JP2004110278A - コンピュータネットワークを利用した価格分析方法および価格分析サーバ - Google Patents
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Abstract
【課題】アンケート調査の回答に基づいて、各種の曲線を導出することで消費者が価格に対して持つイメージを分析する。
【解決手段】価格に関して、「これ以上安いと品質に不安を感じる価格」、「安いと感じ始める価格」、「高いと感じ始める価格」、「これ以上高いと買いたくないと思う価格」を被験者に入力させる。取得した回答結果に基づいて「安すぎて品質に不安を感じ始めると答えた価格」、「安いと感じ始める価格」、「安いと思い始める価格と高いと思い始める価格の間の価格」、「高いと思い始める価格」を被験者に提示して各価格における購入意思の程度を入力させる。購入意思の程度は購入意思の強弱に対する複数の選択肢によって表され、各選択肢は購買確率に関連する重み付けを有する。取得した購入意思の程度に基づいて被験者の購買確率を導出し、各被験者の購買確率を合算して購買確率曲線を得る。
【選択図】図12
【解決手段】価格に関して、「これ以上安いと品質に不安を感じる価格」、「安いと感じ始める価格」、「高いと感じ始める価格」、「これ以上高いと買いたくないと思う価格」を被験者に入力させる。取得した回答結果に基づいて「安すぎて品質に不安を感じ始めると答えた価格」、「安いと感じ始める価格」、「安いと思い始める価格と高いと思い始める価格の間の価格」、「高いと思い始める価格」を被験者に提示して各価格における購入意思の程度を入力させる。購入意思の程度は購入意思の強弱に対する複数の選択肢によって表され、各選択肢は購買確率に関連する重み付けを有する。取得した購入意思の程度に基づいて被験者の購買確率を導出し、各被験者の購買確率を合算して購買確率曲線を得る。
【選択図】図12
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、PSM(Price Sensitivity Measurement)という手法をベースに、独自に改良した新しい調査手法に係り、消費者の価格感度を調査・分析することで、より実際のマーケティング戦略にあった効果的な価格決定をしたり、購買確率を導出したり、需要を予測したりするための調査手法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最初に、購買行動における価格の重要性について述べる。価格というものは、単に売上や利益をあらわすだけの数字ではなく、それ自体が消費者の間に商品の品質イメージを作りだし、購買者に安心感や満足感を与えるという役割を持っている。したがって、価格設定において、価格を下げれば販売量が増えるという単調な関係を想定するのではなく、商品のイメージやコンセプトといった観点から考えていくことが重要である。
【0003】
価格自体が商品の品質イメージを作りだし、購買者に安心感を与えるということは、多くの人が同意することだと考えられる。例えば、ルイ・ヴィトンのバッグが3000円で売っていたとする。おそらくこの場合には、ニセモノではないかと疑われ、「買いたい」と思う人は非常に少ないと思われる。これは価格が商品の品質(ここでは真偽)を表すバロメーターとして働いているという側面を持っているからである。これは、購買者が品質や相場価格などの商品情報を持っていない場合(新製品や骨董品など)や、また品質や価格の妥当性についての判断が難しい商品の場合(宝石やファッション製品など)に、顕著にあらわれる。
【0004】
それとは反対に、定期的に購買するような商品の場合はどうであろう。品質や通常価格についてすでに知っている。こういった場合は、通常価格より少しでも安いと非常によく売れると考えられる。スーパーなど特売セールなどを思い出していただけると、わかりやすいと思われる。しかし、この場合でも極端に安すぎることによる不安というものはある。例えば、いつも300円で売られているジュースが5円で売られていたら、実は賞味期限が切れているのではないかなどと疑う人が、少なくからずいる。
【0005】
従来、価格調査は以下のような手法で行われている。Q1:商品A、商品Bをもし購入するとすれば、いくらならばよいと思いますか。Q2:商品Cを1000円で購入したいと思いますか。次の中から選択して下さい:非常に購入したい;購入したい;どちらともいえない;購入したくない;全く購入したくない。
【0006】
このような調査手法にはいくつかの問題点がある。まず、直接的な質問の回答には低い傾向がでるという問題がある。Q1のように「いくらなら買いますか」、あるいはQ2のような「1,000円で買いますか」といった直接的な質問を行うと、回答結果が実際の購買意向価格(または実際の購入価格)より低めに出る傾向がある。この理由としていくつかの事柄が挙げられる。例えば、消費者は値上がりを懸念して、現行の定価よりも高い価格ではあまり購入意向を示さないといったことが考えられる。また、これらの質問の対象者には、もともと購入意向のない人も多く含まれている。そのような消費者に購入意向価格や具体的な価格での購入意向を直接的に聞くと、極端に低い価格や、またいくら低価格で提示しても購入意向なしと回答することになるであろう。そして、全体としてみると低い傾向が出てしまうと考えられる。
【0007】
さらに、消費者の幅のある価格感度に対応していないという問題がある。通常、消費者が商品を購入する場合には、ある程度柔軟な予算の幅があると考えられる。しかし、購入意向価格を問うQ1の質問も、ある提示価格における購入意向を問うQ2の質問も、それが考慮されていない。
【0008】
一方、オランダの心理学者Westendorpが考案した手法がPSM(Price Sensitivity Measurement)では以下のような4つの間接的な質問をして調査を行う。商品Pについておたずねします。
Q1:これ以上安いと品質に不安を感じる価格はいくらぐらいですか。
Q2:安いと感じはじめる価格はいくらぐらいですか。
Q3:高いと感じはじめる価格はいくらぐらいですか。
Q4:これ以上高いと買いたくないと思う価格はいくらぐらいですか。
【0009】
これらの質問では、消費者一人一人が図1のような「価格感度の帯」を持っていると仮定されている。そして、4つの質問はそれぞれの帯の境界線を聞いているということになる。そして、これら4つの質問の回答から、それぞれ累積分布を取ったものが図2のグラフである。横軸は価格、縦軸はある価格のときにそれを「安すぎて品質に不安」(以下、「安すぎる」)「安い」「高い」「高すぎて買いたくない」(以下、「高すぎる」)と感じる人々が全体の何割いるのかをあらわしている。PSMでは、図2で示されているように、4本の曲線それぞれの交点を求め、理想価格、最低品質保証価格、最高価格、妥協価格という価格基準を導き出す。
【0010】
理想価格とは、「安すぎる」曲線と「高すぎる」曲線の交点で、「安すぎる」と感じる人の割合と「高すぎる」と感じる人の割合が等しくなる価格である。同様に、最低品質保証価格は「安すぎる」曲線と「高い」曲線の交点、最高価格は「安い」曲線と「高すぎる」曲線の交点、妥協価格は「安い」曲線と「高い」曲線の交点で、それぞれそう感じる人の割合が等しくなる価格である。PSMでは、間接的に価格感度について質問するため、従来の問題点1のようなことを回避することができます。また、「安すぎる」から「高すぎる」まで、回答者は自分の価格感度にあわせて柔軟に回答することができる。
【0011】
しかしながら、実際にPSMによる調査を行ってみると、いくつかの問題があることがわかる。PSMの問題点の一つとして、提示される価格基準の有用性が挙げられる。理想価格とは、「安すぎる」と感じる人の割合と「高すぎる」と感じる人の割合が等しくなる価格である、と先ほど説明した。では、「安すぎる」と感じる人の割合と「高すぎる」と感じる人の割合が等しくなる価格が、なぜ理想的な価格なのであろうか。また、それは誰にとって理想的なのであろうか。他の3つの価格基準についても同様のことがいえる。結果として、提示される価格基準の解釈が曖昧になり、価格設定のための強力なツールとして使うのは困難となる。
【0012】
PSMの二つ目の問題点として、提示される価格基準の一意性が挙げられる。消費者の価格感度に幅があるように、理想価格や妥協価格といった価格基準にもある程度の幅があると考えられる。しかし、PSMで提示される価格基準は、いずれもそれぞれの曲線の交点から求めているため、一意の値となる。幅のある価格基準を算出し、より現実のマーケティング戦略に応用しやすいものとするには、更なる改良の必要が出てくる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の直接的な質問を行う価格調査法およびPSM手法の問題点を踏まえ、これらを解決する新しい調査手法として改良されたものであって、各種の曲線を導出することで消費者が価格に対して持つイメージを分析することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明が採用した技術手段は、コンピュータネットワークを介した価格分析法であって、対象物の価格の高低についての主観的な一つ以上の価格あるいは/および価格帯を被験者に入力させる第1のステップと、第1のステップにおいて被験者から入力された一つ以上の価格あるいは/および価格帯の少なくとも一つを被験者に提示して、提示した価格あるいは/および価格帯における購入意思の程度を入力させる第2のステップとを有し、該購入意思の程度は、購入意思の強弱に対する複数の選択肢によって表されていると共に、各選択肢は夫々購買確率に関連付けられており、被験者から取得した各価格あるいは/および価格帯における購入意思の程度に基づいて各価格あるいは/および価格帯における該被験者の購買確率を導出し、各被験者の購買確率を合算することで購買確率曲線を得ることを特徴とするものである。
【0015】
従来は、「500円だったら買いますか?」、あるいは「いくらなら買いますか?」という質問で購買確率を算出していたが、購入しようと思う価格は個人によって異なるため、予め価格(例えば500円)を指定するのでは正しい結果が導けない。また、「いくらなら買いますか?」という質問に対しては必ず安い価格を言うので、実際にその価格で買うかどうかは判らない。本発明は、初めの質問では、買うかどうかは質問せず、対象物の価格の高低(例えば、安いと思い始める価格)についての主観的な一つ以上の価格あるいは/および価格帯(すなわち、一つの価格という点ではなく、入力させる価格に幅を持たせてもよい)を被験者に入力させる(第1のステップ)ことを特徴としている。次いで、入力された価格で、本当に買うかどうかを質問する(第2のステップ)。そして、第2のステップにおいては、購入意思の程度を選択させるようになっている。
【0016】
