JP2004123646A - 害虫防除剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、和漢生薬の一つである五加皮の抽出物を有効成分として含有する害虫防除剤を提供する。また、本発明は、ペリプロシドA(periploside A)誘導体及び/又は4−メトキシ−サリチルアルデヒド誘導体を有効成分として含有する害虫防除剤を提供する。
【解決手段】五加皮の抽出物を有効成分として含有する害虫防除剤等に関する。
【選択図】 なし
【解決手段】五加皮の抽出物を有効成分として含有する害虫防除剤等に関する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、害虫に対し高い殺虫、忌避、防虫効果等を発揮する害虫防除剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医薬や農薬を指向した、人や動物に対し比較的安全性の高い天然物由来の生理活性成分の探索研究が盛んに行われている。
【0003】
北五加皮は、ガガイモ科(Asclepiadaceae)のPeriploca sepium Bungeの根皮を乾燥したものであり、古来より漢方処方の生薬として特に強壮剤として使用されている。そして、抗補体性(anticomplementary activity)等の薬理活性を有していることが知られている(非特許文献1を参照)。
【0004】
北五加皮にはステロイド性グリコシド化合物であるペリプロシドA(periploside A)が含まれており、このペリプロシドAが五加皮の抗補体性の活性成分であることが報告されている(非特許文献1を参照)。また、五加皮には芳香成分として4−メトキシ−サリチルアルデヒドを含んでいることが知られている。
【0005】
しかしながら、これらの化合物が高い殺虫活性を有することは知られていない。
【0006】
【非特許文献1】
ヘテロサイクルズ(Heterocycles) (1987) 26 (8) pp. 2093−2098。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、和漢生薬の一つである五加皮の抽出物を有効成分として含有する害虫防除剤を提供することにある。また、本発明の目的は、ペリプロシドA(periploside A)誘導体及び/又は4−メトキシ−サリチルアルデヒド誘導体を有効成分として含有する害虫防除剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者らは、和漢生薬の一つである五加皮のアルコール抽出物が極めて高い殺虫活性を有することを見出し、そしてその殺虫活性成分がペリプロシドA(periploside A)誘導体及び4−メトキシ−サリチルアルデヒド誘導体であることを突き止め、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、五加皮の抽出物を有効成分として含有する害虫防除剤等を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
A.五加皮の抽出物
本発明の害虫防除剤は五加皮の抽出物を有効成分とする。
【0011】
本発明において用いられる五加皮としては、例えば、北五加皮、南五加皮、紅毛五加皮等が例示される。北五加皮とは、ガガイモ科(Asclepiadaceae)のペリプロカ セピウム ブンゲ(Periploca sepium Bunge)の根皮を乾燥したものである。南五加皮とは、ウコギ科(Araliaceae)のアカントパナックス グラシリスチルス W.W.スミス(Acanthopanax gracilistylus W.W.Smith)の根皮を乾燥したものである。紅毛五加皮とは、ウコギ科(Araliaceae)のアカントパナックス ギラルディ ハームズ(Acanthopanax giraldii Harms.)の幹皮を乾燥したものである。このうち、北五加皮が好ましい。
【0012】
上記の五加皮は、そのまま抽出に供することができるが、より細かく粉砕した後、抽出に供してもよい。また、粉末にした後更に乾燥して抽出に供したり、水中で粉砕してスラリー状にして抽出に供することもできる。
【0013】
抽出溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等のグリコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル,テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素等の極性有機溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の無極性有機溶媒等を用いることができる。また、これらの溶媒を単独で又は2種以上の混合溶媒として用いることもできる。これらの内で、アルコール類、グリコール類、及びエステル類からなる群から選ばれる少なくとも一種の抽出溶媒を用いることが好ましい。特に、メタノール、エタノール及び酢酸エチルからなる群から選ばれる少なくとも1種の抽出溶媒を用いる場合には、取り扱いが容易であり、しかも優れた害虫防除活性を有する抽出物を得ることができる点で好ましい。溶媒を混合して用いる場合には、各溶媒の混合比は、溶媒の種類に応じて適宜調整すればよい。
【0014】
抽出方法については、特に限定されるものではなく、五加皮に溶媒を加えた後、抽出物の害虫防除活性を失活させない程度に加温加熱する加熱抽出法や、超臨界抽出法等を適宜適用できる。また、一定量の溶媒に五加皮を浸漬してバッチ処理する浸漬抽出法や連続的に溶媒を送り続ける連続抽出法等、公知の種々の抽出法を適用できる。
【0015】
具体的な抽出方法の一例を挙げると、例えば、五加皮に対して、その乾燥重量の0.5〜5重量倍程度、好ましくは、0.8〜1.2重量倍程度の抽出溶媒を加えて浸漬して加熱し、30〜60分間程度溶媒を還流させることにより、活性成分を抽出することができる。或いは、五加皮に対して、その乾燥重量の0.5〜5重量倍程度、好ましくは、0.8〜1.2重量倍程度の抽出溶媒を加えて浸漬し、室温で1〜14日間程度放置するか、或いは40〜60℃程度に加熱して10〜20時間程度加熱することにより活性成分を抽出することも可能である。勿論、溶媒量や加熱温度、加熱時間等については、活性成分を効率的に抽出できるように適宜調整すればよい。
