JP2004115965A - 脱臭・殺菌作用を持つ紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】脱臭・殺菌の効果を持つ紙を提供する。
【解決手段】臭気を取る紙として、備長炭や特殊のセラミックスのように吸着力の強い材料を微粉末にしてバインダーにより紙に塗布した紙などが知られているが、これらは殺菌作用や有機物分解作用が弱い。脱臭作用のみならず、強い殺菌作用やハウスシック病原因物質分解能力を持つ紙を次の方法で製造した。酸素一電子還元触媒作用を持つ物質(例えばポリアニリンおよびその誘導体)、該触媒より低い酸化還元電位を持つ金属(例えばアルミ、鉄、亜鉛などの粉末)、バインダー(例えば可溶性デンプン、無機バインダー)、潮解性を持つ塩(例えば塩化カルシューム)を水を主成分とする塗料またはインクを作り、紙に塗布または印刷した。
【選択図】 なし
【解決手段】臭気を取る紙として、備長炭や特殊のセラミックスのように吸着力の強い材料を微粉末にしてバインダーにより紙に塗布した紙などが知られているが、これらは殺菌作用や有機物分解作用が弱い。脱臭作用のみならず、強い殺菌作用やハウスシック病原因物質分解能力を持つ紙を次の方法で製造した。酸素一電子還元触媒作用を持つ物質(例えばポリアニリンおよびその誘導体)、該触媒より低い酸化還元電位を持つ金属(例えばアルミ、鉄、亜鉛などの粉末)、バインダー(例えば可溶性デンプン、無機バインダー)、潮解性を持つ塩(例えば塩化カルシューム)を水を主成分とする塗料またはインクを作り、紙に塗布または印刷した。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
空気中に放置することにより、脱臭および殺菌を行うことができる紙の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、微生物や藻類の撲滅剤として、塩素、オゾン、紫外線、過酸化水素などが使用されているが、より安全な殺菌剤である活性酸素は、各分野において、殺菌、消毒用として
注目されるようになった。活性酸素は、微生物の撲滅剤としてのみでなく、ハウスシック病原因物質である有機物質を分解し、悪臭を除く方法としてもその有用性が明らかになっている。
【0003】
これまで、活性酸素の発生方法としては、酸化チタンを用いる方法(1997年、株式会社シーエムシー発行、藤島他著、「光クリーン革命」参照)や、水や空気中に存在する酸素にポリアニリンを接触させる方法(日本特許第3043981号、特願2001−070426、特願2002−071296公報)、食塩含有ゲルの片面にポリアニリン層を、また反対の面に金属板を配置し、リード線で電気的に接続する方法(特願2001−342008公報)などが知られている。
【0004】
また、臭気を取る紙として、備長炭や特殊のセラミックスのように吸着力の強い材料を微粉末にしてバインダーにより紙に塗布した紙などが知られているが、有機物分解作用が弱く、性能的に満足のいくものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、活性酸素を連続的に発生する安価な紙の製造法、およびそれを加工した製品を提供することを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、活性酸素発生能のあるレドックスポリマーを用いて、脱臭、殺菌、ハウスシック病原因物質分解、エチレン分解(農産物の鮮度保持)などの広範な作用を持つ紙を安価に作るために鋭意研究を重ねた結果、活性酸素発生能を持つレドックスポリマー、および、該レドックスポリマーより低い酸化還元電位を持つ金属を、両者がイオン伝導で接続するよう紙に担持することにより本課題を解決した。
【0007】
「発明の実施の形態」
