JP2004099884A - 金型内被覆成形体およびその製造方法 - Google Patents

金型内被覆成形体およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004099884A
JP2004099884A JP2003296079A JP2003296079A JP2004099884A JP 2004099884 A JP2004099884 A JP 2004099884A JP 2003296079 A JP2003296079 A JP 2003296079A JP 2003296079 A JP2003296079 A JP 2003296079A JP 2004099884 A JP2004099884 A JP 2004099884A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
polypropylene resin
coating
mass
hydroxyl group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003296079A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4290509B2 (ja
Inventor
Takeshi Minoda
美濃田   武
Yuichi Matsuda
松 田  裕 一
Kaoru Yoda
依 田   馨
Kenji Ota
大 田  賢 治
Kenji Yonemochi
米 持  建 司
Toshio Arai
荒 井  俊 夫
Etsuo Okahara
岡 原  悦 雄
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Dai Nippon Toryo KK
Ube Machinery Corp Ltd
Ube Corp
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Dai Nippon Toryo KK
Ube Machinery Corp Ltd
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc, Dai Nippon Toryo KK, Ube Machinery Corp Ltd, Ube Industries Ltd filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2003296079A priority Critical patent/JP4290509B2/ja
Publication of JP2004099884A publication Critical patent/JP2004099884A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4290509B2 publication Critical patent/JP4290509B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

 【解決手段】本発明の金型内被覆成形体は、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物からなる成形物表面が塗料組成物で被覆されてなり、該組成物を構成するポリプロピレン樹脂と添加ゴムと任意に添加される他の高分子化合物との総水酸基価が1〜40であり、該組成物中のゴム成分含量が特定の割合であり、該塗料組成物が少なくとも2個の(メタ)アクリレート基含有オリゴマーおよび該オリゴマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーを特定割合で含むビヒクル成分と、特定の塩素含有率を有する(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンと、有機過酸化物重合開始剤と、ポリイソシアネート化合物とを特定割合で含有している。本発明の金型内被覆成形体の製造方法では、射出成形法、射出圧縮成形法または射出プレス成形法により、上記被覆成形体を製造する。
 【効果】本発明によれば、上記成形物表面に上記塗料組成物が密着力の良好な状態で一体的に形成された成形体およびその製造方法を提供できる。
【選択図】なし










