JP2004124278A - 雑誌古紙を配合した印刷用塗被紙およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】タルクや炭酸カルシウム等の填料の添加量を少なくしても(又は添加しなくても)、平滑度が高く印刷適性の良好な雑誌古紙配合印刷用塗被紙を得ること。
【解決手段】雑誌古紙パルプを配合した雑誌古紙配合印刷用塗被紙において、雑誌古紙パルプを10重量%以上含有し、且つJIS−P 8119に規定されるベック平滑度が1000秒以上であるようにする。雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む原料パルプが原料パルプ処理工程において補助離解機1Aつき高濃度パルパー1により離解処理されるようにするとよい。
【選択図】 図1
【解決手段】雑誌古紙パルプを配合した雑誌古紙配合印刷用塗被紙において、雑誌古紙パルプを10重量%以上含有し、且つJIS−P 8119に規定されるベック平滑度が1000秒以上であるようにする。雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む原料パルプが原料パルプ処理工程において補助離解機1Aつき高濃度パルパー1により離解処理されるようにするとよい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、雑誌古紙を配合した印刷用塗被紙と、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
木材資源の保護の観点から、従来から古紙をパルプ原料として用いることが指向されている。
【0003】
一方、再生紙の原材料となる古紙パルプは、新聞紙やチラシ等の古紙から製造するのが一般的であり、雑誌や書物等の古紙は、再生板紙の原料パルプ(古紙パルプ)とする場合の他ほとんど利用されていない。これは、雑誌や書物等の古紙は、ホットメルト等の背糊が残存していたり、ポリカーボネイト樹脂コンパクトディスク(以下、単にCDともいう。)がページ間に挟まれていたりするため、生産性が下がる虞や再生紙の品質劣化、印字障害等を招く虞があることによる。
【0004】
しかしながら、資源の有効利用という観点からは、雑誌や書物等の雑誌古紙も利用するのが望ましい。
【0005】
ところで、本願発明が対象とする印刷用塗被紙は、特に良好な印刷適性を有することが重要であり、そのためには、平滑度が高いことが求められる。そのため従来は、タルクや炭酸カルシウム等の填料が添加されるのが、一般的とされている。
【0006】
本願発明は、印刷用塗被紙を製造するにあたって、原料パルプの一部として、他の古紙よりも古紙由来の灰分が高い雑誌古紙パルプを使用することにより、タルクや炭酸カルシウム等の填料の添加量を少なくしても(あるいは、添加しなくても)従来よりも平滑度を高くすることのできる古紙パルプ配合の印刷用塗被紙を提供しようとするものである。
【0007】
又、本願発明は、上記のように雑誌古紙パルプを配合するにあたり、雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む原料パルプの脱墨性を向上させることのできる雑誌古紙配合パルプの処理方法を提案することをも他の目的とするものである。
【0008】
なお、この明細書において「雑誌古紙」という場合は、いわゆる「雑誌」のみからなる古紙のほか、新聞紙、チラシ、ピン付き雑誌、背糊付き雑誌、ビニール貼り雑誌、CD入り雑誌などが混在した「無選別古紙」をも含むものとする。
【0009】
なお、新聞、雑誌等からなる古紙パルプを使用して事務用紙(記録用紙)を製造する方法を開示した公知文献としては、たとえば特開2001−279588号公報等があるが、本願発明者の調査した範囲では、雑誌古紙パルプを原料の一部として印刷用塗被紙を製造することを目的とし、さらに、そのときの各種条件を規定することを意図した公知文献は発見することはできなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明の印刷用塗被紙は、配合される原料パルプの一部として雑誌古紙パルプ(全パルプ中、10%以上)を使用し、さらに、JIS−P 8119に規定されるベック平滑度が1000秒以上となるようにすることを基本思想とする。
