JP2004118580A - 「塗料組成と塗装条件」の算出方法とそのためのデータベース - Google Patents

「塗料組成と塗装条件」の算出方法とそのためのデータベース Download PDF

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Abstract

【課題】コンピュータを利用することによって塗料組成だけでなく塗装条件までをも探索することによって、デザイナーが創作した新規塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」の組合せを短時間に探索できるようにする技術を実現する。
【解決手段】デザイナーが塗装色作成システム10で創作した新規塗装色の記述データを、塗料組成/塗装条件算出システム20に送信する。探索エンジン24により塗装色/塗料組成/塗装条件データベース26から新規塗装色と近似する塗装色を探索し、算出手段28がその塗装色を実現するであろう「塗料組成と塗装条件」を算出する。微修正手段32が算出された「塗料組成と塗装条件」を微修正する。微修正した「塗料組成と塗装条件」で実現される塗装色と、新規塗装色をコンピュータグラフィックス表示装置12で対比可能に表示する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータグラフィックス画像で創作された新規塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」を算出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】工業デザインの分野では、デザイナーがコンピュータグラフィックス画像を用いて希望する新規塗装色を創り出すことがある。次の段階は、創作された新規塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」を算出することである。文献1および文献2には、塗装色とその塗装色を実現した光輝材の種類や配合量をデータベース化しておき、デザイナーが指定したメタリック系の塗装色から、その塗装色を実現するであろう光輝材の種類や配合量を算出する技術が開示されている。また文献3には、デザイナーがコンピュータグラフィックス画像で創作した塗装色から、その塗装色を実現するであろう塗料組成を推定する技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−221560号公報
【特許文献2】
特開平9−33347号公報
【特許文献3】
特開平10−227696号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来技術は、いずれも、塗料製造会社が定めている標準的塗装条件で塗装作業することを前提にしている。例えば、文献3の技術で推定された塗料組成の塗料を塗料製造会社が予め定めている標準的塗装条件で塗装すれば、デザイナーがコンピュータグラフィックス画像で創作した塗装色によく近似する塗装色を得ることができるはずである。
しかしながら実際の塗装の現場では、塗装設備や作業時間や作業コスト等が制約されており、多くの制約条件のなかで塗装技術のノウハウを蓄積している。その結果、塗料製造会社が予め定めている標準的塗装条件とは異なる塗装条件を用いることが多い。塗装条件が異なると塗装色も変化する。このために従来の技術で推定された塗料組成を用いても、デザイナーが創作した塗装色を実現することが難しい。
【0005】
現在では、従来の技術で推定された組成の塗料を用いて種々の塗装条件で実際に塗装したり、あるいは、従来の技術で推定された組成を微修正した塗料を用いて実際に塗装したりしながら、デザイナーが創作した塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」の組合せを見つけている。実際に塗装してテストする作業を試行錯誤的に繰り替えしながら探索するために、デザイナーが創作した塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」の組合せを見つけるまでに、多くの工数と長い時間を必要とする。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、コンピュータを利用することによって塗料組成だけでなく塗装条件までをも探索することによって、デザイナーが創作した新規塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」の組合せを短時間に探索できるようにする技術を実現することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段と作用】本発明で創作した方法では、デザイナーがコンピュータグラフィックス画像を用いて創作した新規塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」を、コンピュータによって算出する。この方法では、コンピュータに読取り可能な媒体に、既知塗装色とその塗装色を実現した「塗料組成と塗装条件」の組合せを蓄積して記憶しているデータベースを用意する工程と、当該データベースを利用して、コンピュータグラフィックス画像で創作された新規塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」の組合せを、コンピュータによって算出する工程を実施して「塗料組成と塗装条件」の組合せを算出する。
【0008】
前記したように、工業デザインの分野では、デザイナーがコンピュータグラフィック画像を用いて希望する新規な塗装色を創作し、塗装色を指定することがある。塗装色は、色調、光輝感、ムラ、艶、肌などの要素で決定され、色調、光輝感、ムラ、艶、肌などで決められる塗装色をコンピュータグラフィック画像で表示する技術が進んでいる。
