JP2004099884A - 金型内被覆成形体およびその製造方法 - Google Patents
金型内被覆成形体およびその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【効果】本発明によれば、上記成形物表面に上記塗料組成物が密着力の良好な状態で一体的に形成された成形体およびその製造方法を提供できる。
【選択図】なし
Description
価を有し、かつ、ゴム成分を特定量含有させた水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物を使用することにより、ポリオレフィン系樹脂であるポリプロピレン系樹脂組成物の成形物表面に上記被覆用塗料が密着力の良好な状態で一体的に形成された金型内被覆成形体を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)からなる成形物の表面が、金型内被覆用塗料組成物(B)で被覆された成形体であって、
該水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を構成するポリプロピレン樹脂(i)と、添加ゴム(ii)と、任意に添加される該ポリプロピレン樹脂(i)および該添加ゴム(ii)以外の高分子化合物(iii)との総水酸基価が1〜40(KOH mg/g)であ
り、
該水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)におけるゴム成分含有量(添加ゴム(ii)量と、ポリプロピレン樹脂(i)成分および任意に添加される前記高分子化合物(iii)の23℃n−デカン可溶分量との合計量)が、ゴム成分とゴム成分以外の樹脂成分と
の合計含有量を100質量%とした場合に、15〜80質量%であり、
該金型内被覆用塗料組成物(B)が、
少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー10〜70質量%と、該オリゴマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマー90〜30質量%とからなるビヒクル成分(a)100質量部に対して、
塩素含有率が2〜40質量%である(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン(b)5〜35質量部、
有機過酸化物重合開始剤(c)0.5〜5質量部、および
ポリイソシアネート化合物(d)2〜20質量部
を含有していることを特徴としている。
前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン系樹脂成分の融点以下で、前記金型内被覆用塗料組成物(B)が硬化する温度以上に金型温度を保持した固定金型と移動金型とからなる金型を所定の型締め圧にて保持した状態で、金型キャビティ内に該樹脂組成物(A)の溶融物を射出し、所定時間保圧をかけて該溶融物を該塗料組成物(B)の流動圧力に耐えうる程度に冷却固化させた後、金型をわずかに開いて、得られた成形物と金型キャビティ面との間に空間を形成させ、該空間内に該塗料組成物(B)
を注入し、再度型締め圧を上げて型締めを行なった状態で保持し、該塗料組成物(B)が硬化した後に成形体を取り出すことを特徴としている。
前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン系樹脂成分の融点以下で、前記金型内被覆用塗料組成物(B)が硬化する温度以上に金型温度を保持した固定金型と移動金型とからなる金型を所定の一次型締め圧にて保持した状態で、金型キャビティ内に該樹脂組成物(A)の溶融物を射出し、射出中または射出完了後に型締め力を二次型締め力まで上げ、所定時間保持して該溶融物を該塗料組成物(B)の流動圧力に耐えうる程度に冷却固化させた後、金型をわずかに開いて、得られた成形物と金型キャビティ面との間に空間を形成させ、該空間内に該塗料組成物(B)を注入し、再度型締め圧を上げて型締めを行なった状態で保持し、該塗料組成物(B)が硬化した後に成形体を取り出すことを特徴としている。
前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン系樹脂成分の融点以下で、前記金型内被覆用塗料組成物(B)が硬化する温度以上に金型温度を保持した固定金型と移動金型とからなる金型を所定量開いた状態で、金型キャビティ内に該樹脂組成物(A)の溶融物を射出し、射出中または射出完了後に型締め力を所定型締め力まで上げ、所定時間保持して該溶融物を該塗料組成物(B)の流動圧力に耐えうる程度に冷却固化させた後、次いで金型をわずかに開いて、得られた成形物と金型キャビティ面との間に空間を形成させ、該空間内に該塗料組成物(B)を注入し、再度型締め圧を上げて型締めを行なった状態で保持し、該塗料組成物(B)が硬化した後に成形体を取り出すことを特徴としている。
本発明で用いられる水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)は、ポリプロピレン樹脂(i)、添加ゴム(ii)、および必要に応じて添加される他の高分子化合物(iii)
、無機充填材、着色顔料等の各種添加剤から構成される組成物であって、前記ポリプロピレン樹脂(i)、添加ゴム(ii)および他の高分子化合物(iii)の少なくとも一つの成
分が水酸基を有している。
成分と、必要に応じて添加される無機充填材(たとえばタルク)等の無機成分とから構成される。つまり、樹脂成分とゴム成分と必要に応じて添加される無機充填材(たとえばタルク)等の無機成分とを含有している。ここにおけるゴム成分とは、熱可塑性成分に含まれる添加したゴムと、ポリプロピレン樹脂(i)および高分子化合物(iii)中の23℃
