以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
図1は、第1実施例のパチンコ機Pの遊技盤の正面図である。遊技盤1の周囲には、球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口2が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と称す)3が設けられている。なお、LCD3で変動表示する図柄は、大当たりを保留させておく蓄越図柄と、保留された大当たりを放出する放出図柄と、単発の大当たりを発生させる単発大当たり図柄とを備えている。
LCD3下方には、図柄作動口(第1種始動口)4が設けられ、球がこの図柄作動口4へ入賞することにより、前記したLCD3の変動表示が開始される。また、LCD3の変動表示の最中に、球が新たに図柄作動口4へ入賞した場合、その入賞により取得された変動表示を即座に開始することはできないので、実行中の変動表示が終了するまで、その新たに取得された変動表示が保留される。なお、本実施例のパチンコ機Pでは、変動表示の保留回数が最大4回に設定されている。
図柄作動口4の下方には、特定入賞口(大入賞口)5が設けられている。この特定入賞口5は、LCD3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒経過するまで、あるいは、球が10個入賞するまで)開放される入賞口である。
この特定入賞口5内には、Vゾーン5aが設けられており、特定入賞口5の開放中に、球がVゾーン5a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5が所定時間(又は、特定入賞口5に球が所定個数入賞するまで)開放される。この特定入賞口5の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値の付与された状態(特別遊技状態)である。
なお、第3種パチンコ遊技機において所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)とは、LCD3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、特定入賞口が所定時間開放されることをいう。この特定入賞口の開放中に、球がその特定入賞口へ入賞すると、特定入賞口とは別に設けられた大入賞口が所定時間、所定回数開放される。
図2は、かかるパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。パチンコ機Pの主制御基板Cには、演算装置であるMPU11と、そのMPU11に搭載されて実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM12と、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM13とが搭載されている。図3から図7に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM12内に記憶されている。
RAM13は、情報保持メモリ13aと、無作為抽出カウンタ13bと、ハズレリーチカウンタ13cと、大当たり図柄カウンタ13dと、蓄越カウンタ13eと、大当たりフラグ13fと、放出選択フラグ13gと、放出フラグ13hと、保留球カウンタ13iと、図柄回転実行エリア13jと、図柄回転1〜4メモリ13k〜13nとを備えている。
情報保持メモリ13aは、停電などの発生により電源が切断された場合、電源の再入時に、パチンコ機Pの状態を電源切断前の状態に復帰させるため、電源切断時(停電発生時を含む。以下、同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。この情報保持メモリ13aへの書き込みは、NMI割込処理(図4参照)によって電源切断時に実行され、逆に情報保持メモリ13aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下、同様)の初期化処理(図6参照)において実行される。
無作為抽出カウンタ13bは、大当たりの発生を決定するためのカウンタであり、後述する乱数更新処理(図5、S16参照)によって、「0」〜「630」の範囲で2ms毎に1カウントずつ更新される。遊技盤1に打ち込まれた球が、図柄作動口4へ入賞して後述する第1種始動口スイッチ18で検出されて(始動入賞)、その検出に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が「7」または「315」であった場合に大当たりが発生する。大当たりが発生すると、大当たりコマンドが主制御基板Cから後述する表示用制御基板Dへ送信され、表示用制御基板Dは、その大当たりコマンドに基づいたLCD3の変動表示を行う。なお、無作為抽出カウンタとしては、例えば、所定のタイミングで更新される乱数カウンタや、ランダムに値を取得することができるICカウンタ等が例示される。
ハズレリーチカウンタ13cは、リーチ状態の発生を決定するためのカウンタ、即ち、リーチ状態を現出させるハズレのリーチ状態とするか、リーチ状態を現出させない通常のハズレとするかを決定するためのカウンタであり、後述する乱数更新処理(図5、S16参照)によって、「0〜9」の範囲で2ms毎に1カウントずつ更新される。上述した無作為抽出カウンタ13bと同様に、始動入賞により取得されたハズレリーチカウンタ13cの値が「7」であった場合に、LCD3で行われる変動表示がハズレのリーチ状態となる。始動入賞により取得されたハズレリーチカウンタ13cの値は、前述した無作為抽出カウンタ13bの値と共に、後述する保留球カウンタ13iの値が示す図柄回転1〜4メモリ13k〜13nのハズレリーチカウンタ13cの値を記憶する部分に書き込まれ、記憶される(図7、S75参照)。
ここで、リーチ状態とは、図柄の変動表示が開始された後、先に停止する表示領域に表示される図柄の組み合わせが大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている他の表示領域の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆する表示状態である。なお、他の表示領域に表示される図柄と、先の表示領域に表示される図柄との組み合わせが大当たりの条件を満たさない場合は、そのリーチ状態はハズレのリーチ状態の演出になる。
大当たり図柄カウンタ13dは、前記した無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であった場合に、LCD3の変動表示の表示結果に現出する図柄の組み合わせを決定するためのカウンタであり、後述する乱数更新処理(図5、S16参照)によって、「0〜9」の範囲で2ms毎に1カウントずつ更新される。かかる大当たり図柄カウンタ13dの値は、前記した無作為抽出カウンタ13bの値と同様に始動入賞時に取得され、このとき取得された大当たり図柄カウンタ13dの値は、前記した無作為抽出カウンタ13bの値と共に、後述する保留球カウンタ13iの値が示す図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに書き込まれて記憶される(図7、S75参照)。
本実施例では、始動入賞によって取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であった場合に、この大当たり図柄カウンタ13dの値に応じて付与される遊技価値が異なっている。具体的には、LCD3で変動表示する図柄は、大当たりを保留させておく蓄越図柄と、保留された大当たりを放出する放出図柄と、単発の大当たりを発生させる単発大当たり図柄とを備えている。大当たり図柄カウンタ13dの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」の場合には、変動表示の表示結果に蓄越図柄を選択するように構成されている。また、大当たり図柄カウンタ13dの値が「1」、「3」、「5」又は「9」の場合には、変動表示の表示結果に単発大当たり図柄を選択するように構成されている。更に、大当たり図柄カウンタ13dの値が「7」である場合には、変動表示の表示結果に放出図柄を選択するように構成されている。
図3は、図柄の種類を示した図柄表50である。本実施例では、「0」〜「9」までの数字がLCD3で行われる変動表示に用いられるものであり、その中でも、「0」、「2」、「4」、「6」及び「8」は、大当たりを保留する蓄越図柄である。また、「1」、「3」、「5」及び「9」は、単発の大当たりを発生させる単発大当たり図柄である。更に、「7」は、保留された大当たりを放出する放出図柄である。
蓄越カウンタ13e(記憶手段)は、無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であるとき、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を示す値であった場合に、その蓄越図柄での大当たりがあった回数を記憶するためのカウンタである。この蓄越カウンタ13eには、蓄越図柄での大当たりが発生した場合、即ち、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が「7」又は「315」であるとき、大当たり図柄カウンタ13dの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」のいずれかであった場合に「1」加算される。逆に、放出図柄での大当たりが発生したときに、以前に保留されている大当たりがある場合、即ち、始動入賞によって取得された無作為抽出カウンタの値が「7」又は「315」であるとき、大当たり図柄カウンタ13dの値が「7」であると共に、蓄越カウンタ13dの値が「1」以上である場合に、「1」減算される。
大当たりフラグ13fは、単発大当たり図柄又は放出図柄での大当たりが発生したことを判別するためのフラグである。この大当たりフラグ13fは、単発大当たり図柄又は放出図柄で大当たりが発生した場合にオンされ、逆に、大当たりが発生して、1回目の大当たり実行処理(図10、S91参照)が終了した場合にオフされる。
