JP2004118954A - 薄膜磁気ヘッド装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】浮上面を構成する異種材料間における表面段差の低減を図る。
【解決手段】浮上面にガスクラスターイオンを照射して、浮上面を構成する材料の構成元素を含む生成物を形成しながら浮上面の平坦化を行い、次に上記の生成物を除去するようにした。上記した生成物の形成とその除去とを順次または交互に繰り返して行うようにした。
【選択図】図2
【解決手段】浮上面にガスクラスターイオンを照射して、浮上面を構成する材料の構成元素を含む生成物を形成しながら浮上面の平坦化を行い、次に上記の生成物を除去するようにした。上記した生成物の形成とその除去とを順次または交互に繰り返して行うようにした。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録装置に使用されている薄膜磁気ヘッド装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットを初めとする情報技術(IT)の発展が急速に進み、膨大な情報を高速で記録・再生する技術が要求されている。そのため、外部記録装置の主力である磁気ディスク装置(HDD)では、記録密度が年率60〜100%で向上を続けている。HDDの記録密度向上によって、記録・再生を行う薄膜磁気ヘッド装置はより微小な領域を磁化したり、より微小な領域からの漏れ磁束を検出する必要がある。
【0003】
このため、磁気ディスクに対して薄膜磁気ヘッド装置を安定に浮上させ、磁気ディスクとの衝突を防止しながら記録・再生を安定に行うためには、薄膜磁気ヘッド装置の磁気ディスクと相対する面(浮上面)を十分に平坦化する必要がある。
【0004】
薄膜磁気ヘッド装置は、薄膜プロセスを用いて基板上に再生素子、記録素子を形成(ウェハ工程)した後、基板を切断し、その切断面に浮上面としての加工を施すことで作成される。従来、浮上面の平坦化には機械的研磨や化学的機械的研磨(CMP)を用いて行われてが、これらの方法で得られる表面粗さは5nm程度が限界である。
【0005】
一方、超平坦面の創生技術として、ガスクラスターイオンビームに関して非特許文献1に、また、その加工法に関する技術が特許文献1〜4に、そして、化学反応性を有するガスをクラスターイオン化することで、イオンビーム照射面の平坦化と同時に化合物薄膜を形成する、あるいは表面の改質を行う技術が特許文献5〜7に詳しく開示されている。
【0006】
【非特許文献1】
Materials Science & Engineering R34、p.231(2001)
【特許文献1】
特開平11−120547号公報
【特許文献2】
特開平8−120470号公報
【特許文献3】
特開平8−293483号公報
【特許文献4】
特開2001−36164号公報
【特許文献5】
特開平8−127867号公報
【特許文献6】
特開平8−293483号公報
【特許文献7】
特開2000−87227号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、ガスクラスターイオンビーム加工法は薄膜表面の平坦化技術として有望である。しかし、薄膜磁気ヘッド装置浮上面の加工に適用するには、以下に述べるような課題がある。
【0008】
即ち、薄膜磁気ヘッド装置の浮上面において、再生素子及び記録素子の領域ではウェハ工程で形成された機能性薄膜の積層構造の断面が露出することになる。ウェハ切断の後、浮上面の形成は機械的研磨またはCMP等によってなされるが、このとき露出した積層断面の各層の固さや化学反応性の違いによって積層膜の間で段差(材料間段差)が発生する。
【0009】
一方、ガスクラスターイオンビームによるスパッタレートは材料によって異なるため、ガスクラスターイオンビームを異なる材料で構成された積層膜の断面、即ち、浮上面の平坦化に適用した場合、局所的には平坦化なされるが、積層膜間の材料間段差は必ずしも解消されない。すなわち、研磨法における研磨速度が遅く、ガスクラスターイオンビームによるスパッタリング率も小さい材料と研磨速度が速く、ガスクラスターイオンビームによるスパッタリング率も大きい材料との間では、逆に材料間段差が拡大される。
【0010】
また、例えば巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用した再生素子やトンネル磁気抵抗効果(TMR)を利用した再生素子は、ウェハ工程において数nm程度の薄膜を多数積層して形成される。したがって、浮上面における再生素子部では、複数の異なった材料で構成される数nm程度の薄膜の積層断面が露出する。このような積層断面部にガスクラスターイオンビームを照射すると、周囲からラテラルスパッタリング効果により飛来した原子からなるミキシング層が形成される。
【0011】
この生成物が導体の場合には、一部の電流がこの生成物を通って流れるため、GMR素子やTMR素子の感度を損なう原因となる。また生成物が不導体であっても、生成物の膜厚分だけ不感層ができるため、感度低下の原因となる。また、クラスターが入射したことにより、結晶構造が乱れるなどの深さ方向のダメージが発生し、これも感度低下の原因である。
【0012】
本発明の目的は、上記課題に鑑みて、材料間の選択性の少ないガスクラスターイオンビーム加工方法を提供し、2種類以上の異なった材料で構成される薄膜磁気ヘッド装置浮上面の面粗さや材料間段差を低減することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では薄膜磁気ヘッド装置浮上面の平坦化処理を、第一段階としてAr等の希ガス原子で構成される第1のクラスターイオンを照射することにより浮上面を構成する材料の構成元素からなる生成物(ミキシング層)を形成するとともに、所望の面粗さになるまで浮上面の平坦化を行う。さらに第二段階としてAr等の希ガス原子で構成される第2のクラスターイオンを低エネルギーで照射することにより、このミキシング層を除去する。
【0014】
第一段階におけるクラスターイオンビームの照射により、浮上面にはミキシング層が形成されているため、浮上面を構成する材料間のスパッタレート差が緩和され、面粗さと積層膜間の段差低減を図ることができる。
【0015】
ところで、上記したミキシング層の厚さ及びダメージ層除去するために、第二段階では第一段階よりも低いエネルギーでAr等の希ガスのクラスターイオンを照射する。上記した2つのイオンビーム照射を順次もしくは交互に行っても良い。
【0016】
また、第一段階におけるArイオンビームの照射の代替として、少なくとも酸素または窒素を含有するクラスターイオンビームを照射して、浮上面を構成する材料の酸化物または窒化物を浮上面上に形成しても良い。
【0017】
一般に、金属酸化物や窒化物はもとの金属とは異なったスパッタレートを持つ。特に金属酸化物は共有結合物質であるため、イオン結合物質である純金属よりもスパッタレートが低くなることが多い。一方、磁気ヘッドの浮上面はスパッタレートの低い金属酸化物薄膜とスパッタレートの高い金属薄膜の積層構造であるため、上述のように、第一段階のクラスターイオンビームの照射でスパッタレートの高い金属膜部分をスパッタレートの低い金属酸化膜に変えることにより、材料間段差を低減することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本願発明の具体的な実施例を説明する前に、ガスクラスターイオンビームによる表面平坦化について、簡単に説明する。
