JP2004116997A - 被検物面の測定方法及び測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】偏向素子の高速に変調する光学面等、従来は測定が困難であった動的な被検物面の面形状や面精度を測定することができる被検物面の測定方法及び装置を提供する。
【解決手段】本発明は、光源1からの可干渉光を被検物面6aに照射して干渉縞像を形成し、干渉縞強度を解析して、被検物面の面形状や面精度を測定する被検物面の測定方法(装置)において、光源1からの可干渉光を被検物面6aに照射する手段2,3と、法線ベクトルが時間的に変化している動的な被検物面6aからの反射光線ベクトルが略一定となるようにする手段7と、干渉縞像を形成する手段4,5,8と、干渉縞像の結像面に配置された検出器9と、該検出器9によって検出された干渉縞像を解析して面形状を算出する面形状算出手段とを備えているので、動的な被検物面の面形状を測定することが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、光源1からの可干渉光を被検物面6aに照射して干渉縞像を形成し、干渉縞強度を解析して、被検物面の面形状や面精度を測定する被検物面の測定方法(装置)において、光源1からの可干渉光を被検物面6aに照射する手段2,3と、法線ベクトルが時間的に変化している動的な被検物面6aからの反射光線ベクトルが略一定となるようにする手段7と、干渉縞像を形成する手段4,5,8と、干渉縞像の結像面に配置された検出器9と、該検出器9によって検出された干渉縞像を解析して面形状を算出する面形状算出手段とを備えているので、動的な被検物面の面形状を測定することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、時間的に変動あるいは振動している被検査物の表面(以下、被検物面と記す)の面形状や面精度を測定する被検物面の測定方法及び測定装置に関するものであり、特に、ポリゴンミラーやガルバノミラー、あるいはマイクロミラー(マイクロスキャナー)といった偏向素子(偏向器)の動的面の面形状や面精度の測定に応用される被検物面の測定方法及び測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザー光などを走査させるための偏向手段として、ガルバノミラーやポリゴンミラー、あるいはマイクロミラー(マイクロスキャナー)といった偏向素子が用いられる。これらの面は、光学性能に大きく影響を及ぼすため、非常に高精度な面形状に加工されている必要がある。
これらの面が静止した状態では、従来の干渉技術により容易に表面形状を測定することができるが、実際の駆動時の動作環境の表面形状を確認する手段がなかった。このため動作状態では、発熱や振れのため変形している可能性が、近年問題視されている。
【0003】
高速の変位量を高精度に測定する手段としては、レーザー測長機などがあるが、これは基本的に点計測であり、面形状を測定することはできない。また、実時間で被検物の面形状等を測定する方法も提案されているが(例えば、特許文献1、特許文献2等参照)、測定精度に十分耐えられるような強誘電体の光変調素子の入手は難しく、また、空間分解能を満たすだけの2次元の各画素毎に並列処理をしながら検出することはコスト的にも困難といえる。このため現状レベルはTVレート相当(数十msec)といえる。
【0004】
例えば、長さL=20mmのミラーが周波数f=1kHz、ふれ角θ=4度で変調し、それをλ/20(λ=633nm)の精度で測定するためには、最低でもλ/20の量だけミラーが変位するまでの時間に測定しなければいけないと考えると、角度Δθを、
Δθ=tan−1[(λ/20)/L]=9×10−5 [度]
として、時間Δtにして、
Δt=1/(f×2θ/Δθ)=11[nsec]
となる。すなわち、11[nsec]という非常に短い時間で測定しなければならない。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−235620号公報
【特許文献2】
特開平10−141927号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、ガルバノミラーやポリゴンミラー、マイクロミラーといった偏向素子(偏向器)の高速に変調する光学面を被検物面として動的に測定することを課題としており、特に、従来は測定が困難であった動的な被検物面の面形状や面精度を測定することができる被検物面の測定方法及び測定装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、光源からの可干渉光を被検物面に照射して干渉縞像を形成し、干渉縞強度を解析して、被検物面の面形状や面精度を測定する被検物面の測定方法において、法線ベクトルが時間的に変化している動的な被検物面の測定に対して、該被検物面からの反射光線ベクトルが略一定となるような光学系を構成することにより、被検物面を測定することを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、光源からの可干渉光を被検物面に照射して干渉縞像を形成し、干渉縞強度を解析して、被検物面の面形状や面精度を測定する被検物面の測定装置において、光源からの可干渉光を被検物面に照射する手段と、法線ベクトルが時間的に変化している動的な被検物面からの反射光線ベクトルが略一定となるようにする手段と、干渉縞像を形成する手段と、前記干渉縞像の結像面に配置された干渉縞像検出器と、前記干渉縞像検出器によって検出された干渉縞像を解析して面形状を算出する面形状算出手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2記載の被検物面の測定装置において、法線ベクトルが時間的に変化している動的な被検物面からの反射光線ベクトルが、略一定となるようにする手段として、被検物面からの反射光を再び被検物面に入射する手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項4に係る発明は、請求項3記載の被検物面の測定装置において、被検物面からの反射光を再び被検物面に入射する手段として、直角に配置した複数のミラーを用いることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項2,3または4記載の被検物面の測定装置において、干渉縞像を解析して面形状を算出する面形状算出手段として、少なくとも1回フーリエ変換を用いることを特徴とするものである。