一つの好ましい態様では、第1のステップは、対象物の価格に関して、「これ以上安いと品質に不安を感じる価格」、「安いと感じ始める価格」、「高いと感じ始める価格」、「これ以上高いと買いたくないと思う価格」を被験者に入力させるものであり、第2のステップは、「安すぎて品質に不安を感じ始めると答えた価格」、「安いと感じ始める価格」、「安いと思い始める価格と高いと思い始める価格の間の価格(第1のステップにおいて被験者から入力された一つ以上の価格を用いて導出した価格)」、「高いと思い始める価格」を該被験者に提示して、各価格における購入意思の程度を入力させるものである。
【0017】
一つの好ましい態様では、「安いと思い始める価格と高いと思い始める価格の間の価格」は、両方の価格の平均価格である。あるいは、「安いと思い始める価格と高いと思い始める価格の間の価格」として複数の価格を用いても良い。尚、これらの価格は、第1のステップにおいて被験者から入力された一つ以上の価格自体ではなく、第1のステップにおいて被験者から入力された一つ以上の価格を用いて導出した価格である。
【0018】
選択肢は、好ましい例では、「絶対購入したい」、「非常に購入したい」、「購入したい」、「やや購入したい」、「どちらでもない」、「購入しようとは思わない」からなる群から選択された複数の選択肢である。これらの選択肢全てを有するを有することが望ましいが、例えば、「購入したい」についてより少ない選択肢を用いても良い。また、これらとは異なる選択肢を採用してもよい。
【0019】
さらに好ましくは、多数の被験者から取得した第1ステップに対する多数の回答結果に基づいて、各価格に対する、購買可能な被験者の割合、買得だと考える被験者の割合、高級だと感じる被験者の割合をそれぞれ導出することで、購買可能曲線、お買得曲線、高品質曲線をそれぞれ得るステップを含む。購買確率曲線に加えて、これら三つの曲線を利用することで、価格に対する消費者のイメージをより緻密に分析することができる。
【0020】
購買可能な被験者の割合は、全体から「安すぎる」と感じる被験者と「高すぎる」と感じる被験者の割合を差し引くことで導出する。買得だと考える被験者の割合は、全体から「安すぎる」と感じる被験者と「高すぎる」と感じる被験者と「高い」と感じる被験者の割合を差し引くことで導出する。高級だと感じる被験者の割合は、全体から「安すぎる」と感じる被験者と「高すぎる」と感じる被験者と「安い」と感じる被験者の割合を差し引くことで導出する。
【0021】
【発明の実施の形態】
[A]PRICE(Price Reasonability Index by Consumer’s Evaluation)
先ず、本願発明の理解を深めるべく、本出願人が開発したPRICEについて説明する。本出願の発明者等はPSMによる調査を重ねてきた結果、4つの曲線から交点を求めるのではなく、(1)3本の新たな曲線(購買可能曲線・お買得曲線・高品質曲線)へと変形させ、(2)価格感度によるクラスタ分析を行うことで、該当商品の市場特性や消費者の価格感度について、より深い洞察と理解が得られることを見出した。具体的には次のような点が改良された。
【0022】
▲1▼商品のコンセプトやイメージに合った価格を、幅を持ったものとしても算出でき、より現実の戦略に応用しやすい。▲2▼PSMでは解釈が不安定であった階段状曲線の場合にも対応できる。 ▲3▼基準となる3つの価格の外側や内側が、消費者にとってどのように写るのか解釈しやすい。▲4▼価格感度の観点から、どのようなタイプの消費者がいるのかが理解できる。
【0023】
PRICEでも、PSMと同様に以下の4つの質問をする。
商品Pについておたずねします。
Q1.これ以上安いと品質に不安を感じる価格はいくらぐらいですか。
Q2.安いと感じはじめる価格はいくらぐらいですか。
Q3.高いと感じはじめる価格はいくらぐらいですか。
Q4.これ以上高いと買いたくないと思う価格はいくらぐらいですか。
【0024】
上記質問は、インターネット等のコンピュータネットワークを介して被験者に送信される。すなわち、被験者はクライアント端末のウェブブラウザを起動して、価格分析サーバのURLを入力することで、価格分析サーバから入力画面を取得する。質問に際しては、図4のようにスライダー方式を採用し、回答者の表現力に力を貸すとともに、矛盾の無いデータの効率的な収集を可能にする。ここでは、マウスをドラッグするだけで回答者に負担なく、回答することができるようになっている。クライアント端末からの入力データは、図示しない送信ボタンをクリックすることによって、価格分析サーバに送信され、格納される。図4のスライダーでは、0円から1000円の間で任意の価格を選択できるようになっており、例えば、一つのスライダーの幅を1000ピクセルとして、1円単位で価格を設定することができる。あるいは、スライダーの目盛りにあわせて20円単位で価格を設定するように構成してもよい。また、更に論理的に間違った回答がされた場合(例えば「高すぎる」と思う価格が「安すぎる」と思う価格よりも低いなど)にはエラーが表示される。エラー表示は、例えば、入力データを送信する際に表示させて、再入力を要求するようにする。尚、被験者に送信されて被験者のディスプレイに表示される入力画面は、図示のようなスライダーを用いたもの(これが好適ではあるが)に限定されるものではなく、例えば、単に、価格を数字で入力させるものであってもよい。
【0025】
回答から得られた「価格感度の帯」により、図5のような「購買の可能性のある価格帯」、「お買得と感じられる価格帯」、「高級だと感じられる価格帯」、この3つの価格帯を導き出す。そして、それらの価格帯が各価格についてどれだけの割合の人が当てはまるかを表したグラフがPRICEのグラフ(図6)となる。このとき示される3つの曲線をそれぞれ、購買可能曲線、お買得曲線、高品質曲線と名付けている。
【0026】
[購買可能曲線]
購買可能曲線は、ある価格に対して、品質的な不安を感じず、かつ高すぎて買えないというほど高くはないと感じる人の割合をあらわした曲線である。「安すぎる」、「高すぎる」と回答した回答者は、その価格では購買にいたる可能性がないと考えられる。逆に、「安すぎる」、「高すぎる」と感じていない回答者は、購買の可能性のある消費者だとみなすことができる。よって、そのような回答者の割合をあらわした曲線が、購買可能曲線となる。
【0027】
[お買得曲線]
お買得曲線とは、ある価格に対して、高くはない、お買得だと感じる人の割合をあらわした曲線である。「安すぎる」と回答した回答者は、その価格では購買にいたる可能性がないと考えられる。「高い」と回答した回答者は、その価格では高価な商品だと感じていることになる。逆に、「安すぎる」、「高い」と感じていない回答者は、高くはない、お買得だと感じている消費者だとみなすことができる。よって、そのような回答者の割合をあらわした曲線が、お買得曲線となる。
【0028】
[高品質曲線]
高品質曲線とは、ある価格に対して、安くはない、高級品だと感じる人の割合をあらわした曲線である。「高すぎる」と回答した回答者は、その価格では購買にいたる可能性がないと考えられる。「安い」と回答した回答者は、その価格では安価な商品だと感じていることになる。逆に、「高すぎる」、「安い」と感じていない回答者は、安くはない、高級品だと感じている消費者だとみなすことができる。よって、そのような回答者の割合をあらわした曲線が、お買得曲線となる。
【0029】
次に、各曲線の求め方を説明する。曲線の求め方は、3つとも基本的に同じである。ここでは購買可能曲線を例にとって説明する。まず、「安すぎる」と感じる人の割合と「高すぎる」と感じる人の割合を足し上げる。それが図7の「安すぎる+高すぎる」曲線である。この曲線は「安すぎる」と感じる人の割合と「高すぎる」と感じる人割合の合計ですので、この合計値を全体(100%)から引くと、購買可能な人の割合が出てくる。その割合をあらわした曲線が図8の購買可能曲線となる。(「安すぎる+高すぎる」曲線を水平に反転させたのが購買可能曲線です。)他の2本の曲線についても同じ方法で求めることが出来る。お買得曲線は図9、高品質曲線は図10のようになる。
【0030】
PRICE分析では、最適な価格が一意に求まるというわけではない。基準となる3本の曲線が求められ、あとはそれぞれの商品の戦略に委ねられる。どのような場合に、それぞれの曲線を基準とするかの例を以下に挙げる。
【0031】
[購買可能曲線]
▲1▼とにかくたくさんの消費者にとっての購買検討対象に入り込みたい。
▲2▼新製品導入に際し素早く、広いマーケットシェアを獲得したい。
▲3▼自社の商品の価格に対して、消費者の間にどのようなバイアスがあるのかを確かめたい。
【0032】
[お買得曲線]
▲1▼従来の商品ラインに加えて低価格帯に新たな商品を投入したい。
▲2▼特売における価格を設定したい。
▲3▼市場の成熟化により価格の設定を変更したい。
【0033】
[高品質曲線]
▲1▼導入期の商品で、価格に敏感でないセグメントからなるべく大きな利益を得たい。
▲2▼高価格帯に品質を重視した新たな商品を送り出したい。
▲3▼超高価格に設定されていた商品を、“安い”とは認識されないところまで値下げしてシェアを伸ばしたい。
【0034】
商品の価格設定には、このような販売面から見た要因だけでなく、コストや利益率の目標など様々な要因が加わってくるが、 PRICEは結果に幅を持たせているために、こういった要因にも柔軟に対応することができ、一貫したマーケティング戦略をとるための強力なツールとなる。また、PRICEを商品カテゴリ(例えばビール)、自社の商品(例えばキリン一番搾り)、他社の商品(例えばアサヒスーパードライ)のそれぞれに対して行うことで、様々な角度から商品の価格を見つめることもできる。新商品の発売に際して、違ったセグメントを開拓する際、現行商品の価格改定の際、また、現行商品が消費者からどのように見られているかを知る場合に、PRICEはまさに必須の調査法といえる。
【0035】
PRICEでは、更に、調査によって得られたデータから、価格感度によるクラスタ分析を行う。その結果、どのような価格感度を持った消費者がどんな割合で存在するのか、またそれはどんな人たちなのかについての示唆をくれる。
【0036】
【実施例】
トイレットペーパー(12ロール)についての調査結果(図11)を取り上げる。PSMグラフ(図3)とPRICEグラフを比較し、PRICEはPSMでは導けないような豊富な示唆を与えてくれることの一例を紹介する。
【0037】
[購買可能曲線]
ここでは、購買可能曲線が200円から300円のところでピークをとっている。このピークは消費者がその商品の実売価格について熟知し、かつその価格を受容していればいるほど実売価格の幅において、水平に近い形状となる。一方、新しい商品など、消費者が価格についてはっきりとしたイメージを持っていない場合にはこのピークは山型になっていく。このように購買可能性曲線を追跡していくことで、その価格においてどれだけの潜在的な顧客が見込めるか、また、その価格が消費者の間でどれくらい浸透しているかを知ることができる。