本発明で用いるレドックスポリマーはポリアニリンおよびその誘導体のように、活性酸素発生機能を持つものであれば、何れの使用も可能である。ポリアニリンは、芳香環上にスルホン基やメチル基等で置換されたその誘導体でもよい。また、硫酸、塩酸等のプロトン酸やルイス酸によってドープされたもの、または脱ドープされたものの何れも用いることが可能である。また、ポリアニリンの重合度にも制限はない。ポリアニリンおよびその誘導体は、酸化剤を用いる化学的合成法および電気化学的合成法等の公知の方法によって製造することができる。
【0008】
本発明に用いるレドックスポリマーは水または溶剤への溶解性があるもの、あるいは水中または溶剤中での分散性が良い粉末を用いるのが好ましい。水や溶剤への溶解性あるいは分散性が高いポリアニリンとしては、還元型ポリアニリン、ポリアニリンの芳香環上にスルホン基を置換したもの、界面活性剤の存在下に合成し分散性を向上させたもの等がある。
【0009】
本発明のレドックスポリマー、および、該レドックスポリマーより低い酸化還元電位を持つ金属を、両者がイオン伝導で接続するよう紙に担持する方法としては、例えば、レドックスポリマーとして水溶性ポリアニリン、バインダーとして可溶性デンプン、潮解性を持つ塩として塩化カルシュームを水に溶解し、それに低酸化還元電位金属粉としてアルミ粉を混ぜて紙に塗布する方法、金属箔を貼り付けた紙にポリアニリン微粉末を担持し、紙に潮解性塩を含む電解質含有水を吸着させる方法等があるが特に制限されるものではない。塗布には、公知の方法、すなわち、塗布、噴霧、印刷(オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷)などの方法が用いられる。
【0010】
グラファイトパウダーのような導電性微粉末にレドックスポリマーを担持して用いるのは好ましい方法の一つである。また、両者を混合して用いる方法もある。また、導電性のある炭素繊維ペーパーにレドックスポリマーを担持させて使うのも好ましい方法である。
【0011】
本発明で用いるバインダーは具体的には、可溶性デンプン、ポリビニルアルコール等の親水性ポリマー、酸化チタン光触媒、アルミナゾル、シリカゾルなどの無機系バインダー等がある。
【0012】
本発明に用いる紙は、繊維表面積が大きいもの、塗料やインクが乗りやすいもの、親水性が良く吸湿性の高いもの、吸湿時の形態安定性が良いものが好ましい。紙にイオン伝導性を持たせる方法としては、紙に塩化カルシュームや塩化マグネシュームなどの潮解性を持つ無機塩の水溶液を紙に含浸させる方法、電解質を含んだ保水材料(例えば、保水性高分子材料、ヒアルロン酸ナトリウム、アルミナゾル、シリカゾル、吸水性樹脂等)を紙に含浸するか担持する方法等がある。
【0013】
紙の表面がべたつくのを防ぐために、炭酸カルシューム、タルク、シリカなどの微粉末を添加する方法は好ましい方法の一つである。
【0014】
本発明に使用する金属は、該レドックスポリマーより酸化還元電位の低い金属であれば何れの使用も可能であるが、例えば、アルミニューム、鉄、亜鉛が好ましく使用される。
【0015】
本発明の方法で活性酸素が発生するメカニズムは明らかにされていないが、金属の電子が、該レドックスポリマーの触媒作用により酸素に移動しスーパーオキシドが生成するものと考えられる。活性酸素を発生すると金属は酸化され金属酸化物となり活性がなくなるので、本発明製品の活性酸素発生能力は時間とともに減少する。
【0016】
本発明で用いられるレドックスポリマーに加えて、タンパク質の吸着性能を上げるもの、活性物質を生成する触媒、PH調整剤、表面接触角を下げるもの、など様々なものを添加することは好ましい方法の一つである。例えば、Haber Weise 反応や Fenton 反応の触媒、タンパク質を吸着し易いアパタイト粉末、導電性を上げるフラファイトなどの添加剤を加えるのは好ましい。
【0017】
