JP2004323612A - 硬質ポリウレタンフォームの製造方法、それに使用される混合液および組成物 - Google Patents
硬質ポリウレタンフォームの製造方法、それに使用される混合液および組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】発泡剤とポリオール成分、特にポリエステルポリオール成分との相溶性の悪さの問題を解決し、好適な硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【解決手段】ポリイソシアネート成分、ポリエーテルポリオール成分、およびポリエステルポリオール成分を含有する反応原料を、発泡剤の存在下に反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造するに当たり、反応原料中に、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールのモノアルキルエーテル系エステル化合物を存在させる。
【効果】上記課題が解決される。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリイソシアネート成分、ポリエーテルポリオール成分、およびポリエステルポリオール成分を含有する反応原料を、発泡剤の存在下に反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造するに当たり、反応原料中に、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールのモノアルキルエーテル系エステル化合物を存在させる。
【効果】上記課題が解決される。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質ポリウレタンフォームの製造方法、その際使用される原料混合物、および組成物に関する。さらに詳しくは、ポリエステルポリオール成分と発泡剤との相溶性が改善された、硬質ポリウレタンフォームの製造方法、その際使用される原料混合物、およびその際使用される原料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
硬質ウレタンフォームは、一般に、優れた断熱特性を有することから、冷凍庫、冷蔵庫、各種建造物、各種車両、ショーケースなどの断熱壁構成部材として、広く使用されている。硬質ウレタンフォームは、一般に、ポリイソシアネート成分からなる液(以下、A液という)と、ポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分、および発泡剤、さらに必要に応じて、触媒や整泡剤などを混合したポリオール成分混合液(以下、B液という)とを用意し、A液とB液とを混合して、短時間で発泡・硬化させる方法によって製造される。従って、B液は、各成分が均一に混合されていること(均一性)と、長期間保存しても変質しないこと(保存安定性)が要求される。ここで保存安定性とは、B液を調製されてから実際に使用されるまでの期間が長くても、懸濁や相分離などの変質が生じないことを意味する。
【0003】
従来、発泡剤としては、コストと使い易さの観点から、フロン系のCFC−11が多用されていた。しかしながら、このCFC−11はオゾン層を破壊する原因物質であることが確認されてから、一部の特殊な用途を除いて生産、使用ともに禁止された。これに代わるフロン系発泡剤として、オゾン層破壊係数の小さいHCFC−141bが使用されるようになった。しかしながら、HCFC−141bもオゾン層破壊係数がゼロではないので、将来、使用が制限される可能性もある。その代替品として、HFC−245fa、HFC―365mfcなどが想定されている。一方、非フロン系発泡剤として、ペンタンやシクロペンタンなどの低沸点炭化水素も使用されているが、引火性が高いので、取扱う際に十分な注意と管理が必要であるなどの難点がある。
【0004】
ところで、HCFC−141b、HFC−245fa、HFC―365mfc、ペンタン、シクロペンタンなどの、現在使用されている発泡剤、および将来使用が想定される発泡剤には、B液の主成分であるポリエーテルポリオール成分、および、ポリエステルポリオール成分との相溶性が悪いという、共通した欠点がある。特に、ポリエステルポリオール成分との相溶性の悪さが大きな問題である。各原料成分同士の相溶性が良ければ、均一性と安定性に優れたB液が得られ、また、ポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分などの種類、混合比率などを自由に選択することができ、B液を調製する際の自由度を高めることができる。
【0005】
あらかじめ調製したB液の均一性と保存安定性を向上させるために、一般に整泡剤として、界面活性剤、特にノニオン系界面活性剤を添加する手法が採用されているが、その効果は充分とはいえない。また、フロン系発泡剤の相溶性が悪いという問題を解決すべく、ポリエステルポリオール成分、および、ポリエーテルポリオール成分を工夫する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。これらの方法は、特定の目的のためにポリウレタンフォームを製造する場合には有効であるが、B液を調製する際の自由度が制限されるので、一般的な解決法とはいえない。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−104725号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記ポリエステルポリオール成分と発泡剤との相溶性を向上させた、硬質ポリウレタンフォームの製造技術を提供すべく、鋭意検討した結果本発明を完成するに至った。本発明の目的は、次のとおりである。
(1) 硬質ポリウレタンフォームの製造用原料のポリエーテルポリオール成分やポリエステルポリオール成分と、発泡剤との相溶性を改良した硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供すること。
