JP2004120643A - Rake受信機とその受信制御プログラム - Google Patents

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Atsushi Mitsuki
三ツ木 淳
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Abstract

【課題】フェージング等により共通パイロットチャネルの受信電力が低下した場合でも高精度の伝送路応答推定を行えるようにし、これにより受信品質の安定性向上を図る。
【解決手段】共通パイロット信号及び個別パイロット信号の平均値をそれぞれ平均化器5e,5fで求めた後、その電力値を電力測定器5g,5hでそれぞれ検出する。そして、重み生成・合成器5qにより、上記検出された各電力値の比に応じて上記共通パイロット信号の平均値と個別パイロット信号の平均値とを合成することにより伝送路応答推定値を求め、この伝送路応答推定値に基づいて個別チャネルの復調信号の位相補正を行うようにしたものである。
【選択図】  図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、無線アクセス方式としてDS−CDMA(Direct Sequence CodeDivision Multiple Access)方式を採用した無線通信装置に設けられるRAKE受信機とその受信制御プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
移動通信システムでは、基地局と移動局との間の無線伝搬路上で山や建物などの影響によりマルチパスが発生する。マルチパスは、互いに干渉しあって周波数選択性フェージングを引き起こし、通信品質を劣化させる原因となる。特に、データ伝送速度が例えば384kbps のように高速のシステムにあってはその影響が無視できない。
【0003】
そこで、DS−CDMA方式を採用した無線通信装置ではRAKE受信機を使用している。RAKE受信機は、基地局から異なる伝送経路をたどって到来する複数のパスをサーチャと呼ばれる受信回路でサーチし、受信レベルが所定レベル以上の複数のパスを検出する。そして、この検出された複数のパスをそれぞれRAKEフィンガと呼ばれる受信回路で受信復調したのち、その各復調信号を合成器で合成することにより復調信号を得るものである。このRAKE受信機を使用することで、フェージング等の通信環境の変化に対し通信品質を高く保持することができる。
【0004】
ところでRAKE受信機では、各RAKEフィンガにより得られた復調信号を合成する際に、パスごとに伝送路応答推定値を算出して、この伝送路応答推定値をもとに各復調信号の位相を補正することにより各復調信号の位相を合わせる必要がある。そこで、一般には基地局が常時放送している共通パイロット信号あるいは個別パイロット信号を受信し、これらの一方のパイロット信号の受信出力をもとに伝送路応答推定値を算出するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−44172号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
共通パイロットチャネルは、情報通信時に各移動局に個別に割り当てられる個別チャネルに比べ送信電力が大きい。このため、基地局から遠く離れた場所においても、比較的安定な伝送路推定が可能である。しかし、共通パイロットチャネルは、個別チャネルと異なり送信電力のクローズドループ制御が行われていない。このため、強いフェージングが発生してその受信電力が著しく低下すると、この低下期間において伝送路応答推定の精度が低下し、その結果RAKE受信特性の劣化を招くという問題点があった。また、個別チャネルのパイロットシンボルのみを使用した伝送路応答推定は、もともとパイロットシンボル数が少ないことなどから推定精度が低く、RAKE受信特性の劣化を招くという問題点があった。
