JP2004103353A - 電磁誘導加熱装置 - Google Patents
電磁誘導加熱装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004103353A JP2004103353A JP2002262548A JP2002262548A JP2004103353A JP 2004103353 A JP2004103353 A JP 2004103353A JP 2002262548 A JP2002262548 A JP 2002262548A JP 2002262548 A JP2002262548 A JP 2002262548A JP 2004103353 A JP2004103353 A JP 2004103353A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electromagnetic induction
- adhesive
- conductive
- induction heating
- heating
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- General Induction Heating (AREA)
Abstract
【課題】熱溶融性接着剤による部材の接着作業を効率的に行える電磁誘導加熱装置を提供する。
【解決手段】それぞれ絶縁材料からなる第1の部材10と第2の部材11との間に、それぞれ長尺に形成された導電性発熱部材13と接着剤12とを介在させ、導電性発熱部材13を電磁誘導加熱により発熱させることによって接着剤12を加熱溶融して第1の部材10と第2の部材11とを固着することができる電磁誘導加熱装置20において、長尺に形成された導電性発熱部材13および接着剤12の長手方向の向きを検出する検出手段36を具備することを特徴とする電磁誘導加熱装20である。
【選択図】 図7
【解決手段】それぞれ絶縁材料からなる第1の部材10と第2の部材11との間に、それぞれ長尺に形成された導電性発熱部材13と接着剤12とを介在させ、導電性発熱部材13を電磁誘導加熱により発熱させることによって接着剤12を加熱溶融して第1の部材10と第2の部材11とを固着することができる電磁誘導加熱装置20において、長尺に形成された導電性発熱部材13および接着剤12の長手方向の向きを検出する検出手段36を具備することを特徴とする電磁誘導加熱装20である。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はベニア板や石こうボード等のような木材製や石こう製等の部材を他の建材に接着したり、鉄骨等のスチール製の部材に対して木材製や樹脂製等の他の部材を接着するために、少なくとも前記部材のうちいずれか一方の部材に貼着した熱溶融性接着剤を加熱溶融させる電磁誘導加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
建材には、ベニア板や石こうボード等の木材製や石こう製の部材を他の部材に接着することにより形成されるものがある。
また、鉄骨等のスチール製の部材に樹脂製、木材製、発泡コンクリートあるいは石こう製の部材を接着することによって形成される建材もある。
これらの部材(建材)どうしを接着剤により接着する施工例として代表的なものは、家屋の建築現場において家屋の内装板として化粧板を壁下地に接着したり、床板材を床下地に接着することが挙げられる。
【0003】
そこで、複数の部材を工場において接着したり、家屋の建築現場において内装板を壁下地に接着したり、床板を床板下地に接着するために、接着させようとする部材に熱溶融性の接着剤を貼着し、電磁誘導加熱装置によってこの接着剤を加熱し、溶融させて接着する方法が特開2000−220288号公報により開示され、広く用いられている。
【0004】
電磁誘導加熱によって接着剤を加熱するには、接着される部材が木材等の絶縁材料からなる場合には、アルミや鉄等の導電性発熱部材シートの表面に熱溶融性接着剤を貼着しておき、加熱コイルに高周波電流を供給して導電性発熱部材シートに渦電流を発生させ、この渦電流によるジュール熱を利用し、導電性発熱部材シートを発熱させることにより熱溶融性接着剤を溶融させて他の部材に部材を接着することができる。
接着される部材の少なくとも一方が導電性発熱部材であれば、部材自体に渦電流を与えて発熱させればよい。この場合、熱溶融性接着剤は、接着させるいずれかの部材に予め貼着しておく必要がある。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−220288号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、接着させようとする2つの部材の間に接着剤とともに配置された導電性発熱部材シートは施工者側から目視することができない施工箇所もある。例えば、家屋の建築現場等において壁下地に化粧板を接着する場合等のように、施工者側から導電性発熱部材シートの位置を目視することができない場合には、導電性発熱部材シートの位置の確認に手間がかかるという課題がある。
このように、導電性発熱部材シートの位置がわからない場合には、電磁誘導加熱装置を動かす方向が分からないため、全範囲にわたって電磁誘導加熱装置の加熱コイルを押し当てなければならず、効率的な施工ができないといった課題がある。
【0007】
また、内装構造に床暖房パネルが敷設され、床暖房パネルの上にフローリング材等の仕上材を導電性発熱部材シートを用いて貼付しようとする場合、床暖房パネルは発熱された熱をフローリング全体に行き届くように、床暖房パネルの上面に均熱板としてアルミニウムシートが配設されている。このため、導電性材料を検出する手段が一種類しかない電磁誘導加熱装置においては、どの部分に加熱コイルを向ければ良いのかが判らなくなってしまうという課題もある。
【0008】
本発明の目的は、電磁誘導加熱装置を用いて建材等の部材に貼着した接着剤を必要最小限の動作により溶融させて、部材どうしを接着する工程を効率的に行うこと、および、床暖房が配設された場所のように電磁誘導加熱装置に反応する部材が1つだけでない場合においても、電磁誘導加熱したい部材のみを選択可能にすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、それぞれ絶縁材料からなる第1の部材と第2の部材との間に、それぞれ長尺に形成された導電性発熱部材と接着剤とを介在させ、前記導電性発熱部材を電磁誘導加熱により発熱させることによって前記接着剤を加熱溶融して前記第1の部材と第2の部材とを固着することができる電磁誘導加熱装置において、前記長尺に形成された導電性発熱部材および接着剤の長手方向の向きを検出する方向検出手段を具備することを特徴とする電磁誘導加熱装置である。
【0010】
また、他の発明は、いずれか一方が導電性材料からなる第1の部材と第2の部材との間に、長尺状の接着剤を介在させ、前記第1の部材および第2の部材を電磁誘導加熱により発熱させることによって前記接着剤を加熱溶融して前記第1の部材と第2の部材とを固着する電磁誘導加熱装置において、前記長尺に形成された導電性発熱部材および接着剤の長手方向の向きを検出する方向検出手段を具備することを特徴とする電磁誘導加熱装置である。
【0011】
