JP2004099518A - キノンモノオキシム誘導体 - Google Patents
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Abstract
【課題】悪性固形腫瘍に対して優れた抗腫瘍効果を示す制癌剤の開発が望まれる。
【解決手段】一般式(1)
【化1】
[式中、Q、R、S、T、U、V、W、X及びYは、互いに等しくても異なってもよく、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のモノアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよい複素5〜7員環を形成するための官能基を示す。Zは水酸基又は置換基を有してもよい炭素数1〜7のアルコキシ基を示す。]で表わされる新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩、を開示する。
【解決手段】一般式(1)
【化1】
[式中、Q、R、S、T、U、V、W、X及びYは、互いに等しくても異なってもよく、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のモノアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよい複素5〜7員環を形成するための官能基を示す。Zは水酸基又は置換基を有してもよい炭素数1〜7のアルコキシ基を示す。]で表わされる新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩、を開示する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば制癌剤等の医薬品として期待されるキノンオキシム誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
悪性腫瘍は正常の制御機構からはずれて生体内で増殖を続け、治療をしなければ宿主の死を招くような細胞群を指す。悪性腫瘍は外科的な切除、放射線照射、または化学療法で治療するのが一般的であるが、特に悪性固形腫瘍の治療法の第一選択は外科的手術である。放射線療法および化学療法は、手術前後の補助療法、あるいは手術による治療が不可能と思われる悪性固形腫瘍の治療方法として用いられるのが一般的である。このように、特に化学療法が悪性固形腫瘍に対して主たる治療方法ではないことは、従来までにこれに対する極めて有効な制癌剤が存在しなかったからである。
なお、2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン、2−(7−メトキシ−2−メチルベンゾ[b]フラン−4−イル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン及び2−(3,4−ジメトキシ−2−メトキシカルボニルフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オンは、既に非特許文献1(第27回複素環化学討論会講演要旨集3A−04(1996年))、非特許文献2(Tetrahedron,51(31),8447(1995))、非特許文献3(J.Org.Chem.61(8),2774(1996))に記載された合成化合物であるが、これらの文献には上記化合物の如何なる薬理活性について開示も示唆もされていない。
【0003】
【非特許文献1】
石川勉,外3名「第27回複素環化学討論会講演要旨集」,1996年,3A−04(P.292−295)
【非特許文献2】
T.Ishikawa,外2名「Tetrahedron」,1995年,51巻,31号,P8447−8458
【非特許文献3】
T.Ishikawa,外6名「J.Org.Chem.」,1996年,61巻,8号,P.2774−2779
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の通り、悪性固形腫瘍に対する主な治療方法は、現在のところ外科的手術であるが、これは癌患者に対して肉体的、精神的な苦痛が大きく、さらに腫瘍が転移していれば切除は広範囲にわたることとなり、技術的にも困難を極めているのが現状である。術前あるいは術後での化学療法は、手術によって切除できない腫瘍を縮小・消失させ、さらには術後の再発を予防するために必要不可欠である。以上の現状を踏まえ、悪性固形腫瘍に対して優れた抗腫瘍効果を示す制癌剤の開発が望まれる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記作用を示す制癌剤を見出すべく鋭意研究を行った結果、本発明のキノンオキシム誘導体が、in vitroおよびin vivoにおいて強い細胞増殖阻害活性を示すことを見出して、本発明を完成した。
即ち、本発明は次の(1)〜(17)に関するものである。
【0006】
(1) 一般式(1)
【化3】
【0007】
[式中、Q、R、S、T、U、V、W、X及びYは、互いに等しくても異なってもよく、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のモノアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよい複素5〜7員環を形成するための官能基を示す。Zは水酸基又は置換基を有してもよい炭素数1〜7のアルコキシ基を示す。前記置換基を有する場合の置換基としては、水酸基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、アミノ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択されるいずれかの置換基を示す。但し、2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン、2−(7−メトキシ−2−メチルベンゾ[b]フラン−4−イル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン及び2−(3,4−ジメトキシ−2−メトキシカルボニルフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オンを除く。]
で表わされる新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【0008】
(2)Q、R、S、T、U、W及びXは、互いに等しくても異なってもよい、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のモノアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいフラン、ジオキソラン、ピラン、ジオキサン、ジオキセパン環を形成するための官能基を示し、V及びYは水素原子を示し、Zは置換基を有してもよい炭素数1〜7のアルコキシ基を示し、置換基を有する場合の置換基は前記した通りを示す、(1)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【0009】
(3)Q、R、S、T及びUのうち少なくとも2個は水素原子ではない、(1)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
(4)Q、R、S、T、及びUが、互いに等しくても異なってもよい、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいフラン、またはジオキソラン環を形成するための官能基を示し、V及びYが水素原子を示し、W及びXが、互いに等しくても異なってもよく、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zは置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルコキシ基を示し、置換基は前記した通りを示す、(1)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【0010】
(5)Q、R、S、T、及びUにおいて、Q及びR、R及びU、T及びU、もしくはQとT及びUが共に水素原子であり、他の官能基は互いに等しくても異なってもよく、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または隣接する二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいフラン、ジオキソラン、ピラン、ジオキサン、ジオキセパン環を形成するための官能基を示し、
V及びYが水素原子を示し、
W及びXが互いに等しくても異なってもよく、水酸基、または置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、アミノ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜7のアシルオキシ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、
Zが水酸基、または置換基として炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、(1)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【0011】
(6)Q、R、S、T、及びUにおいて、Q及びR、R及びU、T及びU、もしくはQとT及びUが共に水素原子であり、他の官能基は互いに等しくても異なってもよく、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または隣接する二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいフラン、またはジオキソラン環を形成するための官能基を示し、V及びYが水素原子を示し、W及びXが互いに等しくても異なってもよく、水酸基、または置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜7のアシルオキシ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zが置換基として炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、(1)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【0012】
(7)W及びXにおいて、一方が炭素数1〜3のアルコキシ基であり、他方が置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のアシルオキシ基、炭素数2〜8のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または6員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示す、(6)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【0013】
(8)W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zが炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、(6)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【0014】
(9)一般式(1)
【化4】
【0015】
[式中、Q、R、S、T、U、V、W、X及びYは、互いに等しくても異なってもよく、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のモノアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよい複素5〜7員環を形成するための官能基を示す。Zは水酸基又は置換基を有してもよい炭素数1〜7のアルコキシ基を示す。前記置換基を有する場合の置換基としては、水酸基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、アミノ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択されるいずれかの置換基を示す。]で表わされる新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
【0016】
(10)Q、R、S、T、U、W及びXは、互いに等しくても異なってもよい、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のモノアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいフラン、ジオキソラン、ピラン、ジオキサン、ジオキセパン環を形成するための官能基を示し、V及びYは水素原子を示し、Zは置換基を有してもよい炭素数1〜7のアルコキシ基を示し、置換基を有する場合の置換基は前記した通りを示す、(9)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
【0017】
(11)Q、R、S、T及びUのうち少なくとも2個は水素原子ではない、(9)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
(12)Q、R、S、T、及びUが、互いに等しくても異なってもよい、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいフラン、またはジオキソラン環を形成するための官能基を示し、V及びYが水素原子を示し、W及びXが、互いに等しくても異なってもよく、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zは置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルコキシ基を示し、置換基は前記した通りを示す、(9)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
【0018】
(13)Q、R、S、T、及びUにおいて、Q及びR、R及びU、T及びU、もしくはQとT及びUが共に水素原子であり、他の官能基は互いに等しくても異なってもよく、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または隣接する二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいフラン、ジオキソラン、ピラン、ジオキサン、ジオキセパン環を形成するための官能基を示し、
V及びYが水素原子を示し、
W及びXが互いに等しくても異なってもよく、水酸基、または置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、アミノ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜7のアシルオキシ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、
Zが水酸基、または置換基として炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、(9)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
【0019】
(14)Q、R、S、T、及びUにおいて、Q及びR、R及びU、T及びU、もしくはQとT及びUが共に水素原子であり、他の官能基は互いに等しくても異なってもよく、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または隣接する二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいフラン、またはジオキソラン環を形成するための官能基を示し、V及びYが水素原子を示し、W及びXが互いに等しくても異なってもよく、水酸基、または置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜7のアシルオキシ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zが置換基として炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、(9)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
【0020】
(15)W及びXにおいて、一方が炭素数1〜3のアルコキシ基であり、他方が置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のアシルオキシ基、炭素数2〜8のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または6員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示す、(14)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
【0021】
(16)W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zが炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、前記(14)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
(17)前記(9)〜(16)のいずれかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする医薬。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明において、炭素数1〜7のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ベンジルオキシ基等の直鎖状アルコキシ基、イソプロポキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブトキシ基等の分岐状アルコキシ基、またはシクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基等の環状アルコキシ基が挙げられる。これらの中で炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましい。
【0023】
本発明において、炭素数1〜7のアシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基等の脂肪族アシルオキシ基、またはベンゾイルオキシ基、ニコチノイルオキシ基などの芳香族アシルオキシ基が挙げられる。これらの中で、炭素数2〜4の直鎖状アシルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ニコチノイルオキシ基が好ましい。
【0024】
本発明において、炭素数1〜6のモノアルキルアミノカルボニルオキシ基としてはメチルアミノカルボニルオキシ基、エチルアミノカルボニルオキシ基、イソプロピルアミノカルボニルオキシ基、n−ブチルアミノカルボニルオキシ基等の、脂肪族モノアルキルアミノ基が挙げられる。これらの中で、炭素数1〜4の直鎖状モノアルキルアミノカルボニルオキシ基が好ましい。
【0025】
本発明において、炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基としてはジメチルアミノカルボニルオキシ基、ジエチルアミノカルボニルオキシ基、ジイソプロピルアミノカルボニルオキシ基、ジn−ブチルアミノカルボニルオキシ基等の、脂肪族ジアルキルアミノ基が挙げられる。これらの中で、炭素数2〜4の直鎖状ジアルキルアミノカルボニルオキシ基が好ましい。
【0026】
本発明において、5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基としてはピロリジノカルボニルオキシ基、ピペリジノカルボニルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N−アルキルピペラジノカルボニルオキシ基、N−アルキルホモピペラジノカルボニルオキシ基などが挙げられる。これらの中で、ピペリジノカルボニルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N−アルキルピペラジノカルボニルオキシ基などの6員環アミノカルボニルオキシ基が好ましい。N−アルキルにおけるアルキル基は、通常メチル、エチル等の炭素数1〜3のアルキル基である。
【0027】
本発明において、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基とは、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等の直鎖状アルコキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の分岐状アルコキシカルボニル基、またはシクロプロピルオキシカルボニル基、シクロブチルオキシカルボニル基等の環状アルコキシカルボニル基が挙げられる。これらの中で炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基が好ましい。
【0028】
本発明において、複素5〜7員環とは、フラン、ピロール、チオフェン、ジオキソールなどの複素5員環、オキシン、ピリジン、ジオキシンなどの複素6員環、及びオキセピン、ジオキセピンなどの複素7員環を示す。これらの中でフラン、ジオキソール、オキシン、ジオキシン、ジオキセピンが好ましい。
【0029】
本発明において、官能基が置換基を有してもよい場合の置換基としては、水酸基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、アミノ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基が挙げられる。これらの中で、炭素数1〜3のアルキル基とは例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。また、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基としては、例えばメトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ等が挙げられる。また、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基としては、例えばトリメチルアンモニオ基、ジメチルエチルアンモニオ基、ジエチルメチルアンモニオ基、トリエチルアンモニオ基等が挙げられる。他の置換基の例示については、前記した官能基で説明した場合と同様である。
【0030】
一般式(1)で表される化合物としては例えば次のような化合物が挙げられる。
1) 2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
2) 2−(7−メトキシ−2−メチルベンゾ[b]フラン−4−イル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
3) 2−(3,4−ジメトキシ−2−メトキシカルボニルフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
4) 2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
5) 2−(2,4,5−トリメトキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
【0031】
6) 2−(2,4,5−トリメトキシフェニル)−1−エトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
7) 2−(2−エトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
8) 2−(2−イソプロポキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
9) 1−ヒドロキシイミノ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
10’) 1−エトキシイミノ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
【0032】
10) 1−(2−ジメチルアミノ)エトキシイミノ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
11) 1−ヒドロキシカルボニルメトキシイミノ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
12) 1−エトキシカルボニルメトキシイミノ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
13) 6−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
14) 6,7−ジメトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
15) 7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6−イソプロポキシナフタレン−4(2H)−オン
【0033】
16) 6−ベンジルオキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン17) 7−メトキシ−1−メトキシイミノ−6−メトキシメトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)ナフタレン−4(2H)−オン
18) 7−メトキシ−6−(2−メトキシ)エトキシメトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
19) 6−(2−ジメチルアミノ)エトキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
20) 6−(2−ジエチルアミノ)エトキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
【0034】
21) 7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6−(2−ピペリジノ)エトキシナフタレン−4(2H)−オン
22) 7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6−(2−モルホリノ)エトキシナフタレン−4(2H)−オン
23) 6−(2−トリメチルアンモニオ)エトキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
24) 6−(2−ジエチルメチルアンモニオ)エトキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
25) 6−ヒドロキシカルボニルメトキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
【0035】
26) 6−エトキシカルボニルメトキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
27) 6−アセトキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
28) 7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6−プロピオニルオキシナフタレン−4(2H)−オン
29) 6−(4−ジメチルアミノ)ブチリルオキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
30) 6−(3−ヒドロキシカルボニル)プロピオニルオキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
【0036】
31) 6−ジメチルアミノカルボニルオキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
32) 7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6−ピペリジノカルボニルオキシナフタレン−4(2H)−オン
33) 7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6−モルホリノカルボニルオキシナフタレン−4(2H)−オン
34) 7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6−(4−ピペリジノピペリジノカルボニルオキシナフタレン−4(2H)−オン
【0037】
本発明の一般式(1)で表わされる化合物は、以下に示す反応式(1)〜(6)記載の方法で合成して得ることが出来る。また、反応に用いられる原料化合物である一般式(2)、(3)、(14)、(15)等の化合物は各々試薬として購入して得るか又は公知文献の記載の製造法に従うか若しくは常法通り適宜合成して得ることが出来る。
まず、本発明の化合物のうちZがメトキシ基である化合物は、公知の方法(第27回複素環化学討論会講演要旨集3A−04(1996年)、Tetrahedron,51(31),8447(1995)、J.Org.Chem.61(8),2774(1996))に従い製造することができる。なお、2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン、2−(7−メトキシ−2−メチルベンゾ[b]フラン−4−イル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン及び2−(3,4−ジメトキシ−2−メトキシカルボニルフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オンはこれらの文献に記載された合成化合物であるが、これらの文献には如何なる薬理活性についても開示されていない。
以下に、反応式(1)〜(7)による一般式(1)で表わされる化合物の合成法を説明する。なお、詳細な反応条件等については後述する実施例をも参照される。
【0038】
(i)反応式(1)の合成法;
【化5】
【0039】
[式中、Aは水素原子またはハロゲン原子を示し、Bはハロゲン原子またはN,O−ジメチルヒドロキシアミノ基を示す。Q〜U及びV〜Yは前述の通りである。]
【0040】
Aが水素原子である式(2)化合物及びBがハロゲン原子である式(3)化合物から式(4)化合物を合成する反応はフリーデル−クラフツアシル化反応であり、(a)は四塩化スズなどのルイス酸を示す。また、Aがハロゲン原子である式(2)化合物及びBがN,O−ジメチルヒドロキシアミノ基である式(3)化合物から式(4)化合物を合成する反応はアリルリチウム化合物を経由するアシル化反応であり、(b)はn−ブチルリチウムなどのアルキルリチウムを示す。
【0041】
式(4)化合物から式(5)化合物を合成する反応はレフォルマトスキー反応であり、(c)はブロモ酢酸エチル−亜鉛などの組み合わせの試薬である。
式(5)化合物から式(6)化合物を合成する反応は加水素分解反応であり、(d)はトリエチルシラン−トリフルオロ酢酸などの組み合わせ試薬である。
式(6)化合物から式(7)化合物を合成する反応は加水分解であり、(e)は水酸化ナトリウム等のアルカリ性試薬である。
式(7)化合物から式(8)化合物を合成する反応はフリーデル−クラフツ型反応であり、(f)はオキシ塩化リン等の環化剤、または環化剤と炭酸カリウムなど塩基性物質の組み合わせである。
【0042】
式(8)化合物から式(9)化合物を合成する反応は、アセチル化反応、脱水素反応、及び加水分解反応の三工程を含む。従って、(g)は酢酸イソプロペニルなどのアセチル化剤、DDQ等の脱水素剤、続いて水酸化ナトリウム等のアルカリ性試薬を示す。
式(9)化合物から式(1A)化合物(Zがメトキシ基である化合物(1))を合成する反応は、ニトロソ化反応及びメチル化反応の二工程を含む。(h)は亜硝酸イソアミル−炭酸カリウムなどのニトロソ化試薬と塩基性物質の組み合わせ、続いてジメチル硫酸などメチル化剤と塩基の組み合わせである。
【0043】
(ii)また、反応式(2)
【化6】
【0044】
[式中、Eは炭素数1−3のアルキル基を示し、V〜Yは前述の通りである。]
で示されるように、置換基T及びUがフラン環を形成している式(9A)化合物はフラン環を開裂することにより、置換基がそれぞれアルコキシ基及びアルコキシカルボニル基である式(9B)化合物を得ることができる。
【0045】
式(9A)化合物から式(10A)化合物を合成する反応はベンジル化反応であり、(i)は臭化ベンジルなどのハロゲン化ベンジルと炭酸カリウムなどの塩基の組み合わせである。
式(10A)化合物から式(10B)化合物を合成する反応は酸化反応であり、(j)は四酸化オスミウムなどの酸化剤である。
式(10B)化合物から式(10C)化合物を合成する反応は酸化開裂反応であり、(k)は過ヨウ素酸ナトリウムなどの酸化剤である。
【0046】
式(10C)化合物から式(10D)化合物を合成する反応はアルキル化反応であり、(l)はジメチル硫酸などのアルキル化剤である。
式(10D)化合物から式(9B)化合物を合成する反応は加水素分解反応であり、(m)は水素−パラジウム/炭素などの組み合わせである。
【0047】
(iii)また、反応式(3)
【化7】
【0048】
[式中、V及びX〜Yは前述の通りであり、WAはベンジル基及び水酸基以外のWを示す。]
で示されるように、置換基Wがベンジルオキシ基である式(9C)化合物のベンジル基を除去後、新たに置換基を導入することにより、式(9D)化合物を得ることができる。
【0049】
式(9C)化合物から式(11A)化合物を合成する反応はアセチル化反応であり、(n)はイソプロペニル酢酸などのアセチル化剤である。
式(11A)化合物から式(11B)化合物を合成する反応は加水素分解反応であり、(o)は水素−パラジウム/炭素などの組み合わせである。
式(11B)化合物から式(11C)化合物を合成する反応は、アルキル化、アシル化、またはアミノカルボニル化反応であり、(p)はアルキル化剤、アシル化剤、またはアミノカルボニル化剤を示す。
式(11C)化合物から式(9D)化合物を合成する反応は加水分解反応であり、(q)は水酸化ナトリウム等のアルカリ性試薬である。
【0050】
(iv)また、反応式(4)
【化8】
【0051】
[式中、MEMはメトキシエトキシメチル基、Q〜U、V及びX〜Yは前述の通りであり、WBはメトキシエトキシメトキシ基及び水酸基以外のWを示す。]
で示されるように、置換基Wがメトキシエトキシメトキシ基である式(1C)化合物のメトキシエトキシメチル基を除去することにより、Wが水酸基である式(1D)化合物を、また式(1D)化合物に置換基を導入することにより、式(1E)化合物を得ることができる。
【0052】
式(1C)化合物から式(1D)化合物を合成する反応は加水分解反応であり、(r)はモンモリロナイトなどの弱酸性試薬である。
式(1D)化合物から式(1E)化合物を合成する反応は、アルキル化、アシル化、またはアミノカルボニル化反応であり、(s)はアルキル化剤、アシル化剤、またはアミノカルボニル化剤を示す。
【0053】
(v)また、反応式(5)
【化9】
【0054】
[式中、Q〜U、V〜Yは前述の通りであり、ZAは水酸基及びメトキシ基以外のZを示す。]
で示されるように、反応式1で得られる式(9)化合物からZが水酸基である式(1F)化合物を、また式(1F)化合物に置換基を導入することにより、式(1G)化合物一般式(1)で表わされる化合物を得ることができる。
【0055】
式(9)化合物から式(1F)化合物を合成する反応は、ニトロソ化反応であり、(t)は亜硝酸イソアミルである。
式(1F)化合物から式(1G)化合物を合成する反応は、アルキル化反応であり、導入されたアルキル基にエステル基が含まれる場合は加水分解反応も含む。(u)はアルキル化剤であり、アルキル化剤中にエステル結合が含まれる場合は水酸化ナトリウムなどのアルカリ性試薬を含む。
【0056】
(iv)また、反応式(6)
【化10】
【0057】
[式中、Q〜U、V〜Yは前述の通りである。]
で示されるように、式(12)化合物からZがメトキシ基である式(1A)化合物を合成することができる。
【0058】
式(12)化合物から式(13)化合物を合成する反応はオキシム化反応であり、(w)はO−メチルヒドロキシルアミンである。
式(13)化合物から式(1A)化合物を合成する反応は酸化反応であり、(x)はDDQなどの酸化剤である。
なお、化合物(12)は文献(Chem.Pharm.Bull.,31(9),3039−3055(1983)等に記載の方法で容易に合成することができる。
【0059】
(vii)例えば、反応式(7)
【化11】
【0060】
[式中、Q〜U、V〜Yは前述の通りである。]の合成法によって式(12)の化合物が得られる。
【0061】
式(14)化合物と式(15)化合物から式(16)化合物を合成する反応はアルドール型縮合反応であり、(y)は水酸化ナトリウム等の塩基性触媒である。
式(16)化合物から式(17)化合物を合成する反応はハイドロシアノ化反応であり、(z)はシアン化ナトリウム及びシアン化カリウム等である。
式(17)化合物から式(18)化合物を合成する反応は加水分解反応であり、(aa)は水酸化カリウム等の塩基性触媒である。
【0062】
式(18)化合物から式(19)化合物を合成する反応は加水素化分解反応であり、(bb)は水素とパラジウム炭素等の還元触媒の組み合わせである。
式(19)化合物から式(12)化合物を合成する反応は分子内フリーデル−クラフツ型アシル化反応であり、(cc)はオキシ塩化リンや塩化チオニル等の脱水縮合剤である。
上記の各製法により得た反応混合物から目的物を単離及び精製を行うには、常法による溶媒抽出、濃縮、結晶化、蒸留、懸濁精製、各種クロマトグラフィ−などを、必要に応じ用いることができる。
【0063】
本発明の化合物において薬理学的に許容される塩とは、通常とり得る塩であれば何れでもよく、アルカリとの塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩等、または酸との塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等が挙げられる。
また、本発明の化合物は光学活性体を有する場合があり、本発明化合物はそれら光学活性体、ラセミ体もしくは光学活性体の混合物のいずれをも包含することとして理解されるべきである。
【0064】
本発明の化合物は後で述べる薬理試験例に示されるごとく、優れた制癌効果を有する。例えば、培養された腫瘍細胞に対して増殖抑制効果を示す。従って、本発明の化合物はヒトの、例えば悪性固形腫瘍に対して有効である。
本発明の化合物を医薬品として使用する場合の製剤化および投与方法は、従来の公知の種々の方法が適応できる。即ち、投与方法は、注射、経口等による投与又は座薬としての使用が可能である。
【0065】
製剤形態としては注射剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、座剤等の形態がとり得る。製剤化に際しては、主薬に悪影響を与えない限り、医薬品に用いられる種々の補助剤、即ち、担体やその他の助剤、例えば安定化剤、防腐剤、無痛化剤、乳化剤等が必要に応じて使用される。製剤において、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩の含量は製剤形態により広範囲に変えることが可能であり、一般には化合物又はその塩を0.1〜100%(重量)、好ましくは1〜50%(重量)含有し、残りは通常の医薬用に使用される担体やその他の助剤等の補助剤からなる。本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与量は症状により異なるが、成人1人1日当たり5〜500mg程度である。
【0066】
【実施例】
以下に本発明化合物の製造例について、参考例及び実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
【0067】
mp:未補正微量融点測定器(柳本製作所:MP−SI型)を使用。
IR:日本分光FT/IR−300E型を使用。
NMR:日本電子JNM−GSX−500α(500MHz)、JNM−GSX400α(400MHz)、またはJNM−ECP400(400MHz)を用い、溶媒は特記しない限りCDCl3、内部標準は、tetramethylsilaneにて測定。また、以下の略号を用いた。
s:singlet, d:doublet, t:triplet, dd:double doublet, dq:double qualtet, m:multiplet, br:broad
【0068】
MS:EI−MSは日本電子JMS−AUTO MASS 20型を使用。
SiO2:カラムクロマトグラフィーにはMerk社製Art.7734Kieselgel 60F(70−230mesh),または富士シリシア社製FL100Dを使用。
TLC:Merk社製Art.5715DC−Platten Kieselgel 60F254を使用し、検出はアトー社製 SJ−1031Aによる照射、硫酸セリウム−モリブデン酸混液に浸した後加熱及びI2による発色にて行った。
Preparative−TLC(p−TLC):Merk社製Art.5744PSC−Platten Kieselgel60F254またはArt.5715PSC−Platten Kieselgel60F254を使用。
【0069】
参考例1.
2−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−methoxyimino−6,7−methylenedioxynaphthalen−4(2H)−one (化合物1:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=MeO)の合成
文献(Tetrahedron,51(31),8447(1995))記載の方法で合成した.
