JP2004098467A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】基板に搭載された吐出エネルギー発生素子からの熱による印字信頼性の低下を防ぎ、印字信頼性の向上させる。
【解決手段】インク液室の後壁面の基板側下端部において奥行き方向に延在する溝部を形成し、この溝部の内壁面と前記基板によって囲繞された凹部によってインク液室を拡大する。
【選択図】    図12

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録用のインクをインク吐出口から吐出して記録媒体に付着させることにより記録を行うインクジェット記録装置に関し、さらに詳しくは複数のエネルギー発生素子を有する基板と、インク吐出口、インクノズル、インク液室およびインク流路部を有する樹脂成形部材とを接合することにより構成されるインクジェット記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、記録ヘッドに設けられた微細な吐出口よりインク滴を飛翔させ、そのインク滴を記録紙面上に着弾させることで所望の記録を行うものである。
【0003】
図16は、このようなインクジェット記録方式に用いられる従来のインクジェット記録ヘッドの一部を概略的に示す断面図である。
【0004】
図16において、101は電気熱変換素子などの吐出エネルギー発生素子が配設される基板である。樹脂成形部102は、複数のインク吐出口103と、インク吐出口103に連通したインク流路となるインクノズル部104と、インクノズル部104ヘインクを供給するインク液室105と、インク液室105と図示しないインクタンクユニットとを連通させるインク流路部107等を有し、これらが一体成形若しくはレーザー加工成形されている。108は基板1及び樹脂成形部102を支持するためのAl部材である。109は基板101と樹脂成形部102を機械的荷重により密着接合させるためのばね部材である。
【0005】
このようなばね部材109などによる機械的荷重によって基板101と樹脂成形部102とが密着接合されているインクジェットヘッドに関しては、特許文献1、特許文献2等で提案されている。
【0006】
図16を用いて、上記公報に提案されたインクジェットヘッドについてさらに説明する。通常、インクジェット記録ヘッドにおいては、吐出口103より安定したインク吐出を行い、良好な印字状態を維持するために、定期的に若しくは必要に応じて、プリンタ本体に備えられた、吸引回復装置を用いて、図16に示したインク吐出口103、インクノズル部104、インク液室105、インク流路部107などの気泡除去、インク充填を行っている。吸引回復装置は、全ての吐出口103をカバーする吸引回復キャップ、この吸引回復キャップを介してインクを吸引するためのポンプなどを有している。
【0007】
次に、図16に基づき従来のインクジェット記録ヘッドのインクの流れに関して説明する。インク流通路でのインク流れは二種類に分類できる。
【0008】
まず、インク吐出時の第1のインク流れについて説明する。初期状態では、吐出口103の表面ではインク表面張力によってインクメニスカスが保持され、吐出口表面からインクタンクユニットまでインクが満たされている。エネルギー発生素子による熱によってインクノズル104内に気泡が発生すると、その圧力により吐出口103からインクが飛翔する。
【0009】
次の状態では、飛翔したインクの体積分インクメニスカス面がインクノズル104内で後退し、その後インクメニスカス面は毛管力によって吐出口103の表面まで復帰し、初期状態に復元する。このような一連のインク吐出動作により、インクの体積補完が必要となり、インクタンクユニットからインク吐出口103に向かう緩やかなインク流が発生する。
【0010】
次に、吸引回復動作を行った際の第2のインク流れに関して説明する。
【0011】
ポンプによる吸引回復は、全インク流路中にインクがほとんどなくインク充填の必要がある場合、またはインク流路中の残留気泡及び長期の未使用状態によって成長した気泡を除去するために行われる。この吸引回復によって発生するインク流路中のインク流は、非常に高い圧力差によって発生するために、非常に速い。この速いインク流によって残留気泡のないインク充填とインク流路中の気泡除去が可能になる。
【0012】
このようなインク流路中の気泡除去処理は、良好な印字、高い印字信頼性を維持するためには必要不可欠である。こうしたインク液室内及びインク流路中の残留気泡の低減と、放置による気泡の成長を抑制するための従来技術としては、特許文献3などがある。
【0013】
【特許文献1】
特開平3−101955号公報
【0014】
【特許文献2】
特開平8−142329号公報
【0015】
【特許文献3】
特開平8−267751号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近のインクジェット記録装置では、より高解像度且つ高精細な記録が求められており、インクドットの高密度化が必要となっている。この紙面上でのインクドットの高密度化を実現するにあたって必要となるのが、飛翔させるインク滴の小液滴化である。
