JP2004106382A - インク残量検出器、及びインクジェット記録装置用インクカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧電振動子56を収容してインクカートリッジ10に取り付け可能なケース40と、圧電振動子56を所定の周波数で駆動する駆動手段、圧電手段の残留振動を検出する信号処理手段、駆動手段及び信号処理手段のそれぞれと記録装置との間で信号を無線により授受し、また記録装置から駆動電力源となる電磁波を授受する送受信手段、及びインク及び容器に関する情報を記憶する記憶手段、を構成する半導体集積回路素子17と、半導体集積回路素子17と圧電振動子56とを接続し、かつ送受信手段に接続されるアンテナ手段が導電パターンとして形成された配線基板43とを備える。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置に装着されて記録ヘッドにインクを供給するインクカートリッジ、及びインクカートリッジのインク残量を検出するインク残量検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1に見られるように、インクジェット記録装置の記録ヘッドにインクを供給するインク供給体にはインク残量を検出するためのインク残量検出手段が設けられ、記録装置とリンクにより通信可能に構成されている。
このインク残量検出器は、インク収容領域の上部から下部に到達する長さのフレキシブルな導電体を静電容量検出電極とするもので、導電体を容器の外周に貼り付ける操作を必要とし、製造工程が複雑化するという問題のほかに、記録装置を構成する電子部品からの電磁波放射の影響を受けやすいという問題がある。
このような問題を解消するため、特許文献2に見られるように、インク容器のインク収容領域に圧電振動子を設け、圧電素子にインクが接触している状態と、非接触な状態とにおける残留振動の変化を検出してインク残量を検出するインクカートリッジが提案されている。
これによれば、電磁放射などによる誤動作を軽減できるものの、記録装置との間でインク残量に関するデータを通信するための実用的な構造までは提案されていない。
【特許文献1】
欧州特許出願公開第1088668号
【特許文献2】
特開2001−14619号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、インクカートリッジを構成する容器に容易に取り付けることができ、かつノイズの影響を可及的に少なくしたインク残量検出器を提供することである。
また本発明の他の目的は、上記インク残量検出器を備えたインクカートリッジを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解消するために請求項1の発明は、記録装置の記録ヘッドに供給するインクを収容する容器に取り付け可能で、前記インクに振動を付与するとともに残留振動の変化を検出する圧電手段を備え、前記残留振動に基づいて前記インクの量を検出するインク残量検出器において、前記圧電手段を収容して前記容器に取り付け可能なケースと、前記圧電手段を所定の周波数で駆動する駆動手段、前記圧電手段の残留振動を検出する信号処理手段、前記駆動手段及び信号処理手段のそれぞれと前記記録装置との間で信号を無線により授受し、また前記記録装置から駆動電力源となる電磁波を授受する送受信手段、構成する半導体集積回路素子と、前記半導体集積回路素子と前記圧電手段とを接続し、かつ前記送受信手段に接続されるアンテナ手段が導電パターンとして形成された配線基板とから構成されている。
また、請求項6の発明は、記録装置の記録ヘッドに供給するインクを収容する容器に取り付け可能で、前記インクに振動を付与するとともに残留振動の変化を検出する圧電手段を備え、前記残留振動に基づいて前記インクの量を検出するインク残量検出器において、前記圧電手段を収容して前記容器に取り付け可能なケースと、前記圧電手段を所定の周波数で駆動する駆動手段、前記圧電手段の残留振動を検出する信号処理手段、前記駆動手段及び信号処理手段のそれぞれと前記記録装置との間で信号を無線により授受し、また前記記録装置から駆動電力源となる電磁波を授受する送受信手段、を構成する半導体集積回路素子と、前記半導体集積回路素子と前記圧電手段とを接続し、かつ前記送受信手段に接続されるアンテナ手段が導電パターンとして形成された配線基板とからなるインク残量検出器を、前記圧電手段が前記インクに振動を伝達できるように前記容器に設けるとともに、前記配線基板の一端側が前記容器の表面に固定されている。
