JP2004111406A - 光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置 - Google Patents

光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置 Download PDF

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浦谷 貢
Mitsuhiro Nakatani
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Abstract

【課題】光半導体素子に対する透光性部材の位置精度を良好に維持でき、また透光性部材に基体成型時の樹脂のバリが付着するのを防止するとともに透光性部材にクラック等の損傷が発生しないようにすることができる光半導体素子収納用パッケージを提供すること。
【解決手段】光半導体素子収納用パッケージは、上面に形成された凹部の底面に光半導体素子8を上面に載置する凸部1aが設けられている基体1と、凹部から基体1の外側面にかけて形成された貫通孔2aと、貫通孔2aの凹部側の開口の周囲から内周面にかけて全周にわたって形成された段差と、段差に一面が凹部の側面に略面一になるようにして嵌着され、一面とそれに対向する面との間を貫通する貫通孔6aが一面の中央部に形成された金属部材6と、金属部材6の貫通孔6aに接合された透光性部材6bとを具備している。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野等に用いられ、光半導体素子を収納するための光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光通信分野に使用されて電気信号を光信号に変換する半導体レーザ(LD)や光信号を電気信号に変換するフォトダイオード(PD)等の光半導体素子を収容するための光半導体素子収納用パッケージ(以下、半導体パッケージともいう)を図3に示す。
【0003】
同図に示すように、半導体パッケージは、アルミナ(Al)質焼結体(アルミナセラミックス)等のセラミックスまたはエポキシ樹脂やポリフェニレンサルファイト(PPS)や液晶ポリマー(LCP)等から成るエンジニアプラスチック等の電気絶縁材料から成り、上面に形成された凹部の底面の中央部に光半導体素子28を載置するための凸部21aを有し、側壁部22に貫通孔22aを設けた基体21と、貫通孔22aの内側に取付された集光レンズ等としての透光性部材26と、両端が側壁部22の内外に突出するように取着され、側壁部22の外側に突出する一端が外部電気回路に電気的に接続される複数の外部リード端子24とから基本的に構成される。なお、側壁部22を別体の枠部とし、その枠部を平板状の基体21の上面の外周部に接合する場合もある。
【0004】
また、基体21の側壁部22の上面に樹脂接着材等の封止材を介して取着され、内部を気密に封止する蓋体23を設けることにより光半導体装置となる。即ち、基体21の凸部21a上に光半導体素子28を載置固定するとともに光半導体素子28の各電極を外部リード端子24にボンディングワイヤ25等の接続手段を介して電気的に接続し、しかる後、側壁部22の上面に蓋体23を封止材を介して接合し、基体21と蓋体23とから成る容器内部に光半導体素子28を収容することによって製品としての光半導体装置となる。
【0005】
なお、基体21はエポキシ樹脂やエンジニアプラスチック等を用いてインジェクションモールド法やトランスファモールド法によって一体的に成型され、その際複数の外部リード端子24と貫通孔22aに設けられた透光性部材26は、成型時に基体21に組み込まれた状態で設けることができる。また基体21は、全体をセラミックスで作製する、または底板部をセラミックスで作製し側壁部22をFe−Ni−Co合金等の金属で構成する、または底板部を銅(Cu)−タングステン(W)等で作製し側壁部22をFe−Ni−Co合金等の金属で構成するといった方法で作製することもできる。
【0006】
