JP2004116305A - 内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】点火装置を備える内燃機関において、燃料と空気を十分に混合しえるようにする。
【解決手段】内燃機関の1サイクルを、ピストン14の下降に伴って吸気通路から空気を筒内に吸い込みながら燃料を筒内に噴射する行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮する行程と、圧縮に伴う筒内の昇圧によりピストン14が上死点から押し戻される行程と、ピストン14の上昇に伴って筒内を圧縮しながら上死点付近で混合気に点火する行程と、燃焼に伴う高温ガスの膨張によってピストン14が押し下げられる行程と、膨張した燃焼ガスをピストン14の上昇に伴って排気通路へ押し出す行程と、の順に進む、6行程に設定する。
【選択図】 図3
【解決手段】内燃機関の1サイクルを、ピストン14の下降に伴って吸気通路から空気を筒内に吸い込みながら燃料を筒内に噴射する行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮する行程と、圧縮に伴う筒内の昇圧によりピストン14が上死点から押し戻される行程と、ピストン14の上昇に伴って筒内を圧縮しながら上死点付近で混合気に点火する行程と、燃焼に伴う高温ガスの膨張によってピストン14が押し下げられる行程と、膨張した燃焼ガスをピストン14の上昇に伴って排気通路へ押し出す行程と、の順に進む、6行程に設定する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、点火装置を備える内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料を筒内に直接噴射する内燃機関において、第1の吸気行程→圧縮行程(筒内噴射・点火)→膨張行程(燃焼)→第1の排気行程→第2の吸気行程→第2の排気行程、の6行程を1サイクル(1周期)に設定したものが開示される(特許文献1、参照)。第1の吸気行程→圧縮行程(筒内噴射・点火)→膨張行程(燃焼)→第1の排気行程、の4行程に追加される2行程(第2の吸気行程→第2の排気行程)により、第1の排気行程後の残存ガスは、新気と共に筒内から排気通路へ除去されるのである。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−291830号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図は、筒内噴射式の内燃機関において、4行程・1サイクルの作動を説明するものであり、ピストンの下降に伴って吸気通路から空気を筒内に吸い込む行程《吸入》と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮しながら上死点付近で点火する行程《圧縮》と、燃焼ガスの膨張によってピストンが押し下げられる行程《膨張》と、膨張した燃焼ガスをピストンの上昇に伴って排気通路へ押し出す行程《排気》と、の順に進む、4行程を1サイクルにクランクシャフトの2回転毎に1回ずつ繰り返すのである。《圧縮》の上死点付近に設定の点火に対し、燃料噴射は、《吸入》の前期に設定されるが、筒内噴射(直接噴射)においては、運転状態(噴射量など)にもよるが、点火へ至る期間が短か過ぎて燃料と空気との混合(ミキシング)が不足する、という可能性が考えられる。
【0005】
この発明は、このような課題に着目してなされたものであり、筒内噴射式においても、燃料と空気を十分に混合しえる、内燃機関の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、内燃機関の1サイクルを、ピストンの下降に伴って吸気通路から空気を筒内に吸い込みながら燃料を筒内に噴射する行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮する行程と、圧縮に伴う筒内の昇圧によりピストンが上死点から押し戻される行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮しながら上死点付近で混合気に点火する行程と、燃焼に伴う高温ガスの膨張によってピストンが押し下げられる行程と、膨張した燃焼ガスをピストンの上昇に伴って排気通路へ押し出