以下に本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。本実施形態は静止画を撮像する電子スチルカメラ等のように静止画撮像の方法を用い、従来のように2台のカメラを使用せず、カメラ、撮像装置を1台(この場合の1台というのはカメラヘッド自体が1台しかないという意味)のみ使用して簡単な構成で立体撮像を行う。
まず、単眼(モノキュラー、またはカメラとして見た時にはシングルレンズ)立体撮像の基本的な考え方について説明する。図4は単眼立体撮像方式の原理を説明するための図である。ここでは被写体の2つの状態を時間的に重ねて示しており、図3に示す三角形の模式的な被写体3が、図の中の矢印の向き、この場合は右回りあるいは時計回り(クロックワイズ)の方向に回転していることを示している。具体的には例えばレコードプレーヤーの様なターンテーブルの上に、被写体を載せて回転させればこのような状態が作れる。そして被写体を回転させると、ある時刻には被写体3′という位置にこの被写体3が位置し、それより少し時間が経過した時点では被写体3″という位置に位置することになる。
これを図4の手前下の方に配置された1台のカメラ4で撮像することを考えると、被写体3が被写体3′の位置にある時のカメラ4と被写体の位置関係は、図3でカメラ4Lが被写体3を向いている時と同じ関係、また被写体3が被写体3″の位置にきたときのカメラと被写体との関係は、図3でカメラ4Rが被写体3を向いている時の位置関係とそれぞれ同じ関係になっていることがわかる。
ここで、被写体3′、3″というのは生き物のように動いているものではなく、それ自体は動かないことを仮定し、このような被写体がターンテーブルに載せられて移動していく時に、所定のタイミングで3′、3″で表される2枚の絵を次々と撮影する。このような撮影によって図3に示す両眼の左眼7L、右眼7Rの情報が、1台のカメラで取り込まれることになる。以上が単眼立体撮像の原理である。
なお、カメラの方を1台固定しておき、被写体を傾けて撮像することでこの立体視と等価な被写体映像が得られるが、この事実だけでいうと従来のフィルムカメラ等を使った立体写真の撮影技術と同様である。しかし、本実施形態のシステムでは後述するように、撮影を簡単に行うために被写体をターンテーブルに載せて回転させる。そして回転させている被写体を1台のカメラで1回ボタンを押すことで次々と自動的に2枚の撮影を所定のタイミングで行い、必要な2つの絵を簡単に撮影することを特徴とする。
以下に本発明の第1の実施形態を説明する。この実施形態の基本的な構成を図1に示す。図1は本実施形態の立体静止画撮像システム全体を横から見た図であり、被写体3を載せて回転させるためのターンテーブル1と、被写体3を撮影するためのカメラ4と、ターンテーブル1とカメラ4とを支持する支持アーム5と、ターンテーブル1を回転駆動させるモーター2とから構成されている。なお、図示していないが、上記の構成の他に、電源等の細かいコントロールスイッチ等を備え、このスイッチがONされることでモーター2が回転して回動手段としてのターンテーブル1が連動して回り、このターンテーブル1の上に配置された被写体3が回転する。この時、支持アーム5はターンテーブル1の回動軸とカメラ4とを所定の角度関係に維持しており、かつ、モーター2の回転軸6に対してカメラ4の光軸が垂直をなしているものとする。
ここで、カメラ4で被写体3を撮影する場合、カメラ4が通常のカメラであるならば撮影される画面は長方形をなしており、縦に比較して横が長い撮影画面となる。ここでは、このような場合の横方向を水平方向と呼ぶことにする。すなわち、図1に示すカメラ4は横方向の撮影をするべくセットしてあり、かつ、カメラ4のレンズ部から左側に伸びた矢印(撮影光軸)とモーター2の回転軸6とが垂直になるように支持アーム5によって取り付けられている。ここで、カメラ4が最終的に撮影しようという位置が縦位置(撮られる位置方形の撮影画枠の縦が長く、横が短い状態)の状態で撮影しようとした時にはカメラ4を90度だけ回転(光軸に対して)させて縦位置にするだけでよい。すなわち、本実施形態において撮影画面の水平線はカメラ4だけで完全に決まってしまうものではなく、最終的にカメラ撮影しようとする撮影画面に対して水平と考えている向きを表している。
以下にカメラ4の具体的な構成について説明する。図2は典型的な電子スチルカメラの本実施形態に関係する部分を抜き出して書いた図であり、通常の電子カメラに含まれるべき電源部や、オートフォーカス、ストロボ、ファインダー装置等については図示していないが、当然備えているものとする。
図2において、撮影レンズ10から入射された光は絞り11によって規制されて例えばCCD等の撮像素子(イメージャ)12に照射される。このとき出力される被写体光電変換信号は、撮像部13によって適当な信号処理が施された後に記録部14に送られる。この実施形態では従来の電子カメラと同様に、電気信号をデジタル化してデジタル記録している。記録部14では撮像部13からの信号に対してデジタル変換を行い、デジタル化された画像信号はカードインタフェース(I/F)15を通じてメモリーカード16に書き込まれる。
なお、本実施形態では再生動作は発明の本質ではないのでここでは説明を省略するが、再生機能を有する場合には、メモリーカード16からの信号を再生する再生部や、この再生部から外部に出力された信号を表示するディスプレイ等が必要になることは勿論である。
上記したイメージャ12からメモリーカード16に到る部分が記録時の画像信号の流れであるが、これらの各部とこの他に図示しない部分も含めてカメラ全体をコントロールするシステムコントローラ20を具備している。システムコントローラ20は通常さまざまな処理を行うためにマイクロコンピュータから構成されているが、この実施形態でもマイクロコンピュータを主な構成要素としている。特に本実施形態は露出制御に係る制御が行われるので、そのための露出制御部20aを具備している。
また、イメージャ12をコントロールするためのイメージャドライバ18を具備している。このイメージャドライバ18や、撮像部13、記録部14、さらにその他の部分は特に図示しないがクロックジェネレータあるいは、シンクロナスシグナルジェネレータ(SSGとも呼ばれる)と呼ばれる同期信号生成装置からの同期信号に基づいて動作される。特に、システムコントローラ20の露出制御部20aからの露出制御指令によって、イメージャドライバ18に対して例えば図示せぬ電子シャッターを駆動せよという指令が与えられるとこのイメージャドライバ18はイメージャ12に対して上記電子シャッターをコントロールするシャッター駆動信号を与え、イメージャ12に電気的な指令だけでシャッター動作を行わせる。ここで、上記したイメージャドライバ18と露出制御部20aとはシャッター制御手段を構成し、イメージャドライバ18から出力される信号がシャッター駆動信号である。露出制御部20aはさらにアイリスドライバー17を通して絞り11の制御を行っている。