本発明の方法では、既知の塗装色について、その塗装色を実現した「塗料組成と塗装条件」の組合せを蓄積して記憶しているデータベースを作成しておく。例えば自動車ボディの塗装であれば、過去に使用した「塗料組成と塗装条件」の組合せによって得られた自動車の塗装色の関係を蓄積して記憶しておく。塗料組成は、着色顔料の種類と量、光輝材顔料の種類と量、その他の特殊な色効果を有する顔料の種類と量及び樹脂組成等によって記述される。塗装条件は、塗装機等の種類や数や吐出量や回転数、あるいは焼付け炉の焼付け温度や焼付け時間などによって記述される。自動車の塗装色は、色調、光輝感、ムラ、艶、肌などで記述される。
既知の多数の塗装色について、その塗装色を実現した「塗料組成と塗装条件」の組合せを蓄積して記憶しておくと、「塗料組成と塗装条件」の組合せとその組合せによって実現される塗装色の関係が明らかになり、コンピュータグラフィックス画像で創作された新規塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」の組合せを算出することが可能となる。
【0009】
本発明では、塗料組成のみならずその塗料を使う条件まで算出することから、算出された塗料組成を算出された塗装条件で用いることによって、デザイナーがコンピュータグラフィック画像を用いて創作した新規塗装色を実現することができる。従来の技術では、塗装条件のバリエーションを考慮しなかったために、算出された塗料組成を用いても、デザイナーがコンピュータグラフィック画像を用いて創作した新規塗装色を実現できないことが多く、実際に塗装して得られる塗装色を確認する工数が必要とされていたのに対し、大幅に時間の短縮化を図ることができる。
【0010】
データベースを利用してコンピュータグラフィックス画像で創作された新規塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」の組合せを算出する工程では、データベースから新規塗装色に近似する複数の既知塗装色を探索する工程と、探索された複数の既知塗装色の「塗料組成と塗装条件」に基づいて新規塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」を演算する工程を実施することが好ましい。
新規塗装色は新規であるためにデータベースに登録されていない。しかしながら、それに近似する塗装色は既に登録されている。本方法の算出工程では、近似する複数の塗装色のデータを探索する。
近似する複数の塗装色のデータが得られると、新規であるために登録されていない塗装色のための「塗料組成と塗装条件」を精度よく算出することができる。類似する塗料組成のデータが存在するために、塗装条件の相違が塗装色に与える影響を算出することができるし、類似する塗装条件のデータが存在するために、塗料組成の相違が塗装色に与える影響を算出することができる。類似する「塗料組成と塗装条件」のもとで、塗装条件の相違や塗料組成の相違が塗装色に与える影響を算出できることから、新規で登録されていない塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」を精度よく算出することが可能となる。
【0011】
前記探索工程では、設定された塗装条件の範囲内で探索することが好ましい。塗装条件は塗装設備等によって制約されるために、新規塗装色を塗装する塗装設備では、探索された塗装条件に調整できない事態が生じ得る。これを避けるためには、新規な塗装色を塗装する塗装設備で調整可能な塗装条件の範囲内で探索するのが有効である。
【0012】
新規塗装色を実現する組合せとして算出された「塗料組成と塗装条件」の組合せの他に、その組合せを微修正した「塗料組成と塗装条件」の組合せの候補を計算する工程と、算出された「塗料組成と塗装条件」の組合せで実現される塗装色と、候補の「塗料組成と塗装条件」の組合せで実現される塗装色とを対比観測可能にコンピュータグラフィックス画像で表示する工程が付加されていることが好ましい。
上記工程が付加されていると、コンピュータで計算された新規塗装色を実現するであろう「塗料組成と塗装条件」で実現される塗装色と、その「塗料組成と塗装条件」の組合せをわずかに修正することで得られる塗装色とを対比可能に表示することから、コンピュータの計算が完全でない場合にも、デザイナーが希望する塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」の組合せを発見しやすくなる。またデザイナーに類似色を提供することができ、デザイナーの選択の巾を広げて新たなアイデアの創作を誘導できる。
【0013】
新規塗装色を実現するものとして算出された「塗装条件」が所定範囲内で変動したときに実現される塗装色が、予め定められている「新規塗装色の修正範囲」に含まれるか否かを判定する工程が付加されていることが好ましい。
新規塗装色を実現するものとして算出された塗装条件を、長期に亘って維持することは困難である。例えば、塗装環境の実際の温度や湿度が季節によって変動することが避けられない。実際上は避けられない塗装条件の変化に起因して、得られるはずの塗装色が新規塗装色から著しく異なってしまうと、デザイナーの希望を満足することができなくなってしまう。一方、変動した塗装条件(変動幅は事前に想定することができる)で実現される塗装色が、許容できる範囲内(通常は新規塗装色の要素を一定の範囲内で修正した類似の範囲)に留まるのであればその塗装条件の下で塗装作業を続行することが可能となる。従って、塗装条件が所定の範囲で変動したときに実現されるであろう塗装色が、許容範囲内に留まるか否かを予め判定しておくことが有効である。
また、変動した塗装条件とその塗装条件で実現される塗装色の関係を示すデータをデータベースに記憶しておくことで、新たに創作される塗装色の予測精度が一層向上することになる。
【0014】