これらによれば、接着させる材料の間に介在させた導電性発熱部材の加熱位置が施工者側から直接見ることができなくても、的確な位置に電磁誘導加熱装置を当てることができるので、確実性が高く、しかも効率的な接着作業が可能になる。
【0012】
また、本発明にあっては、前記方向検出手段は、導電性材料を検出する検出手段が複数設けられ、該複数の検出手段のうち導電性材料を検出した検出手段が2つあった場合には、該2つの検出手段を結んだ方向が前記長尺に形成された導電性発熱部材と接着剤の長手方向に一致していると判定する判定手段が設けられ、前記判定手段が、2つの検出手段を結んだ方向が前記長尺状の導電性発熱部材および接着剤の長手方向に一致したと判定した場合に、該2つの検出手段を結んだ方向が前記長尺状の導電性発熱部材および接着剤の長手方向であることを表示する表示手段とを備えることが好ましい。
これによれば、電磁誘導加熱装置をあてがうだけの簡単な操作により、電磁誘導加熱装置を動かす方向を容易に検出することができる。
【0013】
また本願発明において、前記複数の検出手段は、金属検出手段および/または磁性体検出手段であることが好ましい。
これによれば、施工対象箇所に複数種類の導電性部材が配設されていたとしても、電磁誘導加熱処理装置を動かすべき方向を容易に判別することが可能になる。
【0014】
さらに本発明にあっては、前記複数の検出手段に、金属検出手段および磁性体検出手段の両者を有している場合、いずれの検出手段を用いて前記導電性発熱部材を検出するかをユーザが選択可能な選択スイッチを備えていることが好ましい。
これによれば、1種類の導電性発熱部材を検出する検出手段のみでないと施工すべき導電性発熱部材が検出できない場合等においても、複数種類の導電性発熱部材を検出する検出手段を有する電磁誘導加熱装置を使いまわして用いることが可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は接着剤により接着された部材(以下建材ということがある)を示す図であり、図2は接着剤により接着された建材の断面図である。この建材10は木材製の板材により形成されて第1の建材となり、支柱11a、間柱11b等の木材により形成される壁下地からなる第2の建材11に対して接着される。
第1の建材10の表面には、化粧クロス等が貼り付けられることになる。図示する第1の建材10は、ベニア板等の木材により形成されているが、石こうボード、発泡コンクリート、ウレタン等の樹脂あるいは石材等により形成された建材を家屋の壁下地や外壁下地に接着するようにしても良く、同様の建材を床板下地に接着するようにしても良い。
【0016】
本願発明における接着メカニズムは導電性発熱部材に電磁誘導による電流を流すことにより、導電性発熱部材を発熱させ、この熱により部材10に貼着した接着剤を溶融させて、部材10、11を接着させるものである。発熱の詳細なメカニズムはIH調理器と同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0017】
支柱11aや間柱11bにより形成される壁下地(第2の建材)11と第1の建材10との少なくとも一方には、予め両面に接着剤層12a,12bが貼着されたアルミニウムや鉄等の導電性発熱部材からなる導電性発熱部材シート13が接着されている。導電性発熱部材シート13のそれぞれの接着剤層12a,12bは、エチレン酢酸ビニル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系等の樹脂からなる熱可塑性接着剤からなる。
導電性発熱部材シート13は、テープ状に形成されており、予め芯材に巻きつけてあって、これを巻きだして建材10、11にそれぞれ貼着させる。
【0018】
第1の建材10は、両面に接着剤層12a,12bが形成された導電性発熱部材シート13を用いて第2の建材11である壁下地に接着させる構成としているが、導電性発熱部材として鉄粉等の導電性発熱材料から成る粉粒体を接着剤12に混合させて、両方の建材10,11の間に介在させるようにしても良い。また、これらの構成に代えて、導電性発熱材料からなる線材を編んで形成したメッシュ状の部材を導電性発熱部材シート13に配設しても良いし、導電性発熱部材を接着剤12ではさみ込んで形成した両面テープを建材10、11の間に介在させるようにしてもよい。
【0019】
さらには、一方の接着剤層12aを熱可塑性接着剤とし、他方の接着剤層12bを化学反応によって硬化又は溶融する接着剤12として、第1の建材10と導電性発熱部材シート13とを接着剤層12aにより接着する構成にし、第2の建材11である壁下地には予め導電性発熱部材シート13を接着剤層12bにより接着しておく構成にしても良い。この場合においては、家屋建築の現場において、電磁誘導加熱装置20によって熱可塑性接着剤からなる接着剤層12aを溶融状態として導電性発熱部材シート13を介して第1および第2の建材10、11を互いに接着させることになる。
【0020】
図3は第1の建材を床板下地に接着した状態を示す説明断面図である。この場合においては、床板下地は、スチール製の梁材15を有しており、梁材15自体が導電性発熱部材となるので、導電性発熱部材シート13を用いることなく、接着剤層12のみにより両方の部材10,11を接着することが可能になっている。
【0021】
床板としての第1の建材10は、通常、木材製のフローリング材が使用されるが、発泡コンクリート等種々の材料を使用することも可能であり、第1の建材10自体をスチール製の板材とすることも可能である。
【0022】
以下、本実施の形態における電磁誘導加熱装置について説明する。
図4は、電磁誘導加熱装置の内部構成を示す説明図である。図5は、電磁誘導加熱装置の内部処理を示す説明図である。
【0023】
商用電源のコネクタより供給される電源は、交流を直流に変換する整流器22による処理がなされる。直流に整流された電流は高周波電流に変換するためにインバータ23により処理される。なお、図示しないが整流器22とインバータ23との間にノイズフィルタを配設すれば、なお好適に高周波電流に変換することが可能である。
このようにして変換された高周波電流は、加熱コイル32に通電され、加熱コイル32の周辺に交流磁界を発生させる。これにより、磁力線が導電性発熱部材シート13を通過することになり、電磁誘導の法則によって導電性発熱部材シート13に渦電流が発生し、この渦電流によるジュール熱により導電性発熱部材シート13が発熱することになる。
【0024】
第1の建材10および壁下地(第2の建材)11を構成する柱等は、木材製であるので、加熱コイル32に高周波電流を供給しても、発熱することなく、導電性発熱部材シート13のみがジュール熱により発熱し、予め貼着された接着剤層12a,12bが加熱される。これにより、熱可塑性の接着剤は溶融状態となって壁下地11と第1の建材10の背面に密着する。加熱コイル32への通電を解くと接着剤層12a,12bは冷却硬化して第1の建材10は接着剤層12a,12bを介して壁下地11に接着される。
【0025】
制御部28は、図示しない記憶装置に格納されたプログラムと、プログラムに基づいて作動する図示しない電子制御回路とにより構成されており、後述する導電性発熱部材の検出手段36からの検出結果の信号を解析し、解析結果に基いて表示部31や加熱コイル32への電源の供給を制御する。表示部31にはLEDランプ等の表示灯が配設されている。
【0026】
電磁誘導加熱装置の各部について説明する。
