】
(5)上記各複層樹脂ホース12は、HDPE系層16とPA層14とを同時押出し(共押出し:二色押出)することにより直接接着させて製造する。なお、成形は、汎用の押出成形機を用いて行うことができる。
【0056】
また、上記複層樹脂ホースを燃料インレットホース12として適用する場合は、図2に示す如く部分的に蛇腹形状とすることが望ましい。本発明の複層樹脂ホースは、上記の如く接着性が良好となったことで、蛇腹形状などへの加工を行っても、HDPE系層16とPA層14との間に層間剥離等が発生しない。よって、さらに形状的にも複層樹脂ホースに柔軟特性を付与することが可能となる。
【0057】
インレットホース12の製造は、上記共押し出し直後に、コルゲータで賦形して行うが形成、又は共押し出しパリソンをブロー成形してもよい。
【0058】
そして、当該燃料インレットホース12は、図例の如く、ボディ板金18に取付けられた給油パイプ20と燃料タンク22の燃料注入口24との間に接続されて使用される。
【0059】
なお、上記ではPA層/HDPE系層の二層構成としたが、上記接着性を有する特別なHDPE系押出材料からなるHDPE系層を薄層とし、その上にさらに汎用の軟質PE押出材料(例えば軟質PE)からなるPE系層を備えた三層構成としてもよい。二層構成と同等の特性を確保しながら、相対的に特別なHDPE系押出材料の使用量を低減でき、ホース全体として低コスト化につながる。
【0060】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明を行う。本実施例においては、それぞれ下記に列挙した材料を使用した。
【0061】
HDPE・・・「ハイゼックス 6300M」(三井化学社製):MFR値(190℃):0.11g/10min
エチレン−αオレフィン共重合体・・・「タフマー P−0775」(三井化学社製)
無水マレイン酸変性PP・・・HDPE「アドマー JH929」(三井化学社製):変性量0.93%、MFR値(230℃):8.6g/10min
無水マレイン酸変性HDPE・・・変性量0.2〜0.25%、MFR値(190℃):0.35g/10min、密度:959kg/m3(実施例1)
無水マレイン酸変性HDPE・・・「アドマーHF500」(三井化学社製、オレフィン系共重合体含有ポリマーアロイ):変性量0.2〜0.25%、MFR値(190℃):1.0g/10min、密度:938kg/m3(実施例2)
PA6・・・「ナイロン1022B」(UBE社製)
また、複層樹脂ホースの構成は、外径:34mm、全体肉厚:1.5mm、PA層(内層):0.5mm、HDPE系層(外層):1.0mmとし、二層同時押出によりそれぞれ製造した。
【0062】
<実施例1>
下記組成のポリマーアロイ(HDPE系押出材料)及びPA6(PA押出材料)でHDPE系層及びPA層を形成した。
【0063】
ポリマーアロイ・・・HDPE:75部、エチレン−αオレフィン共重合体:5部、無水マレイン酸変性PP:20部、
<実施例2>
無水マレイン酸変性HDPE(HDPE系押出材料)及びPA6(PA押出材料)でHDPE系層及びPA層を形成した。
【0064】
実施例1・2について、接着性、バリア性(燃料蒸気透過性)及び柔軟性の評価を行った。
【0065】
<接着性評価>
接着性は、ホース半割り状態での初期接着力を測定して行った(JIS K 6718)。各層を180°方向に引っ張り測定した。引っ張り速度は50mm/minとした。
【0066】
その結果、実施例1・2のいずれの複層樹脂ホースも、20N/cm以上の実用接着強さ(180°剥離強さ)が得られた。
【0067】
<バリア性評価>
バリア性はSHED法により測定した。燃料としては、エタノール10%含有ガソリン(液体状態)を用いた。
【0068】
その結果、実施例1・2の樹脂ホースは、いずれも燃料透過量3.8g/(m2・day)であり、良好な耐燃料透過性を有することが分かった。なお、水分透過性については、測定しなかったが、基本的に非極性ポリマーからなるHDPE系層の存在により、耐水分透過性がPA6層単独に比して、格段に向上しているものと推定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複層樹脂ホースの構成を表す概略図である。
