JP2004100800A - マイクロバルブ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】微小流路5が下方側に形成された第1の基板2と、前記微小流路5のいずれかに形成されたゲート部6に対して接離自在のダイヤフラム12の可動部12aとヒータ13が形成されるとともに、前記ダイヤフラム12の可動部12aとヒータ13の下方にそれぞれ位置するように形成されるキャビティ9,10を備えた第2の基板3と、前記キャビティ9,10の下方を閉塞する第3の基板4との三層構造よりなり、前記ヒータ13の発熱に起因して前記キャビティ9.10内の圧力が上昇することにより前記ダイヤフラム12の可動部12aが上動して前記ゲート部13と密着することにより、前記微小流路5が閉じられるようにした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】この発明は、微量の液体や気体などの流体の流れを遮断したり開放したりする機能を有するマイクロバルブに関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】WO9924744A1号公報
従来のマイクロバルブとして、例えば、上記特許文献1に記載されたものがある。図7は、この特許文献1に記載されたマイクロバルブを概略的に示すもので、この図において、70は上部ガラス基板71、2枚のシリコン基板72,73および下部ガラス基板74をこの順で積層してなる積層体である。そして、この積層体70の内部のシリコン基板72,73には、それぞれキャビティ72a,73aが互いに連通した状態で形成され、シリコン72の上面にキャビティ72を覆うようにしてダイヤフラム75が設けられ、シリコン基板72,73の境界面にはヒータ76が設けられ、下側のキャビティ73aは下部ガラス基板73によって封止されている。そして、77は上部ガラス基板71の下方側に形成される液体など流体が流通する微小な流路で、入口78および出口79を備え、常時は開状態となっている。
【0003】上記構成のマイクロバルブは、キャビティ72a,73a内に、例えば空気または窒素ガスのように熱容量の小さい(熱膨張率の大きい)ガスが封入しておき、ヒータ76に通電するとこれが発熱して前記ガスが膨張する。このガスの膨張によって、ダイヤフラム75が図中の仮想線で示すように上方に動いて、前記微小流路77の一部がシャットオフされ、これにより、流路77の入口78側と出口側79とが遮断され、流体の流れが閉じられる。そして、前記ヒータ76への通電を停止すると、その発熱がなくなるので、前記ガスがもとの状態に収縮するので、ダイヤフラム75が図中の実線で示すように復帰し、微小流路77が開状態となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記図7に示したマイクロバルブにおいては、ダイヤフラム75およびヒータ76といった部材を用いることにより、微小流路を遮断したり開放したりすることができるが、次のような課題があった。すなわち、前記マイクロバルブは、全体が4層構造であり、特に、弁としての機能を果たすダイヤフラム75とこれを駆動させるためのヒータ76が上下二段にとなるように配置されているので、その製作がきわめて困難であるとともに、特に、ヒータ76が積層体70の表面ではなく、第二層より下位に位置するように設けられているので、これに対する配線構造が複雑になるといった課題がある。
【0005】この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、構造が簡単で、特に、ヒータに対する配線構造が簡単であり、製作が容易なマイクロバルブを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、この発明のマイクロバルブは、微小流路が下方側に形成された第1の基板と、前記微小流路のいずれかに形成されたゲート部に対して接離自在のダイヤフラムの可動部とヒータが形成されるとともに、前記ダイヤフラムの可動部とヒータの下方にそれぞれ位置するように形成されるキャビティを備えた第2の基板と、前記キャビティの下方を閉塞する第3の基板との三層構造よりなり、前記ヒータの発熱に起因して前記キャビティ内の圧力が上昇することにより前記ダイヤフラムの可動部が上動して前記ゲート部と密着することにより、前記微小流路が閉じられるようにしている(請求項1)。
【0007】上記請求項1に記載のマイクロバルブにおいて、ダイヤフラムの可動部とヒータが同一平面内に設けられていてもよい(請求項2)。
