JP2004102271A - 液晶ディスプレイ用ガラス基板の洗浄方法および前処理方法ならびに大気圧プラズマ発生装置 - Google Patents

液晶ディスプレイ用ガラス基板の洗浄方法および前処理方法ならびに大気圧プラズマ発生装置 Download PDF

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合田 晋二
Yoshiyuki Abe
阿部 良行
Sadamitsu Ochiai
落合 貞光
Shigeki Ito
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Abstract

【課題】コストを低減することができる液晶ディスプレイ用ガラス基板の洗浄方法を提供する。
【解決手段】対向する高圧電極1aと低圧電極1bとの間に被処理体を配置させ大気圧プラズマによる処理を行う大気圧プラズマ発生装置内に、液晶ディスプレイ用ガラス基板Gを配置し、その装置内で発生した大気圧プラズマにより、上記ガラス基板Gの表面を洗浄する。
【選択図】図1

Description

 本発明は、液晶ディスプレイ用ガラス基板の洗浄方法および前処理方法ならびに大気圧プラズマ発生装置に関するものである。
 一般に、液晶ディスプレイは、液晶を挟むようにして、その両外側に順に配向膜,透明電極,ガラス基板,偏光フィルターが積層され、その一方の偏光フィルターの外側にバックライトまたは反射板が積層されている。さらに、上記ガラス基板の表面には、液晶を駆動させるための回路が形成されている。そして、この回路形成の際には、その形成に先立って、上記ガラス基板の表面に、レジストが塗布される。
 一方、上記ガラス基板は、上記回路形成工程まで、ガラス基板製造工場等から積層されて運搬されるが、その際、ガラス基板を保護するために、重なり合うガラス基板の間に紙が挟まれている。このため、紙焼け(上記紙に含有されている成分が染み出してガラス基板の表面と化学反応する現象)が起こることがある。また、上記ガラス基板の製造工程や運搬工程等で、ガラス基板の表面に油汚れが付着することもある。
 このような紙焼けが起こっていたり油汚れが付着していたりするガラス基板の表面では、上記レジストは弾かれて密着しない。そこで、上記レジストの塗布に先立って、ガラス基板の表面を洗浄することが行われる。この洗浄方法としては、例えば、ガラス基板にキセノンランプからの紫外線を照射する方法(特許文献1参照)があげられる。この照射は、複数のキセノンランプからなる列の下方にその列に沿ってガラス基板を通過させることにより行われる。
特開2000−11960号公報
 しかしながら、上記キセノンランプの寿命は、約2000時間と短く、しかも、列をなすためには、多数のキセノンランプが必要となるため、ガラス基板の表面の洗浄にかかるコストが高くなっている。
 本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、コストを低減することができる液晶ディスプレイ用ガラス基板の洗浄方法および前処理方法ならびに大気圧プラズマ発生装置の提供をその目的とする。
 上記の目的を達成するため、本発明は、対向する電極の間に被処理体を配置させ大気圧プラズマによる処理を行う大気圧プラズマ発生装置内に、液晶ディスプレイ用ガラス基板を配置し、その装置内で発生した大気圧プラズマにより、上記ガラス基板の表面を洗浄する液晶ディスプレイ用ガラス基板の洗浄方法を第1の要旨とし、上記液晶ディスプレイ用ガラス基板の洗浄後、そのガラス基板の表面にレジストを塗布する場合において、そのレジストの塗布直前に、対向する電極の間に被処理体を配置させ大気圧プラズマによる処理を行う大気圧プラズマ発生装置内に、液晶ディスプレイ用ガラス基板を配置し、その装置内で発生した大気圧プラズマにより、上記ガラス基板の表面を前処理する液晶ディスプレイ用ガラス基板の前処理方法を第2の要旨とする。
