JP2004108478A - 回転伝達装置 - Google Patents

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JP2004108478A JP2002271415A JP2002271415A JP2004108478A JP 2004108478 A JP2004108478 A JP 2004108478A JP 2002271415 A JP2002271415 A JP 2002271415A JP 2002271415 A JP2002271415 A JP 2002271415A JP 2004108478 A JP2004108478 A JP 2004108478A
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Takahide Saito
齋藤 隆英
Takehito Sakurai
櫻井 武仁
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NTN Corp
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Abstract

【課題】従来の磁気的吸引力による電磁式に変え、遠心力を利用した機械式の摩擦抵抗付与手段を用いた回転伝達装置を提供する。
【解決手段】外輪2と入力軸4とローラ9を組込んだ保持器7とからなる2ウェイクラッチCを備え、保持器7の端部にアーマチュア13を一体に形成し、外輪2の端面2bにアーマチュア13を押圧する摩擦抵抗付与手段を組込んだ回転伝達装置1において、摩擦抵抗付与手段が、アーマチュア13に対向する入力軸4の端面に傾斜面16を形成し、これらで形成される環状空間内に複数の錘19を収容し、アーマチュア13と外輪2との対向する端面間の摩擦係数を、アーマチュア13の端面13bと錘19との間の摩擦係数よりも大きく設定すると共に、入力軸4の回転による遠心力により錘19が径方向外方に移動し、アーマチュア13を外輪2の端面2bに押付けるようにした。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の駆動経路上において、駆動力の伝達と遮断の切り換えに用いる回転伝達装置、特に、ローラを係合子として利用した回転伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
二つの回転軸の結合と切り離しを電磁的に制御し、かつ比較的大きな伝達が可能な機構として、電磁式ローラクラッチが知られている。電磁式ローラクラッチとは、係合子としてローラを用い、電磁力の作用でローラの位置を制御することで二つの回転軸を断続する機構である。
【0003】
図6は、こうした従来構造の第1例を示している。この回転伝達装置31は、従動部材となる外輪32と、この外輪32の内部に転がり軸受を介して回転自在に収容した入力軸33との間に配設した2ウェイクラッチAと、この2ウェイクラッチAを係脱する電磁クラッチBとからなる。
【0004】
2ウェイクラッチAは、外輪32の内径面に円筒面35を形成し、この円筒面35に対向するよう、入力軸33の大径部に所定の間隔をもって複数の平坦なカム面37を形成し、各カム面37と外輪32の円筒面35との間で、円周方向の両側が幅狭になる楔状空間を形成している。この対向面間に保持器38を収容し、この保持器38の両端をプレート39、40を介して入力軸33に回転自在に支承している。この保持器38には、周方向にカム面37と同数のポケット41を形成し、このポケット41に係合子としてのローラ42を組込んでいる。保持器38が周方向に所定量移動すると、カム面37と円筒面35の間の楔状空間にローラ42が係合し、外輪32と入力軸33を一体化する。また、保持器38と入力軸33との間に弾性部材であるスイッチばね45を撓ませて装着し、ローラ42が楔状空間に係合しない中立位置、すなわち、ローラ42と外輪32の円筒面35の間に径方向すきまが存在する位置に保持している。したがって、入力軸33と外輪32は係合せず、外輪32は空転が可能な状態となる。
【0005】