ガスクラスターイオンビームは、原子または分子1個からなるモノマーイオンビームに対して、原子が数百〜数千個の固まりになったものである。クラスターイオンビームの形成は、たとえば非特許文献1であるMaterials Science & Engineering R34、p.231(2001)等に述べられている。
【0019】
すなわち、数気圧に加圧されたクラスターを形成するガスをノズルから真空中に噴射する。このとき、断熱膨張によって数百から数千個の原子からなるクラスターが形成される。このクラスターを、スキマーを通じてイオン化部に導入する。イオン化部で電子衝撃によりイオン化されたクラスターイオンは、加速電極に印加された加速電圧により加速され、ワークに照射される。
【0020】
モノマーイオンビームの場合、スパッタされた粒子は一般にコサイン則に従って飛散するが、ガスクラスターイオンビームの場合、照射表面と水平な方向へのスパッタリング(ラテラルスパッタリング)が発生し、表面の超平坦化処理が可能であることが特許文献1〜4等に述べられている。
【0021】
Ar等の希ガスのガスクラスターイオンを照射すると、ワークを構成している原子の一部は表面から飛び出し、一部はクラスターの入射地点付近に再付着する。凸部の頂上付近は飛び出す割合が多いが、ラテラルスパッタリングの効果により、山の中腹や谷間では横方向に移動した原子が入射地点付近に再付着し、残留する割合が多くなる。この現象の繰り返しによりワーク表面は平坦化される。
【0022】
また、ガスクラスターイオンビームのスパッタリング率はモノマーイオンビームの約10倍程度と高いことも特徴の一つである。さらにモノマーイオンでワークへの入射エネルギーを数十eVにすることは空間電荷効果によりビームが拡散してしまうため困難であるが、クラスターイオンではワークへの衝突の瞬間にクラスターが崩壊して、クラスターイオンの入射エネルギーを個々の原子を分け合うため、数keVで照射しても等価的に数eVのビームを得ることが容易である。
【0023】
次に、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
一般に、薄膜磁気ヘッド装置12は図1に示すように、ウェハ工程において薄膜プロセスを用いて基板11上に再生素子、記録素子を形成した後、基板を切断し、その切断面に浮上面としての加工を施すことで作成される。従って、薄膜磁気ヘッド装置の浮上面の再生素子及び記録素子の領域には、ウェハ工程で形成された機能性薄膜の積層構造の断面が露出することになる。
【0024】
図2は本発明の第1の実施の形態を説明する工程断面図であって、図1の薄膜磁気ヘッド装置12における記録・再生素子部を拡大して描いたものである。ここでは、誘導型記録素子と巨大磁気抵抗効果(GMR)膜を用いた再生素子を備えた薄膜磁気ヘッド装置を例に説明するが、他の素子構成であっても同様の効果が得られる。
【0025】
一般に、基板1はAl2O3−TiC等のセラミック材料、及び絶縁体膜2はAl2O3等の金属酸化物が用いられる。一方、磁気シールド3、GMR積層膜4、磁極5等の機能性薄膜には例えばNiFeやPtMn等の金属材料が用いられている。磁気ヘッド浮上面にはこれらの材料の積層構造が露出している。
【0026】
浮上面は機械的研磨やCMPを用いて平坦化加工を行うが、硬度が高く化学反応性も低い基板1や絶縁体膜2と、比較的硬度が低く化学反応性も高い磁気シールド3、GMR積層膜4、磁極5の間では、加工能率の違いにより、図2(a)に示すような材料間段差7が存在する。ここで、材料間段差7は浮上面を構成する各部材における粗さ平均線高さの最大、最小間で定義する。今回評価したサンプルの材料間段差7は5nm程度であり、機械的研磨やCMPではこれ以下にすることは非常に困難である。
【0027】
図2(b)に示すように、第一段階の工程として記録・再生素子部を含む浮上面にArクラスターイオンビーム9を照射する。照射条件は、平均クラスターサイズが1000個以上でAr原子1個当たりの平均エネルギーが10eV以上となる加速電圧とする。例えば平均クラスターサイズが2000個のガスクラスターイオンビームであれば、加速電圧は20kV以上とする。この操作によって、上述のようにラテラルスパッタが発生して浮上面構成部材の原子の一部が凸部から凹部に向かって移動して表面の平坦化が行われる。さらに、ラテラルスパッタは浮上面構成部材間でも発生する為、平坦化の進行とともに、近接する部材からその構成原子が飛来する。
【0028】
一方、クラスターがワーク表面に衝突すると、その衝撃エネルギーにより、浮上面の最表面にある原子が膜内部に押し込まれる。すなわち、近接する層から飛来した原子が膜内部に押し込まれたミキシング層8が浮上面上に形成される。ミキシング層8の厚さはクラスターのワーク表面への衝撃エネルギーに依存し、一般的には高いスパッタレートを得られる高加速電圧での照射ほどミキシング層8が形成されやすく、その厚さも大きい。Ar原子1個当たりの平均エネルギーが10eV以上で、ミキシング層の形成が顕著に認められる。
【0029】
ところで、機能性薄膜上に形成されたミキシング層8は、元々の機能性薄膜が備えた機能を有しないため、ミキシング層8が浮上面上に残った状態では記録・再生素子の特性を劣化または低下させてしまう。
【0030】
そこで、第二段階の工程としてミキシング層8を除去する目的で、Arクラスターイオンビーム10を照射した(図2(c))。照射条件は、平均クラスターサイズが2000個以上で、Ar原子1個当たりの平均エネルギーが5eV以下となる加速電圧とする。例えば平均クラスターサイズが2000個のガスクラスターイオンビームであれば、加速電圧は10kV以下とする。ガスクラスターイオンビームによるスパッタリングにおいても、一般に金属材料はスパッタレートが高く、金属酸化物材料はスパッタレートが低い。
【0031】
しかしながら、本方法では、第一段階の工程で浮上面全面にほぼ同じ組成を持ったミキシング層8を形成しているため、浮上面を構成する各部材のスパッタレート差を気にすることなく、図2(d)に示すように面粗さ及び材料間段差73を約1nmまで低減することができた。
【0032】
上記した操作を一度行うだけでは十分に面粗さ及び材料間段差73の低減が不充分である場合は、一連の操作を繰り返し行うことで所望の面粗さ及び材料間段差73を得ることができる。
【0033】
一方で、上記の操作を行わずにAr原子1個当たりの平均エネルギーが10eVよりも小さくなる低加速電圧でガスクラスターイオンビームを照射した場合、ミキシング層の形成を抑制することは可能である。しかしながら、元々、研磨加工能率が高いために、金属材料である磁気シールド3、GMR積層膜4、磁極5の粗さ平均線は、セラミック基板1や金属酸化物から成る絶縁体膜2の粗さ平均線よりも低い位置にある。それに加えて上述のように材料間のスパッタレート差のため、低加速電圧でガスクラスターイオンビームを照射した場合、基板1や絶縁体膜2よりも磁気シールド3、GMR積層膜4、磁極5の方が高いレートで削られ、加工段差7が増加する。
【0034】
Arクラスターイオンビームの照射方法は以下の方法で行った。ビーム照射装置の概略を図3に示す。図3には示されていないが、クラスター生成室16、イオン化室19、加工室22は真空ポンプで高真空に排気されている。これは、クラスターイオンがワーク24に入射するまでの間に他の原子分子と衝突してビーム量を損なうことを防止するためである。
【0035】