この光半導体装置は、光半導体素子28に外部リード端子24を介して外部電気回路から供給される駆動信号を印加し、光半導体素子28に光を励起させるとともに励起した光を光ファイバ27で伝達させることによって、または光ファイバ27を伝達する光を光半導体素子28に受光させ、光半導体素子28により電気信号を発生させるとともに発生した電気信号を外部リード端子24を介して外部に取り出すことによって作動する。このような光半導体装置は光通信分野に多用される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の光半導体パッケージにおいては、基体21と複数の外部リード端子24と貫通孔22aに設けられた透光性部材26とが、エポキシ樹脂等の樹脂を成型することにより一体的に構成されており、光半導体素子28に対する透光性部材26の位置精度は良いのであるが、樹脂に直接透光性部材26を取り付けているため、透光性部材26の表面に樹脂の成型バリが付着し、透光性部材26を入出射する光信号を効率良く伝送できなくなるという問題があった。
【0008】
また、成型時に透光性部材26の位置を固定するためにガラス等から成る透光性部材26を金型で直接押さえなければならず、透光性部材26にクラック等の損傷が発生し易かった。さらに、樹脂と透光性部材26との熱膨張差が大きいため、基体21に取り付けた後にも透光性部材26にクラック等の破損が発生するという問題もあった。
【0009】
また、球状やレンズ状の透光性部材26は、貫通孔22aの内面との接触面積が小さいため、ガラス等から成る透光性部材26と樹脂から成る基体21との熱膨張差によって気密が破れ易いという問題点も有していた。
【0010】
従って、本発明は上記問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、光半導体素子に対する透光性部材の位置精度を良い状態で維持できるようにし、また透光性部材に基体の成型時の樹脂がバリとして付着するのを防止するとともに透光性部材にクラック等の破損が発生するのを防止し、さらに気密性を向上させた光半導体パッケージおよび光半導体装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上面に形成された凹部の底面に光半導体素子を上面に載置する凸部が設けられている基体と、前記凹部から前記基体の外側面にかけて形成された貫通孔と、該貫通孔の前記凹部側の開口の周囲から内周面にかけて全周にわたって形成された段差と、該段差に一面が前記凹部の側面に略面一になるようにして嵌着され、前記一面とそれに対向する面との間を貫通する貫通孔が前記一面の中央部に形成された金属部材と、該金属部材の貫通孔に接合された透光性部材とを具備していることを特徴とする。
【0012】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、基体の貫通孔に形成された段差に一面が凹部の側面に略面一になるようにして嵌着され、一面とそれに対向する面との間を貫通する貫通孔が一面の中央部に形成された金属部材を有し、金属部材の貫通孔に透光性部材が接合されていることから、光半導体素子収納用パッケージの透光性部材の部位における気密性が大幅に向上する。また、例えば基体が樹脂から成る場合、基体を成型する際に透光性部材に樹脂のバリが付着するのを防ぐことができ、また、成型時に透光性部材に金型が直接当接しないことおよび製造後に樹脂から成る基体が透光性部材に直接接していないことから、透光性部材にクラック等の破損が発生するのを防ぐことができる。
【0013】
本発明の光半導体素子収納用パッケージにおいて、好ましくは、前記金属部材は、前記段差に嵌め込まれている部位の前記基体の貫通孔の内周面からの深さが0.5乃至10mmとされていることを特徴とする。
【0014】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、金属部材の段差に嵌め込まれている部位の深さが0.5乃至10mmとされていることから、光半導体素子収納用パッケージの大型化を抑えて金属部材の部位における気密性をより向上させることができる。
【0015】
本発明の光半導体素子収納用パッケージにおいて、好ましくは、前記段差は、前記基体の貫通孔の内周面に略平行な面に全周にわたって溝が形成されており、前記金属部材は、その貫通孔の内周面に対向する外周面に全周にわたって連続して突起が形成され、前記溝に前記突起が嵌め込まれていることを特徴とする。