図2に示す電子スチルカメラはさらに入力キー21を具備している。これはカメラ本体の適当な場所に設けられるキーであり、例えば押しボタンスイッチあるいはスライドスイッチからなり、この入力キー21を操作する事でシステムコントローラ20に対して色々な設定を行うことができる。その具体例については後述する。
以上、画像信号が記録されるまでの信号の流れを説明したが、本実施形態ではNTSCフォーマットの画像信号を取り込むので2フィールドで1フレームを構成する。以下これについて説明する。
NTSCフォーマットでは、1枚(1フレーム)の画像が走査線525本で構成されているが、この1フレームの画像は走査線525本を1本おきに走査する、いわゆる飛び越し操作(インターレース)を行うことによって得られる2つのフィールドから構成されている。このような2枚のフィールド画像が1枚のフレーム画像として記録される。すなわち、2:1インタレース映像信号における2つの1フィールド画像が1つの静止画像として記録部14に記録される。
図5(a)、(b)はこのような各フィールド画像信号を示しており、順に奇数を表すOddというフィールドと、偶数を表わすEvenというフィールドが次々に繰り返し出力される。ここでは単純化された例である図5(a)について説明し、図5(b)については後述する。撮像部13から記録部14に出力されるOdd、Evenのフィールド信号が交互に(O、E、O、E)、かつ各フィールド毎に1/60秒の時間間隔で出力される。これらのフィールド信号はメモリーカード16に実際に記録される前に、時間的に順番に出力されるOdd、Evenの信号の中から実際に1枚のフレーム画像として記録するフィールド信号が選択されて記録部16内のフレームバッファ23に取り込まれる。図5(a)はOdd、Evenのフィールド信号がフレームバッファ23の各領域、オッド領域(O)、イーブン領域(E)に記録される様子を示している。
この時にどの信号、つまり時間的に次々出力される信号のどれを記録するかを指示するためにシステムコントローラ20によって記録部14に指示信号が供給される。そして、これらのフィールド信号がフレームバッファ23に記憶された後は、Odd、Evenフィールド信号は合わせて1つのフレームとしてカードI/F15を介してメモリカード16に記録される。
ここでOdd、Evenフィールドの2つの信号がいったんフレームバッファ23に記録されるのは、通常の電子スチルカメラでは記録されるデータ量をできるだけ少なくするために情報の圧縮を行うためである。すなわち、本実施形態ではフレームバッファ23に各々記録されたOdd、Evenのフィールド信号は合成されて1枚のフレーム画像とされた状態で圧縮され、メモリーカード16に記録される。このような状態で画像圧縮を行うことは必ずしも必須の用件ではなく、実際、Odd、Evenのフィールド画像を個々に圧縮することもできる。しかしながら、従来の多くの電子スチルカメラで用いられている圧縮方法は1フレームの画像を形成した後で圧縮を行っているので、本実施形態ではこの方法を用いている。
上記したように、本実施形態では撮像部13から出力される2つのフィールド信号を1つの静止画像としてフレームバッファ23に取り込む。この時の2つの画像取り込みのタイミングはシャッター信号が出力されるタイミングに依存しており、シャッター開閉のタイミングと、画像をフレームバッファ23に取り込むための制御信号が記録部14に対してどういうタイミングで出力されるかは、通常の場合は1:1で対応する。したがって、例えば、図5(a)に示すように、2つのフィールド信号のうち、Oddの画像情報を所定のタイミングでフレームバッファ23に取り込んだ後、Evenの画像情報については所定の時間が経過した後にフレームバッファ23に取り込むことによって、時間間隔の異なる2つのフィールド信号から1つのフレーム画像を形成することができる。
以下に上記した記録動作を図6のフローチャートを参照して説明する。このフローチャートは本実施形態のシステムによる立体静止画撮影という処理の流れを示すものである。まずステップS1で設定入力があったか否かを判定する。これは後の実施形態で述べる各種設定を行うために用意されたものであり、ここでは特に設定入力というものが無いことを仮定して次のステップS3に移行する。
ステップS3では、トリガが入力されたかどうかを判別し、トリガが入力されるまで待機する。そしてトリガが入力されると次のステップS4に進む。ステップS4はデフォールト処理を行う。これは前記した設定入力の動作に関連しており、ここでは設定入力がないことを仮定しているので、ここでは設定がない場合の処理をデフォールト処理として実行する。デフォールト処理を行う場合のデフォールト条件は、図7に示すようにフレーム画像を撮影するときの撮影枚数n=1、シャッター間隔Δt=1/60(1フィールド)、撮影順情報はOdd、Evenの順であり、先にOddのフィールド信号が記録される。
ステップS4において上記したようなデフォールト条件が設定された後は次のステップS5に進む。このステップではVD信号(垂直駆動信号)があるか否かを判断する。ここでVD信号は垂直同期信号Vsyncと言われるものとほぼ同様のものであり、1枚の画像処理タイミングを判断するための信号である。ここではVD信号の立ち下がりを処理タイミングとしている。ステップS5ではこのVD信号が発生するまで待機し、VD信号の立ち下がりを検出したときにステップS6に進んでフィールドの判別がOKか否かを判断する。フィールドの判別はステップS4においてデフォールト条件の1つとして与えられた撮影順情報に関連している。
図7からわかるように、ここでは撮影順情報は先にOddという条件が与えられているので、現在のフィールドがOddである場合はステップS6におけるフィールド判別はOKとなり、次のステップS8に進む。一方、Oddでない場合、すなわちEvenの場合はステップS7に移行してここでもう1度VD信号の立ち下がりを検出するまで待機する。ここで、NTSC信号においてはOddとEvenフィールドが交互に到来するので、ある時点でOddでない場合でももう1度次のVD信号を待てば必ずOddとなる。したがって、ステップS8に移行するのはOdd信号が検出された場合である。
ステップS8では条件に合わせて複数回のシャッター駆動が行われる。ここでは、前記したシャッター間隔Δt=1/60が1フィールドであることを考慮して、連続2フィールドのシャッター駆動を行い、次にステップS9に移行して条件に合わせて記録を行う。すなわち、ここではステップS8で連続2フィールド分のシャッター駆動によって取り込まれた画像信号に対応するフィールド信号が記録される。ここでは上記のデフォールト条件(撮影枚数n=1)に従って1枚の画像のみが記録される。ここでタイミングの制御については、シャッターが駆動された場合は当然それに対応して記録が行われるという仮定に依っている。
このように、ステップS8ではOdd、Evenという順番で連続する2フィールドの信号が1/60秒間隔で取り込まれ、取り込まれた2フィールドの信号が次のステップS9で1つの1フレーム画像として記録される。