 また、大気圧プラズマ用ガス雰囲気にされる大気圧プラズマ発生室と、この大気圧プラズマ発生室内に相対向して設けられた少なくとも一対の大気圧プラズマ用電極と、上記大気圧プラズマ発生室の一端側および他端側にそれぞれ設けられた導入口および排出口と、被処理体を上記導入口から大気圧プラズマ発生室内に導入し上記少なくとも一対の大気圧プラズマ用電極間を走行させ大気圧プラズマ処理させたのち上記排出口から排出する被処理体搬送手段とを備えた大気圧プラズマ発生装置であって、上記導入口の外側部分に外気を遮断するシールド室を設け、上記被処理体をこのシールド室を経由したのち上記導入口から大気圧プラズマ発生室に導入するようにした大気圧プラズマ発生装置を第3の要旨とする。
 本発明者らは、液晶ディスプレイ用ガラス基板の洗浄方法および前処理方法において、コストを低減すべく、その洗浄方法等について、鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、大気圧プラズマによりガラス基板の表面を洗浄または前処理すれば、その洗浄または前処理に要する消耗品が安価になることを見出した。さらに、その大気圧プラズマを発生させる装置についても、コストを低減すべく、鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、外気を遮断した状態で被処理体を大気圧プラズマ発生室内に導入すれば、大気圧プラズマに用いるガスを有効に利用でき、そのガスにかかるコストを低減できるようになることを見出した。このようにして、本発明に到達した。
 本発明の液晶ディスプレイ用ガラス基板の洗浄方法によれば、対向する電極の間に被処理体を配置させ大気圧プラズマによる処理を行う大気圧プラズマ発生装置内に、液晶ディスプレイ用ガラス基板を配置し、その装置内で発生した大気圧プラズマにより、上記ガラス基板の表面を洗浄するため、従来の洗浄方法におけるのキセノンランプのような寿命の短い消耗品を用いることが不要となり、上記ガラス基板の洗浄におけるコストを低減することができる。さらに、大気圧プラズマにより、ガラス基板の表面の親水性を向上させることができ、親水性材料であるレジストとの密着性を向上させることができる。
 そして、本発明の液晶ディスプレイ用ガラス基板の洗浄方法において、大気圧プラズマに用いるガスとして、ヘリウム,ネオン,アルゴン,クリプトン,キセノン,ラドンおよび窒素からなる群から選ばれる少なくとも一つを主成分とし、それに酸素または水素が含有されている混合ガスを用いる場合には、酸素または水素が含有されていないガスを用いた大気圧プラズマよりも、ガラス基板の表面に対する洗浄に優れるとともに、低温で洗浄することができるようになる。このため、ガラス基板の反り等の熱影響を抑制することができるようになり、その結果、画質のよい液晶ディスプレイを作製することができるようになる。
 特に、上記混合ガスにおける酸素または水素の含有率が、0.5〜20.0容量%の範囲である場合には、ガラス基板の表面に対する洗浄により優れるとともに、ガラス基板の表面の親水性をより向上させ、レジストとの密着性をより強固にすることができる。その結果、液晶ディスプレイの画質をより鮮明にすることができる。
 また、上記液晶ディスプレイ用ガラス基板の洗浄後、そのガラス基板の表面にレジストを塗布する場合において、そのレジストの塗布直前に、対向する電極の間に被処理体を配置させ大気圧プラズマによる処理を行う大気圧プラズマ発生装置内に、液晶ディスプレイ用ガラス基板を配置し、その装置内で発生した大気圧プラズマにより、上記ガラス基板の表面を前処理すれば、レジストの塗布までに時間がかかっても、ガラス基板の表面に対するレジストの密着性を向上させることができる。
 また、本発明の大気圧プラズマ発生装置によれば、大気圧プラズマ発生室への導入口の外側部分に外気を遮断するシールド室を設けることにより、被処理体をこのシールド室を経由したのち上記導入口から大気圧プラズマ発生室に導入することができるようになっている。これにより、外気を遮断した状態で大気圧プラズマ処理できるようになるため、大気圧プラズマに用いるガスを有効に利用することができるようになり、そのガスにかかるコストを低減することができる。