まず、Arガスボンベ13のバルブ14を開け、ガス配管15を通してArガスをノズル17から真空排気されたクラスター生成室16に噴射する。このとき、クラスター生成室16において断熱膨張によってArクラスターが形成される。このArクラスターを、スキマー18を通じてイオン化室19に導入する。イオン化室19でイオン化用電子源20から供給された電子の衝撃によりイオン化されたクラスターイオンビーム9は、加速電極21に印加された加速電圧により加速される。
【0036】
ここで、第一段階の照射における加速電圧は、たとえば30kVに設定した。加速されたクラスターイオンビーム9は加工室22に導入され、ワークホルダー23に固定されたワーク24に照射される。ワークホルダー23を図3に示すようにクラスターイオンビーム9に対して垂直な平面内で上下左右に走査し、Arクラスターイオンビーム9をワーク24の所望の場所に照射する。
【0037】
このとき、ワーク24の表面は平坦化されると共に、その表面上にはミキシング層が形成される。そこで、第一段階終了後、下地にダメージを与えずにミキシング層を除去するために、加速電圧をたとえば10kVに調整し、同様の方法により第二段階としてArクラスターイオンビームをワーク24の所望の場所に照射する。なお、加速電圧以外の、Ar原子2000個以上のクラスターを発生させるための条件は、あらかじめ飛行時間法(Time of Flight;TOF)等によって調べられ、設定される。
【0038】
また、イオンビーム9の照射条件の切り替え時には、ビーム9が不安定になるなどの過渡現象が生じる可能性がある。この過渡状態はワーク24の平坦化プロセスを不安定にする原因であるので、照射条件の切り替え後、ビームが安定になるまでの間、ワークホルダー23をビームの照射領域外に退避させる。
【0039】
第一段階および第二段階の工程をそれぞれ1度ずつ行っただけでは、ワーク24の表面粗さまたは異なる材料間における段差が十分に低減できない場合、上記した第一段階と第二段階の工程を浮上面の表面粗さあるいは浮上面を構成する材料間における段差が所望の値に達成するまで繰り返す。
ところで、以上の説明ではワークホルダー23を上下左右に走査してワーク全体にガスクラスターイオンビーム9を照射する構成としているが、ワークホルダー23を固定して、図示していない偏向電極を用いてガスクラスターイオンビームをスキャンしても同様の効果が得られる。
【0040】
(第2の実施の形態)
図4は本発明の第2の実施の形態を説明する工程断面図であって、図1の薄膜磁気ヘッド装置12における記録・再生素子部を拡大して描いたものである。ここでは、誘導型記録素子とGMR膜を用いた再生素子を備えた薄膜磁気ヘッド装置を例に説明するが、他の素子構成であっても同様の効果が得られる。
【0041】
記録・再生素子の形成された浮上面を機械的研磨やCMPを用いて平坦化加工を行った結果、硬度が高く化学反応性も低い基板1や絶縁体膜2と、比較的硬度が低く化学反応性も高い磁気シールド3、GMR積層膜4、磁極5の間では、材料間の加工能率の違いにより図4(a)に示す材料間段差7が存在する。ここで、材料間段差7は浮上面を構成する各部材における粗さ平均線高さの最大、最小間で定義する。
【0042】
研磨加工終了時には、研磨加工能率が高いために、金属材料である磁気シールド3、GMR積層膜4、磁極5の粗さ平均線は、セラミック基板1や金属酸化物から成る絶縁体膜2の粗さ平均線よりも約5nm低い位置にある。それに加えてガスクラスターイオンビームによる加工においても、セラミック基板1や金属酸化膜である絶縁膜3に比べ、金属材料である磁気シールド3、GMR積層膜4、磁極5はスパッタリング率が高く、エッチングが速く進むため、加工条件によってはエッチング段差7が増加する。
【0043】
このスパッタレート差を緩和する目的で、第一段階の工程として図4(b)に示すように、O2クラスターイオンビーム28を照射し、金属材料で構成される磁気シールド3、GMR積層膜4、磁極5の表面を平坦化しながら薄い酸化膜27を形成した。このときの照射条件は、金属表面に金属酸化膜が形成されるための閾値エネルギー以上でO2分子を照射するために、O2分子1個当たりの平均エネルギーが5eV以上となる加速電圧とすることが望ましい。例えば、平均クラスターサイズが2000個のガスクラスターイオンビームであれば、加速電圧は10kV以上とする。
【0044】
その後、第二段階の工程として図4(c)に示すように、Arクラスターイオンビーム29を用いて平坦化を行った。照射条件は、ミキシング層を形成しないように第一段階の工程で形成された酸化膜を除去する為に、平均クラスターサイズが2000個以上で、Ar原子1個当たりの平均エネルギーが5eV以下となる加速電圧とすることが望ましい。例えば平均クラスターサイズが2000個のガスクラスターイオンビームであれば、加速電圧は10kV以下とする。
【0045】
金属材料である磁気シールド3、GMR膜4、磁極5表面にスパッタレートの低い薄い酸化膜27が形成されることによって、磁気シールド3、GMR膜4、磁極5のスパッタを抑制できるため、浮上面全体の面粗さ及び浮上面を構成する複数の材料間段差75を約1nmまで低減することができた。
【0046】
上記した操作を一度行うだけでは十分に面粗さ及び材料間段差75の低減が不充分である場合は、一連の操作を繰り返し行うことで所望の面粗さ及び材料間段差75を得ることができる。
【0047】
ここで、O2クラスターイオンビーム28とArクラスターイオンビーム29の照射方法について、さらに詳細を説明する。
第1の照射方法を、図5に示す。図5には示されていないが、クラスター生成室161、イオン化室191、加工室221は真空ポンプで高真空に排気されている。これは、クラスターイオン28がワーク241に入射するまでの間に他の原子分子と衝突してビーム量を損なうことを防止するためである。
【0048】
まず、O2ガスボンベ30からO2を供給してO2クラスターイオンビームをワーク241に照射する過程は図3に示した場合と同様である。このO2クラスターイオンビームの照射により、ワーク241の表面に酸化膜を形成しながら所望の面粗さまで平坦化を行う。その後、Arガスボンベ32のバルブ33を開け、同様の方法によりArクラスターイオンビームを発生させ、ワーク241に照射し、酸化膜の除去を行う。
【0049】
O2クラスターイオンビームの照射において、金属表面に金属酸化膜が形成されるための閾値エネルギー以上でO2分子を照射するために、O2分子1個当たりの平均エネルギーが5eV以上となる加速電圧とすることが望ましい。例えば、平均クラスターサイズが2000個のガスクラスターイオンビームであれば、加速電圧は10kV以上とする。
引き続いてArクラスターイオンビームを照射する際に、O2クラスターイオンビームによって形成された金属酸化膜の下地にミキシング層を形成しないように、照射条件は、平均クラスターサイズが2000個以上で、Ar原子1個当たりの平均エネルギーが5eV以下となる加速電圧とすることが望ましい。例えば平均クラスターサイズが2000個のガスクラスターイオンビームであれば、加速電圧は10kV以下とする。
【0050】
また、ガスを切り換えた直後にはガス配管151にO2が残留しているため、O2とArが混合したクラスターイオンが発生したり、ノズル前段の圧力が高まるまでの期間に小さいサイズのクラスターイオンが発生する過渡期が存在する。この過渡期はプロセスに悪影響を与えるので、ガス配管151に残留したO2が排気されるまでの間、ワークホルダー231をビームの照射領域外に退避させることが良い。
