JP2004114148A - レーザトリミング装置及びレーザトリミング方法 - Google Patents

レーザトリミング装置及びレーザトリミング方法 Download PDF

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駒形 信幸
Tatsuya Ishida
石田 竜也
Kenji Karasawa
唐沢 賢志
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Abstract

【課題】回転磁場及び静磁場のうち少なくとも何れか一方を与えた状態の被トリミング体における電気抵抗を測定しつつ、同被トリミング体に対してトリミングができるレーザトリミング装置及びレーザトリミング方法を提供する。
【解決手段】レーザトリミング装置は、磁気センサSにレーザビームL3を照射してその磁気センサSのトリミングを行うレーザ照射装置と、磁気センサSの電位差出力電圧(電気抵抗)を測定する測定装置を備える。レーザトリミング装置は磁気センサSに対して被トリミング面Sfに平行な任意の方向の磁束(静磁場)や回転する磁束(回転磁場)を与える磁気プローブ19を備える。このため、回転磁場や静磁場を与えた状態の磁気センサSにおける電位差出力電圧を測定しつつ、磁気センサSに対してトリミングを行うことができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハチップ上に形成された被トリミング体に対し、レーザを照射してトリミングを行うレーザトリミング装置及びレーザトリミング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、特許文献1のレーザトリミング装置が提案されている。このトリミング装置は、半導体ウエハチップ上に形成された薄膜抵抗体における電流値などの電気特性を測定装置にて測定しながら、所望の電気特性が得られるようにレーザビームにて前記薄膜抵抗体をトリミングするようになっている。
【0003】
ところで、近年では、半導体ウエハチップ上に、例えば4つの磁気抵抗素子をフルブリッジ構成となるように接続した磁気センサが提案されている。この種の磁気センサは、例えば、回転角センサとして用いられており、磁束の方向の変化(磁界の変化)に応じた出力が得られるようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−288753号公報(段落番号「0010」、第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような磁気センサでは、磁場の変化に応じて磁気抵抗素子の抵抗値が異なるため、磁場の変化がない状態でトリミングを行う従来のレーザトリミング装置では、磁場のない場合の抵抗値しか測定できないことになる。
【0006】
そこで、上記のような磁気抵抗素子を被トリミング体としてトリミングする際に、磁場を変化させてトリミングできるレーザトリミング装置が要望されている。
【0007】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は回転磁場及び静磁場のうち少なくとも何れか一方を与えた状態の被トリミング体における電気抵抗を測定しつつ、同被トリミング体に対してトリミングができるレーザトリミング装置及びレーザトリミング方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、被トリミング体にレーザを照射して同被トリミング体をトリミングするレーザ出力手段と、前記被トリミング体に接続されると共に同被トリミング体の電気抵抗を測定する測定手段とを備えたレーザトリミング装置において、前記被トリミング体の被トリミング面に対して平行な回転磁場及び静磁場のうち少なくとも何れか一方をその被トリミング体に与える磁場付与手段を備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレーザトリミング装置において、前記磁場付与手段は、その一部が直交状態で互いに交わる2つの磁気回路の協働により前記被トリミング面に対して平行な回転磁場及び静磁場のうち少なくとも何れか一方を前記被トリミング体に付与するものであることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