JP2004120073A - 圧電デバイス、その製造方法およびクロック装置並びに圧電デバイス用パッケージ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧電デバイス10は、パッケージ本体12が仕切り部14によって仕切られた第1のキャビティ16と第2のキャビティ18とを有する。第1のキャビティ16には、周波数温度特性が三次曲線を示すATカット振動素子22と集積回路24とが収納してある。第2のキャビティ18には、周波数温度特性が二次曲線を示す音叉型振動素子26が収納してある。第2のキャビティ18は、音叉型振動素子26を実装したのち、真空封止される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電デバイスに係り、特に1つのパッケージ内に複数の圧電振動素子を有する圧電デバイス、その製造方法およびクロック装置並びに圧電デバイス用パッケージに関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、各種電子部品の部品点数の削減、工数の削減を目的として、1つのパッケージ内に音叉型水晶振動子片とATカット水晶振動子片、およびIC、コンデンサとを真空封止した圧電デバイスが提案されている。
【特許文献1】
特開2000−349181号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、特許文献1に記載された圧電デバイス(以下、従来の圧電デバイスという)は、周波数温度特性が二次曲線を示す音叉型水晶振動片と、発熱源となるICとが同一のキャビティ内に収納してある。このため、従来の圧電デバイスは、使用に伴ってICが発熱し、その熱によって音叉型水晶振動片の振動周波数が変動するため、高精度な圧電デバイスとすることができない。また、従来の圧電デバイスは、音叉型水晶振動片をパッケージ内に固着して周波数調整を行なったのち、ATカット水晶振動片を固着して周波数調整し、その後、パッケージを真空封止するようにしている。したがって、従来の圧電デバイスは、音叉型水晶振動片の動作環境が製造時と完成時とで異なる。このため、従来の圧電デバイスは、音叉型水晶振動片の発振周波数が周波数調整時とずれるおそれがあり、製造時の歩留まりが悪くなるおそれがある。
【0004】
一方、現在普及の著しいデジタルカメラ用の圧電発振器は、米国および日本国内におけるテレビジョン放送方式であるNTSC(National Television System Commitee)に対応した24.54545MHzと、西欧などにおけるテレビジョン放送方式であるPAL(Phase Alternating Line)に対応した24.375MHzのテレビ映像用クロック信号を出力するものが使用されている。従来、この2種類のクロック信号のそれぞれに対応した発振器を製造する場合、発振器の回路構成を同じにしておき、発振周波数の異なる圧電振動子を取り替えて実装することにより、各周波数に対応した発振器を製造している。このため、部品の管理等が煩わしく、1つの圧電振動子によって上記した2種類のクロック信号を選択的に出力できるクロック装置が望まれる。
【0005】
本発明は、前記従来技術の欠点を解消するためになされたもので、周波数温度特性が二次曲線を示す圧電振動素子に対する集積回路の発熱による影響を防止することを目的としている。
また、本発明は、圧電振動素子の周波数調整を高精度に行なえるようにすることを目的としている。
さらに、本発明は、1つの圧電振動素子の発振周波数から複数の周波数のクロック信号を得られるようにすることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る圧電デバイスは、相互に仕切られている複数のキャビティが形成されたパッケージと、前記複数のキャビティのうち、第1のキャビティに収納した周波数温度特性が三次曲線をなす第1圧電振動素子および集積回路と、前記複数のキャビティのうち、第2のキャビティに収納した周波数温度特性が二次曲線をなす第2圧電振動素子と、を有することを特徴としている。
【0007】
このようになっている本発明は、温度変化によって発振周波数の変化しやすい周波数温度特性が二次曲線を示す第2圧電振動素子を、集積回路を収納した第1のキャビティから仕切られた第2のキャビティに収納している。したがって、第2圧電振動素子は、集積回路の発熱による影響を受けることがなく、信頼性の高い高精度の圧電デバイスとすることができる。
【0008】
第1圧電振動素子は水晶などの圧電性結晶のATカット振動片から構成してよく、第2圧電振動素子は音叉型振動片から構成してよい。ATカット振動片からなるATカット振動素子は、通常の使用温度範囲における周波数温度特性が極めて良好で、集積回路が発熱した場合でも、安定した発振周波数が得られる。そして、音叉型圧電振動片からなる圧電振動素子は、発振のための消費電力が小さいため、電子機器の待機モード(スリープモード)時における最低限の機能を維持するための消費電力を節減することができる。