以上のように1つのトリガが与えられ、それに対して上記の条件に合わせてシャッター駆動が複数回行われ、この駆動に対応して1枚のフレーム画像が記録される。ステップS9ではこの動作を終了するか否かを判断しYESの場合はリターンしてメインルーチンに戻るが、もう1枚静止画撮影を行う場合には最初のステップS1に戻ってトリガがあるまで待機する。このように、トリガを1回押したときに上記した工程を実行することにより1フレームの立体静止映像が記録部14に取り込まれる。
以下にこのようにして記録された立体静止画像を再生する場合について説明する。
上記の方法で取り込まれた画像は被写体の回転の向きが右回り、つまり図1のターンテーブル1が右回り回転をしている場合を仮定しているので、あたかも被写体3を左から見たものと等価な絵が取り込まれて、その後1/60秒後に続いて取り込まれた画像は相対的に右側から被写体3を見たものと等価な画像が記録されていることになる。
図8はこのような等価な画像がTVモニタ30に表示された状態を示している。ここで、TVモニタ30には2つの画像が同時に表示されるのではなく、異なるタイミングで表示される。また、左眼7L、右眼7RとTVモニタ30との間には液晶シャッタ眼鏡31が設けられている。この液晶シャッタ眼鏡31の白抜きの部分は光を通す透過状態にあることを示し、黒で塗りつぶしてある部分は光を遮断する状態にあることを示す。したがって、図8(a)は左眼7Lの前の液晶シャッタ眼鏡31Lが透過状態で、右側の液晶シャッタ眼鏡31Rが遮断状態になっており、この場合左眼7LのみがTVモニタ30の画像を見ることができる。また、図8(b)は別のタイミングで液晶シャッタ眼鏡31の右と左を切り換えた状態を示しており、この場合は右眼7Rが透過状態、左眼7Lが遮断状態となるので、右眼7RだけがTVモニタ30の画像を見ることができる。したがって、再生時において、NTSC信号のEvenのフィールド信号と、Oddのフィールド信号とを左右の眼に対応づけた場合は、各フィールドに合わせて液晶シャッタ眼鏡31を1/60秒毎に透過と遮断を切り換えれば、左眼7Lは常にあるタイミングでしか画像を見ることができず、右眼7Rは別のタイミングでしか画像を見ることができない。したがって、それぞれ左眼用の画像と右眼用の画像を選択的に見ることが可能になる。
上記したことを考慮してメモリーカード16に記憶された画像を正しく再生する方法を図9及び図10を用いて説明する。
図9において、VDは垂直同期信号であり、F/Iはフィールドインデックス信号であり、前記したOdd、Evenのフィールド信号をF/I信号のハイ、ロウで表現している。
ここで図8の液晶シャッタ眼鏡31は左眼用の眼鏡の液晶はOddフィールドの時に透過状態になり、Evenフィールドの時に遮断状態になるということを順次繰り返している。右眼はその逆になっている。したがって、左眼7LはOddフィールドの画像しか見ることが出来ず、右眼7RはEvenフィールドの画像しか見ることが出来ない。ここで、撮影のときにはOddフィールドには必ず左眼7Lの位置から見た画像Lが入力され、Evenフィールドには右眼7Rから見た画像Rが入力されるように設定すれば左と右の画像が正しく見れることになり、これによって、立体画像として正しく再生できたことになる。
前記した例ではデフォールト状態でフィールド判別の結果、Oddフィールド信号が必ず先に取り込まれる。図10はこの場合も含めて、被写体3の回転の向きとOdd、Evenのフィールド信号との関係を示している。同図に示すように、ターンテーブル1が右回り(時計方向)の回転を行ったときは、必ず左の方から見た画像Lが先に入力され、その後に右の方から見た画像Rが入力される。ここで、先に入力された画像Lに対してOddフィールドの信号を割当て、後に入力された画像Rに対してEvenフィールドの信号を割り当てれば、結果的に画像LがOdd、RがEvenという対応関係をなすことになり、正しい再生を行うことができる。したがって、上記した実施形態では被写体が右回り回転をしていれば、システムとして正しい動作が行われる。
なお、上記した右回り、左回りといった左右の向きは、本システムを上から見下ろしたときの回転方向で定義しており、従って図面もそのように描いてある。また、左眼用、右眼用の画像信号について前記したが、左、右というのはあくまでも人間の眼が見たときに左眼相当の画像はL、右眼相当の画像はRであることを意味し、例えば被写体3に対して人間が動いて右の方から見たとしても、1個の人間に関していえば同時には必ず左眼は右眼よりは左から見ており、右眼は左眼より右から見るという関係が常に成り立つ。
以下に本発明の第2実施形態を説明する。この実施形態は1回の撮影指令に応動して同時に記録される静止画像の数を変更し得ることを特徴としている。第1実施形態では、設定入力が無いという前提で撮影枚数=1に設定されていたが、第2実施形態では、撮影指令に応動して記録の枚数を変えることができるようにしている。以下にこれについて説明する。
図2に示すように本カメラは入力キー21を具備している。この入力キー21の中の適当なキーに枚数設定キーが割り振られており、この入力キー21から所定の枚数が入力できる。ここで、例えば2枚のフレーム画像を記録することが指定されたことを仮定する。このとき、図6のフローチャートのステップS1において設定入力が有りと判断されてステップS2において撮影枚数n=2が入力される。これ以降は基本的には第1実施形態で述べた通りの工程が実行されるが、ステップS4のデフォールト処理では、いま設定入力があったn=2という設定が優先された残りの設定のないものについてデフォールト処理が行われる点が異なる。すなわち、この場合はステップS8のシャッター駆動において、ここではn=2が有効になるのでシャッター駆動はこの場合4回行われる。しかしながら、シャッター駆動は必ずしも4回に限定されないことは勿論である。
以下に4回のシャッター駆動を行う場合の動作を図5(b)を用いて説明する。ここで図5(b)は一般的な形で描かれており、ここでは記録部14のバッファーメモリは2つのバッファメモリ23、23′から構成されている。このうちバッファメモリ23′は最大何枚の画像を取り込むかによって仕様が変わるが、ここでは充分な容量のメモリを有しているものとする。また、フレームバッファ23は第1実施形態と同様な1フレームバッファであり、同時に何枚の指令が来てもそのバッファー23′の許す限り、Odd、Evenの順に逐次出力されてくる画像信号をいったんこのバッファー23′に収納し、その後必要な1フレーム画像信号をフレームバッファ23に読み出すことによりメモリーカード16に記録することができるものとする。