図6は建材を壁下地や床板下地に対して接着するための可搬式の電磁誘導加熱装置を示す外観図である。図7は、可搬式の電磁誘導加熱装置の底面図である。電磁誘導加熱装置20は加熱コイル32が配設されている操作部25と、電源ユニット26とにより構成されている。
操作部25の上面には取手27が取り付けられて、持ち運び自在となっている。また、操作部25には、操作スイッチ34と表示部31が設けられている。
電源ユニット26は商用電源のコンセントに接続されるプラグを有し、プラグはACコードにより電源スイッチ30を介して電源ユニット26内の機器に接続されている。また、電源ユニット26は整流器22を内蔵している。
【0027】
操作部25の下面側は加熱部となり、渦巻き状の加熱コイル32が取り付けられ、加熱コイル32の表面はコイル保護のために樹脂製のカバー33が覆われている。
【0028】
加熱コイル32にインバータ23からの高周波電流を供給することにより形成される磁路は、図示しない閉磁回路により操作部25内には磁界が入り込まないようになっており、操作部25内の機器の保護がなされている。
【0029】
取手27には、加熱コイル32に通電して接着操作を開始させるための操作スイッチ34が取り付けられており、この操作スイッチ34からの信号は、電源ユニット26の電子制御回路からなる制御部28に送られて、導電性発熱部材の検出手段36の検出結果の信号と共に加熱コイル32への電流の供給を制御する。また、加熱コイル32へ供給する電流を変更するための出力調整スイッチ35が電源ユニット26に設けられている。ユーザーが出力調整スイッチ35を操作することにより加熱コイル32の出力が適宜調整されるように制御部28が出力する電力を制御する。
【0030】
加熱部には、加熱コイル32を押し当てる位置を検出する導電性発熱部材の検出手段36が加熱部に配設されている。本実施の形態においては、導電性発熱部材の延長方向を検出する検出手段36として、金属検出手段36aと磁性体検出手段36bを用いている。図5に示すとおり、加熱部の長手方向の両端部には、金属検出手段36aと磁性体検出手段36bがそれぞれ隣接して配設されている。
本実施の形態においては、金属検出手段36aとして高周波センサを用い、磁性体検出手段36bとしてホール素子を用いたセンサを採用している。高周波センサ36aは対象部材に高周波を照射して、周波数の変化を検出するセンサであり、ホール素子を用いたセンサ36bは対象部材における磁力線の変化を検出するセンサであり、それぞれの検出結果の信号は制御部28に送り出されるように設定されている。金属検出手段36aおよび磁性体検出手段36bはこれらのセンサに限定されるものではなく、他のセンサによって構成されても本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【0031】
また、電源ユニット26には、高周波センサ36aとホール素子を用いたセンサ36bの一方または両方を用いてセンシングすることができるように、切替スイッチ37が配設されている。切替スイッチ37を操作することにより、センシング時に有効となる導電性発熱部材の検出手段36を取捨選択することができるので、導電性発熱部材の配設状況に応じて有効にすべき導電性発熱部材の検出手段36の切替をすることができる。
本実施の形態においては、導電性発熱部材は1種類のみであるので、切替スイッチ37により導電性部材の検出手段は高周波センサ36aだけ有効になるように設定すればよい。
【0032】
導電性発熱部材シート13の導電性発熱部材としては、鉄やアルミニウム等が使用されることが多い。導電性発熱部材シート13の材質に応じて電気抵抗が異なるので、使用する導電性発熱部材によって発熱量が大きく異なる。そこで、加熱コイル32の出力を変化させるようにすれば接着作業効率をさらに向上させることができる。導電性発熱部材シート13の材質は予め分かっているので、材質に合わせて出力調整スイッチ35により加熱コイル32の出力を設定するようにすれば好適である。
【0033】
電磁誘導加熱装置の内部処理について実際の操作方法を交えながら詳細に説明する。
本実施の形態における電磁誘導加熱装置20の操作部25は、先述のとおり、導電性発熱部材の検出手段36として、高周波センサ36aとホール素子を用いたセンサ36bの2種類の検出手段(センサ)が配設されている。
本実施の形態においては、導電性発熱部材は1種類であるので、切替スイッチ37により高周波センサ36aを選択する。ユーザーが操作スイッチ34をオンにしながら操作部25の向きを変えると、それぞれの検出手段36a、36bは、対象物の検出結果の信号を制御部28に送る。制御部28は、それぞれの検出手段36a、36bからの検出結果の信号を解析し、加熱部の両端の検出手段36a、36bにおいて、検出対象物が共に検出された場合、表示部31の表示灯を点灯させ、現在の加熱部の向きが導電性発熱部材の延長方向と一致している旨を示す。
【0034】
ユーザーは、表示部31の表示灯が消えないようにしながら操作部25を動かし、導電性発熱部材を加熱して、接着剤12を溶融させることにより、部材10、11の接着を行うことができる。
【0035】
ところで、本発明に係る電磁誘導加熱装置には、図5に示すように、操作部25の加熱部に接着状況検出センサ40が設けられている。これにより、建材10,11相互を接着した後に、接着状況を検出するようにしている。この接着状況検出センサ40は、超音波等の振動を建材10の表面に照射する振動発生部と、その振動の建材表面からの反射音を受信する受信部(共に図示せず)とを装置本体内に有しており、反射音の周波数によって接着が適正に行われたか否かを検出することができる。
【0036】
接着状況検出センサ40を使用する際には、電源ユニット26の出力調整スイッチ35により、加熱コイル32への電源供給ををOFFにしておけば、建材10に反応して、加熱コイル32に余計な電流が流れるのを防止することができる。しかしながら、接着状況検出センサ40により、接着が適正に行われていないことが検出された場合は、自動的に加熱コイル32の電源がONになるように制御部を設定すれば、接着が不十分であると検出された箇所にマーキング等をして、再度加熱コイル32を当てる必要がないため、省力化施工が可能になり好適である。
【0037】
【第2の実施の形態】
図8は床暖房システムの上にフローリング材を施工した状態を示す説明断面図である。図8に基づいて床暖房システムが採用された場合の床材の施工方法について説明する。
図8に示すように、床暖房を採用した場合における一般的な構成は、熱媒用パイプ50が挿通された床暖房パネル52に均熱板としてのアルミニウムフィルム54が敷設されていて、アルミニウムフィルム54の上にフローリング材56が配設されている。なお、60は床支持材であり、62はスラブコンクリートである。
本実施の形態においては、小根太58が加熱されるべき部材であるので、接着剤12は小根太58の上面に塗布されている。
【0038】
ところで、アルミニウムフィルム54と小根太58は共に金属であり、導体でもある。しかしながらアルミニウムフィルム54は非磁性体であり、小根太58は磁性体である。このように複数の導電性発熱部材が存在する施工箇所において、いずれか一方の電磁誘導加熱部材(すなわち、電磁誘導加熱装置20の加熱面を対向させる部分:本実施の形態においては小根太58)を検出するためには、電磁誘導加熱部材の磁性を利用すればよい。
【0039】
したがってユーザは、切替スイッチ37によりホール素子を用いたセンサ36bを有効にし、ホール素子を用いたセンサ36bで検出された部分が小根太58の部分になるので、アルミニウムフィルム54と小根太58を区別することができる。