前記した判定工程において、変動した塗装条件で実現される塗装色が修正範囲に含まれないと判定されたときに、その変動した塗装条件で実現される塗装色が修正範囲に含まれる塗料組成を再算出する工程がさらに付加されていることが好ましい。
塗装条件が所定の範囲で変動しても塗装色が許容範囲に留まる塗料組成が再算出されると、長期に亘ってデザイナーが創作した塗装色に類似する塗装色を維持することができ、塗装作業のやり直し等を回避できる。
このようにして修正された「塗料組成と塗装条件」と塗装色の関係もデータベースに記憶しておくことで、さらにデータが充実することとなり、新たな塗装色を開発する際に、その塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」を一層正確に算出することが可能となる。
【0015】
コンピュータによって算出された新規塗装色を実現するであろう「塗料組成と塗装条件」で実現される塗装色と、その「塗料組成と塗装条件」の組合せをわずかに修正することで得られる塗装色とがコンピュータグラフィックス画像で対比可能に表示された場合、これらの塗装色のうちから一の塗装色を採用する。この場合は、採用された塗装色を実現する塗装条件が所定の範囲内で変動したときに実現される塗装色が、予め定められている「採用された塗装色の修正範囲」に含まれるか否かを判定する工程が付加されていることが好ましい。
【0016】
また、その判定工程において、塗装条件が変動すると「修正範囲」に含まれなくなってしまうと判断されたときには、変動した塗装条件で実現される塗装色が「修正範囲」に含まれる塗料組成を再算出する工程がさらに付加されていることが好ましい。
【0017】
本発明で創作したデータベースは、塗装色とその塗装色を実現した「塗料組成と塗装条件」の組合せを蓄積して記憶しており、コンピュータに読取り可能である。
このデータベースを探索エンジンと組合せて用いることによって、デザイナーが創作する新規な塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」を、短時間で算出することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】下記に説明する実施例の主要な特徴を列記する。
(形態1)塗装色作成システムと塗料組成/塗装条件算出システムが相互に通信可能に接続されている。
(形態2)塗料組成/塗装条件算出システムは、階層的ネットワークモデルを利用して新規塗装色のための「塗料組成と塗装条件」の組合せを算出する。
(形態3)塗料組成/塗装条件算出システムは、算出した塗装条件を所定の範囲内で変動させ、その塗装条件下で実現される塗装色を算出し、必要があればその塗装色が希望の塗装色に類似するように塗料組成を修正する。
【0019】
【実施例】以下、本発明を具現化した実施例について説明する。本実施例は、デザイナーが創作した自動車ボディの新規な塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」を決定する過程に、本発明を用いたものである。
図1(a)と(b)に、主としてデザイナーが使用する塗装色作成システム10と、主として塗装技術者が使用する塗料組成/塗装条件算出システム20のハードウエア構成を示す。 塗装色作成システム10はコンピュータ装置で構成され、演算装置14とコンピュータグラフィックス表示装置12と入力装置16を備えている。デザイナーは、入力装置16を利用して様々な塗装色を創り出すことができ、創り出された塗装色はコンピュータグラフィックス表示装置12に表示される。デザイナーはコンピュータグラフィックス表示装置12に表示される塗装色を見ながら、希望する塗装色を創り出す。塗装色は、色調/光輝感/ムラ/艶/肌等の要素で決められ、コンピュータグラフィックス表示装置12は、色調/光輝感/ムラ/艶/肌等の特性を反映した塗装色を表示することができる。色調は、色相、彩度、明度の程度を定義する。特に色相では、緑味から赤味の変化の程度、青味から黄味の変化の程度を定義する。光輝感は、いわゆるメタリック系やパール系などのハイライト部とシェード部の明暗差の程度を定義する。ムラは、小面積内での明暗の非均一性の程度を定義し、メタリック系の場合に重要である。艶は、光沢(入射光が単一方向に反射したピッカリとした感じ)の程度を記述する。肌は、塗装表面の平滑性の程度を定義する。塗装色が需要者に与える印象は、上記の5要素によって決定される。デザイナーは、車種を勘案しながら塗装色を指定する。デザイナーが、コンピュータグラフィックス表示装置12に表示される色調/光輝感/ムラ/艶/肌等に納得した段階で、納得した新規塗装色を定義する色調/光輝感/ムラ/艶/肌等の特性を示すデータが、塗料組成/塗装条件算出システム20に送られる。
【0020】
塗料組成/塗装条件算出システム20に送られた、塗装色を記述する色調/光輝感/ムラ/艶/肌等の特性を示すデータは、塗装色記述データ入力手段22に入力されて記憶される。
塗料組成/塗装条件算出システム20は、過去に塗装したことがある塗装色のデータと、その塗装色を実現した「塗料組成と塗装条件」の組合せを示すデータを対応付けて記憶している塗装色/塗料組成/塗装条件データベース26を備えている。塗装色は、色調/光輝感/ムラ/艶/肌のデータで記憶されている。塗料組成は、着色顔料の種類と量/光輝材顔料の種類と量及び樹脂組成等で記憶されている。塗装条件は、塗料の吐出量、回転数、印加電圧、希釈シンナの種類と量、焼付温度等の塗装色に影響する塗装条件を示すデジタルデータで記憶されている。
【0021】