【0051】
第2の照射方法を、図6に示す。O2ガスボンベ301及びArガスボンベ321のバルブ311及び331を開け、ガス配管152、153を経てAr及びO2をそれぞれノズル171、172から真空排気されたクラスター生成室162及び163に噴射する。このとき、クラスター生成室162及び163において断熱膨張によってO2クラスター、及びArクラスターがそれぞれ形成される。
【0052】
これらのクラスターを、スキマー182、183を通じてイオン化室192、193に導入する。それぞれのイオン化室で、イオン化用電子源202、203から供給された電子の衝撃によりイオン化されたクラスターイオン28、29はそれぞれ加速電極212、213に印加された加速電圧により加速され、加工室222に導入され、ワークホルダー232に固定されたワーク242に照射される。
【0053】
ワークホルダー232を図6に示すように上下左右に走査し、O2クラスターイオンビーム28及びArクラスターイオンビーム29を並行してワーク242に照射する。このときのスキャン方法を図7に示す。すなわち、O2クラスターイオンビーム28及びArクラスターイオンビーム29を左右方向に配置した場合は、まずワーク上の照射領域の最下部まで垂直にスキャンし、その後ビーム径と1乃至1/2倍の距離を水平にスキャンし、さらにワーク上の照射領域の最上部まで垂直にスキャンする操作を照射領域全体に両方のクラスターイオンビームを照射できるまで繰り返す。
【0054】
一方、O2クラスターイオンビーム28及びArクラスターイオンビーム29を上下方向に配置した場合は、まずワーク上の照射領域の左(右)端まで水平にスキャンし、その後ビーム径と1乃至1/2倍の距離を垂直にスキャンし、さらにワーク上の照射領域の右(左)端まで垂直にスキャンする操作を照射領域全体に両方のクラスターイオンビームを照射できるまで繰り返す。上記の操作を一度行っただけでは所望の平坦化がされない場合には、ビーム位置を初期位置まで戻して上記のトレースをたどることを繰り返す。
【0055】
図7(a)または(b)のようなビームの配置、スキャン方向の組み合わせとすることによりO2クラスターイオンビームを照射して酸化膜を形成した後にArクラスターイオンビームにより平坦化するというシーケンスをガスの切り換えを行うことなくin―situで行うことができる。
【0056】
尚、O2クラスターイオンビームの照射において、金属表面に金属酸化膜が形成されるための閾値エネルギー以上でO2分子を照射するために、O2分子1個当たりの平均エネルギーが5eV以上となる加速電圧とする望ましい。例えば、平均クラスターサイズが2000個のガスクラスターイオンビームであれば、加速電圧は10kV以上とする。
【0057】
Arクラスターイオンビームとして、前述のように平均クラスターサイズが2000個以上で、Ar原子1個当たりの平均エネルギーが5eV以下となる加速電圧、すなわち、2000個以上のAr原子から成るArクラスターイオンを10keV以下で照射することが望ましい。
【0058】
第3の方法はArとO2の混合ガスを用いる場合であって、クラスターイオンビームの照射装置構成は図3と同じである。浮上面に露出している材料の酸化し易さに応じて、予めArとO2の混合比を調整してガスボンベ13に充填されている。また、イオンビームの照射条件は、クラスターイオン中に含まれる酸素により形成した金属酸化膜の下地にミキシング層を形成しないように、平均クラスターサイズが2000個以上で、O2分子及びAr原子1個当たりの平均エネルギーが5eV以上10eV以下となる加速電圧、すなわち、2000個以上のAr原子及びO2分子からなるクラスターイオンを10keV以上20keV以下で照射することが望ましい。
【0059】
以上の説明において、浮上面を構成する金属の酸化膜を形成するためにO2クラスターイオンビームを用いたが、CO2、CO等の酸素を構成元素として含む化合物のガスクラスターイオンビームによっても同様の効果を得ることができた。
【0060】
また、浮上面の表面に形成した金属酸化膜を利用して、異種材料で構成された浮上面の平坦化について述べたが、金属の窒化物を利用しても同様の効果が得られる。この場合、N2、NH3等の窒素を含む化合物のガスクラスターイオンビームを生成して浮上面に供給すればよい。さらに、NO、NO2、N2O等、窒素と酸素を構成元素に含む化合物の場合は、金属表面を窒化するよりは酸化する力のほうが強いので、酸素を構成元素として含む化合物のガスクラスターイオンビームと同様に現象により平坦化をすることが可能である。
【0061】
【発明の効果】
薄膜磁気ヘッド装置の浮上面加工に対して、ガスクラスターイオンビームを利用することによって、浮上面を構成する異種材料間での選択加工性を低減し、平坦な浮上面の形勢を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】薄膜磁気ヘッド装置の製造工程を示す概念図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を説明する工程断面図である。
【図3】ガスクラスターイオンビーム装置の概念図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を説明する工程断面図である。
【図5】異種原料ガスを用いたガスクラスターイオンビーム装置の概念図である。
【図6】異種原料ガスを用いたガスクラスターイオンビーム装置の別の概念図である。
【図7】異種クラスターイオンビームの配置及び走査方向を示す図である。
【符号の説明】
1…基板、2…絶縁膜、3…磁気シールド、4…GMR膜、5…磁極、6…コイル、7、71、72、73、74、75…材料間段差、8…ミキシング層、9、10…Arクラスターイオンビーム、11…ウェハ、12…薄膜磁気ヘッド装置、13、32、321…Arガスボンベ、14、31、33、311、331…バルブ、15、151、152、153、154…ガス配管、16、161、162、163…クラスター生成室、17、171、172、173…ノズル、18、181、182、183…スキマー、19、191、192、193…イオン化室、20、201、202、203…イオン化用電子源、21、211、212、213…加速電極、22、221、222…加工室、23、231、232…ワークホルダー、24、241、242…ワーク、27…酸化膜、28…Arクラスターイオンビーム、29…O2クラスターイオンビーム、30、301…O2ガスボンベ
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録装置に使用されている薄膜磁気ヘッド装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットを初めとする情報技術(IT)の発展が急速に進み、膨大な情報を高速で記録・再生する技術が要求されている。そのため、外部記録装置の主力である磁気ディスク装置(HDD)では、記録密度が年率60〜100%で向上を続けている。HDDの記録密度向上によって、記録・再生を行う薄膜磁気ヘッド装置はより微小な領域を磁化したり、より微小な領域からの漏れ磁束を検出する必要がある。
【0003】
このため、磁気ディスクに対して薄膜磁気ヘッド装置を安定に浮上させ、磁気ディスクとの衝突を防止しながら記録・再生を安定に行うためには、薄膜磁気ヘッド装置の磁気ディスクと相対する面(浮上面)を十分に平坦化する必要がある。