一方、電磁クラッチBは、外輪32の端部から一部外側に突出する固定部47に電磁コイル48を収容するフィールドコア49を固定し、このフィールドコア49に対して回転可能となるよう外嵌したロータ50を、外輪32内に嵌挿したロータガイド51に圧入固定している。
【0006】
ロータ50と、ロータガイド51のフランジ51aとの対向面間には、電磁コイル48の磁力によって移動吸着するアーマチュア53を、軸方向すきまをもって配設している。また、このアーマチュア53とロータ50の間に波ばね54を介在させ、アーマチュア53をロータ50から離反する方向に付勢している。また、アーマチュア53を保持器38の端部に、この保持器38と相対回転不能、かつ軸方向に移動可能に取付けている。
【0007】
この回転伝達装置31は、電磁コイル48に電流が印加されていない時、2ウェイクラッチAは、スイッチばね45の作用により、ローラ42はカム面37に係合しない中立位置にあり、外輪32は入力軸33に対して空転となる。
【0008】
一方、電磁コイル48に電流が印加されると、電磁コイル48の磁力によって、アーマチュア53が波ばね54のばね力に打ち勝ってロータ50に圧接し、アーマチュア53とロータ50間に摩擦力が発生する。この摩擦力が外輪32と保持器38とを一体化させるため、ローラ42はカム面37の中立位置から楔状空間の係合位置に移動し、2ウェイクラッチAの外輪32と入力軸33が一体化して係合状態となる。
【0009】
こうした従来の回転伝達装置31は、2ウェイクラッチAの結合と切り離しを、外輪32と一体に嵌合したロータ50と、保持器38に対し軸方向のみ移動可能に取付けたアーマチュア53との間に摩擦抵抗を付与することによって行なっていた。すなわち、摩擦抵抗の付与手段として、前述したように、電磁コイル48に電流を印加することで、ロータ50とアーマチュア53との間に磁気的吸引力を発生させるというものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−336799号公報(第3、4頁、第1図)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の回転伝達装置、すなわち電磁式ローラクラッチでは、磁気的吸引力により摩擦抵抗を付与するため、電磁コイル、およびこの電磁コイルに通電するための電気配線が必要となり、車両における配線の取り回しの問題がある。また、コイルの消費電力の低減や磁場形成のための構造的な制約があり、装置の軽量・コンパクト化におのずと限界が生じていた。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、従来の磁気的吸引力による電磁式に変え、遠心力を利用した機械式の摩擦抵抗付与手段を用いた回転伝達装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、外輪と、この外輪に内嵌される入力軸との対向面のうち一方に円筒面を、他方にこの円筒面との間で楔状空間を形成する複数のカム面を形成し、これら外輪と入力軸の対向面間に保持器を収容し、この保持器のポケットに、前記外輪と入力軸の相対回転によって前記円筒面とカム面に係合するローラを組込み、前記保持器と外輪または入力軸との間に、ローラを係合させず中立位置に保持するための弾性部材を組込み、前記保持器の端部にアーマチュアを当該保持器と相対回転不可に取り付け、前記外輪または入力軸の端面に前記アーマチュアを押圧する摩擦抵抗付与手段を組込んだ回転伝達装置において、前記摩擦抵抗付与手段が、前記アーマチュアと入力軸の互いに対向する端面の少なくとも一方の端面に、径方向外方に向け漸次接近する傾斜面を形成し、これらアーマチュアと入力軸の間で形成される環状空間内に複数の錘を収容してなり、前記アーマチュアと外輪との対向する端面間の摩擦係数を、前記アーマチュアまたは入力軸の端面と錘との間の摩擦係数よりも大きく設定すると共に、前記入力軸の回転による遠心力により前記錘が径方向外方に移動し、前記アーマチュアを前記外輪または入力軸の端面に押付けるようにした構成を採用した。
【0014】
