JP2004100521A - 内燃機関の燃焼制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ディーゼルエンジンにおいて燃費の向上と燃焼効率の向上の両立を図ること。
【解決手段】吸気弁の開閉タイミングを可変できる燃料供給機構7と、発熱体が気筒内に露出しているグロープラグ3とを備えたディーゼルエンジン1の燃焼制御装置40において、ディーゼルエンジン1の負荷状況を判定する負荷判定手段と、負荷判定手段により軽負荷と判定されたときに吸気弁の閉成タイミングを通常閉成タイミングよりも早める指令を燃料供給機構7に出力すると共にグロープラグ3の駆動回路9に通電指令を出力する制御指令手段とを備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃焼制御装置に関するものであり、特に、内燃機関の圧縮仕事を減少させるために、吸気早閉じのバルブタイミング制御を行う燃焼制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
吸気早閉じのバルブタイミング制御を行う技術として特開平3−156148号公報に開示された「内燃機関の燃料供給装置」がある。この従来技術は、軽負荷時において吸気早閉じのバルブタイミング制御を行って、吸気行程でピストンに作用する負の仕事(ポンピングロス)を減少させると、シリンダ内の混合気温度が低下して燃焼が悪化することに着目し、燃料噴射圧力を高くするというものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平3−156148号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、現実問題としては、燃料噴射圧力を高くしても着火の安定性は必ずしも十分ではなかった。そこで、全く別な発想に基づく着火安定のための対策が求められていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の内燃機関の燃焼制御装置は、このような課題を解決するためになされたものであり、吸気弁の開閉タイミングを可変できる燃料供給機構と、発熱体が気筒内に露出しているグロープラグとを備えた内燃機関の燃焼制御装置において、内燃機関の負荷状況を判定する負荷判定手段と、負荷判定手段により軽負荷と判定されたときに吸気弁の閉成タイミングを通常閉成タイミングよりも早める指令を燃料供給機構に出力すると共にグロープラグを通電させる回路に通電指令を出力する制御指令手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0006】
負荷判定手段により軽負荷と判定されると、燃料供給機構のバルブタイミングが吸気早閉じとなると共に、グロープラグに通電がなされる。吸気早閉じのバルブタイミング制御によって、内燃機関の吸気行程における圧縮仕事が減少して燃費の向上を図ることができる。また、吸気早閉じのために圧縮端温度が燃料着火温度より低くなることがあるが、グロープラグへの通電によって着火に必要な圧縮端温度を確保することができ、失火が生じない。
【0007】
また、本発明の他の燃焼制御装置は、吸気弁の開閉タイミングを可変できる燃料供給機構と、排出ガス再循環装置(EGR)とを備えた内燃機関の燃焼制御装置において、排出ガス再循環装置は、冷却装置を備えた主循環経路と、その冷却装置をバイパスする副循環経路と、主循環経路と副循環経路の切り換えを行うバルブとを備え、燃焼制御装置は、内燃機関の負荷状況を判定する負荷判定手段と、負荷判定手段により軽負荷と判定されたときに吸気弁の閉成タイミングを通常閉成タイミングよりも早める指令を燃料供給機構に出力すると共に副循環経路を介して排出ガスを循環させるようにバルブを駆動する指令を出力する制御指令手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
排出ガス再循環装置は、排出ガスを混合気にフィードバックすることにより最高燃焼温度を下げ、高温で発生する窒素酸化物(NOx)を低減するものである。そして、高温燃焼温度の低下を促進するために、循環経路中にはEGRクーラーと呼ばれる冷却装置が一般に設けられており、フィードバックされる排出ガスが冷却されるようになっている。したがって、燃費向上のために吸気早閉じのバルブタイミング制御を行うと、圧縮端温度の低下が増強される。
【0009】
しかし、本発明によれば、圧縮端温度の低下を抑制できる。負荷判定手段により軽負荷と判定されると、燃料供給機構のバルブタイミングが吸気早閉じとなると共に、副循環経路を介して排出ガスが循環されるからである。