でのn−デカン可溶分量との合計である。また、樹脂成分とは、熱可塑性成分からゴム成分を除いた残りの成分である。
合物や、水酸基を含む化合物で変性した熱可塑性の高分子化合物等が挙げられる。
ロピレン樹脂(i)、添加ゴムおよび他の高分子化合物(iii)の少なくとも1つの成分
が水酸基を有しており、ポリプロピレン樹脂(i)、添加ゴム(ii)、および必要に応じて添加された他の高分子化合物(iii)の熱可塑性成分の合計量を100質量%とした場
合のゴム成分含有量が15〜80質量%である。
n−デカン可溶分量との合計である。
加した高分子化合物を示す。
除くアミン基、ケトン基、カルボキシル基、グリシジル基、シアノ基などの極性基を有するものを用いることもできる。
(1)プロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリマーに、添加ゴムおよび必要に応じて高分子化合物等を添加した後、水酸基を含む化合物で変性して、目的とする水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法、
(2)水酸基を含む化合物で変性したプロピレンホモポリマー、水酸基を含む化合物で変性したプロピレンブロックコポリマーおよび水酸基を含む化合物で変性したプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種の変性ポリマーに、添加ゴムおよび必要に応じて高分子化合物等を添加して、目的とする水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法、
(3)プロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリマーに、水酸基を含む化合物で変性したポリプロピレン系樹脂成分および/または水酸基を含むポリプロピレン系樹脂成分と、添加ゴムおよび必要に応じて高分子化合物等とを添加して、目的とする水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法、
(4)プロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリマーに、添加ゴム、水酸基を含む高分子化合物等を添加して、目的とする水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法、
(5)プロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリマーに、水酸基を含む化合物で変性した添加ゴムおよび/または水酸基を含む添加ゴムと、必要に応じて高分子化合物等とを添加して、目的とする水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法などが挙げられる。これらの方法は、単独だけでなく併用してもよい。
g)、好ましくは2〜30(KOH mg/g)、さらに好ましくは2〜20(KOH mg/g)の範囲内にある。水酸基価が1(KOH mg/g)より低いと、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中の水酸基量が少ないので、この樹脂組成物(A)からなる成形物表面に対する金型内被覆用塗料組成物(B)の濡れ性が悪化し、塗料組成物(B)中のイソシアネート基と樹脂組成物(A)中の水酸基との反応により生ずるウレタン結合量が減少するので塗料組成物(B)との十分な密着性が得られない。一方、水酸基価が40より高いと、樹脂組成物(A)中の水酸基量が多すぎるので、樹脂組成物の衝撃特性等の物性が悪化したり、型開き時や成形物の離型時に成形物表面に表層剥離が発生しやすくなる。
1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス−(t−ブチルペルオキシ)バラレート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン等のペルオキシケタール類;
ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α‘−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルペルオキシド類;
アセチルペルオキシド、イソブチルオキシド、オクタノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、2,5−ジクロロベンゾイルペルオキシド、m−トリオイルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類;
t−ブチルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウリレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルペルオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシマレイックアシッド、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、クミルペルオキシオクテート等
のペルオキシエステル類;
ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート類;