【図2】本発明を適用する燃料インレットホースの組み付け態様概略図である。
【符号の説明】
12:複層樹脂ホース
14:ポリアミド(PA)層
16:高密度ポリエチレン(HDPE)系層
【産業上の利用分野】
本発明は、燃料用の複層樹脂ホースに関し、特に、燃料インレットホースの如く、燃料に直接接触するとともに、燃料ベーパの耐透過性も要求され,さらに、蛇腹部を有し大きな層間接着性が要求される配管に好適なものである。ここでは、燃料インレットホースを例に採り説明するが、これらに限られるものではない。
【0002】
なお、燃料としては、ガソリン、軽油、LPG等の自動車系燃料であればいずれにも適応可能である。
【0003】
【背景技術】
従来、燃料インレットホースは、脂肪族ポリアミド樹脂を押出成形した単層構成のものが多かった。
【0004】
そして、脂肪族ポリアミドとしては、ポリアミド66(PA66:ナイロン66)に比して融点が低く、成形性が良好で、剛性(弾性率)が低く、かつ安価なポリアミド6(PA6:ナイロン6)が使用されていた。
【0005】
しかし、PA6は、水分透過性(燃料中の水分透過率が高くなる。)や塩化カルシウム(融雪剤として使用される。)に対する耐性に問題があった。
そこで、耐塩化カルシウム性を有するポリアミド12(PA12:ナイロン12)やポリアミド11(PA11:ナイロン11)を使用したものがあるが、コスト高の上、低温時の耐衝撃性に問題が発生し易い。
【0006】
このため、特許文献1において、PA11及び/又はPA12からなる外層と、ポリアミド6からなる内層とを備えた複層樹脂ホースが提案されている。
【0007】
しかし、当該複層樹脂ホースは、PA11やPA12を使用することが前提であり、かつ、PA各層の組み合わせであるため、水分透過性の問題は若干残ると推定される。
【0008】
なお、本発明の発明性に影響を与えないが、ポリアミド層を備えた燃料用の複層樹脂ホース係る先行技術文献情報として、特許文献2〜3がある。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−311482公報
【特許文献2】
特開平8−247345号公報
【特許文献3】
特開2000−225425公報
【0010】
【発明の開示】
本発明は、上記にかんがみて、PA12/PA11等のポリアミド基含有率の小さなかつコスト高なPAを使用する必然性がなく、しかも、耐水分透過性や耐塩化カルシウム性の問題点も解決できる複層樹脂ホースを提供することを目的とする。
【0011】
本発明は、下記構成により上記課題
(目的)を解決するものである。
【0012】
脂肪族ポリアミド(PA)をベースとするPA押出材料で形成されたPA層と、該PA層に外側に接触し、高密度ポリエチレン(HDPE)系押出材料で形成されたHDPE系層とを備えてなる燃料用の複層樹脂ホースにおいて、
前記HDPE系材料が、HDPEを主成分とするとともにジカルボン酸変性ポリオレフィン(変性PO)を含むポリマーアロイであり、
該変性POのメルトマスフローレート(MFR)値(230℃:JIS K 7210)が前記HDPEのMFR値(190℃:JIS K 7210)に比して大きいことを特徴とする。
【0013】
PA層の外側にHDPE系層を形成することにより、耐水分透過性及び耐塩化カルシウム性に相対的に劣るポリアミド基濃度が高いPA6等の材料で内側層を形成しても、耐水分透過性及び耐塩化カルシウム性を確保できる。そして、PA層とHDPE系層との間には、後述の試験例で示す如く、良好な層間接着性を確保することができる。
【0014】
上記、HDPE系押出材料におけるポリマーアロイの組成は、HDPE:50〜75質量部、エチレン−αオレフィン共重合体:5〜10質量部、変性PO:20〜45質量部の組成とすることが望ましい。接着成分であるジカルボン酸変性ポリオレフィンの量が、HDPEの量より少なくても、上記溶融粘度比の関係から接着成分がマトリックス相(連続相)となる。よって接着力が従来のHDPEベースの燃料ホースに比して高くなる。また、ゴム成分であるエチレン−αオレフィン共重合体を含有することで、複層樹脂ホースの柔軟性が向上する。
【0015】
本発明の他の構成は、脂肪族PAをベースとするPA押出材料で形成されたPA層と、該PA層に外側に接触し、HDPE系押出材料で形成されたHDPE系層とを備えてなる複層樹脂ホースにおいて、