【0016】
上記した方法によって五加皮から抽出物を得た後、通常、濾過、遠心分離等の常法によって残渣と固液分離することによって、抽出液を得ることができる。本発明では、得られた抽出液をそのまま害虫防除剤として用いることが可能であるが、活性が低い場合もあるため、適宜濃縮又は溶媒を留去して、エキス状や粉末状として用いることもできる。更に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、クロロホルム、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、ベンゼン等の有機溶媒を1種又は2種以上用いた溶媒分画操作によって、得られた抽出液から活性画分を分取することができる。更に、必要に応じて、アルミナカラムクロマトグラフィーやシリカゲルクロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の適当な分離精製手段を1種若しくは2種以上組み合わせて精製することもできる。害虫防除活性を有する画分を取り出すことによって、少量の摂取で優れた活性を発揮する害虫防除剤を得ることができる。
B.五加皮からの活性化合物の単離及び同定
五加皮からの活性化合物の単離は、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の幼虫に対する殺虫活性のバイオアッセイを用いた誘導分画(Bioassay−guided fractionation)により行った。
【0017】
具体的なバイオアッセイとしては、以下のようなものを用いた。例えば、人工食餌を調製し、所定の濃度に調製した抽出画分を溶媒に溶解して調製し、両者をバイアルに入れる。コントロールの食餌は溶媒のみを用いる。キイロショウジョウバエの卵を上記のバイアルに移植し、所定の条件で卵を孵化させ、幼虫を育成する。その後、幼虫がさなぎになった数を数え、コントロールと比較する。
【0018】
人工食餌としては、特に限定はなく公知のものを用いることができ、例えば、ブレワーズ酵母(brewer’s yeast)、グルコース、寒天、プロピオン酸及び水からなる人工食餌が挙げられる。溶媒としては、エタノールが挙げられる。
【0019】
上記のバイオアッセイを用いて、五加皮からの殺虫活性化合物の抽出及び単離を行った。図1に具体的な操作の一例を示し、表1にそのバイオアッセイの結果を示す。
【0020】
最終的に活性化合物として、化合物1及び2を単離精製した。これらは何れも公知の化合物であり、標品のスペクトルデータと対比することにより、化合物1は4−メトキシ−サリチルアルデヒドであり、化合物2はペリプロシドA(periploside A)であることを確認した。(Meはメチル基を表す。以下同じ)
【0021】
【化5】
【0022】
また、化合物2に含まれる2つの2級水酸基をアセチル化した化合物、すなわち化合物7も、キイロショウジョウバエの成虫に対する高い殺虫効果を有することを見出した。(Acはアセチル基を表す。以下同じ)
【0023】
【化6】
【0024】
C.害虫防除剤
本発明の害虫防除剤は、五加皮の抽出物を有効成分として含有するものである。そして、上記五加皮の抽出物は、一般式[I]:
【0025】
【化7】
【0026】
(式中、R3は低級アルキル基を表す)
で示される化合物、及び/又は、一般式[II]:
【0027】
【化8】
【0028】
(式中、R1は水素原子又は低級アルカノイル基、R2は水素原子又は低級アルカノイル基を表す)
で示される化合物を含有している。
【0029】
すなわち、本発明の害虫防除剤は、化合物[I]及び/又は[II]を有効成分として含有していることを特徴とする。
【0030】
化合物[I]において、R3で表される低級アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が例示される。そのうち、メチル基、エチル基が好ましい。
【0031】
化合物[II]において、R1又はR2で表される低級アルカノイル基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルカノイル基が挙げられ、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基等が例示される。そのうち、ホルミル基、アセチル基が好ましい。
【0032】
化合物[II]のうち、R1及び/又はR2が低級アルカノイル基である化合物は、公知の方法で製造することができ、例えば、R1及び/又はR2が水素原子である化合物と対応する酸無水物(例えば、無水酢酸)又は酸ハライド(例えば、アセチルクロリド)を塩基(例えば、ピリジン)の存在下反応させて製造することができる。
【0033】
上述のように、五加皮の抽出物、化合物[I]及び/又は[II]は、害虫に対し強い防除効果を有し、害虫防除剤として有効である。具体的には、害虫に対し、強い殺虫効果、忌避効果、防虫効果、害虫駆除効果等を有しており、殺虫剤、忌避剤、防虫剤、及び害虫駆除剤等として有効である。本発明の害虫防除剤は、これらからなる群から選ばれる少なくとも1つとして用いることができる。
【0034】
本発明は、また、化合物[I]及び/又は[II]を含有する組成物を、害虫に対して作用させることを特徴とする害虫の防除方法をも提供する。
【0035】
化合物[I]及び[II]はそれぞれ単独で用いることも、併用して用いることも可能である。併用した場合の両化合物の配合割合は特に限定はなく、使用目的に応じて適宜選択することができる。以下、有効成分の量を示す場合は、化合物[I]及び/又は[II]の合計量を有効成分量とする。
【0036】
本発明の害虫防除剤は、五加皮の抽出物、化合物[I]及び/又は[II]を有効成分としてそのまま使用することもできるが、通常は担体、界面活性剤、分散剤、または補助剤などを配合し害虫防除剤として汎用されている製剤、例えば毒餌、粉剤、粒剤、水和剤、乳剤、油剤、エアゾール剤、燻蒸剤、蚊取線香形態等の剤型に製剤して用いられる。これらの製剤には有効成分を0.1〜90.0重量%程度、好ましくは2.0〜80.0重量%程度含有する。
【0037】