Description

 本発明は、金型内被覆成形体およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、熱可塑性樹脂材料を射出成形法、射出圧縮成形法あるいは射出プレス成形法等により金型内で成形し、得られた成形物の表面と金型キャビティ面との間に金型内被覆用塗料を注入し、この塗料を金型内で硬化させて樹脂成形物の表面に塗料が密着した一体成形品を製造する、いわゆる金型内被覆成形方法(インモールドコーティング方法)により得られる金型内被覆成形体、およびその製造方法に関する。
 自動車、家電、建材等に使用される樹脂成形品に装飾性等の付加価値を付けたり、あるいは耐候性を高めて製品の長寿命化を計ることを目的として、成形品の表面に塗装を施すことは従来から広く行われている。このような塗装方法としては、スプレー塗装法が一般的であるが、近年環境問題に強い関心が寄せられる中、各種工場からの有害有機物質の大気放出が厳しく制限される傾向にあることや、従業員の健康保護を重視する観点からスプレー塗装に代わる技術の開発が急務となっている。こうした中、金型内で成形した樹脂成型品の表面と金型のキャビティ面との間に塗料を注入した後、塗料を金型内で硬化させて樹脂成形品表面に塗膜が密着した一体成形品を製造する金型内被覆成形方法(インモールドコーティング。以下「IMC」という。)が注目を集めている。このIMCは、表面に塗膜を密着させることによる成形品表面の品質向上ばかりでなく、塗装工程の短縮化によるコストダウンにも大きく寄与すると期待されている。
 熱可塑性樹脂の金型内被覆成形に用いられる塗料は、熱硬化性樹脂用の塗料よりも低温で硬化する硬化特性が求められること等の理由から、塗膜の外観、密着性等を兼ね備えた塗料の開発が一般に難しく、金型内被覆成形方法に用いられる塗料として既に開発されているのは、熱硬化性樹脂用、およびABS樹脂、ナイロン等の一部の熱可塑性樹脂用の塗料に限定されている。このため、金型内被覆成形方法に適用できる合成樹脂の種類は熱硬化性樹脂あるいはABS、ナイロン等の一部の熱可塑性樹脂に限定されているのが現状である。さらに、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂のようなオレフィン系樹脂に対して十分な密着性を有する塗料を開発することは樹脂の構造上技術的に極めて困難であると考えられていた。
 また、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂のようなオレフィン系樹脂は樹脂の構造上一般的なスプレー塗装においても塗料は密着困難なので、プライマー等の中間層を樹脂表面に塗布した後、塗布したプライマー表面に塗料を塗布する方法を採っている。よって、IMCのような一液塗布の金型内被覆成形方法で十分な塗膜密着性を有するポリプロピレン系樹脂組成物を開発するのは技術的に極めて困難であると考えられていた。
 そのためポリオレフィン系樹脂に金型内被覆成形方法を実施するために、特開2001−170964号公報に記載されているように、ポリオレフィン系樹脂表面に、塗料との密着性の良好な表皮材を貼り合わせ成形を行ない、表皮材表面と金型キャビティ面との間に塗料を注入してポリオレフィン系樹脂表面に表皮材を介して塗膜が一体的に形成された成形品を得る方法が開示されている。
 このような状況下で、本発明者らは、鋭意研究した結果、(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーと、そのオリゴマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとからなるビヒクル成分に、塩素を特定量含有するアクリル変性塩素化ポリオレフィン、有機過酸化物、ポリイソシアネートを特定割合で含有させた金型内被覆用塗料、および特定の水酸基
価を有し、かつ、ゴム成分を特定量含有させた水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物を使用することにより、ポリオレフィン系樹脂であるポリプロピレン系樹脂組成物の成形物表面に上記被覆用塗料が密着力の良好な状態で一体的に形成された金型内被覆成形体を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
 本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ポリオレフィン系樹脂であるポリプロピレン系樹脂組成物の成形物表面に金型内被覆用塗料が密着力の良好な状態で一体的に形成された金型内被覆成形体およびその金型内被覆成形体の製造方法を提供することを目的としている。
 本発明に係る金型内被覆成形体は、
 水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)からなる成形物の表面が、金型内被覆用塗料組成物(B)で被覆された成形体であって、
 該水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を構成するポリプロピレン樹脂(i)と、添加ゴム(ii)と、任意に添加される該ポリプロピレン樹脂(i)および該添加ゴム(ii)以外の高分子化合物(iii)との総水酸基価が1〜40(KOH mg/g)であ
り、
 該水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)におけるゴム成分含有量(添加ゴム(ii)量と、ポリプロピレン樹脂(i)成分および任意に添加される前記高分子化合物(iii)の23℃n−デカン可溶分量との合計量)が、ゴム成分とゴム成分以外の樹脂成分と
の合計含有量を100質量%とした場合に、15〜80質量%であり、
 該金型内被覆用塗料組成物(B)が、
 少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー10〜70質量%と、該オリゴマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマー90〜30質量%とからなるビヒクル成分(a)100質量部に対して、
 塩素含有率が2〜40質量%である(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン(b)5〜35質量部、
 有機過酸化物重合開始剤(c)0.5〜5質量部、および
 ポリイソシアネート化合物(d)2〜20質量部
を含有していることを特徴としている。
 前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)としては、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂成分を含有しているポリプロピレン系樹脂組成物が好ましい。
 前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中の添加ゴム(ii)がエチレン・α- オレフィン共重合体であることが好ましい。
 前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)は、無機充填材を含有していてもよい。
 本発明に係る金型内被覆成形体の第1の製造方法は、
 前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン系樹脂成分の融点以下で、前記金型内被覆用塗料組成物(B)が硬化する温度以上に金型温度を保持した固定金型と移動金型とからなる金型を所定の型締め圧にて保持した状態で、金型キャビティ内に該樹脂組成物(A)の溶融物を射出し、所定時間保圧をかけて該溶融物を該塗料組成物(B)の流動圧力に耐えうる程度に冷却固化させた後、金型をわずかに開いて、得られた成形物と金型キャビティ面との間に空間を形成させ、該空間内に該塗料組成物(B)
を注入し、再度型締め圧を上げて型締めを行なった状態で保持し、該塗料組成物(B)が硬化した後に成形体を取り出すことを特徴としている。
 本発明に係る金型内被覆成形体の第2の製造方法は、
 前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン系樹脂成分の融点以下で、前記金型内被覆用塗料組成物(B)が硬化する温度以上に金型温度を保持した固定金型と移動金型とからなる金型を所定の一次型締め圧にて保持した状態で、金型キャビティ内に該樹脂組成物(A)の溶融物を射出し、射出中または射出完了後に型締め力を二次型締め力まで上げ、所定時間保持して該溶融物を該塗料組成物(B)の流動圧力に耐えうる程度に冷却固化させた後、金型をわずかに開いて、得られた成形物と金型キャビティ面との間に空間を形成させ、該空間内に該塗料組成物(B)を注入し、再度型締め圧を上げて型締めを行なった状態で保持し、該塗料組成物(B)が硬化した後に成形体を取り出すことを特徴としている。
 本発明に係る金型内被覆成形体の第3の製造方法は、
 前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン系樹脂成分の融点以下で、前記金型内被覆用塗料組成物(B)が硬化する温度以上に金型温度を保持した固定金型と移動金型とからなる金型を所定量開いた状態で、金型キャビティ内に該樹脂組成物(A)の溶融物を射出し、射出中または射出完了後に型締め力を所定型締め力まで上げ、所定時間保持して該溶融物を該塗料組成物(B)の流動圧力に耐えうる程度に冷却固化させた後、次いで金型をわずかに開いて、得られた成形物と金型キャビティ面との間に空間を形成させ、該空間内に該塗料組成物(B)を注入し、再度型締め圧を上げて型締めを行なった状態で保持し、該塗料組成物(B)が硬化した後に成形体を取り出すことを特徴としている。
 本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂組成物の成形物表面に金型内被覆用塗料組成物が密着力の良好な状態で一体的に形成された金型内被覆成形体およびその金型内被覆成形体の製造方法を提供することができる。
 本発明の成形体は、バンパー、モール、ドアトリム、インストルメントパネル、トリム、コンソールボックス等の車用内外装部品、家電製品の内外装部品、住宅建材の内外装部材などに用いることができる。
 以下、本発明に係る金型内被覆成形体およびその製造方法について具体的に説明する。
 本発明に係る金型内被覆成形体は、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)からなる成形物と、その表面に形成された金型内被覆用塗料組成物(B)の被膜とからなっている。
 まず、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)について説明する。
        水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)
 本発明で用いられる水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)は、ポリプロピレン樹脂(i)、添加ゴム(ii)、および必要に応じて添加される他の高分子化合物(iii)
、無機充填材、着色顔料等の各種添加剤から構成される組成物であって、前記ポリプロピレン樹脂(i)、添加ゴム(ii)および他の高分子化合物(iii)の少なくとも一つの成
分が水酸基を有している。
 すなわち、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)は、ポリプロピレン樹脂(i)と、添加ゴム(ii)と、必要に応じて添加される他の高分子化合物(iii)の熱可塑性
成分と、必要に応じて添加される無機充填材(たとえばタルク)等の無機成分とから構成される。つまり、樹脂成分とゴム成分と必要に応じて添加される無機充填材(たとえばタルク)等の無機成分とを含有している。ここにおけるゴム成分とは、熱可塑性成分に含まれる添加したゴムと、ポリプロピレン樹脂(i)および高分子化合物(iii)中の23℃
でのn−デカン可溶分量との合計である。また、樹脂成分とは、熱可塑性成分からゴム成分を除いた残りの成分である。
 ポリプロピレン樹脂(i)としては、プロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマー、プロピレンランダムコポリマー、これらを水酸基を含む化合物等で変性した成分、および水酸基含有プロピレンホモポリマー、水酸基含有プロピレンブロックコポリマー、水酸基含有プロピレンランダムコポリマーが挙げられる。
 また、添加ゴム(ii)としては、エチレン・α- オレフィン共重合体、スチレン系ゴム等の熱可塑性ゴムが挙げられる。
 任意に添加する高分子化合物(iii)としては、ポリエチレン等の熱可塑性の高分子化
合物や、水酸基を含む化合物で変性した熱可塑性の高分子化合物等が挙げられる。
 本発明で用いられる水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)は、ポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)、さらに必要に応じて添加される他の高分子化合物(iii)、無機充填材、着色顔料等の各種添加剤から構成される組成物であって、前記ポリプ
ロピレン樹脂(i)、添加ゴムおよび他の高分子化合物(iii)の少なくとも1つの成分
が水酸基を有しており、ポリプロピレン樹脂(i)、添加ゴム(ii)、および必要に応じて添加された他の高分子化合物(iii)の熱可塑性成分の合計量を100質量%とした場
合のゴム成分含有量が15〜80質量%である。
 ポリプロピレン樹脂(i)としては、公知の方法で重合して得られるポリプロピレンを用いることができ、プロピレン単独重合体でもよく、またプロピレンから誘導される構成単位とプロピレンを除く炭素数2〜12のα- オレフィンから誘導される構成単位とを含むブロックコポリマーまたはランダムコポリマーであってもよい。
 プロピレンを除く炭素数2〜12のα- オレフィンとしては、公知のものを用いることができ、たとえばエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン等の鎖状α- オレフィン、シクロペンテン、シクロヘキセン等の環状α- オレフィンなどを挙げることができる。これらのα- オレフィンは、一種類または二種類以上を適宜組み合わせて用いることができる。
 プロピレンランダムコポリマーにおけるコモノマー含有量は0.5〜20モル%、好ましくは1〜15モル%、さらに好ましくは1〜10モル%である。またプロピレンブロックコポリマーにおけるコモノマー含有量は0.5〜50モル%、好ましくは1〜40モル%、さらに好ましくは5〜30モル%である。
 ここで、ゴムとは、常温でゴム弾性を有するものであり、ゴム成分含有量は添加したゴム(ii)と、ポリプロピレン樹脂(i)および他の高分子化合物(iii)中の23℃での
n−デカン可溶分量との合計である。
 高分子化合物(iii)とは、ポリプロピレン樹脂(i)に添加したゴム(ii)以外に添
加した高分子化合物を示す。
 ポリプロピレン樹脂(i)、添加ゴム(ii)および高分子化合物(iii)は、水酸基を
除くアミン基、ケトン基、カルボキシル基、グリシジル基、シアノ基などの極性基を有するものを用いることもできる。
 このような水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法としては、たとえば、
(1)プロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリマーに、添加ゴムおよび必要に応じて高分子化合物等を添加した後、水酸基を含む化合物で変性して、目的とする水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法、
(2)水酸基を含む化合物で変性したプロピレンホモポリマー、水酸基を含む化合物で変性したプロピレンブロックコポリマーおよび水酸基を含む化合物で変性したプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種の変性ポリマーに、添加ゴムおよび必要に応じて高分子化合物等を添加して、目的とする水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法、
(3)プロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリマーに、水酸基を含む化合物で変性したポリプロピレン系樹脂成分および/または水酸基を含むポリプロピレン系樹脂成分と、添加ゴムおよび必要に応じて高分子化合物等とを添加して、目的とする水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法、
(4)プロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリマーに、添加ゴム、水酸基を含む高分子化合物等を添加して、目的とする水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法、
(5)プロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリマーに、水酸基を含む化合物で変性した添加ゴムおよび/または水酸基を含む添加ゴムと、必要に応じて高分子化合物等とを添加して、目的とする水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法などが挙げられる。これらの方法は、単独だけでなく併用してもよい。
 水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を構成するポリプロピレン樹脂(i)と添加ゴム(ii)と任意に添加される該ポリプロピレン樹脂(i)および該添加ゴム(ii)以外の高分子化合物(iii)との水酸基の総量は、水酸基価で1〜40(KOH mg/
g)、好ましくは2〜30(KOH mg/g)、さらに好ましくは2〜20(KOH mg/g)の範囲内にある。水酸基価が1(KOH mg/g)より低いと、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中の水酸基量が少ないので、この樹脂組成物(A)からなる成形物表面に対する金型内被覆用塗料組成物(B)の濡れ性が悪化し、塗料組成物(B)中のイソシアネート基と樹脂組成物(A)中の水酸基との反応により生ずるウレタン結合量が減少するので塗料組成物(B)との十分な密着性が得られない。一方、水酸基価が40より高いと、樹脂組成物(A)中の水酸基量が多すぎるので、樹脂組成物の衝撃特性等の物性が悪化したり、型開き時や成形物の離型時に成形物表面に表層剥離が発生しやすくなる。
 上記水酸基価は、試料1gを中和するのに必要な水酸化カリウム(Mw=56)の量(mg)で表わす。
 本発明に用いられる水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法としては、たとえば、ポリプロピレン樹脂(i)としてプロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリマーに、添加ゴム(ii)および必要に応じて他の各種高分子化合物(iii)等を添加し、これらの成分と水酸基含有エチレン性不飽和化合物とを、有機過酸化物の存在下に押出機内で反応させて水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法などが挙げられる。
 この水酸基含有エチレン性不飽和化合物は、1分子内にエチレン性不飽和結合と1以上の水酸基とを併せ持つ化合物である。
 このような水酸基含有エチレン性不飽和化合物としては、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。なお、「(メタ)アクリ」は、「アクリ」および/または「メタクリ」を意味する。
 また、上記水酸基含有エチレン性不飽和化合物として、さらに、10−ウンデセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、2−メタノールノルボルネン、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N−メチロールアクリルアミド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタノール、2−ブテン−1,4−ジオール、グリセリンモノアルコールなどを使用することもできる。
 これらの水酸基含有エチレン性不飽和化合物の中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。水酸基含有エチレン性不飽和化合物は、1種単独で使用することもできるし、また2種以上組み合わせて使用することができる。
 上記有機過酸化物としては、具体的には、
 1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス−(t−ブチルペルオキシ)バラレート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン等のペルオキシケタール類;
 ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α‘−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルペルオキシド類;
 アセチルペルオキシド、イソブチルオキシド、オクタノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、2,5−ジクロロベンゾイルペルオキシド、m−トリオイルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類;
 t−ブチルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウリレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルペルオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシマレイックアシッド、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、クミルペルオキシオクテート等
のペルオキシエステル類;
 ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート類;
 t−ブチルハイドロペルオキシド、クメンハイドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロペルオキシド等のハイドロペルオキシド類などが挙げられ、この他、通常工業的に使用されている有機過酸化物であれば、特に制限無く使用することができる。これら有機過酸化物のなかでは、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサエート、ジクミルペルオキシドなどが好ましい。
 水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法としては、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂成分の添加がある。添加するポリプロピレン系樹脂成分に水酸基を導入する方法としては、たとえば、このポリプロピレン系樹脂成分とヒドロキシメチルメタクリレート等の水酸基含有エチレン性不飽和化合物とを、有機過酸化物の存在下に押出機内で反応させる方法などが挙げられる。
 水酸基を導入するポリプロピレン系樹脂成分としては、プロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマー、プロピレンランダムコポリマーがあるが、中でもプロピレンホモポリマーが好ましい。
 水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法としては、水酸基含有ゴムの添加がある。添加するゴムに水酸基を導入する方法としては、たとえばこのゴムと水酸基含有エチレン性不飽和化合物とを、有機過酸化物の存在下の押出機内で反応させる方法などが挙げられる。
 水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法として添加される水酸基含有高分子化合物は、水酸基を導入することができる熱可塑性高分子化合物であればよい。
 添加する高分子化合物に水酸基を導入する方法としては、たとえば、この高分子化合物と水酸基含有エチレン性不飽和化合物とを、有機過酸化物の存在下に押出機内で反応させる方法などが挙げられる。
 水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)は、ポリプロピレン系であるので、添加する水酸基含有組成物としては、水酸基含有ゴムや水酸基含有高分子化合物より、ヒドロキシメチルメタクリレート等の水酸基を含有する化合物で変性した水酸基含有ポリプロピレン系樹脂成分の方が相溶性がよいので好ましい。
 また、水酸基含有ゴム、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂成分、水酸基含有高分子化合物の水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中で分散性よく混合できるように相溶性を上げる相溶化剤を添加してもよい。
 水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)におけるゴム成分含有量とは、添加ゴム(i)の量と、ポリプロピレン樹脂(i)および他の高分子化合物(iii)の23℃での
n−デカン可溶分量との合計量であり、ポリプロピレン樹脂(i)、添加ゴム(ii)および必要に応じて添加された高分子化合物(iii)の熱可塑性成分の合計含有量を100質
量%とした場合に、15〜80質量%、好ましくは15〜70質量%、さらに好ましくは20〜60質量%である。すなわち、樹脂組成物(A)における樹脂成分の合計含有量は、20〜85質量%、好ましくは30〜85質量%、さらに好ましくは40〜80質量%である。
 ゴム成分含有量が上記範囲内にある水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を用いると、塗料組成物(B)と良好な密着性を有する一体成形品を得ることができる。
 たとえば、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)が、プロピレンホモポリマー、添加したゴムおよびプロピレンホモポリマーを変性した水酸基含有ポリプロピレン系樹脂成分および無機充填材から構成されている場合には、ゴム成分の量は、添加したゴムの量に対応し、ゴム成分含有量は、無機充填材を除いた熱可塑性成分の量(プロピレンホモポリマー、添加したゴムおよび水酸基含有ポリプロピレン系樹脂成分の合計量)を100質量%とした場合の含有量として表わされる。
 また、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)が、プロピレンブロックコポリマー、添加したゴムおよびプロピレンホモポリマーを変性した水酸基含有ポリプロピレン系樹脂成分および無機充填材から構成されている場合には、ゴム成分の量は、添加したゴムと、プロピレンブロックコポリマー中のエチレン・プロピレン共重合体との合計量になり、ゴム成分含有量は、無機充填材を除いた熱可塑性成分の量(プロピレンブロックコポリマー、添加したゴム、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂成分の合計量)を100質量%とした場合の合計量として表わされる。
 プロピレンブロックコポリマー中のエチレン・プロピレン共重合体の量は、室温でのn−デカン可溶分量(質量%)で表わされる。
 この室温(23℃)でのデカン可溶分量は、次のようにして測定される。すなわち、撹拌装置付1リットルのフラスコに、ポリマー試料3g、2,6-ジ-tert-ブチル-4- メチルフェノール20mg、n−デカン500mlを入れ、145℃の油浴上で加熱溶解させる。ポリマー試料が溶解した後、約8時間かけて室温まで冷却し、続いて23℃の水浴上で8時間保持する。析出したポリマーと、溶解ポリマーを含むn−デカン溶液とをG−4(またはG−2)のグラスフィルターで濾過分離する。このようにして得られた溶液を10mmHg、150℃の条件で加熱してn−デカン溶液に溶解していたポリマーを定量になるまで乾燥し、その質量を23℃デカン可溶分量とし、プロピレンブロックポリマーの23℃デカン可溶分量は、ポリマー試料の質量に対する百分率として算出する。
 上記の添加するゴムとしては、たとえば、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体等のエチレン・α- オレフィン共重合体、さらにはSEBS(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックコポリマー)などが挙げられる。本発明においては、これらのゴム以外のゴムを上記の添加するゴムとして使用することもできる。
 上記のようなゴムを添加すると、金型内被覆用塗料組成物(B)に含まれている塩素化ポリオレフィン成分が、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)の成型品表面に配向したゴムに一部浸透し膨潤し結合すると考えられるので、塗料組成物(B)と樹脂組成物(A)との密着力が強くなる。
 添加するゴムのムーニ粘度ML(1+4)(100℃)は、好ましくは5〜60、さらに好ましくは10〜45の範囲内にあることが望ましい。ゴムのムーニー粘度が5より低いと、型開時や成形物の離型時に成形物表面に表層剥離が発生しやすくなる。また、ゴムのムーニー粘度が60より高いと、樹脂組成物(A)を射出成形しても成形物表層部のゴムが配向偏平化しなくなるために成形物と金型内被覆用塗料組成物(B)との密着性が悪化する。
 水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)からなる成形物の剛性を向上させるために、必要に応じて、無機充填材を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
 無機充填材としては、具体的には、タルク、炭酸カルシウムなどが挙げられる。無機充填材は、樹脂組成物(A)100質量%に対して、通常0.1〜60質量%の割合で用いられる。
 また、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)に、耐熱安定剤、耐候安定剤、その他金型内被覆用塗料組成物(B)の硬化を阻害しない各種添加剤や着色顔料等を目的に応じて添加することができる。
 本発明で用いられる水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)としては、
 ポリプロピレン樹脂(i)としてプロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリプロピレン20〜95質量%、好ましくは25〜90質量%と、
 添加ゴム(ii)5〜80質量%、好ましくは10〜75質量%(ポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)の合計は100質量%である)と
からなり、前記ポリプロピレンおよびゴムの少なくとも1種が水酸基を有し、水酸基価が1〜40(KOH mg/g)の範囲内にある樹脂組成物、あるいは
 ポリプロピレン樹脂(i)としてプロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリプロピレン20〜95質量%、好ましくは25〜90質量%と、
 添加ゴム(ii)5〜80質量%、好ましくは10〜75質量%(ポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)の合計は100質量%である)と、
 前記ポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)の合計100質量%に対してポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)以外の高分子化合物(iii)1〜60質量%
、好ましくは1〜50質量%と
からなり、前記ポリプロピレン樹脂(i)、添加ゴム(ii)および高分子化合物(iii)
の少なくとも1種が水酸基を有し、水酸基価が1〜40(KOH mg/g)の範囲内にある樹脂組成物が好ましく用いられる。
 また、これらの樹脂組成物に、必要に応じて、ポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)の合計100質量%に対して、無機充填剤を1〜60質量%、好ましくは1〜50質量%の量で添加することができるし、また顔料を1〜10質量%の量で添加することができる。
 上記添加ゴム(ii)としては、たとえばエチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体等のエチレン・α- オレフィン共重合体、さらにはSEBS(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックコポリマー)などが挙げられる。中でも、価格が安価な面からエチレン・α- オレフィン共重合体が好ましい。この添加ゴム(ii)は、必ずしも前記のゴム成分と全く同じものを意味するものではない。たとえばプロピレンブロックコポリマー等のポリプロピレン系樹脂成分中の23℃でのn−デカン可溶分、および高分子化合物中の23℃でのn−デカン可溶分は、ここにおける「ゴム」には含まれない。
 上記のポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)以外の高分子化合物(iii)と
しては、たとえばポリエチレン、ポリブテン等のポリプロピレン以外のα- オレフィン重合体や、エチレンと炭素数4〜20のα- オレフィン、好ましくは炭素数4〜12のα- オレフィンとを共重合した直鎖状低密度ポリエチレンなどが挙げられる。直鎖状低密度ポ
リエチレン中のα- オレフィンの含量は1〜10mol%程度であり、好ましくは1.5〜8mol程度である。α- オレフィンを共重合した直鎖状ポリエチレンとしては、密度が0.900〜0.920g/cm3程度のものが衝撃強度を向上させる効果が優れてい
るので好ましい。
 上記顔料としては、たとえばカーボンブラック、鉄黒、チタンホワイトなどが挙げられるが、金型内被覆塗料組成物(B)の硬化を阻害しない着色顔料を目的に応じて添加することができる。
 好ましく用いられる水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)の中でも、たとえばプロピレンブロックコポリマー45〜65質量%と、水酸基含有プロピレンホモポリマー(プロピレンホモポリマーの水酸基変性物)20〜40質量%と、添加ゴム15〜35質量%と、タルク10〜30質量%(ただし、プロピレンブロックコポリマーと水酸基含有プロピレンホモポリマーと添加ゴムとの合計は100質量%とする。)とからなる樹脂組成物が特に好ましく用いられる。この樹脂組成物は、前記した水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法として挙げた(3)の方法によって製造することができる。
 次に、本発明で用いられる金型内被覆用塗料組成物(B)について説明する。
            金型内被覆用塗料組成物(B)
 本発明で用いられる金型内被覆用塗料組成物(B)は、少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーと、該オリゴマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとからなるビヒクル成分(a)、(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン(b)、有機過酸化物重合開始剤(c)およびポリイソシアネート化合物(d)を含有している。
             [ビヒクル成分(a)]
 本発明で用いられるビヒクル成分(a)の少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーとしては、具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレートのオリゴマー等を挙げることができる。これらのオリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、それぞれの種類により変動し得るが、一般に5
00〜5,000、好ましくは1,000〜3,000とするのが適当である。
 上記(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーは、(メタ)アクリレート基を、1分子中に、少なくとも2個、好ましくは2〜4個有することが適当である。
 ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、たとえば、(i)有機ジイソシアネート化合物と、(ii)有機ポリオール化合物と、(iii)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリ
レートとを、NCO/OH比が、たとえば0.8〜1.0、好ましくは0.9〜1.0となるような存在比で混合し、通常の方法により製造することができる。水酸基が過剰に存在する場合や、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを多量に使用することにより、水酸基を多く有するオリゴマーが得られる。
 具体的には、まず、(i)有機ジイソシアネート化合物と、(ii)有機ポリオール化合物等とを、たとえばジブチル錫ジラウレートなどのウレタン化触媒の存在下で反応させて、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを得る。次いで、ほとんどの遊離イソシアネート基が反応するまで、(iii)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと反応させ
ることにより、上記ウレタン(メタ)アクリレートのオリゴマーを製造することができる。なお、(ii)有機ポリオール化合物と、(iii)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレー
トとの割合は、(iii)成分1モルに対し、たとえば(ii)成分は0.2〜0.5モル程度が適当である。
 上記(i)有機ジイソシアネート化合物としては、具体的には、1,2−ジイソシアナトエタン、1,2−ジイソシアナトプロパン、1,3−ジイソシアナトプロパン、ヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナートシクロヘキシル)メタン、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナートエチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナートメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼンなどが挙げられる。これらの(i)有機ジイソシアネート化合物は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
 上記(ii)有機ポリオール化合物としては、有機ジオール化合物が好ましい。 有機ジオ−ル化合物としては、具体的には、アルキルジオールや、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール等を挙げることができる。
 アルキルジオールとしては、たとえばエチレングリコールや、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−へプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等を代表的なものとして挙げることができる。
 上記ポリエーテルジオールは、たとえば既知の方法により、アルデヒド、アルキレンオキサイド、グリコール等の重合により合成することができる。たとえばホルムアルデヒド、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド等を適当な条件下でアルキルジオールに付加重合させることによって、ポリエーテルジオールを得ることができる。
 上記ポリエステルジオールとしては、たとえば、飽和ジカルボン酸および/またはそれらの酸無水物と、過剰のアルキルジオールとを反応させて得られるエステル化反応生成物を用いることができる。また、アルキルジオールに、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸の分子内エステルであるラクトン、およびヒドロキシカルボン酸の分子間エステルであるラクチドからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を重合させて得られるエステル化反応生成物を用いることもできる。
 以上に挙げた(ii)有機ポリオール化合物は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
 上記(iii)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
 本発明で用いられるオリゴマーとしてのポリエステル(メタ)アクリレートは、たとえば水酸基を末端に有するポリエステルポリオールと、不飽和カルボン酸との反応によって製造することができる。
 このようなポリエステルポリオールは、代表的には、飽和もしくは不飽和のジカルボン酸またはその酸無水物と、過剰量のアルキレンジオールとをエステル化反応させることに
よって製造することができる。
 上記ジカルボン酸としては、たとえばシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸等が代表的なものとして挙げられる。
 また、上記アルキレンジオールとしては、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール等が代表的なものとして挙げることができる。
 本発明で用いられるオリゴマーとしてのエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、たとえばエポキシ化合物と、不飽和カルボン酸とを、エポキシ基1当量当たり、カルボキシル基当量が、たとえば0.5〜1.5となるような割合で用い、通常のエポキシ基への酸の開環付加反応によって製造させたものである。
 エポキシ化合物としては、たとえばビスフェノールA型エポキシ、フェノール性ノボラック型エポキシ等を挙げることができる。
 不飽和カルボン酸としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸等を代表的なものとして挙げることができる。
 本発明で用いられるオリゴマーとしてのポリエーテル(メタ)アクリレートは、たとえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールと、前記の不飽和カルボン酸との反応によって製造することができる。
 本発明で用いられるオリゴマーとしてのシリコン(メタ)アクリレートオリゴマーは、たとえばアルコール性シロキサン化合物のヒドロキシル基と(メタ)アクリル酸とのエステル反応によって製造させたオリゴマーである。シリコン(メタ)アクリレートオリゴマーは、特に離型性、スベリ性に優れている。
 前記(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとしては、具体的には、スチレン、ビニルトルエン、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等を代表的なものとして挙げることができる。
 これらのエチレン性不飽和モノマーは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
