JP2004098791A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】残留コーナリングフォースを大きく確保しつつ偏摩耗の発生を防止する。
【解決手段】トレッド面2に、タイヤ周方向に連続してのびる縦溝3と、タイヤ軸方向に対して30゜以下の角度θをなしかつ前記縦溝3と交わってのびる横溝4とを設けることにより平面視が略菱形状をなす菱形ブロック5が隔設された空気入りタイヤである。前記菱形ブロック5の、前記縦溝3と横溝4とが鈍角で交わる鈍角交差部6に面する鈍角側のコーナ領域SAにサイピング7を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】トレッド面2に、タイヤ周方向に連続してのびる縦溝3と、タイヤ軸方向に対して30゜以下の角度θをなしかつ前記縦溝3と交わってのびる横溝4とを設けることにより平面視が略菱形状をなす菱形ブロック5が隔設された空気入りタイヤである。前記菱形ブロック5の、前記縦溝3と横溝4とが鈍角で交わる鈍角交差部6に面する鈍角側のコーナ領域SAにサイピング7を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐摩耗性を損ねることなく残留コーナリングフォースに対するパターン効果を大としうる空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ハンドルから手を離したて所定の距離を自動車で走行する間に、その直進方向線に対して片側に位置ずれし横流れする現象は、車両の片流れとして知られている。この車両の片流れには、タイヤの残留コーナリングフォース(以下、単に「PRCF」ということがある。)が強く影響している。PRCFは、タイヤのスリップ角が0であるにも拘わらず生じる横力であって、概ね、ラジアルタイヤの最外側に配されたベルトプライのコード傾斜方向による影響(PRCFベルト効果)と、トレッドパターンによる影響(PRCFパターン効果)が強く影響している。
【0003】
近年では、車両が主として走行する路面(例えば排水用のために傾斜した路面)を考慮し、PRCFを当初から大きい値に設定することが望まれる場合がある。PRCFを大きくするためには、前記PRCFベルト成分又はPRCFパターン成分のいずれかを大とする必要があり、近年では、図11に示すように、横溝のタイヤ軸方向に対する角度θを大とすればPRCFパターン成分が大となることが判ってきた(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−58114号公報
【0005】
しかしながら、上述のようなパターン形状は、PRCFパターン成分を増大しうる反面、耐摩耗性能が悪化することが判った。発明者らは、種々の実験の結果、このような耐摩耗性の悪化は、主に図11に示した菱形状のブロックの鈍角側のコーナ領域aと、鋭角側のコーナ領域bとにおいて、ブロック剛性の差が大きくなっていることが原因であることを突き止めた。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、前記菱形ブロックの、前記縦溝と横溝とが鈍角で交わる鈍角交差部に面する鈍角側のコーナ領域にサイピングを形成することを基本として、PRCFパターン成分を増大しつつ耐摩耗性能の悪化を防止しうる空気入りタイヤを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド面に、タイヤ周方向に連続してのびる縦溝と、タイヤ軸方向に対して0゜よりも大かつ60゜以下の角度θをなしかつ前記縦溝と交わってのびる横溝とを設けることにより平面視が略菱形状をなす菱形ブロックが形成されるとともに、前記菱形ブロックの、前記縦溝と横溝、又は横溝とトレッド接地端とが鈍角で交わる鈍角交差部に面する鈍角側のコーナ領域にサイピングを形成したことを特徴とする空気入りタイヤである。
【0008】
また請求項2記載の発明は、前記鈍角側のコーナー領域は、前記菱形ブロックの縦溝に面する縦縁から該菱形ブロックのタイヤ軸方向幅の0.3〜0.5倍の距離SW以内の領域かつ菱形ブロックの横溝に面する横縁から該菱形ブロックのタイヤ周方向長さの0.1〜0.3倍の距離SL以内の領域である請求項1記載の空気入りタイヤである。
【0009】
また請求項3記載の発明は、前記鈍角側のコーナ領域のサイピング密度d1と、それ以外の領域のサイピング密度d2との比(d2/d1)が0〜0.3であることを特徴とする請求項1又は2記載の空気入りタイヤである。
【0010】
また請求項4記載の発明は、前記トレッド面を、トレッド接地端からトレッド接地幅の25%の領域をなすショルダ領域と、このショルダ領域に挟まれるクラウン領域とに仮想区分した場合において、前記ショルダ領域、クラウン領域それぞれに、前記菱形ブロックがタイヤ周方向に並ぶブロック列を少なくとも1列を設けるとともに、ショルダ領域のブロック列の横溝と、クラウン領域のブロック列の横溝とを逆向きに傾けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