放出選択フラグ13g(蓄越放出手段)は、保留されている大当たりを放出する放出選択処理(図11参照)を実行させるためのフラグである。この放出選択フラグ13gは、放出図柄での大当たりが発生したとき、即ち、大当たりが発生した場合に大当たり図柄カウンタ13fの値が「7」であるとき、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上である場合、即ち、大当たりの保留が記憶されている場合にオンされる。逆に、蓄越カウンタの値が減算されて「0」になった場合、即ち、保留されていた大当たりを放出し尽くした場合にオフされる。
放出フラグ13h(蓄越放出手段)は、放出図柄で大当たりが発生した場合に、蓄越カウンタ13eに保留されている大当たりがあるか否かを確認するためのフラグである。この放出フラグ13hは、放出図柄で大当たりが発生した場合にオンされる。逆に、蓄越カウンタ13eの値が減算されて「0」になった場合、即ち、保留されていた大当たりを放出し尽くした場合にオフされる。
保留球カウンタ13i(待機回数記憶手段)は、変動表示の待機回数を記憶するカウンタである。保留球カウンタ13iの値は、LCD3で変動表示が行われていない場合、又は、変動表示が行われているが待機中の変動表示がない場合には「0」、待機中の変動表示が1回の場合には「1」、・・・、待機中の変動表示が4回の場合には「4」となって、それぞれの値によって、次回の始動入賞によって取得される変動表示のデータをいずれの図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに書き込むかを示している。本実施例のパチンコ機Pでは、変動表示の最大待機回数は4回なので、保留球カウンタ13iの値は「0」から「4」の範囲で変化する。保留球カウンタ13iの値のカウントアップは、球が図柄作動口4へ入賞して第1種始動口スイッチ18で検出された場合に行われ(図7参照)、カウントダウンは、変動表示終了時に行われる(図8参照)。
図柄回転実行エリア13j(実行記憶手段)は、LCD3で行われる変動表示のデータを記憶するためのメモリである。この図柄回転実行エリア13jに記憶された変動表示のデータは、LCD3で行われる変動表示が終了している場合に、後述する図5のポート出力処理(図5、S15参照)によって、表示用制御基板Dへ送信される。
図柄回転1〜4メモリ13k〜13n(動的表示情報記憶手段)は、LCD3に表示される図柄の回転(変動)パターンやその停止図柄、及び、無作為抽出カウンタ13b、ハズレリーチカウンタ13c及び大当たり図柄カウンタ13dの値等の変動表示情報を記憶するメモリである。この図柄回転1〜4メモリ13k〜13nへの変動表示情報の記憶は、遊技盤1内に打ち込まれた球が、図柄作動口4に入賞して第1種始動口スイッチ18により検出されることにより実行される変動表示設定処理(図7参照)において行われる。
また、図柄回転1〜4メモリ13k〜13nには、保留球カウンタ13iの値に基づいて変動表示のデータの書き込みが行われる。図柄回転1〜4メモリ13k〜13nへの書き込みパターンは、保留球カウンタ13iの値が「1」の場合には図柄回転1メモリ13kへ、保留球カウンタ13iの値が「2」の場合には図柄回転2メモリ13lへ、・・・、保留球カウンタ13iの値が「4」の場合には図柄回転4メモリ13nへ変動表示のデータが書き込まれる。一方、第1種始動口スイッチ18により球が検出されたときに保留球カウンタ13iの値が「4」以上である場合にはいずれの図柄回転1〜4メモリ13k〜13nにも変動表示のデータは書き込まれない(図7参照)。
なお、図柄回転実行エリア13jに書き込まれる変動表示のデータは、図柄回転1メモリ13kに記憶されている変動表示のデータのみが書き込まれるように構成されている(図8参照)。また、図柄回転実行エリア13jへのデータの書き込みは、変動表示が終了していて、かつ、保留球カウンタ13dの値が「1」以上の場合に、図柄回転1メモリ13kに記憶されている変動表示のデータが、図柄回転実行エリア13jへシフトされて書き込まれる(図8参照)。本実施例における変動表示の最大待機回数は4回なので、変動表示のデータを記憶するメモリは全部で5つ設けられている。即ち、図柄回転実行エリア13jには変動中の変動表示情報が記憶され、他の4つの図柄回転1〜4メモリ13k〜13nには待機中の変動表示情報が記憶される。
かかるROM12およびRAM13を内蔵したMPU11はバスライン14を介して入出力ポート15と接続されており、入出力ポート15は、第1種始動口スイッチ18と、電源基板30に設けられたクリアスイッチ30cと、払出用モータ21によって賞球や貸球の払出制御を行う払出制御基板Hと、前述した図柄の変動表示の制御を行う表示用制御基板Dと、そのほか、他の入出力装置16とにそれぞれ接続されている。なお、表示用制御基板Dは、スピーカ22から効果音の出力制御と、ランプ23等の点灯制御とを行う音声及びランプ制御基板Lと接続されており、この音声及びランプ制御基板Lは、表示用制御基板Dから送信されるコマンドによって制御される。
第1種始動口スイッチ18は、図柄作動口(第1種始動口)4へ入賞した球を検出するためのスイッチであり、図柄作動口4の近傍に設けられている。第1種始動口スイッチ18によって球が検出されると、払出制御基板Hに接続された図示しない払出装置によって5個の賞球が払い出される。また、第1種始動口スイッチ18によって球が検出された場合には、無作為抽出カウンタ13b、ハズレリーチカウンタ13c及び大当たり図柄カウンタ13dの値が読み取られ、その値が変動表示のデータとして保留球カウンタ13iの値が示す図柄回転1〜4メモリ13k〜13nのいずれかに書き込まれて記憶される。
電源基板30は、パチンコ機Pの各部に電力を供給するための電源部30aと、停電監視回路30bと、クリアスイッチ30cとを備えている。停電監視回路30bは、停電等の発生による電源断時に、主制御基板CのMPU11のNMI割込端子11aへ停電信号51を出力するための回路である。停電監視回路30bは、電源部30aから出力される最も大きい電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号51を主制御基板C及び払出制御基板Hへ出力するように構成されている。この停電信号51の出力によって、主制御基板C及び払出制御基板Hは、停電の発生を認識し、停電時処理(主制御基板Cの場合は図4のNMI割込処理)を実行する。なお、電源部30aは、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されているので、主制御基板C及び払出制御基板Hは、停電時処理を正常に実行することができるのである。
クリアスイッチ30cは、主制御基板CのRAM13および払出制御基板HのRAM(図示せず)に情報保持されるデータをクリアするためのスイッチであり、押しボタンタイプのスイッチで構成されている。このクリアスイッチ30cが押下された状態でパチンコ機Pの電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、RAMクリア信号52が主制御基板Cおよび払出制御基板Hによって、それぞれのRAM13のデータがクリアされる。
次に、図4から図11に示すフローチャートを参照して、主制御基板Cで行われる各処理について説明する。図4は、停電の発生等によるパチンコ機Pの電源断時に、主制御基板Cで実行されるNMI割込処理のフローチャートである。このNMI割込処理により、停電の発生等による電源断時の主制御基板Cの状態が情報保持メモリ13aに記憶される。
停電の発生等によりパチンコ機Pの電源が断されると、停電信号51が主制御基板CのMPU11のNMI(Non Maskable Interrupt)割込端子11aへ出力される。MPU11は、NMI割込端子11aに停電信号51が入力されると、実行中の制御を中断して、図4のNMI割込処理を開始する。停電信号51が出力された後所定時間は、主制御基板Cの処理が実行可能に電力供給されており、この所定時間内に、図4のNMI割込処理が実行される。
NMI割込処理では、まず、各レジスタ、I/O等の値をスタックエリアへ書き込み(S1)、更に、スタックポインタの値を情報保持メモリ13aへ書き込んで(S2)、停電の発生等による電源断時の状態を記憶する。そして、停電が発生したことを示す停電発生情報を情報保持メモリ13aに書き込む(S3)。その後、主制御基板Cに応じてその他の停電処理を実行し(S4)、その後は、電源が完全に断して処理が実行できなくなるまで、処理をループする。
図5は、パチンコ機Pの主制御基板Cにおいて実行されるメイン処理のフローチャートである。パチンコ機Pの主な制御は、このメイン処理によって実行される。メイン処理では、まず、割込を禁止した後(S11)、図6に示す初期化処理を実行する(S12)。
図6は、パチンコ機Pの電源入時に主制御基板Cのメイン処理の中で実行される初期化処理(S12)のフローチャートである。この処理では、情報保持が有効であれば、情報保持メモリ13aに記憶された各データを元の状態に戻し、遊技の制御を電源が断される前の状態から続行する。一方、情報保持が有効でなかったり、情報保持が有効であっても電源入時にクリアスイッチ30cが押下された場合には、RAMクリア及び初期化処理を実行する。なお、この初期化処理(S12)は、サブルーチンの形式で記載されているが、スタックポインタの設定前に実行される処理なので、実際には、サブルーチンコールされずに、S11の処理後に順に実行される。
まず、スタックポインタを設定し(S41)。クリアスイッチ30cがオンされているか否かを確認する(S42)。クリアスイッチ30cがオンされていなければ(S42:No)、情報保持が有効であるか否かを確認する(S43)。この確認は、RAM13の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。キーワードが正しく記憶されていれば情報保持は有効であり、逆に、キーワードが正しくなければ情報保持データは破壊されているので、その情報保持は有効ではない。情報保持が有効であれば(S43:Yes)、処理をS45へ移行して、主制御基板Cの各状態を電源断前の状態に復帰させる。一方、情報保持が有効でなかったり(S43:No)、或いはクリアスイッチ30cがオンされていれば(S42:Yes)、RAMクリア及び初期化処理を実行して(S44)、RAM13及びI/O等の各値を初期化して、この初期化処理を終了する。このS44の処理の終了後は、図5のS13の処理が実行される。