 さらに、上記大気圧プラズマ発生室における排出口の外側部分にも、外気を遮断するシールド室を設け、上記被処理体を上記排出口から排出したのちこのシールド室を経由して送り出すようにした場合には、外気遮断効果が高まるため、大気圧プラズマに用いるガスをより有効に利用することができるようになり、そのガスにかかるコストをより低減することができる。
 特に、上記シールド室に、大気圧プラズマに用いるガスを供給する流入口が設けられている場合には、そのガスが供給される圧力で、外気がより入り込み難くなると同時に、導入口側のシールド室では、被処理体面が、予め大気圧プラズマ用ガスと接しなじんだ状態となるため、大気圧プラズマ用ガスの有効利用性の向上と、大気圧プラズマ処理の処理状態の向上を実現することができる。
 つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
 図1は、本発明の液晶ディスプレイ用ガラス基板の洗浄方法の一実施の形態を示している。この実施の形態では、液晶ディスプレイ用ガラス基板Gを大気圧プラズマ発生装置内に配置し、その装置内で大気圧プラズマを発生させ、その大気圧プラズマにより、上記ガラス基板Gの表面を洗浄するようにしている。
 より詳しく説明すると、上記大気圧プラズマ発生装置は、大気圧プラズマ発生室1を備えており、この大気圧プラズマ発生室1の一端側には、ガラス基板Gを導入する導入口1dが設けられ、他端側には、大気圧プラズマ処理したガラス基板Gを排出する排出口1eが設けられている。さらに、上記導入口1dの外側部分には、外気を遮断する入口側シールド室2が設けられており、上記排出口1eの外側部分にも、外気を遮断する出口側シールド室3が設けられている。また、上記大気圧プラズマ発生室1の内部には、空間をあけて相対向する少なくとも一対の大気圧プラズマ用電極が設けられており、この実施の形態では、相対向する一方側の電極は、複数(図1では、6本)の高圧電極1aが隙間をあけて平行に並べられて略平面状に形成されており、他方側の電極は、複数(図1では、6本)の低圧電極1bが、同様に、隙間をあけて平行に並べられて略平面状に形成されている(図1では、高圧電極1aおよび低圧電極1bとして、丸棒状の電極を図示しているが、平板状のものでもよい)。そして、上記高圧電極1aは、交流電源に接続され、低圧電極1bは、アースされており、電圧の印加により、高圧電極1aと低圧電極1bとの間で大気圧プラズマが発生するようになっている。さらに、上記ガラス基板Gは、被処理体搬送手段により、高圧電極1aと低圧電極1bの間の空間を走行できるようになっているが、その被処理体搬送手段としては、この実施の形態では、モーター等により駆動される移動ローラー1c(図1では、4個)が用いられており、ガラス基板Gの走行は、その移動ローラー1cにガラス基板Gが載せられて順に送られることにより行われる。また、上記入口側シールド室2は、ガラス基板Gを送り込む入口2aと、ガラス基板Gをその入口2aに導くガイドローラー2bと、大気圧プラズマに用いるガスを供給する流入口4とを備えており、上記入口2aは、ガラス基板Gを送り込む際に外気が入口側シールド室2に入らないようにシールドされている。上記出口側シールド室3も同様に、ガラス基板Gを送り出す出口3aと、ガラス基板Gをその出口3aから導くガイドローラー3bと、大気圧プラズマに用いるガスを供給する流入口4とを備えており、上記出口3aも、ガラス基板Gを送り出す際に外気が出口側シールド室3に入らないようにシールドされている。なお、図1において、5は、大気圧プラズマに用いられたガスを排出するための流出口である。