【0004】
薄膜磁気ヘッド装置は、薄膜プロセスを用いて基板上に再生素子、記録素子を形成(ウェハ工程)した後、基板を切断し、その切断面に浮上面としての加工を施すことで作成される。従来、浮上面の平坦化には機械的研磨や化学的機械的研磨(CMP)を用いて行われてが、これらの方法で得られる表面粗さは5nm程度が限界である。
【0005】
一方、超平坦面の創生技術として、ガスクラスターイオンビームに関して非特許文献1に、また、その加工法に関する技術が特許文献1〜4に、そして、化学反応性を有するガスをクラスターイオン化することで、イオンビーム照射面の平坦化と同時に化合物薄膜を形成する、あるいは表面の改質を行う技術が特許文献5〜7に詳しく開示されている。
【0006】
【非特許文献1】
Materials Science & Engineering R34、p.231(2001)
【特許文献1】
特開平11−120547号公報
【特許文献2】
特開平8−120470号公報
【特許文献3】
特開平8−293483号公報
【特許文献4】
特開2001−36164号公報
【特許文献5】
特開平8−127867号公報
【特許文献6】
特開平8−293483号公報
【特許文献7】
特開2000−87227号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、ガスクラスターイオンビーム加工法は薄膜表面の平坦化技術として有望である。しかし、薄膜磁気ヘッド装置浮上面の加工に適用するには、以下に述べるような課題がある。
【0008】
即ち、薄膜磁気ヘッド装置の浮上面において、再生素子及び記録素子の領域ではウェハ工程で形成された機能性薄膜の積層構造の断面が露出することになる。ウェハ切断の後、浮上面の形成は機械的研磨またはCMP等によってなされるが、このとき露出した積層断面の各層の固さや化学反応性の違いによって積層膜の間で段差(材料間段差)が発生する。
【0009】
一方、ガスクラスターイオンビームによるスパッタレートは材料によって異なるため、ガスクラスターイオンビームを異なる材料で構成された積層膜の断面、即ち、浮上面の平坦化に適用した場合、局所的には平坦化なされるが、積層膜間の材料間段差は必ずしも解消されない。すなわち、研磨法における研磨速度が遅く、ガスクラスターイオンビームによるスパッタリング率も小さい材料と研磨速度が速く、ガスクラスターイオンビームによるスパッタリング率も大きい材料との間では、逆に材料間段差が拡大される。
【0010】
また、例えば巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用した再生素子やトンネル磁気抵抗効果(TMR)を利用した再生素子は、ウェハ工程において数nm程度の薄膜を多数積層して形成される。したがって、浮上面における再生素子部では、複数の異なった材料で構成される数nm程度の薄膜の積層断面が露出する。このような積層断面部にガスクラスターイオンビームを照射すると、周囲からラテラルスパッタリング効果により飛来した原子からなるミキシング層が形成される。
【0011】
この生成物が導体の場合には、一部の電流がこの生成物を通って流れるため、GMR素子やTMR素子の感度を損なう原因となる。また生成物が不導体であっても、生成物の膜厚分だけ不感層ができるため、感度低下の原因となる。また、クラスターが入射したことにより、結晶構造が乱れるなどの深さ方向のダメージが発生し、これも感度低下の原因である。
【0012】
本発明の目的は、上記課題に鑑みて、材料間の選択性の少ないガスクラスターイオンビーム加工方法を提供し、2種類以上の異なった材料で構成される薄膜磁気ヘッド装置浮上面の面粗さや材料間段差を低減することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では薄膜磁気ヘッド装置浮上面の平坦化処理を、第一段階としてAr等の希ガス原子で構成される第1のクラスターイオンを照射することにより浮上面を構成する材料の構成元素からなる生成物(ミキシング層)を形成するとともに、所望の面粗さになるまで浮上面の平坦化を行う。さらに第二段階としてAr等の希ガス原子で構成される第2のクラスターイオンを低エネルギーで照射することにより、このミキシング層を除去する。
【0014】
第一段階におけるクラスターイオンビームの照射により、浮上面にはミキシング層が形成されているため、浮上面を構成する材料間のスパッタレート差が緩和され、面粗さと積層膜間の段差低減を図ることができる。
【0015】
ところで、上記したミキシング層の厚さ及びダメージ層除去するために、第二段階では第一段階よりも低いエネルギーでAr等の希ガスのクラスターイオンを照射する。上記した2つのイオンビーム照射を順次もしくは交互に行っても良い。
【0016】
また、第一段階におけるArイオンビームの照射の代替として、少なくとも酸素または窒素を含有するクラスターイオンビームを照射して、浮上面を構成する材料の酸化物または窒化物を浮上面上に形成しても良い。
【0017】
一般に、金属酸化物や窒化物はもとの金属とは異なったスパッタレートを持つ。特に金属酸化物は共有結合物質であるため、イオン結合物質である純金属よりもスパッタレートが低くなることが多い。一方、磁気ヘッドの浮上面はスパッタレートの低い金属酸化物薄膜とスパッタレートの高い金属薄膜の積層構造であるため、上述のように、第一段階のクラスターイオンビームの照射でスパッタレートの高い金属膜部分をスパッタレートの低い金属酸化膜に変えることにより、材料間段差を低減することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本願発明の具体的な実施例を説明する前に、ガスクラスターイオンビームによる表面平坦化について、簡単に説明する。
ガスクラスターイオンビームは、原子または分子1個からなるモノマーイオンビームに対して、原子が数百〜数千個の固まりになったものである。クラスターイオンビームの形成は、たとえば非特許文献1であるMaterials Science & Engineering R34、p.231(2001)等に述べられている。
【0019】
すなわち、数気圧に加圧されたクラスターを形成するガスをノズルから真空中に噴射する。このとき、断熱膨張によって数百から数千個の原子からなるクラスターが形成される。このクラスターを、スキマーを通じてイオン化部に導入する。イオン化部で電子衝撃によりイオン化されたクラスターイオンは、加速電極に印加された加速電圧により加速され、ワークに照射される。
【0020】
モノマーイオンビームの場合、スパッタされた粒子は一般にコサイン則に従って飛散するが、ガスクラスターイオンビームの場合、照射表面と水平な方向へのスパッタリング(ラテラルスパッタリング)が発生し、表面の超平坦化処理が可能であることが特許文献1〜4等に述べられている。
【0021】
Ar等の希ガスのガスクラスターイオンを照射すると、ワークを構成している原子の一部は表面から飛び出し、一部はクラスターの入射地点付近に再付着する。凸部の頂上付近は飛び出す割合が多いが、ラテラルスパッタリングの効果により、山の中腹や谷間では横方向に移動した原子が入射地点付近に再付着し、残留する割合が多くなる。この現象の繰り返しによりワーク表面は平坦化される。
【0022】