また、請求項6に係る発明は、請求項2〜5のいずれか一つに記載の被検物面の測定装置において、前記被検物面は、周期的に変化する動的な偏向面であることを特徴するものである。
【0011】
請求項7に係る発明は、請求項2〜6のいずれか一つに記載の被検物面の測定装置において、前記光源が、被検物面の変調周波数に同期して、断続的に発光することを特徴とするものである。
また、請求項8に係る発明は、請求項2〜7のいずれか一つに記載の被検物面の測定装置において、干渉縞像を形成する手段として、シアリング干渉を用いることを特徴とするものである。
【0012】
請求項9に係る発明は、光源からの可干渉光を被検物面に照射して干渉縞像を形成し、干渉縞強度を解析して、被検物面の面形状や面精度を測定する被検物面の測定方法において、前記被検物面からの反射光を反転して再び被検物面に照射することにより、被検物面の面形状の対称成分を光学的に抽出することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成、動作及び作用を、図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【0014】
(実施例1)
まず、請求項1〜4の実施例を説明する。図1は本発明の一実施例を示す被検物面の測定装置の概略構成図である。図1において、符号1は光源としてのレーザー光源、2は光路を折り曲げるミラー、3は2枚のレンズで構成され光束を拡大するビームエキスパンダーレンズ、4はビームスプリッタ(BS)、5は参照光反射ミラー、6は測定対象である被検物、7は被検物面からの反射光を再び被検物面に入射する手段として機能する反射手段、8は検出用の結像レンズ、9は干渉縞像検出用の検出器である。
【0015】
図1において、レーザー光源1には、半導体レーザーや気体レーザーなどが用いられ、このレーザー光源1から出射したレーザー光は、ビームエキスパンダーレンズ3によって、ビームを適切な大きさに拡大される。拡大されたビーム光束は、ビームスプリッタ4によって、参照光と被検物6に照射する被検物光とに分割される。ビームスプリッタ4を直進した被検物光は、被検物6の表面(被検物面)6aによって反射されるが、被検物面6aは予め入射光線に対して傾けて配置しており、その反射光は、反射手段7の方向に進む。この反射手段7は、光束を入射方向に向かって反射する機能を有しており、被検物面6aからの反射光は反射手段7により再び被検物面6aに照射される。そして被検物面6aからの2度目の反射光は往路を逆方向に戻り、ビームスプリッタ4で折り返されて、結像レンズ8を介して検出器9に達する。一方、ビームスプリッタ4によって分割された参照光は、参照光反射ミラー5で反射され、再びビームスプリッタ4を通過し、結像レンズ8を介して検出器9に達する。この検出器9の検出面上では、被検物面6aからの反射光と、参照光反射ミラー5で反射された波面の基準となる参照光とが干渉して干渉縞を形成する。尚、結像レンズ8は、被検物面6aと検出器9の検出面とが結像関係となるように配置する。また、検出器9としては、エリアCCD(Charge Coupled Device)やラインCCDなどの撮像素子が用いられる。
【0016】
図2に反射手段7の構成の一例を示す。この反射手段7は、2枚の反射鏡7a,7bが直角に配置されて構成されている。被検物面6aからの反射光線は、2枚の反射鏡7a,7bで2回反射することにより、偏角が180度、すなわち入射光線と調度逆方向に進むことになる。従って、被検物面6aが破線のようにチルトした場合でも、被検物面6aからの2度目の反射光は、チルトしていない状態と同じ方向に進む。このような構成をとることにより、被検物面6aが振動などにより、面の法線ベクトルが時間的に高速に変化していても、被検物面6aからの反射光線ベクトルは一定となる。従って、検出器9の検出面上では、常に一定の干渉縞を形成することができる。
【0017】
本実施例では、反射手段7として2枚の反射鏡7a,7bを用いたが、これに代えてコーナープリズム等でもよく、また、コーナーキューブのように3枚の反射鏡あるいはプリズムを用いてもよい。尚、これらの反射鏡あるいはプリズムを用いると、反射光線ベクトルは一定だが、光線位置が若干横にシフトすることになる。しかしながら、わずかなチルトで干渉縞が大きく変化するのとは対照的に、測定領域が面内方向にずれるだけなので、干渉縞自体はほとんど変化することはない。
【0018】
ここで、被検物面6aに1度入射してから2度目の反射までの光路をL0、面のチルト角をαとすると、
横シフト量=L0×sin(2α)
の関係となる。
今、L0=50mm,α=0.1度とすれば、横シフト量=0.175mmとなる。これは、測定範囲が20mmの場合の1%以下であり、測定精度としてはほとんど問題にならない。前述の従来の方式が9×10−5度で有るのに比べ約1000倍程度有利に測定することができる。
これは、時間Δtにして、
Δt=1/(f×2θ/Δθ)=12.5[μsec]
であり、この応答速度は、検出器9にラインCCDを用いて処理できる速度である。
【0019】
(実施例2)
次に請求項5の実施例を説明する。本実施例では、上記検出器9で検出された干渉縞像を解析して面形状を算出する面形状算出手段として、少なくとも1回、フーリエ変換を用いるものである。
縞解析方法としては、位相シフト法やフーリエ変換法などがあるが、被検物面6aが時間的に高速に変化する場合には、フーリエ変換法の方がより適切である。位相シフト法が時間的変調で最低でも3回の干渉縞像を検出しないと解析できないのに対し、フーリエ変換法は空間的変調であるため1回だけ干渉縞を検出することにより解析することができるので、高速測定が可能であり、本測定のような高速測定に有利である。
【0020】
図1において、参照光反射ミラー5を干渉縞がヌルとなる位置からθだけ若干チルトさせると空間的キャリア周波数f0 を有する干渉縞を生じる。そのときの干渉縞の強度分布は、
i(x)=a(x)+b(x)cos[2πf0x+ψ(x)] (1)
で与えられる。尚、ここでは、便宜上、1次元で表現している。
ψ(x) は被検物6aの表面形状に相当する位相差を表し、a(x),b(x)は光量ムラを表す。
上記(1)式を変形して、
i(x)=a(x)+c(x)exp(j2πf0x)+c*(x)exp(−j2πf0x) (2)
となる。ただし、c*は複素共役であり、
c(x)=(1/2)b(x)exp(jψ(x)) (3)
である。