のレーザトリミング装置において、前記磁界付与手段は、エアギャップを有しかつ第1磁気回路を構成する第1磁気回路構成体と、エアギャップを有しかつ第2磁気回路を構成する第2磁気回路構成体とを備え、前記第1磁気回路構成体のエアギャップと前記第2磁気回路構成体のエアギャップとが互いに交わると共に、そのエアギャップ位置において、前記第1磁気回路と前記第2磁気回路とが互いに直交状態で交わるように前記第1磁気回路構成体及び前記第2磁気回路構成体が設けられていることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のレーザトリミング装置において、前記第1磁気回路構成体及び前記第2磁気回路構成体は、コイルとコアとをそれぞれ備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のレーザトリミング装置において、前記コアは、磁性体特性を有するアモルファス金属または残留磁化の小さい材料にて設けられていることを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、強磁性体からなる被トリミング体の電気抵抗を測定しつつ、同被トリミング体に対してレーザを照射してトリミングを行うレーザトリミング方法において、前記被トリミング体の被トリミング面に対して平行な回転磁場及び静磁場のうち少なくとも何れか一方をその被トリミング体に与えた状態で、同被トリミング体の電気抵抗の値が所望の値となるようにレーザを照射してトリミングを行うことを要旨とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図11に従って説明する。
図1に示すように、レーザトリミング装置11は、レーザ発振器12、ビームエキスパンダ13、マスク部14、対物レンズ15、測定装置16、加工物載置テーブル17、制御装置18、及び磁気プローブ19(図2参照)を備えている。
【0015】
なお、説明の便宜上、磁気プローブ19は図1において図示していない。
前記測定装置16は測定手段に相当し、前記磁気プローブ19は磁場付与手段に相当する。
【0016】
前記レーザ発振器12から発振されたレーザ光L1は、ビームエキスパンダ13に照射される。
前記ビームエキスパンダ13はレンズ13aを備えており、前記レーザ発振器12から照射されたレーザ光L1を前記レンズ13aを通して平行光L2にエキスパンドする。
【0017】
前記マスク部14は開口部14aを備えており、前記ビームエキスパンダ13にてエキスパンドされた平行光L2を前記開口部14aに通過させることにより、前記ウエハW上のトリミング対象部分に照射するレーザビームL3の形状を決定する。前記レーザビームL3はレーザに相当する。
【0018】
前記対物レンズ15は、前記マスク部14にて形成されたレーザビームL3を、ウエハW上のトリミング対象部分の微細な加工スポットに集光させる。
前記レーザ発振器12、ビームエキスパンダ13、マスク部14、及び対物レンズ15にてレーザ出力手段としてのレーザ照射装置20が構成されている。
【0019】
前記マスク部14にはX−Y駆動装置30が接続され、同X−Y駆動装置30には前記制御装置18が電気的に接続されている。そして、前記X−Y駆動装置30は、制御装置18から出力される制御信号によりマスク部14を図1におけるX,Y軸方向へ移動させ、この結果、レーザビームL3が同図におけるX,Y軸方向へ移動される。
【0020】
また、前記加工物載置テーブル17には載置台駆動装置31が接続され、同載置台駆動装置31には前記制御装置18が電気的に接続されている。そして、前記載置台駆動装置31は、制御装置18から出力される制御信号により加工物載置テーブル17を図1におけるX,Y,Z軸方向へ移動させる。
【0021】
こうしたマスク部14及び加工物載置テーブル17の移動によって、前記ウエハWに対するレーザビームL3の照射位置が変更可能とされている。なお、本実施形態においては、マスク部14の移動によるレーザビームL3の照射位置の変更は、1つのトリミング箇所に対してトリミング量やトリミング形状を調整する際に行われる。一方、加工物載置テーブル17のX,Y軸方向への移動によるレーザビームL3の照射位置の変更はトリミング箇所の移動の際に行われる。
【0022】