【0011】
また請求項5記載の発明は、前記サイピングは、タイヤ軸方向にのびるとともに、一端が前記縦溝又は前記横溝に開口しかつ他端が前記鈍角側のコーナ領域で終端するセミオープンタイプであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部を展開して示している。図において、空気入りタイヤは、トレッド面2に、タイヤ周方向に連続してのびる縦溝3と、タイヤ軸方向に対して0゜よりも大かつ30゜以下の角度θをなしかつ前記縦溝3と交わってのびる横溝4とを設けることにより平面視が略菱形状をなす菱形ブロック5が隔設される。
【0013】
前記縦溝3は、本実施形態では、タイヤ赤道C上をのびる中央の縦溝3aと、その両側に配された側の縦溝3b、3bとからなり、トレッド面2に合計3本が形成されたものを例示している。また本例では、トレッド接地端Eからトレッド接地幅TWの25%の領域をなすショルダ領域SHと、このショルダ領域SHに挟まれるクラウン領域CRとに仮想区分した場合において、前記側の縦溝3b、3bが実質的に前記ショルダ領域SHとクラウン領域CRとの境界部に配置されたものを例示している。
【0014】
前記各縦溝3a、3bは、いずれも直線状でタイヤ周方向に連続してのびるが、ジグザグ状ないし波状に屈曲させることもできる。縦溝3a、3bの溝幅、溝深さは特に限定はされないが、好ましくはトレッド接地巾TWの2.0%以上、より好ましくは2.5%以上とし、溝深さは前記トレッド接地巾TWの2〜8%程度とするのが望ましい。
【0015】
前記横溝4は、本実施形態では中央の縦溝3aと側の縦溝3bとの間を図において右下がりで傾斜してのびる略直線状の中央の横溝4a、4aと、前記側の縦溝3bとトレッド接地端Eとの間を右上がりにのびる略直線状の側の横溝4b、4bとを含む。各横溝4a、4bは、絶対値にてタイヤ軸方向に対して0゜よりも大かつ60゜以下の角度θで傾斜している。前記角度θがタイヤ軸方向に対して60゜よりも大になると、偏摩耗が生じるためである。前記角度θがタイヤ軸方向に対して30°よりも大きくなると、PRCFパターン効果が大きくなり、特に40〜60°とするとより大きくなる。車両によっては、大きいPRCFパターン効果を求められる場合には、このような角度範囲に各横溝を設定することが必要となる。但し、前記角度θを40〜60°の範囲とした場合に、偏摩耗が生じ易くなり、摩耗を考慮すると、角度θを40°以下、さらに好ましくは0°よりも大かつ30°以下とするのがより効果的である。なお横溝4が図10に示すように非直線状をなすとき、前記角度θは、横溝4の両端間を結ぶ直線Nとタイヤ軸方向とのなす角度とする。
【0016】
また本例では前記中央の横溝4aがクラウン領域CRをのびるとともに、側の横溝4bがショルダ領域SHをのび、ショルダ領域SHの側の横溝4bと、クラウン領域CRの横溝4aとは逆向きに傾くものが示されている。このようなトレッドパターンは、特に大きなPRCFパターン効果を得ることができる。各横溝4a、4bの溝幅、溝深さは特に限定はされないが、好ましくはトレッド接地巾TWの1.5%以上、より好ましくは2.0%以上とし、溝深さは前記トレッド接地巾TWの1.5〜8%程度とするのが望ましい。
【0017】
前記「トレッド接地巾TW」はタイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填するとともに正規荷重を作用させて平面に接地させたときのトレッド接地端間のタイヤ軸方向距離を言う。また「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば ”Design Rim” 、或いはETRTOであれば ”Measuring Rim”とする。また、「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 ”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES” に記載の最大値、ETRTOであれば ”INFLATION PRESSURE” とするが、タイヤが乗用車用である場合には180KPaとする。さらに「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 ”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES” に記載の最大値、ETRTOであれば ”LOAD CAPACITY”であり、タイヤが乗用車用である場合には上記荷重の88%に相当する荷重とする。
【0018】
