JP2004112894A - 高電圧直流電源 - Google Patents

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Fumihiko Endo
遠藤 文彦
Yukinori Tsuruta
弦田 幸憲
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Toshiba Corp
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Abstract

【課題】出力の電圧リプルの大幅な低減化を図ること。
【解決手段】複数台のコンバータのそれぞれの出力側を互いに並列接続してなるコンバータ電源群1〜nと、コンバータ電源群1〜nの出力側と負荷10との間に接続された平滑コンデンサ9とを備えて構成される高電圧直流電源において、コンバータ電源群1〜nから平滑コンデンサ9へ至る配線81〜86と、平滑コンデンサ9から負荷10へ至る配線91,92とを、それぞれ別々に設ける。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大出力の高電圧直流電源に係り、特に出力の電圧リプルの大幅な低減化を図り得るようにした高電圧直流電源に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、大容量の高電圧直流電源においては、冗長性やメンテナンスのし易さを目的として、小容量の電源ユニットを複数台用いて大容量化する方法が、しばしば採用されてきている。
【0003】
また、この種の高電圧直流電源には、制御性の良好なインバータ回路が一般的に用いられている。
【0004】
図6は、この種の従来の高電圧直流電源の一構成例を示す回路図である。
【0005】
図6において、直流電源1の電圧Edcを交流電圧に変換するインバータブリッジ30と、このインバータブリッジ30からの交流電圧を昇圧するトランス6と、このトランス6の2次側電圧を整流する整流回路7とからなるコンバータ40を、複数台互いに並列接続してコンバータ群50を構成し、このコンバータ群50の出力側と負荷10との間に、電圧リプルを抑制するための平滑コンデンサ9が並列に接続されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のような従来の高電圧直流電源においては、次のような問題点がある。
【0007】
図7は、図6の等価回路を示す図である。
【0008】
図7において、コンバータ40の出力電圧に重畳されるリプル電圧をリプル等価電圧源VR1、VR2、VR3、各コンバータ40の1台当たりの内部キャパシタンスをC/n、各コンバータ40の1台分当たりの個別配線部の漂遊キャパシタンスをnL′、図6のコンバータ群50の出力電流が平滑コンデンサ9に流れ込む流路と、平滑コンデンサ9と負荷10とを接続する配線が共通である場合のこの共通配線部の漂遊インダクタンスをLs、平滑コンデンサ9の内部インダクタンスをLcとする。
【0009】
前述の図6に示すような回路では、その等価回路を図7に示すように、平滑コンデンサ9の内部インダクタンスLcと、コンバータ群50の出力電流の変化率dio/dtとで発生する電圧が、出力電圧リプルΔVo
ΔVo=Lc×dio/dt
として、負荷10に印加される。
【0010】
また、コンバータ群50の出力電流が平滑コンデンサ9に流れ込む流路と、平滑コンデンサ9と負荷10とを接続する配線が共通であると、この共通配線部の漂遊インダクタンスLsによる電圧が上記電圧に重畳されるため、出力電圧リプルΔVoは、
ΔVo=(Lc+Ls)×dio/dt
となり、出力電圧リプルを増大させる原因となる。
【0011】
さらに、複数台の共振型コンバータ1〜nの出力位相がずれると、各共振型コンバータ1〜n間で出力電圧に差異が生じ、各コンバータ40内部のキャパシタンスC/nと、出力の配線インダクタンスnL′とによる共振が発生する。
【0012】
そして、この共振は、コンバータ群50の出力電圧リプルを増大させる要因となる。
【0013】