また、ガスクラスターイオンビームのスパッタリング率はモノマーイオンビームの約10倍程度と高いことも特徴の一つである。さらにモノマーイオンでワークへの入射エネルギーを数十eVにすることは空間電荷効果によりビームが拡散してしまうため困難であるが、クラスターイオンではワークへの衝突の瞬間にクラスターが崩壊して、クラスターイオンの入射エネルギーを個々の原子を分け合うため、数keVで照射しても等価的に数eVのビームを得ることが容易である。
【0023】
次に、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
一般に、薄膜磁気ヘッド装置12は図1に示すように、ウェハ工程において薄膜プロセスを用いて基板11上に再生素子、記録素子を形成した後、基板を切断し、その切断面に浮上面としての加工を施すことで作成される。従って、薄膜磁気ヘッド装置の浮上面の再生素子及び記録素子の領域には、ウェハ工程で形成された機能性薄膜の積層構造の断面が露出することになる。
【0024】
図2は本発明の第1の実施の形態を説明する工程断面図であって、図1の薄膜磁気ヘッド装置12における記録・再生素子部を拡大して描いたものである。ここでは、誘導型記録素子と巨大磁気抵抗効果(GMR)膜を用いた再生素子を備えた薄膜磁気ヘッド装置を例に説明するが、他の素子構成であっても同様の効果が得られる。
【0025】
一般に、基板1はAl2O3−TiC等のセラミック材料、及び絶縁体膜2はAl2O3等の金属酸化物が用いられる。一方、磁気シールド3、GMR積層膜4、磁極5等の機能性薄膜には例えばNiFeやPtMn等の金属材料が用いられている。磁気ヘッド浮上面にはこれらの材料の積層構造が露出している。
【0026】
浮上面は機械的研磨やCMPを用いて平坦化加工を行うが、硬度が高く化学反応性も低い基板1や絶縁体膜2と、比較的硬度が低く化学反応性も高い磁気シールド3、GMR積層膜4、磁極5の間では、加工能率の違いにより、図2(a)に示すような材料間段差7が存在する。ここで、材料間段差7は浮上面を構成する各部材における粗さ平均線高さの最大、最小間で定義する。今回評価したサンプルの材料間段差7は5nm程度であり、機械的研磨やCMPではこれ以下にすることは非常に困難である。
【0027】
図2(b)に示すように、第一段階の工程として記録・再生素子部を含む浮上面にArクラスターイオンビーム9を照射する。照射条件は、平均クラスターサイズが1000個以上でAr原子1個当たりの平均エネルギーが10eV以上となる加速電圧とする。例えば平均クラスターサイズが2000個のガスクラスターイオンビームであれば、加速電圧は20kV以上とする。この操作によって、上述のようにラテラルスパッタが発生して浮上面構成部材の原子の一部が凸部から凹部に向かって移動して表面の平坦化が行われる。さらに、ラテラルスパッタは浮上面構成部材間でも発生する為、平坦化の進行とともに、近接する部材からその構成原子が飛来する。
【0028】
一方、クラスターがワーク表面に衝突すると、その衝撃エネルギーにより、浮上面の最表面にある原子が膜内部に押し込まれる。すなわち、近接する層から飛来した原子が膜内部に押し込まれたミキシング層8が浮上面上に形成される。ミキシング層8の厚さはクラスターのワーク表面への衝撃エネルギーに依存し、一般的には高いスパッタレートを得られる高加速電圧での照射ほどミキシング層8が形成されやすく、その厚さも大きい。Ar原子1個当たりの平均エネルギーが10eV以上で、ミキシング層の形成が顕著に認められる。
【0029】
ところで、機能性薄膜上に形成されたミキシング層8は、元々の機能性薄膜が備えた機能を有しないため、ミキシング層8が浮上面上に残った状態では記録・再生素子の特性を劣化または低下させてしまう。
【0030】
そこで、第二段階の工程としてミキシング層8を除去する目的で、Arクラスターイオンビーム10を照射した(図2(c))。照射条件は、平均クラスターサイズが2000個以上で、Ar原子1個当たりの平均エネルギーが5eV以下となる加速電圧とする。例えば平均クラスターサイズが2000個のガスクラスターイオンビームであれば、加速電圧は10kV以下とする。ガスクラスターイオンビームによるスパッタリングにおいても、一般に金属材料はスパッタレートが高く、金属酸化物材料はスパッタレートが低い。
【0031】
しかしながら、本方法では、第一段階の工程で浮上面全面にほぼ同じ組成を持ったミキシング層8を形成しているため、浮上面を構成する各部材のスパッタレート差を気にすることなく、図2(d)に示すように面粗さ及び材料間段差73を約1nmまで低減することができた。
【0032】
上記した操作を一度行うだけでは十分に面粗さ及び材料間段差73の低減が不充分である場合は、一連の操作を繰り返し行うことで所望の面粗さ及び材料間段差73を得ることができる。
【0033】
一方で、上記の操作を行わずにAr原子1個当たりの平均エネルギーが10eVよりも小さくなる低加速電圧でガスクラスターイオンビームを照射した場合、ミキシング層の形成を抑制することは可能である。しかしながら、元々、研磨加工能率が高いために、金属材料である磁気シールド3、GMR積層膜4、磁極5の粗さ平均線は、セラミック基板1や金属酸化物から成る絶縁体膜2の粗さ平均線よりも低い位置にある。それに加えて上述のように材料間のスパッタレート差のため、低加速電圧でガスクラスターイオンビームを照射した場合、基板1や絶縁体膜2よりも磁気シールド3、GMR積層膜4、磁極5の方が高いレートで削られ、加工段差7が増加する。
【0034】
Arクラスターイオンビームの照射方法は以下の方法で行った。ビーム照射装置の概略を図3に示す。図3には示されていないが、クラスター生成室16、イオン化室19、加工室22は真空ポンプで高真空に排気されている。これは、クラスターイオンがワーク24に入射するまでの間に他の原子分子と衝突してビーム量を損なうことを防止するためである。
【0035】
まず、Arガスボンベ13のバルブ14を開け、ガス配管15を通してArガスをノズル17から真空排気されたクラスター生成室16に噴射する。このとき、クラスター生成室16において断熱膨張によってArクラスターが形成される。このArクラスターを、スキマー18を通じてイオン化室19に導入する。イオン化室19でイオン化用電子源20から供給された電子の衝撃によりイオン化されたクラスターイオンビーム9は、加速電極21に印加された加速電圧により加速される。
【0036】
ここで、第一段階の照射における加速電圧は、たとえば30kVに設定した。加速されたクラスターイオンビーム9は加工室22に導入され、ワークホルダー23に固定されたワーク24に照射される。ワークホルダー23を図3に示すようにクラスターイオンビーム9に対して垂直な平面内で上下左右に走査し、Arクラスターイオンビーム9をワーク24の所望の場所に照射する。
【0037】
このとき、ワーク24の表面は平坦化されると共に、その表面上にはミキシング層が形成される。そこで、第一段階終了後、下地にダメージを与えずにミキシング層を除去するために、加速電圧をたとえば10kVに調整し、同様の方法により第二段階としてArクラスターイオンビームをワーク24の所望の場所に照射する。なお、加速電圧以外の、Ar原子2000個以上のクラスターを発生させるための条件は、あらかじめ飛行時間法(Time of Flight;TOF)等によって調べられ、設定される。
【0038】
また、イオンビーム9の照射条件の切り替え時には、ビーム9が不安定になるなどの過渡現象が生じる可能性がある。この過渡状態はワーク24の平坦化プロセスを不安定にする原因であるので、照射条件の切り替え後、ビームが安定になるまでの間、ワークホルダー23をビームの照射領域外に退避させる。