【0010】
本発明によれば、吸気早閉じのバルブタイミング制御によって、内燃機関の吸気行程における圧縮仕事が減少して燃費の向上を図ることができる。また、吸気早閉じのために圧縮端温度が低下するが、排出ガスが冷却装置をバイパスするので、圧縮端温度の低下の程度が小さく、したがって燃料着火温度より低くなることを防止できる。そのため、着火に必要な圧縮端温度を確保でき失火が生じない。
【0011】
また、本発明のさらに他の燃焼制御装置は、吸気弁の開閉タイミングを可変できる燃料供給機構と、アシスト用モータを備えたターボチャージャーとを備えた内燃機関の燃焼制御装置において、内燃機関の負荷状況を判定する負荷判定手段と、負荷判定手段により軽負荷と判定されたときに吸気弁の閉成タイミングを通常閉成タイミングよりも早める指令を燃料供給機構に出力すると共にアシスト用モータの駆動回路に通電指令を出力する制御指令手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
負荷判定手段により軽負荷と判定されると、燃料供給機構のバルブタイミングが吸気早閉じとなると共に、ターボチャージャーのアシスト用モータが駆動して吸入空気が加給される。吸気早閉じのバルブタイミング制御によって、内燃機関の吸気行程における圧縮仕事が減少して燃費の向上を図ることができる。また、吸気早閉じのために圧縮端温度が燃料着火温度より低くなることがあるが、ターボチャージャーのアシスト用モータの駆動により吸入空気圧が上昇して圧縮端温度低下を抑制することができ、失火が生じない。
【0013】
なお、上記3つの発明において、負荷判定手段は、トルクTeと回転数Neに基づく負荷マップを備え、負荷が予め定められたしきい値よりも軽いか否かを判定するものであることが望ましい。トルクTeと回転数Neとから簡単に負荷の程度を判定できる。
【0014】
また、その負荷判定手段は、トルクTeと回転数Neに基づく負荷マップについて、しきい値の異なるものを複数種類備えており、内燃機関の運転状況に応じて複数の負荷マップの一つを選択し、選択された負荷マップに基づいて負荷状況を判定することが望ましい。
【0015】
内燃機関の運転状況に応じて、吸気早閉じのバルブタイミング制御を必要とする負荷の程度は変化するが、内燃機関の運転状況に応じて異なるしきい値が設定された負荷マップを用いることにより、内燃機関の運転状況が変化しても吸気早閉じに関して適切な判定をすることができる。
【0016】
なお、運転状況は、冷却水温Tw、吸入空気量Gaおよび吸入空気温度Taの中の少なくとも一つを用いて判断することができる。
【0017】
負荷マップは、複数のしきい値により負荷領域が区分されており、制御指令手段は負荷領域に応じて吸気弁の閉成タイミングを異ならせることが望ましい。
【0018】
負荷の程度に応じて閉成タイミングを異ならせることにより圧縮仕事の減少量を適切に制御することができる。
【0019】
たとえば、第1負荷領域とそれよりも高負荷の第2負荷領域とを仕切る第1しきい値と、第2負荷領域とそれよりも高負荷の第3負荷領域とを仕切る第2しきい値とを負荷マップ上に設定した場合、制御指令手段は、負荷が第3負荷領域にあるときは吸気弁を通常のタイミングで閉成し、負荷が第1負荷領域にあるときには吸気弁を最も早く閉成し、負荷が第2負荷領域にあるときは負荷に応じて吸気弁の閉成タイミングを可変とすることが可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態である燃焼制御装置およびこの燃焼制御装置の制御対象であるディーゼルエンジンを示す構成図であり、図2は燃焼制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0021】
ディーゼルエンジン1は、4気筒のエンジンであり、各気筒2にはグロープラグ3が設けられている。グロープラグ3は、グロープラグ駆動回路9により通電されると気筒内に臨む先端部が1000℃前後の温度で発熱するものであり、圧縮端温度が燃料着火温度よりも低い場合に駆動して失火を防止するものである。グロープラグ3は、主として冷間始動時に利用するものであるが、本実施形態では吸気早閉じのバルブタイミング制御を行ったときにも駆動して、圧縮端温度を上昇させる。
【0022】