【0016】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、基体の貫通孔の内周面に形成された溝に金属部材の突起が嵌め込まれていることから、光半導体素子収納用パッケージの金属部材の部位における気密性がさらに向上する。
【0017】
本発明の光半導体素子収納用パッケージにおいて、好ましくは、前記基体は樹脂から成り、前記金属部材は前記段差に嵌め込まれている部位の表面粗さが最大高さで1.6乃至25μmとされていることを特徴とする。
【0018】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、金属部材における基体の貫通孔の段差に嵌め込まれた部位の表面粗さが最大高さで1.6〜25μmとされていることにより、金属部材を基体の貫通孔に強固に固定でき、その結果光半導体素子を気密に封止できる。さらに、光半導体素子収納用パッケージを光半導体装置と成したときに、光半導体素子の熱によって光半導体装置内の空気やアルゴンガスが膨張して基体の内外に気圧差が生じて金属部材に圧力が加わった場合、または光半導体装置の外部の雰囲気の圧力が変化して基体の内外に気圧差が生じて金属部材に圧力が加わった場合でも、金属部材が基体の所定の位置からずれることを防止できる。従って、金属部材の貫通孔に接合された透光性部材と光半導体素子とを正確に対向させ、透光性部材と光半導体素子との間の光結合効率を高いものとすることができる。
【0019】
本発明の光半導体装置は、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージと、前記透光性部材に光学的に結合するように前記凸部の上面に載置固定された光半導体素子と、前記基体の上面の前記凹部の周囲に接合された蓋体とを具備したことを特徴とする。
【0020】
本発明の光半導体装置は、上記の構成により、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた信頼性の高いものとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置を以下に詳細に説明する。図1は、本発明の光半導体パッケージについて実施の形態の例を示し、1は基体、1aは光半導体素子8を載置するための凸部、2は基体1の側壁部、2aは基体1の貫通孔、2bは段差、3は蓋体、4は外部リード端子、5は電気的な接続手段としてのボンディングワイヤ、6は金属部材、6aは金属部材6の貫通孔、6bは透光性部材、6dは金属部材6の段差2bに嵌め込まれた部位(取付部)、7は光ファイバ、8は光半導体素子、Aは金属部材6の貫通孔6aの段差に嵌め込まれている部位6dの基体1の貫通孔2aの内周面からの深さである。そして、上面に形成された凹部1bの底面に光半導体素子8を載置し収容する基体1によって、内部に光半導体素子8を収容するための容器が基本的に構成される。
【0022】
本発明の光半導体パッケージは、上面に形成された凹部1bの底面に光半導体素子8を上面に載置する凸部1aが設けられている基体1と、凹部1bから基体1の外側面にかけて形成された貫通孔2aと、貫通孔2aの凹部1b側の開口の周囲から内周面にかけて全周にわたって形成された段差2bと、段差2bに一面が凹部1bの側面に略面一になるようにして嵌着され、一面とそれに対向する面との間を貫通する貫通孔6aが一面の中央部に形成された金属部材6と、金属部材6の貫通孔6aに接合された透光性部材6bとを具備している。
【0023】
本発明の基体1は、光半導体素子8を収容し支持する支持部材であり、その上面の凹部1bの底面の略中央部に光半導体素子8を載置するための凸部1aを有しており、凸部1aの上面に光半導体素子8が接着剤等により載置固定される。基体1の側壁部2は、その内側に光半導体素子8を収容するための空所を形成する。また、基体1の側壁部2を別体の枠部とし、その枠部を基体1の底板部の上面の外周部に凸部1aを囲繞するように接合してもよい。
【0024】
この基体1は、エポキシ樹脂、PPSやLCP等から成るエンジニアプラスチック等の電気的に絶縁性の樹脂、アルミナ(Al)質焼結体(アルミナセラミックス)等のセラミックス、セラミックスと樹脂の複合材料、ガラス、ガラスセラミックス、金属等から成る。
