JP2004123571A - 細菌認識抗体 - Google Patents

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井出 輝彦
Takao Matsuba
松葉 隆雄
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Abstract

【課題】H23抗原を持つ大腸菌の検出、定量などに利用できる抗体等を提供する。
【解決手段】大腸菌のH23抗原と結合できる抗体であって、重鎖のCDR1、CDR2、CDR3のアミノ酸配列がそれぞれGly Tyr Thr Phe Thr Gly Tyr Tyr Met His 、Trp Ile Asn Pro Asn Ser Gly Gly Thr Asn Tyr Ala Gln Lys Phe Gln、Gly TrpGly Arg Gly Ala Phe Asp Ileであり、軽鎖のCDR1、CDR2、CDR3がそれぞれArg Ala Ser Gln Ser Ile Ser Ser Tyr Leu Asn、Ala Ala Ser Ser Leu Gln Ser、Cys Gln Gln Ser Tyr Ser Thr Pro Leu Tyr Thr である抗体。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大腸菌のH23抗原に対して分子認識能を有し、結合性を有するアミノ酸配列を含む抗体、Fab型抗体、ポリペプチド等の認識分子に関する。この抗体等は、H23抗原を持つ大腸菌の検出及び定量に有用である。また、本発明により、H23抗原に対する抗体のCDR領域のアミノ酸配列が明らかになったことにより、既知のDNAやアミノ酸配列のデーターベースを検索することにより、大腸菌H23抗原を認識するペプチド、ポリペプチド、抗体、蛋白質等が推定でき、大腸菌認識分子を創出するための重要な糸口となり得る。
【0002】
【従来の技術】
大腸菌は、菌体抗原(O群:01〜0173)及びべん毛抗原(H型:H1〜H56)の組み合わせによって血清学型(血清型)が決められている。その判定には、それぞれの抗原を免疫して得た抗血清を用いて、測定対象となる大腸菌が抗血清で凝集するかどうかで判定していた。
【0003】
抗原特異的抗血清の作製のためには、抗原の動物への免疫、その動物の飼育、動物からの血清の回収、血清の精製、及び類似凝集物の吸収といった非常に煩雑な工程が存在する。また、一度作製した抗血清を使用してしまうと、再度同じプロセスを経て抗血清を作り直さなければならず、しかもその作り直した抗血清が前回の抗血清と全く同じ物である保証はない。
【0004】
また、細菌の表層抗原であるH抗原を特異的に認識する抗体を、従来からよく知られている技術で作製することも考えられる。精製したH抗原をマウスに免疫し、数ヶ月後に、マウス血清内に抗原に対して結合能を有した抗体の産生量が高まっていることを確認した後、脾臓を取り出し、マウスミエローマー細胞と融合させ、ハイブリドーマーを作製する。その後、H抗原を認識する抗体を産生している融合細胞をクローニングする。次に、その細胞を培養するか、マウス腹腔内に移植することで、同一な性能を持ったH抗原を認識する抗体を作製することができる。しかしながら、非常に多岐にわたる細菌の表層抗原に対して、上記方法により抗体を作製するためには、多くの労力、時間がかかり好ましくない。
【0005】
【非特許文献1】
He Y, Keen JE, Westerman RB, Littledike ET, Kwang J. Monoclonal antibodies for detection of the H7 antigen of Escherichia coli. Appl Environ Microbiol. 1996 Sep;62(9):3325−32.