【0070】
参考例2.
2−[4−(7−Methoxy−2−methybenzo[b]furanyl)]−1−methoxyimino−6,7−methylenedioxynaphthalen−4(2H)−one (化合物2:一般式(1)でQ=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=MeO)の合成
【0071】
(工程1)
4−(7−Methoxy−2−methylbenzo[b]furanyl) 3,4−Methylenedioxybenzyl Ketone (化合物2−4:一般式(4)でQ=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl;V=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
3,4−Methylenedioxyphenylacetic acid(化合物2−3:一般式(3)でB=OH;V=Y=H;W+X=OCH2O)1.1102g(6.16mmol)に(COCl)2を1.5ml(d=1.5,17.73mmol,2.87Meq)を氷冷(内温2−5℃)撹拌下で滴下し,更に室温で3h撹拌した。過剰の(COCl)2を減圧下留去し,yellow viscous liquidを得た。このものをabs.CH2Cl2(5.2ml)に溶解し,氷食塩冷却(−15℃付近)撹拌下,benzofuran(化合物2−2:一般式(2)でA=Q=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl)1.0023g(6.18mmol)をabs.CH2Cl2 17mlに溶解した溶液を加えた後,SnCl4 2.9ml(d=2.226, 24.78mmol, 4.01Meq)をゆっくりと滴下し,更に−15℃にて1.5h撹拌した。反応終了後,反応液を大量の水に注加しCHCl3で抽出。CHCl3層をsat.NaHCO3aq.,水,sat.NaClaq.にて洗浄後,K2CO3にて乾燥。溶媒を留去して得られるyellow crystals 1.8089g(90.3% from化合物2−3)をEt2O−hexaneにて再結晶し,colorlessfine needles 1.2964g(64.9% from 化合物2−3),mp:120.0−121.5℃,を得た。
【0072】
Anal. Calcd C19H16O5 : C, 70.36 ; H,4.97 . Found : C, 70.39 ; H, 4.79. IR ν max cm−1 : 1670 (C=O). 1H−NMR (500MHz) δ: 2.49 (3H, d, J=1.1Hz, 2−Me), 4.06 (3H, s, OMe), 4.20 (2H, s, COCH2Ar), 5.92 (2H, s, OCH2O), 6.72 (1H, dd, J=7.8, 1.5Hz, 6’−H), 6.74 (1H, d, J=8.5Hz, 6−H), 6.76 (1H, d, J=7.8Hz, 5’−H), 6.78 (1H, d, J=1.5Hz,2’−H), 7.20 (1H, s, 3−H), 7.83 (1H,d, J=8.5Hz, 5−H).
【0073】
(工程2)
Ethyl 3−Hydroxy−3−[4−(7−methoxy−2−methylbenzo[b]furanyl)]−4−(3,4−methylenedioxyphenyl)butyrate (化合物2−5:一般式(5)でQ=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl;V=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
工程1で得られたKetone(化合物2−4)23.25g(0.0717mol),亜鉛末16.91g(11.12mg atom)及びヨウ素3.7g(0.0146mmol,0.2Meq.)をフラスコに入れ,argon置換後anhydrous dioxane 150mlを注入し,化合物2−4及びヨウ素を溶解する。そこへ,ethyl bromoacetate8.74ml(d=1.506,0.0788mol,1.1Meq.)を注入し超音波洗浄器に入れovernightで,超音波を照射した。反応終了後,水に注加しCHCl3にて抽出。CHCl3層は,1%KIaq.,及び水,sat.NaClaq.で洗浄し,K2CO3にて乾燥。溶媒を留去し,得られるbrown oil 43.97g(quant.)をcolumn chromatography(CHCl3:ether=20:1)により精製し,得られるyellow oil 27.119g(91.7%)をethanolより再結晶,colorless fine needles, mp:88.0−93.0℃,を得た。
【0074】
Anal Calcd C23H24O7 : C, 66.98 ; H, 5.87. Found: C, 66.98 ; H, 5.61. MS m/z: 394 (M+−H2O, 2.1%), 189 (100%).IR ν max cm−1: 3492 (OH), 1712 (C=O). 1H−NMR (500MHz) δ: 1.10 (3H, t, J=7.2Hz, OCH2CH3), 2.49 (3H, d, J=1.0Hz, 2’−Me), 2.77 (1H, d, J=16.2Hz, 2−H), 3.04 (1H, d, J=13.8Hz, 4−H), 3.08 (1H, d, J=16.2Hz, 2−H), 3.11 (1H,d, J=13.8Hz, 4−H), 3.98 (3H, s, OMe), 4.00 (2H, q, J=7.2Hz, OCH2CH3), 4.55 (1H, br, OH), 5.88 (1H, d, J=1.5Hz, OCH2O), 5.89 (1H, d, J=1.5Hz, OCH2O), 6.39 (1H, dd, J=8.0, 1.5Hz, 6’’−H), 6.46 (1H, d, J=1.5Hz, 2’’−H) 6.59 (1H, d, J=8.2Hz, 6’−H), 6.62 (1H, d, J=8.0Hz, 5’’−H), 6.74 (1H, d, J=1.0Hz, 3’−H), 6.84 (1H, d, J=8.2Hz,
5’−H)
【0075】
(工程3)
Ethyl 3−[4−(7−Methoxy−2−methylbenzo[b]furanyl)]−4−(3,4−methylenedioxyphenyl)butyrate (化合物2−6:一般式(6)でQ=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl;V=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
工程2で得られたβ−Hydroxy ester(化合物2−5)0.207g(0.5019mmol)をCH2Cl2 2.4mlに溶解し,氷冷(0℃)下、Et3SiH 0.23ml(d=0.728,1.440mmol,3.0Meq),CF3COOH 0.15ml(d=1.480,1.947mmol,0.808Meq.)を順次ゆっくりと加え,同温度にて1.5h攪拌した。反応終了後,NaHCO3 0.163g(1.94mmol)を加え室温にて泡が出なくなるまで穏やかに攪拌した後,CH2Cl2にて希釈して濾過し,溶媒留去。得られるbrown oil 0.22g(quant.)をcolumn chromatography(hexane)にて初めて溶出するEt3SiHを除去した後,溶出溶媒をhexane:AcOEt=5:1に変えて精製し,colorless oil 0.176g(88.7%)を得た。
【0076】
MS m/z : 396 (M+, 0.91%), 261 (100%). IR ν max cm−1 : 1734 (C=O). 1H−NMR (500MHz) δ: 1.01 (3H, t, J=7.0Hz, OCH2CH3), 2.39 (3H, s, 2’−Me), 2.61(2H, m, 2− or 4−H2), 2.82 (2H, m, 2− or 4−H2), 3.49 (1H, m, 3−H), 3.77−3.90 (2H, m, OCH2CH3), 3.98 (3H, s, OMe), 5.81 (2H, s, OCH2O), 6.35 (1H,s, 3’−H), 6.42 (1H, br d, J=7.7Hz, 6’’−H), 6.46 (1H, br s, 2’’−H), 6.57(2H, d, J=7.7Hz, 6’− and 5’’−H), 6.77 (1H, d, J=7.7 Hz, 5’−H).
【0077】
(工程4)
3−[4−(7−Methoxy−2−methylbenzo[b]furanyl)]−4−(3,4−methylenedioxyphenyl)butyric Acid (化合物2−7:一般式(7)でQ=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl;V=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
工程3で得られたEthyl butyrate(化合物2−6)0.1704g(0.43mmol)に17%KOH aq. 0.34mlとEtOH 1.7mlを加え,30min加熱還流。反応液はEt2Oで洗浄後,10%HCl aq.で酸性にし,AcOEtで抽出した。AcOEt層は水,sat.NaCl aq.で洗浄した後,MgSO4にて乾燥し,溶媒留去した。得られるpale orange oil 0.1732g(quant.)の一部をp−TLC(hexane:AcOEt=1:2)より精製し,pale yellow oilを得た。
【0078】
IR ν max cm−1 : 3300−2500 (OH), 1705(C=O). 1H−NMR (500MHz) δ: 2.54 (3H,s, 2’−Me), 2.69−2.72 (2H, m, 2− or 4−H2), 2.82 (1H, dd, J=13.5, 7.5Hz, 2− or 4−H), 2.92 (1H, dd, J=13.5, 7.5Hz, 2− or 4−H), 3.52−3.55 (1H, m, 3−H), 3.92 (3H, s, OMe) , 5.86 (1H, d, J=1.5Hz, OCH2O), 5.87 (1H, d, J=1.5Hz, OCH2O), 6.39 (1H, s, 3’−H), 6.47 (1H, br d, J=8.0Hz, 6’’−H), 6.51 (1H, br s, 2’’−H), 6.63 (2H, d, J=8.0Hz, 6’− and 5’’−H), 6.83 (1H, d, J=8.0Hz, 5’−H).
【0079】
(工程5)
3,4−Dihydro−3−[4−(7−methoxy−2−methylbenzo[b]furanyl)]−6,7−methylenedioxy−1(2H)−naphthalenone (化合物2−8:一般式(8)でQ=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl;V=Y=H;W+X=OCH2O)
工程4で得られたButyric acid(化合物2−7)0.3407g(0.9248mmol)をMeCN 2.73mlに溶解し,K2CO3 0.294g(2.127mmol)を加え,氷冷下でPOCl3 0.431ml(d=1.645, 4.625mmol)をゆっくりと滴下。滴下後外温55℃で2.5h攪拌。反応終了後,反応液を室温に戻し,氷水中に注加し,10%NaOH aq.を加えてアルカリ性にした後,CHCl3で抽出。CHCl3層は水洗後,MgSO4にて乾燥した。溶媒を留去して得られるyellowcrystal 0.116g(72.6%)をcolumn chromatography(AcOEt:hexane=1:4)にて精製し,colorless fine needless 0.2196g(67.8%),mp:180−182℃,を得た。
【0080】
Anal. Calcd C21H18O5 : C, 71.99 ; H,5.18. Found : C, 71.71 ; H, 5.19. MS m/z : 350 (M+, 0.05%), 134 (100%).IR ν max cm−1: 1661 (C=O). 1H−NMR (500MHz) δ: 2.48 (3H, s, 2’−Me), 2.85(1H, dd, J=16.5, 12.8Hz, 2− or 4−H), 2.95 (1H, dd, J=16.5, 2.4Hz, 2− or4−H), 3.13 (1H, dd, J=16.2, 2.8 Hz,4− or 2−H), 3.20 (1H, dd, J=16.2, 11.2Hz, 4− or 2−H), 3.60−3.64 (1H, m,3−H), 4.00 (3H, s, OMe), 6.43 (1H, br s, 3’−H), 6.69 (1H, s, 5−H), 6.71(1H, d, J=7.9Hz, 6’−H), 6.98 (1H, d, J=7.9Hz, 5’−H), 7.53 (1H, s, 8−H).
【0081】
(工程6)
3−[4−(7−Methoxy−2−methylbenzo[b]furanyl)]−6,7−methylenedioxy−1−naphthol (化合物2−9:一般式(9)でQ=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl;V=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
工程5で得られたTetralone(化合物2−8)0.1012g(0.2854mmol)とp−TsOH・H2O 0.0083g(0.0435mmol,0.152Meq.)をisopropenyl acetate 1.5mlに溶解し,argon下外温95℃にて7h加熱還流した。TLCにて原料の消失を確認した後,室温でDDQ 0.0778g(0.3428mmol)を加え,40min攪拌した。反応終了後,反応液をCH2Cl2で希釈し,5%NaOH aq.で洗浄し,溶媒を留去した。得られる淡褐色結晶をEtOH 5.0mlに溶解し,5%NaOH aq. 5.0mlを加えて外温85℃で15min攪拌した。反応終了後,水を注加し,10%HCl aq.で酸性にしてCH2Cl2にて抽出した。CH2Cl2層は水洗後、MgSO4にて乾燥し,溶媒を留去した。得られる残渣0.1034g(quant.)をCHCl3−MeOHより再結晶し,pink prisms 0.0782g(77.7%),mp:253−261℃,を得た。
【0082】
HRMS m/z : 348.0998 (Calcd C21H16O5 : 348.0996). IR ν max cm−1: 3356 (OH). 1H−NMR (500MHz, CDCl3−CD3OD) δ: 2.50 (3H, s, 2’−Me), 4.05 (3H, s, OMe), 5.43 (1H, s, OH), 6.06 (2H, s, OCH2O), 6.62 (1H, d like, J=1.1Hz, 3’−H), 6.83 (1H, d, J=8.3Hz, 6’−H), 6.94 (1H, d, J=1.5Hz, 4−H), 7.13 (1H, s, 5−H), 7.24 (1H, d, J=8.3Hz, 5’−H),7.43 (1H, s, 2−H), 7.50 (1H, s, 8−H).
【0083】
(工程7)
2−[4−(7−Methoxy−2−mehtylbenzo[b]furanyl)]−1−methoxyimino−6,7−methylenedioxynaphthalene−4(2H)−one (化合物2:一般式(1)でQ=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OMe)の合成
Argon下、工程6で得られたNaphthol(化合物2−9) 0.20g(0.574mmol)とK2CO3 0.79g(5.716mmol,10Meq.)にDMF0.5mlを加え,氷冷攪拌下isoamyl nitrite 0.13ml(d=0.872,0.968mmol,1.67Meq.)を加え,室温で4h攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後,氷冷攪拌下,Me2SO4 0.065ml(d=1.333,0.689mmol)を加え,0℃で40min攪拌した。反応終了後,5%NH4OH 1.3mlを加えて,室温で1h攪拌し,過剰のMe2SO4を分解した。反応液に水を注加し,AcOEtで抽出した。AcOEt層は、水洗後K2CO3にて乾燥した。溶媒を留去して得られる赤色残渣0.223g(99.2%)を,column chromatography(AcOEt:hexane=1:2)にて分離精製し,yellow prisms 0.158g(70.3%),mp:232−236℃,を得た。
【0084】
Anal Calcd C22H17NO6 : C, 67.52 ; H,4.38 ; N, 3.58. Found : C, 67.16 ; H, 4.17 ; N, 3.46. MS m/z : 391 (M+,12.8%), 356 (100%). IR ν max cm−1: 1636 (C=O). 1H−NMR (400MHz) δ: 2.47 (3H, s, 2’−Me), 4.03 (3H, s, 7’−OMe), 4.05 (3H, s, N−OMe), 6.13 (2H, s, OCH2O), 6.36 (1H, s, 3’−H), 6.67 (1H, s, 3−H), 6.78 (1H, d, J=8.3Hz, 6’−H), 7.20 (1H, d, J=8.3Hz, 5’−H), 7.71 (1H, s, 5−H), 8.39 (1H, s, 8−H).
【0085】
参考例3.
2−(2−Methoxycarbonyl−3,4−dimethoxyphenyl)−1−methoxyimino−6,7−methylenedioxynaphthalen−4(2H)−one (化合物3:一般式(1)でQ=R=H;S=T=OMe;U=CO2Me;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OMe)の合成
【0086】
(工程1)
1−Benzyloxy−3−[4−(7−methoxy−2−methylbenzo[b]furanyl)]−6,7−methylenedioxynaphthalene (化合物3−10A:一般式(10A)でV=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
3−[4−(7−Methoxy−2−methylbenzo[b]furanyl)]−6,7−methylenedioxy−1−naphthol(化合物3−9A:一般式(9A)でV=Y=H;W+X=OCH2O)7.495g(21.52mmol)とK2CO3 5.95g(43.05mmol,2.0Meq.)にDMF60mlを加え,benzyl bromide3.07ml(d=1.438,25.81mmol,1.2Meq.)を滴下した後,外温50℃にて2h攪拌した。反応終了後,反応液に水を注加しAcOEtで抽出した。AcOEt層は2%NaOH aq.,水, sat.NaClaq.で洗浄後,K2CO3にて乾燥した。得られる褐色残渣10.45g(quant.)をcolumn chromatography(AcOEt:hexane=1:4)にて精製後,得られるyellow prisms 9.128gをhexane−AcOEtにより再結晶し,cholorlessplates 6.1371g(65.0%),mp:148−151℃,を得た。
【0087】
Anal. Calcd C28H22O5 : C, 76.70 ; H,5.06. Found : C, 76.63 ; H, 5.05. MS m/z : 438 (M+, 76.1%), 91 (100%). 1H−NMR (400MHz) δ: 2.46 (3H, s, 2’−Me), 4.04 (3H, s, OMe), 5.30 (2H, s, OCH2Ph), 6.05 (2H, s, OCH2O), 6.29 (1H, d like, J=1.0Hz, 3’−H), 6.82 (1H, d, J=8.3Hz, 6’−H), 6.99 (1H, d, J=1.4Hz, 4−H), 7.13 (1H, s, 5−H), 7.25 (1H, d, J=8.3Hz, 5’−H), 7.25 (1H,s, 2−H), 7.34−7.52 (5H, m, CH2Ph), 7.66 (1H, s, 8−H).
【0088】
(工程2)
1−Benzyloxy−3−[4−(2−hydroxy−7−methoxy−2−methyl−3−oxo−2,3−dihydrobenzo[b]furanyl)]−6,7−methylenedioxynaphthalene (化合物3−10B:一般式(10B)でV=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
工程1で得られたBenzyl ether(化合物3−10A)2.72g(6.203mmol)をpyridine 82mlに加温溶解した溶液にosmic acid 1.91g(7.514mmol,1.2Meq.)を加え,室温で3h撹拌した。反応終了後,sodium sulfite 7.8g(61.89mmol,10.0Meq.)をEtOH41ml及び,水82mlに溶解した溶液を加え,4h加熱攪拌した(外温75℃)。反応終了後,析出している結晶を濾過し,瀘液をAcOEtにて抽出した。AcOEt層をsat.CuSO4 aq.,水,sat.NaCl aq.にて洗浄し,MgSO4にて乾燥後,溶媒を減圧下留去した。得られるbrown oil 3.681g(quant.)をcolumn chromatography(benzene:AcOEt=6:1)にて精製し,得られたyellow prismsをetherから再結晶することによりyellow prisms,mp:168−171℃,2.359g(80.8%)を得た。
【0089】
Anal. Calcd C28H22O7 : C, 71.48 ; H,4.71. Found : C, 71.38 ; H, 4.66. IR ν max cm−1: 3020 (OH), 1724 (C=O).1H−NMR (400MHz) δ: 1.70 (3H, s, 2’−Me), 3.98 (3H, s, OMe), 3.62 (1H, s,OH), 5.25 (2H, s, OCH2Ph), 6.04 (2H, s, OCH2O), 7.00 (1H, d, J=1.4Hz, 4−H), 7.08 (1H, d, J=8.3Hz, 6’−H), 7.11 (1H, s, 5−H), 7.18 (1H, d, J=8.3Hz, 5’−H), 7.26 (1H, br, 2−H), 7.33−7.53 (5H, m, CH2Ph), 7.62 (1H, s, 8−H).
【0090】
(工程3)
1−Benzyloxy−3−(3−hydroxy−2−hydroxycarbonyl−4−methoxyphenyl)−6,7−methylenedioxynaphthalene (化合物3−10C:一般式(10C)でV=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
工程2で得られたKeto alcohol(化合物3−10B)0.153g(0.325mmol)をdioxane6.1mlに溶解し,periodic acid dihydrate 0.111g(0.487mmol, 1.5Meq.)をdioxane1.7ml及び,水0.6mlに溶解した溶液を加え,argon雰囲気下,室温にて24h撹拌した。反応終了後,1%NaOH aq. 8.0mlを加え室温にて4h撹拌した。反応終了後,反応液を水に注加し,5%HCl aq.にて酸性とした後,AcOEtにて抽出した。AcOEt層を水,sat.NaCl aq.にて洗浄後,MgSO4にて乾燥。溶媒を留去してbrown oil 0.143g(99.4%)を得た。
【0091】
IR ν max cm−1: 3023 (OH), 1669 (C=O). 1H−NMR (400MHz) δ: 3.68 (1H, s, OH), 3.93 (3H, s, OMe), 5.19 (2H, s, OCH2Ph), 6.04 (2H, s, OCH2O), 6.72 (1H, s, 4−H), 6.81 (1H, d, J=8.3Hz, 4’−H), 7.03 (1H, d, J=8.3Hz, 5’−H), 7.07 (1H, s, 5−H), 7.20 (1H, s, 2−H), 7.34−7.48 (5H, m, CH2Ph), 7.62 (1H, s, 8−H).
【0092】
(工程4)
1−Benzyloxy−3−(3,4−dimethoxy−2−methoxycarbonylphenyl)−6,7−methylenedioxynaphthalene (化合物3−10D:一般式(10D)でE=Me,V=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
工程3で得られたSalicylic acid(化合物3−10C)0.143g(0.322mmol)をbenzene17.0mlに溶解し,PTC0.091g(0.292mmol,0.9Meq.)及び2%NaOHaq.6.0mlを加えた後,Me2SO4 0.153ml(d=1.333,1.617mmol,5.0Meq.)を滴下し,室温で5h激しく撹拌。反応終了後,5%NH4OH約2mlを加えて室温で1h撹拌した後,AcOEtで抽出した。AcOEt層は水,sat.NaCl aq.で洗浄後,K2CO3にて乾燥した。溶媒を留去して得られるbrown oil 0.134g(88.2%)をcolumn chromatography(hexane:AcOEt=1:3)にて精製し,pale yellow oil 0.1073g(70.6%)を得た。このものは放置すると結晶化する。この一部をetherにて洗浄しcolorless prisms,mp:152−154℃,を得た。
【0093】
(工程5)
3−(2−Methoxycarbonyl−3,4−dimethoxyphenyl)−6,7−methylenedioxy−1−naphthol(化合物3−9B:一般式(9B)でE=Me,V=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
工程4で得られたBenzyl ether(化合物3−10D)2.3017g(4.8711mmol)をAcOH150mlに溶解し,1%Pd溶液1.07ml及びNorit0.99gを加え,水素下室温にて2h接触還元した。反応終了後,反応液をCelite545にて濾過し,瀘液をbenzeneと共沸下減圧留去した。得られる淡褐色残渣2.219g(quant.)をcolumn chromatography(hexane:AcOEt=1:2)にて精製後,得られるpale yellow prismsをhexane−AcOEtにて再結晶し,colorless prisms 1.6438g(88.2%),mp199−201℃,を得た。
【0094】
Anal. Calcd C21H18O7 : C, 65.97 ; H,4.74 . Found : C, 65.71 ; H, 4.69. MS m/z : 382 (M+, 100%). IR ν max cm−1: 3340 (OH), 1690 (C=O). 1H−NMR (400MHz) δ: 3.58 (3H, s, OMe), 3.85 (3H, s, OMe), 3.86 (3H, s, OMe), 5.86 (1H, s, OH), 5.97 (2H, s, OCH2O), 6.67 (1H, d, J=1.4Hz, 4−H), 6.95 (1H, d, J=8.3Hz, 5’−H), 7.00 (1H, s, 5−H), 7.09 (1H, d, J=8.3Hz, 6’−H), 7.16 (1H, s, 2−H), 7.40 (1H, s, 8−H).
【0095】
(工程6)
2−(2−Methoxycarbonyl−3,4−dimethoxyphenyl)−1−methoxyimino−6,7−methylenedioxynaphthalen−4(2H)−one(化合物3:一般式(1)でQ=R=H;S=T=OMe;U=CO2Me;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OMe)の合成
工程5で得られたNaphthol(化合物3−9B)1.534g(4.012mmol)とK2CO3 15.4g(0.04mol, 10Meq.)にDMF15.4mlを加え,argon中氷冷撹拌下,isoamyl nitrite0.915ml(d=0.872, 6.81mmol, 1.7Meq.)を加え,室温で2h撹拌した。反応液を氷冷後,撹拌下Me2SO4 0.456ml(d=1.333, 4.82mmol, 1.2Meq.)を加え,室温で1h撹拌した。反応終了後,5%NH4OH約2.0mlを加え室温で1h撹拌した。反応液に水を注加し,AcOEtで抽出した。AcOEt層を水,sat.NaClaq.にて洗浄し,K2CO3にて乾燥後,溶媒を留去して得られる黄褐色残渣2.162g(quant.)をcolumn chromatography(benzene:AcOEt=12:1)にて精製し,yellow prismsを得た。その一部をAcOEt−hexaneにて再結晶し,yellow prisms, 1.288g(75.5%),mp171−173℃,を得た。
【0096】
Anal. Calcd C22H19NO8 : C, 62.12 ; H, 4.50 ; N, 3.29. Found : C, 62.14 ;H, 4.41 ; N, 3.18. FAB−MS m/z : 426(M++H, 100%). IR ν max cm−1: 1638 (C=O). 1H−NMR (400MHz) δ: 3.66 (3H, s, OMe), 3.93 (6H, s, OMex2), 4.08 (3H, s, OMe), 6.11 (2H, s, OCH2O), 6.56 (1H, s, 3−H), 7.02 (1H, d, J=8.3Hz, 4’−H), 7.12 (1H, d, J=8.3Hz, 5’−H), 7.69 (1H, s, 5−H), 8.33 (1H, s, 8−H).
【0097】
実施例1.