前記HDPE系押出材料が、ジカルボン変性高密度ポリエチレン(変性HDPE)をベースとし、変性HDPEが、メルトマスフローレート(MFR)値(190℃;JIS K 7210)約0.02〜10.0g/10分の要件を満たすジカルボン酸変性物であることを特徴とする。
【0016】
ジカルボン酸変性HDPEで外層を形成することにより、外層に所定の柔軟性を付与し易く、また、PA層との接着性を接着剤層レスで確保できる。
【0017】
上記各構成において、脂肪族ポリアミドとしてPA6を使用することが望ましい。PA6がコスト安であり、PA66に比して剛性が低い(柔らかい)上、PA6の耐水分透過性及び耐塩化カルシウム性の問題点を解決でき、本発明の効果が顕著となる。
【0018】
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明を行う。本明細書において、配合量を表す「%」、「部」等は、特に断らない限り質量単位とする。また、燃料透過性(CE10)は、透過対象燃料として Fuel C(JIS K 6258 表1)/エチルアルコール(容積比)=90/10を使用した場合の値である。
【0019】
以下の説明でMFR値とは、押出形プラストメーターを用いた熱可塑性プラスチックの流動性試験で、規定する温度と圧力の条件下、ダイを通して押し出した材料の1分間当りの質量であって、該押出温度における材料粘度と密接に関係する。即ち、該温度における材料粘度が高いほど値は小さくなる。なお、本明細書中、MFR値は、JIS K 7210(ISO 1133又はASTM D 1238に対応)に基づく値である。
【0020】
(1)本発明の複層樹脂ホース12は、図1に示す如く、PAをベースとするPA押出材料で形成されたPA層14と、該PA層14の外側に接触し、HDPE系押出材料で形成されたHDPE系層16とを備えてなるものである。
【0021】
ここで、PAとしては、通常、PA66に比して安価でかつ柔らかいPA6を使用するが、他の脂肪族PA、たとえば、PA46、PA66、PA610、PA612、PA7、PA11、PA12等、特に限定されない。そして、PA系押出材料には、適宜、慣用の副資材を配合することもできる。
【0022】
(2)上記構成において、本発明の一つは、HDPE系材料が、HDPEを主成分とするとともにジカルボン酸変性ポリオレフィン(ジカルボン酸変性PO)を含むポリマーアロイであることを第一の構成要件とする。
【0023】
HDPEは、複層樹脂ホース12の分野において汎用されている材料である。ここでは、密度930〜975kg/m3のものを使用する。
【0024】
ジカルボン酸変性POとしては、不飽和ジカルボン酸であるマレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びそれらの無水物等で変性したポリオレフィン等を使用可能である。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等を使用可能である。具体的には、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが好適に使用可能である。
【0025】
上記変性方法としては、上記で例示したジカルボン酸と、オレフィンモノマーとを共重合させることにより、ポリオレフィンにジカルボン酸モノマーを導入する方法や、ポリオレフィンに上記ジカルボン酸をグラフト共重合させることにより導入する方法などがあるが、いずれも使用可能である。
【0026】
また、ジカルボン酸変性POの変性率は、約0.1〜5%、望ましくは約0.3〜3%、さらに望ましくは約0.5〜1.5%とする。変性率が低すぎても高すぎてもHDPE系層に対する接着性を確保し難くなり、また、高すぎる場合は、剛性が高くなりホース全体の柔軟性を確保し難くなる。
【0027】
ここで、ジカルボン酸変性POの代わりに、アクリル酸、メタクリル酸等で変性したモノカルボン酸変性や、グリシジルメタクリレートで変性したエポキシ基変性の各変性物の使用も考えられるが、ジカルボン酸変性物に比して効果が小さいと推定される。
【0028】
そして、本発明においては、上記ジカルボン酸変性POのMFR値(230℃)が上記HDPEのMFR値(190℃)に比して大きいことを第二の構成要件とする。
