JP2004108645A - 冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポンプなどの駆動装置を設けることなく発熱体を冷却できる冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置1は燃料電池2を冷却するものであって、内部空間3を有し燃料電池2に接続するラジエータ部4と、ラジエータ部4の内壁部6に設けられたスリット部7と、内部空間3に配置され、燃料電池2の発熱に基づき気化する冷媒5とを備えている。
【選択図】 図2
【解決手段】冷却装置1は燃料電池2を冷却するものであって、内部空間3を有し燃料電池2に接続するラジエータ部4と、ラジエータ部4の内壁部6に設けられたスリット部7と、内部空間3に配置され、燃料電池2の発熱に基づき気化する冷媒5とを備えている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発熱体を冷却する冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、負極に燃料としての水素、正極に酸化剤としての酸素又は空気を供給して、水素と酸素とを化学反応させ、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置である。燃料電池を用いた発電設備に関する技術が、例えば下記特許文献に開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−354132号公報
【0004】
ところで、燃料電池は発熱するため、冷却装置を用いて冷却する必要がある。
従来において、燃料電池を冷却する際には、ポンプなどの駆動装置を用いて冷媒を燃料電池に供給することにより、燃料電池を冷却していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したように、ポンプなどの駆動装置を用いて燃料電池を冷却する場合、回転部や摺動部などの駆動部が発生するため、機械故障が発生しやすく、装置の信頼性低下、短寿命化という不都合が生じる。更に、燃料電池を宇宙空間において使用することが検討されているが、ポンプなどの駆動装置を用いた場合、振動が発生して宇宙機に対して影響を及ぼすとともに、十分な冷却効果が得られないという問題も生じる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、ポンプなどの駆動装置を設けることなく発熱体を冷却できる冷却装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の冷却装置は、発熱体を冷却する冷却装置において、内部空間を有し、前記発熱体に接続するラジエータ部と、前記ラジエータ部の内壁部に設けられたスリット部と、前記内部空間に配置され、前記発熱体の発熱に基づき気化する冷媒とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ラジエータ部の内部空間に配置されている冷媒が発熱体の発熱に基づき気化することにより、この気化熱で発熱体を冷却できる。そして、気化して内部空間に分散した冷媒はラジエータ部の内壁部と接することにより冷却されて液化する。液化した冷媒は、毛細管現象により内壁部に形成されたスリット部に沿って移動し、ラジエータ部の内壁部のうち発熱体との接続部に相当する位置に再び供給され、発熱体を冷却する。このように、本発明の冷却装置は機械的動作を伴わないので、高い信頼性が得られ長寿命化を実現できる。
【0008】
本発明の冷却装置において、前記スリット部は、前記ラジエータ部の内壁部のうち前記発熱体との接続面に対応する第1の位置に設けられた第1スリット部と、前記内壁部のうち前記第1の位置以外の第2の位置に設けられ、前記第1スリット部と連続する第2スリット部とを有することを特徴とする。
これによれば、第1スリット部に配置されている冷媒が発熱体の発熱により気化して発熱体を冷却できる。気化して分散した冷媒は第1の位置以外の第2の位置に設けられている第2スリット部に接し、冷却されて液化する。そして、第2スリット部において液化した冷媒は第2スリット部に沿って移動し、この第2スリット部に連続する第1スリット部に再び配置され、発熱体を冷却する。