このように、2ウェイクラッチの係脱を切り換えるための摩擦抵抗付与手段として、遠心力を用いた機械式を採用したので、従来の電磁式のような、磁気的吸引力により摩擦抵抗を付与するための電磁コイル、およびこの電磁コイルに通電するための電気配線が不要となり、車両における配線の取り回しの問題も解消する。また、磁場形成のための構造的な制約がなくなり、装置の軽量・コンパクト化を達成することができる。さらに、アーマチュアと外輪との対向する端面間の摩擦係数を、アーマチュアまたは入力軸の端面と錘との間の摩擦係数よりも大きく設定したので、外輪の端面とアーマチュアの端面間の摩擦抵抗と、アーマチュアの端面と錘間の摩擦抵抗との差が一段と大きくなり、保持器の回動により楔空間にローラを安定して押し込むことができ、2ウェイクラッチの切り換え時の挙動を安定させることができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明のように、前記外輪の内径に円筒面を形成し、この外輪に軸受を介して前記入力軸を回転自在に内嵌し、この入力軸に前記円筒面との間で楔状空間を形成する複数のカム面を形成すると共に、これら外輪と入力軸の対向面間に収容した保持器のポケットに、前記外輪と入力軸の相対回転によって前記円筒面とカム面に係合するローラを組込み、前記保持器と入力軸との間に、ローラを係合させず中立位置に保持するための弾性部材を組込んだ構成を採用すれば、簡単な構造でローラを中立位置に保持することができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明のように、前記外輪およびアーマチュアの対向する端面の少なくとも一方に摩擦材を固着することにより、アーマチュアと外輪との対向する端面間の摩擦係数を大きくすることができ、外輪に連れ回りする保持器の回動により楔空間にローラを安定して押し込むことができる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明のように、前記アーマチュアまたは入力軸の端面と錘との間にスラスト軸受を挿入することにより、アーマチュアまたは入力軸の端面と錘との間の摩擦係数を小さくすることができ、外輪に連れ回りする保持器の回動により楔空間にローラを安定して押し込むことができる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明のように、前記弾性部材を、その両端に突部を有する略C形のリングばねとし、前記カム面を有する部材と前記保持器の端部にそれそれ形成した切欠き部にその両端を撓ませた状態で係止すれば、適宜なばね力を設定することができ、保持器の位相を安定して保持することができる。
【0019】
好ましくは、請求項6に記載の発明のように、前記保持器とアーマチュアとを一体に形成すれば、部品点数を削減でき、組込み性を向上することができるだけでなく、アーマチュアの直角度等を規制することができ、安定した切換機能を発揮することができる。
【0020】
また、請求項7に記載の発明のように、前記保持器と、外輪または入力軸の間に所定の径方向すきまを設け、前記外輪または入力軸に対し当該保持器を回転自在に支持すれば、保持器を回転自在に安定して支持することができると共に、従来のプレート等の部品を廃止でき、すべてのローラを確実に係脱することができる。したがって、装置の一層の軽量・コンパクト化が図れる。
【0021】
また、請求項8に記載の発明のように、前記アーマチュアに対向して多板クラッチを並設すれば、錘による軸方向力で多板クラッチの摩擦板に摩擦力を発生させ、この摩擦力が外輪と入力軸の回転差を吸収するように作用するため衝撃力を緩和させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る回転伝達装置の第1の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1のII―II線に沿った横断面図である。
【0023】
この回転伝達装置1は、従動部材となる外輪2の内部に転がり軸受3を介して入力軸4を回転自在に収容し、これら外輪2と入力軸4の間に2ウェイクラッチCを配設している。
【0024】
2ウェイクラッチCは、外輪2の内径に円筒面2aを形成し、この円筒面2aに対向して入力軸4の大径部5の外径面5aに所定の間隔をおいて複数の平坦なカム面6を形成している。各カム面6は、外輪2の円筒面2aとの間で、円周方向の両側が幅狭となる楔状空間を形成している。