S45からの処理では、まず、情報保持メモリ13aからスタックポインタの値を読み出して、これをスタックエリアへ書き込み、電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻す(S45)。その後、スタックエリアへ退避した各レジスタやI/O等のデータをスタックエリアから読み出して、これら各データを元のレジスタやI/O等へ書き込む(S46)。更に、割込状態を停電発生時に実行される図4の処理で記憶しておいた電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻し(S47)、NMI割込リターンを実行して、処理を電源断前に実行していたところへ戻して、制御を電源断前の状態から続行する。
図5のフローチャートの戻って説明する。S13の処理ではタイマ割込の設定を行う(S13)。タイマ割込の設定後は、各割込を許可状態とする(S14)。割込の許可後は、特別図柄変動処理(S25)や、表示データ作成処理(S27)、ランプ・情報処理(S28)などにより、前回の処理で更新された出力データを一度に各ポートへ出力するポート出力処理を実行する(S15)。更に、大当たりを決定するための無作為抽出カウンタの値を「+1」更新する乱数更新処理(S16)を実行し、記憶タイマ減算処理を実行する(S17)。記憶タイマ減算処理は、大当たり判定の保留球が所定数以上あり、且つ、LCD3において図柄の変動表示中である場合に、図柄の変動表示の時間短縮を行うものである。
スイッチ監視処理(S18)は、INT割込で読み込まれた各スイッチの状態に応じて、遊技領域へ打ち込まれた球の入賞口2や大入賞口5、図柄作動口4への入賞、更には賞球の払い出し等に関する処理を行うものである。図柄カウンタ更新処理(S20)では、LCD3で行われる変動表示の結果、停止表示される図柄を決定するためのカウンタの更新処理が行われる。また、図柄チェック処理(S21)では、図柄カウンタ更新処理(S20)で更新されたカウンタの値に基づいて、特別図柄変動処理(S25)で使用される大当たり図柄や、はずれ図柄、更にはリーチ図柄などが決定される。
その後、普通図柄変動処理(S23)によって、普通図柄の変動表示を行うと共に、その変動表示の結果、当たりが発生した場合には図柄作動口4を所定時間開放する当たり処理を実行する。その後、状態フラグをチェックし(S24)、LCD3において特別図柄の変動開始または変動表示中であれば(S24:図柄変動中)、特別図柄変動処理(S25)によって、球が図柄作動口4を通過するタイミングで読み取った無作為抽出カウンタ13bの値に基づいて、大当たりか否かの判定が行われると共に、LCD3に表示される特別図柄の変動処理を実行する。一方、状態フラグをチェックした結果、大当たり中であれば(S24:大当り中)、図10において後述する大入賞口5を開放するなどの大当たり処理(S26)を実行する。更に、状態フラグをチェックした結果、特別図柄の変動中でも大当たり中でもなければ(S24:その他)、S25及びS26の処理をスキップして、S27の表示データ作成処理へ移行する。
なお、前記した状態フラグの値が「1」の場合は「図柄変動中」の遊技状態を示し、「2」の場合は「大当たり中」の遊技状態を示し、「0」の場合は「その他(待機中、又は、エラー中)」の遊技状態を示すように設定されている。
LCD3で行われる変動表示は、状態フラグの値が「1」のときに実行され、変動表示の終了時にその変動表示が大当たりを発生し得るものであるか否かが判定される。変動表示が大当たりを発生し得るものであれば、状態フラグの値が「2」に設定され、以降、大当たり処理(S26)が実行される。一方、変動表示の終了時にその変動表示が大当たりか否かをチェックした結果、大当たりを発生し得る値でない場合は、状態フラグの値が「0」に設定され、特別図柄変動処理(S25)及び大当たり処理(S26)の処理がスキップされる。なお、大当たりの終了時には、状態フラグの値が「0」に設定される。
表示データ作成処理(S27)では、図柄の変動表示以外にLCD3に表示されるデモデータやなどが作成され、ランプ・情報処理(S28)では、保留球のランプデータをはじめ、各種のランプデータが作成される。効果音処理(S29)では、遊技の状況に応じた効果音データが作成される。なお、これらの表示データ及び効果音データは、前記したポート出力処理(S15)やタイマ割込処理によって表示用制御基板Dへ出力される。
効果音処理(S29)の終了後は、次のS15の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間の間、大当たりを決定するための無作為抽出カウンタ13bの初期値を更新する乱数初期値更新処理(S30)を繰り返し実行する。S15〜S29の各処理は定期的に実行する必要があるので、S31の処理において、前回のS15の処理の実行からの経過時間をチェックする(S31)。チェックの結果、前回のS15の処理の実行から所定時間経過していれば(S31:Yes)、処理をS15へ移行し、一方、所定時間経過していなければ(S31:No)、処理をS30へ移行して、乱数初期値更新処理(S30)の実行を繰り返す。ここで、S15〜S29の各処理の実行時間は、遊技の状態に応じて変化するので、次のS15の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間は、一定の時間ではない。よって、かかる残余時間を使用して乱数初期値更新処理(S30)を繰り返し実行することにより、無作為抽出カウンタ13bの初期値をランダムに更新することができる。
図7は、図柄チェック処理(図5、S21参照)の中で実行される変動表示設定処理のフローチャートである。この変動表示設定処理では、第1種始動口スイッチ18が球を検出して、保留球カウンタ13iの値が「4」以上でない場合に、保留球カウンタ13iの値が示す図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに変動表示のデータを書き込む。
まず、この変動表示設定処理では、第1種始動口スイッチ18が球を検出したか否かを確認する(S51)。第1種始動口スイッチ18が球を検出していない場合は(S51:No)、この変動表示設定処理を終了する。また、第1種始動口スイッチ18が球を検出していれば(S51:Yes)、次に、保留球カウンタ13iの値が「4」以上であるか否かを確認する(S52)。保留球カウンタ13iの値が「4」以上であれば(S52:Yes)、変動表示の待機回数分設けられた図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに既に変動表示のデータが書き込まれているということなので、この変動表示設定処理を終了する。一方、保留球カウンタ13iの値が「4」未満であれば(S52:No)、変動表示のデータが待機回数分記憶されていないということなので、保留球カウンタ13iの値に「1」を加算して(S53)、第1種始動口スイッチ18が球を検出したことによって取得される無作為抽出カウンタ13b、ハズレリーチカウンタ13c及び大当たり図柄カウンタ13dの値を変動表示のデータとして、保留球カウンタ13iの値が示す図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに書き込んで(S54)、この変動表示設定処理を終了する。
次に、図8を参照して、図5の特別図柄変動処理(S25)の中で実行される保留球カウンタ減算処理について説明する。この保留球カウンタ減算処理により、LCD3で行われる変動表示が終了した場合および大当たり遊技が終了した場合に、図柄回転1メモリ13kに記憶されている変動表示のデータが図柄回転実行エリア13jに書き込まれると共に、図柄回転2〜4メモリ13l〜13nに記憶されている変動表示のデータが、それぞれ1つずつ小さい図柄回転1〜3メモリ13k〜13mへシフトして記憶される。また、放出選択フラグ13gがオンされている場合には、保留されている大当たりが放出される放出選択処理が実行される。
保留球カウンタ減算処理では、まず、変動表示中か否か、即ち、変動表示が終了しているか否かを確認する(S61)。確認の結果、変動表示中であれば(SS61:Yes)、この保留球カウンタ減算処理を終了する。一方、変動表示中でなければ(S61:No)、次に、大当たり中であるか否かを確認する(S62)。大当たり中であれば(S62:Yes)、この保留球カウンタ減算処理を終了する一方、大当たり中でなければ(S62:No)、保留球カウンタ13iの値が「1」以上であるか否かを確認し(S63)、保留球カウンタ13iの値が「1」以上であれば(S63:Yes)、処理をS64へ移行する。なお、保留球カウンタ13iの値が「1」未満、即ち、「0」であれば(S63:No)、図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに変動表示のデータは記憶されていないということなので、この保留球カウンタ減算処理を終了する。
S64の処理では、保留球カウンタ13iの値から「1」減算して(S64)、図柄回転1メモリ13kに記憶されている変動表示のデータを図柄回転実行エリア13jに書き込み(S65)、図柄回転2〜4メモリ13l〜13nに記憶されている変動表示のデータをそれぞれ1つずつ小さい図柄回転1〜3メモリ13k〜13mへシフトする(S66)。次に、放出選択フラグ13gがオンしているか否かを確認する(S67)。確認の結果、放出選択フラグ13gがオンしていなければ(S67:No)、処理をS68の通常選択処理(図9参照)へと移行する。一方、放出選択フラグ13gがオンしている場合は(S67:Yes)、処理をS69の放出選択処理(図11参照)へと移行する。なお、通常選択処理(S68)および放出選択処理(S69)の終了後は、この保留球カウンタ減算処理を終了する。
図9は、通常選択処理(S68)を示したフローチャートである。通常選択処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値であった場合に、大当たり図柄カウンタ13dの値に応じて付与する遊技価値を決定するものである。具体的には、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合には、その大当たりを保留して、蓄越カウンタ13eに大当たりが保留されたことを記憶する。また、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値である場合には、蓄越カウンタ13eに記憶されている大当たり放出する。更に、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄を選択する値である場合には、単発の大当たりとする。
