JP2004113202A - 動物用排泄物処理材及びその製造法 - Google Patents

動物用排泄物処理材及びその製造法 Download PDF

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菱沼 稔
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Abstract

【課題】産業廃棄物として処理されているパン屑を排泄処理材に用いることで、尿を効率よく吸収し、軽量で、取扱い性がよく、かつ安価に製造ができる動物用排泄物処理材を解決の課題とする。
【解決手段】即ち本発明は、パン屑を必須成分とした澱粉質材料に、界面活性剤、吸収性配合剤からなる組成物をスクリュー式押出機に供給し、加熱混合・混練して可塑化溶融し、押出して可塑化溶融組成物が得られ、該組成物は、柔らかで、尿の吸収率が高く、尿の吸収速度が速く、取り扱い性に優れ、製造方法が簡単で、かつ製造コストが安価であるパン屑を含有した動物用排泄物処理材である。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、産業廃棄物として処理されているパン製造過程から発生するパン屑を有効に活用した動物用排泄物処理材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、動物用排泄処理材には、猫や犬等が排泄した尿を吸収し、吸収した処理材の相互接着・凝集し団塊する特性、アンモニア臭を脱臭・消臭・分解・中和する作用要求されている。さらに、動物の排泄処理材の軽量化、取り扱い性が簡単で、且つ安価な製品であること等が要求されている。
【0003】
植物性繊維を主成分とする原料で、連続的に水を供給しながら、加熱し、混練して押出し機で、筒形状に吐出成形し乾燥することを特徴とする筒状吸収材が開示されている。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】
特開平11−347404号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
産業廃棄物として処理されているパン屑を高付加価値商品に変換する技術開発が望まれている。パン屑等の食品残渣を有効に活用し、動物が排泄した尿を効率よく吸収し、軽量で、更に安価に製造ができる動物の排泄物処理材に関する製造法を提供することを解決の課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、パン屑を必須成分とした澱粉質材料に界面活性剤および吸収性配合剤からなる組成物をスクリュー式押出機に供給し、加熱混合・混練して可塑化溶融し、押出して可塑化溶融組成物が得られる。該組成物は、尿の吸収効率が高く、取り扱い性に優れ、軽量で、更に製造コストが安価である動物用排泄物処理材およびその製造法を見出し本発明の完成に至った。
【0007】請求項1においては、パン屑を必須成分とした澱粉質材料、界面活性剤および吸収性配合剤からなることを特徴とする動物用排泄物処理材を要旨とした。
【0008】請求項2においては、界面活性剤が、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよび/またはこれらの誘導体からなる群から選ばれる1種または2種以上含むことを特徴とする動物用排泄物処理材を要旨とした。
【0009】請求項3においては、油脂成分並びに尿吸収を有する吸収性配合剤が、ゼオライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カオリナイト、ベントナイト等の成分から選ばれる1種または2種以上含むことを特徴とする動物用排泄物処理材を要旨とした。
【0010】請求項4においては、パン屑を必須成分とした澱粉質材料と界面活性剤および吸収性配合剤を均一に混合し、水分含有率が13〜25%である組成物を70〜140℃のスクリュー式の押出機で加熱混合・混練して可塑化溶融し、押出して得られる可塑化溶融組成物であることを特徴とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の動物用排泄物処理材の製造法を要旨とした。
【0011】請求項5においては、請求項4記載の可塑化溶融組成物が、1.2〜20倍発泡した可塑化溶融組成物であることを特徴とした請求項4に記載の動物用排泄物処理材の製造法を要旨とした。
【0012】