塗料組成/塗装条件算出システム20は、近似する塗装色を探索するエンジン24を備えている。探索するエンジン24は、データベース26を探索して、入力手段22に入力された新規塗装色に近似する既知塗装色を複数個探索する。図2は、塗装色を決定する5要素をグラフ表示したものを示す。実線40は新規塗装色を示している。探索エンジン24は、5要素のうちでできるだけ多くの要素がほぼ同じ値を持つ既知塗装色を探索する。図2の場合、色調のうちの色相とムラと肌がほぼ一致する2個の既知塗装色42aと42bが探索された場合を例示しており、既知塗装色42aでは光輝感が高くて艶が低く、既知塗装色42bでは光輝感が低くて艶が高いことを例示している。
【0022】
塗料組成/塗装条件算出システム20は、探索された新規塗装色に近似する複数の既知塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」の組合せから、新規塗装色を実現するであろう「塗料組成と塗装条件」の組合せを算出する(図1の算出手段28)。図2を用いて「塗料組成と塗装条件」の組合せの算出の例を説明する。既知塗装色42aと42bを実現する「塗料組成と塗装条件」の組合せを読み出し、既知塗装色42aの組合せでは光輝感が高すぎ、既知塗装色42bの組合せでは光輝感が低すぎることから、両者の中間の光輝感が得られるであろう「塗料組成と塗装条件」の組合せを算出する。同様に、既知塗装色42aの組合せでは艶が低すぎ、既知塗装色42bの組合せでは艶が高すぎることから、両者の中間の艶が得られるであろう「塗料組成と塗装条件」の組合せを算出する。この算出工程の詳細は後記する。
【0023】
塗料組成/塗装条件算出システム20は、算出された「塗料組成と塗装条件」の組合せによって得られる塗装色を計算し、計算された塗装色をコンピュータグラフィクス表示装置12に表示させるのに必要なデータを計算し、計算されたデータを塗装色作成システム10に送り返す(手段30)。塗装色作成システム10は、このデータに基づいてコンピュータグラフィックス表示装置12に塗装色を表示する。表示された塗装色は、塗料組成/塗装条件算出システム20で算出された、デザイナーが創作した新規塗装色を実現するはずの「塗料組成と塗装条件」の組合せによって得られる塗装色であり、デザイナーが創作した新規塗装色に近似しているはずである。
【0024】
塗料組成/塗装条件算出システム20は、算出手段28で算出された「塗料組成と塗装条件」の組合せをわずかに修正した組合せを計算する(手段32)。ここでは、塗料組成をわずかに変えた組合せと、塗装条件をわずかに変えた組合せを算出する。例えば、着色顔料の量をわずかに増減した場合、光輝材顔料の量をわずかに増減した場合、吐出量をわずかに増減した場合、回転数をわずかに増減した場合等を算出する。
【0025】
塗料組成/塗装条件算出システム20は、手段32で微修正された組合せによって得られる塗装色を計算し、計算された塗装色をコンピュータグラフィックス表示装置12に表示させるのに必要なデータを計算し、計算されたデータを塗装色作成システム10に送り返す(手段34)。塗装色作成システム10は、このデータに基づいてコンピュータグラフィックス表示装置12に塗装色を表示する。
【0026】
コンピュータグラフィックス表示装置12には、塗料組成/塗装条件算出システム20によって、新規塗装色を実現するはずの組合せであるとして算出された「塗料組成と塗装条件」の組合せによって得られる塗装色と、それからわずかに修正した場合に得られる塗装色が対比観察可能に表示される。
デザイナーと塗装技術者は、近似する塗装色群を対比観察することができ、「塗料組成と塗装条件」を決定することができる。これまでの作業はバーチャルな環境で実施でき、実際に塗装作業をする必要がないことから、短時間で安価に実行することができる。
【0027】
図3は、新規塗装色の作成処理手順と、創作された新規塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」の算出処理手順を示す。
ステップS2では、デザイナーが塗装色作成システム10を操作して、希望する塗装色を創作する。この場合、塗装色のそれぞれの要素についてコンピュータグラフィックス画像で段階的に例示しておき、そのなかからデザイナーが選択することによって新規塗装色が創り出されるようにしておくことが好ましい。また、塗装色作成システム10に、コンピュータグラフィックス表示装置12に表示された塗装色からその塗装色の各要素のデジタルデータを自動的に作成するプログラムをインストールしておくことが望ましい。塗装色作成システム10は、デザイナーが創作した新規塗装色の各要素のデジタルデータを取得する。
図3のステップS4では、デザイナーが納得した新規塗装色を記述する色調/光輝感/ムラ/艶/肌等の特性を示すデータが、塗料組成/塗装条件算出システム20に送られる。
【0028】
図3のステップS6では、データベース26を探索し、入力された新規塗装色に近似する既知塗装色を複数個探索する。近似する塗装色については、図2を参照して説明した。
最終的には、算出された塗装条件で塗装することから、新規な塗装色を塗装する作業を実施する塗装設備で実現可能な塗装条件が算出されるようにしておかなければならない。そこで、この探索段階では、塗装作業を実施する塗装設備で実現可能な塗装条件を予め入力しておき、この条件の範囲に属するデータのみを探索する。探索に先立って、塗装作業を実施する塗装設備で実現可能な塗装条件によって得られる塗装色のみを探索対象とするために、探索された塗装条件に調整できないという事態が生じない。
データベース26は、図4から図6に示す、顔料等特性データベース501、塗料組成データベース503、および塗装条件データベース505に基づいて作成されている。
図4は、顔料等特性データベース501のデータを例示している。このデータベースには、塗料に含まれる顔料などの様々な特性(反射率、膜厚、色相、粒子径など)についてのデータが記憶されている。例えば着色顔料についてみると、着色顔料aは、反射率の値がa1−c、膜厚の値がa2−c、色相の値がa3−c・・・であることが例示されている。同様に光輝材顔料についても特性が例示されている。なお、図4に示された顔料に限定されるものではなく、塗料に含有されているものであれば全てデータベース化される。
