JP2004107607A - 硬化性組成物 - Google Patents

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岩切 浩
Shintarou Yukimitsu
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Abstract

【課題】破断時伸び特性に優れた硬化物を与える反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体とを含有する硬化性組成物を提供すること。
【解決手段】反応性ケイ素基を有するポリオキシプロピレンなどの反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)、反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリルエステル系重合体などの反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)及び低分子量のポリオキシプロピレンなどのポリオキシアルキレン系可塑剤(C)を含有する、湿分の存在下で反応し架橋してゴム状硬化物を与える硬化性組成物。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素原子含有官能基(以下、反応性ケイ素基ともいう)を有するオキシアルキレン系重合体を含有する新規な硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体をベースにした室温硬化性組成物は、例えば建築物のシーリング材(変成シリコーン系シーリング材と呼ばれている)に利用でき、優れた性能を有している。これらは種々の特性が要求されるが、モジュラス、破断伸び、破断強度などの機械物性に加え、長期にわたる耐候性は重要な特性であり、これまでにも多くの検討が行われてきている。その結果、モジュラス、破断伸び、破断強度などの機械物性は硬化性組成物中にフタル酸エステルやポリエーテル系可塑剤等を添加することによりシーリング材に好適な物性を得ることができることが知られている。また、耐候性は反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体に反応性ケイ素基を有するビニル系重合体をブレンドすることにより、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体のみで用いた場合に比較して改良できることが特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5等に開示されている。
【0003】
近年住宅等建築物の性能保証期間の長期化に伴い、シーリング材にも性能の経時劣化がないことが求められているが、建築用シーリング材を含め、シーリング材には一般に高い破断伸びが求められる。特に、経時的に大きい収縮がおきる窯業系サイジングボード用のシーリング材には高い破断伸びが求められる。
【0004】
たとえば、日本窯業外装材協会が制定した窯業系サイディング用シーリング材試験法によれば250%以上の破断伸びが求められる。しかし、経時劣化などを見込みこの倍の値、すなわち500%以上、好ましくは600%以上、の破断伸びが望ましい。反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体を含有する組成物の硬化物は優れた耐候性を有するものの、反応性ケイ素基を有するビニル系重合体を含有しない組成物に比較し硬化物の破断伸びが劣ることが判明した。硬化物の破断伸びが劣る反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体を含有する組成物を用いると十分な破断伸びを得るために可塑剤を大量に使用しなければならないなど配合組成が制限されるという不都合がある。従って、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体や反応性ケイ素基を有するビニル系重合体など重合体を改質することにより優れた伸び特性を有する硬化物を与えることが必要である。
【0005】
さらに非特許文献1に記載されているように、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体に用いる可塑剤としては可塑化に優れた効果を有するフタル酸エステル系可塑剤が用いられることが多いが、近年環境問題からフタル酸エステル系可塑剤以外の可塑剤の使用が求められることがある。しかしながら、優れた伸び特性の硬化物を与える重合体が得られても可塑剤の可塑化効率が劣れば重合体における改善効果が相殺されることになる。
【0006】
【特許文献1】
特開昭59−122541号公報
【0007】
【特許文献2】
特開昭60−031556号公報
【0008】
【特許文献3】
特開昭63−112642号公報
【0009】
【特許文献4】
特開平6−172631号公報
【0010】
【特許文献5】
特開平7−90171号公報
【0011】
【非特許文献1】
建築用シーリング材(日本シーリング材工業会発行)158ページ
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体および非フタル酸エステル系可塑剤を含有する硬化性組成物であって、反応性ケイ素基を有する重合体は硬化物に優れた伸び特性を与えかつ用いる非フタル酸エステル系可塑剤はフタル酸エステル系可塑剤と同程度の可塑化効率を有する硬化性組成物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体を含有する硬化性組成物の硬化物の破断伸びを改善するには反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量を16,000以上にすることが非常に有効であること、およびオキシアルキレン系重合体可塑剤が可塑剤として優れること、を見出し、本発明に到達した。即ち、本発明は次の発明に関する。
(1)数平均分子量16,000以上であって、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素原子含有官能基を有するオキシアルキレン系重合体(A)、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素原子含有官能基を有するビニル系重合体(B)及び重合体(A)よりも分子量が小さいオキシアルキレン系重合体可塑剤(C)を含有することを特徴とする硬化性組成物。
(2)オキシアルキレン系重合体(A)がポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、プロピレンオキシド−エチレンオキシド共重合体、およびポリブチレンオキシドから選ばれる少なくとも1種である、(1)に記載の硬化性組成物。
(3)オキシアルキレン系重合体(A)がオキシプロピレン系重合体である(2に記載の硬化性組成物。
(4)オキシアルキレン系重合体(A)の主鎖骨格が複合金属シアン化物錯体触媒を用いて得られる重合体である(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(5)オキシアルキレン系重合体(A)の主鎖骨格が実質的に直鎖状重合体である(1)〜(4)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(6)オキシアルキレン系重合体(A)の反応性ケイ素基が、1個のケイ素原子からなりこのケイ素原子に2個の加水分解性基が結合している基である(1)〜(5)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(7)オキシアルキレン系重合体(A)の反応性ケイ素基がジメトキシメチルシリル基である(6)記載の硬化性組成物。
(8)反応性ケイ素基がオキシプロピレン系重合体(A)の分子鎖末端に存在する(1)〜(7)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(9)ビニル系重合体(B)がアクリル酸アルキルエステルおよび/又はメタクリル酸アルキルエステルに起因する単量体単位を含有する(1)〜(8)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(10)ビニル系重合体(B)がアクリル酸アルキルエステルおよび/又はメタクリル酸アルキルエステルに起因する単量体単位を重合体中70重量%以上含有する(9)に記載の硬化性組成物。
(11)ビニル系重合体(B)の数平均分子量が5,000以上30,000以下である(1)〜(10)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(12)ビニル系重合体(B)の数平均分子量が10,000以上20,000以下である(11)に記載の硬化性組成物。
(13)オキシアルキレン系重合体(A)とビニル系重合体(B)が別々に合成される重合体である(1)〜(12)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(14)オキシアルキレン系重合体(A)とビニル系重合体(B)の重量組成比が90/10〜10/90である(1)〜(13)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(15)オキシアルキレン系重合体可塑剤(C)の数平均分子量が500〜15,000である(1)〜(14)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(16)オキシアルキレン系重合体可塑剤(C)の数平均分子量が1,000〜8,000である(15)記載の硬化性組成物。
(17)オキシアルキレン系重合体可塑剤(C)の使用量が、オキシアルキレン系重合体(A)とビニル系重合体(B)との合計100重量部に対して5〜150重量部である(1)〜(16)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(18)オキシアルキレン系重合体可塑剤(C)の使用量が、オキシアルキレン系重合体(A)とビニル系重合体(B)との合計100重量部に対して10〜120重量部である(17)記載の硬化性組成物。
(19)オキシアルキレン系重合体可塑剤(C)の使用量が、オキシアルキレン系重合体(A)とビニル系重合体(B)との合計100重量部に対して20〜100重量部である(18)記載の硬化性組成物。
(20)オキシアルキレン系重合体可塑剤(C)に加えさらに他の可塑剤を併用する(1)〜(19)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(21)オキシアルキレン系重合体可塑剤(C)と他の可塑剤の重量比が90/10〜10/90である(20)に記載の硬化性組成物。
(22)サイジングボードの目地用シーラントとして使用される(1)〜(21)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(23)サイジングボードが窯業系サイジングボードである(22)に記載の硬化性組成物。
(24)直径が0.1mm以上の鱗状または粒状の物質がさらに配合されている(1)〜(23)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(25)バルーンがさらに配合されている(1)〜(23)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(26)バルーンの粒径が0.1mm以上である(25)に記載の硬化性組成物。
(27)ビニル重合体(B)がオキシアルキレン系重合体可塑剤(C)中で重合されたものであって、重合する際に用いたオキシアルキレン系重合体可塑剤(C)が可塑剤の一部または全部に用いられる請求項13の硬化性組成物。
【0014】
本発明の組成物は反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量が16,000以上であるため硬化物の破断時伸びが大きいものになるが、さらにオキシアルキレン系重合体可塑剤(C)を使用しているため、ジオクチルフタレートやジイソデシルフタレートなどの低分子可塑剤を使用した同様の組成物に比較し硬化物の破断時伸び特性が同等あるいはさらに優れるという効果がある。この効果はオキシアルキレン系重合体(A)の分子量を大きくしたために破断時伸び特性が優れるという効果と相俟ってシーリング材、特にサイジングボード用シーリング材にはきわめて有用である。
【0015】
【発明の実施の形態】
オキシアルキレン系重合体(A)の主鎖は本質的に、
【0016】
【化1】
Figure 2004107607