6−Benzyloxy−7−methoxy−2−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−methoxyiminonaphthalen−4(2H)−one(化合物16:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe;Z=OMe)の合成
【0098】
(工程1)
2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl−4−benzyloxy−3−methoxybenzyl Ketone(化合物16−4:一般式(4)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe)の合成
6−Bromo−3,4−methylenedioxyanisole(化合物16−2:一般式(2)でA=Br;Q=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O)(441.2mg,1.91mM,2.0Meq)にAr下,THF(10.0ml)を加え、−78℃にて10分攪拌した。1.55mol/l n−BuLi in n−hexane溶液(1.30ml,2.02mM,2.1Meq)を加え、同温にて1時間攪拌した。そこへ、4−Benzyloxy−3,N−dimethoxy−N−methylphenylacelateamide(化合物16−3:一般式(3)でB=N(Me)OMe;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe)299.6mg(0.95mM)のTHF(8ml)溶液を滴下ロートを用い、20分間かけて滴下し、−78℃にて攪拌した。1時間後、sat.NH4Claq.(30ml)を注加し、AcOEtにて抽出した(30mlx3)。有機層をH2O(60ml)、sat.NaClaq.(60ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた黄色結晶(553.9mg,143.5%)をAcOEtで再結晶し、colorless needles(242.6mg,62.8%,mp137−140℃)を得た。また、再結晶母液をカラムクロマトグラフィー(SiO2 20g,benzene:AcOEt=100:1)にて精製し、colorless needles(65.1mg,16.9%)を得た。
【0099】
IR ν max (Nujol) cm−1: 1656 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 3.86 (6H, s, OCH3) , 4.19 (2H, s, COCH2) , 5.12 (2H, s, OCH2Ph) , 5.97 (2H, s, OCH2O) , 6.52 (1H, s, C3’−H) , 6.67 (1H, dd, J=8.1, 1.5 Hz, C6−H) , 6.78 (1H, d, J=1.8 Hz, C2−H) , 6.80 (1H, d, J=8.1 Hz, C5−H) , 7.28 (1H, s, C6’−H) , 7.30 (1H, m, C4”−H) , 7.35 (2H, dif.t,J=7.4 Hz, C3”, C5”−H) , 7.42 (2H, dif.d, J=6.8 Hz, C2”, C6”−H)
【0100】
(工程2)
Ethyl 4−(4−Benzyloxy−3−methoxyphenyl)−3−hydroxy−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)butyrate(化合物16−5:一般式(5)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe)
工程1で得られたKetone(化合物16−4;4.97g,12.23mM)とZn(3.84g,58.72mM,4.8Meq)にAr下THF(100ml)を注加し、80℃に加熱した。還流開始を確認後、I2(1.86g、7.33mM,0.6Meq)のTHF溶液、ブロモ酢酸エチル(5.15ml,46.44mM,3.8Meq)のTHF溶液を加えた。1時間後、H2O(200ml)、CHCl3(150ml)を加え、反応液をセライトろ過。ろ液をCHCl3にて抽出(100mlx2)し、有機層を1%KIaq.(100ml)、H2O(150ml)、sat.NaClaq.(250ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られたorange oil(8.17g,135.0%)をカラムクロマトグラフィー(SiO2=450g,n−hexane:AcOEt=10:1)にて精製後、colorless oil(5.34g,88.3%)を得た。
【0101】
IR ν max (Nujol) cm−1: 3482 (OH), 1735 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 1.08 (3H, t, J=7.1, OCH2CH3), 2.68 (1H, d,J=15.4 Hz, CH2CO2Et), 3.03 (1H, d, J=13.5 Hz, CH2Ar), 3.16 (1H, d, J=13.5 Hz, CH2Ar), 3.36 (1H, d, J=15.2 Hz, CH2CO2Et), 3.75 (3H, s, C2’−OCH3), 3.82 (3H, s, C3−OCH3), 3.98 (2H, q, J=7.1 Hz, OCH2CH3), 4.38 (1H, s, OH), 5.09 (2H, s, CH2Ph), 5.87 (2H, s, OCH2O), 6.51 (1H, s, C3’−H), 6.57 (2H, m, C2−, C6−H), 6.72 (1H, d, J=8.6 Hz C5−H), 6.99 (1H, s, C6’−H), 7.29 (1H, dif.d, J=7.3 Hz, C4”−H), 7.35 (2H, dif.t, J=7.7 Hz, C3”−, C5”−H), 7.41 (2H, dif.d, J=7.3 Hz, C2”−, C6”−H).
【0102】
(工程3)
Ethyl 4−(4−Benzyloxy−3−methoxyphenyl)−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)butyrate(化合物16−6:一般式(6)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe)の合成
工程2で得られたAlcohol(化合物16−5;927mg,1.87mM)をAr下CH2Cl2(19.0ml)に溶解し氷冷下(2℃)攪拌。そこへ、トリエチルシラン(1.20ml,7.51mM,4.0Meq)のabs.CH2Cl2溶液、トリフルオロ酢酸(0.58ml,7.53mM,4.0Meq)のabs.CH2Cl2溶液を順次注加し、2℃で1.5時間攪拌した後、sat.NaHCO3 aq.(30ml)を注加し、CHCl3で抽出した(100ml,70mlx2)。有機層をH2O(100ml)、sat.NaCl aq.(100ml)で洗浄しMgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去。得られた結晶(1.146g,127.8%)をn−hexaneで洗浄し、さらにetherで再結晶することによりcolorless needless(694mg,77.4%,mp:71−76℃)を得た。
【0103】
IR ν max (Nujol) cm−1: 1717 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 1.14 (3H, t, J=7.0 Hz, OCH2CH3), 2.59 (2H, d, J=7.6 Hz, CHCH2Ar), 2.57 (1H, dd, J=13.4 Hz, 7.3 Hz, CH2CO2Et), 2.81 (1H, dd, J=13.4 Hz, 7.3 Hz, CH2CO2Et), 3.65 (3H, s, C2’−OCH3), 3.7 (1H, m, CH), 3.79 (3H, s, C3−OCH3), 4.01 (2H, q, J=7.0 Hz, OCH2CH3), 5.09 (2H, s, CH2Ph), 5.87 (2H, s, OCH2O), 6.46 (1H, s, C3’−H), 6.55 (3H, m, C2−, C6−, C6’−H), 6.72 (1H, d, J=8.2 Hz, C5−H), 7.29 (1H, dif.d, J=7.6 Hz, C4”−H), 7.35 (2H, dif.t, J=7.6 Hz, C3”−, C5”−H) , 7.41 (2H, dif.d, J=7.6 Hz, C2”−,C6”−H).
【0104】
(工程4)
4−(4−Benzyloxy−3−methoxyphenyl)−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)butyric Acid(化合物16−7:一般式(7)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe)の合成工程3で得られたEthyl ester(化合物16−6;550.0mg,1.149mM)のEtOH(15.0ml)溶液に10%NaOH aq.(15.0ml,1.5g,37.50mM,32.6Meq)を加え、60℃にて1.25時間攪拌した後、H2O(50ml)を注加し、ether(100ml)にて抽出した。有機層は更に10%NaOH aq.(30ml)で抽出した。水層をあわせ、冷やしながら、10%HCl aq.によりpH=1とした後、etherにて抽出した(100mlx2)。有機層をH2O(100ml)、sat.NaCl aq.(100ml)にて洗浄後、MgSO4で乾燥し、減圧下溶媒を留去した。得られた無色結晶(483.4mg,93.4%)をn−hexaneで洗浄し、colorless needless(384.3mg,74.2%,65−75℃)を得た。
【0105】
IR ν max (Nujol) cm−1: 1689 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 1.61 (1H, br, OH), 2.63 (2H, d, J=7.5 Hz, CHCH2Ar), 2.80 (2H, m, CH2CO2H), 3.65 (3H, s, C2’−OCH3), 3.79 (3H, s, C3−OCH3), 5.09 (2H, s, CH2Ph), 5.87 (2H, s, OCH2O), 6.46 (1H, s, C3’−H), 6.55 (3H, m,C2−,C6−,C6’−H), 6.73 (1H, d, J=7.7 Hz, C5−H), 7.29 (1H, dif.d, J=7.0 Hz, C4”−H), 7.35 (2H, dif.t, J=7.0 Hz,C3”−, C5”−H), 7.41 (2H, dif.d, J=7.0 Hz, C2”−, C6”−H).
【0106】
(工程5)
3,4−Dihydro−(7−benzyloxy−6−methoxyphenyl)−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthalene−1(2H)−one(化合物16−8:一般式(8)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe)
工程4で得られた Butyric acid(化合物16−7;203.1mg,0.451mM)のCH3CN(4.0ml)溶液に氷冷下K2CO3(124.5mg,0.901mM,2.0Meq)を加え、続いてPOCl3(0.21ml,2.253mM,5.0Meq)を注加し氷冷下攪拌した。20分後、50℃に昇温し攪拌した。8.5時間後、H2O(20ml)、5%NaOH aq.(30ml)を注加し、CHCl3にて抽出した(40mlx3)。有機層を5%NaOH aq.(40ml)、H2O(100ml)、sat.NaCl aq.(100ml)により洗浄し、MgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた黄色結晶(240.7mg,123.4%)をMeOHで洗浄することによりpale brown powder(176.0mg,90.3%,mp:208−212℃)を得た。
【0107】
IR ν max (Nujol) cm−1: 1669 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 2.69 (1H, dd, J=16.7, 12.6 Hz, C2 or C4−H), 2.80 (1H,ddd, J=16.5, 4.2, 1.6 Hz, C2 or C4−H), 2.99 (1H, ddd, J=16.5, 4.6, 1.5 Hz, C2 or C4−H), 3.07 (1H, dd, J=15.6, 11.2 Hz, C2 or C4−H) , 3.76 (3H, s, C2’−OCH3), 3.93 (3H, s, C6−OCH3),5.18 (2H, s, CH2Ph), 5.92 (2H, d, J=0.9 Hz, OCH2O), 6.56 (1H, s, C3’−H), 6.70 (1H, s, C5 or C6’−H), 6.73 (1H, s, C5 or C6’−H), 7.32 (1H, dif.d,J=7.1 Hz, C4”−H), 7.38 (2H, dif.t, J=7.3 Hz, C3”−, C5”−H), 7.47 (2H, dif.d, J=7.1 Hz, C2”−, C6”−H), 7.62 (1H, s, C8−H).
【0108】
(工程6)
7−Benzyloxy−6−methoxyphenyl−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthol(化合物16−9:一般式(9)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe)
工程5で得られたTetralone(化合物16−8;183.2mg,0.424mM)とp−TsOH・H20(12.9mg,0.068mM,0.16Meq)にAr下isopropeny lacetate(4.5ml,40.9mM、96Meq)を注加し、97℃にて19時間攪拌後、室温に戻し、DDQ(116.2mg,0.512mM,1.2Meq)を加え、同温にて攪拌した。30分後、CHCl3(30ml)を注加し、sat.NaHCO3aq.で抽出した(30mlx3)。有機層の溶媒を減圧下留去し、得られた残渣にEtOH(3.7ml)、10%NaOH aq.(3.7ml,9.25mM,22Meq)を注加し、外温87℃にて攪拌した。1時間後、溶媒を減圧下留去した。残渣にH2O(30ml)を注加し、さらに10%HCl aq.にてpH=1にした後、benzeneで抽出した(30mlx3)。有機層をH2O(50ml)、sat.NaCl aq.(50ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた赤褐色結晶(175.5mg,96.3%)をetherで洗浄し、pale brown powder(157.4mg,86.3%,mp:180−188℃)を得た。
【0109】
IR ν max (Nujol) cm−1: 3274 (OH). 1H−NMR (400 MHz) δ: 3.73 (3H, s, C2’−OCH3), 3.99 (3H, s, C6−OCH3), 5.14 (1H, s, OH), 5.29 (2H, s, CH2Ph), 5.97(2H, s, OCH2O), 6.64 (1H, s, C3’−H), 6.87 (1H, d, J=1.5 Hz, C2−H), 6.88(1H, s, C6’−H), 7.12 (1H, s, C5−H),7.32 (1H, dif.t, J=7.3 Hz, C4”−H), 7.35 (1H, s, C4−H), 7.39 (2H, t, J=7.3 Hz, C3”−, C5”−H), 7.52 (1H, s, C8−H), 7.52 (2H, d, J=7.3 Hz, C2”−, C6”−H).
【0110】
(工程7)
6−Benzyloxy−7−methoxy−2−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−methoxyiminonaphthalen−4(2H)−one(化合物16:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe;Z=OMe)の合成
工程6で得られたNaphthol(化合物16−9;49.6mg,0.115mM)とK2CO3(160.0mg,1.16mM,10Meq)にDMF(2ml)を加え、アルゴン中氷冷攪拌下、isoamyl nitrite(0.026ml,0.194mM,1.7Meq)を加え、1℃で1時間攪拌後、室温にして攪拌した。22時間後、さらにisoamyl nitrite(0.013ml,0.097mM,0.85Meq)を追加し、1時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、1℃で1.25時間攪拌した。反応終了後、5%NH4OH aq.(0.7ml)を加えて、室温で1時間攪拌した。反応液にH2O(30ml)を注加し、AcOEtで抽出した(40mlx3)。有機層をH2O(50ml,30ml)、sat.NaCl aq.(50ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、溶媒を減圧下留去。得られた残渣(63.5mg,116.9%)をエーテルで洗浄し、yellow prisms(43.7mg,80.0%)を得た。
【0111】
IR ν max (CHCl3) cm−1: 1638 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 3.72 (3H, s, C2’−OCH3), 3.98 (3H, s, N−OCH3), 4.07 (3H, s, C7−OCH3), 5.29 (2H, s, OCH2Ph), 5.99 (2H, s, OCH2O), 6.51 (1H, s, C3−H), 6.58 (1H, s, C3’−H), 6.72 (1H, s, C6’−H), 7.32 (1H, dif.t, J=7.1 Hz, C4”−H), 7.39 (2H, dif.t, J=7.1 Hz, C3”−,C5”−H), 7.49 (2H, d, J=7.1 Hz, C2”−,C6”−H), 7.80 (1H, s, C5−H), 8.45 (1H, s, C8−H).
【0112】
実施例2
7−Methoxy−6−(2−methoxyethoxymethoxy)−2−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1,4−naphthoquinone−1−(O−methyloxime)(化合物18:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2OCH2CH2OMe;X=OMe;Z=OMe)の合成
【0113】
(工程1)
1−Acetoxy−7−benzyloxy−6−methoxy−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthalene(化合物18−11A:一般式(11A)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;X=OMe)の合成
3,4−Dihydro−(7−benzyloxy−6−methoxyphenyl)−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthalene−1(2H)−one(化合物18−9C:一般式(9C)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;X=OMe)1.59g(3.68mM)とp−TsOH・H20(112.1mg,0.589mM,0.16Meq)にAr下isopropenyl acetate(39.0ml,0.354M、96.2Meq)を注加し、98℃にて19時間攪拌後、室温に戻し、DDQ(1.00g,4.41mM,1.2Meq)を加え、同温にて攪拌した。1時間後、CHCl3(120ml)を注加し、sat.NaHCO3aq.で抽出した(90mlx3)。有機層をH2O(80ml)、sat.NaCl aq.(80ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣(1.81g,104.2%)をetherで洗浄し、pale brown needles(1.67g,96.0%,mp130−148℃)を得た。このものの一部についてはAcOEtを用いて再結晶を繰り返し、薄茶色プリズム晶(mp:153−155℃)を得た。
【0114】
IR ν max cm−1 (Nujol): 1763 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 2.36 (3H, s, COCH3), 3.72 (3H, s, C2’−OCH3), 4.00 (3H, s, C6−OCH3), 5.29 (2H, s, CH2Ph), 5.97 (2H, s, OCH2O), 6.63 (1H, s, C3’−H), 6.90 (1H, s, C6’−H), 7.08 (1H,s, C5−H), 7.16 (1H, s, C8−H), 7.26 (1H, d, J=1.6 Hz, C2−H), 7.32 (1H, dif.t, J=7.3 Hz, C4”−H), 7.39 (2H, t,J=7.3 Hz, C3”−,C5”−H), 7.49 (2H, dif.d, J=7.3 Hz, C2”−,C6”−H), 7.63 (1H, d, J=1.6 Hz, C4−H). EI−MS m/z: 472(M+,43.0%), 381 (19.7%), 339 (100%), 91 (18.4%). Anal.Calcd.for C28H24O7: C, 71.17; H, 5.12. Found: C, 71.01; H, 5.27; N, 0.17.
【0115】
(工程2)
1−Acetoxy−7−hydroxy−6−methoxy−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthalene(化合物18−11B:Q=OMe;一般式(11B)でR=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;X=OMe)の合成
20%Pd(OH)2/C(49.3mg,24%w/w of 15)を三頚フラスコに入れ、dioxane(13ml)を加えフラスコ内を水素置換し、室温で45分間攪拌。工程1で得られたBenzyl体(化合物18−11A;208.5mg,0.441mM)のdioxane溶液(2ml)を加え、室温で20時間攪拌した。反応終了後、触媒をセライト濾過し、濾液の溶媒を減圧下留去した。得られた薄茶色結晶(189.4mg,112.3%)をAcOEt/n−hexaneで再結晶し、無色プリズム晶(112.6g,66.7%)を得た。さらに2番晶(37.3mg,22.1%)を得た。
【0116】
IR ν max cm−1 (Nujol): 1759 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ:2.44 (3H, s, COCH3), 3.74 (3H, s, C2’−OCH3), 4.03 (3H,s, C6−OCH3), 5.97 (2H, s, OCH2O), 5.98 (1H, s, C7−OH), 6.64 (1H, s, C3’−H), 6.91 (1H, s, C6’−H), 7.15 (1H, s, C5−H), 7.23 (1H, s, C8−H), 7.30 (1H, d, J=0.9 Hz, C2−H), 7.64 (1H, br.s, C4−H). EI−MS m/z: 382 (M+, 62.1%), 340 (100%). Anal.Calcd.for C21H18O7: C, 65.96; H, 4.75. Found: C, 65.88; H, 4.79; N, 0.10.
【0117】
(工程3)
1−Acetoxy−6−methoxy−7−(2−methoxyethoxymethoxy)−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthalene(化合物18−11C:一般式(11C)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;WA=OCH2OCH2CH2OMe;X=OMe)の合成
Ar雰囲気下、NaH(9.5mg,5.7mg as NaH,0.238mM,1.8Meq)をTHF(0.5ml)に懸濁し、氷食塩にて−4℃まで氷冷する。ここに工程2で得られたacetate(化合物8−11B;50.2mg,0.131mM)のTHF溶液(0.8ml)を滴下し、−4℃にて30分間攪拌後、MEMCl(0.021ml,0.184mM,1.4Meq,d=1.091)を滴下し、同温にて攪拌。2.5時間後、さらにNaH(2.4mg,1.4mg as NaH,0.06mM,0.46Meq)を加え30分間攪拌した。反応終了後、5%NaHCO3 aq.(8ml)を加え、AcOEtにて抽出した(10mlx3)。有機層をH2O(10ml),sat.NaCl aq.(10ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去した。以上の操作により、緑色油状物質(62.1mg,100.8%)を得た。このものは精製することなく、次の反応に使用した。
【0118】
IR ν max cm−1 (CHCl3): 1764 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 2.45 (3H, s, COCH3), 3.39 (3H, s, CH2OCH3), 3.57 (2H,dif.t, J=4.2 Hz, OCH2CH2OCH3), 3.74 (3H, s, C2’−OCH3), 3.90 (2H, dif.t, J=4.2 Hz, OCH2CH2OCH3), 3.99 (3H, s, C6−OCH3), 5.45 (2H, s, OCH2OCH2CH2), 5.97 (2H, s, OCH2O), 6.64 (1H, s, C3’−H), 6.92 (1H, s, C6’−H), 7.17 (1H, s, C5−H), 7.30 (1H, s, C2−H), 7.51 (1H, s, C8−H), 7.65 (1H, s, C4−H).
【0119】
(工程4)
6−Methoxy−7−(2−methoxyethoxymethoxy)−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthalen−1−ol (化合物18−9D:一般式(9D)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;WA=OCH2OCH2CH2OMe;X=OMe)の合成
工程3のMEM化で得られたacetate(化合物18−11C)を含むcrude product(62.1mg)をdioxane(0.9ml)に溶解し、氷冷。そこへ、28%NH3 aq.(0.46ml,7.56mM,57Meq)を加え、室温にて4.5時間攪拌した。反応終了後、H2O(10ml)を加え、AcOEtにて抽出した(10ml,5mlx2)。有機層をH2O(10ml),sat.NaCl aq.(10ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去した。以上の操作により、赤紫色油状物質(56.3mg,99.5%)を得た。このものをカラムクロマトグラフィー(SiO2=4g,benzene:AcOEt=10:1)にて精製し、紫色油状物質(37.4mg,66.1%)を得た。
【0120】
IR ν max cm−1 (Nujol): 3447 (OH). 1H−NMR (400 MHz) δ: 3.38 (3H, s, CH2OCH3), 3.60 (2H, dif.t, J=4.6 Hz, OCH2CH2OCH3), 3.72 (3H, s, C2’−OCH3), 3.93 (2H, dif.t, J=4.6 Hz, OCH2CH2OCH3), 3.98 (3H, s, C6−OCH3), 5.47 (2H, s, OCH2OCH2CH2), 5.97 (2H, s, OCH2O), 5.97 (1H, s, OH), 6.64 (1H, s, C3’−H), 6.88 (1H, s, C6’−H), 6.90 (1H, d, J=1.1 Hz, C2−H), 7.12 (1H, s, C5−H), 7.33 (1H, s, C4−H), 7.83 (1H, s,C8−H).
【0121】
(工程5)
7−Methoxy−6−(2−methoxyethoxymethoxy)−2−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1,4−naphthoquinone−1−(O−methyloxime)(化合物18:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2OCH2CH2OMe;X=OMe;Z=OMe)の合成
Ar雰囲気下で、工程4で得られたnaphthol(化合物18−9D;103.4mg,0.241mM)とK2CO3(337.2mg,2.44mM,10Meq)にDMF(4.1ml)を加え、内温4℃にて攪拌した。40分後、isoamyl nitrite(0.055ml,0.409mM,1.7Meq,d=0.872)を加え、内温4℃にて17時間攪拌した。TLCにて13の消失を確認した後、Me2SO4(0.027ml,0.285mM,1.2Meq,d=1.333)を加え、同温にて攪拌した。1.5時間後、5%NH3 aq.(1.5ml)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にH2O(40ml)を注加し、AcOEtにて抽出した(50mlx3)。有機層をH2O(20mlx3,10mlx2)、sat.NaCl aq.(40ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた赤褐色油状物質(99.1mg,87.1%)をカラムクロマトグラフィー(SiO2=8g,benzene:AcOEt=20:1)にて精製し、橙色油状物質(73.4mg,64.5%)を得た。
【0122】
IR ν max cm−1 (neat): 1638 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ:3.38 (3H, s, CH2OCH3), 3.57 (2H, dif.t, J=4.7 Hz, OCH2CH2OCH3), 3.71 (3H, s, C2’−OCH3), 3.88 (2H, dif.t, J=4.7 Hz, OCH2CH2OCH3), 3.97 (3H, s, N−OCH3), 4.06 (3H, s,C7−OCH3), 5.45 (2H, s, OCH2OCH2CH2), 5.98 (2H, s, OCH2O), 6.52 (1H, s, C3−H), 6.58 (1H, s, C3’−H), 6.73 (1H, s, C6’−H), 7.98 (1H, s, C5−H), 8.45 (1H, s, C8−H). * 少量のdiastereomer (geometrical isomer)と思われるpeakが観察される。
【0123】
実施例3
6−Hydroxy−7−methoxy−2−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1,4−naphthoquinone−1−(O−methyloxime)(化合物13:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OH;X=OMe;Z=OMe)の合成
Ar雰囲気下、実施例2で得られたOxime(化合物18;73.4mg,0.156mM)のdry benzene(5.5ml)溶液に、Montmorillonite K10(142.3mg)を加え超音波照射した。6時間後、Montmorillonite K10(79.2mg)を追加し、さらに6時間超音波照射した。反応終了後、CHCl3で希釈し、Montmorillonite K10を吸引ろ過にて除去し、ろ液を減圧下留去し、橙色プリズム晶(57.5mg,96.3%,mp240−242℃)を得た。
【0124】
IR ν max cm−1 (neat): 3345 (OH), 1629 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ:3.72 (3H, s, C2’−OCH3), 4.00 (3H, s, N−OCH3), 4.06 (3H, s, C7−OCH3), 5.97 (1H, s, OH), 5.98 (2H, s, OCH2O), 6.51 (1H, s, C3−H), 6.58 (1H, s, C3’−H), 6.73 (1H, s, C6’−H), 7.68 (1H, s, C5−H), 8.43 (1H, s, C8−H). * 少量のdiastereomer (geometrical isomer)と思われるpeakが観測される。 EI−MS m/z: 383 (M+, 30.6%), 352(17.0%), 321 (100%). Anal.Calcd.forC20H17NO7: C, 62.66; H, 4.47; N, 3.65. Found: C, 62.33; H, 4.68; N, 3.52.
