JP2004123893A - 硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な変性ポリエステルポリオールおよびその硬化物に関する。詳しくは、1液型または2液型のシーリング材として有用な変性ポリエステルポリオールおよびその硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、湿気硬化型建築用シーリング材として加水分解性シリル基を有するシリコーンやポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリイソブチレン(PIB)が知られている。
しかし、シリコーンを主鎖骨格とするシーリング材は、シリコーンが静電気を帯びやすく塵埃等を吸着しやすいため、周囲の建築用部材、例えば石材を汚しやすく、さらに、低分子量のシリコーンが周囲の石材にしみ込み、これにゴミが吸着しやすく、やはり汚れを引き起こしやすいという石材周囲汚染性ともいうべき問題を持っている。
また、PPGは耐久性、耐候性に問題があり、PIBは常温でワックス状であるため取扱作業性に問題がある。PIBは、さらに、湿気透過性が低いため湿気硬化しにくく未だ一液化技術が構築されていないという問題もある。
従来、末端に水分硬化性珪素基を有する高分子量のポリエーテル又はポリエステルの製造法が報告されている(例えば、特許文献1参照)。この製造法は、分子末端に不飽和基を有するポリプロピレンオキシドと水素化珪素化合物を白金系触媒の存在下、およそ80〜90℃で数時間反応させ精製後、添加剤を加えて製造するという比較的手間のかかる合成反応を経由するものである。この製造方法で製造されたポリエーテルは、伸びが大きく、一液組成物および二液組成物とすることが出来、シーラント、密封材、接着剤組成物等として有用であると報告されている。
また、湿分硬化性シリル官能基を末端に有するポリエーテルに、さらに該ポリエーテルのシリル官能基と反応しうるシリコン化合物を添加した組成物であって、密封材などとして有用な室温硬化性組成物が報告されている(例えば、特許文献2参照)。この組成物は、モジュラスおよび伸びなどが容易にコントロールできるという効果を持つものである。この組成物の製造方法は、湿分硬化性シリル官能基を末端に有するポリエーテルを合成するまでは、上述のポリエーテルまたはポリエステルの製造法と同じ比較的手間のかかる合成反応を経由している。
【0003】
【特許文献1】
特開昭61−18569号公報
【特許文献2】
特開昭61−29379号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、周囲汚染性が低く、塗装性、耐久性、耐候性、耐水性、取扱作業性に優れ、一液型または二液型とすることができる変性ポリエステルポリオールを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、加水分解性シリル基を少なくとも1つ有する式(1)で表される変性ポリエステルポリオールを提供する。
【化2】
(式中、R1 は炭素数15以上のアルキレン基、2つのR2 は同一でも異なっていても良い炭素数1以上のアルキレン基、Z1 とZ2 は炭素数1以上の有機基を表す。ただし、Z1 とZ2 の少なくとも1つは加水分解性シリル基を持つ。)
【0006】
前記R1 のアルキレン基が、シクロ環を主鎖中に含む炭素数15以上のアルキレン基であるのが好ましい。
前記のシクロ環を主鎖中に含む炭素数15以上のアルキレン基が、シクロヘキサン環に2つの炭素数8以上のアルキレン基が結合した炭素数20以上のアルキレン基であり、該シクロヘキサン環が、隣りあう2つの炭素に炭素数6以上のアルキル置換基を持ったシクロヘキサン環であるのが好ましい。
【0007】
また、本発明は、前記変性ポリエステルポリオールを硬化してなる硬化性組成物を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の変性ポリエステルポリオールは、加水分解性シリル基を少なくとも1つ有する式(1)で表される変性ポリエステルポリオールである(以下、本発明の変性ポリエステルポリオールと記す)。
【化3】
式中、R1 は炭素数15以上のアルキレン基、R2 は炭素数1以上のアルキレン基、Z1 とZ2 は炭素数1以上の有機基を表す。ただし、Z1 とZ2 の少なくとも1つは加水分解性シリル基を持つ。
R1 としては、直鎖状アルキレン基、長鎖アルキル基を側鎖に持つアルキレン基、シクロ環(環状脂肪族基)を主鎖中に含むアルキレン基等が挙げられる。
これらのアルキレン基に含まれる炭素数は15以上であり、20以上であるのが、該アルキレン基を分子中に含む本発明の変性ポリエステルポリオールの耐水性の点から好ましい。すなわち、アルキレン基の炭素数が15以上であると、加水分解されやすいという特性を有するエステル結合が、変性ポリエステルポリオールの主鎖骨格中で占める割合が相対的に小さくなるので、変性ポリエステルポリオールの耐水性の低下を防止することができる。また、炭素数が15以上、好ましくは20以上であると、変性ポリエステルポリオールの主鎖骨格中のエステル結合と、変性ポリエステルポリオールの分子末端に結合する加水分解性シリル基との分子中の位置を離すことができるので、加水分解性シリル基とともに、エステル結合も加水分解されることを防止できる。
