JP2004117126A - 炭化水素センサ及びその使用方法 - Google Patents

炭化水素センサ及びその使用方法 Download PDF

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Tatsuki Ishihara
石原 達己
Yusaku Takita
滝田 祐作
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Abstract

【課題】感度と選択性とに優れた炭化水素センサを提供する。
【解決手段】本発明の炭化水素センサは、ペロブスカイト型結晶構造を有し、一般式(La,Sr)(Ga,Mg,M)O −δで表され、このMは遷移金属のうちの少なくとも1種であり、それぞれ酸化物換算したGa、Mg及びMの合計を100モル%とした場合に、Mが6〜14モル%である固体電解質体と、この固体電解質体に接して設けられ、各々の触媒活性に差がある一対の電極とを備える。遷移金属としてはNiが特に好ましく、Niの場合は固溶量が2〜14モル%とより少量であってもよい。また、一対の電極のうちの相対的に触媒活性の高い電極はPtからなり、相対的に触媒活性の低い電極はLa1−xSrCoO(但し、xは0.3〜0.5である。)からなることが好ましい。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素センサ及びその使用方法に関する。更に詳しくは、酸素又は酸素含有ガスの影響が小さく、炭化水素を選択的に検知することができる炭化水素センサに関する。
本発明の炭化水素センサは、自動車の三元触媒の劣化モニター用として好適に利用される。
【0002】
【従来の技術】
酸化物イオン伝導体を用いたガスセンサとして、一般式Ln1−xGa1−y−zB1B2(式中、Ln=La、Ce、Pr、Nd、Sm、A=Sr、Ca、Ba、B1=Mg、Al、In、B2=Co、Fe、Ni、Cu)で表される酸化物イオン伝導体を備えるガスセンサが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1には、イットリア安定化ジルコニアを用いた酸素センサは600℃以上の高温でしか使用することができず用途が限定されていたが、酸素イオン伝導度の高い上記酸化物イオン伝導体を用いることで600℃未満の温度域でも使用することができると記載されている。また、この酸化物イオン伝導体は酸素センサ以外にもSO、NOのような酸素含有ガスのセンサとしても利用することができると説明されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−335164号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、酸素イオン伝導度の高い酸化物イオン伝導体を使用すれば、作動温度が600℃未満の温度域で酸素又は酸素含有ガスを検知し得ることは知られている。しかし、上記特許文献1には炭化水素を選択的に測定するセンサについては何ら開示がない。また、燃焼し易い炭化水素を測定するためには、センサの作動温度を500℃以下、望ましくは250〜400℃程度まで低下させる必要があるが、上記特許文献1には作動温度として500℃程度までの測定データしか開示されておらず、作動温度を500℃以下に低下させるための技術については何ら開示がない。更に、上記酸素イオン伝導体を用いて炭化水素ガス濃度を測定する場合、酸素又は酸素含有ガスの影響が大きいことが予想され、それらに対する選択性を高める必要がある。
本発明は、酸素又は酸素含有ガスの影響が小さく、炭化水素を選択的に検知することができ、特に200〜500℃の温度域において使用し得る炭化水素センサ及びその使用方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の炭化水素センサは、ペロブスカイト型結晶構造を有し、一般式(La,Sr)(Ga,Mg,Ni)O −δで表され、それぞれ酸化物換算した該Ga、該Mg及び該Niの合計を100モル%とした場合に、酸化物換算した該Niが2〜14モル%である固体電解質体と、該固体電解質体に接して設けられ、各々の触媒活性に差がある一対の電極とを備えることを特徴とする。
他の本発明の炭化水素センサは、ペロブスカイト型結晶構造を有し、一般式(La,Sr)(Ga,Mg,M)O −δで表され、該MはNiを除く遷移金属のうちの少なくとも1種であり、それぞれ酸化物換算した該Ga、該Mg及び該Mの合計を100モル%とした場合に、酸化物換算した該Mが6〜14モル%である固体電解質体と、該固体電解質体に接して設けられ、各々の触媒活性に差がある一対の電極とを備えることを特徴とする。