そして、この実施形態ではn=2の指定により最初の4フィールドO、E、O、E分の画像をフレームバッファ23′に取り込むためにステップS8においてシャッター駆動が行われ、続いてステップS9では2枚のフレーム画像が記録される。すなわち、フレームバッファ23の中に4フィールド分の画像信号が記録され、そのうち最初のOdd、Evenの2フィールド分の画像に対して必要に応じて圧縮処理等の処理が施された上でメモリーカード16に記録される。その次に残った2フィールドの画像が1フレームとして読み出されてメモリーカード16に記録される。このように第1実施形態と同じデフォールト条件のシャッター間隔=1/60秒で画像が入力されて結果的に2フレームの画像がメモリーカード16に記録される。以降は第1実施形態と同様にステップS10で終了するか否かを判断する。
なお、ここではn=2が指定されたときに連続して得られる4つのフィールドを指定したがこれに限定されず、例えば、最初の2フィールドから1枚のフレーム画像を得たら、次に記録すべきもう1枚のフレーム画像は所定時間経過後のタイミング、例えば図5(b)で*で示されている2つのメモリから取り込んでもよいことは勿論である。
このように取り込む画像のタイミングを変更するのは、被写体3を回転させながらシャッタートリガを押したときに必ずしも最適なタイミングで1つの画像が得られるとは限らないからである。つまり、被写体3がカメラ4以外の方向を向いているときに撮影してしまうことがあるので、あらかじめいくつかのタイミングで立体静止画映像を得ておき、後で選択できるようにしている。その時に、例えば2枚の画像の取り込むタイミングを、シャッター間隔とは無関係に入力キー21を介して任意に設定できるようにしてもよい。また、この場合の取り込む撮影枚数を複数にする場合、シャッター間隔の変更との組み合わせで指定することも可能であるがこれについては後述する。
以下に本発明の第3実施形態を図11を参照して説明する。第1、第2実施形態では、左眼と右眼の情報というのは図9とか図10を使って説明したように、記録される画像のフィールドと対応づけられている。したがって、いったんそのような規則に従って記録するようにすれば、現在どういう方法で記録されているかに関するデータは不要であると言える。しかしながら、そのような付随データを必要とする場合もあり、第3実施形態ではこの場合の対応を考慮したものである。
基本的な撮影の考え方は前記した通りであるが、付随データをどのように記録するかで図11(a)、(b)の2通りの方法が考えられる。この図はメモリーカード16に記録された画像ファイルのデータ構造を示している。各方法の説明に先立ち共通事項について述べると、例えば1枚の画像データというのは1つの画像ファイルといったような形式になってデータとして記録されているが、1つの画像ファイルには画像データを直接この部分の明るさは幾つ色は幾つという形で記録している画像データの部分と、それに付随してこのデータはどういった記録フォーマットで記録されているかといった様々な付随データの部分とに分けられる。このような付随データの例としてファイルヘッダあるいは単にヘッダと呼ばれるものが知られており、各実施形態では立体静止画としてのフレームフィールドや撮影の順番に関するデータをヘッダの一部として記録している。
まず、図11(a)の場合は、画像データ自身はデータとしてはただの画像データであるがこれを読み出して使用するときには、NTSCのようなフレーム構造を有する画像データを前提にしている。したがって、このときにOddとEvenのうちどちらが先になって記録されているのかを示すデータを定義して、記録自体はどういう順番で行われていても、このデータを後で読み取ることで再生できる。例として、ヘッダ内にステレオビットデータを1ビット確保し、このビットが0の場合には順向きで例えばOddが先でEvenが後であると見なし、ビットデータが1の時には逆順記録、すなわちEvenが先でOddが後であると見なすことができる。このようなビットデータを使用することにより、例えば、前記した実施形態では回転方向によってOdd、Evenの順番を決めておく必要があったが、この場合は被写体3の回転方向に応じて記録手順を決める必要がなく、ただ現在どのような形で記録されているということを管理するためにステレオビットデータとして0または1を設定しておくことにより、最終的にこれを用いて今どういう順番で記録されているから液晶シャッタの駆動はどのようにすべきであるかに関する情報を得ることができる。
次に図11(b)の場合について説明する。この場合は画像データの記録のしかたとしては、必ずしもNTSC方式のような従来のフォーマットに一致させる必要はなく、コンピュータ上で取り扱う画像データが幾つかあって、それら相互の時間的な関係を示すデータを持たせるようにしてもよい。すなわち、それぞれ取り込まれた画像がどういうタイミングで取り込まれたかを示すタイミングデータを持たせる実施形態である。この場合、再生時に1つの立体画像を形成するのはAとBという組合わせでもいいし、AとCという組合せでもよい。また、BとCという組合せでもよい。ここでは1回のシャッター駆動によって取り込まれた画像データをA、B等として表現している。したがって、前記した実施形態ではAとBを組み合わせて1フレームとして記録したが、ここではそういうものを区別せずに、あるいはOdd、Evenを区別せず、例えばAはいつ取り込んだものか、Aが一番最初に取り込まれたものだとするとそれをタイミングの基準にとってBはそれよりどれだけ、Cはそれよりどれだけ後かといったタイミングデータを持たせるかあるいは、その時の被写体3の回転の向きに関するデータを持たせておき、これらのデータに基づいて再生を行うようにする。この場合は、データ量は1ビットでは不足するが、必要なビット数をヘッダ内に確保できることは勿論である。
以下に図10を参照して本発明の第4実施形態を説明する。この実施形態は被写体の回転方向の管理に係わる。
図9を参照して説明したように、被写体3の回転が右回りの場合はOddフィールド信号を先にEvenフィールド信号を後に取り込み、被写体3の回転が左回りの場合はEvenフィールド信号を先にOddフィールド信号を後に取り込んでおり、被写体3の回転に応じて撮影時に取り込むべき画像信号の順番を変えていた。
ここで、撮影順情報は1つには撮影の順番がどうなっているかという具体的なビット情報を含むが、ここでは信号を記録するときにフィールドをどのように管理するかという概念そのものをも含むものとする。したがって、ある設定の条件を満たしている、例えば被写体3が右回りに回転しているときはOddフィールド信号の方を先に記録するという判断をも撮影順情報になり得る。逆に被写体3を反転させてEvenフィールド信号を先に記録するときは撮影順情報を変更することになる。このことを図10を参照して述べると、被写体3が右回りの時にはOddフィールド信号を先に記録し、左回りの時にはEvenフィールド信号を先に記録しなければならないことを示している。
第4実施形態では図2に示す入力キー21から被写体3の回転が右回りか左回りであるかということを使用者が入力する。ここについては変形例も考えられ、例えば、カメラ4とターンテーブル1とを一体的に構成し、被写体3の回転方向に関する情報が自動的にカメラ4に入力されるシステムとしても良い。しかしここでは説明を分かりやすくするために人間が入力キー21を操作して入力するものとする。
