JP2004099788A - 硬質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【構成】ポリイソシアネート成分、ポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分とを発泡剤存在下で反応させる硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、芳香族エステル化合物をポリエステルポリオール成分に対して、0.1〜10重量%添加することを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【効果】硬質ポリウレタンフォーム反応の事前調製液であるポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分、発泡剤混合液の均一安定性が向上する。
【効果】硬質ポリウレタンフォーム反応の事前調製液であるポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分、発泡剤混合液の均一安定性が向上する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関するものであり、特に、ポリエステルポリオール成分と発泡剤の相溶性を向上させる方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
硬質ウレタンフォームは優れた断熱特性を有することから、一般建造物の断熱材として、また冷蔵庫、ショーケース等の断熱材としても、広く用いられている。硬質ウレタンフォームは、一般にポリイソシアネート成分液(以降A液と呼ぶ)と、ポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分及び発泡剤、さらに必要に応じて触媒や整泡剤等を混合した混合液(以降B液と呼ぶ)を用意し、A液とB液を混合して、短時間で発泡、硬化させる方法で製造される。従って、B液には均一安定性が求められ、好ましくは均一な溶液であることが求められる。
【0003】
旧来は発泡剤としてフロン系のCFC−11が、コストと使い勝手の良さから多用されていた。しかしながら、これはオゾン層を破壊することから一部の特殊な用途を除き、生産、使用ともに禁止された。これに代わって、フロン系発泡剤としてはオゾン層破壊係数の小さいHCFC−141bが使用されるようになった。しかしこのHCFC−141bもオゾン層破壊係数がゼロではなく、2003年末以降、使用が制限される予定である。代替品としてはHFC−245fa、HFC―365mfc等が想定されている。一方、非フロン系発泡剤としてペンタンやシクロペンタン等の低沸点炭化水素も用いられているが、引火性が高いので、取扱いにおいては十分な配慮、管理が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
いずれにしても、HCFC−141b、HFC−245fa、HFC―365mfc、ペンタン、シクロペンタン等、現在および将来使用が想定される発泡剤共通の欠点として、B液の主成分であるポリエーテルポリオール成分およびポリエステルポリオール成分との相溶性が悪いことが挙げられ、特にポリエステルポリオール成分との相溶性の悪さが問題である。相溶性が良ければ、均一安定性の良いB液が得られ、また、B液処方(ポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分およびその混合比率)を自由に組めることに繋がる。
【0005】
B液の均一安定化を図るために、一般的に整泡剤として、界面活性剤、特にノニオン系界面活性剤を添加することが広く行われているが、その効果は充分とは言えない。これを解決すべくポリエステルポリオール成分、ポリエーテルポリオール成分を工夫する方法も提案されている(例えば特開平8−104725)。これらの方法は、特定の目的が定まっているウレタンフォームを製造する場合には極めて有効であるが、一方、B液処方が限定され、残念ながら一般的な解決法となり得ない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決すべく、本発明者が鋭意検討した結果、ポリエステルポリオール成分と発泡剤の相溶性を改善するために、芳香族エステル化合物を添加することが極めて有効であることを見いだし、本発明に至った。
【0007】
即ち、本発明は(1)ポリイソシアネート成分、ポリエーテルポリオール成分及びポリエステルポリオール成分とを発泡剤存在下で反応させる硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、反応系内に芳香族エステル化合物を添加することを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法、(2)硬質ポリウレタンフォームの製造に使用される、少なくともポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分及び発泡剤からなる混合液であって、ポリエステルポリオールに対して0.1〜10重量%の芳香族エステル化合物を含有する混合液、(3)硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリエステルポリオール組成物であって、ポリエステルポリオールに対し0.1〜10重量%の芳香族エステル化合物を含有するポリエステルポリオール組成物を骨子とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてさらに詳しく述べる。