本発明の紙はそのままの状態で使用して差し支えないが、必要に応じ表面積を大きくするために、積層構造やハニカム構造のような多孔質形状に加工して用いる。
次に、実施例を用いてさらに詳しく説明する。
実施例1
【0018】
(ポリアニリンの合成)1℃に冷却した、アンモニウムペルオキシジスルファート183。4gを含む1N塩酸(または硫酸)水溶液800mlを、同じく1℃に冷却しアニリン74。4gを含む1N塩酸(または硫酸)水溶液1200ml中に、窒素雰囲気下で攪拌しながら1分以上かけて加えた。その後、引き続き5℃にて1時間半攪拌を行なった。反応後、沈殿を濾別し、1N塩酸(または硫酸)で洗浄しドーパント率(プロト化率)が42%のポリアニリンを得た。このポリアニリンを1%炭酸ナトリウム水溶液に懸濁させ、pHを8以上に保ちながら15時間攪拌を続けた後、1%炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥してドーパント率0%のポリアニリン粉末を得た。この粉末をNーメチルピロリドンに溶解し5%溶液とした。
【0019】
(イソプロピルアルコールの分解)
上記ポリアニリン溶液を塗布してポリアニリン厚み約1ミクロンとした紙(ユミクロンペーパー;湯浅電池製)を良く乾かした後、家庭用アルミ箔(60mm*90mm)にボンドで接着し120℃で10分間乾燥した。紙の上に0.1mMのFeCl3を含む10%CaCl2水溶液1mlを垂らした後乾燥し試験試料とした。3リットルのガラス瓶に上記の紙を入れた後、イソプロピルアルコール20マイクロリッターを加え密閉し、ガス検知管を用いて濃度変化を測定した。イソプロピルアルコール濃度は、1時間後1600ppm、24時間後820ppmであった。
【0020】
実施例2
(脱臭・殺菌紙の作成)
アクアパス(01X、三菱レーヨン製;固形分含有量5wt%、PH2.2)1mlにデンプン糊(T―100、ヤマト株式会社)10gを加え均一になるまでよくかき混ぜた。一方、水26mlにFeCl3・6H2O 0.0135gおよび塩化カルシューム1gを溶解した。両者を良くかき混ぜA液とした。食塩1%を含むデンプン糊にアルミ粉末0.4gを加え良くかき混ぜB液とした。A液1.5mlおよびB液0.27gを混ぜ合わせ塗料Cとした。この塗料C 0.75mlを和紙(雅峰;東京楠堂製;6mm*4.5mm)に塗布した後乾燥した。
(アンモニアの除去)
3リットルのガラス瓶に上記の紙を入れた後、アンモニアを密閉し、ガス検知管を用いて濃度変化を測定した。スタート時35ppm、であったのが、5分後6ppm、30分後2ppmであった。
(アセトアルデヒドの除去)
3リットルのガラス瓶に上記の紙を入れた後、アセトアルデヒド20マイクロリッター加え密閉し、ガス検知管を用いて濃度変化を測定した。当初750ppmであったのが、一時間後480ppmであった。
【0021】
実施例3
実施例2で作製した脱臭・殺菌紙を、本を収納してあるカビ臭のある押入れに設置した。一日後カビ臭後カビ臭が殆ど消滅した。
【0022】
実施例4
実施例2で作製した脱臭・殺菌紙を、家庭の便所に設置した。顕著な消臭効果が認められた。
【0023】
実施例5
70*90mmのオーバーヘッドプロジェクター用のフィルムに家庭用アルミ箔をボンドで貼りつけ、さらにその上にユミクロン紙(湯浅電池製)を貼りつけた。ユミクロン紙上に、ポリアニリン分散液(独オルメコン社製ORMECON6417−106−008)を噴霧法により吹き付けポリアニリンの厚さを約2ミクロンとした。乾燥後、紙を10%塩化カルシューム含む0.1mMの三塩化鉄溶液1mlで湿らせた後再び乾燥した。3リットルのガラス瓶に上記の紙を入れた後、アセトアルデヒド750マイクロリッター入れ加密閉し、ガス検知管を用いて濃度変化を測定した。24時間後380ppmであった。
【0024】
実施例6