t−ブチルハイドロペルオキシド、クメンハイドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロペルオキシド等のハイドロペルオキシド類などが挙げられ、この他、通常工業的に使用されている有機過酸化物であれば、特に制限無く使用することができる。これら有機過酸化物のなかでは、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサエート、ジクミルペルオキシドなどが好ましい。
n−デカン可溶分量との合計量であり、ポリプロピレン樹脂(i)、添加ゴム(ii)および必要に応じて添加された高分子化合物(iii)の熱可塑性成分の合計含有量を100質
量%とした場合に、15〜80質量%、好ましくは15〜70質量%、さらに好ましくは20〜60質量%である。すなわち、樹脂組成物(A)における樹脂成分の合計含有量は、20〜85質量%、好ましくは30〜85質量%、さらに好ましくは40〜80質量%である。
ポリプロピレン樹脂(i)としてプロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリプロピレン20〜95質量%、好ましくは25〜90質量%と、
添加ゴム(ii)5〜80質量%、好ましくは10〜75質量%(ポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)の合計は100質量%である)と
からなり、前記ポリプロピレンおよびゴムの少なくとも1種が水酸基を有し、水酸基価が1〜40(KOH mg/g)の範囲内にある樹脂組成物、あるいは
ポリプロピレン樹脂(i)としてプロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリプロピレン20〜95質量%、好ましくは25〜90質量%と、
添加ゴム(ii)5〜80質量%、好ましくは10〜75質量%(ポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)の合計は100質量%である)と、
前記ポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)の合計100質量%に対してポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)以外の高分子化合物(iii)1〜60質量%
、好ましくは1〜50質量%と
からなり、前記ポリプロピレン樹脂(i)、添加ゴム(ii)および高分子化合物(iii)
の少なくとも1種が水酸基を有し、水酸基価が1〜40(KOH mg/g)の範囲内にある樹脂組成物が好ましく用いられる。
しては、たとえばポリエチレン、ポリブテン等のポリプロピレン以外のα- オレフィン重合体や、エチレンと炭素数4〜20のα- オレフィン、好ましくは炭素数4〜12のα- オレフィンとを共重合した直鎖状低密度ポリエチレンなどが挙げられる。直鎖状低密度ポ
リエチレン中のα- オレフィンの含量は1〜10mol%程度であり、好ましくは1.5〜8mol程度である。α- オレフィンを共重合した直鎖状ポリエチレンとしては、密度が0.900〜0.920g/cm3程度のものが衝撃強度を向上させる効果が優れてい
るので好ましい。
本発明で用いられる金型内被覆用塗料組成物(B)は、少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーと、該オリゴマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとからなるビヒクル成分(a)、(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン(b)、有機過酸化物重合開始剤(c)およびポリイソシアネート化合物(d)を含有している。
本発明で用いられるビヒクル成分(a)の少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーとしては、具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレートのオリゴマー等を挙げることができる。これらのオリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、それぞれの種類により変動し得るが、一般に5
00〜5,000、好ましくは1,000〜3,000とするのが適当である。
レートとを、NCO/OH比が、たとえば0.8〜1.0、好ましくは0.9〜1.0となるような存在比で混合し、通常の方法により製造することができる。水酸基が過剰に存在する場合や、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを多量に使用することにより、水酸基を多く有するオリゴマーが得られる。
ることにより、上記ウレタン(メタ)アクリレートのオリゴマーを製造することができる。なお、(ii)有機ポリオール化合物と、(iii)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレー
トとの割合は、(iii)成分1モルに対し、たとえば(ii)成分は0.2〜0.5モル程度が適当である。
よって製造することができる。
本発明で用いられる(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン(b)は、たとえば(メタ)アクリルモノマーを、過酸化物の存在下で、塩素化ポリオレフィンにグラフト重合させて得られる。
本発明で用いられる有機過酸化物重合開始剤(c)は、フリーラジカルを発生するものであって、金型内で被覆用塗料組成物(B)が成形物表面を覆い、金型表面あるいは成形樹脂の熱によって有機過酸化物重合開始剤(c)が熱分解し、活性なラジカルを発生し、被覆用塗料組成物(B)をラジカル重合反応させ、硬化させるものである。