【0125】
実施例4
6−(2−Dimethylaminoethoxy)−7−methoxy−2−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1,4−naphthoquinone−1−(O−methyloxime)Hydrochloride(化合物19:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2CH2NMe2;X=OMe;Z=OMe)の合成
Ar雰囲気下、実施例3で得られたoxime(化合物13;18.0mg,0.0467mM)とK2CO3(27.3mg,0.198mM,4.2Meq)にDMF(0.5ml)を加え氷冷した。そこへ、塩酸ジメチルアミノエチルクロリド(10.3mg,0.0715mM,1.5Meq)を加え、氷冷にて2時間、室温にて23.5時間、外温50℃にて18時間攪拌した。反応終了後、反応液に5%NaHCO3 aq.(10ml)を注加し、AcOEtにて抽出した(10ml,8mlx2)。AcOEt層をH2O(5mlx3,3mlx3)、sat.NaCl aq.(10ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、溶媒を減圧下留去し、黄色油状物質(1)(14.0mg,65.3%)を得た。また、水層をCHCl3にて抽出(10ml,8mlx2)し、このCHCl3層をH2O(3mlx2)、sat.NaCl aq.(8ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、溶媒を減圧下留去することにより赤色油状物質(2)(6.1mg,28.6%)を得た。以上の操作により得られた(1)と(2)を合わせカラムクロマトグラフィー(SiO2=5g,benzene:AcOEt=20:1)にて精製し、黄色油状物質(11.3mg,53.1%)を得た。
【0126】
IR νmax cm−1 (Nujol): 1638 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 2.37 (6H, s, N−(CH3)2), 2.85 (2H, t, J=5.9 Hz, OCH2CH2N(CH3)2), 3.72 (3H, s, C2’−OCH3), 3.96 (3H, s, N−OCH3), 4.07 (3H, s, C7−OCH3), 4.27 (2H, t, J=5.9 Hz, OCH2CH2N(CH3)2), 5.99 (2H, s, OCH2O), 6.52 (1H, s, C3−H), 6.58 (1H, s, C3’−H), 6.73 (1H, s, C6’−H), 7.73 (1H, s, C5−H), 8.43 (1H, s, C8−H). * 少量のdiastereomer(geometrical isomer)と思われるpeakが観察される。
【0127】
上記化合物(11.8mg,0.0260mM)をether(4ml)に溶解させ、氷冷下5%HCl/ether溶液(0.1ml,0.15mM,5.8Meq)を加える。生じた結晶を遠沈分離器により結晶と上清に分け、結晶をさらにetherで洗浄することにより、橙色プリズム晶(11.6mg,91.3%)を得た。
1H−NMR (400 MHz) δ: 2.99 (6H, s, N−(CH3)2), 3.54 (2H, br, OCH2CH2N(CH3)2), 3.72 (3H, s, C2’−OCH3), 3.95 (3H, s, N−OCH3), 4.08 (3H, s, C7−OCH3),4.65 (2H, br, OCH2CH2N(CH3)2), 5.99(2H, s, OCH2O), 6.53 (1H, s, C3−H),6.58 (1H, s, C3’−H), 6.73 (1H, s, C6’−H), 7.73 (1H, s, C5−H), 8.45 (1H,s, C8−H). * 少量のdiastereomer(geometrical isomer)と思われるpeakが観察される。
【0128】
実施例5
6−(2−Diethylmethylammoniumethoxy)−7−methoxy−2−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1,4−naphthoquinone−1−(O−methyloxime) Methylsulfate(化合物24:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2CH2N+(Me)Et2;X=OMe;Z=OMe)の合成
【0129】
(工程1)
1−Acetoxy−7−(2−diethylaminoethoxy)−6−methoxy−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthalene(化合物24−11C:一般式(11C)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;WA=OCH2CH2NEt2;X=OMe)の合成
の合成
Ar雰囲気下、1−Acetoxy−7−hydroxy−6−methoxy−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthalene(化合物24−11B:一般式(11B)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;X=OMe)20.5mg(0.0536mM)とK2CO3(29.6mg,0.214mM,4.0Meq)にDMF(0.5ml)を加え氷冷した。そこへ、BrCH2CH2NEt2.HBr(21.0mg,0.0805mM,1.5Meq)を加え、氷冷にて2時間攪拌した。反応終了後、反応液に5%NaHCO3 aq.(8ml)を注加し、AcOEtにて抽出した(8ml,6mlx2)。AcOEt層をH2O(2mlx4)、sat.NaCl aq.(5ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、溶媒を減圧下留去。得られた無色油状物質(22.1mg,85.7%)をカラムクロマトグラフィー(SiO2=3g,benzene:AcOEt=20:1)にて精製し、less polar fractionより無色油状物質(16.0mg,62.0%)を得た。
【0130】
IR ν max cm−1 (Nujol): 1764 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 1.11 (6H, t, J=7.1 Hz, N−(CH2CH3)2), 2.46 (3H, s, COCH3), 2.68 (4H, q, J=7.1 Hz, N−(CH2CH3)2), 3.00 (2H, t, J=6.9 Hz, OCH2CH2NEt2), 3.74 (3H, s, C2’−OCH3), 3.98 (3H, s, C6−OCH3), 4.22 (2H, t, J=6.9Hz, OCH2CH2NEt2) 5.97 (2H, s, OCH2O), 6.64 (1H, s, C3’−H), 6.92 (1H, s,C6’−H), 7.11 (1H, s, C5−H), 7.14 (1H, s, C8−H), 7.30 (1H, d, J=1.5 Hz, C2−H), 7.64 (1H, dif.d, J=1.5 Hz, C4−H).
【0131】
(工程2)
7−(2−Diethylamino−ethoxy)−6−Methoxy−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−naphthalen−1−ol(化合物24−9D:一般式(9D)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;WA=OCH2CH2NEt2;X=OMe)の合成
工程1で得られたAcetate(化合物24−11C;16.0mg,0.0332mM)をdioxane(0.5ml)に溶解し、氷冷。そこへ、28%NH3 aq.(0.12ml,1.97mM,59Meq)を加え、室温にて24時間攪拌した。反応終了後、H2O(5ml)を加え、AcOEtにて抽出した(5ml,3mlx3)。有機層をH2O(5ml),sat.NaClaq.(5ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去した。以上の操作により、薄橙色結晶(15.3mg,104.8%)を得た。このものをカラムクロマトグラフィー(SiO2=3g,benzene:AcOEt=10:1)にて精製し、薄橙色プリズム晶(11.6mg,79.5%,mp:191−200℃)を得た。
【0132】
1H−NMR (400 MHz) δ: 1.19 (6H, t, J=7.2 Hz, N−(CH2CH3)2), 2.83 (4H, q, J=7.2 Hz, N−(CH2CH3)2), 3.12 (2H, t, J=7.2 Hz, OCH2CH2NEt2), 3.71 (3H, s, C2’−OCH3), 3.97 (3H, s, C6−OCH3), 4.44 (2H, t, J=7.2 Hz, OCH2CH2NEt2) 5.97 (2H, s, OCH2O), 6.64 (1H, s, C3’−H), 6.82 (1H, s, C2−H), 6.91 (1H, s,C6’−H), 7.09 (1H, s, C5−H), 7.26 (1H,s,C8−H), 7.70 (1H, s, C4−H).
【0133】
(工程3)
6−(2−Diethylmethylammoniumethoxy)−7−methoxy−2−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1,4−naphthoquinone−1−(O−methyloxime) Methylsulfate(化合物24:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2CH2N+(Me)Et2;X=OMe;Z=OMe)の合成
Ar雰囲気下で、工程2で得られたNaphtol(化合物24−9D;9.6mg,0.0218mM)とK2CO3(30.1mg,0.218mM,10Meq)にDMF(0.5ml)を加え、内温4℃にて攪拌した。30分後、isoamyl nitrite(0.005ml,0.0372mM,1.7Meq,d=0.872)を加え、内温4℃にて攪拌した。28時間後、さらにisoamyl nitrite(0.0025ml,0.0186mM,0.85Meq,d=0.872)を追加し13時間攪拌した。TLCにて6の消失を確認した後、Me2SO4(0.002ml,0.0211mM,1.2Meq,d=1.333)を加え、同温にて攪拌した。2時間後、5%NH3 aq.(1.5ml)を加え、室温で1.5時間攪拌した。反応液にH2O(5ml)を注加し、AcOEtにて抽出した(8mlx3)。水層を減圧下、溶媒を留去し、橙色結晶(2.44g)を得た。このものにacetoneを加え、可溶部(1)、不溶部(1)に分け、得られた可溶部(1)の溶媒を減圧下留去し、赤褐色油状物質(47.3mg)を得た。さらに、このものにEtOHを加え、可溶部(2)、不溶部(2)に分け、得られた可溶部(2)の溶媒を減圧下留去し、湿った赤褐色結晶(26.3mg,202.3%)を得た。このものをMeOH−iPrOHにより結晶化させ、結晶(11.7mg)と上清(14.7mg,110.5%)とに分けた。1H−NMR、MSより上清には溶媒以外は目的とする化合物のみで、結晶には、目的とする化合物:副生成物=1:2の割合で目的とする化合物が含まれていた。
【0134】
IR ν max cm−1 (Nujol): no characteristic absorptions 1H−NMR (400 MHz) δ:1.44 (6H, t, J=7.1 Hz, N−(CH2CH3)2), 3.18 (3H, s, N−CH3), 3.58 (4H, q, J=7.1 Hz, N−(CH2CH3)2), 3.72 (3H, s,C2’−OCH3), 3.87 (2H, m, OCH2CH2NEt2), 3.95 (3H, s, N−OCH3), 4.08 (3H, s, C7−OCH3), 4.61 (2H, m, OCH2CH2N(CH3)2), 5.97 (2H, s, OCH2O), 6.42 (1H,s, C3−H), 6.716, 6.723 (each 1H, s,C3’−,C6’−H), 7.75 (1H, s, C5−H), 8.50 (1H, s, C8−H). FAB−MS m/z: 497 (M+).
【0135】
実施例6
2−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−ethoxycarbonylmethoxyimino−6,7−methylenedioxynaphthalen−4(2H)−one(化合物12:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OCH2CO2Et)の合成
3−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−6,7−methylenedioxy−1−naphthol(化合物12−9:一般式(9)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O)0.03g(0.089mmol)とK2CO3 0.06g(0.43mmol,4.8Meq.)にDMF0.3mlを加え,argon中氷冷撹拌下,isoamyl nitrite0.01ml(d=0.872,0.099mmol,1.1Meq.)を加え,室温で1h撹拌した。反応液を氷冷後,撹拌下ブロム酢酸エチル0.12ml(d=1.333,0.109mmol,1.2Meq.)を加え,室温で1h撹拌した。反応終了後,水を注加し,AcOEtで抽出した。AcOEt層を水,sat.NaCl aq.にて洗浄し,K2CO3にて乾燥後,溶媒を留去して得られる黄褐色残渣をpreparative TLC(hexane:AcOEt=2:1)にて精製し,yellow oil,0.03g(76%)を得た。
【0136】
1H−NMR (400MHz) δ: 1.28 (3H, t, J=7.2Hz, CH2CH3), 3.69 (3H, s, OMe), 4.22 (2H, q, J=7.2Hz, CH2CH3), 4.74 (2H, s, OCH2CO), 5.97 (2H, s, OCH2O), 6.11 (2H, s, OCH2O), 6.54 (2H, s, 3−,3’−H), 6.72 (1H, s, 6’−H), 7.67 (1H, s, 8−H), 8.45 (1H, s, 5−H).
【0137】
実施例7
2−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−hydroxycarbonylmethoxyimino−6,7−methylenedioxynaphthalen−4(2H)−one(化合物11:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OCH2CO2H)の合成
実施例6で得られたEster(化合物12;0.025g、0.056mmol),2MNaOH 0.5ml,EtOH1mlの混合物を40℃で10min撹拌した。反応液に水を加え,AcOEtで抽出し、非酸性部を除去した。水層は5%HClにて酸性とした後、AcOEtで抽出した。AcOEt抽出液はMgSO4にて乾燥後,溶媒を留去し,yellow oil,0.025g(quant.)を得た。
【0138】
1H−NMR (400MHz) δ: 3.70 (3H, s, OMe), 4.78 (2H, s, OCH2CO), 5.98 (2H, s,OCH2O), 6.12 (2H, s, OCH2O), 6.55 (2H, s, 3−H), 6.56 (1H, s,3’−H), 6.72(1H, s, 6’−H), 7.68 (1H, s, 8−H), 8.36 (1H, s, 5−H).
【0139】
実施例8
(E)−2−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−hydroxyimino−6,7−dimethoxynaphthalen−4(2H)−one(化合物9:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OH)の合成
アルゴン雰囲気下、3−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−6,7−methylenedioxy−1−naphthol(化合物9−9:一般式(9)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O)30.1mgと炭酸カリウム46.1mgをDMF(0.8mL)に溶解し、この溶液に亜硝酸イソアミル(0.030mL)を加え、0℃で2時間撹拌する。反応終了後、氷水に注加し5%塩酸でpH5とした後、酢酸エチルにて抽出する。有機層は飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去し濃赤色結晶(3e)(30.3mg,92.7%)を得る。
【0140】
1H−NMR (500 MHz, CDCl3) δ: 3.72 (3 H, s, OCH3), 5.97 (2 H, s, OCH2O), 6.00 (2 H, s, OCH2O), aromatic protonswere observed around 6.5−8.0 ppm.
【0141】
実施例9
(Z)−2−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−[2−(N,N−dimethylamino)ethoxy]−imino−6,7−methylenedioxynaphthalen−4(2H)−one(化合物10:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OCH2CH2NMe2)の合成
アルゴン雰囲気下、3−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−6,7−methylenedioxy−1−naphthol(化合物10−9:一般式(9)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O)30.0mgと炭酸カリウム99.9mgをDMF0.8mLに溶解し、この溶液に亜硝酸イソアミル(0.040mL)を加え、0℃で2時間撹拌する。さらに2−dimethylaminoethyl chloride hydrochloride(16.6mg)を加え、室温で12時間撹拌する。反応終了後、氷水に注加し酢酸エチルにて抽出する。有機層は水および飽和食塩水で洗浄し、炭酸カリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去し暗褐色ガム状物質(26.2mg)を得る。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン−酢酸エチル−メタノール=10:10:1)にて精製し黄色結晶(22.6mg,58.1%)を得る。さらにヘキサン−酢酸エチルより再結晶を行い黄色プリズム結晶(mp:109−112℃,hexane−AcOEt)を得る。
【0142】
1H−NMR (500 MHz, CDCl3) δ: 2.27 (6 H, s, NCH3 x 2), 2.63 (2 H, t, J = 5.8 Hz, CH2CH2N), 3.71 (3 H, s, OCH3),4.32 (2 H, t, J = 5.8 Hz, CH2CH2N),5.98, 6.11 (each 2 H, s, OCH2O), 6.53 (1 H, s, C3−H), 6.56, 6.72 (each 1 H, s, ArH), 7.68 (1 H, s, C5−H), 8.40 (1 H, s, C8−H).
【0143】
実施例10
テトラロン(一般式(12)の化合物)からキノンモノオキシム(一般式(1)の化合物)の一般的合成法を次に示す。
(工程1)
オキシム(一般式(13)の化合物)の合成法
テトラロン(一般式(12)の化合物)をピリジン(7−10mL/g)に溶解し、この溶液にNH2OMeHCl(2Meq)を加え、外温100℃にて加熱撹拌する。反応終了後、水に注加し酢酸エチルにて抽出する。有機層は10%HCl水溶液、飽和重曹、飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムにて乾燥する。溶媒を減圧留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン−酢酸エチル)にて精製する。さらに再結晶で精製する。
【0144】
(工程2)
キノンモノオキシム(一般式(1)の化合物)の合成法
オキシム(一般式(13)の化合物)をベンゼン(10−30mL/g)に溶解した溶液に酢酸(14Meq)次いでDDQ(3Meq)のベンゼン溶液(10mL/g)を加える。反応混合物を外温80℃にて加熱撹拌する。反応終了後、水に注加し酢酸エチルにて抽出する。有機層は5%NaOH水溶液、飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムにて乾燥する。溶媒を減圧留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン−酢酸エチル)にて精製する。さらに再結晶で精製する。
【0145】
(E)−and(Z)−2−(2−Isopropoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−methoxyimino−6,7−methylenedioxynaphthalen−4(2H)−one(化合物8:一般式(1)でQ=OiPr;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OMe)の合成
上記一般的合成法に従い合成した.
【0146】
Yellow prisms. 1H−NMR (500 MHz, CDCl3) δ: (E : Z = 1 : 1)
Z−isomer: 1.19 (6 H, d, J = 6.1 Hz, CHCH3), 4.03 (3 H, s, N−OCH3), 4.30 [1 H, septet, J =6.1 Hz, OCH(CH3)2],5.97 (2 H, s, OCH2O), 6.11 (2 H, s,OCH2O), 6.50 (1 H, s, C3−H), 6.54, 6.74 (each 1 H, s, ArH), 7.68 (1 H, s, C5−H), 8.28 (1 H, s, C8−H).
E−isomer: 1.19 (6 H, d, J = 6.1 Hz, CHCH3), 3.82 (3 H, s, N−OCH3), 4.30 [1 H, septet, J =6.1 Hz, OCH(CH3)2],5.97 (2 H, s, OCH2O), 6.07 (2 H, s,OCH2O), 6.37 (1 H, s, C3−H), 6.45, 6.70 (each 1 H, s, ArH), 7.51 (1 H, s, C5−H), 7.57 (1 H, s, C8−H).
【0147】
実施例11
(E)−and(Z)−2−(2,4,5−Trimethoxyphenyl)−1−methoxyimino−6,7−methylenedioxy−naphthalen−4(2H)−one
(化合物5:一般式(1)でQ=S=T=OMe;R=U=H;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OMe)の合成
実施例10に示した一般的合成法に従い合成した.
【0148】
Yellow prisms, mp:146−147℃ (hexane−AcOEt). IR ν max cm−1(Nujol): 1642 (C=O). EIMS m/z: 397 (M+, 2.5%), 57 (base peak). HR−EIMS m/z: calcd for C21H19NO7: 397.1161. Found: 397.1163. 1H−NMR (500 MHz, CDCl3) δ: (E : Z = 6 : 10)
Z−isomer: 3.77, 3.86, 3.95, 4.05 (each 3 H, s, OCH3), 6.12 (2 H, s, OCH2O), 6.57 (1 H, s, C3−H), 6.58, 6.80 (each 1 H, s, ArH), 7.67 (1 H, s, C5−H), 8.36 (1 H, s, C8−H).
E−isomer: 3.75, 3.82, 3.87, 3.94 (each 3 H, s, OCH3), 6.08 (2 H, s, OCH2O), 6.43 (1 H, s, C3−H), 6.49, 6.75 (each 1 H, s, ArH), 7.51 (1 H, s, C5−H), 7.63 (1 H, s, C8−H).
【0149】
実施例12
(E)−and(Z)−2−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−methoxyimino−6,7−dimethoxynaphthalen−4(2H)−one(化合物14:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=X=OMe;Z=OMe)の合成
実施例10に示した一般的合成法に従い合成した.
【0150】
Yellow prisms, mp:198−208℃ (Et2O). IR ν max cm−1(Nujol): 1641 (C=O). EIMS m/z: 397 (M+, 81.6%), 297 (base peak). 1H−NMR (500 MHz, CDCl3) δ: (E :Z = 1 : 1)
Z−isomer: 3.72, 3.99, 4.02, 4.07 (each 3 H, s, OCH3), 5.99 (2 H, s, OCH2O), 6.53 (1 H, s, C3−H), 6.58, 6.74 (each 1 H, s, ArH), 7.73 (1 H, s, C5−H), 8.45 (1 H, s, C8−H).
E−isomer: 3.71, 3.85, 3.99, 4.04 (each 3 H, s, OCH3), 5.80 (2 H, s, OCH2O), 6.39 (1 H, s, C3−H), 6.50, 6.70 (each 1 H, s, ArH), 7.55 (1 H, s, C5−H), 7.65 (1 H, s, C8−H).
【0151】
実施例13
(Z)−2−(3,4−Dimethoxyphenyl)−1−methoxyimino−6,7−methylenedioxy−naphthalen−4(2H)−one (化合物4:一般式(1)でQ=T=U=H;R=S=OMe;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OMe)の合成
実施例10に示した一般的合成法に従い合成した.
【0152】
Orange prisms. 1H−NMR (500 MHz, CDCl3) δ: (E : Z = 6 : 10)
Z−isomer: 3.92, 3.94, 3.95, 4.13 (each 3 H, s, OCH3), 6.12 (2 H, s, OCH2O), 6.63 (1 H, s, C3−H), 6.91 (1 H, dd, J = 8.6 Hz, C5’−H), 7.06 (1 H, d, J = 2.0 Hz, C2’−H), 7.10 (1 H, dd,J = 2.0, 8.6 Hz, C6’−H), 7.69 (1 H,s, C5−H), 8.36 (1 H, s, C8−H).