本発明に於いて使用されるポリイソシアネート成分としては、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する有機化合物であれば特に限定されず、例えば、脂肪族系、脂環族系および芳香族系ポリイソシアネートまたはこれらの変性物が挙げられる。特に好ましくは、芳香族系ポリイソシアネートまたはこれらの変性物が挙げられ、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートおよびこれらのカルボジイミド変性物が挙げられる。
【0009】
本発明におけるポリエーテルポリオール成分としては、アルキレンオキシド重合物、シュガー重合物およびこれらのアミン変性物、ポリアミンとアルキレンオキシドの反応物等が挙げられる。ポリエーテルポリオール成分は、多品種市販されており、これら市販品を単独または混合して使用できる。
【0010】
ポリエステルポリオール成分も、各種ポリカルボン酸とポリオールから得られるポリエステルポリオールが多品種市販されており、これら市販品を単独または混合して使用できる。ポリエステルポリオールの原料ポリカルボン酸としては、ジまたはトリカルボン酸が挙げられ、好ましくは、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸およびこれらの酸無水物が挙げられる。更には、これら芳香族芳香族ポリカルボン酸に、若干の脂肪族ポリカルボン酸(コハク酸、マレイン酸、アジピン酸等)を混合したものでも良い。一方、ポリエステルポリオール製造の原料ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のジオールおよびトリオールが挙げられる。これらのうち、特に好ましくは、フタル酸、無水フタル酸又はテレフタル酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオール又はグリセリンから得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
【0011】
本発明の対象とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、ポリイソシアネート成分、ポリエーテルポリオール成分及びポリエステルポリオール成分とを発泡剤の存在下で反応させる方法を対象とするが、さらに、反応の促進と均一な発泡体を得るために、触媒や整泡剤が用いても良い。
【0012】
本発明における触媒としては、通常のウレタンフォームの製造に使用される公知の触媒がいずれも使用できる。例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン等のアミン系触媒が挙げられる。
【0013】
本発明における整泡剤しては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系界面活性剤を用いることができるが、ノニオン系界面活性剤が好ましく、特にシリコーン系界面活性剤がよく用いられる。
【0014】
本発明における発泡剤しては、フロン系のHCFC−141b、HCFC−123および次世代品と目されているHFC−245fa、HFC―365mfcが挙げられる。また、非フロン系としては、ペンタン、シクロペンタン等の低沸点炭化水素が挙げられる。
【0015】
本発明に於いて、反応系内に添加される芳香族エステル化合物は、下式1で示される芳香族エステルである。
【0016】
Ar−(COO−R)m (1)
(ここで、mは1〜4の整数を示す。また、Arは炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
【0017】
上式(1)の芳香族エステル化合物は、芳香族カルボン酸とアルコールのエステル化反応により容易に得られる。芳香族カルボン酸としては、炭素数6〜12の芳香族基を有する芳香族カルボン酸が挙げられ、具体的には、安息香酸、トルイル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフチル酸等が挙げられ、これらの酸無水物であっても良い。一方、アルコールとしては、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12のアルコールが挙げられ、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、ラウリルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。これらアルコールには、例えば、ブチルアルコールには、n−ブチルアルコールの他、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコールが含まれるように、各種異性体が含まれる。なお、芳香族エステル化合物の製造に使用するこれら芳香族カルボン酸およびアルコールは、単一であっても混合物であってもよい。