【0025】
図2に示すように、入力軸4の外径面5aと外輪2の円筒面2aの間に保持器7を収容している。この保持器7と外径面5aとの間に所定の径方向すきまを設け、保持器7を入力軸4に対して回転自在に支持している。また、保持器7の周方向にカム面6と同数のポケット8を形成し、このポケット8に係合子としてのローラ9を組込んでいる。ローラ9は、入力軸4の各カム面6に対してそれぞれ1個ずつ組込み、保持器7の回動によって周方向に所定量移動すると、カム面6と円筒面2aの間の楔状空間に係合して外輪2と入力軸4を一体化する。
【0026】
また、図3に示すように、保持器7と入力軸4の一端部には、周方向の一部に切欠き部10、11を形成し、そこに弾性部材であるスイッチばね12を撓ませた状態で両端を係止させ、保持器7の中立位置を保持している。スイッチばね12は、その両端が保持器7側に延びる突部12aを有し、全体として略C形のリング状をなしている。なお、弾性部材として、切欠き部10、11にコイルばねや板ばね等を装着し、両切欠き部10、11の位相を保持するようにしても良い。
【0027】
ここで、保持器7と入力軸4は、互いの切欠き部10、11が合致している時は、入力軸4のカム面6と保持器7のポケット8およびローラ9の位置関係は、図2に示すように、ローラ9と外輪2の円筒面2aの間に径方向すきまが存在する中立位置を保持している。したがって、外輪2と入力軸4は係合せず、入力軸4に対して外輪2は空転可能な状態となっている。
【0028】
図1に示すように、保持器7の他端部には、径方向外方に延びるアーマチュア13を一体に形成している。このアーマチュア13の一端面13aには環状溝14を形成し、波ばね15を収容している。波ばね15は、外輪2の端面2bに対し離反する方向にアーマチュア13を付勢している。ここで、アーマチュア13と保持器7とを一体に形成しているため、部品点数が削減でき、組込み性を向上することができると共に、アーマチュア13の直角度を規制することができ、安定した切換機能を発揮することができる。さらには、従来のように、プレート等で保持器7を支持することなく、保持器7と入力軸4の円弧状の外径面5aとの間に所定の径方向すきまを設け、この入力軸4に対して保持器7を回転自在に安定して支持することができるため、すべてのローラ9を確実に係脱することができる。
【0029】
入力軸4には、アーマチュア13の他端面13bに対向し、径方向外方に向け漸次接近する傾斜面16を有する切換部17を一体に形成している。この切換部17の外径に円筒部18を連設し、外輪2の外径を覆って内部を密封している。アーマチュア13の他端面13bと傾斜面16の間に形成された環状空間内には鋼球等からなる錘19を複数個収容している。ここでは切換部17を入力軸4一体に形成した構造を例示したが、例えば鋼鈑をプレス成形した別体の切換部を入力軸4に一体固着しても良い。
【0030】
切換部17の傾斜面16、および保持器7の表面には浸炭焼入れ等の熱処理によって硬化層を形成し、錘19の接触による摩耗を防止している。特に、保持器7は、摩耗防止と熱処理による変形を抑制するため、浸炭窒化や軟窒化処理が好適である。
【0031】
ここで、外輪2の端面2bには、摩擦係数を増大させるために摩擦材20を一体に固着している。また、アーマチュア13の端面13bと錘19間にはスラスト軸受21を挿入している。このスラスト軸受21は、軌道盤21aと、この軌道盤21aと端面13bで挟持される転動体(ころ)21b、および転動体21bを周方向等配に転動可能に保持する保持器21cとからなる。なお、摩擦材20は、外輪2の端面2bに限らず、アーマチュア13の一端面13aに固着しても、また両方に固着しても良い。
【0032】