【0009】
本発明の冷却装置において、前記第2スリット部は、前記接続面の略法線方向に延びていることを特徴とする。
これによれば、その一端部を第1スリット部に連続させている第2スリット部の他端部は発熱部である第1の位置より遠方に配置されることになるので、気化した冷媒は第2スリット部の他端部近傍に接することにより確実に液化される。
【0010】
本発明の冷却装置において、前記内部空間に配置される前記冷媒の量は、前記内部空間の容積より少ないことを特徴とする。
すなわち、内部空間は冷媒に満たされておらず、したがって、第1の位置に配置された冷媒は確実に気化される。ここで、配置される冷媒の量は、ラジエータ部の内壁部に設けられたスリット部の全部を充たす程度が好ましい。これにより、第1の位置の第1スリット部の冷媒が気化してなくなったら、第2の位置の第2スリット部の冷媒が連続的に第1スリット部に供給されるので、発熱体を常時冷却できる。
【0011】
本発明の冷却装置において、前記発熱体に対して前記ラジエータ部を移動する移動装置を備えることを特徴とする。
これによれば、例えば太陽光などの熱源が存在した場合、移動装置によってラジエータ部を所望の位置に移動することにより、ラジエータ部が前記熱源により加熱することを抑えることができるので、内部空間において気化した冷媒がラジエータ部に接することにより液化される作用は妨げられない。
【0012】
本発明の冷却装置において、前記発熱体は宇宙機構成用装置であることを特徴とする。すなわち、本発明の冷却装置は、従来のポンプなど機械的動作を伴う機構を有していないので振動の発生が抑えられており、したがって、微小重力環境下であっても冷却動作を妨げられない。
更に、本発明の冷却装置を燃料電池を冷却するための冷却装置に適用することもできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の冷却装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の冷却装置の一実施形態を示す概略図であって、図1(a)は側面図、図1(b)は図1(a)のA−A矢視図である。本実施形態において、冷却装置は燃料電池を冷却するものである。また、本実施形態に係る燃料電池は、宇宙機の構成用装置である。すなわち、本実施形態に係る燃料電池及びこの燃料電池を冷却する冷却装置は微少重力環境である宇宙空間に設けられている。
【0014】
図1において、冷却装置1は発熱体である燃料電池2を冷却するものであって、燃料電池2に接続するラジエータ部4を備えている。本実施形態において、燃料電池2には2つのラジエータ部4が接続されている。燃料電池2は円柱状部材である。ラジエータ部4のそれぞれは直方体状部材であって内部空間3を有している。図1(b)に示すように、内部空間3は正面視長方形状である。そして、ラジエータ部4のそれぞれはその1つの外面を燃料電池2に接続している。ここで、ラジエータ部4の燃料電池2に接続する外面(接続面)10は円柱状部材である燃料電池2の外形に沿って僅かに湾曲している。そして、ラジエータ部4のそれぞれは、正面視長方形状の内部空間3の長手方向と円柱状部材である燃料電池2の放射方向とを一致させるように、燃料電池2に接続している。そして、図1(b)に示すように、ラジエータ部4のそれぞれは、燃料電池2を挟んで対向するように設けられている。なお、本実施形態ではラジエータ部4は燃料電池2に対して2つ接続されている構成であるが、1つでもよいし、3つ以上の任意の複数であってもよい。
ここで、以下の説明において、接続面10の法線方向をZ方向、Z方向に直交し燃料電池2の軸線方向をX方向、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向とする。
【0015】
内部空間3には、冷媒5が配置されている。この冷媒5は、発熱体である燃料電池3の発熱に基づき気化し、且つ、宇宙空間の温度において凝固しない材料により構成されており、例えばアンモニアにより構成されている。冷媒5は内部空間3全体に充たされてなく、内部空間3に配置されている冷媒5の量は内部空間3の容積より少なく設定されている。
【0016】
図2は、ラジエータ部4の断面斜視図である。