これをフーリエ変換すると、
ただし、A(f),C(f)は、それぞれa(x),c(x)のフーリエ変換である。
a(x),c(x)がf0 に比べて十分緩やかなとき、図3に示すように3つのスペクトルは完全に分離される。
【0021】
そこで,フィルタリングをして第2項のスペクトルC(f−f0) のみを取り出し、f0 だけ原点にシフトして逆フーリエ変換をする。
ここで、複素対数をとると、
log[c(x)]=log[b(x)/2]+jψ(x) (6)
となり、虚数項をとることにより不要信号b(x)と完全に分離される。
よって、c(x)の位相角ψ(x)、
ψ(x)=tan−1{Img[c(x)]/Real[c(x)]} (7)
を求めることによりψ(x)はa(x),b(x)に対して独立に得られることになる。そして、この位相角ψ(x)を計算することより表面形状を求めることができる。尚、図4に、以上の本発明のフーリエ変換法による縞解析方法のフローチャートを示す。
【0022】
(実施例3)
次に請求項6の実施例を説明する。図5は本発明の別の実施例を示す被検物面の測定装置の概略構成図であり、被検物としてポリゴンミラー14からなる偏向器の反射面(被検物面)を測定する場合の実施例である。図5において、図1と同符号を付けたものは同じ構成部材であるが、本実施例では、ビームスプリッタ(BS)に換えて偏光ビームスプリッタ(PBS)11を配置し、この偏光ビームスプリッタ(PBS)11と参照光反射ミラー5の間の光路と、偏光ビームスプリッタ(PBS)11とポリゴンミラー14の間の光路に、それぞれλ/4板12,13を配置している。
【0023】
図5において、レーザー光源1には、半導体レーザーや気体レーザーなどが用いられ、このレーザー光源1から出射したレーザー光は、ビームエキスパンダーレンズ3によって、ビームを適切な大きさに拡大される。拡大されたビーム光束は、偏光ビームスプリッタ(PBS)11によって、参照光と、被検物であるポリゴンミラー14に照射する被検物光とに分割される。そして、偏光ビームスプリッタ(PBS)11により分割された被検物光は、λ/4板13を通過し、ポリゴンミラー14の反射面(被検物面)14aによって反射され、その反射光は反射手段7の方向に進む。この反射手段7は、光束を入射方向に向かって反射する機能を有しており、被検物面14aからの反射光は反射手段7により再び被検物面14aに照射される。そして被検物面14aからの2度目の反射光は往路を逆方向に戻り、再びλ/4板13を通過し、偏光ビームスプリッタ(PBS)11で折り返されて、結像レンズ8を介して検出器9に達する。一方、偏光ビームスプリッタ(PBS)11により分割された参照光は、λ/4板12を通過し、参照光反射ミラー5で反射され、再びλ/4板12と偏光ビームスプリッタ(PBS)11を通過し、結像レンズ8を介して検出器9に達する。
このように、参照光及び被検物光は、それぞれλ/4板12,13を2度往復することにより、偏向面が90度回転し、検出器9上に集光する構成となっている。また、参照光反射ミラー5は、光軸に対して傾けて配置することにより、等厚干渉縞を生じる。これにより前述のフーリエ変換法にて解析することが可能となる。
【0024】
本実施例では、ポリゴンミラー14の被検物面14aが光軸に対して45度になるように配置し、ポリゴンミラー14を回転した状態で測定する。
また、ポリゴンミラー14の同期を検知するために、図示のように、発光素子(例えば半導体レーザー(LD))15aと受光素子(例えばフォトダイオード(PD))15bからなる同期検知ユニット15を設けてもよい。
被検物が、高速回転でかつ振れ角も大きいポリゴンミラー14の場合、検出器9に用いるラインCCDなどの応答周波数が十分でない場合がある。この場合には、光源1の発光のタイミングを制御すると良い。
【0025】
(実施例4)
次に請求項7の実施例を説明する。図6は請求項7の一実施例を示す図であり、図5に示した偏向器(ポリゴンミラー)14のふれ角と光源1の発光タイミングの関係を示すタイミングチャートである。
本実施例では、被検物が、高速回転でかつ振れ角も大きいポリゴンミラー14の場合には、図5に示した同期検知ユニット15で検知される被検物面14aの変調周波数を光源(例えば半導体レーザー(LD))1の発光制御回路(図示せず)にフィードバックして制御しており、図6に示すように、被検物面14aの変調周波数に同期して光源1の発光をON/OFF制御することにより、検出器9上では、常に静止した干渉縞像を形成することができる。
これにより、被検物面14aの変調周波数が、検出器9の応答周波数よりも高い場合でも、測定することが可能となる。
【0026】
(実施例5)
次に請求項8の実施例を説明する。図7は本発明の別の実施例を示す被検物面の測定装置の概略構成図であり、図1、図5と同符号を付けたものは同じ構成部材である。
本実施例では、参照光は用いずに、干渉縞像を形成する手段として、シアリング干渉を用いることを特徴とするものであり、偏光ビームスプリッタ(PBS)11と検出器9の間の光路には、結像レンズに換えてシアリング発生部16を設けてある。すなわち、被検物面6aからの反射光をシアリング発生部16で2つの波面に分離し、それらを横ずらしして重ね合わせるシアリング干渉の構成としたものである。
【0027】
図8に示すように、シアリング発生部16は、2枚の平行平板16a,16bを所定の間隔をおいて配置することによって構成されている。2枚の平行平板16a,16bの内側の2面S2,S3は面精度の高い研磨面であり、外側の2面S1,S4は、無反射コーティング等により無反射面となっている。この構成により、第1の平行平板16aの内側の面S2によって被検波の一部が反射され、残りが透過し、第1の平行平板16aを透過した被検波の一部は第2の平行平板16bの内側の面S3により反射され、第1の平行平板16a内を屈折しながら透過する。また、第1の平行平板16aの内側の面S2によって反射された被検波の一部と、第2の平行平板16bの内側の面S3により反射された被検波の残りの一部は、シアリング発生部16から互いに平行に出射する。
【0028】
このようにシアリング干渉の構成とすることにより、コモンパス率が高くなるので、外乱の影響を受けにくく、精度の高い動的測定が可能となる。また、気体レーザーに比べ可干渉性の低い半導体レーザー(LD)を光源1とした場合には、特に有効である。
尚、解析方法としてフーリエ変換法を用いる場合には、面の間隔を非平行にして、等厚干渉縞を形成しても良い。
【0029】
(実施例6)
次に請求項9の実施例を説明する。