【0011】
すなわち、JIS−P 8119に規定されるベック平滑度が1000秒未満の場合は、印刷適性不良の理由で不都合が生じる。このため、本願発明では、JIS−P 8119に規定されるベック平滑度が1000秒以上であるようにするものである。
【0012】
雑誌古紙パルプ以外のパルプ材料としては、従来から印刷用塗被紙用パルプとして使用されている種々のパルプ、たとえばNBKP、LBKPやチラシ古紙パルプ等が使用可能である。
【0013】
また、本願発明の雑誌古紙配合印刷用塗被紙を製造するにあたっては、雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む原料パルプの脱墨性を向上させるために、古紙パルプの離解工程、粗選工程、精選工程、熟成工程、脱墨工程、洗浄工程等からなる古紙処理工程中において補助離解機つき高濃度パルパーで離解処理を行うことが推奨される。本願発明を実施するにあたっては、必要に応じて、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、珪酸ソーダ、過酸化水素、亜硫酸ソーダ、硫酸マグネシウム、トリポリ燐酸ソーダ、キレート剤、脱墨剤、捕集剤、発泡剤等の各種添加剤、あるいは各種助剤等を適宜使用することは何ら差支えない。
【0014】
【発明の効果】
本願発明の雑誌古紙配合印刷用塗被紙は、原料パルプ中に古紙由来の灰分が高い雑誌古紙パルプを10%以上配合し、且つJIS−P 8119に規定されるベック平滑度が1000秒以上となるようにしたことにより、タルクや炭酸カルシウム等の填料の添加量を従来より減少させても(あるいは添加しなくても)、平滑度の高い印刷適性の良好な印刷用塗被紙とすることができる効果がある。
【0015】
本願発明は、さらに、上記のように雑誌古紙パルプを使用するにあたって、同雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む古紙パルプの処理工程中で補助離解機つき高濃度パルパーで離解処理を行うことによって、雑誌古紙を含む原料パルプを使用する場合であっても、脱墨性の向上が図られ、良好な印刷適性をもつ印刷用塗被紙を提供し得る効果がある。
【0016】
【実施例】
以下、本願発明のいくつかの好適な実施例(1〜8)を示すとともに、本願発明の技術的優位性を示すための比較対象としていくつかの比較例(1〜2)を示す。なお、各実施例及び比較例とも使用パルプとしては、NBKP、LBKP、チラシ古紙パルプ、雑誌古紙パルプを適宜配合比(表1参照)で使用した。
【0017】
各実施例における雑誌古紙含有原料パルプの処理方法
図1は、各実施例における雑誌古紙含有原料パルプの処理方法を示す概要図であり、同図において、1はパルパー、2はターボセパレーター、3は高濃度クリーナー、4は粗選スクリーン、5はプレフローテーター、6はクリーナー、7は精選スクリーン、8は脱水機、9はディスパーザー、10は過酸化水素タワー、11はポストフローテーター、12はストックタンク、13は完成脱水機、14は高濃度ポンプ、15は高濃度タワーである。なお、パルパー1は、補助離解機1Aを付設された高濃度パルパーとされている。
【0018】
まず、原料としては、新聞紙、チラシ、雑誌、書物等が混在した前記のような無選別古紙を、パルパー1に投入する。パルパー1では、雑誌古紙を含む原料を水で希釈、溶解(離解)し、繊維懸濁液にする。この場合、補助離解機は、原料を離解するパルピングゾーンと異物を除去しながら原料をブローするスクリーニングゾーンから成り立っており、パルピングゾーンで原料中の異物細分化が少なく、原形に近い状態またはその後の除塵工程で除去できる大きさを保ったまま原料を離解し、スクリーニングゾーンに送り、ストレーナーによって殆どの異物をこの段階で除去する。この繊維懸濁液は、ポンプ81によって、輸送管51を通してターボセパレータ2に送る。ターボセパレータ2では、繊維懸濁液中に残存するパルパー1において溶解しきれなかった古紙を溶解する。
【0019】
このようにして古紙を完全に溶解した後、繊維懸濁液は、ポンプ82によって輸送管52を通して高濃度クリーナー3に送る。高濃度クリーナー3では、古紙に付いていたホッチキス等の重い異物を除去する(比重の違いを利用した異物の除去)。重い異物を除去した後、繊維懸濁液は、輸送管53を通してスクリーン4に送る。スクリーン4では、比較的大きい異物を除去する(体積の違いを利用した異物の除去)。
