JP2004107156A - ジルコニア系超塑性セラミックス - Google Patents

ジルコニア系超塑性セラミックス Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、耐食性、耐摩耗性に優れるとともに、高ひずみ速度域においても優れた引っ張り延性を示し、ネアネットシェイプ加工を可能とする新しいジルコニア系超塑性セラミックスを提供する。
【解決手段】ジルコニア母相中に、一般式MgAl、MnAlまたはTiMnで表される1種または2種以上のスピネル相が均一に分散された焼結体であって、ジルコニア相とスピネル相の合計が80体積%以上で、平均結晶粒径が各々2.0μm以下であり、1300℃以上の温度範囲における1×10−4/sec以上の引張ひずみ速度での引張延性が200%以上であることを特徴とするジルコニア系超塑性セラミックスとする。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、ジルコニア系超塑性セラミックスに関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、耐熱性、耐食性、耐摩耗性に優れるとともに、高ひずみ速度域においても優れた引っ張り延性を示し、ネアネットシェイプ加工を可能とする新しいジルコニア系超塑性セラミックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
ジルコニア系セラミックスは、耐熱性、耐食性、耐摩耗性に優れていること等から、自動車エンジン、航空宇宙エンジン、化学プラント、切削用チップ材等の高硬度および高剛性が求められる各種部材の材料として、その利用が期待されている。その一方で、このジルコニア系セラミックスは、加工性に乏しいことから、金属材料のように塑性加工による成形品の製造が困難であるという欠点を有している。
【0003】
このような難加工性のセラミックスについては、一般に、高温で数100%以上の引張延性を示す超塑性を利用した精密塑性加工(ネアネットシェイプ加工)の適用が期待されているが、従来のジルコニア系セラミックスでは、ネアネットシェイプ加工に必要な引張延性が得られるのは引張ひずみ速度が1×10−2/sec以下と極めて遅い場合に限られており、工業技術への応用は実際的には困難とされていた(文献1、2、および3)。
【0004】
【文献】
(1)T.Kondo et al.,Mat.Trans.JIM,39[11],1108(1998).
(2)T.G.Hieh and J.Wadsworth, Acta Mater.,38[6],1121(1990).
(3)F.Wakai and H.Kato,Adv.Ceram.Mat.,3[1],71(1988).
そこで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、耐熱性、耐食性、耐摩耗性に優れるとともに、高ひずみ速度域においても優れた引っ張り延性を示し、ネアネットシェイプ加工を可能とする新しいジルコニア系超塑性セラミックスを提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、以下の通りの発明を提供する。
【0006】
すなわち、まず第1には、この出願の発明は、ジルコニア母相中に、一般式MgAl、MnAlまたはTiMnで表される1種または2種以上のスピネル相が均一に分散された焼結体であって、ジルコニア相とスピネル相の合計が80体積%以上で、平均結晶粒径が各々2.0μm以下であり、1300℃以上の温度範囲における1×10−4/sec以上の引張ひずみ速度での引張延性が200%以上であることを特徴とするジルコニア系超塑性セラミックスを提供する。
【0007】