 そして、上記ガラス基板Gは、例えば、つぎのようにして洗浄することができる。すなわち、まず、積層状態のガラス基板Gから1枚ずつ取り出し、そのガラス基板Gを上記入口側シールド室2のガイドローラー2bに載せて入口2aから大気圧プラズマ発生室1の導入口1dを経て、移動ローラー1cに載るまで送り込む。つぎに、大気圧プラズマに用いるガスを入口側シールド室2および出口側シールド室3に設けられた流入口4から供給するとともに、高圧電極1aと低圧電極1bの間に電圧を印加して大気圧プラズマを発生させながら、移動ローラー1cによりガラス基板Gを走行させる。このとき、入口側シールド室2の流入口4から供給されたガスは、ガラス基板Gの表面に帯同して大気圧プラズマ発生室1内に入り込み、出口側シールド室3の流入口4から供給されたガスは、大気圧プラズマ発生室1の排出口1eから大気圧プラズマ発生室1内に入り込み、大気圧プラズマ発生室1内が大気圧プラズマ用ガス雰囲気となる。そして、発生した上記大気圧プラズマがガラス基板Gの表面の紙焼けや油汚れ等の汚染物を除去する。このようにして、上記ガラス基板Gを洗浄することができる。そののち、大気圧プラズマに用いたガスを流出口5から排出するとともに、ガラス基板Gを大気圧プラズマ発生室1の排出口1eを経て出口側シールド室3の出口3aから送り出す。
 このように、上記入口側シールド室2を設けることにより、外気を遮断した状態で、ガラス基板Gを大気圧プラズマ発生室1に導入することができる。これにより、大気圧プラズマに用いるガスが有効に利用され、そのガスにかかるコストが低減される。しかも、大気圧プラズマ処理が外気の影響を受けないようになるため、所望の処理効果を得易くなる。さらに、出口側シールド室3を設けると、ガラス基板Gを送り出す際にも、外気が遮断されるため、大気圧プラズマに用いるガスがより有効に利用されるようになり、コストがより低減される。特に、上記入口側シールド室2や出口側シールド室3に、大気圧プラズマに用いるガスを供給するための流入口4が設けられていると、そのガスが供給される圧力で、入口2aや出口3aから外気がより入り込み難くなって外気遮断性が向上し、大気圧プラズマに用いるガスの有効利用性が向上し、そのコスト低減性も向上する。それと共に、入口側シールド室2では、ガラス基板Gの基板面が、予め大気圧プラズマ用ガスと接し、なじんだ状態になることから、大気圧プラズマ処理の処理状態の向上(表面処理状態やプラズマ処理効率の向上等)を実現することができる。
 なお、大気圧プラズマ発生室1の内部圧力が外気よりも高くなる等して、大気圧プラズマ発生室1の排出口1eから外気が入り込み難くなっている場合等には、出口側シールド室3は設けなくてもよい。また、大気圧プラズマに用いるガスを供給するための流入口4は、入口側シールド室2や出口側シールド室3に設けるのではではなく、大気圧プラズマ発生室1に設けてもよい。この場合は、大気圧プラズマ発生室1における導入口1dや排出口1eから外気が入り込み難くなり、同様にコストがより低減される。もちろん、上記流入口4は、入口側シールド室2や出口側シールド室3に設けるとともに、大気圧プラズマ発生室1にも設けてもよい。
 上記大気圧プラズマの発生において、高圧電極1aと低圧電極1bの間に印加する電圧は、大気圧プラズマが発生すれば、特に限定されるものではないが、通常、1〜10kVの範囲である。また、その電源の周波数も、大気圧プラズマが発生すれば、特に限定されるものではないが、通常、1〜20kHzの範囲である。
 また、大気圧プラズマを発生させる時間(洗浄する時間)は、紙焼けや油汚れ等の汚染の程度にもより、特に限定されないが、通常、5秒〜10分の範囲である。
 上記大気圧プラズマに用いるガスとしては、ヘリウム,ネオン,アルゴン,クリプトン,キセノン,ラドンおよび窒素からなる不活性ガス群から選ばれる少なくとも一つを主成分とし、それに酸素または水素が含有されている混合ガスを用いる。特に、この混合ガスにおける上記酸素または水素の含有率は、0.5〜20.0容量%の範囲であり、残りが上記不活性ガスであることが好ましい。酸素または水素の含有率が上記範囲を外れると、洗浄力が減少する傾向にあり、レジストとの密着性、延いては液晶ディスプレイの画質が劣るおそれがあるからである。