図2に示すように、ラジエータ部4の内壁部6にはスリット部7が設けられている。このスリット部7は、ラジエータ部4の内壁部6のうち燃料電池2との接続面10に対応する第1の位置6Aに設けられた第1スリット部7Aと、内壁部6のうち第1の位置6A以外の第2の位置6Bに設けられた第2スリット部7Bとを有する。ここで、以下の説明において、上記第1の位置6Aを「底面」、上記第2の位置6Bを「側面」と適宜称する。
【0017】
側面6Bに設けられた第2スリット部7Bは接続面10の略法線方向(Z方向)に延びている。そして、第2スリット部7Bは側面6Bの全面に形成されている。底面6Aに設けられた第1スリット部7Aは第2スリット部7Bと連続している。第1スリット部7Aは、燃料電池2の軸線と交わる方向(Y方向)に延びるように形成されており、底面6Aの全面に形成されている。なお、ラジエータ部4の内壁部6のうち天井面6Cにも第1スリット部7Aと同様のスリット部が形成されている。そして、冷媒5は第1スリット部7A及び第2スリット部7Bを全部を充たす程度に(内壁部6の全面を濡らす程度に)内部空間3に配置されている。
【0018】
次に、上述した冷却装置1の作用について説明する。
燃料電池2が発熱すると、ラジエータ部4の内部空間3に配置されている冷媒5のうち、底面6Aに配置されている冷媒5が気化する。ここで、冷媒5は内部空間3の全部に充たされていないため、冷媒5の気化は妨げられない。燃料電池2との接続面10に対応する底面6Aの冷媒5が燃料電池2の発熱に基づき気化することにより、燃料電池2はこの気化熱で冷却される。
【0019】
気化した冷媒5は内部空間3において分散する。気化して分散した冷媒5はやがて側面6Bや天井面6Cに接する。ここで、ラジエータ部4は宇宙空間に設けられており、側面6Bや天井面6Cは底面6Aに対して低温である。したがって、側面6Bや天井面6Cに接した冷媒5は冷却されて液化する。液化した冷媒5は毛細管現象により側面6Bに形成されている第2スリット部7Bに沿って底面6Aに移動する。ここで、側面6Bの第2スリット部7Bと底面6Aの第1スリット部7Aとは連続しているため、液化状態の冷媒5の底面6Aに対する移動は円滑に行われる。第2スリット部7B及び第1スリット部7Aにより底面6Aに移動した冷媒5は、再び燃料電池2を冷却する。
【0020】
ここで、第2スリット部7Bは接続面10の略法線方向に延びている構成であるため、天井面6C近傍に接した冷媒5が毛細管現象により第2スリット部7Bを移動する移動距離は長く設定される。したがって、燃料電池2の発熱により気化した冷媒5は、第2スリット部7Bのうち天井面6Cに接続する上端部(他端部)から底面6Aに接続する下端部(一端部)に移動するまでの間に確実に液化される。
【0021】
また、内部空間3に配置される冷媒5の量は、スリット部7(7A、7B)の全部を充たす程度に設定されているため、底面6Aの第1スリット部7Aの冷媒5が気化してなくなったら、側面6Bの第2スリット部7Bの冷媒5が連続的に第1スリット部6Bに供給されるので、燃料電池2を常時冷却可能である。
【0022】
以上説明したように、冷却装置1は冷媒5の移動により発熱体である燃料電池2を冷却する構成であり、駆動部の数が最小限に抑えられているので、故障などの不具合の発生は抑制され、高い信頼性を得ることができる。また、駆動部がないので長寿命化、低コスト化を実現できる。更に、駆動部がないため振動の発生を抑えることができ、発熱体や周辺装置に対する振動による不具合の発生を抑制できる。
【0023】
更に、冷媒5の移動は、スリット部7による毛細管現象を利用したものであるので、微少重力環境である宇宙空間においても冷媒5の移動は妨げられず、発熱体を確実に冷却できる。
【0024】
図3は、本発明の冷却装置の他の実施形態を示す概略図である。ここで、以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
図3において、冷却装置1は、発熱体である燃料電池2に対してラジエータ部4を移動する移動装置20を備えている。移動装置20は、燃料電池2に対してラジエータ部4を燃料電池2の軸線まわり方向(X軸まわり方向)に回転移動自在に支持する支持部21と、ラジエータ部4を駆動するアクチュエータ(モータなど)からなる駆動装置22とを備えている。そして、駆動装置22を駆動することにより、ラジエータ部4は燃料電池2の軸線まわり方向に移動する。