(2) 各成分が均一に混合されて均一性に優れた、発泡剤を含む硬質ポリウレタンフォームの製造用混合液を提供すること。
(3) 長期間保存しても変質せず保存安定性に優れた、発泡剤を含む硬質ポリウレタンフォームの製造用組成物を提供すること。
【008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を解決するために、第一発明では、ポリイソシアネート成分(a)、ポリエーテルポリオール成分(b)、および、ポリエステルポリオール成分(c)を含有する反応原料を、発泡剤(e)の存在下に反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造するに当たり、反応原料中に、エチレングリコールおよびポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一種のグリコール(以下、エチレングリコール類という)のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を存在させることを特徴とする、硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【0009】
また、第二発明では、ポリエーテルポリオール成分(b)、ポリエステルポリオール成分(c)、および発泡剤(e)を含有する混合液であって、ポリエステルポリオール成分に対して、0.1〜30重量%のエチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を含有することを特徴とする、硬質ポリウレタンフォーム製造用のポリオール成分混合液を提供する。
【0010】
さらに第三発明では、ポリエステルポリオール成分(c)と、ポリエステルポリオール成分(c)に対し0.1〜30重量%のエチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を含有することを特徴とする、硬質ポリウレタンフォーム製造用のポリエステルポリオール組成物を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明方法においては、硬質ポリウレタンフォームは、ポリイソシアネート成分(a)、ポリエーテルポリオール成分(b)、および、ポリエステルポリオール成分(c)を含有する反応原料を、発泡剤(e)の存在下に反応させることによって製造することができる。
【0012】
製造原料としてのポリイソシアネート成分(a)としては、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物であればよく、特に限定されない。例えば、脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネート、および芳香族系ポリイソシアネート、またはこれらの変性物が挙げられる。好ましいの、芳香族系ポリイソシアネート、またはこれらの変性物であり、その具体例としては、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、およびこれらのカルボジイミド変性物が挙げられる。
【0013】
ポリエーテルポリオール成分(b)としては、アルキレンオキシド重合物、糖重合物、およびこれらのアミン変性物、ポリアミンとアルキレンオキシドの反応物などが挙げられる。ポリエーテルポリオール成分は、多種類市販されており、これら市販品を単独でまたは二種以上を混合して使用することができる。
【0014】
ポリエステルポリオール成分(b)としては、ポリカルボン酸(b1)とポリオール(b2)との反応によって得られるポリエステルポリオールが挙げられる。ポリエステルポリオール成分(b)も多種類市販されており、これら市販品を単独でまたは二種以上を混合して使用することができる。上記ポリエステルポリオール成分(b)の原料ポリカルボン酸(b1)としては、芳香族ジカルボン酸または芳香族トリカルボン酸が挙げられ、好ましいのは、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸、およびこれらの酸無水物である。さらに、これら芳香族ポリカルボン酸に、若干量のコハク酸、マレイン酸、アジピン酸などの脂肪族ポリカルボン酸を混合したものであってもよい。
【0015】
一方、上記ポリエステルポリオール成分(c)の原料ポリオール(b2)としては、通常、ポリエステルポリオールの製造に使用される各種のポリオールが使用される。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジオールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパンなどのトリオール類が挙げられる。これら各原料から得られるポリエステルポリオールのうち好適なものは、フタル酸、無水フタル酸、またはテレフタル酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオール、またはグリセリンとから得られるポリエステルポリオールである。
【0016】
本発明に係る製造方法では、ポリイソシアネート成分(a)、ポリエーテルポリオール成分(b)、および、ポリエステルポリオール成分(c)を含有する反応原料を、発泡剤(e)の存在下に、反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造するに際して、反応原料中にエチレングリコール、およびポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一種のグリコール、即ちエチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を存在させる。エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)は、好ましくは下記一般式[I]で表される化合物である。