本発明で用いられるポリイソシアネート化合物(d)は、従来から塗料用途に用いられているポリイソシアネート化合物であれば、特に制限されることなく、たとえば芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等の各種ポリイソシアネートを使用することができる。
ネート(XDI)等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、リシンジイソシアネート(LDI)、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート(LTI)等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化キシレンジイソシアネート(H6XDI)等の脂環式ポリイソシアネートなどが好適に挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物(d)は、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられる塗料組成物(B)に、必要に応じて、更に離型剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
末状あるいはフレーク状の酸化鉄、ニッケル、アルミニウム、グラファイト、酸化チタン等で処理した雲母などの鱗片状顔料であってもよい。
型締め制御部33から発信される制御信号と、型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御を行ないながら、型締め条件設定部32に設定された型閉じ速度パターンに従って、型締めシリンダ13により、可動金型52を型開き限位置から前進させて固定金型51に接触させる。引き続き、型締め制御部33から発信される制御信号と型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御を行ないながら、型締め条件設定部32に設定された型締め力の成形条件データ信号(型締め力の変化パターン)に従って、型締めシリンダ13により可動金型52を更に前進させてタイロッド14を伸ばし所定の型締め力を金型装置50に作用させる。このとき、可動金型52と固定金型51は前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン樹脂(i)の融点以下で、被覆剤として前記金型内被覆用塗料組成物(B)が注入された後、塗料組成物(B)が金型内で硬化するように適当な温度に保たれている。なお、本発明に適用できる金型装置は、後述する被覆剤注入の際において、金型をわずかに開いた状態としても、その割面から塗料が漏れ出さない構造とする必要がある。ここで説明する金型装置50は、割面をシェアエッジ構造とすることによって、金型をわずかに開いても割面から塗料が漏れ出さない構造とした。
と型開き速度パターンに従って、型締めシリンダ13により可動金型52を所定の型開き位置まで後退させ、塗料組成物(B)で被覆された成形体を金型装置50から取り出す。こうして1サイクルが完了する。
利用した金型内被覆形成方法)
型締め制御部33から発信される制御信号と、型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御を行ないながら、型締め条件設定部32に設定された型閉じ速度パターンに従って、型締めシリンダ13により、可動金型52を型開き限位置から前進させて固定金型51に接触させる。引き続き、型締め制御部33から発信される制御信号と型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御を行ないながら、型締め条件設定部32に設定された型締め力の成形条件データ信号(型締め力の変化パターン)に従って、型締めシリンダ13により可動金型52を更に前進させてタイロッド14を伸ばし第一の型締め力を金型装置50に作用させる。前記第一の型締め力(一次型締め圧と称することもある)は、後述する樹脂組成物(A)の射出充填工程を勘案し、樹脂組成物(A)の射出充填圧力によって、射出充填工程時に金型装置50の割面がわずかに開く状態の型締め力で設定する。このとき、可動金型52と固定金型51は、前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン樹脂(i)の融点以下で、被覆剤として前記塗料組成物(B)が注入された後、塗料組成物(B)が金型内で硬化するように適当な温度に保たれて
いる。なお、ここで説明する金型装置50は、割面をシェアエッジ構造とすることによって、樹脂充填時および被覆剤注入時に、金型をわずかに開いても割面から塗料が漏れ出さない構造とした。
こうして1サイクルが完了する。
利用した金型内被覆成形方法)
型締め制御部33から発信される制御信号と、型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御を行ないながら、型締め条件設定部32に設定された型閉じ速度パターンに従って、型締めシリンダ13により、可動金型52を型開き限位置から前進させ、固定金型51との間が所定の間隔になる位置で止める。このとき、可動金型52と固定金型51は、前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン樹脂(i)の融点以下で、被覆剤が注入された後、被覆剤が金型内で硬化するように適当な温度に保たれている。なお、ここで説明する金型装置50は、割面をシェアエッジ構造とすることによって、樹脂充填時および被覆剤注入時に、金型をわずかに開いても割面から塗料が漏れ出さない構造とした。