【0008】上記構成のマイクロバルブにおいては、全体構成が三層であり構造が簡単であり、特に、ヒータを第二層以上に位置するように設けることができるので、これに対する配線構造が簡単になる。特に、請求項2に記載されているように、ダイヤフラムの可動部とヒータとを同一平面内に設けた場合には、外部からの実装が可能となり、より容易に製作することが可能になる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、この発明の詳細を、図を参照しながら説明する。図1〜図3は、この発明の第1の実施の形態を示すものである。これらの図において、1はこの発明のマイクロバルブの本体で、第1の基板2、第2の基板3および第3の基板4をこの順で重ね合わせた三層構造の積層体に形成されている。そして、最上位に位置する第1の基板2および最下位に位置する第3の基板4は、例えば上下両面が平板なガラス基板よりなり、真ん中の第2の基板3は、例えば上下両面が平板なシリコン基板よりなる。なお、積層体1は、縦×横×厚さが5〜6mm×5〜6mm×1mmというようにきわめて小さい。
【0010】5は上部ガラス基板2の下部に形成される適宜の幅および深さを有する微小流路で、6はこの微小流路5に臨むようにして下方に突出して形成されるゲート部である。このゲート部6は、後述するダイヤフラム12の可動部12aとともに開閉弁Vを構成するものである。7,8は上部ガラス基板2に形成される孔で、微小流路5を外部に接続するためのものである。
【0011】9,10はシリコン基板3に適宜の間隔をおいて形成されるキャビティで、両者9,10は、図2に示すように、下部ガラス基板4側の間隙3aにおいて連通するとともに、それらの下方は下部ガラス基板4によって封止されている。これらのキャビティ9,10は、シリコン基板3の上面のSiO2 膜11の上面に設けられるダイヤフラム12によって、その上部が封止され、密閉構造となっている。
【0012】そして、前記ダイヤフラム12は、適当な弾性、電気絶縁性、耐薬品性および断熱性を備えてなる素材、例えばシリコンゴムよりなり、キャビティ9,10の上部を封止し、キャビティ9の上部に臨む部分(可動部)12aは、ゲート部6とともに開閉弁Vを構成し、図2に示すように、常時やや下方に垂れ下がり、ゲート部6との間に間隙gが形成され、開閉弁Vが開状態となるように構成されている。また、13は他方のキャビティ10の上部に臨む部分に平面視蛇行した状態で可及的に広がるようにして形成されるヒータで、ダイヤフラム12によって覆われている。なお、図3において、14a,14bはヒータ13の電源接続端子である。
【0013】
ここで、上記マイクロバルブの製作手順の一例を示す。
▲1▼ 厚さ300μmのシリコン基板3の上面に厚さ0.5μmのSiO2 膜11を形成し、その上面に厚さ1μmのヒータ13を形成する。
▲2▼ シリコン基板3の上面に、シリコンゴムをスピンコートし加熱重合することによりダイヤフラム12を形成する。これによりヒータ13が覆われる。
▲3▼ 前記ダイヤフラム12の可動部12aおよびヒータ13の下方のシリコン基板3をその下面側からエッチングして、前記可動部12aおよびヒータ13の下方にキャビティ9,10を形成する。
▲4▼ 上部ガラス基板2に微小流路5およびこの微小流路5に対する流入口7および流出口8を形成する。このとき、上部ガラス基板2および微小流路5の一部に臨むようにゲート部6も併せて形成する。
▲5▼ シリコン基板3の上面、下面にそれぞれ上部ガラス基板2および下部ガラス基板4を貼り合わせる。下部ガラス基板4をシリコン基板3の下面に貼り合わせる際、キャビティ9,10内に空気が充填されるようにする。この場合、シリコンゴムシートのヒータ13から離れた部分12aを若干垂れ下げた状態にし、可動部とする。
【0014】上記構成のマイクロバルブにおいては、ヒータ13に通電を行わないとき(常時)は、ダイヤフラムの可動部12aが図1および図2において実線で示すように下方に垂れ下がって、上部ガラス基板2のゲート部6との間に間隙gが形成され、微小流路5は開放されている。したがって、この状態においては、流入孔7からバルブ本体1内に入った流体は、微小流路5を経て流出孔8側から抜け出していくことができる。