このキー入力によってシステムコントローラ20は右回りか左回りかの条件を検出できるので、右回りの時であれば図7に示すデフォールト条件と同じであるが、左回りである旨の情報が入力された場合には図6のフローチャートのステップS2で左回りであるという情報が入力されたことになる。この場合はステップS6のフィールド判別がOKか否かの判断では前記したデフォールトの場合とは逆の条件が適用される。すなわち撮影順情報が変更されたため、フィールド判別はEvenの時にOKとなることになる。以上のことを図5(a)を参照して述べると、この場合はEvenフィールド信号が先に取り込まれ、それに続く(図では矢印のない)Oddフィールド信号が後に取り込まれることになるので、もし描き足すとすれば、矢印が交差するような状態でフレームバッファ23に記憶される。
以下に本発明の第5実施形態を説明する。第5実施形態はシャッター制御手段がシャッター駆動信号の発生タイミングを変更できることを特徴とする。ここでシャッター駆動タイミングとは図7ではシャッター間隔Δtに対応しており、例えば被写体3の回転スピードが速いときはこのシャッター間隔は短い方が良く、回転がゆっくりのときはシャッター間隔もゆっくりの方が良いことになる。
すなわち、本システムでは1枚の立体静止画を得るために2回シャッターを切るがその間に被写体3が動くので、人間の眼の間隔で見たのと等価な画像が得られることを図2に関して述べた。ここで、人間の眼の距離間隔はほぼ決まっているので、例えば同じ時間間隔で2枚の画像を撮影するときに被写体3を速く回転させると被写体3がシャッター間隔の間に動く量、あるいは角度が極端に大きくなって実際に人間が見ているよりも大きな角度で被写体3を見ることになり、両眼の間隔が極端に広い顔の人が被写体3を見ていることになってしまう。
一方、被写体3がゆっくりと移動するときは例えば停止している場合を考えると、立体視に相当する左右の眼に相当する効果がなくなってしまう。
そこで、このような点を考慮して本実施形態ではシャッター駆動信号発生タイミングを変更可能にして被写体3の回転のスピードに合わせた適当な2枚の画像の撮影時間間隔を設定できるようにしている。すなわち、使用者はターンテーブル1のスピードはどの位であるということを判断して2枚の撮影間隔を入力キー2を介して入力する。この場合、NTSC方式に従っているので2枚の画像を得るタイミングは1/60秒刻みであり、かつ片方の画像はOddフィールド、もう片方の画像はEvenフィールドに対応させて記録されるように撮影間隔が決定され、最低1/60秒間隔に対してフィールド数を変えて記録する。通常のNTSC方式に使う場合は2・m+1フィールド(mは非負の整数)間隔しか実現できないが1枚目撮影後に、一時的に全Oddフィールド駆動と全Evenフィールド駆動とを切り換えることによって任意のmフィールド間隔まで実現できる。
例えば10フィールド間隔(10フィールドは約1/6秒)で画像を記録したいということを入力キー21で入力するとシステムコントローラ20はこのことを検出して、シャッター間隔すなわち駆動信号の発生タイミングを設定して入力する(図6に示すフローチャートのステップS2)。この場合、ステップS8では、シャッター間隔が前記した1/60秒間隔でなく、10フィールドという時間(約1/6秒)の間隔で2回シャッターが駆動されて、それぞれ後の記録に合うようにOddフィールド、Evenフィールドという順番でシャッターが駆動され、図5(a)に示すフレームバッファ23に画像が取り込まれる。
この時、上記したような特殊な駆動に切り換える場合はよいが、通常のNTSC方式を保ちたい場合には2・m+1フィールドしか実現できないため、9又は11フィールドに値を変えて実行するが、ここでは切り上げて11フィールドで実行する。これは図5(a)で点線で示しているEvenフィールドが11フィールド目であることを意味する。取り込まれた画像はステップS9でメモリーカード16に記録される。
以下に上記した第5実施形態の変形例を説明する。この変形例では複数の枚数を記録するものとし、このことと前記したシャッター駆動のタイミングを変更することとを組み合わせる。すなわち、シャッター駆動回数を複数回とし適当なタイミングでフレームバッファ23に画像を取り込むにあたって、Oddフィールド信号とEvenフィールド信号との組み合わせを隣り合う2枚のみではなく、いろいろな間隔で取り込むようにする。以下、図5(b)を参照してより具体的に説明する。
例えばO、E、O、Eと連続されて出力される信号のタイミングすべてシャッターを切って得られた画像をすべてあらかじめ準備されたフレームバッファに記録する。そして、例えばバッファーメモリ23′の左側2枚のOとEから1枚の画像を取り出した場合は前記した実施形態と同じになるが、本実施形態ではこれと同時に例えば1枚目のOと一定期間後のEとをも組み合わせるようにする。これによって、LとRの画像のタイミングが非常に開いた、従って両眼視差(左眼で見た画像と右眼で見た画像との相違の度合い)が大きくなった絵をも同時に撮影することができる。
そして、このような撮影をさらに組み合わせれば、例えば1枚の画像におけるシャッタータイミングを変えた、従って両眼視差を変えた複数の画像を取り込むことができ、逆に同じ視差で被写体3の回転に従っていろいろなタイミングで画像を取り込んだりといった、任意の組み合わせで画像を得ることができる。その時、メモリーカード記録枚数もまた入力キー21によって別途指定しておけば任意の記録が可能になる。ただしこの場合、実際にどういう間隔でどういう枚数を取り込むかということは設計事項であるが、システムの複雑さに関係するので、複雑にならないようにある程度統合して使いやすくすることが必要である。
以下に本発明の第6実施形態を説明する。シャッター制御手段は2枚の画像の取り込みタイミングを変更可能であるが、この変更が上記した実施形態のように手動の入力キーから入力するのではなく、被写体の回転速度や撮影レンズ系が実際に撮影している被写体の距離や、その時に被写体が撮影されている倍率等に応じて自動的に必要なシャッター制御を行うようにすることもできる。
すなわち、AF・レンズ制御部19は被写体距離や撮影倍率を検出し、撮影レンズ10が被写体3のどの距離にピントが合っているかという情報を得たり、撮影レンズ10でズーム倍率がわかっているときは被写体3の倍率に関する情報を得ることができるので、システムコントローラ20に対する情報入力手段として機能する。すなわち、システムコントローラ20には入力キー21からの情報や、あるいは必要に応じてAF・レンズ制御部19からの被写体の回転速度及び/又は被写体距離、撮影倍率に関する情報が入力される。