トレッド面2には、前記縦溝3、横溝4を設けることにより、平面視が略菱形状をなす菱形ブロック5が隔設される。本実施形態では、両側のショルダ領域SHに、前記菱形ブロック5がタイヤ周方向に並ぶ各1列のブロック列が、またクラウン領域CRには、2列のブロック列がそれぞれに形成される。そして本発明では、この菱形ブロック5の、前記縦溝3と横溝4、又は横溝4とトレッド接地端Eとが鈍角で交わる鈍角交差部6に面する鈍角側のコーナ領域SAにサイピング7を形成したことを特徴事項の一つとしている。
【0019】
図2には、菱形ブロック5の拡大平面図を示し、図3にはそのA−A線断面図を示している。前記鈍角側のコーナー領域SAは、前記鈍角側のコーナかつ例えば前記菱形ブロック5の縦溝3に面する縦縁5aから該菱形ブロックのタイヤ軸方向幅BWの0.3〜0.5倍の距離SW以内の領域かつ菱形ブロック5の横溝4に面する横縁5bから該菱形ブロック5のタイヤ周方向長さBLの0.1〜0.3倍の距離SL以内の領域として定められる。
【0020】
特に好ましくは、前記距離SWは、菱形ブロック5のタイヤ軸方向幅BWの0.3〜0.5倍、さらに好ましくは0.35〜0.45倍とするのが望ましい。また前記距離Slは、該菱形ブロック5のタイヤ周方向長さBLの0.1〜0.3倍、より好ましくは0.15〜0.25倍とするのが望ましい。
【0021】
菱形ブロック5は、鈍角側のコーナ領域SAが、鋭角側のコーナ領域SBに比してブロック剛性が大であるため、その摩耗エネルギーは剛性の低い鋭角側のコーナ領域SBに集中し偏摩耗が生じやすい。そこで、本発明では、菱形ブロック5の鈍角側のコーナ領域SAにサイピング7を設けることにより、菱形ブロック5の鈍角側と鋭角側の各コーナー領域SA、SBの剛性差を緩和し、PRCFパターン効果の効果を大としつつ偏摩耗の発生を抑制できる。
【0022】
本実施形態のサイピング7は、タイヤ軸方向にのびるとともに、図3に示すように、一端7aが前記縦溝3又はトレッド接地端Eに開口しかつ他端7bが前記鈍角側のコーナ領域SAで終端するセミオープンタイプのものを例示している。サイピング7は切り込み状をなし排水性などに影響しない小幅であって、金型による加硫成形ないしハンドカットにて形成できる。サイピング7の幅は、具体的には2.0mm以下とし、特に好ましくは生産性の観点より、0.5〜1.5mm程度とするのが望ましい。
【0023】
また図3には、図2のA−A線断面図を示しているが、例えばサイピング7の深さDは、ブロック高さBHの40〜80%、より好ましくは60〜70%とするのが望ましい。前記サイピング7の深さDがブロック高さBHの30%未満であると、鋭角側のコーナ領域SBと鈍角側のコーナ領域SAとの剛性差を緩和する効果が小さくなって偏摩耗抑制効果が低下する傾向があり、逆に80%を超えると、過度に鈍角側のコーナ領域SAの剛性を低下させ同様に偏摩耗抑制効果が低下する傾向がある。本実施形態では、サイピング7の深さDが、菱形ブロック5の中心側に向かって漸減するものを示している。これにより、鋭角側のコーナ領域SAの剛性を滑らかに変化させることができ、より効果的に偏摩耗の発生を防止するのに役立つ。なお、この例では、サイピング7が1本、かつタイヤ軸方向にのびるものを示しているが、これに限定されるものではなく、例えばタイヤ軸方向に対して傾く2本以上のサイピングを設けることもできる。
【0024】
図4には、さらに本発明の他の実施形態を示し、図5(A)にはそのA−A線断面図、同(B)にはそのB−B線断面図をそれぞれ示す。本実施形態では、サイピング7が、前記鈍角側のコーナ領域SAをのびる第1の部分7aと、鈍角側のコーナ領域SA以外の領域をのびる第2の部分7bとからなり、タイヤ軸方向に直線状でのびるものを例示している。また前記第1の部分の深さD1は、第2の部分7bの深さD2よりも大としており、鈍角側のコーナ領域SAの剛性を効果的に低下させる。なお前記深さD1とD2との間を滑らかに変化させるのが望ましい。
【0025】
またこの例では、前記鈍角側のコーナ領域SAのサイピング密度d1が、それ以外の領域のサイピング密度d2よりも大に設定されており、好ましくはその比(d2/d1)を0〜0.3、より好ましくは0〜0.1に設定するのが望ましい。「鈍角側のコーナ領域SAのサイピング密度d1」は、鈍角側のコーナ領域SAに含まれるサイピング7の面積の総和(各サイピングの面積は、サイピングの深さ×長さとし、以下同じとする。)を、鈍角側のコーナ領域SAの表面積で除して得るものとする。また「鈍角側のコーナ領域SA以外の領域のサイピング密度d2」は、鈍角側のコーナ領域SA以外の領域に含まれるサイピング7の面積を、鈍角側のコーナ領域SA以外の表面積で除して得るものとする。前記比(d2/d1)が0.3を超えるとき、鈍角側のコーナ領域SAの剛性を相対的に低下させることが困難となるため好ましくない。
【0026】