上述のアルキレン基の中でも、シクロ環を主鎖中に含むアルキレン基が、該アルキレン基を分子中に含む本発明の変性ポリエステルポリオールの取扱作業性の点から好ましく、このようなアルキレン基として、例えば、シクロペンタン環を主鎖中に含むアルキレン基、シクロヘキサン環を主鎖中に含むアルキレン基、フェニル環を主鎖中に含むアルキレン基、トルエン環を主鎖中に含むアルキレン基等を挙げることが出来る。これらの中でも、シクロヘキサン環を主鎖中に含むアルキレン基が好ましい。
シクロヘキサン環を主鎖中に含むアルキレン基の中でも、該シクロヘキサン環に2つの炭素数8以上のアルキレン基が結合して主鎖を形成するアルキレン基であって、該シクロヘキサン環が隣りあう2つの炭素上に炭素数6以上のアルキル置換基を側鎖として持つシクロヘキサン環であるのがさらに好ましい。
【0009】
R2 は、炭素数1以上のアルキレン基である。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、シクロヘキセン基等が挙げられる。
【0010】
Z1 とZ2 は炭素数1以上の有機基を表す。ただし、Z1 とZ2 の少なくとも1つは加水分解性シリル基を持つ。Z1 とZ2 としては、例えば、メチレン基、エチレン基等のアルキレン基;シクロアルキレン基;フェニレン基等のアリーレン基;水酸基;オキシム基、メルカプト基、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合等を含むことができる。
好ましくは、ジイソシアネート化合物と、アリルアルコール基とジメルカプト基をもつ化合物と、加水分解性シリル基を、この順序で結合した有機基が例示される。
Z1 とZ2 の少なくとも1つが有する加水分解性シリル基は、下記式(2)で表されるシリル基である。
【化4】
式中、Xは、アルキル基もしくはアリール基、Yは加水分解性基、aは1または2を表す。
Xとしては、炭素数1〜6のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等;炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基等が挙げられる。
Yとしては、塩素原子、臭素原子等のハロゲン基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;アセトキシ基;アシルオキシ基;メチルケトキシメート基、シクロヘキシルケトキシメート基等のケトキシメート基;アミノオキシ基等が挙げられる。
【0011】
上述の本発明の変性ポリエステルポリオールの例として、好ましくは、トルエンジイソシアネート(TDI)基とアリルアルコール基とジメルカプトジオキシトリエチレン(DMDO)基とが結合した有機基が、水添ダイマー酸(炭素数36の2塩基性酸)と各種のグリコールが重縮合した2官能のポリエステルポリオールの分子末端の水酸基に、ウレタン結合で結合しており、かつ、該有機基の分子末端に、ビニル基とオキシム基を有する加水分解性シリル基が結合してなる化合物を挙げることができる。
【0012】
上述の分子構造を持つ新規化合物である本発明の変性ポリエステルポリオールは、以下の特性を持つ。
▲1▼ 従来、湿気硬化型建築用シーリング材として利用されてきた加水分解性シリル基を有するシリコーンと異なり、主鎖骨格がポリエステルポリオールであるため、静電気を帯びやすいということがなく、そのためゴミを吸着して周囲の建材とくに石材を汚すことがない。
▲2▼ また、従来、シーリング材として用いられてきたシリコンゴムは、塗料を塗ると弾いてしまい、塗装性に劣ったが、本発明の変性ポリエステルポリオールをシーリング材として用いると、重合後の本発明の変性ポリエステルポリオールの硬化物は塗料をはじくことなく優れた塗装性を示す。
▲3▼ 本発明の変性ポリエステルポリオールは、主鎖である長鎖アルキレン基の末端付近に極性を持つエステル結合を有し、このエステル結合の極性と、水素結合等を通じて、変性ポリエステルポリオールの主鎖である長鎖アルキレン基が折り畳まれた一種のミセル構造を形成する。この折り畳まれた高分子主鎖により、変性ポリエステルポリオールは高い低温柔軟性と、大きな応力緩和性を有する。このため、本発明の変性ポリエステルポリオールは、シーリング材として優れた耐久性を示す。
▲4▼ 本発明の変性ポリエステルポリオールは、後述の硬化性組成物の製造方法で詳述するように、主鎖である長鎖アルキレン基の中にウレタン結合を有することができる。ウレタン結合は一般には耐候性に劣る原因となるが、本発明の変性ポリエステルポリオールは、ウレタン結合が長いアルキレン基中にあり、ウレタン結合の分子内でしめる割合が小さくなり、一般のポリウレタンにくらべ耐候性に優れる。全くウレタン結合を含まないポリエステルポリオールを含有するポリマーに較べても、本発明の変性ポリエステルポリオール硬化物の耐候性は劣らない。
▲5▼ 本発明の変性ポリエステルポリオールの中で、特に、側鎖アルキル基を有するシクロ環を分子内に有する変性ポリエステルポリオールは、本発明の変性ポリエステルポリオールが硬化する際、この側鎖が、硬化物の硬化物−空気界面に集まり、変性ポリエステルポリオールのエステル結合を攻撃する水から保護する結果、従来の直鎖型ポリエステルポリオールに比して極めて高い耐水性を示す。
▲6▼ 本発明の変性ポリエステルポリオールの中で、特に、側鎖アルキル基を有するシクロ環と、該シクロ環に結合するアルキレン基を主鎖骨格として分子内に有する変性ポリエステルポリオールは、シクロ環を分岐点としてX状の分子形を持つため、分子形状が分岐高分子に特徴的な球状に近づき、低粘度の液状ポリオールとなり、常温でワックス状のPIB等と異なり、優れた取扱作業性を有する。