通常選択処理(S68)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値は大当たりを発生する値であるか否かを確認する(S71)。図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値でない場合には(S71:No)、ハズレリーチやハズレの変動パターン等を設定する各処理を行い(S81)、この通常選択処理を終了する。一方、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合には(S71:Yes)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」のいずれかであるか否かを確認する(S72)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合には(S72:Yes)、蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S73)、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を特定の図柄(例えば、ハズレ図柄)に設定し(S74)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを特定の変動パターン(例えば、ハズレの変動パターン)に設定して(S75)、この通常選択処理を終了する。
一方、S72の処理において、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値でない場合には(S72:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「7」であるか否かを確認する(S76)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であった場合には(S76:Yes)、放出フラグ13hをオンして(S77)、処理をS78へ移行する。一方、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値でない場合、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄を選択する「1」、「3」、「5」又は「9」のいずれかであった場合には(S76:No)、S77の処理をスキップして、処理をS78の処理へと移行する。
S78の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定して(S78)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S79)、大当たり処理を実行させるため、大当たりフラグ13fをオンして(S80)、この通常選択処理を終了する。
図10は、図5のメイン処理の中で実行される大当たり処理(S26)を示したフローチャートである。この大当たり処理では、状態フラグ(図示せず)が大当たり中であると判断された場合(図5、S24参照)、即ち、放出フラグ13hがオンであった場合(その大当たりが放出図柄で大当たりしていた場合)に、放出選択フラグ13gをオンして、蓄越カウンタ13eに蓄越されていた大当たりを放出させるための処理である。
大当たり処理(S26)では、まず、特定入賞口5の開放等を行う大当たり実行処理を行い(S91)、大当たりフラグ13fがオンしているか否かを確認する(S92)。大当たりフラグ13fがオンしていれば(S92:Yes)、2ms後以降の大当たり処理で以下の処理をスキップすることができるように、大当たりフラグ13fをオフして(S93)、次に、放出フラグ13hがオンしているか否か、即ち、この大当たりが放出図柄で大当たりしているか否かを確認する(S94)。確認の結果、放出フラグ13hがオンしていれば(S94:Yes)、蓄越カウンタ13eの値が「0」であるか否かを確認して(S95)、保留されている大当たりがあるかを調べる。蓄越カウンタ13eの値が「0」でなければ(S95:No)、以前に保留された大当たりが未放出の状態で蓄越されているので、その大当たりを放出するために放出選択フラグ13gをオンして(S96)、この大当たり処理を終了する。
一方、S95の処理において、蓄越カウンタ13eの値が「0」である場合には(S95:Yes)、保留されている大当たりがないということなので、放出選択フラグ13gおよび放出フラグ13hをオフして(S97及びS98)、この大当たり処理を終了する。
なお、S92の処理において、大当たりフラグ13fがオンしてない状態、即ち、大当たりフラグ13fがオフしている場合には(S92:No)、S93〜S98のいずれかの処理を既に実行しているので、これらの処理をスキップして、この大当たり処理を終了する。よって、大当たりフラグ13fがオフされた後は、この大当たり処理では、大当たり実行処理(S91)のみが行われる。また、S94の処理において、放出フラグ13hがオンしていない状態、即ち、放出フラグ13hがオフの場合には(S94:No)、この大当たりが放出図柄で大当たりしていない場合、即ち、単発大当たり図柄での大当たりということなので、S95〜S98の処理をスキップして、この大当たり処理を終了する。
次に、図11を参照して、図8の保留球カウンタ減算処理の中で実行される放出選択処理(S69)について説明する。この放出選択処理は、放出選択フラグ13gがオンしている場合、即ち、放出図柄で大当たりが発生して、更に、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上であった場合に、その大当たりが終了した際に行われる保留球カウンタ減算処理の中で実行される処理である。
放出選択処理(S69)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータは大当たりを発生する値であるか否かを確認する(S101)。図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値でなければ(S101:No)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータはハズレの変動表示なので、図柄回転実行エリア13jに記憶されているハズレ図柄の停止図柄を以前に保留された蓄越図柄のいずれかに書き換える(S102)。そして、図柄回転実行エリア13jに記憶されているハズレの変動パターン及びリーチパターンを大当たり時の変動パターンに書き換えて(S103)、蓄越カウンタ13eの値から「1」を減算し(S104)、大当たりフラグ13fをオンして(S105)、この放出選択処理を終了する。
なお、S101の処理において、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値である場合は(S101:Yes)、その大当たりを優先して行うために、処理をS106へ移行する。図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータに記憶される変動表示のデータが大当たりであるにもかかわらず、S102〜S105の処理を行って、変動表示のデータを変更してしまうと、せっかく当選した大当たりを損ねてしまう。そこで、蓄越されている大当たりを付与する場合に、大当たりに当選していないときには、変動表示のデータを蓄越されていた大当たりのデータに変更し、逆に、大当たりに当選している場合は、蓄越された大当たりの付与を保留して、当選した大当たりを優先する。よって、当選した大当たりを損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
S106の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」のいずれかであるか否かを確認する(S106)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合には(S106:Yes)、蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S107)、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を特定の図柄(例えば、ハズレ図柄)に設定し(S108)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを特定の変動パターン(例えば、ハズレの変動パターン)に設定して(S109)、この放出選択処理を終了する。
一方、S106の処理において、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値でない場合には(S106:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「7」であるか否かを確認する(S110)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であった場合には(S110:Yes)、放出フラグ13hをオンして(S111)、処理をS112へ移行する。一方、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値でない場合、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄を選択する「1」、「3」、「5」又は「9」のいずれかであった場合には(S110:No)、S111の処理をスキップして、処理をS112の処理へと移行する。
S112の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定して(S112)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S113)、大当たり処理を実行させるため、大当たりフラグ13fをオンして(S114)、この放出選択処理を終了する。