【0017】
【化4】
【0018】
一般式[I]において、mは1〜4の整数であるが、好ましいの1〜2である。nは1〜4の整数であるが、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1または2である。また、R1は炭素数2〜20の炭化水素基を表し、芳香族であっても脂肪族であってもよい。R2は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
【0019】
上記エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)は、エチレングリコール類のモノアルキルエーテルと、芳香族カルボン酸、または、脂肪族カルボン酸とのエステル化反応により容易に得ることができる。上記エチレングリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびテトラエチレングリコールが挙げられ、中でも好ましいのは、エチレングリコールおよびジエチレングリコールである。
【0020】
上記エチレングリコール類のモノアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテルなどが挙げられる。これらアルキルエーテル中のアルキル基には、例えば、ブチル基にn−ブチル、s−ブチル、t−ブチル各基が含まれるように、各種異性体が含まれる。これらエチレングリコール類のモノアルキルエーテルは、単独でも二種以上の混合物であってもよい。
【0021】
芳香族カルボン酸としては、炭素数6〜12の芳香族基を有する芳香族カルボン酸が挙げられる。より具体的には、安息香酸、トルイル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフチル酸、およびこれらの酸無水物などである。上記脂肪族カルボン酸としては、炭素数2〜20のカルボン酸が挙げられる。より具体的には、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸などが挙げられる。これら脂肪族カルボン酸には、例えば、ブタン酸にn−ブタン酸の外、s−ブタン酸、イソブタン酸、t−ブタン酸が含まれるように、各種の異性体が含まれる。なお、エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)の製造に使用される、これら芳香族カルボン酸および脂肪族カルボン酸は、単独でも二種以上の混合物であってもよい。
【0022】
エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)の選択に関しては、用いるB液組成に対してより効果を発揮する化合物を選択することが重要である。コストおよび入手の容易性の観点から、一般にフタル酸ビスブチルグリコール[即ち、フタル酸ビス(ブトキシエチル)]、アジピン酸ビスブチルジグリコール[即ち、アジピン酸ビス(ブトキシエトキシエチル)]などが、工業的に有利である。
【0023】
エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)の添加量は、ポリエステルポリオール成分(b)に対して、0.1〜30重量%が好ましい。添加量が0.1重量%より少なければ効果が小さくなり易く、他方、30重量%を越えると得られたポリウレタンフォームの強度、寸法安定性等の物性に悪影響を及ぼす恐れがあり、添加したエチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物が滲出するなどの不都合が生じる傾向があり、いずれも好ましくない。上記範囲でより好ましいのは、0.2〜20重量%である。
【0024】
反応原料中にエチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を存在させる(含ませる)方法は、特に限定されない。例えば、(1)ポリエーテルポリオール成分(b)、ポリエステルポリオール成分(b)、および発泡剤(e)、さらに必要に応じて、触媒(f)や整泡剤(g)などを混合して、ポリオール成分混合液であるB液を調製する際に、エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を加えて混合液とする方法、(2)あらかじめポリエーテルポリオール成分(b)、またはポリエステルポリオール成分(c)、特に、ポリエステルポリオール成分(b)に加えてポリオール組成物とする方法、(3)エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を、A液とB液とを混合してウレタン化反応を行わせる際に添加する方法、などが挙げられる。上記(3)の方法によると、発泡ウレタンの均一性が向上する。
【0025】
本発明方法によるときは、上記のとおり、ポリイソシアネート成分(a)、ポリエーテルポリオール成分(b)、ポリエステルポリオール成分(c)、および、エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を含有する反応原料を、発泡剤(e)の存在下に反応させることによって硬質ポリウレタンフォームを製造するが、反応原料をさらに、反応の促進および均一な発泡体の形成のために触媒(f)や、整泡剤(g)を添加(混合)する(含ませる)こともできる。
【0026】
上記発泡剤としては、フロン系発泡剤としてHCFC−141b、HCFC−123および次世代品と目されているHFC−245fa、HFC―365mfcが挙げられる。また、非フロン系発泡剤としては、ペンタン、シクロペンタン等の低沸点炭化水素が挙げられる。
【0027】