【0007】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、フェージング等により共通パイロットチャネルの受信電力が低下した場合でも高精度の伝送路応答推定を行えるようにし、これにより受信品質の安定性向上を図ったRAKE受信機とその受信制御プログラムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためにこの発明は、基地局から異なる伝送路を経由して到来する複数のパスをそれぞれフィンガで受信し、その受信信号を伝送路応答推定値をもとに位相を合わせて合成するRAKE受信機にあって、基地局から共通パイロットチャネルにより送られる既知の共通パイロット信号に基づいて第1の伝送路応答推定値を求めると共に、基地局から個別チャネルにより送られる既知の個別パイロット信号に基づいて第2の伝送路応答推定値を求め、かつ上記共通パイロットチャネル及び個別チャネルの受信電力をそれぞれ検出して、この検出された各受信電力値に基づいて上記第1及び第2の伝送路応答推定値を合成し、この合成された伝送路応答推定値を各フィンガの受信信号の位相補正に供するようにしたものである。
【0009】
したがってこの発明によれば、共通パイロット信号と、個別チャネルにより伝送される個別パイロット信号とが最大比合成されて伝送路応答推定が行われる。このため、伝送路品質が比較的良好な状態では、送信電力が比較的大きい共通パイロット信号を主に使用した高精度の伝送路応答推定が行われ、一方フェージング等の影響により共通パイロット信号の受信電力が著しく低下した状態では、送信電力のクローズドループ制御がなされた個別パイロット信号を主に使用した伝送路応答推定が行われる。したがって、伝送路状態を問わず安定な伝送路応答推定を行うことが可能となり、これによりRAKE受信の品質を高く保持することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は、この発明に係わる移動通信システムの概略構成図である。システムのサービスエリアには複数の基地局(同図では便宜上1局のみを図示)BSが分散配置され、これらの基地局BSはそれぞれセルと呼ばれる無線エリアを形成している。移動局MS1,MS2,…,MSrは、上記無線エリア内において例えば最寄りの基地局に対し同期を確立したのち通信を行う。
【0011】
基地局BSと移動局MS1,MS2,…,MSrとの間の無線アクセス方式には、DS−CDMA(Direct Sequence Code Division Multiple Access)方式が使用され、また双方向多重方式にはFDD(Frequency Division Duplex)方式が使用される。
【0012】
基地局BSから移動局MS1,MS2,…,MSrへ向かうダウンリンクDL1,DL2,…では、移動局MS1,MS2,…,MSrに対し共通に送信される共通パイロットチャネル(CPICH:Common Pilot Channel)と、移動局MS1,MS2,…,MSrに対し個別に割り当てられる個別チャネル(DPCH:Dedicated Physical Channel)とが、異なるチャネライゼーションコードにより符号分割多重されて伝送される。
【0013】
図2はその構成を示すもので、共通パイロットチャネルでは共通パイロット信号が伝送される。共通パイロット信号は、移動局MS1,MS2,…,MSrが基地局BSに対し同期を確立するためと、基地局BSから到来する信号のパスサーチを行うために使用される。これに対し各個別チャネルではそれぞれ、ユーザデータDATA1,DATA2,…と、制御データ(図示せず)と、個別パイロット(PILOT)とが時分割多重されて伝送される。個別パイロットは、受信信号を同期検波するために使用される。なお、共通パイロット信号及び個別パイロット信号は共に、既知のパターン(例えばすべて“1”)からなる。
【0014】
また、上記共通パイロットチャネルと個別チャネルのうち、個別チャネルに対しては送信電力のクローズドループ制御が行われている。ダウンリンクにおける送信電力のクローズドループ制御は、移動局MS1,MS2,MSrにおける個別チャネルの受信レベルを一定に保持するためのもので、例えば以下のように実現される。図3はこのダウンリンク送信電力制御を実現するための基地局及び移動局の構成を示す機能ブロック図である。
【0015】
すなわち、受信側の移動局MSは、受信された個別チャネルのデータ部のSIR(Signal−to−Interference Ratio)をSIR測定部m1で測定し、このSIRの測定値をSIR比較部m4によりターゲットとするSIRのしきい値と比較する。そして、この比較結果をもとに、差を零に近づけるためのTPC(TransmitPower Control)コマンドをTPCコマンド生成部m5で生成し、このTPCコマンドを制御データに含めて基地局BSへ送信する。TPCコマンドは二値信号からなり、基地局BSに対し1dBステップで電力の増減を指示する。