【0029】
上記の如く、接着成分であるジカルボン酸変性POがマトリックス相(連続相)になるような粘度関係でポリマーアロイとされていることにより、内層であるPA層14と外層であるHDPE系層16との間に実用的な接着強さを確保可能となる。
【0030】
上記構成において、ポリマーアロイが、HDPE:約25〜80部、望ましくは約45〜75部、さらに望ましくは、約50〜70部、エチレン−αオレフィン共重合体:約1〜30部、望ましくは約3〜20部、さらに望ましくは、約5〜10部、ジカルボン酸変性PO:約20〜45部、望ましくは約25〜40部、さらに望ましくは、約30〜35部を含有してなることが望ましい。
【0031】
接着成分であるジカルボン酸変性POの量が、上記の如くHDPEとエチレンαオレフィンとの合計量より少なくても、ポリマーアロイは、粘度比の関係から接着成分(ジカルボン酸変性PO)がマトリックス相(連続相)になっている。よって前述の如く、PA層とHDPE系層との間に実用的な接着強さが確保可能となる。
【0032】
HDPEの量が少なすぎると、チューブの耐熱性、耐燃料油性が低下する。逆に多すぎると、チューブの可撓性が低下する(剛性が高くなりすぎる。)おそれがあるとともに、PA層14−HDPE系層16間に実用接着強さを確保し難くなる。
【0033】
また、ジカルボン酸変性POの量が少なすぎると、PA層14−HDPE系層16間に実用接着強さを確保し難くなり、逆に多すぎると、コスト高となる。
【0034】
上記でポリマーアロイ中に含有するエチレン−αオレフィン共重合体は、ゴム成分であって、複層樹脂ホース12に柔軟性を付与するために含有するものである。エチレン−αオレフィン共重合体としては、通常、エチレンープロピレン共重合体や、それらに1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどがさらに共重合された三成分共重合体等が使用可能である。
【0035】
上記エチレン−αオレフィン共重合体のポリマーアロイ中の含有量が少ないと、複層樹脂ホース12の柔軟性が確保しがたい。逆に含有量が多すぎると、耐熱性及び耐燃料油性を確保しがたい。
【0036】
なお、上記外層には本発明の効果(接着性、柔軟性等)に悪影響を及ぼさない範囲で、汎用の添加剤や、その他のポリマーを含有してもよい。
【0037】
上記ジカルボン酸変性POとしては、前述のポリマーアロイの欄で述べたものを使用することができる。
【0038】
(3)本発明の他の一つは、HDPE系押出材料が、ジカルボン変性高密度ポリエチレン(ジカルボン酸変性HDPE)をベースとすることを第一の要件とする。
【0039】
HDPEをジカルボン酸で変性することでHDPE系層16とPA層14との間に実用接着強度を確保可能となる。
【0040】
ジカルボン酸変性HDPEとしては、ジカルボン酸であるマレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びそれらの無水物等で変性したHDPE等を使用可能である。具体的には、無水マレイン酸変性HDPEが好適に使用可能である。
【0041】
上記変性方法としては、上記で例示したジカルボン酸と、エチレンモノマーとを共重合することにより、HDPEにジカルボン酸モノマーを導入する方法や、HDPEに上記ジカルボン酸をグラフト共重合により導入する方法などがあるが、いずれも使用可能である。
【0042】
また、ジカルボン酸変性HDPEの変性率は、約0.1〜10%、望ましくは、約0.1〜5%、さらに望ましくは約0.1〜3%とする。変性率が低すぎても高すぎても接着性が低下する。
【0043】
ここで、ジカルボン酸変性HDPEの代わりに、アクリル酸、メタクリル酸等で変性するモノカルボン酸変性HDPEや、グリシジルメタクリレートで変性するエポキシ基変性物の使用も考えられるが、ジカルボン酸変性物に比して効果が小さいと推定される。
【0044】
そして、上記ジカルボン酸変性HDPEが、MFR値(190℃)が約0.02〜10.0g/10分、望ましくは約0.1〜5.0g/10分、さらに望ましくは約0.2〜3.0g/10分であることを第二の要件とするものである。
【0045】