【0006】
【非特許文献2】
J.Alun W. Morgan, Craig Winstanley, Roger W. Pickup, Jon R. Saunders Rapid immunocapture of Pseudomonas putida cells from Lake water by Using Bacteria flagella Appl Environ Microbiol. 1991 Feb;57(2):503−509
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、大腸菌のH抗原を認識する抗体を得るためには、多大な労力を要する。もし、H抗原認識抗体の可変領域のアミノ酸配列を解明することができれば、その配列情報を基に人工的にH抗原認識分子の合成が可能になる。本発明は、以上のような技術的背景の下になされたものであり、H抗原を認識する抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を明らかにすることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ヒトFab型抗体をファージ表面に提示させたファージディスプレイライブラリーから、大腸菌H23抗原結合性を有するFab型抗体を単離し、その可変領域のアミノ酸配列を決定することに成功し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明は、大腸菌のH23抗原と結合できる抗体であって、重鎖のCDR1、CDR2、CDR3がそれぞれ配列番号9、配列番号10、配列番号11記載のアミノ酸配列で表されるか、又はこれらと実質的に同一のアミノ酸配列で表され、軽鎖のCDR1、CDR2、CDR3がそれぞれ配列番号12、配列番号13、配列番号14記載のアミノ酸配列で表されるか、又はこれらと実質的に同一のアミノ酸配列で表される抗体である。
【0010】
また、本発明は、大腸菌のH23抗原と結合できるFab型抗体であって、重鎖のCDR1、CDR2、CDR3がそれぞれ配列番号9、配列番号10、配列番号11記載のアミノ酸配列で表されるか、又はこれらと実質的に同一のアミノ酸配列で表され、軽鎖のCDR1、CDR2、CDR3がそれぞれ配列番号12、配列番号13、配列番号14記載のアミノ酸配列で表されるか、又はこれらと実質的に同一のアミノ酸配列で表されるFab型抗体である。
【0011】
更に、本発明は、配列番号6記載のアミノ酸配列、又はこれと実質的に同一のアミノ酸配列で表されるポリペプチドである。
【0012】
更に、本発明は、配列番号8記載のアミノ酸配列、又はこれと実質的に同一のアミノ酸配列で表されるポリペプチドである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の抗体及びFab型抗体は、大腸菌のH23抗原と結合できる抗体及びFab型抗体であって、重鎖のCDR1、CDR2、CDR3がそれぞれ配列番号9、配列番号10、配列番号11記載のアミノ酸配列で表されるか、又はこれらと実質的に同一のアミノ酸配列で表され、軽鎖のCDR1、CDR2、CDR3がそれぞれ配列番号12、配列番号13、配列番号14記載のアミノ酸配列で表されるか、又はこれらと実質的に同一のアミノ酸配列で表されるものである。
【0015】
ここで、実質的に同一のアミノ酸配列とは、配列番号9〜14記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失若しくは付加により改変されたアミノ酸配列であって、大腸菌のH23抗原と結合できるCDRを表すアミノ酸配列をいう。アミノ酸の置換、欠失若しくは付加の程度及びそれらの位置などは、改変されたアミノ酸配列が、配列番号9〜14記載のアミノ酸配列と同様に、大腸菌のH23抗原に対して結合性を有するCDRを表すものであれば特に制限されない。アミノ酸配列の改変は、例えば突然変異や翻訳後の修飾などに生じることもあるが、人為的に改変することもできる。本発明の抗体及びFab型抗体は、このような改変、変異の原因及び手段などを問わず、上記特性を有するすべての改変抗体及びFab型抗体を包含する。
【0016】
本発明の抗体及びFab型抗体の一例として、重鎖の可変領域に配列番号6記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖の可変領域に配列番号8記載のアミノ酸配列を含む抗体及びFab型抗体を例示できる。
