JP2004098332A - 平版印刷版原版 - Google Patents

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Abstract

【課題】デジタル信号に基づいた走査露光による製版が可能であり、印刷汚れ性が改善され、耐刷性に優れ、且つ、画像形成後にそのまま印刷機に装着し印刷することが可能な平版印刷版原版を提供する。
【解決手段】支持体上に、親水性グラフト鎖を有し、且つ、Si、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシドの加水分解、縮重合により形成された架橋構造を有する親水性層を備え、該親水性層中に(A)光熱変換剤、及び、(B)加熱又は輻射線の照射により表面疎水化領域を形成し得る化合物を含有し、該(A)光熱変換剤が(B)加熱又は輻射線の照射により表面疎水化領域を形成する化合物に内包されていないことを特徴とする。
【選択図】     なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な平版印刷版原版に関するものであり、詳細には、デジタル信号に基づいてレーザ光による画像の走査露光が可能であり、感度及び汚れ性に優れた平版印刷版原版に関する。
【0002】
【従来の技術】
平版印刷は、インキを受容する親油性領域と、インキを受容せず湿し水を受容する撥インク領域(親水性領域)を有する版材を利用する印刷方法であり、現在では広く感光性の平版印刷版原版(PS版)が用いられている。
PS版は、アルミニウム板などの支持体の上に、感光層を設けたものが実用化され広く用いられている。このようなPS版は、画像露光および現像により非画像部の感光層を除去し、基板表面の親水性と画像部の感光層の親油性を利用して印刷が行われている。このような版材では、非画像部の汚れ防止のため、基板表面には高い親水性が要求される。
【0003】
従来、平版印刷版に用いる親水性基板又は親水性層としては、陽極酸化されたアルミニウム基板、若しくはさらに親水性を向上させるためにこの陽極酸化されたアルミニウム基板をシリケート処理したものが一般的に用いられている。さらに、これらアルミニウム支持体を用いた親水化基板若しくは親水性層に関する研究が盛んに行われており、ポリビニルホスホン酸で下塗り剤で処理された基板や、感光層の下塗り層としてスルホン酸基を有するポリマーを使用する技術が知られており、その他にも、ポリビニル安息香酸などを下塗り剤として用いる技術も提案されている。
【0004】
一方、アルミニウムの様な金属支持体を用いずPET(ポリエチレンフタレート)、セルロースアセテートなどのフレキシブルな支持体を用いたときの親水性層に関しては、PET支持体上に、親水性ポリマーを含有し、加水分解されたテトラアルキルオルソシリケートで硬化された親水性層を設ける技術(例えば、特許文献1参照。)や、親水性ポリマーを主成分とする相と疎水性ポリマーを主成分とする相の2相からなる相分離構造を有する親水層を設ける技術(例えば、特許文献2参照。)などが知られている。
【0005】
これらの親水性層は、従来のものより親水性が向上し、印刷開始時には汚れの生じない印刷物が得られる平版印刷版を与えたが、印刷を繰り返すうちに剥離したり、親水性が経時的に低下したりする問題があり、より厳しい印刷条件においても、親水性層が支持体から剥離したり、表面の親水性が低下することなく、多数枚の汚れの生じない印刷物が得られる平版印刷版原版が望まれていた。また、実用的な観点から、さらなる親水性の向上も要求されるのが現状である。
【0006】
一方、近年進展が目覚ましいコンピュータ・トゥ・プレートシステム用刷版については、多数の研究がなされている。その中で、一層の工程合理化と廃液処理問題の解決を目指すものとして、露光後、現像処理することなしに、印刷機に装着して印刷できる現像不要の平版印刷版原版が研究され、種々の方法が提案されている。
処理工程をなくす方法の一つに、露光済みの印刷用原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、印刷用原版の非画像部を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。すなわち、印刷用原版を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で現像処理が完了する方式である。
【0007】
このような機上現像に適した平版印刷版原版は、湿し水やインキ溶剤に可溶な感光層を有し、しかも、明室に置かれた印刷機上で現像されるのに適した明室取り扱い性を有することが必要とされる。
現像工程を必要としない刷版としては、基板上に架橋された親水層を設けその中にマイクロカプセル化された熱溶融物質を含有した無処理刷版が知られている(例えば、特許文献3参照。)。この刷版ではレーザーの露光領域に発生した熱の作用によりマイクロカプセルが崩壊し、カプセル中の親油物質が溶け出し、親水層表面が疎水化される。この印刷版原版は現像処理を必要としないが、基板上に設けられた親水層の親水性や耐久性が不充分であり、印刷するにつれて非画像部に徐々に汚れが生じてくる問題点があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−272087号公報
【特許文献2】
特開平8−292558号公報
【特許文献3】
国際公開第94/23954号パンフレット
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の諸問題を解決すべくなされた本発明の目的は、親水性が高く、また、その持続性に優れた親水性層を備えることで、特に印刷汚れ性および耐刷性に優れたネガ型の平版印刷版原版を提供することにある。
本発明の更なる目的は、デジタル信号に基づいた走査露光による製版が可能であり、且つ、画像形成後に簡易な水現像処理操作による製版、あるいは、特別の現像処理を行なうことなく、そのまま印刷機に装着し印刷すること、が可能な平版印刷版原版を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の目的を達成すべく検討した結果、特定の親水性ポリマーを含有する有機無機複合体からなる架橋構造が形成された親水性層中に、光熱変換剤及び表面疎水化領域を形成し得る化合物を、双方をそれぞれ独立して含有させることにより問題が解決することを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、親水性グラフト鎖を有し、且つ、Si、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシドの加水分解、縮重合により形成された架橋構造を有する親水性層を備え、該親水性層中に(A)光熱変換剤、及び、(B)加熱又は輻射線の照射により表面疎水化領域を形成し得る化合物を含有し、該(A)光熱変換剤が(B)加熱又は輻射線の照射により表面疎水化領域を形成する化合物に内包されていないことを特徴とする。
このような親水性グラフト鎖を有し、且つ、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシドの加水分解、縮重合により形成された架橋構造を有する親水性層は、好ましくは下記一般式(1)で表される親水性高分子化合物を含有する。
【0012】
【化1】
Figure 2004098332
【0013】
一般式(1)で表される親水性高分子化合物は、構造単位(i)、(ii)で表されるポリマーユニットの末端に、構造単位(iii)で表されるシランカップリング基を有する高分子化合物であり、式(1)中、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、mは0、1または2を表し、nは1〜8の整数を表し、xおよびyは、x+y=100とした時の組成比を表し、x:yは100:0〜1:99の範囲を表す。L、L、Lはそれぞれ独立に単結合又は有機連結基を表し、Y、Yはそれぞれ独立に−N(R)(R)、−OH、−NHCOR、−COR、−COM又は−SOMを表し、ここで、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表す。
本発明に係る親水性層は、前記一般式(1)で表される親水性高分子化合物、好ましくは、さらに下記一般式(2)で表される架橋成分、を含有する親水性塗布液組成物を調製し、支持体表面に塗布、乾燥することで形成することができる。
【0014】
【化2】
Figure 2004098332
【0015】
式(2)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表し、XはSi、Al、Ti又はZrを表し、mは0〜2の整数を表す。
【0016】
本発明の作用は明確ではないが、以下のように考える。すなわち、支持体上に、親水性グラフト鎖を有し、且つ、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシドの加水分解、縮重合により形成された架橋構造を有する親水性層は、グラフト鎖の状態で導入された親水性の官能基が表面にフリーの状態で偏在するとともに、金属アルコキシドの加水分解、縮重合により、高密度の架橋構造を有する有機無機複合体皮膜が形成されているため、高い親水性を有する高強度の皮膜となる。
具体的には、前記一般式(1)で表される親水性高分子化合物を含有する親水性塗布液組成物を調製し、塗布して親水性層を形成する際に、親水性高分子化合物のシランカップリング基同士の相互作用により、Si(OR)により形成された架橋構造を有するため、強固な架橋構造による高耐刷性が実現でき、且つ、親水性高分子化合物の親水性基を有する部分は、直鎖状の幹部分の他方の末端に位置するため、運動性が高く、印刷時に供給される湿し水の給排水速度が速くなり、高い親水性により非画像部の汚れを効果的に抑制し、高画質の画像形成が可能となるものと推定される。また、親水性塗布液組成物に前記一般式(2)で表される架橋成分を添加することで、シランカップリング基と架橋成分との相互作用により、架橋構造がさらに高密度で形成され、さらなる皮膜強度の向上による高耐刷性が期待される。
【0017】
さらに、本発明では、前記親水性層中に光熱変換剤及び表面疎水化領域を形成し得る化合物を含有させることにより、親水性高分子化合物からなるマトリックス中において、熱溶融性疎水性粒子などの表面疎水化領域を形成し得る化合物が加熱、または輻射線照射領域において互いに融着して疎水性領域を形成し、短時間でのレーザー光等の走査露光による画像形成が可能となり、画像形成層として機能する。
また、このとき、光熱変換剤が表面疎水化領域を形成し得る化合物に内包されず、各々独立に親水性表面中に分散して存在することから、赤外線吸収剤と表面疎水化領域を形成し得る化合物とが過度に近接して存在することはなく、たとえ高露光量のレーザー露光により光熱変換剤近傍で非常に高い熱が発生しても、その熱により表面疎水化領域を形成し得る化合物が分解することなく、疎水性領域が形成される。その結果、形成された疎水化領域中に熱分解に起因する低分子化合物などは混在せず、強固な疎水化領域が形成され、印刷中に疎水化成分が脱離することによる画像部欠陥の発生が抑制され、さらなるに高耐刷性が期待される。