【0153】
以下に薬理試験を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の制癌剤の薬理作用を実験例により示す。
【0154】
実験例1:In vitroにおける細胞増殖阻害活性
In vitroにおけるキノンオキシム誘導体の細胞増殖阻害活性を求めた。キノンオキシム誘導体原末を、ジメチルスルホキシドに溶解し、最高濃度を10μg/mlあるいは1μg/mlとし、6濃度あるいは8濃度を希釈、調整して被験薬とした。実験にはヒト子宮頸癌HeLa S3細胞、あるいはヒト肺癌NCI−H460細胞を用いた。
1x104 cells/mlのHeLa S3細胞、あるいは8x103 cells/mlのNCI−H460細胞を調整し、96well平底プレートに1well当たり0.2mlずつ播いた。37℃,5% CO2 インキュベーターで24時間培養した後、被験薬を10μl添加し、更に72時間培養した。アスピレーターを用い、各wellの培養液を抜き取り、細胞をメタノールで固定し、0.05%メチレンブルー/10mmol Tris−HCl(pH8.5)溶液を0.1ml/wellずつ加え、室温で30分間染色した。次に各wellの染色液をアスピレーターを用いて抜き取った後、純水で3回洗浄し、3% HClを0.2ml/wellの割合で添加後、シールで密封して24時間室温放置し、細胞から色素を溶出した。各wellの660nmでの吸光度を測定し、各濃度での増殖阻害度を算出した。更に被験薬の50%阻害濃度(IC50値、μg/ml)をLitch−Field法により算出した。結果を表1に示した。
表1に示すように、本発明で用いられたキノンオキシム誘導体はヒト子宮頸癌HeLaS3細胞、あるいはヒト肺癌NCI−H460細胞に対して強い細胞増殖阻害活性を示した。
【0155】
【表1】
【0156】
実験例2:in vivoにおける細胞増殖阻害活性
化合物3(参考例3)のin vivoにおける細胞増殖阻害活性をホローファイバーアッセイにより求めた。
化合物原末を、ジメチルスルホキシドに溶解し、クレモホールで希釈し、更に5%グルコースで希釈してヌードマウスに投与した。投与量は50mg/kgとし、5mg/ml溶液を調製して被験薬とし、溶媒投与群を対照とした。ホローファイバーに入れる細胞としては、ヒト肺癌NCI−H460細胞及びヒト大腸癌HCT−116細胞を用いた。
4x106 cells/mlのNCI−H460細胞および7.5x105 cells/mlのHCT−116細胞を調整し、ホローファイバー1本あたり20μlを注入し、両端をヒートシールした。37℃,5% CO2 インキュベーターで24時間培養した後、各ホローファイバーをヌードマウスの背中に皮下移植した。一匹のヌードマウスにNCI−H460細胞とHCT−116細胞のファイバーを1本ずつ移植し、一群4匹で行った。翌日より被験薬を10g体重あたり0.1mlずつ5日間連日、静脈内注射した。
投与終了日翌日にホローファイバーを取り出し、MTT反応を行った。37℃,5% CO2 インキュベーターで1mg/mlのMTT溶液に4時間浸し、2.5%プロタミン溶液に変えて冷蔵庫に一晩置き、更に2.5%プロタミン溶液を替えて冷蔵庫に一晩置いた。各ホローファイバーを半分に切り、各ファイバーを250μlのDMSOに浸し、室温で4時間置き、生成したホルマザンを抽出した。540nmにおける抽出液の吸光度を測定し、溶媒投与群の各細胞の吸光度に対する被験薬投与群の各細胞の吸光度から増殖阻害率を算出した。結果を表2に示した。
【0157】
表2に示すように、化合物3(参考例3)はホローファイバーアッセイにおいて、ヒト肺癌NCI−H460細胞およびヒト大腸癌HCT−116細胞に対して細胞増殖阻害活性を示した。
【0158】
【0159】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、キノンオキシム誘導体は悪性固形腫瘍に対して優れた細胞増殖阻害活性を示すことが明らかであり、制癌剤等の医薬品として有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば制癌剤等の医薬品として期待されるキノンオキシム誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
悪性腫瘍は正常の制御機構からはずれて生体内で増殖を続け、治療をしなければ宿主の死を招くような細胞群を指す。悪性腫瘍は外科的な切除、放射線照射、または化学療法で治療するのが一般的であるが、特に悪性固形腫瘍の治療法の第一選択は外科的手術である。放射線療法および化学療法は、手術前後の補助療法、あるいは手術による治療が不可能と思われる悪性固形腫瘍の治療方法として用いられるのが一般的である。このように、特に化学療法が悪性固形腫瘍に対して主たる治療方法ではないことは、従来までにこれに対する極めて有効な制癌剤が存在しなかったからである。
なお、2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン、2−(7−メトキシ−2−メチルベンゾ[b]フラン−4−イル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン及び2−(3,4−ジメトキシ−2−メトキシカルボニルフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オンは、既に非特許文献1(第27回複素環化学討論会講演要旨集3A−04(1996年))、非特許文献2(Tetrahedron,51(31),8447(1995))、非特許文献3(J.Org.Chem.61(8),2774(1996))に記載された合成化合物であるが、これらの文献には上記化合物の如何なる薬理活性について開示も示唆もされていない。
【0003】
【非特許文献1】
石川勉,外3名「第27回複素環化学討論会講演要旨集」,1996年,3A−04(P.292−295)
【非特許文献2】
T.Ishikawa,外2名「Tetrahedron」,1995年,51巻,31号,P8447−8458
【非特許文献3】
T.Ishikawa,外6名「J.Org.Chem.」,1996年,61巻,8号,P.2774−2779
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の通り、悪性固形腫瘍に対する主な治療方法は、現在のところ外科的手術であるが、これは癌患者に対して肉体的、精神的な苦痛が大きく、さらに腫瘍が転移していれば切除は広範囲にわたることとなり、技術的にも困難を極めているのが現状である。術前あるいは術後での化学療法は、手術によって切除できない腫瘍を縮小・消失させ、さらには術後の再発を予防するために必要不可欠である。以上の現状を踏まえ、悪性固形腫瘍に対して優れた抗腫瘍効果を示す制癌剤の開発が望まれる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記作用を示す制癌剤を見出すべく鋭意研究を行った結果、本発明のキノンオキシム誘導体が、in vitroおよびin vivoにおいて強い細胞増殖阻害活性を示すことを見出して、本発明を完成した。
即ち、本発明は次の(1)〜(17)に関するものである。
【0006】
(1) 一般式(1)
【化3】
【0007】
[式中、Q、R、S、T、U、V、W、X及びYは、互いに等しくても異なってもよく、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のモノアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよい複素5〜7員環を形成するための官能基を示す。Zは水酸基又は置換基を有してもよい炭素数1〜7のアルコキシ基を示す。前記置換基を有する場合の置換基としては、水酸基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、アミノ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択されるいずれかの置換基を示す。但し、2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン、2−(7−メトキシ−2−メチルベンゾ[b]フラン−4−イル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン及び2−(3,4−ジメトキシ−2−メトキシカルボニルフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オンを除く。]
で表わされる新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【0008】
(2)Q、R、S、T、U、W及びXは、互いに等しくても異なってもよい、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のモノアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいフラン、ジオキソラン、ピラン、ジオキサン、ジオキセパン環を形成するための官能基を示し、V及びYは水素原子を示し、Zは置換基を有してもよい炭素数1〜7のアルコキシ基を示し、置換基を有する場合の置換基は前記した通りを示す、(1)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【0009】
(3)Q、R、S、T及びUのうち少なくとも2個は水素原子ではない、(1)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
(4)Q、R、S、T、及びUが、互いに等しくても異なってもよい、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいフラン、またはジオキソラン環を形成するための官能基を示し、V及びYが水素原子を示し、W及びXが、互いに等しくても異なってもよく、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zは置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルコキシ基を示し、置換基は前記した通りを示す、(1)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【0010】
(5)Q、R、S、T、及びUにおいて、Q及びR、R及びU、T及びU、もしくはQとT及びUが共に水素原子であり、他の官能基は互いに等しくても異なってもよく、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または隣接する二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいフラン、ジオキソラン、ピラン、ジオキサン、ジオキセパン環を形成するための官能基を示し、
V及びYが水素原子を示し、
W及びXが互いに等しくても異なってもよく、水酸基、または置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、アミノ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜7のアシルオキシ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、
Zが水酸基、または置換基として炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、(1)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【0011】
(6)Q、R、S、T、及びUにおいて、Q及びR、R及びU、T及びU、もしくはQとT及びUが共に水素原子であり、他の官能基は互いに等しくても異なってもよく、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または隣接する二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいフラン、またはジオキソラン環を形成するための官能基を示し、V及びYが水素原子を示し、W及びXが互いに等しくても異なってもよく、水酸基、または置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜7のアシルオキシ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zが置換基として炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、(1)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【0012】
(7)W及びXにおいて、一方が炭素数1〜3のアルコキシ基であり、他方が置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のアシルオキシ基、炭素数2〜8のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または6員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示す、(6)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【0013】
(8)W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zが炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、(6)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
【0014】
(9)一般式(1)
【化4】
【0015】
[式中、Q、R、S、T、U、V、W、X及びYは、互いに等しくても異なってもよく、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のモノアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよい複素5〜7員環を形成するための官能基を示す。Zは水酸基又は置換基を有してもよい炭素数1〜7のアルコキシ基を示す。前記置換基を有する場合の置換基としては、水酸基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、アミノ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択されるいずれかの置換基を示す。]で表わされる新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
【0016】
(10)Q、R、S、T、U、W及びXは、互いに等しくても異なってもよい、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のモノアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいフラン、ジオキソラン、ピラン、ジオキサン、ジオキセパン環を形成するための官能基を示し、V及びYは水素原子を示し、Zは置換基を有してもよい炭素数1〜7のアルコキシ基を示し、置換基を有する場合の置換基は前記した通りを示す、(9)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
【0017】
(11)Q、R、S、T及びUのうち少なくとも2個は水素原子ではない、(9)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
(12)Q、R、S、T、及びUが、互いに等しくても異なってもよい、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいフラン、またはジオキソラン環を形成するための官能基を示し、V及びYが水素原子を示し、W及びXが、互いに等しくても異なってもよく、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zは置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルコキシ基を示し、置換基は前記した通りを示す、(9)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
【0018】
(13)Q、R、S、T、及びUにおいて、Q及びR、R及びU、T及びU、もしくはQとT及びUが共に水素原子であり、他の官能基は互いに等しくても異なってもよく、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または隣接する二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいフラン、ジオキソラン、ピラン、ジオキサン、ジオキセパン環を形成するための官能基を示し、
V及びYが水素原子を示し、
W及びXが互いに等しくても異なってもよく、水酸基、または置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、アミノ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜7のアシルオキシ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、
Zが水酸基、または置換基として炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、(9)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
【0019】
(14)Q、R、S、T、及びUにおいて、Q及びR、R及びU、T及びU、もしくはQとT及びUが共に水素原子であり、他の官能基は互いに等しくても異なってもよく、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または隣接する二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいフラン、またはジオキソラン環を形成するための官能基を示し、V及びYが水素原子を示し、W及びXが互いに等しくても異なってもよく、水酸基、または置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜7のアシルオキシ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zが置換基として炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、(9)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
【0020】
(15)W及びXにおいて、一方が炭素数1〜3のアルコキシ基であり、他方が置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のアシルオキシ基、炭素数2〜8のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または6員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示す、(14)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
【0021】
(16)W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zが炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、前記(14)記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
(17)前記(9)〜(16)のいずれかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする医薬。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明において、炭素数1〜7のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ベンジルオキシ基等の直鎖状アルコキシ基、イソプロポキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブトキシ基等の分岐状アルコキシ基、またはシクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基等の環状アルコキシ基が挙げられる。これらの中で炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましい。
【0023】
本発明において、炭素数1〜7のアシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基等の脂肪族アシルオキシ基、またはベンゾイルオキシ基、ニコチノイルオキシ基などの芳香族アシルオキシ基が挙げられる。これらの中で、炭素数2〜4の直鎖状アシルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ニコチノイルオキシ基が好ましい。
【0024】
本発明において、炭素数1〜6のモノアルキルアミノカルボニルオキシ基としてはメチルアミノカルボニルオキシ基、エチルアミノカルボニルオキシ基、イソプロピルアミノカルボニルオキシ基、n−ブチルアミノカルボニルオキシ基等の、脂肪族モノアルキルアミノ基が挙げられる。これらの中で、炭素数1〜4の直鎖状モノアルキルアミノカルボニルオキシ基が好ましい。
【0025】
本発明において、炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基としてはジメチルアミノカルボニルオキシ基、ジエチルアミノカルボニルオキシ基、ジイソプロピルアミノカルボニルオキシ基、ジn−ブチルアミノカルボニルオキシ基等の、脂肪族ジアルキルアミノ基が挙げられる。これらの中で、炭素数2〜4の直鎖状ジアルキルアミノカルボニルオキシ基が好ましい。
【0026】
本発明において、5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基としてはピロリジノカルボニルオキシ基、ピペリジノカルボニルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N−アルキルピペラジノカルボニルオキシ基、N−アルキルホモピペラジノカルボニルオキシ基などが挙げられる。これらの中で、ピペリジノカルボニルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N−アルキルピペラジノカルボニルオキシ基などの6員環アミノカルボニルオキシ基が好ましい。N−アルキルにおけるアルキル基は、通常メチル、エチル等の炭素数1〜3のアルキル基である。
【0027】
本発明において、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基とは、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等の直鎖状アルコキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の分岐状アルコキシカルボニル基、またはシクロプロピルオキシカルボニル基、シクロブチルオキシカルボニル基等の環状アルコキシカルボニル基が挙げられる。これらの中で炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基が好ましい。
【0028】
本発明において、複素5〜7員環とは、フラン、ピロール、チオフェン、ジオキソールなどの複素5員環、オキシン、ピリジン、ジオキシンなどの複素6員環、及びオキセピン、ジオキセピンなどの複素7員環を示す。これらの中でフラン、ジオキソール、オキシン、ジオキシン、ジオキセピンが好ましい。
【0029】
本発明において、官能基が置換基を有してもよい場合の置換基としては、水酸基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、アミノ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基が挙げられる。これらの中で、炭素数1〜3のアルキル基とは例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。また、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基としては、例えばメトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ等が挙げられる。また、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基としては、例えばトリメチルアンモニオ基、ジメチルエチルアンモニオ基、ジエチルメチルアンモニオ基、トリエチルアンモニオ基等が挙げられる。他の置換基の例示については、前記した官能基で説明した場合と同様である。
【0030】
一般式(1)で表される化合物としては例えば次のような化合物が挙げられる。
1) 2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
2) 2−(7−メトキシ−2−メチルベンゾ[b]フラン−4−イル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
3) 2−(3,4−ジメトキシ−2−メトキシカルボニルフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
4) 2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
5) 2−(2,4,5−トリメトキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
【0031】
6) 2−(2,4,5−トリメトキシフェニル)−1−エトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
7) 2−(2−エトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
8) 2−(2−イソプロポキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
9) 1−ヒドロキシイミノ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
10’) 1−エトキシイミノ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
【0032】
10) 1−(2−ジメチルアミノ)エトキシイミノ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
11) 1−ヒドロキシカルボニルメトキシイミノ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
12) 1−エトキシカルボニルメトキシイミノ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン
13) 6−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
14) 6,7−ジメトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
15) 7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6−イソプロポキシナフタレン−4(2H)−オン
【0033】
16) 6−ベンジルオキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン17) 7−メトキシ−1−メトキシイミノ−6−メトキシメトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)ナフタレン−4(2H)−オン
18) 7−メトキシ−6−(2−メトキシ)エトキシメトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
19) 6−(2−ジメチルアミノ)エトキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
20) 6−(2−ジエチルアミノ)エトキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
【0034】
21) 7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6−(2−ピペリジノ)エトキシナフタレン−4(2H)−オン
22) 7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6−(2−モルホリノ)エトキシナフタレン−4(2H)−オン
23) 6−(2−トリメチルアンモニオ)エトキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
24) 6−(2−ジエチルメチルアンモニオ)エトキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
25) 6−ヒドロキシカルボニルメトキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
【0035】
26) 6−エトキシカルボニルメトキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
27) 6−アセトキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
28) 7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6−プロピオニルオキシナフタレン−4(2H)−オン
29) 6−(4−ジメチルアミノ)ブチリルオキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
30) 6−(3−ヒドロキシカルボニル)プロピオニルオキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
【0036】
31) 6−ジメチルアミノカルボニルオキシ−7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノナフタレン−4(2H)−オン
32) 7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6−ピペリジノカルボニルオキシナフタレン−4(2H)−オン
33) 7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6−モルホリノカルボニルオキシナフタレン−4(2H)−オン
34) 7−メトキシ−2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6−(4−ピペリジノピペリジノカルボニルオキシナフタレン−4(2H)−オン
【0037】
本発明の一般式(1)で表わされる化合物は、以下に示す反応式(1)〜(6)記載の方法で合成して得ることが出来る。また、反応に用いられる原料化合物である一般式(2)、(3)、(14)、(15)等の化合物は各々試薬として購入して得るか又は公知文献の記載の製造法に従うか若しくは常法通り適宜合成して得ることが出来る。
まず、本発明の化合物のうちZがメトキシ基である化合物は、公知の方法(第27回複素環化学討論会講演要旨集3A−04(1996年)、Tetrahedron,51(31),8447(1995)、J.Org.Chem.61(8),2774(1996))に従い製造することができる。なお、2−(2−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン、2−(7−メトキシ−2−メチルベンゾ[b]フラン−4−イル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オン及び2−(3,4−ジメトキシ−2−メトキシカルボニルフェニル)−1−メトキシイミノ−6,7−メチレンジオキシナフタレン−4(2H)−オンはこれらの文献に記載された合成化合物であるが、これらの文献には如何なる薬理活性についても開示されていない。
以下に、反応式(1)〜(7)による一般式(1)で表わされる化合物の合成法を説明する。なお、詳細な反応条件等については後述する実施例をも参照される。
【0038】
(i)反応式(1)の合成法;
【化5】
【0039】
[式中、Aは水素原子またはハロゲン原子を示し、Bはハロゲン原子またはN,O−ジメチルヒドロキシアミノ基を示す。Q〜U及びV〜Yは前述の通りである。]
【0040】
Aが水素原子である式(2)化合物及びBがハロゲン原子である式(3)化合物から式(4)化合物を合成する反応はフリーデル−クラフツアシル化反応であり、(a)は四塩化スズなどのルイス酸を示す。また、Aがハロゲン原子である式(2)化合物及びBがN,O−ジメチルヒドロキシアミノ基である式(3)化合物から式(4)化合物を合成する反応はアリルリチウム化合物を経由するアシル化反応であり、(b)はn−ブチルリチウムなどのアルキルリチウムを示す。
【0041】
式(4)化合物から式(5)化合物を合成する反応はレフォルマトスキー反応であり、(c)はブロモ酢酸エチル−亜鉛などの組み合わせの試薬である。
式(5)化合物から式(6)化合物を合成する反応は加水素分解反応であり、(d)はトリエチルシラン−トリフルオロ酢酸などの組み合わせ試薬である。
式(6)化合物から式(7)化合物を合成する反応は加水分解であり、(e)は水酸化ナトリウム等のアルカリ性試薬である。
式(7)化合物から式(8)化合物を合成する反応はフリーデル−クラフツ型反応であり、(f)はオキシ塩化リン等の環化剤、または環化剤と炭酸カリウムなど塩基性物質の組み合わせである。
【0042】
式(8)化合物から式(9)化合物を合成する反応は、アセチル化反応、脱水素反応、及び加水分解反応の三工程を含む。従って、(g)は酢酸イソプロペニルなどのアセチル化剤、DDQ等の脱水素剤、続いて水酸化ナトリウム等のアルカリ性試薬を示す。
式(9)化合物から式(1A)化合物(Zがメトキシ基である化合物(1))を合成する反応は、ニトロソ化反応及びメチル化反応の二工程を含む。(h)は亜硝酸イソアミル−炭酸カリウムなどのニトロソ化試薬と塩基性物質の組み合わせ、続いてジメチル硫酸などメチル化剤と塩基の組み合わせである。
【0043】
(ii)また、反応式(2)
【化6】
【0044】
[式中、Eは炭素数1−3のアルキル基を示し、V〜Yは前述の通りである。]
で示されるように、置換基T及びUがフラン環を形成している式(9A)化合物はフラン環を開裂することにより、置換基がそれぞれアルコキシ基及びアルコキシカルボニル基である式(9B)化合物を得ることができる。
【0045】
式(9A)化合物から式(10A)化合物を合成する反応はベンジル化反応であり、(i)は臭化ベンジルなどのハロゲン化ベンジルと炭酸カリウムなどの塩基の組み合わせである。
式(10A)化合物から式(10B)化合物を合成する反応は酸化反応であり、(j)は四酸化オスミウムなどの酸化剤である。
式(10B)化合物から式(10C)化合物を合成する反応は酸化開裂反応であり、(k)は過ヨウ素酸ナトリウムなどの酸化剤である。
【0046】
式(10C)化合物から式(10D)化合物を合成する反応はアルキル化反応であり、(l)はジメチル硫酸などのアルキル化剤である。
式(10D)化合物から式(9B)化合物を合成する反応は加水素分解反応であり、(m)は水素−パラジウム/炭素などの組み合わせである。
【0047】
(iii)また、反応式(3)
【化7】
【0048】
[式中、V及びX〜Yは前述の通りであり、WAはベンジル基及び水酸基以外のWを示す。]
で示されるように、置換基Wがベンジルオキシ基である式(9C)化合物のベンジル基を除去後、新たに置換基を導入することにより、式(9D)化合物を得ることができる。
【0049】
式(9C)化合物から式(11A)化合物を合成する反応はアセチル化反応であり、(n)はイソプロペニル酢酸などのアセチル化剤である。
式(11A)化合物から式(11B)化合物を合成する反応は加水素分解反応であり、(o)は水素−パラジウム/炭素などの組み合わせである。
式(11B)化合物から式(11C)化合物を合成する反応は、アルキル化、アシル化、またはアミノカルボニル化反応であり、(p)はアルキル化剤、アシル化剤、またはアミノカルボニル化剤を示す。
式(11C)化合物から式(9D)化合物を合成する反応は加水分解反応であり、(q)は水酸化ナトリウム等のアルカリ性試薬である。
【0050】
(iv)また、反応式(4)
【化8】
【0051】
[式中、MEMはメトキシエトキシメチル基、Q〜U、V及びX〜Yは前述の通りであり、WBはメトキシエトキシメトキシ基及び水酸基以外のWを示す。]
で示されるように、置換基Wがメトキシエトキシメトキシ基である式(1C)化合物のメトキシエトキシメチル基を除去することにより、Wが水酸基である式(1D)化合物を、また式(1D)化合物に置換基を導入することにより、式(1E)化合物を得ることができる。
【0052】
式(1C)化合物から式(1D)化合物を合成する反応は加水分解反応であり、(r)はモンモリロナイトなどの弱酸性試薬である。
式(1D)化合物から式(1E)化合物を合成する反応は、アルキル化、アシル化、またはアミノカルボニル化反応であり、(s)はアルキル化剤、アシル化剤、またはアミノカルボニル化剤を示す。
【0053】
(v)また、反応式(5)
【化9】
【0054】
[式中、Q〜U、V〜Yは前述の通りであり、ZAは水酸基及びメトキシ基以外のZを示す。]
で示されるように、反応式1で得られる式(9)化合物からZが水酸基である式(1F)化合物を、また式(1F)化合物に置換基を導入することにより、式(1G)化合物一般式(1)で表わされる化合物を得ることができる。
【0055】
式(9)化合物から式(1F)化合物を合成する反応は、ニトロソ化反応であり、(t)は亜硝酸イソアミルである。
式(1F)化合物から式(1G)化合物を合成する反応は、アルキル化反応であり、導入されたアルキル基にエステル基が含まれる場合は加水分解反応も含む。(u)はアルキル化剤であり、アルキル化剤中にエステル結合が含まれる場合は水酸化ナトリウムなどのアルカリ性試薬を含む。
【0056】
(iv)また、反応式(6)
【化10】
【0057】
[式中、Q〜U、V〜Yは前述の通りである。]
で示されるように、式(12)化合物からZがメトキシ基である式(1A)化合物を合成することができる。
【0058】
式(12)化合物から式(13)化合物を合成する反応はオキシム化反応であり、(w)はO−メチルヒドロキシルアミンである。
式(13)化合物から式(1A)化合物を合成する反応は酸化反応であり、(x)はDDQなどの酸化剤である。
なお、化合物(12)は文献(Chem.Pharm.Bull.,31(9),3039−3055(1983)等に記載の方法で容易に合成することができる。
【0059】
(vii)例えば、反応式(7)
【化11】
【0060】
[式中、Q〜U、V〜Yは前述の通りである。]の合成法によって式(12)の化合物が得られる。
【0061】
式(14)化合物と式(15)化合物から式(16)化合物を合成する反応はアルドール型縮合反応であり、(y)は水酸化ナトリウム等の塩基性触媒である。
式(16)化合物から式(17)化合物を合成する反応はハイドロシアノ化反応であり、(z)はシアン化ナトリウム及びシアン化カリウム等である。
式(17)化合物から式(18)化合物を合成する反応は加水分解反応であり、(aa)は水酸化カリウム等の塩基性触媒である。
【0062】
式(18)化合物から式(19)化合物を合成する反応は加水素化分解反応であり、(bb)は水素とパラジウム炭素等の還元触媒の組み合わせである。
式(19)化合物から式(12)化合物を合成する反応は分子内フリーデル−クラフツ型アシル化反応であり、(cc)はオキシ塩化リンや塩化チオニル等の脱水縮合剤である。
上記の各製法により得た反応混合物から目的物を単離及び精製を行うには、常法による溶媒抽出、濃縮、結晶化、蒸留、懸濁精製、各種クロマトグラフィ−などを、必要に応じ用いることができる。
【0063】
本発明の化合物において薬理学的に許容される塩とは、通常とり得る塩であれば何れでもよく、アルカリとの塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩等、または酸との塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等が挙げられる。
また、本発明の化合物は光学活性体を有する場合があり、本発明化合物はそれら光学活性体、ラセミ体もしくは光学活性体の混合物のいずれをも包含することとして理解されるべきである。
【0064】
本発明の化合物は後で述べる薬理試験例に示されるごとく、優れた制癌効果を有する。例えば、培養された腫瘍細胞に対して増殖抑制効果を示す。従って、本発明の化合物はヒトの、例えば悪性固形腫瘍に対して有効である。
本発明の化合物を医薬品として使用する場合の製剤化および投与方法は、従来の公知の種々の方法が適応できる。即ち、投与方法は、注射、経口等による投与又は座薬としての使用が可能である。
【0065】
製剤形態としては注射剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、座剤等の形態がとり得る。製剤化に際しては、主薬に悪影響を与えない限り、医薬品に用いられる種々の補助剤、即ち、担体やその他の助剤、例えば安定化剤、防腐剤、無痛化剤、乳化剤等が必要に応じて使用される。製剤において、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩の含量は製剤形態により広範囲に変えることが可能であり、一般には化合物又はその塩を0.1〜100%(重量)、好ましくは1〜50%(重量)含有し、残りは通常の医薬用に使用される担体やその他の助剤等の補助剤からなる。本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与量は症状により異なるが、成人1人1日当たり5〜500mg程度である。
【0066】
【実施例】
以下に本発明化合物の製造例について、参考例及び実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
【0067】
mp:未補正微量融点測定器(柳本製作所:MP−SI型)を使用。
IR:日本分光FT/IR−300E型を使用。
NMR:日本電子JNM−GSX−500α(500MHz)、JNM−GSX400α(400MHz)、またはJNM−ECP400(400MHz)を用い、溶媒は特記しない限りCDCl3、内部標準は、tetramethylsilaneにて測定。また、以下の略号を用いた。
s:singlet, d:doublet, t:triplet, dd:double doublet, dq:double qualtet, m:multiplet, br:broad
【0068】
MS:EI−MSは日本電子JMS−AUTO MASS 20型を使用。
SiO2:カラムクロマトグラフィーにはMerk社製Art.7734Kieselgel 60F(70−230mesh),または富士シリシア社製FL100Dを使用。
TLC:Merk社製Art.5715DC−Platten Kieselgel 60F254を使用し、検出はアトー社製 SJ−1031Aによる照射、硫酸セリウム−モリブデン酸混液に浸した後加熱及びI2による発色にて行った。
Preparative−TLC(p−TLC):Merk社製Art.5744PSC−Platten Kieselgel60F254またはArt.5715PSC−Platten Kieselgel60F254を使用。
【0069】
参考例1.
2−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−methoxyimino−6,7−methylenedioxynaphthalen−4(2H)−one (化合物1:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=MeO)の合成
文献(Tetrahedron,51(31),8447(1995))記載の方法で合成した.
【0070】
参考例2.
2−[4−(7−Methoxy−2−methybenzo[b]furanyl)]−1−methoxyimino−6,7−methylenedioxynaphthalen−4(2H)−one (化合物2:一般式(1)でQ=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=MeO)の合成
【0071】
(工程1)
4−(7−Methoxy−2−methylbenzo[b]furanyl) 3,4−Methylenedioxybenzyl Ketone (化合物2−4:一般式(4)でQ=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl;V=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
3,4−Methylenedioxyphenylacetic acid(化合物2−3:一般式(3)でB=OH;V=Y=H;W+X=OCH2O)1.1102g(6.16mmol)に(COCl)2を1.5ml(d=1.5,17.73mmol,2.87Meq)を氷冷(内温2−5℃)撹拌下で滴下し,更に室温で3h撹拌した。過剰の(COCl)2を減圧下留去し,yellow viscous liquidを得た。このものをabs.CH2Cl2(5.2ml)に溶解し,氷食塩冷却(−15℃付近)撹拌下,benzofuran(化合物2−2:一般式(2)でA=Q=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl)1.0023g(6.18mmol)をabs.CH2Cl2 17mlに溶解した溶液を加えた後,SnCl4 2.9ml(d=2.226, 24.78mmol, 4.01Meq)をゆっくりと滴下し,更に−15℃にて1.5h撹拌した。反応終了後,反応液を大量の水に注加しCHCl3で抽出。CHCl3層をsat.NaHCO3aq.,水,sat.NaClaq.にて洗浄後,K2CO3にて乾燥。溶媒を留去して得られるyellow crystals 1.8089g(90.3% from化合物2−3)をEt2O−hexaneにて再結晶し,colorlessfine needles 1.2964g(64.9% from 化合物2−3),mp:120.0−121.5℃,を得た。
【0072】
Anal. Calcd C19H16O5 : C, 70.36 ; H,4.97 . Found : C, 70.39 ; H, 4.79. IR ν max cm−1 : 1670 (C=O). 1H−NMR (500MHz) δ: 2.49 (3H, d, J=1.1Hz, 2−Me), 4.06 (3H, s, OMe), 4.20 (2H, s, COCH2Ar), 5.92 (2H, s, OCH2O), 6.72 (1H, dd, J=7.8, 1.5Hz, 6’−H), 6.74 (1H, d, J=8.5Hz, 6−H), 6.76 (1H, d, J=7.8Hz, 5’−H), 6.78 (1H, d, J=1.5Hz,2’−H), 7.20 (1H, s, 3−H), 7.83 (1H,d, J=8.5Hz, 5−H).