70*90mmのアルミ箔にコピー用紙を貼り付けた。一方、炭素繊維紙(東レ株式会社製カーボンペーパーTGP−H−120)に還元型ポリアニリンのN―メチルピロリドン5%溶液0.6mlを含浸させ乾燥した紙を作り前記のコピー用紙の上に貼りつけた。炭素繊維紙の上に、10%塩化カルシューム含む1mMの三塩化鉄溶液1mlを落とし全体を湿らした後乾燥した。3リットルのガラス瓶に上記の紙を入れた後、トリメチルアミン100ppmを入れ密閉し、ガス検知管を用いて濃度変化を測定した。2時間後0ppmであった。
【0025】
実施例7
酸化チタン光触媒系無機バインダー(SP185;固形分0.85%;サステイナブルテクノロジー社製)20g、アクアパス(01X、三菱レーヨン製;固形分含有量5wt%、PH2.2)0.1g、塩化カルシューム0.2g、5mM FeCl3 を水6mlに加え良くかき混ぜ、アルミ箔に貼り付けたコピー用紙(70*90mm)上に塗布し、120度で加熱硬化した。この脱臭殺菌試験紙をカビ臭のある押入れに設置した。一日後カビ臭後カビ臭が減少した。
実施例8
酸化チタン光触媒系無機バインダーの代わりに、アルミナゾル200(日産化学株式会社製)を用いた以外は実施例7と同様に作った塗料を、アルミ箔に貼り付けたコピー用紙上に塗布したのち風乾し、100℃で2時間加熱した。この紙は実施例7の紙と同様の脱臭効果があった。
【発明の属する技術分野】
空気中に放置することにより、脱臭および殺菌を行うことができる紙の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、微生物や藻類の撲滅剤として、塩素、オゾン、紫外線、過酸化水素などが使用されているが、より安全な殺菌剤である活性酸素は、各分野において、殺菌、消毒用として
注目されるようになった。活性酸素は、微生物の撲滅剤としてのみでなく、ハウスシック病原因物質である有機物質を分解し、悪臭を除く方法としてもその有用性が明らかになっている。
【0003】
これまで、活性酸素の発生方法としては、酸化チタンを用いる方法(1997年、株式会社シーエムシー発行、藤島他著、「光クリーン革命」参照)や、水や空気中に存在する酸素にポリアニリンを接触させる方法(日本特許第3043981号、特願2001−070426、特願2002−071296公報)、食塩含有ゲルの片面にポリアニリン層を、また反対の面に金属板を配置し、リード線で電気的に接続する方法(特願2001−342008公報)などが知られている。
【0004】
また、臭気を取る紙として、備長炭や特殊のセラミックスのように吸着力の強い材料を微粉末にしてバインダーにより紙に塗布した紙などが知られているが、有機物分解作用が弱く、性能的に満足のいくものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、活性酸素を連続的に発生する安価な紙の製造法、およびそれを加工した製品を提供することを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、活性酸素発生能のあるレドックスポリマーを用いて、脱臭、殺菌、ハウスシック病原因物質分解、エチレン分解(農産物の鮮度保持)などの広範な作用を持つ紙を安価に作るために鋭意研究を重ねた結果、活性酸素発生能を持つレドックスポリマー、および、該レドックスポリマーより低い酸化還元電位を持つ金属を、両者がイオン伝導で接続するよう紙に担持することにより本課題を解決した。
【0007】
「発明の実施の形態」
本発明で用いるレドックスポリマーはポリアニリンおよびその誘導体のように、活性酸素発生機能を持つものであれば、何れの使用も可能である。ポリアニリンは、芳香環上にスルホン基やメチル基等で置換されたその誘導体でもよい。また、硫酸、塩酸等のプロトン酸やルイス酸によってドープされたもの、または脱ドープされたものの何れも用いることが可能である。また、ポリアニリンの重合度にも制限はない。ポリアニリンおよびその誘導体は、酸化剤を用いる化学的合成法および電気化学的合成法等の公知の方法によって製造することができる。