【0017】
本発明のポリペプチドは、上記本発明の抗体及びFab型抗体の重鎖又は軽鎖の可変領域の一部を構成するものであって、配列番号6若しくは8記載のアミノ酸配列、又はこれらのアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列で表されるものである。
【0018】
ここで、実質的に同一のアミノ酸配列とは、配列番号6若しくは8記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失若しくは付加により改変されたアミノ酸配列であって、大腸菌のH23抗原と結合できるポリペプチドを表すアミノ酸配列をいう。アミノ酸の置換、欠失若しくは付加の程度及びそれらの位置などは、改変されたアミノ酸配列が、配列番号6若しくは8記載のアミノ酸配列と同様に、大腸菌のH23抗原に対して結合性を有するポリペプチドを表すものであれば特に制限されない。アミノ酸配列の改変は、例えば突然変異や翻訳後の修飾などに生じることもあるが、人為的に改変することもできる。本発明のポリペプチドは、このような改変、変異の原因及び手段などを問わず、上記特性を有するすべてのポリペプチドを包含する。
【0019】
本発明の抗体、Fab型抗体、及びポリペプチドは、分子ライブラリーのスクリーニング法、好ましくは、ファージディスプレイライブラリー法により選択取得することができる。ファージディスプレイライブラリー法は、M13ファージに代表される繊維状ファージの表面蛋白質に、Fab型抗体等を融合させることで、それぞれのファージ表面に、ランダムな相補性決定部位(CDR)からなるFab型抗体等が提示されたライブラリーを作製し、抗原と特異的に結合するペプチド等を提示するファージを単離し、次いで、単離されたファージのDNAを解析し、提示アミノ酸配列を取得する方法である(Smith G.P., Science, 288: 1315−1317 (1985);H.R.Hoogenboom, Trends Biotechnol., 15: 62−70 (1997))。
【0020】
本発明の抗体、Fab型抗体、及びポリペプチドは以下の(1)から(4)の工程によって選択取得することができる。
(1)の工程
この工程では、任意のFab型抗体をその表面に提示するファージからなるファージライブラリーを調製する。提示されるFab型抗体の種の由来は特に限定されるものではなく、ヒト、マウス、ラットなどのFab型抗体を用いることができる。Fab型抗体をファージ表面に提示するには、そのFab型抗体がファージ表面蛋白質と融合蛋白となるように、そのFab型抗体をコードするDNAをファージDNAに導入すればよい。ファージとしては、ファージディスプレイライブラリー法に通常使用されるものであればよく、M13ファージなどが例示できる。
(2)の工程
この工程では、抗原を固相に固定し、ブロッキング剤で処理し、ファージライブラリーのファージ粒子と接触させた後、洗浄する。本発明では、大腸菌H抗原を固相に固定する。大腸菌H抗原は天然から精製されたH抗原や遺伝子工学的に組み換えたリコンビナントH抗原を使用することができる。ブロッキング剤としては牛血清アルブミン(BSA)などが用いられるが、本発明においては、低分子の蛋白質消化物を用いる。本発明において使用可能なブロッキング剤としては、スキムミルク、ブロックエースなどを例示することができる。固相となる不溶性担体としては、マイクロタイタープレート、イムノチューブ、ビーズ、セルロースフィルターなどが例示することができる。固相に固定化された大腸菌H抗原は、ファージライブラリー粒子と接触・反応させることにより、大腸菌H抗原と特異的に結合するファージと結合するが、同時に不溶性担体又は大腸菌H抗原と非特異的に結合するファージも結合する。そこで、この大腸菌H抗原を界面活性剤を含む緩衝液で洗浄することにより、このような非特異的に結合したファージを除去する。
(3)の工程
この工程では、ファージを固相から解離させた後、増殖させる。一般のファージディスプレイライブラリー法では、ファージの解離はpHを変化させることにより行うが、本発明においては、大腸菌H抗原を含む溶液を用いてファージを大腸菌抗原から解離させる。この操作により、解離されたファージに含まれる大腸菌H抗原結合性ファージの割合を高めることができる。溶出液中の大腸菌H抗原濃度は1〜100μg/mlとするのが好ましいが、これに限定されるわけではない。溶出液はリン酸緩衝液などを溶媒とし、ブロッキング剤等を含むものが好ましい。ファージの増殖は、大腸菌等に感染させることにより行うことができる。大腸菌等にファージを感染させる方法は、従来から良く知られている種々のファージに関する手法によりファージの種類に応じて適宜行えばよい。