触媒(f)としては、通常のポリウレタンフォームの製造に使用される従来から知られているものを、制限なく使用することができる。例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミンなどのアミン系触媒が挙げられる。整泡剤(g)としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、および、カチオン系界面活性剤が挙げられる。中でも好ましいのはノニオン系界面活性剤であり、特に好ましいのはシリコーン系界面活性剤である。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の具体的態様を、実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0029】
なお、以下に記載の例において、原料組成物などの評価試験は、次の方法で測定した。
(1)酸価:JIS K15571970に準拠した測定した。
(2)水酸基価:JIS K15571970に準拠した測定した。
(3)組成物に対する発泡剤の溶解度(重量%):室温、大気圧下の解放系において、所定量のポリエステルポリオールに、攪拌下に発泡剤としてのHCFC−141b、HFC―245fa、シクロペンタンの3種につき、それぞれ別々に徐々に添加し、混合物を目視観察し、混合物が透明を維持できる最大添加量を溶解度とした。
(4)粘度:回転粘度計(B型粘度計)を使用し、25℃で測定した。
【0030】
[実施例1〜実施例7]
容量が500ミリリットルのガラス製容器に、ポリエステルポリオール成分(川崎化成工業社製、商品名:マキシモールRDK−133、酸価:0.56mgKOH/g、水酸基価:314mgKOH/g、水分:0.04%、粘度:2400mPa・s)を採取した。容器に、表−1に示す量のエチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を、同表に示した量あて秤量し添加し、攪拌混合してポリエステルポリオール組成物を調製した。得られた組成物につき、上記方法で各種発泡剤の溶解度(重量%)を測定した。測定結果を、表−1に示した。
【0031】
[比較例1]
実施例1に記載の例において、エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を添加しなかった外は、実施例1におけると同様の手順で、ポリエステルポリオール組成物を調製した。得られた組成物につき、上記方法で各種発泡剤の溶解度を測定した。測定結果を、表−1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
表−1より、次のことが明らかである。
(1)ポリエステルポリオール成分(c)に対して、エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を添加して調製された実施例1〜実施例8のポリエステルポリオール組成物は、ポリエステルポリオール成分(c)に対する発泡剤(e)の溶解度が高く、両者の相溶性が優れている。
(2) これに対して、エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)が添加されていない比較例1のポリエステルポリオール組成物は、エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)に対する発泡剤(e)の溶解度が低く、両者の相溶性が優れているとはいえない。
【0034】
[実施例8]
実施例1で使用した同じガラス製容器に、ポリエステルポリオール(実施例1に記載したものと同種)50gを秤量して入れ、さらに、フタル酸ビスブチルグリコール5.0gを秤量して加え、混合した。この混合物に、ポリエーテルポリオール(旭硝子社製、商品名:エクセノールFD−590、水酸基価:468mgKOH/g、水分:0.03%、粘度:6900mPa・s)50g、および、発泡剤(HFC―365mfc)30gを加え、1分間振とう混合してポリオール成分混合液を調製した。この混合液は、速やかに各成分が均一に混合された。また、この混合物を室温で1ヶ月間放置した後に目視観察したところ、混合液は相分離や懸濁などの変質は起こらず、均一な溶液状態を保持していた。
【0035】
[比較例2]
実施例8に記載の例において、フタル酸ビスブチルグリコールを添加しなかった外は、同例におけると同様の手順で、混合液を調製した。振とう混合時間を長くしても、混合液は懸濁状態を呈し均一な溶液が得られなかった。
【0036】
【発明の効果】
本発明は、以上詳細に説明した通りであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大きい。
1.本発明に係る硬質ポリウレタンフォームの製造方法によれば、ポリイソシアネート成分(a)、ポリエーテルポリオール成分(b)、および、ポリエステルポリオール成分(c)を含有する反応原料に、エチレングリコールおよびポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一種のグリコールのモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を存在させるので、均一なフォームの硬質ポリウレタンフォームが得られる。
2.本発明によれば、発泡剤との相溶性の良好なポリエステルポリオール組成物が提供され、また、硬質ポリウレタンフォームを製造際に好適に使用される均一安定性の良いB液が得られる。
3.本発明によれば、B液を調製する際に、ポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分などの種類、および、その混合比率などを自由に変更することができるので、B液を調製する際の自由度が大幅に高まる。
4.本発明によれば、硬質ポリウレタンフォーム製造用組成物であるポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分、および発泡剤を含む組成物は、長期間変質せず貯蔵安定性に優れているので、組成物を調整してから実際に使用されるまでの期間が長くても、変質し難く商品価値が高い。