ところで、本実施形態において、前記「ウエハW上のトリミング対象部分」とは、図8及び図9に示す磁気センサSを構成する4つの磁気抵抗素子(薄膜抵抗体)R1,R2,R3,R4の不要部分とされている。前記磁気センサSにおけるコア35側の面は被トリミング面Sf(図2参照)とされている。前記磁気センサSは被トリミング体に相当する。前記磁気センサSは強磁性体からなる。前記4つの磁気抵抗素子(薄膜抵抗体)R1,R2,R3,R4はフルブリッジ構成となるように接続されている。前記磁気センサSは、例えば、回転角センサとして用いられており、磁束の方向の変化(磁場の変化)に応じた出力が得られるようになっている。
【0023】
図8に示すように、前記磁気抵抗素子R1,R2,R3,R4の配置パターンは、磁気抵抗素子R1と磁気抵抗素子R4、磁気抵抗素子R2と磁気抵抗素子R3がそれぞれ平行となるように配置されている。また、磁気抵抗素子R1(R4)と磁気抵抗素子R2(R3)とが直交するように配置されている。
【0024】
前記磁気センサSは4つの端子T1,T2,T3,T4を備えている。前記端子T1は両磁気抵抗素子R1,R3間に接続され、端子T2は両磁気抵抗素子R2,R4間に接続されている。前記端子T3は両磁気抵抗素子R1,R2間に接続され、端子T4は両磁気抵抗素子R3,R4間に接続されている。
【0025】
図1に示すように、前記測定装置16はプローブ16aを備えている。そして、前記磁気センサSの端子T1,T2間に電源を供給した状態において、前記プローブ16aにて磁気センサSの端子T3と端子T4間の電位差出力電圧ΔV(図9参照)を検出する。
【0026】
次に、本実施形態の特徴的な構成について説明する。
図2に示すように、加工物載置テーブル17上でかつウエハW上には、磁気プローブ19が配置されている。
【0027】
図3〜図5に示すように、前記磁気プローブ19は、コア35と、4つのコイル36,37,38,39とを備えている。前記コア35は磁性体特性を有するアモルファス金属にて形成されている。前記コア35は、輪状部35aと、その輪状部35a内周面から内方へ突出したコイル巻装部35b,35c,35d,35eとを備えている。前記コイル巻装部35b,35c,35d,35eは、輪状部35aの周方向へ向けて90度間隔となるように配置されている。
【0028】
また、コイル巻装部35bの先端部とコイル巻装部35dの先端部、コイル巻装部35cの先端部とコイル巻装部35eの先端部とが互いに対向するように配置されている。即ち、前記コイル巻装部35b,35dの突出方向がX軸方向に沿う方向とされ、前記コイル巻装部35c,35eの突出方向がY軸方向に沿う方向とされている。前記コイル巻装部35b,35c,35d,35eには、前記コイル36,37,38,39がそれぞれ巻装されている。
【0029】
前記コア35及びコイル36,38にて第1磁気回路構成体としての第1電磁石45が構成されている。また、前記コア35及びコイル37,39にて第2磁気回路構成体としての第2電磁石46が構成されている。
【0030】
前記レーザビームL3は、コイル巻装部35bとコイル巻装部35dとがなすエアギャップ、及びコイル巻装部35cとコイル巻装部35eとがなすエアギャップを介してウエハWに照射される。
【0031】
以下、コイル巻装部35b,35c,35d,35eの先端面にて囲まれた空間を空間Kという。
次に磁気プローブ19の回路構成について説明する。
【0032】
図7に示すように、前記制御装置18には駆動回路21が電気的に接続され、駆動回路21には交流電源装置47が電気的に接続されている。前記駆動回路21は制御装置18に制御される。
【0033】
そして、前記駆動回路21にはコイル36とコイル38とが直列に接続され、第1回路C1が構成されている。前記駆動回路21からコイル36側へ電源を供給した際には、コイル巻装部35bの先端部はN極となり、コイル巻装部35dの先端部はS極となるように、コイル36,38はコイル巻装部35b,35dにそれぞれ巻装されている。
【0034】
このため、駆動回路21がコイル36,38に交流電源を供給すると、コイル巻装部35b、輪状部35a、コイル巻装部35d、コイル巻装部35dとコイル巻装部35bとのエアギャップ、コイル巻装部35bを循環する第1磁気回路M1が形成される(図3参照)。
【0035】