(4)の工程
この工程では、増殖させたファージの中から大腸菌H抗原と特異的に結合するFab型抗体を提示するファージを選択する。上記(1)から(3)の工程を1ラウンドとして、同様なラウンドを数サイクル程度連続して行い、数ラウンド後に得られたファージの溶出液から、ファージをクローニングし、その中から、大腸菌H抗原に特異的に結合するファージを選択する。ファージを選択する方法は特に限定されないが、ELISA法によって選択するのが好ましい。
【0021】
以上の工程により得られた大腸菌H抗原と特異的に結合しうるFab型抗体を提示したファージからDNAを抽出しその配列を決定することにより、ファージが提示したFab型抗体、すなわち大腸菌H抗原と特異的に結合するFab型抗体のアミノ酸配列を同定することができる。この遺伝子情報に基づき、通常の遺伝子組み換え技術を応用し、大腸菌H抗原と特異的に結合する抗体、Fab型抗体及びポリヌクレオチドを容易に調製することができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0023】
〔実施例1〕 大腸菌H抗原に特異的に結合するファージのアフィニティーセレクション
精製大腸菌H23抗原(特開2000−279176号公報)をリン酸緩衝液PBS(和光純薬社製)に10μg/mlの濃度になるよう溶解させ、この溶液を市販のイムノチューブ(ヌンク社製)に2.0mlずつ加え、一晩放置しH23抗原を固相に固定化した。翌日、チューブの溶液を除去した後、10%ブロックエース(大日本製薬社製)を2.0mlずつ加え、室温で2時間放置し、イムノチューブをブロッキングした。次に、1.0E+12個相当のヒトFab型抗体提示ファージ粒子を含むPBS、2.0mlを加え2時間放置した。ヒトFab型抗体提示ファージライブラリーは藤田保健衛生大学から供与されたものを使用した(Yoshitaka, Iba et al,(1997) GENE, 194:35−46)。所定時間経過後、溶液を除去し、1ラウンド目は0.1%Tween20を含むPBSで5回洗浄し、2ラウンド目以降は20回洗浄することにより結合しなかったファージを除去した。次に、2.0mlの溶出液(0.1%Tween20と10%ブロックエースを含むPBSに終濃度50μg/mlのH抗原を加えたもの)を加え、大腸菌H抗原に特異的に吸着したファージを遊離させた。この溶液2.0mlを2×TY培地(0.5%NaCl、1%イーストイクストラクト、1.6%トリペプトン)20mlで培養(37℃)した対数増殖期の大腸菌DH12株(GIBCO BRL社製)に加え、1.0時間培養し、溶出液中のファージを大腸菌に感染させた。この大腸菌溶液を80mlの2×TYに加え、さらに、グルコースとアンピシリンの終濃度がそれぞれ1%及び200μg/mlとなるように添加し、37℃でファージ感染大腸菌が対数増殖期となるまで培養した。次に、対数増殖期を確認した培養液20mlを2×TYGA培地20ml(1%グルコース、100μg/mlアンピシリンを含む2×TY培地)に加え、さらに対数増殖期まで37℃で培養し、60μlのヘルパーファージM13KO7(GIBCO BRL社製)を加え1.0時間培養した。次いで、培養液を遠心分離操作(5000rpm、10min)により菌体と上清に分け、菌体を2×TYGA培地に懸濁し、400mlの2×TYKA培地(終濃度100μg/mlのアンピシリン、75μg/mlのカナマイシンを含む2×TY培地)で18時間、37℃で培養した。この培養液を定法に従い、ポリエチレングリコールで濃縮・精製し、次のラウンドのスクリーニング用ファージディスプレイライブラリーとした。これらの操作を1ラウンドとして、これを5ラウンド繰り返し大腸菌H抗原結合性ファージを選択的に濃縮した。結合性ファージの濃縮度については添加したファージタイターと溶出されたファージタイターの比をラウンド事に比較することで判断することができる。この選択的濃縮の結果を図1に示す。
図1に示した通り、ラウンドを重ねるにつて大腸菌H抗原に結合するファージが選択的に濃縮されたことがわかる。