【0009】
音叉型圧電振動素子を収納した第2のキャビティは、真空封止することが望ましい。音叉型圧電振動素子は、周知のように振動腕が屈曲振動を行なう。このため、第2のキャビティを真空封止することにより、音叉型圧電振動素子の振動抵抗が小さくなって消費電力を小さくできるとともに、長期にわたって安定した振動特性が得られる。
【0010】
また、集積回路は、前記第1圧電振動素子の発振周波数に基づいて、映像用クロック信号を生成する周波数合成回路と、データ伝送用クロック信号を出力する伝送クロック出力回路とを有するように構成できる。これにより、デジタルカメラやDVD装置に搭載した場合、これらの機器をテレビなどのAV機器とパーソナルコンピュータなどのデータ処理装置とに対応させることができる。そして、周波数合成回路は複数の映像用クロック信号を生成可能に構成し、集積回路は複数の映像用クロック信号の1つを任意に選択可能な選択信号を周波数合成回路に入力するセレクト端子を有するように構成すると、例えばNTSC用の圧電デバイスとPAL用の圧電デバイスとを、圧電振動素子を取り替えることなく製造することができ、製造効率を向上することができる。また、集積回路に設けた第1圧電振動素子と第2圧電振動素子とのそれぞれに対応した発振回路は、両者の間に周波数合成回路などを配置して離間させることが望ましい。これにより、両者が相互に影響するのを防止でき、安定した発振周波数を得ることができる。
【0011】
そして、上記の圧電デバイスを得るための製造方法は、パッケージ本体に設けた第1のキャビティに集積回路を実装する工程と、前記第1のキャビティに第1圧電振動素子を実装する工程と、前記第1圧電振動素子の発振周波数を調整する工程と、前記パッケージ本体に設けられて、前記第1のキャビティと仕切られた第2のキャビティに第2圧電振動素子を実装する工程と、前記第1のキャビティと前記第2のキャビティとを覆うとともに、少なくとも第2のキャビティに対応した部分が透光性を有する蓋を前記パッケージ本体に接合する工程と、前記第2のキャビティと外部とを連通している封止穴を封止する工程と、前記蓋を介して前記第2圧電振動素子にレーザ光を照射し、第2圧電振動素子の周波数を調整する工程と、を有することを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係るクロック装置は、請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の圧電デバイスを有することを特徴としている。これにより、上記したような効果を有するクロック装置を得ることができる。
さらに、本発明に係る圧電デバイス用パッケージは、周波数温度特性が三次曲線をなす第1圧電振動素子と集積回路とを収納する第1のキャビティと、この第1のキャビティと仕切られて周波数温度特性が二次曲線をなす第2圧電振動素子を収納する第2のキャビティと、を有することを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係る圧電デバイス、その製造方法およびクロック装置並びに圧電デバイス用パッケージの好ましい実施の形態を、添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る圧電デバイスのパッケージ蓋を除去した状態の斜視図である。図1において、圧電デバイス10は、パッケージ本体12を有する。このパッケージ本体12は、詳細を後述するように、セラミックシートを複数層(実施形態の場合、4層)積層して形成した、いわゆるセラミックパッケージとなっている。そして、パッケージ本体12には、仕切り部14によって相互に仕切られた第1のキャビティ16と第2のキャビティ18とが設けてある。また、パッケージ本体12は、上端面に低融点ガラス20が設けてあり、この低融点ガラス20を介して図示しない蓋材(パッケージ蓋)を接合することにより、各キャビティ16、18を封止するようになっている。
【0014】
第1のキャビティ16は、第2のキャビティ18より大きく形成してある。そして、第1のキャビティ16には、周波数温度特性が三次曲線をなす第1圧電振動素子であるATカット振動素子22と集積回路(IC)24とが収納してある。ATカット振動素子22は、実施形態の場合、圧電性結晶である水晶のATカット振動片から形成してある。また、第2のキャビティ18には、周波数温度特性が二次曲線を示す音叉型振動素子(第2圧電振動素子)26が収納してある。この音叉型振動素子26は、実施形態の場合、水晶の音叉型振動片からなっている。
【0015】