 少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマーと該オリゴマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとは、質量比〔オリゴマー/モノマー〕で10/90〜70/30、好ましくは20/80〜60/40の割合で使用することが適当である。この質量比が10/90よりも低いと、金型内被覆用塗料組成物(B)の粘度が低くなり過ぎたり、金型内流動時の被覆用塗料組成物(B)中に気泡が取り込まれたりするため、好ましくない。一方、この質量比が70/30よりも高いと、金型内被覆用塗料組成物(B)の粘度が著しく高くなり金型内での流動性が劣るため、好ましくない。
      [(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン(b)]
 本発明で用いられる(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン(b)は、たとえば(メタ)アクリルモノマーを、過酸化物の存在下で、塩素化ポリオレフィンにグラフト重合させて得られる。
 (メタ)アクリルモノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
 また、(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン(b)は、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーを、過酸化物存在下で、塩素化ポリオレフィンにグラフト重合させて得られる、水酸基含有(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンであってもよい。
 ここで使用される水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、たとえば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
 このような(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン(b)は、1種単独で使用することができるし、また2種以上を組み合わせて用いることができる。
 本発明で用いられる(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン(b)の塩素含有率は、2〜40質量%、好ましくは2〜30質量%、さらに好ましくは3〜20質量%である。この塩素含有率が2質量%以上であれば、ビヒクル成分(a)との相溶性が低下することなく、良好な貯蔵安定性を有する金型内被覆用塗料組成物(B)が得られ、平滑な塗膜が得られる。一方、塩素含有率が40質量%以下であれば、樹脂組成物(A)からなる成形物との良好な密着性が得られる。
 (メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン(b)は、ビヒクル成分(a)100質量部に対して、5〜35質量部、好ましくは7〜30質量部、さらに好ましくは7〜20質量部の量で使用することが適当である。(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン(b)の配合量が、5質量部以上であれば、成形体に対する良好な密着性が得られ、一方、その量が35質量部以下であれば、金型内被覆用塗料組成物(B)の粘度が著しく上昇することもなく、金型内流動性が低下することもなく、均一な塗膜が得られるので好ましい。
           [有機過酸化物重合開始剤(c)]
 本発明で用いられる有機過酸化物重合開始剤(c)は、フリーラジカルを発生するものであって、金型内で被覆用塗料組成物(B)が成形物表面を覆い、金型表面あるいは成形樹脂の熱によって有機過酸化物重合開始剤(c)が熱分解し、活性なラジカルを発生し、被覆用塗料組成物(B)をラジカル重合反応させ、硬化させるものである。
 有機過酸化物としては、成形サイクルの点からは分解速度の早いものが望ましいが、逆にこのようなものは安定性が悪い。
 有機過酸化物重合開始剤(c)としては、1分間半減期温度が150℃以下の有機過酸化物が好ましい。このような有機過酸化物の代表的なものとしては、たとえばラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシカーボネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が好適である。ここで、1分間半減期温度とは、有機過酸化物の濃度が、1分間で初期の半分に減ずる温度をいう。
 有機過酸化物重合開始剤(c)の配合量は、ビヒクル成分(a)100質量部に対して、0.5〜5質量部、好ましくは0.7〜4質量部、さらに好ましくは1〜3質量部であることが適当である。有機過酸化物重合開始剤(c)の配合量が0.5質量部以上であれば、長時間を要することなく十分に硬化反応が進行する。一方、有機過酸化物重合開始剤(c)の配合量が5質量部以下であれば、金型内で急激な反応を開始することもなく、樹脂組成物(A)からなる成形物との良好な密着性を達成しうる。
          [ポリイソシアネート化合物(d)]
 本発明で用いられるポリイソシアネート化合物(d)は、従来から塗料用途に用いられているポリイソシアネート化合物であれば、特に制限されることなく、たとえば芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等の各種ポリイソシアネートを使用することができる。
 このようなポリイソシアネートとしては、たとえば、トルエンジイソシアネート(TDI)や、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシア
ネート(XDI)等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、リシンジイソシアネート(LDI)、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート(LTI)等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化キシレンジイソシアネート(H6XDI)等の脂環式ポリイソシアネートなどが好適に挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物(d)は、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
 また、ポリイソシアネートは、プレポリマーとしてのビュレット型や、アダクター型、イソシアヌレート型等の形態で使用してもよい。耐候性の点からは、脂肪族系ポリイソシアネートを使用することが好ましい。
 ポリイソシアネート化合物(d)の配合量は、ビヒクル成分(a)100質量部に対して、2〜20質量部、好ましくは2〜15質量部、さらに好ましくは2.5〜10質量部であることが適当である。ポリイソシアネート化合物(d)の配合量が2質量部以上であれば、樹脂組成物(A)からなる成形物との良好な密着性が得られる。一方、この配合量が20質量部以下であれば、艶引け等のない良好な外観を有する成形体が得られる。
               [その他の成分]
 本発明で用いられる塗料組成物(B)に、必要に応じて、更に離型剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
 離型剤としては、具体的には、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、大豆油レシチン、シリコーン油、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコール二塩基酸エステル類などを挙げることができる。
 離型剤の配合量は、ビヒクル成分(a)100質量部に対して、たとえば0.1〜3質量部であることが適当である。この範囲内において離型効果が発揮される。
 また、本発明で用いられる塗料組成物(B)には、更に必要に応じて、顔料として従来からプラスチック用、塗料用として通常使用されている各種着色顔料、体質顔料等を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
 着色顔料としては、具体的には、二酸化チタン、チタンエロー、ハンザエロー、モリブデートオレンジ、ベンジジンオレンジ、キナクリドンレッド、フタロシアニングリーン、コバルトブルー、群青、カーボンブラック、酸化鉄などが挙げられる。また、顔料は、粉
末状あるいはフレーク状の酸化鉄、ニッケル、アルミニウム、グラファイト、酸化チタン等で処理した雲母などの鱗片状顔料であってもよい。
 体質顔料としては、具体的には、炭酸カルシウムや、タルク、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレーなどが挙げられる。
 本発明で用いられる塗料組成物(B)に、さらに必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、硬化促進剤、顔料分散剤、消泡剤等の各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
 次に、本発明に係る金型内被覆成形体の製造方法について図1を用いて説明する。
 図1は、本発明に係る金型内被覆成形体の製造方法で用いられる金型内被覆成形装置(以下「IMC装置」と記す。)の全体構成を示した説明図である。
 このIMC装置100は、トグル式射出成形機を利用したものであり、大別すると、型締め装置10、射出装置20、制御装置30および金型装置50から構成される。
 型締め装置10は、金型装置50を取付ける固定盤11および可動盤12を備えており、タイロッド14に案内されて、かつ型締め駆動用油圧シリンダ(以下、「型締めシリンダ」という。)13により前後進される可動盤12が固定盤11に対して進退することで、金型装置50を開閉するように構成されている。
 この型内被覆成形を実施するには、特開2001−38783号公報に述べられているように、トグル式型締め機構を有した射出成形機が有効である。その理由は、可動金型52と固定金型51が大きく開いているときには、型締めシリンダ13を比較的低い油圧で駆動させつつ大きなストローク量を得ることができ、逆に金型が閉じる直前では、型締めシリンダの大きなストローク量でも金型の動きは僅かであるという、トグルの倍力特性を持っているため、金型を速く動作させることと、金型の微少な開きを精度よく行なうことが両立できるからである。また、トグル式型締め機構においては、型開閉を行なうアクチュエータと型締め力を発生させるアクチュエータが同じ型締めシリンダ13であるため、型開き状態から所定の型締め状態への移行が素早く行なえる。この素早い動作が、塗料を注入した後の再型締めに有効なのである。
 射出装置20には、スパイラル状のフライトを有するスクリュー21が円筒状のバレル22の内周面に沿って、油圧モータ23により回転駆動され、且つ、前後進が自在にできるように配設されている。スクリュー21の回転に伴って、ホッパ25内に供給された樹脂ペレットはスクリュー21の前方に送られ、この間にバレル22の外周面に取付けられているヒータ(図示せず。)による加熱を受けると共に、スクリュー21の回転による混練作業を受けることにより樹脂ペレットが溶融する構成となっている。
 スクリュー21の前方へ送られた溶融樹脂の量が、予め設定された量に達した時点で油圧モータ23の回転運動を停止すると共に、射出シリンダ24を駆動してスクリュー21を前進させることにより、スクリュー21前方に貯えられた溶融樹脂は、ノズル26を経由して金型装置50の金型キャビティ53へ射出される。
 金型装置50には、固定盤11に取付けられる固定金型51と可動盤12に取付けられる可動金型52が備えられており、可動金型52には被覆剤を金型キャビティ53内に注入する被覆剤注入機55が配設されている。
 次に、制御装置30の構成について説明する。図1に示すように、制御装置30には、型締め装置10の動作と射出装置20の動作を連動させ、制御装置30のシステム全体を総括して制御する成形装置制御部31と、射出装置20の動作を制御する射出制御部38とが備えられている。これら両制御部31、38は通常の射出成形機における制御部と同様の制御性能を有している。
 一方、本発明のIMC装置100固有の制御機能を有する制御部として、型締め条件設定部32から成形条件データ信号(成形条件の変化パターンを指す。以下同様。)を受けて被覆剤注入機55の動作を制御する注入機制御部35と、型締め条件設定部32および後述の変化パターン記憶部34から送信される成形条件データ信号を受けて、ストロークセンサ16の測定信号をフィードバックしながら型締め用サーボバルブ15を制御する型締め制御部33と、型締め条件設定部32から送られる金型51、52の型開量(以下、「型開量」という)および金型51、52の型締め力(以下「型締め力」という。)の成形条件データ信号に換算して型締め制御部33に送る変化パターン記憶部34とが備えられている。
 ここで、型締め条件設定部32において、型締め装置10の開閉速度、動作タイミング、型開量、型締め力、被覆剤注入機55の注入量、注入速度、注入タイミングおよび注入圧力の各成形条件が設定される。そして、型締め条件設定部32は、被覆剤注入機55の注入量、注入速度、注入タイミングおよび注入圧力に関する成形条件について、その成形条件データ信号を注入機制御部35に送信し、型締め装置10の開閉速度および動作タイミングに関する成形条件について、その成形条件データ信号を型締め制御部33に送信し、型開量および型締め力に関する成形条件について、その成形条件データ信号を変化パターン記憶部34に送信する。
 なお、変化パターン記憶部34には、制御に先立って予め型締めシリンダ13のストロークと型開量との相関関係、および型締めシリンダ13のストロークと型締め力との相関関係を記憶させている。変化パターン記憶部34は、型締め条件設定部32から送信された前記成形条件データ信号を、前記記憶させた相関関係に基づいて、型締めシリンダ13のストロークに換算して、型締め制御部33に送信する。
 ところで、変化パターン記憶部34には、制御に先立って予め型締めシリンダ13のストロークと型開量との相関関係および型締めシリンダ13のストロークと型締め力との相関関係を記憶させておくことが必要である。
 このため、金型装置50を固定盤11および可動盤12に取付けた後、通常の射出成形と同様の手順により、金型装置50の金型厚さ(ダイハイト)に応じたダイハイト調整および型締め力調整を完了した状態において、金型装置50を開閉しながら、ストロークセンサ16、型開量センサ17、および型締め力センサ18のそれぞれの検出信号を変化パターン記憶部34で連続的に受けることによって、型締めシリンダ13のストロークと型開量との相関関係および型締めシリンダ13のストロークと型締め力との相関関係を演算して記憶する。
 続いて、上述の通りに構成された制御装置30を有するIMC装置100を用いて、金型内被覆成形を行なう場合のIMC装置100の動作内容について説明する。
 まず、本発明に係る金型内被覆成形体の第1の製造方法について図1を用いて説明する。
           金型内被覆成形体の第1の製造方法
 型締め制御部33から発信される制御信号と、型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御を行ないながら、型締め条件設定部32に設定された型閉じ速度パターンに従って、型締めシリンダ13により、可動金型52を型開き限位置から前進させて固定金型51に接触させる。引き続き、型締め制御部33から発信される制御信号と型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御を行ないながら、型締め条件設定部32に設定された型締め力の成形条件データ信号(型締め力の変化パターン)に従って、型締めシリンダ13により可動金型52を更に前進させてタイロッド14を伸ばし所定の型締め力を金型装置50に作用させる。このとき、可動金型52と固定金型51は前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン樹脂(i)の融点以下で、被覆剤として前記金型内被覆用塗料組成物(B)が注入された後、塗料組成物(B)が金型内で硬化するように適当な温度に保たれている。なお、本発明に適用できる金型装置は、後述する被覆剤注入の際において、金型をわずかに開いた状態としても、その割面から塗料が漏れ出さない構造とする必要がある。ここで説明する金型装置50は、割面をシェアエッジ構造とすることによって、金型をわずかに開いても割面から塗料が漏れ出さない構造とした。
 このような型締め装置10動作中の所定の動作タイミングにおいて、射出制御部から発信される制御信号により、射出用サーボバルブ27の開度を制御しながら射出シリンダ24によりスクリュー21を前進させると、スクリュー21の前方に貯えられている溶融樹脂(前記樹脂組成物(A))は、ノズル26を経由して金型キャビティ53内に射出されて樹脂成形物が形成される。なお、型締め装置10の動作と射出装置20の動作が連動するように、成形装置制御部31によって相互の動作タイミング信号を授受するようになっている。
 金型内に射出された溶融樹脂には、一般の射出成形で行なわれるように一定時間保圧力をかけ、その間に固化収縮した量の樹脂を追加流入する。そして、保圧が完了した後も型締め力を保った状態で溶融樹脂を固化させる。
 金型内の樹脂がある程度固化し、その表面が塗料組成物(B)の注入圧力に耐えられようになると、次に型締めシリンダ13により可動金型52を後退させ、型締め制御部33から発信される制御信号と型締め用サーボバルブ15により、フィードバック制御しながら型締め条件設定部32に設定された型開量を与えて、樹脂成形物の表面と金型キャビティ53面との間に隙間を設けた後、型締め条件設定部32に設定された被覆剤注入機55の注入量、注入速度、注入タイミング、注入圧力に従って、注入機制御部35から発信される制御信号により被覆剤注入機55を駆動して、被覆剤である塗料組成物(B)を金型キャビティ53内に注入する。
 続いて、型締め制御部33から発信される制御信号と型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御しながら、型締めシリンダ13によって可動金型52を再度前進させ、型締め条件設定部32に設定された型締め力の成形条件データ通りの型締め力を発生させる。こうして、注入された塗料組成物(B)を樹脂成形物の全表面に行き渡らせると共に、被覆膜の外観および密着強度にとって最適な圧力条件を与えることが可能となる。
 そして、金型温度が塗料組成物(B)の硬化の進行する温度に保たれているため、塗料組成物(B)は、設定された型締め力で保持されている状態で硬化する。このとき、塗料組成物(B)は金型表面に押し付けられた状態のままで硬化するため、塗料組成物(B)の塗膜表面には金型の表面状態が正確に転写されることになる。
 その後、型締め制御部33から発信される制御信号と型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御を行ないながら、型締め条件設定部32に設定された動作タイミング
と型開き速度パターンに従って、型締めシリンダ13により可動金型52を所定の型開き位置まで後退させ、塗料組成物(B)で被覆された成形体を金型装置50から取り出す。こうして1サイクルが完了する。
 なお、金型内被覆用塗料組成物(B)が硬化する温度は、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン樹脂(i)の融点以下であることが好ましく、さらに樹脂組成物(A)中のポリプロピレン樹脂(i)の融点より20℃以下であることが好ましく、更には樹脂組成物(A)中のポリプロピレン樹脂(i)の融点より30℃以下であることが好ましい。樹脂組成物(A)中に2種以上のポリプロピレン系樹脂成分が含まれている場合には、上記のポリプロピレン樹脂(i)の融点は、最も融点の高いポリプロピレン系樹脂成分の融点を基準とする。
 ここで、ポリプロピレン系樹脂成分の融点の測定方法としては、たとえば、ポリプロピレン系樹脂成分のペレットを230℃にて10分アニーリングした後、示差走査型熱量計(DSC)を用いて、30℃まで10℃/分の速度で降温した後1分間保持し、10℃/分の速度で昇温し、吸収熱量が最大の温度を求め、この温度を融点(Tm)とする方法が挙げられる。
 成形の際の金型温度は、金型内において、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を金型内被覆用塗料組成物(B)の流動に耐えられる程度まで冷却でき、金型内被覆用塗料組成物(B)を硬化することができる範囲に設定しておくことが好ましく、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)のポリプロピレン樹脂(i)の融点以下、好ましくは融点より5℃以下、さらに好ましくは融点より10℃以下で、金型内被覆用塗料組成物(B)の硬化温度以上、好ましくは硬化温度より5℃以上、さらに好ましくは硬化温度より10℃以上であることが好ましい。
 なお、本発明で言うところの金型温度は、金型の設定温度を意味しているが、金型の設定温度と金型キャビティ部分近傍の金型温度に大きな隔たりがある場合は、それを勘案することが好ましいことは勿論であって、水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を金型内に射出する直前の金型キャビティ部分近傍の金型温度を、上記温度範囲とすることが本発明の適応の範囲になることは言うまでもない。
 次に、本発明に係る金型内被覆成形体の第2の製造方法について図1を用いて説明する。
      金型内被覆成形体の第2の製造方法(射出圧縮成形方法を
      利用した金型内被覆形成方法)
 型締め制御部33から発信される制御信号と、型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御を行ないながら、型締め条件設定部32に設定された型閉じ速度パターンに従って、型締めシリンダ13により、可動金型52を型開き限位置から前進させて固定金型51に接触させる。引き続き、型締め制御部33から発信される制御信号と型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御を行ないながら、型締め条件設定部32に設定された型締め力の成形条件データ信号(型締め力の変化パターン)に従って、型締めシリンダ13により可動金型52を更に前進させてタイロッド14を伸ばし第一の型締め力を金型装置50に作用させる。前記第一の型締め力(一次型締め圧と称することもある)は、後述する樹脂組成物(A)の射出充填工程を勘案し、樹脂組成物(A)の射出充填圧力によって、射出充填工程時に金型装置50の割面がわずかに開く状態の型締め力で設定する。このとき、可動金型52と固定金型51は、前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン樹脂(i)の融点以下で、被覆剤として前記塗料組成物(B)が注入された後、塗料組成物(B)が金型内で硬化するように適当な温度に保たれて