これを図6のフローチャートに関して説明すると、図6に示す工程はAFレンズ制御については特に触れていないが、情報が入力されるという点においては、設定入力の工程と実質的に同じであり、これは図6のステップS2に相当する。そして、この入力値に応じて回転速度に関しては回転速度が速ければ速い程、シャッターの駆動時間間隔(駆動信号発生タイミング)をより短くしてやる必要がある。一方、被写体距離及び、被写体倍率の設定については、被写体3の距離が一般に遠くなればなる程、シャッターの間隔を長くしてやる必要があり、被写体倍率が高くなればなる程シャッターの間隔を遅くする必要がある。
すなわち、システムそのものは回転システムなので被写体3を見込んでいる角度は前述のごとく回転数が速ければシャッター間隔を速くしなければならないが、逆に同じ回転数、同じシャッター間隔の場合にはLとRの画像の角度の違い、すなわちLとRの画像間の輻輳角に相当する回転角は同じになる。すなわち、図4において、輻輳角θは回転数とシャッター間隔が一定ならば常に一定になることを意味する。しかし、人が実際の被写体3を見る時、輻輳角θは、基線長が一定なので被写体3が遠くにあればあるほど小さくなり、近くにあれば有るほど大きくなる。したがって、このことを考慮して被写体距離が遠ければ遠いほど、シャッター間隔の期間内における回転角度は小さくする必要がある。逆に同じスピードで被写体3が回転しているときはシャッターの間隔を短くすることが必要である。倍率について述べると、被写体3を近くにしたり遠ざけたりしたときに結果として遠くなれば被写体倍率は下がって、近くにくれば倍率が上がることを意味し、ズームを利用すれば同じ被写体距離であっても、ズーム倍率を上げると被写体3が大きく写りズーム倍率を下げると被写体3は小さく写ることになる。これより、倍率を上げるということはあたかも被写体3を近くに持ってきたのと同じようにイメージャ12に撮影されることになる。従ってそれを観察する時も近づいたように感じるということを意味し、逆に倍率を下げる場合は被写体3に対して遠ざかったというふうに見える。
したがって、立体視においては被写体3に近づいたように見える場合は輻輳角θは大きくなければならず、逆に遠ざかったように見えるときは輻輳角θは小さくならなければならないので、倍率が上がった場合に角度が大きくなる、すなわち、シャッター間隔が長くなるという制御をしなければならない。また、被写体3から遠くなったときは上記と逆の制御を行う必要がある。
上記したように第6実施形態では、回転速度や被写体距離、撮影倍率に対応して図6のステップS8でシャッター駆動の制御を行い、例えば被写体3の回転速度が速ければ速いほどシャッター間隔が短くなり、被写体距離が遠くなればなるほどシャッター間隔は短くなるように制御される。また、撮影倍率に関しては、それが低くなればなるほどシャッター間隔は速くなるようにステップS8においてシャッター駆動が制御される。ここで、それぞれの場合の絶対値はそのシステムに適した値に設定される。
以下に図2を参照して本発明の第7実施形態を説明する。この実施形態では図2の入力キー21の中にモード切り換えスイッチというものを定義する。これはどんなスイッチでもよいが、例えばスライドスイッチで構成されており、一方向に倒すとそれが通常撮影モード(第1の撮影モード)、他方向に倒すと立体撮影モード(第1の撮影モード)というふうに切り換えられるようなスイッチを使用する。
上記した実施形態では立体撮影をする場合について説明したが、本実施形態は、使われる撮像装置、カメラとしては必ずしも立体撮影専用でなくともよい。例えば、単体で通常のカメラとして使用出来てそれが被写体回転システムと組み合わさって、全体として立体静止画も撮影できるシステムを用い、切り換えスイッチによって上記した2つのモードの切り換えを行う。以下、このようなモード制御について説明する。
すなわち、例えば記録モードとの対応で考えると、従来の一般撮影に使う電子カメラではフィールド記録というモード、フレーム記録というモードがあり、フィールド記録の場合には、1フレームの情報は使わずに1フィールドだけの情報で記録するようにしている。現在最も一般的な補色モザイクフィルタ型イメージャを使用したカメラでは、メカシャッタを用いずにストロボ撮影を行うためにはフィールドモードを使用する必要がある。これに対して、2フィールドからなる1フレームを記録するフレームモードは垂直解像度が高いという特長がある。
一方、今までの実施形態の説明で分かるように、このような撮影の仕方をするカメラでは、第2の撮影モードとしての立体撮影モードは多くの場合フレームモードが適している。これに対して第1の撮影モード、つまり通常撮影のモードではフィールドモードであれ、フレームモードであれ、どちらでも使用可能である。そこで、立体撮影モードでは自動的にフレームモードになるが、通常モードではその時の事情に適したものを選択できるというような構成のカメラを提案できる。
すなわち、通常撮影用に適したモードと立体静止画の時のモードは別に設定するようにする。
以下に図2と図6とを参照して本発明の第8実施形態を説明する。本実施形態は、図2に示す入力キー21で、通常撮影のモードが設定されている場合と、立体撮影が設定されている場合とで、シャッターの駆動信号の発生タイミングを切り換えることを特徴とする。これはトリガボタンを押してから実際に画像が記録されるまでのタイムラグを少しでも短くするためである。
ここで、上記の実施形態はすべてステレオ撮影に対応しているのでこの実施形態でもステレオ撮影モードを先に説明する。図6に示すフローチャートのステップS6においてフィールド判別を行っているが、ここでOKのときはそのまま次のシャッター駆動に進むが、フィールド判別がNOとなった場合には次のステップS7でもう1フィールド、つまり、次のVD信号がくるまで待機する。上記した実施形態では立体撮影を行っているのでこのような判別が必ず必要であり、この判別によりNOの場合は1フィールド待機しなければならなかった。このときの確率はEvenとOddフィールド信号の交互に繰り返されるので1/2となる。
しかしながら、通常撮影モードではこのようなフィールド判別は不要であり、フレーム画の場合でもどちらを先に記録しても構わない。さらに、フィールド画像を記録するときには1フィールド分待機する必要はまったくない。つまりシャッターのトリガ信号に対してシャッター駆動までの時間を短くするという観点から見ると、ステップS7を実行することが1つの欠点になる。
そこで、第8実施形態では入力キー21の設定が第1のモード、つまり通常撮影モードに切り換わっている時にはステップS6の判定をジャンプして、ステップS5の次にただちにステップS8に進むことによって、トリガからシャッター駆動までのタイムラグをそれぞれの場合において極小にしている。
以下に本発明の第9実施形態を説明する。今まで説明した実施形態では撮影時間間隔が1/60秒で2枚の絵を取り込み、さらに撮影時間間隔は自由に設定できる説明をしたが、このシステムが静止画に適応される場合であっても被写体が静止しているか静止していないかということは考え方によって相対的なものであり、ゆっくり動いているようなものを素速く2枚撮影すれば実際には止まっていると見なせる場合がある。例えば、人物撮影等を行う場合は被写体が完全に静止していれば静止画として撮影出来るが、長時間の間静止することは不可能である。