【0018】
勿論、用いるB液組成に対して、より効果を示す芳香族エステル化合物を選択することは重要であるが、コストおよび入手のし易さから、可塑剤として広く用いられているフタル酸ジオクチル、フタル酸ジノニル等が工業的に有利である。
【0019】
芳香族エステル化合物の添加量は、ポリエステルポリオール成分に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%である。添加量が0.1重量%より少なければ効果は認められず、10重量%以上では得られたウレタン発泡体の物性(強度、寸法安定性等)に悪影響を及ぼす他、添加した芳香族エステル化合物がにじみ出てくる等の不都合が生じる場合がある。
【0020】
芳香族エステル化合物の添加方法は、特に限定されない。例えばB液を調製する際に加えて混合液として提供しても良いし、予めポリエーテルポリオール成分またはポリエステルポリオール成分に加えて組成物として提供しても良い。この場合、ポリエステルポリオール成分に対し、芳香族エステル化合物を0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%になるように添加するのが好ましい。また、A液とB液を混合してウレタン化反応を行う際に添加してもその反応の均一性が向上し、ひいては、得られる発泡体の均一性が向上する。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、ポリエステルポリオール成分と発泡剤の相溶性を、室温における発泡剤に対するポリエステルポリオール成分の溶解度(発泡剤中に溶解したポリエステルポリオール成分、重量%)で評価した。(「実施例1」「比較例1」「実施例2」「比較例2」)次に、モデル的にB液を調製し、その均一安定性を調べた。(「実施例3」「比較例3」「実施例4」「比較例4」)
【0022】
「実施例1」
芳香族エステル化合物を添加することで、ポリエステルポリオール成分と発泡剤の相溶性が向上することを、室温における発泡剤に対するポリエステルポリオール成分の溶解度(重量%)の向上で確認した。試験には、ポリエステルポリオール成分として、川崎化成工業製マキシモールRDK−133(酸価:0.56mgKOH/g、水酸基価:314mgKOH/g、水分:0.04%、粘度:2400mP・s)を用い、また、発泡剤としてはフロン系発泡剤として、HCFC−141b、HFC―365mfcを用いた。さらに非フロン系発泡剤であるペンタンについても試験し、その結果を「表1」に示した。
【0023】
「比較例1」
芳香族エステル化合物を添加しなかった他は「実施例1」と同様の試験をし、その結果を「表1」に示した。
【0024】
【表1】
【0025】
「実施例2」
ポリエステルポリオール成分として、ステファン製ステファンポールPS−3152(酸価:3.2mgKOH/g、水酸基価:318mgKOH/g、水分:0.06%、粘度:2300mP・s)を用いた他は「実施例1」と同様の試験をし、その結果を「表2」に示した。
【0026】
「比較例2」
芳香族エステル化合物を添加しなかった他は「実施例2」と同様の試験をし、その結果を「表2」に示した。
【0027】
【表2】
【0028】
「実施例3」
ポリエステルポリオール(マキシモールRDK−133)50gに芳香族エステル化合物としてフタル酸ジノニル1.0gを混合し、これにポリエーテルポリオール(旭硝子製エクセノールFD−590、水酸基価:468mgKOH/g、水分:0.03%、粘度:6900mP・s)50g、および発泡剤(HFC―365mfc)30gを加え、1分間振とう混合した。この液は速やかに均一な溶液となり、1ヶ月間室温で放置したが、均一溶液の状態を保持していた。
【0029】
「比較例3」
芳香族エステル化合物(フタル酸ジノニル)を添加せずに「実施例3」と同様の試験をした。その結果、均一溶液とはならずに懸濁液が得られた。
【0030】
「実施例4」
ポリエステルポリオール(ステファンポールPS−3152)50gに芳香族エステル化合物としてテレフタル酸ジノニル1.0gを混合し、これにポリエーテルポリオール(エクセノールFD−590)50g、および発泡剤(HFC―365mfc)30gを加え、1分間振とう混合した。その結果、速やかに均一溶液となり、1ヶ月間室温で放置したが、変化しなかった。
【0031】
「比較例4」
芳香族エステル化合物(テレフタル酸ジノニル)を添加せずに「実施例4」と同様の試験をした。その結果、均一溶液とはならずに懸濁液が得られた。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、硬質ポリウレタンフォーム製造における事前調製液であるポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分および発泡剤混合液の均一安定性が向上し、また、得られる発泡体の均一性が向上する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関するものであり、特に、ポリエステルポリオール成分と発泡剤の相溶性を向上させる方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