▲7▼ 本発明の変性ポリエステルポリオールは、主鎖である長鎖アルキレン基の中にエステル結合を有するため、湿気硬化が可能であり、このため、本発明の変性ポリエステルポリオールを含有した一液性の湿気硬化型組成物を製造することができる。
【0013】
本発明の変性ポリエステルポリオールの製造方法として、以下の方法を例示することができる。
ポリエステルポリオール、もしくは、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールと、ジイソシアネートとを、NCO/OH=1.2〜2.5となる量比で混合し、DABCO(1,4−ジアザビクロ〔2.2.2〕オクタン)を触媒として反応させ、分子末端にイソシアネート基を導入する。ついで、不飽和基を有するアルコールを、NCO/OH=0.9〜1.1となる量比で混合し、分子末端に不飽和結合(ビニル基)を導入する。
ついで、ジチオールを、メルカプト基/ビニル基=0.9〜1.1となる量比で混合し、AIBN(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)を触媒として反応させ、分子末端にメルカプト基を導入する。
このようにして分子末端に不飽和基を有するポリエステルポリオールに、不飽和基と加水分解性基を有するシリル化合物を混合し、触媒としてAIBNを添加して反応させることにより、加水分解性シリル基を分子末端に少なくとも1つ有する本発明の変性ポリエステルポリオールを製造することができる。
なお、以上の反応は、90〜140℃にて行なう。
【0014】
上述の製造方法に用いる出発原料としてのポリエステルポリオールとしては、式(3)で表されるポリエステルポリオールを用いることができる。
【化5】
式中、R1 とR2 は、前記式(1)のR1 とR2 に同じである。このようなポリエステルポリオールとして、各種の市販品を利用することができ、例えば、東亜合成社製のペスポールを挙げることができる。
また、ポリエーテルポリオールを、ポリエステルポリオールとともに合成の原料として用いてもよく、その量比は特に限定されないが、製造方法により合成される本発明のポリエステルポリオール中で、70質量%以下が好ましい。70質量%超であると、式(1)で表されるポリエステルポリオールの主鎖骨格である長鎖アルキレン基に起因する耐久性、耐水性等の効果が十分に得られないからである。
【0015】
上述の製造方法に用いるジイソシアネートは、特に限定はなく、イソシアネート基を分子末端に2つ有するジイソシアネートであればよい。例えば、このようなジイソシアネートとして、式(4)で表されるジイソシアネートを用いることができる。
【化6】
式中、R4 は、芳香族および脂肪族基を含む有機基を表す。このようなジイソシアネートとして、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI(H6 XDI)、水添MDI(H12MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)等を挙げることができる。
【0016】
上述の製造方法に用いる不飽和基を有するアルコールとしては、式(5)で表されるアリルアルコールを用いることができる。
【化7】
式中、R5 およびR6 は、水素原子または炭素数1〜4の有機基を表す。炭素数1〜4の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基等を挙げることができる。
【0017】
上述の製造方法に用いるジチオールは、分子末端に2つのメルカプト基を有するジチオールであればよく、特に限定はない。このようなジチオールとして、式(6)で表されるジチオールを用いることができる。
【化8】
式中、R7 は、炭素数1以上の有機基を表し、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基を挙げることができる。このようなジチオールとしては、ジメルカプトメタン、ジメルカプトエタン、ジメルカプトプロパン、ジメルカプトキシレン、ジメルカプトベンゼン、ジメルカプトジオキシトリエチレン(DMDO)等を挙げることができる。
【0018】
上述の製造方法に用いる不飽和基と加水分解性基を有するシリル化合物としては、式(7)で表されるシリル化合物を用いることができる。
【化9】
式中、X’は、メチル基、エチル基等のアルキル基またはビニル基等のアルケニル基を表す。Y、およびaは、式(2)におけるY,aに同じである。
このようなシリル化合物として、各種市販品を利用することが出来、例えば、式(8)で表される構造を持つアライドシグナル社製のOS−5200を挙げることができる。
【化10】
【0019】
このようにして製造される本発明の変性ポリエステルポリオールは、オリゴマーとして生成される。
反応過程においては、本発明の変性ポリエステルポリオールの合成に用いられた化合物の反応残基が併存してよく、得られる本発明の変性ポリエステルポリオールのオリゴマーは、反応残基を含む組成物であってもよい。
本発明の変性ポリエステルポリオール、または、組成物は、湿気によりゴム様物質へと室温硬化することのできる、加水分解性シリル基を分子末端に少なくとも1つ有する変性ポリエステルポリオールを含有する硬化性組成物である。
【0020】