また、非画像部領域は、前記したように高い皮膜強度を有する親水性層により優れた親水性を保持することから、簡易な水現像処理操作による製版、あるいは、現像処理を必要とせず、直接印刷機に装着して製版することが可能となった。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の平版印刷版原版について詳細に説明する。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、特定の親水性ポリマーを含有する有機無機複合体からなる架橋構造を有する親水性層を有し、且つ、該親水性層中には、(A)光熱変換剤、及び、熱溶融性疎水性粒子などの(B)加熱又は輻射線の照射により表面疎水化領域を形成し得る化合物を含有する構成を有し、親水性層自体が画像形成機能を有する。
以下、本発明の平版印刷版原版の各構成について詳細に説明する。
【0019】
〔親水性層〕
本発明における親水性層は、親水性グラフト鎖を有し、且つ、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アルコキシドの加水分解、縮重合により形成された架橋構造を有するものであるが、このような架橋構造を有する親水性層は、先に例示された金属アルコキシド構造と、親水性グラフト鎖を形成しうる親水性の官能基を有する化合物とを用いて、適宜、形成することができる。金属アルコキシドのなかでも、反応性、入手の容易性からSiのアルコキシドが好ましく、具体的には、シランカップリング剤に用いる化合物を好適に使用することができる。
【0020】
前記したような金属アルコキシドの加水分解、縮重合により形成された架橋構造を、本発明では以下、適宜、ゾルゲル架橋構造と称する。
このようなフリーの親水性グラフト鎖とゾルゲル架橋構造とを備える親水性層は、好ましくは、以下に詳述される親水性ポリマーを含有する。
以下、本発明に係る親水性層の好ましい態様における各構成成分及び親水性層の形成方法について詳細に説明する。
【0021】
(1.一般式(1)で表される高分子化合物)
この一般式(1)で表される高分子化合物は、末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマーであり、以下、適宜、特定親水性ポリマーと称する。
上記一般式(1)において、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数8以下の炭化水素基を表し、炭素数8以下の炭化水素基としては、炭素数8以下の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましい。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。これらの炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。
、R、R、R、RおよびRとしては、好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基が挙げられる。
【0022】
、L、Lは単結合又は有機連結基を表す。ここで、有機連結基とは、非金属原子からなる多価の連結基を示し、具体的には、1個から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位またはこれらが組合わさって構成されるものを挙げることができる。
【0023】
【化3】
Figure 2004098332
【0024】
およびYはそれぞれ独立に−N(R)(R)、−OH、−NHCOR、−COR、−COM又は−SOMを表し、ここで、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表す。また、−N(R)(R)においてはR、Rがお互い結合して環を形成していてもよく、また、形成された環は酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。
【0025】
およびRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数8以下の炭化水素基を表す。炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素数8以下の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
【0026】
これらの炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。アルキル基が置換基を有するとき、置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、ここで、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いらる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、Ν−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、
【0027】
N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイト基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−Ν−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、
【0028】
アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基ホスフォノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスフォノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスフォノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、モルホルノ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
【0029】
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル2基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(GCO−)におけるGとしては、水素、ならびに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。
【0030】
これら置換基のうち、より好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
【0031】
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12まての分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチルと、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチルル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキシエチル基、2−オキシプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、
【0032】
クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルアバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノへキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
【0033】
Mとしては、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、又はアンモニウム、ヨードニウム、スルホニウムなどのオニウムが挙げることができる。
【0034】
本発明の親水性ポリマーの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
【化4】
Figure 2004098332
【0036】
【化5】
Figure 2004098332
【0037】
【化6】
Figure 2004098332
【0038】
本発明の親水性ポリマーは、下記一般式(3)、(4)で表される不飽和化合物と、下記一般式(5)で表されるメルカプト基を有するシラン化合物を用いてラジカル重合により合成することができる。メルカプト基を有するシラン化合物(5)が連鎖移動能を有するため、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端にシランカップリング基が導入されたポリマーを合成することができる。
【0039】
【化7】
Figure 2004098332
【0040】
上記式(3)、(4)及び(5)において、R〜R、L、L、L、Y、Y、及びmは、上記式(1)と同義である。また、これらの化合物は市販されており、また、容易に合成することができる。
【0041】
(反応様式)
一般式(5)で表されるメルカプト基を有するシラン化合物と、一般式(3)、(4)で表される不飽和化合物とをラジカル反応させる際の反応様式は特に制限されるものではなく、ラジカル開始剤の存在下、あるいは高圧水銀灯等の照射下、例えば、バルク反応あるいは溶液反応あるいは懸濁反応(乳化反応)等を行うのが好ましい。また、重合方式についても、回分式(分割添加法や逐次添加法を含む)、半連続式または連続式など、目的に応じて適宜選択することができる。特に、不飽和化合物の分割添加法(分割チャージと称する場合もある)や逐次添加法(インクレメント法と称する場合もある)は一般式(3)、(4)で表される不飽和化合物の単独重合を効率的に抑制することができることから好ましい重合方法である。例えば、一般式(5)で表されるメルカプト基を有するシラン化合物と一般式(3)、(4)で表される飽和化合物とをラジカル重合させる場合(モル比1:1)、重合温度条件等にもよるが、1段階でこれらをラジカル重合すると一般式(3)、(4)で表される不飽和化合物の単独重合物が10質量%程度生成する場合があることが知られている。それに対して、分割添加法を採用し、一例として3段階に分けてこれらをラジカル重合すると、同一重合温度条件等において、一般式(3)、(4)で表される不飽和化合物における単独重合物の生成量を10質量%未満に低下させることが容易にできる。
【0042】
(反応比率)
一般式(5)で表されるメルカプト基を有するシラン化合物と、一般式(3)、(4)で表される不飽和化合物との反応比率についても特に制限されるものではないが、例えば、一般式(5)で表されるメルカプト基を有するシラン化合物1モルに対して、一般式(3)、(4)で表される不飽和化合物の反応量をそれぞれ0.5〜50モルの範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、かかる反応比率がこれらの範囲外となると、副反応が生じやすくなり、加水分解性シラン化合物の収率が低下する場合があるためである。したがって、一般式(3)、(4)で表される不飽和化合物の反応量を、一般式(5)で表されるメルカプト基を有するシラン化合物1モルに対して、1〜45モルの範囲内の値とするのがより好ましく、5〜40モルの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