硬質ウレタンフォームは優れた断熱特性を有することから、一般建造物の断熱材として、また冷蔵庫、ショーケース等の断熱材としても、広く用いられている。硬質ウレタンフォームは、一般にポリイソシアネート成分液(以降A液と呼ぶ)と、ポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分及び発泡剤、さらに必要に応じて触媒や整泡剤等を混合した混合液(以降B液と呼ぶ)を用意し、A液とB液を混合して、短時間で発泡、硬化させる方法で製造される。従って、B液には均一安定性が求められ、好ましくは均一な溶液であることが求められる。
【0003】
旧来は発泡剤としてフロン系のCFC−11が、コストと使い勝手の良さから多用されていた。しかしながら、これはオゾン層を破壊することから一部の特殊な用途を除き、生産、使用ともに禁止された。これに代わって、フロン系発泡剤としてはオゾン層破壊係数の小さいHCFC−141bが使用されるようになった。しかしこのHCFC−141bもオゾン層破壊係数がゼロではなく、2003年末以降、使用が制限される予定である。代替品としてはHFC−245fa、HFC―365mfc等が想定されている。一方、非フロン系発泡剤としてペンタンやシクロペンタン等の低沸点炭化水素も用いられているが、引火性が高いので、取扱いにおいては十分な配慮、管理が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
いずれにしても、HCFC−141b、HFC−245fa、HFC―365mfc、ペンタン、シクロペンタン等、現在および将来使用が想定される発泡剤共通の欠点として、B液の主成分であるポリエーテルポリオール成分およびポリエステルポリオール成分との相溶性が悪いことが挙げられ、特にポリエステルポリオール成分との相溶性の悪さが問題である。相溶性が良ければ、均一安定性の良いB液が得られ、また、B液処方(ポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分およびその混合比率)を自由に組めることに繋がる。
【0005】
B液の均一安定化を図るために、一般的に整泡剤として、界面活性剤、特にノニオン系界面活性剤を添加することが広く行われているが、その効果は充分とは言えない。これを解決すべくポリエステルポリオール成分、ポリエーテルポリオール成分を工夫する方法も提案されている(例えば特開平8−104725)。これらの方法は、特定の目的が定まっているウレタンフォームを製造する場合には極めて有効であるが、一方、B液処方が限定され、残念ながら一般的な解決法となり得ない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決すべく、本発明者が鋭意検討した結果、ポリエステルポリオール成分と発泡剤の相溶性を改善するために、芳香族エステル化合物を添加することが極めて有効であることを見いだし、本発明に至った。
【0007】
即ち、本発明は(1)ポリイソシアネート成分、ポリエーテルポリオール成分及びポリエステルポリオール成分とを発泡剤存在下で反応させる硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、反応系内に芳香族エステル化合物を添加することを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法、(2)硬質ポリウレタンフォームの製造に使用される、少なくともポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分及び発泡剤からなる混合液であって、ポリエステルポリオールに対して0.1〜10重量%の芳香族エステル化合物を含有する混合液、(3)硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリエステルポリオール組成物であって、ポリエステルポリオールに対し0.1〜10重量%の芳香族エステル化合物を含有するポリエステルポリオール組成物を骨子とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてさらに詳しく述べる。本発明に於いて使用されるポリイソシアネート成分としては、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する有機化合物であれば特に限定されず、例えば、脂肪族系、脂環族系および芳香族系ポリイソシアネートまたはこれらの変性物が挙げられる。特に好ましくは、芳香族系ポリイソシアネートまたはこれらの変性物が挙げられ、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートおよびこれらのカルボジイミド変性物が挙げられる。
【0009】
本発明におけるポリエーテルポリオール成分としては、アルキレンオキシド重合物、シュガー重合物およびこれらのアミン変性物、ポリアミンとアルキレンオキシドの反応物等が挙げられる。ポリエーテルポリオール成分は、多品種市販されており、これら市販品を単独または混合して使用できる。
【0010】