本発明の変性ポリエステルポリオールのオリゴマーと反応残基を含有する硬化性組成物は、一液型および二液型の組成物とすることができる。この組成物は、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト等の充填剤、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、アジピン酸ジオクチル等の可塑剤や、その他、縮合触媒、接着付与剤、顔料、老化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含んでいても良い。
一液型の組成物とする場合は、本発明の変性ポリエステルポリオールの合成に用いる各化合物および添加剤をよく乾燥し、湿気除去された条件下で合成すればよく、湿気が入らない容器に保存しておけばよい。
二液型の組成物とする場合は、本発明の変性ポリエステルポリオールとその他の添加剤を混合したものと、縮合触媒とその他の添加剤を混合したものとを作り、使用時に混合して用いればよい。
【0021】
新規化合物である本発明の変性ポリエステルポリオールは、以上に述べた特性を有するので、シーリング材、接着剤等として有用である。
【0022】
【実施例】
以下に、実施例を用いて具体的に説明するが、これによって本発明の範囲は、限定されるものではない。
【0023】
変性ポリエステルポリオールの合成
(実施例1)
ポリエステルポリオール(東亜合成社製、ペスポール 900、分子量約1000)とジイソシアネート(三井武田ケミカル社製、TDI−80/20)とを、NCO/OH=1.0となるように混合し、触媒としてDABCOをポリエステルポリオール100質量部に対し、0.1質量部添加し、反応温度90℃にて反応させた。ついで、アリルアルコールを、NCO/OH=1.0となるように混合し、反応温度90℃にて反応させた。ついで、DMDOを、触媒としてAIBNを用いて、反応温度90℃にて、末端二重結合に対して当量反応させた。ついで、シリル化合物(アライドシグナル社製、OS−5200)を、触媒としてAIBNを用いて、反応温度90℃にて反応させて、加水分解性基を持つシリル基をSH基に対して当量反応させた変性ポリエステルポリオールを合成した。
得られた変性ポリエステルポリオールを、表1に示す沈降性炭酸カルシウム、可塑剤、硬化触媒と混合し、室温で21日間放置して硬化させた。得られた硬化物を試験片として、以下の特性を測定評価した。ただし、深部硬化性については下記の条件で硬化した。
【0024】
(比較例1、2、3)
表1に示す成分を、表1に示す量混合して、比較例の硬化組成物を得て、実施例と同様に硬化物を試験片として同様に評価した。
【0025】
評価試験
1)周囲汚染性
屋外の南面で水平位置から30°の角度で夏季3ヶ月間暴露し、目視で硬化物周囲が汚染されていないかを観察した。
×: 汚れが認められた状態を示す。
○: 汚れが認められない状態を示す。
2)塗装性
○:水性アクリル系塗料が硬化物表面になじんで塗布できた。
×:硬化物表面が水性アクリル系塗料をはじいて塗布できなかった。
3)耐久性
±20%の伸縮疲労試験を行い、繰返数5,000回後の、ひび割れの有無によって耐久性を評価した。
×:ひび割れが観察された状態を示す。
○:ひび割れが観察されない状態を示す。
4)耐候性
試験片を、サンシャインウエザー・オ・メータ(SWOM)(条件:63℃、50%RH、光エネルギー75mW/cm2 、シャワー120秒/2時間後)による処理を行い、2,000時間経過後の状態を観察し、ひび割れの有無によって耐候性を評価した。
ひび割れがなかったものを○とし、ひび割れがあったものを×とした。
【0026】
5)取扱作業性
塗布作業者の官能試験により、10名中、6名が塗布作業性が良いと感じたものを○、10名中、6名が塗布作業がしずらいと感じたものを×と評価した。
6)深部硬化性
温度20℃×湿度65%の硬化条件で、7日後、表面から5mmの深部が硬化している場合(○)硬化していない場合(×)で評価した。
結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
本発明の新規化合物である加水分解性シリル基を分子末端に少なくとも1つ有する変性ポリエステルポリオールは、従来から、湿気硬化型建築用シーリング材として一般に使用されている加水分解性基を有するシリコーンや、PPG、PIBにくらべ、周囲汚染性がなく、塗装性、耐久性、耐候性、取扱作業性に優れ、さらに、一液性または二液性の硬化性組成物とすることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な変性ポリエステルポリオールおよびその硬化物に関する。詳しくは、1液型または2液型のシーリング材として有用な変性ポリエステルポリオールおよびその硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、湿気硬化型建築用シーリング材として加水分解性シリル基を有するシリコーンやポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリイソブチレン(PIB)が知られている。
しかし、シリコーンを主鎖骨格とするシーリング材は、シリコーンが静電気を帯びやすく塵埃等を吸着しやすいため、周囲の建築用部材、例えば石材を汚しやすく、さらに、低分子量のシリコーンが周囲の石材にしみ込み、これにゴミが吸着しやすく、やはり汚れを引き起こしやすいという石材周囲汚染性ともいうべき問題を持っている。
