JP2004107122A - セラミックスラリーおよびこれを用いたセラミックグリーンシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】分散剤とセラミック粉末が水に均一に分散され、前記セラミック粉末が所望の粒径に粉砕されたセラミックスラリーを準備する工程と、前記セラミックスラリーにバインダーとしてアクリルエマルジョンを添加して混合する工程と、前記混合工程の後に可塑剤、湿潤剤および消泡剤を添加して混合する工程と、前記2つの混合工程の後にバインダーとして水溶性アクリル樹脂を添加し混合する工程によりセラミックスラリーを製造する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層インダクタ、積層コンデンサ、積層インピーダンス素子、積層抵抗素子等、種々の積層型電子部品の製造に使用されるセラミックグリーンシートに関する。また、前記セラミックグリーンシートの製造に使用されるセラミックスラリーとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子部品の小型化、軽量化、高密度実装化に対する要求が一層強まってきている。このような要求に応えるものとして、セラミックグリーンシート上に電極を形成し、積み重ねて圧着した後、所望の大きさにカットして焼成し、外部電極を形成するという工程で作製されるチップタイプの積層型電子部品があり、その種類や生産量は拡大し続けている。積層型電子部品に用いるセラミックグリーンシートは、その用途に応じて、薄層のもの、厚膜のもの等様々であるが、いずれもポアのない高品質なものが要求される。このようなセラミックグリーンシートの成形方法としては、ドクターブレード法や、ダイコータ、リップコータ、ディップ成形などのシート成形方法が使用される。
【0003】
シート成形方法を採用するには、セラミック粉末をスラリー化する必要があり、バインダーにはポリビニルブチラール等が用いられる例がある。この場合、セラミックスラリーの溶媒には、アルコールや芳香族系溶媒等の各種有機溶媒を用いるため、防爆対策が行われており、臭気や毒性等に対する作業安全衛生を整える必要がある。
【0004】
その一方では、溶媒として水を使用し、バインダーにポリビニルアルコールや水溶性ポリビニルブチラール等の水溶性バインダーあるいはアクリルエマルジョンバインダーを用いたセラミックスラリーの製造方法が提案されている。
【0005】
このような水系スラリーを用いたセラミックグリーンシートの製造工程を図1に示す。水に分散剤を均一に混ぜた溶液にセラミック粉末を均一に分散させた後、セラミック粉末を所望の粒径まで粉砕する。これにアクリルエマルジョンバインダー、あるいはポリビニルアルコールや水溶性のポリビニルブチラール等の水溶性バインダーを入れ、混合・撹拌し、次いで可塑剤、湿潤剤および消泡剤を添加してさらに混合・撹拌してセラミックスラリーを製造する。製造されたスラリーをドクターブレード法や、ダイコータ、リップコータ、ディップ成形などの方法で所定の厚みのシートに成形し、セラミックグリーンシートを製造する。
【0006】
また、特開2000−63181号には、バインダーとしてアクリルエマルジョンと水溶性アクリル樹脂の混合物を用いたセラミックスラリーが開示されており、両バインダーの混合比を変動させることを特徴としたセラミックスラリーの流動性調整方法が記載されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−63181号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ポリビニルアルコールや水溶性のポリビニルブチラール等を用いた水溶性バインダーは、スラリーのレオロジーがニュートン流体であるため、ドクターブレード法等のように、未乾燥の塗膜が乾燥するまで水平を維持できるシート成形方法であればよいが、ダイコータやディップ成形等のキャリアフィルムに塗布されたセラミックスラリーの塗膜が垂直方向に傾く場合には、塗膜がたれたりして変形しやすい。特に、肉厚の厚いセラミックグリーンシートを得る場合には、セラミックスラリーの自重が大きくなるため、塗膜のたれによる変形が顕著になる。このような傾向はアクリルエマルジョンバインダーでも見られる。