す行程と、の順に進む、6行程に設定したことを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、内燃機関の1サイクルを、ピストンの下降に伴って吸気通路から筒内に燃料を空気と共に吸い込む行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮する行程と、圧縮に伴う筒内の昇圧によりピストンが上死点から押し戻される行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮しながら上死点付近で混合気に点火する行程と、燃焼に伴う高温ガスの膨張によってピストンが押し下げられる行程と、膨張した燃焼ガスをピストンの上昇に伴って排気通路へ押し出す行程と、の順に進む、6行程に設定したことを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、内燃機関の1サイクルを、ピストンの下降に伴って吸気通路から空気を吸い込む行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮する行程と、圧縮に伴う筒内の昇圧によりピストンが上死点から押し戻される行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮しながら上死点付近で混合気に点火する行程と、燃焼に伴う高温ガスの膨張によってピストンが押し下げられる行程と、膨張した燃焼ガスをピストンの上昇に伴って排気通路へ押し出す行程と、の順に進む、6行程に設定する一方、空気の吸い込みから点火へ至るまでの適宜な時期に燃料の筒内噴射を制御する手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
第4の発明は、第1の発明または第2の発明または第3の発明に係る内燃機関において、内燃機関の1サイクルを6行程に制御する手段と、同じく1サイクルを4行程に制御する手段と、運転状態に応じて4行程・1サイクルの制御と6行程・1サイクルの制御を選択的に実効させる手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
第1の発明においては、最初の行程で筒内に空気が吸い込まれ、燃料が筒内噴射される。続く行程で新気(筒内の燃料を含む空気)が圧縮され、この圧縮に伴う筒内の昇圧により、続く行程でピストンが押し戻される。これらの行程において、新気の流動が活発化され、これに伴う撹拌作用により、燃料と空気との混合(ミキシング)が大いに促進される。続く行程で筒内の混合気が圧縮され、その上死点付近で混合気に点火される。続く行程で燃焼に伴う高温ガスの膨張によって動力を発生させるのであり、膨張したガスは、最後の行程で筒内から排気通路へ押し出され、最初の行程から繰り返されるのである。このような、6行程・1サイクルの作動により、燃料の筒内噴射から点火へ至るまでの間において、空気と燃料を十分に混合させることができる。燃料は、ガソリン,軽油,ガス(たとえば、圧縮天然ガス)、などが想定される。
【0011】
第2の発明においては、最初の行程で筒内に空気が燃料と共に吸い込まれ、続く2行程において、ピストンの往復運動により、筒内の新気(燃料を含む空気)が活発に撹拌され、燃料と空気との混合(ミキシング)が大いに促進される。続く行程で筒内の混合気が圧縮され、その上死点付近で混合気に点火される。続く行程で燃焼に伴う高温ガスの膨張によって動力を発生させるのであり、膨張したガスは、最後の行程で筒内から排気通路へ押し出される。このような、6行程・1サイクルの作動により、燃料が空気と混合しにくいガス(たとえば、圧縮天然ガス)の場合においても、混合気の吸い込みから点火へ至るまでの間に空気と燃料を十分に混合させることができる。
【0012】
第3の発明においては、筒内噴射から点火へ至るまでの期間の拡縮が適宜に制御される。たとえば、燃料の噴射量が小さい低負荷領域においては、筒内噴射の時期を遅らせることにより、圧縮上死点付近の点火へ至る期間を短くしたり、燃料の噴射量が大きい高負荷領域においては、筒内噴射の時期を早めることにより、圧縮上死点付近の点火へ至る期間を長くしたり、適宜に制御すると、運転状態に適合する、常に過不足のない、良好な混合状態が得られるようになる。
【0013】