【0017】
小インク滴化は、前記インク吐出口103を小面積とすることにより実現可能である。しかしながら、前記インク吐出口103の小面積化を行うと、上記従来技術の場合、インクジェット記録ヘッドの吸引回復時、即ちインクタンクユニットからインクノズル104、インク液室105、インク流路部107へインクを充填する時、若しくはインクノズル104、インク液室105、インク流路部107中の泡を除去する時に、小面積化されたインク吐出口103による高い流抵抗によるインク流速の低下によって、インク充填、泡溜りの除去が不十分となる場合が発生する。
【0018】
インク充填、泡溜り除去が十分に行えない場合、印字途中のインク不吐出や、インクジェットヘッドの放置後の再使用時に、インク切れを発生する等の不具合が発生する。
【0019】
これは、主に上記従来技術のインク液室105の形状に問題があると考えられる。
【0020】
すなわち、記録紙面上にて形成される画像の解像度を、1インチ四方当たり360インクドット(すなわち360dpi)とすると、この解像度に最適なインク滴の量は40〜90pl(ピコリットル:1×10−9リットル)であり、このインク量を吐出するために最適なインク吐出口面積は360〜900μmである。
【0021】
この吐出口面積の場合は、従来の吸引回復ポンプが発生する−0.3〜0.6kgf/cmの程度の吸引圧力によって、インクジェットヘッド内の充分な気泡除去及びインク充填が可能であった。
【0022】
しかしながら、記録解像度を600dpiに上げると、最適なインク滴量は15〜20plまで下げられ、これに対応するインク吐出口面積は230μm前後となり、したがってインク吐出口での流抵抗は著しく高くなる。
【0023】
この結果、従来の液室形状では、同じ吸引回復ポンプによって回復動作を行った際、インク液室内に充分なインク流速を得る事ができず、泡残りが発生した。特に、図16において、インク流路部107からインク液室105へその幅が急拡大する部分、すなわちA,B領域等では、渦流が発生し、主にこの領域に泡残りが発生した。
【0024】
また、従来のインク液室105は、図16に示すように、基板101とインクノズル104の直後のインク液室上面壁とのなす角度を45度前後として、インクノズル104の近傍の気泡除去を主目的とする液室形状を呈していた。
【0025】
ところで、通常のインクジェット記録ヘッドのインク吐出口の数は64〜128ノズルで、吐出周波数は6.25khz程度であるが(吐出周波数:1ノズル当たりの1秒間の吐出回数)、最近は、インクジェットプリンタの印字速度向上も求められており、このためには、1回の印字スキャンでの印字領域の拡大のためのインクノズル数の増加と、印字スキャン速度の向上のための吐出周波数の上昇が必要となる。
【0026】
ところが、インクノズル数が増加し吐出周波数が上昇すると、基板101に搭載されたエネルギー発生素子が発生する熱量も増加し、インクジェットヘッド内の残留気泡が熱によって体積膨張し印字信頼性の悪化を招く、インクジェットヘッドの昇温によりインク吐出量が増加し画像品位の劣化を引き起こす等の問題点が発生した。
【0027】
このように、従来技術においては、高精細な画像を得るための高密度化されたインクジェットヘッドの残留気泡の除去性の悪化と、印字速度向上のための多インクノズルおよび高吐出周波数のインクジェットヘッドの熱による印字信頼性の悪化が問題であった。
【0028】
本発明は上記のような問題点を考慮してなされたもので、基板に搭載された吐出エネルギー発生素子からの熱による印字信頼性の低下を防ぎ、印字信頼性の高いインクジェット記録ヘッドを提供する事を解決課題としている。
【0029】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明では、インクを吐出する複数のインク吐出口と、該複数のインク吐出口にそれぞれ連通する複数のインクノズル部と、これら複数のインクノズル部とつながるインク液室と、このインク液室とインクタンクユニットとをつなぐインク流路部とを有する成形部材と、前記インクを吐出するための複数の吐出エネルギー発生素子が配列され、前記成形部材に固定される基板とを備えたインクジェット記録ヘッドにおいて、前記インク液室の後壁面の基板側下端部において奥行き方向に延在する溝部を形成し、この溝部の内壁面と前記基板によって囲繞された凹部によってインク液室を拡大するようにしている。
【0030】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記基板との接合面におけるインク液室の面積から前記基板との接合面における前記凹部の面積を差し引いた面積に対する前記基板との接合面におけるインク液室の面積の比を2.1以下とするようにしている。
【0031】
請求項3の発明では、請求項1の発明において、前記凹部の間隙幅を0.17mm〜0.2mmとすることを特徴としている。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照してこの発明の実施形態を説明する。
【0033】