このように、アルミニウムフィルム54と小根太58だけを区別する際には、ホール素子を用いたセンサ36bのみを有効にすれば良いが、切替スイッチ37により、高周波センサ36aも有効にしておけば、小根太58の他にも磁性体が存在している場合においても確実に小根太58を検出することができる。施工対象部分の検出ができてからの電磁誘導加熱装置20の操作方法は第1の実施の形態と同様に行えばよいため、ここではその説明は省略する。
【0040】
このように、施工対象箇所の周辺に複数種類の導電性発熱部材がある場合においても、複数種類の検出手段を配設しておけば、複数の導電性発熱部材からただ一種類のみの導電性発熱部材を検出することが可能になる。これにより、電磁誘導加熱装置の施工対象箇所をピンポイントで指示することができるため非常に使い勝手の良い電磁誘導加熱装置とすることができる。
【0041】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、発明内容の要旨を逸脱しない範囲で種々変更したとしても本発明の技術的範囲に属するものであることはいうまでもない。
【0042】
例えば、図4に示す電磁誘導加熱装置20は、手動操作式となっているが、これをロボットのアーム等の移動装置に取り付けることによって、複数の部材の接着を自動的に行うようにすることができる。また、大型化することによって、工場において自動的に部材の接着を行うこともできる。
【0043】
また、本実施の形態においては、2つの部材を接着する形態のみを説明しているが、3つの部材を同時に接着する場合にも本発明の電磁誘導加熱装置20を使用することができる。
【0044】
さらに、本実施の形態にあっては、建材を接着するために本発明を適用しているが、建材以外に、自動車等の車両を構成する部材、建築物等の建造物を構成する部材、船舶や航空機を構成する部材、日用品や調度品や事務機器等の種々の部材の接着にも適用することができる。
【0045】
また、本実施の形態にあっては熱溶融性の接着剤12を溶融して部材10、11相互の接着を行うために本発明を適用しているが、接着作業を逆順にすれば、接着された部材10、11間の接着剤12を再溶融させることによって、部材を相互に分離するために本発明を適用するようにしても良い。
【0046】
さらにまた、導電性発熱部材の延長方向を検出する検出手段36のうち、高周波センサ36aについては、加熱コイル32自体が高周波を照射しているので、本実施の形態のように2ヶ所に配設する必要は無く、加熱コイル32と離れた側の高周波センサ36aのみとしてもよい。接着効率を向上させるため等に加熱コイル32を複数配設する場合においては、高周波センサ36aは配設しなくても加熱コイル32に代用させることも可能ではある。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、装置本体の加熱コイルを建材の表面に対向させると同時に加熱コイルの移動方向が導電性発熱部材シートの延長方向に沿っているかを確認可能にしたことにより、電磁誘導加熱装置を用いて部材を接着させる作業を迅速に行うことができる。
また、導電性発熱部材検出手段として金属探知手段と、磁性体検出手段のように複数種類の導電性発熱部材検出手段を採用することにより、断熱材が施工された箇所のように電磁誘導加熱される部材が1つだけでない場合においても電磁誘導加熱装置を用いた効率的な接着作業をすることができる。
さらには、導電性発熱部材検出手段を取捨選択することができるようにしたことにより、さまざまな施工箇所において、正確に加熱コイルを動かすべき方向を即座に検出することができるといった著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】接着剤により接着された部材を示す図である。
【図2】接着剤により接着された部材の断面図である。
【図3】床暖房が敷設された状態を示す説明断面図である。
【図4】電磁誘導加熱装置の内部構成を示す説明図である。
【図5】電磁誘導加熱装置の内部処理を示す説明図である。
【図6】可搬式の電磁誘導加熱装置を示す図である。
【図7】電磁誘導加熱装置の過熱面を示す説明図である。
【図8】床暖房システムの上にフローリング材を施工した状態を示す説明断面図である。
【符号の説明】
10,11 建材
12 接着剤
13 導電性発熱部材シート
20 電磁誘導加熱装置
25 操作部
26 電源ユニット
28 制御部
31 表示部
32 加熱コイル
36 検出部材
40 接着状況検出センサ
52 床暖房パネル
54 アルミニウムフィルム
56 フローリング材
58 小根太
【発明の属する技術分野】
本発明はベニア板や石こうボード等のような木材製や石こう製等の部材を他の建材に接着したり、鉄骨等のスチール製の部材に対して木材製や樹脂製等の他の部材を接着するために、少なくとも前記部材のうちいずれか一方の部材に貼着した熱溶融性接着剤を加熱溶融させる電磁誘導加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
建材には、ベニア板や石こうボード等の木材製や石こう製の部材を他の部材に接着することにより形成されるものがある。
また、鉄骨等のスチール製の部材に樹脂製、木材製、発泡コンクリートあるいは石こう製の部材を接着することによって形成される建材もある。
これらの部材(建材)どうしを接着剤により接着する施工例として代表的なものは、家屋の建築現場において家屋の内装板として化粧板を壁下地に接着したり、床板材を床下地に接着することが挙げられる。
【0003】
そこで、複数の部材を工場において接着したり、家屋の建築現場において内装板を壁下地に接着したり、床板を床板下地に接着するために、接着させようとする部材に熱溶融性の接着剤を貼着し、電磁誘導加熱装置によってこの接着剤を加熱し、溶融させて接着する方法が特開2000−220288号公報により開示され、広く用いられている。
【0004】
電磁誘導加熱によって接着剤を加熱するには、接着される部材が木材等の絶縁材料からなる場合には、アルミや鉄等の導電性発熱部材シートの表面に熱溶融性接着剤を貼着しておき、加熱コイルに高周波電流を供給して導電性発熱部材シートに渦電流を発生させ、この渦電流によるジュール熱を利用し、導電性発熱部材シートを発熱させることにより熱溶融性接着剤を溶融させて他の部材に部材を接着することができる。
接着される部材の少なくとも一方が導電性発熱部材であれば、部材自体に渦電流を与えて発熱させればよい。この場合、熱溶融性接着剤は、接着させるいずれかの部材に予め貼着しておく必要がある。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−220288号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、接着させようとする2つの部材の間に接着剤とともに配置された導電性発熱部材シートは施工者側から目視することができない施工箇所もある。例えば、家屋の建築現場等において壁下地に化粧板を接着する場合等のように、施工者側から導電性発熱部材シートの位置を目視することができない場合には、導電性発熱部材シートの位置の確認に手間がかかるという課題がある。