排気ポート4は、ターボチャージャー12を介して排気浄化触媒18に導かれている。ターボチャージャー12は、タービンホイール12aの羽根に排気ガスを当てて吸気側のコンプレッサーホイール12bを回転させ、吸入空気を圧縮するものであるが、このターボチャージャー12は、さらに、アシスト用モータ13を備えており、必要に応じてアシスト用モータ13をインバータ22の交流出力電流によって駆動することにより、加給を増強することができるようになっている。アシスト用モータ13の回転数は、インバータ22の出力周波数を調整することによりコントロールすることができる。
【0023】
タービンホイール12aの先には排気浄化触媒装置18およびマフラー20が設けあれており、排気浄化触媒装置18とマフラー20との間には排気温度センサ21が設けられている。
【0024】
ターボチャージャー12のコンプレッサーホイール12b側は、エアークリーナ14を介して吸気口19が接続されており、エアークリーナ14とターボチャージャー12の間の吸気通路にはエアフローメータ15および大気温度センサ16が配置されている。
【0025】
エアフローメータ15は吸入空気量Gaを検出するものであり、大気温度センサ16は吸入空気温度Taを検出するものである。
【0026】
ターボチャージャー12のコンプレッサーホイール側と各気筒2の吸気ポート5との間の吸気経路10には、インタークーラー11およびサージタンク6が設けられている。インタークーラー11は、ターボチャージャー12で圧縮され加熱された吸入空気を冷却するものであり、サージタンク6は吸入空気の脈動を緩和するものである。
【0027】
排気ポート4と吸気経路10との間には、EGRクーラー25を備えた排出ガス再循環用の主循環経路24と、EGRクーラー25をバイパスするように設けられた副循環経路28が設けられており、これらによって排出ガス再循環装置(EGR)が構成されている。主循環経路24と副循環経路28にはそれぞれバルブ26および29が設けられており、それぞれがバルブ駆動装置27および30により開閉可能となっている。
【0028】
排出ガス再循環装置はいうまでもなく、排出ガスを混合気にフィードバックすることにより最高燃焼温度を下げ、高温で発生する窒素酸化物(NOx)を低減するものである。高温燃焼温度の低下を促進するために、主循環経路24中にはEGRクーラー25が設けられており、ここを経由してフィードバックされる排出ガスは冷却されるようになっている。また、後述するように、吸気早閉じのバルブタイミング制御を行うときには、副循環経路28を通すことにより排出ガスの冷却をすることなく、再循環させることができる。なお、符号31は吸気スロットルを示している。
【0029】
燃料供給機構としての可変バルブタイミング調整装置7は、アクチュエータ8によって、吸気バルブの閉成タイミングを調整するものである。
【0030】
図3(a)〜(c)は吸気バルブのバルブタイミング制御を示すバルブダイヤグラムである。本実施形態では吸気バルブが開くタイミングは常に一定で、上死点TDCの2度手前である。
【0031】
図3(a)のバルブダイヤグラムは、通常のバルブタイミング制御を示しており、上死点TDCの2度手前で開き、下死点BDCの31度後方で閉じる。図3(b)は吸気早閉じのバルブタイミング制御の一例を示すものであり、下死点BDCの手前60度の位置で吸気バルブを閉じる。図3(c)は閉成タイミングを最も早くしたときの吸気早閉じバルブタイミング制御を示すものであり、下死点BDCの手前90度の位置で吸気バルブを閉じる。
【0032】
電子制御装置(ECU)40は、燃焼制御装置として機能を備えている。入力側には、エアフローメータ15、大気温度センサ16、冷却水温センサ41、エンジントルクセンサ42、エンジン回転数センサ43の各出力が接続されている。なお、冷却水温センサ41は、ディーゼルエンジン1の冷却装置内を循環する冷却水の温度を検出するものである。
【0033】
一方、出力側には、バルブ駆動回路27、30、バルブタイミング調整用のアクチュエータ8、グロープラグ駆動回路9、ターボチャージャーアシスト用モータを駆動するためのインバータ22が接続され、それぞれをコントロールできるようになっている。
【0034】
つぎに、本実施形態である燃焼制御装置の動作を説明する。図2は、燃焼制御装置として機能するECU40の制御動作を示すフローチャートである。
【0035】
まず、ステップS11では、冷却水温Tw、吸入空気量Gaおよび吸入空気温度Taを取り込む。冷却水温Twは冷却水温センサ41から、吸入空気量Gaはエアフローメータ15から、吸入空気温度Taは大気温度センサ16からそれぞれ取得する。
【0036】
ステップS12では、冷却水温Tw、吸入空気量Gaおよび吸入空気温度Taからバルブタイミング制御用の負荷マップを選択する。