 そして、上記大気圧プラズマは、上記混合ガスに酸素が含有されている場合は、酸化プラズマとして作用し、ガラス基板Gの表面の紙焼けや油汚れ等の汚染物を酸化して除去する。一方、上記混合ガスに水素が含有されている場合は、還元プラズマとして作用し、ガラス基板Gの表面の紙焼けや油汚れ等の汚染物を還元して除去する。そして、いずれの場合も、酸素または水素が含有されていないガスを用いた大気圧プラズマよりも、ガラス基板Gの表面に対する洗浄に優れるとともに、低温で洗浄することができるようになる。このため、ガラス基板Gの反り等の熱影響を抑制することができるようになり、その結果、画質のよい液晶ディスプレイを作製することができるようになる。
 さらに、上記大気圧プラズマは、ガラス基板Gの表面の紙焼けや油汚れ等の汚染物を除去するだけでなく、ガラス基板Gの表面の親水性を向上させることもできる。そして、上記レジストは、親水性材料であるため、上記大気圧プラズマによる洗浄方法により、ガラス基板Gの表面に対するレジストの密着性を向上させることができる。
 また、最近、液晶ディスプレイが大画面化されてきており、その大面積のガラス基板Gの表面を、従来のようにキセノンランプからの紫外線の照射により洗浄すれば、ガラス基板Gの表面において、紫外線の照射にむらができ易くなり、均一に洗浄することが困難であった。しかしながら、上記大気圧プラズマによる洗浄によれば、ガラス基板Gの面積が大きくても、むらができ難く、均一に洗浄することが簡単にできるようになる。
 そして、上記大気圧プラズマによる洗浄方法では、従来の洗浄方法におけるキセノンランプのような寿命の短い消耗品を用いないため、洗浄コストを低減することができる。さらに、大気圧プラズマに用いるガスをリサイクルして繰り返し用いれば、洗浄コストをより低減することができる。
 また、上記ガラス基板Gは、誘電体であるため、高圧電極1aと低圧電極1bの間に配置することにより、アーク放電の発生を抑制することができる。このため、高圧電極1aおよび低圧電極1bを保護することができ、高圧電極1aおよび低圧電極1bの長寿命化を図ることができる。この点からも、洗浄コストをより低減することができる。さらに、上記アーク放電発生の抑制により、大気圧プラズマを安定化させることもできる。このため、ガラス基板Gの品質の安定化、延いては液晶ディスプレイの品質の安定化を図ることができる。
 なお、上記実施の形態では、大気圧プラズマに用いるガスとして、ヘリウム,ネオン,アルゴン,クリプトン,キセノン,ラドンおよび窒素からなる不活性ガス群から選ばれる少なくとも一つを主成分とし、それに酸素または水素が含有されているものを用いたが、ガラス基板Gが洗浄できる程度に大気圧プラズマを発生させることができれば、他のガスを含有させてもよいし、上記不活性ガスだけでもよい。
 しかしながら、上記大気圧プラズマによる洗浄を行っても、レジストの塗布までに、時間がかかったり、ガラス基板Gの移動距離が長かったりすると、ガラス基板Gの表面に空気汚染膜ができることがある。このような場合には、上記大気圧プラズマによる洗浄後、その洗浄方法と同様にして、レジストの塗布直前に、ガラス基板Gの表面に対して、大気圧プラズマによる前処理を行うようにすればよい。
 この前処理により、ガラス基板Gの表面の空気汚染膜が除去されるとともに、ガラス基板Gの表面が粗面に形成される。これにより、ガラス基板Gの表面に対するレジストの密着性を向上させることができる。
 つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例1〕