本発明の目的は、出力の電圧リプルの大幅な低減化を図ることが可能な高電圧直流電源を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に対応する発明では、複数台のコンバータのそれぞれの出力側を互いに並列接続してなるコンバータ電源群と、コンバータ電源群の出力側と負荷との間に接続された平滑コンデンサとを備えて構成される高電圧直流電源において、コンバータ電源群から平滑コンデンサへ至る配線と、平滑コンデンサから負荷へ至る配線とを、それぞれ別々に設けている。
【0015】
従って、請求項1に対応する発明の高電圧直流電源においては、コンバータ電源群から平滑コンデンサへ至る配線と、平滑コンデンサから負荷へ至る配線とを、それぞれ別々に設けることにより、コンバータ電源群の出力電流が平滑コンデンサに流れ込む流路と、平滑コンデンサと負荷とを接続する配線ルートとに共通部分ができないため、出力の電圧リプルを大幅に低減することができる。
【0016】
また、請求項2に対応する発明では、複数台のコンバータのそれぞれの出力側を互いに並列接続してなるコンバータ電源群と、コンバータ電源群の出力側と負荷との間に接続された平滑コンデンサとを備えて構成される高電圧直流電源において、各コンバータの出力側に、それぞれ別々に抵抗器を備えている。
【0017】
従って、請求項2に対応する発明の高電圧直流電源においては、各コンバータの出力側に、それぞれ別々に抵抗器を備えることにより、複数台のコンバータ間の出力位相がずれて出力電圧に差異が生じても、配線や平滑コンデンサ内部の漂遊インダクタンスとコンバータ内部キャパシタンスとによる共振現象を、抵抗器によって抑制することが可能となるため、出力の電圧リプルを低減することができる。
【0018】
さらに、請求項3に対応する発明では、複数台のコンバータのそれぞれの出力側を互いに並列接続してなるコンバータ電源群と、コンバータ電源群の出力側と負荷との間に接続された平滑コンデンサとを備えて構成される高電圧直流電源において、コンバータ電源群から平滑コンデンサへ至る第1の配線と、平滑コンデンサから負荷へ至る第2の配線とを、それぞれ別々に設けると共に、各コンバータの出力側に、それぞれ別々に抵抗器を備えている。
【0019】
従って、請求項3に対応する発明の高電圧直流電源においては、上記請求項1および請求項2に対する発明の作用を同時に奏することが可能となるため、出力の電圧リプルをより一層大幅に低減することができる。
【0020】
一方、請求項4に対応する発明では、上記請求項2または請求項3に対応する発明の高電圧直流電源において、各コンバータの出力側と各抵抗器との間を、それぞれ別々に同軸ケーブルで接続している。
【0021】
従って、請求項4に対応する発明の高電圧直流電源においては、各コンバータの出力側と各抵抗器との間を、それぞれ別々に同軸ケーブルで接続することにより、各コンバータ間の共振現象を引き起こすインダクタンスを低められるため、共振抑制用抵抗器の値を低くすることが可能となり、損失の抑制、装置の小型化を実現することができる。
【0022】
また、請求項5に対応する発明では、上記請求項2乃至請求項4のいずれか1項に対応する発明の高電圧直流電源において、各抵抗器の値Roが、下記の関係式を満足するような値に選定している。
Ro≧√(4×Lo/Co)
ここで、Lo:各コンバータの出力―抵抗器間の配線インダクタンス
Co:各コンバータの出力キャパシタンス
従って、請求項5に対応する発明の高電圧直流電源においては、各抵抗器の値Roが、上記の関係式を満足する値に選定することにより、上記共振現象を確実に抑制することができる。
【0023】
さらに、請求項6に対応する発明では、上記請求項1乃至請求項5のいずれか1項に対応する発明の高電圧直流電源において、平滑コンデンサの内部インダクタンスの値Lcが、下記の関係式を満足するような値に選定している。
Lc≦Vrip/(dio/dt)
ここで、Vrip  :負荷に要求される電圧リプル許容値
dio/dt:コンバータ電源群の出力電流変化率
従って、請求項6に対応する発明の高電圧直流電源においては、平滑コンデンサの内部インダクタンスの値Lcが、上記の関係式を満足する値に選定することにより、負荷に要求される電圧リプルを満足することができる。
【0024】
また、請求項7に対応する発明では、上記請求項1乃至請求項6のいずれか1項に対応する発明の高電圧直流電源において、各コンバータとしては、直流電源と、インバータブリッジおよび共振コンデンサからなる共振インバータ回路と、共振インバータ回路が1次側に接続されたトランスと、トランスの2次側に接続された整流回路と、から構成された共振型コンバータ回路を用いている。