上記製剤を製造するうえで好適な担体としては、例えば、(1)大豆粉、タバコ粉、小麦粉、木粉、澱粉、白糖、乳糖等の植物性粉末;カオリン、ベントナイト、酸性白土等のクレー類;滑石粉、ロウ石粉等のタルク類;珪藻土、雲母粉等のシリカ類;その他炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム等の鉱物性粉末等の固体担体、(2)イソプロピルアルコ−ル、キシレン、シクロヘキサノン、メチルナフタレン等の液体担体があげられる。界面活性剤及び分散剤としては、例えば、各種石鹸類、高級アルコール硫酸エステル、アルキルスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸、リグニンスルホン酸、第4級アンモニウム塩、オキシアルキルアミン、脂肪酸エステル、ポリアルキレンオキサイド等があげられる。補助剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロ−ス、ポリエチレングリコ−ル、アラビアゴム等があげられる。
【0038】
本発明の害虫防除剤の製剤は下記方法により製造される。即ち、毒餌は、有効成分に例えば小麦粉、砂糖、魚粉等の各種の原料及び/又は昆虫用飼料を混合し調製される。水和剤、乳剤、液剤、油剤等は、有効成分に有機溶剤および必要に応じて各種界面活性剤、分散剤を混合し調製される。エアゾール剤、燻煙剤、蚊取線香形態等は、有効成分にそれぞれ噴射剤、発煙性基剤、燃焼性基剤等を混合し調製される。粉剤、粒剤等は、有効成分と担体を混合し、粉砕または造粒することにより調製される。
【0039】
上記各製剤中には、必要に応じて通常添加配合される乳化剤、分散剤、懸濁剤、展着剤、浸透剤等の界面活性剤の他に湿潤剤、粘着剤、安定剤、協力剤等を添加配合していてもよい。
【0040】
本発明の害虫防除剤は、単独の有効成分として用いることができるが、他の有効成分を含有させて使用することも可能である。本発明で使用される他の有効成分としては、例えば、ピレスロイド系殺虫剤、有機リン系殺虫剤、有機塩素系殺虫剤、カーバメイト系殺虫剤、殺ダニ剤、殺蟻剤等を挙げることができる。
【0041】
これらの製剤は、必要とする箇所に適当量を放置或いは散布するか又は塗布、噴霧、含浸等することにより使用する。一般に水で希釈して使用する製剤の場合は、有効成分が0.1〜10000ppm程度、好ましくは10〜5000ppm程度の範囲に希釈し使用し、粉剤、粒剤等そのまま使用する場合には、有効成分で10ア−ル当り0.1g〜5Kg程度、好ましくは1g〜1Kg程度の範囲で使用することができるが、製剤の剤型、適用方法、適用箇所、適用すべき害虫の種類、所望の防除効果等に応じて散布量、希釈量は適宜に決定される。
【0042】
本発明の害虫防除剤は、シロアリ、キクイムシ等の木材害虫;ウンカ類、ヨコバイ類、ヨトウ類、ヤガ類、コナガ類、ハマキ類、メイガ類、アブラムシ類、ハダニ類等の農業害虫;ハエ、カ、ゴキブリ、ノミ、南京虫、家ダニ、シラミ等の衛生害虫;コナダニ、コクガ、コクゾウ等の貯穀害虫;マダニ類、ヒウヒダニ、ツメダニ、アリガタバチ、ユスリカ、チュウバエ、ムカデ、ゲジゲジ、ウジ等の不快害虫;及びシバンムシ等の害虫に有効である。本発明の害虫防除剤は、上記害虫に対し直接使用することはもちろん、上記害虫の発生を予防したり忌避する目的で使用することができる。よって、本発明の害虫防除剤は、これらの害虫から農作物、貯蔵穀物等の保護、生活環境等の安全衛生面の改善等に非常に有効に利用できる。
【0043】
特に、本発明の害虫防除剤は、キイロショウジョウバエの幼虫及び/又は成虫に対する殺虫活性は、現在使用されている農薬であるロテノン(rotenone)よりも強く、高い害虫防除作用を有している。一方で、本発明の害虫防除剤の起源は、漢方薬の五加皮の成分であるため、所定の施用濃度で用いれば人体や動物への毒性も低いというメリットも有している。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の具体例(実施例)を示すが、これにより本発明が限定されるものではない。
【0045】
実施例1(五加皮からの殺虫活性化合物の単離)
(1)キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の幼虫に対する抽出画分の殺虫活性の確認(バイオアッセイ)
ブレワーズ酵母(brewer’s yeast)3.0g、グルコース4.0g、寒天0.6g、プロピオン酸0.3mL及び水50mLから人工食餌を調整した。試料画分(又は化合物)をエタノール50μLに溶解し、人工食餌1mLと混合して、3つの濃度(2.00, 1.00及び0.50 mg/mL食餌中)の試料を調製した。コントロールの食餌は、エタノール50μLのみで処理したものを用いた。上記の人工食餌1mLと共に、上記で調製した試料50μLを2mLバイアルに入れた。
【0046】
人工食餌をペトリ皿に入れて培養ビンの底においた。キイロショウジョウバエのコロニーから約100の成虫を上記の培養ビンに入れて、25℃でRH>60%で3時間産卵させた。培養ビンから食餌を除き、10この卵を集め、上記の2mLバイアル中の人工食餌の上に移植した。そこで卵が孵化し、幼虫を25℃でRH>90%で8時間育成した。
【0047】
その後、幼虫がさなぎになった数を数え、コントロールと比較した。各試料、各濃度においてこの操作を3回繰り返した。
(2)バイオアッセイ誘導分画(Bioassay−guided fractionation)
五加皮からの殺虫活性化合物の抽出、単離は、図1に示すようにしてバイオアッセイ誘導分画を用いて行った。各画分は上記(1)のバイオアッセイを用いておこなった。その結果を表1に示す。
【0048】
空気乾燥した五加皮(高砂薬業社製)の根皮(root bark)を、還流下メタノールで12時間抽出した。減圧下溶媒を留去し、粗抽出物853gを得た。それをさらに酢酸エチルと水で抽出した。各抽出液から減圧下溶媒を留去し、酢酸エチル抽出物208g及び水抽出物608gを得た。上記バイオアッセイにより、酢酸エチル抽出物は、キイロショウジョウバエの幼虫に対し潜在的な殺虫活性を有していた。
【0049】
活性抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/アセトン)で分画し、画分1(97.9g)及び画分2(108g)を得た。上記バイオアッセイにより、いずれの画分も潜在的な活性を有していた。
【0050】