第4の発明においては、4行程・1サイクルの制御と、6行程・1サイクルの制御と、が運転状態に応じて選択的に実効され、両者の特性をエンジン性能に生かせるようになる。たとえば、燃料の噴射量が大きい高負荷領域において、6行程・1サイクルの制御を実効させることにより、燃料と空気との十分な混合が得られる一方、燃料の噴射量が小さい低負荷領域において、4行程・1サイクル(図9、参照)の制御を実効させることにより、所定の馬力を確保できるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1において、10は筒内噴射式の内燃機関(エンジン)であり、気筒毎に吸気弁11および排気弁12(図示省略)のほか、燃料を筒内へ直接噴射するインジェクタ13と、筒内の混合気を点火する図外のプラグ(点火装置の一部を構成する)と、が配置される。14はピストン、15はシリンダヘッドである。
【0015】
内燃機関10の1サイクルは、図2の6行程に設定される。吸気弁11が開かつ排気弁12が閉のバルブ状態において、ピストン14の下降に伴って吸気通路から空気を吸い込む行程《吸入》と、吸気弁11が閉かつ排気弁12が閉のバルブ状態において、ピストン14の上昇に伴って筒内を圧縮する行程《圧縮1》と、この圧縮に伴う筒内の昇圧によりピストン14が上死点から押し戻される行程《膨張1》と、吸気弁11が閉かつ排気弁12が閉のバルブ状態において、ピストン14の上昇に伴って筒内を圧縮しながら上死点付近で混合気に点火する行程《圧縮2》と、この燃焼に伴う高温ガスの膨張によってピストン14が押し下げられる行程《膨張2》と、吸気弁11が閉かつ排気弁12が開のバルブ状態において、膨張した燃焼ガスをピストン14の上昇に伴って排気通路へ押し出す行程《排気》と、の順に進む、6行程・1サイクルに構成される。
【0016】
《圧縮2》の上死点付近に設定の点火(プラグの作動)に対し、筒内噴射(インジェクタ15の作動)は、《吸入》の前期に設定される。燃料の噴射量は、エンジンの回転速度と負荷状態とから決定され、《吸入》の前期に設定の開始時期に対し、終了時期が燃料の決定量に応じて変化するように制御される。
【0017】
図3は、6行程・1サイクル(《吸入》《圧縮1》《膨張1》《圧縮2》《膨張2》《排気》)の作動を説明するものであり、最初の行程《吸入》において、筒内に空気が吸い込まれ、燃料が筒内噴射される。続く行程《圧縮1》において、新気(筒内の燃料を含む空気)が圧縮され、続く行程《膨張1》において、ピストン14が下死点へ押し戻される。これらピストンの往復行程において、新気の流動が活発化され、これに伴う撹拌作用により、燃料と空気との混合(ミキシング)が大いに促進される。続く行程《圧縮2》において、筒内の混合気が圧縮され、その上死点付近で点火される。続く行程《膨張2》において、高温ガスの膨張によってピストン14が押し下げられるのであり、膨張したガスは、最後の行程《排気》において、筒内から排気通路へ押し出される。
【0018】
このような、6行程・1サイクルの作動により、燃料の筒内噴射から点火へ至るまでの間において、空気と燃料を十分に混合させることができる。図3において、細線Aは、筒内圧の変化を表すものである。
【0019】
1サイクルの間、クランク軸は3回転する。クランク軸の回転は、ギヤの噛み合いによって動弁機構のカム軸へ伝達され、クランク軸の3回転ごとにカム軸が1回転するギヤ比(クランク軸のギヤの歯数/カム軸のギヤの歯数=1/3)に設定される。図4は、吸気弁11のカム11a(プロフィルは、図3のバルブ挙動に対応する)、図5は、排気弁12のカム12a(プロフィルは、図3のバルブ挙動に対応する)、を表すものである。
【0020】
燃料は、軽油,ガソリン,CNG(圧縮天然ガス)、などが想定される。CNGの場合、気体どうしのため、空気と混合しにくいので、筒内噴射は、《圧縮2》の上死点付に設定の点火に対し、早めに設定するのが望まれる。ガソリンまたは軽油の場合、CNGよりも短期間の混合が済むので、筒内噴射は、《吸入》に限らず、《圧縮1》または《膨張1》または《圧縮2》に設定可能となる。
【0021】