【0038】
[お買得曲線]
200円のところがお買得曲線のピークとなっており、価格が200円よりも下がると曲線は急激に下降し、購買可能性のある消費者が大きく減少する。よって、この場合には200円よりも価格を下げるべきではないという示唆が得られる。一方200円よりも上の側では、お買い得曲線の下降もなだらかで、300円くらいまでなら、60%の消費者に対してお買い得感を与えることができる。
【0039】
[高品質曲線]
高品質曲線のピークは290円くらいであり、これより価格が上がっても比較的滑らかに変化していく。また、この高品質曲線のピークではお買い得曲線と交わっており、290円という価格では、まだ「安い」と思う人の割合が多くなっていて、高級品と認知されるための差別化はここではまだ強調しにくいと思われる。ですからここでは多少潜在的な消費者を減らしてしまっても、傾きの緩やかな400円の手前、390円あたりに最高価格を設定するのが賢明といえる。
【0040】
PRICEは、交点を求める、最大値を求める、一意の最適価格を求めるなどといった機械的なアウトプットを算出するものではない。消費者が価格に対して抱いているイメージを3本の曲線に投影しようという試みである。価格と商品のイメージについて深い洞察をもたらし、より効果的な価格決定をサポートしてくれるツールとなる。
【0041】
[B]購買確率曲線の導出
次に、PRICEにおける購買確率曲線の導出と需要予測の手法について説明する。本発明のシステムは、図12に示すように、価格分析サーバと、クライアント端末とを有しており、両者はコンピュータネットワークとして例示するインターネットを介して接続されている。クライアント端末においてブラウザを起動して、価格分析サーバのWebページのURLを指定してページを要求する。Webページを取得すると、該Webページはクライアント端末の表示部に表示され、被験者が該Webページを閲覧することができる(▲1▼)。クライアント端末及び価格分析サーバは共にコンピュータとしての基本的構成(演算部、制御部、記憶部、表示部、入力手段、出力手段等)を備えており、コンピュータが有するこれらの構成要素の機能は周知である。調査はインターネットを用いて、Web画面によって行われ、被験者によって入力された情報に基づきサーバ側のプログラムが次に出力する画面を制御する。
【0042】
先ず、第1のステップとして、被験者の端末の表示部に図4に示す画面が表示され、被験者は入力手段によってQ1からQ4の4つの質問に対して適当な価格を選択して分析サーバに送信する(▲2▼)。次いで、第2のステップとして、被験者の端末の表示部に図13に示す画面が表示される(▲3▼)。被験者は、それぞれの価格における購入意思を選択して入力し、結果を価格分析サーバに送信する(▲4▼)。PRICEの4つの質問に加えて、図13に示す質問をすることで、連続的なあらゆる価格に対する市場の需要を俯瞰することを目的として、購買確率曲線を算出する。
【0043】
図13における4つの価格の部分は、事前にPRICEの質問の回答から導かれ、プログラムが自動的に出力して、被験者の端末の表示部に表示される。それぞれの価格は以下のように計算される。
▲1▼価格・・・安すぎて品質に不安を感じ始めると答えた価格
▲2▼価格・・・安いと思い始める価格
▲3▼価格・・・(安いと思い始める価格+高いと思い始める価格)/2
▲4▼価格・・・高いと思い始める価格
尚、▲3▼価格は、第1のステップにおいて被験者から入力された2つの価格を用いて導出した価格であり、被験者から入力された価格自体ではない。
【0044】
より具体的には、図4に示すスライダー方式の画面が被験者の端末の表示部に表示され、被験者はマウス等の入力手段を用いてスライダーを移動させながら4つの質問に回答し、回答し終わったら、図示しない送信ボタンをクリックする。送信ボタンをクリックすると、4つの質問に対する回答結果がインターネットを介して価格分析サーバに送信される。価格分析サーバによって受信された4つの質問に対する結果は価格分析サーバの記憶部に格納される。演算部において、Q2に対する回答結果とQ3に対する回答結果との平均が算出される。制御部において、Q1に対する回答結果が図13の価格▲1▼として、Q2に対する回答結果が図13の価格▲2▼として、算出された平均値が図13の価格▲3▼として、Q3に対する回答結果が図13の価格▲4▼として夫々選択され、被験者の表示部に図13に示す画面が表示される。被験者は、価格▲1▼▲2▼▲3▼▲4▼のそれぞれについて、「絶対購入したい」、「非常に購入したい」、「購入したい」、「やや購入したい」、「どちらでもない」、「購入しようとは思わない」のいずれかを選択する。選択し終わり、被験者が図示しない送信ボタンをクリックすると、選択結果が価格分析サーバに送信され、価格分析サーバの記憶部に格納される。
【0045】
このような4つの価格に対する購入意向から、購買確率曲線を導出するのであるが、4つの価格についてのみしか、購入意向を問わないのにもかかわらず連続的な全ての価格に対しての購入の可能性を推定できるのは、以下のようなモデルを仮定することによる。
【0046】
各個人は、それぞれに5つの価格帯(「安すぎて不安」、「安い」、「高くも安くもない」、「高い」、「高すぎて買えない」)をもっており、その価格帯の範囲での購入意向は全て等しい。
【0047】
これはPRICEで想定していた各個人の5つの価格帯それぞれについては、各個人が同じ購入確率をもつということを仮定したモデルで、それぞれの個人の価格と購買確率の関係をプロットしたものは図14、図15のようになる。このとき、それぞれの個人によって「安すぎ」「安い」といった境界線の価格はPRICEの質問から導かれるもので、個人によって違うことに注意する。
【0048】
このようなモデルの裏づけとして、消費者はある一定の価格受容領域を持っていて、それを超えてもそれ以下でも購入意向は減少するという留保価格の理論と、ある一定の価格受容領域より価格が下がると大きく需要が減るというグーテンベルク仮説の二つが存在する。
【0049】
またPRICEの4つの質問は価格に関する反応・イメージが変化するポイントを聞いているので、購入意向が大きく変化するとすれば、それはPRICEにおいて聞いた4つの価格であるはずなので、一人一人については少なくとも購入意向が大きく変化している価格とその変化量を捉えることができる。そして、さらにたとえ、このモデルの前提(同じ価格帯であれば購入価格は等しい)が、多少大雑把でありすぎるとしても、これを対象となる回答者分タテに足し上げれば、誤差は丸められて信用性のある購買確率曲線を描けることになる。尚、▲3▼価格の他にも、第1のステップにおいて被験者から入力された複数の価格を用いて導出した複数の価格を用いて図13の質問を構成すれば、より正確は結果が得られることも考えられる。しかしながら、被験者の負担が大きくなり、かえって、被験者からの入力情報の精度が落ちる可能性もある。
【0050】
そして、図13の各質問によって、以下のようにして購買確率曲線を導出していく。
▲1▼の価格での購入意向で「安すぎる」価格帯での購買確率をきめる。
▲2▼の価格での購入意向で「安い」価格帯での購買確率を決める。
▲3▼の価格での購入意向で「安いと思い始める価格と高いと思い始める価格の間」の価格帯での購買確率をきめる。
▲4▼の価格での購入意向で「高い」価格帯での購買確率をきめる。
「高すぎて買えない」の部分の購買確率は常にゼロである。
このようにして求めた個人レベルでの購買確率(複数のポイント)を、対象者全員分で足し上げれば、図16に示すような購買確率曲線Dを描くことができる。
【0051】
[設問と購買確率の関係]
購買確率曲線は、PRICEの4つの質問と、購買確率曲線の4つの質問、そしてウエイトベクトルをプログラムに入力することで算出できる。このウエイト(重み付け)とは図13の質問のチェックを入れた場所に対して購買確率をいくらにするかを表すベクトルである。具体例を挙げると、「絶対購入したい」、「非常に購入したい」、「購入したい」、「やや購入したい」、「どちらでもない」、「購入しようとは思わない」がそれぞれ、90%、70%、50%、30%、10%、0%、というものである。このような重み付けは、予め価格分析サーバの記憶部にテーブルとして格納されている。このようにして、各選択肢が購買確率に関連付けられる。図13に対する被験者からの入力結果を受信すると、選択された入力情報に基づいて、関連付けられた購買確率が導出される。実施の形態のものでは、各被験者において、4つのポイントでの購買確率が得られ、これらは記憶部に格納される。多数の被験者から得られた4つのポイント及び購買確率を、縦軸を購買確率(割合)、横軸を価格としたグラフ上にプロットすることで、図16に示すような画面が価格分析サーバのディスプレイに表示される。コンピュータを用いて、2つの情報を持ったデータを該2つの情報を縦軸・横軸としたグラフ化することは周知技術である。消費者がどのような購入意向を申告すると実際にどのような確率で購入するのかは難しい問題であるが、実際に商品を買ったかどうかの追跡調査を様々なカテゴリや価格帯の商品に行い、それぞれの商品ごとに正確なウエイトベクトルを算出し、購買確率の推定をより正確化することを目指す。
【0052】
[売上曲線の算出]
購買確率曲線を求めることによって、価格に対する販売量の推定値を求めることができるので、これらをかけあわせることにより売上曲線を算出することができる。図17が売上曲線Eを描いたものであるが、1900円前後のところで売上がピークになるということがわかる。購買確率の推定には従来は線形の関数や、微分可能な連続関数が用いられていたが、このモデルのように階段状の購買確率を仮定することにより、1900円などの端数価格の有効性を浮き彫りにすることができるのである。
【0053】
[利益曲線の算出]
このようにして、各価格における売上が求めることができるならば、それぞれの価格における売上から、原価を引くことにより利益曲線Fを算出することができる。図18は一単位あたり1500円の原価を見込んだ場合における利益曲線を求めたものである。売上を最大化する価格は1900円であるが、利益を最大化する場合には2900円の価格がよいということがわかる。このように目標を売上にするのか、利益にするのかということに対してもこのモデルを利用することにより柔軟に対応できるというところにもこの調査・分析ほうの有用性が伺える。
【0054】
また、この利益曲線は原価を固定費と変動費に分けた場合にも算出できる。その際にはプログラムに与えるパラメータとして、製品1単位あたりの変動費、固定費、見込まれる市場規模を利用することで得られる。このように市場規模を入力することにより、見込まれる利益を実際の金額をベースに算出することもかのうであり、より現実的に利用価値の高い予測モデルが立てられる。