また、この出願の発明は、上記の発明について、第2には、ジルコニア相が30体積%以上、スピネル相が70体積%以下であって、1300℃以上の温度範囲における1×10−2/sec以上の引張ひずみ速度での引張延性が200%以上であることを特徴とするジルコニア系超塑性セラミックスを、第3には、ジルコニア相および/またはスピネル相に含まれるAl,Mg,Y,Ce,Ca,Ti,Cr,Mn,Fe,Hf,Siのいずれか1種または2種以上の元素が、合計で20モル%以下であることを特徴とするジルコニア系超塑性セラミックスを、第4には、ジルコニア相が、正方晶または立方晶あるいはこれらの混合晶であって、スピネル相を一般式ABで表したときのAとBのモル比が1:1〜1:7の範囲であることを特徴とするジルコニア系超塑性セラミックスを、第5には、ジルコニア母相中に、一般式MgO・nAl(式中、n=0.8〜3.5)で表されるスピネル相が均一に分散された焼結体であって、ジルコニア相が50体積%以上、このスピネル相が50体積%以下で、平均結晶粒径が各々1.0μm以下であることを特徴とするジルコニア系超塑性セラミックスを提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は、上記の通りの特徴を持つものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0009】
まず、この出願の発明が提供するジルコニア系超塑性セラミックスは、ジルコニア母相中に、一般式MgAl、MnAlまたはTiMnで表される1種または2種以上のスピネル相が均一に分散された焼結体であって、ジルコニア相とスピネル相の合計が80体積%以上で、平均結晶粒径が各々2.0μm以下とされている。
【0010】
ジルコニア相は、正方晶、立法晶あるいはこれらが混在した結晶構造であり、破壊靱性値が非常に高く、高靱性セラミックスとして知られているものである。この出願の発明において、ジルコニア母相には前記特性を損なわない程度の元素が固溶あるいは添加されていてもよい。一方のスピネル相は、一般的にはAB表され、組成が化学量論比よりずれると変形応力が低下する。そのため、ジルコニア系セラミックス中にスピネル相を分散することで、緩和機構の促進や損傷の抑制効果が得られ、超塑性特性が向上されることになる。この出願の発明において、ジルコニア相に分散される上記3種のスピネル相は、一般式ABで表される各種のスピネル相の中でもとりわけジルコニア相と相性がよく、また、超塑性特性を著しく改善する効果を有するものである。このようなスピネル相は、MgAl、MnAlまたはTiMnでのいずれか1種であってもよいし、2種以上の混合相であってもよい。さらに各々のスピネル相(たとえばMgAl)については、モル比の異なる相(MgO/nAl2O)や、他の元素が置換した異なる組成のスピネル相((Mg,Mn)O/nAlなど)が混在していてもよい。また、ジルコニア相およびスピネル相以外の化合物が、20体積%未満であれば含まれていてもよい。このような成分系は、ジルコニア系超塑性セラミックスとしては従来知られていない、全く新しいものである。
【0011】
また、結晶粒径については、ジルコニア相の結晶粒径が2μm以下、スピネル相の結晶粒径が4.6μm以下の場合に超塑性を発現することができるが、この出願の発明のジルコニア系超塑性セラミックスにおいては、各々の平均結晶粒径を2.0μm以下とすることで引張延性200%以上を確かなものとして得られるようにしている。
【0012】
このような構成のこの出願の発明のジルコニア系超塑性セラミックスは、特殊な合成方法を必要とせず、既存の粉体プロセスでの製造が可能である。すなわち、原材料であるジルコニアおよび上記のスピネル微粒子を、ジルコニア相とスピネル相の合計が80体積%以上となるように調整し、たとえば、ボールミル等で混合したのち、通常のCIP成形(静水圧成形)および焼結処理を施すこと等で製造することができる。
【0013】
この場合の原料微粉体の好ましい粒径範囲としては、おおよその目安として、ジルコニア粒子を0.025〜0.1μm程度、スピネル粒子を0.025〜0.1μm程度とすることが例示される。また、焼結処理は、常圧、大気雰囲気の下で、1350〜1500℃程度の温度条件で行われるのが好ましい。
【0014】
このようにして得られるこの出願の発明のジルコニア系超塑性セラミックスは、ジルコニア母相の間にスピネル相が均一に分散された構造となり、ジルコニア相およびスピネル相の平均結晶粒径は各々2.0μm以下の微細なものとなる。このような構造とすることで、
(1)高温引張変形中に発生する超塑性特性を阻害する粒成長を抑制する
(2)変形中の応力集中を緩和し、粒界損傷の発生を抑止する
ことが可能となる。
【0015】
そしてこれらの2つの効果を同時に備えることにより、この出願の発明のジルコニア系超塑性セラミックスは、たとえば、1300℃以上の温度範囲における1×10−4/sec以上の引張ひずみ速度での引張延性が200%以上という、優れた高速超塑性を示すことができる。