図1は本発明にかかるインクジェット記録ヘッドが搭載されるインクジェットプリンタのキャリッジ移動機構の一実施形態を示すものである。
【0034】
図1に示すインクジェットプリンタにおいては、キャリッジ30上に2つのインクタンクユニット40が搭載されている。2つのインクタンクユニット40としては、黒インク用、カラーインク用、定着用処理液用、淡色インク用などのものから1つあるいは2つを適宜選択して搭載することができる。
【0035】
キャリッジ30は図示しないガイドシャフトに支持されるとともに一対のプーリ31間に掛け渡された無端ベルト32に固定されており、無端ベルト32の移動によって往復移動可能となっている。一方のプーリ31の回転軸はキャリッジ駆動モータに連結されている。60はインクジェットヘッド内のインク充填及び気泡除去を行う吸引回復装置である。
【0036】
図2はインクジェットカートリッジ50の概観構成を示すものである。
【0037】
インクジェットカートリッジ50は、ホルダユニット41と、このホルダユニット41に上方から着脱可能に装填される1つ又は2つのインクタンクユニット40と、ホルダユニット41の下面側に固定的に設けられているインクジェット記録ヘッド10とで構成されている。
【0038】
まず、図3〜図11を用いてインク液室の泡抜け性に関する改良に関して説明する。
図3は本発明にかかるインクジェット記録ヘッド10の一実施形態の概観構成を示す斜視図であり、図4はインクジェット記録ヘッド10の分解状態を示す組み立て図である。
【0039】
これら図3および図4に示すように、インクジェット記録ヘッド10は、後述する形態でインク流路、インク液室、インクノズル、インク吐出口が形成されている樹脂成形部材2と、インク吐出用エネルギー発生素子を具備している基板3と、基板3を支持するアルミニウムなどで構成される支持プレート4と、弾性を有するバネ体で構成され基板3を樹脂成形部材2に押圧しこれらを密着固定する押圧部材5と、基板3とプリンタ本体とを電気的に接合する配線基板6と、樹脂成形部材2に形成された複数のインク吐出口7と、樹脂成形部材のインク流路を上記ホルダーユニット41を介して上記インクタンクユニットに連結するためのゴムなどで構成されたシール部材8とを有している。
【0040】
樹脂成形部材2は、インク流路、インク液室、インクノズル、インク吐出口などが一体成形されるかあるいはレーザー加工によって一体形成される。これらの樹脂成形部材2は、インクに侵されにくい材料がで構成されており、具体的な材料としてはポリサルフォンが望ましい。
【0041】
インク吐出用エネルギー発生素子を具備する基板3は、熱エネルギーをインクに加えることによりインクに膜沸騰を発生させて記録を行うもので、基板3には、Si基板上に列状に配設された複数のエネルギー発生素子と、これに電力を供給する成膜技術によって形成されるAl等の電気配線と、シフトレジスタと、駆動用トランジスタなどが内蔵されている。この基板3と樹脂成形部材2は、高精度で組み立てられている。
【0042】
基板3とプリンタ本体とを電気的に接続するのが配線基板6であり、片側に基板3とTABでつながっており、もう一方はプリンタ本体から電気信号を受けるためのコネクションパットを有している。コネクションパッドは、精度良く樹脂成形部材2に接着固定されている。
【0043】
また、基板3は、支持プレート4を介して押圧部材5によって樹脂成形部材2に押圧固定されている。なお、基板3を支持プレート4に接着固定し、樹脂成形部材2を基板3を介してバネ部材5で押圧することで、樹脂成形部材2と基板3とを接合してもよい。
【0044】
このような構成のインクジェット記録ヘッド10は、シール部材8、封止剤等の連結材によってホルダーユニット41と気密接合され、ネジ、かしめ等によってホルダユニット41に固定される。
【0045】
つぎに、本発明の要部であるインク液室形状に関して説明する。
【0046】
図5は本発明の一実施形態のインク液室などを示すものであり、図6は図5の中心線O−O´に沿って紙面に垂直な方向にインク液室を切断した状態を示すものである。すなわち、図6はインク液室を図5の矢印Cの正面方向から見た断面図である。
【0047】
これら図5および図6は、600dpiの高精細ヘッドに適したインク液室の形状を示すものである。
【0048】
図5および図6において、12はインク液室13と前記インクタンクユニット40とを連通するインク流路である。13はインク流路12から供給されたインクを複数のインクノズル14に供給するインク液室である。14は樹脂成形部材2に予め形成されている若しくはレーザー加工によって形成されるインクノズル部である。15は樹脂成形部材2にレーザー加工等によって形成されるインク吐出口である。また、16はエネルギー発生素子を具備する基板であり、樹脂成形部材2に密着接合される。
【0049】
このインクジェット記録ヘッドがプリンタ本体に搭載された状態において、プリンタ本体に具備されている吸引回復装置60の吸引回復キャップは、図5のC方向からインクジェット記録ヘッドのインク吐出口を有するフェース面に当接密着し、吸引回復ポンプによって発生される負圧によりインクジェット記録ヘッド内のインクを吸引する。すなわち、吸引回復キャップがインクジェットヘッドのフェース面に当接密着された後、吸引回復動作が実行され、前述したインクジェット記録ヘッド内でのインク流が発生する。