一般式(3)、(4)で表される不飽和化合物の反応比率についても制限されるものではないが、一般式(3)で表される不飽和化合物の反応量を一般式(3)、(4)で表される不飽和化合物合計量100モルに対して100〜1モルの範囲内の値とするのがより好ましく、100〜5モルの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0043】
(ラジカル開始剤)
また、ラジカル開始剤としては、アゾ系のラジカル開始剤または有機過酸化物が好ましく、より好ましくはアゾ系のラジカル開始剤である。具体的に、好ましいアゾ系のラジカル開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチル−バレロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]ジヒドロクロライド等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0044】
なお、ラジカル開始剤の添加量を、一般式(3)、(4)で表される不飽和化合物と、一般式(5)で表されるメルカプト基を有するシラン化合物との合計量100重量部に対し、0.001〜20重量部の範囲内の値とするのが好ましく、0.1〜10重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、0.1〜5重量部の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0045】
(反応温度)
一般式(5)で表されるメルカプト基を有するシラン化合物と、一般式(3)、(4)で表される不飽和化合物とを反応させる際の反応温度は特に制限されるものではないが、例えば、−50〜200℃の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、反応温度が−50℃未満となると、これらの反応性が著しく低下する場合があるためであり、一方、反応温度が200℃を超えると、使用可能な溶媒の種類が過度に制限されたり、あるいは副反応が生じやすくなる場合があるためである。したがって、かかる反応温度を0〜100℃の範囲内の値とするのがより好ましく、30〜100℃の範囲内の値とするのがさらに好ましい。また、単独でのラジカル重合速度が速い不飽和化合物、例えばアクリル酸を本発明における不飽和化合物として用いる場合、反応温度を30〜70℃の範囲内の値とするのが最も好ましい。このような反応温度とすることにより、反応速度を低下させることなく、不飽和化合物の単独重合をより効率的に抑制することができる。
【0046】
(反応時間)
反応時間については、反応温度等に依るが、反応の確実性と、生産性との関係から、通常、0.5〜100時間の範囲内の値とするのが好ましく、1〜24時間の範囲内の値とするのがより好ましい。
【0047】
(溶媒)
また、一般式(5)で表されるメルカプト基を有するシラン化合物と、一般式(3)、(4)で表される不飽和化合物とを反応させる際に、これらを均一に反応させるために、溶媒を使用することが好ましい。このような溶媒としては、乳酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチルジグリコール、メチルプロピレングリコール、ジアセトンアルコール、メトキシプロピルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3,ジメチル−2−イミダゾリジノン、メチル−3−メトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロホルム、ヘキサン、メタノール、エタノール等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。なお、溶媒の使用量を、一般式(5)で表されるメルカプト基を持つシラン化合物と、一般式(3)、(4)で表される不飽和化合物との合計量を100重量部としたときに、1〜10,000重量部の範囲内の値とするのが好ましく、50〜1,000重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、特に好ましくは50〜800重量部の範囲内の値とすることである。
【0048】
(反応雰囲気)
一般式(5)で表されるメルカプト基を有するシラン化合物と、一般式(3)、(4)で表される不飽和化合物とを反応させる際の反応雰囲気は特に制限されるものではないが、例えば、反応系内を窒素バブリングしたり、あるいは超音波により脱酸素処理を行ったのち、これらの化合物のラジカル反応を行うことが好ましい。この理由は、このように窒素中等でラジカル反応を行うと、メルカプト基同士のカップリング反応に起因したジスルフィド化合物の生成を効率的に抑制することができるためである。すなわち、メルカプト基のカップリング反応が生じると着色する場合が多いが、それを有効に防止し、透明性の高い加水分解性シラン化合物を得ることができる。また、反応雰囲気に関して、反応系内に水が存在すると、ラジカル反応の段階でアルコキシ基の加水分解が自発的に進みやすいという問題がある。特に、カルボキシ基を含有する加水分解性シランをラジカル反応する場合、少量の水存在下であってもアルコキシ基の加水分解が容易に進行しやすくなる。このため、使用原料が液体の場合、例えば、モレキュラーシーブ、水素化カルシウム、硫酸マグネシウムなどの脱水剤を用いて脱水処理を施すか、あるいは必要に応じ、これらの乾燥剤の存在下、窒素中で蒸留処理を予め施すことがより好ましい。
【0049】
本発明において親水性層を形成するのに用いる親水性ポリマーの分子量としては、特に限定されないが、重量平均分子量として1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、1,000〜30,000がさらに好ましい。
【0050】
(2.一般式(2)で表される架橋成分)
ここで用いられる前記一般式(2)で表される架橋成分は、その構造中に重合性の官能基を有し、架橋剤としての機能を果たす化合物であり、前記特定親水性ポリマーと縮重合することで、架橋構造を有する強固な皮膜を形成する。
前記一般式(2)中、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Rはアルキル基又はアリール基を表し、XはSi、Al、Ti又はZrを表し、mは0〜2の整数を表す。
及びRがアルキル基を表す場合の炭素数は好ましくは1から4である。アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。
なお、この化合物は低分子化合物であり、分子量1000以下であることが好ましい。
【0051】
以下に、一般式(2)で表される架橋成分の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
XがSiの場合、即ち、加水分解性化合物中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、γ−クロロプリピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
これらのうち特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトルイメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
【0052】
また、XがAlである場合、即ち、加水分解性化合物中にアルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。
XがTiである場合、即ち、チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。
XがZrである場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
【0053】
(3.親水性層の形成)
本発明においては、親水性層は、前記特定親水性ポリマーを含む親水性塗布液組成物を調製し、それを適切な支持体上に、塗布、乾燥することで形成しうる。親水性塗布液組成物を調製するにあたっては、特定親水性ポリマーの含有量は固形分換算で、10質量%以上、50質量%未満とすることが好ましい。含有量が50質量%以上になると膜強度が低下する傾向があり、また、10質量%未満であると、皮膜特性が低下し、膜にクラックが入るなどの可能性が高くなり、いずれも好ましくない。
【0054】
また、好ましい態様である親水性塗布液組成物の調製に架橋成分を添加する場合の添加量としては、特定親水性ポリマー中のシランカップリング基に対して架橋成分が5mol%以上、さらに10mol%以上となる量であることが好ましい。架橋成分添加量の上限は親水性ポリマーと十分架橋できる範囲内であれば特にないが、大過剰に添加した場合、架橋に関与しない架橋成分により、作製した親水性表面がべたつくなどの問題を生じる可能性がある。
【0055】
シランカップリング基を末端に有する特定親水性ポリマー、好ましくは、さらに架橋成分とを溶媒に溶解し、よく攪拌することで、これらの成分が加水分解し、重縮合することにより製造される有機無機複合体ゾル液が本発明に係る親水性塗布液となり、これによって、高い親水性と高い膜強度を有する表面親水性層が形成される。有機無機複合体ゾル液の調製において、加水分解及び重縮合反応を促進するために、酸性触媒または塩基性触媒を併用することが好ましく、実用上好ましい反応効率を得ようとする場合、触媒は必須である。
【0056】
触媒としては、酸、あるいは塩基性化合物をそのまま用いるか、あるいは水またはアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、それぞれ酸性触媒、塩基性触媒という)を用いる。溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよいが、濃度が高い場合は加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高い塩基性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成する場合があるため、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶液での濃度換算で1N以下であることが望ましい。
【0057】
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には乾燥後に塗膜中にほとんど残留しないような元素から構成される触媒が
よい。
具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、リン酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
【0058】
親水性塗布液の調製は、シランカップリング基を末端に有する親水性ポリマー、好ましくはさらに架橋成分をエタノールなどの溶媒に溶解後、所望により上記触媒を加え、攪拌することで実施できる。反応温度は室温〜80℃であり、反応時間、即ち攪拌を継続する時間は1〜72時間の範囲であることが好ましく、この攪拌により両成分の加水分解・重縮合を進行させて、有機無機複合体ゾル液を得ることができる。
【0059】
前記親水性ポリマー及び、好ましくは架橋成分を含有する親水性塗布液組成物を調製する際に用いる溶媒としては、これらを均一に、溶解、分散し得るものであれば特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、水等の水系溶媒が好ましい。