【0025】
ラジエータ部4を燃料電池2に対して移動する移動装置20を設けたことにより、この冷却装置1が宇宙空間に設けられている場合、例えば太陽光などの熱が作用されても、移動装置20によってラジエータ部4を太陽光の熱が作用されにくい位置に移動することにより、ラジエータ部4の加熱を抑えることができる。
したがって、内部空間3において気化した冷媒5がラジエータ部4に接して液化される作用は妨げられない。このように、移動装置20を設けたことにより、ラジエータ部4の温度管理を行うことができ、ひいては燃料電池2の冷却動作を円滑に行うことができる。
【0026】
なお、この場合において、例えばラジエータ部4の一部に、温度検出装置(あるいは太陽光の照度検出装置)を設けておき、この検出装置の検出結果に基づいて移動装置20が制御されるようにしてもよい。すなわち、例えば太陽光の照射によりラジエータ部4の温度が予め設定された設定値以上に加熱されたら、移動装置20はラジエータ部4を太陽光が作用されにくい位置に移動する。
【0027】
なお、上記各実施形態において、スリット部は7内壁部に形成した凹溝部でもよいしフィン部材を列設した構成でもよい。フィン部材を設けた場合、このフィン部材がラジエータ部4の補強部材としての機能を有する。更に、上記実施形態ではスリット部7により内壁部6における毛細管現象を実現しているが、例えば内壁部6に多孔質体を配置して毛細管現象を実現するようにしてもよい。
【0028】
なお、上記実施形態では、第2スリット部7Bは接続面10の略法線方向(Z方向)に延びているように説明したが、側面6Bや天井面6Cで液化した冷媒5が毛細管現象により底面6Aに移動可能であれば、第2スリット部7BはZ方向以外の方向(XY方向)に延びていてもよい。
【0029】
上記実施形態では、側面6Bの全部に第2スリット部7Bが形成されているように説明したが、一部に形成されている構成であってもよい。また、複数並んだスリット部は等間隔に並んでいてもよいし不等間隔で並んでいてもよい。また、上記実施形態では、底面6Aの全部に第1スリット部7Aが形成されているように説明したが、一部に形成されている構成であってもよいし底面6Aにはスリット部はなくてもよい。また、上記実施形態では、第1スリット部7Aと第2スリット部7Bとが連続しているが連続していなくてもよい。なお、第1スリット部7Aと第2スリット部7Bとが連続していることにより側面6Bで液化した冷媒5は底面6Aに円滑に移動可能である。
【0030】
上記実施形態では、本発明の冷却装置を、燃料電池を冷却する場合の適用例について説明したが、冷却対象は燃料電池以外でももちろんよく、例えば発熱する電子機器であってもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の冷却装置によれば、機械的動作を最小限に抑えた状態で発熱体の冷却動作を行うことができるので、故障などの不具合の発生が抑制され、高い信頼性で冷却動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷却装置の一実施形態を示す概略図であって、(a)は側面図、(b)は(a)のA−A矢視図である。
【図2】本発明の冷却装置の要部断面斜視図である。
【図3】本発明の冷却装置の他の実施形態を示す概略図である。
【符号の説明】
1…冷却装置、2…燃料電池(発熱体)、3…内部空間、4…ラジエータ部、
5…冷媒、6…内壁部、6A…底面(第1の位置)、
6B…側面(第2の位置)、7…スリット部、7A…第1スリット部、
7B…第2スリット部、10…接続面、20…移動装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、発熱体を冷却する冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、負極に燃料としての水素、正極に酸化剤としての酸素又は空気を供給して、水素と酸素とを化学反応させ、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置である。燃料電池を用いた発電設備に関する技術が、例えば下記特許文献に開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−354132号公報
