JP2004101297A - 試料粉砕具 - Google Patents

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Abstract

【課題】試料を短時間で粉砕することができ、しかも、構造が簡単な試料粉砕具を提供する。
【解決手段】筒状容器と、前記容器の軸線に沿って摺動可能となるように前記容器内に収納されるクラッシャとから成る試料粉砕具において、重量が異なる複数個のクラッシャを前記軸線に沿って重量順に配設した試料粉砕具。
【選択図】  図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料を容器に入れたまま粉砕することができる試料粉砕具に関する。
【0002】
【従来の技術】
動植物の組織から核酸を抽出する場合、酵素処理等によって試料の前処理を行っていたが、その処理に手間と時間がかかるという問題があった。
【0003】
そこで、図10のように密閉式の容器100内に1個のクラッシャ101を摺動自在に収容して成る試料粉砕具を提案されるに至った(例えば、特許文献1参照)。かかる試料粉砕具によれば、図11のように容器100を上下させることによって容器100内でクラッシャ101が摺動し、容器100とクラッシャ101との間に入った試料Sにクラッシャ101を衝突させて試料Sを粉砕できるので、核酸抽出の前処理を簡便に行うことができ、また、液体窒素で試料Sを予め冷却しておくことで、試料Sを凍結状態で扱うことができる等の利点がある。更に、粉砕した試料Sが飛散しないので、カビ、酵母、臓器等の粉砕に有効なものになる。
【0004】
しかしながら、硬い試料Sを粉砕するときには、容器100を振る回数が多くなり、試料Sの粉砕処理に長時間を要するという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−148890号公報(全頁、全図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、試料を短時間で粉砕することができ、しかも、構造が簡単な試料粉砕具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の試料粉砕具は、筒状容器と、前記容器の軸線に沿って摺動可能となるように前記容器内に収納されるクラッシャとから成る試料粉砕具において、重量が異なる複数個のクラッシャを前記軸線に沿って重量順に配設したことを特徴とする。
【0008】
また、隣接する前記クラッシャの対向面の一方に試料粉砕用の凹凸部を形成するのが望ましい。
【0009】
また、隣接する前記クラッシャの対向面のそれぞれに、噛合可能な凹凸部を形成するのが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1乃至図4は第1実施形態に係る試料粉砕具を示し、該試料粉砕具は容器1内にクラッシャ2を摺動自在に収容して構成されている。
【0012】
容器1は、先端側が閉塞され且つ基端側に試料Sの出し入れ口3が形成された円筒状の容器本体4と、出し入れ口3を塞いで容器1を密封する蓋体5とを備えている。ピペットによる試料Sの吸引(回収)を容易にする等の理由から容器本体4の先端側は円錐状に形成され、また、容器本体4の基端部の外周面には雄ねじ6が形成されている。蓋体5の内周面には、容器本体4の雄ねじ6と螺合する雌ねじ7が形成されている。なお、容器1は、合成樹脂製の使い捨て容器1であるが、ステンレススチール等の耐食性金属やセラミックス等で形成しても良い。
【0013】
クラッシャ2は、第1クラッシャ21と該第1クラッシャ21よりも軽量の第2クラッシャ22とから成る。第1クラッシャ21は容器本体4の円筒部分の内壁面に沿うように形成された円柱部と、容器本体4の先端部と合致する円錐部とで形成されている。第1クラッシャ21及び第2クラッシャ22の円柱部分の外径は、容器本体4の円筒部分の内径よりも僅かに小さくなるように設定されている。第2クラッシャ22は容器本体4の円筒部分の内壁面に沿うように円柱状に形成されている。また、第1及び第2のクラッシャ21,22は、ステンレススチール等の耐食性金属やセラミックス等で形成されている。そして、第1及び第2のクラッシャ21,22は容器本体4の軸線に沿って摺動自在となるように容器1内に収納される。
【0014】
なお、試料破砕具の寸法について、例えば、容器本体4は、長さが115mm、円筒部の外径が29mm、内径が27.5mmであり、第1クラッシャ21は、長さが33mm、外径が25mm、第2クラッシャ22は、長さが20mm、外径が25mmである。
【0015】
このように構成される試料粉砕具を上下又は左右に振ると、クラッシャ2は容器本体4内を往復動する。図2(a)(b)のように容器1の先端側から蓋体5側にクラッシャ2が移動するときには、軽量の第2クラッシャ22が第1クラッシャ21よりも、速く動いて蓋体5に衝突し、その後、第1クラッシャ21が第2クラッシャ22の衝突する。また、図2(c)(d)のようにクラッシャ2が容器1の蓋体5側から先端側に摺動するときには、第1及び第2のクラッシャ21,22が接触又はそれに近い状態で移動する。
【0016】
したがって、図3のように第1クラッシャ21と第2クラッシャ22との間に試料Sを入れた場合には、クラッシャ2が蓋体5側に移動するときに第2クラッシャ22が試料Sに衝突して試料Sを粉砕し、また、クラッシャ2が容器1の先端側に移動するときに試料Sを挟んだ第1及び第2のクラッシャ21,22が容器1の先端部に衝突して試料Sが第1クラッシャ21によって押され、打撃作用と圧縮作用により試料Sを粉砕することができる。
【0017】