【0060】
以上述べたように、本発明に係る親水性表面を形成するための有機無機複合体ゾル液(親水性塗布液組成物)の調製はゾルゲル法を利用している。ゾルゲル法については、作花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社(刊)(1988年)、平島硯「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(1992年)等の成書等に詳細に記述され、それらに記載の方法を本発明に係る親水性塗布液組成物の調製に適用することができる。
【0061】
本発明に係る親水性塗布液組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、種々の添加剤を目的に応じて使用することができる。例えば、塗布液の均一性を向上させるため界面活性剤を添加することができる。
【0062】
上記のようにして調製した親水性塗布液組成物を支持体表面に塗布、乾燥することで親水性層を形成することができる。親水性層の膜厚は目的により選択できるが、一般的には乾燥後の塗布量で、0.5〜5.0g/mの範囲であり、好ましくは1.0〜3.0g/mの範囲である。塗布量が、0.5g/mより少ないと親水性の効果が発現しにくくなり、5.0g/mを超えると感度や膜強度の低下を生じる傾向があるためいずれも好ましくない。
【0063】
〔(B)加熱または輻射線の照射により表面疎水化領域を形成し得る化合物〕
親水性層に添加される画像形成機能を有する化合物は、加熱あるいは輻射線露光により親水性層に疎水性の領域を形成し得る微粒子状の化合物であって、熱溶融性疎水性粒子、熱溶融性水分散性粒子などを好適に挙げることができる。
特に水分散性粒子は粒子表面が親水性であるため、親水性層中に導入しても、非画像部に高い汚れ性を発現することが可能であることから、本発明においてより好ましい。
【0064】
(B−1.熱溶融性疎水性粒子)
熱溶融性疎水性粒子としてはEP816070記載のポリスチレンなどを挙げることができ、さらに、WO94/23954に記載のマイクロカプセル内包疎水性粒子も同様の目的で使用することができる。
【0065】
本発明において、親水性層に含有させる画像形成成分である熱溶融性疎水性粒子は、加熱により、或いは、赤外線レーザ照射により発生した熱により互いに融着して結合し、疎水性領域(インク受容性領域:画像部)を形成するものであり、疎水性有機化合物からなる粒子である。
所定の加熱により粒子が速やかに融着する観点からは、疎水性有機化合物の融点(融着温度)は50〜200℃の範囲であることが好ましい。熱溶融性疎水性粒子の熱融着温度が50℃未満であると、製造工程における塗膜乾燥時などの熱の影響、或いは、保存時の環境温度などの影響により粒子が軟化或いは溶融する懸念があり、好ましくない。熱融着温度は、80℃以上であることが好ましく、経時安定性を考えると100℃以上がさらに好ましい。融点が高いほど安定性は向上するが、記録感度及び取り扱い性の観点からは200℃以下であることが望ましい。
熱溶融性疎水性粒子を構成する疎水性有機化合物としては、具体的には、例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルカルバゾールなど、またはそれらの共重合体、または混合物等の樹脂類が挙げられる。また、パラフィンワックス、マイクロワックス、あるいはポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、ステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリスチルアミド、パルミトアミド、オレイン酸アミドなど脂肪酸系ワックス、ステアリン酸、トリデカン酸、パルミチン酸などの高級脂肪酸等も好適に使用し得る。
【0066】
本発明において親水性層に含有させる画像形成成分としては、上記の疎水性有機化合物のうち、熱溶融性疎水性粒子同志が熱により容易に融着、合体するものが画像形成性の観点から好ましく、また、親水性低下防止の観点から、その表面が親水性で、水に容易に分散しうるものが、特に好ましい。
熱溶融性疎水性粒子表面の親水性の目安としては、熱溶融性疎水性粒子のみを塗布し、凝固温度よりも低い温度で乾燥して作製した時の皮膜の接触角(空中水滴)が、凝固温度よりも高い温度で乾燥して作製した時の皮膜の接触角(空中水滴)よりも低くなることが挙げられ、このような親水性を有するものが好ましい。
熱溶融性疎水性粒子表面の親水性をこのような好ましい状態にするには、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの親水性ポリマーあるいはオリゴマー、または親水性低分子化合物を熱溶融性疎水性粒子表面に吸着させてやればよいが、熱溶融性疎水性粒子の表面親水化方法はこれらに限定されるものではなく、公知の種々の表面親水化方法を適用することができる。
熱溶融性疎水性粒子の平均粒径は、0.01〜20μmが好ましいが、その中でも0.05〜2.0μmがさらに好ましく、特に0.1〜1.0μmが最適である。平均粒径が大きすぎると解像度が悪くなる傾向があり、また小さすぎると経時安定性が悪化する懸念がある。
熱溶融性疎水性粒子の添加量は、親水性層固形分の30〜98質量%が好ましく、40〜95質量%の範囲がさらに好ましい。
【0067】
(B−2.水分散性粒子)
本発明において画像記録成分として用いられる加熱または輻射線の照射により表面疎水化領域を形成しうる水分散性粒子は、加熱または輻射線の照射により、隣接する粒子が互いに融着して表面疎水化領域を形成しうる疎水性ポリマー粒子であって、表面が親水化されているため、高い水分散性を有する粒子である。
具体的には、下記一般式(6)の構造単位を有する疎水性ポリマーを、水と混和性の溶剤に溶解し、その溶液を下記一般式(1)又は(7)の構造単位を有する親水性樹脂及び/又は周期表2〜15族の元素から選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物粒子を含んだ水相に分散し、油滴を形成した後、該油滴から溶剤を除去して得られるものであることが好ましい。
【0068】
【化8】
Figure 2004098332
【0069】
ここで、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、mは0,1又は2を表し、Zは下記から選ばれる基を表す。
【0070】
【化9】
Figure 2004098332
【0071】
ここで、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R10は炭素数5以下のアルキレン基又は複数の連鎖炭素原子団が互いに炭素原子もしくは窒素原子で結合した2価の有機残基を表し、nは0〜4の整数を表す。
【0072】
【化10】
Figure 2004098332
【0073】
前記一般式(1)は構造単位(i)、(ii)で表されるポリマーユニットの末端に、構造単位(iii)で表されるシランカップリング基を有する高分子化合物であり、式(1)中、R,R,R,R,R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、mは0,1又は2を表し、x及びyはx+y=100とした時の組成比を表し、x:yは100:0〜1:99の範囲を表す。L,L,Lはそれぞれ独立に単結合又は有機連結基を表し、Y,Yはそれぞれ独立に−N(R)(R),−OH,−NHCOR,−COR,−COM又は−SOMを表し、ここで、R,Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表す。
一般式(7)中、R,R,R,R,R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、mは0,1又は2を表し、x及びyはx+y=100とした時の組成比を表し、x:yは99:1〜50:50の範囲を表す。L,Lはそれぞれ独立に単結合又は有機連結基を表し、Y,Yはそれぞれ独立に−N(R)(R),−OH,−NHCOR,−COR,−COM又は−SOMを表し、ここで、R,Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表す。
【0074】
(B−3.疎水性ポリマー)
本発明において画像記録成分として用いられる疎水性ポリマーは、水と非混和性の溶剤に溶解する疎水性ポリマーであり、一般式(6)の有機珪素基を含有する構造単位を有するポリマーである。
【0075】
この有機珪素基を含有するポリマーは、上記一般式(6)の構造単位に変換しうる不飽和二重結合性単量体を単独で重合させることにより、または、該単量体とスチレン、アクリル系、ビニル系、オレフィン系などの単量体とを共重合させることにより得られる。また、本発明における有機珪素基含有ポリマーは、有機珪素基を含有する構造単位がポリマー分子中にランダムに導入されているもののほかに、重合体の分子末端に導入されているものでもよい。
【0076】
前記一般式(6)の有機珪素基を含有する構造単位に変換しうる不飽和二重結合性単量体の具体例としては、スチリルエチルトリメトキシシラン、4−トリメトキシシリルスチレン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス−(β−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルジメチルアセトキシシラン、ビニルイソブチルジメトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリヘキシロキシシラン、ビニルメトキシジヘキシロキシシラン、ビニルジメトキシオクチロキシシラン、ビニルメトキシジオクチロキシシラン、ビニルトリオクチロキシシラン、ビニルメトキシジラウリロキシシラン、ビニルジメトキシラウリロキシシラン、ビニルメトキシジオレイロキシシラン、ビニルジメトキシオレイロキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリエトキシシラン、
【0077】
3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルエチルトリメトキシシラン、N−(2−(メタ)アクリルアミド−エチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリアセトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−エチルトリメトキシシラン、1−(メタ)アクリルアミド−メチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルジメチルメトキシシラン、3−(N−メチル−(メタ)アクリルアミド)−プロピルトリメトキシシラン、3−((メタ)アクリルアミド−メトキシ)−3−ハイドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−((メタ)アクリルアミド−メトキシ)−プロピルトリメトキシシラン、ジメチル−3−(メタ)アクリルアミド−プロピル−3−(トリメトキシシリル)−プロピルアンモニウムクロライド、ジメチル−2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピル−3−(トリメトキシシリル)−プロピルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