【0025】
そして、金属部材6が基体1の貫通孔2aの凹部1b側の開口の周囲から内周面にかけて全周にわたって形成された段差2bに一面が凹部1bの側面に略面一になるようにして嵌着された構成は、例えば樹脂から成る基体1をトランスファモールド法またはインジェクションモールド法等によって成型する際に、予め金型の所定位置に金属部材6を設置しておくことによって達成される。このようにトランスファモールド法またはインジェクションモールド法等によって基体1を成型する際、金属部材6を凹部1bの側面側に寄せて設置しておくことによって、金型の構造を単純なものとして凹部1bを形成することができる。従って、基体1は樹脂から成ることが好ましい。
【0026】
また、基体1の側壁部2には両端が側壁部2の内外に突出する複数の外部リード端子4が設けられており、外部リード端子4の側壁部2内側に突出する部位には光半導体素子8の各電極がボンディングワイヤ5を介して電気的に接続されており、外部リード端子4の側壁部2の外側に突出する部位を外部電気回路に電気的に接続することによって、光半導体素子8の各電極は外部リード端子4を介し外部電気回路に電気的に接続されることとなる。
【0027】
外部リード端子4は鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金やFe−Ni合金等の金属から成り、例えばFe−Ni−Co合金等から成るインゴット(塊)に圧延加工法や打ち抜き加工法等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に形成される。この外部リード端子4の側壁部2への取着は、基体1をトランスファモールド法またはインジェクションモールド法により形成する際に、予め金型内の所定位置に外部リード端子4をセットしておくことによって、側壁部2の所定位置に両端を側壁部2の内外に突出させた状態で一体的に取着される。
【0028】
また外部リード端子4は、その露出する表面に良導電性で耐蝕性に優れかつロウ材と濡れ性の良いNiやAu(金)等の金属をめっき法により所定厚み(1〜20μm程度)に被着させておくのがよく、外部リード端子4の酸化腐蝕を有効に防止できるとともに、外部リード端子4とボンディングワイヤ5との接続および外部リード端子4と外部電気回路との接続を信頼性の高いものとなすことができる。
【0029】
本発明の透光性部材6bは、ガラス、サファイア等から成るが、透明性およびある程度の硬度が確保できれば樹脂から成っていてもよい。
【0030】
貫通孔6aの内周面に透光性部材6bが取着された金属部材6は、光半導体素子8の光入出射部に透光性部材6bが対向する状態で固定され、その外側の主面で貫通孔6aの開口の周囲に、光ファイバ7の光入出射端が金属ホルダ等を介して光半導体素子8と対向するように、樹脂接着剤、Agロウ,Au−Snロウ等のロウ材、半田、YAGレーザ溶接等の溶接法などによって接合され固定される。この金属部材6は、Fe−Ni−Co合金やFe−Ni合金等の金属から成り、Fe−Ni−Co合金等に従来周知の圧延加工法やプレス成形法等の金属加工法を施すことによって、板状や筒状の形状になるように製作される。板状の場合、主面の略中央部に貫通孔6aが形成されたものである。
【0031】
金属部材6の形状は、基体1が樹脂から成る場合、基体1との熱膨張係数差が大きく金属部材6の剛性が高いと、基体1から金属部材6が外れたり基体1にクラック等が発生し易くなるため、筒状よりも剛性が比較的低い板状であることが好ましい。また、金属部材6の断面形状は、円形、四角形等の多角形であるが、基体1の貫通孔2aに嵌め込まれる部位6dが全周にわたって略均一な幅となり、金属部材6および基体1に加わる応力が局所的に集中しにくい円形が好ましい。
【0032】
また、透光性部材6bが取着された金属部材6の側壁部2への取着は、基体1が樹脂から成る場合に基体1をトランスファモールド法またはインジェクションモールド法より成型する際に、予め金型内の所定位置に透光性部材6bが取着された金属部材6をセットしておき、金属部材6の外周端部が側壁部2の貫通孔2aの内周面に埋めこまれるようにして行なわれる。
【0033】