また、上記MがCo及びFeのうちの少なくとも1種である炭化水素センサとすることができる。
更に、上記一対の電極のうちの相対的に触媒活性の高い電極がPtを主成分とする炭化水素センサとすることができる。
また、上記一対の電極のうちの相対的に触媒活性の低い電極がLa1−xSrCoO(但し、xは0.3〜0.5である。)、Ag及びAuのうちの少なくとも1種を主成分とする炭化水素センサとすることができる。
本発明の炭化水素センサの使用方法は、上記の炭化水素センサの使用方法であって、上記固体電解質体の温度を200〜500℃に保持し、上記一対の電極のうちの相対的に触媒活性の低い電極から相対的に触媒活性の高い電極へと酸素イオンをポンピングし、炭化水素ガス濃度による酸素ポンピング電流の変化を測定することを特徴とする。
【0006】
【発明の効果】
本発明及び他の本発明の炭化水素センサによれば、酸素濃度の影響を受けることなく、高い感度で炭化水素ガス濃度を測定することができる。
また、MがCo及びFeのうちの少なくとも1種である場合は、低温における感度の低下が抑えられる。
更に、一対の電極のうちの相対的に触媒活性の高い電極がPtを主成分とする場合は、選択率をより高くすることができる。
また、一対の電極のうちの相対的に触媒活性の低い電極がLa1−xSrCoO、Ag及びAuのうちの少なくとも1種を主成分とする場合も、選択率をより高くすることができる。
本発明の炭化水素センサの使用方法によれば、比較的低い温度域においても十分に高い感度及び選択率で炭化水素ガス濃度を測定することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
上記「固体電解質体」は、LaGaOを基本とするペロブスカイト型結晶構造を有し、LaサイトのLaの一部がSrによって置換され、GaサイトのGaの一部がMg及びNi、又はMg及びMによって置換されている。このようにLaサイトにSrを固溶させることにより酸素イオン伝導性が向上する。また、GaサイトにMgを固溶させることにより酸素イオン伝導性を向上させることができる。更に、GaサイトにNi等の遷移金属を固溶させることにより200〜500℃の低温域における酸素イオン伝導性が向上する。
【0008】
ペロブスカイト型結晶構造を有するLaGaO系の固体電解質体では、La及びGaの酸化数は、通常、それぞれ+3である。この固体電解質体のLaサイトに、安定な酸化数が+2であるSrを固溶させることにより、結晶格子に酸素欠陥が形成され、これによって酸素イオン伝導性が向上する。また、Gaサイトに、安定な酸化数が+2である遷移金属を固溶させることにより200〜500℃の低温域における酸素イオン伝導性が発現する。
【0009】
尚、上記「一般式(La,Sr)(Ga,Mg,Ni)O −δ」及び上記「一般式(La,Sr)(Ga,Mg,M)O −δ」における上記「δ」は、Laサイトに固溶するSr並びにGaサイトに固溶するMg及び遷移金属(上記Ni及びM)の各々の量比により変化する値である。従って、「3−δ」は上記一般式において酸素のモル比が正確に3ではないこともあり、また、変動する値であることを表すものである。
【0010】
上記「Sr」は、上記一般式で表される固体電解質体の結晶においてイオン半径がLaのそれに最も近似した元素である。そのため、Laサイトに固溶し易く、酸素イオン伝導性を十分に向上させることができる。また、Laサイトに固溶するSrの含有量は特に限定されないが、LaとSrの各々の酸化物換算した(LaはLa、SrはSrOとして換算する。)合計を100モル%とした場合に、Srの含有量は5〜60モル%、特に5〜30モル%であることが好ましい。この含有量が5モル%未満であると、又は60モル%を越えると、酸素イオン伝導性が十分に向上しない傾向にあり、好ましくない。
【0011】
上記「Mg」は、上記一般式で表される固体電解質体の結晶においてイオン半径がGaのそれに最も近似した元素である。そのため、Gaサイトに固溶し易く、酸素イオン伝導性を十分に向上させることができる。また、Gaサイトに固溶するMgの含有量は特に限定されないが、Ga、Mg及びNi又はMの各々の酸化物換算した(GaはGaO1.5、MgはMgO、NiはNiO、MはMOとして換算する。)合計を100モル%とした場合に、Mgの含有量は5〜60モル%、特に5〜30モル%であることが好ましい。この含有量が5モル%未満であると、又は60モル%を越えると、ホール又は電子伝導性が高くなり、好ましくない。
【0012】