以上説明したように、第1実施例のパチンコ機Pによれば、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であるとき、同じく始動入賞に基づいて取得された大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値であった場合に、その大当たりを保留する。また、保留された大当たりは、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であるとき、同じく始動入賞に基づいて取得された大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であった場合に、その放出図柄での大当たりの終了後に保留されている大当たりを発生させる。よって、大当たりを保留することにより、新たな遊技性を提供することができると共に、大当たりが保留された場合に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
また、従来、遊技者は、パチンコ機の釘調整や、大当たり発生回数等でパチンコ機を選択していた。更に、大当たりに関する遊技性においてはパチンコ機毎に特段の相違がなく、遊技者がパチンコ機を選択する際に明確な選択条件がなかった。しかし、本実施例のパチンコ機Pによれば、各パチンコ機毎に蓄越されている大当たり数が異なり、遊技条件が異なることで各パチンコ機毎で差が生じるので、遊技者がパチンコ機を選択する選択肢を増やすことができる。
以下に本発明の変形例を示す。識別情報等を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段により遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記動的実行手段によって前記表示装置に前記識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に特別遊技状態を発生させる特別遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態が発生し得る場合に、所定条件に応じてその特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機A1。なお、特別遊技状態の付与をずらすとは、例えば、特別遊技状態の付与を保留させること、特別遊技状態の付与を待機させること、或いは、特別遊技状態の付与を遅延させること等が例示される。
遊技機A1において、前記特別遊技付与手段は、ランダムに値を取得する乱数取得手段を備え、始動条件の成立に基づいて取得された前記乱数取得手段の値に応じて前記特別遊技状態を付与するものであり、前記乱数取得手段の値が前記特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じてその特別遊技状態の付与をずらす特別遊技蓄越手段を備えていることを特徴とする遊技機A2。始動条件の成立に基づいて取得された乱数取得手段の値が特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて特別遊技蓄越手段によりその特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。なお、第1所定条件とは、例えば、少なくとも1の所定のカウンタ(乱数取得手段を含む)の値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。また、特別遊技状態とは、例えば、球等の有価価値を有する遊技媒体が遊技者に付与される大当たり状態、特別遊技状態の発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、又は、始動条件の成立が通常状態より容易にされると共に1の動的表示に要する時間が短縮されて特別遊技状態が付与され易い時間短縮状態等が例示される。更に、乱数取得手段としては、例えば、所定のタイミングで更新される乱数カウンタや、ランダムに値を取得することができるICカウンタ等が例示される。
遊技機A1又はA2において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によりずらされた前記特別遊技状態を、第2所定条件に応じて遊技者に付与する蓄越放出手段を備えていることを特徴とする遊技機A3。特別遊技蓄越手段によりずらされた特別遊技状態を、第2所定条件に応じて蓄越放出手段により遊技者に特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。なお、第2所定条件とは、例えば、少なくとも1の所定のカウンタ(乱数取得手段を含む)の値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。
遊技機A1からA3のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によりずらした前記特別遊技状態数を記憶する記憶手段を備えていることを特徴とする遊技機A4。従来、遊技者は、遊技機の釘調整や、遊技機の特別遊技状態発生回数等で遊技機を選択していた。遊技機A4によれば、ずらした特別遊技状態数を記憶しておくことで、遊技者に不利益を被らせることなく適切な遊技を提供することができると共に、各遊技機毎に記憶手段に記憶される特別遊技状態数が異なり、遊技条件が異なることで各遊技機毎で差が生じるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増やすことができる。
遊技機A4において、前記蓄越放出手段は、前記第2所定条件が成立した場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の全部を付与するものであることを特徴とする遊技機A5。第2所定条件が成立した場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の全部を付与することで、ずらした特別遊技状態を一度に遊技者に付与することができる。よって、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することで、遊技者に通常より高い遊技価値が付与することができる。
遊技機A4において、前記蓄越放出手段は、前記第2所定条件が成立した場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の一部を付与するものであることを特徴とする遊技機A6。第2所定条件が成立した場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の一部を付与することで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することができる。特別遊技状態を一度に全部付与してしまうと、記憶手段にずらされた特別遊技状態が無くなってしまい、遊技者は、ずらされた特別遊技状態が全部付与されたと認識すると、得られる遊技価値が少なくなったと判断して、遊技の継続意欲を無くしてしまう。そこで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することによって、遊技者の遊技の継続意欲を保つことができると共に、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することができる。
遊技機A4からA6のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記乱数取得手段の値が前記特別遊技状態を付与する値である場合に、前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があるか否かを確認する蓄越確認手段を備え、その蓄越確認手段によって前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があると判断された場合に、その記憶手段に記憶されている少なくとも1の前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機A7。乱数取得手段の値が特別遊技状態を付与する値である場合に、蓄越確認手段によって記憶手段にずらされた特別遊技状態があるか否かを確認し、記憶手段にずらされた特別遊技状態があると判断された場合に、そのずらされている少なくとも1の特別遊技状態を付与する。よって、遊技者は、確率的に動的表示の回転回数に応じてずらされた特別遊技状態数が多いと判断することで、動的表示の回転数に応じた遊技機の選択を行うことができるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増加させることができる。
遊技機A4からA7のいずれかにおいて、前記記憶手段は、停電等によって電源が切断されると判断された場合に、前記記憶手段に記憶されるデータを電源の切断後においても保持(記憶)し、電源再入時にその保持されたデータに基づいて遊技を再開可能とするバックアップ機能を有していることを特徴とする遊技機A8。記憶手段にバックアップ機能を付与することによって、停電等による電源断時にもデータを保持し、電源再入時に保持されたデータに基づいて電源断時の状態に復帰して遊技の制御を再開することができると共に、ずらされた特別遊技状態を保持しておくことができるので、遊技者に不利益を被らせることなく適切な遊技を提供することができる。
遊技機A2からA8のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第1所定条件に応じて前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機A9。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第1所定条件に応じて特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。なお、所定の条件とは、例えば、所定のカウンタの値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。