画分1及び画分2を酢酸エチルに溶解し、10%NaHCO3で抽出した。水層を10%HClでpH3とし酢酸エチルで抽出して、酸性画分I(19.3g)及びII(16.5g)、並びに各有機層を得た。各有機層を5%NaOHで抽出し、中性画分I(51.8g)及びII(64.2g)を得た。フェノール性水画分を10%HClでpH3とし、酢酸エチルで抽出して、フェノール画分I(25.6g)及びII(24.1g)を得た。上記バイオアッセイにより、フェノール画分Iと中性画分IIに潜在的な活性が確認された。
【0051】
フェノール画分Iをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で分画することにより、活性画分4(4.63g)を得た。画分4を再度シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/エーテル)で分画することにより、活性化合物1(3.03g)を得た。
【0052】
中性画分IIをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/アセトン)で分画することにより、活性画分8(6.61g)を得た。画分8を再度シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/アセトン)で分画することにより、活性化合物2(1.05g)を得た。
【0053】
【表1】
【0054】
(3)活性化合物の同定
化合物1及び2のスペクトルデータを下記に示す。
化合物1
針状晶; IR (KBr, νmax cm−1) 2974, 1654, 1629, 1575; 1H NMR (270 MHz, CDCl3), δ 11.48 (1H, s, 2−OH), δ 9.71 (1H, s, 1−CHO), δ 7.42 (1H, d, J = 8.64 Hz, H−6), δ 6.54 (1H, dd, J = 2.16, 8.64 Hz, H−5), δ 6.43 (1H, d, J = 2.16 Hz, H−3), δ 3.85 (3H, s, 4−OMe); 13C−NMR (67.5 MHz, CDCl3),δ 194.3 (−CHO), δ 166.8 (C−4), δ 164.5 (C−2), δ 135.2 (C−1), δ 115.1 (C−6), δ 108.3 (C−5), δ 100.6 (C−3), δ 55.7 (−OMe); GC−MS (70eV), m/z 152 ([M+], 72.2%), 151 (100), 108 (6.85), 95 (9.59), 81 (5.48), 63 (9.59), 53 (13.7).
化合物2
無色結晶; [α]D 28.6 +15.0? (c, 1.0, CHCl3); (KBr, νmax cm−1) 3486, 2933, 1748, 1455, 1369; 1H−NMR (500 MHz, CDCl3) and 13C−NMR (125 MHz, CDCl3)は、非特許文献1に記載の標品のものと比較した。; FAB−MS, m/z 1294 (M++Na+H) and 1271 (M++H).
上記のスペクトルデータの解析により、化合物1は4−メトキシ−サリチルアルデヒドであり、化合物2はペリプロシドA(periploside A)であることを確認した。
実施例2(キイロショウジョウバエの幼虫に対する殺虫活性の評価)
殺虫活性の評価に用いた化合物の構造式を下記に示す。いずれの化合物も市販品であるか、又は公知の方法で製造することができる。例えば、化合物3及び5はナカライテスク社製、化合物4及び6は和光純薬社製のもの用いた。
【0055】
【化9】
【0056】
試料化合物1〜7をエタノール50μLに溶解し、人工食餌1mLと混合して、化合物1、3〜6については次の4つの濃度(1.31, 0.655, 0.328及び0.164 μmol/mL食餌中)の試料を調製し、化合物2、7については次の4つの濃度(0.157, 0.078, 0.039及び0.019 μmol/mL食餌中)の試料を調製した。これ以外は、実施例1(1)のバイオアッセイと同様にして活性を評価した。なお、LC50(50%致死濃度)は、50%致死率の濃度を表し、ログ−プロビット アナリシス(log−probit analysis)により決定した。
【0057】
上記の結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
化合物1及び2は高い活性を有することが確認された。特に、化合物2については、既存の殺虫剤である、ロテノン(rotenone)(シグマケミカル社製)と同等以上の活性を有することが確認された。
実施例3(キイロショウジョウバエの成虫に対する殺虫活性の評価)
実施例2で用いた化合物と同様の化合物を用いて評価した。殺虫活性試験は、キイロショウジョウバエの成虫に対し局所塗布することにより測定した。試験化合物1,3〜6については次の5つの濃度(0.8, 0.6, 0.5, 0.4及び0.25μg/0.5μLアセトン)の試料を調製した。試験化合物2,7については次の4つの濃度(50, 20, 10及び5.0μg/0.5μLアセトン)の試料を調製した。成虫を氷冷し動きを停止させ、上記試料10μLをマイクロシリンジにて腹部に塗布した。コントロールとして0.5μLアセトンを用いた。塗布してから3時間後、生存している成虫の数を数えた。上記試験では50匹の成虫を用いた。なお、LD50(50%致死投与量)は、50%致死率の投与量を表し、ログ−プロビット アナリシス(log−probit analysis)により決定した。
【0060】
上記の結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
化合物1、2及び7は高い活性を有することが確認された。特に、化合物1については、既存の殺虫剤である、ロテノン(rotenone)よりも高い活性を有することが確認された。
【0063】
【発明の効果】
本発明の五加皮の抽出物、化合物[I]及び/又は[II]を有効成分として含有する害虫防除剤は、高い害虫防除効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】五加皮からの殺虫活性成分の単離操作を示す工程図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、害虫に対し高い殺虫、忌避、防虫効果等を発揮する害虫防除剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医薬や農薬を指向した、人や動物に対し比較的安全性の高い天然物由来の生理活性成分の探索研究が盛んに行われている。