図6には、さらに本発明の他の実施形態を示し、図7にはそのA−A線断面図を示している。本実施形態では、1本のサイピング7が、向き合う前記鈍角側のコーナ領域SA、SAを継いでのびるものを示す。またサイピング7は、鈍角側のコーナ領域SAに含まれる第1の部分7a、7aと、鈍角側のコーナ領域SA以外の領域をのびる第2の部分7bとからなり、タイヤ軸方向に対して傾いてのびるものを例示している。また前記第1の部分の深さD1は、第2の部分7bの深さD2よりも大としており、この例においても、鈍角側のコーナ領域SAの剛性を効果的に低下させる。
【0027】
図8には、さらに本発明の他の実施形態として、図1のC−C線断面図を示している。この実施形態では、前記菱形ブロック5に面する横溝4は、溝深さが大の深溝部4Aと、この深溝部4Aよりも溝深さが小の浅溝部4Bとを含む。そして深溝部4Aを菱形ブロック5の横縁5bにおける鈍角側のコーナ領域SAに面して配するとともに、浅溝部4Bを、菱形ブロック5の横縁5bにおける鈍角側のコーナ領域SA以外の領域に面して配している。このように、剛性の大きい鈍角側のコーナ領域SAに面する横溝の深さを大とし、かつそれ以外の横溝の深さを小とすることによって、前記サイピング7の構成との相乗作用により、さらに効果的にブロック剛性を均一化するのに役立ち、PRCFパターン成分を大としつつ偏摩耗の発生を抑制できる。
【0028】
なおこの例では、横溝の溝深さを変化させているが、例えば図1のD−D線断面図である図9に示すように、縦溝3についても同様に行うことができる。即ち、前記菱形ブロック5に面する縦溝3は、溝深さが大の深溝部3Aと、この深溝部3Aよりも溝深さが小の浅溝部3Bとを含み、深溝部3Aを菱形ブロック5の縦縁5aにおける鈍角側のコーナ領域SAに面して配するとともに、浅溝部3Bを、菱形ブロック5の縦縁5aにおける鈍角側のコーナ領域SA以外の領域に面して配することもできる。
【0029】
【実施例】
タイヤサイズが、195/65R15である乗用車用空気入りラジアルタイヤを表1の仕様に基づいて複数種試作し、PRCFパターン効果と、耐偏摩耗性能とを評価した(内部構造はいずれも同一とした。)。PRCFパターン効果は、プレーンタイヤのPRCFを予め測定しておき、各供試タイヤのPRCFをこの値から差し引くことにより求めた。測定条件は、リムサイズ15×6JJ、内圧200kPaとし、テスト車両の全輪に装着して速度10km/Hの走行時とした。また耐偏摩耗性能は、鈍角側のコーナ領域の摩耗エネルギと、鋭角側のコーナ領域の摩耗エネルギとの比を求め、従来例を100とする指数で表示した。数値が小さいものほど偏摩耗が発生しやすいことを示す。また実施例1、2のサイピングは、長さ10mm、深さ8mm(均一)とした。
テストの結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
テストの結果、実施例のものは、従来例、比較例と比べてPRCFパターン効果が大きく、かつ偏摩耗性能の悪化が抑制されていることが確認できる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の空気入りタイヤは、菱形ブロックの鈍角側のコーナ領域にサイピングを設けることを基本として、ブロックの剛性の均一化を図り、残留コーナリングフォースを大きく確保しつつ偏摩耗の発生を防止しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すトレッドパターンの展開図である。
【図2】その菱形ブロックを拡大して示す拡大図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】他の菱形ブロックの形態を示す拡大図である。
【図5】(A)は図4のA−A断面図、(B)は同B−B断面図である。
【図6】他の菱形ブロックの形態を示す拡大図である。
【図7】図6のA−A断面図である。
【図8】他の実施形態を示す図1のC−C線断面図である。
【図9】他の実施形態を示す図1のD−D線断面図である。
【図10】横溝の角度θを説明する線図である。
【図11】従来のトレッドパターンの展開図である。
【符号の説明】
2 トレッド面
3 縦溝
3a 中央の縦溝
3b 側の縦溝
4 横溝
4a 中央の横溝
4b 側の横溝
5 菱形ブロック
6 鈍角側交差部
7 サイピング
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐摩耗性を損ねることなく残留コーナリングフォースに対するパターン効果を大としうる空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ハンドルから手を離したて所定の距離を自動車で走行する間に、その直進方向線に対して片側に位置ずれし横流れする現象は、車両の片流れとして知られている。この車両の片流れには、タイヤの残留コーナリングフォース(以下、単に「PRCF」ということがある。)が強く影響している。PRCFは、タイヤのスリップ角が0であるにも拘わらず生じる横力であって、概ね、ラジアルタイヤの最外側に配されたベルトプライのコード傾斜方向による影響(PRCFベルト効果)と、トレッドパターンによる影響(PRCFパターン効果)が強く影響している。