また、PPGは耐久性、耐候性に問題があり、PIBは常温でワックス状であるため取扱作業性に問題がある。PIBは、さらに、湿気透過性が低いため湿気硬化しにくく未だ一液化技術が構築されていないという問題もある。
従来、末端に水分硬化性珪素基を有する高分子量のポリエーテル又はポリエステルの製造法が報告されている(例えば、特許文献1参照)。この製造法は、分子末端に不飽和基を有するポリプロピレンオキシドと水素化珪素化合物を白金系触媒の存在下、およそ80〜90℃で数時間反応させ精製後、添加剤を加えて製造するという比較的手間のかかる合成反応を経由するものである。この製造方法で製造されたポリエーテルは、伸びが大きく、一液組成物および二液組成物とすることが出来、シーラント、密封材、接着剤組成物等として有用であると報告されている。
また、湿分硬化性シリル官能基を末端に有するポリエーテルに、さらに該ポリエーテルのシリル官能基と反応しうるシリコン化合物を添加した組成物であって、密封材などとして有用な室温硬化性組成物が報告されている(例えば、特許文献2参照)。この組成物は、モジュラスおよび伸びなどが容易にコントロールできるという効果を持つものである。この組成物の製造方法は、湿分硬化性シリル官能基を末端に有するポリエーテルを合成するまでは、上述のポリエーテルまたはポリエステルの製造法と同じ比較的手間のかかる合成反応を経由している。
【0003】
【特許文献1】
特開昭61−18569号公報
【特許文献2】
特開昭61−29379号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、周囲汚染性が低く、塗装性、耐久性、耐候性、耐水性、取扱作業性に優れ、一液型または二液型とすることができる変性ポリエステルポリオールを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、加水分解性シリル基を少なくとも1つ有する式(1)で表される変性ポリエステルポリオールを提供する。
【化2】
(式中、R1 は炭素数15以上のアルキレン基、2つのR2 は同一でも異なっていても良い炭素数1以上のアルキレン基、Z1 とZ2 は炭素数1以上の有機基を表す。ただし、Z1 とZ2 の少なくとも1つは加水分解性シリル基を持つ。)
【0006】
前記R1 のアルキレン基が、シクロ環を主鎖中に含む炭素数15以上のアルキレン基であるのが好ましい。
前記のシクロ環を主鎖中に含む炭素数15以上のアルキレン基が、シクロヘキサン環に2つの炭素数8以上のアルキレン基が結合した炭素数20以上のアルキレン基であり、該シクロヘキサン環が、隣りあう2つの炭素に炭素数6以上のアルキル置換基を持ったシクロヘキサン環であるのが好ましい。
【0007】
また、本発明は、前記変性ポリエステルポリオールを硬化してなる硬化性組成物を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の変性ポリエステルポリオールは、加水分解性シリル基を少なくとも1つ有する式(1)で表される変性ポリエステルポリオールである(以下、本発明の変性ポリエステルポリオールと記す)。
【化3】
式中、R1 は炭素数15以上のアルキレン基、R2 は炭素数1以上のアルキレン基、Z1 とZ2 は炭素数1以上の有機基を表す。ただし、Z1 とZ2 の少なくとも1つは加水分解性シリル基を持つ。
R1 としては、直鎖状アルキレン基、長鎖アルキル基を側鎖に持つアルキレン基、シクロ環(環状脂肪族基)を主鎖中に含むアルキレン基等が挙げられる。
これらのアルキレン基に含まれる炭素数は15以上であり、20以上であるのが、該アルキレン基を分子中に含む本発明の変性ポリエステルポリオールの耐水性の点から好ましい。すなわち、アルキレン基の炭素数が15以上であると、加水分解されやすいという特性を有するエステル結合が、変性ポリエステルポリオールの主鎖骨格中で占める割合が相対的に小さくなるので、変性ポリエステルポリオールの耐水性の低下を防止することができる。また、炭素数が15以上、好ましくは20以上であると、変性ポリエステルポリオールの主鎖骨格中のエステル結合と、変性ポリエステルポリオールの分子末端に結合する加水分解性シリル基との分子中の位置を離すことができるので、加水分解性シリル基とともに、エステル結合も加水分解されることを防止できる。
上述のアルキレン基の中でも、シクロ環を主鎖中に含むアルキレン基が、該アルキレン基を分子中に含む本発明の変性ポリエステルポリオールの取扱作業性の点から好ましく、このようなアルキレン基として、例えば、シクロペンタン環を主鎖中に含むアルキレン基、シクロヘキサン環を主鎖中に含むアルキレン基、フェニル環を主鎖中に含むアルキレン基、トルエン環を主鎖中に含むアルキレン基等を挙げることが出来る。これらの中でも、シクロヘキサン環を主鎖中に含むアルキレン基が好ましい。
シクロヘキサン環を主鎖中に含むアルキレン基の中でも、該シクロヘキサン環に2つの炭素数8以上のアルキレン基が結合して主鎖を形成するアルキレン基であって、該シクロヘキサン環が隣りあう2つの炭素上に炭素数6以上のアルキル置換基を側鎖として持つシクロヘキサン環であるのがさらに好ましい。
【0009】
R2 は、炭素数1以上のアルキレン基である。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、シクロヘキセン基等が挙げられる。
【0010】