(式中、Rは2価の有機基であり、炭素数1〜14の直鎖状もしくは分岐アルキレン基が好ましい。)で示される繰り返し単位を有する。このような重合体は比較的ガラス転移温度が低く、得られる硬化物が耐寒性に優れることから好ましい。化1におけるRは、炭素数1〜14の、さらには2〜4の、直鎖状もしくは分岐状アルキレン基が好ましい。化1で示される繰り返し単位の具体例としては、
【0017】
【化2】
Figure 2004107607
等が挙げられる。オキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。ポリエチレンオキシド(ポリオキシエチレン)、ポリプロピレンオキシド(ポリオキシプロピレン)、ポリブチレンオキシド(ポリオキシブチレン)、ポリテトラメチレンオキシド(ポリオキシテトラメチレン)、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体、プロピレンオキシド−ブチレンオキシド共重合体等が例示される。特にシーラントや接着剤等に使用される場合には、プロピレンオキシド系重合体(ポリプロピレンオキシド)、特にプロピレンオキシド単位を80重量%以上、好ましくは90重量%以上、を含有するプロピレンオキシドを主成分とする重合体が非晶質であることや比較的低粘度である点から好ましい。
【0018】
オキシアルキレン系重合体の合成法としては、たとえばKOHのようなアルカリ触媒による重合法、たとえば特開昭61−215623号に示される有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体のような遷移金属化合物−ポルフィリン錯体触媒による重合法、たとえば特公昭46−27250号、特公昭59−15336号、米国特許3278457号、米国特許3278458号、米国特許3278459号、米国特許3427256号、米国特許3427334号、米国特許3427335号に示される複合金属シアン化物錯体触媒による重合法、たとえば特開平11−60723号に示されるフォスファゼンを用いた重合法等があげられ、特に限定されるものではないが、複合金属シアン化物錯体触媒による重合法が好ましい。数平均分子量10,000以上のポリオキシプロピレンなどのポリオキシアルキレンは製造コストなどの理由から複合金属シアン化物錯体触媒により製造されるのが好ましい。
【0019】
反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)成分中に含有される反応性ケイ素基は、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し硬化触媒によって触媒される反応によりシロキサン結合を形成することにより架橋しうる基である。代表例としては、
【0020】
【化3】
Figure 2004107607
(式中、RおよびRは、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基またはR’SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、RまたはRが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1または2を、それぞれ示す。またm個の
【0021】
【化4】
Figure 2004107607
で表される基におけるbは同一である必要はない。mは0〜19の整数を示す。但し、a+(bの和)≧1を満足するものとする。)で表わされる基があげられる。
【0022】
上記Xで示される加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましく、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。
【0023】
該加水分解性基や水酸基は1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、a+(bの和)は1〜5の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0024】
前記反応性ケイ素基を形成するケイ素原子は1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合等により連結されたケイ素原子の場合には、20個程度あってもよい。なお、
【0025】
【化5】
Figure 2004107607
(式中、R,Xは前記と同じ、aは1,2または3の整数)で表わされる反応性ケイ素基が、入手が容易である点から好ましい。
【0026】
また上記化3、化4、化5におけるRおよびRの具体例としては、たとえばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、R’がメチル基、フェニル基等であるR’SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等があげられる。これらの中ではメチル基が特に好ましい。
【0027】
反応性ケイ素基のより具体的な例示としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジイソプロポキシメチルシリル基が挙げられる。
【0028】
ケイ素原子、特に同一のケイ素原子、に結合している加水分解性基の数が多くなるほど、反応性ケイ素基の反応性が大きくなり、本発明の組成物の硬化速度が大きくなる傾向にある。但し、硬化物の破断伸びは低下することがある。例えばトリメトキシシリル基はジメトキシメチルシリル基より反応性が大きく、トリメトキシシリル基を有する重合体はジメトキシメチルシリル基を有する重合体より反応性が大きく硬化速度が大きくなるが硬化物の破断伸びは小さくなる傾向にある。トリメトキシシリル基を有するオキシアルキレン系重合体をオキシアルキレン系重合体(A)として用いたり、トリメトキシシリル基を有するオキシアルキレン系重合体とジメトキシメチルシリル基を有する重合体を併用することにより硬化速度が大きい硬化性組成物を得ることができる。また、同じ重合体に両方の基を導入することによっても硬化速度が大きい硬化性組成物を得ることができる。トリメトキシシリル基を有する重合体など、反応性が大きい重合体の使用量や同じ重合体中の両方の基の割合などは所望の硬化物の破断伸びや硬化速度が得られるように適宜定められる。
【0029】
反応性ケイ素基の導入は公知の方法で行えばよい。すなわち、分子中に水酸基、ビニル基などの不飽和基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基を有する有機重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる。例えば以下の方法が挙げられる。
【0030】
(イ)分子中に水酸基等の官能基を有する有機重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させ、不飽和基を含有する有機重合体を得る。もしくは、不飽和基含有エポキシ化合物との共重合により不飽和基含有有機重合体を得る。ついで得られた反応生成物に反応性ケイ素基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する。特に亜鉛ヘキサシアノコバルテートなどの複合金属シアン化物錯体触媒を用いて得られた水酸基末端オキシアルキレン重合体をアルコキシド化した後、塩化アリルと反応させアリルオキシ(CH=CHCHO−)基末端オキシアルキレン重合体を製造し、ジメトキシメチルシランなどのシラン化合物を作用させてヒドロシリル化する方法があげられる。また、水酸基末端オキシアルキレン重合体をアルコキシド化した後、塩化メタリルと反応させメタリルオキシ基末端オキシアルキレン重合体を製造し、ジメトキシメチルシランなどのシラン化合物を作用させてヒドロシリル化することもできる。メタリルオキシ(CH=C(CH)CHO−)基末端オキシアルキレン重合体を用いるとアリルオキシ基末端重合体よりシリル化率が高い重合体を得ることができるため、この重合体を用いた硬化性組成物は大きい機械強度を有する硬化物を与えることができる。メタリルオキシ基末端オキシアルキレン重合体由来の反応性ケイ素基を有する重合体はアリルオキシ基末端オキシアルキレン重合体由来の反応性ケイ素基を有する重合体と混合して用いることができる。アリルオキシ基末端やメタリルオキシ基末端のオキシアルキレン重合体をヒドロシリル化して得られる重合体(A)は末端にエーテル結合を有しておりウレタン結合などを有する重合体に比較し組成物の粘度が低く好ましい。
【0031】
(ロ)(イ)法と同様にして得られた不飽和基を含有する有機重合体にメルカプト基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる。
【0032】
以上の方法のなかで、反応性ケイ素基を有する化合物を有機重合体の末端において反応させる方法が好ましい。
【0033】
反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)は直鎖状、または分岐を有してもよい。分子量が同じであれば直鎖状の重合体を用いると分岐を有する重合体に比較し硬化物の破断伸びが大きいものになるが、硬化前の組成物の粘度が大きくなり取り扱いにくくなる傾向にある。反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量は下限が16,000である。上限は50,000であることが好ましく、30,000であるのがより好ましく、25,000であることがさらに好ましい。数平均分子量が16,000未満では得られる反応性ケイ素基含有アルキレンオキシド系重合体の硬化物の破断時伸び特性が不足し、50,000を越えると官能基濃度が低くなりすぎ、硬化速度が低下する、また、重合体の粘度が高くなりすぎ、取扱いが困難となるため好ましくない。さらに、数平均分子量が16,000から30,000であることが、得られる反応性ケイ素基含有オキシアルキレン系重合体の粘度の点から特に好ましい。
【0034】
反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)の分子量を増加させるよりも反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)の分子量を増加させる方が、硬化物の破断時伸びの改善に効率的である。一般に反応性ケイ素基の種類、重合体1分子あたりの量が同じであれば重合体の分子量を増加させれば反応性ケイ素基の密度が減少するので反応性ケイ素基の反応速度が低下し硬化性組成物の硬化速度が低下することが予測される。しかしながら本発明の組成物において、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量を16,000以上にしても硬化速度の低下はほとんどない。
【0035】
さらに、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)の分子量を大きくすると架橋点が減少するため耐候性が低下する傾向にあるが本発明の組成物ではサンシャインウェザオメーターの評価で耐候性の低下における差はほとんど認められないという利点も有している。破断時伸びの点から反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量は17,000以上、さらには18,000以上、特には19,000以上が好ましい。分子量の上限は25,000、さらには23,000、特には22,000が組成物の粘度の点から好ましい。
【0036】
硬化物の破断時伸びを改善するため、オキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量を16,000以上にする場合、十分な破断伸びを得るためにオキシアルキレン系重合体は実質的に分岐を有しない直鎖状の重合体であることが好ましい。さらに、オキシアルキレン系重合体(A)の反応性ケイ素基は、ジメトキシメチルシリル基のような、1個のケイ素原子に2個の加水分解性基が結合した基であることが好ましい。ジメトキシメチルシリル基のような1個のケイ素原子に2個の加水分解性基が結合した基の量がオキシアルキレン系重合体(A)中の50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上が望ましい。反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量とは次の通りである。
【0037】