このように、導電性発熱部材シートの位置がわからない場合には、電磁誘導加熱装置を動かす方向が分からないため、全範囲にわたって電磁誘導加熱装置の加熱コイルを押し当てなければならず、効率的な施工ができないといった課題がある。
【0007】
また、内装構造に床暖房パネルが敷設され、床暖房パネルの上にフローリング材等の仕上材を導電性発熱部材シートを用いて貼付しようとする場合、床暖房パネルは発熱された熱をフローリング全体に行き届くように、床暖房パネルの上面に均熱板としてアルミニウムシートが配設されている。このため、導電性材料を検出する手段が一種類しかない電磁誘導加熱装置においては、どの部分に加熱コイルを向ければ良いのかが判らなくなってしまうという課題もある。
【0008】
本発明の目的は、電磁誘導加熱装置を用いて建材等の部材に貼着した接着剤を必要最小限の動作により溶融させて、部材どうしを接着する工程を効率的に行うこと、および、床暖房が配設された場所のように電磁誘導加熱装置に反応する部材が1つだけでない場合においても、電磁誘導加熱したい部材のみを選択可能にすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、それぞれ絶縁材料からなる第1の部材と第2の部材との間に、それぞれ長尺に形成された導電性発熱部材と接着剤とを介在させ、前記導電性発熱部材を電磁誘導加熱により発熱させることによって前記接着剤を加熱溶融して前記第1の部材と第2の部材とを固着することができる電磁誘導加熱装置において、前記長尺に形成された導電性発熱部材および接着剤の長手方向の向きを検出する方向検出手段を具備することを特徴とする電磁誘導加熱装置である。
【0010】
また、他の発明は、いずれか一方が導電性材料からなる第1の部材と第2の部材との間に、長尺状の接着剤を介在させ、前記第1の部材および第2の部材を電磁誘導加熱により発熱させることによって前記接着剤を加熱溶融して前記第1の部材と第2の部材とを固着する電磁誘導加熱装置において、前記長尺に形成された導電性発熱部材および接着剤の長手方向の向きを検出する方向検出手段を具備することを特徴とする電磁誘導加熱装置である。
【0011】
これらによれば、接着させる材料の間に介在させた導電性発熱部材の加熱位置が施工者側から直接見ることができなくても、的確な位置に電磁誘導加熱装置を当てることができるので、確実性が高く、しかも効率的な接着作業が可能になる。
【0012】
また、本発明にあっては、前記方向検出手段は、導電性材料を検出する検出手段が複数設けられ、該複数の検出手段のうち導電性材料を検出した検出手段が2つあった場合には、該2つの検出手段を結んだ方向が前記長尺に形成された導電性発熱部材と接着剤の長手方向に一致していると判定する判定手段が設けられ、前記判定手段が、2つの検出手段を結んだ方向が前記長尺状の導電性発熱部材および接着剤の長手方向に一致したと判定した場合に、該2つの検出手段を結んだ方向が前記長尺状の導電性発熱部材および接着剤の長手方向であることを表示する表示手段とを備えることが好ましい。
これによれば、電磁誘導加熱装置をあてがうだけの簡単な操作により、電磁誘導加熱装置を動かす方向を容易に検出することができる。
【0013】
また本願発明において、前記複数の検出手段は、金属検出手段および/または磁性体検出手段であることが好ましい。
これによれば、施工対象箇所に複数種類の導電性部材が配設されていたとしても、電磁誘導加熱処理装置を動かすべき方向を容易に判別することが可能になる。
【0014】
さらに本発明にあっては、前記複数の検出手段に、金属検出手段および磁性体検出手段の両者を有している場合、いずれの検出手段を用いて前記導電性発熱部材を検出するかをユーザが選択可能な選択スイッチを備えていることが好ましい。
これによれば、1種類の導電性発熱部材を検出する検出手段のみでないと施工すべき導電性発熱部材が検出できない場合等においても、複数種類の導電性発熱部材を検出する検出手段を有する電磁誘導加熱装置を使いまわして用いることが可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は接着剤により接着された部材(以下建材ということがある)を示す図であり、図2は接着剤により接着された建材の断面図である。この建材10は木材製の板材により形成されて第1の建材となり、支柱11a、間柱11b等の木材により形成される壁下地からなる第2の建材11に対して接着される。
第1の建材10の表面には、化粧クロス等が貼り付けられることになる。図示する第1の建材10は、ベニア板等の木材により形成されているが、石こうボード、発泡コンクリート、ウレタン等の樹脂あるいは石材等により形成された建材を家屋の壁下地や外壁下地に接着するようにしても良く、同様の建材を床板下地に接着するようにしても良い。
【0016】
本願発明における接着メカニズムは導電性発熱部材に電磁誘導による電流を流すことにより、導電性発熱部材を発熱させ、この熱により部材10に貼着した接着剤を溶融させて、部材10、11を接着させるものである。発熱の詳細なメカニズムはIH調理器と同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0017】
支柱11aや間柱11bにより形成される壁下地(第2の建材)11と第1の建材10との少なくとも一方には、予め両面に接着剤層12a,12bが貼着されたアルミニウムや鉄等の導電性発熱部材からなる導電性発熱部材シート13が接着されている。導電性発熱部材シート13のそれぞれの接着剤層12a,12bは、エチレン酢酸ビニル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系等の樹脂からなる熱可塑性接着剤からなる。
導電性発熱部材シート13は、テープ状に形成されており、予め芯材に巻きつけてあって、これを巻きだして建材10、11にそれぞれ貼着させる。
【0018】
第1の建材10は、両面に接着剤層12a,12bが形成された導電性発熱部材シート13を用いて第2の建材11である壁下地に接着させる構成としているが、導電性発熱部材として鉄粉等の導電性発熱材料から成る粉粒体を接着剤12に混合させて、両方の建材10,11の間に介在させるようにしても良い。また、これらの構成に代えて、導電性発熱材料からなる線材を編んで形成したメッシュ状の部材を導電性発熱部材シート13に配設しても良いし、導電性発熱部材を接着剤12ではさみ込んで形成した両面テープを建材10、11の間に介在させるようにしてもよい。
【0019】
さらには、一方の接着剤層12aを熱可塑性接着剤とし、他方の接着剤層12bを化学反応によって硬化又は溶融する接着剤12として、第1の建材10と導電性発熱部材シート13とを接着剤層12aにより接着する構成にし、第2の建材11である壁下地には予め導電性発熱部材シート13を接着剤層12bにより接着しておく構成にしても良い。この場合においては、家屋建築の現場において、電磁誘導加熱装置20によって熱可塑性接着剤からなる接着剤層12aを溶融状態として導電性発熱部材シート13を介して第1および第2の建材10、11を互いに接着させることになる。
【0020】
図3は第1の建材を床板下地に接着した状態を示す説明断面図である。この場合においては、床板下地は、スチール製の梁材15を有しており、梁材15自体が導電性発熱部材となるので、導電性発熱部材シート13を用いることなく、接着剤層12のみにより両方の部材10,11を接着することが可能になっている。
【0021】