透光性部材6bが取着された金属部材6を金型内にセットする際、金属部材6を金型で押しつけて位置を固定させれば良く、これにより透光性部材6bに金型が直接接しないことから透光性部材6bにクラック等の破損が発生するのを防止できる。また、透光性部材6bが取着された金属部材6は、基体1を成型する際に同時に側壁部2の所定位置に一体的に取着されることから、光半導体パッケージおよび光半導体素子8に対する透光性部材6bの位置精度は良好になり、また透光性部材6bの表面に成型時の樹脂のバリが付着するのを防ぐことができる。
【0034】
また、Fe−Ni−Co合金等の低熱膨張係数を有する金属から成る金属部材6と透光性部材6bとは熱膨張差が小さいため、製造後に熱膨張差に起因して透光性部材6bにクラック等の破損が発生するのを防止できる。さらに、金属部材6は、その外周端部が基体1の貫通孔2aの内周面に埋め込まれて設置されるため、透光性部材6bおよび金属部材6における気密性が大幅に向上する。
【0035】
従って、基体1と蓋体3とで構成される容器の封止が完全となり、容器内部に収納する光半導体素子8を長期にわたり正常かつ安定に作動させることが可能となる。
【0036】
本発明において、金属部材6は基体1の貫通孔2aの内周面の軸方向の凹部1b側の端に嵌めこまれているが、金属部材6の主面の外周部(埋め込まれた部位6d)と側壁部2の外面との距離は0.1〜4mmであることが好ましい。換言すれば、金属部材6が埋め込まれている側壁部2の部位の厚さは0.1〜4mmであることが好ましい。0.1mm未満では、金属部材6の外周部における側壁部2が薄いため、熱膨張差を伴う熱履歴により側壁部2にひび等が生じて気密性が破れたり金属部材6の位置がずれたりすることが発生し易くなる。4mmを超えると、側壁部2の厚みが厚くなるため、光半導体パッケージの小型化が困難になる。
【0037】
また、金属部材6は、貫通孔2aの段差2bに嵌め込まれている部位6dの基体1の貫通孔2aの内周面からの深さA(図1)が0.5〜10mmとされていることがよい。0.5mm未満では、嵌め込みが浅いため、熱膨張差を伴う熱履歴により金属部材6の密着性が劣化して気密性が破れたり金属部材6の位置がずれたりすることが発生し易くなる。10mmを超えると、金属部材6が大きくなり、それに伴って基体1の高さが高くなるため光半導体パッケージの小型化が困難になる。
【0038】
また、透光性部材6bの光軸方向の厚さは、金属部材6の光軸方向の両端面(両主面)間の厚さと略同じであるか、または金属部材6の両端面間の厚さよりも小さい方が好ましい。透光性部材6bの光軸方向の厚さが金属部材6の両端面間の厚さよりも大きくなると、基体1を成型する際に透光性部材6bに樹脂のバリが付着したり、透光性部材6bに金型が当接して透光性部材6bに損傷が発生し易くなる。また、以上より金属部材6の光軸方向の厚さは透光性部材6bの厚さと同程度であり、0.5〜7mm程度である。
【0039】
透光性部材6bが取着された金属部材6に接合されている光ファイバ7は、光半導体素子8が発する光を外部に伝達する、または外部から光を光半導体素子8に伝達するための光の伝達路として機能する。
【0040】
さらに、側壁部2の上面には樹脂接着剤等から成る封止材を介して蓋体3が接合され、蓋体3で基体1の内側を塞ぐことよって基体1と蓋体3とで構成される容器内に光半導体素子8が収容される。
【0041】
本発明において、図2に示すように、基体1の貫通孔2aの段差2bは、基体1の貫通孔2aの内周面に略平行な面に全周にわたって溝が形成されており、金属部材6は、その貫通孔6aの内周面に対向する外周面に全周にわたって連続して突起6cが形成され、溝に突起6cが嵌め込まれていることが好ましい。この構成により、光半導体パッケージの金属部材6の部位における気密性がさらに向上する。
【0042】
金属部材6に形成された突起6cの金属部材6の外周面からの突出長さは0.1〜5mmであることが好ましい。0.1mm未満では、突起6cが小さいため、金属部材6の位置ずれが発生し易くなる。5mmを超えると、側壁部2の高さが高くなるため、光半導体パッケージの小型化が困難になる。
【0043】