JISK1557の水酸基価の測定方法と、JISK0070のよう素価の測定方法の原理に基づいた滴定分析により、直接的に末端基濃度を測定し、ポリエーテルオリゴマーの構造(末端数、使用した重合開始剤によって定まる)を考慮して求めた数平均分子量(末端基分子量)に相当する分子量と定義している。数平均分子量の相対測定法として一般的なGPC測定により求めたポリスチレン換算分子量と上記末端基分子量の検量線を作成し、GPC分子量を末端基分子量に換算して求めることが可能である。水酸基や不飽和基以外の官能基を含む重合体の場合、相対測定法で測定できる。
【0038】
不飽和基含有ポリオキシアルキレンなど反応性ケイ素基導入前の重合体分子量と反応性ケイ素基が導入された重合体の分子量を比較すると、通常反応性ケイ素基が導入された重合体の分子量が少し大きくなる傾向にあるが、重合体(A)の硬化反応が進行しない限り大きい差はない。
【0039】
本発明で用いられるオキシアルキレン系重合体(A)の反応性ケイ素基は重合体1分子中に平均して少なくとも1個、好ましくは1.1〜5個存在するのがよい。実質的に直鎖状重合体の場合、1.2〜1.6個存在するのが好ましい。分子中に含まれる反応性ケイ素基の数が平均して1個未満になると、硬化性が不充分になり、また多すぎると網目構造があまりに密となるため良好な機械特性を示さなくなる。
【0040】
本発明で用いられるオキシアルキレン系重合体(A)の反応性ケイ素基はポリエーテル分子鎖の内部に側鎖として存在してもよく、末端に存在してもよいが、反応性ケイ素基が側鎖として存在すると、最終的に形成される硬化物に含まれる有効網目鎖量が小さくなるため、高弾性率で低破断伸びを示すゴム状硬化物が得られやすくなる。一方、反応性ケイ素基が分子鎖の末端近傍に存在すると最終的に形成される硬化物に含まれる有効網目鎖量が多くなるため、高強度、高破断時伸びで低弾性率を示すゴム状硬化物が得られやすくなる。特に、反応性ケイ素基が分子鎖の末端に存在すると最終的に形成される硬化物に含まれる有効網目鎖量が最も多くなるため、引張り物性として大きい破断伸びと柔軟性に富むゴム弾性を有することが望ましい建築物のシーラント用途等には好ましい。
【0041】
オキシアルキレン系重合体への反応性ケイ素基の導入については、特公昭45−36319号、同46−12154号、特開昭50−156599号、同54−6096号、同55−13767号、同55−13468号、同57−164123号、特公平3−2450号、米国特許3632557号、米国特許4345053号、米国特許4366307号、米国特許4960844号等の各公報に提案されているもの、また特開昭61−197631号、同61−215622号、同61−215623号、同61−218632号の各公報に提案されている数平均分子量6,000以上、Mw/Mnが1.6以下の高分子量で分子量分布が狭いオキシアルキレン系重合体にヒドロシリル化等によりジメトキシメチルシリル基等の反応性ケイ素基を導入するものや特開平3−72527号に提案されているものが例示できる。
【0042】
反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)は、得られる組成物の粘度上昇に対する寄与が大きく作業性を低下させる傾向にあるが、反応性ケイ素基を有するオキシプロピレン系重合体(A)として複合金属シアン化物錯体触媒を用いて得られるオキシプロピレン系重合体を用いることによって、得られる組成物の粘度の上昇を抑え作業性を向上させることができる。複合金属シアン化物錯体触媒を用いると、Mw/Mnが1.6以下、好ましくは1.5以下、の重合体を得ることができる。反応性ケイ素基を有するオキシプロピレン系重合体(A)として複合金属シアン化物錯体触媒を用いて得られるオキシプロピレン系重合体を用いても数平均分子量が16,000以上の直鎖状の重合体を用い、反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)として(メタ)アクリル系ランダム共重合体などのリビングラジカル重合法でないラジカル重合法によって得られる重合体を用いると、組成物の粘度が非常に大きくなることが予測されるが、シーリング材組成物として使用できる100Pa・sあるいは80Pa・s程度の範囲内に収まる。従って、粘度を低下させるため溶剤や過剰の可塑剤を使用するなど特別な配合処方を使用する必要がなく、また使用しても量を少なくすることができる。
【0043】
本発明では反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)を重合体(A)と併用して用いる。反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)と反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)とをブレンドする方法は、特開昭59−122541号、同63−112642号、特開平6−172631号、特開昭60−228517号等の各公報に具体的に開示されているが、これらに限定されるものではない。
【0044】
本発明のビニル系重合体(B)に用いられる単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル類(以下、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルを(メタ)アクリル酸エステル類ともいう);アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ化合物;ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ化合物;その他アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等があげられる。
【0045】
特に、硬化物がゴム弾性を要し、さらに耐候性を要求される場合は、(メタ)アクリル酸エステル類、特に(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、を含むことが望ましく、50重量%以上、さらには70重量%以上、特には80重量%以上、最も望ましくは85%以上あるいは90重量%以上用いるのが良い。
【0046】
また、反応性ケイ素基を有するオキシプロピレン系重合体(A)との相溶性の観点から、炭素数9以上、好ましくは10以上のアルコールに由来するアクリル酸エステル単量体および/またはメタクリル酸エステル単量体(以下、アクリル酸エステル単量体および/またはメタクリル酸エステル単量体を(メタ)アクリル酸エステル単量体ともいう)を(メタ)アクリル酸アルキルエステル類の一部((メタ)アクリル酸アルキルエステル類の5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%)に用いることが好ましいが、必ずしも炭素数9以上のアルコールに由来する(メタ)アクリル酸エステル単量体を用いなくてもよく、炭素数9以上のアルコールに由来する(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有しないアクリル酸ブチルやアクリル酸ブチルとアクリル酸エチルの併用系などの(メタ)アクリル酸エステル単量体も用いることができる。
【0047】
該ビニル系重合体(B)は、数平均分子量で500〜100,000のものが取り扱いの容易さの点から好ましい。さらに3,000〜30,000のもの、特に5,000〜20,000のものが好ましい。特に本発明では10,000〜20,000のものが硬化物の伸び物性が改善されかつ耐候性、作業性が良好であることからより好ましい。伸び特性が若干低下する傾向にあるものの数平均分子量10,000〜20,000の重合体と同程度に伸び特性を維持し、作業性をさらに良好なものにするには数平均分子量を5,000〜12,000、さらには7,000〜10,000にすることも可能である。ビニル系重合体(B)の数平均分子量はGPCによるポリスチレン換算分子量として測定する。該ビニル系重合体(B)が有する反応性ケイ素基としては上記の反応性ケイ素基を同様に用いることができ、好ましい反応性ケイ素基なども同様である。また、ビニル系重合体(B)1分子当りの反応性ケイ素基の個数は1.1〜5個が好ましいトリメトキシシリル基など反応性が大きい反応性ケイ素基をビニル系重合体に導入し組成物の硬化速度を大きくすることができる。詳細についてはすでに説明したとおりである。ビニル系重合体にトリメトキシシリル基など反応性が大きい官能基を導入することは容易であるので好ましい。ビニル系重合体(B)における反応性ケイ素基の導入法は特開昭63−112642号公報などに記載されている。
【0048】
ビニル系重合体(B)の骨格重合体は通常ラジカル開始剤を用いた一般的なラジカル重合法により製造されるが、特開2000−178456号公報に開示されているように、リビングラジカル重合法などにより得ることもできる。一般的なラジカル重合法では数平均分子量10,000以上において、分子量分布(Mw/Mn)が通常1.8以上になり、リビングラジカル重合法では分子量分布(Mw/Mn)が1.8未満のもの、さらには1.7以下や1.6以下のものが得られる。分子量分布(Mw/Mn)はGPC(ポリスチレン換算)を用いて測定することができる。
【0049】
通常のラジカル重合法、典型的にはアゾ系あるいはパーオキシ系のラジカル開始剤を用いる重合法で得られる分子量分布が広いビニル系重合体を反応性ケイ素基含有オキシアルキレン系重合体(A)とともに用いた硬化性組成物は反応性ケイ素基含有オキシアルキレン系重合体(A)のみを用いた硬化性組成物より粘度が上昇し作業性が悪化するが、シーリング材に用いることができる粘度を有する硬化性組成物を得ることができる。反応性ケイ素基を有するビニル系重合体のうち反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル系重合体が好ましいが、通常のラジカル重合法でこの重合体を得る場合、単量体として炭素数9以上、好ましくは炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体および反応性ケイ素基を有するアクリル系および/またはメタクリル系単量体を用い、これらのランダム共重合体を得るのが好ましい。また、単量体として炭素数9以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を用いずに、炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と反応性ケイ素基を有するアクリル系および/またはメタクリル系単量体を用い、これらのランダム共重合体を得るのが好ましい。これらの共重合体はもちろん他の単量体単位を含んでいてもよい。さらに反応性ケイ素基を有するランダム共重合体としてアクリル系および/またはメタクリル系単量体の一部にかえて水酸基などの官能基を有するアクリル系および/またはメタクリル系単量体を用い、同様の重合法でランダム共重合体を製造し、その官能基を利用して反応性ケイ素基を導入したアクリル系および/またはメタクリル系ランダム共重合体を用いることもできる。
【0050】
反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)の組成比(A)/(B)(重量比)は上限が90/10であることが好ましく、80/20であることがより好ましく、75/25であることがさらに好ましく、70/30であることが特に好ましい。下限は10/90であることが好ましく、25/75であることがより好ましく、30/70であることが更に好ましい。上限と下限の12個のいずれの組合せも用いることができ狭い範囲ほど好ましい。90/10より大きくなり、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)の量が多くなると、変成シリコーン系シーリング材の耐候性として、耐候性が不充分な場合がある。一方、10/90を下まわり、反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)の量が多くなると耐候性は改善されるが組成物の粘度が高くなり組成物の取り扱い作業性が悪くなることがある。
【0051】
反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)として反応性ケイ素基を有するアクリル酸アルキルエステル系重合体および/またはメタクリル酸アルキルエステル系重合体を用い、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)として反応性ケイ素基を有するオキシプロピレン系重合体を用いた場合上記上限下限の重量比範囲の他、(A)/(B)は75/25〜55/45の範囲が好ましい。特に、数平均分子量16,000以上、特には18,000以上であって、分子量分布Mw/Mnが1.5以下の反応性ケイ素基を有するオキシプロピレン系重合体を用いる場合、上記上限下限の重量比範囲の他、(A)/(B)は75/25〜55/45の範囲が好ましい。(A)/(B)が75/25〜55/45の範囲であるとより十分に耐候性と作業性が両立しうる。さらに好ましくは70/30〜55/45の範囲である。