床板としての第1の建材10は、通常、木材製のフローリング材が使用されるが、発泡コンクリート等種々の材料を使用することも可能であり、第1の建材10自体をスチール製の板材とすることも可能である。
【0022】
以下、本実施の形態における電磁誘導加熱装置について説明する。
図4は、電磁誘導加熱装置の内部構成を示す説明図である。図5は、電磁誘導加熱装置の内部処理を示す説明図である。
【0023】
商用電源のコネクタより供給される電源は、交流を直流に変換する整流器22による処理がなされる。直流に整流された電流は高周波電流に変換するためにインバータ23により処理される。なお、図示しないが整流器22とインバータ23との間にノイズフィルタを配設すれば、なお好適に高周波電流に変換することが可能である。
このようにして変換された高周波電流は、加熱コイル32に通電され、加熱コイル32の周辺に交流磁界を発生させる。これにより、磁力線が導電性発熱部材シート13を通過することになり、電磁誘導の法則によって導電性発熱部材シート13に渦電流が発生し、この渦電流によるジュール熱により導電性発熱部材シート13が発熱することになる。
【0024】
第1の建材10および壁下地(第2の建材)11を構成する柱等は、木材製であるので、加熱コイル32に高周波電流を供給しても、発熱することなく、導電性発熱部材シート13のみがジュール熱により発熱し、予め貼着された接着剤層12a,12bが加熱される。これにより、熱可塑性の接着剤は溶融状態となって壁下地11と第1の建材10の背面に密着する。加熱コイル32への通電を解くと接着剤層12a,12bは冷却硬化して第1の建材10は接着剤層12a,12bを介して壁下地11に接着される。
【0025】
制御部28は、図示しない記憶装置に格納されたプログラムと、プログラムに基づいて作動する図示しない電子制御回路とにより構成されており、後述する導電性発熱部材の検出手段36からの検出結果の信号を解析し、解析結果に基いて表示部31や加熱コイル32への電源の供給を制御する。表示部31にはLEDランプ等の表示灯が配設されている。
【0026】
電磁誘導加熱装置の各部について説明する。
図6は建材を壁下地や床板下地に対して接着するための可搬式の電磁誘導加熱装置を示す外観図である。図7は、可搬式の電磁誘導加熱装置の底面図である。電磁誘導加熱装置20は加熱コイル32が配設されている操作部25と、電源ユニット26とにより構成されている。
操作部25の上面には取手27が取り付けられて、持ち運び自在となっている。また、操作部25には、操作スイッチ34と表示部31が設けられている。
電源ユニット26は商用電源のコンセントに接続されるプラグを有し、プラグはACコードにより電源スイッチ30を介して電源ユニット26内の機器に接続されている。また、電源ユニット26は整流器22を内蔵している。
【0027】
操作部25の下面側は加熱部となり、渦巻き状の加熱コイル32が取り付けられ、加熱コイル32の表面はコイル保護のために樹脂製のカバー33が覆われている。
【0028】
加熱コイル32にインバータ23からの高周波電流を供給することにより形成される磁路は、図示しない閉磁回路により操作部25内には磁界が入り込まないようになっており、操作部25内の機器の保護がなされている。
【0029】
取手27には、加熱コイル32に通電して接着操作を開始させるための操作スイッチ34が取り付けられており、この操作スイッチ34からの信号は、電源ユニット26の電子制御回路からなる制御部28に送られて、導電性発熱部材の検出手段36の検出結果の信号と共に加熱コイル32への電流の供給を制御する。また、加熱コイル32へ供給する電流を変更するための出力調整スイッチ35が電源ユニット26に設けられている。ユーザーが出力調整スイッチ35を操作することにより加熱コイル32の出力が適宜調整されるように制御部28が出力する電力を制御する。
【0030】
加熱部には、加熱コイル32を押し当てる位置を検出する導電性発熱部材の検出手段36が加熱部に配設されている。本実施の形態においては、導電性発熱部材の延長方向を検出する検出手段36として、金属検出手段36aと磁性体検出手段36bを用いている。図5に示すとおり、加熱部の長手方向の両端部には、金属検出手段36aと磁性体検出手段36bがそれぞれ隣接して配設されている。
本実施の形態においては、金属検出手段36aとして高周波センサを用い、磁性体検出手段36bとしてホール素子を用いたセンサを採用している。高周波センサ36aは対象部材に高周波を照射して、周波数の変化を検出するセンサであり、ホール素子を用いたセンサ36bは対象部材における磁力線の変化を検出するセンサであり、それぞれの検出結果の信号は制御部28に送り出されるように設定されている。金属検出手段36aおよび磁性体検出手段36bはこれらのセンサに限定されるものではなく、他のセンサによって構成されても本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【0031】
また、電源ユニット26には、高周波センサ36aとホール素子を用いたセンサ36bの一方または両方を用いてセンシングすることができるように、切替スイッチ37が配設されている。切替スイッチ37を操作することにより、センシング時に有効となる導電性発熱部材の検出手段36を取捨選択することができるので、導電性発熱部材の配設状況に応じて有効にすべき導電性発熱部材の検出手段36の切替をすることができる。
本実施の形態においては、導電性発熱部材は1種類のみであるので、切替スイッチ37により導電性部材の検出手段は高周波センサ36aだけ有効になるように設定すればよい。
【0032】
導電性発熱部材シート13の導電性発熱部材としては、鉄やアルミニウム等が使用されることが多い。導電性発熱部材シート13の材質に応じて電気抵抗が異なるので、使用する導電性発熱部材によって発熱量が大きく異なる。そこで、加熱コイル32の出力を変化させるようにすれば接着作業効率をさらに向上させることができる。導電性発熱部材シート13の材質は予め分かっているので、材質に合わせて出力調整スイッチ35により加熱コイル32の出力を設定するようにすれば好適である。
【0033】
電磁誘導加熱装置の内部処理について実際の操作方法を交えながら詳細に説明する。
本実施の形態における電磁誘導加熱装置20の操作部25は、先述のとおり、導電性発熱部材の検出手段36として、高周波センサ36aとホール素子を用いたセンサ36bの2種類の検出手段(センサ)が配設されている。
本実施の形態においては、導電性発熱部材は1種類であるので、切替スイッチ37により高周波センサ36aを選択する。ユーザーが操作スイッチ34をオンにしながら操作部25の向きを変えると、それぞれの検出手段36a、36bは、対象物の検出結果の信号を制御部28に送る。制御部28は、それぞれの検出手段36a、36bからの検出結果の信号を解析し、加熱部の両端の検出手段36a、36bにおいて、検出対象物が共に検出された場合、表示部31の表示灯を点灯させ、現在の加熱部の向きが導電性発熱部材の延長方向と一致している旨を示す。
【0034】
ユーザーは、表示部31の表示灯が消えないようにしながら操作部25を動かし、導電性発熱部材を加熱して、接着剤12を溶融させることにより、部材10、11の接着を行うことができる。
【0035】