走査光学系などに用いられるポリゴンミラーの反射面(被検物面)が、理想的な状態に比べて、放物面形状をしていると、レンズパワーとしての効果を持ってしまい、光学性能に悪影響を及ぼす。しかし、表面形状を多項式に展開したときの1次や3次係数成分は、パワーを持っていないので、光学性能にはそれほど影響しない。従って、光学性能に最も影響のある、2次係数成分を精度良く測定する必要がある。
【0030】
本実施例では、反射手段7をコーナーキューブ等を用いて構成しており、この場合には、被検物面からの反射光がコーナーキューブ等で反転して、被検物面に照射されるため、非対称形状成分は相殺されることになる。従って、対称成分のみを光学的に抽出することが可能となる。また、被検物面を2回通過することにより感度が2倍となるので、面形状を高精度に測定することが可能になる。また、干渉縞を見ただけで判断することが可能となり、目視による検査工程にも適している。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の被検物面の測定方法では、法線ベクトルが時間的に変化している動的な被検物面の測定に対して、該被検物面からの反射光線ベクトルが略一定となるような光学系を構成することにより、被検物面を測定することを特徴とするので、従来は測定が困難であった、動的な被検物面の面形状を測定することが可能となる。
【0032】
請求項2記載の被検物面の測定装置では、光源からの可干渉光を被検物面に照射する手段と、法線ベクトルが時間的に変化している動的な被検物面からの反射光線ベクトルが略一定となるようにする手段と、干渉縞像を形成する手段と、前記干渉縞像の結像面に配置された干渉縞像検出器と、前記干渉縞像検出器によって検出された干渉縞像を解析して面形状を算出する面形状算出手段と、を備えていることを特徴とするので、従来は測定が困難であった、動的な被検物面の面形状を測定することが可能となる。
【0033】
請求項3記載の被検物面の測定装置では、請求項2の構成及び効果に加え、法線ベクトルが時間的に変化している動的な被検物面からの反射光線ベクトルが、略一定となるようにする手段として、被検物面からの反射光を再び被検物面に同じ角度で入射する手段を設けることにより、被検物面が振動していても反射光線が一定であるので、干渉縞が変化せず、静的な面形状測定と同じ条件で測定することができる。
また、請求項4記載の被検物面の測定装置では、請求項3の構成及び効果に加え、被検物面からの反射光を再び被検物面に入射する手段として、直角に配置した複数のミラー(例えば、直角に配置した2枚のミラーや、コーナープリズム、コーナーキューブ等)を用いることにより、被検物面からの反射光線を同じ角度で再び被検物面に入射することができる。
【0034】
請求項5記載の被検物面の測定装置では、請求項2,3または4の構成及び効果に加え、干渉縞像を解析して面形状を算出する面形状算出手段として、少なくとも1回、フーリエ変換を用いることにより、1回の測定で、干渉縞解析をすることができるので、動的な測定に適する。
また、請求項6記載の被検物面の測定装置では、請求項2〜5のいずれか一つの構成及び効果に加え、前記被検物面は、周期的に変化する動的な偏向面であることにより、従来は測定が困難であった、ポリゴンミラー面やマイクロスキャナーといった高速に偏向する面を実際の使用環境と同じ状態で測定することができる。
【0035】
請求項7記載の被検物面の測定装置では、請求項2〜6のいずれか一つの構成及び効果に加え、前記光源が、被検物面の変調周波数に同期して、断続的に発光することにより、被検物面が高速に振動していても、検出器上では、ほぼ干渉縞が静止している状態になるので、安定した測定を行うことができる。
また、請求項8記載の被検物面の測定装置では、請求項2〜7のいずれか一つの構成及び効果に加え、干渉縞像を形成する手段として、シアリング干渉を用いることにより、コモンパス率が高くなるので、振動の影響を受けることなく、測定することができる。
【0036】
請求項9記載の被検物面の測定方法では、被検物面からの反射光を反転して、再び被検物面に照射することにより、被検物面の面形状の対称成分を光学的に抽出することを特徴とするので、最も必要な情報だけを抽出して測定することができる。また、被検物面を2回通過することにより感度が2倍となるので、面形状を高精度に測定することが可能になる。また、干渉縞を見ただけで判断することが可能となり、目視による検査工程にも適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す被検物面の測定装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す測定装置の反射手段の構成例を示す図である。
【図3】縞解析に用いるフーリエ変換法のスペクトル抽出方法を示す図である。
【図4】本発明のフーリエ変換法による縞解析方法のフローチャートである。
【図5】本発明の別の実施例を示す被検物面の測定装置の概略構成図である。
【図6】請求項7の一実施例を示す図であり、偏向器(ポリゴンミラー)のふれ角と光源の発光タイミングの関係を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の別の実施例を示す被検物面の測定装置の概略構成図である。
【図8】図7に示す測定装置のシアリング発生部の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 レーザー光源
2 ミラー
3 ビームエキスパンダーレンズ
4 ビームスプリッタ(BS)
5 参照光反射ミラー
6 被検物
6a 被検物面
7 反射手段
8 結像レンズ
9 検出器
11 偏光ビームスプリッタ(PBS)
12 λ/4板
13 λ/4板
14 ポリゴンミラー(偏向器)
14a 反射面(被検物面)
15 同期検知ユニット
15a 発光素子
15b 受光素子
16 シアリング発生部
16a 第1の平行平板
16b 第2の平行平板
【発明の属する技術分野】
本発明は、時間的に変動あるいは振動している被検査物の表面(以下、被検物面と記す)の面形状や面精度を測定する被検物面の測定方法及び測定装置に関するものであり、特に、ポリゴンミラーやガルバノミラー、あるいはマイクロミラー(マイクロスキャナー)といった偏向素子(偏向器)の動的面の面形状や面精度の測定に応用される被検物面の測定方法及び測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザー光などを走査させるための偏向手段として、ガルバノミラーやポリゴンミラー、あるいはマイクロミラー(マイクロスキャナー)といった偏向素子が用いられる。これらの面は、光学性能に大きく影響を及ぼすため、非常に高精度な面形状に加工されている必要がある。