【0020】
異物を除去した後、繊維懸濁液は、輸送管54を通してプレフローテーター5に送る。プレフローテーター5では、加圧浮上効果によって、繊維に付着しているインクを除去する。
【0021】
インクを除去した後、繊維懸濁液は、ポンプ83によって、輸送管55を通してクリーナー6に送り、さらに、輸送管56を通して、スクリーン7に送る。クリーナー6では比重の違いを利用して微細な異物を除去し、スクリーン7では体積の違いを利用して微細な異物を除去する。
【0022】
微細な異物を除去した後、繊維懸濁液は、輸送管57を通して脱水機8に送り脱水する。この脱水により高濃度になった繊維懸濁液は、ポンプ84によって、輸送管58を通して分散機(ディスパーザー)9に送る。ディスパーザー9ではクリーナー6及びスクリーン7で除去することができなかった異物を細かく分解し、インクとともに水中に分散させる。異物及びインクが分散した状態の繊維懸濁液は、輸送管59を通して過酸化水素タワー10に送る。 過酸化水素タワー10では、過酸化水素によって繊維懸濁液中の繊維を漂白する。
【0023】
漂白した繊維懸濁液は、ポンプ85によって輸送管60を通してポストフローテーター11に送る。ポストフローテーター11では、加圧浮上効果によって、ディスパーザー9において分散させた異物及びインクを除去する。
【0024】
このようにして異物及びインクを完全に除去した後、繊維懸濁液は、輸送管61を通してストックタンク12に送る。ストックタンク12に貯留した繊維懸濁液は、適宜、ポンプ86によって、輸送管62を通して完成脱水機13に送る。完成脱水機13では、繊維懸濁液の濃度が約10質量%になるまで脱水を行い、雑誌古紙含有原料パルプを得る。この雑誌古紙含有原料パルプは、輸送管63及び64を通して高濃度タワー15に送る。輸送管63と64との間には、高濃度ポンプ14を備えてあり、この高濃度ポンプ14によって、雑誌古紙含有原料パルプを高濃度タワー15の上部にポンプアツプするようになっている。高濃度タワー15では、雑誌古紙含有原料パルプに二酸化チオ尿素等の漂白剤を添加し、漂白する。漂白した雑誌古紙含有原料パルプは、高濃度タワー15にストックしておき、必要に応じポンプ87によって、輸送管65を通してペーパーマシンに送る。
【0025】
次に、繊維懸濁液の温度及びpHの調整について説明すると、雑誌古紙から抄紙機に持ちこまれる顔料の中で、炭酸カルシウムは酸性領域では炭酸ガスを発生させるとともに、系内にスケールを作り出すことになるため、本願発明においては、好ましくはpH4.5程度の酸性抄紙よりpH6〜8の疑似中性か、若しくはpH7近辺の中性抄紙が好ましい。
【0026】
次に、各実施例におけるpHの調整方法について説明すると、図示の実施例では、熱溶融性かつアルカリ溶融性材料の除去が完了するまでの間、繊維懸濁液のpHを6〜9とするのが好ましいがその調成方法を特に限定するものではない。この調整方法としては、たとえば、古紙の離解に際して、アルカリを0.5質量%以下添加するとよい。この際使用するアルカリとしては、その種類を何ら限定するものではなく、水酸化ナトリウムや、硅酸ナトリウム等を使用することができる。
【0027】
各実施例及び比較例における抄紙及び塗工方法
表1に示す各配合紙原料を用い、填料(タルク、炭酸カルシウム)、紙力増強剤、サイズ剤を各々同一添加量で添加し、ツインワイヤー抄紙機により、pH 7.5で抄紙し、坪量 52〜54g/m2の印刷用塗被紙用の原紙を得た。そして同原紙に同一組成の塗工液を同一塗工量(両面10g/m2)となるようにロールコーターで塗工した。さらに、カレンダー処理を同一条件(線圧260kg)で処理して坪量60〜64g/m2の印刷用塗被紙を得た。
【0028】
各比較例における雑誌古紙含有原料パルプの処理方法
比較例1では、図1とその説明で示した古紙パルプ処理方法で、処理をしたが雑誌古紙パルプは使用しなかった。
【0029】
比較例2でも、比較例1と同じ方法で古紙パルプの処理をしたが、雑誌古紙パルプは5%しか配合しなかった。
【0030】
【表1】
【0031】
各実施例及び比較例の評価は次の通りである。
【0032】
<印刷適性(目視で判断)>
輪転機にて5000枚印刷後、印面のカスレが生じない:◎