このため、ある程度速い間隔、例えば、1/60秒間隔で2枚撮るという形態が用いられた。しかしながら、その場合は逆に1/60秒の間に被写体3を回転させて、2枚の違う場所から見た画像として撮影する必要があり、シャッタースピード(1枚の画像を撮影するのにシャッターが開になっている時間)を考慮すると、今度は長い時間シャッターを開いているとその間に被写体3を回転させているためにぶれた画像になってしまう欠点が生じる。これは通常の撮影の時にはまったく生じない、立体静止画撮像に特有の問題である。
したがって、実用的には1/60秒間隔で2枚撮影した時にはそれぞれの画像が静止している為には、1/250秒よりも速いシャッタースピードが通常要求される。これは絶対的な要件ではなくもう少しシャッタースピードを遅くできる場合もあるが、望ましくは1/250、あるいは1/360あるいは1/500といった速度が適当である。
このように、なるべくシャッタースピードを速くする制御をしなければいけないが、一方では被写体の大きさや撮影条件によっても撮影条件が変わる。すなわち、立体撮影の時にはあまりピントがぼけないようにする必要がある。これは通常の画像でもピントがぼけてはいけないが通常の写真の場合には1点にしっかりピントが合わせ、残りを故意にぼかしたりといった撮影が使われる場合が多々ある。これに対して、立体撮影の場合には再生の際、手前から奥までの立体全体を観察することが多いので、むしろぼけている部分が出来るとそこを見た時にピントが合わなくなってあたかも普通の写真でいうピンぼけと同じような状態が起きてしまい望ましくない。つまり、手前から奥まで被写体のどこにもピントが合うようないわゆる被写界深度が深い撮影の方が望ましいと一般に考えられており、絞りを絞るというようなことが通常は望ましい。したがって、シャッタースピードが速くかつ、絞りを絞る方が望ましいが、これについては限界もあり、その被写体の条件によっても変わる。
そこで、通常撮影の場合に対して立体撮影の場合は撮像系の感度条件を変えるようにすることが考えられる。例えば、ISO感度100で撮影しているカメラをISO200、400と上げていくことは、画質が悪くなるということが多いので通常はあまり好ましくないが、例えば立体静止画撮像では、先ほど述べたように少しでも速いシャッタースピード、少しでも被写界深度を深くするために絞りを絞る必要があるので、普通の撮影のときよりも感度を上げ気味にして撮影するといったようなことも好適な実施形態となる。
すなわち、通常の考え方としては、絞りの制御とシャッターの制御では、ブレない画像を得るためにはシャッターの制御の方が重要視される。このため、本実施形態では、図2のシステムコントローラ20の中に露出制御部20aを設け、この露出制御部20aからの信号がイメージャドライバ18とアイリスドライバ17に供給されるようにしている。さらに、撮像部13にもシステムコントローラ20からの信号が出力される。ここで、通常の撮影の時には従来なんらかのプログラム制御といったものが行われているが、この実施形態においては立体撮影時には特にシャッタースピードを最悪でも1/250秒に保つようにアイリスドライバ17あるいは撮像部13の感度を制御する。
ここで、アイリス、感度ともそれぞれ設定限界があり、アイリスドライバ17については絞りを最大に開けばそれ以上は開けず、撮像部13についてもノイズの発生を許容しても限界がある。例えば、ISO100のものをISO400まで上げることも考えられ、被写体の明るさが足りない場合には、シャッターのスピードは1/251秒よりも長くはせず、絞り11を開いたり撮像部13の感度を上げる。ここで、被写体3をもう少し明るい照明で照射すればある程度の撮影が行える条件が増えてくる。そこで別の考え方としては、シャッタースピードを1/251に固定して焦点絞りの深度をできるだけ深くする為に絞り11を絞って撮像部13の感度を犠牲にするような制御も考えられる。
ここで、上記したような制御が必要になるのは第2の撮影モード、すなわち立体撮影モードの時であり、図2の入力キー21で立体撮影モードが設定されている時には上記したような制御を行い、入力キー21が通常撮影モードにある時には上記したような制御を行わないで従来行われている制御を行うようにしている。
なお、さらに被写体が充分明るい場合には感度アップも行う必要はなく、全条件が実現できること、あるいは実施形態として感度アップは行わない場合もあり得る事等を蛇足ながら明記しておく。
以下に本発明の第10実施形態を説明する。現実には被写体3の照明を十分に明るくしないと、シャッターのスピードを速くしてしかも絞り11を絞り込むという条件が満たされない場合が多い。そこで上記したような条件で撮影する場合は、被写体3を明るく照明し、望ましいシャッタースピード、例えば前記したように最悪でも1/251程度、望ましくは1/500以上に絞り11を絞る必要がある。
ここで、例えばF8に絞り込む条件が設定されている場合に、この条件が満たされていないときは感度を上げることが考えられる。しかしながら、実際上は撮像部13の感度も上げない方が好ましい。そこで本実施形態では上記した条件を満たしていないことを警告するようにしている。警告手段としては例えば、LEDランプをカメラの適当な場所、例えば図2でいうと入力キー21のやや上部にLEDランプ22を設け、このLEDランプ22を発光させることで警告を行う。
以下に図12乃至図15を参照して本発明の第11実施形態を説明する。この実施形態では図1に示す被写体3を載せるターンテーブル1の構成を具体的に述べる。ここで詳細な説明に入る前に単眼立体撮像方式の原理図について説明する。被写体を撮影すると時間的にズレがあるが、得られる画像としては左眼相当のLと右眼相当のRとでそれぞれ全く同じものが得られることを図3及び図4に関して説明した。
しかしながら、このことが言えるのはターンテーブル1に載って回転している被写体3についてだけであり、撮影時にカメラの中に写るのは回転する被写体3及びターンテーブル1だけではなく被写体3の後ろにある背景(バック)と言われるものも一緒に撮影される。すなわち、背景は回転していないのでこういった撮影方式で背景がそのまま写ってしまうと、その部分だけは本来の両眼立体視の条件を崩して違う条件で撮影されることになって、非常に不自然な映像が得られてしまう。
また、被写体3は例えば拡散面光源と言われるような光の方向性が均一な照明で照らされている時には、とくに表面に光沢が出るようなことがないので、被写体3に対して立体撮像に関して特に影響は与えないが、スポットランプのようなもので照らされることを考えると、その被写体3で表面反射を起こす。この表面反射は程度が弱いとただのつやのように見えるが、程度が強いときは表面が白く光って光のようなもの(テカリ)になって観察される。被写体3が回転したときにある程度は回転に伴ってつややテカリの出方は動くが、光源の方は停止しているので本来の撮影の両眼立体視の条件とは異なる。この場合、図4で説明しているような単眼立体撮像が、完全に成り立つためには背景もターンテーブルと一緒に回転する必要があり、被写体3に与える光源も同様に被写体3と共に回転しない場合はもとの両眼立体視の条件とは微妙に違ってしまう。