ATカット振動素子22は、実施形態の場合、長手方向がパッケージ本体12の長手方向となっている。これに対して、音叉型振動素子26は、長手方向がパッケージ本体12の幅方向となるように配置してある。しかし、圧電振動素子の配置状態は、これに限定されるものではなく、ATカット振動素子22と音叉型振動素子26とを、長手方向が一致するように並べて配置してもよい。
【0016】
パッケージ本体12は、図2に示したように、ベースシート28の上に2枚の中間シート30、32が積層してあって、その上に上端シート34が積層してある。これらのシート28、30、32、34は、いずれもセラミックからなっている。そして、中間シート30、32は、第1のキャビティ16を形成するくり抜き部36、38が設けてある。これらのくり抜き部36、38は、集積回路24の配置空間37を形成している。また、上端シート34には、第1のキャビティ16の一部をなす第1くり抜き部40が形成してある。この第1くり抜き部40は、中間シート30、32のくり抜き部36、38より大きく形成してあって、ATカット振動素子22の配置空間41となっている。すなわち、ATカット振動素子22は、上端シート34の第1くり抜き部40によって露出させられた中間シート32の上面42に、導電性接着剤44によって片持ち梁状に接合してある。そして、中間シート30、32が形成する配置空間37の深さは、集積回路24の厚さより大きくしてあり、集積回路24が上端シート34のくり抜き部40に配置したATカット振動素子22と接触しないようにしてある。
【0017】
上端シート34は、中間シート32の上方に第2のキャビティ18を形成する第2くり抜き部46を有する。そして、上端シート34は、第1くり抜き部40と第2くり抜き部46との境界部に、これらを仕切る仕切り部14が形成されている。したがって、第1のキャビティ16と第2のキャビティ18とは、パッケージ本体12の上に蓋が接合されると相互に隔絶される。
【0018】
ベースシート28と中間シート30とには、第2のキャビティ18の中央部と対応した位置に封止穴48、50が形成してある。また、中間シート32には、封止穴48、50と同心の貫通孔52が設けてあり、第2のキャビティ18と封止穴50とを連通している。このため、第2のキャビティ18は、上部が蓋によって封止されたとしても、貫通孔52、封止穴50、48を介して外部に連通している。封止穴48、50は、第2のキャビティ18を真空封止するためのもので、後述するように、金−錫合金などの図示しない封止材が真空中において充填される。そして、貫通孔52は、封止穴48、50より小径に形成してあって、封止穴48、50に充填された封止材が第2のキャビティ18に流入しないようにしてある。
【0019】
第2のキャビティ18に配置した音叉型振動素子26は、図1に示したように、基部54と一対の振動腕56とからなっている。各振動腕56は、図2に示したように、基部側の上下面に溝58が形成されていて、断面がほぼH状をなしている。そして、音叉型振動素子26は、各振動腕56の内外側面と溝58の側面とに励振電極(図示せず)が形成してあって、励振効率を向上させて小型化が図られている。また、第2のキャビティ18には、音叉型振動素子26の振動腕56の先端側に凹部60が設けてある。この凹部60は、圧電デバイス10を組み込んだ電子機器が取り落とされたときに、振動腕56の先端が第2のキャビティ18の底面に衝突するのを防止するためのもので、図3に示したように、中間シート32に設けたくり抜き部によって形成してある。そして、中間シート32は、第2のキャビティ18内の凹部60と反対側の上面がマウント部となっていて、このマウント部に音叉型振動素子26の基部54が導電性接着剤62によって接合してある。
【0020】
パッケージ本体12は、パッケージ本体12を構成している各シート間などに配線パターンが形成してある。そして、中間シート32の上面には、図4に示したように、第1のキャビティ16内に露出した部分に、一対のAT用電極パターン64と一対の音叉用電極パターン66とが形成してある。AT用電極パターン64と音叉用電極パターン66とは、集積回路24の配置空間37の両側にほぼ対称に設けてある。また、AT用電極パターン64は、中間シート32の上面に形成されたAT用配線パターン68、導電性接着剤44を介してATカット振動素子22の電極パターン(図示せず)に電気的に接続してある。同様に、音叉用電極パターン66は、中間シート32の上面に形成した音叉用配線パターン70、導電性接着剤62を介して音叉型振動素子26の電極パターンに電気的に接続してある。
【0021】
第1のキャビティ16内に配置した集積回路24は、能動面を上にした状態で配置空間37の底部となっているベースシート28の上面に固着してある。そして、集積回路24は、ATカット振動素子22用の発振回路72と音叉型振動素子26用の発振回路74とを備えている。これらの発振回路72、74は、実施形態の場合、集積回路24内の幅方向両側に離間させて設けてあって、両者間において相互に影響を与えないようにしてある。また、発振回路72、74は、集積回路24の表面に設けた励振用パッド78、80に電気的に接続している。そして、励振用パッド78とAT用電極パターン64、および励振用パッド80と音叉用電極パターン66とは、ワイヤ82によって接続してある。