【0052】
反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)のブレンド方法として、単に2種の重合体を別途合成し混合する方法や反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)の存在下にビニル系単量体を重合する方法あるいは特開昭59−78223号、特開昭60−228516号、特開昭60−228517号の各公報に記載されている方法をあげることができるが、特に反応性ケイ素基を有するオキシプロピレン系重合体(A)を用いる場合、2種の重合体を別途合成し混合する方法が耐候性の点から好ましい。さらに、ビニル重合体(B)をオキシアルキレン系重合体可塑剤(C)中で重合したものを用いる方法は引っ張り伸び特性さらに良好になるので好ましい。この場合は重合する際に用いたオキシアルキレン系重合体可塑剤(C)が本発明の硬化性組成物の可塑剤の一部または全部に用いられる。
【0053】
本発明で用いる重合体(A)よりも分子量が小さいオキシアルキレン系重合体可塑剤(C)としてポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体等が例示される。これらの中ではポリオキシプロピレンが好ましい。
【0054】
オキシアルキレン系重合体可塑剤(C)の分子量は反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)の可塑剤として作用するものであり、その分子量はオキシアルキレン系重合体(A)より小さいことが必要である。下限は500が好ましく、800がより好ましく、1000がさらに好ましい。上限は15,000が好ましく、10,000がより好ましく、8,000がさらに好ましく、5,000が特に好ましい。上限と下限の12個のいずれの組合せも用いることができ狭い範囲ほど好ましい。より改善された伸び特性を得るには、〜5,000、より好ましくは〜4,000、さらに好ましくは下限が500で上限が5,000、特に好ましくは下限が800で上限が5,000の組合せがよい。分子量が低すぎると熱や降雨により可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できず、耐候性も改善できない傾向にある。また、分子量が高すぎると粘度が高くなり、作業性が悪くなる傾向にある。数平均分子量はオキシアルキレン系重合体(A)に用いる分子量と同じく、末端基分析によって得られた数平均分子量に相当する分子量である。
【0055】
分子量分布は小さいほうが粘度が低くなり好ましくMw/Mnが1.6以下、さらには1.5以下の重合体をもちいることができる。分子量分布(Mw/Mn)はGPC(ポリスチレン換算)を用いて測定する。
【0056】
(C)成分として用いるオキシアルキレン系重合体は通常の苛性アルカリを用いる重合法によって製造されたものでよいが、亜鉛ヘキサシアノコバルテートなどの複合金属シアン化物錯体を触媒として用いる重合法によって製造されたものも用いることができる。
【0057】
(C)成分として用いるオキシアルキレン系重合体として末端に水酸基を有する重合体を用いることができる。また、硬化物の表面のべたつきや硬化物表面へのアルキッド塗料の塗装性を改善するために特開平1−279958号公報に記載されているような末端をアリル基などの基で封鎖した重合体を用いることもできる。(C)成分として反応性ケイ素基を有しない重合体をもちいることができるが、反応性ケイ素基を導入してもよい。この場合、反応性可塑剤となり可塑剤の溶出などを防止できる。反応性ケイ素基の導入量は重合体1分子あたり1個未満が好ましい。
【0058】
可塑剤(C)の使用量は、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)との合計100重量部に対して下限は5重量部が好ましく、10重量部がより好ましく、20重量部がさらに好ましい。上限は150重量部が好ましく、120重量部がより好ましく、100重量部がさらに好ましい。5重量部未満では可塑剤としての効果が発現しにくくなり、150重量部を越えると硬化物の機械強度が不足する傾向にある。なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。
【0059】
本発明の組成物を硬化させるにあたっては、硬化触媒を使用してもしなくてもよい。硬化触媒を使用する場合には、従来公知のものを広く使用することができる。その具体例としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、チタンテトラアセチルアセトナートなどのチタン化合物;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズフタレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジエチルヘキサノレート、ジブチルスズジメチルマレエート、ジブチルスズジエチルマレエート、ジブチルスズジブチルマレエート、ジブチルスズジオクチルマレエート、ジブチルスズジトリデシルマレエート、ジブチルスズジベンジルマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジエチルマレエート、ジオクチルスズジオクチルマレエート、ジブチルスズジメトキサイド、ジブチルスズジノニルフェノキサイド、ジブテニルスズオキサイド、ジブチルスズジアセチルアセトナート、ジブチルスズジエチルアセトアセトナート、ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物等の4価のスズ化合物;オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ステアリン酸スズ、バーサチック酸スズなどの2価のスズ化合物;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどの有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナートなどのジルコニウム化合物類;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)などのアミン系化合物、あるいはこれらアミン系化合物のカルボン酸などとの塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤;などのシラノール縮合触媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒などの公知のシラノール縮合触媒等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
【0060】
これらの硬化触媒の使用量は、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)の合計量100重量部に対して、0.1〜20重量部程度が好ましく、1〜10重量部程度が更に好ましい。硬化触媒の使用量が少なすぎると、硬化速度が遅くなり、また硬化反応が充分に進行しにくくなるので、好ましくない。一方、硬化触媒の使用量が多すぎると、硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、良好な硬化物が得られにくくなるので、好ましくない。
【0061】
本発明の硬化性組成物においては、縮合触媒の活性をより高めるために、一般式 RSi(OR)4−a(式中、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である。さらに、aは0、1、2、3のいずれかである。)で示されるケイ素化合物を添加しても構わない。前記ケイ素化合物としては、限定はされないが、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等の一般式中のRが、炭素数6〜20のアリール基であるものが、組成物の硬化反応を加速する効果が大きいために好ましい。特に、ジフェニルジメトキシシランやジフェニルジエトキシシランは、低コストであり、入手が容易であるために特に好ましい。このケイ素化合物の配合量は、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)の合計量100重量部に対して0.01〜20重量部程度が好ましく、0.1〜10重量部が更に好ましい。ケイ素化合物の配合量がこの範囲を下回ると硬化反応を加速する効果が小さくなる場合がある。一方、ケイ素化合物の配合量がこの範囲を上回ると、硬化物の硬度や引張強度が低下することがある。
【0062】
本発明の組成物には、シランカップリング剤、シランカップリング剤の反応物、またはシランカップリング剤以外の化合物を接着性付与剤として添加することができる。シランカップリング剤の具体例としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。本発明に用いるシランカップリング剤は、通常、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)の合計量100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲で使用される。特に、0.5〜10重量部の範囲で使用するのが好ましい。
【0063】
本発明の硬化性組成物に添加されるシランカップリング剤の効果は、各種被着体、すなわち、ガラス、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、銅、モルタルなどの無機基材や、塩ビ、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどの有機基材に用いた場合、ノンプライマー条件またはプライマー処理条件下で、著しい接着性改善効果を示す。ノンプライマー条件下で使用した場合には、各種被着体に対する接着性を改善する効果が特に顕著である。シランカップリング剤以外の具体例としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硫黄、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。上記接着性付与剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。これら接着性付与剤は添加することにより被着体に対する接着性を改善することができる。
【0064】
本発明の組成物は、種々の充填剤を配合することができる。充填剤としては、フュームシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸、およびカーボンブラックの如き補強性充填剤;重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、ガラスミクロバルーン、フェノール樹脂や塩化ビニリデン樹脂の有機ミクロバルーン、PVC粉末、PMMA粉末など樹脂粉末の如き充填剤;石綿、ガラス繊維およびフィラメントの如き繊維状充填剤等が挙げられる。充填剤を使用する場合、その使用量は反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)の合計量100重量部に対して1〜300重量部、好ましくは10〜200重量部である。
【0065】
これら充填剤の使用により強度の高い硬化物を得たい場合には、主にヒュームシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレー、および活性亜鉛華などから選ばれる充填剤が好ましく、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)との合計100重量部に対し、1〜200重量部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。また、低強度で破断伸びが大である硬化物を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛、およびシラスバルーンなどから選ばれる充填剤を反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)と、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)との合計100重量部に対して5〜200重量部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。なお、一般的に炭酸カルシウムは、比表面積の値が大きいほど硬化物の破断強度、破断伸び、接着性の改善効果は大きくなる。もちろんこれら充填剤は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。脂肪酸表面処理膠質炭酸カルシウムと表面処理がされていない重質炭酸カルシウムなど粒径が1μ以上の炭酸カルシウムを併用して用いることができる。