【0055】
図19は、市場規模が10000人であった場合に、固定費500000円、一単位あたりの変動費1000円とした場合の利益曲線を表しているが、2900円前後、2400円前後のところでピークをとり、およそ200万円の利益があがると予想されている。
【0056】
図16乃至図19において、A:お買得曲線、B:購買可能曲線、C:高品質曲線であって、これらは、図4に対して入力された価格に基づいて導出される。これらの曲線の導出については既に既述した。
【0057】
[ASPサービスへの応用]
実際の調査データがそろった段階で、このような購買確率曲線にまつわるデータをASPにて提供し、データ価格戦略に関する様々なシミュレーションを調査の依頼者側でも行えるようなサービスを提供することの可能である。これにより、価格戦略を実際に策定することに迫られている依頼者自身が様々なシナリオを立てて、それぞれの戦略の有効性を検討することができる。
【0058】
具体的に言えば、このサービスはは、分析者側に与えられるパラメータを変化させることで、様々なシナリオでの曲線の導出や、それらを構成する具体的数値の算出を可能とさせるものである。調査依頼者が変更できるパラメータとしては、▲1▼製品の単価、▲2▼製品原価の変動費・固定費、▲3▼市場規模、▲4▼ウエイトベクトルがあり、依頼者が分析を行った際のアウトプットとしては、
▲1▼指定した価格での、購入可能者の割合、「高い」と認知する割合、「安い」と認知する割合、▲2▼指定したウエイトでの購買確率曲線、▲3▼指定した価格での購買確率、売上、▲4▼指定した原価・市場規模での利益利益曲線、▲5▼指定した価格での予想利益を得ることができる。つまり、それぞれのパラメータを変更した際の曲線の変化を捉え、さらに指定した価格における消費者の価格感度の詳細、予想販売量、予想売上、予想利益をドリルダウンして調べることが可能なのである。
【0059】
[PRICEの特徴と購買確率曲線]
PRICEは、価格を「買う」、「買わない」の尺度ではなく、どのように思うかというところに着目した間接的アプローチにより、消費者の価格への態度を正確に推測することから最適価格を見出すことを目的としていた。「安物だ」と思うか「高級品だ」と思うかという消費者の品質評価を加味しているのである。これと、直接的に購入意向を問う購買確率曲線は、相矛盾するように見えるかもしれない。しかしながら、様々な価格における購入意向の曲線を描くためには、PRICEの4つの質問における回答が不可欠となる。なぜなら、そこにおいて回答者から得られた4つの価格は、回答者が価格に対する態度を変化させる地点であり、その価格の前後で購入意向が大きく変化すると考えられるからである。実際に、出願人の自主調査の結果では、ADSLサービスの一ヶ月間の利用料金について、「安い」価格と「高くも安くもない」価格における購入意向について7SD法にて質問したところ、90.3%の回答者が購入意向に差があると回答している。このような結果からも、PRICEにおける4つの質問の回答は、消費者の購入意向に対して重要な示唆を含んだ価格であり、回答者への負荷を最小限に、予測の精度を最大限にできるものなのである。よって、PRICEと購入意向曲線、この両者をかけあわせることにより、お互いの欠点を補い、品質評価と購入意向を織り交ぜた分析を行うことができるのである。
【0060】
PRICEの4つの質問が必要であったもう一つの理由として、直接購入意向を質問すると回答が低めにでる傾向があるということがある。この点に関しては、様々なカテゴリや価格帯の商品について調査を行い、最も有効なウエイトを求めることで対応する。また、追跡調査を行うことで、常にクライアントにモデルの修正案を提示していくというサービスも行っていく。
【0061】
本発明は以下のような従来に比べて有用な効果を備えている。従来までの調査では、いくつか企業側が考慮している希望小売価格についての購入意向を聞くことが、価格に対する調査の主流であった。しかしながら、このようなアプローチは「買う」、「買わない」という、ただそれだけの分析しか行うことができず、その価格をつけると消費者はどのようなイメージを持つのかというところまでを知ることはできなかった。これは商品のイメージに対する一貫したマーケティング戦略を策定する際に非常に不都合である。PRICEはこのような問題に対処した分析手法であった。
【0062】
また、従来の調査では、例えば価格10円変わったら消費者の態度はどの程度変化するのかという連続した価格変化については対応できず、質問文に含まれていた価格についてのみしか知ることができなかった。実際には企業がメーカー希望価格で常に販売することができるということは考えられず、また調査により求まった最適価格が常に実現可能な価格であるのかも分からない。本調査・分析手法では、連続した全ての価格においての、消費者の態度(購入意向・イメージ)を窺い知ることができる。
【0063】
そしてまた、購買確率曲線が求まることで、消費者の視点だけでなく、企業の視点でも考えることができる。つまり、それぞれの価格をつけることでどれだけの売上が見込めるのか、そしてどれだけの利益が見込めるのか、もしくは○○円で販売して目標の利益を達成するにはどれほどまで原価を抑えることが可能になるのかということを把握できるのである。従来の調査では消費者の視点と企業の都合というものを有機的にリンクさせることは非常に困難であったが、本調査・分析手法では、それぞれの立場を結びつけて同時に考えることができるのである。
【0064】
そしてまた、これらの分析が、ASPサービスにより提供することができれば、企業が持つ様々なマーケティング戦略のシナリオをクライアントが直接シミュレーションを行うことができ、戦略策定のための有用なツールとなるであろう。従来までなしえなかった価格に関する調査・分析をこのように提供していくのが、PRICE+購買確率曲線である。
【図面の簡単な説明】
【図1】価格感度の帯を示す図である。
【図2】PSMにおいて、理想価格、最低品質保証価格、最高価格、妥協価格を示す図である。
【図3】PSMにおいて、トイレットペーパーに関する調査結果を示す図である。
【図4】スライダーを用いた回答画面を示す図である。
【図5】購買の可能性のある価格帯、お買得と感じられる価格帯、高級だと感じられる価格帯を示す図である。
【図6】図5において、それらの価格帯が各価格についてどれだけの割合の人が当てはまるかを表した図である。
【図7】購買可能曲線の導出に係る図である。
【図8】購買可能曲線を示す図である。
【図9】お買得曲線を示す図である。
【図10】高品質曲線を示す図である。
【図11】PRICEにおいて、トイレットペーパーに関する調査結果を示す図である。
【図12】本発明の全体システムの概略図である。
【図13】購入意思の程度を問う画面を示す図である。
【図14】一人の被験者から取得した購買確率を例示する図である。
【図15】一人の被験者から取得した購買確率を例示する図である。
【図16】購買確率曲線を、お買得曲線、購買可能曲線、高品質曲線と共に示す図である。
【図17】図16に売上曲線を加えたものを示す図である。
【図18】図17に利益曲線を加えたものを示す図である。
【図19】市場規模が1000人であった場合に、固定費500000円、一単価あたりの変動費1000円とした場合の利益曲線を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、PSM(Price Sensitivity Measurement)という手法をベースに、独自に改良した新しい調査手法に係り、消費者の価格感度を調査・分析することで、より実際のマーケティング戦略にあった効果的な価格決定をしたり、購買確率を導出したり、需要を予測したりするための調査手法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最初に、購買行動における価格の重要性について述べる。価格というものは、単に売上や利益をあらわすだけの数字ではなく、それ自体が消費者の間に商品の品質イメージを作りだし、購買者に安心感や満足感を与えるという役割を持っている。したがって、価格設定において、価格を下げれば販売量が増えるという単調な関係を想定するのではなく、商品のイメージやコンセプトといった観点から考えていくことが重要である。
【0003】
価格自体が商品の品質イメージを作りだし、購買者に安心感を与えるということは、多くの人が同意することだと考えられる。例えば、ルイ・ヴィトンのバッグが3000円で売っていたとする。おそらくこの場合には、ニセモノではないかと疑われ、「買いたい」と思う人は非常に少ないと思われる。これは価格が商品の品質(ここでは真偽)を表すバロメーターとして働いているという側面を持っているからである。これは、購買者が品質や相場価格などの商品情報を持っていない場合(新製品や骨董品など)や、また品質や価格の妥当性についての判断が難しい商品の場合(宝石やファッション製品など)に、顕著にあらわれる。
【0004】
それとは反対に、定期的に購買するような商品の場合はどうであろう。品質や通常価格についてすでに知っている。こういった場合は、通常価格より少しでも安いと非常によく売れると考えられる。スーパーなど特売セールなどを思い出していただけると、わかりやすいと思われる。しかし、この場合でも極端に安すぎることによる不安というものはある。例えば、いつも300円で売られているジュースが5円で売られていたら、実は賞味期限が切れているのではないかなどと疑う人が、少なくからずいる。
【0005】
従来、価格調査は以下のような手法で行われている。Q1:商品A、商品Bをもし購入するとすれば、いくらならばよいと思いますか。Q2:商品Cを1000円で購入したいと思いますか。次の中から選択して下さい:非常に購入したい;購入したい;どちらともいえない;購入したくない;全く購入したくない。
【0006】
このような調査手法にはいくつかの問題点がある。まず、直接的な質問の回答には低い傾向がでるという問題がある。Q1のように「いくらなら買いますか」、あるいはQ2のような「1,000円で買いますか」といった直接的な質問を行うと、回答結果が実際の購買意向価格(または実際の購入価格)より低めに出る傾向がある。この理由としていくつかの事柄が挙げられる。例えば、消費者は値上がりを懸念して、現行の定価よりも高い価格ではあまり購入意向を示さないといったことが考えられる。また、これらの質問の対象者には、もともと購入意向のない人も多く含まれている。そのような消費者に購入意向価格や具体的な価格での購入意向を直接的に聞くと、極端に低い価格や、またいくら低価格で提示しても購入意向なしと回答することになるであろう。そして、全体としてみると低い傾向が出てしまうと考えられる。
【0007】