輪転機にて5000枚印刷後、ベタ面での印刷は少し薄くなるが文字ははっきりしている:○
輪転機にて5000枚印刷後、ベタ面でのカスレが大きく、文字も部分的に欠けている:×
実施例1〜8
各実施例とも、雑誌古紙パルプを10%以上含有した結果、内添填料添加量、塗工量、カレンダー処理が各同一条件であっても、JIS−P 8119に規定されるベック平滑度が1000秒以上の範囲にあり、その結果、平滑度の高い印刷適性が良好な印刷用塗被紙が得られた。
【0033】
また、各実施例で使用した雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む原料パルプは、その古紙処理工程において補助離解機つきの高濃度パルパーで離解処理が行われており、その結果、脱墨性の向上が図られ、表面外観が良好で、平滑度の高い、印刷用塗被紙を得ることができた。
【0034】
比較例1〜2
比較例1
NBKPを20%、LBKPを80%配合した原料パルプを用いて印刷用塗被紙を抄造、塗工し、比較例1の印刷用塗被紙を得たが印刷適性が悪く、雑誌古紙を利用しない分製造コストが高く経済性が悪かった。
【0035】
比較例2
NBKPを20%、LBKPを75%、雑誌古紙パルプを5%配合した原料パルプを用いて印刷用塗被紙を抄造、塗工し、比較例2の印刷用塗被紙を得たが、印刷適性が悪く、5%程度の雑誌古紙利用では製造コストが高く経済性が悪かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例で使用する、雑誌古紙含有原料パルプ処理装置の概要図である。
【符号の説明】
1はパルパー、1Aは補助離解機、2はターボセパレーター、3は高濃度クリーナー、4は粗選スクリーン、5はプレフローテーター、6はクリーナー、7は精選スクリーン、8は脱水機、9はディスパーザー、10は過酸化水素タワー、11はポストフローテーター、12はストックタンク、13は完成脱水機、14は高濃度ポンプ、15は高濃度タワー、51〜65は輸送管、81〜87はポンプ。
【発明の属する技術分野】
本願発明は、雑誌古紙を配合した印刷用塗被紙と、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
木材資源の保護の観点から、従来から古紙をパルプ原料として用いることが指向されている。
【0003】
一方、再生紙の原材料となる古紙パルプは、新聞紙やチラシ等の古紙から製造するのが一般的であり、雑誌や書物等の古紙は、再生板紙の原料パルプ(古紙パルプ)とする場合の他ほとんど利用されていない。これは、雑誌や書物等の古紙は、ホットメルト等の背糊が残存していたり、ポリカーボネイト樹脂コンパクトディスク(以下、単にCDともいう。)がページ間に挟まれていたりするため、生産性が下がる虞や再生紙の品質劣化、印字障害等を招く虞があることによる。
【0004】
しかしながら、資源の有効利用という観点からは、雑誌や書物等の雑誌古紙も利用するのが望ましい。
【0005】
ところで、本願発明が対象とする印刷用塗被紙は、特に良好な印刷適性を有することが重要であり、そのためには、平滑度が高いことが求められる。そのため従来は、タルクや炭酸カルシウム等の填料が添加されるのが、一般的とされている。
【0006】
本願発明は、印刷用塗被紙を製造するにあたって、原料パルプの一部として、他の古紙よりも古紙由来の灰分が高い雑誌古紙パルプを使用することにより、タルクや炭酸カルシウム等の填料の添加量を少なくしても(あるいは、添加しなくても)従来よりも平滑度を高くすることのできる古紙パルプ配合の印刷用塗被紙を提供しようとするものである。
【0007】
又、本願発明は、上記のように雑誌古紙パルプを配合するにあたり、雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む原料パルプの脱墨性を向上させることのできる雑誌古紙配合パルプの処理方法を提案することをも他の目的とするものである。
【0008】
なお、この明細書において「雑誌古紙」という場合は、いわゆる「雑誌」のみからなる古紙のほか、新聞紙、チラシ、ピン付き雑誌、背糊付き雑誌、ビニール貼り雑誌、CD入り雑誌などが混在した「無選別古紙」をも含むものとする。
【0009】