上記「Ni」及び上記「M」は、上記一般式で表される固体電解質体の結晶においてイオン半径がGaのそれに近似した元素である。そのため、Gaサイトに固溶し易く、低温(200〜500℃の温度域)における酸素イオン伝導性を十分に向上させることができる。このMはNiを除く遷移金属であれば特に限定されないが、Co及びFeのうちの少なくとも1種であることが好ましい。これらの元素を固溶させた場合は、固体電解質体の温度が500℃未満、特に400℃以下であっても十分な感度を有する炭化水素センサとすることができる。
【0013】
Gaサイトに固溶するNiの含有量は特に限定されないが、Ga、Mg及びNiの各々の酸化物換算した(GaはGaO1.5、MgはMgO、NiはNiOとして換算する。)合計を100モル%とした場合に、Niの含有量は2〜14モル%であり、5〜12モル%、特に8〜12モル%であることが好ましい。この含有量が2モル%未満であると、又は14モル%を越えると、酸素イオン伝導性が十分に向上しない。また、Gaサイトに固溶するMの含有量は特に限定されないが、Ga、Mg及びMの各々の酸化物換算した(GaはGaO1.5、MgはMgO、MはMOとして換算する。)合計を100モル%とした場合に、Mの含有量は6〜14モル%であり、8〜12モル%、特に10〜12モル%であることが好ましい。この含有量が6モル%未満であると、又は14モル%を越えると、200〜500℃の低温域における酸素イオン伝導性が十分に向上しない。
【0014】
固溶する各々の元素の含有量は、Laサイトに固溶するSrの含有量が5〜60モル%、Gaサイトに固溶するMgの含有量が5〜60モル%、且つGaサイトに固溶するNiの含有量が2〜14モル%、Mの含有量が6〜14モル%であることが好ましい。また、Laサイトに固溶するSrの含有量が5〜30モル%、Gaサイトに固溶するMgの含有量が5〜30モル%、且つGaサイトに固溶するNiの含有量が5〜12モル%、Mの含有量が8〜12モル%であることがより好ましい。更に、Laサイトに固溶するSrの含有量が5〜30モル%、Gaサイトに固溶するMgの含有量が5〜30モル%、且つGaサイトに固溶するNiの含有量が8〜12モル%、Mの含有量が10〜12モル%であることが特に好ましい。このような組成であれば、低温(200〜500℃の温度域)における酸素イオン伝導性に特に優れた固体電解質体とすることができる。
【0015】
この固体電解質体の形状は特に限定されないが、一般に厚さが均一の平板状であり、その平面形状は円形、楕円形、方形等である。固体電解質体の厚さも特に限定されず、0.1〜2mm、特に0.2〜1mm、更には0.2〜0.6mmとすることができる。平面方向の寸法も特に限定されないが、例えば、平面形状が円形である場合、その直径を1〜10mm、特に2〜8mmとすることができる。
【0016】
上記「一対の電極」は、固体電解質体に接して設けられる。この一対の電極は、通常、その一方が固体電解質体の一面に接して設けられ、他方が固体電解質体の他面に接して設けられる。一対の電極は、各々の触媒活性に差があればよく、その材質等は特に限定されないが、相対的に触媒活性の高い電極はPtを主成分とし、相対的に触媒活性の低い電極はLa1−xSrCoO(但し、xは0.3〜0.5である。)、Ag及びAuのうちの少なくとも1種を主成分とすることが好ましい。これらの電極を一対の電極として組み合わせて用いた場合は、特に低温においても十分な感度を有する炭化水素センサとすることができる。
【0017】
尚、Ptを主成分とするとは、触媒活性の高い電極全体を100質量%とした場合に、Ptが80質量%以上であることを意味する(Ptが100質量%であってもよい。)。また、LaSr1−xCoO、Ag及びAuのうちの少なくとも1種を主成分とするとは、触媒活性の低い電極全体を100質量%とした場合に、これらの3種類の電極材料のうちの少なくとも1種が80質量%以上であることを意味する(3種類の電極材料のうちの少なくとも1種が100質量%であってもよい。)。更に、触媒活性の低い電極には、3種類の電極材料のうちのいずれか1種のみが含有されていてもよく、2種以上が含有されていてもよい。2種以上が含有されている場合、それらの合計が80質量%以上である(合計が100質量%であってもよい。)。
この一対の電極としては、Ptのみからなる触媒活性の高い電極と、3種類の電極材料のうちのいずれか1種のみからなる触媒活性の低い電極とを組み合わせて用いることが好ましい。また、触媒活性の低い電極としてはLa1−xSrCoOが選択率の向上の観点から特に好ましい。
【0018】