図5は塗料組成データベース503のデータを例示している。既に作られた塗料A、塗料B、塗料C・・・の組成として、塗料に含まれる顔料などの種類とその配合含有率のデータが記憶されている。例えば、塗料Aは、着色顔料aを70%、着色顔料bを25%、光輝材顔料aを5%含むことがわかる。
【0029】
図6は、塗装条件データベース505のデータを例示している。上記各塗料が塗装工場で実際に塗装されたときの塗装条件のデータが記憶されている。塗装条件は、塗装工程数(下塗り工程、中塗り工程、上塗り工程などの各回数)、塗装設備(塗装機の種類や数、吐出量、回転数、印加電圧、塗装面積や焼付け炉の焼付け温度、焼付け時間など)、塗装方法(エアースプレー方式、回転霧化式静電塗装方法、粉体塗装法など)、および塗装技術(各メーカーや製造工場が有するいわゆるノウハウ)などによって決められている。例えば、塗料Aは、吐出量の値がAイ1、回転数の値がAイ2、塗装機の数がAイ3で塗装されたことがわかる。
【0030】
図4に例示された顔料等特性データベース501と、図5に例示された塗料組成データベース503と、図6に例示された塗装条件データベース505とから図1に例示された塗装色/塗料組成/塗装条件データベース26が作成されている。塗装色/塗料組成/塗装条件データベース26には、過去に採用した「塗料組成と塗装条件」に対応付けて、そのときに得られた塗装色のデータが記憶されている。
塗装色/塗料組成/塗装条件データベース26のデータ内容は、観念的には3次元のデータベースであり、図7に模式的に示すように、横軸に塗料組成のベクトル、前後軸(手前から奥に向かっている軸)に塗装条件のベクトル、垂直軸に塗装色のベクトルをプロットしたデータベースということが言える。例えば、塗料組成Pの塗料Aを塗装条件Qで塗装したときに得られた塗装色がRであったことを示している。なお、塗料組成も塗装条件も塗装色もベクトルであり、スカラ量では記述されない。図7はあくまで模式的なものである。
【0031】
図3のステップS8では、ステップS6で探索された複数の近似する塗装色のデータから、新規塗装色を実現するであろう「塗料組成と塗装条件」の組合せを算出する。
この算出工程では、階層的ネットワークモデルを利用する。図8は、塗装色/塗料組成/塗装条件データベース26を基にして構築した階層的ネットワークモデルを示す。ネットワークモデルの各階層は、上下の隣り合う層と一定の関連を有しており、I層は入力層、H−1層からH−n層は中間層、O層は出力層を表す。ネットワーク中の数字で表された円はデータを伝達するか否かを判断する判断ユニットであり、判断ユニットの周囲に接している小円(記号Wで表される)はユニット間の結合加重(所定の関数によって導き出される)を示し、矢印はデータの伝達経路を示す。この階層的ネットワークモデルは、塗装色/塗料組成/塗装条件データベース26に記憶されているデータであってステップS6で探索された近似塗装色のデータを、階層的ネットワークモデル構築プログラムで学習処理することによって構築されたものである。具体的には、I層で近似塗装色の各要素(色相、彩度、・・・ムラ)のデジタルデータを与え、ネットワークが導いた「塗料組成と塗装条件」のデータ(O層で出力されるデータ)と、実際に採用された「塗料組成と塗装条件」のデータとの差から、正しい「塗料組成と塗装条件」が算出されるように結合荷重を更新していくように学習させる。このようにして構築した階層的ネットワークモデルを用いることにより、新規な塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」を算出することが可能となる。
この階層的ネットワークモデルは、ステップS6で探索された近似塗装色のデータから構築されるために、精度が高い。
【0032】
次に、この階層的ネットワークモデルを用いて、ステップS4で入力した新規塗装色の各要素のデジタルデータから、新規塗装色を実現するはずの「塗料組成と塗装条件」を算出する方法を説明する。塗装色の各要素のデジタルデータが、入力層であるI層のNo.1からNo7のそれぞれのユニットに入力される。するとそれぞれのユニットはデータをH−1層の全てのユニットに伝達する。例えば、I層のユニットNo.1に入力された緑味のデータは、H−1層のNo.1からNo.nまでの全てのユニットに伝達される。H−1層のNo.1からNo.nまでの一つ一つのユニットは、伝達されたデータにそれぞれ結合加重を付す。結合加重を付したデータの値の総和が所定の閾値を超えればデータを次の層のユニットへ伝達し、超えなければ伝達しないという判断をする。例えば、I層のユニットNo.1からNo.7に入力されたデータがH−1層のNo.1のユニットに伝達されると、当該ユニットは、I層のユニットNo.1から伝達されたデータには結合加重W1をかけ、ユニットNo.2から伝達されたデータには結合加重W2をかけ・・・というようにそれぞれのデータに重みをかける。重みをかけたデータの値の総和がH−1層のユニットNo.1に与えられた所定の閾値を超えれば、次の層のユニットへデータを伝達し、超えなければ伝達しないという判断をする。このようにH−1層のNo.2からNo.nまでのユニットがそれぞれ同様の処理を行う。また、H−1層からH−n層までの中間層の一つ一つのユニットがデータを次の層のユニットへ伝達するか否かを判断し、データは最終的にO層に伝達される。O層では、新規塗装色についての塗料組成(顔料aの配合含有率、顔料bの配合含有率・・・など)と塗装条件(吐出量、回転数・・・など)のデータが出力される。以上のようにして新規塗装色を実現するはずの「塗料組成と塗装条件」が算出される。
【0033】