《吸入》〜《圧縮2》の範囲において、筒内噴射は、運転状態に応じた適宜な時期に制御することが考えられる。その場合、筒内噴射から点火へ至るまでの期間が運転状態(噴射量など)に応じて拡縮されるのである。たとえば、燃料の噴射量が小さい低負荷領域においては、筒内噴射の時期を遅らせることにより、圧縮上死点付近の点火へ至る期間を短くしたり、燃料の噴射量が大きい高負荷領域においては、筒内噴射の時期を早めることにより、圧縮上死点付近の点火へ至る期間を長くしたり、適宜に制御すると、運転状態に適合する、常に過不足のない、良好な混合が得られるようになる。
【0022】
燃料は、筒内噴射に拠るのでなく、吸気通路に供給する構成に代えてもよい。その場合、最初の行程《吸入》で筒内に混合気(燃料と共に空気)が吸い込まれる。続く2行程《圧縮1》《膨張1》において、ピストンの往復運動により、筒内の混合気が活発に撹拌され、燃料と空気との混合(ミキシング)が大いに促進される。続く行程《圧縮2》で筒内の混合気が圧縮され、その上死点付近で混合気に点火される。続く行程《膨張2》で燃焼に伴う高温ガスの膨張によって動力を発生させるのであり、膨張したガスは、最後の行程《排気》で筒内から排気通路へ押し出される。このような、6行程・1サイクルの作動により、燃料が空気と混合しにくいガス(たとえば、圧縮天然ガス)の場合においても、混合気の吸い込みから点火へ至るまでの間に空気と燃料を十分に混合させることができる。
【0023】
図6は、別の実施形態を表すものであり、吸気弁11を開閉するアクチュエータ16と、排気弁12を開閉するアクチュエータ17と、図示しないインジェクタと共にこれらのアクチュエータ16,17を制御するECU18(電子制御ユニット)と、が備えられる。ECU18は、内燃機関の作動を図9のような4行程・1サイクル(《吸入》《圧縮》《膨張》《排気》)に制御する手段と、同じく1サイクルを図3の6行程(《吸入》《圧縮1》《膨張1》《圧縮2》《膨張3》《排気》)に制御する手段と、これら制御を運転状態に応じて選択的に実効させる手段と、が構成される。
【0024】
図8は、ECU18の制御内容を説明するフローチャートであり、S1,S2においては、運転状態としてエンジン回転速度およびエンジン負荷(スロットル開度,吸気圧力、など)を検出する。S3においては、これらの回転信号および負荷信号から確定される運転状態に対し、図7のようなマップ(制御特性)に基づいて、運転状態は、4行程・1サイクルの制御領域か、6行程・1サイクルの制御領域か、を判定する。運転状態が4行程・1サイクルの制御領域に入るときは、4行程・1サイクルの制御(図9、参照)を実効させる一方、運転状態が6行程・1サイクルの制御領域に入るときは、6行程・1サイクルの制御(図3、参照)を実効させるのである。
【0025】
図7のようなマップにおいては、燃料の噴射量が大きい高負荷運転のときは、6行程・1サイクルの実効により、燃料と空気との十分な混合が得られる一方、燃料の噴射量が小さい低負荷運転のときは、4行程・1サイクルの実効により、所定の馬力を確保できるようになる。つまり、4行程・1サイクルの制御と、6行程・1サイクルの制御と、を運転状態に応じて選択的に実効させることにより、エンジン性能に両者の特性を生かせるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を表す、エンジン構造の概要図である。
【図2】同じく、1サイクルの行程説明図である。
【図3】同じく、6行程・1サイクルの作動説明図である。
【図4】同じく、吸気弁のカムプロフィル図である。
【図5】同じく、排気弁のカムプロフィル図である。
【図6】別の実施形態を表す、システムの概要図である。
【図7】同じく、制御マップの説明図である。
【図8】同じく、制御内容を説明するフローチャートである。
【図9】4行程・1サイクルの作動説明図である。
【符号の説明】
11 吸気弁
12 排気弁
13 インジェクタ
14 ピストン
16,17 バルブアクチュエータ
18 ECU(電子制御ユニット)
【発明の属する技術分野】