【0003】
北五加皮は、ガガイモ科(Asclepiadaceae)のPeriploca sepium Bungeの根皮を乾燥したものであり、古来より漢方処方の生薬として特に強壮剤として使用されている。そして、抗補体性(anticomplementary activity)等の薬理活性を有していることが知られている(非特許文献1を参照)。
【0004】
北五加皮にはステロイド性グリコシド化合物であるペリプロシドA(periploside A)が含まれており、このペリプロシドAが五加皮の抗補体性の活性成分であることが報告されている(非特許文献1を参照)。また、五加皮には芳香成分として4−メトキシ−サリチルアルデヒドを含んでいることが知られている。
【0005】
しかしながら、これらの化合物が高い殺虫活性を有することは知られていない。
【0006】
【非特許文献1】
ヘテロサイクルズ(Heterocycles) (1987) 26 (8) pp. 2093−2098。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、和漢生薬の一つである五加皮の抽出物を有効成分として含有する害虫防除剤を提供することにある。また、本発明の目的は、ペリプロシドA(periploside A)誘導体及び/又は4−メトキシ−サリチルアルデヒド誘導体を有効成分として含有する害虫防除剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者らは、和漢生薬の一つである五加皮のアルコール抽出物が極めて高い殺虫活性を有することを見出し、そしてその殺虫活性成分がペリプロシドA(periploside A)誘導体及び4−メトキシ−サリチルアルデヒド誘導体であることを突き止め、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、五加皮の抽出物を有効成分として含有する害虫防除剤等を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
A.五加皮の抽出物
本発明の害虫防除剤は五加皮の抽出物を有効成分とする。
【0011】
本発明において用いられる五加皮としては、例えば、北五加皮、南五加皮、紅毛五加皮等が例示される。北五加皮とは、ガガイモ科(Asclepiadaceae)のペリプロカ セピウム ブンゲ(Periploca sepium Bunge)の根皮を乾燥したものである。南五加皮とは、ウコギ科(Araliaceae)のアカントパナックス グラシリスチルス W.W.スミス(Acanthopanax gracilistylus W.W.Smith)の根皮を乾燥したものである。紅毛五加皮とは、ウコギ科(Araliaceae)のアカントパナックス ギラルディ ハームズ(Acanthopanax giraldii Harms.)の幹皮を乾燥したものである。このうち、北五加皮が好ましい。
【0012】
上記の五加皮は、そのまま抽出に供することができるが、より細かく粉砕した後、抽出に供してもよい。また、粉末にした後更に乾燥して抽出に供したり、水中で粉砕してスラリー状にして抽出に供することもできる。
【0013】
抽出溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等のグリコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル,テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素等の極性有機溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の無極性有機溶媒等を用いることができる。また、これらの溶媒を単独で又は2種以上の混合溶媒として用いることもできる。これらの内で、アルコール類、グリコール類、及びエステル類からなる群から選ばれる少なくとも一種の抽出溶媒を用いることが好ましい。特に、メタノール、エタノール及び酢酸エチルからなる群から選ばれる少なくとも1種の抽出溶媒を用いる場合には、取り扱いが容易であり、しかも優れた害虫防除活性を有する抽出物を得ることができる点で好ましい。溶媒を混合して用いる場合には、各溶媒の混合比は、溶媒の種類に応じて適宜調整すればよい。
【0014】
抽出方法については、特に限定されるものではなく、五加皮に溶媒を加えた後、抽出物の害虫防除活性を失活させない程度に加温加熱する加熱抽出法や、超臨界抽出法等を適宜適用できる。また、一定量の溶媒に五加皮を浸漬してバッチ処理する浸漬抽出法や連続的に溶媒を送り続ける連続抽出法等、公知の種々の抽出法を適用できる。
【0015】
具体的な抽出方法の一例を挙げると、例えば、五加皮に対して、その乾燥重量の0.5〜5重量倍程度、好ましくは、0.8〜1.2重量倍程度の抽出溶媒を加えて浸漬して加熱し、30〜60分間程度溶媒を還流させることにより、活性成分を抽出することができる。或いは、五加皮に対して、その乾燥重量の0.5〜5重量倍程度、好ましくは、0.8〜1.2重量倍程度の抽出溶媒を加えて浸漬し、室温で1〜14日間程度放置するか、或いは40〜60℃程度に加熱して10〜20時間程度加熱することにより活性成分を抽出することも可能である。勿論、溶媒量や加熱温度、加熱時間等については、活性成分を効率的に抽出できるように適宜調整すればよい。
【0016】
上記した方法によって五加皮から抽出物を得た後、通常、濾過、遠心分離等の常法によって残渣と固液分離することによって、抽出液を得ることができる。本発明では、得られた抽出液をそのまま害虫防除剤として用いることが可能であるが、活性が低い場合もあるため、適宜濃縮又は溶媒を留去して、エキス状や粉末状として用いることもできる。更に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、クロロホルム、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、ベンゼン等の有機溶媒を1種又は2種以上用いた溶媒分画操作によって、得られた抽出液から活性画分を分取することができる。更に、必要に応じて、アルミナカラムクロマトグラフィーやシリカゲルクロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の適当な分離精製手段を1種若しくは2種以上組み合わせて精製することもできる。害虫防除活性を有する画分を取り出すことによって、少量の摂取で優れた活性を発揮する害虫防除剤を得ることができる。