Z1 とZ2 は炭素数1以上の有機基を表す。ただし、Z1 とZ2 の少なくとも1つは加水分解性シリル基を持つ。Z1 とZ2 としては、例えば、メチレン基、エチレン基等のアルキレン基;シクロアルキレン基;フェニレン基等のアリーレン基;水酸基;オキシム基、メルカプト基、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合等を含むことができる。
好ましくは、ジイソシアネート化合物と、アリルアルコール基とジメルカプト基をもつ化合物と、加水分解性シリル基を、この順序で結合した有機基が例示される。
Z1 とZ2 の少なくとも1つが有する加水分解性シリル基は、下記式(2)で表されるシリル基である。
【化4】
式中、Xは、アルキル基もしくはアリール基、Yは加水分解性基、aは1または2を表す。
Xとしては、炭素数1〜6のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等;炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基等が挙げられる。
Yとしては、塩素原子、臭素原子等のハロゲン基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;アセトキシ基;アシルオキシ基;メチルケトキシメート基、シクロヘキシルケトキシメート基等のケトキシメート基;アミノオキシ基等が挙げられる。
【0011】
上述の本発明の変性ポリエステルポリオールの例として、好ましくは、トルエンジイソシアネート(TDI)基とアリルアルコール基とジメルカプトジオキシトリエチレン(DMDO)基とが結合した有機基が、水添ダイマー酸(炭素数36の2塩基性酸)と各種のグリコールが重縮合した2官能のポリエステルポリオールの分子末端の水酸基に、ウレタン結合で結合しており、かつ、該有機基の分子末端に、ビニル基とオキシム基を有する加水分解性シリル基が結合してなる化合物を挙げることができる。
【0012】
上述の分子構造を持つ新規化合物である本発明の変性ポリエステルポリオールは、以下の特性を持つ。
▲1▼ 従来、湿気硬化型建築用シーリング材として利用されてきた加水分解性シリル基を有するシリコーンと異なり、主鎖骨格がポリエステルポリオールであるため、静電気を帯びやすいということがなく、そのためゴミを吸着して周囲の建材とくに石材を汚すことがない。
▲2▼ また、従来、シーリング材として用いられてきたシリコンゴムは、塗料を塗ると弾いてしまい、塗装性に劣ったが、本発明の変性ポリエステルポリオールをシーリング材として用いると、重合後の本発明の変性ポリエステルポリオールの硬化物は塗料をはじくことなく優れた塗装性を示す。
▲3▼ 本発明の変性ポリエステルポリオールは、主鎖である長鎖アルキレン基の末端付近に極性を持つエステル結合を有し、このエステル結合の極性と、水素結合等を通じて、変性ポリエステルポリオールの主鎖である長鎖アルキレン基が折り畳まれた一種のミセル構造を形成する。この折り畳まれた高分子主鎖により、変性ポリエステルポリオールは高い低温柔軟性と、大きな応力緩和性を有する。このため、本発明の変性ポリエステルポリオールは、シーリング材として優れた耐久性を示す。
▲4▼ 本発明の変性ポリエステルポリオールは、後述の硬化性組成物の製造方法で詳述するように、主鎖である長鎖アルキレン基の中にウレタン結合を有することができる。ウレタン結合は一般には耐候性に劣る原因となるが、本発明の変性ポリエステルポリオールは、ウレタン結合が長いアルキレン基中にあり、ウレタン結合の分子内でしめる割合が小さくなり、一般のポリウレタンにくらべ耐候性に優れる。全くウレタン結合を含まないポリエステルポリオールを含有するポリマーに較べても、本発明の変性ポリエステルポリオール硬化物の耐候性は劣らない。
▲5▼ 本発明の変性ポリエステルポリオールの中で、特に、側鎖アルキル基を有するシクロ環を分子内に有する変性ポリエステルポリオールは、本発明の変性ポリエステルポリオールが硬化する際、この側鎖が、硬化物の硬化物−空気界面に集まり、変性ポリエステルポリオールのエステル結合を攻撃する水から保護する結果、従来の直鎖型ポリエステルポリオールに比して極めて高い耐水性を示す。
▲6▼ 本発明の変性ポリエステルポリオールの中で、特に、側鎖アルキル基を有するシクロ環と、該シクロ環に結合するアルキレン基を主鎖骨格として分子内に有する変性ポリエステルポリオールは、シクロ環を分岐点としてX状の分子形を持つため、分子形状が分岐高分子に特徴的な球状に近づき、低粘度の液状ポリオールとなり、常温でワックス状のPIB等と異なり、優れた取扱作業性を有する。
▲7▼ 本発明の変性ポリエステルポリオールは、主鎖である長鎖アルキレン基の中にエステル結合を有するため、湿気硬化が可能であり、このため、本発明の変性ポリエステルポリオールを含有した一液性の湿気硬化型組成物を製造することができる。
【0013】
本発明の変性ポリエステルポリオールの製造方法として、以下の方法を例示することができる。
ポリエステルポリオール、もしくは、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールと、ジイソシアネートとを、NCO/OH=1.2〜2.5となる量比で混合し、DABCO(1,4−ジアザビクロ〔2.2.2〕オクタン)を触媒として反応させ、分子末端にイソシアネート基を導入する。ついで、不飽和基を有するアルコールを、NCO/OH=0.9〜1.1となる量比で混合し、分子末端に不飽和結合(ビニル基)を導入する。