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質ポリウレタンフォームの製造方法、その際使用される原料混合物、および組成物に関する。さらに詳しくは、ポリエステルポリオール成分と発泡剤との相溶性が改善された、硬質ポリウレタンフォームの製造方法、その際使用される原料混合物、およびその際使用される原料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
硬質ウレタンフォームは、一般に、優れた断熱特性を有することから、冷凍庫、冷蔵庫、各種建造物、各種車両、ショーケースなどの断熱壁構成部材として、広く使用されている。硬質ウレタンフォームは、一般に、ポリイソシアネート成分からなる液(以下、A液という)と、ポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分、および発泡剤、さらに必要に応じて、触媒や整泡剤などを混合したポリオール成分混合液(以下、B液という)とを用意し、A液とB液とを混合して、短時間で発泡・硬化させる方法によって製造される。従って、B液は、各成分が均一に混合されていること(均一性)と、長期間保存しても変質しないこと(保存安定性)が要求される。ここで保存安定性とは、B液を調製されてから実際に使用されるまでの期間が長くても、懸濁や相分離などの変質が生じないことを意味する。
【0003】
従来、発泡剤としては、コストと使い易さの観点から、フロン系のCFC−11が多用されていた。しかしながら、このCFC−11はオゾン層を破壊する原因物質であることが確認されてから、一部の特殊な用途を除いて生産、使用ともに禁止された。これに代わるフロン系発泡剤として、オゾン層破壊係数の小さいHCFC−141bが使用されるようになった。しかしながら、HCFC−141bもオゾン層破壊係数がゼロではないので、将来、使用が制限される可能性もある。その代替品として、HFC−245fa、HFC―365mfcなどが想定されている。一方、非フロン系発泡剤として、ペンタンやシクロペンタンなどの低沸点炭化水素も使用されているが、引火性が高いので、取扱う際に十分な注意と管理が必要であるなどの難点がある。
【0004】
ところで、HCFC−141b、HFC−245fa、HFC―365mfc、ペンタン、シクロペンタンなどの、現在使用されている発泡剤、および将来使用が想定される発泡剤には、B液の主成分であるポリエーテルポリオール成分、および、ポリエステルポリオール成分との相溶性が悪いという、共通した欠点がある。特に、ポリエステルポリオール成分との相溶性の悪さが大きな問題である。各原料成分同士の相溶性が良ければ、均一性と安定性に優れたB液が得られ、また、ポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分などの種類、混合比率などを自由に選択することができ、B液を調製する際の自由度を高めることができる。
【0005】
あらかじめ調製したB液の均一性と保存安定性を向上させるために、一般に整泡剤として、界面活性剤、特にノニオン系界面活性剤を添加する手法が採用されているが、その効果は充分とはいえない。また、フロン系発泡剤の相溶性が悪いという問題を解決すべく、ポリエステルポリオール成分、および、ポリエーテルポリオール成分を工夫する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。これらの方法は、特定の目的のためにポリウレタンフォームを製造する場合には有効であるが、B液を調製する際の自由度が制限されるので、一般的な解決法とはいえない。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−104725号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記ポリエステルポリオール成分と発泡剤との相溶性を向上させた、硬質ポリウレタンフォームの製造技術を提供すべく、鋭意検討した結果本発明を完成するに至った。本発明の目的は、次のとおりである。
(1) 硬質ポリウレタンフォームの製造用原料のポリエーテルポリオール成分やポリエステルポリオール成分と、発泡剤との相溶性を改良した硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供すること。
(2) 各成分が均一に混合されて均一性に優れた、発泡剤を含む硬質ポリウレタンフォームの製造用混合液を提供すること。
(3) 長期間保存しても変質せず保存安定性に優れた、発泡剤を含む硬質ポリウレタンフォームの製造用組成物を提供すること。
【008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を解決するために、第一発明では、ポリイソシアネート成分(a)、ポリエーテルポリオール成分(b)、および、ポリエステルポリオール成分(c)を含有する反応原料を、発泡剤(e)の存在下に反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造するに当たり、反応原料中に、エチレングリコールおよびポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一種のグリコール(以下、エチレングリコール類という)のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を存在させることを特徴とする、硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【0009】
また、第二発明では、ポリエーテルポリオール成分(b)、ポリエステルポリオール成分(c)、および発泡剤(e)を含有する混合液であって、ポリエステルポリオール成分に対して、0.1〜30重量%のエチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を含有することを特徴とする、硬質ポリウレタンフォーム製造用のポリオール成分混合液を提供する。
【0010】