B.五加皮からの活性化合物の単離及び同定
五加皮からの活性化合物の単離は、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の幼虫に対する殺虫活性のバイオアッセイを用いた誘導分画(Bioassay−guided fractionation)により行った。
【0017】
具体的なバイオアッセイとしては、以下のようなものを用いた。例えば、人工食餌を調製し、所定の濃度に調製した抽出画分を溶媒に溶解して調製し、両者をバイアルに入れる。コントロールの食餌は溶媒のみを用いる。キイロショウジョウバエの卵を上記のバイアルに移植し、所定の条件で卵を孵化させ、幼虫を育成する。その後、幼虫がさなぎになった数を数え、コントロールと比較する。
【0018】
人工食餌としては、特に限定はなく公知のものを用いることができ、例えば、ブレワーズ酵母(brewer’s yeast)、グルコース、寒天、プロピオン酸及び水からなる人工食餌が挙げられる。溶媒としては、エタノールが挙げられる。
【0019】
上記のバイオアッセイを用いて、五加皮からの殺虫活性化合物の抽出及び単離を行った。図1に具体的な操作の一例を示し、表1にそのバイオアッセイの結果を示す。
【0020】
最終的に活性化合物として、化合物1及び2を単離精製した。これらは何れも公知の化合物であり、標品のスペクトルデータと対比することにより、化合物1は4−メトキシ−サリチルアルデヒドであり、化合物2はペリプロシドA(periploside A)であることを確認した。(Meはメチル基を表す。以下同じ)
【0021】
【化5】
【0022】
また、化合物2に含まれる2つの2級水酸基をアセチル化した化合物、すなわち化合物7も、キイロショウジョウバエの成虫に対する高い殺虫効果を有することを見出した。(Acはアセチル基を表す。以下同じ)
【0023】
【化6】
【0024】
C.害虫防除剤
本発明の害虫防除剤は、五加皮の抽出物を有効成分として含有するものである。そして、上記五加皮の抽出物は、一般式[I]:
【0025】
【化7】
【0026】
(式中、R3は低級アルキル基を表す)
で示される化合物、及び/又は、一般式[II]:
【0027】
【化8】
【0028】
(式中、R1は水素原子又は低級アルカノイル基、R2は水素原子又は低級アルカノイル基を表す)
で示される化合物を含有している。
【0029】
すなわち、本発明の害虫防除剤は、化合物[I]及び/又は[II]を有効成分として含有していることを特徴とする。
【0030】
化合物[I]において、R3で表される低級アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が例示される。そのうち、メチル基、エチル基が好ましい。
【0031】
化合物[II]において、R1又はR2で表される低級アルカノイル基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルカノイル基が挙げられ、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基等が例示される。そのうち、ホルミル基、アセチル基が好ましい。
【0032】
化合物[II]のうち、R1及び/又はR2が低級アルカノイル基である化合物は、公知の方法で製造することができ、例えば、R1及び/又はR2が水素原子である化合物と対応する酸無水物(例えば、無水酢酸)又は酸ハライド(例えば、アセチルクロリド)を塩基(例えば、ピリジン)の存在下反応させて製造することができる。
【0033】
上述のように、五加皮の抽出物、化合物[I]及び/又は[II]は、害虫に対し強い防除効果を有し、害虫防除剤として有効である。具体的には、害虫に対し、強い殺虫効果、忌避効果、防虫効果、害虫駆除効果等を有しており、殺虫剤、忌避剤、防虫剤、及び害虫駆除剤等として有効である。本発明の害虫防除剤は、これらからなる群から選ばれる少なくとも1つとして用いることができる。
【0034】
本発明は、また、化合物[I]及び/又は[II]を含有する組成物を、害虫に対して作用させることを特徴とする害虫の防除方法をも提供する。
【0035】
化合物[I]及び[II]はそれぞれ単独で用いることも、併用して用いることも可能である。併用した場合の両化合物の配合割合は特に限定はなく、使用目的に応じて適宜選択することができる。以下、有効成分の量を示す場合は、化合物[I]及び/又は[II]の合計量を有効成分量とする。
【0036】
本発明の害虫防除剤は、五加皮の抽出物、化合物[I]及び/又は[II]を有効成分としてそのまま使用することもできるが、通常は担体、界面活性剤、分散剤、または補助剤などを配合し害虫防除剤として汎用されている製剤、例えば毒餌、粉剤、粒剤、水和剤、乳剤、油剤、エアゾール剤、燻蒸剤、蚊取線香形態等の剤型に製剤して用いられる。これらの製剤には有効成分を0.1〜90.0重量%程度、好ましくは2.0〜80.0重量%程度含有する。
【0037】
上記製剤を製造するうえで好適な担体としては、例えば、(1)大豆粉、タバコ粉、小麦粉、木粉、澱粉、白糖、乳糖等の植物性粉末;カオリン、ベントナイト、酸性白土等のクレー類;滑石粉、ロウ石粉等のタルク類;珪藻土、雲母粉等のシリカ類;その他炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム等の鉱物性粉末等の固体担体、(2)イソプロピルアルコ−ル、キシレン、シクロヘキサノン、メチルナフタレン等の液体担体があげられる。界面活性剤及び分散剤としては、例えば、各種石鹸類、高級アルコール硫酸エステル、アルキルスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸、リグニンスルホン酸、第4級アンモニウム塩、オキシアルキルアミン、脂肪酸エステル、ポリアルキレンオキサイド等があげられる。補助剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロ−ス、ポリエチレングリコ−ル、アラビアゴム等があげられる。