部35から発信される制御信号により被覆剤注入機55を駆動して、塗料組成物(B)を金型キャビティ53内に注入する。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。
<表1に示した成分>
(1): プロピレンブロックコポリマー[MFR(ASTM D 1238,230℃、荷重2.16kg)
=23g/10分、エチレン・プロピレン共重合物含有量=11質量%、エチレン・プロピレン共重合物のエチレン含量=46モル%]
(2): 溶融変性法にてプロピレンホモポリマーをヒドロキシメチルメタクリレートにて変性を行なって得られた、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,230℃、荷重2.16kg)が100g/10分、水酸基価が15(KOH mg/g)である水酸基含有プロピレンホモポリマー
(3): 水酸基含有ゴム[商標名 ポリテールH、三菱化学(株)製、水酸基価=45
(KOH mg/g)]
(4): 水酸基含有低分子量ポリプロピレン[商標名 ユーメックス1210、三洋化
成工業(株)製、水酸基価=54(KOH mg/g)]
(5): エチレン・1-ブテン共重合体[ムーニー粘度ML1+4 (100℃)=16、エチ
レン濃度=82モル%]
(6): 直鎖状低密度ポリエチレン[商品名 エボリュー SP0540、三井住友ポ
リオレフィン(株)製、MFR(ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)=4.0g/10分、密度=0.905g/cm3 ]
(7): タルク(平均粒径=2μm)
(8): フェノール系耐熱安定剤[商標名 イルガノックス(Irganox)1010、チバスペ
シャリティーケミカル社製)
(9): リン系耐熱安定剤[商標名 イルガフォス(Irgafos 168)、チバスペシャリテ
ィーケミカル社製]
びポリイソシアネート化合物を除いた下記の各成分を表2に示した割合で、3本ロールミルにて練合分散し、塗料主剤を得た。次いで、この塗料主剤に下記の有機過酸化物およびポリイソシアネート化合物を表2に示す割合で加え、十分混合し、金型内被覆用塗料組成物を調製した。
<表2に示した成分>
(1)(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー
1)UAC−1
ポリカプロラクトンジオール(分子量500)1000質量部、イソホロンジイソシアネート840質量部、ヒドロキノンモノメチルエーテル1.0質量部およびジブチル錫ラウレート1.8質量部を反応器に入れ、75℃で3時間撹拌しながら反応させ、次いで、ヒドロキシエチルアクリレート228質量部、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.5質量部を加え、75℃で4時間反応させて、2個のアクリレート基を有する重量平均分子量(Mw)3000のウレタンアクリレートオリゴマー(UAC−1)を調製した。
2)Ebecryl EB350(商標名)
2個のアクリレート基を有するシリコンジアクリレートオリゴマー(ダイセル・ユーシービー社製)
(2)エチレン性不飽和モノマー
1)1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
2)ポリプロピレングリコールジアクリレート
(3)(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン
1)PP−1
スーパークロン223M(商標名;日本製紙社製)の脱溶剤したもの(塩素含有率5質量%)
2)PP−2
スーパークロン224H(商標名;日本製紙社製)の脱溶剤したもの(塩素含有率12.8質量%)
3)PP−3
ハードレンKH−4021(商標名;東洋化成社製)の脱溶剤したもの(塩素含有率17質量%)
(4)有機過酸化物
1)ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート
2)t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート
(5)ポリイソシアネート化合物
1)2-イソシアナートエチル-2,6-ジイソシアナート カプロエート
2)トリス(6-イソシアナートヘキシル)イソシアヌレート
(6)着色顔料
シンカシャレッドY RT−759−D(商標名);キナクリドン系有機顔料、チバガイギー社製
(7)離型剤
1)ステアリン酸亜鉛
2)ZELEC−NE(商標名)
中和性リン酸塩アルコール(デュポン社製)
(8)硬化促進剤
8%コバルトオクトエート
被覆剤(塗料)注入装置が付属した型締め能力が350tfの型内被覆成形用トグル式射出成形機に、箱状の金型被覆成形用金型(投影面積約400cm2 )を取り付けた。そして、200tfの型締め力をかけて金型を締め、この状態で金型キャビティに、180℃に加熱したポリプロピレン系樹脂組成物を100cc/secの射出率で充填し、40MPaの保圧を5秒間かけた。このときの金型温度は、加圧水型金型温度調節機の循環水により塗料硬化の起こる100℃としていた。キャビティに充填したポリプロピレン系樹脂組成物は型締め力をかけた状態で90秒間金型の中で冷却し、表面が被覆剤の流動に耐えうる程度まで固化させた。
さらに、塗膜の付着性(密着性)(1)、(2)を下記の方法に従って評価した。その結果を表3に示す。
(1)初期の塗膜付着性