この発明は、点火装置を備える内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料を筒内に直接噴射する内燃機関において、第1の吸気行程→圧縮行程(筒内噴射・点火)→膨張行程(燃焼)→第1の排気行程→第2の吸気行程→第2の排気行程、の6行程を1サイクル(1周期)に設定したものが開示される(特許文献1、参照)。第1の吸気行程→圧縮行程(筒内噴射・点火)→膨張行程(燃焼)→第1の排気行程、の4行程に追加される2行程(第2の吸気行程→第2の排気行程)により、第1の排気行程後の残存ガスは、新気と共に筒内から排気通路へ除去されるのである。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−291830号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図は、筒内噴射式の内燃機関において、4行程・1サイクルの作動を説明するものであり、ピストンの下降に伴って吸気通路から空気を筒内に吸い込む行程《吸入》と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮しながら上死点付近で点火する行程《圧縮》と、燃焼ガスの膨張によってピストンが押し下げられる行程《膨張》と、膨張した燃焼ガスをピストンの上昇に伴って排気通路へ押し出す行程《排気》と、の順に進む、4行程を1サイクルにクランクシャフトの2回転毎に1回ずつ繰り返すのである。《圧縮》の上死点付近に設定の点火に対し、燃料噴射は、《吸入》の前期に設定されるが、筒内噴射(直接噴射)においては、運転状態(噴射量など)にもよるが、点火へ至る期間が短か過ぎて燃料と空気との混合(ミキシング)が不足する、という可能性が考えられる。
【0005】
この発明は、このような課題に着目してなされたものであり、筒内噴射式においても、燃料と空気を十分に混合しえる、内燃機関の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、内燃機関の1サイクルを、ピストンの下降に伴って吸気通路から空気を筒内に吸い込みながら燃料を筒内に噴射する行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮する行程と、圧縮に伴う筒内の昇圧によりピストンが上死点から押し戻される行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮しながら上死点付近で混合気に点火する行程と、燃焼に伴う高温ガスの膨張によってピストンが押し下げられる行程と、膨張した燃焼ガスをピストンの上昇に伴って排気通路へ押し出す行程と、の順に進む、6行程に設定したことを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、内燃機関の1サイクルを、ピストンの下降に伴って吸気通路から筒内に燃料を空気と共に吸い込む行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮する行程と、圧縮に伴う筒内の昇圧によりピストンが上死点から押し戻される行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮しながら上死点付近で混合気に点火する行程と、燃焼に伴う高温ガスの膨張によってピストンが押し下げられる行程と、膨張した燃焼ガスをピストンの上昇に伴って排気通路へ押し出す行程と、の順に進む、6行程に設定したことを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、内燃機関の1サイクルを、ピストンの下降に伴って吸気通路から空気を吸い込む行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮する行程と、圧縮に伴う筒内の昇圧によりピストンが上死点から押し戻される行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮しながら上死点付近で混合気に点火する行程と、燃焼に伴う高温ガスの膨張によってピストンが押し下げられる行程と、膨張した燃焼ガスをピストンの上昇に伴って排気通路へ押し出す行程と、の順に進む、6行程に設定する一方、空気の吸い込みから点火へ至るまでの適宜な時期に燃料の筒内噴射を制御する手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
第4の発明は、第1の発明または第2の発明または第3の発明に係る内燃機関において、内燃機関の1サイクルを6行程に制御する手段と、同じく1サイクルを4行程に制御する手段と、運転状態に応じて4行程・1サイクルの制御と6行程・1サイクルの制御を選択的に実効させる手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