【0009】
また、特開2000−63181号のようにアクリルエマルジョンと水溶性アクリル樹脂の添加量を調整してしてスラリーの流動性を制御する場合、上述したような塗膜のたれを防ぐことはできるが、バインダーや可塑剤、湿潤剤などが凝集し塊となって電極印刷時や焼成時に悪影響を与えることが多くなる。
【0010】
上述した、セラミックスラリーの塗膜のたれによる成形性の低下、および有機成分の凝集によるセラミックグリーンシートや積層体の加工性の低下を防ぐことが本発明の課題である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明のセラミックスラリーは、分散剤とセラミック粉末が水に均一に分散され、前記セラミック粉末が所望の粒径に粉砕されたセラミックスラリーを準備する工程と、前記セラミックスラリーにバインダーとしてアクリルエマルジョンを添加して混合する工程と、前記混合工程の後に可塑剤、湿潤剤および消泡剤を添加して混合する工程と、前記2つの混合工程の後にバインダーとして水溶性アクリル樹脂を添加し混合する工程を経て製造されたことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明のセラミックスラリーの製造方法は、分散剤とセラミック粉末が水に均一に分散され、前記セラミック粉末が所望の粒径に粉砕されたセラミックスラリーを準備する工程と、前記セラミックスラリーにバインダーとしてアクリルエマルジョンを添加して混合する工程と、前記混合工程の後に可塑剤、湿潤剤および消泡剤を添加して混合する工程と、前記2つの混合工程の後にバインダーとして水溶性アクリル樹脂を添加し混合する工程を有することを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明のセラミックグリーンシートは、上述した本発明のセラミックスラリーを用いて製造されたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図2に、本発明のセラミックスラリーおよびセラミックグリーンシートの製造方法を示す。まず水に分散剤を均一に混ぜた溶液を作製し、これにセラミック粉末を撹拌しながら投入して均一に分散させた後、セラミック粉末を所望の粒径まで粉砕し、スラリーを得る。なお、セラミック粉末がスラリー中で十分に分散かつ粉砕されている限りにおいて、上述以外のプロセスを用いてもよい。例えば、水に分散剤およびセラミック粉末を同時に添加し、混合・粉砕してもよい。
【0016】
得られたスラリーに、まずバインダーとしてアクリルエマルジョンを添加して混合、撹拌し、次いで可塑剤、湿潤剤、消泡剤を添加してさらに混合・撹拌し、次いでバインダーとして水溶性アクリル樹脂を添加して混合・撹拌し、さらに脱泡してセラミックスラリーを得る。
【0017】
得られたセラミックスラリーをドクターブレード法や、ダイコータ、リップコータ、ディップ成形などにより所定の厚みのシートに成形、加熱乾燥させることによりセラミックグリーンシートを製造する。
【0018】
前記セラミック粉末には、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、フェライト等の金属酸化物粉末を用いることができる。
【0019】
前記アクリルエマルジョンの基質は、疎水性成分からなる主成分と、前記主成分に対して、0.01〜10mol%のカルボン酸基を含有する反応性モノマー、0.1〜30mol%のアルキル基に水酸基を含有するアクリル酸(メタクリル酸)アルキルエステル、あるいは0.1〜30mol%のアルキル基に(RO)n(ただし、Rはメチル基、エチル基、プロピル基のいずれか1種類、1≦n≦40)で表されるアルキレンオキサイドを含有するアクリル酸(メタクリル酸)アルキルエステル、のうち少なくとも1種類からなる副成分とを含む共重合体が好ましい。また、アクリルエマルジョンの添加量はセラミック粉末100重量部に対して固形分12〜14重量部が好ましい。
【0020】