【0025】
従って、請求項7に対応する発明の高電圧直流電源においては、各コンバータとして、直流電源と、インバータブリッジおよび共振コンデンサからなる共振インバータ回路と、共振インバータ回路が1次側に接続されたトランスと、トランスの2次側に接続された整流回路と、から構成された共振型コンバータ回路を用いることにより、各コンバータの出力電流波形が一定の正弦波となり、負荷条件に依らないため、上記請求項1乃至請求項6に対応する発明の手段の設計を容易に行なうことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明では、漂遊インダクタンスLsの出力電圧リプルへの影響を無くするように配線することで、あるいは各コンバータ間の共振現象を抑制する抵抗を設けることで、大容量の高電圧直流電源において、冗長性やメンテナンスのし易さを目的として、小容量の電源ユニットを複数台用いて大容量化した場合でも、配線に起因する出力の電圧リプルを大幅に低減することができ、また複数台のコンバータの出力位相がずれて、各コンバータ間で出力電圧に差異が生じた場合でも、コンバータ内部のキャパシタンスと出力の配線インダクタンスによる共振現象を抑制して、出力の電圧リプルの増大を防止することができるようにするものである。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態による共振型コンバータを用いた大容量高電圧直流電源の構成例を示す回路図であり、図6と同一あるいは同相当部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0029】
図1において、直流電源1の電圧を交流電圧に変換するインバータブリッジは、主スイッチング素子2a、2b、2c、2dおよびダイオード3a、3b、3c、3dから構成し、共振コンデンサ4および共振リアクトル5とからなる共振インバータ回路を構成している。
【0030】
この共振インバータ回路は、その交流出力側に、トランス6とその2次側に接続された整流回路7とから共振型コンバータ回路(共振型コンバータ群1〜n)を構成し、さらにこの共振型コンバータ回路の出力側と負荷10との間に、電圧リプルを抑制するための平滑コンデンサ9を並列に接続している。
【0031】
ここで、共振型コンバータ群1〜nから平滑コンデンサ9へ至る配線81、82、83、84、85、86と、平滑コンデンサ9から負荷10へ至る配線91、92とは、それぞれ別々に設けており、共振型コンバータ群1〜nの出力電流が平滑コンデンサ9に流れ込む流路81、82、83、84、85、86と、平滑コンデンサ9と負荷10とを接続する配線91、92ルートとに、共通部分ができないように配線している。
【0032】
次に、以上のように構成した本実施の形態による高電圧直流電源の作用について、図2を用いて説明する。
【0033】
図2は、図1の等価回路を示す図であり、図7と同一あるいは同相当部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0034】
図1における個別の配線81、82、83、84、85、86、および91、92により、図7の場合に比べて、図2の場合には、共振型コンバータ群1〜nの出力電流が平滑コンデンサ9に流れ込む流路と、平滑コンデンサ9と負荷10とを接続する共通配線部の漂遊インダクタンスLsがない。
【0035】
このため、電圧リプルΔVoは、
図7の場合のΔVo=(Lc+Ls)×dio/dt から、
図2の場合のΔVo′=Lc×dio/dt へ
大幅に低減されることになる。
【0036】
上述したように、本実施の形態による高電圧直流電源では、共振型コンバータ群1〜nから平滑コンデンサ9へ至る配線81、82、83、84、85、86と、平滑コンデンサ9から負荷10へ至る配線91、92とを、それぞれ別々に設けるようにしているので、共振型コンバータ群1〜nの出力電流が平滑コンデンサ9に流れ込む流路と、平滑コンデンサ9と負荷10とを接続する配線ルートとに共通部分ができないため、出力の電圧リプルを大幅に低減することが可能となる。
【0037】
(第2の実施の形態)
図3(a)は、本実施の形態による共振型コンバータを用いた大容量高電圧直流電源の構成例を示す回路図であり、図1と同一あるいは同相当部分には同一符号を付して示している。