【発明の実施の形態】
パン製造では、生地ロス、規格外品、食パンの皮等のパン屑(廃棄物)が、大量に発生し産業廃棄物として処理されている。パン屑は、水や尿の吸収性に優れ、バインダー効果(粘結性)に優れ、手軽に入手ができる食品残渣である。
【0013】
パンは、通常30〜40重量%の水分を含有し、吸湿性、吸水性があり、パンの含有水分は、容易に蒸発し乾燥する特徴が有る食品である。弱い乾燥で水分含有率が、15〜25%程度になり、新たに水を添加する必要がなくスクリュー式の押出機等を用いて簡単に動物用排泄処理材が得られる。
【0014】
澱粉質材料は、排泄物の吸収・保持、バインダー作用並びに排泄物吸収物との相互接着性、団塊作用を付与するために配合する。澱粉質材料としては、パン屑、澱粉、澱粉変性物、セルロース、高分子多糖類および食品残渣等を挙げることができ、1種類あるいは2種類以上併用することが出来る。パン屑としては、生地ロス、規格外品、食パンの皮、賞味期限の切れた製品等を挙げることができる。澱粉としては、生澱粉(トウモロコシ澱粉,小麦澱粉,馬鈴薯澱粉並びに蛋白質成分を含む未精製澱粉等),澱粉変性物としては、α化澱粉、酸化処理澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等を挙げることができる。
【0015】
セルロースとしては、パルプ、古紙、木粉、コットン等の粉砕物、セルロース誘導体(酢酸セルロース、アクリル酸変性セルロース等)等を挙げることができる。高分子多糖類としては、キトサン、ク゛ァ―カ゛ム、キサンタンガム等を挙げることができる。食品残渣としては、豆腐の製造工程で発生するおからやスナック菓子の製造過程で発生する芋類の皮、未精製澱粉等を挙げることができる。その添加率は、パン屑に対して0〜100重量%で、100重量%以上では、コスト低減効果が十分に得られな、尿吸収後にベトツキ好ましくない。
【0016】
パンは、通常小麦粉を原料としているため小麦粉のタンパク質成分であるグルテンが含有し、強い粘結性がある。パン屑は、一度アルファ化されているため、再度組織化することで、硬い成形物になる。このため、動物用尿処理剤の柔軟性、尿の吸収性を改善するため界面活性剤の添加が不可欠である。
【0017】
その界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよび/またはこれらの誘導体等を挙げることができ、1種または2種以上併用することができる。
【0018】
その添加率は、パン屑を含有した澱粉質材料に対して0.1〜5重量%で、0.1重量%以下では成形物が硬く、吸収速度が遅く効果がなく、5重量%以上配合しても製造コストが上昇するのみで、期待される効果が得られない。
【0019】
吸収性配合剤は、パンに含有しているショトニングオイル等の油脂成分を吸収し柔らかな成形物にし、尿の吸収性を改善および尿の吸収速度を速める目的で配合する。吸収性配合剤としては、ゼオライト、人口ゼオライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カオリナイト、ベントナイト、タルク等を挙げることができ、1種または2種以上併用することができる。
【0020】
その添加率は、パン屑を含有した澱粉質材料に対して5〜100重量%で、5重量%以下では成形物が硬く、尿の吸収速度が遅く効果がなく、100重量%以上配合しても製造コストが上昇するのみで、期待される効果が得られない。
【0021】
本発明の動物用排泄物処理材には、動物の種類、大きさに応じて、該組成物の特性を阻害しない範囲で公知の添加剤を任意に配合することができる。例えば香料、着色料、酸化防止剤、抗菌剤、高分子吸収剤等の有用な添加剤を配合することができる。
【0022】パン屑を必須成分とした澱粉質材料と界面活性剤および吸収性配合剤を均一に混合し、水分含有率が13〜25%である組成物を70〜140℃のスクリュー式の押出機で加熱混合・混練して可塑化溶融し、押出成形により動物用尿排泄処理剤を容易に製造することができる。所望の用途に応じて、例えば軽量を目的とする場合の排泄物処理材の製造法としては、発泡成形の技術を用いることで発泡した軽量の排泄処理材を得ることが出来る。
【0023】
その発泡製造法は、110〜160℃で加熱混合条件並びに原料組成物の水分含有率を調整することで、スクリュー式押出機の先端部に取り付けたダイから加圧状態から常圧下に吐出することで発泡した動物用尿排泄処理剤を容易に製造することができる。
【0024】