【0078】
上記の一般式(6)の有機珪素基を含有する構造単位に変換しうる不飽和二重結合性単量体とともに本発明に係る疎水性ポリマーを構成する共重合成分として使用し得る単量体としては、以下の(a)〜(k)に示す単量体(モノマー)を挙げることができる。
【0079】
(a)アクリル酸エステル類。この単量体の例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレート、o−、m−およびp−ヒドロキシフェニルアクリレートなどの、置換基を有してもよいアクリル酸エステル類が挙げられる。
【0080】
(b)メタクリル酸エステル類。この単量体群の例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、o−、m−およびp−ヒドロキシフェニルメタクリレートなどの、置換基を有してもよいメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0081】
(c)アクリルアミド及びメタクリルアミド類。この単量体群の例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミドおよびN−エチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドなどのアクリルアミドもしくはメタクリルアミドが挙げられる。
【0082】
(d)ビニルエーテル類。この単量体群の例としては、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0083】
(e)ビニルエステル類。この単量体群の例としては、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニルなどが挙げられる。
(f)スチレン類。この単量体群の例としては、スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、o−、m−およびp−ヒドロキシスチレンなどが挙げられる。
【0084】
(g)ビニルケトン類。この単量体群の例としては、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどが挙げられる。
(h)オレフィン類。この単量体群の例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。
(i)N−含有単量体。この単量体群の例としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
【0085】
(j)不飽和スルホンアミド。この単量体群の例としては、N−(o−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニル)ナフチル〕アクリルアミド、N−(2−アミノスルホニルエチル)アクリルアミドなどのアクリルアミド類、N−(o−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニル)ナフチル〕メタクリルアミド、N−(2−アミノスルホニルエチル)メタクリルアミドなどのメタクリルアミド類、また、o−アミノスルホニルフェニルアクリレート、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、p−アミノスルホニルフェニルアクリレート、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)アクリレートなどのアクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド、o−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)メタクリレートなどが挙げられる。
【0086】
(k)不飽和酸無水物。この単量体群の例としては、無水イタコン酸、無水マレイン酸、2,3−ジメチル無水マレイン酸、2−クロル無水マレイン酸などが挙げられる。
【0087】
本発明において使用される疎水性ポリマー中の、一般式(6)の有機珪素基を含有する構造単位の含有量は、0.01〜100モル%が好ましく、0.05から90モル%がさらに好ましく、とくに0.1から80モル%が好ましい。有機珪素基を含有する構造単位の含有量が0.01モル%より少ない場合には本発明の効果が乏しい。
【0088】
これらの単量体から得られる有機高分子化合物は、質量平均子量が500〜500,000、数平均分子量が200〜60000であることが好ましい。
以下に本発明に用いられる疎水性ポリマーとして好ましい有機珪素基含有ポリマーの具体例を示すが、これらに限定されない。
【0089】
【化11】
Figure 2004098332
【0090】
【化12】
Figure 2004098332
【0091】
(水と非混和性の溶剤)
本発明において、疎水性ポリマーの調製に使用し得る水と非混和性の溶剤の具体例としては、クロロメタン、ジクロロメタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、トリクロロメタン、四塩化炭素、エチレンクロライド、トリクロロエタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、2−ニトロプロパンなどが例示されるが、これらに制限されるものではなく、疎水性ポリマーを溶解することができ、且つ、水と不混和性であれば、あらゆる適当な溶剤が本発明に適用できる。例示された溶剤の中でも特に有用なものとして、ジクロロメタンとMEKを挙げることができる。これらは、疎水性ポリマーの調製において、蒸発により油層粒子から溶剤を除去し、速やかにポリマー粒子を硬化させる工程に、好適に使用し得る。
【0092】
(水溶性樹脂)
本発明において、前記疎水性ポリマーは、水分散性である、即ち、表面が親水性であることを要するが、このような表面親水性の疎水性ポリマーを、前述のように水相中に油滴を分散させて調製する際には、水相に水溶性樹脂を含有させることが好ましい。また、本発明においては、親水性層として、Si、Ti,Zr、Alから選択される元素を含むアルコキシド化合物の加水分解、縮重合により形成された架橋構造を有するにものを用いており、このため、親水性層との相互作用を形成し得る水溶性樹脂を用いることがさらに好ましい。
疎水性ポリマーの表面親水性と前記親水性層との相互作用の形成の観点から、本発明に用いられる水溶性樹脂としては、一般式(1)または(7)の構造単位を有する水溶性樹脂が好ましい。これらは、末端、或いは、側鎖に有機珪素基を有する水溶性樹脂である。なお、一般式(7)の構造単位を有する水溶性樹脂においては、2種の構造単位のうち側鎖に有機珪素基を有する構造単位の含有量が0.01〜20モル%程度であることが水溶性の観点から好ましく、さらに好ましくは1〜15モル%の範囲である。
本発明に使用し得る一般式(1)または(7)の構造単位を有する水溶性樹脂の具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
【0093】
【化13】
Figure 2004098332
【0094】
【化14】
Figure 2004098332
【0095】
水分散性粒子の調製に際して用いられる水溶性樹脂の含有量は、水相成分に対して、1〜25質量%が適当であり、好ましい範囲は2〜15質量%である。
【0096】
(触媒)
本発明における水分散性粒子製造方法においては、疎水性ポリマーに含まれる構造単位である一般式(6)、或いは、親水性樹脂として水相に含まれる一般式(1)は一般式(7)で示される構造単位中に存在する有機珪素基の加水分解および重縮合反応を促進するために、酸性触媒または塩基性触媒を用いることができる。
酸性触媒または塩基性触媒の種類は特に限定されないが、高濃度の触媒を用いる必要がある場合には、微粒子作製後にほとんど残留しないような元素から構成される触媒がよい。
【0097】
具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられる。また、塩基触媒としては、アンモニアや、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
触媒は、そのままか、または水もしくはアルコールなどの溶媒に溶解した状態で、水相に加えられる。
加える触媒の濃度は、特に限定しないが、濃度が高い場合は加水分解や重縮合速度が速くなる傾向がある。ただし、高濃度の塩基性触媒を用いると、分散溶液中で沈殿物が生成する場合があり、油滴の分散安定性に悪影響を与える懸念があるので、塩基性触媒の濃度は1N以下が望ましい。
【0098】
(界面活性剤)
本発明における水分散性粒子の製造工程においては、油滴の分散安定性を向上させるために、水相に界面活性剤を添加することが好ましい。ここで用いられる界面活性剤としては、ノニオン系及びアニオン系界面活性剤のほか、特開平2−195356号公報に記載されているようなカチオン界面活性剤、含フッ素界面活性剤、及び特開昭59−121044号及び特開平4−13149号公報に記載されている両性界面活性剤を挙げることができる。
【0099】
ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、さらにポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの端末のヒドロキシル基に炭素数5〜24の脂肪族基がエーテル結合した複合ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、同じくアルキル置換アリール基がエーテル結合した複合ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレートなどのソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類などが挙げられる。
【0100】
アニオン系活性剤の具体例としては、アルキルスルホン酸類、アリールスルホン酸類、脂肪族カルボン酸類、アルキルナフタレンスルホン酸類、アルキルナフタレンスルホン酸又はナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドの縮合型のもの、炭素数9〜26の脂肪族スルホン酸類、アルキルベンゼンスルホン酸類、ラウリルポリオキシエチレン硫酸、セチルポリオキシエチレンスルホン酸、オレイルポリオキシエチレンホスホン酸などのポリオキシエチレン含有硫酸やポリオキシエチレン含有燐酸などが挙げられる。
【0101】
カチオン界面活性剤の具体例としては、ラウリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
フッ素系界面活性剤の具体例としては、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンキシド、パーフルオロアルキルEO付加物などが挙げられる。
【0102】
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルカルボキシベタイン類、アルキルアミノカルボン酸類、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