また本発明において、基体1が樹脂から成り、金属部材6における基体1の貫通孔2aの段差2bに嵌め込まれた部位6dの表面粗さが最大高さで1.6〜25μmとされていることが好ましい。金属部材6の嵌着された部位(取付部)6dの表面粗さの最大高さ(JIS B 0601)を1.6〜25μmとすることにより、金属部材6を基体1に強固に固定でき、光半導体素子8を気密に封止できる。さらに、基体1の内外に気圧差が生じて金属部材6に圧力が加わった場合でも、金属部材6が基体1の所定の位置からずれることを防止できる。従って、透光性部材6bが接合された金属部材6と光半導体素子8とをより正確に対向させ、透光性部材6bと光半導体素子8との間における光結合効率を高効率に維持できる。
【0044】
金属部材6の取付部6dの表面の最大高さが1.6μm未満では、基体1と金属部材6との間で密着性不足が発生し、気密不良が起こり易くなる。25μmを超えると、エポキシ系熱硬化樹脂が逆に流れにくくなり、そのため、成形不良、ボイド等が発生し、気密不良が起こり易くなる。
【0045】
また、金属部材6は、貫通孔6aの軸に直交する方向の幅が、側壁部2の外面側よりも側壁部2の内面側で小さくなっていることが好ましい。例えば、金属部材6の貫通孔6aの内周面に対向する外周面が傾斜していてもよいし、金属部材6の貫通孔6aの内周面に対向する外周面における側壁部2の外面側に突起や凸部が全周にわたって連続して形成されていてもよい。この場合、金属部材6の固定が強固になり、金属部材6が位置ずれを起こしたり段差2bから外れたりするのを確実に防止することができる。さらに、金属部材6の貫通孔6aの内周面に対向する外周面に全周にわたって溝を形成してもよく、この場合にも溝に樹脂が入り込んで金属部材6の固定が強固になる。
【0046】
かくして、本発明の光半導体パッケージは、透光性部材6bが取着された金属部材6を透光性部材6bが光半導体素子8と対向するように側壁部2に固定している基体1の凸部1aの上面に光半導体素子8を載置固定し、光半導体素子8の各電極を所定の外部リード端子4にボンディングワイヤ5を介して電気的に接続し、光ファイバ7を金属部材6に接合し、しかる後、側壁部2の上面に蓋体3を封止材を介して接合し、基体1と蓋体3とから成る容器内部に光半導体素子8を収容することによって製品としての光半導体装置となる。
【0047】
この光半導体装置は、光半導体素子8に外部リード端子4を介して外部電気回路から供給される駆動信号を入力し、光半導体素子8に光を励起させるとともに励起した光を透光性部材6bを通して光ファイバ7に伝達させることによって、または光ファイバ7を伝達してきた光を透光性部材6bを通して光半導体素子8に受光させ、受光した光に対応する電気信号を光半導体素子8で発生させ、その電気信号を外部リード端子4を介し取り出すことによって作動することとなり、このような光半導体装置は光通信分野等に使用される。
【0048】
【実施例】
本発明の光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置の実施例を以下に説明する。
【0049】
図1の光半導体素子収納用パッケージを以下のように構成した。オルソクレゾールノボラック型エポキシ系熱硬化性樹脂を用いたトランスファモールド成型法により、外形寸法が縦20.0mm×横40.0mm×高さ20.0mm、側壁部2の厚みが4mm、貫通孔2aの段差2bを除く内周面の直径が5mmの基体1を作製した。基体1を作製する際に、ガラスから成る球状の透光性部材6bを貫通孔6aにエポキシ樹脂を主成分とした樹脂で接合したFe−Ni−Co合金から成る厚さ1mmの円板状の金属部材6が、基体1の貫通孔2aの段差2bに嵌め込まれるようにして、一体的に成型した。また、基体1の他の側壁部2には外部リード端子4がその両端が側壁部2の内外に突出するようにして、一体的に成型した。
【0050】
そして、基体1の凹部1bの底面に形成された凸部1aの上面に光半導体素子8(LD)を樹脂接着剤で接合して載置固定した。また、エポキシ系熱硬化樹脂から成る蓋体3は寸法が縦20.0mm×横40.0mm×厚さ1.0mmであり、基体1の上面の凹部1bの周囲に蓋体3を樹脂接着剤で接合して光半導体装置を作製した。
【0051】