また、前記駆動回路21にはコイル37とコイル39とが直列に接続され、第2回路C2が構成されている。前記駆動回路21からコイル37側へ電源を供給した際には、コイル巻装部35cの先端部はN極となり、コイル巻装部35eの先端部はS極となるように、コイル37,39はコイル巻装部35c,35eにそれぞれ巻装されている。
【0036】
このため、駆動回路21がコイル37,39に交流電源を供給すると、コイル巻装部35c、輪状部35a、コイル巻装部35e、コイル巻装部35eとコイル巻装部35cとのエアギャップ、コイル巻装部35cを循環する第2磁気回路M2が形成される(図4参照)。
【0037】
また、空間Kにおいて第1磁気回路M1の一部と第2磁気回路M2の一部とが直交状態で互いに交わるように、前記第1電磁石45及び前記第2電磁石46は形成されている。
【0038】
前記制御装置18は、駆動回路21に対して第1回路C1又は第2回路C2の何れか一方に交流電源を供給するように制御したり、第1回路C1及び第2回路C2に対して同時に交流電源を供給するように制御したりする。
【0039】
また、制御装置18は、第1回路C1及び第2回路C2に対して交流電源を供給する際に、第1回路C1と第2回路C2とにおいて、互いに異なる位相の交流電源を供給可能とするように駆動回路21に対して制御する。
【0040】
次に、本実施形態のように構成されたレーザトリミング装置11における磁気プローブ19の作用について説明する。
制御装置18の制御により、駆動回路21にて第1回路C1にのみ交流電源を供給すると、空間Kにおいて被トリミング面Sfに平行でかつX軸方向に沿った磁束(例えば図6における磁束Z1)が発生する。
【0041】
そして、制御装置18の制御により、駆動回路21にて第2回路C2にのみ交流電源を供給すると、空間Kにおいて被トリミング面Sfに平行でかつY軸方向に沿った磁束(例えば図6における磁束Z2)が発生する。
【0042】
加えて、制御装置18の制御により、第1回路C1に供給する交流電源と、第2回路C2に供給する交流電源とが互いに同じ大きさの交流電源でかつ位相が同じ際には、被トリミング面Sfに平行でかつ45°方向に沿った磁束(例えば図6における磁束Z3)が発生する。なお、上記45°方向とは、Y軸とX軸とがなす直角の二等分線に沿う方向のことをいう。また、この第1回路C1に供給する交流電源と第2回路C2に供給する交流電源との大きさを任意に変更することにより、X,Y軸平面(被トリミング面Sfに平行な面)において磁束の方向を任意に設定できる。
【0043】
なお、本実施形態では、前記磁束Z1,Z2,Z3は静磁場に相当する。
さらに、制御装置18の制御により、駆動回路21にて第1回路C1に供給する交流電源と、第2回路C2に供給する交流電源とが互いに同じ大きさの交流電源でかつ位相が互いに90°ずれている際には、空間Kには被トリミング面Sfに平行でかつ回転する磁束(例えば図6における磁束Z4)が発生する。なお、前記磁束Z4は回転磁界ともいい、輪状部35aの軸心を中心として回転する。
【0044】
そして、磁気プローブ19により発生した前記磁束Z1,Z2,Z3,Z4は、空間Kに対応する磁気センサSに与えられる。
次に、本実施形態のように構成されたレーザトリミング装置11のトリミング方法について説明する。
【0045】
レーザ発振器12から照射されたレーザ光L1は、ビームエキスパンダ13、マスク部14、対物レンズ15を介してレーザビームL3となり、そのレーザビームL3がウエハWに照射される。制御装置18にてX−Y駆動装置30及びマスク部14を制御することにより、レーザビームL3が図1のX,Y軸方向における任意の位置に移動する。この結果、空間Kに対応する磁気センサSにおいて、磁気抵抗素子R1,R2,R3,R4の不要部分が前記レーザビームL3によりトリミング(溶融除去)される。
【0046】
このトリミングの際に、制御装置18の制御により駆動回路21にて第1回路C1及び第2回路C2へ交流電源の供給が制御され、空間K内に所望の磁束が発生する。
【0047】
前記磁束の影響を受けた空間Kに対応する磁気センサSにおいて、その端子T1,T2間に電源を供給すると、端子T3と端子T4間に電位差出力電圧ΔVが出力される。この電位差出力電圧ΔVを前記測定装置16のプローブ16aにて検出し、測定装置16はその電位差出力電圧ΔVを制御装置18へ出力する。制御装置18はその電位差出力電圧ΔVに基づいて、X−Y駆動装置30を制御し、空間Kに対応する磁気センサSが所望の特性となるようにトリミングを行う。