【0004】
ところで、燃料電池は発熱するため、冷却装置を用いて冷却する必要がある。
従来において、燃料電池を冷却する際には、ポンプなどの駆動装置を用いて冷媒を燃料電池に供給することにより、燃料電池を冷却していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したように、ポンプなどの駆動装置を用いて燃料電池を冷却する場合、回転部や摺動部などの駆動部が発生するため、機械故障が発生しやすく、装置の信頼性低下、短寿命化という不都合が生じる。更に、燃料電池を宇宙空間において使用することが検討されているが、ポンプなどの駆動装置を用いた場合、振動が発生して宇宙機に対して影響を及ぼすとともに、十分な冷却効果が得られないという問題も生じる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、ポンプなどの駆動装置を設けることなく発熱体を冷却できる冷却装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の冷却装置は、発熱体を冷却する冷却装置において、内部空間を有し、前記発熱体に接続するラジエータ部と、前記ラジエータ部の内壁部に設けられたスリット部と、前記内部空間に配置され、前記発熱体の発熱に基づき気化する冷媒とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ラジエータ部の内部空間に配置されている冷媒が発熱体の発熱に基づき気化することにより、この気化熱で発熱体を冷却できる。そして、気化して内部空間に分散した冷媒はラジエータ部の内壁部と接することにより冷却されて液化する。液化した冷媒は、毛細管現象により内壁部に形成されたスリット部に沿って移動し、ラジエータ部の内壁部のうち発熱体との接続部に相当する位置に再び供給され、発熱体を冷却する。このように、本発明の冷却装置は機械的動作を伴わないので、高い信頼性が得られ長寿命化を実現できる。
【0008】
本発明の冷却装置において、前記スリット部は、前記ラジエータ部の内壁部のうち前記発熱体との接続面に対応する第1の位置に設けられた第1スリット部と、前記内壁部のうち前記第1の位置以外の第2の位置に設けられ、前記第1スリット部と連続する第2スリット部とを有することを特徴とする。
これによれば、第1スリット部に配置されている冷媒が発熱体の発熱により気化して発熱体を冷却できる。気化して分散した冷媒は第1の位置以外の第2の位置に設けられている第2スリット部に接し、冷却されて液化する。そして、第2スリット部において液化した冷媒は第2スリット部に沿って移動し、この第2スリット部に連続する第1スリット部に再び配置され、発熱体を冷却する。
【0009】
本発明の冷却装置において、前記第2スリット部は、前記接続面の略法線方向に延びていることを特徴とする。
これによれば、その一端部を第1スリット部に連続させている第2スリット部の他端部は発熱部である第1の位置より遠方に配置されることになるので、気化した冷媒は第2スリット部の他端部近傍に接することにより確実に液化される。
【0010】
本発明の冷却装置において、前記内部空間に配置される前記冷媒の量は、前記内部空間の容積より少ないことを特徴とする。
すなわち、内部空間は冷媒に満たされておらず、したがって、第1の位置に配置された冷媒は確実に気化される。ここで、配置される冷媒の量は、ラジエータ部の内壁部に設けられたスリット部の全部を充たす程度が好ましい。これにより、第1の位置の第1スリット部の冷媒が気化してなくなったら、第2の位置の第2スリット部の冷媒が連続的に第1スリット部に供給されるので、発熱体を常時冷却できる。
【0011】
本発明の冷却装置において、前記発熱体に対して前記ラジエータ部を移動する移動装置を備えることを特徴とする。
これによれば、例えば太陽光などの熱源が存在した場合、移動装置によってラジエータ部を所望の位置に移動することにより、ラジエータ部が前記熱源により加熱することを抑えることができるので、内部空間において気化した冷媒がラジエータ部に接することにより液化される作用は妨げられない。
【0012】