【0073】
(工程2)
Ethyl 3−Hydroxy−3−[4−(7−methoxy−2−methylbenzo[b]furanyl)]−4−(3,4−methylenedioxyphenyl)butyrate (化合物2−5:一般式(5)でQ=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl;V=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
工程1で得られたKetone(化合物2−4)23.25g(0.0717mol),亜鉛末16.91g(11.12mg atom)及びヨウ素3.7g(0.0146mmol,0.2Meq.)をフラスコに入れ,argon置換後anhydrous dioxane 150mlを注入し,化合物2−4及びヨウ素を溶解する。そこへ,ethyl bromoacetate8.74ml(d=1.506,0.0788mol,1.1Meq.)を注入し超音波洗浄器に入れovernightで,超音波を照射した。反応終了後,水に注加しCHCl3にて抽出。CHCl3層は,1%KIaq.,及び水,sat.NaClaq.で洗浄し,K2CO3にて乾燥。溶媒を留去し,得られるbrown oil 43.97g(quant.)をcolumn chromatography(CHCl3:ether=20:1)により精製し,得られるyellow oil 27.119g(91.7%)をethanolより再結晶,colorless fine needles, mp:88.0−93.0℃,を得た。
【0074】
Anal Calcd C23H24O7 : C, 66.98 ; H, 5.87. Found: C, 66.98 ; H, 5.61. MS m/z: 394 (M+−H2O, 2.1%), 189 (100%).IR ν max cm−1: 3492 (OH), 1712 (C=O). 1H−NMR (500MHz) δ: 1.10 (3H, t, J=7.2Hz, OCH2CH3), 2.49 (3H, d, J=1.0Hz, 2’−Me), 2.77 (1H, d, J=16.2Hz, 2−H), 3.04 (1H, d, J=13.8Hz, 4−H), 3.08 (1H, d, J=16.2Hz, 2−H), 3.11 (1H,d, J=13.8Hz, 4−H), 3.98 (3H, s, OMe), 4.00 (2H, q, J=7.2Hz, OCH2CH3), 4.55 (1H, br, OH), 5.88 (1H, d, J=1.5Hz, OCH2O), 5.89 (1H, d, J=1.5Hz, OCH2O), 6.39 (1H, dd, J=8.0, 1.5Hz, 6’’−H), 6.46 (1H, d, J=1.5Hz, 2’’−H) 6.59 (1H, d, J=8.2Hz, 6’−H), 6.62 (1H, d, J=8.0Hz, 5’’−H), 6.74 (1H, d, J=1.0Hz, 3’−H), 6.84 (1H, d, J=8.2Hz,
5’−H)
【0075】
(工程3)
Ethyl 3−[4−(7−Methoxy−2−methylbenzo[b]furanyl)]−4−(3,4−methylenedioxyphenyl)butyrate (化合物2−6:一般式(6)でQ=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl;V=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
工程2で得られたβ−Hydroxy ester(化合物2−5)0.207g(0.5019mmol)をCH2Cl2 2.4mlに溶解し,氷冷(0℃)下、Et3SiH 0.23ml(d=0.728,1.440mmol,3.0Meq),CF3COOH 0.15ml(d=1.480,1.947mmol,0.808Meq.)を順次ゆっくりと加え,同温度にて1.5h攪拌した。反応終了後,NaHCO3 0.163g(1.94mmol)を加え室温にて泡が出なくなるまで穏やかに攪拌した後,CH2Cl2にて希釈して濾過し,溶媒留去。得られるbrown oil 0.22g(quant.)をcolumn chromatography(hexane)にて初めて溶出するEt3SiHを除去した後,溶出溶媒をhexane:AcOEt=5:1に変えて精製し,colorless oil 0.176g(88.7%)を得た。
【0076】
MS m/z : 396 (M+, 0.91%), 261 (100%). IR ν max cm−1 : 1734 (C=O). 1H−NMR (500MHz) δ: 1.01 (3H, t, J=7.0Hz, OCH2CH3), 2.39 (3H, s, 2’−Me), 2.61(2H, m, 2− or 4−H2), 2.82 (2H, m, 2− or 4−H2), 3.49 (1H, m, 3−H), 3.77−3.90 (2H, m, OCH2CH3), 3.98 (3H, s, OMe), 5.81 (2H, s, OCH2O), 6.35 (1H,s, 3’−H), 6.42 (1H, br d, J=7.7Hz, 6’’−H), 6.46 (1H, br s, 2’’−H), 6.57(2H, d, J=7.7Hz, 6’− and 5’’−H), 6.77 (1H, d, J=7.7 Hz, 5’−H).
【0077】
(工程4)
3−[4−(7−Methoxy−2−methylbenzo[b]furanyl)]−4−(3,4−methylenedioxyphenyl)butyric Acid (化合物2−7:一般式(7)でQ=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl;V=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
工程3で得られたEthyl butyrate(化合物2−6)0.1704g(0.43mmol)に17%KOH aq. 0.34mlとEtOH 1.7mlを加え,30min加熱還流。反応液はEt2Oで洗浄後,10%HCl aq.で酸性にし,AcOEtで抽出した。AcOEt層は水,sat.NaCl aq.で洗浄した後,MgSO4にて乾燥し,溶媒留去した。得られるpale orange oil 0.1732g(quant.)の一部をp−TLC(hexane:AcOEt=1:2)より精製し,pale yellow oilを得た。
【0078】
IR ν max cm−1 : 3300−2500 (OH), 1705(C=O). 1H−NMR (500MHz) δ: 2.54 (3H,s, 2’−Me), 2.69−2.72 (2H, m, 2− or 4−H2), 2.82 (1H, dd, J=13.5, 7.5Hz, 2− or 4−H), 2.92 (1H, dd, J=13.5, 7.5Hz, 2− or 4−H), 3.52−3.55 (1H, m, 3−H), 3.92 (3H, s, OMe) , 5.86 (1H, d, J=1.5Hz, OCH2O), 5.87 (1H, d, J=1.5Hz, OCH2O), 6.39 (1H, s, 3’−H), 6.47 (1H, br d, J=8.0Hz, 6’’−H), 6.51 (1H, br s, 2’’−H), 6.63 (2H, d, J=8.0Hz, 6’− and 5’’−H), 6.83 (1H, d, J=8.0Hz, 5’−H).
【0079】
(工程5)
3,4−Dihydro−3−[4−(7−methoxy−2−methylbenzo[b]furanyl)]−6,7−methylenedioxy−1(2H)−naphthalenone (化合物2−8:一般式(8)でQ=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl;V=Y=H;W+X=OCH2O)
工程4で得られたButyric acid(化合物2−7)0.3407g(0.9248mmol)をMeCN 2.73mlに溶解し,K2CO3 0.294g(2.127mmol)を加え,氷冷下でPOCl3 0.431ml(d=1.645, 4.625mmol)をゆっくりと滴下。滴下後外温55℃で2.5h攪拌。反応終了後,反応液を室温に戻し,氷水中に注加し,10%NaOH aq.を加えてアルカリ性にした後,CHCl3で抽出。CHCl3層は水洗後,MgSO4にて乾燥した。溶媒を留去して得られるyellowcrystal 0.116g(72.6%)をcolumn chromatography(AcOEt:hexane=1:4)にて精製し,colorless fine needless 0.2196g(67.8%),mp:180−182℃,を得た。
【0080】
Anal. Calcd C21H18O5 : C, 71.99 ; H,5.18. Found : C, 71.71 ; H, 5.19. MS m/z : 350 (M+, 0.05%), 134 (100%).IR ν max cm−1: 1661 (C=O). 1H−NMR (500MHz) δ: 2.48 (3H, s, 2’−Me), 2.85(1H, dd, J=16.5, 12.8Hz, 2− or 4−H), 2.95 (1H, dd, J=16.5, 2.4Hz, 2− or4−H), 3.13 (1H, dd, J=16.2, 2.8 Hz,4− or 2−H), 3.20 (1H, dd, J=16.2, 11.2Hz, 4− or 2−H), 3.60−3.64 (1H, m,3−H), 4.00 (3H, s, OMe), 6.43 (1H, br s, 3’−H), 6.69 (1H, s, 5−H), 6.71(1H, d, J=7.9Hz, 6’−H), 6.98 (1H, d, J=7.9Hz, 5’−H), 7.53 (1H, s, 8−H).
【0081】
(工程6)
3−[4−(7−Methoxy−2−methylbenzo[b]furanyl)]−6,7−methylenedioxy−1−naphthol (化合物2−9:一般式(9)でQ=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl;V=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
工程5で得られたTetralone(化合物2−8)0.1012g(0.2854mmol)とp−TsOH・H2O 0.0083g(0.0435mmol,0.152Meq.)をisopropenyl acetate 1.5mlに溶解し,argon下外温95℃にて7h加熱還流した。TLCにて原料の消失を確認した後,室温でDDQ 0.0778g(0.3428mmol)を加え,40min攪拌した。反応終了後,反応液をCH2Cl2で希釈し,5%NaOH aq.で洗浄し,溶媒を留去した。得られる淡褐色結晶をEtOH 5.0mlに溶解し,5%NaOH aq. 5.0mlを加えて外温85℃で15min攪拌した。反応終了後,水を注加し,10%HCl aq.で酸性にしてCH2Cl2にて抽出した。CH2Cl2層は水洗後、MgSO4にて乾燥し,溶媒を留去した。得られる残渣0.1034g(quant.)をCHCl3−MeOHより再結晶し,pink prisms 0.0782g(77.7%),mp:253−261℃,を得た。
【0082】
HRMS m/z : 348.0998 (Calcd C21H16O5 : 348.0996). IR ν max cm−1: 3356 (OH). 1H−NMR (500MHz, CDCl3−CD3OD) δ: 2.50 (3H, s, 2’−Me), 4.05 (3H, s, OMe), 5.43 (1H, s, OH), 6.06 (2H, s, OCH2O), 6.62 (1H, d like, J=1.1Hz, 3’−H), 6.83 (1H, d, J=8.3Hz, 6’−H), 6.94 (1H, d, J=1.5Hz, 4−H), 7.13 (1H, s, 5−H), 7.24 (1H, d, J=8.3Hz, 5’−H),7.43 (1H, s, 2−H), 7.50 (1H, s, 8−H).
【0083】
(工程7)
2−[4−(7−Methoxy−2−mehtylbenzo[b]furanyl)]−1−methoxyimino−6,7−methylenedioxynaphthalene−4(2H)−one (化合物2:一般式(1)でQ=R=H;S=OMe;T+U=2−methylfuranyl;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OMe)の合成
Argon下、工程6で得られたNaphthol(化合物2−9) 0.20g(0.574mmol)とK2CO3 0.79g(5.716mmol,10Meq.)にDMF0.5mlを加え,氷冷攪拌下isoamyl nitrite 0.13ml(d=0.872,0.968mmol,1.67Meq.)を加え,室温で4h攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後,氷冷攪拌下,Me2SO4 0.065ml(d=1.333,0.689mmol)を加え,0℃で40min攪拌した。反応終了後,5%NH4OH 1.3mlを加えて,室温で1h攪拌し,過剰のMe2SO4を分解した。反応液に水を注加し,AcOEtで抽出した。AcOEt層は、水洗後K2CO3にて乾燥した。溶媒を留去して得られる赤色残渣0.223g(99.2%)を,column chromatography(AcOEt:hexane=1:2)にて分離精製し,yellow prisms 0.158g(70.3%),mp:232−236℃,を得た。
【0084】
Anal Calcd C22H17NO6 : C, 67.52 ; H,4.38 ; N, 3.58. Found : C, 67.16 ; H, 4.17 ; N, 3.46. MS m/z : 391 (M+,12.8%), 356 (100%). IR ν max cm−1: 1636 (C=O). 1H−NMR (400MHz) δ: 2.47 (3H, s, 2’−Me), 4.03 (3H, s, 7’−OMe), 4.05 (3H, s, N−OMe), 6.13 (2H, s, OCH2O), 6.36 (1H, s, 3’−H), 6.67 (1H, s, 3−H), 6.78 (1H, d, J=8.3Hz, 6’−H), 7.20 (1H, d, J=8.3Hz, 5’−H), 7.71 (1H, s, 5−H), 8.39 (1H, s, 8−H).
【0085】
参考例3.
2−(2−Methoxycarbonyl−3,4−dimethoxyphenyl)−1−methoxyimino−6,7−methylenedioxynaphthalen−4(2H)−one (化合物3:一般式(1)でQ=R=H;S=T=OMe;U=CO2Me;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OMe)の合成
【0086】
(工程1)
1−Benzyloxy−3−[4−(7−methoxy−2−methylbenzo[b]furanyl)]−6,7−methylenedioxynaphthalene (化合物3−10A:一般式(10A)でV=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
3−[4−(7−Methoxy−2−methylbenzo[b]furanyl)]−6,7−methylenedioxy−1−naphthol(化合物3−9A:一般式(9A)でV=Y=H;W+X=OCH2O)7.495g(21.52mmol)とK2CO3 5.95g(43.05mmol,2.0Meq.)にDMF60mlを加え,benzyl bromide3.07ml(d=1.438,25.81mmol,1.2Meq.)を滴下した後,外温50℃にて2h攪拌した。反応終了後,反応液に水を注加しAcOEtで抽出した。AcOEt層は2%NaOH aq.,水, sat.NaClaq.で洗浄後,K2CO3にて乾燥した。得られる褐色残渣10.45g(quant.)をcolumn chromatography(AcOEt:hexane=1:4)にて精製後,得られるyellow prisms 9.128gをhexane−AcOEtにより再結晶し,cholorlessplates 6.1371g(65.0%),mp:148−151℃,を得た。
【0087】
Anal. Calcd C28H22O5 : C, 76.70 ; H,5.06. Found : C, 76.63 ; H, 5.05. MS m/z : 438 (M+, 76.1%), 91 (100%). 1H−NMR (400MHz) δ: 2.46 (3H, s, 2’−Me), 4.04 (3H, s, OMe), 5.30 (2H, s, OCH2Ph), 6.05 (2H, s, OCH2O), 6.29 (1H, d like, J=1.0Hz, 3’−H), 6.82 (1H, d, J=8.3Hz, 6’−H), 6.99 (1H, d, J=1.4Hz, 4−H), 7.13 (1H, s, 5−H), 7.25 (1H, d, J=8.3Hz, 5’−H), 7.25 (1H,s, 2−H), 7.34−7.52 (5H, m, CH2Ph), 7.66 (1H, s, 8−H).
【0088】
(工程2)
1−Benzyloxy−3−[4−(2−hydroxy−7−methoxy−2−methyl−3−oxo−2,3−dihydrobenzo[b]furanyl)]−6,7−methylenedioxynaphthalene (化合物3−10B:一般式(10B)でV=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
工程1で得られたBenzyl ether(化合物3−10A)2.72g(6.203mmol)をpyridine 82mlに加温溶解した溶液にosmic acid 1.91g(7.514mmol,1.2Meq.)を加え,室温で3h撹拌した。反応終了後,sodium sulfite 7.8g(61.89mmol,10.0Meq.)をEtOH41ml及び,水82mlに溶解した溶液を加え,4h加熱攪拌した(外温75℃)。反応終了後,析出している結晶を濾過し,瀘液をAcOEtにて抽出した。AcOEt層をsat.CuSO4 aq.,水,sat.NaCl aq.にて洗浄し,MgSO4にて乾燥後,溶媒を減圧下留去した。得られるbrown oil 3.681g(quant.)をcolumn chromatography(benzene:AcOEt=6:1)にて精製し,得られたyellow prismsをetherから再結晶することによりyellow prisms,mp:168−171℃,2.359g(80.8%)を得た。
【0089】
Anal. Calcd C28H22O7 : C, 71.48 ; H,4.71. Found : C, 71.38 ; H, 4.66. IR ν max cm−1: 3020 (OH), 1724 (C=O).1H−NMR (400MHz) δ: 1.70 (3H, s, 2’−Me), 3.98 (3H, s, OMe), 3.62 (1H, s,OH), 5.25 (2H, s, OCH2Ph), 6.04 (2H, s, OCH2O), 7.00 (1H, d, J=1.4Hz, 4−H), 7.08 (1H, d, J=8.3Hz, 6’−H), 7.11 (1H, s, 5−H), 7.18 (1H, d, J=8.3Hz, 5’−H), 7.26 (1H, br, 2−H), 7.33−7.53 (5H, m, CH2Ph), 7.62 (1H, s, 8−H).
【0090】
(工程3)
1−Benzyloxy−3−(3−hydroxy−2−hydroxycarbonyl−4−methoxyphenyl)−6,7−methylenedioxynaphthalene (化合物3−10C:一般式(10C)でV=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
工程2で得られたKeto alcohol(化合物3−10B)0.153g(0.325mmol)をdioxane6.1mlに溶解し,periodic acid dihydrate 0.111g(0.487mmol, 1.5Meq.)をdioxane1.7ml及び,水0.6mlに溶解した溶液を加え,argon雰囲気下,室温にて24h撹拌した。反応終了後,1%NaOH aq. 8.0mlを加え室温にて4h撹拌した。反応終了後,反応液を水に注加し,5%HCl aq.にて酸性とした後,AcOEtにて抽出した。AcOEt層を水,sat.NaCl aq.にて洗浄後,MgSO4にて乾燥。溶媒を留去してbrown oil 0.143g(99.4%)を得た。
【0091】
IR ν max cm−1: 3023 (OH), 1669 (C=O). 1H−NMR (400MHz) δ: 3.68 (1H, s, OH), 3.93 (3H, s, OMe), 5.19 (2H, s, OCH2Ph), 6.04 (2H, s, OCH2O), 6.72 (1H, s, 4−H), 6.81 (1H, d, J=8.3Hz, 4’−H), 7.03 (1H, d, J=8.3Hz, 5’−H), 7.07 (1H, s, 5−H), 7.20 (1H, s, 2−H), 7.34−7.48 (5H, m, CH2Ph), 7.62 (1H, s, 8−H).
【0092】
(工程4)
1−Benzyloxy−3−(3,4−dimethoxy−2−methoxycarbonylphenyl)−6,7−methylenedioxynaphthalene (化合物3−10D:一般式(10D)でE=Me,V=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
工程3で得られたSalicylic acid(化合物3−10C)0.143g(0.322mmol)をbenzene17.0mlに溶解し,PTC0.091g(0.292mmol,0.9Meq.)及び2%NaOHaq.6.0mlを加えた後,Me2SO4 0.153ml(d=1.333,1.617mmol,5.0Meq.)を滴下し,室温で5h激しく撹拌。反応終了後,5%NH4OH約2mlを加えて室温で1h撹拌した後,AcOEtで抽出した。AcOEt層は水,sat.NaCl aq.で洗浄後,K2CO3にて乾燥した。溶媒を留去して得られるbrown oil 0.134g(88.2%)をcolumn chromatography(hexane:AcOEt=1:3)にて精製し,pale yellow oil 0.1073g(70.6%)を得た。このものは放置すると結晶化する。この一部をetherにて洗浄しcolorless prisms,mp:152−154℃,を得た。
【0093】
(工程5)
3−(2−Methoxycarbonyl−3,4−dimethoxyphenyl)−6,7−methylenedioxy−1−naphthol(化合物3−9B:一般式(9B)でE=Me,V=Y=H;W+X=OCH2O)の合成
工程4で得られたBenzyl ether(化合物3−10D)2.3017g(4.8711mmol)をAcOH150mlに溶解し,1%Pd溶液1.07ml及びNorit0.99gを加え,水素下室温にて2h接触還元した。反応終了後,反応液をCelite545にて濾過し,瀘液をbenzeneと共沸下減圧留去した。得られる淡褐色残渣2.219g(quant.)をcolumn chromatography(hexane:AcOEt=1:2)にて精製後,得られるpale yellow prismsをhexane−AcOEtにて再結晶し,colorless prisms 1.6438g(88.2%),mp199−201℃,を得た。
【0094】
Anal. Calcd C21H18O7 : C, 65.97 ; H,4.74 . Found : C, 65.71 ; H, 4.69. MS m/z : 382 (M+, 100%). IR ν max cm−1: 3340 (OH), 1690 (C=O). 1H−NMR (400MHz) δ: 3.58 (3H, s, OMe), 3.85 (3H, s, OMe), 3.86 (3H, s, OMe), 5.86 (1H, s, OH), 5.97 (2H, s, OCH2O), 6.67 (1H, d, J=1.4Hz, 4−H), 6.95 (1H, d, J=8.3Hz, 5’−H), 7.00 (1H, s, 5−H), 7.09 (1H, d, J=8.3Hz, 6’−H), 7.16 (1H, s, 2−H), 7.40 (1H, s, 8−H).
【0095】
(工程6)
2−(2−Methoxycarbonyl−3,4−dimethoxyphenyl)−1−methoxyimino−6,7−methylenedioxynaphthalen−4(2H)−one(化合物3:一般式(1)でQ=R=H;S=T=OMe;U=CO2Me;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OMe)の合成
工程5で得られたNaphthol(化合物3−9B)1.534g(4.012mmol)とK2CO3 15.4g(0.04mol, 10Meq.)にDMF15.4mlを加え,argon中氷冷撹拌下,isoamyl nitrite0.915ml(d=0.872, 6.81mmol, 1.7Meq.)を加え,室温で2h撹拌した。反応液を氷冷後,撹拌下Me2SO4 0.456ml(d=1.333, 4.82mmol, 1.2Meq.)を加え,室温で1h撹拌した。反応終了後,5%NH4OH約2.0mlを加え室温で1h撹拌した。反応液に水を注加し,AcOEtで抽出した。AcOEt層を水,sat.NaClaq.にて洗浄し,K2CO3にて乾燥後,溶媒を留去して得られる黄褐色残渣2.162g(quant.)をcolumn chromatography(benzene:AcOEt=12:1)にて精製し,yellow prismsを得た。その一部をAcOEt−hexaneにて再結晶し,yellow prisms, 1.288g(75.5%),mp171−173℃,を得た。
【0096】
Anal. Calcd C22H19NO8 : C, 62.12 ; H, 4.50 ; N, 3.29. Found : C, 62.14 ;H, 4.41 ; N, 3.18. FAB−MS m/z : 426(M++H, 100%). IR ν max cm−1: 1638 (C=O). 1H−NMR (400MHz) δ: 3.66 (3H, s, OMe), 3.93 (6H, s, OMex2), 4.08 (3H, s, OMe), 6.11 (2H, s, OCH2O), 6.56 (1H, s, 3−H), 7.02 (1H, d, J=8.3Hz, 4’−H), 7.12 (1H, d, J=8.3Hz, 5’−H), 7.69 (1H, s, 5−H), 8.33 (1H, s, 8−H).
【0097】
実施例1.
6−Benzyloxy−7−methoxy−2−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−methoxyiminonaphthalen−4(2H)−one(化合物16:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe;Z=OMe)の合成
【0098】
(工程1)
2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl−4−benzyloxy−3−methoxybenzyl Ketone(化合物16−4:一般式(4)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe)の合成
6−Bromo−3,4−methylenedioxyanisole(化合物16−2:一般式(2)でA=Br;Q=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O)(441.2mg,1.91mM,2.0Meq)にAr下,THF(10.0ml)を加え、−78℃にて10分攪拌した。1.55mol/l n−BuLi in n−hexane溶液(1.30ml,2.02mM,2.1Meq)を加え、同温にて1時間攪拌した。そこへ、4−Benzyloxy−3,N−dimethoxy−N−methylphenylacelateamide(化合物16−3:一般式(3)でB=N(Me)OMe;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe)299.6mg(0.95mM)のTHF(8ml)溶液を滴下ロートを用い、20分間かけて滴下し、−78℃にて攪拌した。1時間後、sat.NH4Claq.(30ml)を注加し、AcOEtにて抽出した(30mlx3)。有機層をH2O(60ml)、sat.NaClaq.(60ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた黄色結晶(553.9mg,143.5%)をAcOEtで再結晶し、colorless needles(242.6mg,62.8%,mp137−140℃)を得た。また、再結晶母液をカラムクロマトグラフィー(SiO2 20g,benzene:AcOEt=100:1)にて精製し、colorless needles(65.1mg,16.9%)を得た。
【0099】
IR ν max (Nujol) cm−1: 1656 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 3.86 (6H, s, OCH3) , 4.19 (2H, s, COCH2) , 5.12 (2H, s, OCH2Ph) , 5.97 (2H, s, OCH2O) , 6.52 (1H, s, C3’−H) , 6.67 (1H, dd, J=8.1, 1.5 Hz, C6−H) , 6.78 (1H, d, J=1.8 Hz, C2−H) , 6.80 (1H, d, J=8.1 Hz, C5−H) , 7.28 (1H, s, C6’−H) , 7.30 (1H, m, C4”−H) , 7.35 (2H, dif.t,J=7.4 Hz, C3”, C5”−H) , 7.42 (2H, dif.d, J=6.8 Hz, C2”, C6”−H)
【0100】
(工程2)
Ethyl 4−(4−Benzyloxy−3−methoxyphenyl)−3−hydroxy−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)butyrate(化合物16−5:一般式(5)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe)
工程1で得られたKetone(化合物16−4;4.97g,12.23mM)とZn(3.84g,58.72mM,4.8Meq)にAr下THF(100ml)を注加し、80℃に加熱した。還流開始を確認後、I2(1.86g、7.33mM,0.6Meq)のTHF溶液、ブロモ酢酸エチル(5.15ml,46.44mM,3.8Meq)のTHF溶液を加えた。1時間後、H2O(200ml)、CHCl3(150ml)を加え、反応液をセライトろ過。ろ液をCHCl3にて抽出(100mlx2)し、有機層を1%KIaq.(100ml)、H2O(150ml)、sat.NaClaq.(250ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られたorange oil(8.17g,135.0%)をカラムクロマトグラフィー(SiO2=450g,n−hexane:AcOEt=10:1)にて精製後、colorless oil(5.34g,88.3%)を得た。
【0101】
IR ν max (Nujol) cm−1: 3482 (OH), 1735 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 1.08 (3H, t, J=7.1, OCH2CH3), 2.68 (1H, d,J=15.4 Hz, CH2CO2Et), 3.03 (1H, d, J=13.5 Hz, CH2Ar), 3.16 (1H, d, J=13.5 Hz, CH2Ar), 3.36 (1H, d, J=15.2 Hz, CH2CO2Et), 3.75 (3H, s, C2’−OCH3), 3.82 (3H, s, C3−OCH3), 3.98 (2H, q, J=7.1 Hz, OCH2CH3), 4.38 (1H, s, OH), 5.09 (2H, s, CH2Ph), 5.87 (2H, s, OCH2O), 6.51 (1H, s, C3’−H), 6.57 (2H, m, C2−, C6−H), 6.72 (1H, d, J=8.6 Hz C5−H), 6.99 (1H, s, C6’−H), 7.29 (1H, dif.d, J=7.3 Hz, C4”−H), 7.35 (2H, dif.t, J=7.7 Hz, C3”−, C5”−H), 7.41 (2H, dif.d, J=7.3 Hz, C2”−, C6”−H).
【0102】
(工程3)
Ethyl 4−(4−Benzyloxy−3−methoxyphenyl)−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)butyrate(化合物16−6:一般式(6)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe)の合成
工程2で得られたAlcohol(化合物16−5;927mg,1.87mM)をAr下CH2Cl2(19.0ml)に溶解し氷冷下(2℃)攪拌。そこへ、トリエチルシラン(1.20ml,7.51mM,4.0Meq)のabs.CH2Cl2溶液、トリフルオロ酢酸(0.58ml,7.53mM,4.0Meq)のabs.CH2Cl2溶液を順次注加し、2℃で1.5時間攪拌した後、sat.NaHCO3 aq.(30ml)を注加し、CHCl3で抽出した(100ml,70mlx2)。有機層をH2O(100ml)、sat.NaCl aq.(100ml)で洗浄しMgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去。得られた結晶(1.146g,127.8%)をn−hexaneで洗浄し、さらにetherで再結晶することによりcolorless needless(694mg,77.4%,mp:71−76℃)を得た。
【0103】
IR ν max (Nujol) cm−1: 1717 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 1.14 (3H, t, J=7.0 Hz, OCH2CH3), 2.59 (2H, d, J=7.6 Hz, CHCH2Ar), 2.57 (1H, dd, J=13.4 Hz, 7.3 Hz, CH2CO2Et), 2.81 (1H, dd, J=13.4 Hz, 7.3 Hz, CH2CO2Et), 3.65 (3H, s, C2’−OCH3), 3.7 (1H, m, CH), 3.79 (3H, s, C3−OCH3), 4.01 (2H, q, J=7.0 Hz, OCH2CH3), 5.09 (2H, s, CH2Ph), 5.87 (2H, s, OCH2O), 6.46 (1H, s, C3’−H), 6.55 (3H, m, C2−, C6−, C6’−H), 6.72 (1H, d, J=8.2 Hz, C5−H), 7.29 (1H, dif.d, J=7.6 Hz, C4”−H), 7.35 (2H, dif.t, J=7.6 Hz, C3”−, C5”−H) , 7.41 (2H, dif.d, J=7.6 Hz, C2”−,C6”−H).
【0104】
(工程4)
4−(4−Benzyloxy−3−methoxyphenyl)−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)butyric Acid(化合物16−7:一般式(7)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe)の合成工程3で得られたEthyl ester(化合物16−6;550.0mg,1.149mM)のEtOH(15.0ml)溶液に10%NaOH aq.(15.0ml,1.5g,37.50mM,32.6Meq)を加え、60℃にて1.25時間攪拌した後、H2O(50ml)を注加し、ether(100ml)にて抽出した。有機層は更に10%NaOH aq.(30ml)で抽出した。水層をあわせ、冷やしながら、10%HCl aq.によりpH=1とした後、etherにて抽出した(100mlx2)。有機層をH2O(100ml)、sat.NaCl aq.(100ml)にて洗浄後、MgSO4で乾燥し、減圧下溶媒を留去した。得られた無色結晶(483.4mg,93.4%)をn−hexaneで洗浄し、colorless needless(384.3mg,74.2%,65−75℃)を得た。
【0105】
IR ν max (Nujol) cm−1: 1689 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 1.61 (1H, br, OH), 2.63 (2H, d, J=7.5 Hz, CHCH2Ar), 2.80 (2H, m, CH2CO2H), 3.65 (3H, s, C2’−OCH3), 3.79 (3H, s, C3−OCH3), 5.09 (2H, s, CH2Ph), 5.87 (2H, s, OCH2O), 6.46 (1H, s, C3’−H), 6.55 (3H, m,C2−,C6−,C6’−H), 6.73 (1H, d, J=7.7 Hz, C5−H), 7.29 (1H, dif.d, J=7.0 Hz, C4”−H), 7.35 (2H, dif.t, J=7.0 Hz,C3”−, C5”−H), 7.41 (2H, dif.d, J=7.0 Hz, C2”−, C6”−H).
【0106】
(工程5)
3,4−Dihydro−(7−benzyloxy−6−methoxyphenyl)−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthalene−1(2H)−one(化合物16−8:一般式(8)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe)
工程4で得られた Butyric acid(化合物16−7;203.1mg,0.451mM)のCH3CN(4.0ml)溶液に氷冷下K2CO3(124.5mg,0.901mM,2.0Meq)を加え、続いてPOCl3(0.21ml,2.253mM,5.0Meq)を注加し氷冷下攪拌した。20分後、50℃に昇温し攪拌した。8.5時間後、H2O(20ml)、5%NaOH aq.(30ml)を注加し、CHCl3にて抽出した(40mlx3)。有機層を5%NaOH aq.(40ml)、H2O(100ml)、sat.NaCl aq.(100ml)により洗浄し、MgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた黄色結晶(240.7mg,123.4%)をMeOHで洗浄することによりpale brown powder(176.0mg,90.3%,mp:208−212℃)を得た。
【0107】
IR ν max (Nujol) cm−1: 1669 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 2.69 (1H, dd, J=16.7, 12.6 Hz, C2 or C4−H), 2.80 (1H,ddd, J=16.5, 4.2, 1.6 Hz, C2 or C4−H), 2.99 (1H, ddd, J=16.5, 4.6, 1.5 Hz, C2 or C4−H), 3.07 (1H, dd, J=15.6, 11.2 Hz, C2 or C4−H) , 3.76 (3H, s, C2’−OCH3), 3.93 (3H, s, C6−OCH3),5.18 (2H, s, CH2Ph), 5.92 (2H, d, J=0.9 Hz, OCH2O), 6.56 (1H, s, C3’−H), 6.70 (1H, s, C5 or C6’−H), 6.73 (1H, s, C5 or C6’−H), 7.32 (1H, dif.d,J=7.1 Hz, C4”−H), 7.38 (2H, dif.t, J=7.3 Hz, C3”−, C5”−H), 7.47 (2H, dif.d, J=7.1 Hz, C2”−, C6”−H), 7.62 (1H, s, C8−H).
【0108】
(工程6)
7−Benzyloxy−6−methoxyphenyl−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthol(化合物16−9:一般式(9)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe)
工程5で得られたTetralone(化合物16−8;183.2mg,0.424mM)とp−TsOH・H20(12.9mg,0.068mM,0.16Meq)にAr下isopropeny lacetate(4.5ml,40.9mM、96Meq)を注加し、97℃にて19時間攪拌後、室温に戻し、DDQ(116.2mg,0.512mM,1.2Meq)を加え、同温にて攪拌した。30分後、CHCl3(30ml)を注加し、sat.NaHCO3aq.で抽出した(30mlx3)。有機層の溶媒を減圧下留去し、得られた残渣にEtOH(3.7ml)、10%NaOH aq.(3.7ml,9.25mM,22Meq)を注加し、外温87℃にて攪拌した。1時間後、溶媒を減圧下留去した。残渣にH2O(30ml)を注加し、さらに10%HCl aq.にてpH=1にした後、benzeneで抽出した(30mlx3)。有機層をH2O(50ml)、sat.NaCl aq.(50ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた赤褐色結晶(175.5mg,96.3%)をetherで洗浄し、pale brown powder(157.4mg,86.3%,mp:180−188℃)を得た。
【0109】
IR ν max (Nujol) cm−1: 3274 (OH). 1H−NMR (400 MHz) δ: 3.73 (3H, s, C2’−OCH3), 3.99 (3H, s, C6−OCH3), 5.14 (1H, s, OH), 5.29 (2H, s, CH2Ph), 5.97(2H, s, OCH2O), 6.64 (1H, s, C3’−H), 6.87 (1H, d, J=1.5 Hz, C2−H), 6.88(1H, s, C6’−H), 7.12 (1H, s, C5−H),7.32 (1H, dif.t, J=7.3 Hz, C4”−H), 7.35 (1H, s, C4−H), 7.39 (2H, t, J=7.3 Hz, C3”−, C5”−H), 7.52 (1H, s, C8−H), 7.52 (2H, d, J=7.3 Hz, C2”−, C6”−H).
【0110】
(工程7)
6−Benzyloxy−7−methoxy−2−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−methoxyiminonaphthalen−4(2H)−one(化合物16:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2Ph;X=OMe;Z=OMe)の合成
工程6で得られたNaphthol(化合物16−9;49.6mg,0.115mM)とK2CO3(160.0mg,1.16mM,10Meq)にDMF(2ml)を加え、アルゴン中氷冷攪拌下、isoamyl nitrite(0.026ml,0.194mM,1.7Meq)を加え、1℃で1時間攪拌後、室温にして攪拌した。22時間後、さらにisoamyl nitrite(0.013ml,0.097mM,0.85Meq)を追加し、1時間攪拌した。TLCにて原料の消失を確認した後、1℃で1.25時間攪拌した。反応終了後、5%NH4OH aq.(0.7ml)を加えて、室温で1時間攪拌した。反応液にH2O(30ml)を注加し、AcOEtで抽出した(40mlx3)。有機層をH2O(50ml,30ml)、sat.NaCl aq.(50ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、溶媒を減圧下留去。得られた残渣(63.5mg,116.9%)をエーテルで洗浄し、yellow prisms(43.7mg,80.0%)を得た。
【0111】
IR ν max (CHCl3) cm−1: 1638 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 3.72 (3H, s, C2’−OCH3), 3.98 (3H, s, N−OCH3), 4.07 (3H, s, C7−OCH3), 5.29 (2H, s, OCH2Ph), 5.99 (2H, s, OCH2O), 6.51 (1H, s, C3−H), 6.58 (1H, s, C3’−H), 6.72 (1H, s, C6’−H), 7.32 (1H, dif.t, J=7.1 Hz, C4”−H), 7.39 (2H, dif.t, J=7.1 Hz, C3”−,C5”−H), 7.49 (2H, d, J=7.1 Hz, C2”−,C6”−H), 7.80 (1H, s, C5−H), 8.45 (1H, s, C8−H).
【0112】
実施例2
7−Methoxy−6−(2−methoxyethoxymethoxy)−2−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1,4−naphthoquinone−1−(O−methyloxime)(化合物18:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2OCH2CH2OMe;X=OMe;Z=OMe)の合成
【0113】
(工程1)
1−Acetoxy−7−benzyloxy−6−methoxy−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthalene(化合物18−11A:一般式(11A)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;X=OMe)の合成
3,4−Dihydro−(7−benzyloxy−6−methoxyphenyl)−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthalene−1(2H)−one(化合物18−9C:一般式(9C)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;X=OMe)1.59g(3.68mM)とp−TsOH・H20(112.1mg,0.589mM,0.16Meq)にAr下isopropenyl acetate(39.0ml,0.354M、96.2Meq)を注加し、98℃にて19時間攪拌後、室温に戻し、DDQ(1.00g,4.41mM,1.2Meq)を加え、同温にて攪拌した。1時間後、CHCl3(120ml)を注加し、sat.NaHCO3aq.で抽出した(90mlx3)。有機層をH2O(80ml)、sat.NaCl aq.(80ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣(1.81g,104.2%)をetherで洗浄し、pale brown needles(1.67g,96.0%,mp130−148℃)を得た。このものの一部についてはAcOEtを用いて再結晶を繰り返し、薄茶色プリズム晶(mp:153−155℃)を得た。
【0114】
IR ν max cm−1 (Nujol): 1763 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 2.36 (3H, s, COCH3), 3.72 (3H, s, C2’−OCH3), 4.00 (3H, s, C6−OCH3), 5.29 (2H, s, CH2Ph), 5.97 (2H, s, OCH2O), 6.63 (1H, s, C3’−H), 6.90 (1H, s, C6’−H), 7.08 (1H,s, C5−H), 7.16 (1H, s, C8−H), 7.26 (1H, d, J=1.6 Hz, C2−H), 7.32 (1H, dif.t, J=7.3 Hz, C4”−H), 7.39 (2H, t,J=7.3 Hz, C3”−,C5”−H), 7.49 (2H, dif.d, J=7.3 Hz, C2”−,C6”−H), 7.63 (1H, d, J=1.6 Hz, C4−H). EI−MS m/z: 472(M+,43.0%), 381 (19.7%), 339 (100%), 91 (18.4%). Anal.Calcd.for C28H24O7: C, 71.17; H, 5.12. Found: C, 71.01; H, 5.27; N, 0.17.
【0115】
(工程2)
1−Acetoxy−7−hydroxy−6−methoxy−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthalene(化合物18−11B:Q=OMe;一般式(11B)でR=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;X=OMe)の合成
20%Pd(OH)2/C(49.3mg,24%w/w of 15)を三頚フラスコに入れ、dioxane(13ml)を加えフラスコ内を水素置換し、室温で45分間攪拌。工程1で得られたBenzyl体(化合物18−11A;208.5mg,0.441mM)のdioxane溶液(2ml)を加え、室温で20時間攪拌した。反応終了後、触媒をセライト濾過し、濾液の溶媒を減圧下留去した。得られた薄茶色結晶(189.4mg,112.3%)をAcOEt/n−hexaneで再結晶し、無色プリズム晶(112.6g,66.7%)を得た。さらに2番晶(37.3mg,22.1%)を得た。
【0116】
IR ν max cm−1 (Nujol): 1759 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ:2.44 (3H, s, COCH3), 3.74 (3H, s, C2’−OCH3), 4.03 (3H,s, C6−OCH3), 5.97 (2H, s, OCH2O), 5.98 (1H, s, C7−OH), 6.64 (1H, s, C3’−H), 6.91 (1H, s, C6’−H), 7.15 (1H, s, C5−H), 7.23 (1H, s, C8−H), 7.30 (1H, d, J=0.9 Hz, C2−H), 7.64 (1H, br.s, C4−H). EI−MS m/z: 382 (M+, 62.1%), 340 (100%). Anal.Calcd.for C21H18O7: C, 65.96; H, 4.75. Found: C, 65.88; H, 4.79; N, 0.10.
【0117】
(工程3)
1−Acetoxy−6−methoxy−7−(2−methoxyethoxymethoxy)−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthalene(化合物18−11C:一般式(11C)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;WA=OCH2OCH2CH2OMe;X=OMe)の合成
Ar雰囲気下、NaH(9.5mg,5.7mg as NaH,0.238mM,1.8Meq)をTHF(0.5ml)に懸濁し、氷食塩にて−4℃まで氷冷する。ここに工程2で得られたacetate(化合物8−11B;50.2mg,0.131mM)のTHF溶液(0.8ml)を滴下し、−4℃にて30分間攪拌後、MEMCl(0.021ml,0.184mM,1.4Meq,d=1.091)を滴下し、同温にて攪拌。2.5時間後、さらにNaH(2.4mg,1.4mg as NaH,0.06mM,0.46Meq)を加え30分間攪拌した。反応終了後、5%NaHCO3 aq.(8ml)を加え、AcOEtにて抽出した(10mlx3)。有機層をH2O(10ml),sat.NaCl aq.(10ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去した。以上の操作により、緑色油状物質(62.1mg,100.8%)を得た。このものは精製することなく、次の反応に使用した。
【0118】
IR ν max cm−1 (CHCl3): 1764 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 2.45 (3H, s, COCH3), 3.39 (3H, s, CH2OCH3), 3.57 (2H,dif.t, J=4.2 Hz, OCH2CH2OCH3), 3.74 (3H, s, C2’−OCH3), 3.90 (2H, dif.t, J=4.2 Hz, OCH2CH2OCH3), 3.99 (3H, s, C6−OCH3), 5.45 (2H, s, OCH2OCH2CH2), 5.97 (2H, s, OCH2O), 6.64 (1H, s, C3’−H), 6.92 (1H, s, C6’−H), 7.17 (1H, s, C5−H), 7.30 (1H, s, C2−H), 7.51 (1H, s, C8−H), 7.65 (1H, s, C4−H).
【0119】
(工程4)
6−Methoxy−7−(2−methoxyethoxymethoxy)−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthalen−1−ol (化合物18−9D:一般式(9D)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;WA=OCH2OCH2CH2OMe;X=OMe)の合成
工程3のMEM化で得られたacetate(化合物18−11C)を含むcrude product(62.1mg)をdioxane(0.9ml)に溶解し、氷冷。そこへ、28%NH3 aq.(0.46ml,7.56mM,57Meq)を加え、室温にて4.5時間攪拌した。反応終了後、H2O(10ml)を加え、AcOEtにて抽出した(10ml,5mlx2)。有機層をH2O(10ml),sat.NaCl aq.(10ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去した。以上の操作により、赤紫色油状物質(56.3mg,99.5%)を得た。このものをカラムクロマトグラフィー(SiO2=4g,benzene:AcOEt=10:1)にて精製し、紫色油状物質(37.4mg,66.1%)を得た。
【0120】
IR ν max cm−1 (Nujol): 3447 (OH). 1H−NMR (400 MHz) δ: 3.38 (3H, s, CH2OCH3), 3.60 (2H, dif.t, J=4.6 Hz, OCH2CH2OCH3), 3.72 (3H, s, C2’−OCH3), 3.93 (2H, dif.t, J=4.6 Hz, OCH2CH2OCH3), 3.98 (3H, s, C6−OCH3), 5.47 (2H, s, OCH2OCH2CH2), 5.97 (2H, s, OCH2O), 5.97 (1H, s, OH), 6.64 (1H, s, C3’−H), 6.88 (1H, s, C6’−H), 6.90 (1H, d, J=1.1 Hz, C2−H), 7.12 (1H, s, C5−H), 7.33 (1H, s, C4−H), 7.83 (1H, s,C8−H).
【0121】
(工程5)
7−Methoxy−6−(2−methoxyethoxymethoxy)−2−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1,4−naphthoquinone−1−(O−methyloxime)(化合物18:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2OCH2CH2OMe;X=OMe;Z=OMe)の合成
Ar雰囲気下で、工程4で得られたnaphthol(化合物18−9D;103.4mg,0.241mM)とK2CO3(337.2mg,2.44mM,10Meq)にDMF(4.1ml)を加え、内温4℃にて攪拌した。40分後、isoamyl nitrite(0.055ml,0.409mM,1.7Meq,d=0.872)を加え、内温4℃にて17時間攪拌した。TLCにて13の消失を確認した後、Me2SO4(0.027ml,0.285mM,1.2Meq,d=1.333)を加え、同温にて攪拌した。1.5時間後、5%NH3 aq.(1.5ml)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にH2O(40ml)を注加し、AcOEtにて抽出した(50mlx3)。有機層をH2O(20mlx3,10mlx2)、sat.NaCl aq.(40ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた赤褐色油状物質(99.1mg,87.1%)をカラムクロマトグラフィー(SiO2=8g,benzene:AcOEt=20:1)にて精製し、橙色油状物質(73.4mg,64.5%)を得た。
【0122】
IR ν max cm−1 (neat): 1638 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ:3.38 (3H, s, CH2OCH3), 3.57 (2H, dif.t, J=4.7 Hz, OCH2CH2OCH3), 3.71 (3H, s, C2’−OCH3), 3.88 (2H, dif.t, J=4.7 Hz, OCH2CH2OCH3), 3.97 (3H, s, N−OCH3), 4.06 (3H, s,C7−OCH3), 5.45 (2H, s, OCH2OCH2CH2), 5.98 (2H, s, OCH2O), 6.52 (1H, s, C3−H), 6.58 (1H, s, C3’−H), 6.73 (1H, s, C6’−H), 7.98 (1H, s, C5−H), 8.45 (1H, s, C8−H). * 少量のdiastereomer (geometrical isomer)と思われるpeakが観察される。
【0123】
実施例3
6−Hydroxy−7−methoxy−2−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1,4−naphthoquinone−1−(O−methyloxime)(化合物13:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OH;X=OMe;Z=OMe)の合成
Ar雰囲気下、実施例2で得られたOxime(化合物18;73.4mg,0.156mM)のdry benzene(5.5ml)溶液に、Montmorillonite K10(142.3mg)を加え超音波照射した。6時間後、Montmorillonite K10(79.2mg)を追加し、さらに6時間超音波照射した。反応終了後、CHCl3で希釈し、Montmorillonite K10を吸引ろ過にて除去し、ろ液を減圧下留去し、橙色プリズム晶(57.5mg,96.3%,mp240−242℃)を得た。
【0124】
IR ν max cm−1 (neat): 3345 (OH), 1629 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ:3.72 (3H, s, C2’−OCH3), 4.00 (3H, s, N−OCH3), 4.06 (3H, s, C7−OCH3), 5.97 (1H, s, OH), 5.98 (2H, s, OCH2O), 6.51 (1H, s, C3−H), 6.58 (1H, s, C3’−H), 6.73 (1H, s, C6’−H), 7.68 (1H, s, C5−H), 8.43 (1H, s, C8−H). * 少量のdiastereomer (geometrical isomer)と思われるpeakが観測される。 EI−MS m/z: 383 (M+, 30.6%), 352(17.0%), 321 (100%). Anal.Calcd.forC20H17NO7: C, 62.66; H, 4.47; N, 3.65. Found: C, 62.33; H, 4.68; N, 3.52.
【0125】
実施例4
6−(2−Dimethylaminoethoxy)−7−methoxy−2−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1,4−naphthoquinone−1−(O−methyloxime)Hydrochloride(化合物19:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2CH2NMe2;X=OMe;Z=OMe)の合成
Ar雰囲気下、実施例3で得られたoxime(化合物13;18.0mg,0.0467mM)とK2CO3(27.3mg,0.198mM,4.2Meq)にDMF(0.5ml)を加え氷冷した。そこへ、塩酸ジメチルアミノエチルクロリド(10.3mg,0.0715mM,1.5Meq)を加え、氷冷にて2時間、室温にて23.5時間、外温50℃にて18時間攪拌した。反応終了後、反応液に5%NaHCO3 aq.(10ml)を注加し、AcOEtにて抽出した(10ml,8mlx2)。AcOEt層をH2O(5mlx3,3mlx3)、sat.NaCl aq.(10ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、溶媒を減圧下留去し、黄色油状物質(1)(14.0mg,65.3%)を得た。また、水層をCHCl3にて抽出(10ml,8mlx2)し、このCHCl3層をH2O(3mlx2)、sat.NaCl aq.(8ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、溶媒を減圧下留去することにより赤色油状物質(2)(6.1mg,28.6%)を得た。以上の操作により得られた(1)と(2)を合わせカラムクロマトグラフィー(SiO2=5g,benzene:AcOEt=20:1)にて精製し、黄色油状物質(11.3mg,53.1%)を得た。
【0126】
IR νmax cm−1 (Nujol): 1638 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 2.37 (6H, s, N−(CH3)2), 2.85 (2H, t, J=5.9 Hz, OCH2CH2N(CH3)2), 3.72 (3H, s, C2’−OCH3), 3.96 (3H, s, N−OCH3), 4.07 (3H, s, C7−OCH3), 4.27 (2H, t, J=5.9 Hz, OCH2CH2N(CH3)2), 5.99 (2H, s, OCH2O), 6.52 (1H, s, C3−H), 6.58 (1H, s, C3’−H), 6.73 (1H, s, C6’−H), 7.73 (1H, s, C5−H), 8.43 (1H, s, C8−H). * 少量のdiastereomer(geometrical isomer)と思われるpeakが観察される。
【0127】
上記化合物(11.8mg,0.0260mM)をether(4ml)に溶解させ、氷冷下5%HCl/ether溶液(0.1ml,0.15mM,5.8Meq)を加える。生じた結晶を遠沈分離器により結晶と上清に分け、結晶をさらにetherで洗浄することにより、橙色プリズム晶(11.6mg,91.3%)を得た。
1H−NMR (400 MHz) δ: 2.99 (6H, s, N−(CH3)2), 3.54 (2H, br, OCH2CH2N(CH3)2), 3.72 (3H, s, C2’−OCH3), 3.95 (3H, s, N−OCH3), 4.08 (3H, s, C7−OCH3),4.65 (2H, br, OCH2CH2N(CH3)2), 5.99(2H, s, OCH2O), 6.53 (1H, s, C3−H),6.58 (1H, s, C3’−H), 6.73 (1H, s, C6’−H), 7.73 (1H, s, C5−H), 8.45 (1H,s, C8−H). * 少量のdiastereomer(geometrical isomer)と思われるpeakが観察される。
【0128】
実施例5
6−(2−Diethylmethylammoniumethoxy)−7−methoxy−2−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1,4−naphthoquinone−1−(O−methyloxime) Methylsulfate(化合物24:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2CH2N+(Me)Et2;X=OMe;Z=OMe)の合成
【0129】
(工程1)
1−Acetoxy−7−(2−diethylaminoethoxy)−6−methoxy−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthalene(化合物24−11C:一般式(11C)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;WA=OCH2CH2NEt2;X=OMe)の合成
の合成
Ar雰囲気下、1−Acetoxy−7−hydroxy−6−methoxy−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)naphthalene(化合物24−11B:一般式(11B)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;X=OMe)20.5mg(0.0536mM)とK2CO3(29.6mg,0.214mM,4.0Meq)にDMF(0.5ml)を加え氷冷した。そこへ、BrCH2CH2NEt2.HBr(21.0mg,0.0805mM,1.5Meq)を加え、氷冷にて2時間攪拌した。反応終了後、反応液に5%NaHCO3 aq.(8ml)を注加し、AcOEtにて抽出した(8ml,6mlx2)。AcOEt層をH2O(2mlx4)、sat.NaCl aq.(5ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、溶媒を減圧下留去。得られた無色油状物質(22.1mg,85.7%)をカラムクロマトグラフィー(SiO2=3g,benzene:AcOEt=20:1)にて精製し、less polar fractionより無色油状物質(16.0mg,62.0%)を得た。
【0130】
IR ν max cm−1 (Nujol): 1764 (C=O). 1H−NMR (400 MHz) δ: 1.11 (6H, t, J=7.1 Hz, N−(CH2CH3)2), 2.46 (3H, s, COCH3), 2.68 (4H, q, J=7.1 Hz, N−(CH2CH3)2), 3.00 (2H, t, J=6.9 Hz, OCH2CH2NEt2), 3.74 (3H, s, C2’−OCH3), 3.98 (3H, s, C6−OCH3), 4.22 (2H, t, J=6.9Hz, OCH2CH2NEt2) 5.97 (2H, s, OCH2O), 6.64 (1H, s, C3’−H), 6.92 (1H, s,C6’−H), 7.11 (1H, s, C5−H), 7.14 (1H, s, C8−H), 7.30 (1H, d, J=1.5 Hz, C2−H), 7.64 (1H, dif.d, J=1.5 Hz, C4−H).
【0131】
(工程2)
7−(2−Diethylamino−ethoxy)−6−Methoxy−3−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−naphthalen−1−ol(化合物24−9D:一般式(9D)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;WA=OCH2CH2NEt2;X=OMe)の合成
工程1で得られたAcetate(化合物24−11C;16.0mg,0.0332mM)をdioxane(0.5ml)に溶解し、氷冷。そこへ、28%NH3 aq.(0.12ml,1.97mM,59Meq)を加え、室温にて24時間攪拌した。反応終了後、H2O(5ml)を加え、AcOEtにて抽出した(5ml,3mlx3)。有機層をH2O(5ml),sat.NaClaq.(5ml)で洗浄し、MgSO4にて乾燥後、減圧下溶媒を留去した。以上の操作により、薄橙色結晶(15.3mg,104.8%)を得た。このものをカラムクロマトグラフィー(SiO2=3g,benzene:AcOEt=10:1)にて精製し、薄橙色プリズム晶(11.6mg,79.5%,mp:191−200℃)を得た。
【0132】
1H−NMR (400 MHz) δ: 1.19 (6H, t, J=7.2 Hz, N−(CH2CH3)2), 2.83 (4H, q, J=7.2 Hz, N−(CH2CH3)2), 3.12 (2H, t, J=7.2 Hz, OCH2CH2NEt2), 3.71 (3H, s, C2’−OCH3), 3.97 (3H, s, C6−OCH3), 4.44 (2H, t, J=7.2 Hz, OCH2CH2NEt2) 5.97 (2H, s, OCH2O), 6.64 (1H, s, C3’−H), 6.82 (1H, s, C2−H), 6.91 (1H, s,C6’−H), 7.09 (1H, s, C5−H), 7.26 (1H,s,C8−H), 7.70 (1H, s, C4−H).
【0133】
(工程3)
6−(2−Diethylmethylammoniumethoxy)−7−methoxy−2−(2−methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1,4−naphthoquinone−1−(O−methyloxime) Methylsulfate(化合物24:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=OCH2CH2N+(Me)Et2;X=OMe;Z=OMe)の合成
Ar雰囲気下で、工程2で得られたNaphtol(化合物24−9D;9.6mg,0.0218mM)とK2CO3(30.1mg,0.218mM,10Meq)にDMF(0.5ml)を加え、内温4℃にて攪拌した。30分後、isoamyl nitrite(0.005ml,0.0372mM,1.7Meq,d=0.872)を加え、内温4℃にて攪拌した。28時間後、さらにisoamyl nitrite(0.0025ml,0.0186mM,0.85Meq,d=0.872)を追加し13時間攪拌した。TLCにて6の消失を確認した後、Me2SO4(0.002ml,0.0211mM,1.2Meq,d=1.333)を加え、同温にて攪拌した。2時間後、5%NH3 aq.(1.5ml)を加え、室温で1.5時間攪拌した。反応液にH2O(5ml)を注加し、AcOEtにて抽出した(8mlx3)。水層を減圧下、溶媒を留去し、橙色結晶(2.44g)を得た。このものにacetoneを加え、可溶部(1)、不溶部(1)に分け、得られた可溶部(1)の溶媒を減圧下留去し、赤褐色油状物質(47.3mg)を得た。さらに、このものにEtOHを加え、可溶部(2)、不溶部(2)に分け、得られた可溶部(2)の溶媒を減圧下留去し、湿った赤褐色結晶(26.3mg,202.3%)を得た。このものをMeOH−iPrOHにより結晶化させ、結晶(11.7mg)と上清(14.7mg,110.5%)とに分けた。1H−NMR、MSより上清には溶媒以外は目的とする化合物のみで、結晶には、目的とする化合物:副生成物=1:2の割合で目的とする化合物が含まれていた。
【0134】
IR ν max cm−1 (Nujol): no characteristic absorptions 1H−NMR (400 MHz) δ:1.44 (6H, t, J=7.1 Hz, N−(CH2CH3)2), 3.18 (3H, s, N−CH3), 3.58 (4H, q, J=7.1 Hz, N−(CH2CH3)2), 3.72 (3H, s,C2’−OCH3), 3.87 (2H, m, OCH2CH2NEt2), 3.95 (3H, s, N−OCH3), 4.08 (3H, s, C7−OCH3), 4.61 (2H, m, OCH2CH2N(CH3)2), 5.97 (2H, s, OCH2O), 6.42 (1H,s, C3−H), 6.716, 6.723 (each 1H, s,C3’−,C6’−H), 7.75 (1H, s, C5−H), 8.50 (1H, s, C8−H). FAB−MS m/z: 497 (M+).
【0135】
実施例6
2−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−ethoxycarbonylmethoxyimino−6,7−methylenedioxynaphthalen−4(2H)−one(化合物12:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OCH2CO2Et)の合成
3−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−6,7−methylenedioxy−1−naphthol(化合物12−9:一般式(9)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O)0.03g(0.089mmol)とK2CO3 0.06g(0.43mmol,4.8Meq.)にDMF0.3mlを加え,argon中氷冷撹拌下,isoamyl nitrite0.01ml(d=0.872,0.099mmol,1.1Meq.)を加え,室温で1h撹拌した。反応液を氷冷後,撹拌下ブロム酢酸エチル0.12ml(d=1.333,0.109mmol,1.2Meq.)を加え,室温で1h撹拌した。反応終了後,水を注加し,AcOEtで抽出した。AcOEt層を水,sat.NaCl aq.にて洗浄し,K2CO3にて乾燥後,溶媒を留去して得られる黄褐色残渣をpreparative TLC(hexane:AcOEt=2:1)にて精製し,yellow oil,0.03g(76%)を得た。
【0136】
1H−NMR (400MHz) δ: 1.28 (3H, t, J=7.2Hz, CH2CH3), 3.69 (3H, s, OMe), 4.22 (2H, q, J=7.2Hz, CH2CH3), 4.74 (2H, s, OCH2CO), 5.97 (2H, s, OCH2O), 6.11 (2H, s, OCH2O), 6.54 (2H, s, 3−,3’−H), 6.72 (1H, s, 6’−H), 7.67 (1H, s, 8−H), 8.45 (1H, s, 5−H).
【0137】
実施例7
2−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−hydroxycarbonylmethoxyimino−6,7−methylenedioxynaphthalen−4(2H)−one(化合物11:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OCH2CO2H)の合成
実施例6で得られたEster(化合物12;0.025g、0.056mmol),2MNaOH 0.5ml,EtOH1mlの混合物を40℃で10min撹拌した。反応液に水を加え,AcOEtで抽出し、非酸性部を除去した。水層は5%HClにて酸性とした後、AcOEtで抽出した。AcOEt抽出液はMgSO4にて乾燥後,溶媒を留去し,yellow oil,0.025g(quant.)を得た。
【0138】
1H−NMR (400MHz) δ: 3.70 (3H, s, OMe), 4.78 (2H, s, OCH2CO), 5.98 (2H, s,OCH2O), 6.12 (2H, s, OCH2O), 6.55 (2H, s, 3−H), 6.56 (1H, s,3’−H), 6.72(1H, s, 6’−H), 7.68 (1H, s, 8−H), 8.36 (1H, s, 5−H).
【0139】
実施例8
(E)−2−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−hydroxyimino−6,7−dimethoxynaphthalen−4(2H)−one(化合物9:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OH)の合成
アルゴン雰囲気下、3−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−6,7−methylenedioxy−1−naphthol(化合物9−9:一般式(9)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O)30.1mgと炭酸カリウム46.1mgをDMF(0.8mL)に溶解し、この溶液に亜硝酸イソアミル(0.030mL)を加え、0℃で2時間撹拌する。反応終了後、氷水に注加し5%塩酸でpH5とした後、酢酸エチルにて抽出する。有機層は飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去し濃赤色結晶(3e)(30.3mg,92.7%)を得る。
【0140】
1H−NMR (500 MHz, CDCl3) δ: 3.72 (3 H, s, OCH3), 5.97 (2 H, s, OCH2O), 6.00 (2 H, s, OCH2O), aromatic protonswere observed around 6.5−8.0 ppm.
【0141】
実施例9
(Z)−2−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−[2−(N,N−dimethylamino)ethoxy]−imino−6,7−methylenedioxynaphthalen−4(2H)−one(化合物10:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OCH2CH2NMe2)の合成
アルゴン雰囲気下、3−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−6,7−methylenedioxy−1−naphthol(化合物10−9:一般式(9)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O)30.0mgと炭酸カリウム99.9mgをDMF0.8mLに溶解し、この溶液に亜硝酸イソアミル(0.040mL)を加え、0℃で2時間撹拌する。さらに2−dimethylaminoethyl chloride hydrochloride(16.6mg)を加え、室温で12時間撹拌する。反応終了後、氷水に注加し酢酸エチルにて抽出する。有機層は水および飽和食塩水で洗浄し、炭酸カリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去し暗褐色ガム状物質(26.2mg)を得る。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン−酢酸エチル−メタノール=10:10:1)にて精製し黄色結晶(22.6mg,58.1%)を得る。さらにヘキサン−酢酸エチルより再結晶を行い黄色プリズム結晶(mp:109−112℃,hexane−AcOEt)を得る。
【0142】
1H−NMR (500 MHz, CDCl3) δ: 2.27 (6 H, s, NCH3 x 2), 2.63 (2 H, t, J = 5.8 Hz, CH2CH2N), 3.71 (3 H, s, OCH3),4.32 (2 H, t, J = 5.8 Hz, CH2CH2N),5.98, 6.11 (each 2 H, s, OCH2O), 6.53 (1 H, s, C3−H), 6.56, 6.72 (each 1 H, s, ArH), 7.68 (1 H, s, C5−H), 8.40 (1 H, s, C8−H).
【0143】
実施例10
テトラロン(一般式(12)の化合物)からキノンモノオキシム(一般式(1)の化合物)の一般的合成法を次に示す。
(工程1)
オキシム(一般式(13)の化合物)の合成法
テトラロン(一般式(12)の化合物)をピリジン(7−10mL/g)に溶解し、この溶液にNH2OMeHCl(2Meq)を加え、外温100℃にて加熱撹拌する。反応終了後、水に注加し酢酸エチルにて抽出する。有機層は10%HCl水溶液、飽和重曹、飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムにて乾燥する。溶媒を減圧留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン−酢酸エチル)にて精製する。さらに再結晶で精製する。
【0144】
(工程2)
キノンモノオキシム(一般式(1)の化合物)の合成法
オキシム(一般式(13)の化合物)をベンゼン(10−30mL/g)に溶解した溶液に酢酸(14Meq)次いでDDQ(3Meq)のベンゼン溶液(10mL/g)を加える。反応混合物を外温80℃にて加熱撹拌する。反応終了後、水に注加し酢酸エチルにて抽出する。有機層は5%NaOH水溶液、飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムにて乾燥する。溶媒を減圧留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン−酢酸エチル)にて精製する。さらに再結晶で精製する。
【0145】
(E)−and(Z)−2−(2−Isopropoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−methoxyimino−6,7−methylenedioxynaphthalen−4(2H)−one(化合物8:一般式(1)でQ=OiPr;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OMe)の合成
上記一般的合成法に従い合成した.
【0146】
Yellow prisms. 1H−NMR (500 MHz, CDCl3) δ: (E : Z = 1 : 1)
Z−isomer: 1.19 (6 H, d, J = 6.1 Hz, CHCH3), 4.03 (3 H, s, N−OCH3), 4.30 [1 H, septet, J =6.1 Hz, OCH(CH3)2],5.97 (2 H, s, OCH2O), 6.11 (2 H, s,OCH2O), 6.50 (1 H, s, C3−H), 6.54, 6.74 (each 1 H, s, ArH), 7.68 (1 H, s, C5−H), 8.28 (1 H, s, C8−H).
E−isomer: 1.19 (6 H, d, J = 6.1 Hz, CHCH3), 3.82 (3 H, s, N−OCH3), 4.30 [1 H, septet, J =6.1 Hz, OCH(CH3)2],5.97 (2 H, s, OCH2O), 6.07 (2 H, s,OCH2O), 6.37 (1 H, s, C3−H), 6.45, 6.70 (each 1 H, s, ArH), 7.51 (1 H, s, C5−H), 7.57 (1 H, s, C8−H).
【0147】
実施例11
(E)−and(Z)−2−(2,4,5−Trimethoxyphenyl)−1−methoxyimino−6,7−methylenedioxy−naphthalen−4(2H)−one
(化合物5:一般式(1)でQ=S=T=OMe;R=U=H;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OMe)の合成
実施例10に示した一般的合成法に従い合成した.
【0148】
Yellow prisms, mp:146−147℃ (hexane−AcOEt). IR ν max cm−1(Nujol): 1642 (C=O). EIMS m/z: 397 (M+, 2.5%), 57 (base peak). HR−EIMS m/z: calcd for C21H19NO7: 397.1161. Found: 397.1163. 1H−NMR (500 MHz, CDCl3) δ: (E : Z = 6 : 10)
Z−isomer: 3.77, 3.86, 3.95, 4.05 (each 3 H, s, OCH3), 6.12 (2 H, s, OCH2O), 6.57 (1 H, s, C3−H), 6.58, 6.80 (each 1 H, s, ArH), 7.67 (1 H, s, C5−H), 8.36 (1 H, s, C8−H).
E−isomer: 3.75, 3.82, 3.87, 3.94 (each 3 H, s, OCH3), 6.08 (2 H, s, OCH2O), 6.43 (1 H, s, C3−H), 6.49, 6.75 (each 1 H, s, ArH), 7.51 (1 H, s, C5−H), 7.63 (1 H, s, C8−H).
【0149】
実施例12
(E)−and(Z)−2−(2−Methoxy−4,5−methylenedioxyphenyl)−1−methoxyimino−6,7−dimethoxynaphthalen−4(2H)−one(化合物14:一般式(1)でQ=OMe;R=U=H;S+T=OCH2O;V=Y=H;W=X=OMe;Z=OMe)の合成
実施例10に示した一般的合成法に従い合成した.
【0150】
Yellow prisms, mp:198−208℃ (Et2O). IR ν max cm−1(Nujol): 1641 (C=O). EIMS m/z: 397 (M+, 81.6%), 297 (base peak). 1H−NMR (500 MHz, CDCl3) δ: (E :Z = 1 : 1)
Z−isomer: 3.72, 3.99, 4.02, 4.07 (each 3 H, s, OCH3), 5.99 (2 H, s, OCH2O), 6.53 (1 H, s, C3−H), 6.58, 6.74 (each 1 H, s, ArH), 7.73 (1 H, s, C5−H), 8.45 (1 H, s, C8−H).
E−isomer: 3.71, 3.85, 3.99, 4.04 (each 3 H, s, OCH3), 5.80 (2 H, s, OCH2O), 6.39 (1 H, s, C3−H), 6.50, 6.70 (each 1 H, s, ArH), 7.55 (1 H, s, C5−H), 7.65 (1 H, s, C8−H).
【0151】
実施例13
(Z)−2−(3,4−Dimethoxyphenyl)−1−methoxyimino−6,7−methylenedioxy−naphthalen−4(2H)−one (化合物4:一般式(1)でQ=T=U=H;R=S=OMe;V=Y=H;W+X=OCH2O;Z=OMe)の合成
実施例10に示した一般的合成法に従い合成した.
【0152】
Orange prisms. 1H−NMR (500 MHz, CDCl3) δ: (E : Z = 6 : 10)
Z−isomer: 3.92, 3.94, 3.95, 4.13 (each 3 H, s, OCH3), 6.12 (2 H, s, OCH2O), 6.63 (1 H, s, C3−H), 6.91 (1 H, dd, J = 8.6 Hz, C5’−H), 7.06 (1 H, d, J = 2.0 Hz, C2’−H), 7.10 (1 H, dd,J = 2.0, 8.6 Hz, C6’−H), 7.69 (1 H,s, C5−H), 8.36 (1 H, s, C8−H).
【0153】
以下に薬理試験を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の制癌剤の薬理作用を実験例により示す。
【0154】
実験例1:In vitroにおける細胞増殖阻害活性
In vitroにおけるキノンオキシム誘導体の細胞増殖阻害活性を求めた。キノンオキシム誘導体原末を、ジメチルスルホキシドに溶解し、最高濃度を10μg/mlあるいは1μg/mlとし、6濃度あるいは8濃度を希釈、調整して被験薬とした。実験にはヒト子宮頸癌HeLa S3細胞、あるいはヒト肺癌NCI−H460細胞を用いた。
1x104 cells/mlのHeLa S3細胞、あるいは8x103 cells/mlのNCI−H460細胞を調整し、96well平底プレートに1well当たり0.2mlずつ播いた。37℃,5% CO2 インキュベーターで24時間培養した後、被験薬を10μl添加し、更に72時間培養した。アスピレーターを用い、各wellの培養液を抜き取り、細胞をメタノールで固定し、0.05%メチレンブルー/10mmol Tris−HCl(pH8.5)溶液を0.1ml/wellずつ加え、室温で30分間染色した。次に各wellの染色液をアスピレーターを用いて抜き取った後、純水で3回洗浄し、3% HClを0.2ml/wellの割合で添加後、シールで密封して24時間室温放置し、細胞から色素を溶出した。各wellの660nmでの吸光度を測定し、各濃度での増殖阻害度を算出した。更に被験薬の50%阻害濃度(IC50値、μg/ml)をLitch−Field法により算出した。結果を表1に示した。
表1に示すように、本発明で用いられたキノンオキシム誘導体はヒト子宮頸癌HeLaS3細胞、あるいはヒト肺癌NCI−H460細胞に対して強い細胞増殖阻害活性を示した。
【0155】
【表1】
【0156】
実験例2:in vivoにおける細胞増殖阻害活性
化合物3(参考例3)のin vivoにおける細胞増殖阻害活性をホローファイバーアッセイにより求めた。
化合物原末を、ジメチルスルホキシドに溶解し、クレモホールで希釈し、更に5%グルコースで希釈してヌードマウスに投与した。投与量は50mg/kgとし、5mg/ml溶液を調製して被験薬とし、溶媒投与群を対照とした。ホローファイバーに入れる細胞としては、ヒト肺癌NCI−H460細胞及びヒト大腸癌HCT−116細胞を用いた。
4x106 cells/mlのNCI−H460細胞および7.5x105 cells/mlのHCT−116細胞を調整し、ホローファイバー1本あたり20μlを注入し、両端をヒートシールした。37℃,5% CO2 インキュベーターで24時間培養した後、各ホローファイバーをヌードマウスの背中に皮下移植した。一匹のヌードマウスにNCI−H460細胞とHCT−116細胞のファイバーを1本ずつ移植し、一群4匹で行った。翌日より被験薬を10g体重あたり0.1mlずつ5日間連日、静脈内注射した。
投与終了日翌日にホローファイバーを取り出し、MTT反応を行った。37℃,5% CO2 インキュベーターで1mg/mlのMTT溶液に4時間浸し、2.5%プロタミン溶液に変えて冷蔵庫に一晩置き、更に2.5%プロタミン溶液を替えて冷蔵庫に一晩置いた。各ホローファイバーを半分に切り、各ファイバーを250μlのDMSOに浸し、室温で4時間置き、生成したホルマザンを抽出した。540nmにおける抽出液の吸光度を測定し、溶媒投与群の各細胞の吸光度に対する被験薬投与群の各細胞の吸光度から増殖阻害率を算出した。結果を表2に示した。
【0157】
表2に示すように、化合物3(参考例3)はホローファイバーアッセイにおいて、ヒト肺癌NCI−H460細胞およびヒト大腸癌HCT−116細胞に対して細胞増殖阻害活性を示した。
【0158】
【0159】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、キノンオキシム誘導体は悪性固形腫瘍に対して優れた細胞増殖阻害活性を示すことが明らかであり、制癌剤等の医薬品として有用である。
Claims (17)
- 一般式(1)
で表わされる新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。 - Q、R、S、T、U、W及びXは、互いに等しくても異なってもよい、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のモノアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいフラン、ジオキソラン、ピラン、ジオキサン、ジオキセパン環を形成するための官能基を示し、V及びYは水素原子を示し、Zは置換基を有してもよい炭素数1〜7のアルコキシ基を示し、置換基を有する場合の置換基は前記した通りを示す、請求項1記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
- Q、R、S、T及びUのうち少なくとも2個は水素原子ではない、請求項1記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
- Q、R、S、T、及びUが、互いに等しくても異なってもよい、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいフラン、またはジオキソラン環を形成するための官能基を示し、V及びYが水素原子を示し、W及びXが、互いに等しくても異なってもよく、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zは置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルコキシ基を示し、置換基は前記した通りを示す、請求項1記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
- Q、R、S、T、及びUにおいて、Q及びR、R及びU、T及びU、もしくはQとT及びUが共に水素原子であり、他の官能基は互いに等しくても異なってもよく、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または隣接する二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいフラン、ジオキソラン、ピラン、ジオキサン、ジオキセパン環を形成するための官能基を示し、
V及びYが水素原子を示し、
W及びXが互いに等しくても異なってもよく、水酸基、または置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、アミノ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜7のアシルオキシ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、
Zが水酸基、または置換基として炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、請求項1記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。 - Q、R、S、T、及びUにおいて、Q及びR、R及びU、T及びU、もしくはQとT及びUが共に水素原子であり、他の官能基は互いに等しくても異なってもよく、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または隣接する二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいフラン、またはジオキソラン環を形成するための官能基を示し、V及びYが水素原子を示し、W及びXが互いに等しくても異なってもよく、水酸基、または置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜7のアシルオキシ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zが置換基として炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、請求項1記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
- W及びXにおいて、一方が炭素数1〜3のアルコキシ基であり、他方が置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のアシルオキシ基、炭素数2〜8のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または6員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示す、請求項6記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
- W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zが炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、請求項6記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
- 一般式(1)
- Q、R、S、T、U、W及びXは、互いに等しくても異なってもよい、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のモノアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいフラン、ジオキソラン、ピラン、ジオキサン、ジオキセパン環を形成するための官能基を示し、V及びYは水素原子を示し、Zは置換基を有してもよい炭素数1〜7のアルコキシ基を示し、置換基を有する場合の置換基は前記した通りを示す、請求項9記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
- Q、R、S、T及びUのうち少なくとも2個は水素原子ではない、請求項9記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
- Q、R、S、T、及びUが、互いに等しくても異なってもよい、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいフラン、またはジオキソラン環を形成するための官能基を示し、V及びYが水素原子を示し、W及びXが、互いに等しくても異なってもよく、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアシルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基、置換基を有してもよい5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基、または、隣接する二つが結合して置換基を有してもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zは置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルコキシ基を示し、置換基は前記した通りを示す、請求項9記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
- Q、R、S、T、及びUにおいて、Q及びR、R及びU、T及びU、もしくはQとT及びUが共に水素原子であり、他の官能基は互いに等しくても異なってもよく、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または隣接する二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいフラン、ジオキソラン、ピラン、ジオキサン、ジオキセパン環を形成するための官能基を示し、
V及びYが水素原子を示し、
W及びXが互いに等しくても異なってもよく、水酸基、または置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、アミノ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜7のアシルオキシ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、
Zが水酸基、または置換基として炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、請求項9記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。 - Q、R、S、T、及びUにおいて、Q及びR、R及びU、T及びU、もしくはQとT及びUが共に水素原子であり、他の官能基は互いに等しくても異なってもよく、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、または隣接する二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいフラン、またはジオキソラン環を形成するための官能基を示し、V及びYが水素原子を示し、W及びXが互いに等しくても異なってもよく、水酸基、または置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、炭素数3〜9のトリアルキルアンモニオ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜7のアシルオキシ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または5〜7員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zが置換基として炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、請求項9記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
- W及びXにおいて、一方が炭素数1〜3のアルコキシ基であり、他方が置換基として炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基、5〜7員環環状アミノ基、ヒドロキシカルボニル基及び炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基から選択される置換基で置換されても良い、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のアシルオキシ基、炭素数2〜8のジアルキルアミノカルボニルオキシ基または6員環環状アミノカルボニルオキシ基を示すか、または、W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示す、請求項14記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
- W及びXの二つが結合して炭素数1〜3のアルキル基で置換されてもよいジオキソラン環を形成するための官能基を示し、Zが炭素数1〜6のアルコキシ基を示す、請求項14記載の新規キノンオキシム誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする制癌剤。
- 請求項9〜16のいずれかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする医薬。
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