【0016】
これに対し基地局BSは、DPCH送信部b2から出力された個別チャネルの信号レベルを、上記移動局MSから到来したTPCコマンドに従いレベル制御部b3によりステップ的に可変制御する。この信号レベルが可変制御された個別チャネルの送信信号は、他チャネル送信部b1から出力された共通パイロットチャネル等と加算部b4で加算されたのち、移動局MSへ送信される。以上の送信電力制御はインナーループ制御と呼ばれる。
【0017】
また移動局MSは、受信された個別チャネルのデータ部のCRC(Cyclic Redundancy Check)の検査をCRC検査部m2で行い、この検査結果をもとに上記SIRのしきい値をターゲットSIR更新部m3で更新する。このSIRしきい値の更新制御はアウターループ制御と呼ばれる。
【0018】
さて、この発明の第1の実施形態に係わる移動局は次のように構成される。図4はその全体の構成を示すブロック図である。
すなわち、基地局BSから到来した無線信号はアンテナ1で受信されたのち無線部2に入力される。無線部2では、上記受信された無線信号の低雑音増幅、ベースバンド周波数への周波数変換処理、及び直交復調処理が行われる。そして、この無線部2から出力された受信ベースバンド信号は、アナログ/ディジタル変換器(A/D)3でディジタル信号に変換された後、RAKE受信機4に入力される。
【0019】
RAKE受信機4は、RAKE合成部5と、パスサーチ部6と、受信制御部7と、メモリ8とから構成される。
【0020】
このうち先ずパスサーチ部6は、例えば図5に示すように複数のサーチフィンガ61〜6mを備えている。各サーチフィンガ61〜6mはそれぞれ、相関器6aと、スクランブリングコード発生器6bと、電力測定器6cとを有する。
【0021】
そして、受信制御部7の指示に従いスクランブリングコード発生器6bが発生するスクランブリングコードの位相を設定した後、相関器6aにおいて受信ベースバンド信号に含まれる共通パイロット信号と、上記スクランブリングコード発生器6bから発生されるスクランブリングコードとの相関値を計算する。そして、この算出された相関値の電力値を電力測定器6cにより検出し、この検出された相関電力値を受信制御部7に供給する。
【0022】
受信制御部7は、上記各サーチフィンガ61〜6mから供給された相関電力値をもとに複数のパスを検出し、これらのパスの遅延時間と相関電力値をメモリ8に書き込む。そして、このパスサーチにより得られた情報に基づいて受信対象の複数のパスを選択し、この選択した各パスをRAKE合成部5の後述するRAKEフィンガに割り当てる。この各RAKEフィンガに対する受信対象パスの割当ては、スクランブリングコード及びチャネライゼーションコードの各位相をそれぞれ、スクランブリングコード発生器及びチャネライゼーションコード発生器にセットすることにより行われる。
【0023】
次に、RAKE合成部5は以下のように構成される。図6はその構成を示す回路ブロック図である。RAKE合成部5は、複数のRAKEフィンガ71〜7nと、合成器50とから構成される。
【0024】
この発明の実施形態は、共通パイロット信号から求めた伝送路応答推定値と個別パイロット信号から求めた伝送路応答推定値とをその受信電力比をもとに最大比合成し、この合成された伝送路応答推定値を用いて個別チャネルの復調信号を位相補正するようにしたものである。
【0025】
RAKEフィンガ71〜7nは、受信制御部7により割り当てられた複数の受信対象パスを復調するためのもので、共通パイロット用逆拡散器5aと、個別チャネル用逆拡散器5bとを備えている。これらの逆拡散器5a,5bはそれぞれ、受信ベースバンド信号に含まれる共通パイロットチャネルの信号及び個別チャネルの信号を、スクランブリングコード発生器5c及びチャネライゼーションコード発生器5dにより発生されるスクランブリングコード及びチャネライゼーションコードにより逆拡散する。この逆拡散により再生された共通パイロット信号及び個別パイロット信号はそれぞれ平均化器5e,5fに入力され、ここで複数シンボル(例えば4シンボル)ごとに平均化される。この平均化により得られた共通パイロット信号及び個別パイロット信号のシンボル平均値(複素数)はそれぞれ電力測定器5g,5hに入力され、ここで電力値に変換される。
【0026】