遊技機A9において、前記特別遊技付与手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機A10。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機A10において、前記特別遊技付与手段は、少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与する場合に、前記実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた前記特別遊技状態に変更する情報変更手段を備えていることを特徴とする遊技機A11。少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を特別遊技状態に変更する。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機A11において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判断する判断手段と、その判断手段により前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するものであると判断された場合は、前記情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す変更蓄越手段とを備えていることを特徴とする遊技機A12。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者は2の特別遊技状態に当選したにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、判断手段によって、変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その動的表示情報が特別遊技状態を発生するか否かを判断し、その判断手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判断された場合に、変更蓄越手段によって、情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す。よって、少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、特別遊技状態に当選していないときには、動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更することができる。一方、特別遊技状態に当選している場合は、ずらされた特別遊技状態の付与を持ち越して、当選した特別遊技状態を優先することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機A11において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により前記実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判断する判断手段とを備え、その判断手段により前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するものであると判断された場合は、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、前記情報変更手段により動的表示情報の変更するものであることを特徴とする遊技機A13。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者は2の特別遊技状態に当選したにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、判断手段によって、変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その動的表示情報が特別遊技状態を発生するか否かを判断し、その判断手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判断された場合に、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、情報変更手段により動的表示情報を以前にずらさせている特別遊技状態に変更する。よって、特別遊技状態に当選している場合は、当選した特別遊技状態の付与をずらして、以前にずらされた特別遊技状態を付与することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機A1からA13のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置に表示される前記識別情報を選定する識別情報カウンタとを備え、始動条件の成立に基づいて取得された前記乱数取得手段の値が前記特別遊技状態の付与する値であった場合に、前記識別情報カウンタの値が予め定めた第1所定値であるときは、前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機A14。識別情報カウンタの値に応じて特別遊技状態の付与をずらすことによって、特別遊技状態の発生にランダム性を付与して、遊技機の遊技性を向上させることができる。
遊技機A14において、前記特別遊技付与手段は、始動条件の成立に基づいて所得された前記乱数取得手段の値が前記特別遊技状態を付与するものであった場合に、前記識別情報カウンタの値が予め定めた第2所定値であるときは、前記記憶手段に記憶された少なくとも1の前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機A15。識別情報カウンタの値に応じて記憶手段に記憶される少なくとも1の特別遊技状態を付与することによって、特別遊技状態の発生にランダム性を付与して、遊技機の遊技性を向上させることができる。
遊技機A14において、前記特別遊技付与手段は、始動条件の成立に基づいて所得された前記乱数取得手段の値が前記特別遊技状態を付与するものであった場合に、前記識別情報カウンタの値が予め定めた第3所定値であるときは、前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機A16。識別情報カウンタの値に応じて特別遊技状態を付与することによって、特別遊技状態の発生にランダム性を付与して、遊技機の遊技性を向上させることができる。
遊技機A1からA16のいずれかにおいて、前記識別情報は、前記特別遊技状態をずらす蓄越識別情報と、前記記憶手段に記憶された少なくとも1の前記特別遊技状態を付与させる放出識別情報と、前記特別遊技状態を付与させる単発識別情報とを備え、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越識別情報、放出識別情報及び単発識別情報により前記動的表示を行うものであることを特徴とする遊技機A17。識別情報の種類により付与される遊技状態を異ならせることによって、動的表示のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機A1からA17のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機A18。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。また、従来のスロットマシンは、例えば、特別遊技状態を取得した場合、目押し等の遊技者の技量に応じてその特別遊技状態を遊技者に付与していた。しかしながら、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機にスロットマシンを用いると、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量が必要となる。よって、ただでさえ特別遊技状態をずらすという行為によって意図的に射倖性を高めているにもかかわらず、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量を求めることによって、不慣れな遊技者に多大な負担を与えて射倖性を高めてしまい、遊技機における適切な射倖性が維持できなくなってしまう。このため、遊技者はその遊技機における遊技を敬遠しがちになってしまい、遊技場の利益が減少してしまうという問題点があった。一方、パチンコ遊技機は、特別遊技状態に当選した場合、遊技者の技量如何にかかわらず、一義的に遊技者の特別遊技状態を付与することができる。よって、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機において、パチンコ遊技機を用いることによって、例えば、特別遊技状態を取得した場合に、遊技者の技量にかかわらず特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、不慣れな遊技者が遊技を行う場合でも、特別遊技状態に当選した場合には一義的に特別遊技状態を付与することができるので、適度な射倖性を維持しつつ、新たな遊技性による興趣を遊技者に提供することができる。
遊技機A1からA17のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機A19。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A1からA17のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機A20。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
次に、図12から図17を参照して、本発明の第2実施例について説明する。第1実施例のパチンコ機Pでは、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であるとき、同じく始動入賞に基づいて取得された大当たり図柄カウンタ13dの値が「0,2,4,6,8」のいずれか、即ち、蓄越図柄を選択する値であった場合に、その大当たりを保留していた。また、保留された大当たりは、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であるとき、同じく始動入賞に基づいて取得された大当たり図柄カウンタ13dの値が「7」、即ち、放出図柄を選択する値であった場合に、その放出図柄での大当たりの終了後に保留されている大当たりを発生させていた。これに代えて、第2実施例のパチンコ機Pでは、大当たり図柄カウンタ13dではなく、属性カウンタ13oの値に応じて、大当たりの保留と、保留された大当たりの発生とを決定する。よって、大当たりが発生した場合、その大当たりを大当たり図柄に関係なく、大当たりの保留、保留された大当たりの付与(放出)、又は、単発の大当たりの付与を決定することができ、大当たりが発生する場合に、その大当たりによる遊技価値の付与をずらすことにより、遊技の幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