いる。なお、ここで説明する金型装置50は、割面をシェアエッジ構造とすることによって、樹脂充填時および被覆剤注入時に、金型をわずかに開いても割面から塗料が漏れ出さない構造とした。
 このような型締め装置10動作中の所定の動作タイミングにおいて、射出制御部から発信される制御信号により、射出用サーボバルブ27の開度を制御しながら射出シリンダ24によりスクリュー21を前進させると、スクリュー21の前方に貯えられている溶融樹脂(前記樹脂組成物(A))は、ノズル26を経由して金型キャビティ53内に射出されて樹脂成形物が形成される。なお、型締め装置10の動作と射出装置20の動作が連動するように、成形装置制御部31によって相互の動作タイミング信号を授受するようになっている。
 射出圧縮成形方法を利用した第2の製造方法では、金型内に溶融樹脂が射出されている間、または溶融樹脂が射出完了した後で、型締め制御部33から発信される制御信号と型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御を行ないながら、型締め条件設定部32に設定された型締め力の成形条件データ信号(型締め力の変化パターン)に従って、型締めシリンダ13により可動金型52を更に前進させてタイロッド14をさらに伸ばして型締め力を第二の型締め力に上げる。
 射出圧縮方法を使う利点としては、第一の型締め力では射出圧力に抗するに十分でないため、溶融樹脂が射出された際に若干金型が開くことによって樹脂の流動圧力が低下すること、型内のガスがキャビティ53外に抜けやすいことなどから、成形物に残る残留応力が通常の射出成形よりも少ない。そして、射出中または射出完了後に第二の型締め力を与えることで、ヒケなどの成形物の表面状態は通常の射出成形品と同等の表面状態が得られる。その後は、第二の型締め力を保った状態で溶融樹脂を固化させる。
 金型内の樹脂がある程度固化し、その表面が塗料組成物(B)の注入圧力に耐えられようになると、次に型締めシリンダ13により可動金型52を後退させ、型締め制御部33から発信される制御信号と型締め用サーボバルブ15により、フィードバック制御しながら型締め条件設定部32に設定された型開量を与えて、樹脂成形物の表面と金型キャビティ53面との間に隙間を設けた後、型締め条件設定部32に設定された被覆剤注入機55の注入量、注入速度、注入タイミング、注入圧力に従って、注入機制御部35から発信される制御信号により被覆剤注入機55を駆動して、被覆剤である塗料組成物(B)を金型キャビティ53内に注入する。
 続いて、型締め制御部33から発信される制御信号と型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御しながら、型締めシリンダ13によって可動金型52を再度前進させ、型締め条件設定部32に設定された型締め力の成形条件データ通りの型締め力を発生させる。こうして、注入された塗料組成物(B)を樹脂成形物の全表面に行き渡らせると共に、被覆膜の外観および密着強度にとって最適な圧力条件を与えることが可能となる。
 そして、金型温度が塗料組成物(B)の硬化の進行する温度に保たれているため、塗料組成物(B)は設定された型締め力で保持されている状態で硬化する。このとき、塗料組成物(B)は金型表面に押し付けられた状態のままで硬化するため、塗料組成物(B)の塗膜表面には金型の表面状態が正確に転写されることになる。
 その後、型締め制御部33から発信される制御信号と型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御を行ないながら、型締め条件設定部32に設定された動作タイミングと型開き速度パターンに従って、型締めシリンダ13により可動金型52を所定の型開き位置まで後退させ、塗料組成物(B)で被覆された成形体を金型装置50から取り出す。
こうして1サイクルが完了する。
 射出圧縮成形方法を利用した第2の製造方法は、前述したように、成形物に残る残留応力を小さくすることができるので、成形後に成形物が変形しにくいといった作用効果を有しており、型内被覆成形体は、成形後わずかにでも変形すると、表面外観に大きな悪影響を与えることから、好ましい実施形態である。
 最後に、本発明に係る金型内被覆成形体の第3の製造方法について図1を用いて説明する。
     金型内被覆成形体の第3の製造方法(射出プレス成形方法を
     利用した金型内被覆成形方法)
 型締め制御部33から発信される制御信号と、型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御を行ないながら、型締め条件設定部32に設定された型閉じ速度パターンに従って、型締めシリンダ13により、可動金型52を型開き限位置から前進させ、固定金型51との間が所定の間隔になる位置で止める。このとき、可動金型52と固定金型51は、前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン樹脂(i)の融点以下で、被覆剤が注入された後、被覆剤が金型内で硬化するように適当な温度に保たれている。なお、ここで説明する金型装置50は、割面をシェアエッジ構造とすることによって、樹脂充填時および被覆剤注入時に、金型をわずかに開いても割面から塗料が漏れ出さない構造とした。
 この型締め装置10動作中の所定の動作タイミングにおいて、射出制御部から発信される制御信号により、射出用サーボバルブ27の開度を制御しながら射出シリンダ24によりスクリュー21を前進させると、スクリュー21の前方に貯えられている溶融樹脂(前記樹脂組成物(A))は、ノズル26を経由して金型キャビティ53内に射出される。なお、型締め装置10の動作と射出装置20の動作が連動するように、成形装置制御部31によって相互の動作タイミング信号を授受するようになっている。
 射出プレス成形方法を利用した第3の製造方法においては、固定金型51と可動金型52が型締め力をかけられておらず、所定の間隔を保っている状態で溶融樹脂が射出される。そして、金型キャビティ内に溶融樹脂が射出されている間、または溶融樹脂が射出完了した後で、型締め制御部33から発信される制御信号と型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御を行ないながら、型締め条件設定部32に設定された型締め力の成形条件データ信号(型締め力の変化パターン)に従って、型締めシリンダ13により可動金型52を更に前進させて所定の型締め力に上げる。
 射出プレス成形方法を使う利点としては、金型が所定量開いている状態で溶融樹脂を射出するため、樹脂の流動圧力が大きく低下し、成形物に残る残留応力が通常の射出成形よりも非常に少ない。そして、射出中または射出完了後に所定の型締め力を与えることで、成形物末端に発生する樹脂圧力は通常の射出成形よりも高くすることができる。これらのことから、成形物の肉厚は通常の射出成形の場合よりも均一にできる。所定の型締め力をかけられた後は、型締め力を保った状態で溶融樹脂を固化させる。
 金型内の樹脂がある程度固化し、その表面が被覆剤である前記塗料組成物(B)の注入圧力に耐えられようになると、次に型締めシリンダ13により可動金型52を後退させ、型締め制御部33から発信される制御信号と型締め用サーボバルブ15により、フィードバック制御しながら型締め条件設定部32に設定された型開量を与えて、樹脂成形物の表面と金型キャビティ53面との間に隙間を設けた後、型締め条件設定部32に設定された被覆剤注入機55の注入量、注入速度、注入タイミング、注入圧力に従って、注入機制御
部35から発信される制御信号により被覆剤注入機55を駆動して、塗料組成物(B)を金型キャビティ53内に注入する。
 続いて、型締め制御部33から発信される制御信号と型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御しながら、型締めシリンダ13によって可動金型52を再度前進させ、型締め条件設定部32に設定された型締め力の成形条件データ通りの型締め力を発生させる。こうして、注入された塗料組成物(B)を樹脂成形物の全表面に行き渡らせると共に、被覆膜の外観および密着強度にとって最適な圧力条件を与えることが可能となる。
 そして、金型温度が塗料組成物(B)の硬化の進行する温度に保たれているため、塗料組成物(B)は設定された型締め力で保持されている状態で硬化する。このとき、塗料組成物(B)は金型表面に押し付けられた状態のままで硬化するため、塗料組成物(B)の塗膜表面には金型の表面状態が正確に転写されることになる。
 その後、型締め制御部33から発信される制御信号と型締め用サーボバルブ15によりフィードバック制御を行ないながら、型締め条件設定部32に設定された動作タイミングと型開き速度パターンに従って、型締めシリンダ13により可動金型52を所定の型開き位置まで後退させ、塗料組成物(B)で被覆された成形体を金型装置50から取り出す。こうして1サイクルが完了する。
 射出プレス成形方法を利用した第3の製造方法は、前述したように、成形物に残る残留応力を小さくすることができるとともに、成形物の肉厚を通常の射出成形より均一に成形することができるといった優れた作用効果を有している。
 したがって、第3の製造方法で製造された型内被覆成形体は、変形が少なく、被覆厚みも従来より均一になるといった点で、良好な型内被覆成形体になる。
[実施例]
 以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。
 なお、実施例、比較例で用いたポリプロピレン系樹脂組成物は、下記の各成分を表1に示した割合で混合し、シリンダー温度を200℃に設定した二軸押出機にて溶融混合した後、アンダーウォーターカットによりペレット状のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。得られた組成物の水酸基価およびゴム成分含有量を表1に示す。
 なお、表1中のポリプロピレン系樹脂組成物(P−1)〜(P−8)は、本発明における水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)であるが、ポリプロピレン系樹脂組成物(Q−1)〜(Q−3)は、本発明で用いられる樹脂組成物(A)ではない。
<表1に示した成分>
(1): プロピレンブロックコポリマー[MFR(ASTM D 1238,230℃、荷重2.16kg)
=23g/10分、エチレン・プロピレン共重合物含有量=11質量%、エチレン・プロピレン共重合物のエチレン含量=46モル%]
(2): 溶融変性法にてプロピレンホモポリマーをヒドロキシメチルメタクリレートにて変性を行なって得られた、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,230℃、荷重2.16kg)が100g/10分、水酸基価が15(KOH mg/g)である水酸基含有プロピレンホモポリマー
(3): 水酸基含有ゴム[商標名 ポリテールH、三菱化学(株)製、水酸基価=45
(KOH mg/g)]
(4): 水酸基含有低分子量ポリプロピレン[商標名 ユーメックス1210、三洋化
成工業(株)製、水酸基価=54(KOH mg/g)]
(5): エチレン・1-ブテン共重合体[ムーニー粘度ML1+4 (100℃)=16、エチ
レン濃度=82モル%]
(6): 直鎖状低密度ポリエチレン[商品名 エボリュー SP0540、三井住友ポ
リオレフィン(株)製、MFR(ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)=4.0g/10分、密度=0.905g/cm3
(7): タルク(平均粒径=2μm)
(8): フェノール系耐熱安定剤[商標名 イルガノックス(Irganox)1010、チバスペ
シャリティーケミカル社製)
(9): リン系耐熱安定剤[商標名 イルガフォス(Irgafos 168)、チバスペシャリテ
ィーケミカル社製]
 また、実施例、比較例で用いた金型内被覆用塗料組成物については、有機過酸化物およ
びポリイソシアネート化合物を除いた下記の各成分を表2に示した割合で、3本ロールミルにて練合分散し、塗料主剤を得た。次いで、この塗料主剤に下記の有機過酸化物およびポリイソシアネート化合物を表2に示す割合で加え、十分混合し、金型内被覆用塗料組成物を調製した。
 なお、表2中の塗料組成物(A−1)〜(A−8)は、本発明における金型内被覆用塗料組成物(B)であるが、塗料組成物(B−1)〜(B−8)は、本発明で用いられる塗料組成物(B)ではない。
<表2に示した成分>
(1)(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー
1)UAC−1
 ポリカプロラクトンジオール(分子量500)1000質量部、イソホロンジイソシアネート840質量部、ヒドロキノンモノメチルエーテル1.0質量部およびジブチル錫ラウレート1.8質量部を反応器に入れ、75℃で3時間撹拌しながら反応させ、次いで、ヒドロキシエチルアクリレート228質量部、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.5質量部を加え、75℃で4時間反応させて、2個のアクリレート基を有する重量平均分子量(Mw)3000のウレタンアクリレートオリゴマー(UAC−1)を調製した。
2)Ebecryl EB350(商標名)
 2個のアクリレート基を有するシリコンジアクリレートオリゴマー(ダイセル・ユーシービー社製)
(2)エチレン性不飽和モノマー
1)1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
2)ポリプロピレングリコールジアクリレート
(3)(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン
1)PP−1
 スーパークロン223M(商標名;日本製紙社製)の脱溶剤したもの(塩素含有率5質量%)
2)PP−2
 スーパークロン224H(商標名;日本製紙社製)の脱溶剤したもの(塩素含有率12.8質量%)
3)PP−3
 ハードレンKH−4021(商標名;東洋化成社製)の脱溶剤したもの(塩素含有率17質量%)
(4)有機過酸化物
1)ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート
2)t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート
(5)ポリイソシアネート化合物
1)2-イソシアナートエチル-2,6-ジイソシアナート カプロエート
2)トリス(6-イソシアナートヘキシル)イソシアヌレート
(6)着色顔料
 シンカシャレッドY RT−759−D(商標名);キナクリドン系有機顔料、チバガイギー社製
(7)離型剤
1)ステアリン酸亜鉛
2)ZELEC−NE(商標名)
 中和性リン酸塩アルコール(デュポン社製)
(8)硬化促進剤
 8%コバルトオクトエート
[実施例1〜22および比較例1〜11]
 被覆剤(塗料)注入装置が付属した型締め能力が350tfの型内被覆成形用トグル式射出成形機に、箱状の金型被覆成形用金型(投影面積約400cm2 )を取り付けた。そして、200tfの型締め力をかけて金型を締め、この状態で金型キャビティに、180℃に加熱したポリプロピレン系樹脂組成物を100cc/secの射出率で充填し、40MPaの保圧を5秒間かけた。このときの金型温度は、加圧水型金型温度調節機の循環水により塗料硬化の起こる100℃としていた。キャビティに充填したポリプロピレン系樹脂組成物は型締め力をかけた状態で90秒間金型の中で冷却し、表面が被覆剤の流動に耐えうる程度まで固化させた。
 次いで、この金型を0.2mm開き、金型に付けられた塗料注入機から塗料組成物を15MPaの圧力で成形物表面と金型キャビティ面との間に充填し、再度金型を閉じ、10tfの型締め力をかけた状態で120秒間保持し、塗料組成物を硬化させた後、金型を開いて成形体を取り出した。
 取り出した成形体表面に被覆されている塗膜の硬化状態、気泡の巻き込み、コート不良等の有無を目視にて観察し、塗膜の状態を評価した。その結果を表3に示す。
 また、成形直後の成形体について、塗膜フクレ、塗膜剥がれの発生状況、塗膜の表面光沢等を目視にて観察し、成形直後の成形体外観を評価した。その結果を表3に示す
 さらに、塗膜の付着性(密着性)(1)、(2)を下記の方法に従って評価した。その結果を表3に示す。
(1)初期の塗膜付着性
 JIS K 5600の第5部:塗膜の機械的性質、第6節:付着性(クロスカット法)に従って初期の塗膜付着性試験を実施した。塗膜の付着性は、JIS K 5600に記載の試験結果の分類に基づき、下記の0〜5の6段階で評価した。
<6段階評価>
0・・・・カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれがない。
1・・・・カットの交差点における塗膜の小さな剥がれ。
    クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
2・・・・塗膜がカットの縁に沿って、および/または交差点において剥がれている。
    クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を超えるが15%を上回る
     ことはない。
3・・・・塗膜がカットに縁に沿って、部分的または全面的に大剥がれを生じており、
     および/または目のいろいろな部分が、部分的または全面的に剥がれている。
     クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが35%を上回
     ることはない。
4・・・・塗膜がカットの縁に沿って、部分的または全面的に大剥がれを生じており、
     および/または数か所の目が部分的または全面的に剥がれている。クロスカッ
     ト部分で影響を受けるのは、明確に35%を上回ることはない。
5・・・・分類4でも分類できない剥がれの程度。
(2)耐水テスト後の塗膜付着性
 JIS K 5600の第6部:塗膜の化学的性質、第2節:耐液体性(水浸せき法)に従って、試験片を40±1℃の温水中に240時間浸せきした。規定の試験期間終了後、試験片を取り出し、室温で24時間置き、JIS K 5600の方法に記載の試験結果の分類に従い、塗膜の付着性を上記の0〜5の6段階で評価した。
[実施例23〜24]
 被覆剤(塗料)注入装置が付属した型締め能力350tfの型内被覆成形用トグル式射出成形機に、箱状の金型被覆成形用金型(投影面積役400cm2 )を取り付けた。そして、一次型締め力として100tfの型締め力をかけて締め、この状態で金型キャビティに180℃に加熱したポリプロピレン系樹脂組成物を射出する。なお、前記樹脂組成物の射出充填時に、一次型締め力は樹脂組成物の充填圧力に負けて、金型の割面がわずかに開く状態となる。射出完了すると同時に型締め力を二次型締め力として200tfまで上昇させた。二次型締め力をかけた時点での金型中央部の型内圧は40MPaであった。また、このときの金型温度は、加圧水型金型温度調節機の循環水により塗料の硬化が起こる100℃としていた。
 キャビティに充填したポリプロピレン系樹脂組成物は、二次型締め力をかけた状態で90秒間金型の中で冷却し、表面が被覆剤の流動に耐えうる程度まで固化させた。
 次いで、この金型を0.2mm開き、金型に付けられた塗料注入機から塗料組成物を15MPaの圧力で成形体表面と金型キャビティ面との間に充填し、再度金型を閉じ、10tfの型締め力をかけた状態で120秒間保持し、塗料組成物を硬化させた後、金型を開いて成形体を取り出した。
 以下、取り出した成形体について、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表3に示す。
[実施例25〜26]
 被覆剤(塗料)注入装置が付属した型締め能力350tfの型内被覆成形用トグル式射出成形機に、箱状の金型被覆成形用金型(投影面積役400cm2 )を取り付けた。そして、初期型開き量として5mm金型を開いた状態で金型キャビティに180℃に加熱したポリプロピレン系樹脂組成物を射出し、射出完了すると同時に金型を閉じ、さらに型締め力を200tfまで上昇させた。射出完了から型締め力を200tfまで上げるのに要した時間は約1秒間であった。型締め力をかけた時点での金型中央部の型内圧は60MPaであった。また、このときの金型温度は、加圧水型金型温度調節機の循環水により塗料の硬化が起こる100℃としていた。
 キャビティに充填したポリプロピレン系樹脂組成物は、型締め力をかけた状態で90秒間金型の中で冷却し、表面が被覆剤の流動に耐えうる程度まで固化させた。
 次いで、この金型を0.3mm開き、金型に付けられた塗料注入機から塗料組成物を10MPaの圧力で成形体表面と金型キャビティ面との間に充填し、再度金型を閉じ、10tfの型締め力をかけた状態で120秒間保持し、塗料組成物を硬化させた後、金型を開いて成形体を取り出した。
 以下、取り出した成形体について、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表3に示す。
図1は、本発明に係る金型内被覆成形体の製造方法で用いられる金型内被覆成形装置の全体構成を示した説明図である。
符号の説明
10:型締め装置
11:固定盤
12:可動盤
13:型締めシリンダ
14:タイロッド
15:型締め用サーボバルブ
16:ストロークセンサ
17:型開量センサ
18:型締め力センサ
20:射出装置
21:スクリュー
22:バレル
23:油圧モータ
24:射出シリンダ
25:ホッパ
26:ノズル
27:射出用サーボバルブ
30:制御装置
31:成形装置制御部
32:型締め条件設定部
33:型締め制御部
34:変化パターン記憶部
35:注入機制御部
38:射出制御部
50:金型装置
51:固定金型
52:可動金型
53:金型キャビティ
54:被覆剤圧力センサ
55:被覆剤(塗料)注入機
100:金型内被覆成形装置