さらに、消費者の幅のある価格感度に対応していないという問題がある。通常、消費者が商品を購入する場合には、ある程度柔軟な予算の幅があると考えられる。しかし、購入意向価格を問うQ1の質問も、ある提示価格における購入意向を問うQ2の質問も、それが考慮されていない。
【0008】
一方、オランダの心理学者Westendorpが考案した手法がPSM(Price Sensitivity Measurement)では以下のような4つの間接的な質問をして調査を行う。商品Pについておたずねします。
Q1:これ以上安いと品質に不安を感じる価格はいくらぐらいですか。
Q2:安いと感じはじめる価格はいくらぐらいですか。
Q3:高いと感じはじめる価格はいくらぐらいですか。
Q4:これ以上高いと買いたくないと思う価格はいくらぐらいですか。
【0009】
これらの質問では、消費者一人一人が図1のような「価格感度の帯」を持っていると仮定されている。そして、4つの質問はそれぞれの帯の境界線を聞いているということになる。そして、これら4つの質問の回答から、それぞれ累積分布を取ったものが図2のグラフである。横軸は価格、縦軸はある価格のときにそれを「安すぎて品質に不安」(以下、「安すぎる」)「安い」「高い」「高すぎて買いたくない」(以下、「高すぎる」)と感じる人々が全体の何割いるのかをあらわしている。PSMでは、図2で示されているように、4本の曲線それぞれの交点を求め、理想価格、最低品質保証価格、最高価格、妥協価格という価格基準を導き出す。
【0010】
理想価格とは、「安すぎる」曲線と「高すぎる」曲線の交点で、「安すぎる」と感じる人の割合と「高すぎる」と感じる人の割合が等しくなる価格である。同様に、最低品質保証価格は「安すぎる」曲線と「高い」曲線の交点、最高価格は「安い」曲線と「高すぎる」曲線の交点、妥協価格は「安い」曲線と「高い」曲線の交点で、それぞれそう感じる人の割合が等しくなる価格である。PSMでは、間接的に価格感度について質問するため、従来の問題点1のようなことを回避することができます。また、「安すぎる」から「高すぎる」まで、回答者は自分の価格感度にあわせて柔軟に回答することができる。
【0011】
しかしながら、実際にPSMによる調査を行ってみると、いくつかの問題があることがわかる。PSMの問題点の一つとして、提示される価格基準の有用性が挙げられる。理想価格とは、「安すぎる」と感じる人の割合と「高すぎる」と感じる人の割合が等しくなる価格である、と先ほど説明した。では、「安すぎる」と感じる人の割合と「高すぎる」と感じる人の割合が等しくなる価格が、なぜ理想的な価格なのであろうか。また、それは誰にとって理想的なのであろうか。他の3つの価格基準についても同様のことがいえる。結果として、提示される価格基準の解釈が曖昧になり、価格設定のための強力なツールとして使うのは困難となる。
【0012】
PSMの二つ目の問題点として、提示される価格基準の一意性が挙げられる。消費者の価格感度に幅があるように、理想価格や妥協価格といった価格基準にもある程度の幅があると考えられる。しかし、PSMで提示される価格基準は、いずれもそれぞれの曲線の交点から求めているため、一意の値となる。幅のある価格基準を算出し、より現実のマーケティング戦略に応用しやすいものとするには、更なる改良の必要が出てくる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の直接的な質問を行う価格調査法およびPSM手法の問題点を踏まえ、これらを解決する新しい調査手法として改良されたものであって、各種の曲線を導出することで消費者が価格に対して持つイメージを分析することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明が採用した技術手段は、コンピュータネットワークを介した価格分析法であって、対象物の価格の高低についての主観的な一つ以上の価格あるいは/および価格帯を被験者に入力させる第1のステップと、第1のステップにおいて被験者から入力された一つ以上の価格あるいは/および価格帯の少なくとも一つを被験者に提示して、提示した価格あるいは/および価格帯における購入意思の程度を入力させる第2のステップとを有し、該購入意思の程度は、購入意思の強弱に対する複数の選択肢によって表されていると共に、各選択肢は夫々購買確率に関連付けられており、被験者から取得した各価格あるいは/および価格帯における購入意思の程度に基づいて各価格あるいは/および価格帯における該被験者の購買確率を導出し、各被験者の購買確率を合算することで購買確率曲線を得ることを特徴とするものである。
【0015】
従来は、「500円だったら買いますか?」、あるいは「いくらなら買いますか?」という質問で購買確率を算出していたが、購入しようと思う価格は個人によって異なるため、予め価格(例えば500円)を指定するのでは正しい結果が導けない。また、「いくらなら買いますか?」という質問に対しては必ず安い価格を言うので、実際にその価格で買うかどうかは判らない。本発明は、初めの質問では、買うかどうかは質問せず、対象物の価格の高低(例えば、安いと思い始める価格)についての主観的な一つ以上の価格あるいは/および価格帯(すなわち、一つの価格という点ではなく、入力させる価格に幅を持たせてもよい)を被験者に入力させる(第1のステップ)ことを特徴としている。次いで、入力された価格で、本当に買うかどうかを質問する(第2のステップ)。そして、第2のステップにおいては、購入意思の程度を選択させるようになっている。
【0016】
一つの好ましい態様では、第1のステップは、対象物の価格に関して、「これ以上安いと品質に不安を感じる価格」、「安いと感じ始める価格」、「高いと感じ始める価格」、「これ以上高いと買いたくないと思う価格」を被験者に入力させるものであり、第2のステップは、「安すぎて品質に不安を感じ始めると答えた価格」、「安いと感じ始める価格」、「安いと思い始める価格と高いと思い始める価格の間の価格(第1のステップにおいて被験者から入力された一つ以上の価格を用いて導出した価格)」、「高いと思い始める価格」を該被験者に提示して、各価格における購入意思の程度を入力させるものである。
【0017】
一つの好ましい態様では、「安いと思い始める価格と高いと思い始める価格の間の価格」は、両方の価格の平均価格である。あるいは、「安いと思い始める価格と高いと思い始める価格の間の価格」として複数の価格を用いても良い。尚、これらの価格は、第1のステップにおいて被験者から入力された一つ以上の価格自体ではなく、第1のステップにおいて被験者から入力された一つ以上の価格を用いて導出した価格である。
【0018】
選択肢は、好ましい例では、「絶対購入したい」、「非常に購入したい」、「購入したい」、「やや購入したい」、「どちらでもない」、「購入しようとは思わない」からなる群から選択された複数の選択肢である。これらの選択肢全てを有するを有することが望ましいが、例えば、「購入したい」についてより少ない選択肢を用いても良い。また、これらとは異なる選択肢を採用してもよい。
【0019】
さらに好ましくは、多数の被験者から取得した第1ステップに対する多数の回答結果に基づいて、各価格に対する、購買可能な被験者の割合、買得だと考える被験者の割合、高級だと感じる被験者の割合をそれぞれ導出することで、購買可能曲線、お買得曲線、高品質曲線をそれぞれ得るステップを含む。購買確率曲線に加えて、これら三つの曲線を利用することで、価格に対する消費者のイメージをより緻密に分析することができる。
【0020】
購買可能な被験者の割合は、全体から「安すぎる」と感じる被験者と「高すぎる」と感じる被験者の割合を差し引くことで導出する。買得だと考える被験者の割合は、全体から「安すぎる」と感じる被験者と「高すぎる」と感じる被験者と「高い」と感じる被験者の割合を差し引くことで導出する。高級だと感じる被験者の割合は、全体から「安すぎる」と感じる被験者と「高すぎる」と感じる被験者と「安い」と感じる被験者の割合を差し引くことで導出する。
【0021】
【発明の実施の形態】
[A]PRICE(Price Reasonability Index by Consumer’s Evaluation)
先ず、本願発明の理解を深めるべく、本出願人が開発したPRICEについて説明する。本出願の発明者等はPSMによる調査を重ねてきた結果、4つの曲線から交点を求めるのではなく、(1)3本の新たな曲線(購買可能曲線・お買得曲線・高品質曲線)へと変形させ、(2)価格感度によるクラスタ分析を行うことで、該当商品の市場特性や消費者の価格感度について、より深い洞察と理解が得られることを見出した。具体的には次のような点が改良された。
【0022】
▲1▼商品のコンセプトやイメージに合った価格を、幅を持ったものとしても算出でき、より現実の戦略に応用しやすい。▲2▼PSMでは解釈が不安定であった階段状曲線の場合にも対応できる。 ▲3▼基準となる3つの価格の外側や内側が、消費者にとってどのように写るのか解釈しやすい。▲4▼価格感度の観点から、どのようなタイプの消費者がいるのかが理解できる。
【0023】
PRICEでも、PSMと同様に以下の4つの質問をする。
商品Pについておたずねします。
Q1.これ以上安いと品質に不安を感じる価格はいくらぐらいですか。
Q2.安いと感じはじめる価格はいくらぐらいですか。
Q3.高いと感じはじめる価格はいくらぐらいですか。
Q4.これ以上高いと買いたくないと思う価格はいくらぐらいですか。
【0024】
上記質問は、インターネット等のコンピュータネットワークを介して被験者に送信される。すなわち、被験者はクライアント端末のウェブブラウザを起動して、価格分析サーバのURLを入力することで、価格分析サーバから入力画面を取得する。質問に際しては、図4のようにスライダー方式を採用し、回答者の表現力に力を貸すとともに、矛盾の無いデータの効率的な収集を可能にする。ここでは、マウスをドラッグするだけで回答者に負担なく、回答することができるようになっている。クライアント端末からの入力データは、図示しない送信ボタンをクリックすることによって、価格分析サーバに送信され、格納される。図4のスライダーでは、0円から1000円の間で任意の価格を選択できるようになっており、例えば、一つのスライダーの幅を1000ピクセルとして、1円単位で価格を設定することができる。あるいは、スライダーの目盛りにあわせて20円単位で価格を設定するように構成してもよい。また、更に論理的に間違った回答がされた場合(例えば「高すぎる」と思う価格が「安すぎる」と思う価格よりも低いなど)にはエラーが表示される。エラー表示は、例えば、入力データを送信する際に表示させて、再入力を要求するようにする。尚、被験者に送信されて被験者のディスプレイに表示される入力画面は、図示のようなスライダーを用いたもの(これが好適ではあるが)に限定されるものではなく、例えば、単に、価格を数字で入力させるものであってもよい。
【0025】