本発明の冷却装置において、前記発熱体は宇宙機構成用装置であることを特徴とする。すなわち、本発明の冷却装置は、従来のポンプなど機械的動作を伴う機構を有していないので振動の発生が抑えられており、したがって、微小重力環境下であっても冷却動作を妨げられない。
更に、本発明の冷却装置を燃料電池を冷却するための冷却装置に適用することもできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の冷却装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の冷却装置の一実施形態を示す概略図であって、図1(a)は側面図、図1(b)は図1(a)のA−A矢視図である。本実施形態において、冷却装置は燃料電池を冷却するものである。また、本実施形態に係る燃料電池は、宇宙機の構成用装置である。すなわち、本実施形態に係る燃料電池及びこの燃料電池を冷却する冷却装置は微少重力環境である宇宙空間に設けられている。
【0014】
図1において、冷却装置1は発熱体である燃料電池2を冷却するものであって、燃料電池2に接続するラジエータ部4を備えている。本実施形態において、燃料電池2には2つのラジエータ部4が接続されている。燃料電池2は円柱状部材である。ラジエータ部4のそれぞれは直方体状部材であって内部空間3を有している。図1(b)に示すように、内部空間3は正面視長方形状である。そして、ラジエータ部4のそれぞれはその1つの外面を燃料電池2に接続している。ここで、ラジエータ部4の燃料電池2に接続する外面(接続面)10は円柱状部材である燃料電池2の外形に沿って僅かに湾曲している。そして、ラジエータ部4のそれぞれは、正面視長方形状の内部空間3の長手方向と円柱状部材である燃料電池2の放射方向とを一致させるように、燃料電池2に接続している。そして、図1(b)に示すように、ラジエータ部4のそれぞれは、燃料電池2を挟んで対向するように設けられている。なお、本実施形態ではラジエータ部4は燃料電池2に対して2つ接続されている構成であるが、1つでもよいし、3つ以上の任意の複数であってもよい。
ここで、以下の説明において、接続面10の法線方向をZ方向、Z方向に直交し燃料電池2の軸線方向をX方向、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向とする。
【0015】
内部空間3には、冷媒5が配置されている。この冷媒5は、発熱体である燃料電池3の発熱に基づき気化し、且つ、宇宙空間の温度において凝固しない材料により構成されており、例えばアンモニアにより構成されている。冷媒5は内部空間3全体に充たされてなく、内部空間3に配置されている冷媒5の量は内部空間3の容積より少なく設定されている。
【0016】
図2は、ラジエータ部4の断面斜視図である。
図2に示すように、ラジエータ部4の内壁部6にはスリット部7が設けられている。このスリット部7は、ラジエータ部4の内壁部6のうち燃料電池2との接続面10に対応する第1の位置6Aに設けられた第1スリット部7Aと、内壁部6のうち第1の位置6A以外の第2の位置6Bに設けられた第2スリット部7Bとを有する。ここで、以下の説明において、上記第1の位置6Aを「底面」、上記第2の位置6Bを「側面」と適宜称する。
【0017】
側面6Bに設けられた第2スリット部7Bは接続面10の略法線方向(Z方向)に延びている。そして、第2スリット部7Bは側面6Bの全面に形成されている。底面6Aに設けられた第1スリット部7Aは第2スリット部7Bと連続している。第1スリット部7Aは、燃料電池2の軸線と交わる方向(Y方向)に延びるように形成されており、底面6Aの全面に形成されている。なお、ラジエータ部4の内壁部6のうち天井面6Cにも第1スリット部7Aと同様のスリット部が形成されている。そして、冷媒5は第1スリット部7A及び第2スリット部7Bを全部を充たす程度に(内壁部6の全面を濡らす程度に)内部空間3に配置されている。
【0018】
次に、上述した冷却装置1の作用について説明する。
燃料電池2が発熱すると、ラジエータ部4の内部空間3に配置されている冷媒5のうち、底面6Aに配置されている冷媒5が気化する。ここで、冷媒5は内部空間3の全部に充たされていないため、冷媒5の気化は妨げられない。燃料電池2との接続面10に対応する底面6Aの冷媒5が燃料電池2の発熱に基づき気化することにより、燃料電池2はこの気化熱で冷却される。
【0019】