そして、基体1の貫通孔2aの段差2bに嵌め込まれた金属部材6の外周端部の深さが0.1,0.5,1,5(mm)となるように金属部材6の直径を変えた各種サンプルを各10個ずつ作製した。これらのサンプルについて、−40℃〜85℃の温度サイクルを10サイクル(1サイクル7時間)加える温度サイクル試験(温度サイクル試験装置は株式会社タバイエスペック製「TSA−201S」を使用した)を施した後に基体1の気密性を調べ、気密不良が検出されたサンプルの個数を表1に示す。
【0052】
【表1】
Figure 2004111406
【0053】
表1より、基体1の貫通孔2aの段差2bに嵌め込まれている金属部材6の部位6dの深さAが0.1mmの場合、気密不良が検出されたサンプルが3個発生した。深さAが0.5mm以上では不具合はみられなかったが、10mmを超えると金属部材6が大きくなり、それに伴って基体1の高さが高くなり光半導体パッケージの小型化が困難になるため、深さAは0.5〜10mmがよいことが判った。
【0054】
また、金属部材6における基体1の貫通孔2aの段差2bに嵌め込まれた部位(取付部)6dの深さを1mmとし、部位6dの表面粗さを以下のように種々の値とした以外は上記と同様にして光半導体装置を作製した。即ち、部位6dの表面粗さを最大高さ(Ry)で0.8、1.2、1.6、2、5、10、15、20、25、30(μm)となるようにした10種のサンプルを各10個ずつ合計100個作製した。
【0055】
なお、Ryは、基準長さLsを0.8mm(評価長さは5Ls)として、表面粗さ形状測定機(株式会社東京精密製「サーフコム1400A」)により測定してその値を求めた。
【0056】
これらの光半導体装置について、上記と同じ温度サイクル試験を行なった後に基体1の気密性を調べ、気密不良が検出されたサンプルの個数を表2に示す。なお、表2において、気密不良のものが全くない場合を○とし、気密不良のものが1個でもあった場合を×とした。
【0057】
【表2】
Figure 2004111406
【0058】
表2より、金属部材6の取付部6dのRyが1.6〜25μmでは不具合はみられなかった。金属部材6の取付部6dのRyが1.6μm未満の場合、基体1と金属部材6との密着力不足による気密不良が検出された。また、金属部材6の取付部6dのRyが25μmを超えると、取付部6dにおいてエポキシ系熱硬化性樹脂の流動性が劣化して成型性が低下し、取付部6d付近でボイド等が発生したことによって、気密不良が検出された。従って、金属部材6を基体1の貫通孔2aに強固に固定するためには、金属部材6の取付部6dのRyを1.6〜25μmとするのがよいことが判った。
【0059】
なお、本発明は上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【0060】
【発明の効果】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上面に形成された凹部の底面に光半導体素子を上面に載置する凸部が設けられている基体と、凹部から基体の外側面にかけて形成された貫通孔と、貫通孔の凹部側の開口の周囲から内周面にかけて全周にわたって形成された段差と、段差に一面が凹部の側面に略面一になるようにして嵌着され、一面とそれに対向する面との間を貫通する貫通孔が一面の中央部に形成された金属部材と、金属部材の貫通孔に接合された透光性部材とを具備していることにより、光半導体素子収納用パッケージの透光性部材の部位における気密性が大幅に向上する。また、例えば基体が樹脂から成る場合、基体を成型する際に透光性部材に樹脂のバリが付着するのを防ぐことができ、また、成型時に透光性部材に金型が直接当接しないことおよび製造後に樹脂から成る基体が透光性部材に直接接していないことから、透光性部材にクラック等の破損が発生するのを防ぐことができる。
【0061】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、好ましくは、金属部材は、段差に嵌め込まれている部位の基体の貫通孔の内周面からの深さが0.5〜10mmとされていることにより、光半導体素子収納用パッケージの大型化を抑えて金属部材の部位における気密性をより向上させることができる。
【0062】
また本発明の光半導体素子収納用パッケージは、好ましくは、段差は、基体の貫通孔の内周面に略平行な面に全周にわたって溝が形成されており、金属部材は、その貫通孔の内周面に対向する外周面に全周にわたって連続して突起が形成され、溝に突起が嵌め込まれていることにより、光半導体素子収納用パッケージの金属部材の部位における気密性がさらに向上する。