図12は、第2実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第2実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのRAM13には、属性カウンタ13oが設けられている。
属性カウンタ13oは、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であった場合に、その大当たりの属性、即ち、その大当たりを保留するか、その大当たりを付与すると共に蓄越カウンタ13eに記憶されている保留された大当たりを付与するか、又は、単発の大当たりを付与するか否かを決定するためのカウンタであり、乱数更新処理(図5、S16参照)によって、「0」〜「9」の範囲で2ms毎に1カウントずつ更新される。かかる属性カウンタ13oの値は、前記した無作為抽出カウンタ13b、ハズレリーチカウンタ13c及び大当たり図柄カウンタ13dの値と同様に始動入賞時に取得され、このとき取得された属性カウンタ13oの値は、前記した無作為抽出カウンタ13b、ハズレリーチカウンタ13c及び大当たり図柄カウンタ13dの値と共に、保留球カウンタ13iの値が示す図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに書き込まれて記憶される(図14、S124参照)。
図13は、属性カウンタ13oの値に応じた大当たりの属性表60である。第2実施例では、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合、同じく始動入賞で取得された属性カウンタ13oの値に応じて大当たりの属性、即ち、その大当たりを保留するか、保留されている大当たりを放出するか、又は、単発の大当たりを付与するか否かを決定する。図3の属性表60に示すように、属性カウンタ13oの値が「0」、「2」、「4」、「6」及び「8」の場合は、大当たりを保留されるように設定されている。また、属性カウンタ13oの値が「1」、「3」、「5」及び「9」の場合は、単発の大当たりを発生させる単発大当たりが発生するように設定されている。更に、属性カウンタ13oの値が「7」の場合は、保留された大当たりが放出されるように設定されている。
図14は、図柄チェック処理(図5、S21参照)の中で実行される第2実施例の変動表示設定処理のフローチャートである。この変動表示設定処理では、第1種始動口スイッチ18が球を検出して、保留球カウンタ13iの値が「4」以上でない場合に、保留球カウンタ13iの値が示す図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに変動表示のデータを書き込む。
まず、この変動表示設定処理では、第1種始動口スイッチ18が球を検出したか否かを確認する(S121)。第1種始動口スイッチ18が球を検出していない場合は(S121:No)、この変動表示設定処理を終了する。また、第1種始動口スイッチ18が球を検出していれば(S121:Yes)、次に、保留球カウンタ13iの値が「4」以上であるか否かを確認する(S122)。保留球カウンタ13iの値が「4」以上であれば(S122:Yes)、変動表示の待機回数分設けられた図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに既に変動表示のデータが書き込まれているということなので、この変動表示設定処理を終了する。一方、保留球カウンタ13iの値が「4」未満であれば(S122:No)、変動表示のデータが待機回数分記憶されていないということなので、保留球カウンタ13iの値に「1」を加算して(S123)、第1種始動口スイッチ18が球を検出したことによって取得される無作為抽出カウンタ13b、ハズレリーチカウンタ13c、大当たり図柄カウンタ13d及び属性カウンタ13oの値を変動表示のデータとして、保留球カウンタ13iの値が示す図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに書き込んで(S124)、この変動表示設定処理を終了する。
図15は、保留球カウンタ減算処理(図8参照)の中で実行される第2実施例の通常選択処理(S68)を示したフローチャートである。第2実施例の通常選択処理では、通常選択処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値であった場合に、属性選択処理(図16参照)を行い、属性カウンタ13oの値に応じて付与する遊技価値を決定するものである。具体的には、属性カウンタ13oの値が蓄越を選択する値である場合には、その大当たりを保留して、蓄越カウンタ13eに大当たりが保留されたことを記憶する。また、属性カウンタ13oの値が放出を選択する値である場合には、蓄越カウンタ13eに記憶されている大当たり放出する。更に、属性カウンタ13oの値が単発大当たり図柄を選択する値である場合には、単発の大当たりとする。
通常選択処理(S68)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値は大当たりを発生する値であるか否かを確認する(S131)。図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値でない場合には(S131:No)、ハズレリーチやハズレの変動パターン等を設定する各処理を行い(S133)、この通常選択処理を終了する。一方、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合には(S131:Yes)、属性選択処理を行う(S132)。
図16は、属性選択処理を示したフローチャートである。この属性選択処理(S132)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される属性カウンタ13oの値が蓄越を選択する値であるか否か、即ち、属性カウンタ13oの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」のいずれかであるか否かを確認する(S141)。確認の結果、属性カウンタ13oの値が蓄越を選択する値である場合には(S141:Yes)、蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S142)、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を特定の図柄(例えば、ハズレ図柄)に設定し(S143)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを特定の変動パターン(例えば、ハズレの変動パターン)に設定して(S144)、この属性選択処理を終了する。なお、属性選択処理(S132)の終了後は、通常選択処理(S68)が終了する。
一方、S141の処理において、属性カウンタ13oの値が蓄越を選択する値でない場合には(S141:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される属性カウンタ13oの値が放出を選択する値であるか否か、即ち、属性カウンタ13oの値が「7」であるか否かを確認する(S145)。確認の結果、属性カウンタ13oの値が放出を選択する値であった場合には(S145:Yes)、放出フラグ13hをオンして(S146)、処理をS147へ移行する。一方、属性カウンタ13oの値が放出を選択する値でない場合、即ち、属性カウンタ13oの値が単発大当たりを選択する「1」、「3」、「5」又は「9」のいずれかの値であった場合には(S145:No)、S146の処理をスキップして、処理をS147の処理へと移行する。
S147の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定して(S147)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S148)、大当たり処理を実行させるため、大当たりフラグ13fをオンして(S149)、この属性選択処理(S132)を終了する。なお、属性選択処理(S132)の終了後は、通常選択処理(S68)が終了する。
次に、図17を参照して、図8の保留球カウンタ減算処理の中で実行される第2実施例の放出選択処理(S69)について説明する。この放出選択処理は、放出選択フラグ13gがオンしている場合、即ち、放出図柄で大当たりが発生して、更に、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上であった場合に、その大当たりが終了した際に行われる保留球カウンタ減算処理の中で実行される処理である。
第2実施例の放出選択処理(S69)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータは大当たりを発生する値であるか否かを確認する(S151)。図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値でなければ(S151:No)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータはハズレの変動表示なので、図柄回転実行エリア13jに記憶されているハズレ図柄の停止図柄を大当たり図柄のいずれかに書き換える(S152)。そして、図柄回転実行エリア13jに記憶されているハズレの変動パターン及びリーチパターンを大当たり時の変動パターンに書き換えて(S153)、蓄越カウンタ13eの値から「1」を減算し(S154)、大当たりフラグ13fをオンして(S155)、この放出選択処理を終了する。