さらに第三発明では、ポリエステルポリオール成分(c)と、ポリエステルポリオール成分(c)に対し0.1〜30重量%のエチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を含有することを特徴とする、硬質ポリウレタンフォーム製造用のポリエステルポリオール組成物を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明方法においては、硬質ポリウレタンフォームは、ポリイソシアネート成分(a)、ポリエーテルポリオール成分(b)、および、ポリエステルポリオール成分(c)を含有する反応原料を、発泡剤(e)の存在下に反応させることによって製造することができる。
【0012】
製造原料としてのポリイソシアネート成分(a)としては、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物であればよく、特に限定されない。例えば、脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネート、および芳香族系ポリイソシアネート、またはこれらの変性物が挙げられる。好ましいの、芳香族系ポリイソシアネート、またはこれらの変性物であり、その具体例としては、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、およびこれらのカルボジイミド変性物が挙げられる。
【0013】
ポリエーテルポリオール成分(b)としては、アルキレンオキシド重合物、糖重合物、およびこれらのアミン変性物、ポリアミンとアルキレンオキシドの反応物などが挙げられる。ポリエーテルポリオール成分は、多種類市販されており、これら市販品を単独でまたは二種以上を混合して使用することができる。
【0014】
ポリエステルポリオール成分(b)としては、ポリカルボン酸(b1)とポリオール(b2)との反応によって得られるポリエステルポリオールが挙げられる。ポリエステルポリオール成分(b)も多種類市販されており、これら市販品を単独でまたは二種以上を混合して使用することができる。上記ポリエステルポリオール成分(b)の原料ポリカルボン酸(b1)としては、芳香族ジカルボン酸または芳香族トリカルボン酸が挙げられ、好ましいのは、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸、およびこれらの酸無水物である。さらに、これら芳香族ポリカルボン酸に、若干量のコハク酸、マレイン酸、アジピン酸などの脂肪族ポリカルボン酸を混合したものであってもよい。
【0015】
一方、上記ポリエステルポリオール成分(c)の原料ポリオール(b2)としては、通常、ポリエステルポリオールの製造に使用される各種のポリオールが使用される。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジオールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパンなどのトリオール類が挙げられる。これら各原料から得られるポリエステルポリオールのうち好適なものは、フタル酸、無水フタル酸、またはテレフタル酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオール、またはグリセリンとから得られるポリエステルポリオールである。
【0016】
本発明に係る製造方法では、ポリイソシアネート成分(a)、ポリエーテルポリオール成分(b)、および、ポリエステルポリオール成分(c)を含有する反応原料を、発泡剤(e)の存在下に、反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造するに際して、反応原料中にエチレングリコール、およびポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一種のグリコール、即ちエチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を存在させる。エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)は、好ましくは下記一般式[I]で表される化合物である。
【0017】
【化4】
【0018】
一般式[I]において、mは1〜4の整数であるが、好ましいの1〜2である。nは1〜4の整数であるが、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1または2である。また、R1は炭素数2〜20の炭化水素基を表し、芳香族であっても脂肪族であってもよい。R2は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
【0019】
上記エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)は、エチレングリコール類のモノアルキルエーテルと、芳香族カルボン酸、または、脂肪族カルボン酸とのエステル化反応により容易に得ることができる。上記エチレングリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびテトラエチレングリコールが挙げられ、中でも好ましいのは、エチレングリコールおよびジエチレングリコールである。
【0020】
上記エチレングリコール類のモノアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテルなどが挙げられる。これらアルキルエーテル中のアルキル基には、例えば、ブチル基にn−ブチル、s−ブチル、t−ブチル各基が含まれるように、各種異性体が含まれる。これらエチレングリコール類のモノアルキルエーテルは、単独でも二種以上の混合物であってもよい。
【0021】