【0016】
この出願の発明において、ジルコニア相とスピネル相の合計が80体積%未満の場合や、焼結後のジルコニア相あるいはスピネル相の平均結晶粒径が2.0μmを超える場合には、1300℃以上の温度で、引張ひずみ速度を1×10−4/sec以上とした場合に、200%以上の引っ張り延性が得られなくなってしまうために好ましくない。
【0017】
従来のジルコニア系セラミックスにおいては、超塑性特性を改善するために、シリカ(SiO)系ガラス相を多量に添加する必要があった。しかしながら、このガラス相の共存はセラミックスの靭性や疲労特性等を劣化させてしまうものでもあった。この出願の発明のジルコニア系超塑性セラミックスは、ガラス相を含まないため、靭性や疲労特性等の劣化というマイナス要因が発生せず、さらに、高速超塑性変形後でも機械的特性の劣化が最小限に抑制されることになる。
【0018】
加えて、この出願の発明が提供するジルコニア系超塑性セラミックスは、上記の構成において、ジルコニア相を30体積%以上、スピネル相を70体積%以下とすることで、1300℃以上の温度範囲における引張延性200%以上の超塑性を、引張ひずみ速度1×10−2/sec以上で発現することができる。従来のジルコニア系超塑性セラミックスにおいては、たとえ超塑性が発現しても、その引張ひずみ速度は最高でも〜10−2/sec程度であり、実際的な塑性加工への応用のためには、さらなる加工速度の高速化が必要とされていた。この出願の発明のジルコニア系超塑性セラミックスは、1×10−2/sec以上の速度、たとえば、0.02/sec以上、最高で0.70/sec程度という、従来よりも10〜1000倍以上速い高ひずみ速度域において達成することができるのである。
【0019】
ここで、ジルコニア相が30体積%未満で、スピネル相が70体積%超過となると、1300℃以上の温度で、引張ひずみ速度を1×10−2/sec以上とした場合に、200%以上の引っ張り延性が得られなくなってしまうために好ましくない。
さらに、この出願の発明が提供するジルコニア系超塑性セラミックスは、ジルコニア相および/またはスピネル相に含まれるAl,Mg,Y,Ce,Ca,Ti,Cr,Mn,Fe,Hf,Siのいずれか1種または2種以上の元素が、合計で20モル%以下に限定されていることを特徴としている。この出願の発明が提供するジルコニア系超塑性セラミックスは、ジルコニア相および/またはスピネル相に様々な元素が含まれることが考慮される。たとえば、Y,Ce,Ca,Mg等はジルコニアに固溶して正方晶あるいは立方晶を安定化させる効果があり、また、Al,Mg,Y,Ce,Ca,Ti,Mn,Hf,Si等がジルコニアに、Zr,Y,Cr,Mn,Mg,Fe等がスピネルに固溶すると、拡散を促進し、変形応力を低下させる効果が得ることができる。しかしながら、これらのうちのいくつかの元素は、同時に粒界損傷を引起こす化合物(ガラス相や硬い析出物)を形成する可能性をも有している。そのため、この出願の発明においては、このような化合物が生成される許容範囲として、ジルコニア相および/またはスピネル相に含まれる上記特定の元素を合計で20モル%以下に限定するようにしている。上記の特定の元素が20モル%を超えて含まれている場合には、粒界損傷を加速する化合物が形成されやすく、またその量が粒界損傷を著しく促進するものとなってしまい、超塑性特性あるいは材料の靱性を著しく阻害するために好ましくない。
【0020】
さらにこの出願の発明が提供するジルコニア系超塑性セラミックスは、ジルコニア相が、正方晶または立方晶あるいはこれらの混合晶であって、MgAl、MnAlまたはTiMnのスピネル相を一般式ABで表したときのAとBのモル比が1:1〜1:7の範囲であることを好ましい態様としている。この出願の発明において、スピネル相の陽イオンA,Bのモル比の制御は、スピネル相の変形応力に影響を与えるとともに、このジルコニア系超塑性セラミックスの超塑性特性、特に超塑性の高速化において重要である。スピネル相における陽イオンA,Bのモル比を上記の範囲とすることで、より高い引張延性を得ることができる。
【0021】
そしてまたこの出願の発明が提供するジルコニア系超塑性セラミックスは、ジルコニア母相中に、少なくとも一般式MgO・nAl(式中、n=0.8〜3.5)で表されるスピネル相が均一に分散された焼結体であって、ジルコニア相が50体積%以上、このスピネル相が50体積%以下で、平均結晶粒径が各々1.0μm以下となるようにしている。