回答から得られた「価格感度の帯」により、図5のような「購買の可能性のある価格帯」、「お買得と感じられる価格帯」、「高級だと感じられる価格帯」、この3つの価格帯を導き出す。そして、それらの価格帯が各価格についてどれだけの割合の人が当てはまるかを表したグラフがPRICEのグラフ(図6)となる。このとき示される3つの曲線をそれぞれ、購買可能曲線、お買得曲線、高品質曲線と名付けている。
【0026】
[購買可能曲線]
購買可能曲線は、ある価格に対して、品質的な不安を感じず、かつ高すぎて買えないというほど高くはないと感じる人の割合をあらわした曲線である。「安すぎる」、「高すぎる」と回答した回答者は、その価格では購買にいたる可能性がないと考えられる。逆に、「安すぎる」、「高すぎる」と感じていない回答者は、購買の可能性のある消費者だとみなすことができる。よって、そのような回答者の割合をあらわした曲線が、購買可能曲線となる。
【0027】
[お買得曲線]
お買得曲線とは、ある価格に対して、高くはない、お買得だと感じる人の割合をあらわした曲線である。「安すぎる」と回答した回答者は、その価格では購買にいたる可能性がないと考えられる。「高い」と回答した回答者は、その価格では高価な商品だと感じていることになる。逆に、「安すぎる」、「高い」と感じていない回答者は、高くはない、お買得だと感じている消費者だとみなすことができる。よって、そのような回答者の割合をあらわした曲線が、お買得曲線となる。
【0028】
[高品質曲線]
高品質曲線とは、ある価格に対して、安くはない、高級品だと感じる人の割合をあらわした曲線である。「高すぎる」と回答した回答者は、その価格では購買にいたる可能性がないと考えられる。「安い」と回答した回答者は、その価格では安価な商品だと感じていることになる。逆に、「高すぎる」、「安い」と感じていない回答者は、安くはない、高級品だと感じている消費者だとみなすことができる。よって、そのような回答者の割合をあらわした曲線が、お買得曲線となる。
【0029】
次に、各曲線の求め方を説明する。曲線の求め方は、3つとも基本的に同じである。ここでは購買可能曲線を例にとって説明する。まず、「安すぎる」と感じる人の割合と「高すぎる」と感じる人の割合を足し上げる。それが図7の「安すぎる+高すぎる」曲線である。この曲線は「安すぎる」と感じる人の割合と「高すぎる」と感じる人割合の合計ですので、この合計値を全体(100%)から引くと、購買可能な人の割合が出てくる。その割合をあらわした曲線が図8の購買可能曲線となる。(「安すぎる+高すぎる」曲線を水平に反転させたのが購買可能曲線です。)他の2本の曲線についても同じ方法で求めることが出来る。お買得曲線は図9、高品質曲線は図10のようになる。
【0030】
PRICE分析では、最適な価格が一意に求まるというわけではない。基準となる3本の曲線が求められ、あとはそれぞれの商品の戦略に委ねられる。どのような場合に、それぞれの曲線を基準とするかの例を以下に挙げる。
【0031】
[購買可能曲線]
▲1▼とにかくたくさんの消費者にとっての購買検討対象に入り込みたい。
▲2▼新製品導入に際し素早く、広いマーケットシェアを獲得したい。
▲3▼自社の商品の価格に対して、消費者の間にどのようなバイアスがあるのかを確かめたい。
【0032】
[お買得曲線]
▲1▼従来の商品ラインに加えて低価格帯に新たな商品を投入したい。
▲2▼特売における価格を設定したい。
▲3▼市場の成熟化により価格の設定を変更したい。
【0033】
[高品質曲線]
▲1▼導入期の商品で、価格に敏感でないセグメントからなるべく大きな利益を得たい。
▲2▼高価格帯に品質を重視した新たな商品を送り出したい。
▲3▼超高価格に設定されていた商品を、“安い”とは認識されないところまで値下げしてシェアを伸ばしたい。
【0034】
商品の価格設定には、このような販売面から見た要因だけでなく、コストや利益率の目標など様々な要因が加わってくるが、 PRICEは結果に幅を持たせているために、こういった要因にも柔軟に対応することができ、一貫したマーケティング戦略をとるための強力なツールとなる。また、PRICEを商品カテゴリ(例えばビール)、自社の商品(例えばキリン一番搾り)、他社の商品(例えばアサヒスーパードライ)のそれぞれに対して行うことで、様々な角度から商品の価格を見つめることもできる。新商品の発売に際して、違ったセグメントを開拓する際、現行商品の価格改定の際、また、現行商品が消費者からどのように見られているかを知る場合に、PRICEはまさに必須の調査法といえる。
【0035】
PRICEでは、更に、調査によって得られたデータから、価格感度によるクラスタ分析を行う。その結果、どのような価格感度を持った消費者がどんな割合で存在するのか、またそれはどんな人たちなのかについての示唆をくれる。
【0036】
【実施例】
トイレットペーパー(12ロール)についての調査結果(図11)を取り上げる。PSMグラフ(図3)とPRICEグラフを比較し、PRICEはPSMでは導けないような豊富な示唆を与えてくれることの一例を紹介する。
【0037】
[購買可能曲線]
ここでは、購買可能曲線が200円から300円のところでピークをとっている。このピークは消費者がその商品の実売価格について熟知し、かつその価格を受容していればいるほど実売価格の幅において、水平に近い形状となる。一方、新しい商品など、消費者が価格についてはっきりとしたイメージを持っていない場合にはこのピークは山型になっていく。このように購買可能性曲線を追跡していくことで、その価格においてどれだけの潜在的な顧客が見込めるか、また、その価格が消費者の間でどれくらい浸透しているかを知ることができる。
【0038】
[お買得曲線]
200円のところがお買得曲線のピークとなっており、価格が200円よりも下がると曲線は急激に下降し、購買可能性のある消費者が大きく減少する。よって、この場合には200円よりも価格を下げるべきではないという示唆が得られる。一方200円よりも上の側では、お買い得曲線の下降もなだらかで、300円くらいまでなら、60%の消費者に対してお買い得感を与えることができる。
【0039】
[高品質曲線]
高品質曲線のピークは290円くらいであり、これより価格が上がっても比較的滑らかに変化していく。また、この高品質曲線のピークではお買い得曲線と交わっており、290円という価格では、まだ「安い」と思う人の割合が多くなっていて、高級品と認知されるための差別化はここではまだ強調しにくいと思われる。ですからここでは多少潜在的な消費者を減らしてしまっても、傾きの緩やかな400円の手前、390円あたりに最高価格を設定するのが賢明といえる。
【0040】
PRICEは、交点を求める、最大値を求める、一意の最適価格を求めるなどといった機械的なアウトプットを算出するものではない。消費者が価格に対して抱いているイメージを3本の曲線に投影しようという試みである。価格と商品のイメージについて深い洞察をもたらし、より効果的な価格決定をサポートしてくれるツールとなる。
【0041】
[B]購買確率曲線の導出
次に、PRICEにおける購買確率曲線の導出と需要予測の手法について説明する。本発明のシステムは、図12に示すように、価格分析サーバと、クライアント端末とを有しており、両者はコンピュータネットワークとして例示するインターネットを介して接続されている。クライアント端末においてブラウザを起動して、価格分析サーバのWebページのURLを指定してページを要求する。Webページを取得すると、該Webページはクライアント端末の表示部に表示され、被験者が該Webページを閲覧することができる(▲1▼)。クライアント端末及び価格分析サーバは共にコンピュータとしての基本的構成(演算部、制御部、記憶部、表示部、入力手段、出力手段等)を備えており、コンピュータが有するこれらの構成要素の機能は周知である。調査はインターネットを用いて、Web画面によって行われ、被験者によって入力された情報に基づきサーバ側のプログラムが次に出力する画面を制御する。
【0042】
先ず、第1のステップとして、被験者の端末の表示部に図4に示す画面が表示され、被験者は入力手段によってQ1からQ4の4つの質問に対して適当な価格を選択して分析サーバに送信する(▲2▼)。次いで、第2のステップとして、被験者の端末の表示部に図13に示す画面が表示される(▲3▼)。被験者は、それぞれの価格における購入意思を選択して入力し、結果を価格分析サーバに送信する(▲4▼)。PRICEの4つの質問に加えて、図13に示す質問をすることで、連続的なあらゆる価格に対する市場の需要を俯瞰することを目的として、購買確率曲線を算出する。
【0043】
図13における4つの価格の部分は、事前にPRICEの質問の回答から導かれ、プログラムが自動的に出力して、被験者の端末の表示部に表示される。それぞれの価格は以下のように計算される。
▲1▼価格・・・安すぎて品質に不安を感じ始めると答えた価格
▲2▼価格・・・安いと思い始める価格
▲3▼価格・・・(安いと思い始める価格+高いと思い始める価格)/2
▲4▼価格・・・高いと思い始める価格
尚、▲3▼価格は、第1のステップにおいて被験者から入力された2つの価格を用いて導出した価格であり、被験者から入力された価格自体ではない。
【0044】
より具体的には、図4に示すスライダー方式の画面が被験者の端末の表示部に表示され、被験者はマウス等の入力手段を用いてスライダーを移動させながら4つの質問に回答し、回答し終わったら、図示しない送信ボタンをクリックする。送信ボタンをクリックすると、4つの質問に対する回答結果がインターネットを介して価格分析サーバに送信される。価格分析サーバによって受信された4つの質問に対する結果は価格分析サーバの記憶部に格納される。演算部において、Q2に対する回答結果とQ3に対する回答結果との平均が算出される。制御部において、Q1に対する回答結果が図13の価格▲1▼として、Q2に対する回答結果が図13の価格▲2▼として、算出された平均値が図13の価格▲3▼として、Q3に対する回答結果が図13の価格▲4▼として夫々選択され、被験者の表示部に図13に示す画面が表示される。被験者は、価格▲1▼▲2▼▲3▼▲4▼のそれぞれについて、「絶対購入したい」、「非常に購入したい」、「購入したい」、「やや購入したい」、「どちらでもない」、「購入しようとは思わない」のいずれかを選択する。選択し終わり、被験者が図示しない送信ボタンをクリックすると、選択結果が価格分析サーバに送信され、価格分析サーバの記憶部に格納される。
【0045】
このような4つの価格に対する購入意向から、購買確率曲線を導出するのであるが、4つの価格についてのみしか、購入意向を問わないのにもかかわらず連続的な全ての価格に対しての購入の可能性を推定できるのは、以下のようなモデルを仮定することによる。
【0046】
各個人は、それぞれに5つの価格帯(「安すぎて不安」、「安い」、「高くも安くもない」、「高い」、「高すぎて買えない」)をもっており、その価格帯の範囲での購入意向は全て等しい。
【0047】