【0008】
本発明に用いるレドックスポリマーは水または溶剤への溶解性があるもの、あるいは水中または溶剤中での分散性が良い粉末を用いるのが好ましい。水や溶剤への溶解性あるいは分散性が高いポリアニリンとしては、還元型ポリアニリン、ポリアニリンの芳香環上にスルホン基を置換したもの、界面活性剤の存在下に合成し分散性を向上させたもの等がある。
【0009】
本発明のレドックスポリマー、および、該レドックスポリマーより低い酸化還元電位を持つ金属を、両者がイオン伝導で接続するよう紙に担持する方法としては、例えば、レドックスポリマーとして水溶性ポリアニリン、バインダーとして可溶性デンプン、潮解性を持つ塩として塩化カルシュームを水に溶解し、それに低酸化還元電位金属粉としてアルミ粉を混ぜて紙に塗布する方法、金属箔を貼り付けた紙にポリアニリン微粉末を担持し、紙に潮解性塩を含む電解質含有水を吸着させる方法等があるが特に制限されるものではない。塗布には、公知の方法、すなわち、塗布、噴霧、印刷(オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷)などの方法が用いられる。
【0010】
グラファイトパウダーのような導電性微粉末にレドックスポリマーを担持して用いるのは好ましい方法の一つである。また、両者を混合して用いる方法もある。また、導電性のある炭素繊維ペーパーにレドックスポリマーを担持させて使うのも好ましい方法である。
【0011】
本発明で用いるバインダーは具体的には、可溶性デンプン、ポリビニルアルコール等の親水性ポリマー、酸化チタン光触媒、アルミナゾル、シリカゾルなどの無機系バインダー等がある。
【0012】
本発明に用いる紙は、繊維表面積が大きいもの、塗料やインクが乗りやすいもの、親水性が良く吸湿性の高いもの、吸湿時の形態安定性が良いものが好ましい。紙にイオン伝導性を持たせる方法としては、紙に塩化カルシュームや塩化マグネシュームなどの潮解性を持つ無機塩の水溶液を紙に含浸させる方法、電解質を含んだ保水材料(例えば、保水性高分子材料、ヒアルロン酸ナトリウム、アルミナゾル、シリカゾル、吸水性樹脂等)を紙に含浸するか担持する方法等がある。
【0013】
紙の表面がべたつくのを防ぐために、炭酸カルシューム、タルク、シリカなどの微粉末を添加する方法は好ましい方法の一つである。
【0014】
本発明に使用する金属は、該レドックスポリマーより酸化還元電位の低い金属であれば何れの使用も可能であるが、例えば、アルミニューム、鉄、亜鉛が好ましく使用される。
【0015】
本発明の方法で活性酸素が発生するメカニズムは明らかにされていないが、金属の電子が、該レドックスポリマーの触媒作用により酸素に移動しスーパーオキシドが生成するものと考えられる。活性酸素を発生すると金属は酸化され金属酸化物となり活性がなくなるので、本発明製品の活性酸素発生能力は時間とともに減少する。
【0016】
本発明で用いられるレドックスポリマーに加えて、タンパク質の吸着性能を上げるもの、活性物質を生成する触媒、PH調整剤、表面接触角を下げるもの、など様々なものを添加することは好ましい方法の一つである。例えば、Haber Weise 反応や Fenton 反応の触媒、タンパク質を吸着し易いアパタイト粉末、導電性を上げるフラファイトなどの添加剤を加えるのは好ましい。
【0017】
本発明の紙はそのままの状態で使用して差し支えないが、必要に応じ表面積を大きくするために、積層構造やハニカム構造のような多孔質形状に加工して用いる。
次に、実施例を用いてさらに詳しく説明する。
実施例1
【0018】