【0022】
前述のように、この出願の発明においては、スピネル相の種類およびその組成は、ジルコニア系超塑性セラミックスの超塑性の高速化において重要であり、たとえば、変形しやすいスピネル相ほど変形応力の低下と粒界損傷の抑制の効果を示し、また、同じスピネル相でもその塑性に応じて変形応力が増減する。これらの点を考慮し、この出願の発明においては、スピネル相としてはMgO・nAlで表されるマグネシア・アルミナ系スピネルが好ましく、その組成についてはn=0.8〜3.5のものがより好ましいものとして提示することができる。また、この出願の発明のジルコニア系超塑性セラミックスにおけるジルコニア相およびスピネル相の割合が適切でないと顕著な粒成長が生じ、変形応力の増加と粒界損傷の促進につながって、超塑性特性が阻害されてしまう。そのため、ジルコニア母相の割合を50体積%以上とするようにしている。平均結晶粒径については、粒径が増大すると変形応力が増加し、粒界損傷の促進につながって、超塑性特性が阻害されてしまう。そこで、ジルコニア相とスピネル相の各々の平均結晶粒径を1.0μm以下とするようにしている。このような条件を満たすことで、たとえば、1300℃以上の温度範囲における0.70/sec程度の引張ひずみ速度での引張延性が200%以上という、優れた高速超塑性を示すジルコニア系超塑性セラミックスを実現することができる。
【0023】
以上のようなこの出願の発明のジルコニア系超塑性セラミックスは、ネアネットシェイプ加工を適用することが可能であり、さらにその加工速度を高速化することも可能である。これによって、たとえば、自動車エンジン、航空宇宙機器エンジン、化学プラント、切削材チップ、医療機器等の、耐熱・耐摩耗特性あるいは高剛性が求められるセラミックス製部材の精密塑性加工が容易に可能となる。
【0024】
また、ネアネットシェイプ加工等の切削を必要としない成形プロセスへの応用が可能となり、表面損傷等による靭性の劣化の問題を回避することができ、得られる部材の機械的特性の向上も期待できる。
【0025】
さらに、上記のように高い変形速度で、ネアネットシェイプ加工のみによる成形体の作製が可能となるため、コストを大幅に削減することができる。そして、金属材料と同様に、▲1▼短時間成形が可能、▲2▼切削加工工程が不要、▲3▼量産化が可能、▲4▼安価、▲5▼機械的特性に優れる、等といった長所を兼ね備えたセラミックス製品が実現される。
【0026】
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0027】
【実施例】
(実施例1)
粒径〜0.27μmのZrO粒子と、粒径〜0.33μmのMgAlスピネル粒子を、体積比が7:3となるように秤量し、これらをボールミル処理して混合粉末とした。この混合粉末を、10MPaで予備成形した後、200MPaでCIP処理し、次いで1400℃で2時間加熱焼成して焼結体を得た。
【0028】
図1に得られた焼結体の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示した。得られた焼結体は、粒径0.3μmのジルコニア相中に、粒径0.4μmのスピネル相が、7:3の体積比で均一に分散した緻密な組織を有しているのが確認された。
【0029】
この焼結体から板状の引張試験片を作製し、▲1▼1550℃で、引張ひずみ速度を0.02〜0.7/secの条件で、また、▲2▼1500℃で、引張ひずみ速度を0.02〜0.33/secの条件で、引張試験を行った。その結果を、図2に○印および□印でそれぞれ示した。
【0030】
図2に示すように、条件▲1▼の場合の引っ張り延性は660〜250%の高い値となることが確認された。
【0031】
また、条件▲2▼の場合は、450〜200%の高速超延性が得られることが確認された。
(実施例2)
粒径〜0.27μmのZrO粒子と、粒径〜0.33μmのMgAlスピネル粒子を、体積比が9:1となるように秤量し、あとは実施例1と同様にして焼結体を得た。
【0032】
得られた焼結体から板状の引張試験片を作製し、1500℃で0.03〜0.2/secの条件で引張試験を行い、その結果をあわせて図2に示した(△印)。この実施例の場合、引張延性400%以上の高速超延性が得られることが確認された。