ポリエステルポリオール成分も、各種ポリカルボン酸とポリオールから得られるポリエステルポリオールが多品種市販されており、これら市販品を単独または混合して使用できる。ポリエステルポリオールの原料ポリカルボン酸としては、ジまたはトリカルボン酸が挙げられ、好ましくは、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸およびこれらの酸無水物が挙げられる。更には、これら芳香族芳香族ポリカルボン酸に、若干の脂肪族ポリカルボン酸(コハク酸、マレイン酸、アジピン酸等)を混合したものでも良い。一方、ポリエステルポリオール製造の原料ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のジオールおよびトリオールが挙げられる。これらのうち、特に好ましくは、フタル酸、無水フタル酸又はテレフタル酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオール又はグリセリンから得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
【0011】
本発明の対象とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、ポリイソシアネート成分、ポリエーテルポリオール成分及びポリエステルポリオール成分とを発泡剤の存在下で反応させる方法を対象とするが、さらに、反応の促進と均一な発泡体を得るために、触媒や整泡剤が用いても良い。
【0012】
本発明における触媒としては、通常のウレタンフォームの製造に使用される公知の触媒がいずれも使用できる。例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン等のアミン系触媒が挙げられる。
【0013】
本発明における整泡剤しては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系界面活性剤を用いることができるが、ノニオン系界面活性剤が好ましく、特にシリコーン系界面活性剤がよく用いられる。
【0014】
本発明における発泡剤しては、フロン系のHCFC−141b、HCFC−123および次世代品と目されているHFC−245fa、HFC―365mfcが挙げられる。また、非フロン系としては、ペンタン、シクロペンタン等の低沸点炭化水素が挙げられる。
【0015】
本発明に於いて、反応系内に添加される芳香族エステル化合物は、下式1で示される芳香族エステルである。
【0016】
Ar−(COO−R)m (1)
(ここで、mは1〜4の整数を示す。また、Arは炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
【0017】
上式(1)の芳香族エステル化合物は、芳香族カルボン酸とアルコールのエステル化反応により容易に得られる。芳香族カルボン酸としては、炭素数6〜12の芳香族基を有する芳香族カルボン酸が挙げられ、具体的には、安息香酸、トルイル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフチル酸等が挙げられ、これらの酸無水物であっても良い。一方、アルコールとしては、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12のアルコールが挙げられ、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、ラウリルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。これらアルコールには、例えば、ブチルアルコールには、n−ブチルアルコールの他、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコールが含まれるように、各種異性体が含まれる。なお、芳香族エステル化合物の製造に使用するこれら芳香族カルボン酸およびアルコールは、単一であっても混合物であってもよい。
【0018】
勿論、用いるB液組成に対して、より効果を示す芳香族エステル化合物を選択することは重要であるが、コストおよび入手のし易さから、可塑剤として広く用いられているフタル酸ジオクチル、フタル酸ジノニル等が工業的に有利である。
【0019】
芳香族エステル化合物の添加量は、ポリエステルポリオール成分に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%である。添加量が0.1重量%より少なければ効果は認められず、10重量%以上では得られたウレタン発泡体の物性(強度、寸法安定性等)に悪影響を及ぼす他、添加した芳香族エステル化合物がにじみ出てくる等の不都合が生じる場合がある。
【0020】
芳香族エステル化合物の添加方法は、特に限定されない。例えばB液を調製する際に加えて混合液として提供しても良いし、予めポリエーテルポリオール成分またはポリエステルポリオール成分に加えて組成物として提供しても良い。この場合、ポリエステルポリオール成分に対し、芳香族エステル化合物を0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%になるように添加するのが好ましい。また、A液とB液を混合してウレタン化反応を行う際に添加してもその反応の均一性が向上し、ひいては、得られる発泡体の均一性が向上する。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、ポリエステルポリオール成分と発泡剤の相溶性を、室温における発泡剤に対するポリエステルポリオール成分の溶解度(発泡剤中に溶解したポリエステルポリオール成分、重量%)で評価した。(「実施例1」「比較例1」「実施例2」「比較例2」)次に、モデル的にB液を調製し、その均一安定性を調べた。(「実施例3」「比較例3」「実施例4」「比較例4」)