これはPRICEで想定していた各個人の5つの価格帯それぞれについては、各個人が同じ購入確率をもつということを仮定したモデルで、それぞれの個人の価格と購買確率の関係をプロットしたものは図14、図15のようになる。このとき、それぞれの個人によって「安すぎ」「安い」といった境界線の価格はPRICEの質問から導かれるもので、個人によって違うことに注意する。
【0048】
このようなモデルの裏づけとして、消費者はある一定の価格受容領域を持っていて、それを超えてもそれ以下でも購入意向は減少するという留保価格の理論と、ある一定の価格受容領域より価格が下がると大きく需要が減るというグーテンベルク仮説の二つが存在する。
【0049】
またPRICEの4つの質問は価格に関する反応・イメージが変化するポイントを聞いているので、購入意向が大きく変化するとすれば、それはPRICEにおいて聞いた4つの価格であるはずなので、一人一人については少なくとも購入意向が大きく変化している価格とその変化量を捉えることができる。そして、さらにたとえ、このモデルの前提(同じ価格帯であれば購入価格は等しい)が、多少大雑把でありすぎるとしても、これを対象となる回答者分タテに足し上げれば、誤差は丸められて信用性のある購買確率曲線を描けることになる。尚、▲3▼価格の他にも、第1のステップにおいて被験者から入力された複数の価格を用いて導出した複数の価格を用いて図13の質問を構成すれば、より正確は結果が得られることも考えられる。しかしながら、被験者の負担が大きくなり、かえって、被験者からの入力情報の精度が落ちる可能性もある。
【0050】
そして、図13の各質問によって、以下のようにして購買確率曲線を導出していく。
▲1▼の価格での購入意向で「安すぎる」価格帯での購買確率をきめる。
▲2▼の価格での購入意向で「安い」価格帯での購買確率を決める。
▲3▼の価格での購入意向で「安いと思い始める価格と高いと思い始める価格の間」の価格帯での購買確率をきめる。
▲4▼の価格での購入意向で「高い」価格帯での購買確率をきめる。
「高すぎて買えない」の部分の購買確率は常にゼロである。
このようにして求めた個人レベルでの購買確率(複数のポイント)を、対象者全員分で足し上げれば、図16に示すような購買確率曲線Dを描くことができる。
【0051】
[設問と購買確率の関係]
購買確率曲線は、PRICEの4つの質問と、購買確率曲線の4つの質問、そしてウエイトベクトルをプログラムに入力することで算出できる。このウエイト(重み付け)とは図13の質問のチェックを入れた場所に対して購買確率をいくらにするかを表すベクトルである。具体例を挙げると、「絶対購入したい」、「非常に購入したい」、「購入したい」、「やや購入したい」、「どちらでもない」、「購入しようとは思わない」がそれぞれ、90%、70%、50%、30%、10%、0%、というものである。このような重み付けは、予め価格分析サーバの記憶部にテーブルとして格納されている。このようにして、各選択肢が購買確率に関連付けられる。図13に対する被験者からの入力結果を受信すると、選択された入力情報に基づいて、関連付けられた購買確率が導出される。実施の形態のものでは、各被験者において、4つのポイントでの購買確率が得られ、これらは記憶部に格納される。多数の被験者から得られた4つのポイント及び購買確率を、縦軸を購買確率(割合)、横軸を価格としたグラフ上にプロットすることで、図16に示すような画面が価格分析サーバのディスプレイに表示される。コンピュータを用いて、2つの情報を持ったデータを該2つの情報を縦軸・横軸としたグラフ化することは周知技術である。消費者がどのような購入意向を申告すると実際にどのような確率で購入するのかは難しい問題であるが、実際に商品を買ったかどうかの追跡調査を様々なカテゴリや価格帯の商品に行い、それぞれの商品ごとに正確なウエイトベクトルを算出し、購買確率の推定をより正確化することを目指す。
【0052】
[売上曲線の算出]
購買確率曲線を求めることによって、価格に対する販売量の推定値を求めることができるので、これらをかけあわせることにより売上曲線を算出することができる。図17が売上曲線Eを描いたものであるが、1900円前後のところで売上がピークになるということがわかる。購買確率の推定には従来は線形の関数や、微分可能な連続関数が用いられていたが、このモデルのように階段状の購買確率を仮定することにより、1900円などの端数価格の有効性を浮き彫りにすることができるのである。
【0053】
[利益曲線の算出]
このようにして、各価格における売上が求めることができるならば、それぞれの価格における売上から、原価を引くことにより利益曲線Fを算出することができる。図18は一単位あたり1500円の原価を見込んだ場合における利益曲線を求めたものである。売上を最大化する価格は1900円であるが、利益を最大化する場合には2900円の価格がよいということがわかる。このように目標を売上にするのか、利益にするのかということに対してもこのモデルを利用することにより柔軟に対応できるというところにもこの調査・分析ほうの有用性が伺える。
【0054】
また、この利益曲線は原価を固定費と変動費に分けた場合にも算出できる。その際にはプログラムに与えるパラメータとして、製品1単位あたりの変動費、固定費、見込まれる市場規模を利用することで得られる。このように市場規模を入力することにより、見込まれる利益を実際の金額をベースに算出することもかのうであり、より現実的に利用価値の高い予測モデルが立てられる。
【0055】
図19は、市場規模が10000人であった場合に、固定費500000円、一単位あたりの変動費1000円とした場合の利益曲線を表しているが、2900円前後、2400円前後のところでピークをとり、およそ200万円の利益があがると予想されている。
【0056】
図16乃至図19において、A:お買得曲線、B:購買可能曲線、C:高品質曲線であって、これらは、図4に対して入力された価格に基づいて導出される。これらの曲線の導出については既に既述した。
【0057】
[ASPサービスへの応用]
実際の調査データがそろった段階で、このような購買確率曲線にまつわるデータをASPにて提供し、データ価格戦略に関する様々なシミュレーションを調査の依頼者側でも行えるようなサービスを提供することの可能である。これにより、価格戦略を実際に策定することに迫られている依頼者自身が様々なシナリオを立てて、それぞれの戦略の有効性を検討することができる。
【0058】
具体的に言えば、このサービスはは、分析者側に与えられるパラメータを変化させることで、様々なシナリオでの曲線の導出や、それらを構成する具体的数値の算出を可能とさせるものである。調査依頼者が変更できるパラメータとしては、▲1▼製品の単価、▲2▼製品原価の変動費・固定費、▲3▼市場規模、▲4▼ウエイトベクトルがあり、依頼者が分析を行った際のアウトプットとしては、
▲1▼指定した価格での、購入可能者の割合、「高い」と認知する割合、「安い」と認知する割合、▲2▼指定したウエイトでの購買確率曲線、▲3▼指定した価格での購買確率、売上、▲4▼指定した原価・市場規模での利益利益曲線、▲5▼指定した価格での予想利益を得ることができる。つまり、それぞれのパラメータを変更した際の曲線の変化を捉え、さらに指定した価格における消費者の価格感度の詳細、予想販売量、予想売上、予想利益をドリルダウンして調べることが可能なのである。
【0059】
[PRICEの特徴と購買確率曲線]
PRICEは、価格を「買う」、「買わない」の尺度ではなく、どのように思うかというところに着目した間接的アプローチにより、消費者の価格への態度を正確に推測することから最適価格を見出すことを目的としていた。「安物だ」と思うか「高級品だ」と思うかという消費者の品質評価を加味しているのである。これと、直接的に購入意向を問う購買確率曲線は、相矛盾するように見えるかもしれない。しかしながら、様々な価格における購入意向の曲線を描くためには、PRICEの4つの質問における回答が不可欠となる。なぜなら、そこにおいて回答者から得られた4つの価格は、回答者が価格に対する態度を変化させる地点であり、その価格の前後で購入意向が大きく変化すると考えられるからである。実際に、出願人の自主調査の結果では、ADSLサービスの一ヶ月間の利用料金について、「安い」価格と「高くも安くもない」価格における購入意向について7SD法にて質問したところ、90.3%の回答者が購入意向に差があると回答している。このような結果からも、PRICEにおける4つの質問の回答は、消費者の購入意向に対して重要な示唆を含んだ価格であり、回答者への負荷を最小限に、予測の精度を最大限にできるものなのである。よって、PRICEと購入意向曲線、この両者をかけあわせることにより、お互いの欠点を補い、品質評価と購入意向を織り交ぜた分析を行うことができるのである。
【0060】
PRICEの4つの質問が必要であったもう一つの理由として、直接購入意向を質問すると回答が低めにでる傾向があるということがある。この点に関しては、様々なカテゴリや価格帯の商品について調査を行い、最も有効なウエイトを求めることで対応する。また、追跡調査を行うことで、常にクライアントにモデルの修正案を提示していくというサービスも行っていく。
【0061】
本発明は以下のような従来に比べて有用な効果を備えている。従来までの調査では、いくつか企業側が考慮している希望小売価格についての購入意向を聞くことが、価格に対する調査の主流であった。しかしながら、このようなアプローチは「買う」、「買わない」という、ただそれだけの分析しか行うことができず、その価格をつけると消費者はどのようなイメージを持つのかというところまでを知ることはできなかった。これは商品のイメージに対する一貫したマーケティング戦略を策定する際に非常に不都合である。PRICEはこのような問題に対処した分析手法であった。
【0062】
また、従来の調査では、例えば価格10円変わったら消費者の態度はどの程度変化するのかという連続した価格変化については対応できず、質問文に含まれていた価格についてのみしか知ることができなかった。実際には企業がメーカー希望価格で常に販売することができるということは考えられず、また調査により求まった最適価格が常に実現可能な価格であるのかも分からない。本調査・分析手法では、連続した全ての価格においての、消費者の態度(購入意向・イメージ)を窺い知ることができる。
【0063】
そしてまた、購買確率曲線が求まることで、消費者の視点だけでなく、企業の視点でも考えることができる。つまり、それぞれの価格をつけることでどれだけの売上が見込めるのか、そしてどれだけの利益が見込めるのか、もしくは○○円で販売して目標の利益を達成するにはどれほどまで原価を抑えることが可能になるのかということを把握できるのである。従来の調査では消費者の視点と企業の都合というものを有機的にリンクさせることは非常に困難であったが、本調査・分析手法では、それぞれの立場を結びつけて同時に考えることができるのである。