また、図4のように第2クラッシャ22と蓋体5との間に試料Sを入れた場合には、クラッシャ2が蓋体5側に移動するときに、第2クラッシャ22が試料Sに衝突した後に第1クラッシャ21が第2クラッシャ22に衝突することにより、試料Sに二度の打撃を作用させて粉砕できる。なお、クラッシャ2が容器1の蓋体5側に摺動するときには試料Sを粉砕しない。
【0018】
このように、いずれの場合にも、クラッシャ2が容器1内を一往復することにより、試料Sに二度の衝撃を与えることができるので、前述した従来の試料粉砕具のように、一往復で1度の衝撃を与えるのに較べて、粉砕効率が向上する。
【0019】
更に、容器1と第1クラッシャ21との間、及び第1クラッシャ21と第2クラッシャ22との間に、試料Sを入れるようにすれば、一度に処理できる試料Sの量を増やすことができる。
【0020】
また、蓋体5に近い方のクラッシャ2の重量を大きくなるようにクラッシャ2を重量順に並べても良い。
【0021】
なお、試料Sを容器1に収納した後に、試料粉砕具を液体窒素中に投入して冷却して試料粉砕具を手又は振動装置を用いて振るようにする。また、試料粉砕具を衝撃体に打ちつけて試料Sを粉砕するようにしても良い。破砕作業の終了後、試料粉砕具の蓋を開けて試料S及びクラッシャ2を取り出す。
【0022】
図5は第2の実施形態に係る試料粉砕具を示し、重量が異なる第1〜第3のクラッシャ21,22,23を容器本体4の軸線に沿って重量順に並べた構成になっている。かかる構成によれば、図6のように蓋体5と第3クラッシャ23との間に試料Sを入れることにより、最軽量の第3クラッシャ23が蓋体5に衝突した後に、第2クラッシャ22と第3クラッシャ23が次々に衝突し、試料Sに3度の衝撃を加えて粉砕する。なお、試料Sは第3クラッシャ23と第2クラッシャ22との間や、第2クラッシャ22と第1クラッシャ21との間にも入れるようにしても良い。
【0023】
図7は、第3の実施形態に係る試料粉砕具を示し、第1クラッシャ21及び第2クラッシャ22の対向面に噛合可能な凹凸部6を設け試料粉砕具を示している。この試料粉砕具によれば、クラッシャ2同士が衝突することにより、凹凸部6の凸部による試料Sの切断作用が更に加わって粉砕効果を向上させることができる。また、軸線を中心とした容器本体4内でのクラッシャ2の回転を防止するためのガイドを設けることにより、凹凸部6同士が確実に噛み合うようにしても良い。なお、容器本体4内でクラッシャ2が回転して凹凸部6の噛み合わせが悪くなっても試料Sの粉砕は可能である。また、隣接するクラッシャ2の対向面の一方にのみ凹凸部を形成しても良い。
【0024】
図8は第4の実施形態に係る試料粉砕具を示し、第1クラッシャ21の端面に球面状の凹部7が設けられ、第2クラッシャ22の端面には凹部9と合致する球面状の凸部8が設けられている。図9は第5の実施形態に係る試料粉砕具を示し、第1クラッシャ21の端面は傾斜し、第2クラッシャ22の端面も第1クラッシャ21の端面と合致するように傾斜している。これらの試料粉砕具によれば、第1クラッシャ21の第2クラッシャ22を衝突するときに、試料Sを叩き潰す力と同時にせん断力等の磨砕力等を作用させて粉砕効果を高めることができる。なお、クラッシャ2の傾斜した対向面に上述のような凹凸部を設けるようにしても良い。
【0025】
【発明の効果】
本発明の試料粉砕具によれば、重量が異なる複数個のクラッシャを容器の軸線に沿って重量順に配設したので、試料の粉砕効率を向上させることができ、また、1度に粉砕できる試料の量を増やすことができる。
【0026】
また、隣接するクラッシャの対向面の一方に粉砕用の凹凸部を形成すれば、クラッシャが試料に衝突するときに切断力が作用して粉砕効果を向上させることができる。
【0027】
また、隣接する前記クラッシャの対向面のそれぞれに、噛合可能な凹凸部を形成すれば、凹凸部の噛み合わせによって試料の粉砕効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る試料粉砕具の分解斜視図である。
【図2】(a)は同実施形態に係る試料粉砕具の断面図、(b)(c)(d)はそれぞれ同実施形態に係る試料粉砕具の動作を説明する断面図である。
【図3】同実施形態に係る試料粉砕具の試料を入れた状態を示す断面図である。
【図4】同実施形態に係る試料粉砕具の試料を入れた状態を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る試料粉砕具の断面図である。
【図6】同実施形態に係る試料粉砕具に試料を入れた状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る試料粉砕具の分解斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る試料粉砕具の断面図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る試料粉砕具の断面図である。
【図10】従来の試料粉砕具の断面図である。
【図11】従来の試料粉砕具の動作を説明する断面図である。
【符号の説明】
1   容器
21  第1クラッシャ
22  第2クラッシャ
S   試料

Claims (3)

  1. 筒状容器と、前記容器の軸線に沿って摺動可能となるように前記容器内に収納されるクラッシャとから成る試料粉砕具において、
    重量が異なる複数個のクラッシャを前記軸線に沿って重量順に配設したことを特徴とする試料粉砕具。
  2. 隣接する前記クラッシャの対向面の一方に試料粉砕用の凹凸部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の試料粉砕具。
  3. 隣接する前記クラッシャの対向面のそれぞれに、噛合可能な凹凸部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の試料粉砕具。
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