【0024】
〔実施例2〕 ファージタイターの算出方法
ファージタイターは次のようにして算出した。先ず、大腸菌DH12S株を2×TY培地に接種し、37℃で対数増殖期まで培養し、ラウンドチューブ(ベクトンディッキンソン社製)に1.0ml分注した。これに、2×TY培地で連続的に希釈したファージ溶液10μlを添加し、再び37℃、1時間培養しファージを大腸菌DH12Sに感染させた。続いて、ファージ感染大腸菌溶液を100μlサンプリングし、2×TYGAアガープレートにスプレッドし30℃で培養した。18時間培養後、プレートの大腸菌DH12Sコロニーをカウントすることによりファージタイターを算出した。
以降の実施例記載のファージタイターも同様にして算出した。
【0025】
〔実施例3〕 大腸菌H抗原結合性ファージの単離
大腸菌H23抗原に対して、5回目のセレクションが終了したファージを大腸菌DH12に感染させ、2×TYGAプレートにまいて30℃で培養した。18時間培養後、大腸菌DH12Sコロニーから任意の48クローンを選び、それぞれを、0.5mlの2×TYGA培地を添加した24穴プレートの各ウェルに接種し、激しく振とうしながら37℃で培養した。培養開始から4時間後、10倍希釈のヘルパーファージM13KO7を10μl添加し、引き続き37℃で培養を行い、1時間後、遠心分離操作(6000rpm、10min)を行い培養上清を得た。この各クローン毎の培養上清を450μlの2×TYAK培地を添加した24穴プレートにそれぞれ加えて18時間37℃で培養した。培養後、遠心分離操作(6000rpm、10min)により培養上清を得てファージクローン溶液とした。調製されたファージクローンから、大腸菌H23抗原に結合するFab型抗体を提示したファージを次のように選別した。まず、H23抗原をPBSに10μg/mlの濃度になるよう溶解させ、この溶液を市販の96穴マイクロタイタープレートの左半分に0.1mlずつ加え、右半分には対照としてPBSのみを0.1mlずつ加え、一晩放置した。翌日、ウェルの溶液を除去した後、PBSで3回洗浄し、全てのウェルに2%スキムミルクを含むPBSを0.2mlずつ加え、37℃で2時間放置し、マイクロタイタープレートをブロッキングした。その後0.1%Tween20を含むPBSで3回洗浄した後、クローニングされたファージ溶液0.1mlをH23抗原固定化ウェルと対照ウェルに加えた。37℃で1.5時間反応後、0.1%Tween20を含むPBSで3回洗浄した。その後HRP標識の抗M13抗体(アマシャムバイオサイエンス社製)を適宜希釈し添加した。37℃で1.5時間反応後、0.1%Tween20を含むPBSで3回洗浄した。次いで、HRP用の発色試薬ABTS(フナコシ社製)を0.1mlずつプレートに添加し反応させ、吸光度(405nm)を測定した。両ウェルの吸光度の差(H23抗原固定化ウェルの吸光度−対照ウェルの吸光度)を図2に示す。
【0026】
〔実施例4〕 H抗原結合性ファージが提示しているFab型抗体のアミノ酸配列の決定
実施例3において吸光度差が0.1以上の20個のファージを選び、定法に従い、これらのファージが感染している大腸菌からファージミドDNAを抽出した。抽出したDNAの塩基配列を決定することにより、ファージが提示しているFab型抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を決定した。塩基配列は、重鎖については配列表配列番号1のプライマー(5’−GTCCACCTTGGTGTTGCTGGGCTT−3’)と配列番号2のプライマー(5’−CAGGAAACAGCTATGAC−3’)、軽鎖については配列表配列番号3のプライマー(5’−CACCCTCAGAACCGCCACCC−3’)と配列番号4のプライマー(5’−ATTAATAAGAGCTATCCCGG−3’)を使用し、チェーンターミネーター法に基づくBig DyeTerminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(PEアプライドバイオシステム社製)を用いてサイクルシークエンス反応に供し、全自動DNAシークエンサーABI Prism 3700 DNA Analyzer(PE アプライドバイオシステム社製)にて解析することにより決定した。大腸菌H抗原結合性ファージが提示したFab型抗体の重鎖及び軽鎖のDNAの塩基配列とアミノ酸配列を配列表配列番号5、6及び7、8に示す。また、配列番号6及び配列番号8記載のアミノ酸配列中に含まれるPelBシグナル配列及びCDR 1−3の位置を図3及び図4にそれぞれ示す。更に、重鎖のCDR1、CDR2、CDR3のアミノ酸配列をぞれぞれ配列番号9、10、11に、軽鎖のCDR1、CDR2、CDR3のアミノ酸配列をぞれぞれ配列番号12、13、14に示す。なお、20個の結合性ファージの中には、同一のアミノ酸配列を有するファージ、または、ファージが提示するFab型抗体領域のDAN配列に欠損が確認されたものが単離されていた。