本実施形態はこのような問題点を解決して正しい立体映像が得られるようにしたものであり、以下、図12を参照して詳細に説明する。図12の(a)と(b)はどちらも1つの例を説明しているが、(a)の方は斜視図であり、(b)は側面図である。この実施形態は単眼撮像した時、固定された背景板が被写体とともに撮影された場合に不自然な画像となってしまう。そこで、本実施形態は背景板を回転可能にすることによって自然な画像を得るものである。
回動可能な背景板50は通常背景に使うようなものであれば何でもよいが、通常は背景板50の表面につや消しの塗装がしてあるものを使用する。背景板50は適当な金具52で(b)に示すようにターンテーブル1に取り付けてあるので、ターンテーブル1を回転させるとこの背景板50が被写体3と一緒に回動する。ここで、背景板50はつや消しの塗装を施したものを背景として使用することも可能であり、さらにその背景板50に図12に示すような交換(追加)用クリップ51のような固定具が取り付けてある。このクリップ51によって適当な背景を有する紙等を張りつけて使用することもできる。例えば風景の写真等を張りつければ、被写体3よりもより後にある背景を真の背景として撮影したような効果が得られる。
以下に上記した第11実施形態の第1変形例を説明する。この変形例ではターンテーブル1上に適当なアーム55が立ててあり、そのアーム55の適当な場所に照明用のランプ53が取り付けてある。ここで被写体回転中のどのタイミングでシャッターを切ってもよいので、図ではどちらからターンテーブル1を撮影するということは特に示していないが、通常は順光撮影(カメラとランプが被写体に対して同じ側にあるような撮影)を行うことが多い。したがって本実施形態でも図13の(a)、(b)の右側の方からカメラで撮影すべくシャッターを押す。そして、ランプ53を点灯させる為にアーム55には配線56が巻かれている。また、ターンテーブル1と一緒に光源としてのランプ53を回転させるために、配線56の端部に接続された電池等の電源装置54やスイッチがターンテーブル1上に設けられている。これによって被写体3を照らしているランプ53が一緒にターンテーブル1上で回転することになり、照明と被写体の撮影の関係は実際の撮影の時と全く同じになる。すなわち、普通の両眼で見たときと同じようにつや等が出ることになり、非常に自然な立体感が得られる。
以下に上記した第11実施形態の第2変形例を図14を参照して説明する。この変形例は前記のように照明の反射に着目したものであるが、前記の例のようにランプ53をターンテーブル1上で回転させることは実際には設置が難しくシステムが大型化する欠点がある。そこでこの変形例ではもっと小型化しつつ比較的良い照明条件を得ようとするものである。
すなわち、図14において、スポットランプ53′をシステムの外部に設けて外部から強力に照明を行うようにしている。また、乳白の拡散版アクリル等で作った乳白拡散板(光拡散手段)55をターンテーブル1の天井部分に取り付け、外からの光が直接透過しないようにし、この拡散板55で1度拡散されてから被写体3を照明する。この場合は、スポットランプ53′のような点光源性が強く指向性の強い光を使っても被写体3に当たる光は拡散された光なのでツヤとかテカリ等が発生しにくくなり、反射光による不自然感が出ない。
以下に上記した第11実施形態の第3変形例を説明する。図15に示すようにこの変形例では、乳白拡散板55の一部に穴56を設けた構造を使用する。図15の(b)に示すような外部に設けられた強いスポットランプ53′と組み合わせて使用する場合に穴56がターンテーブル1の回転と一緒に移動するが、この場合、光は選択的に透過、すなわち穴56のみを通るので光の利用効率は低下する。しかしながら、このような構成によれば光源が動いているのと同じような効果を被写体3に対して与えることが出来る。したがって、図13で説明した例と類似の効果が得られ、見かけ上の光源の位置が被写体と一緒に回転することになって好適な画像が得られる。
以上、第11実施形態を図12〜図15に関して述べてきたが、この4つの実施形態はそれぞれ必ずしも単独だけで用いられるということではなく、例えば背景板を設けて乳白拡散板で光を拡散させ、その内の一部には穴を開けて外からのツヤやテカリも出して光量を確保しながら好適な立体撮影を行ったり、背景を乳白拡散板と被写体と一緒に移動させる等、任意の組み合わせの中の1つか2つを選んで使ったり、全部を組み合わせることも可能である。さらに、上記した実施形態では実用上最も効率的なように背景板や天井板の拡散板や穴あき板、ランプはすべてターンテーブルの上に一体的に構成して一緒に回転させたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、これと同様の効果が得られればターンテーブルとは別体に設けてそれぞれのものを個々に移動させるようにしてもよいことは勿論である。
以下に本発明の第12実施形態を説明する。すでに第4〜第6実施形態において説明したように、本システムにおいては被写体の回動方向、速度、及び被写体距離・撮影倍率に対して、撮影時の撮影順情報、シャッター駆動信号発生タイミングを調節して最適化を行うことが有効であったが、これはすなわち、与えられた撮影順情報に対しては適当な回動方向を選択し、また、与えられた被写体距離、撮影倍率、シャッター駆動信号発生タイミングに対しては回動速度を調節することによって記録される立体静止画像を最適化し得ることを示している。
これに対して本実施形態は、このため回動方向の切り替え手段と、回動速度調節手段を設けたものである。具体的には、図16に示すように切り替えスイッチ8と速度調節つまみ9が支持アーム5上に設置されており、これにより回動方向の切り替えと回動速度の調節が行えるように構成されている。回路的にはいずれも公知のもので足りるので詳述は避けるが、例えば、速度調節つまみ9はモーターの定電圧駆動回路における電圧設定ボリウム又はモーターの定速制御サーボ回路における速度設定ボリウムに取り付けられている。また、切り替えスイッチ8はモーター正逆転用トランジスタブリッジ回路を制御するロジック回路中の正逆転制御入力端子にH、L信号を入力可能なように接続されている。
なお、この切り替えスイッチ8と速度調節つまみ9とは各々単独で用いられても良いことは勿論である。
1…ターンテーブル、2…モーター、3…被写体、4…カメラ、5…支持アーム、6…回転軸、10…撮影レンズ、11…絞り、12…イメージャ、13…撮像部、14…記録部、15…カードI/F、16…メモリーカード、17…アイリスドライバ、18…イメージャドライバ、19…AF・レンズ制御部、20…システムコントローラ、20a…露出制御部、21…入力キー、22…LEDランプ。