図9は、上記のようにして算出された「塗料組成と塗装条件」により、新規塗装色X1が、塗装色/塗料組成/塗装条件データベース26に位置決めされた結果を示す。上記の階層的ネットワークモデルにより算出された塗料組成は「ソ−X」で代表され、塗装条件は「ジ−X」で代表される。
【0034】
図3のステップS10では、算出された組成「ソ−X」を持つ塗料を、算出された条件は「ジ−X」で塗装することによって実現される塗装色X1を算出する。ここで算出される塗装色X1は、ステップS4で入力した塗装色に一致しているかあるいは極く近似している。
【0035】
図3のステップS12では、ステップS8で算出された「塗料組成と塗装条件」の組合せをわずかに修正した組合せを算出する。ここでは、塗料組成を「ソ−X」からわずかに変えた組合せと、塗装条件を「ジ−X」からわずかに変えた組合せを算出する。例えば、塗料組成「ソ−X」から着色顔料の量をわずかに増減した場合、光輝材顔料の量をわずかに増減した場合、塗装条件「ジ−X」から吐出量をわずかに増減した場合、回転数をわずかに増減した場合等を算出する。図9の破線90が、微修正の範囲を例示している。
【0036】
図3のステップS14では、ステップS12で微修正された「塗料組成と塗装条件」の組合せによって得られる塗装色を計算する。ここで計算される塗装色は、ステップS10で算出された塗装色X1に近似してわずかに相違している。
【0037】
図3のステップS16では、ステップS10で計算された塗装色とステップS12で計算された塗装色を、コンピュータグラフィクス表示装置12に表示させるのに必要なデータを計算し、計算されたデータを塗装色作成システム10に送り返すことによって、コンピュータグラフィクス表示装置12に、ステップS10で計算された塗装色とステップS12で計算された塗装色を対比観察可能に表示する。
【0038】
デザイナーと塗装技術者は、対比観察可能に表示された塗装色群を見比べて、実際に採用する塗装色と「塗料組成と塗装条件」を決定する(図3のステップS18)。採用された塗装色と「塗料組成と塗装条件」の関係は、塗装色/塗料組成/塗装条件データベース26に追加して記録される(図3のステップS20)。新規塗装色とその塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」が決定されるたびに、塗装色/塗料組成/塗装条件データベース26に蓄積して記憶されるデータが増加していく。塗装色/塗料組成/塗装条件データベース26にデータが追加されれば、塗料組成データベース503と塗装条件データベース505にもデータが追加される。このようにデータが蓄積されていくと、再現される塗装色の予測精度が向上し、さらに新たな塗装色を開発する際に、その塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」を一層正確に算出することが可能となる。
【0039】
図10は、塗装色の要素の分布を示している。図3のステップS4で入力された新規塗装色が破線10bで示され、ステップS14で算出された塗装色が実線10aで示されている。このグラフから、デザイナーが創作した新規塗装色と、塗料組成/塗装条件算出システム20で算出された「塗料組成と塗装条件」で実現される塗装色がよく近似していることがわかる。
【0040】
次に、図1(b)で、算出された塗装条件を一定の範囲内で変動させ、その塗装条件で実現される塗装色を算出して判定をする処理を行う場合の、塗料組成/塗装条件算出システム20のハードウエア構成を示す。
塗料組成/塗装条件算出システム20は、変動塗装条件で実現される塗装色を算出し、変動塗装条件で実現される塗装色が採用された塗装色の修正範囲内に含まれるか否かを判定する(手段36)。算出および判定手段36は、塗料組成/塗装条件算出システム20で算出された採用塗装色の塗装条件を、想定される所定の範囲内で変動させる。この場合、過去のデータによって示される経験則から、変動すると想定される塗装条件を、想定される値の範囲内で変動させる。例えば、塗装環境の温度と湿度が、室外の温度と湿度に対応して一定の値の範囲内で変動していたことを示すデータが存在するときは、採用された塗装色の塗装条件もそのように変動するであろうと想定して、その範囲内で変動させる。このように変動させた塗装条件で実現される塗装色を、データベース26のデータに基づいて算出する。算出した塗装色については、採用された塗装色の修正範囲内に含まれるか否かが判定される。ここでいう修正範囲とは、採用された塗装色の要素をデザイナーが変更を許容できる値に修正できる範囲であり、通常は採用された塗装色と類似した塗装色の範囲である。予め決定しておいた修正範囲内に、変動塗装条件で実現される塗装色が含まれるか否かが判定される。
塗料組成/塗装条件算出システム20は、変動塗装条件で実現される塗装色が採用された塗装色の修正範囲内に含まれると判断したときに、その塗装色をコンピュータグラフィクス表示装置12に表示させるのに必要なデータを計算し、計算されたデータを塗装色作成システム10に送り返す(手段38)。塗装色作成システム10は、このデータに基づいてコンピュータグラフィックス表示装置12に変動塗装条件で実現される塗装色を表示する。また、その塗装色は採用された塗装色の修正範囲内に含まれるものであるという判定結果も表示する。
【0041】
塗料組成/塗装条件算出システム20は、変動塗装条件で実現される塗装色が採用された塗装色の修正範囲内に含まれないと判断したときに、修正範囲内に含まれるように塗料組成を修正し(手段40)、塗料組成を修正した塗装色と採用された塗装色をコンピュータグラフィクス表示装置12に表示させるのに必要なデータを計算し、計算されたデータを塗装色作成システム10に送り返す(手段42)。塗装色作成システム10は、このデータに基づいてコンピュータグラフィックス表示装置12に塗料組成を修正した塗装色を表示する。ここで表示される塗料組成を修正した塗装色は、デザイナーが採用した塗装色と類似していると考えられる。
【0042】