ついで、ジチオールを、メルカプト基/ビニル基=0.9〜1.1となる量比で混合し、AIBN(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)を触媒として反応させ、分子末端にメルカプト基を導入する。
このようにして分子末端に不飽和基を有するポリエステルポリオールに、不飽和基と加水分解性基を有するシリル化合物を混合し、触媒としてAIBNを添加して反応させることにより、加水分解性シリル基を分子末端に少なくとも1つ有する本発明の変性ポリエステルポリオールを製造することができる。
なお、以上の反応は、90〜140℃にて行なう。
【0014】
上述の製造方法に用いる出発原料としてのポリエステルポリオールとしては、式(3)で表されるポリエステルポリオールを用いることができる。
【化5】
式中、R1 とR2 は、前記式(1)のR1 とR2 に同じである。このようなポリエステルポリオールとして、各種の市販品を利用することができ、例えば、東亜合成社製のペスポールを挙げることができる。
また、ポリエーテルポリオールを、ポリエステルポリオールとともに合成の原料として用いてもよく、その量比は特に限定されないが、製造方法により合成される本発明のポリエステルポリオール中で、70質量%以下が好ましい。70質量%超であると、式(1)で表されるポリエステルポリオールの主鎖骨格である長鎖アルキレン基に起因する耐久性、耐水性等の効果が十分に得られないからである。
【0015】
上述の製造方法に用いるジイソシアネートは、特に限定はなく、イソシアネート基を分子末端に2つ有するジイソシアネートであればよい。例えば、このようなジイソシアネートとして、式(4)で表されるジイソシアネートを用いることができる。
【化6】
式中、R4 は、芳香族および脂肪族基を含む有機基を表す。このようなジイソシアネートとして、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI(H6 XDI)、水添MDI(H12MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)等を挙げることができる。
【0016】
上述の製造方法に用いる不飽和基を有するアルコールとしては、式(5)で表されるアリルアルコールを用いることができる。
【化7】
式中、R5 およびR6 は、水素原子または炭素数1〜4の有機基を表す。炭素数1〜4の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基等を挙げることができる。
【0017】
上述の製造方法に用いるジチオールは、分子末端に2つのメルカプト基を有するジチオールであればよく、特に限定はない。このようなジチオールとして、式(6)で表されるジチオールを用いることができる。
【化8】
式中、R7 は、炭素数1以上の有機基を表し、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基を挙げることができる。このようなジチオールとしては、ジメルカプトメタン、ジメルカプトエタン、ジメルカプトプロパン、ジメルカプトキシレン、ジメルカプトベンゼン、ジメルカプトジオキシトリエチレン(DMDO)等を挙げることができる。
【0018】
上述の製造方法に用いる不飽和基と加水分解性基を有するシリル化合物としては、式(7)で表されるシリル化合物を用いることができる。
【化9】
式中、X’は、メチル基、エチル基等のアルキル基またはビニル基等のアルケニル基を表す。Y、およびaは、式(2)におけるY,aに同じである。
このようなシリル化合物として、各種市販品を利用することが出来、例えば、式(8)で表される構造を持つアライドシグナル社製のOS−5200を挙げることができる。
【化10】
【0019】
このようにして製造される本発明の変性ポリエステルポリオールは、オリゴマーとして生成される。
反応過程においては、本発明の変性ポリエステルポリオールの合成に用いられた化合物の反応残基が併存してよく、得られる本発明の変性ポリエステルポリオールのオリゴマーは、反応残基を含む組成物であってもよい。
本発明の変性ポリエステルポリオール、または、組成物は、湿気によりゴム様物質へと室温硬化することのできる、加水分解性シリル基を分子末端に少なくとも1つ有する変性ポリエステルポリオールを含有する硬化性組成物である。
【0020】
本発明の変性ポリエステルポリオールのオリゴマーと反応残基を含有する硬化性組成物は、一液型および二液型の組成物とすることができる。この組成物は、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト等の充填剤、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、アジピン酸ジオクチル等の可塑剤や、その他、縮合触媒、接着付与剤、顔料、老化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含んでいても良い。
一液型の組成物とする場合は、本発明の変性ポリエステルポリオールの合成に用いる各化合物および添加剤をよく乾燥し、湿気除去された条件下で合成すればよく、湿気が入らない容器に保存しておけばよい。
二液型の組成物とする場合は、本発明の変性ポリエステルポリオールとその他の添加剤を混合したものと、縮合触媒とその他の添加剤を混合したものとを作り、使用時に混合して用いればよい。
【0021】