【0003】
近年では、車両が主として走行する路面(例えば排水用のために傾斜した路面)を考慮し、PRCFを当初から大きい値に設定することが望まれる場合がある。PRCFを大きくするためには、前記PRCFベルト成分又はPRCFパターン成分のいずれかを大とする必要があり、近年では、図11に示すように、横溝のタイヤ軸方向に対する角度θを大とすればPRCFパターン成分が大となることが判ってきた(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−58114号公報
【0005】
しかしながら、上述のようなパターン形状は、PRCFパターン成分を増大しうる反面、耐摩耗性能が悪化することが判った。発明者らは、種々の実験の結果、このような耐摩耗性の悪化は、主に図11に示した菱形状のブロックの鈍角側のコーナ領域aと、鋭角側のコーナ領域bとにおいて、ブロック剛性の差が大きくなっていることが原因であることを突き止めた。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、前記菱形ブロックの、前記縦溝と横溝とが鈍角で交わる鈍角交差部に面する鈍角側のコーナ領域にサイピングを形成することを基本として、PRCFパターン成分を増大しつつ耐摩耗性能の悪化を防止しうる空気入りタイヤを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド面に、タイヤ周方向に連続してのびる縦溝と、タイヤ軸方向に対して0゜よりも大かつ60゜以下の角度θをなしかつ前記縦溝と交わってのびる横溝とを設けることにより平面視が略菱形状をなす菱形ブロックが形成されるとともに、前記菱形ブロックの、前記縦溝と横溝、又は横溝とトレッド接地端とが鈍角で交わる鈍角交差部に面する鈍角側のコーナ領域にサイピングを形成したことを特徴とする空気入りタイヤである。
【0008】
また請求項2記載の発明は、前記鈍角側のコーナー領域は、前記菱形ブロックの縦溝に面する縦縁から該菱形ブロックのタイヤ軸方向幅の0.3〜0.5倍の距離SW以内の領域かつ菱形ブロックの横溝に面する横縁から該菱形ブロックのタイヤ周方向長さの0.1〜0.3倍の距離SL以内の領域である請求項1記載の空気入りタイヤである。
【0009】
また請求項3記載の発明は、前記鈍角側のコーナ領域のサイピング密度d1と、それ以外の領域のサイピング密度d2との比(d2/d1)が0〜0.3であることを特徴とする請求項1又は2記載の空気入りタイヤである。
【0010】
また請求項4記載の発明は、前記トレッド面を、トレッド接地端からトレッド接地幅の25%の領域をなすショルダ領域と、このショルダ領域に挟まれるクラウン領域とに仮想区分した場合において、前記ショルダ領域、クラウン領域それぞれに、前記菱形ブロックがタイヤ周方向に並ぶブロック列を少なくとも1列を設けるとともに、ショルダ領域のブロック列の横溝と、クラウン領域のブロック列の横溝とを逆向きに傾けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
【0011】
また請求項5記載の発明は、前記サイピングは、タイヤ軸方向にのびるとともに、一端が前記縦溝又は前記横溝に開口しかつ他端が前記鈍角側のコーナ領域で終端するセミオープンタイプであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部を展開して示している。図において、空気入りタイヤは、トレッド面2に、タイヤ周方向に連続してのびる縦溝3と、タイヤ軸方向に対して0゜よりも大かつ30゜以下の角度θをなしかつ前記縦溝3と交わってのびる横溝4とを設けることにより平面視が略菱形状をなす菱形ブロック5が隔設される。
【0013】
前記縦溝3は、本実施形態では、タイヤ赤道C上をのびる中央の縦溝3aと、その両側に配された側の縦溝3b、3bとからなり、トレッド面2に合計3本が形成されたものを例示している。また本例では、トレッド接地端Eからトレッド接地幅TWの25%の領域をなすショルダ領域SHと、このショルダ領域SHに挟まれるクラウン領域CRとに仮想区分した場合において、前記側の縦溝3b、3bが実質的に前記ショルダ領域SHとクラウン領域CRとの境界部に配置されたものを例示している。
【0014】
前記各縦溝3a、3bは、いずれも直線状でタイヤ周方向に連続してのびるが、ジグザグ状ないし波状に屈曲させることもできる。縦溝3a、3bの溝幅、溝深さは特に限定はされないが、好ましくはトレッド接地巾TWの2.0%以上、より好ましくは2.5%以上とし、溝深さは前記トレッド接地巾TWの2〜8%程度とするのが望ましい。
【0015】