ジカルボン酸変性HDPEを含有するHDPE系押出材料でHDPE系層16をPA層14の外側に接触させて形成することにより、ホース全体の柔軟性を確保しやすく、PA層14との間に実用接着強さの確保が可能となる。
【0046】
上記変性HDPEは、密度約930〜975kg/m3の範囲から、要求物性に応じて適宜選択をする。
【0047】
なお、上記変性HDPEには、アロイ成分として、分岐の多いオレフィン系共重合体及び/又は中密度、低密度ポリエチレンのブレンド物を使用してポリマーアロイ化してもよい。上記変性HDPEをアロイ化することにより柔軟性が増す。
【0048】
なお、上記HDPE系層には本発明の効果(接着性、柔軟性等)に悪影響を及ぼさない範囲で、汎用の添加剤や、その他のポリマーを含有させてもよい。
【0049】
(4)上記各構成において、複層樹脂ホース12の肉厚は、柔軟性、耐燃料透過性(液体、蒸気の双方を含む。)、耐水分透過性等を考慮して設定することができる。
【0050】
具体的には、複層樹脂ホース径:25〜40mmとした場合、複層樹脂ホース12の総肉厚:約0.5〜2.5mm、望ましくは約0.8〜2.0mm、PA層厚:約0.2〜1.5mm、望ましくは約0.5〜1mmの範囲で、耐燃料透過性(CEO10):約5g/(m2・day)以下、望ましくは約4g/(m2・day)以下となるように設定する。
【0051】
PA層が厚すぎると複層樹脂ホース12の可撓性に問題が発生しやすく、逆に薄すぎると耐燃料透過性(バリア性)の問題が発生しやすい。また、HDPE系層が厚すぎると可撓性に問題が発生しやすく、逆に薄すぎるとよじれやすい。あるいは耐候性に問題が発生しやすい。
【0052】
肉厚と剛性を上記のごとく設定することにより、耐燃料透過性及び水分透過性を確保でき、かつ、可撓性のある複層樹脂ホース12を得ることができる。
【0053】
なお、上記PA押出材料においても、本発明の効果(接着性、柔軟性等)に悪影響を及ぼさない範囲で、汎用の添加剤や、その他のポリマーを含有させてもよい。
【0054】
また、上記HDPE系押出材料には、本発明の効果(接着性、柔軟性等)に悪影響を及ぼさない範囲で、汎用の添加剤や、その他のポリマーが含有されていてもよい。また、PA層についても同じく本発明の効果(接着性、柔軟性等)に悪影響を及ぼさない範囲で、汎用の添加剤や、その他のポリマーが含有されていてもよい。
【0055】
(5)上記各複層樹脂ホース12は、HDPE系層16とPA層14とを同時押出し(共押出し:二色押出)することにより直接接着させて製造する。なお、成形は、汎用の押出成形機を用いて行うことができる。
【0056】
また、上記複層樹脂ホースを燃料インレットホース12として適用する場合は、図2に示す如く部分的に蛇腹形状とすることが望ましい。本発明の複層樹脂ホースは、上記の如く接着性が良好となったことで、蛇腹形状などへの加工を行っても、HDPE系層16とPA層14との間に層間剥離等が発生しない。よって、さらに形状的にも複層樹脂ホースに柔軟特性を付与することが可能となる。
【0057】
インレットホース12の製造は、上記共押し出し直後に、コルゲータで賦形して行うが形成、又は共押し出しパリソンをブロー成形してもよい。
【0058】
そして、当該燃料インレットホース12は、図例の如く、ボディ板金18に取付けられた給油パイプ20と燃料タンク22の燃料注入口24との間に接続されて使用される。
【0059】
なお、上記ではPA層/HDPE系層の二層構成としたが、上記接着性を有する特別なHDPE系押出材料からなるHDPE系層を薄層とし、その上にさらに汎用の軟質PE押出材料(例えば軟質PE)からなるPE系層を備えた三層構成としてもよい。二層構成と同等の特性を確保しながら、相対的に特別なHDPE系押出材料の使用量を低減でき、ホース全体として低コスト化につながる。
【0060】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明を行う。本実施例においては、それぞれ下記に列挙した材料を使用した。
【0061】
HDPE・・・「ハイゼックス 6300M」(三井化学社製):MFR値(190℃):0.11g/10min
エチレン−αオレフィン共重合体・・・「タフマー P−0775」(三井化学社製)