第1の発明においては、最初の行程で筒内に空気が吸い込まれ、燃料が筒内噴射される。続く行程で新気(筒内の燃料を含む空気)が圧縮され、この圧縮に伴う筒内の昇圧により、続く行程でピストンが押し戻される。これらの行程において、新気の流動が活発化され、これに伴う撹拌作用により、燃料と空気との混合(ミキシング)が大いに促進される。続く行程で筒内の混合気が圧縮され、その上死点付近で混合気に点火される。続く行程で燃焼に伴う高温ガスの膨張によって動力を発生させるのであり、膨張したガスは、最後の行程で筒内から排気通路へ押し出され、最初の行程から繰り返されるのである。このような、6行程・1サイクルの作動により、燃料の筒内噴射から点火へ至るまでの間において、空気と燃料を十分に混合させることができる。燃料は、ガソリン,軽油,ガス(たとえば、圧縮天然ガス)、などが想定される。
【0011】
第2の発明においては、最初の行程で筒内に空気が燃料と共に吸い込まれ、続く2行程において、ピストンの往復運動により、筒内の新気(燃料を含む空気)が活発に撹拌され、燃料と空気との混合(ミキシング)が大いに促進される。続く行程で筒内の混合気が圧縮され、その上死点付近で混合気に点火される。続く行程で燃焼に伴う高温ガスの膨張によって動力を発生させるのであり、膨張したガスは、最後の行程で筒内から排気通路へ押し出される。このような、6行程・1サイクルの作動により、燃料が空気と混合しにくいガス(たとえば、圧縮天然ガス)の場合においても、混合気の吸い込みから点火へ至るまでの間に空気と燃料を十分に混合させることができる。
【0012】
第3の発明においては、筒内噴射から点火へ至るまでの期間の拡縮が適宜に制御される。たとえば、燃料の噴射量が小さい低負荷領域においては、筒内噴射の時期を遅らせることにより、圧縮上死点付近の点火へ至る期間を短くしたり、燃料の噴射量が大きい高負荷領域においては、筒内噴射の時期を早めることにより、圧縮上死点付近の点火へ至る期間を長くしたり、適宜に制御すると、運転状態に適合する、常に過不足のない、良好な混合状態が得られるようになる。
【0013】
第4の発明においては、4行程・1サイクルの制御と、6行程・1サイクルの制御と、が運転状態に応じて選択的に実効され、両者の特性をエンジン性能に生かせるようになる。たとえば、燃料の噴射量が大きい高負荷領域において、6行程・1サイクルの制御を実効させることにより、燃料と空気との十分な混合が得られる一方、燃料の噴射量が小さい低負荷領域において、4行程・1サイクル(図9、参照)の制御を実効させることにより、所定の馬力を確保できるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1において、10は筒内噴射式の内燃機関(エンジン)であり、気筒毎に吸気弁11および排気弁12(図示省略)のほか、燃料を筒内へ直接噴射するインジェクタ13と、筒内の混合気を点火する図外のプラグ(点火装置の一部を構成する)と、が配置される。14はピストン、15はシリンダヘッドである。
【0015】
内燃機関10の1サイクルは、図2の6行程に設定される。吸気弁11が開かつ排気弁12が閉のバルブ状態において、ピストン14の下降に伴って吸気通路から空気を吸い込む行程《吸入》と、吸気弁11が閉かつ排気弁12が閉のバルブ状態において、ピストン14の上昇に伴って筒内を圧縮する行程《圧縮1》と、この圧縮に伴う筒内の昇圧によりピストン14が上死点から押し戻される行程《膨張1》と、吸気弁11が閉かつ排気弁12が閉のバルブ状態において、ピストン14の上昇に伴って筒内を圧縮しながら上死点付近で混合気に点火する行程《圧縮2》と、この燃焼に伴う高温ガスの膨張によってピストン14が押し下げられる行程《膨張2》と、吸気弁11が閉かつ排気弁12が開のバルブ状態において、膨張した燃焼ガスをピストン14の上昇に伴って排気通路へ押し出す行程《排気》と、の順に進む、6行程・1サイクルに構成される。
【0016】
《圧縮2》の上死点付近に設定の点火(プラグの作動)に対し、筒内噴射(インジェクタ15の作動)は、《吸入》の前期に設定される。燃料の噴射量は、エンジンの回転速度と負荷状態とから決定され、《吸入》の前期に設定の開始時期に対し、終了時期が燃料の決定量に応じて変化するように制御される。
【0017】