図11に、採用された塗装色を実現する塗装条件を変動させ、その塗装条件で実現される塗装色を算出し判定をする処理の手順を示す。
ステップS22では、図3のステップS18で決定された塗装色(新規塗装色または新規塗装色の「塗料組成と塗装条件」を微修正した塗装色)を実現する塗装条件を想定される所定の範囲内で変動させる。この場合、過去に塗装条件が変動したことを示すデータが存在するときに、そのデータに基づいて自動的に塗装条件の変動範囲を決定するプログラムを、塗料組成/塗装条件算出システム20にインストールしておくことが望ましい。
図11のステップS24では、ステップS22で変動させた塗装条件によって実現されるであろう塗装色を算出する。
この算出工程でも、階層的ネットワークモデルを利用する。図12は、塗装色/塗料組成/塗装条件データベース26を基にして構築した階層的ネットワークモデルを示す。既出の図8で示された階層的ネットワークモデルと逆に、入力層であるI層では、「塗料組成と塗装条件」のデータが入力される。具体的には、図3のステップS18で決定された塗料組成(顔料a、顔料b、・・・)の値のデータと、所定の変動範囲内で変動させた塗装条件(・・・、湿度)の値のデータが入力される。これらのデータに基づいて、中間層であるH−1層からH−n層において所定の計算が行われた上で、出力層であるO層において塗装色の各要素(色相、彩度、・・・肌、ムラ)の値が出力される。この結果、変動した塗装条件で実現されるであろう塗装色が算出されることとなる。
図13において、塗装条件を「ジ−Y」に変動させた場合を模式的に例示する。塗装条件「ジ−Y」で実現される塗装色としてY1が示されている。なお、ここでの塗料組成は、図1のステップS18で決定された新規塗装色X1と同じ「ソ−X」である(図9を参照)。
図14に、塗装条件を「ジ−Y」に変動させたときの塗装色を例示する。破線14bは、図3のステップS18で決定された新規塗装色、実線14cは、塗装条件を「ジ−Y」に変動させたときの塗装色を示す。
【0043】
図11のステップS26では、ステップS24で算出された塗装色が図3のステップS18で決定された塗装色の修正範囲内に含まれるか否かが判定される。この判定を行うために、修正範囲については、例えば、デザイナーが変更を許容できる塗装色の範囲として、予め塗装色要素の修正値を決定しておく。
図14において、判定の例を説明する。実線14aで囲まれた斜線部分は、デザイナーが変更を許容できるとして決定された修正範囲を示す。したがって、実線14cで表される変動塗装条件での塗装色は、修正範囲内に含まれないと判定される。
図13においても、変動した塗装条件「ジ−Y」の下で実現される塗装色Y1が修正範囲である破線130内に含まれていないことがわかる。
このような判定を行うことにより、塗装条件が想定される所定の範囲内で変動したときに、その塗装条件の下では採用した塗装色の類似範囲内の塗装色が実現され得るのか否かを予め予測しておくことができる。
【0044】
図11のステップS28では、ステップ26でNOと判断された場合(変動塗装条件で実現される塗装色が採用された塗装色の修正範囲内に含まれないと判断された場合)に、採用された塗装色の修正範囲内に含まれるように塗料組成を修正する。この場合も、塗装色/塗料組成/塗装条件データベース26を基にして構築した階層的ネットワークモデル(図12を参照)を利用して塗料組成の計算を行う。入力層であるI層で「塗料組成と塗装条件」のデータを入力するが、塗装条件についてはステップS24で入力された値をそのまま入力する一方、塗料組成については値を様々に変更して、出力層であるO層において出力される塗装色の各要素の値が修正範囲内に含まれるまで次々に再入力される。出力される塗装色の各要素の値が修正範囲内に含まれることになったときの入力値が、修正した塗料組成の値として決定される。
図15において、塗装色Y2が破線130内に含まれるように、塗料組成を「ソ−Y」に修正したことを示す。塗料組成を「ソ−Y」に修正して実現される塗装色Y2は、図14においては、破線14bで囲まれた斜線部分の範囲内に含まれるものである。
このように塗料組成を修正することで、変動塗装条件においても新規塗装色の修正範囲内に含まれる類似の塗装色を実現することができる。
【0045】
図11のステップS30では、ステップS22で変動させた塗装条件に基づく塗装色と塗料組成を決定し、決定された塗装色を表示装置12においてコンピュータグラフィックス画像表示する。これにより、デザイナーは、塗装条件が変動したときに実現される塗装色を予め知っておくことができる。変動させた塗装条件と採用された塗装色と塗料組成の関係は、塗装色/塗料組成/塗装条件データベース26に追加して記憶される(ステップS32)。
このように一連の処理の中で算出されたデータが蓄積されていくことによって、データベースがより充実し、新たに創作される塗装色の「塗料組成と塗装条件」の関係の予測精度が一層向上する。
【0046】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、本実施例では、塗装色の要素として色調、光輝感、ムラ、艶、肌を挙げているが、これらに限定されるものではない。また、色調については代表的な色相、彩度、明度を要素として挙げているが、他の表色系による分類での要素も可能である。また、塗装色の要素の程度を算出するために、塗装膜の断面を測定することで明らかになる顔料の配列方向を考慮してもよい。あるいは、塗装表面の形状を測定することで明らかになる表面形状の凸凹の程度を考慮してもよい。本実施例では、各塗料の塗料組成の値を顔料などの配合含有率に基づく規則によって決めていた。これを顔料などの特性(反射率など)に基づく規則によって決めてもよい。また、塗料組成や塗装条件をネットワークで算出していたが、この方法に限られるものではない。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0047】