【0022】
「実施例1」
芳香族エステル化合物を添加することで、ポリエステルポリオール成分と発泡剤の相溶性が向上することを、室温における発泡剤に対するポリエステルポリオール成分の溶解度(重量%)の向上で確認した。試験には、ポリエステルポリオール成分として、川崎化成工業製マキシモールRDK−133(酸価:0.56mgKOH/g、水酸基価:314mgKOH/g、水分:0.04%、粘度:2400mP・s)を用い、また、発泡剤としてはフロン系発泡剤として、HCFC−141b、HFC―365mfcを用いた。さらに非フロン系発泡剤であるペンタンについても試験し、その結果を「表1」に示した。
【0023】
「比較例1」
芳香族エステル化合物を添加しなかった他は「実施例1」と同様の試験をし、その結果を「表1」に示した。
【0024】
【表1】
【0025】
「実施例2」
ポリエステルポリオール成分として、ステファン製ステファンポールPS−3152(酸価:3.2mgKOH/g、水酸基価:318mgKOH/g、水分:0.06%、粘度:2300mP・s)を用いた他は「実施例1」と同様の試験をし、その結果を「表2」に示した。
【0026】
「比較例2」
芳香族エステル化合物を添加しなかった他は「実施例2」と同様の試験をし、その結果を「表2」に示した。
【0027】
【表2】
【0028】
「実施例3」
ポリエステルポリオール(マキシモールRDK−133)50gに芳香族エステル化合物としてフタル酸ジノニル1.0gを混合し、これにポリエーテルポリオール(旭硝子製エクセノールFD−590、水酸基価:468mgKOH/g、水分:0.03%、粘度:6900mP・s)50g、および発泡剤(HFC―365mfc)30gを加え、1分間振とう混合した。この液は速やかに均一な溶液となり、1ヶ月間室温で放置したが、均一溶液の状態を保持していた。
【0029】
「比較例3」
芳香族エステル化合物(フタル酸ジノニル)を添加せずに「実施例3」と同様の試験をした。その結果、均一溶液とはならずに懸濁液が得られた。
【0030】
「実施例4」
ポリエステルポリオール(ステファンポールPS−3152)50gに芳香族エステル化合物としてテレフタル酸ジノニル1.0gを混合し、これにポリエーテルポリオール(エクセノールFD−590)50g、および発泡剤(HFC―365mfc)30gを加え、1分間振とう混合した。その結果、速やかに均一溶液となり、1ヶ月間室温で放置したが、変化しなかった。
【0031】
「比較例4」
芳香族エステル化合物(テレフタル酸ジノニル)を添加せずに「実施例4」と同様の試験をした。その結果、均一溶液とはならずに懸濁液が得られた。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、硬質ポリウレタンフォーム製造における事前調製液であるポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分および発泡剤混合液の均一安定性が向上し、また、得られる発泡体の均一性が向上する。
Claims (7)
- ポリイソシアネート成分、ポリエーテルポリオール成分及びポリエステルポリオール成分とを発泡剤存在下で反応させる硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、反応系内に芳香族エステル化合物を添加することを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
- 芳香族エステル化合物が下式(1)に示される化合物である請求項1に記載の方法。
Ar−(COO−R)m (1)
(ここで、mは1〜4の整数を示し、Arは炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を示す。) - 芳香族エステル化合物の添加量が、ポリエステルポリオールに対して、0.1〜10重量%である請求項1又は2に記載の方法。
- 硬質ポリウレタンフォームの製造に使用される、少なくともポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分及び発泡剤からなる混合液であって、ポリエステルポリオールに対して0.1〜10重量%の芳香族エステル化合物を含有する混合液。
- 芳香族エステル化合物として、上式(1)に示される化合物を用いる請求項4に記載の混合液。
- 硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリエステルポリオール組成物であって、ポリエステルポリオールに対し0.1〜10重量%の芳香族エステル化合物を含有するポリエステルポリオール組成物。
- 芳香族エステル化合物として、上式(1)に示される化合物を用いる請求項6に記載の組成物。
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