(比較例1)
粒径〜0.27μmのZrO粒子と、粒径〜0.33μmのAl粒子を用い、実施例と同様にジルコニア相に20体積%のアルミナ相を分散させた焼結体を得た。
【0033】
この焼結体から板状の引張試験片を作製し、1500℃で、引張ひずみ速度を約5.5×10−4/secとして引張試験を行った。その結果を、図2に黒三角印で示した。この場合の引張延性は〜130%程度に留まるものであった。
【0034】
さらに、従来のジルコニア系超塑性セラミックスについても、1550℃で引張試験を行った結果を、図2に黒丸印で示した。低速では超塑性特性が得られるものの、この出願の発明のジルコニア系超塑性セラミックスのような高速超塑性特性は得られなかった。
【0035】
なお、図2の表示における〔1〕〔2〕〔3〕の符号は、従来の技術の説明で引用した文献の記載に対応したものである。
(実施例3)
実施例1、2と同様の手法を用いて、ジルコニアとMgAlスピネルの体積比が9:1、7:3、および1:1の焼結体を製造した。この焼結体から板状の引張試験片を作製し、1500℃で、引張ひずみ速度0.2S−1の条件で引張試験を行い、その結果を図3に示した。
【0036】
図3に示したように、セラミックス全体に対するスピネル相の割合が10〜50体積%の範囲では、引張延性260%以上の高速超塑性を示すことが確認できた。また、スピネル相の割合が70体積%の範囲では、引張延性200%以上の超塑性を十分得ることができる。
【0037】
もちろん、この発明は以上の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0038】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、この発明によって、耐熱性、耐食性、耐摩耗性に優れるとともに、高ひずみ速度域においても優れた引っ張り延性を示し、ネアネットシェイプ加工を可能とする新しいジルコニア系超塑性セラミックスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明のジルコニア系超組成セラミックスの微視組織を例示した図である。
【図2】この出願の発明と従来のジルコニア系超組成セラミックスの引張ひずみ速度と引張延性の関係を例示した図である。
【図3】この出願の発明のジルコニア系超塑性セラミックスの引張ひずみ速度と引張延性の関係を例示した図である。

Claims (5)

  1. ジルコニア母相中に、一般式MgAl、MnAlまたはTiMnで表される1種または2種以上のスピネル相が均一に分散された焼結体であって、ジルコニア相とスピネル相の合計が80体積%以上で、平均結晶粒径が各々2.0μm以下であり、1300℃以上の温度範囲における1×10−4/sec以上の引張ひずみ速度での引張延性が200%以上であることを特徴とするジルコニア系超塑性セラミックス。
  2. ジルコニア相が30体積%以上、スピネル相が70体積%以下であって、1300℃以上の温度範囲における1×10−2/sec以上の引張ひずみ速度での引張延性が200%以上であることを特徴とする請求項1記載のジルコニア系超塑性セラミックス。
  3. ジルコニア相および/またはスピネル相に含まれるAl,Mg,Y,Ce,Ca,Ti,Cr,Mn,Fe,Hf,Siのいずれか1種または2種以上の元素が、合計で20モル%以下であることを特徴とする請求項1または2記載のジルコニア系超塑性セラミックス。
  4. ジルコニア相が、正方晶または立方晶あるいはこれらの混合晶であって、スピネル相を一般式ABで表したときのAとBのモル比が1:1〜1:7の範囲であることを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載のジルコニア系超塑性セラミックス。
  5. ジルコニア母相中に、一般式MgO・nAl(式中、n=0.8〜3.5)で表されるスピネル相が均一に分散された焼結体であって、ジルコニア相が50体積%以上、このスピネル相が50体積%以下で、平均結晶粒径が各々1.0μm以下であることを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載のジルコニア系超塑性セラミックス。
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