【0064】
そしてまた、これらの分析が、ASPサービスにより提供することができれば、企業が持つ様々なマーケティング戦略のシナリオをクライアントが直接シミュレーションを行うことができ、戦略策定のための有用なツールとなるであろう。従来までなしえなかった価格に関する調査・分析をこのように提供していくのが、PRICE+購買確率曲線である。
【図面の簡単な説明】
【図1】価格感度の帯を示す図である。
【図2】PSMにおいて、理想価格、最低品質保証価格、最高価格、妥協価格を示す図である。
【図3】PSMにおいて、トイレットペーパーに関する調査結果を示す図である。
【図4】スライダーを用いた回答画面を示す図である。
【図5】購買の可能性のある価格帯、お買得と感じられる価格帯、高級だと感じられる価格帯を示す図である。
【図6】図5において、それらの価格帯が各価格についてどれだけの割合の人が当てはまるかを表した図である。
【図7】購買可能曲線の導出に係る図である。
【図8】購買可能曲線を示す図である。
【図9】お買得曲線を示す図である。
【図10】高品質曲線を示す図である。
【図11】PRICEにおいて、トイレットペーパーに関する調査結果を示す図である。
【図12】本発明の全体システムの概略図である。
【図13】購入意思の程度を問う画面を示す図である。
【図14】一人の被験者から取得した購買確率を例示する図である。
【図15】一人の被験者から取得した購買確率を例示する図である。
【図16】購買確率曲線を、お買得曲線、購買可能曲線、高品質曲線と共に示す図である。
【図17】図16に売上曲線を加えたものを示す図である。
【図18】図17に利益曲線を加えたものを示す図である。
【図19】市場規模が1000人であった場合に、固定費500000円、一単価あたりの変動費1000円とした場合の利益曲線を示す図である。
Claims (18)
- コンピュータネットワークを介した価格分析法であって、対象物の価格の高低についての主観的な一つ以上の価格あるいは/および価格帯を被験者に被験者端末から入力させる第1のステップと、第1のステップにおいて被験者から入力された一つ以上の価格あるいは/および価格帯の少なくとも一つを被験者端末を介して被験者に提示して、提示された価格あるいは/および価格帯における購入意思の程度を被験者端末から入力させる第2のステップとを有し、該購入意思の程度は、購入意思の強弱に対する複数の選択肢によって表されていると共に、各選択肢は夫々購買確率に関連付けられており、被験者から取得した各価格あるいは/および価格帯における購入意思の程度に基づいて該被験者の購買確率を導出し、各被験者の購買確率を合算することで購買確率曲線を得ることを特徴とする価格分析法。
- 請求項1において、前記第1のステップは、対象物の価格に関して、「これ以上安いと品質に不安を感じる価格」、「安いと感じ始める価格」、「高いと感じ始める価格」、「これ以上高いと買いたくないと思う価格」を被験者に入力させるものであることを特徴とする価格分析法。
- 請求項1,2いずれかにおいて、前記第2のステップで提示される価格あるいは/および価格帯は、第1のステップにおいて被験者から入力された一つ以上の価格あるいは/および価格帯を用いて導出した価格あるいは/および価格帯を含むことを特徴とする価格分析法。
- 請求項3において、前記第1のステップは、対象物の価格に関して、「これ以上安いと品質に不安を感じる価格」、「安いと感じ始める価格」、「高いと感じ始める価格」、「これ以上高いと買いたくないと思う価格」を被験者に入力させるものであり、前記第2のステップは、「安すぎて品質に不安を感じ始めると答えた価格」、「安いと感じ始める価格」、「安いと思い始める価格と高いと思い始める価格の間の価格」、「高いと思い始める価格」を該被験者に提示して、各価格における購入意思の程度を入力させるものであることを特徴とする価格分析法。
- 請求項4において、「安いと思い始める価格と高いと思い始める価格の間の価格」は、両方の価格の平均値であることを特徴とする価格分析法。
- 請求項1乃至5いずれかにおいて、該選択肢は、「絶対購入したい」、「非常に購入したい」、「購入したい」、「やや購入したい」、「どちらでもない」、「購入しようとは思わない」からなる群から選択された複数の選択肢を有することを特徴とする価格分析法。
- コンピュータネットワークを介した価格分析法であって、対象物の価格に関して、「これ以上安いと品質に不安を感じる価格」、「安いと感じ始める価格」、「高いと感じ始める価格」、「これ以上高いと買いたくないと思う価格」を被験者に被験者端末から入力させる第1ステップと、該被験者から取得した回答結果に基づいて、「安すぎて品質に不安を感じ始めると答えた価格」、「安いと感じ始める価格」、「安いと思い始める価格と高いと思い始める価格の間の価格」、「高いと思い始める価格」を被験者端末を介して該被験者に提示して、各価格における購入意思の程度を被験者端末から入力させる第2ステップとを有し、該購入意思の程度は、購入意思の強弱に対する複数の選択肢によって表されており、かつ、各選択肢は購買確率に関連する重み付けを有しており、被験者から取得した各価格における購入意思の程度に基づいて該被験者の購買確率を導出し、各被験者の購買確率を合算することで購買確率曲線を得ることを特徴とする価格分析法。
- 請求項2乃至7いずれかにおいて、多数の被験者から取得した第1ステップに対する多数の回答結果に基づいて、各価格に対する、購買可能な被験者の割合、買得だと考える被験者の割合、高級だと感じる被験者の割合をそれぞれ導出することで、購買可能曲線、お買得曲線、高品質曲線をそれぞれ得るステップを含むことを特徴とする価格分析法。
- 対象物の価格の高低についての主観的な一つ以上の価格あるいは/および価格帯を被験者に被験者端末から入力させ、被験者端末から受信した一つ以上の価格あるいは/および価格帯の少なくとも一つを被験者の被験者端末に送信して、送信した価格あるいは/および価格帯における購入意思の程度を被験者端末から入力させ、該購入意思の程度は、購入意思の強弱に対する複数の選択肢によって表されていると共に、各選択肢は購買確率に関連付けられており、被験者端末から受信した各価格あるいは/および価格帯における購入意思の程度に基づいて該被験者の購買確率を導出し、各被験者の購買確率を合算することで購買確率曲線を得るように構成されている価格分析サーバ。
- 請求項9において、主観的な一つ以上の価格あるいは/および価格帯は、対象物の価格に関して、「これ以上安いと品質に不安を感じる価格」、「安いと感じ始める価格」、「高いと感じ始める価格」、「これ以上高いと買いたくないと思う価格」であることを特徴とする価格分析サーバ。
- 請求項9,10いずれかにおいて、被験者に提示される価格あるいは/および価格帯は、被験者から入力された一つ以上の価格あるいは/および価格帯を用いて導出した価格あるいは/および価格帯を含むことを特徴とする価格分析サーバ。
- 請求項11において、主観的な一つ以上の価格あるいは/および価格帯は、「これ以上安いと品質に不安を感じる価格」、「安いと感じ始める価格」、「高いと感じ始める価格」、「これ以上高いと買いたくないと思う価格」であり、「安すぎて品質に不安を感じ始めると答えた価格」、「安いと感じ始める価格」、「安いと思い始める価格と高いと思い始める価格の間の価格」、「高いと思い始める価格」を該被験者に提示して、各価格における購入意思の程度を入力させることを特徴とする価格分析サーバ。
- 請求項12において、「安いと思い始める価格と高いと思い始める価格の間の価格」は、両方の価格の平均値であることを特徴とする価格分析サーバ。
- 請求項9乃至13いずれかにおいて、該選択肢は、「絶対購入したい」、「非常に購入したい」、「購入したい」、「やや購入したい」、「どちらでもない」、「購入しようとは思わない」からなる群から選択された複数の選択肢を有することを特徴とする価格分析サーバ。
- 対象物の価格に関して、「これ以上安いと品質に不安を感じる価格」、「安いと感じ始める価格」、「高いと感じ始める価格」、「これ以上高いと買いたくないと思う価格」を被験者に被験者端末から入力させ、該被験者から取得した回答結果に基づいて、「安すぎて品質に不安を感じ始めると答えた価格」、「安いと感じ始める価格」、「安いと思い始める価格と高いと思い始める価格の間の価格」、「高いと思い始める価格」を該被験者に被験者端末を介して提示して、各価格における購入意思の程度を被験者端末から入力させ、該購入意思の程度は、購入意思の強弱に対する複数の選択肢によって表されており、かつ、各選択肢は購買確率に関連する重み付けを有しており、被験者から取得した各価格における購入意思の程度に基づいて該被験者の購買確率を導出し、各被験者の購買確率を合算することで購買確率曲線を得ることを特徴とする価格分析サーバ。
- 請求項10乃至15いずれかにおいて、多数の被験者から取得した主観的な価格に基づいて、各価格に対する、購買可能な被験者の割合、買得だと考える被験者の割合、高級だと感じる被験者の割合をそれぞれ導出することで、購買可能曲線、お買得曲線、高品質曲線をそれぞれ得るように構成されたことを特徴とする価格分析サーバ。
- 対象物の価格の高低についての主観的な一つ以上の価格あるいは/および価格帯を被験者に被験者端末から入力させ、被験者端末から受信した一つ以上の価格あるいは/および価格帯の少なくとも一つを被験者の被験者端末に送信して、送信した価格あるいは/および価格帯における購入意思の程度を被験者端末から入力させ、該購入意思の程度は、購入意思の強弱に対する複数の選択肢によって表されていると共に、各選択肢は購買確率に関連付けられており、被験者端末から受信した各価格あるいは/および価格帯における購入意思の程度に基づいて該被験者の購買確率を導出し、各被験者の購買確率を合算することで購買確率曲線を得るように構成されたコンピュータプログラム。
- 対象物の価格に関して、「これ以上安いと品質に不安を感じる価格」、「安いと感じ始める価格」、「高いと感じ始める価格」、「これ以上高いと買いたくないと思う価格」を被験者に被験者端末から入力させ、該被験者から取得した回答結果に基づいて、「安すぎて品質に不安を感じ始めると答えた価格」、「安いと感じ始める価格」、「安いと思い始める価格と高いと思い始める価格の間の価格」、「高いと思い始める価格」を該被験者に被験者端末を介して提示して、各価格における購入意思の程度を被験者端末から入力させ、該購入意思の程度は、購入意思の強弱に対する複数の選択肢によって表されており、かつ、各選択肢は購買確率に関連する重み付けを有しており、被験者から取得した各価格における購入意思の程度に基づいて該被験者の購買確率を導出し、各被験者の購買確率を合算することで購買確率曲線を得るように構成されたコンピュータプログラム。
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