図3は、6行程・1サイクル(《吸入》《圧縮1》《膨張1》《圧縮2》《膨張2》《排気》)の作動を説明するものであり、最初の行程《吸入》において、筒内に空気が吸い込まれ、燃料が筒内噴射される。続く行程《圧縮1》において、新気(筒内の燃料を含む空気)が圧縮され、続く行程《膨張1》において、ピストン14が下死点へ押し戻される。これらピストンの往復行程において、新気の流動が活発化され、これに伴う撹拌作用により、燃料と空気との混合(ミキシング)が大いに促進される。続く行程《圧縮2》において、筒内の混合気が圧縮され、その上死点付近で点火される。続く行程《膨張2》において、高温ガスの膨張によってピストン14が押し下げられるのであり、膨張したガスは、最後の行程《排気》において、筒内から排気通路へ押し出される。
【0018】
このような、6行程・1サイクルの作動により、燃料の筒内噴射から点火へ至るまでの間において、空気と燃料を十分に混合させることができる。図3において、細線Aは、筒内圧の変化を表すものである。
【0019】
1サイクルの間、クランク軸は3回転する。クランク軸の回転は、ギヤの噛み合いによって動弁機構のカム軸へ伝達され、クランク軸の3回転ごとにカム軸が1回転するギヤ比(クランク軸のギヤの歯数/カム軸のギヤの歯数=1/3)に設定される。図4は、吸気弁11のカム11a(プロフィルは、図3のバルブ挙動に対応する)、図5は、排気弁12のカム12a(プロフィルは、図3のバルブ挙動に対応する)、を表すものである。
【0020】
燃料は、軽油,ガソリン,CNG(圧縮天然ガス)、などが想定される。CNGの場合、気体どうしのため、空気と混合しにくいので、筒内噴射は、《圧縮2》の上死点付に設定の点火に対し、早めに設定するのが望まれる。ガソリンまたは軽油の場合、CNGよりも短期間の混合が済むので、筒内噴射は、《吸入》に限らず、《圧縮1》または《膨張1》または《圧縮2》に設定可能となる。
【0021】
《吸入》〜《圧縮2》の範囲において、筒内噴射は、運転状態に応じた適宜な時期に制御することが考えられる。その場合、筒内噴射から点火へ至るまでの期間が運転状態(噴射量など)に応じて拡縮されるのである。たとえば、燃料の噴射量が小さい低負荷領域においては、筒内噴射の時期を遅らせることにより、圧縮上死点付近の点火へ至る期間を短くしたり、燃料の噴射量が大きい高負荷領域においては、筒内噴射の時期を早めることにより、圧縮上死点付近の点火へ至る期間を長くしたり、適宜に制御すると、運転状態に適合する、常に過不足のない、良好な混合が得られるようになる。
【0022】
燃料は、筒内噴射に拠るのでなく、吸気通路に供給する構成に代えてもよい。その場合、最初の行程《吸入》で筒内に混合気(燃料と共に空気)が吸い込まれる。続く2行程《圧縮1》《膨張1》において、ピストンの往復運動により、筒内の混合気が活発に撹拌され、燃料と空気との混合(ミキシング)が大いに促進される。続く行程《圧縮2》で筒内の混合気が圧縮され、その上死点付近で混合気に点火される。続く行程《膨張2》で燃焼に伴う高温ガスの膨張によって動力を発生させるのであり、膨張したガスは、最後の行程《排気》で筒内から排気通路へ押し出される。このような、6行程・1サイクルの作動により、燃料が空気と混合しにくいガス(たとえば、圧縮天然ガス)の場合においても、混合気の吸い込みから点火へ至るまでの間に空気と燃料を十分に混合させることができる。
【0023】
図6は、別の実施形態を表すものであり、吸気弁11を開閉するアクチュエータ16と、排気弁12を開閉するアクチュエータ17と、図示しないインジェクタと共にこれらのアクチュエータ16,17を制御するECU18(電子制御ユニット)と、が備えられる。ECU18は、内燃機関の作動を図9のような4行程・1サイクル(《吸入》《圧縮》《膨張》《排気》)に制御する手段と、同じく1サイクルを図3の6行程(《吸入》《圧縮1》《膨張1》《圧縮2》《膨張3》《排気》)に制御する手段と、これら制御を運転状態に応じて選択的に実効させる手段と、が構成される。
【0024】
図8は、ECU18の制御内容を説明するフローチャートであり、S1,S2においては、運転状態としてエンジン回転速度およびエンジン負荷(スロットル開度,吸気圧力、など)を検出する。S3においては、これらの回転信号および負荷信号から確定される運転状態に対し、図7のようなマップ(制御特性)に基づいて、運転状態は、4行程・1サイクルの制御領域か、6行程・1サイクルの制御領域か、を判定する。運転状態が4行程・1サイクルの制御領域に入るときは、4行程・1サイクルの制御(図9、参照)を実効させる一方、運転状態が6行程・1サイクルの制御領域に入るときは、6行程・1サイクルの制御(図3、参照)を実効させるのである。