【0022】
実施形態の場合、ATカット振動素子22の発振周波数が48.0MHzとなっていて、音叉型振動素子26の発振周波数が時計用の32.768kHzとなっている。そして、集積回路24は、図5に示したように、発振回路74が出力する32.768kHzのクロック信号を増幅する増幅器84を有し、この増幅器84の出力側が出力端子(パッド)OUT1に接続してある。また、集積回路24は、PLL回路を備えた周波数シンセサイザ(周波数合成回路)86と、分周回路88とを有し、これらが発振回路72の出力側に並列に接続してある。周波数シンセサイザ86は、実施形態の場合、発振回路72の出力する源振となる48.0MHzの周波数から27.0MHz、24.54545MHz、24.375MHzの3種類のテレビ映像用クロック信号(ビデオクロック信号)を生成可能となっている。そして、周波数シンセサイザ86にはセレクト端子S0、S1が接続してあって、このセレクト端子S0、S1への選択信号の入力の仕方によって、27.0MHz、24.54545MHz、24.375MHzのいずれかのビデオクロック信号を選択して出力できるようにしてある。周波数シンセサイザ86の出力するクロック信号は、増幅器90を介して出力端子OUT2に出力される。
【0023】
一方、集積回路24の出力端子OUT3は、データ伝送用のシリアルインターフェースであるUSB(Universal Serial Bus)用のクロック信号を出力するもので、増幅器92を介して分周回路88の出力側に接続してある。分周回路88は、伝送クロック出力回路の役割をなしていて、発振回路72の出力する源振となる48.0MHzの周波数を1/1、1/2、1/4分周することが可能となっている。そして、分周回路88は、予め設定されることにより、48.0MHz、24.0MHz、12.0MHzのいずれかのデータ伝送用のクロック信号を出力する。
【0024】
このようになっている実施形態の圧電デバイス10は、ATカット振動素子22を集積回路24とともに第1のキャビティ16に収納し、音叉型振動素子26を第2のキャビティ18に収納したことにより、高精度な圧電デバイスとすることができる。すなわち、水晶からなるATカット振動素子22は、周波数温度特性が三次曲線を示し、通常の使用温度範囲において非常に安定した発振周波数が得られる。したがって、ATカット振動素子22は、集積回路24が発熱したとしても、発振周波数の変動量が小さく、精度の高い周波数のクロック信号を出力する。
【0025】
一方、音叉型振動素子26は、周波数温度特性が二次曲線を示し、通常の使用温度範囲における周波数変動量がATカット振動素子22よりも大きい。しかし、実施形態の圧電デバイス10は、仕切り部14によって第1のキャビティ16と仕切られている第2のキャビティ18に音叉型振動素子26を収納し、第2のキャビティ18を真空封止するようにしている。このため、音叉型振動素子26は、集積回路24の発熱の影響を受けることがなく、安定した発振周波数によって振動する。したがって、圧電デバイス10は、出力する各クロック信号の周波数が安定し、信頼性の高い高精度のデバイスとすることができる。
【0026】
また、実施形態の圧電デバイス10は、集積回路24に周波数シンセサイザ86を設けて周波数の異なる複数のビデオクロック信号を出力できるようにしてある。このため、ビデオクロック信号の異なるクロック装置を製造する場合、発振周波数の異なる圧電振動素子(ATカット振動素子)を交換して実装する必要がなく、部品の管理、製造工程の管理を簡素にすることができる。すなわち、圧電デバイス10を図示しないデジタルカメラなどに搭載するクロック装置に組み付けた場合、クロック装置の制御部が出力するセレクト信号を集積回路24のセレクト端子S0、S1に入力することにより、27.0MHz、24.54545MHz、24.375MHzのいずれかのビデオクロック信号を任意に出力させることができる。
【0027】
図6は、上記の圧電デバイス10の製造工程の概略を示すフローチャートである。まず、図6のステップ100に示したように、セラミックシートであるベースシート28、中間シート30、32、上端シート34を積層して焼結し、パッケージ本体12を形成する。なお、各セラミックシートには、配線パターンやくり抜き部、封止穴などが予め形成してある。また、パッケージ本体12の上端面には、蓋を接合するために低融点ガラス20の層を設ける。
【0028】