【0050】
ここで、本インク液室13においては、まず、図5に示すように、インク流路12の最下部におけるインクノズル14の長手方向に沿った長さすなわち奥行き方向の幅d1と、インク液室13の最上部(インク流路12との接合面)における同奥行き方向の幅d2との比d2/d1を1.7/1以下とするようにしている。すなわち、比d2/d1を1.7/1以下とすることにより、先の図16に示したような、インクノズルの長手方向に延びる大きな泡溜まり部A,Bを形成しないようにしており、これにより、インク流路12からインク液室13に流れるインク流による渦流の発生が抑制され、速度の遅いインク流であってもインク液室13に泡溜りを残すこと無く、回復動作を行う事が可能となる。なお、上記比d2/d1は、1.1/1〜1.7/1の範囲で残泡性に関して所定の効果が得られることが確認されている。
【0051】
次に、本インク液室13においては、インクノズル部14の直後に位置するインク液室13の前面壁17の基板3に対する角度θFをθF>60°としている。
【0052】
これにより、インク液室13中のインク流路12の直後で幅が広くなるA,B部分が、インク流線がカーブする領域とはならず、インク流線が図5の矢印で示すように直線状となるので、吸引回復時に、A,B部分において従来のような流速低下が発生しない。
【0053】
また、このインク液室13においては、インク液室13を形成する側面壁18の基板3に対する角度θR,θL(図6参照)と、インク液室13の後面壁19の基板3に対する角度θBを60°〜110°の角度としている。
【0054】
この場合、図6に示すように、インク液室13とインク流路12のインク吐出口の並設方向の幅W2,W1に関する比W2/W1は2/1程度となっているが、こちらの方向に関してはインクノズル14が並設されているため、インクはインク液室13の幅方向全域にわたって流れ、図4中に矢印で示すようなインク流線が発生し、泡溜りは発生しにくい。
【0055】
さらに、本インク室13においては、図5に示すように、インク液室の奥行き方向の平均幅daに対するインク液室13のインク流路部との接合面までの高さhの比h/daを1.5/1としている。すなわち、従来に比べ、インク室を縦長とし、これによりインク液室13にインク流速の変化によるヘッド内の圧力変化を吸収するだけの緩衝体積を得る事が可能となり、インク吐出量、インク吐出速度等を安定することができる。
【0056】
また、本インク室13によれば、θFを急角度にし、かつインク液室を縦長にしているので、万が一、残留気泡が発生した場合においても、残留気泡はインク液室13の高所側に移動し、印字に対して悪影響を及ぼしにくい効果も併せ持っている。なお、上記比h/daは、1.1/1〜1.5/1の範囲で所定の効果が得られることが確認されている。
【0057】
つぎに、図8〜図11に示す4つのタイプ(タイプ1〜タイプ4)によるインク液室を用いて泡抜け性(液室内へのインク充填性、気泡除去性)、印字持続性、放置後印字持続性などの性能評価を行った実験結果を図7に示す。
【0058】
図8に示すタイプ1のインク液室では、θF=80°とし、比h/da=1.12とし、比d2/d1=1.7としている。
【0059】
図9に示すタイプ2のインク液室では、θF=60°とし、比h/da=1.5とし、比d2/d1=1.35としている。
【0060】
図10に示すタイプ3のインク液室では、θF=45°とし、比h/da=0.84とし、比d2/d1=1.44としている。
【0061】
図11に示すタイプ4のインク液室では、θF=30°とし、比h/da=0.71とし、比d2/d1=1.5としている。
【0062】
この場合は、図7の実験結果からも判るように、タイプ1およびタイプ2のインク液室において、泡抜け性、印字持続性、放置後印字持続性の面で優れた結果が得られているが、θFおよび比h/daの条件を満足していないタイプ3,4のインク液室ではこれらの性能に関して満足すべき結果は得られなかった。
【0063】
以上が高精細インクジェットヘッドの泡抜け性に関する説明である。
【0064】
つぎに、図12〜図15を用いてインク液室の放熱性能に関する改良について説明する。
【0065】
図12は、前述した泡抜け性に加えて、高印字周波数及び多ノズル数の際の放熱特性も改良したインク液室13の側断面形状を示すものである。また、図13は図12のD−D断面図である。なお、図12は図13のE−E断面図である。
【0066】
これら図12および図13に示すインク室においては、インク液室13の後壁面19の基板3側の下端部に奥行き方向に延在する溝部70を形成し、この溝部70の内壁面71と前記基板3の表面によって囲繞された凹部70によってインク液室13自体およびインク液室13の基板3との接合面を拡大するようにしている。
【0067】
凹部70は、図13に示すように,面積S2の略ブーメラン状の平面形状を呈している。凹部70以外のインク液室13の基板3との接合面72の面積はS1である。