気化した冷媒5は内部空間3において分散する。気化して分散した冷媒5はやがて側面6Bや天井面6Cに接する。ここで、ラジエータ部4は宇宙空間に設けられており、側面6Bや天井面6Cは底面6Aに対して低温である。したがって、側面6Bや天井面6Cに接した冷媒5は冷却されて液化する。液化した冷媒5は毛細管現象により側面6Bに形成されている第2スリット部7Bに沿って底面6Aに移動する。ここで、側面6Bの第2スリット部7Bと底面6Aの第1スリット部7Aとは連続しているため、液化状態の冷媒5の底面6Aに対する移動は円滑に行われる。第2スリット部7B及び第1スリット部7Aにより底面6Aに移動した冷媒5は、再び燃料電池2を冷却する。
【0020】
ここで、第2スリット部7Bは接続面10の略法線方向に延びている構成であるため、天井面6C近傍に接した冷媒5が毛細管現象により第2スリット部7Bを移動する移動距離は長く設定される。したがって、燃料電池2の発熱により気化した冷媒5は、第2スリット部7Bのうち天井面6Cに接続する上端部(他端部)から底面6Aに接続する下端部(一端部)に移動するまでの間に確実に液化される。
【0021】
また、内部空間3に配置される冷媒5の量は、スリット部7(7A、7B)の全部を充たす程度に設定されているため、底面6Aの第1スリット部7Aの冷媒5が気化してなくなったら、側面6Bの第2スリット部7Bの冷媒5が連続的に第1スリット部6Bに供給されるので、燃料電池2を常時冷却可能である。
【0022】
以上説明したように、冷却装置1は冷媒5の移動により発熱体である燃料電池2を冷却する構成であり、駆動部の数が最小限に抑えられているので、故障などの不具合の発生は抑制され、高い信頼性を得ることができる。また、駆動部がないので長寿命化、低コスト化を実現できる。更に、駆動部がないため振動の発生を抑えることができ、発熱体や周辺装置に対する振動による不具合の発生を抑制できる。
【0023】
更に、冷媒5の移動は、スリット部7による毛細管現象を利用したものであるので、微少重力環境である宇宙空間においても冷媒5の移動は妨げられず、発熱体を確実に冷却できる。
【0024】
図3は、本発明の冷却装置の他の実施形態を示す概略図である。ここで、以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
図3において、冷却装置1は、発熱体である燃料電池2に対してラジエータ部4を移動する移動装置20を備えている。移動装置20は、燃料電池2に対してラジエータ部4を燃料電池2の軸線まわり方向(X軸まわり方向)に回転移動自在に支持する支持部21と、ラジエータ部4を駆動するアクチュエータ(モータなど)からなる駆動装置22とを備えている。そして、駆動装置22を駆動することにより、ラジエータ部4は燃料電池2の軸線まわり方向に移動する。
【0025】
ラジエータ部4を燃料電池2に対して移動する移動装置20を設けたことにより、この冷却装置1が宇宙空間に設けられている場合、例えば太陽光などの熱が作用されても、移動装置20によってラジエータ部4を太陽光の熱が作用されにくい位置に移動することにより、ラジエータ部4の加熱を抑えることができる。
したがって、内部空間3において気化した冷媒5がラジエータ部4に接して液化される作用は妨げられない。このように、移動装置20を設けたことにより、ラジエータ部4の温度管理を行うことができ、ひいては燃料電池2の冷却動作を円滑に行うことができる。
【0026】
なお、この場合において、例えばラジエータ部4の一部に、温度検出装置(あるいは太陽光の照度検出装置)を設けておき、この検出装置の検出結果に基づいて移動装置20が制御されるようにしてもよい。すなわち、例えば太陽光の照射によりラジエータ部4の温度が予め設定された設定値以上に加熱されたら、移動装置20はラジエータ部4を太陽光が作用されにくい位置に移動する。
【0027】
なお、上記各実施形態において、スリット部は7内壁部に形成した凹溝部でもよいしフィン部材を列設した構成でもよい。フィン部材を設けた場合、このフィン部材がラジエータ部4の補強部材としての機能を有する。更に、上記実施形態ではスリット部7により内壁部6における毛細管現象を実現しているが、例えば内壁部6に多孔質体を配置して毛細管現象を実現するようにしてもよい。
【0028】