これらの面が静止した状態では、従来の干渉技術により容易に表面形状を測定することができるが、実際の駆動時の動作環境の表面形状を確認する手段がなかった。このため動作状態では、発熱や振れのため変形している可能性が、近年問題視されている。
【0003】
高速の変位量を高精度に測定する手段としては、レーザー測長機などがあるが、これは基本的に点計測であり、面形状を測定することはできない。また、実時間で被検物の面形状等を測定する方法も提案されているが(例えば、特許文献1、特許文献2等参照)、測定精度に十分耐えられるような強誘電体の光変調素子の入手は難しく、また、空間分解能を満たすだけの2次元の各画素毎に並列処理をしながら検出することはコスト的にも困難といえる。このため現状レベルはTVレート相当(数十msec)といえる。
【0004】
例えば、長さL=20mmのミラーが周波数f=1kHz、ふれ角θ=4度で変調し、それをλ/20(λ=633nm)の精度で測定するためには、最低でもλ/20の量だけミラーが変位するまでの時間に測定しなければいけないと考えると、角度Δθを、
Δθ=tan−1[(λ/20)/L]=9×10−5 [度]
として、時間Δtにして、
Δt=1/(f×2θ/Δθ)=11[nsec]
となる。すなわち、11[nsec]という非常に短い時間で測定しなければならない。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−235620号公報
【特許文献2】
特開平10−141927号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、ガルバノミラーやポリゴンミラー、マイクロミラーといった偏向素子(偏向器)の高速に変調する光学面を被検物面として動的に測定することを課題としており、特に、従来は測定が困難であった動的な被検物面の面形状や面精度を測定することができる被検物面の測定方法及び測定装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、光源からの可干渉光を被検物面に照射して干渉縞像を形成し、干渉縞強度を解析して、被検物面の面形状や面精度を測定する被検物面の測定方法において、法線ベクトルが時間的に変化している動的な被検物面の測定に対して、該被検物面からの反射光線ベクトルが略一定となるような光学系を構成することにより、被検物面を測定することを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、光源からの可干渉光を被検物面に照射して干渉縞像を形成し、干渉縞強度を解析して、被検物面の面形状や面精度を測定する被検物面の測定装置において、光源からの可干渉光を被検物面に照射する手段と、法線ベクトルが時間的に変化している動的な被検物面からの反射光線ベクトルが略一定となるようにする手段と、干渉縞像を形成する手段と、前記干渉縞像の結像面に配置された干渉縞像検出器と、前記干渉縞像検出器によって検出された干渉縞像を解析して面形状を算出する面形状算出手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2記載の被検物面の測定装置において、法線ベクトルが時間的に変化している動的な被検物面からの反射光線ベクトルが、略一定となるようにする手段として、被検物面からの反射光を再び被検物面に入射する手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項4に係る発明は、請求項3記載の被検物面の測定装置において、被検物面からの反射光を再び被検物面に入射する手段として、直角に配置した複数のミラーを用いることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項2,3または4記載の被検物面の測定装置において、干渉縞像を解析して面形状を算出する面形状算出手段として、少なくとも1回フーリエ変換を用いることを特徴とするものである。
また、請求項6に係る発明は、請求項2〜5のいずれか一つに記載の被検物面の測定装置において、前記被検物面は、周期的に変化する動的な偏向面であることを特徴するものである。
【0011】
請求項7に係る発明は、請求項2〜6のいずれか一つに記載の被検物面の測定装置において、前記光源が、被検物面の変調周波数に同期して、断続的に発光することを特徴とするものである。
また、請求項8に係る発明は、請求項2〜7のいずれか一つに記載の被検物面の測定装置において、干渉縞像を形成する手段として、シアリング干渉を用いることを特徴とするものである。
【0012】
請求項9に係る発明は、光源からの可干渉光を被検物面に照射して干渉縞像を形成し、干渉縞強度を解析して、被検物面の面形状や面精度を測定する被検物面の測定方法において、前記被検物面からの反射光を反転して再び被検物面に照射することにより、被検物面の面形状の対称成分を光学的に抽出することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成、動作及び作用を、図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【0014】
(実施例1)
まず、請求項1〜4の実施例を説明する。図1は本発明の一実施例を示す被検物面の測定装置の概略構成図である。図1において、符号1は光源としてのレーザー光源、2は光路を折り曲げるミラー、3は2枚のレンズで構成され光束を拡大するビームエキスパンダーレンズ、4はビームスプリッタ(BS)、5は参照光反射ミラー、6は測定対象である被検物、7は被検物面からの反射光を再び被検物面に入射する手段として機能する反射手段、8は検出用の結像レンズ、9は干渉縞像検出用の検出器である。
【0015】