【0103】
なかでも、アニオン系、ノニオン系、両性系が好ましく、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、アルキルスルホン酸類、脂肪族カルボン酸類、アルキルベンゼンスルホン酸類、ポリオキシエチレン含有硫酸、アルキルナフタレンスルホン酸又はナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドの縮合型のもの、アルキルカルボキシベタイン類、アルキルアミノカルボン酸類等が挙げられる。
【0104】
上記のように、疎水性ポリマーと水溶性ポリマーに特定の有機珪素基を有するポリマーを用いることによって良好な水分散性粒子が得られ、有機珪素基の熱反応性が、画像記録能を有する親水性層を形成する樹脂、例えばゾルゲル変換系の結着樹脂との組み合わせにおいては、結着樹脂マトリックスと直接化学結合できるため、機械強度に優れた、耐摩耗性の良好な皮膜を形成できる。この感光層のレーザー光照射を受けて疎水性に変換した被照射領域においても、同様に結着樹脂と化学結合したまま均一層を形成できるので、耐摩耗性に優れた画像領域が形成される。
【0105】
(酸化物または水酸化物微粒子)
本発明における水分散性粒子の製造に際しては、疎水性ポリマーの表面物性を改良するために、水溶性樹脂に代えて、又は、上記水溶性樹脂に加えて、水相に周期表2族〜15族の元素から選ばれた少なくとも一つの元素の酸化物または水酸化物微粒子を添加することができる。これらの微粒子は疎水性粒子の表面に吸着して、その表面親水化及び水分散性の向上に寄与する。
好適な元素の具体例として、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、亜鉛、アルミニウム、珪素、錫、鉄などを挙げることができる。中でも好ましい元素として、珪素、チタン、アルミニウム、錫を挙げることができる。
上記元素の酸化物微粒子または水酸化物微粒子は、酸化物コロイドまたは水酸化物コロイドとして用いることができ、微粒子の粒径は、一般に約0.001〜1μm、好ましくは5〜40nm、最も好ましくは10〜30nmである。
これらのコロイドの分散液は、日産化学工業(株)などの市販品を購入することもできる。
これらの化合物の添加により、得られた疎水性ポリマーの表面親水性が向上し、水に対する分散安定性が一層良好な水分散性粒子が得られ、結果として、平版印刷版原版の記録層成分として用いた場合の非画像部の汚れ難さが改良される。
【0106】
上記の原料を用いた水分散性粒子の製造は、良く知られた操作で行うことができる。すなわち、疎水性ポリマーを水と非混和性の溶剤に溶かした油相溶液と、水溶性樹脂及び/又は、周期表2族〜15族の元素から選ばれた少なくとも一つの元素の酸化物または水酸化物微粒子、さらに必要に応じて、界面活性剤、酸性または塩基性触媒などの任意成分を含んだ水相溶液を調製した後、両者を混合し、ホモジナイザーなどの乳化分散機を用いて、例えば、12,000rpm程度の条件で10〜15分間激しく攪拌混合して水相中に油滴を乳化分散する。
次いで、得られた乳化分散物を加熱攪拌して溶剤を蒸発させることにより、目的とする水分散性粒子の水分散物が得られる。この水分散性粒子の水分散物は、親水性層に配合する際に、水相に分散した状態で配合してもよく、水相を除去した後、粒子の状態で配合してもよい。
【0107】
水分散性粒子の平均粒径は、0.01〜20μmが好ましいが、その中でも0.05〜2.0μmがさらに好ましく、特に0.1〜1.0μmが最適である。平均粒径が大き過ぎると解像度が悪くなる傾向があり、また小さ過ぎると経時安定性が悪化する懸念がある。
水分散性粒子の添加量は、親水性層固形分の30〜98質量%が好ましく、40〜95質量%の範囲がさらに好ましい。
【0108】
〔(A)光熱変換剤〕
本発明の平版印刷版原版を赤外線レーザーなどで画像記録する場合に、記録感度の観点から、光エネルギーを熱エネルギーに変換するための光熱変換剤を併用することを要する。該(A)光熱変換剤は、前記(B)加熱又は輻射線の照射により表面疎水化領域を形成する化合物に内包されていない限りにおいて、いずれに添加してもよいが、画像形成層兼ねる親水性層に添加することが好ましい。また、これに加えて、支持体、表面保護層、或いは、親水性層と支持体との間に薄層を設け、そこに添加してもよい。
なお、(B)加熱又は輻射線の照射により表面疎水化領域を形成する化合物に内包されるとは、前記水分散性粒子を例に挙げれば、水分散性粒子の調製にあたり、その材料である疎水性樹脂などに光熱変換能を有する染料や顔料を添加して、疎水化領域を形成する粒子自体に光熱変換剤を添加し、一体化することを指す。本発明においては、光熱変換剤は親水性層中に(B)加熱又は輻射線の照射により表面疎水化領域を形成する化合物とは別に、独立して添加されることを要するものである。親水性層のマトリックス中に溶解或いは分散させて添加された光熱変換剤が(B)加熱又は輻射線の照射により表面疎水化領域を形成する化合物である粒子表面に接触する状態は、本発明における「内包」には包含されない。
【0109】
本発明の平版印刷版原版に用い得る光熱変換剤には特に制限はなく、紫外線、可視光線、赤外線、白色光線等の光を吸収して熱に変換し得る物質ならば全て使用できるが、金属、金属の酸化物、窒化物もしくは硫化物、顔料及び染料が好ましい。
金属および金属化合物としては、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、Ag、Au、Pt、Pd、Rh、In、Sn、Wからなる金属の中から選択された金属または金属化合物の中から選択された、粒子化して親水性層中に分散し得るものを用いることができる。なかでも、鉄、銀、白金、金、パラジウムの金属微粒子が好ましい。
その他、TiOx(x=1.0〜2.0)、SiOx(x=0.6〜2.0)、AlOx(x=1.0〜2.0)、銅、銀及び錫のアジド化物などの金属アジド化合物も好ましい。
上記の各金属酸化物、窒化物及び硫化物は、いずれも公知の製造方法によって得られる。また、チタンブラック、鉄黒、モリブデン赤、エメラルドグリーン、カドミウム赤、コバルト青、紺青、ウルトラマリンなどの名称で市販されているものも多い。
【0110】
本発明において親水性層に含有される顔料としては、上記の金属化合物及び金属のほかに、カーボンブラック、黒鉛(グラファイト)、骨炭(ボーンブラック)などの非金属単体粒子や各種の有機、無機顔料なども用いることができる。これらの顔料や各種微粒子は、容易に水分散し得る表面親水性のものを用いることが効果の観点から好ましい。
【0111】
また、光熱変換性の色素(染料)も用いることができる。このような色素としては、画像形成に用いられる照射光の分光波長領域に光吸収域を有し、水に容易に溶解し得るものが好ましい。
好ましい固体微粒子状、染着性及び分子分散性の色素は、赤外線吸収剤として知られているものであり、具体的には、ポリメチン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム色素、ジインモニウム色素、フタロシアニン化合物、トリアリールメタン色素、金属ジチオレンから選ばれる染料である。これらのうち更に好ましいものとしては、ポリメチン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム色素、ジインモニウム色素、フタロシアニン化合物であり、その中でも合成適性の観点からポリメチン色素、シアニン色素、フタロシアニン化合物がもっとも好ましい。上記した色素は、水溶性基、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基及びホスホン酸基などを分子内に有する水溶性染料であることが、非画像部の汚れ性の観点から好ましい。
本発明において光熱変換剤として用いられる染料(赤外線吸収剤)の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0112】
【化15】
Figure 2004098332
【0113】
【化16】
Figure 2004098332
【0114】
光熱変換剤の含有量は、光熱変換剤の光吸収により発生する熱によって熱溶融性疎水性粒子、水分散性粒子の近傍が熱融着を引き起こして疎水化するのに足りる量であればよく、固形の構成成分の2〜50質量%の間で広く選択できる。2質量%以下では発熱量が不足して感度が低下する傾向にあり、50質量%以上では、特に顔料などの固体状光熱変換剤を用いた場合、膜強度が低下するおそれがある。
【0115】
〔その他の成分〕
本発明の平版印刷版原版は、画像記録成分として、親水性層中に含まれる前記熱溶融性疎水性粒子、水分散性粒子に代表される(B)加熱又は輻射線の照射により表面疎水化領域を形成する化合物を用い、露光部においてこれらの粒子が互いに融着して、疎水性領域を形成するものである。この親水性層中には、本発明の効果を損なわない範囲において、感度の向上、記録層の物理的強度の向上、層を構成する成分の分散性の向上、塗布性の向上、印刷適性の向上、製版作業性の便宜上などの種々の目的で、公知の添加剤、無機微粒子、親水性高分子化合物、界面活性剤、着色剤などの化合物を添加することができる。以下これらについて説明する。
【0116】
(界面活性剤)
親水性層に用いられる界面活性剤としては、水分散性粒子の製造に用いることができるものと同様の界面活性剤を使用できる。
記録層成分の分散に用いる場合には、前記した界面活性剤のほか、さらに、具体的にはパーフルオロアルキル基を有する界面活性剤が好ましく、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル及びリン酸エステルのいずれかを有するアニオン型の界面活性剤、又は、脂肪族アミン、第4級アンモニウム塩のようなカチオン型の界面活性剤、又はベタイン型の両性界面活性剤、又は、ポリオキシ化合物の脂肪族エステル、ポリアルキレンオキシド縮合型、ポリエチレンイミン縮合型のようなノニオン型界面活性剤などが挙げられる。
上記界面活性剤の記録層全固形物中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0117】
(着色剤)
また、本発明における画像記録能を有する親水性層には、画像形成後、画像部と非画像部の区別をつきやすくするため、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、および特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、酸化チタンなどの顔料も好適に用いることができる。添加量は、親水性層の全固形分に対し、0.01〜10質量%の割合である。
【0118】
〔断熱層〕
本発明の平版印刷版原版においては、支持体と画像記録能を有する親水性層との間に断熱層を設けることが好ましい。以下に、断熱層について説明する。
親水性層の下層として設けられている断熱層は、熱伝導率が低く支持体への熱拡散を抑制する機能を有する層である。また、この断熱層には、光熱変換剤を含有させることもでき、その場合には光照射によって発熱して親水性層中に含まれる化合物が表面疎水化領域を形成する際の記録感度の向上に寄与する。このような断熱層は、有機性又は無機性の樹脂を含有する。
【0119】