【0037】
図4(a)〜(c)は、それぞれ予め用意されている負荷マップの一例を示す図である。各図において、横軸はエンジン回転数Neを示し、縦軸にエンジントルクTeを示しており、エンジン回転数Neの単位はrpm、エンジントルクTeの単位はNmである。
【0038】
図4(a)に示す負荷マップは、冷却水温Tw、吸入空気量Gaおよび吸入空気温度Taのそれぞれの値が十分に大きいときに選択される。この負荷マップでは、第1しきい値51によって第1負荷領域Iとそれよりも高負荷の第2負荷領域IIに仕切られ、第2しきい値52によって第2負荷領域IIとそれよりも高負荷の第3負荷領域IIIに仕切られている。
【0039】
図4(b)に示す負荷マップは、冷却水温Tw、吸入空気量Gaまたは吸入空気温度Taの少なくともいずれかが、十分に大きい場合に比べると小さくなった場合に選択されるものの一例である。たとえば、冷却水温Twは80℃以上であれば十分に大きい値と言えるが、それが30℃となった場合に選択される。
【0040】
この負荷マップは、図4(a)に示す負荷マップの第2しきい値52を、その傾きを維持したまま原点方向にシフトさせ、第1しきい値51を削除したものである。
【0041】
図4(c)に示す負荷マップは、冷却水温Tw、吸入空気量Gaおよび吸入空気温度Taの各値がいずれも十分に小さい場合に選択される。この負荷マップの場合には、しきい値は存在せず、全領域が第3負荷領域IIIとなっている。
【0042】
ここでは、簡単のために3種類の負荷マップを例示したが、たとえば、第2しきい値について、図4(a)と図4(b)の中間に位置するような負荷マップを用意してもよい。
【0043】
次にステップS13に移行し、エンジントルクTeおよびエンジン回転数Neを取り込み、判断ボックスであるステップS14にさらに移行する。
【0044】
ステップS14では、エンジントルクTeおよびエンジン回転数Neに基づいて決定される負荷が、負荷マップ上のどの負荷領域に含まれるかが判断される。ステップS12で、仮に図4(a)の負荷マップが選択されたとする。ステップS13で取り込まれたエンジントルクTeおよびエンジン回転数Neに基づいて決定される負荷が、選択された負荷マップ上の第1負荷領域I〜第3負荷領域IIIのいずれに含まれるかが判断される。
【0045】
第3負荷領域IIIが選択されると、ステップS17に進み、吸気バルブの閉成タイミングを通常のまま、すなわち、図3(a)に示すタイミングでバルブタイミング制御が実行される。
【0046】
ステップS14で第1負荷領域Iまたは第2負荷領域IIが選択されると、ステップS15に進みグロープラグ駆動回路9に駆動指令を出してグロープラグ3をオンさせる。これによって気筒内に臨むグロープラグ3の先端は1000℃前後の温度に発熱される。
【0047】
続いてステップS16に移行し、吸気早閉じのバルブタイミング制御が実行される。ステップS14で第1負荷領域Iが選択された場合には、図3(c)のバルブダイヤグラムに示すバルブタイミング制御が実行される。つまり、最も早い吸気早閉じが行われる。
【0048】
一方、ステップS14で第2負荷領域IIが選択された場合には、負荷の程度に応じて、図3(a)のバルブタイミングと図3(c)のバルブタイミングの間の適当なタイミングで吸気早閉じが行われる。図3(b)のバルブタイミングはその一例で、下死点BDCの手前60度で閉じる。図4(a)の負荷マップにおける第2負荷領域IIを例にとると、エンジントルクTeおよびエンジン回転数Neに基づいて決定される負荷が第1しきい値51に近いほど早く吸気早閉じが行われ、第2しきい値52に近いほど遅く吸気早閉じが行われる。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、負荷が軽いほど吸気バルブの閉成タイミングが早くなり、吸気行程における圧縮仕事が減少する。これにより燃費の向上を図ることができる。また、吸気早閉じが行われる場合には、圧縮端温度が燃料着火温度以下になる可能性があるが、そうならないようにグロープラグ3がオン状態になるため、失火が起こらない。
【0050】
つぎに、第2の実施形態を図5に示すフローチャートを用いて説明する。ディーゼルエンジンの構成は第一実施形態と同じであり図1に示すとおりである。第1実施形態とはECU40による制御が一部異なるのみである。つまり、フローチャートのステップS25において、EGR主循環経路を閉じて副循環経路を開くという動作制御が、第1実施形態のステップS15におけるグロープラグ3をオンするという動作制御に代えて実行される。