図1において、レーザー光源1には、半導体レーザーや気体レーザーなどが用いられ、このレーザー光源1から出射したレーザー光は、ビームエキスパンダーレンズ3によって、ビームを適切な大きさに拡大される。拡大されたビーム光束は、ビームスプリッタ4によって、参照光と被検物6に照射する被検物光とに分割される。ビームスプリッタ4を直進した被検物光は、被検物6の表面(被検物面)6aによって反射されるが、被検物面6aは予め入射光線に対して傾けて配置しており、その反射光は、反射手段7の方向に進む。この反射手段7は、光束を入射方向に向かって反射する機能を有しており、被検物面6aからの反射光は反射手段7により再び被検物面6aに照射される。そして被検物面6aからの2度目の反射光は往路を逆方向に戻り、ビームスプリッタ4で折り返されて、結像レンズ8を介して検出器9に達する。一方、ビームスプリッタ4によって分割された参照光は、参照光反射ミラー5で反射され、再びビームスプリッタ4を通過し、結像レンズ8を介して検出器9に達する。この検出器9の検出面上では、被検物面6aからの反射光と、参照光反射ミラー5で反射された波面の基準となる参照光とが干渉して干渉縞を形成する。尚、結像レンズ8は、被検物面6aと検出器9の検出面とが結像関係となるように配置する。また、検出器9としては、エリアCCD(Charge Coupled Device)やラインCCDなどの撮像素子が用いられる。
【0016】
図2に反射手段7の構成の一例を示す。この反射手段7は、2枚の反射鏡7a,7bが直角に配置されて構成されている。被検物面6aからの反射光線は、2枚の反射鏡7a,7bで2回反射することにより、偏角が180度、すなわち入射光線と調度逆方向に進むことになる。従って、被検物面6aが破線のようにチルトした場合でも、被検物面6aからの2度目の反射光は、チルトしていない状態と同じ方向に進む。このような構成をとることにより、被検物面6aが振動などにより、面の法線ベクトルが時間的に高速に変化していても、被検物面6aからの反射光線ベクトルは一定となる。従って、検出器9の検出面上では、常に一定の干渉縞を形成することができる。
【0017】
本実施例では、反射手段7として2枚の反射鏡7a,7bを用いたが、これに代えてコーナープリズム等でもよく、また、コーナーキューブのように3枚の反射鏡あるいはプリズムを用いてもよい。尚、これらの反射鏡あるいはプリズムを用いると、反射光線ベクトルは一定だが、光線位置が若干横にシフトすることになる。しかしながら、わずかなチルトで干渉縞が大きく変化するのとは対照的に、測定領域が面内方向にずれるだけなので、干渉縞自体はほとんど変化することはない。
【0018】
ここで、被検物面6aに1度入射してから2度目の反射までの光路をL0、面のチルト角をαとすると、
横シフト量=L0×sin(2α)
の関係となる。
今、L0=50mm,α=0.1度とすれば、横シフト量=0.175mmとなる。これは、測定範囲が20mmの場合の1%以下であり、測定精度としてはほとんど問題にならない。前述の従来の方式が9×10−5度で有るのに比べ約1000倍程度有利に測定することができる。
これは、時間Δtにして、
Δt=1/(f×2θ/Δθ)=12.5[μsec]
であり、この応答速度は、検出器9にラインCCDを用いて処理できる速度である。
【0019】
(実施例2)
次に請求項5の実施例を説明する。本実施例では、上記検出器9で検出された干渉縞像を解析して面形状を算出する面形状算出手段として、少なくとも1回、フーリエ変換を用いるものである。
縞解析方法としては、位相シフト法やフーリエ変換法などがあるが、被検物面6aが時間的に高速に変化する場合には、フーリエ変換法の方がより適切である。位相シフト法が時間的変調で最低でも3回の干渉縞像を検出しないと解析できないのに対し、フーリエ変換法は空間的変調であるため1回だけ干渉縞を検出することにより解析することができるので、高速測定が可能であり、本測定のような高速測定に有利である。
【0020】
図1において、参照光反射ミラー5を干渉縞がヌルとなる位置からθだけ若干チルトさせると空間的キャリア周波数f0 を有する干渉縞を生じる。そのときの干渉縞の強度分布は、
i(x)=a(x)+b(x)cos[2πf0x+ψ(x)] (1)
で与えられる。尚、ここでは、便宜上、1次元で表現している。
ψ(x) は被検物6aの表面形状に相当する位相差を表し、a(x),b(x)は光量ムラを表す。
上記(1)式を変形して、
i(x)=a(x)+c(x)exp(j2πf0x)+c*(x)exp(−j2πf0x) (2)
となる。ただし、c*は複素共役であり、
c(x)=(1/2)b(x)exp(jψ(x)) (3)
である。
これをフーリエ変換すると、
ただし、A(f),C(f)は、それぞれa(x),c(x)のフーリエ変換である。
a(x),c(x)がf0 に比べて十分緩やかなとき、図3に示すように3つのスペクトルは完全に分離される。
【0021】
そこで,フィルタリングをして第2項のスペクトルC(f−f0) のみを取り出し、f0 だけ原点にシフトして逆フーリエ変換をする。
ここで、複素対数をとると、
log[c(x)]=log[b(x)/2]+jψ(x) (6)
となり、虚数項をとることにより不要信号b(x)と完全に分離される。
よって、c(x)の位相角ψ(x)、
ψ(x)=tan−1{Img[c(x)]/Real[c(x)]} (7)
を求めることによりψ(x)はa(x),b(x)に対して独立に得られることになる。そして、この位相角ψ(x)を計算することより表面形状を求めることができる。尚、図4に、以上の本発明のフーリエ変換法による縞解析方法のフローチャートを示す。
【0022】
(実施例3)
次に請求項6の実施例を説明する。図5は本発明の別の実施例を示す被検物面の測定装置の概略構成図であり、被検物としてポリゴンミラー14からなる偏向器の反射面(被検物面)を測定する場合の実施例である。図5において、図1と同符号を付けたものは同じ構成部材であるが、本実施例では、ビームスプリッタ(BS)に換えて偏光ビームスプリッタ(PBS)11を配置し、この偏光ビームスプリッタ(PBS)11と参照光反射ミラー5の間の光路と、偏光ビームスプリッタ(PBS)11とポリゴンミラー14の間の光路に、それぞれλ/4板12,13を配置している。
【0023】
図5において、レーザー光源1には、半導体レーザーや気体レーザーなどが用いられ、このレーザー光源1から出射したレーザー光は、ビームエキスパンダーレンズ3によって、ビームを適切な大きさに拡大される。拡大されたビーム光束は、偏光ビームスプリッタ(PBS)11によって、参照光と、被検物であるポリゴンミラー14に照射する被検物光とに分割される。そして、偏光ビームスプリッタ(PBS)11により分割された被検物光は、λ/4板13を通過し、ポリゴンミラー14の反射面(被検物面)14aによって反射され、その反射光は反射手段7の方向に進む。この反射手段7は、光束を入射方向に向かって反射する機能を有しており、被検物面14aからの反射光は反射手段7により再び被検物面14aに照射される。そして被検物面14aからの2度目の反射光は往路を逆方向に戻り、再びλ/4板13を通過し、偏光ビームスプリッタ(PBS)11で折り返されて、結像レンズ8を介して検出器9に達する。一方、偏光ビームスプリッタ(PBS)11により分割された参照光は、λ/4板12を通過し、参照光反射ミラー5で反射され、再びλ/4板12と偏光ビームスプリッタ(PBS)11を通過し、結像レンズ8を介して検出器9に達する。