こうした回転伝達装置1において、入力軸4が停止している場合は、錘19はその自重で傾斜面16の内径側に位置しているが、入力軸4が一旦回転すると、その回転数に応じて錘19が遠心力を受け、傾斜面16に沿って半径方向外方に移動していく。そして軌道盤21aと傾斜面16とで形成される楔空間内に錘19が押し込まれる。その結果、アーマチュア13が波ばね15に抗して外輪2の端面2b側に移動する。回転数が比較的低い場合は、錘19による軸方向力F1は、波ばね15の離反力Fwより小さくF1<Fwの時は、アーマチュア13の一端面13aと外輪2の端面2bとは衝合しない。そのため、これらアーマチュア13の一端面13aと外輪2の端面2bには摩擦抵抗は発生せず、ローラ9はカム面6に対して中立位置を保持している。
【0033】
入力軸4の回転数が上昇し、錘19による軸方向力F2が波ばね15の離反力Fwを上回りF2>Fwとなると、アーマチュア13の一端面13aと外輪2の端面2bに摩擦抵抗μF2が発生する。ここで、μは摩擦係数を示している。しかし、この場合でも、錘19による軸方向力F2が、カム面6に対してローラ9を中立位置に保持しているスイッチばね12の保持力Fsを上回らない限り、すなわち、μF2<Fsの時は、ローラ9はカム面6に対して依然中立位置を保持したままとなっている。
【0034】
さらに入力軸4の回転数が上昇すると、錘19による軸方向力F3が波ばね15の離反力Fwを上回りF3>Fwとなり、かつ、スイッチばね12の保持力Fsを上回りμF3>Fsとなった場合、外輪2と入力軸4との相対回転によって保持器7が回動して周方向に所定量移動する。すると、ローラ9がカム面6と円筒面2aの間の楔状空間に係合して外輪2と入力軸4が一体化する。
【0035】
こうした回転伝達装置1では、簡単な切換部17の構成で2ウェイクラッチCの係脱の切換ができるため、部品点数を削減することができ、また、従来の電磁クラッチ式のように、磁場形成のための構造的な制約もないため、装置の軽量・コンパクト化が達成できると共に、電磁コイル、およびこの電磁コイルに通電するための電気配線が不要となり、車両における配線の取り回しの問題も解消することができる。
【0036】
この種の構造では、外輪2の端面2bとアーマチュア13の端面13a間の摩擦抵抗αと、アーマチュア13の端面13bと錘19間の摩擦抵抗βとの相対差が小さいと、保持器7でローラ9を楔空間に押し込もうとする摩擦抵抗αによる回動力に対し、同等な摩擦抵抗βによる逆向きの回動力が作用し、安定して楔空間にローラ9を押し込むことが難しくなる。したがって、この実施形態では、外輪2の端面2bに摩擦材20を固着し、かつ、錘19とアーマチュア13との間にスラスト軸受21を介在させているため、外輪2の端面2bとアーマチュア13の端面13a間の摩擦抵抗αと、アーマチュア13の端面13bと錘19間の摩擦抵抗βとの相対差が一段と大きくなり、保持器7の回動により楔空間にローラ9を安定して押し込むことができ、2ウェイクラッチCの切り換え時の挙動を安定させることができる。
【0037】
外輪2の端面2bとアーマチュア13の端面13a間の摩擦抵抗αを大きくするため、外輪2の端面2bに摩擦材20を固着した例を示したが、これに限らず、外輪2の端面2bにショットピーニング等により表面粗さを粗くするか、また、内部の潤滑油を積極的に外部に放出するための放射状溝を外輪2の端面2bに形成して摩擦係数を大きくするようにしても良い。
【0038】
さらに、アーマチュア13の端面13bと錘19間の摩擦抵抗βを小さくするため、アーマチュア13と錘19との間にスラスト軸受21を介在させた構造を例示したが、これに限らず、例えば、アーマチュア13の端面13bを鏡面仕上げするか、あるいはフッ素処理等、低摩擦材からなる表面処理を施すことによって摩擦係数を減少させるようにしても良い。また、スラスト軸受21は、ころを使用した転がり軸受を例示したが、これに限らず、例えば、低摩擦材からなる合成樹脂製の滑り軸受であっても良い。
【0039】
なお、ここでは、2ウェイクラッチCとして、外輪2の内径に円筒面2aを形成し、入力軸4の大径部5に複数のカム面6を形成した構成を例示したが、これとは逆に入力軸の外径に円筒面、外輪の内径にカム面をそれぞれ形成し、保持器と外輪との間に、ローラを係合させず中立位置に保持するための弾性部材を組込むような構成であっても差し支えない。
【0040】
図4は本発明に係る回転伝達装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。図1に例示した実施形態と異なる点は、切換部の構成のみで、前述した第1の実施形態と同一部位、同一部品には同一符号を付け、その詳細な説明を省略する。