この実施形態のRAKE合成部5においては、各RAKEフィンガ71〜7nに重み生成・合成器5qが設けてある。この重み生成・合成器5qは、平均化器5eにより得られる共通パイロット信号の平均値(複素数)に対し、電力測定器5gにより求められた共通パイロット信号の電力値(のルート)を乗算する。また、平均化器5fにより得られる個別パイロット信号の平均値(複素数)に対し、電力測定器5hにより求められた個別パイロット信号の電力値(のルート)を乗算する。そして、上記電力値が乗算された共通パイロット信号の平均値と個別パイロット信号の平均値とを合成し、この合成された平均値を伝送路応答推定値とする。
【0027】
位相・重み補正部5pは、上記重み生成・合成器5qにより求められた伝送路応答推定値の共役複素数値を、バッファ5iに保持されている個別チャネルの復調信号に複素乗算し、これにより位相が補正された個別チャネルの復調信号を合成器50へ出力する。
【0028】
合成器50は、上記各RAKEフィンガ71〜7nから出力された各パスの個別チャネル復調信号をシンボル合成する。そして、この合成された復調信号を、音声データやビデオデータを復号して再生するために復号処理部9へ出力する。
【0029】
次に、以上のように構成されたRAKE受信機4の動作を説明する。
受信ベースバンド信号のうち共通パイロット信号は、共通パイロット用逆拡散器5aにおいてスクランブリングコードにより逆拡散されたのち平均化器5eに入力される。そして、ここで例えば図8(a)に示すように4シンボルH0,H1,H2,…ごとに平均化され、これにより共通パイロットチャネルに基づく伝送路応答推定値が算出される。一方、受信ベースバンド信号に含まれる個別チャネルの信号は、個別パイロット用逆拡散器5bにおいてチャネライゼーションコードにより逆拡散されたのち平均化器5fに入力される。そして、ここで例えば図8(b)に示すように個別チャネル中の個別パイロット信号が取り出され、この個別パイロット信号について4シンボルJ0,J1,…ごとに平均化がなされる。かくして、個別チャネルに基づく伝送路応答推定値が算出される。
【0030】
例えば、図7の時刻t0〜t1に示す期間のように、フェージングの影響が少なく、共通パイロットチャネルが十分大きな電力レベルで受信されているものとする。この場合には、受信された共通パイロット信号の平均値の電力が個別パイロット信号の平均値の電力以上になるため、重み生成・合成器5qでは最大比合成により主に共通パイロット信号の平均値に基づく伝送路応答推定値となる。そして、位相・重み補正部5pでは、上記合成された伝送路応答推定値が個別チャネルの復調信号に乗算され、これにより個別チャネルの復調信号の位相が補正される。
【0031】
これに対し、図7の時刻t1〜t2に示す期間のように、フェージング等の影響により共通パイロットチャネルの受信電力値が大きく低下したとする。しかしながら、この場合においても個別チャネルの受信電力値は、先に述べたダウンリンクの送信電力制御によりほぼ一定に保持される。このため、個別パイロット信号の平均値の電力が共通パイロット信号の平均値の電力を上回り、この結果重み生成・合成器5qでは最大比合成により主に個別パイロット信号の平均値に基づく伝送路応答推定値となる。そして、位相・重み補正部5pでは、上記合成された伝送路応答推定値が個別チャネルの復調信号に乗算され、これにより個別チャネルの復調信号の位相が補正される。
【0032】
そうして各RAKEフィンガ71〜7nにおいて、復調されたのち伝送路応答推定値をもとに位相補正されて出力された各パスの復調信号は、合成器50でシンボル合成されたのち、RAKE受信機4の復調信号として復号処理部9に入力される。
【0033】
このように第1の実施形態では、共通パイロット信号及び個別パイロット信号の平均値をそれぞれ平均化器5e,5fで求めた後、その電力値を電力測定器5g,5hでそれぞれ検出する。そして、重み生成・合成器5qにより、上記検出された各電力値の比に応じて上記共通パイロット信号の平均値と個別パイロット信号の平均値とを合成することにより伝送路応答推定値を求め、この伝送路応答推定値に基づいて個別チャネルの復調信号の位相補正を行うようにしている。
【0034】
したがって第1の実施形態によれば、常に共通パイロット信号の平均値と個別パイロット信号の平均値の両方を使用して伝送路応答推定値が算出され、この算出された伝送路応答推定値に基づいて個別チャネルの復調信号が位相補正される。このため、ダウンリンクの伝送品質が良好な時でもまた劣化した時でも、常に高精度の伝送路応答推定値を求めることができ、これにより安定なRAKE受信動作を行って受信品質を高く保持することができる。