芳香族カルボン酸としては、炭素数6〜12の芳香族基を有する芳香族カルボン酸が挙げられる。より具体的には、安息香酸、トルイル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフチル酸、およびこれらの酸無水物などである。上記脂肪族カルボン酸としては、炭素数2〜20のカルボン酸が挙げられる。より具体的には、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸などが挙げられる。これら脂肪族カルボン酸には、例えば、ブタン酸にn−ブタン酸の外、s−ブタン酸、イソブタン酸、t−ブタン酸が含まれるように、各種の異性体が含まれる。なお、エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)の製造に使用される、これら芳香族カルボン酸および脂肪族カルボン酸は、単独でも二種以上の混合物であってもよい。
【0022】
エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)の選択に関しては、用いるB液組成に対してより効果を発揮する化合物を選択することが重要である。コストおよび入手の容易性の観点から、一般にフタル酸ビスブチルグリコール[即ち、フタル酸ビス(ブトキシエチル)]、アジピン酸ビスブチルジグリコール[即ち、アジピン酸ビス(ブトキシエトキシエチル)]などが、工業的に有利である。
【0023】
エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)の添加量は、ポリエステルポリオール成分(b)に対して、0.1〜30重量%が好ましい。添加量が0.1重量%より少なければ効果が小さくなり易く、他方、30重量%を越えると得られたポリウレタンフォームの強度、寸法安定性等の物性に悪影響を及ぼす恐れがあり、添加したエチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物が滲出するなどの不都合が生じる傾向があり、いずれも好ましくない。上記範囲でより好ましいのは、0.2〜20重量%である。
【0024】
反応原料中にエチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を存在させる(含ませる)方法は、特に限定されない。例えば、(1)ポリエーテルポリオール成分(b)、ポリエステルポリオール成分(b)、および発泡剤(e)、さらに必要に応じて、触媒(f)や整泡剤(g)などを混合して、ポリオール成分混合液であるB液を調製する際に、エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を加えて混合液とする方法、(2)あらかじめポリエーテルポリオール成分(b)、またはポリエステルポリオール成分(c)、特に、ポリエステルポリオール成分(b)に加えてポリオール組成物とする方法、(3)エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を、A液とB液とを混合してウレタン化反応を行わせる際に添加する方法、などが挙げられる。上記(3)の方法によると、発泡ウレタンの均一性が向上する。
【0025】
本発明方法によるときは、上記のとおり、ポリイソシアネート成分(a)、ポリエーテルポリオール成分(b)、ポリエステルポリオール成分(c)、および、エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を含有する反応原料を、発泡剤(e)の存在下に反応させることによって硬質ポリウレタンフォームを製造するが、反応原料をさらに、反応の促進および均一な発泡体の形成のために触媒(f)や、整泡剤(g)を添加(混合)する(含ませる)こともできる。
【0026】
上記発泡剤としては、フロン系発泡剤としてHCFC−141b、HCFC−123および次世代品と目されているHFC−245fa、HFC―365mfcが挙げられる。また、非フロン系発泡剤としては、ペンタン、シクロペンタン等の低沸点炭化水素が挙げられる。
【0027】
触媒(f)としては、通常のポリウレタンフォームの製造に使用される従来から知られているものを、制限なく使用することができる。例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミンなどのアミン系触媒が挙げられる。整泡剤(g)としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、および、カチオン系界面活性剤が挙げられる。中でも好ましいのはノニオン系界面活性剤であり、特に好ましいのはシリコーン系界面活性剤である。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の具体的態様を、実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0029】
なお、以下に記載の例において、原料組成物などの評価試験は、次の方法で測定した。
(1)酸価:JIS K15571970に準拠した測定した。
(2)水酸基価:JIS K15571970に準拠した測定した。
(3)組成物に対する発泡剤の溶解度(重量%):室温、大気圧下の解放系において、所定量のポリエステルポリオールに、攪拌下に発泡剤としてのHCFC−141b、HFC―245fa、シクロペンタンの3種につき、それぞれ別々に徐々に添加し、混合物を目視観察し、混合物が透明を維持できる最大添加量を溶解度とした。
(4)粘度:回転粘度計(B型粘度計)を使用し、25℃で測定した。
【0030】
[実施例1〜実施例7]
容量が500ミリリットルのガラス製容器に、ポリエステルポリオール成分(川崎化成工業社製、商品名:マキシモールRDK−133、酸価:0.56mgKOH/g、水酸基価:314mgKOH/g、水分:0.04%、粘度:2400mPa・s)を採取した。容器に、表−1に示す量のエチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を、同表に示した量あて秤量し添加し、攪拌混合してポリエステルポリオール組成物を調製した。得られた組成物につき、上記方法で各種発泡剤の溶解度(重量%)を測定した。測定結果を、表−1に示した。