 上記実施の形態(図1参照)と同様にして、液晶ディスプレイ用ガラス基板Gを大気圧プラズマにより洗浄した。この洗浄において、洗浄するガラス基板Gの大きさを770mm×880mmとした。また、大気圧プラズマに用いるガスとして、アルゴンとヘリウムと水素の混合ガスを用い、水素の濃度を上記好ましい範囲内の5.0容量%、アルゴンの濃度を47.5容量%、ヘリウムの濃度を47.5容量%とした。そして、電源として、周波数が5kHzの交流電源を用い、高圧電極1aと低圧電極1bの間に3kVの電圧を印加した。
〔実施例2〕
 水素の濃度を、上記好ましい範囲を少し下回る0.3容量%、アルゴンの濃度を49.85容量%、ヘリウムの濃度を49.85容量%とした。それ以外は上記実施例1と同様にした。
〔実施例3〕
 水素の濃度を、上記好ましい範囲を少し上回る25.0容量%、アルゴンの濃度を37.5容量%、ヘリウムの濃度を37.5容量%とした。それ以外は上記実施例1と同様にした。
〔実施例4〕
 大気圧プラズマに用いるガスとして、アルゴンの濃度を50.0容量%、ヘリウムの濃度を50.0容量%とした。それ以外は上記実施例1と同様にした。
〔実施例5〕
 大気圧プラズマ発生装置として、図1に示す入口側シールド室2および出口側シールド室3を設けていないものを用いた。この場合、大気圧プラズマ用ガスは、大気圧プラズマ発生室1における導入口1d側(図1では、左側)の流出口5から供給し、大気圧プラズマに用いたガスは、排出口1e側(図1では、右側)の流出口5から排出した。それ以外は上記実施例1と同様にした。
〔比較例1〕
 上記実施例1と同様の液晶ディスプレイ用ガラス基板Gをキセノンランプからの紫外線の照射により洗浄した。この洗浄において、キセノンランプは、10個が並列された状態で縦一列をなしており、紫外線の照射は、この縦一列の下方にその列に沿って上記ガラス基板Gを通過させることにより行った。また、電源は、上記実施例1と同様のものを用いた。
〔コスト〕
 上記実施例1および比較例1の各洗浄を90日間行い、それぞれ同数のガラス基板Gを洗浄した。そして、それぞれの洗浄に要したコストを算出した。このコスト算出には、人件費を除く、消耗品(ガス,キセノンランプ等),電力等の費用を用いた。
 その結果、実施例1の洗浄では、比較例1の洗浄よりも、コストを50%低減することができた。このことから、液晶ディスプレイ用ガラス基板Gの洗浄は、大気圧プラズマによる方が、キセノンランプからの紫外線の照射によるよりも、コストを低減できることがわかる。
〔洗浄性〕
 また、上記実施例1〜5の各洗浄において、それぞれ10枚のガラス基板Gを洗浄した。そして、各洗浄の直後、各ガラス基板Gの表面にレジストを塗布した。その後、各レジストの表面に回路を形成した。そして、その回路面にガラス基板Gと同形状のアクリル樹脂板を当接し、そのアクリル樹脂板の上から垂直に1Paの圧力をかけ、振動数が1Hz,振幅が1mmの振動を与えた。そして、各ガラス基板Gの表面とレジストとの密着状態を調べた。
 その結果、実施例1の洗浄によるガラス基板Gには、レジストの剥離が見られなかったが、実施例2,3の洗浄によるガラス基板Gには、それぞれ10枚中1枚にレジストの剥離が見られ、実施例4の洗浄によるガラス基板Gには、10枚中5枚にレジストの剥離が見られた。このことから、大気圧プラズマに用いるガスとして、水素が含有されているもの(実施例1〜3)は、上記ガラス基板Gの洗浄に優れているとともに、ガラス基板Gの表面の親水性を向上させることができ、特に、水素の濃度が上記好ましい範囲内であるもの(実施例1)は、その効果が顕著になることがわかる。また、実施例5の洗浄によるガラス基板Gには、10枚中1枚にレジストの剥離が見られた。このことから、入口側シールド室2および出口側シールド室3を設けた方が、上記ガラス基板Gの洗浄に優れていることがわかる。
 また、上記水素に代えて酸素を用いても、上記と同様の結果が得られた。このことから、大気圧プラズマに用いるガスとして、酸素が含有されている場合についても、上記と同様のことがいえる。
〔前処理〕