【0038】
本発明の害虫防除剤の製剤は下記方法により製造される。即ち、毒餌は、有効成分に例えば小麦粉、砂糖、魚粉等の各種の原料及び/又は昆虫用飼料を混合し調製される。水和剤、乳剤、液剤、油剤等は、有効成分に有機溶剤および必要に応じて各種界面活性剤、分散剤を混合し調製される。エアゾール剤、燻煙剤、蚊取線香形態等は、有効成分にそれぞれ噴射剤、発煙性基剤、燃焼性基剤等を混合し調製される。粉剤、粒剤等は、有効成分と担体を混合し、粉砕または造粒することにより調製される。
【0039】
上記各製剤中には、必要に応じて通常添加配合される乳化剤、分散剤、懸濁剤、展着剤、浸透剤等の界面活性剤の他に湿潤剤、粘着剤、安定剤、協力剤等を添加配合していてもよい。
【0040】
本発明の害虫防除剤は、単独の有効成分として用いることができるが、他の有効成分を含有させて使用することも可能である。本発明で使用される他の有効成分としては、例えば、ピレスロイド系殺虫剤、有機リン系殺虫剤、有機塩素系殺虫剤、カーバメイト系殺虫剤、殺ダニ剤、殺蟻剤等を挙げることができる。
【0041】
これらの製剤は、必要とする箇所に適当量を放置或いは散布するか又は塗布、噴霧、含浸等することにより使用する。一般に水で希釈して使用する製剤の場合は、有効成分が0.1〜10000ppm程度、好ましくは10〜5000ppm程度の範囲に希釈し使用し、粉剤、粒剤等そのまま使用する場合には、有効成分で10ア−ル当り0.1g〜5Kg程度、好ましくは1g〜1Kg程度の範囲で使用することができるが、製剤の剤型、適用方法、適用箇所、適用すべき害虫の種類、所望の防除効果等に応じて散布量、希釈量は適宜に決定される。
【0042】
本発明の害虫防除剤は、シロアリ、キクイムシ等の木材害虫;ウンカ類、ヨコバイ類、ヨトウ類、ヤガ類、コナガ類、ハマキ類、メイガ類、アブラムシ類、ハダニ類等の農業害虫;ハエ、カ、ゴキブリ、ノミ、南京虫、家ダニ、シラミ等の衛生害虫;コナダニ、コクガ、コクゾウ等の貯穀害虫;マダニ類、ヒウヒダニ、ツメダニ、アリガタバチ、ユスリカ、チュウバエ、ムカデ、ゲジゲジ、ウジ等の不快害虫;及びシバンムシ等の害虫に有効である。本発明の害虫防除剤は、上記害虫に対し直接使用することはもちろん、上記害虫の発生を予防したり忌避する目的で使用することができる。よって、本発明の害虫防除剤は、これらの害虫から農作物、貯蔵穀物等の保護、生活環境等の安全衛生面の改善等に非常に有効に利用できる。
【0043】
特に、本発明の害虫防除剤は、キイロショウジョウバエの幼虫及び/又は成虫に対する殺虫活性は、現在使用されている農薬であるロテノン(rotenone)よりも強く、高い害虫防除作用を有している。一方で、本発明の害虫防除剤の起源は、漢方薬の五加皮の成分であるため、所定の施用濃度で用いれば人体や動物への毒性も低いというメリットも有している。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の具体例(実施例)を示すが、これにより本発明が限定されるものではない。
【0045】
実施例1(五加皮からの殺虫活性化合物の単離)
(1)キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の幼虫に対する抽出画分の殺虫活性の確認(バイオアッセイ)
ブレワーズ酵母(brewer’s yeast)3.0g、グルコース4.0g、寒天0.6g、プロピオン酸0.3mL及び水50mLから人工食餌を調整した。試料画分(又は化合物)をエタノール50μLに溶解し、人工食餌1mLと混合して、3つの濃度(2.00, 1.00及び0.50 mg/mL食餌中)の試料を調製した。コントロールの食餌は、エタノール50μLのみで処理したものを用いた。上記の人工食餌1mLと共に、上記で調製した試料50μLを2mLバイアルに入れた。
【0046】
人工食餌をペトリ皿に入れて培養ビンの底においた。キイロショウジョウバエのコロニーから約100の成虫を上記の培養ビンに入れて、25℃でRH>60%で3時間産卵させた。培養ビンから食餌を除き、10この卵を集め、上記の2mLバイアル中の人工食餌の上に移植した。そこで卵が孵化し、幼虫を25℃でRH>90%で8時間育成した。
【0047】
その後、幼虫がさなぎになった数を数え、コントロールと比較した。各試料、各濃度においてこの操作を3回繰り返した。
(2)バイオアッセイ誘導分画(Bioassay−guided fractionation)
五加皮からの殺虫活性化合物の抽出、単離は、図1に示すようにしてバイオアッセイ誘導分画を用いて行った。各画分は上記(1)のバイオアッセイを用いておこなった。その結果を表1に示す。
【0048】
空気乾燥した五加皮(高砂薬業社製)の根皮(root bark)を、還流下メタノールで12時間抽出した。減圧下溶媒を留去し、粗抽出物853gを得た。それをさらに酢酸エチルと水で抽出した。各抽出液から減圧下溶媒を留去し、酢酸エチル抽出物208g及び水抽出物608gを得た。上記バイオアッセイにより、酢酸エチル抽出物は、キイロショウジョウバエの幼虫に対し潜在的な殺虫活性を有していた。
【0049】
活性抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/アセトン)で分画し、画分1(97.9g)及び画分2(108g)を得た。上記バイオアッセイにより、いずれの画分も潜在的な活性を有していた。
【0050】
画分1及び画分2を酢酸エチルに溶解し、10%NaHCO3で抽出した。水層を10%HClでpH3とし酢酸エチルで抽出して、酸性画分I(19.3g)及びII(16.5g)、並びに各有機層を得た。各有機層を5%NaOHで抽出し、中性画分I(51.8g)及びII(64.2g)を得た。フェノール性水画分を10%HClでpH3とし、酢酸エチルで抽出して、フェノール画分I(25.6g)及びII(24.1g)を得た。上記バイオアッセイにより、フェノール画分Iと中性画分IIに潜在的な活性が確認された。
【0051】
フェノール画分Iをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で分画することにより、活性画分4(4.63g)を得た。画分4を再度シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/エーテル)で分画することにより、活性化合物1(3.03g)を得た。