【0066】
組成物の作業性(キレなど)向上や硬化物表面を艶消し状にするために、有機バルーン、無機バルーンの添加が好ましい。これらの充填剤は表面処理することもでき、1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用することもできる。作業性(キレなど)向上には、バルーンの粒径は0.1mm以下が好ましい。硬化物表面を艶消し状にするためには、5〜300μmが好ましい。
【0067】
本発明の組成物は硬化物の耐候性が良好であるなどの理由により、サイジングボード、特に窯業系サイジングボード、など住宅の外壁の目地に好適に用いられるが、外壁の意匠とシーリング材の意匠が調和することが望ましい。特に、外壁としてスパッタ塗装、着色骨材などの混入により高級感のある外壁が用いられるようになっている。本発明の組成物が直径が0.1mm以上、好ましくは0.1〜5.0mm程度の鱗片状または粒状の物質が配合されていると、硬化物はこのような高級感のある外壁と調和し、耐候性がすぐれるためこの硬化物の外観は長期にわたって持続するすぐれた組成物となる。粒状の物質を用いると砂まき調あるいは砂岩調のざらつき感がある表面となり、鱗片状物質を用いると鱗片状に起因する凹凸状の表面となる。
【0068】
鱗片状または粒状の物質の好ましい直径、配合量、材料などは特開平9−53063号公報に記載されているように次の通りである。
【0069】
直径は0.1mm以上、好ましくは0.1〜5.0mm程度であり、外壁の材質、模様等に合わせて適当な大きさのものが使用される。0.2mm〜5.0mm程度や0.5mm〜5.0mm程度のものも使用可能である。鱗片状の物質の場合には、厚さが直径の1/10〜1/5程度の薄さ(0.01〜1.00mm程度)とされる。鱗片状または粒状の物質は、シーリング主材内に予め混合されてシーリング材として施工現場に運搬されるか、使用に際して、施工現場にてシーリング主材内に混合される。
【0070】
鱗片状または粒状の物質は、シーリング材組成物100重量部に対して、1〜200重量部程度が配合される。配合量は、個々の鱗片状または粒状の物質の大きさ、外壁の材質、模様等によって、適当に選定される。
【0071】
鱗片状または粒状の物質としては、ケイ砂、マイカ等の天然物、合成ゴム、合成樹脂、アルミナ等の無機物が使用される。目地部に充填した際の意匠性を高めるために、外壁の材質、模様等に合わせて、適当な色に着色される。
【0072】
好ましい仕上げ方法などは特開平9−53063号公報に記載されている。
【0073】
また、同様の目的でバルーン(好ましくは平均粒径が0.1mm以上のもの)を用いれば砂まき調あるいは砂岩調のざらつき感がある表面になり、かつ軽量化を図ることができる。バルーンの好ましい直径、配合量、材料などは特開平10−251618号公報に記載されているように次の通りである。
【0074】
バルーンは、球状体充填剤で内部が中空のものである。このバルーンの材料としては、ガラス、シラス、シリカなどの無機系の材料、および、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリスチレン、サランなどの有機系の材料があげられるが、これらのみに限定されるものではなく、無機系の材料と有機系の材料とを複合させたり、また、積層して複数層を形成させたりすることもできる。無機系の、あるいは有機系の、またはこれらを複合させるなどしたバルーンを使用することができる。また、使用するバルーンは、同一のバルーンを使用しても、あるいは異種の材料のバルーンを複数種類混合して使用しても差し支えがない。さらに、バルーンは、その表面を加工ないしコーティングしたものを使用することもできるし、またその表面を各種の表面処理剤で処理したものを使用することもできる。たとえば、有機系のバルーンを炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどでコーティングしたり、無機系のバルーンをシランカップリング剤で表面処理することなどがあげられる。
【0075】
砂まき調あるいは砂岩調のざらつき感がある表面を得るには、バルーンは粒径が0.1mm以上であることが好ましい。0.2mm〜5.0mm程度や0.5mm〜5.0mm程度のものも使用可能である。0.1mm未満のものでは、多量に配合しても組成物の粘度を上昇させるだけで、ざらつき感が発揮されない場合がある。バルーンの配合量は目的とする砂まき調あるいは砂岩調のざらつき感の程度によって容易に定めることができる。通常、粒径が0.1mm以上のものを組成物中の容積濃度で5〜25vol%の範囲となる割合で配合することが望ましい。バルーンの容積濃度が5vol%未満であるとざらつき感がなく、また25vol%を超えると、シーリング材の粘度が高くなり作業性が悪く、硬化物のモジュラスも高くなり、シーリング材の基本性能が損なわれる傾向にある。シーリング材の基本性能とのバランスが特に好ましい容積濃度は8〜22vol%である。
【0076】
バルーンを用いる際には特開2000−154368号公報に記載されているようなスリップ防止剤、特開2001−164237号公報に記載されているような硬化物の表面を凹凸状態に加えて艶消し状態にするためのアミン化合物、特に融点35℃以上の第1級および/または第2級アミンを添加することができる。
【0077】
バルーンの具体例は特開平2−129262号、特開平4−8788号、特開平4−173867号、特開平5−1225号、特開平7−113073号、特開平9−53063号、特開平10−251618号、特開2000−154368号、特開2001−164237号、WO97/05201号などの各公報に記載されている。
【0078】
本発明の組成物がシーリング材硬化物粒子を含むと硬化物は表面に凹凸を形成し意匠性を向上させることができる。シーリング材硬化物粒子の好ましい直径、配合量、材料などは特開2001−115142号公報に記載されているように次の通りである。直径は0.1mm〜1mm、さらには0.2〜0.5mm程度が好ましい。配合量は硬化性組成物中に5〜100重量%、さらには20〜50重量%が好ましい。材料は、ウレタン樹脂、シリコーン、変成シリコーン、多硫化ゴム等を挙げることができシーリング材に用いられるものであれば限定されないが、変成シリコーン系のシーリング材が好ましい。
【0079】
本発明の組成物は、オキシアルキレン系重合体可塑剤の他に適宜他の可塑剤成分を添加することができる。可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状の調節等の目的により、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチル等の脂肪族エステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル、等の炭化水素系油;プロセスオイル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;ポリエステル系可塑剤類等;アクリル酸エステルやアクリルアミドなどのアクリル系単量体の重合体などのアクリル成分を有する可塑剤;を単独、または2種以上混合して使用することができるが、必ずしも必要とするものではない。なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。本発明の組成物にオキシアルキレン系重合体可塑剤以外の可塑剤を併用する場合、オキシアルキレン系重合体可塑剤とこれ以外の可塑剤以外の可塑剤との重量比は90/10〜10/90、さらには70/30〜30/70の範囲が好ましい。
【0080】
本発明の組成物には特にアクリル成分を有する可塑剤を併用するのが好ましい。アクリル成分を有する可塑剤はアクリル酸エステルやアクリルアミドなどのアクリル系単量体の重合体である。アクリル酸エステルの共重合体を含めた重合体、アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体が好ましい。アクリル酸エステルの具体例としては本発明の(B)成分の製造に用いるアクリル酸エステルを例示できる。アクリル酸アルキルエステルが好ましく、特にアクリル酸ブチルやアクリル酸エチルなどの炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが好ましい。この可塑剤の添加により、硬化性組成物の粘度やスランプ性および組成物を硬化して得られる硬化物の引張強度、破断伸びなどの機械特性が調整できるとともに、アクリル成分を分子中に含まない可塑剤を使用した場合に比較して、良好な耐候性を長期にわたり維持できる。また、アクリル成分を有する可塑剤、特に後記するSGOプロセスによるアクリル系ポリマー、を用いるとアクリル成分を有する可塑剤以外の可塑剤を使用した場合に比較し、硬化物の破断伸びが大きくなるという効果がある。従って、前記したようにオキシアルキレン重合体(A)として数平均分子量が16,000以上の重合体を用い、特にサイジングボード用シーリング材に必要な硬化物の破断伸びが大きいシーリング材を製造する際には、アクリル成分を有する可塑剤を併用した可塑剤はきわめて好適な可塑剤となる。
【0081】
上記アクリル成分を有する可塑剤の数平均分子量は、500〜15,000が好ましく、さらに好ましくは800〜10,000であり、より好ましくは1,000〜8,000である。分子量が低すぎると熱や降雨により可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できず、耐候性も改善できない傾向にある。また、分子量が高すぎると粘度が高くなり、作業性が悪くなる傾向にある。アクリル成分を有する可塑剤は可塑剤として作用するので、反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)や反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)いずれかあるいは双方より粘度が小さいのが通常である。特に、アクリル成分を有する可塑剤は反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)より粘度が小さいことが望ましい。数平均分子量に関し、アクリル成分を有する可塑剤は反応性ケイ素基を有する反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)やビニル系重合体(B)いずれかあるいは双方より、数平均分子量として1,000以上、さらには2,000以上、特には3,000以上、小さいことが望ましい。アクリル成分を有する可塑剤の数平均分子量はGPCによるポリスチレン換算分子量として測定する。また、分子量分布(Mw/Mn)はGPC(ポリスチレン換算)を用いて測定する。
【0082】
アクリル成分を有する可塑剤の具体例としては、特開平2000−178456号等に提案されているリビングラジカル重合により製造した分子量分布が1.8以下の(メタ)アクリル系重合体が例示できるが、特にこれらに限定されるものではない。また、「工業材料」1998年8月号P.110に記載の東亜合成(株)やジョンソンポリマー(株)により製造されているSGOプロセスによるポリマーも使用できる。SGOポリマーはアクリル酸エステル系単量体を高温、高圧で連続塊状重合によって得ることができる。通常常温で液状で官能基を有しないものを用いる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また必要によっては物性に悪影響を与えない範囲でさらに低分子可塑剤と併用してもよい。これらのアクリル成分を有する可塑剤は反応性ケイ素基を有しないアクリル系重合体であってもよいし、反応性ケイ素基を有するアクリル系重合体であってもよい。水酸基を含有するSGOプロセスによるポリマーの水酸基を利用し、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)における反応性ケイ素基の導入方法と同様の方法で反応性ケイ素基を導入できる。反応性ケイ素基を有するアクリル系重合体は反応性可塑剤として作用し、硬化物において可塑剤のブリードがなくなるなどの効果がある。反応性ケイ素基が平均して1分子中に1個を超えて存在すると硬化物の引張特性への影響が大きくなる。分子中に平均して1個以下の反応性ケイ素基を有するアクリル系重合体などのアクリル成分を有する可塑剤が反応性可塑剤としては好ましい。