【0068】
インク液室13の基板3との接合面において、基板3との接合面におけるインク液室13の面積(S1+S2)から前記基板3との接合面における前記凹部70の面積S2を差し引いた面積S1に対する前記基板との接合面におけるインク液室の面積(S1+S2)の比、すなわち(S1+S2)/S1は2.1以下とすると、放熱性能の面で所定の効果を得ることができる。
【0069】
すなわち,このインク液室13においては、基板3と接合する面において、それ以外の上方部分の面積に対し,その面積が最大となっている。
【0070】
また、上記凹部70の隙間幅q1は、0.17mm〜0.2mmが、最も泡抜け性の面で適当である。
【0071】
このように、このインク液室13においては、液室拡大部(凹部)70を設けることによってインク液室13内のインクと基板3の接触面積を増大させるようにしているので、インク吐出時に基板3より発生する熱がインク液室13内のインクに積極的に伝導され、これにより放熱効果を高めることが可能となる。
【0072】
図14にインク液室に液室拡大部70を具備していないインクジェット記録ヘッドの温度上昇の経時特性を示し、図15にインク液室に液室拡大部70を具備しているインクジェット記録ヘッドの温度上昇の経時特性を示す。
【0073】
これらの実験では、インク吐出量を20pl、吐出周波数を9.6khz、ノズル数を120とし、A4用紙相当分インク吐出させた場合のインクの温度上昇を測定している。
【0074】
図14の場合は、インクは56℃まで上昇しているのに対し、図15の場合はインクは51℃までしか上昇しておらず、両者には約5℃の差がある。
【0075】
この測定条件は、A4用紙1枚のみの場合であり、連続して印字が行われた場合には、更に温度差は拡大していく。また、この測定は120ノズル使用時であり、ノズル数が更に増加した場合においても昇温差は拡大する。
【0076】
このようにこの図12および図13に示す実施形態においては、インク液室13の基板接合面に液室拡大部70を具備するようにしたので、インクジェットヘッドのインク吐出によって発生する温度上昇を抑制する事が可能となり、残留気泡の成長による印字不良の発生、インクジェットヘッドの昇温によるインク吐出量の変化等を防止、抑制する事ができ、印字信頼性の高い高精細のインクジェットヘッドを提供する事が可能となる。
【0077】
なお、上記実施形態では、インクジェット記録ヘッドとインクタンクユニットと分離可能としているが、インクジェット記録ヘッドとインクタンクユニットとが一体的に構成されたタイプのインクジェットカートリッジに本発明を適用するようにしてもよい。
【0078】
(その他)
なお、本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすものである。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が達成できるからである。
【0079】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書,同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書,同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0080】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書,米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基いた構成としても本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録を確実に効率よく行うことができるようになるからである。
【0081】
さらに、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのような記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0082】
加えて、上例のようなシリアルタイプのものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0083】
また、本発明の記録装置の構成として、記録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げることができる。
【0084】
また、搭載される記録ヘッドの種類ないし個数についても、例えば単色のインクに対応して1個のみが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数のインクに対応して複数個数設けられるものであってもよい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるかいずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0085】