Claims (9)

  1. 水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)からなる成形物の表面が、金型内被覆用塗料組成物(B)で被覆された成形体であって、
     該水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を構成するポリプロピレン樹脂(i)と、添加ゴム(ii)と、任意に添加される該ポリプロピレン樹脂(i)および該添加ゴム(ii)以外の高分子化合物(iii)との総水酸基価が1〜40(KOH mg/g)であ
    り、
     該水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)におけるゴム成分含有量(添加ゴム(ii)量と、ポリプロピレン樹脂(i)成分および任意に添加される前記高分子化合物(iii)の23℃n−デカン可溶分量との合計量)が、ゴム成分とゴム成分以外の樹脂成分と
    の合計含有量を100質量%とした場合に、15〜80質量%であり、
     該金型内被覆用塗料組成物(B)が、
     少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー10〜70質量%と、該オリゴマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマー90〜30質量%とからなるビヒクル成分(a)100質量部に対して、
     塩素含有率が2〜40質量%である(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン(b)5〜35質量部、
     有機過酸化物重合開始剤(c)0.5〜5質量部、および
     ポリイソシアネート化合物(d)2〜20質量部
    を含有していることを特徴とする金型内被覆成形体。
  2.  前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)が、
     ポリプロピレン樹脂(i)としてプロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリプロピレン20〜95質量%と、
     添加ゴム(ii)5〜80質量%(ポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)の合計は100質量%である)と
    からなり、前記ポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)の少なくとも1種が水酸基を有し、水酸基価が1〜40(KOH mg/g)の範囲内にある樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の金型内被覆成形体。
  3.  前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)が、
     ポリプロピレン樹脂(i)としてプロピレンホモポリマー、プロピレンブロックコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリプロピレン20〜95質量%と、
     添加ゴム(ii)5〜80質量%(ポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)の合計は100質量%である)と、
     前記ポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)の合計100質量%に対してポリプロピレン樹脂(i)および添加ゴム(ii)以外の高分子化合物(iii)1〜60質量%