【0083】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて生成する硬化物の引張特性を調整する物性調整剤を添加しても良い。物性調整剤としては特に限定されないが、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等の官能基を有するアルコキシシラン類;シリコーンワニス類;ポリシロキサン類等が挙げられる。前記物性調整剤を用いることにより、本発明の組成物を硬化させた時の硬度を上げたり、逆に硬度を下げ、破断伸びを出したりし得る。上記物性調整剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0084】
特に、加水分解により分子内に1価のシラノール基を有する化合物を生成する化合物は硬化物の表面のべたつきを悪化させずに硬化物のモジュラスを低下させる作用を有する。特にトリメチルシラノールを生成する化合物が好ましい。加水分解により分子内に1価のシラノール基を有する化合物を生成する化合物としては、特開平5−117521号公報に記載されている化合物をあげることができる。また、ヘキサノール、オクタノール、デカノールなどのアルキルアルコールの誘導体であって加水分解によりトリメチルシラノールなどのRSiOHを生成するシリコン化合物を生成する化合物、特開平11−241029号公報に記載されているトリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールあるいはソルビトールなどの水酸基数が3以上の多価アルコールの誘導体であって加水分解によりトリメチルシラノールなどのRSiOHを生成するシリコン化合物を生成する化合物をあげることができる。
【0085】
また、特開平7−258534号公報に記載されているようなオキシアルキレン重合体の誘導体であって加水分解によりトリメチルシラノールなどのRSiOHを生成するシリコン化合物を生成する化合物もあげることができる。さらに特開平6−279693号公報に記載されている架橋可能な加水分解性ケイ素含有基と加水分解によりモノシラノール含有化合物となりうるケイ素含有基を有する重合体を使用することもできる。
【0086】
物性調整剤は反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)の合計量100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲で使用される。
【0087】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて垂れを防止し、作業性を良くするためにチクソ性付与剤(垂れ防止剤)を添加しても良い。また、垂れ防止剤としては特に限定されないが、例えば、ポリアミドワックス類;水添ヒマシ油誘導体類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸類等が挙げられる。これらチクソ性付与剤(垂れ防止剤)は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。チクソ性付与剤は反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)の合計量100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲で使用される。
【0088】
本発明の組成物においては1分子中にエポキシ基を含有する化合物を使用できる。エポキシ基を有する化合物を使用すると硬化物の復元性を高めることができる。エポキシ基を有する化合物としてはエポキシ化不飽和油脂類、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル類、脂環族エポキシ化合物類、エピクロルヒドリン誘導体に示す化合物及びそれらの混合物等が例示できる。 具体的には、エポキシ化大豆油、エポキシ化あまに油、ジ−(2−エチルヘキシル)4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカーボキシレート(E−PS)、エポキシオクチルステアレ−ト、エポキシブチルステアレ−ト等があげられる。これらのなかではE−PSが特に好ましい。硬化物の復元性を高める目的には分子中にエポキシ基を1個有する化合物を用いるのが好ましい。エポキシ化合物は反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)の合計量100重量部に対して0.5〜50重量部の範囲で使用するのがよい。
【0089】
本発明の組成物には光硬化性物質を使用できる。光硬化性物質を使用すると硬化物表面に光硬化性物質の皮膜が形成され、硬化物のべたつきや硬化物を耐候性を改善できる。光硬化性物質とは、光の作用によってかなり短時間に分子構造が化学変化をおこし硬化などの物性的変化を生ずるものである。この種の化合物には有機単量体、オリゴマー、樹脂或いはそれらを含む組成物等多くのものが知られており、市販の任意のものを採用し得る。代表的なものとしては、不飽和アクリル系化合物、ポリケイ皮酸ビニル類あるいはアジド化樹脂等が使用できる。不飽和アクリル系化合物としては、アクリル系又はメタクリル系不飽和基を1ないし数個有するモノマー、オリゴマー或いはそれ等の混合物であって、プロピレン(又はブチレン、エチレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)ジメタクリレート等の単量体又は分子量10,000以下のオリゴエステルが例示される。具体的には、例えば特殊アクリレート(2官能)のアロニックスM−210,アロニックスM−215,アロニックスM−220,アロニックスM−233,アロニックスM−240,アロニックスM−245; (3官能)のアロニックスM−305,アロニックスM−309,アロニックスM−310,アロニックスM−315,アロニックスM−320,アロニックスM−325,及び(多官能)のアロニックスM−400 などが例示できるが、特にアクリル官能基を含有する化合物が好ましく、また1分子中に平均して3個以上の同官能基を含有する化合物が好ましい。(以上アロニックスはいずれも東亜合成化学工業株式会社の製品である。)
ポリケイ皮酸ビニル類としては、シンナモイル基を感光基とする感光性樹脂でありポリビニルアルコールをケイ皮酸でエステル化したものの他、多くのポリケイ皮酸ビニル誘導体が例示される。アジド化樹脂は、アジド基を感光基とする感光性樹脂として知られており、通常はジアジド化合物を感光剤として加えたゴム感光液の他、「感光性樹脂」(昭和47年3月17日出版、印刷学会出版部発行、第93頁〜、第106頁〜、第117頁〜)に詳細な例示があり、これらを単独又は混合し、必要に応じて増感剤を加えて使用することができる。なお、ケトン類、ニトロ化合物などの増感剤やアミン類などの促進剤を添加すると、効果が高められる場合がある。
【0090】
光硬化性物質の使用量は、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)の合計量100重量部に対して0.01〜20重量部が好ましく、さらには0.5〜10重量部範囲が好ましい。0.01重量部以下では耐候性を高める効果が小さく、20重量部以上では硬化物が硬くなりすぎて、ヒビ割れを生じるため好ましくない。
【0091】
本発明の組成物には酸素硬化性物質を使用することができる。酸素硬化性物質には空気中の酸素と反応し得る不飽和化合物を例示でき、空気中の酸素と反応して硬化物の表面付近に硬化皮膜を形成し表面のべたつきや硬化物表面へのゴミやホコリの付着を防止するなどの作用をする。酸素硬化性物質の具体例には、キリ油、アマニ油などで代表される乾性油や、該化合物を変性してえられる各種アルキッド樹脂;乾性油により変性されたアクリル系重合体、エポキシ系樹脂、シリコン樹脂;ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、1,3−ペンタジエンなどのジエン系化合物を重合または共重合させてえられる1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、C5〜C8ジエンの重合体などの液状重合体や、これらジエン系化合物と共重合性を有するアクリロニトリル、スチレンなどの単量体とをジエン系化合物が主体となるように共重合させてえられるNBR、SBRなどの液状共重合体や、さらにはそれらの各種変性物(マレイン化変性物、ボイル油変性物など)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらのうちではキリ油や液状ジエン系重合体がとくに好ましい。又、酸化硬化反応を促進する触媒や金属ドライヤーを併用すると効果が高められる場合がある。これらの触媒や金属ドライヤーとしては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸コバルト、オクチル酸ジルコニウム等の金属塩や、アミン化合物等が例示される。酸素硬化性物質の使用量は、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)の合計量100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲で使用するのがよく、さらに好ましくは1〜10重量部である。前記使用量が0.1重量部未満になると汚染性の改善が充分でなくなり、20重量部をこえると硬化物の引張り特性などが損なわれる傾向が生ずる。特開平3−160053号公報に記載されているように酸素硬化性物質は光硬化性物質と併用して使用するのがよい。
【0092】
本発明の組成物には酸化防止剤(老化防止剤)を使用することができる。酸化防止剤を使用すると硬化物の耐候性を高めることができる。酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、モノフェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系が例示できるが、特にヒンダードフェノール系が好ましい。同様に、チヌビン622LD,チヌビン144; CHIMASSORB944LD,CHIMASSORB119FL(以上いずれも日本チバガイギー株式会社製); MARK LA−57,MARK LA−62,MARK LA−67,MARK LA−63,MARKLA−68(以上いずれもアデカアーガス化学株式会社製); サノールLS−770, サノールLS−765, サノールLS−292, サノールLS−2626,サノールLS−1114,サノールLS−744(以上いずれも三共株式会社製)に示されたヒンダードアミン系光安定剤を使用することもできる。酸化防止剤の具体例は特開平4−283259号公報や特開平9−194731号公報にも記載されている。酸化防止剤の使用量は、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲で使用するのがよく、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。
【0093】
本発明の組成物には光安定剤を使用することができる。光安定剤を使用すると硬化物の光酸化劣化を防止できる。光安定剤としてベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系化合物等が例示できるが、特にヒンダードアミン系が好ましい。光安定剤の使用量は、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲で使用するのがよく、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。光安定剤の具体例は特開平9−194731号公報にも記載されている。
【0094】
本発明の組成物に光硬化性物質を併用する場合、特に不飽和アクリル系化合物を用いる場合、特開平5−70531号公報に記載されているようにヒンダードアミン系光安定剤として3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤を用いるのが組成物の保存安定性改良のために好ましい。3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤としてはチヌビン622LD,チヌビン144;CHIMASSORB119FL(以上いずれも日本チバガイギー株式会社製);MARKLA−57,LA−62,LA−67,LA−63(以上いずれもアデカアーガス化学株式会社製);サノールLS−765,LS−292,LS−2626,LS−1114,LS−744(以上いずれも三共株式会社製)などの光安定剤が例示できる。
【0095】