(ポリアニリンの合成)1℃に冷却した、アンモニウムペルオキシジスルファート183。4gを含む1N塩酸(または硫酸)水溶液800mlを、同じく1℃に冷却しアニリン74。4gを含む1N塩酸(または硫酸)水溶液1200ml中に、窒素雰囲気下で攪拌しながら1分以上かけて加えた。その後、引き続き5℃にて1時間半攪拌を行なった。反応後、沈殿を濾別し、1N塩酸(または硫酸)で洗浄しドーパント率(プロト化率)が42%のポリアニリンを得た。このポリアニリンを1%炭酸ナトリウム水溶液に懸濁させ、pHを8以上に保ちながら15時間攪拌を続けた後、1%炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥してドーパント率0%のポリアニリン粉末を得た。この粉末をNーメチルピロリドンに溶解し5%溶液とした。
【0019】
(イソプロピルアルコールの分解)
上記ポリアニリン溶液を塗布してポリアニリン厚み約1ミクロンとした紙(ユミクロンペーパー;湯浅電池製)を良く乾かした後、家庭用アルミ箔(60mm*90mm)にボンドで接着し120℃で10分間乾燥した。紙の上に0.1mMのFeCl3を含む10%CaCl2水溶液1mlを垂らした後乾燥し試験試料とした。3リットルのガラス瓶に上記の紙を入れた後、イソプロピルアルコール20マイクロリッターを加え密閉し、ガス検知管を用いて濃度変化を測定した。イソプロピルアルコール濃度は、1時間後1600ppm、24時間後820ppmであった。
【0020】
実施例2
(脱臭・殺菌紙の作成)
アクアパス(01X、三菱レーヨン製;固形分含有量5wt%、PH2.2)1mlにデンプン糊(T―100、ヤマト株式会社)10gを加え均一になるまでよくかき混ぜた。一方、水26mlにFeCl3・6H2O 0.0135gおよび塩化カルシューム1gを溶解した。両者を良くかき混ぜA液とした。食塩1%を含むデンプン糊にアルミ粉末0.4gを加え良くかき混ぜB液とした。A液1.5mlおよびB液0.27gを混ぜ合わせ塗料Cとした。この塗料C 0.75mlを和紙(雅峰;東京楠堂製;6mm*4.5mm)に塗布した後乾燥した。
(アンモニアの除去)
3リットルのガラス瓶に上記の紙を入れた後、アンモニアを密閉し、ガス検知管を用いて濃度変化を測定した。スタート時35ppm、であったのが、5分後6ppm、30分後2ppmであった。
(アセトアルデヒドの除去)
3リットルのガラス瓶に上記の紙を入れた後、アセトアルデヒド20マイクロリッター加え密閉し、ガス検知管を用いて濃度変化を測定した。当初750ppmであったのが、一時間後480ppmであった。
【0021】
実施例3
実施例2で作製した脱臭・殺菌紙を、本を収納してあるカビ臭のある押入れに設置した。一日後カビ臭後カビ臭が殆ど消滅した。
【0022】
実施例4
実施例2で作製した脱臭・殺菌紙を、家庭の便所に設置した。顕著な消臭効果が認められた。
【0023】
実施例5
70*90mmのオーバーヘッドプロジェクター用のフィルムに家庭用アルミ箔をボンドで貼りつけ、さらにその上にユミクロン紙(湯浅電池製)を貼りつけた。ユミクロン紙上に、ポリアニリン分散液(独オルメコン社製ORMECON6417−106−008)を噴霧法により吹き付けポリアニリンの厚さを約2ミクロンとした。乾燥後、紙を10%塩化カルシューム含む0.1mMの三塩化鉄溶液1mlで湿らせた後再び乾燥した。3リットルのガラス瓶に上記の紙を入れた後、アセトアルデヒド750マイクロリッター入れ加密閉し、ガス検知管を用いて濃度変化を測定した。24時間後380ppmであった。
【0024】
実施例6
70*90mmのアルミ箔にコピー用紙を貼り付けた。一方、炭素繊維紙(東レ株式会社製カーボンペーパーTGP−H−120)に還元型ポリアニリンのN―メチルピロリドン5%溶液0.6mlを含浸させ乾燥した紙を作り前記のコピー用紙の上に貼りつけた。炭素繊維紙の上に、10%塩化カルシューム含む1mMの三塩化鉄溶液1mlを落とし全体を湿らした後乾燥した。3リットルのガラス瓶に上記の紙を入れた後、トリメチルアミン100ppmを入れ密閉し、ガス検知管を用いて濃度変化を測定した。2時間後0ppmであった。