【0038】
図3(a)において、前記図1の場合と同様に、直流電源1の電圧を交流電圧に変換するインバータブリッジは、主スイッチング素子2a、2b、2c、2dおよびダイオード3a、3b、3c、3dから構成し、共振コンデンサ4および共振リアクトル5とからなる共振インバータ回路を構成している。
【0039】
この共振インバータ回路は、その交流出力側に、トランス6とその2次側に接続された整流回路7とから共振型コンバ−タ回路(共振型コンバータ群1〜n)を構成し、さらにこの共振型コンバ−タ回路の出力側と負荷10の間に、電圧リプルを抑制するための平滑コンデンサ9を並列に接続している。
【0040】
ここで、共振型コンバータ群1〜nの出力側に、それぞれ別々に抵抗器60、61、62を備えている。
【0041】
次に、以上のように構成した本実施の形態による高電圧直流電源の作用について、図3(b)を用いて説明する。
【0042】
図3(b)は、図3(a)の等価回路を示す図であり、図7と同一あるいは同相当部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0043】
図3(b)において、各共振型コンバータ群1〜nの出力側と抵抗器60、61、62との間の配線インダクタンスをLoとする。
【0044】
個別の抵抗器60、61、62を備えることにより、図7の場合に比べて、図3(b)の場合には、複数台の共振型コンバータ群1〜n間の出力位相がずれて、出力電圧に差異が生じても、配線や平滑コンデンサ9内部の漂遊インダクタンスとコンバータ内部キャパシタンスC0とによる共振現象を、抵抗器60、61、62によって抑制することができ、出力の電圧リプルが低減されることになる。
【0045】
上述したように、本実施の形態による高電圧直流電源では、各共振型コンバータ群1〜nの出力側に、それぞれ別々に抵抗器60、61、62を備えるようにしているので、複数台の共振型コンバータ群1〜n間の出力位相がずれて、出力電圧に差異が生じても、配線や平滑コンデンサ内部の漂遊インダクタンスとコンバータ内部キャパシタンスとによる共振現象を、抵抗器60、61、62によって抑制することができるため、出力の電圧リプルを低減することが可能となる。
【0046】
(第3の実施の形態)
図4(a)は、本実施の形態による共振型コンバータを用いた大容量高電圧直流電源の構成例を示す回路図であり、図1、図3(a)と同一あるいは同相当部分には同一符号を付して示している。
【0047】
図4(a)において、前記図1、図3(a)の場合と同様に、直流電源1の電圧を交流電圧に変換するインバータブリッジは、主スイッチング素子2a、2b、2c、2dおよびダイオード3a、3b、3c、3dから構成し、共振コンデンサ4および共振リアクトル5とからなる共振インバータ回路を構成している。
【0048】
この共振インバータ回路は、その交流出力側に、トランス6とその2次側に接続された整流回路7とから共振型コンバ−タ回路(共振型コンバータ群1〜n)を構成し、さらにこの共振型コンバ−タ回路の出力側と負荷10の間に、電圧リプルを抑制するための平滑コンデンサ9を並列に接続している。
【0049】
ここで、共振型コンバータ群1〜nから平滑コンデンサ9へ至る配線81、82、83、84、85、86と、平滑コンデンサ9から負荷10へ至る配線91、92とは、それぞれ別々に設けており、共振型コンバータ群1〜nの出力電流が平滑コンデンサ9に流れ込む流路81、82、83、84、85、86と、平滑コンデンサ9と負荷10とを接続する配線91、92ルートとに、共通部分ができないように配線している。
【0050】
さらに、共振型コンバータ群1〜nの出力側に、それぞれ別々に抵抗器60、61、62を備えている。
【0051】
次に、以上のように構成した本実施の形態による高電圧直流電源の作用について、図4(b)を用いて説明する。
【0052】
図4(b)は、図4(a)の等価回路を示す図であり、図7と同一あるいは同相当部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0053】
図4(a)における個別の配線81、82、83、84、85、86、および91、92により、図7の場合に比べて、図2の場合には、共振型コンバータ群1〜nの出力電流が平滑コンデンサ9に流れ込む流路と、平滑コンデンサ9と負荷10とを接続する共通配線部の漂遊インダクタンスLsがない。