前記水溶性アクリル樹脂は、親水性成分からなる主成分と、前記主成分に対して、0.1〜30mol%のカルボン酸基を含有する反応性モノマー、および前記主成分に対して0.1〜30mol%のアルキル基に水酸基を含有するアクリル酸(メタクリル酸)アルキルエステル、あるいは0.1〜30mol%のアルキル基に(RO)n(ただし、Rはメチル基、エチル基、プロピル基のいずれか1種類、1≦n≦40)で表されるアルキレンオキサイドを含有するアクリル酸(メタクリル酸)アルキルエステル、のうち少なくとも1種類からなる副成分とを含む共重合体が好ましい。また、水溶性アクリル樹脂の添加量はセラミック粉末100重量部に対して固形分2〜4重量部が好ましい。
【0021】
前記分散剤としては、ポリカルボン酸のアンモニウム塩、ポリオキシレンアルキルエーテル等を用いることができる。分散剤の添加量は、セラミック粉末、水およびバインダーの量比、あるいはシート成形の方法に応じて適宜選択される。
【0022】
前記可塑剤としては、ポリエチレングリコール、グリセリン等の水溶性可塑剤、あるいは、水に不溶でエマルジョンに移行するタイプの可塑剤として、フタル酸ジブチルのようなフタル酸エステル系可塑剤等を使用してもよい。可塑剤の添加量はセラミック粉末100重量部に対して0.6〜1重量部が好ましい。
【0023】
前記湿潤剤としては、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ノニルフェニルエーテル等を用いることができる。湿潤剤の添加量はセラミック粉末100重量部に対して0.6〜1重量部が好ましい。
【0024】
前記消泡剤としては、テレピン油を主体とする非イオン系界面活性剤等を用いることができる。消泡剤の添加量はセラミック粉末100重量部に対して0.2〜0.8重量部が好ましい。
【0025】
なお、上記の可塑剤、湿潤剤および消泡剤の添加と同時に、帯電防止剤等の成形助剤を添加してもよい。
【0026】
【実施例】
(1)実施例1
図2に実施例1の製造工程を示す。原料粉末としてNi−Zn−Cu系フェライト粉末を準備した。フェライト粉末の100重量部に対して60重量部の水に、ポリカルボン酸アンモニウム塩系分散剤を溶解した後、該溶液にメディアおよび前記フェライト粉末を撹拌しながら加え分散させた。その後ボールミルで前記フェライト粉の平均粒径が1μm前後となるまで粉砕し、スラリーを得た。得られたスラリーに、まずアクリルエマルジョンを前記フェライト粉末100重量部に対し固形分で13重量部加えて撹拌・混合した。次に、可塑剤としてDBPを0.8重量部、湿潤剤としてポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ノニルフェニルエーテルを0.8重量部、消泡剤としてテレピン油を主体とする非イオン界面活性剤を0.4重量部加えて撹拌・混合した。さらに、水溶性アクリル樹脂を固形分で3重量部加えて撹拌・混合した後、撹拌脱泡し、セラミックスラリーを製造した。
【0027】
なお、上記アクリルエマルジョンは、その基質が疎水性成分としてエチルアクリレートを49.5mol%およびメチルメタクリレートを49.5mol%と、反応性モノマーとしてアクリル酸を1.0mol%含有したものであり、固形分濃度30重量%のエマルジョンとして添加した。また、上記水溶性アクリル樹脂は、その固形分が親水性成分として2−ヒドロキシエチルアクリレートを49.5mol%およびポリエチレンオキサイドアクリレートを49.5mol%と、反応性モノマーとしてアクリル酸を1.0mol%含有したものであり、固形分濃度30重量%の水溶液として添加した。
【0028】
次いで、スラリー槽中にキャリアフィルムを浸漬した後引上げ、これを乾燥してキャリアフィルムの両面にセラミックグリーンシートを形成し、さらに加熱乾燥した。得られたセラミックグリーンシートをフィルムから剥離し、外形を打ち抜き、矩形状のセラミックグリーンシートを作製した。
【0029】
該セラミックグリーンシートにスルーホールを形成した後、導電ペーストを印刷してコイル用内部導体パターンを形成した。前記内部導体パターンを形成したセラミックグリーンシートを、内部導体パターンを形成していないセラミックグリーンシートとともに積層、圧着し、積層体を作製した。該積層体を切断した後、脱脂・焼成(900℃)を行った。
【0030】
また、前記内部導体パターンを形成していないセラミックグリーンシートのみを積層、圧着し積層体を作製した。該積層体を切断した後、脱脂・焼成(900℃)を行った。