本発明の組成物には紫外線吸収剤を使用することができる。紫外線吸収剤を使用すると硬化物の表面耐候性を高めることができる。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチレート系、置換トリル系及び金属キレート系化合物等が例示できるが、特にベンゾトリアゾール系が好ましい。紫外線吸収剤の使用量は、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲で使用するのがよく、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。フェノール系やヒンダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系光安定剤とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を併用して使用するのが好ましい。
【0096】
本発明の組成物には、エポキシ樹脂を添加し、弾性接着剤などとして用いることもできる。エポキシ樹脂としては、エピクロルヒドリン−ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリン−ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテルなどの難燃型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、p−オキシ安息香酸グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、m−アミノフェノール系エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン系エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、各種脂環式エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンなどのごとき多価アルコールのグリシジルエーテル、ヒダントイン型エポキシ樹脂、石油樹脂などのごとき不飽和重合体のエポキシ化物などが例示されるが、これらに限定されるものではなく、一般に使用されているエポキシ樹脂が使用されうる。エポキシ基を少なくとも分子中に2個含有するものが、硬化に際し反応性が高く、また硬化物が3次元的網目をつくりやすいなどの点から好ましい。さらに好ましいものとしてはビスフェノールA型エポキシ樹脂類またはノボラック型エポキシ樹脂などがあげられる。これらのエポキシ樹脂と反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)の合計量の使用割合は、重量比で((A)+(B))/エポキシ樹脂=100/1〜1/100の範囲である。((A)+(B))/エポキシ樹脂の割合が1/100未満になると、エポキシ樹脂硬化物の衝撃強度や強靱性の改良効果がえられがたくなり、((A)+(B))/エポキシ樹脂の割合が100/1をこえると、オキシアルキレン系重合体硬化物の強度が不十分となる。好ましい使用割合は、硬化性樹脂組成物の用途などにより異なるため一概には決められないが、たとえばエポキシ樹脂硬化物の耐衝撃性、可撓性、強靱性、剥離強度などを改善する場合には、エポキシ樹脂100重量部に対して成分(A)+(B)成分を1〜100重量部、さらに好ましくは5〜100重量部使用するのがよい。一方、(A)成分+(B)成分の硬化物の強度を改善する場合には、(A)成分+(B)成分100重量部に対してエポキシ樹脂を1〜200重量部、さらに好ましくは5〜100重量部使用するのがよい。
【0097】
エポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤を併用できることは当然である。使用し得るエポキシ樹脂硬化剤としては、特に制限はなく、一般に使用されているエポキシ樹脂硬化剤を使用できる。具体的には、例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペリジン、m−キシリレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、アミン末端ポリエーテル等の一級、二級アミン類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリプロピルアミンのような三級アミン類、及び、これら三級アミン類の塩類;ポリアミド樹脂類;イミダゾール類;ジシアンジアミド類;三弗化硼素錯化合物類、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ドデシニル無水琥珀酸、無水ピロメリット酸、無水クロレン酸等のような無水カルボン酸類;アルコール類;フェノール類;カルボン酸類;アルミニウム又はジルコニウムのジケトン錯化合物等の化合物を例示することができるが、これらに限定されるものではない。また、硬化剤も単独でも2種以上併用してもよい。
【0098】
エポキシ樹脂の硬化剤を使用する場合、その使用量はエポキシ樹脂100重量部に対し、0.1〜300重量部の範囲である。
【0099】
エポキシ樹脂の硬化剤としてケチミンを用いることができる。ケチミンは、水分のない状態では安定に存在し、水分によって一級アミンとケトンに分解され、生じた一級アミンがエポキシ樹脂の室温硬化性の硬化剤となる。ケチミンを用いると1液型の組成物を得ることができる。このようなケチミンとしては、アミン化合物とカルボニル化合物との縮合反応により得ることができる。
【0100】
ケチミンの合成には公知のアミン化合物、カルボニル化合物を用いればよいが、たとえばアミン化合物としてはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,3−ジアミノブタン、2,3−ジアミノブタン、ペンタメチレンジアミン、2,4−ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、p,p′−ビフェニレンジアミンなどのジアミン;1,2,3−トリアミノプロパン、トリアミノベンゼン、トリス(2−アミノエチル)アミン、テトラ(アミノメチル)メタンなどの多価アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミンなどのポリアルキレンポリアミン;ポリオキシアルキレン系ポリアミン;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノシラン;などが使用されうる。また、カルボニル化合物としてはアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ジエチルアセトアルデヒド、グリオキサール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;シクロペンタノン、トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、トリメチルシクロヘキサノン等の環状ケトン類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトン等の脂肪族ケトン類;アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸メチルエチル、ジベンゾイルメタン等のβ−ジカルボニル化合物;などが使用できる。
【0101】
ケチミン中にイミノ基が存在する場合には、イミノ基をスチレンオキサイド;ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル;グリシジルエステルなどと反応させてもよい。これらのケチミンは、単独で用いてもよく、二種類以上を併用して用いてもよく、エポキシ樹脂100重量部に対し、1〜100重量部使用され、その使用量はエポキシ樹脂およびケチミンの種類によって異なる。
【0102】
本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物又は硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加物の例としては、たとえば、難燃剤、硬化性調整剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、溶剤、防かび剤などがあげられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。本明細書にあげた添加物の具体例以外の具体例は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号、特開2001−72854号の各公報などに記載されている。
【0103】
本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製することも可能であり、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調製することもできる。
【0104】
前記硬化性組成物が1成分型の場合、すべての配合成分が予め配合されるため、水分を含有する配合成分は予め脱水乾燥してから使用するか、また配合混練中に減圧などにより脱水するのが好ましい。前記硬化性組成物が2成分型の場合、反応性ケイ素基を有する重合体を含有する主剤に硬化触媒を配合する必要がないので配合剤中には若干の水分が含有されていてもゲル化の心配は少ないが、長期間の貯蔵安定性を必要とする場合には脱水乾燥するのが好ましい。脱水、乾燥方法としては粉状などの固状物の場合は加熱乾燥法、液状物の場合は減圧脱水法または合成ゼオライト、活性アルミナ、シリカゲルなどを使用した脱水法が好適である。また、イソシアネート化合物を少量配合してイソシアネート基と水とを反応させて脱水してもよい。かかる脱水乾燥法に加えてメタノール、エタノールなどの低級アルコール;n−プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン化合物を添加することにより、さらに貯蔵安定性は向上する。
【0105】
脱水剤、特にビニルトリメトキシシランなどの水と反応し得るケイ素化合物の使用量は反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン(A)と反応性ケイ素基を有するビニル系重合体(B)の合計量100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲が好ましい。
【0106】
本発明の硬化性組成物は弾性シーラントとして特に有用であり、建造物、船舶、自動車、道路などの密封剤として使用しうる。特に耐候性や作業性を要求されるサイジングボードの目地用シーラントとして有用である。更に、単独あるいはプライマーの助けをかりてガラス、磁器、木材、金属、樹脂成形物などの如き広範囲の基質に密着しうるので、種々のタイプの密封組成物および接着組成物としても使用可能である。接着剤として通常の接着剤の他、コンタクト接着剤としても使用できる。更に、食品包装材料、注型ゴム材料、型取り用材料、塗料としても有用である。
【0107】
特に、数平均分子量が16,000〜25,000であり、分子鎖が実質的に直鎖状であり、分子鎖末端に反応性ケイ素基を有するオキシプロピレン系重合体とランダム共重合体であって反応性ケイ素基を有するアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステル重合体と反応性ケイ素基を有するオキシプロピレン系重合体成分よりも分子量が小さいオキシプロピレン系重合体である可塑剤を含有する硬化性組成物は窯業系サイジングボード用のシーリング材としてきわめて好適である。すなわち、この組成物の硬化物は窯業系サイジングボード用のシーリング材として耐候性がすぐれており、さらに従来使用されていた可塑剤を用いた場合に比較し硬化物は大きい破断伸びを有している。そして、この硬化性組成物は反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体として同じく粘度が大きい分子量16,000以上の高分子量で直鎖状のオキシプロピレン系重合体を用い、反応性ケイ素基を有するビニル系重合体として粘度が大きいランダム共重合(メタ)アクリル系重合体を用いているにもかかわらず、シーリング材として使用可能な粘度範囲にあり、硬化速度も分子量が小さいオキシプロピレン系重合体を用いた場合に比較し大差がない。この組成物における反応性ケイ素基を有するオキシプロピレン系重合体のさらに好ましい数平均分子量範囲は下限が17,000、さらには18,000、特には19,000であり、上限は23,000、特には22,000である。最も好ましい範囲は19,000〜22,000であるが、他の下限と上限の組合せも好ましい。またオキシアルキレン系重合体の分子量は5,000以下さらには4,000以下が好ましい。また、これらの組成物においては分子量が(B)成分よりも小さいアクリル酸アルキルエステル重合体である可塑剤としてアクリル酸エステル系単量体を高温、高圧で連続塊状重合によって得た、いわゆるSGOプロセスによる重合体を併用することもできる。