【0031】
[比較例1]
実施例1に記載の例において、エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を添加しなかった外は、実施例1におけると同様の手順で、ポリエステルポリオール組成物を調製した。得られた組成物につき、上記方法で各種発泡剤の溶解度を測定した。測定結果を、表−1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
表−1より、次のことが明らかである。
(1)ポリエステルポリオール成分(c)に対して、エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を添加して調製された実施例1〜実施例8のポリエステルポリオール組成物は、ポリエステルポリオール成分(c)に対する発泡剤(e)の溶解度が高く、両者の相溶性が優れている。
(2) これに対して、エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)が添加されていない比較例1のポリエステルポリオール組成物は、エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)に対する発泡剤(e)の溶解度が低く、両者の相溶性が優れているとはいえない。
【0034】
[実施例8]
実施例1で使用した同じガラス製容器に、ポリエステルポリオール(実施例1に記載したものと同種)50gを秤量して入れ、さらに、フタル酸ビスブチルグリコール5.0gを秤量して加え、混合した。この混合物に、ポリエーテルポリオール(旭硝子社製、商品名:エクセノールFD−590、水酸基価:468mgKOH/g、水分:0.03%、粘度:6900mPa・s)50g、および、発泡剤(HFC―365mfc)30gを加え、1分間振とう混合してポリオール成分混合液を調製した。この混合液は、速やかに各成分が均一に混合された。また、この混合物を室温で1ヶ月間放置した後に目視観察したところ、混合液は相分離や懸濁などの変質は起こらず、均一な溶液状態を保持していた。
【0035】
[比較例2]
実施例8に記載の例において、フタル酸ビスブチルグリコールを添加しなかった外は、同例におけると同様の手順で、混合液を調製した。振とう混合時間を長くしても、混合液は懸濁状態を呈し均一な溶液が得られなかった。
【0036】
【発明の効果】
本発明は、以上詳細に説明した通りであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大きい。
1.本発明に係る硬質ポリウレタンフォームの製造方法によれば、ポリイソシアネート成分(a)、ポリエーテルポリオール成分(b)、および、ポリエステルポリオール成分(c)を含有する反応原料に、エチレングリコールおよびポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一種のグリコールのモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を存在させるので、均一なフォームの硬質ポリウレタンフォームが得られる。
2.本発明によれば、発泡剤との相溶性の良好なポリエステルポリオール組成物が提供され、また、硬質ポリウレタンフォームを製造際に好適に使用される均一安定性の良いB液が得られる。
3.本発明によれば、B液を調製する際に、ポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分などの種類、および、その混合比率などを自由に変更することができるので、B液を調製する際の自由度が大幅に高まる。
4.本発明によれば、硬質ポリウレタンフォーム製造用組成物であるポリエーテルポリオール成分、ポリエステルポリオール成分、および発泡剤を含む組成物は、長期間変質せず貯蔵安定性に優れているので、組成物を調整してから実際に使用されるまでの期間が長くても、変質し難く商品価値が高い。
Claims (7)
- ポリイソシアネート成分(a)、ポリエーテルポリオール成分(b)、および、ポリエステルポリオール成分(c)を含有する反応原料を、発泡剤(e)の存在下に反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造するに当たり、反応原料中に、エチレングリコールおよびポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一種のグリコール(以下、エチレングリコール類という)のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を存在させることを特徴とする、硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
- エチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)の使用量が、ポリエステルポリオール成分(C)に対して0.1〜30重量%である、請求項1まはた請求項2に記載の硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
- ポリエーテルポリオール成分(b)、ポリエステルポリオール成分(c)、および発泡剤(e)を含有する混合液であって、ポリエステルポリオール成分に対して、0.1〜30重量%のエチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を含有することを特徴とする、硬質ポリウレタンフォーム製造用のポリオール成分混合液。
- ポリエステルポリオール成分(c)と、ポリエステルポリオール成分(c)に対し0.1〜30重量%のエチレングリコール類のモノアルキルエーテル系エステル化合物(d)を含有することを特徴とする、硬質ポリウレタンフォーム製造用のポリエステルポリオール組成物。
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