【0051】
ステップS11〜ステップS14およびステップS16、17は、第1実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0052】
ステップS14において、第3負荷領域IIIが選択されるとステップS17に進み、吸気バルブの閉成タイミングを通常のまま、すなわち、図3(a)に示すバルブタイミング制御が実行される。一方、第1負荷領域Iまたは第2負荷領域IIが選択されると、ステップS25に進み、バルブ駆動装置27、30に駆動指令を出して、閉じているバルブ29を開き、開いているバルブ26を閉じる。このバルブ切替によって、EGR装置で再循環される排出ガスがEGRクーラー25をバイパスする。ついで、ステップS16に進んで第1実施形態と同様の吸気早閉じのバルブタイミング制御が実行される。
【0053】
この実施形態によれば、負荷が軽いほど吸気バルブの閉成タイミングが早くなり、吸気行程における圧縮仕事が減少する。これにより燃費の向上を図ることができる。また、吸気早閉じが行われる場合には、圧縮端温度が燃料着火温度以下になる可能性があるが、再循環される排出ガスがEGRクーラー25を経由せずに、高温のまま混合気に混ざるので、圧縮端温度の低下が抑制され、失火が起こらない。
【0054】
つぎに第3の実施形態を図6に示すフローチャートを用いて説明する。ディーゼルエンジンの構成は第一実施形態と同じであり図1に示すとおりである。第1実施形態とはECU40による制御が一部異なるのみである。つまり、フローチャートのステップS35において、ターボチャージャー12のアシスト用モータ13を駆動するという制御が、第1実施形態のステップS15におけるグロープラグ3をオンするという動作制御に代えて実行される。
【0055】
ステップS11〜ステップS14およびステップS16、17は、第1実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0056】
ステップS14において、第3負荷領域IIIが選択されるとステップS17に進み、吸気バルブの閉成タイミングを通常のまま、すなわち、図3(a)に示すバルブタイミング制御が実行される。一方、第1負荷領域Iまたは第2負荷領域IIが選択されると、ステップS35に進み、インバータ22に駆動指令を出して、アシスト用モータ13を駆動する。第2負荷領域IIの場合には、負荷の程度に応じて、インバータ22の出力周波数を選択することが望ましい。その場合、第1負荷領域Iに近いほど高速にアシスト用モータ13を回転させる。ついで、ステップS16に進んで第1実施形態と同様の吸気早閉じのバルブタイミング制御が実行される。
【0057】
この実施形態によれば、負荷が軽いほど吸気バルブの閉成タイミングが早くなり、吸気行程における圧縮仕事が減少する。これにより燃費の向上を図ることができる。また、吸気早閉じが行われる場合には、圧縮端温度が燃料着火温度以下になる可能性があるが、ターボチャージャー12のアシスト用モータ13が駆動して吸入空気の加給が増強されるため、圧縮端温度の低下が抑制され、失火が起こらない。
【0058】
以上3つの実施形態では、圧縮端温度の低下を抑制するために、グロープラグへの通電、EGR排出ガスのEGRクーラーバイパス、ターボチャージャーのアシスト用モータの駆動をそれぞれ行っているが、これらから2以上を選んで同時に実行しても構わない。
【0059】
【発明の効果】
以上のように、本発明の内燃機関の燃焼制御装置によれば、負荷に応じて適宜吸気バルブの吸気早閉じ制御を行うため燃費向上を図ることができ、しかも、吸気早閉じ制御の際には、グロープラグへの通電、EGR排出ガスのEGRクーラーバイパス、あるいは、ターボチャージャーのアシスト用モータの駆動を行って、圧縮端温度が低下を抑制するので、失火による燃料効率の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である燃焼制御装置およびこの燃焼制御装置の制御対象であるディーゼルエンジンを示す構成図。
【図2】燃焼制御装置として機能するECU40の制御動作を示すフローチャート。
【図3】(a)〜(c)は吸気バルブのバルブタイミング制御を示すバルブダイヤグラム。
【図4】(a)〜(c)は、それぞれ予め用意されている負荷マップを示す図。
【図5】第2実施形態の燃焼制御装置として機能するECU40の制御動作を示すフローチャート。