次に、パッケージ本体12に形成した第1のキャビティ16の底面に接着剤を塗布し、ステップ101に示したように、集積回路(IC)24を第1のキャビティ16内に接着して実装するダイアタッチを行なう。その後、集積回路24のパッドとパッケージ本体12の配線パターンとを金線などによって電気的に接続するワイヤボンディングを行なう(ステップ102)。さらに、ATカット振動素子22を第1のキャビティ16内に導電性接着剤を用いてマウント(実装)する(ステップ103)。そして、ATカット振動素子22を実装したパッケージ本体12を真空容器に搬入し、ATカット振動素子22の周波数調整を行なう(ステップ104)。すなわち、ATカット振動素子22の表面に厚めに形成した電極膜をエッチングガスのプラズマによってエッチングし、電極膜を薄くして発振周波数の調整を行なう。
【0029】
次に、ステップ105に示したように、ATカット振動素子22を実装したパッケージ本体12を洗浄したのち、音叉型振動素子26を第2のキャビティ18内に導電性接着剤を用いてマウント(実装)する(ステップ106)。その後、パッケージ本体12の上にガラス製の蓋を配置し、低融点ガラス20を溶融して蓋をパッケージ本体12に接合し、パッケージ本体12の上面を封止する(ステップ107)。なお、この蓋による封止は、窒素雰囲気や真空中で行なってもよい。また、蓋は、少なくとも第2のキャビティ18に対応した部分がレーザ光を透過する透光性の材質で形成されているものであればよい。
【0030】
次に、ステップ108に示したように、パッケージ本体12の第2のキャビティ18を真空封止する。すなわち、パッケージ本体12を真空容器内に搬入し、真空中においてベースシート28と中間シート30とに設けた封止穴48、50に金−錫合金などの溶融した封止材を充填し、封止材を冷却して封止穴48、50を塞ぐ。その後、音叉型振動素子26の周波数調整を行なう(ステップ109)。この周波数調整は、ガラス製の蓋を介して音叉型振動素子26にレーザ光を照射し、振動腕56の先端部に設けた図示しない金などの錘をレーザ光によって蒸発させて行なう。このように、実施形態においては、第2のキャビティ18を真空封止したのちに、音叉型振動素子26の周波数調整を行なっているため、周波数調整後における音叉型振動素子26の発振周波数の変動がほとんどなく、高精度な周波数制御が可能となる。また、真空封止した第2のキャビティ18内で錘を蒸発させるため、錘を構成している金属が周囲に飛散するのを防止することができる。
【0031】
その後、ステップ110に示したように、圧電デバイス10の電気特性の検査を行なう。この電気特性の検査工程においては、所定の規格を満たすものを完成品とし、規格から外れたものを不良品として選別除去する。
【0032】
図7は、集積回路の他の実施形態を示したものである。この実施形態の集積回路24aは、2つの周波数シンセサイザ86、86aを有している。これらの周波数シンセサイザ86、86aは、分周回路88とともにATカット振動素子22の発振回路72の出力側に並列に接続してある。そして、これらの周波数シンセサイザ86、86aは、同じ仕様となっていて、いずれも発振回路72が出力する48.0MHzの信号に基づいて、27.0MHz、24.54545MHz、24.375MHzのビデオクロック信号を生成して出力できるようになっている。
【0033】
周波数シンセサイザ86は、セレクト端子S0、S1が接続されていて、セレクト端子S0、S1に入力する選択信号によって上記3種類のビデオクロック信号のいずれかを増幅器90を介して出力端子OUT2に出力する。また、周波数シンセサイザ86aには、セレクト端子S2、S3が接続してあり、これらのセレクト端子に入力する選択信号の状態によって、27.0MHz、24.54545MHz、24.375MHzのビデオクロック信号のいずれかを出力する。周波数シンセサイザ86aの出力したビデオクロック信号は、増幅器90aを介して出力端子OUT3に出力される。そして、分周回路88は、発振回路72の出力する48.0MHzの信号を分周し、USBのためのデータ伝送用クロック信号を、増幅器92を介して出力端子OUT4に出力する。他の構成は、前記した集積回路24と同様である。なお、図7は、出力端子OUT2に24.54545MHzのビデオクロック信号が出力され、出力端子OUT3に24.375MHzのビデオクロック信号が出力され、出力端子OUT4に48.0MHzのクロック信号が出力される場合が示してある。
【0034】
なお、前記実施形態は、本発明の一態様を示したものであり、これに限定されるものではない。例えば、前記実施形態においては、周波数シンセサイザを2つ設けた場合について説明したが、周波数シンセサイザを3つ以上設けることも可能である。この場合、各周波数シンセサイザが異なるクロック信号を生成するようにしてもよいし、各周波数シンセサイザが3つ以上のクロック信号を生成できるように構成してもよい。また、前記実施形態においては、第1圧電振動素子がATカット振動素子22である場合について説明したが、第1圧電振動素子は弾性表面波(SAW)振動素子であってもよい。さらに、前記実施形態においては、パッケージ本体に2つのキャビティを設けた場合について説明したが、キャビティは3つ以上設けることも可能である。