前記横溝4は、本実施形態では中央の縦溝3aと側の縦溝3bとの間を図において右下がりで傾斜してのびる略直線状の中央の横溝4a、4aと、前記側の縦溝3bとトレッド接地端Eとの間を右上がりにのびる略直線状の側の横溝4b、4bとを含む。各横溝4a、4bは、絶対値にてタイヤ軸方向に対して0゜よりも大かつ60゜以下の角度θで傾斜している。前記角度θがタイヤ軸方向に対して60゜よりも大になると、偏摩耗が生じるためである。前記角度θがタイヤ軸方向に対して30°よりも大きくなると、PRCFパターン効果が大きくなり、特に40〜60°とするとより大きくなる。車両によっては、大きいPRCFパターン効果を求められる場合には、このような角度範囲に各横溝を設定することが必要となる。但し、前記角度θを40〜60°の範囲とした場合に、偏摩耗が生じ易くなり、摩耗を考慮すると、角度θを40°以下、さらに好ましくは0°よりも大かつ30°以下とするのがより効果的である。なお横溝4が図10に示すように非直線状をなすとき、前記角度θは、横溝4の両端間を結ぶ直線Nとタイヤ軸方向とのなす角度とする。
【0016】
また本例では前記中央の横溝4aがクラウン領域CRをのびるとともに、側の横溝4bがショルダ領域SHをのび、ショルダ領域SHの側の横溝4bと、クラウン領域CRの横溝4aとは逆向きに傾くものが示されている。このようなトレッドパターンは、特に大きなPRCFパターン効果を得ることができる。各横溝4a、4bの溝幅、溝深さは特に限定はされないが、好ましくはトレッド接地巾TWの1.5%以上、より好ましくは2.0%以上とし、溝深さは前記トレッド接地巾TWの1.5〜8%程度とするのが望ましい。
【0017】
前記「トレッド接地巾TW」はタイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填するとともに正規荷重を作用させて平面に接地させたときのトレッド接地端間のタイヤ軸方向距離を言う。また「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば ”Design Rim” 、或いはETRTOであれば ”Measuring Rim”とする。また、「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 ”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES” に記載の最大値、ETRTOであれば ”INFLATION PRESSURE” とするが、タイヤが乗用車用である場合には180KPaとする。さらに「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 ”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES” に記載の最大値、ETRTOであれば ”LOAD CAPACITY”であり、タイヤが乗用車用である場合には上記荷重の88%に相当する荷重とする。
【0018】
トレッド面2には、前記縦溝3、横溝4を設けることにより、平面視が略菱形状をなす菱形ブロック5が隔設される。本実施形態では、両側のショルダ領域SHに、前記菱形ブロック5がタイヤ周方向に並ぶ各1列のブロック列が、またクラウン領域CRには、2列のブロック列がそれぞれに形成される。そして本発明では、この菱形ブロック5の、前記縦溝3と横溝4、又は横溝4とトレッド接地端Eとが鈍角で交わる鈍角交差部6に面する鈍角側のコーナ領域SAにサイピング7を形成したことを特徴事項の一つとしている。
【0019】
図2には、菱形ブロック5の拡大平面図を示し、図3にはそのA−A線断面図を示している。前記鈍角側のコーナー領域SAは、前記鈍角側のコーナかつ例えば前記菱形ブロック5の縦溝3に面する縦縁5aから該菱形ブロックのタイヤ軸方向幅BWの0.3〜0.5倍の距離SW以内の領域かつ菱形ブロック5の横溝4に面する横縁5bから該菱形ブロック5のタイヤ周方向長さBLの0.1〜0.3倍の距離SL以内の領域として定められる。
【0020】
特に好ましくは、前記距離SWは、菱形ブロック5のタイヤ軸方向幅BWの0.3〜0.5倍、さらに好ましくは0.35〜0.45倍とするのが望ましい。また前記距離Slは、該菱形ブロック5のタイヤ周方向長さBLの0.1〜0.3倍、より好ましくは0.15〜0.25倍とするのが望ましい。
【0021】
菱形ブロック5は、鈍角側のコーナ領域SAが、鋭角側のコーナ領域SBに比してブロック剛性が大であるため、その摩耗エネルギーは剛性の低い鋭角側のコーナ領域SBに集中し偏摩耗が生じやすい。そこで、本発明では、菱形ブロック5の鈍角側のコーナ領域SAにサイピング7を設けることにより、菱形ブロック5の鈍角側と鋭角側の各コーナー領域SA、SBの剛性差を緩和し、PRCFパターン効果の効果を大としつつ偏摩耗の発生を抑制できる。
【0022】