無水マレイン酸変性PP・・・HDPE「アドマー JH929」(三井化学社製):変性量0.93%、MFR値(230℃):8.6g/10min
無水マレイン酸変性HDPE・・・変性量0.2〜0.25%、MFR値(190℃):0.35g/10min、密度:959kg/m3(実施例1)
無水マレイン酸変性HDPE・・・「アドマーHF500」(三井化学社製、オレフィン系共重合体含有ポリマーアロイ):変性量0.2〜0.25%、MFR値(190℃):1.0g/10min、密度:938kg/m3(実施例2)
PA6・・・「ナイロン1022B」(UBE社製)
また、複層樹脂ホースの構成は、外径:34mm、全体肉厚:1.5mm、PA層(内層):0.5mm、HDPE系層(外層):1.0mmとし、二層同時押出によりそれぞれ製造した。
【0062】
<実施例1>
下記組成のポリマーアロイ(HDPE系押出材料)及びPA6(PA押出材料)でHDPE系層及びPA層を形成した。
【0063】
ポリマーアロイ・・・HDPE:75部、エチレン−αオレフィン共重合体:5部、無水マレイン酸変性PP:20部、
<実施例2>
無水マレイン酸変性HDPE(HDPE系押出材料)及びPA6(PA押出材料)でHDPE系層及びPA層を形成した。
【0064】
実施例1・2について、接着性、バリア性(燃料蒸気透過性)及び柔軟性の評価を行った。
【0065】
<接着性評価>
接着性は、ホース半割り状態での初期接着力を測定して行った(JIS K 6718)。各層を180°方向に引っ張り測定した。引っ張り速度は50mm/minとした。
【0066】
その結果、実施例1・2のいずれの複層樹脂ホースも、20N/cm以上の実用接着強さ(180°剥離強さ)が得られた。
【0067】
<バリア性評価>
バリア性はSHED法により測定した。燃料としては、エタノール10%含有ガソリン(液体状態)を用いた。
【0068】
その結果、実施例1・2の樹脂ホースは、いずれも燃料透過量3.8g/(m2・day)であり、良好な耐燃料透過性を有することが分かった。なお、水分透過性については、測定しなかったが、基本的に非極性ポリマーからなるHDPE系層の存在により、耐水分透過性がPA6層単独に比して、格段に向上しているものと推定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複層樹脂ホースの構成を表す概略図である。
【図2】本発明を適用する燃料インレットホースの組み付け態様概略図である。
【符号の説明】
12:複層樹脂ホース
14:ポリアミド(PA)層
16:高密度ポリエチレン(HDPE)系層
Claims (4)
- 脂肪族ポリアミド(PA)をベースとするPA押出材料で形成されたPA層と、該PA層の外側に接触し、高密度ポリエチレン(HDPE)系押出材料で形成されたHDPE系層とを備えてなる燃料用の複層樹脂ホースにおいて、
前記HDPE系材料が、HDPEを主成分とするとともにジカルボン酸変性ポリオレフィン(以下「変性PO」という。)を含むポリマーアロイであり、
該変性POのメルトマスフローレート(以下「MFR」という。)値(230℃:JIS K 7210)が前記HDPEのMFR値(190℃:JIS K 7210)に比して大きいことを特徴とする複層樹脂ホース。 - 前記ポリマーアロイが、HDPE:50〜75質量部、エチレン−αオレフィン共重合体:5〜10質量部、変性PO:20〜45質量部の組成であることを特徴とする請求項1記載の複層樹脂ホース。
- 脂肪族PAをベースとするPA押出材料で形成されたPA層と、該PA層に外側に接触し、HDPE系押出材料で形成されたHDPE系層とを備えてなる複層樹脂ホースにおいて、
前記HDPE系押出材料が、ジカルボン変性高密度ポリエチレン(以下「変性HDPE」と略す。)をベースとし、該変性HDPEが、メルトマスフローレート(以下「MFR」と記す。)値(190℃;JIS K 7210)約0.02〜10.0g/10分の要件を満たすジカルボン酸変性物であることを特徴とする樹脂インレットホース。 - 前記脂肪族ポリアミドがポリアミド6であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の複層樹脂ホース。
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