【発明の効果】以上のように本発明では、コンピュータグラフィック画像でシュミレーション表示された新規の塗装色について、その塗料組成のみならず塗装条件をも予め決定しておく。したがって、その塗装色を再現可能な塗装条件を各メーカーや製造工場に見合った範囲内で相当程度高い精度で予測することができ、塗装作業に伴う労力、時間および経費の節約が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】新規塗装色の「塗料組成と塗装条件」を算出する装置のハードウエア構成を示す。
【図2】新規塗装色と近似する塗装色の関係を示す。
【図3】新規塗装色の「塗料組成と塗装条件」の算出処理手順を示す。
【図4】顔料等特性データベースの例を示す。
【図5】塗料組成データベースの例を示す。
【図6】塗装条件データベースの例を示す。
【図7】塗装色/塗料組成/塗装条件データベースのデータ内容を模式的に示す。
【図8】「塗料組成と塗装条件」を算出するための階層的ネットワークモデルを示す。
【図9】塗装色/塗料組成/塗装条件データベースに新たなデータが追加されたことを模式的に示す。
【図10】新規塗装色と、算出された「塗料組成と塗装条件」で実現される塗装色の関係を例示するグラフである。
【図11】算出された塗装条件を一定の範囲内で変動させ、その塗装条件で実現される塗装色を算出し判定をする処理の手順を示す。
【図12】塗装色を算出するための階層的ネットワークモデルを示す。
【図13】塗装条件を変動させた場合に算出された塗装色を模式的に例示する。
【図14】新規塗装色と、塗装条件を変動させた場合に算出された塗装色の関係を例示するグラフである。
【図15】塗装色が修正範囲内に含まれるように、塗料組成を修正したことを模式的に例示する。
【符号の説明】
10:塗装色作成システム、
12:コンピュータグラフィック表示装置、
14:演算装置、
16:入力装置、
20:塗料組成/塗装条件算出システム、
22:塗装色記述データ入力手段、
24:近似する塗装色探索エンジン
26:塗装色/塗料組成/塗装条件データベース、
28:新規塗装色の「塗料組成と塗装条件」の算出手段、
30,34,38,40:塗装色のコンピュータグラフィックス表示用データ計算手段、
32:微修正手段、
36:変動塗装条件での塗装色算出、判定手段、
40:塗料組成修正手段

Claims (9)

  1. コンピュータグラフィックス画像で創作された新規塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」の組合せを算出する方法であり、
    コンピュータに読取り可能な媒体に、既知塗装色とその塗装色を実現した「塗料組成と塗装条件」の組合せを蓄積して記憶しているデータベースを用意する工程と、
    当該データベースを利用して、コンピュータグラフィックス画像で創作された新規塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」の組合せを、コンピュータによって算出する工程と、
    を含んで構成される「塗料組成と塗装条件」の組合せを算出する方法。
  2. 前記算出工程が、
    前記データベースから当該新規塗装色に近似する複数の既知塗装色を探索する工程と、
    探索された複数の既知塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」に基づいて、当該新規塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」の組合せを演算する工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1の「塗料組成と塗装条件」の算出方法。
  3. 前記探索工程が、設定された塗装条件の範囲内で探索することを特徴とする請求項2の「塗料組成と塗装条件」の算出方法。
  4. 前記算出工程で算出された当該新規塗装色を実現する「塗料組成と塗装条件」の組合せを微修正した「塗料組成と塗装条件」の組合せの候補を計算する工程と、
    コンピュータグラフィックス画像で、前記算出工程で算出された「塗料組成と塗装条件」の組合せで実現される塗装色と、候補の「塗料組成と塗装条件」の組合せで実現される塗装色とを対比観測可能に表示する工程と、
    が付加されている請求項1の「塗料組成と塗装条件」の算出方法。
  5. 前記算出工程で算出された当該新規塗装色を実現する塗装条件が所定の範囲内で変動したときに実現される塗装色が、予め定められている「新規塗装色の修正範囲」に含まれるか否かを判定する工程が付加されている請求項1の「塗料組成と塗装条件」の算出方法。
  6. 前記判定工程において、変動した塗装条件で実現される塗装色が前記修正範囲に含まれないと判定されたときに、当該塗装色が前記修正範囲に含まれる塗料組成を再算出する工程が付加されている請求項5の「塗料組成と塗装条件」の算出方法。
  7. 対比観測可能に表示された複数の塗装色のうちの一の塗装色が採用されたときに、採用された塗装色を実現する塗装条件が所定の範囲内で変動したときに実現される塗装色が、予め定められている「前記採用された塗装色の修正範囲」に含まれるか否かを判定する工程が付加されている請求項4の「塗料組成と塗装条件」の算出方法。
  8. 前記判定工程において、変動した塗装条件で実現される塗装色が前記修正範囲に含まれないと判定されたときに、当該塗装色が前記修正範囲に含まれる塗料組成を再算出する工程が付加されている請求項7の「塗料組成と塗装条件」の算出方法。
  9. 塗装色とその塗装色を実現した「塗料組成と塗装条件」の組合せを蓄積して記憶している、コンピュータに読取り可能なデータベース。
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