【0041】
この回転伝達装置22は、従動部材となる外輪2の内部に転がり軸受3を介して入力軸4’を回転自在に収容し、これら外輪2と入力軸4’の間に2ウェイクラッチCを配設している。
【0042】
この回転伝達装置22において、保持器7’の他端部には、径方向外方に延びるアーマチュア23を一体に形成している。このアーマチュア23の一端面23aには環状溝14を形成し、波ばね15を収容している。波ばね15は、外輪2の端面2bに対し離反する方向にアーマチュア23を付勢している。また、保持器7’と入力軸4’の外径面5aとの間に所定の径方向すきまを設け、保持器7’をこの入力軸4’に対して回転自在に支持している。
【0043】
入力軸4’は、外径面5aから径方向外方に立設された垂直壁24と、この垂直壁24から軸方向に延びる円筒部18を有している。これら垂直壁24と円筒部18とで構成される切換部17’にはスラスト軸受21が挿入されている。一方、アーマチュア23の他端面23bは、径方向外方に向け垂直壁24に漸次接近するよう傾斜して形成されている。そしてこのアーマチュア23の他端面23bとスラスト軸受21の軌道盤21a間に形成された環状空間内には鋼球等からなる錘19を複数個収容している。
【0044】
ここで、入力軸4’の回転数が上昇していくと、錘19に生じる遠心力により、アーマチュア23の軸方向力が波ばね15の離反力とスイッチばね12の保持力を上回り、外輪2と入力軸4’との相対回転によって保持器7’が回動して周方向に所定量移動する。すると、ローラ9がカム面6と円筒面2aの間の楔状空間に係合して外輪2と入力軸4’が一体回転する。
【0045】
こうした2ウェイクラッチCの切り換えタイミングを変更するには、傾斜角等、楔状空間の仕様を変更することで対応できるが、本実施形態では、アーマチュア23を交換するだけで適宜容易に対応することができる特徴を有している。
【0046】
図5は本発明に係る回転伝達装置の第3の実施形態を示す縦断面図である。図1に例示した実施形態と異なる点は、切換部の構成のみで、前述した第1の実施形態と同一部位、同一部品には同一符号を付け、その詳細な説明を省略する。
【0047】
この回転伝達装置25は、従動部材となる外輪26の内部に転がり軸受3を介して入力軸4を回転自在に収容している。これら外輪26と入力軸4の間に2ウェイクラッチCを配設している。
【0048】
この回転伝達装置25において、保持器7の他端部には、径方向外方に延びるアーマチュア13を一体に形成している。このアーマチュア13の一端面13aには環状溝14を形成し、波ばね15を収容している。波ばね15は、外輪26の端面2bに対し離反する方向にアーマチュア13を付勢している。保持器7と入力軸4の外径面5aとの間に所定の径方向すきまを設け、保持器7をこの入力軸4に対して回転自在に支持している。
【0049】
入力軸4には、アーマチュア13の他端面13bに対向し、径方向外方に向け漸次接近する傾斜面16を有する切換部17を一体に形成している。この切換部17は、傾斜面16から軸方向に延びる円筒部18を有している。また、この円筒部18は外輪26の外縁2cに対峙し、ラビリンスすきまを介して内部を密封している。そしてアーマチュア13の他端面13bと傾斜面16の間に形成された環状空間内には鋼球等からなる錘19を複数個収容している。
【0050】
また、アーマチュア13の他端面13bと傾斜面16間の環状空間内には、多板クラッチ27がスラスト軸受21を介して挿入されている。多板クラッチ27は、外輪26の内径に装着した外側摩擦板27aと、入力軸4の外径面5aに装着した内側摩擦板27bを交互に対向配置することによって構成されている。この外側摩擦板27aと内側摩擦板27bは、外輪26と入力軸4にそれぞれ相対回転不可に、また軸方向移動可能に装着されている。
【0051】