さらに加えて、以上説明した本発明実施例においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もしくは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよい。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。このような場合のインクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0086】
さらに加えて、本発明インクジェット記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、前記インク液室の後壁面の基板側下端部において奥行き方向に延在する溝部を形成し、この溝部の内壁面と前記基板によって囲繞された凹部によってインク液室を拡大するようにしたので、インク吐出によって発生するインクの温度上昇を抑制する事が可能となり、残留気泡の成長による印字不良の発生、インクジェットヘッドの昇温によるインク吐出量の変化等を防止、抑制する事ができ、印字信頼性の高い高精細のインクジェットヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明にかかるインクジェット記録ヘッドの一実施形態の概観構成を示す斜視
図である。
【図2】
インクジェット記録ヘッドの分解状態を示す組み立て図である。
【図3】
本発明に関わるインクジェット記録ヘッドの一実施形態の概観を示す斜視図で
ある。
【図4】
本発明に関わるインクジェット記録ヘッドの一実施形態の詳細構成を示す分解
斜視図である。
【図5】
本発明に関わるインクジェット記録ヘッドの一実施形態のインク液室の側断面
図である。
【図6】
本発明に関わるインクジェット記録ヘッドの一実施形態のインク液室の横断面
図である。
【図7】
各種タイプのインク液室を用いた場合の性能評価を示す表図である。
【図8】
タイプ1のインク液室を示す側断面図である。
【図9】
タイプ2のインク液室を示す側断面図である。
【図10】
タイプ3のインク液室を示す側断面図である。
【図11】
タイプ4のインク液室を示す側断面図である。
【図12】
本発明に関わるインクジェット記録ヘッドの他の実施形態のインク液室の側断面図である。
【図13】図12に示すインクジェット記録ヘッドのインク液室の横断面図である。
【図14】インク液室拡大部を具備しないインクジェット記録ヘッドの昇温経時特性を示す図である。
【図15】インク液室拡大部を具備するインクジェット記録ヘッドの昇温経時特性を示す図である。
【図16】従来のインクジェット記録ヘッドのインク液室を概略的に示す側断面図である。
【符号の説明】
2 樹脂成形部材
3 基板
4 支持プレート
5 ばね部材
6 配線基板
7 インク吐出口
8 ゴム部材
10 インクジェット記録ヘッド
12 インク流路
13 インク液室
14 インクノズル
15 インク吐出口
30 キャリッジ
31 プーリ
32 無端ベルト
40 インクタンクユニット
41 ホルダユニット
50 インクジェットカートリッジ
60 吸引回復装置
70 溝部(凹部、液室拡大部)
101 基板
102 樹脂成形部
103 インク吐出口
104 インクノズル部
105 インク液室
107 インク流路部
108 Al部材
109 ばね部材

Claims (3)

  1. インクを吐出する複数のインク吐出口と、該複数のインク吐出口にそれぞれ連通する複数のインクノズル部と、これら複数のインクノズル部とつながるインク液室と、このインク液室とインクタンクユニットとをつなぐインク流路部とを有する成形部材と、
    前記インクを吐出するための複数の吐出エネルギー発生素子が配列され、前記成形部材に固定される基板と、
    を備えたインクジェット記録ヘッドにおいて、
    前記インク液室の後壁面の基板側下端部において奥行き方向に延在する溝部を形成し、この溝部の内壁面と前記基板によって囲繞された凹部によってインク液室を拡大するようにしたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記基板との接合面におけるインク液室の面積から前記基板との接合面における前記凹部の面積を差し引いた面積に対する前記基板との接合面におけるインク液室の面積の比を2.1以下とすることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 前記凹部の間隙幅を0.17mm〜0.2mmとすることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008049563A (ja) * 2006-08-23 2008-03-06 Canon Inc 画像処理装置、画像記録装置および記録データ生成方法
JP2011207230A (ja) * 2011-06-13 2011-10-20 Canon Inc 画像処理装置および記録データ生成方法

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