    からなり、前記ポリプロピレン樹脂(i)、添加ゴム(ii)および高分子化合物(iii)
    の少なくとも1種が水酸基を有し、水酸基価が1〜40(KOH mg/g)の範囲内にある樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の金型内被覆成形体。
  4.  前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)が、水酸基含有ポリプロピレンを含有しているポリプロピレン系樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の金型内被覆成形体。
  5.  前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中の添加ゴム(ii)がエチレン・α
    - オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金型内被覆成形体。
  6.  前記水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)が無機充填材を含有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金型内被覆成形体。
  7.  請求項1〜6のいずれかに記載の水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン系樹脂成分の融点以下で、請求項1に記載の金型内被覆用塗料組成物(B)が硬化する温度以上に金型温度を保持した固定金型と移動金型とからなる金型を所定の型締め圧にて保持した状態で、金型キャビティ内に該樹脂組成物(A)の溶融物を射出し、所定時間保圧をかけて該溶融物を該塗料組成物(B)の流動圧力に耐えうる程度に冷却固化させた後、金型をわずかに開いて、得られた成形物と金型キャビティ面との間に空間を形成させ、該空間内に該塗料組成物(B)を注入し、再度型締め圧を上げて型締めを行なった状態で保持し、該塗料組成物(B)が硬化した後に成形体を取り出すことを特徴とする金型内被覆成形体の製造方法。
  8.  請求項1〜6のいずれかに記載の水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン系樹脂成分の融点以下で、請求項1に記載の金型内被覆用塗料組成物(B)が硬化する温度以上に金型温度を保持した固定金型と移動金型とからなる金型を所定の一次型締め圧にて保持した状態で、金型キャビティ内に該樹脂組成物(A)の溶融物を射出し、射出中または射出完了後に型締め力を二次型締め力まで上げ、所定時間保持して該溶融物を該塗料組成物(B)の流動圧力に耐えうる程度に冷却固化させた後、金型をわずかに開いて、得られた成形物と金型キャビティ面との間に空間を形成させ、該空間内に該塗料組成物(B)を注入し、再度型締め圧を上げて型締めを行なった状態で保持し、該塗料組成物(B)が硬化した後に成形体を取り出すことを特徴とする金型内被覆成形体の製造方法。
  9.  請求項1〜6のいずれかに記載の水酸基含有ポリプロピレン系樹脂組成物(A)中のポリプロピレン系樹脂成分の融点以下で、請求項1に記載の金型内被覆用塗料組成物(B)が硬化する温度以上に金型温度を保持した固定金型と移動金型とからなる金型を所定量開いた状態で、金型キャビティ内に該樹脂組成物(A)の溶融物を射出し、射出中または射出完了後に型締め力を所定型締め力まで上げ、所定時間保持して該溶融物を該塗料組成物(B)の流動圧力に耐えうる程度に冷却固化させた後、次いで金型をわずかに開いて、得られた成形物と金型キャビティ面との間に空間を形成させ、該空間内に該塗料組成物(B)を注入し、再度型締め圧を上げて型締めを行なった状態で保持し、該塗料組成物(B)が硬化した後に成形体を取り出すことを特徴とする金型内被覆成形体の製造方法。
JP2003296079A 2002-08-23 2003-08-20 金型内被覆成形体およびその製造方法 Expired - Fee Related JP4290509B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003296079A JP4290509B2 (ja) 2002-08-23 2003-08-20 金型内被覆成形体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002244160 2002-08-23
JP2003296079A JP4290509B2 (ja) 2002-08-23 2003-08-20 金型内被覆成形体およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004099884A true JP2004099884A (ja) 2004-04-02
JP4290509B2 JP4290509B2 (ja) 2009-07-08