【0039】
第一段階および第二段階の工程をそれぞれ1度ずつ行っただけでは、ワーク24の表面粗さまたは異なる材料間における段差が十分に低減できない場合、上記した第一段階と第二段階の工程を浮上面の表面粗さあるいは浮上面を構成する材料間における段差が所望の値に達成するまで繰り返す。
ところで、以上の説明ではワークホルダー23を上下左右に走査してワーク全体にガスクラスターイオンビーム9を照射する構成としているが、ワークホルダー23を固定して、図示していない偏向電極を用いてガスクラスターイオンビームをスキャンしても同様の効果が得られる。
【0040】
(第2の実施の形態)
図4は本発明の第2の実施の形態を説明する工程断面図であって、図1の薄膜磁気ヘッド装置12における記録・再生素子部を拡大して描いたものである。ここでは、誘導型記録素子とGMR膜を用いた再生素子を備えた薄膜磁気ヘッド装置を例に説明するが、他の素子構成であっても同様の効果が得られる。
【0041】
記録・再生素子の形成された浮上面を機械的研磨やCMPを用いて平坦化加工を行った結果、硬度が高く化学反応性も低い基板1や絶縁体膜2と、比較的硬度が低く化学反応性も高い磁気シールド3、GMR積層膜4、磁極5の間では、材料間の加工能率の違いにより図4(a)に示す材料間段差7が存在する。ここで、材料間段差7は浮上面を構成する各部材における粗さ平均線高さの最大、最小間で定義する。
【0042】
研磨加工終了時には、研磨加工能率が高いために、金属材料である磁気シールド3、GMR積層膜4、磁極5の粗さ平均線は、セラミック基板1や金属酸化物から成る絶縁体膜2の粗さ平均線よりも約5nm低い位置にある。それに加えてガスクラスターイオンビームによる加工においても、セラミック基板1や金属酸化膜である絶縁膜3に比べ、金属材料である磁気シールド3、GMR積層膜4、磁極5はスパッタリング率が高く、エッチングが速く進むため、加工条件によってはエッチング段差7が増加する。
【0043】
このスパッタレート差を緩和する目的で、第一段階の工程として図4(b)に示すように、O2クラスターイオンビーム28を照射し、金属材料で構成される磁気シールド3、GMR積層膜4、磁極5の表面を平坦化しながら薄い酸化膜27を形成した。このときの照射条件は、金属表面に金属酸化膜が形成されるための閾値エネルギー以上でO2分子を照射するために、O2分子1個当たりの平均エネルギーが5eV以上となる加速電圧とすることが望ましい。例えば、平均クラスターサイズが2000個のガスクラスターイオンビームであれば、加速電圧は10kV以上とする。
【0044】
その後、第二段階の工程として図4(c)に示すように、Arクラスターイオンビーム29を用いて平坦化を行った。照射条件は、ミキシング層を形成しないように第一段階の工程で形成された酸化膜を除去する為に、平均クラスターサイズが2000個以上で、Ar原子1個当たりの平均エネルギーが5eV以下となる加速電圧とすることが望ましい。例えば平均クラスターサイズが2000個のガスクラスターイオンビームであれば、加速電圧は10kV以下とする。
【0045】
金属材料である磁気シールド3、GMR膜4、磁極5表面にスパッタレートの低い薄い酸化膜27が形成されることによって、磁気シールド3、GMR膜4、磁極5のスパッタを抑制できるため、浮上面全体の面粗さ及び浮上面を構成する複数の材料間段差75を約1nmまで低減することができた。
【0046】
上記した操作を一度行うだけでは十分に面粗さ及び材料間段差75の低減が不充分である場合は、一連の操作を繰り返し行うことで所望の面粗さ及び材料間段差75を得ることができる。
【0047】
ここで、O2クラスターイオンビーム28とArクラスターイオンビーム29の照射方法について、さらに詳細を説明する。
第1の照射方法を、図5に示す。図5には示されていないが、クラスター生成室161、イオン化室191、加工室221は真空ポンプで高真空に排気されている。これは、クラスターイオン28がワーク241に入射するまでの間に他の原子分子と衝突してビーム量を損なうことを防止するためである。
【0048】
まず、O2ガスボンベ30からO2を供給してO2クラスターイオンビームをワーク241に照射する過程は図3に示した場合と同様である。このO2クラスターイオンビームの照射により、ワーク241の表面に酸化膜を形成しながら所望の面粗さまで平坦化を行う。その後、Arガスボンベ32のバルブ33を開け、同様の方法によりArクラスターイオンビームを発生させ、ワーク241に照射し、酸化膜の除去を行う。
【0049】
O2クラスターイオンビームの照射において、金属表面に金属酸化膜が形成されるための閾値エネルギー以上でO2分子を照射するために、O2分子1個当たりの平均エネルギーが5eV以上となる加速電圧とすることが望ましい。例えば、平均クラスターサイズが2000個のガスクラスターイオンビームであれば、加速電圧は10kV以上とする。
引き続いてArクラスターイオンビームを照射する際に、O2クラスターイオンビームによって形成された金属酸化膜の下地にミキシング層を形成しないように、照射条件は、平均クラスターサイズが2000個以上で、Ar原子1個当たりの平均エネルギーが5eV以下となる加速電圧とすることが望ましい。例えば平均クラスターサイズが2000個のガスクラスターイオンビームであれば、加速電圧は10kV以下とする。
【0050】
また、ガスを切り換えた直後にはガス配管151にO2が残留しているため、O2とArが混合したクラスターイオンが発生したり、ノズル前段の圧力が高まるまでの期間に小さいサイズのクラスターイオンが発生する過渡期が存在する。この過渡期はプロセスに悪影響を与えるので、ガス配管151に残留したO2が排気されるまでの間、ワークホルダー231をビームの照射領域外に退避させることが良い。
【0051】
第2の照射方法を、図6に示す。O2ガスボンベ301及びArガスボンベ321のバルブ311及び331を開け、ガス配管152、153を経てAr及びO2をそれぞれノズル171、172から真空排気されたクラスター生成室162及び163に噴射する。このとき、クラスター生成室162及び163において断熱膨張によってO2クラスター、及びArクラスターがそれぞれ形成される。
【0052】
これらのクラスターを、スキマー182、183を通じてイオン化室192、193に導入する。それぞれのイオン化室で、イオン化用電子源202、203から供給された電子の衝撃によりイオン化されたクラスターイオン28、29はそれぞれ加速電極212、213に印加された加速電圧により加速され、加工室222に導入され、ワークホルダー232に固定されたワーク242に照射される。
【0053】
ワークホルダー232を図6に示すように上下左右に走査し、O2クラスターイオンビーム28及びArクラスターイオンビーム29を並行してワーク242に照射する。このときのスキャン方法を図7に示す。すなわち、O2クラスターイオンビーム28及びArクラスターイオンビーム29を左右方向に配置した場合は、まずワーク上の照射領域の最下部まで垂直にスキャンし、その後ビーム径と1乃至1/2倍の距離を水平にスキャンし、さらにワーク上の照射領域の最上部まで垂直にスキャンする操作を照射領域全体に両方のクラスターイオンビームを照射できるまで繰り返す。
【0054】