なお、新聞、雑誌等からなる古紙パルプを使用して事務用紙(記録用紙)を製造する方法を開示した公知文献としては、たとえば特開2001−279588号公報等があるが、本願発明者の調査した範囲では、雑誌古紙パルプを原料の一部として印刷用塗被紙を製造することを目的とし、さらに、そのときの各種条件を規定することを意図した公知文献は発見することはできなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明の印刷用塗被紙は、配合される原料パルプの一部として雑誌古紙パルプ(全パルプ中、10%以上)を使用し、さらに、JIS−P 8119に規定されるベック平滑度が1000秒以上となるようにすることを基本思想とする。
【0011】
すなわち、JIS−P 8119に規定されるベック平滑度が1000秒未満の場合は、印刷適性不良の理由で不都合が生じる。このため、本願発明では、JIS−P 8119に規定されるベック平滑度が1000秒以上であるようにするものである。
【0012】
雑誌古紙パルプ以外のパルプ材料としては、従来から印刷用塗被紙用パルプとして使用されている種々のパルプ、たとえばNBKP、LBKPやチラシ古紙パルプ等が使用可能である。
【0013】
また、本願発明の雑誌古紙配合印刷用塗被紙を製造するにあたっては、雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む原料パルプの脱墨性を向上させるために、古紙パルプの離解工程、粗選工程、精選工程、熟成工程、脱墨工程、洗浄工程等からなる古紙処理工程中において補助離解機つき高濃度パルパーで離解処理を行うことが推奨される。本願発明を実施するにあたっては、必要に応じて、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、珪酸ソーダ、過酸化水素、亜硫酸ソーダ、硫酸マグネシウム、トリポリ燐酸ソーダ、キレート剤、脱墨剤、捕集剤、発泡剤等の各種添加剤、あるいは各種助剤等を適宜使用することは何ら差支えない。
【0014】
【発明の効果】
本願発明の雑誌古紙配合印刷用塗被紙は、原料パルプ中に古紙由来の灰分が高い雑誌古紙パルプを10%以上配合し、且つJIS−P 8119に規定されるベック平滑度が1000秒以上となるようにしたことにより、タルクや炭酸カルシウム等の填料の添加量を従来より減少させても(あるいは添加しなくても)、平滑度の高い印刷適性の良好な印刷用塗被紙とすることができる効果がある。
【0015】
本願発明は、さらに、上記のように雑誌古紙パルプを使用するにあたって、同雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む古紙パルプの処理工程中で補助離解機つき高濃度パルパーで離解処理を行うことによって、雑誌古紙を含む原料パルプを使用する場合であっても、脱墨性の向上が図られ、良好な印刷適性をもつ印刷用塗被紙を提供し得る効果がある。
【0016】
【実施例】
以下、本願発明のいくつかの好適な実施例(1〜8)を示すとともに、本願発明の技術的優位性を示すための比較対象としていくつかの比較例(1〜2)を示す。なお、各実施例及び比較例とも使用パルプとしては、NBKP、LBKP、チラシ古紙パルプ、雑誌古紙パルプを適宜配合比(表1参照)で使用した。
【0017】
各実施例における雑誌古紙含有原料パルプの処理方法
図1は、各実施例における雑誌古紙含有原料パルプの処理方法を示す概要図であり、同図において、1はパルパー、2はターボセパレーター、3は高濃度クリーナー、4は粗選スクリーン、5はプレフローテーター、6はクリーナー、7は精選スクリーン、8は脱水機、9はディスパーザー、10は過酸化水素タワー、11はポストフローテーター、12はストックタンク、13は完成脱水機、14は高濃度ポンプ、15は高濃度タワーである。なお、パルパー1は、補助離解機1Aを付設された高濃度パルパーとされている。
【0018】
まず、原料としては、新聞紙、チラシ、雑誌、書物等が混在した前記のような無選別古紙を、パルパー1に投入する。パルパー1では、雑誌古紙を含む原料を水で希釈、溶解(離解)し、繊維懸濁液にする。この場合、補助離解機は、原料を離解するパルピングゾーンと異物を除去しながら原料をブローするスクリーニングゾーンから成り立っており、パルピングゾーンで原料中の異物細分化が少なく、原形に近い状態またはその後の除塵工程で除去できる大きさを保ったまま原料を離解し、スクリーニングゾーンに送り、ストレーナーによって殆どの異物をこの段階で除去する。この繊維懸濁液は、ポンプ81によって、輸送管51を通してターボセパレータ2に送る。ターボセパレータ2では、繊維懸濁液中に残存するパルパー1において溶解しきれなかった古紙を溶解する。