JIS K 5600の第5部:塗膜の機械的性質、第6節:付着性(クロスカット法)に従って初期の塗膜付着性試験を実施した。塗膜の付着性は、JIS K 5600に記載の試験結果の分類に基づき、下記の0〜5の6段階で評価した。
0・・・・カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれがない。
1・・・・カットの交差点における塗膜の小さな剥がれ。
クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
2・・・・塗膜がカットの縁に沿って、および/または交差点において剥がれている。
クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を超えるが15%を上回る
ことはない。
3・・・・塗膜がカットに縁に沿って、部分的または全面的に大剥がれを生じており、
および/または目のいろいろな部分が、部分的または全面的に剥がれている。
クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが35%を上回
ることはない。
4・・・・塗膜がカットの縁に沿って、部分的または全面的に大剥がれを生じており、
および/または数か所の目が部分的または全面的に剥がれている。クロスカッ
ト部分で影響を受けるのは、明確に35%を上回ることはない。
5・・・・分類4でも分類できない剥がれの程度。
JIS K 5600の第6部:塗膜の化学的性質、第2節:耐液体性(水浸せき法)に従って、試験片を40±1℃の温水中に240時間浸せきした。規定の試験期間終了後、試験片を取り出し、室温で24時間置き、JIS K 5600の方法に記載の試験結果の分類に従い、塗膜の付着性を上記の0〜5の6段階で評価した。
[実施例23〜24]
被覆剤(塗料)注入装置が付属した型締め能力350tfの型内被覆成形用トグル式射出成形機に、箱状の金型被覆成形用金型(投影面積役400cm2 )を取り付けた。そして、一次型締め力として100tfの型締め力をかけて締め、この状態で金型キャビティに180℃に加熱したポリプロピレン系樹脂組成物を射出する。なお、前記樹脂組成物の射出充填時に、一次型締め力は樹脂組成物の充填圧力に負けて、金型の割面がわずかに開く状態となる。射出完了すると同時に型締め力を二次型締め力として200tfまで上昇させた。二次型締め力をかけた時点での金型中央部の型内圧は40MPaであった。また、このときの金型温度は、加圧水型金型温度調節機の循環水により塗料の硬化が起こる100℃としていた。
[実施例25〜26]
被覆剤(塗料)注入装置が付属した型締め能力350tfの型内被覆成形用トグル式射出成形機に、箱状の金型被覆成形用金型(投影面積役400cm2 )を取り付けた。そして、初期型開き量として5mm金型を開いた状態で金型キャビティに180℃に加熱したポリプロピレン系樹脂組成物を射出し、射出完了すると同時に金型を閉じ、さらに型締め力を200tfまで上昇させた。射出完了から型締め力を200tfまで上げるのに要した時間は約1秒間であった。型締め力をかけた時点での金型中央部の型内圧は60MPaであった。また、このときの金型温度は、加圧水型金型温度調節機の循環水により塗料の硬化が起こる100℃としていた。
11:固定盤
12:可動盤
13:型締めシリンダ
14:タイロッド
15:型締め用サーボバルブ
16:ストロークセンサ
17:型開量センサ
18:型締め力センサ
20:射出装置
21:スクリュー
22:バレル
23:油圧モータ
24:射出シリンダ
25:ホッパ
26:ノズル
27:射出用サーボバルブ
30:制御装置
31:成形装置制御部
32:型締め条件設定部
33:型締め制御部
34:変化パターン記憶部
35:注入機制御部
38:射出制御部
50:金型装置
51:固定金型
52:可動金型
53:金型キャビティ
54:被覆剤圧力センサ
55:被覆剤(塗料)注入機
100:金型内被覆成形装置
Claims (9)
- 水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)からなる成形物の表面が、金型内被覆用塗料組成物(B)で被覆された成形体であって、
該水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を構成するポリプロピレン樹脂(i)と、添加ゴム(ii)と、任意に添加される該ポリプロピレン樹脂(i)および該添加ゴム(ii)以外の高分子化合物(iii)との総水酸基価が1〜40(KOH mg/g)であ
り、
該水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)におけるゴム成分含有量(添加ゴム(ii)量と、ポリプロピレン樹脂(i)成分および任意に添加される前記高分子化合物(iii)の23℃n−デカン可溶分量との合計量)が、ゴム成分とゴム成分以外の樹脂成分と
の合計含有量を100質量%とした場合に、15〜80質量%であり、
該金型内被覆用塗料組成物(B)が、
少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー10〜70質量%と、該オリゴマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマー90〜30質量%とからなるビヒクル成分(a)100質量部に対して、
塩素含有率が2〜40質量%である(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン(b)5〜35質量部、
有機過酸化物重合開始剤(c)0.5〜5質量部、および
ポリイソシアネート化合物(d)2〜20質量部