一方、O2クラスターイオンビーム28及びArクラスターイオンビーム29を上下方向に配置した場合は、まずワーク上の照射領域の左(右)端まで水平にスキャンし、その後ビーム径と1乃至1/2倍の距離を垂直にスキャンし、さらにワーク上の照射領域の右(左)端まで垂直にスキャンする操作を照射領域全体に両方のクラスターイオンビームを照射できるまで繰り返す。上記の操作を一度行っただけでは所望の平坦化がされない場合には、ビーム位置を初期位置まで戻して上記のトレースをたどることを繰り返す。
【0055】
図7(a)または(b)のようなビームの配置、スキャン方向の組み合わせとすることによりO2クラスターイオンビームを照射して酸化膜を形成した後にArクラスターイオンビームにより平坦化するというシーケンスをガスの切り換えを行うことなくin―situで行うことができる。
【0056】
尚、O2クラスターイオンビームの照射において、金属表面に金属酸化膜が形成されるための閾値エネルギー以上でO2分子を照射するために、O2分子1個当たりの平均エネルギーが5eV以上となる加速電圧とする望ましい。例えば、平均クラスターサイズが2000個のガスクラスターイオンビームであれば、加速電圧は10kV以上とする。
【0057】
Arクラスターイオンビームとして、前述のように平均クラスターサイズが2000個以上で、Ar原子1個当たりの平均エネルギーが5eV以下となる加速電圧、すなわち、2000個以上のAr原子から成るArクラスターイオンを10keV以下で照射することが望ましい。
【0058】
第3の方法はArとO2の混合ガスを用いる場合であって、クラスターイオンビームの照射装置構成は図3と同じである。浮上面に露出している材料の酸化し易さに応じて、予めArとO2の混合比を調整してガスボンベ13に充填されている。また、イオンビームの照射条件は、クラスターイオン中に含まれる酸素により形成した金属酸化膜の下地にミキシング層を形成しないように、平均クラスターサイズが2000個以上で、O2分子及びAr原子1個当たりの平均エネルギーが5eV以上10eV以下となる加速電圧、すなわち、2000個以上のAr原子及びO2分子からなるクラスターイオンを10keV以上20keV以下で照射することが望ましい。
【0059】
以上の説明において、浮上面を構成する金属の酸化膜を形成するためにO2クラスターイオンビームを用いたが、CO2、CO等の酸素を構成元素として含む化合物のガスクラスターイオンビームによっても同様の効果を得ることができた。
【0060】
また、浮上面の表面に形成した金属酸化膜を利用して、異種材料で構成された浮上面の平坦化について述べたが、金属の窒化物を利用しても同様の効果が得られる。この場合、N2、NH3等の窒素を含む化合物のガスクラスターイオンビームを生成して浮上面に供給すればよい。さらに、NO、NO2、N2O等、窒素と酸素を構成元素に含む化合物の場合は、金属表面を窒化するよりは酸化する力のほうが強いので、酸素を構成元素として含む化合物のガスクラスターイオンビームと同様に現象により平坦化をすることが可能である。
【0061】
【発明の効果】
薄膜磁気ヘッド装置の浮上面加工に対して、ガスクラスターイオンビームを利用することによって、浮上面を構成する異種材料間での選択加工性を低減し、平坦な浮上面の形勢を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】薄膜磁気ヘッド装置の製造工程を示す概念図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を説明する工程断面図である。
【図3】ガスクラスターイオンビーム装置の概念図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を説明する工程断面図である。
【図5】異種原料ガスを用いたガスクラスターイオンビーム装置の概念図である。
【図6】異種原料ガスを用いたガスクラスターイオンビーム装置の別の概念図である。
【図7】異種クラスターイオンビームの配置及び走査方向を示す図である。
【符号の説明】
1…基板、2…絶縁膜、3…磁気シールド、4…GMR膜、5…磁極、6…コイル、7、71、72、73、74、75…材料間段差、8…ミキシング層、9、10…Arクラスターイオンビーム、11…ウェハ、12…薄膜磁気ヘッド装置、13、32、321…Arガスボンベ、14、31、33、311、331…バルブ、15、151、152、153、154…ガス配管、16、161、162、163…クラスター生成室、17、171、172、173…ノズル、18、181、182、183…スキマー、19、191、192、193…イオン化室、20、201、202、203…イオン化用電子源、21、211、212、213…加速電極、22、221、222…加工室、23、231、232…ワークホルダー、24、241、242…ワーク、27…酸化膜、28…Arクラスターイオンビーム、29…O2クラスターイオンビーム、30、301…O2ガスボンベ
Claims (8)
- 異なる材料で構成された浮上面を形成する工程と、該浮上面に第1のガスクラスターイオンビームを照射して、前記材料の構成元素を含む生成物を前記浮上面上に形成する工程と、前記浮上面に第2のガスクラスターイオンビームを照射して、前記生成物を除去する工程とを備えたことを特徴とする薄膜磁気ヘッド装置の製造方法。
- 異なる材料で構成された浮上面を形成する工程と、該浮上面に第1のガスクラスターイオンビームを照射して前記浮上面を平坦化するとともに、前記材料の構成元素を含む生成物を前記浮上面上に形成する工程と、前記浮上面に第2のガスクラスターイオンビームを照射して、前記生成物を除去する工程とを備えたことを特徴とする薄膜磁気ヘッド装置の製造方法。
- 異なる材料で構成された浮上面に第1のガスクラスターイオンビームを照射して、前記材料の構成元素を含む生成物を前記浮上面上に形成する工程と、前記浮上面に第2のガスクラスターイオンビームを照射して、前記生成物を除去する工程とを備え、前記生成物形成工程と前記生成物除去工程とが交互になされることを特徴とする薄膜磁気ヘッド装置の製造方法。
- 前記第2のガスクラスターイオンビームのエネルギーが前記第1のガスクラスターイオンビームのエネルギーよりも小なることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の薄膜磁気ヘッド装置の製造方法。
- 前記第1または第2のガスクラスターイオンビームが希ガスを用いてなされることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の薄膜磁気ヘッド装置の製造方法。
- 前記第1のガスクラスターイオンビームが少なくとも酸素または窒素を含み、前記生成物が少なくとも前記材料の酸化物または窒化物を含んでなることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の薄膜磁気ヘッド装置の製造方法。
- 異なる材料で構成された浮上面を形成する工程と、該浮上面に2種類のガスからなる混合ガスを用いたガスクラスターイオンビームを照射して、前記混合ガスの少なくとも一方のガスと前記材料の構成元素とを反応させて該構成元素を含む生成物を前記浮上面上に形成する工程とを備えてなることを特徴とする薄膜磁気ヘッド装置の製造方法。
- 前記混合ガスの一方が少なくとも酸素または窒素を含むガスであって、前記生成物が少なくとも前記材料の構成元素を含む酸化物または窒化物であることを特徴とする請求項7に記載の薄膜磁気ヘッド装置の製造方法。
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