本発明において用いる固体電解質体は、ペロブスカイト型結晶を生成させるため、及びLaサイトとGaサイトの各々に特定の元素を固溶させるため、その製造工程において比較的高い温度域で2回以上の焼成を行うことが好ましい。具体的には、La、Sr、Ga、Mg及びNi、Co、Fe等の遷移金属を含有する化合物からなる原料粉末を所定の量比で混合し、大気雰囲気下、800〜1200℃で3〜10時間仮焼し、得られた仮焼物を粉末とし、この粉末を所定形状に成形した後、大気雰囲気下、1350〜1550℃で3〜10時間焼成することにより製造することができる。尚、それぞれの金属元素を含有する化合物としては、各々の元素の酸化物の他、炭酸塩、水酸化物、複合金属酸化物、複合金属炭酸塩、シュウ酸塩等の加熱によりそれぞれの元素の酸化物になる化合物を使用することができる。
【0019】
原料粉末としては、各々の粉末が均一に分散したものを使用することが好ましい。それぞれの化合物の粉末は、乳鉢等で十分に混合することにより均一に分散させることができる。また、共沈法により原料粉末を調製することによって各々の粉末をより均一に分散させることもできる。この共沈とは、2種以上の金属イオン等が共存する溶媒から、各々の金属元素を含有する化合物を同時に沈殿させることであり、これを利用した共沈法によれば2種以上の金属元素を含有し分散性に優れた混合粉末を生成させることができる。
【0020】
共沈法における溶媒としては、水、有機溶媒及びそれらの混合溶媒等を使用することができる。更に、金属イオンを生成する化合物としては、La、Sr、Ga、Mg及び遷移金属のそれぞれの硝酸塩、硫酸塩、塩化物等であって、溶媒に溶解して所定の条件下で共沈し得るものを使用することができる。尚、有機溶媒を用いる場合は有機金属化合物を使用することもできる。また、これらの金属イオンは、(1)水酸化ナトリウム等のアルカリ又はアンモニア等の添加、(2)大量の水による加水分解、(3)有機溶媒の添加、及び必要に応じて加熱する等の方法により沈殿させることができる。
【0021】
本発明の炭化水素センサは固体電解質体の温度を200〜500℃に保持して使用することができる。この固体電解質体の温度は、特に200〜400℃、更には250〜350℃とすることができ、250〜300℃という低温域においても炭化水素ガスを十分な感度、且つ高い選択性で測定することができる。また、炭化水素ガス濃度の測定は以下のようにして行うことができる。即ち、一対の電極のうちの相対的に触媒活性の低い電極から相対的に触媒活性の高い電極へと酸素イオンをポンピングし、炭化水素ガス濃度による酸素ポンピング電流の変化に基づき測定することができる。具体的には、相対的に触媒活性の高い電極を正極として一対の電極間に一定電圧(例えば、1V)を印加した場合に、炭化水素ガスの存在により相対的に触媒活性の低い電極に発生する混成電位が印加電圧に加算されて電流値が増加し、この電流値の増加分から炭化水素ガス濃度を測定することができる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1(固体電解質体の組成と感度及び選択率との相関)
(1)固体電解質体の製造
市販されている純度99%以上のLa、SrCO、Ga、MgCO、NiO、CoO、Feのそれぞれの粉末を、一般式(LaSr)(Ga,Mg,Ni)O3−δ及び一般式(LaSr)(Ga,Mg,M)O3−δにおける各々の元素が表1の実験例1〜4のような化学量論比になるように秤量し、アルミナ乳鉢を用いて1時間乾式混合した。その後、得られた原料粉末をアルミナるつぼに投入し、大気雰囲気において1000℃で6時間仮焼した。次いで、得られた仮焼粉末をアルミナ乳鉢で十分に粉砕し、この粉末を用いて金型によりディスク状の成形体を作製した。その後、この成形体をポリウレタン製の袋状容器に収容し、脱気し、これを2.7トンの圧力で加圧しながら15分間、等方静水圧プレス処理を施した。次いで、大気雰囲気において、1500℃で6時間焼成し、固体電解質体を製造した。
【0023】
【表1】
Figure 2004117126
【0024】
(2)炭化水素センサの作製
(1)において得られたディスク状の固体電解質体をダイヤモンド平面研削盤により研削し、直径17mm、厚さ0.5mmになるように加工した。その後、この固体電解質体の一面に、触媒活性の高い電極となるPtを含有する導電ペーストを塗布し、固体電解質体と中心を同じくする直径6mmの導電塗膜を形成した。次いで、固体電解質体の他面に、触媒活性の低い電極となるLa0.6Sr0.4CoOを含有する導電ペーストを塗布し、固体電解質体と中心を同じくする直径6mmの導電塗膜を形成した。その後、950℃で10分間焼付処理をし、ディスク状の固体電解質体の両面に一対の電極が対向して設けられた炭化水素センサを作製した。