断熱層に使用しうる有機性あるいは無機性の樹脂は、親水性あるいは、疎水性のものから広く選択することができる。例えば、疎水性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ピニリデン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−樹脂ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
【0120】
この断熱層においては、疎水性樹脂は、水性エマルジョンの形態を有するものも用いることができる。水性エマルジョンとは、微小な樹脂粒子と、必要に応じて該粒子を分散安定化する保護剤とからなる粒子を水中に分散させた疎水性ポリマー懸濁水溶液のことである。
用いられる水性エマルジョンの具体例としては、ビニル系ポリマーラテックス(ポリアクリレート系、酢酸ビニル系、エチレン−酢酸ビニル系など)、共役シエン系ポリマーラテックス(メタクリル酸メチル−ブタジエン系、スチレン−ブタジエン系、アグリロニトリル−プブタジエン系、クロロプレン系など)及びポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0121】
親水性樹脂としては、具体的には、ポリビニルアルコール(PVA),カルボキシ変性PVA等の変性PVA、澱粉及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース誘導体、アルギン酸アンモニウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイド、水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート系ポリマー、N−ビニルカルボン酸アミドポリマー、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性樹脂、などが挙げられる。
【0122】
断熱層に上記親水性樹脂を用いる場合には、架橋し、硬化させて用いることが膜性向上の観点から好ましく、架橋剤としては、用いる親水性樹脂に適合する公知の架橋剤を適宜使用することができる。
【0123】
断熱層に用いる無機性の樹脂としては、ゾルゲル変換によって形成される無機マトリックスが好ましい。本発明に好ましく適用できるゾルゲル変換が可能な系は、多価元素に結合した結合基が酸素原子を介して網目状構造を形成し、同時に多価金属は未結合の水酸基やアルコキシ基も有していてこれらが混在した樹脂状構造となっている高分子体であって、アルコキシ基や水酸基が多い段階ではゾル状態であり、脱水縮合が進行するのに伴って網目状の樹脂構造が強固となる。
また、樹脂組織の親水性度が変化する性質に加えて、水酸基の一部が固体微粒子に結合することによって固体微粒子の表面を修飾し、親水性度を変化させる働きをも併せ持っている。ゾルゲル変換を行う水酸基やアルコキシ基を有する化合物の多価結合元素は、アルミニウム、珪素、チタン及びジルコニウムなどであり、これらはいずれも本発明に用いることができる。
【0124】
画像記録能を有する親水性層との接着性の観点から、断熱層を構成する樹脂としては、とくに親水性樹脂が好ましい。
断熱層中に光熱変換剤を含有させる場合、その光熱変換剤としては、前記した親水性層に用いた光熱変換剤と同じ物質を使用することができる。
断熱層中に含まれる光熱変換剤の含有量は、固形の構成成分の2〜95質量%の間で広く選択できる。2質量%以下では発熱量が不足して添加の効果が顕著でなく、95質量%以上では膜強度が低下する。
【0125】
断熱層中には、上記した樹脂及び光熱変換剤のほかに、断熱層の物理的強度の向上、層を構成する組成物相互の分散性の向上、塗布性の向上、画像記録能を有する親水性層との接着性向上などの理由で、無機微粒子、界面活性剤など種々の目的の化合物を添加することができる。
(無機微粒子)
断熱層に添加しうる無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムもしくはこれらの混合物などが好適な例として挙げられ、これらは光熱変換性でなくても皮膜の強化や表面粗面化による界面接着性の強化などに寄与する。
【0126】
無機微粒子の平均粒径は5nm〜10μmのものが好ましく、より好ましくは10nm〜1μmである。粒径がこの範囲内で、水分散性粒子や光熱変換剤の金属微粒子とも結着樹脂内に安定に分散し、断熱層の膜強度を充分に保持し、印刷汚れを生じにくい親水性に優れた非画像部を形成できる。
このような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物などの市販品として容易に入手できる。
無機微粒子の断熱層への含有量は、断熱層の全固形分の1.0〜70質量%が好ましく、より好ましくは5.0〜50質量%である。
【0127】
〔水溶性保護層〕
本発明の平版印刷原版の画像記録能を有する親水性層表面は親水性であるので、原版が製品形態で輸送されたり、保管されたりする際、あるいは使用前の取り扱いの際、環境の雰囲気の影響によって疎水性化したり、温湿度の影響を受けたり、あるいは機械的な傷など又は汚れなどの影響を受けやすい。これを防止するために、本発明の平版印刷版原版には、水溶性高分子を主成分とする水溶性表面保護層を設けることが好ましい。
水溶性保護層は、印刷の初期の段階で湿し水により溶解、除去されるので、特に除去の工程は必要とせず、機上現像性を低下させることもない。
【0128】
以下、水溶性保護層に含有される成分について説明する。
水溶性保護層は水溶性高分子を含有するが、これは、水溶性保護層の結着樹脂(層形成成分)として機能する。水溶性高分子としては、例えば水酸基、カルボキシル基、塩基性窒素含有基等の親水性の官能基を十分に有する高分子が挙げられる。
【0129】
具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシ変性PVA等の変性PVA、アラビアガム、水溶性大豆多糖類、ポリアクリルアミド及びその共重合体、アクリル酸共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、焙焼デキストリン、酸素分解デキストリン、酵素分解エーテル化デキストリン、澱粉及びその誘導体、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズのようなセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アルギン酸及びそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩、ポリアクリル酸、ポリ(エチレンオキサイド)、水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、N−ビニルカルボン酸アミドポリマー等が挙げられる。
なかでも、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシ変性PVA等の変性PVA、アラビアガム、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、アクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン、アルギン酸及びそのアルカリ金属塩の使用が好ましく、これらは1種のみを用いてもよく、目的に応じて2種以上混合使用してもよい。
水溶性保護層塗布液中の上記水溶性高分子の含有量は、3〜25質量%が適当であり、好ましい範囲は10〜25質量%である。
【0130】
水溶性保護層には、上記水溶性高分子以外に、種々の界面活性剤を含有してもよい。使用できる界面活性剤としては、アニオン界面活性剤又はノニオン界面活性剤が挙げられる。用いられる界面活性剤としては、前記した親水性層に用いられる界面活性剤と同様なものを用いることができる。界面活性剤は水溶性保護層の全固形分当たり、好ましくは0.01〜1質量%であり、更に好ましくは0.05〜0.5質量%である。
【0131】
また、この保護層塗布液には、上記成分のほか、必要により湿潤剤としてグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール等の低級多価アルコールも使用することができる。これら湿潤剤の使用量は保護層中に0.1〜5.0質量%となる量が適当であり、好ましい範囲は0.5〜3.0質量%となる量である。
さらに、保護層塗布液には、防腐剤などを添加することができる。例えば安息香酸及びその誘導体、フェノール、ホルマリン、デヒドロ酢酸ナトリウム等を0.005〜2.0質量%の範囲で添加できる。
塗布液には消泡剤を添加することもできる。好ましい消泡剤には有機シリコーン化合物が含まれ、その添加量は0.0001〜0.1質量%の範囲が好ましい。
【0132】
また、水溶性保護層には、光熱変換剤を添加してもよい。この場合、画像記録能を有する親水性層の光照射による熱融着の感度がさらに高まるので、好ましい結果が得られる。光熱変換剤としては、断熱層に添加しうる光熱変換剤として挙げたものを使用することができ、好ましい添加量も同様である。
【0133】
〔支持体〕
つぎに画像記録能を有する親水性層を塗設する支持体について述べる。
支持体には、寸度的に安定な板状物が用いられる。本発明に用いることができる支持体としては、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、ニッケル、ステンレス鋼等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の金属がラミネート又は蒸着された紙もしくはプラスチックフィルム等が含まれる。
【0134】
好ましい支持体は、ポリエステルフィルム、アルミニウム、又は印刷版上で腐食しにくいSUS鋼板であり、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、珪素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。
本発明で用いられる支持体の厚みはおよそ0.05mm〜0.6mm程度、好ましくは0.1mm〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
【0135】
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。化学的方法としては、特開昭54−31187号公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適している。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸または硝酸などの酸を含む電解液中で交流または直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号に開示されているように混合酸を用いた電解粗面化方法も利用することができる。
このような粗面化方法のうち、特に特開昭55−137993号公報に記載されているような機械的粗面化と電気化学的粗面化を組合せた粗面化方法が、感脂性画像の支持体への接着力が強いので好ましい。
上記の如き方法による粗面化は、アルミニウム板の表面の中心線表面粗さ(Ra)が0.3〜1.0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。
粗面化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの水溶液を用いてアルカリエッチング処理がされ、さらに中和処理された後、所望により耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。