【0063】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、好ましくは基体は樹脂から成り、金属部材は段差に嵌め込まれている部位の表面粗さが最大高さで1.6乃至25μmとされていることにより、金属部材を基体の貫通孔に強固に固定でき、その結果光半導体素子を気密に封止できる。さらに、光半導体素子収納用パッケージを光半導体装置と成したときに、光半導体素子の熱によって光半導体装置内の空気やアルゴンガスが膨張して基体の内外に気圧差が生じて金属部材に圧力が加わった場合、または光半導体装置の外部の雰囲気の圧力が変化して基体の内外に気圧差が生じて金属部材に圧力が加わった場合でも、金属部材が基体の所定の位置からずれることを防止できる。従って、金属部材の貫通孔に接合された透光性部材と光半導体素子とを正確に対向させ、透光性部材と光半導体素子との間の光結合効率を高い状態で保持することができる。
【0064】
本発明の光半導体装置は、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージと、透光性部材に光学的に結合するように凸部の上面に載置固定された光半導体素子と、基体の上面の凹部の周囲に接合された蓋体とを具備したことにより、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた信頼性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光半導体素子収納用パッケージについて実施の形態の例を示す断面図である。
【図2】本発明の光半導体素子収納用パッケージについて実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図3】従来の光半導体素子収納用パッケージの例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:基体
1a:凸部
2a:基体の貫通孔
2b:段差
3:蓋体
4:外部リード端子
6:金属部材
6a:金属部材の貫通孔
6b:透光性部材
8:光半導体素子

Claims (5)

  1. 上面に形成された凹部の底面に光半導体素子を上面に載置する凸部が設けられている基体と、前記凹部から前記基体の外側面にかけて形成された貫通孔と、該貫通孔の前記凹部側の開口の周囲から内周面にかけて全周にわたって形成された段差と、該段差に一面が前記凹部の側面に略面一になるようにして嵌着され、前記一面とそれに対向する面との間を貫通する貫通孔が前記一面の中央部に形成された金属部材と、該金属部材の貫通孔に接合された透光性部材とを具備していることを特徴とする光半導体素子収納用パッケージ。
  2. 前記金属部材は、前記段差に嵌め込まれている部位の前記基体の貫通孔の内周面からの深さが0.5乃至10mmとされていることを特徴とする請求項1記載の光半導体素子収納用パッケージ。
  3. 前記段差は、前記基体の貫通孔の内周面に略平行な面に全周にわたって溝が形成されており、前記金属部材は、その貫通孔の内周面に対向する外周面に全周にわたって連続して突起が形成され、前記溝に前記突起が嵌め込まれていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光半導体素子収納用パッケージ。
  4. 前記基体は樹脂から成り、前記金属部材は前記段差に嵌め込まれている部位の表面粗さが最大高さで1.6乃至25μmとされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光半導体素子収納用パッケージ。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光半導体素子収納用パッケージと、前記透光性部材に光学的に結合するように前記凸部の上面に載置固定された光半導体素子と、前記基体の上面の前記凹部の周囲に接合された蓋体とを具備したことを特徴とする光半導体装置。
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