【0019】
このようにして古紙を完全に溶解した後、繊維懸濁液は、ポンプ82によって輸送管52を通して高濃度クリーナー3に送る。高濃度クリーナー3では、古紙に付いていたホッチキス等の重い異物を除去する(比重の違いを利用した異物の除去)。重い異物を除去した後、繊維懸濁液は、輸送管53を通してスクリーン4に送る。スクリーン4では、比較的大きい異物を除去する(体積の違いを利用した異物の除去)。
【0020】
異物を除去した後、繊維懸濁液は、輸送管54を通してプレフローテーター5に送る。プレフローテーター5では、加圧浮上効果によって、繊維に付着しているインクを除去する。
【0021】
インクを除去した後、繊維懸濁液は、ポンプ83によって、輸送管55を通してクリーナー6に送り、さらに、輸送管56を通して、スクリーン7に送る。クリーナー6では比重の違いを利用して微細な異物を除去し、スクリーン7では体積の違いを利用して微細な異物を除去する。
【0022】
微細な異物を除去した後、繊維懸濁液は、輸送管57を通して脱水機8に送り脱水する。この脱水により高濃度になった繊維懸濁液は、ポンプ84によって、輸送管58を通して分散機(ディスパーザー)9に送る。ディスパーザー9ではクリーナー6及びスクリーン7で除去することができなかった異物を細かく分解し、インクとともに水中に分散させる。異物及びインクが分散した状態の繊維懸濁液は、輸送管59を通して過酸化水素タワー10に送る。 過酸化水素タワー10では、過酸化水素によって繊維懸濁液中の繊維を漂白する。
【0023】
漂白した繊維懸濁液は、ポンプ85によって輸送管60を通してポストフローテーター11に送る。ポストフローテーター11では、加圧浮上効果によって、ディスパーザー9において分散させた異物及びインクを除去する。
【0024】
このようにして異物及びインクを完全に除去した後、繊維懸濁液は、輸送管61を通してストックタンク12に送る。ストックタンク12に貯留した繊維懸濁液は、適宜、ポンプ86によって、輸送管62を通して完成脱水機13に送る。完成脱水機13では、繊維懸濁液の濃度が約10質量%になるまで脱水を行い、雑誌古紙含有原料パルプを得る。この雑誌古紙含有原料パルプは、輸送管63及び64を通して高濃度タワー15に送る。輸送管63と64との間には、高濃度ポンプ14を備えてあり、この高濃度ポンプ14によって、雑誌古紙含有原料パルプを高濃度タワー15の上部にポンプアツプするようになっている。高濃度タワー15では、雑誌古紙含有原料パルプに二酸化チオ尿素等の漂白剤を添加し、漂白する。漂白した雑誌古紙含有原料パルプは、高濃度タワー15にストックしておき、必要に応じポンプ87によって、輸送管65を通してペーパーマシンに送る。
【0025】
次に、繊維懸濁液の温度及びpHの調整について説明すると、雑誌古紙から抄紙機に持ちこまれる顔料の中で、炭酸カルシウムは酸性領域では炭酸ガスを発生させるとともに、系内にスケールを作り出すことになるため、本願発明においては、好ましくはpH4.5程度の酸性抄紙よりpH6〜8の疑似中性か、若しくはpH7近辺の中性抄紙が好ましい。
【0026】
次に、各実施例におけるpHの調整方法について説明すると、図示の実施例では、熱溶融性かつアルカリ溶融性材料の除去が完了するまでの間、繊維懸濁液のpHを6〜9とするのが好ましいがその調成方法を特に限定するものではない。この調整方法としては、たとえば、古紙の離解に際して、アルカリを0.5質量%以下添加するとよい。この際使用するアルカリとしては、その種類を何ら限定するものではなく、水酸化ナトリウムや、硅酸ナトリウム等を使用することができる。
【0027】
各実施例及び比較例における抄紙及び塗工方法
表1に示す各配合紙原料を用い、填料(タルク、炭酸カルシウム)、紙力増強剤、サイズ剤を各々同一添加量で添加し、ツインワイヤー抄紙機により、pH 7.5で抄紙し、坪量 52〜54g/m2の印刷用塗被紙用の原紙を得た。そして同原紙に同一組成の塗工液を同一塗工量(両面10g/m2)となるようにロールコーターで塗工した。さらに、カレンダー処理を同一条件(線圧260kg)で処理して坪量60〜64g/m2の印刷用塗被紙を得た。