【0136】
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。
形成される酸化皮膜量は、1.0〜5.0g/m、特に1.5〜4.0g/mであることが好ましい。陽極酸化皮膜の量は1.0g/mより少ないと耐刷性が不十分であったり、傷が付き易くなる。
【0137】
これらの陽極酸化処理のなかでも、とくに英国特許第1,412,768号公報に記載されている硫酸中で高電流密度で陽極酸化する方法及び米国特許第3,511,661号公報に記載されている燐酸を電解浴として陽極酸化する方法が好ましい。
【0138】
〔製版および印刷〕
本発明の平版印刷版原版は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが用いられるが、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。
本発明の平版印刷版原版は、レーザー出力が0.1〜300Wのレーザーで照射をすることができる。また、パルスレーザーを用いる場合には、ピーク出力が1000W、好ましくは2000Wのレーザーを照射するのが好ましい。この場合の露光量は、印刷用画像で変調する前の面露光強度が0.1〜10J/cmの範囲であることが好ましく、0.3〜1J/cmの範囲であることがより好ましい。
支持体が透明である場合は、支持体の裏側から支持体を通して露光することもできる。
【0139】
露光された領域では、親水性層中に分散された水分散性粒子などの加熱又は輻射線の照射により表面疎水化領域を形成し得る化合物が互いに融着して疎水化領域を形成する。このような化合物は、その表面が親水性であり、好ましい態様においては、親水性層中の珪素などのアルコキシド化合物中の元素と相互作用を形成する有機珪素基を有しており、親水性層に密着してインキ受容性の領域、即ち、画像部を形成する。また、未露光部では、水分散性粒子などの表面親水性を有する疎水性粒子は、僅かな水によっても容易に除去されて親水性層が露出することになり、架橋構造を有する親水性層の働きで高い親水性を有する湿し水受容領域となり、非画像部を形成する。
【0140】
画像露光された本発明の平版印刷版原版は、未露光部の成分が僅かな水分で容易に除去されるため、液体現像液を用いた現像処理などの特段の処理を経ることなく印刷機に装着し、インキと湿し水を用いて通常の手順で印刷することができる。
また、これらの平版印刷版原版は、印刷機シリンダー上に取りつけた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、そのままインキと湿し水を用いて通常の手順で印刷することもできる。
本発明の平版印刷版原版は、耐久性と親水性に優れた親水性層を有するため、過酷な印刷条件においても、非画像部に汚れのない優れた画質の印刷物を多数枚えることができる。
【0141】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
〔特定親水性ポリマー(1−1)の合成〕
500ml三口フラスコにアクリルアミド50g、メルカプトプロピルトリメトキシシラン3.4g、及びジメチルアセトアミド220gを入れ、65℃窒素気流下、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5gを加えた。6時間撹拌しながら同温度に保った後、室温まで冷却した。酢酸エチル2リットル中に投入し、析出した固体を濾取し、水洗して親水性ポリマー(1)を得た。乾燥後の質量は52.4gであった。GPC(ポリスチレン標準)により質量平均分子量3000のポリマーであり、13C−NMR(DMSO−d6)により末端にトリメトキシシリル基(50.0ppm)が導入された、前記例示化合物1の構造を有するポリマー(1−1)であることが確認された。
【0142】
〔水分散性粒子1〜10の合成〕
(合成例1)
油相成分として、疎水性ポリマー(本明細書記載のPI−1)30.0g、MEK45.0g、アニオン界面活性剤パイオニンA41C(竹本油脂(株)製)0.5gの溶液を調製し、水相成分として、水溶性樹脂(本明細書記載のWII−1)4.2g、水259.8gの溶液を調製し、両者を混合した後、ホモジナイザーにて12,000rpm、10分間激しく撹拌混合して、水相中に油滴を分散した乳化分散物を得た。次に、ステンレス製ポットに乳化分散物を投入し、40℃、3時間撹拌して溶剤成分を除去することによって、粒径0.24μmの水分散性粒子1を得た。
【0143】
(合成例2)
油相成分として、疎水性ポリマー(本明細書記載のPI−1)30.0g、MEK45.0g、アニオン界面活性剤パイオニンA41C(竹本油脂(株)製)0.5gの溶液を調製し、水相成分として、日産化学工業(株)製スノーテックスC60g,水259.8gの溶液を調製し、両者を混合した後、ホモジナイザーにて12,000rpm、10分間激しく撹拌混合して、水相中に油滴を分散した乳化分散物を得た。次に、ステンレス製ポットに乳化分散物を投入し、40℃、3時間撹拌して溶剤成分を除去することによって、粒径0.21μmの水分散性粒子2を得た。
【0144】
(合成例3〜10)
合成例1、2で用いた疎水性ポリマー、水溶性樹脂、酸化物粒子、界面活性剤を表1記載の材料にそれぞれ置き換えた以外は合成例1、2と同様に水分散性粒子3〜10の合成を行った。
なお、合成例1〜10で得られた水分散性粒子は、これらの材料から明らかなように、光熱変換剤を内包するものではない。
【0145】
【表1】
Figure 2004098332
【0146】
表中の略記号及び商品名は、下記の通りである。
チタニアゾル:石原産業(株)製 STS−01
アルミナゾル:日産化学工業(株)製 アルミナゾル520
エマールNC:花王(株)製 アニオン界面活性剤
【0147】
(合成例11)
油相成分として、セルロースアセテートプロピオネート4g、赤外線吸収性染料II 1.5g、ジクロロメタン38mlの溶液を調製し、水相成分として、デュポン製ルドックスコロイダルシリカ30ml、メチルアミノエタノール−アジピン酸共重合体3ml、フタル酸緩衝液(pH4)の溶液を調製し、両者を混合した後、ホモジナイザーにて12,000rpm、10分間激しく撹拌混合して、水相中に油滴を分散した乳化分散物を得た。次に、ステンレス製ポットに乳化分散物を投入し、40℃、3時間撹拌して溶剤成分を除去することによって、粒径0.30μmの赤外線吸収性染料を内包した水分散性粒子11を得た。
【0148】
【化17】
Figure 2004098332
【0149】
〔実施例1〜10及び比較例1〕
(実施例1〜10)
(親水性層の形成)
以下の成分を均一に混合し、室温で2時間撹拌して加水分解を行い、ゾル状の親水性塗布液組成物1を得た。
(親水性塗布液組成物1)
・特定親水性ポリマー(1−1)       21g
・テトラメトキシシラン〔架橋成分〕     62g
・エタノール               470g
・水                   470g
・硝酸水溶液(1N)            10g
【0150】
(画像形成層の形成)
その後上記親水性塗布液組成物1を用いて下記画像形成能を有する親水性層形成用塗布液1を調製し、コロナ処理されたポリエチレンテレフタレートフイルム支持体上に乾燥後の塗布量が3g/mとなるように塗布し、100℃、10間分加熱乾燥して平版印刷版原版1を得た。
(親水性層形成用塗布液1)
・前記親水性塗布液組成物1          660g
・水分散性粒子1〜10(10質量%)     200g
・赤外線吸収性染料I(下記化合物)        5g
【0151】
【化18】
Figure 2004098332
【0152】
(比較例1)
(画像形成層の形成)
上記親水性塗布液組成物1を用いて下記画像形成能を有する親水性層形成用塗布液2を調製し、コロナ処理されたポリエチレンテレフタレートフイルム支持体上に乾燥後の塗布量が3g/mとなるように塗布し、100℃、10間分加熱乾燥して平版印刷版原版11を得た。
【0153】
(親水性層形成用塗布液2)
・前記親水性塗布液組成物1          660g
・水分散性粒子11(10質量%)       200g
【0154】
〔平版印刷版の評価〕
得られた支持体上の画像形成能を有する親水性層表面の接触角(空中水滴)を協和界面科学(株)製、CA−Zを用いて測定したところ、接触角は7〜9°であり、いずれも優れた親水性を有することが確認された。
【0155】
得られた平版印刷版原版1を、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したクレオ社製トレンドセッター3244VFSにて外面ドラム回転数100rpm、版面エネルギー500mJ/cm、解像度2400dpiの条件で露光し、露光部表面に画像領域を形成した。
露光表面の接触角(空中水滴)を協和界面科学(株)製、CA−Zを用いて測定したところ、いずれも接触角が上昇して90〜115°となっており、疎水性領域(インク受容性領域)が形成されたことを示した。
露光後、現像処理することなく、下記印刷機に装着し印刷に用いた。
印刷機としては、ハイデルベルグ社製SOR−Mを用い、湿し水にIF201(2.5%)、IF202(0.75%)(富士写真フイルム(株)製)を、インキとしてGEOS−G墨(大日本インキ化学工業(株)製)を用いた。いずれも印刷工程の初期において直ちに高画質の印刷物が得られた。その後も連続的に印刷を継続し、画像部のかすれを生じ始める枚数を耐刷枚数とし、耐刷枚数が多いほど耐刷性に優れると評価した。その結果を、画像部、非画像部表面の接触角とともに下記表2に示す。
【0156】
【表2】
Figure 2004098332
【0157】
表2より明らかなように、本発明の平版印刷版原版は、画像部の疎水性、非画像部の親水性のいずれにも優れていた。また、これらはいずれも特段の現像処理を行なうことなく、印刷工程の初期において直ちに高画質の印刷物が得られ、しかも、高耐刷性が実現されていた。
一方、加熱又は輻射線の照射により表面疎水化領域を形成し得る化合物に光熱変換剤である染料を内包させた水分散性粒子11を用いた比較例1の平版印刷版原版は、現像処理を行なうことなく印刷して、印刷工程の初期において直ちに高画質の印刷物が得られたが、印刷を継続することにより画像部の部分的な剥離が生じ、各実施例に比べて耐刷性に劣ることがわかった。
【0158】
【発明の効果】
本発明の平版印刷版原版によれば、厳しい印刷条件においても高い親水性が維持され、耐刷性が良好であり、非画像部に汚れが生じない高画質の印刷物が多数枚得られる。さらに、デジタル信号に基づいた走査露光による製版が可能であり、且つ、簡易な水現像処理操作による製版、あるいは、現像処理を行わずに印刷機に装着し印刷することが可能であるという効果を奏する。

Claims (1)

  1. 支持体上に、親水性グラフト鎖を有し、且つ、Si、Ti、Zr、Alから選択される元素のアルコキシドの加水分解、縮重合により形成された架橋構造を有する親水性層を備え、該親水性層中に(A)光熱変換剤、及び、(B)加熱又は輻射線の照射により表面疎水化領域を形成し得る化合物を含有し、該(A)光熱変換剤が(B)加熱又は輻射線の照射により表面疎水化領域を形成する化合物に内包されていないことを特徴とする平版印刷版原版。
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