JP2004115632A - 木酢液の製造方法 - Google Patents

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Isao Katayama
片山 功
Shigeto Inoue
井上 繁人
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Daiwa House Industry Co Ltd
Original Assignee
Daiwa House Industry Co Ltd
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Abstract

【課題】高品質の木酢液を短時間で低コストにて製造することができる方法を提供する。
【解決手段】原料となる木類を入れた密閉耐圧容器中に高温高圧の飽和水蒸気を送り込んで容器内の原料木類を高温高圧下で所定の時間蒸煮処理し、しかる後、容器内を減圧することで放出される蒸気を冷却し液分を回収する。この液分が高品質の木酢液である。蒸煮処理は、密閉耐圧容器内の圧力を15〜25Kg/cmの範囲、温度を150〜250°Cの範囲にして行うとよい。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木酢液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
木酢液の製造は、従来より、次のようにして行われている。即ち、原料となる木類を釜に入れ、釜を加熱することで中の木類を燃焼、蒸し焼き状態にして炭化させ、木炭にしていく。その過程で釜から煙が発生するが、この煙を冷却し、液分を回収し、この液分を容器中で2〜3ヶ月放置する。すると、容器内の液分は、下層を木タール、中層を粗木酢液、上層を油層とする3層に分離する。そこから中層の粗木酢液を取り出す。この粗木酢液にはまだかなりのタール分が含まれているので、これを取り除くため、蒸留精製工程を繰り返していく。こうして高品質な木酢液が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような製造方法では、釜の煙を冷却して得られる液分を3層分離のために長い期間放置しておかなければならず、また、そこから得られる粗木酢液に対して蒸留を繰り返し行わなければならず、そのため、木酢液の製造に多くの期間と手間を必要とし、製造コストが高くつくという問題があった。
【0004】
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑み、高品質の木酢液を短時間で低コストにて製造することができる方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、原料となる木類を入れた密閉耐圧容器中に高温高圧の飽和水蒸気を送り込んで容器内の原料木類を高温高圧下で所定の時間蒸煮処理し、しかる後、容器内を減圧することで放出される蒸気を冷却し液分を回収することを特徴とする木酢液の製造方法によって解決される。
【0006】
蒸煮処理は、密閉耐圧容器内の圧力を15〜25Kg/cmの範囲、温度を150〜250°Cの範囲にして行うとよい。
【0007】
木類としては、ナラ、カラマツ、クヌギ、ブナ、カシなどの広葉樹木、スギ、ヒノキ、マツなどの針葉樹木、その他、竹類、樹皮類、わら類など、主成分としてヘミセルロース、セルロース等が含まれるものであればよい。木類は、チップ状や粉状の細片にして用いるとよい。
【0008】
この製造方法によれば、原料となる木類を高温高圧の飽和水蒸気中で蒸煮処理するようにしているので、木類中のセルロースやヘミセルロースが分解されて化学反応を起こし、木酢液の主成分となる物質が生成する。その一方で、木類を燃焼、蒸し焼きする場合とは異なり、高温高圧の飽和水蒸気中で蒸煮処理するようにしているから、木類は炭化されることはない。あるいはほとんど炭化されない。そのため、蒸煮処理後の放出水蒸気から回収した液分にタールは含まれず、それを放置して3層分離させたり、タール分を除去するため蒸留を繰り返したりする必要はなく、その液分をそのまま木酢液とすることができる。こうして、高品質の木酢液を短時間で低コストにて製造することができる。
【0009】
また、容器内の蒸煮処理物は、木炭ではないが、堆肥や土壌改良材として利用することができ、廃棄する物はない。蒸煮処理する原料として、木類に例えば糞尿などの他の材料を混ぜたものを用いるのもよい。
【0010】
【実施例】
図1に示す設備を用いて木酢液の製造を行った。まず、図1(イ)に示すように、蒸煮処理用の密閉耐圧容器1に木類、例えばカラマツをチップ状にしたものを入れ、内部を密閉し、ボイラー2から耐圧容器1内に高温高圧の飽和水蒸気7を送り込み、耐圧容器1内を200°C、20atmにして撹拌しながら蒸煮処理を30分から1時間程度行った。しかる後、図1(ロ)に示すように、弁3を開いて耐圧容器1を減圧していき、その時排出される水蒸気8を冷却し、液分6を回収容器4に回収した。冷却は、冷却器5を用いて強制的に行ったが、自然冷却で行ってもよい。
【0011】
得られた液分6を調べたところ、木酢液としての成分を充分に含む一方で、タール分は含まれておらず、耐圧容器1から回収容器4に直接高品質の木酢液が回収されるのを確認した。また、耐圧容器1内の蒸煮処理物については、発酵も早く、堆肥や土壌改良材などとして用いるのに遜色のないものであった。
【0012】
また、蒸煮処理を行う温度、圧力、処理時間を種々変えることによって木酢液の成分濃度が変化することも確認した。即ち、本発明方法によれば、蒸煮処理を行う温度、圧力、処理時間を変えることによって、用途に応じた複数種類の木酢液を製造することが可能である。
【0013】
更に、チップ状にしたカラマツと糞尿とを混合したものを上記の場合と同じ条件のもとで蒸煮処理して放出水蒸気から液分を回収し、その液分を調べたところ、その液分がタール分の含まれない高品質の木酢液であることも確認した。
【0014】
【発明の効果】
本発明は、以上のとおりのものであるから、高品質の木酢液を短時間で低コストにて製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施に用いる設備の一例を概略的に示すもので、図(イ)は蒸煮処理中の状態を示す図、図(ロ)は液分回収中の状態を示す図である。
【符号の説明】
1…密閉耐圧容器
2…ボイラー
3…弁
4…回収容器
5…冷却器

Claims (2)

  1. 原料となる木類を入れた密閉耐圧容器中に高温高圧の飽和水蒸気を送り込んで容器内の原料木類を高温高圧下で所定の時間蒸煮処理し、しかる後、容器内を減圧することで放出される蒸気を冷却し液分を回収することを特徴とする木酢液の製造方法。
  2. 前記蒸煮処理は、密閉耐圧容器内の圧力を15〜25Kg/cmの範囲、温度を150〜250°Cの範囲にして行う請求項1に記載の木酢液の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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