【0028】
各比較例における雑誌古紙含有原料パルプの処理方法
比較例1では、図1とその説明で示した古紙パルプ処理方法で、処理をしたが雑誌古紙パルプは使用しなかった。
【0029】
比較例2でも、比較例1と同じ方法で古紙パルプの処理をしたが、雑誌古紙パルプは5%しか配合しなかった。
【0030】
【表1】
【0031】
各実施例及び比較例の評価は次の通りである。
【0032】
<印刷適性(目視で判断)>
輪転機にて5000枚印刷後、印面のカスレが生じない:◎
輪転機にて5000枚印刷後、ベタ面での印刷は少し薄くなるが文字ははっきりしている:○
輪転機にて5000枚印刷後、ベタ面でのカスレが大きく、文字も部分的に欠けている:×
実施例1〜8
各実施例とも、雑誌古紙パルプを10%以上含有した結果、内添填料添加量、塗工量、カレンダー処理が各同一条件であっても、JIS−P 8119に規定されるベック平滑度が1000秒以上の範囲にあり、その結果、平滑度の高い印刷適性が良好な印刷用塗被紙が得られた。
【0033】
また、各実施例で使用した雑誌古紙パルプ又は雑誌古紙を含む原料パルプは、その古紙処理工程において補助離解機つきの高濃度パルパーで離解処理が行われており、その結果、脱墨性の向上が図られ、表面外観が良好で、平滑度の高い、印刷用塗被紙を得ることができた。
【0034】
比較例1〜2
比較例1
NBKPを20%、LBKPを80%配合した原料パルプを用いて印刷用塗被紙を抄造、塗工し、比較例1の印刷用塗被紙を得たが印刷適性が悪く、雑誌古紙を利用しない分製造コストが高く経済性が悪かった。
【0035】
比較例2
NBKPを20%、LBKPを75%、雑誌古紙パルプを5%配合した原料パルプを用いて印刷用塗被紙を抄造、塗工し、比較例2の印刷用塗被紙を得たが、印刷適性が悪く、5%程度の雑誌古紙利用では製造コストが高く経済性が悪かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例で使用する、雑誌古紙含有原料パルプ処理装置の概要図である。
【符号の説明】
1はパルパー、1Aは補助離解機、2はターボセパレーター、3は高濃度クリーナー、4は粗選スクリーン、5はプレフローテーター、6はクリーナー、7は精選スクリーン、8は脱水機、9はディスパーザー、10は過酸化水素タワー、11はポストフローテーター、12はストックタンク、13は完成脱水機、14は高濃度ポンプ、15は高濃度タワー、51〜65は輸送管、81〜87はポンプ。
Claims (3)
- 印刷用塗被紙の原紙を構成するパルプの10重量%以上を雑誌古紙を原料とする再生パルプとするとともに、JIS−P8119に規定されるベック平滑度が1000秒以上とされていることを特徴とする印刷用塗被紙。
- 印刷用塗被紙の原紙を構成するパルプの10重量%以上を、雑誌古紙を原料とする再生パルプとする一方、前記雑誌古紙が、古紙処理工程において補助離解機つき高濃度パルパーで処理されることを特徴とする印刷用塗被紙の製造方法。
- 雑誌古紙が、古紙処理工程において補助離解機つき高濃度パルパーで処理されることを特徴とする請求項1記載の印刷用塗被紙の製造方法。
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JP2002286864A JP2004124278A (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | 雑誌古紙を配合した印刷用塗被紙およびその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013044053A (ja) * | 2011-08-22 | 2013-03-04 | Marusumi Paper Co Ltd | 古紙脱墨パルプの製造方法 |
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2002
- 2002-09-30 JP JP2002286864A patent/JP2004124278A/ja active Pending
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