外輪26と入力軸4との間に回転差があり、かつ、錘19が傾斜面16に沿って径方向外方に移動した場合、この錘19による軸方向力が両摩擦板27a、27bを押圧して摩擦力が発生する。この摩擦力が外輪26と入力軸4の回転差を吸収するように作用して衝撃力を緩和させる。この多板クラッチ27は乾式でも良いが、ここでは2ウェイクラッチCの潤滑を行なうグリースもしくはオイルを共用している。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る回転伝達装置は、外輪と、この外輪に内嵌される入力軸との対向面のうち一方に円筒面を、他方にこの円筒面との間で楔状空間を形成する複数のカム面を形成し、これら外輪と入力軸の対向面間に保持器を収容し、この保持器のポケットに、前記外輪と入力軸の相対回転によって前記円筒面とカム面に係合するローラを組込み、前記保持器と外輪または入力軸との間に、ローラを係合させず中立位置に保持するための弾性部材を組込み、前記保持器の端部にアーマチュアを当該保持器と相対回転不可に取り付け、前記外輪または入力軸の端面に前記アーマチュアを押圧する摩擦抵抗付与手段を組込んだ回転伝達装置において、前記摩擦抵抗付与手段が、前記アーマチュアと入力軸の互いに対向する端面の少なくとも一方の端面に、径方向外方に向け漸次接近する傾斜面を形成し、これらアーマチュアと入力軸の間で形成される環状空間内に複数の錘を収容してなり、前記アーマチュアと外輪との対向する端面間の摩擦係数を、前記アーマチュアまたは入力軸の端面と錘との間の摩擦係数よりも大きく設定すると共に、前記入力軸の回転による遠心力により前記錘が径方向外方に移動し、前記アーマチュアを前記外輪または入力軸の端面に押付けるようにした構成を採用したので、従来の電磁式のような、磁気的吸引力により摩擦抵抗を付与するための電磁コイル、およびこの電磁コイルに通電するための電気配線が不要となり、車両における配線の取り回しの問題も解消する。また、磁場形成のための構造的な制約がなくなり、装置の軽量・コンパクト化を達成することができる。さらに、アーマチュアと外輪との対向する端面間の摩擦係数を、アーマチュアまたは入力軸の端面と錘との間の摩擦係数よりも大きく設定したので、外輪の端面とアーマチュアの端面間の摩擦抵抗と、アーマチュアの端面と錘間の摩擦抵抗との差が一段と大きくなり、保持器の回動により楔空間にローラを安定して押し込むことができ、2ウェイクラッチの切り換え時の挙動を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回転伝達装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った横断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿った横断面図である。
【図4】本発明に係る回転伝達装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。
【図5】本発明に係る回転伝達装置の第3の実施形態を示す縦断面図である。
【図6】従来の回転伝達装置を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1、22、25・・・・・・・・回転伝達装置
2、26・・・・・・・・・・・外輪
2a・・・・・・・・・・・・・円筒面
2b・・・・・・・・・・・・・外輪端面
2c・・・・・・・・・・・・・外輪外縁
3・・・・・・・・・・・・・・転がり軸受
4、4’・・・・・・・・・・・・入力軸
5・・・・・・・・・・・・・・大径部
5a・・・・・・・・・・・・・外径面
6・・・・・・・・・・・・・・カム面
7、7’・・・・・・・・・・・保持器
8・・・・・・・・・・・・・・ポケット
9・・・・・・・・・・・・・・ローラ
10、11・・・・・・・・・・切欠き部
12・・・・・・・・・・・・・スイッチばね
12a・・・・・・・・・・・・突部
13、23・・・・・・・・・・アーマチュア
13a、23a・・・・・・・・一端面
13b、23b・・・・・・・・他端面
14・・・・・・・・・・・・・環状溝
15・・・・・・・・・・・・・波ばね
16・・・・・・・・・・・・・傾斜面
17、17’・・・・・・・・・切換部
18・・・・・・・・・・・・・円筒部
19・・・・・・・・・・・・・錘
20・・・・・・・・・・・・・摩擦材
21・・・・・・・・・・・・・スラスト軸受
21a・・・・・・・・・・・・軌道盤
21b・・・・・・・・・・・・転動体