【0035】
(第2の実施形態)
前記第1の実施形態では、RAKE合成部5をハードウエアにより構成した場合を例にとって説明した。しかし、上記RAKE合成部5の処理はソフトウエアで実現することも可能である。
【0036】
図9は、第1の実施形態で述べたRAKE合成部(図6)の処理を、CPU又はDSPを備えた受信制御部7がソフトウエアにより処理する場合の処理手順とその処理内容の一例を示すフローチャートである。
【0037】
受信制御部7は、ディジタル化された受信ベースバンド信号を例えば拡散符号のチップレートで取り込み、ステップ11a,11eによりそれぞれ共通パイロットチャネルの信号及び個別チャネルの信号を逆拡散する。次にステップ11bにより、上記逆拡散により再生された共通パイロット信号の4シンボルごとの平均値を算出する。またそれと共に、ステップ11fにより、上記逆拡散により再生された個別チャネル信号のスロットごとに個別パイロット信号を抽出し、この抽出された個別パイロット信号の4シンボルごとの平均値を算出する。
【0038】
そうして共通パイロット信号の平均値及び個別パイロット信号の平均値が算出されると、続いてステップ11c,11gにより上記算出された各平均値の電力値を算出し、この算出された各電力値をステップ11d,11hによりそれぞれ上記共通パイロット信号の平均値及び個別パイロット信号の平均値に乗算する。そして最後に、上記電力値が乗算された共通パイロット信号の平均値及び個別パイロット信号の平均値をステップ11iにおいて合成し、この合成された平均値の複素数を伝送路応答推定値として位相・重み補正部5pに与えられ、受信制御部7内のバッファ又はメモリ8に保持されている個別チャネルの受信データの位相が補正される。
【0039】
以上のようにRAKE合成部の大部分をソフトウエアにより実現することで、ハードウエアの回路規模をさらに小型化することができ、これによりRAKE受信機延いては移動局の構成を小型化することが可能となる。
【0040】
(その他の実施形態)
前記各実施形態では、共通パイロット信号及び個別パイロット信号について4シンボルごとに平均を求めるようにしたが、5以上のシンボル単位で平均値を求めるようにしてもよい。
【0041】
また、個別パイロット信号の平均値を求めるに際し、個別チャネルの1スロットごとにその個別パイロット信号(4シンボル)の平均値を求めるようにしたが、連続する複数のスロットの個別パイロット信号を平均するようにしてもよい。このようにすると、個別パイロット信号の平均値、つまり伝送路応答推定値の精度をさらに高めることが可能となる。
【0042】
さらに、その場合に各スロットで求められた個別パイロット信号の平均値をもとにスロット間で一次補間処理を行うようにしてもよい。このような処理を行うと、ドップラ周波数が高い場合にも高精度の伝送路応答推定値を求めることができる。
【0043】
また、前記第2の実施形態では、逆拡散処理(ステップ11a,11e)から各平均値の合成処理(ステップ11i)までの一連の処理をソフトウエアにより実現する場合について説明した。しかし、それに限るものではなく、上記一連の処理のうち逆拡散処理についてはハードウエアで構成するようにしてもよい。このようにすると、受信制御部7の処理速度を遅くすることができ、これによりCPU又はDSPの低価格化や低消費電力化を図ることが可能となる。
【0044】
その他、移動局の種類や構成や、RAKE受信機の回路構成、RAKE合成部における処理内容、RAKE合成部の処理を実現する際のハードウエアとソフトウエアとの境界等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明によれば、共通パイロット信号及び個別パイロット信号を合成して伝送路応答推定を行うようにしたので、フェージング等により共通パイロットチャネルの受信電力が低下した場合でも高精度の伝送路応答推定を行うことができ、これにより受信品質の安定性向上を図ったRAKE受信機とその受信制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる移動通信システムの概略構成図。
【図2】基地局から移動局へ向かうダウンリンクにおけるチャネル伝送フォーマットを示す図。