このように、参照光及び被検物光は、それぞれλ/4板12,13を2度往復することにより、偏向面が90度回転し、検出器9上に集光する構成となっている。また、参照光反射ミラー5は、光軸に対して傾けて配置することにより、等厚干渉縞を生じる。これにより前述のフーリエ変換法にて解析することが可能となる。
【0024】
本実施例では、ポリゴンミラー14の被検物面14aが光軸に対して45度になるように配置し、ポリゴンミラー14を回転した状態で測定する。
また、ポリゴンミラー14の同期を検知するために、図示のように、発光素子(例えば半導体レーザー(LD))15aと受光素子(例えばフォトダイオード(PD))15bからなる同期検知ユニット15を設けてもよい。
被検物が、高速回転でかつ振れ角も大きいポリゴンミラー14の場合、検出器9に用いるラインCCDなどの応答周波数が十分でない場合がある。この場合には、光源1の発光のタイミングを制御すると良い。
【0025】
(実施例4)
次に請求項7の実施例を説明する。図6は請求項7の一実施例を示す図であり、図5に示した偏向器(ポリゴンミラー)14のふれ角と光源1の発光タイミングの関係を示すタイミングチャートである。
本実施例では、被検物が、高速回転でかつ振れ角も大きいポリゴンミラー14の場合には、図5に示した同期検知ユニット15で検知される被検物面14aの変調周波数を光源(例えば半導体レーザー(LD))1の発光制御回路(図示せず)にフィードバックして制御しており、図6に示すように、被検物面14aの変調周波数に同期して光源1の発光をON/OFF制御することにより、検出器9上では、常に静止した干渉縞像を形成することができる。
これにより、被検物面14aの変調周波数が、検出器9の応答周波数よりも高い場合でも、測定することが可能となる。
【0026】
(実施例5)
次に請求項8の実施例を説明する。図7は本発明の別の実施例を示す被検物面の測定装置の概略構成図であり、図1、図5と同符号を付けたものは同じ構成部材である。
本実施例では、参照光は用いずに、干渉縞像を形成する手段として、シアリング干渉を用いることを特徴とするものであり、偏光ビームスプリッタ(PBS)11と検出器9の間の光路には、結像レンズに換えてシアリング発生部16を設けてある。すなわち、被検物面6aからの反射光をシアリング発生部16で2つの波面に分離し、それらを横ずらしして重ね合わせるシアリング干渉の構成としたものである。
【0027】
図8に示すように、シアリング発生部16は、2枚の平行平板16a,16bを所定の間隔をおいて配置することによって構成されている。2枚の平行平板16a,16bの内側の2面S2,S3は面精度の高い研磨面であり、外側の2面S1,S4は、無反射コーティング等により無反射面となっている。この構成により、第1の平行平板16aの内側の面S2によって被検波の一部が反射され、残りが透過し、第1の平行平板16aを透過した被検波の一部は第2の平行平板16bの内側の面S3により反射され、第1の平行平板16a内を屈折しながら透過する。また、第1の平行平板16aの内側の面S2によって反射された被検波の一部と、第2の平行平板16bの内側の面S3により反射された被検波の残りの一部は、シアリング発生部16から互いに平行に出射する。
【0028】
このようにシアリング干渉の構成とすることにより、コモンパス率が高くなるので、外乱の影響を受けにくく、精度の高い動的測定が可能となる。また、気体レーザーに比べ可干渉性の低い半導体レーザー(LD)を光源1とした場合には、特に有効である。
尚、解析方法としてフーリエ変換法を用いる場合には、面の間隔を非平行にして、等厚干渉縞を形成しても良い。
【0029】
(実施例6)
次に請求項9の実施例を説明する。
走査光学系などに用いられるポリゴンミラーの反射面(被検物面)が、理想的な状態に比べて、放物面形状をしていると、レンズパワーとしての効果を持ってしまい、光学性能に悪影響を及ぼす。しかし、表面形状を多項式に展開したときの1次や3次係数成分は、パワーを持っていないので、光学性能にはそれほど影響しない。従って、光学性能に最も影響のある、2次係数成分を精度良く測定する必要がある。
【0030】
本実施例では、反射手段7をコーナーキューブ等を用いて構成しており、この場合には、被検物面からの反射光がコーナーキューブ等で反転して、被検物面に照射されるため、非対称形状成分は相殺されることになる。従って、対称成分のみを光学的に抽出することが可能となる。また、被検物面を2回通過することにより感度が2倍となるので、面形状を高精度に測定することが可能になる。また、干渉縞を見ただけで判断することが可能となり、目視による検査工程にも適している。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の被検物面の測定方法では、法線ベクトルが時間的に変化している動的な被検物面の測定に対して、該被検物面からの反射光線ベクトルが略一定となるような光学系を構成することにより、被検物面を測定することを特徴とするので、従来は測定が困難であった、動的な被検物面の面形状を測定することが可能となる。
【0032】
請求項2記載の被検物面の測定装置では、光源からの可干渉光を被検物面に照射する手段と、法線ベクトルが時間的に変化している動的な被検物面からの反射光線ベクトルが略一定となるようにする手段と、干渉縞像を形成する手段と、前記干渉縞像の結像面に配置された干渉縞像検出器と、前記干渉縞像検出器によって検出された干渉縞像を解析して面形状を算出する面形状算出手段と、を備えていることを特徴とするので、従来は測定が困難であった、動的な被検物面の面形状を測定することが可能となる。
【0033】
請求項3記載の被検物面の測定装置では、請求項2の構成及び効果に加え、法線ベクトルが時間的に変化している動的な被検物面からの反射光線ベクトルが、略一定となるようにする手段として、被検物面からの反射光を再び被検物面に同じ角度で入射する手段を設けることにより、被検物面が振動していても反射光線が一定であるので、干渉縞が変化せず、静的な面形状測定と同じ条件で測定することができる。