【0025】
(3)Cに対する感度の評価
(2)で作製した炭化水素センサのPt電極を正極として電極間に1Vの電圧を印加し、CとOの各々に対する感度を300℃、400℃及び500℃の固体電解質体温度(以下、「素子温度」ともいう。)において評価した。また、それぞれの感度からCの選択率を算出した。尚、この評価は空気をベースガスとし、Cに対する感度を測定する際にはO濃度は1体積%とし、O濃度に対する感度を測定する際にはCは1000ppmとした。また、感度は被検ガスの1桁あたりの濃度差に対する電流量の差(mA/decay)と定義し、選択率はそれぞれの感度の比で表した。結果を表1に併記する。
【0026】
表1の結果によれば、Gaサイトに遷移金属が固溶していない実験例1、GaサイトにCoが固溶しているものの含有量が5モル%と少ない実験例3、及びGaサイトにFeが固溶しているものの含有量が3モル%と少ない実験例4では、素子温度が500℃と高い場合にはCに対する感度は十分に高いが、Oに対する感度も高く、選択率は低い。また、素子温度の低下とともに感度が大きく低下する。一方、Gaサイトに7モル%のNiが固溶している実験例2では、素子温度が500℃でも選択率が高く、更に、素子温度が400℃において500℃のときよりも感度、選択率ともに高いことが分かる。また、素子温度が300℃と更に低い場合でも、感度は低下するものの選択率は十分に高いことが分かる。
【0027】
実施例2(電極の材質の検討)
組成がLa0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.1Ni0.1である固体電解質体を使用し、触媒活性の高い電極としてPt、触媒活性の低い電極としてAgを用いた場合(実験例5)、及び触媒活性の高い電極としてPt、触媒活性の低い電極としてLa0.6Sr0.4CoOを用いた場合(実験例6)について、その他は実施例1と同様にして2種類の炭化水素センサを作製し、これらのセンサを用いて実施例1と同様にして感度を評価し、選択率を算出した。結果を表2に併記する。
【0028】
【表2】
Figure 2004117126
【0029】
表2の結果によれば、実験例5、6のいずれのセンサも素子温度が300℃であっても実用的な感度を備え、選択率も十分であることが分かる。特に、触媒活性の低い電極としてLa0.6Sr0.4CoOを用いた実験例6では、選択率がより高く、素子温度が300℃と低くても十分な選択率を有していることが分かる。
【0030】
実施例3(Gaサイトに固溶したNiの含有量の検討)
組成がLa0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2−xNiである固体電解質体を使用し、xを0〜0.2(0〜20モル%)の間で変化させた場合の感度と選択率を素子温度300℃で評価した。電極としては触媒活性の高いPtと、触媒活性の低いLa0.6Sr0.4CoOとを使用した。その他は実施例1と同様にして7種類の炭化水素センサを作製し、これらのセンサを用いて実施例1と同様にして感度を評価し、選択率を算出した。結果を表3に併記し、図1に示す。
【0031】
【表3】
Figure 2004117126
【0032】
表3及び図1によれば、Niが固溶されていない場合は、Cに対する感度が高いものの、Oに対する感度も高く、選択率が低い。また、15モル%以上のNiが固溶されている場合も、C及びOに対する感度がいずれも高く、選択率が低い。一方、固溶するNiの含有量が3〜10モル%である場合は、感度の絶対値に差はあるものの、6.3〜14.5と十分な選択率を有していることが分かる。特に、Niの含有量が10モル%である場合は、Cに対する感度が極めて高く、選択率もより高いことが分かる。
【0033】
実施例4(素子温度による感度、選択率の検討)
組成がLa0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.13Ni0.07である固体電解質体と、触媒活性の高い電極としてPt、触媒活性の低い電極としてLa0.6Sr0.4CoOとを使用し、固体電解質体の厚さを0.4mmとした他は実施例1と同様にして炭化水素センサを作製し、このセンサを用いて実施例1と同様にして素子温度200℃、250℃、300℃及び400℃で感度を評価し、選択率を算出した。結果を表4に併記し、図2に示す。
【0034】
【表4】
Figure 2004117126
【0035】