これにより、容器に凹部を形成してここにケースを収容して配線基板を引き出した状態で収容するだけで、取り付けることができ、インクカートリッジの製造工程を簡素化することができる。
また、アンテナ手段、半導体集積回路素子、圧電素子を相互に可及的に接近させて配置できるため、外部からのノイズの影響を低減することができる。
【0005】
【発明の実施の態様】
そこで以下に本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明のインクカートリッジを使用するインクジェット記録装置の一実施例を示すものであって、キャリッジ1は、記録媒体に対向する面、この実施例では下面に4種類のインクを液滴として吐出するインクジェット記録ヘッド2が設けられ、また上面にはそれぞれ異なるインクを収容したインクカートリッジ3、4、5、6を着脱可能に搭載し、図示しない駆動機構により往復駆動されるように構成されている。
【0006】
図2は、上述のインクカートリッジの一実施例の概観を示すものであり、また図3は組立斜視図を示すものであって、カートリッジ10は、一方の面が開口した扁平な矩形状の有底箱型の容器本体12と、この開口を封止する蓋体13とを主体として構成されている。
容器本体12の挿入方向の先端側、この実施例では底面の、長手方向の一方に偏するようにインク供給口14が、形成されている。また、インクカートリッジ10の挿抜時に前方、及び後方となるそれぞれの壁の上部にはそれぞれ係止部材15、16が容器本体12と一体に形成されている。
【0007】
容器本体12は、上部と下部とにそれぞれインク収容室を形成するため、内部に枠部18が形成されていて、その開口面がフィルム19により封止されている。
上部のインク収容室は、さらに複数の垂直壁20,21,22で複数の部屋に分割され、インク供給口14に接続する流路には負圧発生手段を構成する膜弁23とバネ24とが収容され、外側を栓体25により封止されている。なお、これら垂直壁20,21,22には、それぞれ底部に相互の部屋を連通するための開口が形成されている。
【0008】
下部のインク収容室26と上部の最上流側のインク収容室27は、吸い上げ流路28により接続されている。このような構成を採ることにより、下部のインク収容室26のインクを上部のインク収容室27に吸い上げ、負圧発生手段により一定の負圧を付与してインク供給口14から記録ヘッドにインクを供給することができる。
【0009】
下部のインク収容室26に連通する上部のインク収容室27の上面には図4に示したように容器本体12に凹部12aを形成し、この凹部12aに本発明が特徴とするインク残量検出器30が収容され、フレキシブルケーブル等からなる可撓性を備えた配線基板43が容器本体12の上面に引き出されている。
【0010】
配線基板43には、インク残量検出器30を構成する圧電振動子56を所定の周波数で駆動する駆動手段、圧電振動子56の残留振動を検出する信号処理手段、駆動手段及び信号処理手段のそれぞれと記録装置との間で信号を無線により授受し、また記録装置から駆動電力源となる電磁波を授受する送受信手段、インク及び容器に関する情報を記憶する記憶手段等を構成する1チップ集積回路17が実装されている。なお、インクに関する情報とはインクの種類、インク量を、また容器に関する情報とは、製造番号や製造年月日に関する情報を指す。
【0011】
図5は、上述のインク残量検出器の一実施例を示すものであって、ケース40は、上部にフランジ40aを有し、かつ後述するセンサチップ50を露出させる窓40bを底部に形成された有底筒状体として金属の絞り加工や、高分子材料の射出成型により構成されている。
ケース40を金属により構成すると、シールド効果により雑音などの影響を低減することができる。
【0012】
ケース40の底面にはセンサチップ50の圧力室52を露出させることができる程度の貫通孔41aを備えた底板41が、接着層45を介して固定され、窓40bの部分にセンサチップ50を載置し、センサチップ50の表面に接触するように異方性導電体42が収容されている。
【0013】