本実施形態のサイピング7は、タイヤ軸方向にのびるとともに、図3に示すように、一端7aが前記縦溝3又はトレッド接地端Eに開口しかつ他端7bが前記鈍角側のコーナ領域SAで終端するセミオープンタイプのものを例示している。サイピング7は切り込み状をなし排水性などに影響しない小幅であって、金型による加硫成形ないしハンドカットにて形成できる。サイピング7の幅は、具体的には2.0mm以下とし、特に好ましくは生産性の観点より、0.5〜1.5mm程度とするのが望ましい。
【0023】
また図3には、図2のA−A線断面図を示しているが、例えばサイピング7の深さDは、ブロック高さBHの40〜80%、より好ましくは60〜70%とするのが望ましい。前記サイピング7の深さDがブロック高さBHの30%未満であると、鋭角側のコーナ領域SBと鈍角側のコーナ領域SAとの剛性差を緩和する効果が小さくなって偏摩耗抑制効果が低下する傾向があり、逆に80%を超えると、過度に鈍角側のコーナ領域SAの剛性を低下させ同様に偏摩耗抑制効果が低下する傾向がある。本実施形態では、サイピング7の深さDが、菱形ブロック5の中心側に向かって漸減するものを示している。これにより、鋭角側のコーナ領域SAの剛性を滑らかに変化させることができ、より効果的に偏摩耗の発生を防止するのに役立つ。なお、この例では、サイピング7が1本、かつタイヤ軸方向にのびるものを示しているが、これに限定されるものではなく、例えばタイヤ軸方向に対して傾く2本以上のサイピングを設けることもできる。
【0024】
図4には、さらに本発明の他の実施形態を示し、図5(A)にはそのA−A線断面図、同(B)にはそのB−B線断面図をそれぞれ示す。本実施形態では、サイピング7が、前記鈍角側のコーナ領域SAをのびる第1の部分7aと、鈍角側のコーナ領域SA以外の領域をのびる第2の部分7bとからなり、タイヤ軸方向に直線状でのびるものを例示している。また前記第1の部分の深さD1は、第2の部分7bの深さD2よりも大としており、鈍角側のコーナ領域SAの剛性を効果的に低下させる。なお前記深さD1とD2との間を滑らかに変化させるのが望ましい。
【0025】
またこの例では、前記鈍角側のコーナ領域SAのサイピング密度d1が、それ以外の領域のサイピング密度d2よりも大に設定されており、好ましくはその比(d2/d1)を0〜0.3、より好ましくは0〜0.1に設定するのが望ましい。「鈍角側のコーナ領域SAのサイピング密度d1」は、鈍角側のコーナ領域SAに含まれるサイピング7の面積の総和(各サイピングの面積は、サイピングの深さ×長さとし、以下同じとする。)を、鈍角側のコーナ領域SAの表面積で除して得るものとする。また「鈍角側のコーナ領域SA以外の領域のサイピング密度d2」は、鈍角側のコーナ領域SA以外の領域に含まれるサイピング7の面積を、鈍角側のコーナ領域SA以外の表面積で除して得るものとする。前記比(d2/d1)が0.3を超えるとき、鈍角側のコーナ領域SAの剛性を相対的に低下させることが困難となるため好ましくない。
【0026】
図6には、さらに本発明の他の実施形態を示し、図7にはそのA−A線断面図を示している。本実施形態では、1本のサイピング7が、向き合う前記鈍角側のコーナ領域SA、SAを継いでのびるものを示す。またサイピング7は、鈍角側のコーナ領域SAに含まれる第1の部分7a、7aと、鈍角側のコーナ領域SA以外の領域をのびる第2の部分7bとからなり、タイヤ軸方向に対して傾いてのびるものを例示している。また前記第1の部分の深さD1は、第2の部分7bの深さD2よりも大としており、この例においても、鈍角側のコーナ領域SAの剛性を効果的に低下させる。
【0027】
図8には、さらに本発明の他の実施形態として、図1のC−C線断面図を示している。この実施形態では、前記菱形ブロック5に面する横溝4は、溝深さが大の深溝部4Aと、この深溝部4Aよりも溝深さが小の浅溝部4Bとを含む。そして深溝部4Aを菱形ブロック5の横縁5bにおける鈍角側のコーナ領域SAに面して配するとともに、浅溝部4Bを、菱形ブロック5の横縁5bにおける鈍角側のコーナ領域SA以外の領域に面して配している。このように、剛性の大きい鈍角側のコーナ領域SAに面する横溝の深さを大とし、かつそれ以外の横溝の深さを小とすることによって、前記サイピング7の構成との相乗作用により、さらに効果的にブロック剛性を均一化するのに役立ち、PRCFパターン成分を大としつつ偏摩耗の発生を抑制できる。
【0028】
なおこの例では、横溝の溝深さを変化させているが、例えば図1のD−D線断面図である図9に示すように、縦溝3についても同様に行うことができる。即ち、前記菱形ブロック5に面する縦溝3は、溝深さが大の深溝部3Aと、この深溝部3Aよりも溝深さが小の浅溝部3Bとを含み、深溝部3Aを菱形ブロック5の縦縁5aにおける鈍角側のコーナ領域SAに面して配するとともに、浅溝部3Bを、菱形ブロック5の縦縁5aにおける鈍角側のコーナ領域SA以外の領域に面して配することもできる。