【0048】
ところで、前記磁気プローブ19のコア35は、磁性体特性を有するアモルファス金属にて形成されている。これが例えば、前記コア35が鋼鉄にて形成されている際には、図10に示すようなヒステリシス特性となり、コイル36,37,38,39に交流電源を供給していない状態の残留磁気は、同図における残留磁気Br1とされている。
【0049】
しかしながら本実施形態では、前記コア35を磁性体特性を有するアモルファス金属にて形成したことにより、図11に示すようなヒステリシス特性となり、コイル36,37,38,39に交流電源を供給していない状態の残留磁気は、同図における残留磁気Br2とされている。従って、残留磁気Br2は残留磁気Br1よりも小さく、この結果、磁性体特性を有するアモルファス金属にて形成されたコア35は、鋼鉄性のコアよりも残留磁気が少ない。
【0050】
なお、図10、図11は、磁化曲線(B−H曲線)を示し、横軸が磁界の強さ、縦軸は磁束密度である。
従って、本実施形態のレーザトリミング装置11によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0051】
(1)本実施形態では、レーザトリミング装置11は、磁気センサSにレーザビームL3を照射してその磁気センサSのトリミングを行うレーザ照射装置20と、磁気センサSの電位差出力電圧ΔV(電気抵抗)を測定する測定装置16を備えた。また、レーザトリミング装置11は磁気センサSに対して被トリミング面Sfに平行な任意の方向の磁束(静磁場)や回転する磁束(回転磁場)を与える磁気プローブ19を備えた。従って、回転磁場及び静磁場のうち少なくとも何れか一方を与えた状態の磁気センサSにおける電位差出力電圧ΔVを測定しつつ、磁気センサSに対してトリミングを施すことができる。
【0052】
(2)本実施形態では、第1電磁石45のエアギャップと第2電磁石46のエアギャップとが交わると共に、そのエアギャップ位置(空間K)において第1磁気回路M1と第2磁気回路M2とが直交状態で互いに交わるようにした。従って、第1磁気回路M1の磁束と第2磁気回路M2の磁束との協働により、被トリミング面Sfに対して平行な任意の方向の磁束(静磁場)を発生させたり、回転する磁束(回転磁場)を発生させたりすることができる。
【0053】
(3)本実施形態では、第1電磁石45をコイル36,38及びコア35にて構成し、第2電磁石46をコイル37,39及びコア35にて構成した。従って、コイル36,37,38,39に供給する電源を適宜制御することにより、空間K内に発生する磁束の方向(静磁場)や回転する磁束(回転磁場)を任意に設定できる。
【0054】
(4)本実施形態では、コア35を磁性体特性を有するアモルファス金属にて形成した。従って、コア35を鋼鉄にて形成した場合と比べて、本実施形態のコア35は残留磁気が少なく、良好な状態でトリミング加工を行うことができる。(他の実施形態)
なお、上記実施形態は以下のような他の実施形態に変更して具体化してもよい。
【0055】
・本実施形態では、コア35を磁性体特性を有するアモルファス金属にて形成していた。これに限らず、コア35を磁性体特性を有する金属、例えば鋼鉄などにより形成してもよい。また、前記コア35を残留磁化(残留磁気)の小さい材料としてのセンダストなどにより形成してもよい。
【0056】
・本実施形態では、第1電磁石45及び第2電磁石46により空間Kに磁束を発生させていた。これに限らず、第1電磁石45又は第2電磁石46のうち何れか一方を省略してもよい。このように構成しても、空間KにおいてX軸方向に沿う方向の磁束又はY軸方向に沿う方向の磁束を発生させることができ、その磁束を磁気センサSに与えながら磁気センサSの電位差出力電圧ΔVを測定しつつ、トリミングを行うことができる。
【0057】
・また、第1電磁石45及び第2電磁石46を省略し、その代わりにエアギャップを有する磁気回路を構成する磁石を採用し、その磁石のエアギャップをトリミングを行う磁気センサSに対応するように位置させてもよい。
【0058】