【0015】そして、ヒータ13に通電を行うとこれが発熱して、ヒータ13に対応するキャビティ10内の空気が膨張し、図2において矢印15で示すように、キャビティ10内の膨張した空気がダイヤフラムの可動部12aに対応するキャビティ9側に流れ込む。これにより、キャビティ9内に圧力が上昇し、ダイヤフラムの可動部12aが下方から上方に押圧されて、上方に動く。このように、ダイヤフラムの可動部12aの上動することにより、ダイヤフラムの可動部12aの上面がゲート部6に密着し、ギャップgが閉じられ微小流路5が遮断される。したがって、この状態においては、流入孔7からバルブ本体1内に入った流体は、ダイヤフラムの可動部12aとゲート部6との密着により流出孔8側に移動するのが妨げられる。
【0016】上述の説明から理解されるように、この発明のマイクロバルブは、三層構造の積層体1内の上方に微小流路5を形成するとともに、キャビティ9,10を形成し、このキャビティ9,10の上方にダイヤフラム12およびヒータ13を設け、ヒータ13によってキャビティ9,10内の空気を膨張させることにより、ダイヤフラム12を上動させるといった簡単な構成で、微小流路5を遮断したり開放することができる。すなわち、微小流路5に設けられる開閉弁Vは、ゲート部6とダイヤフラムの可動部12aとで構成されているので、構成が簡単でありながらも確実に開閉動作を行うことでき、また、この開閉弁Vを微小流路5の任意の位置に形成することができる。
【0017】そして、前記マイクロバルブは、三層構造であるので、構造が従来のものに比べて簡単であり、特に、ダイヤフラム12とヒータ13とを同一平面内に設けているので、外部からの実装が可能となり、ヒータ13に対する電源供給のための配線およびその取り出しを容易に行うことができ、製作を容易に行うことができる。
【0018】図4および図5は、この発明の第2の実施の形態を示すもので、この実施の形態においては、ダイヤフラム12のキャビティ9に臨む可動部12aを常時(ヒータ13に通電を行っていないとき)、水平状態となるように設けるとともに、ゲート部6の下面6aを下方に凹となるように湾曲した状態に形成し、前記可動部12aが上動したとき、可動部12aの上面がゲート部6の下面6aに密着するように構成してある。このようにしたものにおいても、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することはいうまでもない。
【0019】図6は、この発明の第3の実施の形態を示すもので、この実施の形態においては、ダイヤフラムの可動部12aを、微小流路5に連なる外部接続孔7,8のうちの一方7に対応する位置に設けたものである。このようにしたものにおいても、上記第1および第2の実施の形態と同様の作用効果を奏することはいうまでもない。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のマイクロバルブにおいては、全体構成が三層であり構造が簡単であり、特に、ヒータを第二層以上に位置するように設けることができるので、これに対する配線構造が簡単になる。したがって、製作が容易であり、大量かつ安価に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るマイクロバルブの正面縦断面図である。
【図2】前記マイクロバルブの側縦断面図である。
【図3】前記マイクロバルブの第2層以下の平面構成を示す図である。
【図4】第2の実施の形態に係るマイクロバルブの正面縦断面図である。
【図5】前記マイクロバルブの側縦断面図である。
【図6】第3の実施の形態に係るマイクロバルブの側縦断面図である。
【図7】従来のマイクロバルブを示す断面図である。
【符号の説明】2…第1の基板、3…第2の基板、4…第3の基板、5…微小流路、6…ゲート部、9,10…キャビティ、12…ダイヤフラム、12a…ダイヤフラムの可動部、13…ヒータ。
Claims (2)
- 微小流路が下方側に形成された第1の基板と、前記微小流路のいずれかに形成されたゲート部に対して接離自在のダイヤフラムの可動部とヒータが形成されるとともに、前記ダイヤフラムとヒータの下方にそれぞれ位置するように形成されるキャビティを備えた第2の基板と、前記キャビティの下方を閉塞する第3の基板との三層構造よりなり、前記ヒータの発熱に起因して前記キャビティ内の圧力が上昇することにより前記ダイヤフラムの可動部が上動して前記ゲート部と密着することにより、前記微小流路が閉じられるようにしたことを特徴とするマイクロバルブ。
- ダイヤフラムの可動部とヒータが同一平面内に設けられている請求項1に記載のマイクロバルブ。
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