【0054】
このため、電圧リプルΔVoは、
図7の場合のΔVo=(Lc+Ls)×dio/dt から、
図4(b)の場合のΔVo′=Lc×dio/dt へ
大幅に低減されることになる。
【0055】
さらに、各共振型コンバータ群1〜nの出力側と抵抗器60、61、62との間の配線インダクタンスをLoとする。
【0056】
個別の抵抗器60、61、62を備えることにより、図7の場合に比べて、図3(b)の場合には、複数台の共振型コンバータ群1〜n間の出力位相がずれて、出力電圧に差異が生じても、配線や平滑コンデンサ9内部の漂遊インダクタンスとコンバータ内部キャパシタンスC0とによる共振現象を、抵抗器60、61、62によって抑制することができ、出力の電圧リプルが低減されることになる。
【0057】
すなわち、前述した第1の実施の形態、および第2の実施の形態の作用効果を同時に得ることができる。
【0058】
上述したように、本実施の形態による高電圧直流電源では、共振型コンバータ群1〜nから平滑コンデンサ9へ至る配線81、82、83、84、85、86と、平滑コンデンサ9から負荷10へ至る配線91、92とを、それぞれ別々に設けるようにしているので、共振型コンバータ群1〜nの出力電流が平滑コンデンサ9に流れ込む流路と、平滑コンデンサ9と負荷10とを接続する配線ルートとに共通部分ができないため、出力の電圧リプルを大幅に低減することが可能となる。
【0059】
さらに、各共振型コンバータ群1〜nの出力側に、それぞれ別々に抵抗器60、61、62を備えるようにしているので、複数台の共振型コンバータ群1〜n間の出力位相がずれて、出力電圧に差異が生じても、配線や平滑コンデンサ内部の漂遊インダクタンスとコンバータ内部キャパシタンスとによる共振現象を、抵抗器60、61、62によって抑制することができるため、出力の電圧リプルを低減することが可能となる。
【0060】
(第4の実施の形態)
図5は、本実施の形態による共振型コンバータを用いた大容量高電圧直流電源の構成例を示す回路図であり、図3(a)、図4(a)と同一あるいは同相当部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0061】
すなわち、図5に示すように、本実施の形態による大容量高電圧直流電源は、前述した第2または第3のいずれかの実施の形態の大容量高電圧直流電源において、各共振型コンバータ群1〜nの出力側と各抵抗器60、61、62との間を、それぞれ別々に同軸ケーブル70、71、72で接続する構成としている。
【0062】
次に、以上のように構成した本実施の形態による高電圧直流電源の作用について説明する。
【0063】
図5において、各共振型コンバータ群1〜nの出力側と各抵抗器60、61、62との間を、それぞれ別々に同軸ケーブル70、71、72で接続していることにより、各共振型コンバータ群1〜n間の共振現象を引き起こすインダクタンスを低められるため、共振抑制用の抵抗器60、61、62の値を低くすることができ、損失の抑制、装置の小型化を実現することができる。
【0064】
上述したように、本実施の形態による高電圧直流電源では、各共振型コンバータ群1〜nの出力側と各抵抗器60、61、62との間を、それぞれ別々に同軸ケーブル70、71、72で接続するようにしているので、共振抑制用の抵抗器60、61、62の値を低くすることができるため、損失の抑制、装置の小型化を実現することが可能となる。
【0065】
(第5の実施の形態)
本実施の形態による大容量高電圧直流電源は、前述した第2乃至第4のいずれかの実施の形態の大容量高電圧直流電源において、共振型コンバータ群1〜nの出力側に備える各抵抗器60、61、62の値Roが、下記の関係式を満足するような値に選定している。
【0066】
Ro≧√(4×Lo/Co)
ここで、Lo:各共振型コンバータ群1〜nの出力側と各抵抗器60、61、62との間の配線インダクタンス
Co:各共振型コンバータ群1〜nの出力キャパシタンス
次に、以上のように構成した本実施の形態による高電圧直流電源の作用について説明する。
【0067】
本実施の形態による高電圧直流電源においては、共振型コンバータ群1〜nの出力側に備える各抵抗器60、61、62の値Roが、上記の関係式を満足する値に選定していることにより、配線や平滑コンデンサ内部の漂遊インダクタンスとコンバータ内部キャパシタンスとによる前述した共振現象を確実に抑制することができる。