を含有していることを特徴とする金型内被覆成形体。 - 前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)が、
ポリプロピレン樹脂(i)としてプロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリプロピレン20〜95質量%と、
添加ゴム(ii)5〜80質量%(ポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)の合計は100質量%である)と
からなり、前記ポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)の少なくとも1種が水酸基を有し、水酸基価が1〜40(KOH mg/g)の範囲内にある樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の金型内被覆成形体。 - 前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)が、
ポリプロピレン樹脂(i)としてプロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリプロピレン20〜95質量%と、
添加ゴム(ii)5〜80質量%(ポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)の合計は100質量%である)と、
前記ポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)の合計100質量%に対してポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)以外の高分子化合物(iii)1〜60質量%
と
からなり、前記ポリプロピレン樹脂(i)、添加ゴム(ii)および高分子化合物(iii)
の少なくとも1種が水酸基を有し、水酸基価が1〜40(KOH mg/g)の範囲内にある樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の金型内被覆成形体。 - 前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)が、水酸基含有ポリプロピレンを含有しているポリプロピレン系樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の金型内被覆成形体。
- 前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中の添加ゴム(ii)がエチレン・α
- オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金型内被覆成形体。 - 前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)が無機充填材を含有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金型内被覆成形体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン系樹脂成分の融点以下で、請求項1に記載の金型内被覆用塗料組成物(B)が硬化する温度以上に金型温度を保持した固定金型と移動金型とからなる金型を所定の型締め圧にて保持した状態で、金型キャビティ内に該樹脂組成物(A)の溶融物を射出し、所定時間保圧をかけて該溶融物を該塗料組成物(B)の流動圧力に耐えうる程度に冷却固化させた後、金型をわずかに開いて、得られた成形物と金型キャビティ面との間に空間を形成させ、該空間内に該塗料組成物(B)を注入し、再度型締め圧を上げて型締めを行なった状態で保持し、該塗料組成物(B)が硬化した後に成形体を取り出すことを特徴とする金型内被覆成形体の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン系樹脂成分の融点以下で、請求項1に記載の金型内被覆用塗料組成物(B)が硬化する温度以上に金型温度を保持した固定金型と移動金型とからなる金型を所定の一次型締め圧にて保持した状態で、金型キャビティ内に該樹脂組成物(A)の溶融物を射出し、射出中または射出完了後に型締め力を二次型締め力まで上げ、所定時間保持して該溶融物を該塗料組成物(B)の流動圧力に耐えうる程度に冷却固化させた後、金型をわずかに開いて、得られた成形物と金型キャビティ面との間に空間を形成させ、該空間内に該塗料組成物(B)を注入し、再度型締め圧を上げて型締めを行なった状態で保持し、該塗料組成物(B)が硬化した後に成形体を取り出すことを特徴とする金型内被覆成形体の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン系樹脂成分の融点以下で、請求項1に記載の金型内被覆用塗料組成物(B)が硬化する温度以上に金型温度を保持した固定金型と移動金型とからなる金型を所定量開いた状態で、金型キャビティ内に該樹脂組成物(A)の溶融物を射出し、射出中または射出完了後に型締め力を所定型締め力まで上げ、所定時間保持して該溶融物を該塗料組成物(B)の流動圧力に耐えうる程度に冷却固化させた後、次いで金型をわずかに開いて、得られた成形物と金型キャビティ面との間に空間を形成させ、該空間内に該塗料組成物(B)を注入し、再度型締め圧を上げて型締めを行なった状態で保持し、該塗料組成物(B)が硬化した後に成形体を取り出すことを特徴とする金型内被覆成形体の製造方法。
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