 上記実施例1の洗浄において、20枚のガラス基板Gを洗浄した。そして、それらガラス基板Gを大気中に3分間放置した。そして、そのうち10枚のガラス基板Gの表面にレジストを塗布した。一方、残りの10枚のガラス基板Gに対しては、レジストの塗布の直前に、上記実施例4と同様の大気圧プラズマによる前処理を行った。その後、各レジストの表面に回路を形成した。そして、その回路面にガラス基板Gと同形状のアクリル樹脂板を当接し、そのアクリル樹脂板の上から垂直に1Paの圧力をかけ、振動数が1Hz,振幅が1mmの振動を与えた。そして、各ガラス基板Gの表面とレジストとの密着状態を調べた。
 その結果、上記前処理を行ったものは、レジストの剥離が見られなかったが、前処理を行っていないものは、10枚中2枚にレジストの剥離が見られた。このことから、レジストの塗布までに時間がかかる場合において、上記前処理を行うと、ガラス基板Gの表面に対するレジストの密着性が向上することがわかる。
本発明の液晶ディスプレイ用ガラス基板の洗浄方法の一実施の形態を示す説明図である。
符号の説明
 1a 高圧電極
 1b 低圧電極
 G ガラス基板

Claims (7)

  1.  対向する電極の間に被処理体を配置させ大気圧プラズマによる処理を行う大気圧プラズマ発生装置内に、液晶ディスプレイ用ガラス基板を配置し、その装置内で発生した大気圧プラズマにより、上記ガラス基板の表面を洗浄することを特徴とする液晶ディスプレイ用ガラス基板の洗浄方法。
  2.  大気圧プラズマに用いるガスとして、下記(A)を主成分とし、それに下記(B)が含有されている混合ガスを用いる請求項1記載の液晶ディスプレイ用ガラス基板の洗浄方法。
    (A)ヘリウム,ネオン,アルゴン,クリプトン,キセノン,ラドンおよび窒素からなる群から選ばれる少なくとも一つ。
    (B)酸素または水素。
  3.  混合ガスにおける上記(B)の含有率が、0.5〜20.0容量%の範囲である請求項2記載の液晶ディスプレイ用ガラス基板の洗浄方法。
  4.  請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ用ガラス基板の洗浄後、そのガラス基板の表面にレジストを塗布する場合において、そのレジストの塗布直前に、対向する電極の間に被処理体を配置させ大気圧プラズマによる処理を行う大気圧プラズマ発生装置内に、液晶ディスプレイ用ガラス基板を配置し、その装置内で発生した大気圧プラズマにより、上記ガラス基板の表面を前処理することを特徴とする液晶ディスプレイ用ガラス基板の前処理方法。
  5.  大気圧プラズマ用ガス雰囲気にされる大気圧プラズマ発生室と、この大気圧プラズマ発生室内に相対向して設けられた少なくとも一対の大気圧プラズマ用電極と、上記大気圧プラズマ発生室の一端側および他端側にそれぞれ設けられた導入口および排出口と、被処理体を上記導入口から大気圧プラズマ発生室内に導入し上記少なくとも一対の大気圧プラズマ用電極間を走行させ大気圧プラズマ処理させたのち上記排出口から排出する被処理体搬送手段とを備えた大気圧プラズマ発生装置であって、上記導入口の外側部分に外気を遮断するシールド室を設け、上記被処理体をこのシールド室を経由したのち上記導入口から大気圧プラズマ発生室に導入するようにしたことを特徴とする大気圧プラズマ発生装置。
  6.  上記大気圧プラズマ発生部における排出口の外側部分にも、外気を遮断するシールド室を設け、上記被処理体を上記排出口から排出したのちこのシールド室を経由して送り出すようにした請求項5記載の大気圧プラズマ発生装置。
  7.  上記シールド室に、大気圧プラズマに用いるガスを供給する流入口が設けられている請求項5または6記載の大気圧プラズマ発生装置。
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CN105080922A (zh) * 2015-08-17 2015-11-25 京东方科技集团股份有限公司 等离子体清洗设备

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