【0025】
実施例7
酸化チタン光触媒系無機バインダー(SP185;固形分0.85%;サステイナブルテクノロジー社製)20g、アクアパス(01X、三菱レーヨン製;固形分含有量5wt%、PH2.2)0.1g、塩化カルシューム0.2g、5mM FeCl3 を水6mlに加え良くかき混ぜ、アルミ箔に貼り付けたコピー用紙(70*90mm)上に塗布し、120度で加熱硬化した。この脱臭殺菌試験紙をカビ臭のある押入れに設置した。一日後カビ臭後カビ臭が減少した。
実施例8
酸化チタン光触媒系無機バインダーの代わりに、アルミナゾル200(日産化学株式会社製)を用いた以外は実施例7と同様に作った塗料を、アルミ箔に貼り付けたコピー用紙上に塗布したのち風乾し、100℃で2時間加熱した。この紙は実施例7の紙と同様の脱臭効果があった。
Claims (10)
- レドックスポリマーおよび該レドックスポリマーより低い酸化還元電位を持つ低酸化還元電位金属を、両者がイオン伝導で接続するよう紙に担持した活性酸素発生能を有する紙の製造法およびその加工製品。
- 紙が片面を低酸化還元電位金属箔で接着された紙である請求項1記載の紙の製造法およびそれを加工した製品。
- 紙が保水性物質を含浸した紙である請求項1記載の紙の製造法およびそれを加工した製品。
- 保水性物質が潮解性を有する無機塩である請求項1記載の紙の製造法およびそれを加工した製品。
- 紙が、レドックスポリマー、低酸化還元電位金属粉およびバインダーを必須成分とする塗料で塗布された紙である請求項1記載の紙の製造法およびそれを加工した製品。
- バインダーが水溶性デンプンである請求項1記載の紙の製造法およびそれを加工した製品。
- バインダーが無機系バインダーである請求項1記載の紙の製造法およびそれを加工した製品。
- レドックスポリマーがポリアニリンおよびその誘導体である請求項1記載の紙の製造法およびそれを加工した製品。
- レドックスポリマーが導電性材料に担持されている請求項1記載の紙およびそれを加工した製品。
- 金属が鉄、アルミ、亜鉛から選ばれた金属である請求項1記載の紙の製造法およびそれを加工した製品。
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JP2002282056A JP2004115965A (ja) | 2002-09-26 | 2002-09-26 | 脱臭・殺菌作用を持つ紙 |
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JP (1) | JP2004115965A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008266823A (ja) * | 2007-04-19 | 2008-11-06 | Ishikawa Seishi Kk | ハイドロゲル塗工和紙及びその製造装置 |
JP2010540514A (ja) * | 2007-09-28 | 2010-12-24 | オークランド ユニサービシズ リミテッド | 生物活性アニリンコポリマー |
-
2002
- 2002-09-26 JP JP2002282056A patent/JP2004115965A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008266823A (ja) * | 2007-04-19 | 2008-11-06 | Ishikawa Seishi Kk | ハイドロゲル塗工和紙及びその製造装置 |
JP2010540514A (ja) * | 2007-09-28 | 2010-12-24 | オークランド ユニサービシズ リミテッド | 生物活性アニリンコポリマー |
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