ところで、本発明に係る電磁誘導加熱装置には、図5に示すように、操作部25の加熱部に接着状況検出センサ40が設けられている。これにより、建材10,11相互を接着した後に、接着状況を検出するようにしている。この接着状況検出センサ40は、超音波等の振動を建材10の表面に照射する振動発生部と、その振動の建材表面からの反射音を受信する受信部(共に図示せず)とを装置本体内に有しており、反射音の周波数によって接着が適正に行われたか否かを検出することができる。
【0036】
接着状況検出センサ40を使用する際には、電源ユニット26の出力調整スイッチ35により、加熱コイル32への電源供給ををOFFにしておけば、建材10に反応して、加熱コイル32に余計な電流が流れるのを防止することができる。しかしながら、接着状況検出センサ40により、接着が適正に行われていないことが検出された場合は、自動的に加熱コイル32の電源がONになるように制御部を設定すれば、接着が不十分であると検出された箇所にマーキング等をして、再度加熱コイル32を当てる必要がないため、省力化施工が可能になり好適である。
【0037】
【第2の実施の形態】
図8は床暖房システムの上にフローリング材を施工した状態を示す説明断面図である。図8に基づいて床暖房システムが採用された場合の床材の施工方法について説明する。
図8に示すように、床暖房を採用した場合における一般的な構成は、熱媒用パイプ50が挿通された床暖房パネル52に均熱板としてのアルミニウムフィルム54が敷設されていて、アルミニウムフィルム54の上にフローリング材56が配設されている。なお、60は床支持材であり、62はスラブコンクリートである。
本実施の形態においては、小根太58が加熱されるべき部材であるので、接着剤12は小根太58の上面に塗布されている。
【0038】
ところで、アルミニウムフィルム54と小根太58は共に金属であり、導体でもある。しかしながらアルミニウムフィルム54は非磁性体であり、小根太58は磁性体である。このように複数の導電性発熱部材が存在する施工箇所において、いずれか一方の電磁誘導加熱部材(すなわち、電磁誘導加熱装置20の加熱面を対向させる部分:本実施の形態においては小根太58)を検出するためには、電磁誘導加熱部材の磁性を利用すればよい。
【0039】
したがってユーザは、切替スイッチ37によりホール素子を用いたセンサ36bを有効にし、ホール素子を用いたセンサ36bで検出された部分が小根太58の部分になるので、アルミニウムフィルム54と小根太58を区別することができる。
このように、アルミニウムフィルム54と小根太58だけを区別する際には、ホール素子を用いたセンサ36bのみを有効にすれば良いが、切替スイッチ37により、高周波センサ36aも有効にしておけば、小根太58の他にも磁性体が存在している場合においても確実に小根太58を検出することができる。施工対象部分の検出ができてからの電磁誘導加熱装置20の操作方法は第1の実施の形態と同様に行えばよいため、ここではその説明は省略する。
【0040】
このように、施工対象箇所の周辺に複数種類の導電性発熱部材がある場合においても、複数種類の検出手段を配設しておけば、複数の導電性発熱部材からただ一種類のみの導電性発熱部材を検出することが可能になる。これにより、電磁誘導加熱装置の施工対象箇所をピンポイントで指示することができるため非常に使い勝手の良い電磁誘導加熱装置とすることができる。
【0041】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、発明内容の要旨を逸脱しない範囲で種々変更したとしても本発明の技術的範囲に属するものであることはいうまでもない。
【0042】
例えば、図4に示す電磁誘導加熱装置20は、手動操作式となっているが、これをロボットのアーム等の移動装置に取り付けることによって、複数の部材の接着を自動的に行うようにすることができる。また、大型化することによって、工場において自動的に部材の接着を行うこともできる。
【0043】
また、本実施の形態においては、2つの部材を接着する形態のみを説明しているが、3つの部材を同時に接着する場合にも本発明の電磁誘導加熱装置20を使用することができる。
【0044】
さらに、本実施の形態にあっては、建材を接着するために本発明を適用しているが、建材以外に、自動車等の車両を構成する部材、建築物等の建造物を構成する部材、船舶や航空機を構成する部材、日用品や調度品や事務機器等の種々の部材の接着にも適用することができる。
【0045】
また、本実施の形態にあっては熱溶融性の接着剤12を溶融して部材10、11相互の接着を行うために本発明を適用しているが、接着作業を逆順にすれば、接着された部材10、11間の接着剤12を再溶融させることによって、部材を相互に分離するために本発明を適用するようにしても良い。
【0046】
さらにまた、導電性発熱部材の延長方向を検出する検出手段36のうち、高周波センサ36aについては、加熱コイル32自体が高周波を照射しているので、本実施の形態のように2ヶ所に配設する必要は無く、加熱コイル32と離れた側の高周波センサ36aのみとしてもよい。接着効率を向上させるため等に加熱コイル32を複数配設する場合においては、高周波センサ36aは配設しなくても加熱コイル32に代用させることも可能ではある。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、装置本体の加熱コイルを建材の表面に対向させると同時に加熱コイルの移動方向が導電性発熱部材シートの延長方向に沿っているかを確認可能にしたことにより、電磁誘導加熱装置を用いて部材を接着させる作業を迅速に行うことができる。
また、導電性発熱部材検出手段として金属探知手段と、磁性体検出手段のように複数種類の導電性発熱部材検出手段を採用することにより、断熱材が施工された箇所のように電磁誘導加熱される部材が1つだけでない場合においても電磁誘導加熱装置を用いた効率的な接着作業をすることができる。
さらには、導電性発熱部材検出手段を取捨選択することができるようにしたことにより、さまざまな施工箇所において、正確に加熱コイルを動かすべき方向を即座に検出することができるといった著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】接着剤により接着された部材を示す図である。
【図2】接着剤により接着された部材の断面図である。
【図3】床暖房が敷設された状態を示す説明断面図である。
【図4】電磁誘導加熱装置の内部構成を示す説明図である。
【図5】電磁誘導加熱装置の内部処理を示す説明図である。
【図6】可搬式の電磁誘導加熱装置を示す図である。
【図7】電磁誘導加熱装置の過熱面を示す説明図である。
【図8】床暖房システムの上にフローリング材を施工した状態を示す説明断面図である。
【符号の説明】
10,11 建材
12 接着剤
13 導電性発熱部材シート
20 電磁誘導加熱装置
25 操作部
26 電源ユニット
28 制御部
31 表示部
32 加熱コイル
36 検出部材
40 接着状況検出センサ
52 床暖房パネル
54 アルミニウムフィルム
56 フローリング材
58 小根太
Claims (5)
- それぞれ絶縁材料からなる第1の部材と第2の部材との間に、それぞれ長尺に形成された導電性発熱部材と接着剤とを介在させ、前記導電性発熱部材を電磁誘導加熱により発熱させることによって前記接着剤を加熱溶融して前記第1の部材と第2の部材とを固着することができる電磁誘導加熱装置において、