【0029】
【実施例】
タイヤサイズが、195/65R15である乗用車用空気入りラジアルタイヤを表1の仕様に基づいて複数種試作し、PRCFパターン効果と、耐偏摩耗性能とを評価した(内部構造はいずれも同一とした。)。PRCFパターン効果は、プレーンタイヤのPRCFを予め測定しておき、各供試タイヤのPRCFをこの値から差し引くことにより求めた。測定条件は、リムサイズ15×6JJ、内圧200kPaとし、テスト車両の全輪に装着して速度10km/Hの走行時とした。また耐偏摩耗性能は、鈍角側のコーナ領域の摩耗エネルギと、鋭角側のコーナ領域の摩耗エネルギとの比を求め、従来例を100とする指数で表示した。数値が小さいものほど偏摩耗が発生しやすいことを示す。また実施例1、2のサイピングは、長さ10mm、深さ8mm(均一)とした。
テストの結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
テストの結果、実施例のものは、従来例、比較例と比べてPRCFパターン効果が大きく、かつ偏摩耗性能の悪化が抑制されていることが確認できる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の空気入りタイヤは、菱形ブロックの鈍角側のコーナ領域にサイピングを設けることを基本として、ブロックの剛性の均一化を図り、残留コーナリングフォースを大きく確保しつつ偏摩耗の発生を防止しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すトレッドパターンの展開図である。
【図2】その菱形ブロックを拡大して示す拡大図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】他の菱形ブロックの形態を示す拡大図である。
【図5】(A)は図4のA−A断面図、(B)は同B−B断面図である。
【図6】他の菱形ブロックの形態を示す拡大図である。
【図7】図6のA−A断面図である。
【図8】他の実施形態を示す図1のC−C線断面図である。
【図9】他の実施形態を示す図1のD−D線断面図である。
【図10】横溝の角度θを説明する線図である。
【図11】従来のトレッドパターンの展開図である。
【符号の説明】
2 トレッド面
3 縦溝
3a 中央の縦溝
3b 側の縦溝
4 横溝
4a 中央の横溝
4b 側の横溝
5 菱形ブロック
6 鈍角側交差部
7 サイピング
Claims (5)
- トレッド面に、タイヤ周方向に連続してのびる縦溝と、タイヤ軸方向に対して0゜よりも大かつ60゜以下の角度θをなしかつ前記縦溝と交わってのびる横溝とを設けることにより平面視が略菱形状をなす菱形ブロックが形成されるとともに、
前記菱形ブロックの、前記縦溝と横溝、又は横溝とトレッド接地端とが鈍角で交わる鈍角交差部に面する鈍角側のコーナ領域にサイピングを形成したことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記鈍角側のコーナー領域は、前記菱形ブロックの縦溝に面する縦縁から該菱形ブロックのタイヤ軸方向幅の0.3〜0.5倍の距離SW以内の領域かつ菱形ブロックの横溝に面する横縁から該菱形ブロックのタイヤ周方向長さの0.1〜0.3倍の距離SL以内の領域である請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記鈍角側のコーナ領域のサイピング密度d1と、それ以外の領域のサイピング密度d2との比(d2/d1)が0〜0.3であることを特徴とする請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
- トレッド面を、トレッド接地端からトレッド接地幅の25%の領域をなすショルダ領域と、このショルダ領域に挟まれるクラウン領域とに仮想区分した場合において、
前記ショルダ領域、クラウン領域それぞれに、前記菱形ブロックがタイヤ周方向に並ぶブロック列を少なくとも1列を設けるとともに、
ショルダ領域のブロック列の横溝と、クラウン領域のブロック列の横溝とを逆向きに傾けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。 - 前記サイピングは、タイヤ軸方向にのびるとともに、一端が前記縦溝又は前記横溝に開口しかつ他端が前記鈍角側のコーナ領域で終端するセミオープンタイプであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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2002
- 2002-09-06 JP JP2002261847A patent/JP2004098791A/ja active Pending
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