表4及び図2によれば、素子温度が200℃である場合は、C及びOに対する感度がいずれも低く、実用的ではない。素子温度が250〜400℃では感度も選択率も十分であり、実用的であるが、素子温度が400℃であるとC及びOに対する感度がいずれも高くなり、選択率が低下する傾向にある。素子温度が300℃である場合は400℃と比べてCに対する感度は低下するものの、Oに対する感度が大きく低下し、選択率は向上する。このようにGaサイトに適量のNiが固溶されている固体電解質体を用いた場合は、低温域においても優れた感度及び選択率を備える炭化水素センサとすることができる。
【0036】
実施例5(酸素が及ぼす影響の検討)
組成がLa0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.1Ni0.1である固体電解質体と、触媒活性の高い電極としてPt、触媒活性の低い電極としてLa0.6Sr0.4CoOとを使用し、固体電解質体の厚さを0.4mmとした他は実施例1と同様にして炭化水素センサを作製し、このセンサを用いて実施例1と同様にして素子温度300℃で、O濃度及びC濃度を変化させた場合の感度を評価し、選択率を算出した。結果を表5に併記し、図3に示す。
【0037】
【表5】
Figure 2004117126
【0038】
表5及び図3によれば、この炭化水素センサでは、O濃度(log)が3.0〜5.0ppmの範囲で電流値にほとんど変化がなく、C濃度(log)が2.4〜3.301ppmの範囲で電流値が十分に変化することが分かる。これはO濃度の影響を大きく受けることなく、C濃度に十分な感度を備えることを表すものであり、この炭化水素センサが十分な選択率を有することが裏付けられている。
【0039】
尚、本発明においては、上記の具体的な実施例に記載されているものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、実施例の炭化水素センサはCO及びCOに対してはほとんど感度を有していないことが確認されており、これらのガスが共存する場合も炭化水素ガス濃度を高い選択率で測定することができる。また、このセンサにはLa、Sr、Ga、Mg及び遷移金属の他にも、炭化水素センサとしての性能に実質的に影響を及ぼさない範囲で他の元素又は不可避不純物等が含有されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】Niの固溶量と、感度及び選択率との相関を示すグラフである。
【図2】素子温度と、感度及び選択率との相関を示すグラフである。
【図3】C濃度及びO濃度と、電流値との相関を示すグラフである。

Claims (6)

  1. ペロブスカイト型結晶構造を有し、一般式(La,Sr)(Ga,Mg,Ni)O −δで表され、それぞれ酸化物換算した該Ga、該Mg及び該Niの合計を100モル%とした場合に、酸化物換算した該Niが2〜14モル%である固体電解質体と、該固体電解質体に接して設けられ、各々の触媒活性に差がある一対の電極とを備えることを特徴とする炭化水素センサ。
  2. ペロブスカイト型結晶構造を有し、一般式(La,Sr)(Ga,Mg,M)O −δで表され、該MはNiを除く遷移金属のうちの少なくとも1種であり、それぞれ酸化物換算した該Ga、該Mg及び該Mの合計を100モル%とした場合に、酸化物換算した該Mが6〜14モル%である固体電解質体と、該固体電解質体に接して設けられ、各々の触媒活性に差がある一対の電極とを備えることを特徴とする炭化水素センサ。
  3. 上記MがCo及びFeのうちの少なくとも1種である請求項2に記載の炭化水素センサ。
  4. 上記一対の電極のうちの相対的に触媒活性の高い電極がPtを主成分とする請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の炭化水素センサ。
  5. 上記一対の電極のうちの相対的に触媒活性の低い電極がLa1−xSrCoO(但し、xは0.3〜0.5である。)、Ag及びAuのうちの少なくとも1種を主成分とする請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の炭化水素センサ。
  6. 請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の炭化水素センサの使用方法であって、上記固体電解質体の温度を200〜500℃に保持し、上記一対の電極のうちの相対的に触媒活性の低い電極から相対的に触媒活性の高い電極へと酸素イオンをポンピングし、炭化水素ガス濃度による酸素ポンピング電流の変化を測定することを特徴とする炭化水素ガスセンサの使用方法。
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