異方性導電体42の表面に配線基板43を載置し、蓋体44を介装して粘着性テープにより異方性導電体42を圧縮した状態で固定して、配線基板43を容器本体12の表面に引き出した状態でインク残量検出器30が構成されている。
【0014】
配線基板43は、図6に示したようにプリント回路技術によりアンテナ手段を構成する導電パターン45と、後述する接続端子58、59と異方性導電体42を介してコンタクトする接続用電極46を形成し、半導体集積回路素子17を実装して構成されている。
【0015】
図7(イ)、(ロ)は、それぞれセンサチップ50の一実施例を示すものであって、板材51の中心部に貫通孔によって圧力室52を形成し、外側となる面に振動板53を積層、固定して基板54が形成されている。振動板53の表面側には下電極55、板状の圧電振動子56、上電極57が形成され、それぞれの電極55、57は、他の領域より若干突出するように形成された接続端子58、59に接続されている。
【0016】
異方性導電体42は、接続端子58、59の位置でのみ圧縮されて圧縮を受けている方向にのみ導電性を発現して、配線基板43の接続端子46とコンタクトを形成する。
【0017】
なお、インクジェット記録ヘッドの圧力発生室の容積を膨張、収縮させるたわみ振動型の振動子は、サイズが1mm×0.5mm以下であるから、この圧電振動子を利用することにより、極めて小型のセンサチップ50を低いコストで製造することができる。
【0018】
また、記録ヘッドのアクチュエータが圧電振動子により構成されている場合には、インクを吐出しない期間、例えばホームポジションに移動した時点でインク残量検出器を作動させるようにすると、回り込みによる記録ヘッドのアクチュエータの振動に起因する誤差を防止することができる。
【0019】
さらに、ホームポジションの近傍に、インクカートリッジに電磁波を放射するアンテナや、またインクカートリッジからの無線信号を受けるアンテナを配置することにより、強度の低い電磁波で、インクレベルを確実に検出することができ、電磁波放射の対策を簡素化することができる。
【0020】
インクカートリッジが未使用状態では下部インク収容室26及び上部のインク収容室27にインクが収容されている。この状態で、記録装置から電磁波を放射すると、配線基板43のアンテナ手段45に受信されて半導体集積回路素子17の送受信手段から電力が供給される。
【0021】
これにより、駆動手段が作動して圧電振動子56が所定時間励起される。インク収容室27にはインクが略いっぱい充填されている状態では、圧電振動子56がインクに接触しているため、それに対応する残留振動を生じ、この振動に対応する起電力を生じる。この起電力は、信号処理手段により残留振動の状態、つまり残留振動の継続時間、または所定時間における信号レベルに変換されて送受信手段により無線信号として配線基板43に形成されているアンテナ手段45から記録装置に送信される。
【0022】
印刷により記録ヘッド2でインクが消費されると、下部のインク収容室26のインクが吸い上げ流路28を通って上部のインク収容室に移動する。
さらにインクの消費が進んで下部のインク収容室26が全て上部のインク収容室に吸い上げられ、さらに消費が進んで記録ヘッドから最も上流側に位置するインク収容室27のインクのレベルが低下し始める。
【0023】
この状態では、圧電振動子56が大気に露出されるから、残留振動の状態がインクに接触している状態とは異なるので、少なくとも下部のインク収容室26のインクが消費されたことを検出することができる。
【0024】
なお、上述の実施例においては負圧発生手段を備え、インク収容室を上下2段に分割したインクカートリッジについて説明したが、インク収容室が単一体として構成され、かつ負圧発生手段を備えないインクカートリッジにあっても、上述のインク残量検出器をインクに対向する領域に配置することにより同様の作用を奏することは明らかである。
【0025】
また、上述の実施例においては、センサチップと配線基板を異方性導電体を解して接続しているが、リード線を介して接続したり、配線基板にセンサチップを実装しても同様の作用を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクカートリッジが装着されたインクジェット記録装置の一実施例を示す斜視図である。
【図2】図(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明のインクカートリッジの一実施例を示す斜視図である。