【0052】
中性画分IIをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/アセトン)で分画することにより、活性画分8(6.61g)を得た。画分8を再度シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/アセトン)で分画することにより、活性化合物2(1.05g)を得た。
【0053】
【表1】
【0054】
(3)活性化合物の同定
化合物1及び2のスペクトルデータを下記に示す。
化合物1
針状晶; IR (KBr, νmax cm−1) 2974, 1654, 1629, 1575; 1H NMR (270 MHz, CDCl3), δ 11.48 (1H, s, 2−OH), δ 9.71 (1H, s, 1−CHO), δ 7.42 (1H, d, J = 8.64 Hz, H−6), δ 6.54 (1H, dd, J = 2.16, 8.64 Hz, H−5), δ 6.43 (1H, d, J = 2.16 Hz, H−3), δ 3.85 (3H, s, 4−OMe); 13C−NMR (67.5 MHz, CDCl3),δ 194.3 (−CHO), δ 166.8 (C−4), δ 164.5 (C−2), δ 135.2 (C−1), δ 115.1 (C−6), δ 108.3 (C−5), δ 100.6 (C−3), δ 55.7 (−OMe); GC−MS (70eV), m/z 152 ([M+], 72.2%), 151 (100), 108 (6.85), 95 (9.59), 81 (5.48), 63 (9.59), 53 (13.7).
化合物2
無色結晶; [α]D 28.6 +15.0? (c, 1.0, CHCl3); (KBr, νmax cm−1) 3486, 2933, 1748, 1455, 1369; 1H−NMR (500 MHz, CDCl3) and 13C−NMR (125 MHz, CDCl3)は、非特許文献1に記載の標品のものと比較した。; FAB−MS, m/z 1294 (M++Na+H) and 1271 (M++H).
上記のスペクトルデータの解析により、化合物1は4−メトキシ−サリチルアルデヒドであり、化合物2はペリプロシドA(periploside A)であることを確認した。
実施例2(キイロショウジョウバエの幼虫に対する殺虫活性の評価)
殺虫活性の評価に用いた化合物の構造式を下記に示す。いずれの化合物も市販品であるか、又は公知の方法で製造することができる。例えば、化合物3及び5はナカライテスク社製、化合物4及び6は和光純薬社製のもの用いた。
【0055】
【化9】
【0056】
試料化合物1〜7をエタノール50μLに溶解し、人工食餌1mLと混合して、化合物1、3〜6については次の4つの濃度(1.31, 0.655, 0.328及び0.164 μmol/mL食餌中)の試料を調製し、化合物2、7については次の4つの濃度(0.157, 0.078, 0.039及び0.019 μmol/mL食餌中)の試料を調製した。これ以外は、実施例1(1)のバイオアッセイと同様にして活性を評価した。なお、LC50(50%致死濃度)は、50%致死率の濃度を表し、ログ−プロビット アナリシス(log−probit analysis)により決定した。
【0057】
上記の結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
化合物1及び2は高い活性を有することが確認された。特に、化合物2については、既存の殺虫剤である、ロテノン(rotenone)(シグマケミカル社製)と同等以上の活性を有することが確認された。
実施例3(キイロショウジョウバエの成虫に対する殺虫活性の評価)
実施例2で用いた化合物と同様の化合物を用いて評価した。殺虫活性試験は、キイロショウジョウバエの成虫に対し局所塗布することにより測定した。試験化合物1,3〜6については次の5つの濃度(0.8, 0.6, 0.5, 0.4及び0.25μg/0.5μLアセトン)の試料を調製した。試験化合物2,7については次の4つの濃度(50, 20, 10及び5.0μg/0.5μLアセトン)の試料を調製した。成虫を氷冷し動きを停止させ、上記試料10μLをマイクロシリンジにて腹部に塗布した。コントロールとして0.5μLアセトンを用いた。塗布してから3時間後、生存している成虫の数を数えた。上記試験では50匹の成虫を用いた。なお、LD50(50%致死投与量)は、50%致死率の投与量を表し、ログ−プロビット アナリシス(log−probit analysis)により決定した。
【0060】
上記の結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
化合物1、2及び7は高い活性を有することが確認された。特に、化合物1については、既存の殺虫剤である、ロテノン(rotenone)よりも高い活性を有することが確認された。
【0063】
【発明の効果】
本発明の五加皮の抽出物、化合物[I]及び/又は[II]を有効成分として含有する害虫防除剤は、高い害虫防除効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】五加皮からの殺虫活性成分の単離操作を示す工程図である。
Claims (9)
- 五加皮の抽出物を有効成分として含有する害虫防除剤。
- 上記抽出物が、アルコール類、グリコール類、及びエステル類からなる群から選ばれる少なくとも一種の抽出溶媒を用いて抽出されたものである請求項1に記載の害虫防除剤。
- 上記一般式[I]で示される化合物及び上記一般式[II]で示される化合物を有効成分として含有する害虫防除剤。
- 害虫防除剤が、殺虫剤、忌避剤、防虫剤、及び害虫駆除剤からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1〜7のいずれかに記載の害虫防除剤。
- 上記一般式[I]及び/又は[II]で示される化合物を含有する組成物を害虫に作用させることを特徴とする害虫の防除方法。
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