また、請求項4記載の被検物面の測定装置では、請求項3の構成及び効果に加え、被検物面からの反射光を再び被検物面に入射する手段として、直角に配置した複数のミラー(例えば、直角に配置した2枚のミラーや、コーナープリズム、コーナーキューブ等)を用いることにより、被検物面からの反射光線を同じ角度で再び被検物面に入射することができる。
【0034】
請求項5記載の被検物面の測定装置では、請求項2,3または4の構成及び効果に加え、干渉縞像を解析して面形状を算出する面形状算出手段として、少なくとも1回、フーリエ変換を用いることにより、1回の測定で、干渉縞解析をすることができるので、動的な測定に適する。
また、請求項6記載の被検物面の測定装置では、請求項2〜5のいずれか一つの構成及び効果に加え、前記被検物面は、周期的に変化する動的な偏向面であることにより、従来は測定が困難であった、ポリゴンミラー面やマイクロスキャナーといった高速に偏向する面を実際の使用環境と同じ状態で測定することができる。
【0035】
請求項7記載の被検物面の測定装置では、請求項2〜6のいずれか一つの構成及び効果に加え、前記光源が、被検物面の変調周波数に同期して、断続的に発光することにより、被検物面が高速に振動していても、検出器上では、ほぼ干渉縞が静止している状態になるので、安定した測定を行うことができる。
また、請求項8記載の被検物面の測定装置では、請求項2〜7のいずれか一つの構成及び効果に加え、干渉縞像を形成する手段として、シアリング干渉を用いることにより、コモンパス率が高くなるので、振動の影響を受けることなく、測定することができる。
【0036】
請求項9記載の被検物面の測定方法では、被検物面からの反射光を反転して、再び被検物面に照射することにより、被検物面の面形状の対称成分を光学的に抽出することを特徴とするので、最も必要な情報だけを抽出して測定することができる。また、被検物面を2回通過することにより感度が2倍となるので、面形状を高精度に測定することが可能になる。また、干渉縞を見ただけで判断することが可能となり、目視による検査工程にも適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す被検物面の測定装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す測定装置の反射手段の構成例を示す図である。
【図3】縞解析に用いるフーリエ変換法のスペクトル抽出方法を示す図である。
【図4】本発明のフーリエ変換法による縞解析方法のフローチャートである。
【図5】本発明の別の実施例を示す被検物面の測定装置の概略構成図である。
【図6】請求項7の一実施例を示す図であり、偏向器(ポリゴンミラー)のふれ角と光源の発光タイミングの関係を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の別の実施例を示す被検物面の測定装置の概略構成図である。
【図8】図7に示す測定装置のシアリング発生部の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 レーザー光源
2 ミラー
3 ビームエキスパンダーレンズ
4 ビームスプリッタ(BS)
5 参照光反射ミラー
6 被検物
6a 被検物面
7 反射手段
8 結像レンズ
9 検出器
11 偏光ビームスプリッタ(PBS)
12 λ/4板
13 λ/4板
14 ポリゴンミラー(偏向器)
14a 反射面(被検物面)
15 同期検知ユニット
15a 発光素子
15b 受光素子
16 シアリング発生部
16a 第1の平行平板
16b 第2の平行平板
Claims (9)
- 光源からの可干渉光を被検査物の表面(以下、被検物面と記す)に照射して干渉縞像を形成し、干渉縞強度を解析して、被検物面の面形状や面精度を測定する被検物面の測定方法において、
法線ベクトルが時間的に変化している動的な被検物面の測定に対して、該被検物面からの反射光線ベクトルが略一定となるような光学系を構成することにより、被検物面を測定することを特徴とする被検物面の測定方法。 - 光源からの可干渉光を被検物面に照射して干渉縞像を形成し、干渉縞強度を解析して、被検物面の面形状や面精度を測定する被検物面の測定装置において、
光源からの可干渉光を被検物面に照射する手段と、
法線ベクトルが時間的に変化している動的な被検物面からの反射光線ベクトルが略一定となるようにする手段と、
干渉縞像を形成する手段と、
前記干渉縞像の結像面に配置された干渉縞像検出器と、
前記干渉縞像検出器によって検出された干渉縞像を解析して面形状を算出する面形状算出手段と、
を備えていることを特徴とする被検物面の測定装置。 - 請求項2記載の被検物面の測定装置において、
法線ベクトルが時間的に変化している動的な被検物面からの反射光線ベクトルが、略一定となるようにする手段として、被検物面からの反射光を再び被検物面に入射する手段を有することを特徴とする被検物面の測定装置。 - 請求項3記載の被検物面の測定装置において、
被検物面からの反射光を再び被検物面に入射する手段として、直角に配置した複数のミラーを用いることを特徴とする被検物面の測定装置。 - 請求項2,3または4記載の被検物面の測定装置において、
干渉縞像を解析して面形状を算出する面形状算出手段として、少なくとも1回フーリエ変換を用いることを特徴とする被検物面の測定装置。 - 請求項2〜5のいずれか一つに記載の被検物面の測定装置において、
前記被検物面は、周期的に変化する動的な偏向面であることを特徴する被検物面の測定装置。 - 請求項2〜6のいずれか一つに記載の被検物面の測定装置において、
前記光源が、被検物面の変調周波数に同期して、断続的に発光することを特徴とする被検物面の測定装置。 - 請求項2〜7のいずれか一つに記載の被検物面の測定装置において、
干渉縞像を形成する手段として、シアリング干渉を用いることを特徴とする被検物面の測定装置。 - 光源からの可干渉光を被検物面に照射して干渉縞像を形成し、干渉縞強度を解析して、被検物面の面形状や面精度を測定する被検物面の測定方法において、
前記被検物面からの反射光を反転して再び被検物面に照射することにより、被検物面の面形状の対称成分を光学的に抽出することを特徴とする被検物面の測定方法。
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2002
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