スクリュー式押出機の金型構造を変えることで、シート状、筒状、ハート形、粒状、中空円柱状等に成形加工や発泡成型加工することができ、動物の大きさ、種類、習性、飼育環境に合わせた形状のものを使用することが出来る。
【0025】
【実施例】
本発明の実施例を以下において、具体的に説明する。
【実施例1】
サンドイッチ製造工程からでる食パンの耳(含水分21重量%)を粉砕したパン屑(50〜80メッシュ)75Kg、ゼオライト23Kg、ソルビタンステアレート2Kgを混合し、該組成物を2軸押出機のホッパー投入し、80〜110℃、ダイ内径2.5mmを用いてパン屑含有排泄物処理材ペレットを得た。この排泄物処理材ペレットを乾燥した結果、水分含有率が12%で、柔らかな排泄物処理材を得た。
【0026】
【実施例2】
実施例1と同様な組成物を用いて、2軸押出機の温度を110〜130℃に変えた以外同様な条件で、成型加工した結果、発泡倍率が4倍のポ−ラス構造を有した発泡排泄物処理材を得た。
【0027】
【実施例3】
食パンの耳(含水分18重量%)を粉砕したパン屑(50〜80メッシュ)75Kg、乾燥おから10Kg,ゼオライト13Kg、ソルビタンステアレート2Kgを混合し、該組成物を2軸押出機のホッパー投入し、70〜100℃、ダイ内径2.5mmを用いてパン屑含有排泄物処理材ペレットを得た。この排泄物処理材ペレットを乾燥した結果、水分含有率11.5%で、柔らかな排泄物処理材を得た。
【0028】
【比較例1】
サンドイッチ製造工程からでる食パンの耳(含水分18重量%)を粉砕したパン屑(50〜80メッシュ)75Kg、乾燥オカラ(含水分20重量%)25Kgを混合し、実施例1と同じ条件で、成型加工した結果、この排泄物処理材ペレットを乾燥した結果、水分含有率13.2%で、硬い排泄物処理材を得た。
【0029】
【比較例2】
サンドイッチ製造工程からでる食パンの耳(含水分18重量%)を粉砕したパン屑(50〜80メッシュ)75Kg、乾燥オカラ(含水分20重量%)12Kg、ゼオライト13Kg、を混合し、実施例1と同じ条件で、成型加工した結果、この排泄物処理材ペレットを乾燥した結果、水分含有率10.9%で、やや硬い排泄物処理材を得た。
【0030】
実施例1、2、3並びに比較例1,2で得られた排泄物処理材を下記の方法で評価した。
1)  吸水量:試料10gを200mlのビーカーに入れ、1%食塩水を少しずつ注ぎ、食塩水が吸収しきれなく時点での食塩水量(単位:ml)で評価した。
2)吸水速度:試料10gを200mlのビーカーに入れ、1%食塩水50ml入れ、食塩水が全量吸収したときの速さで評価した。
3) ペレットの硬さ:実施例1で得たペレットの相対硬さで評価した。
○:実施例1と同じ硬さ。
△:実施例1よりやや硬い。
×:実施例1より硬い。
【0031】
【表1】
Figure 2004113202
【0032】
実施例1、2および3の吸水性は、界面活性剤を配合しない比較例1,2より吸水性が高かった。吸収性配合剤(ゼオライト)の配合しない、比較例2は、特に吸水量が低く、吸水時間も長い。

Claims (5)

  1. パン屑を必須成分とした澱粉質材料、界面活性剤および吸収性配合剤からなることを特徴とする動物用排泄物処理材。
  2. 界面活性剤が、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよび/またはこれらの誘導体からなる群から選ばれる1種または2種以上含むことを特徴とする動物用排泄物処理材。
  3. 吸収性配合剤が、ゼオライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カオリナイト、ベントナイト等の成分から選ばれる1種または2種以上含むことを特徴とする動物用排泄物処理材。
  4. パン屑を必須成分とした澱粉質材料と界面活性剤および吸収性配合剤を均一に混合し、水分含有率が13〜25%である組成物を70〜140℃のスクリュー式の押出機で加熱混合・混練して可塑化溶融し、押出して得られる可塑化溶融組成物であることを特徴とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の動物用排泄物処理材の製造法。
  5. 請求項4記載の可塑化溶融組成物が、1.2〜20倍発泡した可塑化溶融組成物であることを特徴とした請求項4に記載の動物用排泄物処理材の製造法。
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