【図3】ダウンリンク送信電力制御を実現するための基地局及び移動局の構成を示す機能ブロック図。
【図4】この発明の第1の実施形態に係わる移動局の全体構成を示すブロック図。
【図5】図4に示す移動局のRAKE受信機に設けられるパスサーチ部の構成を示すブロック図。
【図6】図4に示す移動局のRAKE受信機に設けられるRAKE合成部の構成を示すブロック図。
【図7】移動局における共通パイロット及び個別パイロットの受信電力の変動の一例を示す図。
【図8】共通パイロットチャネル及び個別チャネルの伝送フォーマットと平均化処理の一例を説明するための図。
【図9】第1の実施形態で述べたRAKE合成部の処理を、CPU又はDSPを備えた受信制御部がソフトウエアにより処理する場合の処理手順とその処理内容の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
BS…基地局
MS1〜MSr…移動局
DL1,DL2…ダウンリンク
UL1,UP2…アップリンク
1…アンテナ
2…無線部
3…アナログ/ディジタル変換器(A/D)
4…RAKE受信機
5…RAKE合成部
5a…共通パイロット用逆拡散器
5b…個別チャネル用逆拡散器
5c…スクランブリングコード発生器
5d…チャネライゼーションコード発生器
5e,5f…平均化器
5g,5h…電力測定器
5i…バッファ
5p…位相・重み補正部
5q…重み生成・合成器
6…パスサーチ部
6a…相関器
6b…スクランブリングコード発生器
6c…電力測定器
7…受信制御部
8…メモリ
9…復号処理部
50…合成器
61〜6m…サーチフィンガ
71〜7n…RAKEフィンガ

Claims (4)

  1. 基地局から異なる伝送路を経由して到来する複数のパスをそれぞれフィンガで受信し、その受信信号を伝送路応答推定値をもとに位相を合わせて合成するRAKE受信機において、
    前記基地局から共通パイロットチャネルにより送られる既知の共通パイロット信号に基づいて、第1の伝送路応答推定値を求める第1の推定手段と、
    前記基地局から個別チャネルにより送られる既知の個別パイロット信号に基づいて、第2の伝送路応答推定値を求める第2の推定手段と、
    前記共通パイロットチャネルの受信電力を検出する第1の検出手段と、
    前記個別チャネルの受信電力を検出する第2の検出手段と、
    前記第1の検出手段により検出された受信電力値と前記第2の検出手段により検出された受信電力値とに基づいて前記第1の伝送路応答推定値と前記第2の伝送路応答推定値とを合成し、この合成された伝送路応答推定値を前記各受信信号の位相合わせのための出力する合成手段とを具備したことを特徴とするRAKE受信機。
  2. 前記第2の推定手段は、連続する複数のスロットの個別パイロット信号を平均化することにより、個別パイロット信号による伝送路応答推定値を求めることを特徴とする請求項1記載のRAKE受信機。
  3. 前記合成手段は、前記第1の検出手段により検出された受信電力値と前記第2の検出手段により検出された受信電力値との比を算出し、この算出された比に基づいて前記第1の伝送路応答推定値と前記第2の伝送路応答推定値とを最大比合成することを特徴とする請求項1記載のRAKE受信機。
  4. コンピュータの制御の下に、基地局から異なる伝送路を経由して到来する複数のパスをそれぞれフィンガで受信し、その受信信号を伝送路応答推定値をもとに位相を合わせて合成するRAKE受信機で使用される受信制御プログラムであって、
    前記基地局から共通パイロットチャネルにより送られる既知の共通パイロット信号に基づいて、第1の伝送路応答推定値を算出する処理と、
    前記基地局から個別チャネルにより送られる既知の個別パイロット信号に基づいて、第2の伝送路応答推定値を算出する処理と、
    前記共通パイロットチャネルの受信電力を算出する処理と、
    前記個別チャネルの受信電力を算出する処理と、
    前記算出された共通パイロットチャネルの受信電力値と前記算出された個別チャネルの受信電力値とに基づいて前記第1の伝送路応答推定値と前記第2の伝送路応答推定値とを合成し、前記各受信信号を合成するための伝送路応答推定値を得る処理とを
    前記コンピュータに実施させることを特徴とする受信制御プログラム。
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