【0068】
上述したように、本実施の形態による高電圧直流電源では、配線や平滑コンデンサ内部の漂遊インダクタンスとコンバータ内部キャパシタンスとによる共振現象を、抵抗器60、61、62によって確実に抑制することができるため、出力の電圧リプルを低減することが可能となる。
【0069】
(第6の実施の形態)
本実施の形態による大容量高電圧直流電源は、前述した第1乃至第5のいずれかの実施の形態の大容量高電圧直流電源において、平滑コンデンサ9の内部インダクタンスの値Lcが、下記の関係式を満足するような値に選定している。
【0070】
すなわち、換言すれば、内部インダクタンスLcが下記の関係式を満足するような値の平滑コンデンサ9を使用するようにしている。
【0071】
Lc≦Vrip/(dio/dt)
ここで、Vrip  :負荷10に要求される電圧リプル許容値
dio/dt:各共振型コンバータ群1〜nの出力電流変化率
次に、以上のように構成した本実施の形態による高電圧直流電源の作用について説明する。
【0072】
本実施の形態による高電圧直流電源においては、平滑コンデンサ9の内部インダクタンスの値Lcが、上記の関係式を満足する値に選定していることにより、負荷10に要求される電圧リプルを満足することができる。
【0073】
上述したように、本実施の形態による高電圧直流電源では、負荷10に要求される電圧リプルを満足することが可能となる。
【0074】
(第7の実施の形態)
前記第1乃至第6の実施の形態の大容量高電圧直流電源では、各コンバータとしては、直流電源1と、インバータブリッジと共振コンデンサ4および共振リアクトル5からなる共振インバータ回路と、共振インバータ回路が1次側に接続されたトランス6と、トランス6の2次側に接続された整流回路7とから構成された共振型コンバータ回路(共振型コンバータ群1〜n)を用いる場合について説明したが、これに限らず、各コンバータとしては、共振型以外のコンバータを用いるようにしても構わない。
【0075】
各コンバータとして、共振型コンバータ回路(共振型コンバータ群1〜n)を用いた場合には、各共振型コンバータ群1〜nの出力電流波形が一定の正弦波となり、負荷条件に依らないため、前記第1乃至第6の実施の形態の大容量高電圧直流電源における手段の設計を容易に行なうことが可能となる。
【0076】
(その他の実施の形態)
尚、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々に変形して実施することが可能である。
また、各実施の形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合には組み合わせた作用効果を得ることができる。
さらに、上記各実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより、種々の発明を抽出することができる。
例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題(の少なくとも一つ)が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果(の少なくとも一つ)が得られる場合には、この構成要件が削除された構成を発明として抽出することができる。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、大容量の高電圧直流電源において、漂遊インダクタンスLsの出力電圧リプルへの影響を無くするように配線するか、あるいは各コンバータ間の共振現象を抑制する抵抗器を設けるようにしているので、冗長性やメンテナンスのし易さを目的として、小容量の電源ユニットを複数台用いて大容量化した場合でも、配線に起因する出力の電圧リプルの大幅な低減化を図ることが可能であり、また複数台のコンバータの出力位相がずれて、各コンバータ間で出力電圧に差異が生じた場合でも、コンバータ内部のキャパシタンスと出力の配線インダクタンスによる共振現象を抑制することができ、出力の電圧リプルの低減化を図ることが可能な高電圧直流電源が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による高電圧直流電源の第1の実施の形態を示す回路図。