【図3】同上インクカートリッジを構成する容器本体の流路構造を示す組み立て斜視図である。
【図4】同上インクカートリッジのインク残量検出器の取り付け領域を拡大して示す断面図と、上面図である。
【図5】同上インク残量検出器の一実施例を示す組み立て斜視図である。
【図6】配線基板の一実施例を示す上面図である。
【図7】図(イ)、(ロ)は、それぞれ同上インク残量検出器を構成するセンサチップの上面図と、線A−Aでの断面図である。
【符号の説明】
10 インクカートリッジ、17 半導体集積回路素子、26、27 インク収容室、30 インク残量検出器、40 ケース、41 底板、42 異方性導電体、43 可撓性の配線基板、50 センサチップ、56 圧電振動子
Claims (6)
- 記録装置の記録ヘッドに供給するインクを収容する容器に取り付け可能で、前記インクに振動を付与するとともに残留振動の変化を検出する圧電手段を備え、前記残留振動に基づいて前記インクの量を検出するインク残量検出器において、
前記圧電手段を収容して前記容器に取り付け可能なケースと、
前記圧電手段を所定の周波数で駆動する駆動手段、前記圧電手段の残留振動を検出する信号処理手段、前記駆動手段及び信号処理手段のそれぞれと前記記録装置との間で信号を無線により授受し、また前記記録装置から駆動電力源となる電磁波を授受する送受信手段、及び前記インク又は容器に関する情報を記憶する記憶手段、を構成する半導体集積回路素子と、
前記半導体集積回路素子と前記圧電手段とを接続し、かつ前記送受信手段に接続されるアンテナ手段が導電パターンとして形成された配線基板と、
からなるインク残量検出器。 - 前記ケースが、金属により有底筒状体として構成され、前記圧電手段に対向する領域に窓が形成されている請求項1に記載のインク残量検出器。
- 前記配線基板が、可撓性ケーブルとして構成され、センサチップが異方性導電体を介して電気的に接続されている請求項1に記載のインク残量検出器。
- 前記配線基板が、可撓性ケーブルとして構成され、蓋部材により前記異方性導電体に押圧されている請求項3に記載のインク残量検出器。
- 前記配線基板の一端に前記圧電手段が接続され、また前記半導体集積回路素子が前記容器の凹部に収容される位置に実装され、さらにアンテナ手段が前記容器の外部に位置するように形成されている請求項1に記載のインク残量検出器。
- 記録装置の記録ヘッドに供給するインクを収容する容器に取り付け可能で、前記インクに振動を付与するとともに残留振動の変化を検出する圧電手段を備え、前記残留振動に基づいて前記インクの量を検出するインク残量検出器において、
前記圧電手段を収容して前記容器に取り付け可能なケースと、
前記圧電手段を所定の周波数で駆動する駆動手段、前記圧電手段の残留振動を検出する信号処理手段、前記駆動手段及び信号処理手段のそれぞれと前記記録装置との間で信号を無線により授受し、また前記記録装置から駆動電力源となる電磁波を授受する送受信手段、を構成する半導体集積回路素子と、
前記半導体集積回路素子と前記圧電手段とを接続し、かつ前記送受信手段に接続されるアンテナ手段が導電パターンとして形成された配線基板と、
からなるインク残量検出器を、
前記圧電手段が前記インクに振動を伝達できるように前記容器に設けるとともに、前記配線基板の一端側が前記容器の表面に固定されているインクジェット記録装置用インクカートリッジ。
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Cited By (2)
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2002
- 2002-09-19 JP JP2002272966A patent/JP2004106382A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8465138B2 (en) | 2006-03-10 | 2013-06-18 | Seiko Epson Corporation | Semiconductor device, ink cartridge, and electronic device |
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