【0108】
【実施例】
本発明をより一層明らかにするために、以下に具体的な実施例をあげて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0109】
(合成例1)105℃に加熱したトルエン50g中に、メチルメタクリレート14.5g、ブチルアクリレート68.5g、ステアリルメタクリレート15g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン2g、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.5g、トルエン20gを溶かした溶液を5時間かけて滴下し、その後1時間「後重合」を行なってビニル系共重合体を得た。
【0110】
(合成例2)攪拌機付耐圧ガラス製反応容器に、主鎖骨格が複合金属シアン化物錯体触媒を用いて得られたものであり、末端がアリル基である数平均分子量20,000の直鎖状ポリプロピレンオキシド500g、ヘキサン10gを加えて90℃で共沸脱水を行った。ヘキサンを減圧下留去した後、窒素置換し、これに対して塩化白金酸触媒20μl(白金換算で5重量%のイソプロパノール溶液)を加え、撹拌しながらDMS(ジメトキシメチルシラン)4.6gをゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下留去してシリル化ポリマーを得た。
【0111】
(合成例3)合成例2と同様にして主鎖骨格が複合金属シアン化物錯体触媒を用いて得られたものであり、末端にジメトキシメチルシリル基を有する数平均分子量10,000の直鎖状ポリプロピレンオキシドを得た。
【0112】
(合成例4)合成例2のポリマーと合成例1で得られた共重合体を固形分重量比70/30でブレンドした後、溶剤を留去して無溶剤ポリマー(A)を得た。ブレンド比を75/25にした時のポリマー粘度は49.8Pa・sであり、70/30でブレンドすると60.7Pa・s、65/35でブレンドすると86.2Pa・sであった(BM型粘度計、ローターNo.4使用、23℃)。
【0113】
(合成例5)合成例3のポリマーと合成例1で得られた共重合体を固形分重量比70/30でブレンドした後、溶剤を留去して無溶剤ポリマー(B)を得た。
【0114】
(合成例6)105℃に加熱した分子量3000ポリオキシプロピレングリコール(武田薬品(株)製、アクトコールP−23)165g中に、メチルメタクリレート14.5g、ブチルアクリレート68.5g、ステアリルメタクリレート15g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン2g、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.5g、トルエン17.9gを溶かした溶液を5時間かけて滴下し、その後2時間「後重合」を行なってビニル系共重合体を得た。重合で得られた重合組成物から溶剤を留去して分子量3000のポリオキシプロピレングリコール対ビニル系重合体の重量比が55対30の無溶剤ポリマー(C)を得た。重合反応の重合転化率は99%であった。
【0115】
(実施例1〜3)合成例4で得られた無溶剤ポリマー(A)100重量部に対して、可塑剤として数平均分子量1,000(Diol−1000)、3,000(アクトコールP−23)、分子量10,000(複合金属シアン化物錯体を用いて重合)のPPG(ポリプロピレングリコール)55重量部、炭酸カルシウム(白石工業(株)製、商品名:CCR)120重量部、酸化チタン(石原産業(株)製、商品名:R−820)20重量部、チクソ性付与剤(楠本化成(株)製、商品名:D−6500)2重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:チヌビン327)1重量部、ヒンダードアミン系光安定剤(三共(株)製、商品名:サノールLS770)1重量部を計量、混合して充分混練りした後、小型3本ペイントロールに3回通した。この後、ビニルトリメトキシシラン2重量部、アミノシラン化合物(日本ユニカー(株)製、商品名:A−1120)3重量部、硬化促進剤(日東化成(株)製、商品名:U−220)2重量部を加えて混練し、厚さ3mmのシート状硬化サンプルを作製し、引張試験用ダンベル(JIS 3号形)を作製した。
【0116】
(実施例4)実施例1において合成例4で得られた無溶剤ポリマー(A)100重量部及びPPG可塑剤55重量部を用いる代わりに、合成例2で得られたポリマー100重量部及び合成例6で得られた無溶剤ポリマー(C)85重量部を用いる以外は実施例1と同様にして引張試験用ダンベル(JIS 3号形)を作製した。
【0117】
(実施例5〜6)実施例1及び実施例4の配合組成にさらにバルーン(外殻成分 アクリル樹脂系 粒径30−50ミクロンメートル 商品名EXPANCEL 511DE)1重量部を加えて引張試験用ダンベル(JIS 3号形)を作製した。
【0118】
(比較例1〜2)実施例1におけるPPG可塑剤のかわりにDIDP(ジイソデシルフタレート)、DOP(ジイソオクチルフタレート)を用いたほかは実施例1と同様に引張試験用ダンベル(JIS 3号形)を作製した。
【0119】
(比較例3)比較例1の配合組成にさらにバルーン(外殻成分 アクリル樹脂系 粒径30−50ミクロンメートル 商品名EXPANCEL 511DE)1重量部を加えて引張試験用ダンベル(JIS 3号形)を作製した。
【0120】
(参考例1)実施例1におけるPPG可塑剤のかわりにアクリル成分を有する可塑剤(東亜合成(株)製、商品名:UP−1020)を用いたほかは実施例1と同様に引張試験用ダンベル(JIS3号形)を作製した。
実施例1〜6、比較例1〜3、参考例1の各引張試験用ダンベルを用いてオートグラフ(島津製作所製、AG500C型)により引張試験を行ない、引張特性を測定した。結果を表1に示す。表中、M100は100%伸張時モジュラス、Tbは破断強度、Ebは破断時伸びを示す。
【0121】
【表1】
Figure 2004107607
(参考例2)参考例1において合成例4で得られたポリマーの代りに合成例5のポリマーを用いたほかは参考例1と同様に引張試験用ダンベル(JIS 3号形)を作製した。参考例1、2の各引張試験用ダンベルを用いてオートグラフ(島津製作所製、AG500C型)により引張試験を行ない、破断伸び(Eb)を測定した。また各配合物の表面硬化時間と残留タックも測定した。
結果を表2に示す。
【0122】
【表2】
Figure 2004107607
【0123】
【発明の効果】本発明の硬化性組成物の硬化物は、優れた伸び特性を有している。

Claims (27)

  1. 数平均分子量16,000以上であって、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素原子含有官能基を有するオキシアルキレン系重合体(A)、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素原子含有官能基を有するビニル系重合体(B)及び重合体(A)よりも分子量が小さいオキシアルキレン系重合体可塑剤(C)を含有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. オキシアルキレン系重合体(A)がポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、プロピレンオキシド−エチレンオキシド共重合体、およびポリブチレンオキシドから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. オキシアルキレン系重合体(A)がオキシプロピレン系重合体である請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. オキシアルキレン系重合体(A)の主鎖骨格が複合金属シアン化物錯体触媒を用いて得られる重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
  5. オキシアルキレン系重合体(A)の主鎖骨格が実質的に直鎖状重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
  6. オキシアルキレン系重合体(A)の反応性ケイ素基が、1個のケイ素原子からなりこのケイ素原子に2個の加水分解性基が結合している基である請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
  7. オキシアルキレン系重合体(A)の反応性ケイ素基がジメトキシメチルシリル基である請求項6記載の硬化性組成物。
  8. 反応性ケイ素基がオキシプロピレン系重合体(A)の分子鎖末端に存在する請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物。
  9. ビニル系重合体(B)がアクリル酸アルキルエステルおよび/又はメタクリル酸アルキルエステルに起因する単量体単位を含有する請求項1〜8のいずれかに記載の硬化性組成物。
  10. ビニル系重合体(B)がアクリル酸アルキルエステルおよび/又はメタクリル酸アルキルエステルに起因する単量体単位を重合体中70重量%以上含有する請求項9に記載の硬化性組成物。
  11. ビニル系重合体(B)の数平均分子量が5,000以上30,000以下である請求項1〜10のいずれかに記載の硬化性組成物。
  12. ビニル系重合体(B)の数平均分子量が10,000以上20,000以下である請求項11に記載の硬化性組成物。
  13. オキシアルキレン系重合体(A)とビニル系重合体(B)が別々に合成される重合体である請求項1〜12のいずれかに記載の硬化性組成物。
  14. オキシアルキレン系重合体(A)とビニル系重合体(B)の重量組成比が90/10〜10/90である請求項1〜13のいずれかに記載の硬化性組成物。
  15. オキシアルキレン系重合体可塑剤(C)の数平均分子量が500〜15,000である請求項1〜14のいずれかに記載の硬化性組成物。
  16. オキシアルキレン系重合体可塑剤(C)の数平均分子量が1,000〜8,000である請求項15記載の硬化性組成物。
  17. オキシアルキレン系重合体可塑剤(C)の使用量が、オキシアルキレン系重合体(A)とビニル系重合体(B)との合計100重量部に対して5〜150重量部である請求項1〜16のいずれかに記載の硬化性組成物。
  18. オキシアルキレン系重合体可塑剤(C)の使用量が、オキシアルキレン系重合体(A)とビニル系重合体(B)との合計100重量部に対して10〜120重量部である請求項17記載の硬化性組成物。
  19. オキシアルキレン系重合体可塑剤(C)の使用量が、オキシアルキレン系重合体(A)とビニル系重合体(B)との合計100重量部に対して20〜100重量部である請求項18記載の硬化性組成物。
  20. オキシアルキレン系重合体可塑剤(C)に加えさらに他の可塑剤を併用する請求項1〜19のいずれかに記載の硬化性組成物。
  21. オキシアルキレン系重合体可塑剤(C)と他の可塑剤の重量比が90/10〜10/90である請求項20に記載の硬化性組成物。
  22. サイジングボードの目地用シーラントとして使用される請求項1〜21のいずれかに記載の硬化性組成物。
  23. サイジングボードが窯業系サイジングボードである請求項22に記載の硬化性組成物。
  24. 直径が0.1mm以上の鱗状または粒状の物質がさらに配合されている請求項1〜23のいずれかに記載の硬化性組成物。
  25. バルーンがさらに配合されている請求項1〜23のいずれかに記載の硬化性組成物。
  26. バルーンの粒径が0.1mm以上である請求項25に記載の硬化性組成物。
  27. ビニル重合体(B)がオキシアルキレン系重合体可塑剤(C)中で重合されたものであって、重合する際に用いたオキシアルキレン系重合体可塑剤(C)が可塑剤の一部または全部に用いられる請求項13の硬化性組成物。
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JPWO2004076555A1 (ja) * 2003-02-28 2006-06-08 株式会社カネカ 硬化性樹脂組成物およびその製造方法
JP2019147900A (ja) * 2018-02-28 2019-09-05 大和ハウス工業株式会社 一液常温湿気硬化型シーリング材組成物

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