【0027】
〔実施例5〕 結合性Fab型抗体を提示したファージの大腸菌H抗原に対する反応性
精製大腸菌H23抗原を100μg/mlから連続的に希釈し、それぞれの濃度のH抗原100μlを96穴マイクロタイタープレートのウェルに添加し、プレートに固定した(4℃、18時間)。次に、2%スキムミルクを含むPBSでブロッキング後(37℃、2時間)、各ウェルを0.5%Tween20を含むPBSで3回洗浄した。ここに、ファージのタイターを算出して、ファージ粒子濃度を1.0E+12個/mlに調製したファージ溶液100μlを添加、反応させた(37℃、1.5時間)。評価対象のファージは、実施例3、4の結果から大腸菌H抗原に結合活性を示し、Fab型抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を決定することができたファージを選択した。反応終了後、0.5%Tween20を含むPBSで3回洗浄し、HRP標識の抗M13抗体を適宜希釈して100μl添加し反応させた(37℃、1.5時間)。次いで、0.5%Tween20を含むPBSで3回洗浄し、HRP用の発色試薬ABTSを添加し反応させ、吸光度(405nm)を測定した。この結果を図5に示す。図5に示した通り、供試したヒトFab型抗体提示ファージは大腸菌H抗原に濃度依存的に強い結合活性を示した。
【0028】
【発明の効果】
本発明の抗体、Fab型抗体及びポリヌクレオチドは、H23抗原を持つ大腸菌の検出、定量などに有用である。
【0029】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】アフィニティーセレクションによる選択的な濃縮効果を示す図である。
【図2】単離したファージの大腸菌H抗原に対する反応性を示す図である。
【図3】PelBシグナル配列、CDR1−3の重鎖可変領域上の位置を示す図である。
【図4】PelBシグナル配列、CDR1−3の軽鎖可変領域上の位置を示す図である。
【図5】Fab型抗体を提示したファージの固定化H抗原に対する反応性を示す図である。

Claims (6)

  1. 大腸菌のH23抗原と結合できる抗体であって、重鎖のCDR1、CDR2、CDR3がそれぞれ配列番号9、配列番号10、配列番号11記載のアミノ酸配列で表されるか、又はこれらと実質的に同一のアミノ酸配列で表され、軽鎖のCDR1、CDR2、CDR3がそれぞれ配列番号12、配列番号13、配列番号14記載のアミノ酸配列で表されるか、又はこれらと実質的に同一のアミノ酸配列で表される抗体。
  2. 重鎖の可変領域に配列番号6記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖の可変領域に配列番号8記載のアミノ酸配列を含む請求項1記載の抗体。
  3. 大腸菌のH23抗原と結合できるFab型抗体であって、重鎖のCDR1、CDR2、CDR3がそれぞれ配列番号9、配列番号10、配列番号11記載のアミノ酸配列で表されるか、又はこれらと実質的に同一のアミノ酸配列で表され、軽鎖のCDR1、CDR2、CDR3がそれぞれ配列番号12、配列番号13、配列番号14記載のアミノ酸配列で表されるか、又はこれらと実質的に同一のアミノ酸配列で表されるFab型抗体。
  4. 重鎖の可変領域に配列番号6記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖の可変領域に配列番号8記載のアミノ酸配列を含む請求項3記載のFab型抗体。
  5. 配列番号6記載のアミノ酸配列、又はこれと実質的に同一のアミノ酸配列で表されるポリペプチド。
  6. 配列番号8記載のアミノ酸配列、又はこれと実質的に同一のアミノ酸配列で表されるポリペプチド。
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