・本実施形態では、回転角センサなどに用いられる磁気センサSのトリミングを行うためにレーザトリミング装置11を用いていた。これに限らず、レーザトリミング装置11を用いるものとして、強磁性体を備え、その強磁性体に任意の方向の磁束を与えた状態で、所望の電気抵抗の値となっているかを測定しつつ、トリミングを行うものであれば何でもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、回転磁場及び静磁場のうち少なくとも何れか一方を与えた状態の被トリミング体における電気抵抗を測定しつつ、同被トリミング体に対してトリミングができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態におけるレーザトリミング装置の斜視図。
【図2】本実施形態における磁気プローブと加工物載置テーブルとの位置関係を示す正面図。
【図3】本実施形態における磁気プローブの平面図。
【図4】本実施形態における磁気プローブの平面図。
【図5】本実施形態におけるコアの斜視図。
【図6】本実施形態における磁気プローブの拡大図。
【図7】本実施形態における磁気プローブの回路図。
【図8】本実施形態における磁気センサの平面図。
【図9】本実施形態における磁気センサの回路図。
【図10】本実施形態におけるコアを鋼鉄で形成した際の磁気特性を示す特性図。
【図11】本実施形態におけるコアの磁気特性を示す特性図。
【符号の説明】
11…レーザトリミング装置、16…測定手段としての測定装置、
19…磁場付与手段としての磁気プローブ、
20…レーザ出力手段としてのレーザ照射装置、35…コア、
36,37,38,39…コイル、
45…第1磁気回路構成体としての第1電磁石、
46…第2磁気回路構成体としての第2電磁石、
L3…レーザとしてのレーザビーム、M1…第1磁気回路、
M2…第2磁気回路、S…被トリミング体としての磁気センサ、
Sf…被トリミング面。

Claims (6)

  1. 被トリミング体にレーザを照射して同被トリミング体をトリミングするレーザ出力手段と、
    前記被トリミング体に接続されると共に同被トリミング体の電気抵抗を測定する測定手段とを備えたレーザトリミング装置において、
    前記被トリミング体の被トリミング面に対して平行な回転磁場及び静磁場のうち少なくとも何れか一方をその被トリミング体に与える磁場付与手段を備えたことを特徴とするレーザトリミング装置。
  2. 前記磁場付与手段は、その一部が直交状態で互いに交わる2つの磁気回路の協働により前記被トリミング面に対して平行な回転磁場及び静磁場のうち少なくとも何れか一方を前記被トリミング体に付与するものであることを特徴とする請求項1に記載のレーザトリミング装置。
  3. 前記磁場付与手段は、エアギャップを有しかつ第1磁気回路を構成する第1磁気回路構成体と、エアギャップを有しかつ第2磁気回路を構成する第2磁気回路構成体とを備え、
    前記第1磁気回路構成体のエアギャップと前記第2磁気回路構成体のエアギャップとが互いに交わると共に、そのエアギャップ位置において、前記第1磁気回路と前記第2磁気回路とが互いに直交状態で交わるように前記第1磁気回路構成体及び前記第2磁気回路構成体が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のレーザトリミング装置。
  4. 前記第1磁気回路構成体及び前記第2磁気回路構成体は、コイルとコアとをそれぞれ備えたことを特徴とする請求項3に記載のレーザトリミング装置。
  5. 前記コアは、磁性体特性を有するアモルファス金属または残留磁化の小さい材料にて設けられていることを特徴とする請求項4に記載のレーザトリミング装置。
  6. 強磁性体からなる被トリミング体の電気抵抗を測定しつつ、同被トリミング体に対してレーザを照射してトリミングを行うレーザトリミング方法において、
    前記被トリミング体の被トリミング面に対して平行な回転磁場及び静磁場のうち少なくとも何れか一方をその被トリミング体に与えた状態で、同被トリミング体の電気抵抗の値が所望の値となるようにレーザを照射してトリミングを行うレーザトリミング方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010071201A1 (ja) * 2008-12-19 2010-06-24 シャープ株式会社 膜除去方法、光電変換装置の製造方法、光電変換装置、および膜除去装置
KR101471079B1 (ko) 2013-05-16 2014-12-09 홍국선 저항칩 트리밍장치

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