新規化合物である本発明の変性ポリエステルポリオールは、以上に述べた特性を有するので、シーリング材、接着剤等として有用である。
【0022】
【実施例】
以下に、実施例を用いて具体的に説明するが、これによって本発明の範囲は、限定されるものではない。
【0023】
変性ポリエステルポリオールの合成
(実施例1)
ポリエステルポリオール(東亜合成社製、ペスポール 900、分子量約1000)とジイソシアネート(三井武田ケミカル社製、TDI−80/20)とを、NCO/OH=1.0となるように混合し、触媒としてDABCOをポリエステルポリオール100質量部に対し、0.1質量部添加し、反応温度90℃にて反応させた。ついで、アリルアルコールを、NCO/OH=1.0となるように混合し、反応温度90℃にて反応させた。ついで、DMDOを、触媒としてAIBNを用いて、反応温度90℃にて、末端二重結合に対して当量反応させた。ついで、シリル化合物(アライドシグナル社製、OS−5200)を、触媒としてAIBNを用いて、反応温度90℃にて反応させて、加水分解性基を持つシリル基をSH基に対して当量反応させた変性ポリエステルポリオールを合成した。
得られた変性ポリエステルポリオールを、表1に示す沈降性炭酸カルシウム、可塑剤、硬化触媒と混合し、室温で21日間放置して硬化させた。得られた硬化物を試験片として、以下の特性を測定評価した。ただし、深部硬化性については下記の条件で硬化した。
【0024】
(比較例1、2、3)
表1に示す成分を、表1に示す量混合して、比較例の硬化組成物を得て、実施例と同様に硬化物を試験片として同様に評価した。
【0025】
評価試験
1)周囲汚染性
屋外の南面で水平位置から30°の角度で夏季3ヶ月間暴露し、目視で硬化物周囲が汚染されていないかを観察した。
×: 汚れが認められた状態を示す。
○: 汚れが認められない状態を示す。
2)塗装性
○:水性アクリル系塗料が硬化物表面になじんで塗布できた。
×:硬化物表面が水性アクリル系塗料をはじいて塗布できなかった。
3)耐久性
±20%の伸縮疲労試験を行い、繰返数5,000回後の、ひび割れの有無によって耐久性を評価した。
×:ひび割れが観察された状態を示す。
○:ひび割れが観察されない状態を示す。
4)耐候性
試験片を、サンシャインウエザー・オ・メータ(SWOM)(条件:63℃、50%RH、光エネルギー75mW/cm2 、シャワー120秒/2時間後)による処理を行い、2,000時間経過後の状態を観察し、ひび割れの有無によって耐候性を評価した。
ひび割れがなかったものを○とし、ひび割れがあったものを×とした。
【0026】
5)取扱作業性
塗布作業者の官能試験により、10名中、6名が塗布作業性が良いと感じたものを○、10名中、6名が塗布作業がしずらいと感じたものを×と評価した。
6)深部硬化性
温度20℃×湿度65%の硬化条件で、7日後、表面から5mmの深部が硬化している場合(○)硬化していない場合(×)で評価した。
結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
本発明の新規化合物である加水分解性シリル基を分子末端に少なくとも1つ有する変性ポリエステルポリオールは、従来から、湿気硬化型建築用シーリング材として一般に使用されている加水分解性基を有するシリコーンや、PPG、PIBにくらべ、周囲汚染性がなく、塗装性、耐久性、耐候性、取扱作業性に優れ、さらに、一液性または二液性の硬化性組成物とすることができる。
Claims (4)
- 前記R1 のアルキレン基が、シクロ環を主鎖中に含む炭素数15以上のアルキレン基である請求項1に記載の変性ポリエステルポリオール。
- 前記のシクロ環を主鎖中に含む炭素数15以上のアルキレン基が、シクロヘキサン環に2つの炭素数8以上のアルキレン基が結合した炭素数20以上のアルキレン基であり、該シクロヘキサン環が、隣りあう2つの炭素に炭素数6以上のアルキル置換基を持ったシクロヘキサン環である請求項2に記載の変性ポリエステルポリオール。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の変性ポリエステルポリオールを硬化してなる硬化性組成物。
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JP2002289548A JP2004123893A (ja) | 2002-10-02 | 2002-10-02 | 硬化性組成物 |
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Cited By (2)
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US11760841B2 (en) | 2018-12-21 | 2023-09-19 | Dow Silicones Corporation | Silicone-polycarbonate copolymer, sealants comprising same, and related methods |
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-
2002
- 2002-10-02 JP JP2002289548A patent/JP2004123893A/ja not_active Withdrawn
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