【0035】
以上に説明したように、本発明によれば、温度変化によって発振周波数の変化しやすい周波数温度特性が二次曲線を示す第2圧電振動素子を、集積回路を収納した第1のキャビティから仕切られた第2のキャビティに収納している。したがって、第2圧電振動素子は、集積回路の発熱による影響を受けることがなく、信頼性の高い高精度の圧電デバイスとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る圧電デバイスの蓋を除いた斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図である。
【図3】図1のB−B線に沿った断面図である。
【図4】実施の形態に係る配線パターンの一部を示す図である。
【図5】実施の形態に係る集積回路のブロック図である。
【図6】実施形態の圧電デバイスの製造方法のフローチャートである。
【図7】集積回路の他の実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
10………圧電デバイス、12………パッケージ本体、14………仕切り部、16………第1のキャビティ、18………第2のキャビティ、22………第1圧電振動素子(ATカット振動素子)、24、24a………集積回路、26………第2圧電振動素子(音叉型振動素子)、48、50………封止穴、52………貫通孔、72、74………発振回路、86、86a………周波数合成回路(周波数シンセサイザ)、88………伝送クロック出力回路(分周回路)、S0〜S3………セレクト端子。
Claims (9)
- 相互に仕切られている複数のキャビティが形成されたパッケージと、
前記複数のキャビティのうち、第1のキャビティに収納した周波数温度特性が三次曲線をなす第1圧電振動素子および集積回路と、
前記複数のキャビティのうち、第2のキャビティに収納した周波数温度特性が二次曲線をなす第2圧電振動素子と、
を有することを特徴とする圧電デバイス。 - 請求項1に記載の圧電デバイスにおいて、
前記第1圧電振動素子は、圧電性結晶のATカット振動片からなり、
前記第2圧電振動素子は、音叉型振動片からなる、
ことを特徴とする圧電デバイス。 - 請求項2に記載の圧電デバイスにおいて、
前記第2のキャビティは、真空封止してあることを特徴とする圧電デバイス。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の圧電デバイスにおいて、
前記集積回路は、前記第1圧電振動素子の発振周波数に基づいて、映像用クロック信号を生成する周波数合成回路と、データ伝送用クロック信号を出力する伝送クロック出力回路とを有することを特徴とする圧電デバイス。 - 請求項4に記載の圧電デバイスにおいて、
前記周波数合成回路は、複数の映像用クロック信号を生成可能であり、
前記集積回路は、前記複数の映像用クロック信号の1つを任意に選択可能な選択信号を前記周波数合成回路に入力するセレクト端子を有する、
ことを特徴とする圧電デバイス。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の圧電デバイスにおいて、
前記集積回路は、前記第1圧電振動素子と前記第2圧電振動素子とのそれぞれに対応した発振回路を有し、これらの発振回路が離間して設けてあることを特徴とする圧電デバイス。 - パッケージ本体に設けた第1のキャビティに集積回路を実装する工程と、
前記第1のキャビティに第1圧電振動素子を実装する工程と、
前記第1圧電振動素子の発振周波数を調整する工程と、
前記パッケージ本体に設けられて、前記第1のキャビティと仕切られた第2のキャビティに第2圧電振動素子を実装する工程と、
前記第1のキャビティと前記第2のキャビティとを覆うとともに、少なくとも第2のキャビティに対応した部分が透光性を有する蓋を前記パッケージ本体に接合する工程と、
前記第2のキャビティと外部とを連通している封止穴を封止する工程と、
前記蓋を介して前記第2圧電振動素子にレーザ光を照射し、第2圧電振動素子の周波数を調整する工程と、
を有することを特徴とする圧電デバイスの製造方法。 - 請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の圧電デバイスを有することを特徴とするクロック装置。
- 周波数温度特性が三次曲線をなす第1圧電振動素子と集積回路とを収納する第1のキャビティと、
この第1のキャビティと仕切られて周波数温度特性が二次曲線をなす第2圧電振動素子を収納する第2のキャビティと、
を有することを特徴とする圧電デバイス用パッケージ。
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