【図2】図1の等価回路を示す図。
【図3】本発明による高電圧直流電源の第2の実施の形態を示す回路図およびその等価回路図。
【図4】本発明による高電圧直流電源の第3の実施の形態を示す回路図およびその等価回路図。
【図5】本発明による高電圧直流電源の第4の実施の形態を示す回路図。
【図6】従来の高電圧直流電源の一構成例を示す回路図。
【図7】図6の等価回路を示す図。
【符号の説明】
1…直流電源、
2a、2b、2c、2d…スイッチング素子、
3a、3b、3c、3d…ダイオード、
4…共振コンデンサ、
5…共振リアクトル、
6…トランス、
7…整流回路、
8…スイッチング素子駆動回路、
9…平滑コンデンサ、
10…負荷、
40…コンバータ、
50…コンバータ群、
60、61、62…抵抗器、
70、71、72…同軸ケーブル、
81、82、83、84、85、86…配線、
91、92…配線。

Claims (7)

  1. 複数台のコンバータのそれぞれの出力側を互いに並列接続してなるコンバータ電源群と、
    前記コンバータ電源群の出力側と負荷との間に接続された平滑コンデンサとを備えて構成される高電圧直流電源において、
    前記コンバータ電源群から前記平滑コンデンサへ至る配線と、前記平滑コンデンサから負荷へ至る配線とを、それぞれ別々に設けて成ることを特徴とする高電圧直流電源。
  2. 複数台のコンバータのそれぞれの出力側を互いに並列接続してなるコンバータ電源群と、
    前記コンバータ電源群の出力側と負荷との間に接続された平滑コンデンサとを備えて構成される高電圧直流電源において、
    前記各コンバータの出力側に、それぞれ別々に抵抗器を備えて成ることを特徴とする高電圧直流電源。
  3. 複数台のコンバータのそれぞれの出力側を互いに並列接続してなるコンバータ電源群と、
    前記コンバータ電源群の出力側と負荷との間に接続された平滑コンデンサとを備えて構成される高電圧直流電源において、
    前記コンバータ電源群から前記平滑コンデンサへ至る配線と、前記平滑コンデンサから負荷へ至る配線とを、それぞれ別々に設けると共に、
    前記各コンバータの出力側に、それぞれ別々に抵抗器を備えて成ることを特徴とする高電圧直流電源。
  4. 前記請求項2または請求項3に記載の高電圧直流電源において、
    前記各コンバータの出力側と前記各抵抗器との間を、それぞれ別々に同軸ケーブルで接続したことを特徴とする高電圧直流電源。
  5. 前記請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の高電圧直流電源において、
    前記各抵抗器の値Roが、下記の関係式を満足するような値に選定したことを特徴とする高電圧直流電源。
    Ro≧√(4×Lo/Co)
    ここで、Lo:各コンバータの出力―抵抗器間の配線インダクタンス
    Co:各コンバータの出力キャパシタンス
  6. 前記請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の高電圧直流電源において、
    前記平滑コンデンサの内部インダクタンスの値Lcが、下記の関係式を満足するような値に選定したことを特徴とする高電圧直流電源。
    Lc≦Vrip/(dio/dt)
    ここで、Vrip  :負荷に要求される電圧リプル許容値
    dio/dt:コンバータ電源群の出力電流変化率
  7. 前記請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の高電圧直流電源において、
    前記各コンバータとしては、直流電源と、インバータブリッジおよび共振コンデンサからなる共振インバータ回路と、前記共振インバータ回路が1次側に接続されたトランスと、前記トランスの2次側に接続された整流回路と、から構成された共振型コンバータ回路を用いたことを特徴とする高電圧直流電源。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023053581A1 (ja) * 2021-09-30 2023-04-06 株式会社日立製作所 電力変換装置

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