【0025】
図7のようなマップにおいては、燃料の噴射量が大きい高負荷運転のときは、6行程・1サイクルの実効により、燃料と空気との十分な混合が得られる一方、燃料の噴射量が小さい低負荷運転のときは、4行程・1サイクルの実効により、所定の馬力を確保できるようになる。つまり、4行程・1サイクルの制御と、6行程・1サイクルの制御と、を運転状態に応じて選択的に実効させることにより、エンジン性能に両者の特性を生かせるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を表す、エンジン構造の概要図である。
【図2】同じく、1サイクルの行程説明図である。
【図3】同じく、6行程・1サイクルの作動説明図である。
【図4】同じく、吸気弁のカムプロフィル図である。
【図5】同じく、排気弁のカムプロフィル図である。
【図6】別の実施形態を表す、システムの概要図である。
【図7】同じく、制御マップの説明図である。
【図8】同じく、制御内容を説明するフローチャートである。
【図9】4行程・1サイクルの作動説明図である。
【符号の説明】
11 吸気弁
12 排気弁
13 インジェクタ
14 ピストン
16,17 バルブアクチュエータ
18 ECU(電子制御ユニット)
Claims (4)
- 内燃機関の1サイクルを、ピストンの下降に伴って吸気通路から空気を筒内に吸い込みながら燃料を筒内に噴射する行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮する行程と、圧縮に伴う筒内の昇圧によりピストンが上死点から押し戻される行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮しながら上死点付近で混合気に点火する行程と、燃焼に伴う高温ガスの膨張によってピストンが押し下げられる行程と、膨張した燃焼ガスをピストンの上昇に伴って排気通路へ押し出す行程と、の順に進む、6行程に設定したことを特徴とする内燃機関。
- 内燃機関の1サイクルを、ピストンの下降に伴って吸気通路から筒内に燃料を空気と共に吸い込む行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮する行程と、圧縮に伴う筒内の昇圧によりピストンが上死点から押し戻される行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮しながら上死点付近で混合気に点火する行程と、燃焼に伴う高温ガスの膨張によってピストンが押し下げられる行程と、膨張した燃焼ガスをピストンの上昇に伴って排気通路へ押し出す行程と、の順に進む、6行程に設定したことを特徴とする内燃機関。
- 内燃機関の1サイクルを、ピストンの下降に伴って吸気通路から空気を吸い込む行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮する行程と、圧縮に伴う筒内の昇圧によりピストンが上死点から押し戻される行程と、ピストンの上昇に伴って筒内を圧縮しながら上死点付近で混合気に点火する行程と、燃焼に伴う高温ガスの膨張によってピストンが押し下げられる行程と、膨張した燃焼ガスをピストンの上昇に伴って排気通路へ押し出す行程と、の順に進む、6行程に設定する一方、空気の吸い込みから点火へ至るまでの適宜な時期に燃料の筒内噴射を制御する手段を備えたことを特徴とする内燃機関。
- 内燃機関の1サイクルを6行程に制御する手段と、同じく1サイクルを4行程に制御する手段と、運転状態に応じて4行程・1サイクルの制御と6行程・1サイクルの制御を選択的に実効させる手段と、を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に係る内燃機関。
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- 2002-09-24 JP JP2002277217A patent/JP2004116305A/ja active Pending
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