なお、上記実施形態では、第2スリット部7Bは接続面10の略法線方向(Z方向)に延びているように説明したが、側面6Bや天井面6Cで液化した冷媒5が毛細管現象により底面6Aに移動可能であれば、第2スリット部7BはZ方向以外の方向(XY方向)に延びていてもよい。
【0029】
上記実施形態では、側面6Bの全部に第2スリット部7Bが形成されているように説明したが、一部に形成されている構成であってもよい。また、複数並んだスリット部は等間隔に並んでいてもよいし不等間隔で並んでいてもよい。また、上記実施形態では、底面6Aの全部に第1スリット部7Aが形成されているように説明したが、一部に形成されている構成であってもよいし底面6Aにはスリット部はなくてもよい。また、上記実施形態では、第1スリット部7Aと第2スリット部7Bとが連続しているが連続していなくてもよい。なお、第1スリット部7Aと第2スリット部7Bとが連続していることにより側面6Bで液化した冷媒5は底面6Aに円滑に移動可能である。
【0030】
上記実施形態では、本発明の冷却装置を、燃料電池を冷却する場合の適用例について説明したが、冷却対象は燃料電池以外でももちろんよく、例えば発熱する電子機器であってもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の冷却装置によれば、機械的動作を最小限に抑えた状態で発熱体の冷却動作を行うことができるので、故障などの不具合の発生が抑制され、高い信頼性で冷却動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷却装置の一実施形態を示す概略図であって、(a)は側面図、(b)は(a)のA−A矢視図である。
【図2】本発明の冷却装置の要部断面斜視図である。
【図3】本発明の冷却装置の他の実施形態を示す概略図である。
【符号の説明】
1…冷却装置、2…燃料電池(発熱体)、3…内部空間、4…ラジエータ部、
5…冷媒、6…内壁部、6A…底面(第1の位置)、
6B…側面(第2の位置)、7…スリット部、7A…第1スリット部、
7B…第2スリット部、10…接続面、20…移動装置
Claims (7)
- 発熱体を冷却する冷却装置において、
内部空間を有し、前記発熱体に接続するラジエータ部と、
前記ラジエータ部の内壁部に設けられたスリット部と、
前記内部空間に配置され、前記発熱体の発熱に基づき気化する冷媒とを備えることを特徴とする冷却装置。 - 前記スリット部は、前記ラジエータ部の内壁部のうち前記発熱体との接続面に対応する第1の位置に設けられた第1スリット部と、
前記内壁部のうち前記第1の位置以外の第2の位置に設けられ、前記第1スリット部と連続する第2スリット部とを有することを特徴とする請求項1記載の冷却装置。 - 前記第2スリット部は、前記接続面の略法線方向に延びていることを特徴とする請求項2記載の冷却装置。
- 前記内部空間に配置される前記冷媒の量は、前記内部空間の容積より少ないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の冷却装置。
- 前記発熱体に対して前記ラジエータ部を移動する移動装置を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の冷却装置。
- 前記発熱体は宇宙機構成用装置であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の冷却装置。
- 前記発熱体は燃料電池であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の冷却装置。
Priority Applications (1)
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JP2002270568A JP2004108645A (ja) | 2002-09-17 | 2002-09-17 | 冷却装置 |
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- 2002-09-17 JP JP2002270568A patent/JP2004108645A/ja active Pending
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