【図6】第3実施形態の燃焼制御装置として機能するECU40の制御動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…ディーゼルエンジン、3…グロープラグ、7…可変バルブタイミング調整装置、8…アクチュエータ、9…グロープラグ駆動回路、12…ターボチャージャー、13…アシスト用モータ、24…主循環経路、25…EGRクーラー、26,29…バルブ、27,30…バルブ駆動装置、28…副循環経路、40…電子制御装置(ECU)、41…冷却水温センサ、42…エンジトルクセンサ、43…エンジン回転数センサ。

Claims (8)

  1. 吸気弁の開閉タイミングを可変できる燃料供給機構と、発熱体が気筒内に露出しているグロープラグとを備えた内燃機関の燃焼制御装置において、
    前記内燃機関の負荷状況を判定する負荷判定手段と、
    前記負荷判定手段により軽負荷と判定されたときに前記吸気弁の閉成タイミングを通常閉成タイミングよりも早める指令を前記燃料供給機構に出力すると共に前記グロープラグを通電させる回路に通電指令を出力する制御指令手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の燃焼制御装置。
  2. 吸気弁の開閉タイミングを可変できる燃料供給機構と、排出ガス再循環装置とを備えた内燃機関の燃焼制御装置において、
    前記排出ガス再循環装置は、冷却装置を備えた主循環経路と、前記冷却装置をバイパスする副循環経路と、前記主循環経路と前記副循環経路の切り換えを行うバルブとを備え、
    前記燃焼制御装置は、
    前記内燃機関の負荷状況を判定する負荷判定手段と、
    前記負荷判定手段により軽負荷と判定されたときに前記吸気弁の閉成タイミングを通常閉成タイミングよりも早める指令を前記燃料供給機構に出力すると共に前記副循環経路を介して排出ガスを循環させるように前記バルブを駆動する指令を出力する制御指令手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の燃焼制御装置。
  3. 吸気弁の開閉タイミングを可変できる燃料供給機構と、アシスト用モータを備えたターボチャージャーとを備えた内燃機関の燃焼制御装置において、
    前記内燃機関の負荷状況を判定する負荷判定手段と、
    前記負荷判定手段により軽負荷と判定されたときに前記吸気弁の閉成タイミングを通常閉成タイミングよりも早める指令を前記燃料供給機構に出力すると共に前記アシスト用モータの駆動回路に通電指令を出力する制御指令手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の燃焼制御装置。
  4. 前記負荷判定手段はトルクTeと回転数Neに基づく負荷マップを備え、負荷が予め定められたしきい値よりも軽いか否かを判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
  5. 前記負荷判定手段はトルクTeと回転数Neに基づく前記負荷マップについて、しきい値の異なるものを複数種類備えており、前記内燃機関の運転状況に応じて前記複数の負荷マップの一つを選択し、選択された負荷マップに基づいて負荷状況を判定することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
  6. 前記運転状況は、冷却水温Tw、吸入空気量Gaおよび吸入空気温度Taの中の少なくとも一つを用いて判断されることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
  7. 前記負荷マップは、複数のしきい値により負荷領域が区分されており、前記制御指令手段は前記負荷領域に応じて吸気弁の閉成タイミングを異ならせることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
  8. 前記複数のしきい値は、第1負荷領域とそれよりも高負荷の第2負荷領域とを仕切る第1しきい値と、前記第2負荷領域とそれよりも高負荷の第3負荷領域とを仕切る第2しきい値であり、前記制御指令手段は、負荷が前記第3負荷領域にあるときは吸気弁を通常のタイミングで閉成し、負荷が前記第1負荷領域にあるときには吸気弁を最も早く閉成し、負荷が前記第2負荷領域にあるときは負荷に応じて吸気弁の閉成タイミングを可変とすることを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
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