21c・・・・・・・・・・・・保持器
24・・・・・・・・・・・・・垂直壁
27・・・・・・・・・・・・・多板クラッチ
27a・・・・・・・・・・・・外側摩擦板
27b・・・・・・・・・・・・内側摩擦板
31・・・・・・・・・・・・・回転伝達装置
32・・・・・・・・・・・・・外輪
33・・・・・・・・・・・・・入力軸
35・・・・・・・・・・・・・円筒面
36・・・・・・・・・・・・・大径部
37・・・・・・・・・・・・・カム面
38・・・・・・・・・・・・・保持器
39、40・・・・・・・・・・プレート
41・・・・・・・・・・・・・ポケット
42・・・・・・・・・・・・・ローラ
45・・・・・・・・・・・・・スイッチばね
47・・・・・・・・・・・・・固定部
48・・・・・・・・・・・・・電磁コイル
49・・・・・・・・・・・・・フィールドコア
50・・・・・・・・・・・・・ロータ
51・・・・・・・・・・・・・ロータガイド
51a・・・・・・・・・・・・フランジ
53・・・・・・・・・・・・・アーマチュア
54・・・・・・・・・・・・・波ばね
A、C・・・・・・・・・・・・2ウェイクラッチ
B・・・・・・・・・・・・・・電磁クラッチ
F1、F2、F3・・・・・・・軸方向力
Fs・・・・・・・・・・・・・保持力
Fw・・・・・・・・・・・・・離反力
α、β・・・・・・・・・・・・摩擦抵抗

Claims (8)

  1. 外輪と、この外輪に内嵌される入力軸との対向面のうち一方に円筒面を、他方にこの円筒面との間で楔状空間を形成する複数のカム面を形成し、これら外輪と入力軸の対向面間に保持器を収容し、この保持器のポケットに、前記外輪と入力軸の相対回転によって前記円筒面とカム面に係合するローラを組込み、前記保持器と外輪または入力軸との間に、ローラを係合させず中立位置に保持するための弾性部材を組込み、前記保持器の端部にアーマチュアを当該保持器と相対回転不可に取り付け、前記外輪または入力軸の端面に前記アーマチュアを押圧する摩擦抵抗付与手段を組込んだ回転伝達装置において、
    前記摩擦抵抗付与手段が、前記アーマチュアと入力軸の互いに対向する端面の少なくとも一方の端面に、径方向外方に向け漸次接近する傾斜面を形成し、これらアーマチュアと入力軸の間で形成される環状空間内に複数の錘を収容してなり、前記アーマチュアと外輪との対向する端面間の摩擦係数を、前記アーマチュアまたは入力軸の端面と錘との間の摩擦係数よりも大きく設定すると共に、前記入力軸の回転による遠心力により前記錘が径方向外方に移動し、前記アーマチュアを前記外輪または入力軸の端面に押付けるようにしたことを特徴とする回転伝達装置。
  2. 前記外輪の内径に円筒面を形成し、この外輪に軸受を介して前記入力軸を回転自在に内嵌し、この入力軸に前記円筒面との間で楔状空間を形成する複数のカム面を形成すると共に、これら外輪と入力軸の対向面間に収容した保持器のポケットに、前記外輪と入力軸の相対回転によって前記円筒面とカム面に係合するローラを組込み、前記保持器と入力軸との間に、ローラを係合させず中立位置に保持するための弾性部材を組込んだ請求項1に記載の回転伝達装置。
  3. 前記外輪およびアーマチュアの対向する端面の少なくとも一方に摩擦材を固着した請求項1または2に記載の回転伝達装置。
  4. 前記アーマチュアまたは入力軸の端面と錘との間にスラスト軸受を挿入した請求項1乃至3いずれかに記載の回転伝達装置。
  5. 前記弾性部材を、その両端に突部を有する略C形のリングばねとし、前記カム面を有する部材と前記保持器の端部にそれそれ形成した切欠き部にその両端を撓ませた状態で係止した請求項1乃至4いずれかに記載の回転伝達装置。
  6. 前記保持器とアーマチュアとを一体に形成した請求項1乃至5いずれかに記載の回転伝達装置。
  7. 前記保持器と前記外輪または入力軸の間に所定の径方向すきまを設け、前記外輪または入力軸に対し当該保持器を回転自在に支持した請求項1乃至6いずれかに記載の回転伝達装置。
  8. 前記アーマチュアに対向して多板クラッチを並設した請求項1乃至7いずれかに記載の回転伝達装置。
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