【0031】
上記のプロセスより得られたセラミックスラリー、セラミックグリーンシート、積層体および焼結体について、以下の測定を行った。
【0032】
セラミックスラリーの分散状態をグラインドゲージを用いて評価した。一端の深さが50μmで他端の深さが0μmであるみぞを掘った板上を、水平方向に深さ50μmから0μmに向ってペーストを掻き取った時に出来る掻き跡の長さが、2μm未満を○、2〜5μmを△、5μm以上を×とした。
【0033】
セラミックグリーンシートの表面状態を目視により観察した。「極めて平滑」を○、「やや粗雑」を△、「粗雑」を×とした。
【0034】
セラミックグリーンシートの柔軟性を評価するため、これを直径5mmのガラス棒を軸にして折り曲げ、クラック発生の有無を目視により観察した。「クラックなし」を○、「僅かに発生」を△、「発生著しい」を×とした。
【0035】
セラミックグリーンシートの打ち抜きとスルーホール形成を同時に行うことができる金型を使用したときの打ち抜き性を評価した。打ち抜き後の、シート外縁とスルーホール周辺部を目視にて観察し、「クラックなし」を○、「僅かに発生」を△、「発生著しい」を×とした。
【0036】
内部導体を有する積層体をカットして厚み約0.6mmのブロック体とし、これを約60℃に加熱しながら刃厚0.2mmのカット刃で約1.2mm×0.6mmに押し切った場合において、シート間に剥がれが生ずるか否かを判定した。「剥がれなし」を○、「僅かに発生」を△、「発生著しい」を×とした。
【0037】
上記のブロック体の斜めカット量を目視観察して評価した。「微量」を○、「やや大」を△、「著しい」を×とした。
【0038】
内部導体パターンやスルーホールを形成していないセラミックグリーンシートの引張り強度試験を行った。強度20kg/cm2以上を○、10〜20kg/cm2を△、10kg/cm2未満を×とした。
【0039】
内部導体パターンおよびスルーホールを形成したセラミックグリーンシートの打ち抜き後の寸法を測定し、打ち抜き前に対する寸法変化率が、1/1000以下を○、2/1000以下を△、2/1000を越えるものを×とした。
【0040】
アルキメデス法により、内部導体を有さない焼結体の吸水率を測定した。吸水率が、0.1%未満を○、0.1〜0.5%を△、0.5%を越えるものを×とした。
(2)比較例1
図3に比較例1の製造工程を示す。原料粉末としてNi−Zn−Cu系フェライト粉末を準備した。フェライト粉末の100重量部に対して60重量部の水に、ポリカルボン酸アンモニウム塩系分散剤を溶解した後、該溶液にメディアおよび前記フェライト粉末を撹拌しながら加え分散させた。その後ボールミルで前記フェライト粉の平均粒径が1μm前後となるまで粉砕し、スラリーを得た。得られたスラリーに、まず水溶性アクリル樹脂を前記フェライト粉末100重量部に対し固形分で3重量部加えて撹拌・混合した。次に、可塑剤としてDBPを0.8重量部、湿潤剤としてポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ノニルフェニルエーテルを0.8重量部、消泡剤としてテレピン油を主体とする非イオン界面活性剤を0.4重量部加えて撹拌・混合した。さらに、アクリルエマルジョンを固形分で13重量部加えて撹拌・混合した後、撹拌脱泡し、セラミックスラリーを製造した。水溶性アクリル樹脂およびアクリルエマルジョンは実施例1と同じものを用いた。
【0041】
得られたセラミックスラリーを使用し、実施例1と同様の工程によりセラミックグリーンシート、積層体、焼結体を作製した。
【0042】
作製したセラミックスラリー、セラミックグリーンシート、積層体および焼結体について、実施例1と同様の測定を行った。
(3)比較例2