前記長尺に形成された導電性発熱部材および接着剤の長手方向の向きを検出する方向検出手段を具備することを特徴とする電磁誘導加熱装置。 - いずれか一方が導電性材料からなる第1の部材と第2の部材との間に、長尺状の接着剤を介在させ、前記第1の部材および第2の部材を電磁誘導加熱により発熱させることによって前記接着剤を加熱溶融して前記第1の部材と第2の部材とを固着する電磁誘導加熱装置において、
前記長尺に形成された導電性発熱部材および接着剤の長手方向の向きを検出する方向検出手段を具備することを特徴とする電磁誘導加熱装置。 - 前記方向検出手段は、
導電性材料を検出する検出手段が複数設けられ、
該複数の検出手段のうち導電性材料を検出した検出手段が2つあった場合には、該2つの検出手段を結んだ方向が前記長尺に形成された導電性発熱部材と接着剤の長手方向に一致していると判定する判定手段が設けられ、
前記判定手段が、2つの検出手段を結んだ方向が前記長尺状の導電性発熱部材および接着剤の長手方向に一致したと判定した場合に、該2つの検出手段を結んだ方向が前記長尺状の導電性発熱部材および接着剤の長手方向であることを表示する表示手段とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁誘導加熱装置。 - 前記複数の検出手段は、
金属検出手段および/または磁性体検出手段であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項に記載の電磁誘導加熱装置。 - 前記複数の検出手段に、金属検出手段および磁性体検出手段の両者を有している場合、いずれの検出手段を用いて前記導電性発熱部材を検出するかをユーザが選択可能な選択スイッチを備えていることを特徴とする請求項4記載の電磁誘導加熱装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002262548A JP2004103353A (ja) | 2002-09-09 | 2002-09-09 | 電磁誘導加熱装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002262548A JP2004103353A (ja) | 2002-09-09 | 2002-09-09 | 電磁誘導加熱装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004103353A true JP2004103353A (ja) | 2004-04-02 |
Family
ID=32262565
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002262548A Pending JP2004103353A (ja) | 2002-09-09 | 2002-09-09 | 電磁誘導加熱装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004103353A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005307737A (ja) * | 2004-03-23 | 2005-11-04 | Mitsubishi Kagaku Sanshi Corp | フローリング施工用電磁誘導加熱装置 |
JP2006299588A (ja) * | 2005-04-19 | 2006-11-02 | Mitsubishi Kagaku Sanshi Corp | 内装施工用電磁誘導加熱装置 |
JP2020202105A (ja) * | 2019-06-11 | 2020-12-17 | 早川ゴム株式会社 | 電磁誘導加熱装置及び防水シートの固定方法 |
-
2002
- 2002-09-09 JP JP2002262548A patent/JP2004103353A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005307737A (ja) * | 2004-03-23 | 2005-11-04 | Mitsubishi Kagaku Sanshi Corp | フローリング施工用電磁誘導加熱装置 |
JP2006299588A (ja) * | 2005-04-19 | 2006-11-02 | Mitsubishi Kagaku Sanshi Corp | 内装施工用電磁誘導加熱装置 |
JP2020202105A (ja) * | 2019-06-11 | 2020-12-17 | 早川ゴム株式会社 | 電磁誘導加熱装置及び防水シートの固定方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6009465B2 (ja) | 電磁誘導加熱装置 | |
EP1080608B1 (en) | Portable induction heater | |
JP3112560B2 (ja) | 高周波溶着装置 | |
JP6452418B2 (ja) | 携帯用誘導加熱溶着装置 | |
US20180007743A1 (en) | Temperature Sensing Induction Heating Tool | |
JP2004103353A (ja) | 電磁誘導加熱装置 | |
JP4855387B2 (ja) | 電磁誘導加熱装置 | |
JP6501243B2 (ja) | 建築土木用電磁誘導加熱装置および建築土木用シートの固定構造 | |
JP2000220288A (ja) | 接着剤の溶融装置 | |
JP2003268321A (ja) | 接着剤の溶融装置 | |
JP2004139908A (ja) | 接着剤の溶融装置 | |
EP3613259B1 (en) | Hand-held induction bonding tool | |
JP6448964B2 (ja) | 誘導加熱装置およびそれを用いた建築・土木用シートの施工構造 | |
US11076455B2 (en) | Induction heating tool for membrane roofing | |
JPH04368563A (ja) | 床材の接着施工法及び床材接着用テープ | |
KR100615275B1 (ko) | 전자유도 가열장치 | |
JP2016081880A (ja) | 携帯用電磁誘導加熱装置 | |
JP2005307737A (ja) | フローリング施工用電磁誘導加熱装置 | |
JP4670475B2 (ja) | 内装施工用電磁誘導加熱装置 | |
JPS63273682A (ja) | 自動接着方法及び接着性複合材 | |
JP4581822B2 (ja) | 冷暖房用内装下地構造 | |
JP7357357B2 (ja) | 誘導加熱溶着装置 | |
JP2006299588A (ja) | 内装施工用電磁誘導加熱装置 | |
JP2007120780A (ja) | 暖房床の床構造及びその施工方法 | |
JP2017020273A (ja) | シート防水工法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20050909 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070312 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070710 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20071106 |