Family

ID=32301157

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003296079A Expired - Fee Related JP4290509B2 (ja) 2002-08-23 2003-08-20 金型内被覆成形体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4290509B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005171048A (ja) * 2003-12-10 2005-06-30 Nippon Bee Chemical Co Ltd 熱可塑性プラスチック基材のインモールドコート用塗料組成物およびその用途
WO2007069769A1 (ja) * 2005-12-15 2007-06-21 Daicel Polymer Ltd. めっき樹脂成形体
JP2010247415A (ja) * 2009-04-15 2010-11-04 Ube Machinery Corporation Ltd 型内被覆成形方法及び型内被覆成形用金型
JP2011132290A (ja) * 2009-12-22 2011-07-07 Hitachi Appliances Inc 家電用塗装部品、塗料及び家電製品
CN109158572A (zh) * 2018-10-14 2019-01-08 昆山建金工业设计有限公司 一种铜元素和锌元素的复合材料装置
CN109280782A (zh) * 2018-10-14 2019-01-29 昆山建金工业设计有限公司 一种铜元素复合材料装置
CN109338240A (zh) * 2018-10-14 2019-02-15 昆山建金工业设计有限公司 一种铁元素和铜元素复合材料的装置
WO2023008020A1 (ja) * 2021-07-29 2023-02-02 日本製紙株式会社 分散体組成物

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005171048A (ja) * 2003-12-10 2005-06-30 Nippon Bee Chemical Co Ltd 熱可塑性プラスチック基材のインモールドコート用塗料組成物およびその用途
WO2007069769A1 (ja) * 2005-12-15 2007-06-21 Daicel Polymer Ltd. めっき樹脂成形体
JP2010247415A (ja) * 2009-04-15 2010-11-04 Ube Machinery Corporation Ltd 型内被覆成形方法及び型内被覆成形用金型
JP2011132290A (ja) * 2009-12-22 2011-07-07 Hitachi Appliances Inc 家電用塗装部品、塗料及び家電製品
CN109158572A (zh) * 2018-10-14 2019-01-08 昆山建金工业设计有限公司 一种铜元素和锌元素的复合材料装置
CN109280782A (zh) * 2018-10-14 2019-01-29 昆山建金工业设计有限公司 一种铜元素复合材料装置
CN109338240A (zh) * 2018-10-14 2019-02-15 昆山建金工业设计有限公司 一种铁元素和铜元素复合材料的装置
WO2023008020A1 (ja) * 2021-07-29 2023-02-02 日本製紙株式会社 分散体組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP4290509B2 (ja) 2009-07-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100704583B1 (ko) 금형 내 피복성형체 및 그 제조 방법
JP3404546B2 (ja) 金型内被覆方法
JP2975583B2 (ja) そのままで最終用途使用に適した金型内コーティング用組成物
WO2010067851A1 (ja) 型内被覆組成物及び型内被覆成形体
KR20040002837A (ko) 폴리올레핀 물품의 인-몰드 (in-mold) 코팅 방법
JP4290509B2 (ja) 金型内被覆成形体およびその製造方法
JP5253200B2 (ja) 型内被覆組成物及び型内被覆成形体
US6863981B2 (en) In-mold appearance coatings for nylon and nylon based thermoplastic substrates
JP4274538B2 (ja) 型内被覆透明成形体
JP4420841B2 (ja) 型内被覆用組成物及び型内被覆成形品の製造方法
US6720076B2 (en) In-mold primer coating for thermoplastic substrates
JP2009019073A (ja) 型内被覆組成物
JP4431514B2 (ja) 型内被覆組成物及び型内被覆成形品の製造方法
US20040071980A1 (en) Method for in-mold coating a polyolefin article
JP2003138165A (ja) 型内被覆組成物及び型内被覆成形品の製造方法
JP2003137943A (ja) 型内被覆組成物及び型内被覆成形品の製造方法
JP6468508B2 (ja) 型内被覆組成物、型内被覆成形体及び塗装物品
JP2011073322A (ja) ランプリフレクタ成形体
JP5080905B2 (ja) 型内被覆成形体及び型内被覆成形体の製造方法
CA3205473A1 (en) Thermoplastic polymer structure and methods for making the same
JP5026012B2 (ja) 型内被覆組成物及びそれを用いた型内被覆成形品
JP2010188573A (ja) 型内被覆成形方法及び型内被覆成形体
JP2021075017A (ja) 固形物の製造方法
JP5198783B2 (ja) 分散樹脂組成物およびその製造方法
JP2006160792A (ja) 型内被覆用組成物及び型内被覆成形品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051114

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20051111

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20060215

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20060427

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080311

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080501

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090317

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090401

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120410

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120410

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130410

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130410

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140410

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees