JP2004099505A - ジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミド及びその製造方法並びに光学活性β置換ラクトンの製造方法 - Google Patents

ジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミド及びその製造方法並びに光学活性β置換ラクトンの製造方法 Download PDF

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Yoshiki Inoue
井上 祥来
Kuniyoshi Ogura
小倉 邦義
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Abstract

【課題】医農薬中間体として重要な光学活性なβ置換ラクトン類を簡便かつ選択的に製造する方法を提供する。
【解決手段】β置換ラクトンの光学異性体混合物を、光学活性な1−アミノ−2−インダノールと反応させて新規ジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミドを得る第一工程、及び第一工程で得られたジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミドを加水分解し、次いで環化反応させて光学活性なβ置換ラクトンを得る第二工程よりなる光学活性β置換ラクトンの製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミド類及びその製造方法と、それを用いた光学活性なβ置換ラクトン類の製造方法に関するものである。光学活性なβ置換ラクトン類は医農薬中間体などとして有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
下記一般式(II)
【化6】
Figure 2004099505
(Rは置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、チオール基、ハロゲン原子、ニトロ基のいずれか1種を示し、nは1〜3の整数を示す。)で表されるβ置換ラクトン類は、医農薬中間体、化学品などの分野で有用な化合物であり、キラル中心を有しているため二つの光学異性体、(+)−ラクトン類と(−)−ラクトン類が存在する。
【0003】
例えば、次式(V)
【化7】
Figure 2004099505
で表される(R)−メチルバレロラクトンは医農薬の重要な中間体として知られており、β置換ラクトン類の光学活性体を分離取得することは工業的に極めて意義のあることである。
【0004】
しかしながら、目的とするβ置換ラクトン類の光学異性体を選択的に取得することは難しい。例えば、J. O. C., 52(8), 1630 (1987) では、3−メチルグルタル酸無水物をアニリンを用いてアミド化し、これを光学活性な1−フェニルエチルアミンを用いて光学分割した後、還元、加水分解、環化工程を経て光学活性なメチルバレロラクトンを得ている。しかしながらこの方法は、工程数が多く煩雑で経済的製法でない。また、J. O. C., 59(8), 7849 (1994) では、3−メチルグルタル酸無水物をベンジルマンデル酸のリチウム塩を用いて選択的に開環させ、これを脱保護、エステル化、還元、環化工程を経て、光学活性なメチルバレロラクトンを得ている。しかしながら、この方法では−78℃という低温が必要であることや、工程数が長いなどの工業的問題がある。
【0005】
特開平10−251244号公報ではδ置換δ−ラクトン類を1−フェニルエチルアミンを用いてアミド化し、これを精製した後、加水分解、環化工程を経て光学活性なδ置換δ−ラクトン類を製造する方法が報告されている。しかしながら、1−フェニルエチルアミンを用いる方法では、β置換ラクトン類には応用できない。J. Heterocyclic Chem., 31, 441 (1994)、J. O. C., 51(11), 2047 (1986)、Agric. Biol. Chem., 52(12), 3087 (1988) 等では、酵素を用いる方法で、光学活性なβ置換δ−ラクトン類を製造する方法が報告されているが、光学純度が低いこと、工程数が長いこと等の問題がある。
【特許文献1】特開平10−251244号公報
【非特許文献1】Daiyo Terunuma et al.J. O. C., 52(8), 1630 (1987)
【非特許文献2】Takeo Izumi et al.J. Heterocyclic Chem., 31, 441 (1994)
【非特許文献3】Lister K.P. Lam et al.J. O. C., 51(11), 2047 (1986)
【非特許文献4】Yukio Yamamoto et al.Agric. Biol. Chem., 52(12), 3087 (1988)
【0006】
【発明が解決しようという課題】
本発明は以上のような欠点を解消し、光学活性なβ置換ラクトン類を簡易かつ選択的に製造する手段を提供することを目的になされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、前記目的に適合する新規ジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミド類及びその製造方法とそれを用いた光学活性なβ置換ラクトン類の製造方法を見出し本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1は、下記一般式(I)
【化8】
Figure 2004099505
(Rは置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、チオール基、ハロゲン原子、ニトロ基のいずれか1種を示し、nは1〜3の整数を示す。)で表されるジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミドに関する。
【0009】
また、本発明の第2は、下記一般式(II)
【化9】
Figure 2004099505
(Rは置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、チオール基、ハロゲン原子、ニトロ基のいずれか1種を示し、nは1〜3の整数を示す。)で表されるβ置換ラクトン類の光学異性体混合物を、下記一般式(III)
【化10】
Figure 2004099505
で表される光学活性な1−アミノ−2−インダノールと反応させることを特徴とする下記一般式(I)
【化11】
Figure 2004099505
(Rは置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、チオール基、ハロゲン原子、ニトロ基のいずれか1種を示し、nは1〜3の整数を示す。)で表されるジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミドの製造方法に関する。
【0010】
更に、本発明の第3は、1)前項に記載の方法でジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミドを得る第一工程。
2)第一工程で得られたジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミドを加水分解し、次いで環化反応させ、下記一般式(IV)
【化12】
Figure 2004099505
(Rは置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、チオール基、ハロゲン原子、ニトロ基のいずれか1種を示し、nは1〜3の整数を示す。)で表される光学活性なβ置換ラクトンを得る第二工程。
よりなる光学活性β置換ラクトンの製造方法に関する。この時、第一工程で得られたジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミドを精製した後、第二工程を実施するとより好ましい。
【0011】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の一般式(I)で表されるジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミド類は、一般式(II)で表されるβ置換ラクトン類の光学異性体混合物を、一般式(III)で表される光学活性な1−アミノ−2−インダノールと反応させることにより得られる。
【0012】
前記一般式(I)及び(II)で表されるジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミド類及びβ置換ラクトン類の式中のRは置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、チオール基、ハロゲン原子、ニトロ基のいずれか1種を示し、好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基、特に好ましくはメチル基である。また、nは1〜3の整数を示し、好ましくはn=2である。また、光学異性体混合物は様々な割合の光学異性体の混合物であってよく、ラセミ体もその中の一つである。
【0013】
前記一般式(III)で表される、光学活性な1−アミノ−2−インダノールとしては具体的には、
(−)−cis−1−アミノ−2−インダノール
(+)−cis−1−アミノ−2−インダノール
(−)−trans−1−アミノ−2−インダノール
(+)−trans−1−アミノ−2−インダノール
が挙げられる。目的に応じ、これらを使い分けることになる。
【0014】
反応に用いるβ置換ラクトン類の使用量は、前記一般式(III)で示される光学活性1−アミノ−2−インダノールに対して0.01〜10.0当量、好ましくは0.1〜3.0当量がよい。
【0015】
本反応に用いる溶媒としては、反応に悪影響を与えなければ特に限定は無く、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロキシフラン等のエーテル類;水等が挙げられる。これらは1種を単独で用いることも2種以上を混合して用いることも出来る。また、無溶媒でも反応を行う事ができる。溶媒の使用量は、前記一般式(III)で示される光学活性1−アミノ−2−インダノールに対し、0.5〜100質量倍用いる事が出来るが、好ましくは1〜50質量倍がよい。
【0016】
反応温度は、使用する溶媒等により異なるが、通常−80〜180度程度で行う事が出来る。より好ましくは−40〜120℃がよい。また、反応時間は反応条件により異なるが、通常1〜24時間で良く、好ましくは2〜10時間が良い。
【0017】
また、本反応には、塩基触媒を添加することも可能である。用いる塩基としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属;水素化ナトリウム、水素化リチウム等のアルカリ金属の水素化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属と弱酸との塩;ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコラート類;トリエチルアミン等のトリアルキルアミン類等を挙げることが出来る。
【0018】
塩基触媒の使用量としては、光学活性1−アミノ−2−インダノールに対して0.001〜5.0当量が好ましく、特に好ましくは0.01〜2.0当量である。
【0019】
また本反応は、生成物の立体制御が可能であるという特徴を有する。例えばラセミ体β置換ラクトン類を光学活性1−アミノ−2−インダノールより過剰に用いたとき、反応により生成するジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミド類の立体構造は、ジアステレオマー比が1:1ではなく、どちらかが優先的に生成する。この際、反応条件により、その立体選択性を操作することも可能であり、例えば塩基の添加により、無添加の場合と逆の立体選択性を誘起させることも可能である。
【0020】
β置換ラクトン類の光学異性体混合物と光学活性な1−アミノ−2−インダノールとの反応により生成する前記一般式(I)で表されるジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミド類は、知られていない新規な化合物である。
【0021】
該化合物は再結晶あるいは溶媒による洗浄等の精製操作により、より高純度にすることが出来る。精製操作に使用できる溶媒としては反応に用いることの出来る溶媒の中から適宜選択して用いることが出来る。
【0022】
精製時の溶媒の使用量は、通常、前記β置換ラクトン類に対し、0.5〜100質量倍用いられるが、好ましくは1〜50質量倍がよい。
【0023】
精製時の再結晶操作における結晶化温度は−30〜100℃であるが、好ましくは−10〜60℃がよい。結晶化時間は0.1時間〜100時間であるが、好ましくは1〜30時間がよい。結晶化は必要に応じて複数回行ってもよい。
【0024】
このような精製操作により、ほぼ純粋な光学活性なジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミドを得ることが出来る。
【0025】
こうして得られた前記一般式(I)の光学活性なジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミド類を加水分解処理し、次いで環化反応させることにより、光学活性なβ置換ラクトン類を得ることが出来る。
【0026】
加水分解反応に使用できる溶媒としては、反応に悪影響を与えなければ特に限定は無く、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロキシフラン等のエーテル類;水等が挙げられる。これらは1種を単独で用いることも2種以上を混合して用いることも出来る。また、その使用量は前記一般式(I)のジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミドに対して、0.5〜100質量倍、好ましくは1〜50質量倍用いる。
【0027】
また加水分解反応は酸、アルカリのどちらの存在下でも行う事が出来る。酸としては塩酸、硫酸等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸などが挙げられ、アルカリとしてはアルカリ金属の水酸化物又はその弱酸との塩、アルカリ土類金属の水酸化物又はその弱酸との塩、及び四級アンモニウムの水酸化物又はその弱酸との塩等が挙げられる。具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、リン酸三カリウム、リン酸三カリウム2水和物などが挙げられ、中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が好適である。また、これらの使用量はジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミドに対して、好ましくは1〜50当量、特に好ましくは2〜20当量が好適である。
【0028】
加水分解反応温度は使用する溶媒等により異なるが通常0〜200℃で行う事が出来る。好ましくは40〜120℃が良い。また、反応時間は反応条件により異なるが、通常0.5〜24時間で良く、好ましくは1〜10時間が良い。
【0029】
加水分解後の環化反応は例えば酸の存在下に行う事が出来る。このとき用いることの出来る酸としては、硫酸、塩酸等の無機酸;ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸が好適に用いられる。これらの酸を使用する場合の使用量としては前記一般式(I)のジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミドに対して、好ましくは1〜20当量、特に好ましくは2〜10当量が良い。
【0030】
環化反応に使用できる溶媒としては、反応に悪影響を与えなければ特に限定は無く、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロキシフラン等のエーテル類;水等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。また、その使用量は前記一般式(I)のジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミドに対して、0.5〜100質量倍用いる事が出来るが、好ましくは1〜50質量倍がよい。
【0031】
環化反応温度は使用する溶媒により異なるが、通常0〜150℃、好ましくは20〜120℃が良い。また反応時間は反応条件によりことなるが、通常0.5〜24時間で良く、好ましくは1〜8時間が良い。
【0032】
以上の方法によって、極めて選択的、かつ安易に光学活性β置換ラクトン類の製造が可能となる。
【0033】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
実施例1
ジアステレオマー5−ヒドロキシ−N−(2’−インダノール)−3−メチルペンタンアミドの合成
【化13】
Figure 2004099505
フラスコに(R,S)−メチルバレロラクトン1.14g(0.01mol)、(−)−cis−1−アミノ−2−インダノール1.49g(0.01mol )、メタノール4.3gを仕込み、30時間加熱還流した。溶媒を減圧下に留去し、表記化合物の白色固体2.63gを得た。得られた表記化合物の測定結果を以下に示す。
H−NMR(DMSO−d
0.90 (d, 3H)、1.29−1.50 (m, 2H)、1.90−2.20 (m, 2H)、2.75−3.06 (m, 2H)、3.40−3.47 (m, 2H)、4.32−4.39 (m, 2H)、4.96 (d, 1H)、5.20 (dd, 1H)、7.07−7.21 (m,4H)、7.80 (d, 1H)
・IR(KBr−disk)
(cm−1)3295、2952、2924、1641、1542、1052
【0035】
実施例2
(3R)−5−ヒドロキシ−N−{(1’S,2’R)−2’−インダノール}−3−メチルペンタンアミドの合成
【化14】
Figure 2004099505
フラスコに(R,S)−メチルバレロラクトン22.8g(0.20mol )、 (−)−cis−1−アミノ−2−インダノール14.9g(0.10mol )、エタノール44.7gを仕込み、8時間加熱還流した。このとき反応で生成したジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミドは(3R)−5−ヒドロキシ−N−{(1’S,2’R)−2’−インダノール}−3−メチルペンタンアミドが優先的に生成しており、そのジアステレオマー過剰度は17.0%d.e.であった。反応液を室温まで冷却し、析出した固体を濾取したのち減圧乾燥し、ジアステレオマー過剰度78.4%d.e.である表記化合物20.3gの白色結晶を得た。得られた粗結晶20gをエタノール80g中で攪拌した後、濾取、乾燥したところ10.1gの粗結晶が得られた。この粗結晶のジアステレオマー過剰度は+93.2% d.e.まで上昇した。この粗結晶10gをメタノール100gで再結晶したところ、ジアステレオマ−過剰度99.9%d.e.である表記化合物の白色結晶7.50gを得た。
【0036】
ジアステレオマー過剰度の決定
ジアステレオマー過剰度は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により決定した。以下に条件を示す。
カラム:CHIRALCEL OD (4.6×250mm)
移動相:2−フ゜ロハ゜ノール / ヘキサン = 800 / 200 (v / v)
流速 :1.0ml / min
温度 :40℃
検出 :UV 254nm
【0037】
また、得られた表記化合物の測定結果を以下に示す。
・比旋光度
[α] 20 = +14° (C=0.5、メタノール )
H−NMR(DMSO−d
0.92 (d, 3H)、1.29−1.50 (m, 2H)、2.05−2.22 (m, 3H)、2.75−3.06 (m, 2H)、3.40−3.48 (m, 2H)、4.32−4.38 (m, 2H)、4.96 (d, 1H)、5.20 (dd, 1H)、7.10−7.21 (m,4H)、7.80 (d, 1H)
・IR(KBr−disk)
(cm−1)3295、2953、2924、1642、1542、1052
・元素分析
測定値 C 68.62、H 8.13、O 5.38
計算値 C 68.42、H 8.04、O 5.32
・マススペクトル(EI)
m/e 264(M+1)C5H21NO3=263.33
・融点
187−189℃
【0038】
実施例3
(R)−メチルバレロラクトンの合成
【化15】
Figure 2004099505
フラスコに実施例2で得た(3R)−5−ヒドロキシ−N−{(1’S,2’R)−2’−インダノール}−3−メチルペンタンアミド2.63g(0.01mol)、水酸化カリウム3.4g(0.06mol)、エタノール13.6gを仕込み、2時間加熱還流した。室温まで冷却後、水15.0gを入れ内容物が18gになるまで減圧濃縮した。析出固体を濾別した後、35%塩酸9.4g(0.09mol )を加え、60℃で1時間加熱した。室温まで冷却後、酢酸エチル20gで抽出した。有機相を飽和重曹水5.0gで洗浄し、ボウショウを加え乾燥した後、減圧下で濃縮し(R)−メチルバレロラクトン0.76gの黄色オイルを得た。カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、(R)−メチルバレロラクトン0.70gの微黄色オイルを得た。測定結果を以下に示す。
比旋光度
[α] 27=+27° (C=5.6、CHCl )
H−NMR(CDCl
0.95 (d, 3H)、1.34−1.48 (m, 1H)、1.77−1.86 (m, 1H)、1.94−2.05 (m, 2H)、2.49−2.61 (m, 1H)、4.14−4.18 (m, 1H)、4.28−4.33 (m, 1H)
・光学純度
99.9% e.e.
【0039】
光学純度は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により決定した。条件を以下に示す。
カラム:CHIRALPAK AS (4.6×250mm)
移動相:2−フ゜ロハ゜ノール / ヘキサン / トリフリオロ酢酸 = 900 / 100 / 1 (v / v / v)
流速 :0.7ml / min
温度 :30℃
検出 :UV220nm
【0040】
実施例4
(3S)−5−ヒドロキシ−N−{(1’S,2’R)−2’−インダノール}−3−メチルペンタンアミドの合成
【化16】
Figure 2004099505
実施例1の反応液を濾過した濾液を濃縮することで、白色結晶を得た。この白色結晶を2−プロパノールで洗浄し、洗浄液を再び濃縮することで再び白色結晶を得た。この洗浄濃縮をもう1回行った後、2−プロパノールで再結晶を行い、ジアステレオマー過剰度95.7%d.e.の表記化合物の白色結晶を得た。得られた表記化合物の測定結果を以下に示す。
・比旋光度
[α] 20 = +21° (C=0.5、メタノール )
H−NMR(DMSO−d
0.92 (d, 3H)、1.25−1.55 (m, 2H)、1.98−2.06 (m, 2H)、2,21−2.31 (m, 1H)、2.75−3.06 (m, 2H)、3.35−3.49 (m, 2H)、4.32−4.39 (m, 2H)、4.96 (d, 1H)、5.20(dd, 1H)、7.10−7.22 (m,4H)、7.80 (d, 1H)
・IR(KBr−disk)
(cm−1)3295、2953、2924、1642、1542、1052
・元素分析
測定値 C 67.98、H 8.09、O 5.31
計算値 C 68.42、H 8.04、O 5.32
・マススペクトル(EI)
m/e 264(M+1)C5H21NO3=263.33
・融点
128−131℃
【0041】
実施例5
(R,S)−メチルバレロラクトンと(−)−cis−1−アミノ−2−インダノールを反応させたときの、反応条件によるジアステレオマー選択性の結果について表1に示す。
【表1】
Figure 2004099505
(*1)使用した分割剤のうち、何%が消費されたかを示す。
(*2)表記がRのものは、(3R)−5−ヒドロキシ−N−{(1’S,2’R)−2’−インダノール}−3−メチルペンタンアミドが優先的に生成したことを示し、表記がSのものは(3S)−5−ヒドロキシ−N−{(1’S,2’R)−2’−インダノール}−3−メチルペンタンアミドが優先的に生成したことを示す。
【0042】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、光学活性なβ置換ラクトン類を簡便かつ選択的に製造することが可能となる。

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 2004099505
    (Rは置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、チオール基、ハロゲン原子、ニトロ基のいずれか1種を示し、nは1〜3の整数を示す。)で表されるジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミド。
  2. nが2である請求項1記載のジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミド。
  3. nが2であり、かつRがメチル基である請求項1記載のジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミド。
  4. 下記一般式(II)
    Figure 2004099505
    (Rは置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、チオール基、ハロゲン原子、ニトロ基のいずれか1種を示し、nは1〜3の整数を示す。)で表されるβ置換ラクトンの光学異性体混合物を、下記一般式(III)
    Figure 2004099505
    で表される光学活性な1−アミノ−2−インダノールと反応させることを特徴とする下記一般式(I)
    Figure 2004099505
    (Rは置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、チオール基、ハロゲン原子、ニトロ基のいずれか1種を示し、nは1〜3の整数を示す。)で表されるジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミドの製造方法。
  5. 1)請求項4記載の方法でジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミドを得る第一工程。
    2)第一工程で得られたジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミドを加水分解し、次いで環化反応させ、下記一般式(IV)
    Figure 2004099505
    (Rは置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、チオール基、ハロゲン原子、ニトロ基のいずれか1種を示し、nは1〜3の整数を示す。)で表される光学活性なβ置換ラクトンを得る第二工程。
    よりなる光学活性β置換ラクトンの製造方法。
  6. 第一工程で得られたジアステレオマーヒドロキシカルボン酸アミドを精製した後、第二工程を実施することを特徴とする請求項5記載の光学活性なβ置換ラクトンの製造方法。
  7. nが2である請求項5または6記載の光学活性なβ置換ラクトンの製造方法。
  8. nが2であり、かつRがメチル基である請求項項5または6記載の光学活性なβ置換ラクトンの製造方法。
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