図4に比較例の製造工程を示す。原料粉末としてNi−Zn−Cu系フェライト粉末を準備した。フェライト粉末の100重量部に対して60重量部の水に、ポリカルボン酸アンモニウム塩系分散剤を溶解した後、該溶液にメディアおよび前記フェライト粉末を撹拌しながら加え分散させた。その後ボールミルで前記フェライト粉の平均粒径が1μm前後となるまで粉砕し、スラリーを得た。得られたスラリーに、まず水溶性アクリル樹脂を前記フェライト粉末100重量部に対し固形分で3重量部加えて撹拌・混合した。次に、アクリルエマルジョンを固形分で13重量部加えて撹拌・混合した。さらに、可塑剤としてDBPを0.8重量部、湿潤剤としてポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ノニルフェニルエーテルを0.8重量部、消泡剤としてテレピン油を主体とする非イオン界面活性剤を0.4重量部加えて撹拌・混合した後、撹拌脱泡し、セラミックスラリーを製造した。水溶性アクリル樹脂およびアクリルエマルジョンは実施例1と同じものを用いた。
【0043】
得られたセラミックスラリーを使用し、実施例1と同様の工程によりセラミックグリーンシート、積層体、焼結体を作製した。
【0044】
作製したセラミックスラリー、セラミックグリーンシート、積層体および焼結体について、実施例1と同様の測定を行った。
【0045】
表1に、実施例1、比較例1、比較例2の測定結果を示す。実施例1におけるセラミックスラリー、セラミックグリーンシート、積層体、焼結体の方が、比較例1や比較例2のものに比べて特性が優れていることが明らかである。
【0046】
図1の従来例のようにバインダーを水溶性アクリルバインダーのみとした場合には、スラリーがニュートン流体であるためシート成形に適さない。この問題を解決するため、比較例1のようにアクリルエマルジョンを後添加した場合、アクリルエマルジョン間で凝集が起こった。また、比較例2のようにした場合、アクリルエマルジョンと水溶性アクリルバインダーの凝集が顕著であった。
【0047】
これらに対し、アクリルエマルジョンを先に加えた後、可塑剤、湿潤剤、消泡剤を加えて撹拌・混合し、その後水溶性アクリルバインダーを加えて撹拌・混合させる方法によれば、上述したような凝集現象を防ぐことができた。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明のセラミックスラリーの製造方法によれば、セラミックスラリーの塗膜のたれによる成形性の低下、および有機成分の凝集によるセラミックグリーンシートや積層体の加工性の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の製造方法を説明する製造工程図である。
【図2】本発明の製造方法を説明する製造工程図である。
【図3】比較例1の製造方法を説明する製造工程図である。
【図4】比較例2の製造方法を説明する製造工程図である。
Claims (3)
- 分散剤とセラミック粉末が水に均一に分散され、前記セラミック粉末が所望の粒径に粉砕されたセラミックスラリーを準備する工程と、前記セラミックスラリーにバインダーとしてアクリルエマルジョンを添加して混合する工程と、前記混合工程の後に可塑剤、湿潤剤および消泡剤を添加して混合する工程と、前記2つの混合工程の後にバインダーとして水溶性アクリル樹脂を添加し混合する工程を経て製造されたことを特徴とするセラミックスラリー。
- 分散剤とセラミック粉末が水に均一に分散され、前記セラミック粉末が所望の粒径に粉砕されたセラミックスラリーを準備する工程と、前記セラミックスラリーにバインダーとしてアクリルエマルジョンを添加して混合する工程と、前記混合工程の後に可塑剤、湿潤剤および消泡剤を添加して混合する工程と、前記2つの混合工程の後にバインダーとして水溶性アクリル樹脂を添加し混合する工程を有するセラミックスラリーの製造方法。
- 請求項1に記載のセラミックスラリーを用いて製造されたセラミックグリーンシート。
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JP2002270588A JP4207512B2 (ja) | 2002-09-17 | 2002-09-17 | セラミックスラリーおよびこれを用いたセラミックグリーンシート |
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-
2002
- 2002-09-17 JP JP2002270588A patent/JP4207512B2/ja not_active Expired - Lifetime
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