なお、S151の処理において、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値である場合は(S151:Yes)、その大当たりを優先して行うために、図16に示す属性選択処理(S132)を行う。図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータに記憶される変動表示のデータが大当たりであるにもかかわらず、S152〜S155の処理を行って、変動表示のデータを変更してしまうと、せっかく当選した大当たりを損ねてしまう。そこで、蓄越されている大当たりを付与する場合に、大当たりに当選していないときには、変動表示のデータを蓄越されていた大当たりのデータに変更し、逆に、大当たりに当選している場合は、蓄越された大当たりの付与を保留して、当選した大当たりを優先する。よって、当選した大当たりを損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
以上説明したように、第2実施例のパチンコ機Pによれば、大当たり発生時にLCD3に表示される図柄を決定する大当たり図柄カウンタ13dとは別に属性カウンタ13oを設け、大当たりが発生する場合に、始動入賞によって取得される属性カウンタ13oの値に応じてその大当たりの遊技価値を決定する。従って、大当たり発生時にLCD3に表示される図柄とは無関係にその大当たりの遊技価値を決定、即ち、その大当たりを保留するか、その大当たりを付与すると共に保留されている大当たりを付与するか、単発の大当たりを付与するか否かを決定する。よって、遊技者は大当たり図柄の表示結果からは大当たりの遊技価値を認識し難く、その遊技価値を認識するまで遊技の興趣を維持することができると共に、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
以下に本発明の変形例を示す。識別情報等を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段により遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記動的実行手段によって前記表示装置に前記識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に特別遊技状態を発生させる特別遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記特別遊技付与手段は、始動条件の成立に基づいてランダムに値を取得する第1無作為抽出手段と、始動条件の成立に基づいてランダムに値を取得する第2無作為抽出手段と、始動条件の成立に基づいて取得された前記第1無作為抽出手段の値に応じて前記特別遊技状態を付与する特別遊技状態付与手段とを備え、前記第1無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値であった場合に、前記表示装置に表示される前記識別情報の表示結果如何にかかわらず、前記第2無作為抽出手段の値に応じて前記特別遊技状態付与手段で付与される特別遊技状態をずらすことを特徴とする遊技機B1。なお、特別遊技状態の付与をずらすとは、例えば、特別遊技状態の付与を保留させること、特別遊技状態の付与を待機させること、或いは、特別遊技状態の付与を遅延させること等が例示される。
遊技機B1において、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置に表示される識別情報を選定する識別情報カウンタを備え、その識別情報カウンタは、前記第2無作為抽出手段とは別に設けられていることを特徴とする遊技機B2。特別遊技状態の付与のずらしを決定、又は、ずらされた特別遊技状態の付与を決定する第2無作為抽出手段とは別に、表示装置に表示される識別情報を選定する識別情報カウンタを設ける。よって、表示装置に表示される識別情報とは無関係に特別遊技状態をずらすことができると共に、表示装置に表示される識別情報とは無関係にずらされた特別遊技状態を付与することができる。よって、識別情報の表示結果如何にかかわらず特別遊技状態がずらされるか、ずされた特別遊技状態が付与されるので、遊技者は識別情報の表示結果から特別遊技状態の遊技価値を認識し難く、その遊技価値を認識するまで遊技の興趣を維持することができると共に、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機B1又はB2において、前記特別遊技付与手段は、始動条件の成立に基づいて取得された前記第1無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値である場合に、同じく始動条件の成立に基づいて取得された前記第2無作為抽出手段の値が第1所定値であるとき、前記特別遊技状態をずらす特別遊技蓄越手段を備えていることを特徴とする遊技機B3。特別遊技蓄越手段は、始動条件の成立に基づいて取得された第2無作為抽出手段の値が第1所定値である場合に特別遊技状態をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。なお、特別遊技状態とは、例えば、球等の有価価値を有する遊技媒体が遊技者に付与される大当たり状態、特別遊技状態の発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、又は、始動条件の成立が通常状態より容易にされると共に1の動的表示に要する時間が短縮されて特別遊技状態が付与され易い時間短縮状態等が例示される。また、第1無作為抽出手段又は第2無作為抽出手段としては、例えば、所定のタイミングで更新される乱数カウンタや、ランダムに値を取得することができるICカウンタ等が例示される。
遊技機B3において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によりずらされた前記特別遊技状態を、第2所定条件の成立に応じて遊技者に付与する蓄越放出手段を備えていることを特徴とする遊技機B4。特別遊技蓄越手段によりずらされた特別遊技状態を、第2所定条件に応じて蓄越放出手段により遊技者に特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。なお、第2所定条件とは、例えば、少なくとも1の所定のカウンタ(乱数取得手段を含む)の値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。
遊技機B1からB4のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、始動条件の成立に基づいて取得された前記第1無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値である場合に、同じく始動条件の成立に基づいて取得された前記第2無作為抽出手段の値が第2所定値であるとき、前記特別遊技蓄越手段によってずらされた前記特別遊技状態を遊技者に付与する蓄越放出手段を備えていることを特徴とする遊技機B5。蓄越放出手段は、始動条件の成立に基づいて取得された第2無作為抽出手段の値が第2所定値である場合に、特別遊技蓄越手段によりずらされた特別遊技状態を遊技者に付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機B1からB5のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、始動条件の成立に基づいて取得された前記第1無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値である場合に、同じく始動条件の成立に基づいて取得された前記第2無作為抽出手段の値が第3所定値であるとき、前記特別遊技状態付与手段によって特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機B6。始動条件の成立に基づいて取得された第2無作為抽出手段の値が第3所定値である場合に、特別遊技状態付与手段によって特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態の付与にランダム性を付与して、遊技機の遊技性を向上させることができる。
遊技機B4からB6のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によりずらした前記特別遊技状態数を記憶する記憶手段を備えていることを特徴とする遊技機B7。従来、遊技者は、遊技機の釘調整や、遊技機の特別遊技状態発生回数等で遊技機を選択していた。遊技機B7によれば、ずらした特別遊技状態数を記憶しておくことで、遊技者に不利益を被らせることなく適切な遊技を提供することができると共に、各遊技機毎に記憶手段に記憶される特別遊技状態数が異なり、遊技機毎に差が生じるため、遊技者は、確率的に動的表示の回転回数に応じてずらされた特別遊技状態数が多いと判断することで、動的表示の回転数に応じた遊技機の選択を行うことができるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増加させることができる。
遊技機B7において、前記蓄越放出手段は、所定条件に応じて、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の全部を付与するものであることを特徴とする遊技機B8。所定条件に応じて、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の全部を付与することで、ずらした特別遊技状態を一度に遊技者に付与することができる。よって、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することで、遊技者に通常より高い遊技価値が付与することができる。なお、所定条件としては、例えば、始動条件の成立に基づいて取得される第1無作為抽出手段の値、始動条件の成立に基づいて取得される第2無作為抽出手段の値、動的表示の回数、又は、記憶手段に記憶される特別遊技状態数等が例示される。
遊技機B7において、前記蓄越放出手段は、所定条件に応じて、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の一部を付与するものであることを特徴とする遊技機B9。所定条件に応じて、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の一部を付与することで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することができる。特別遊技状態を一度に全部付与してしまうと、記憶手段にずらされた特別遊技状態が無くなってしまい、遊技者は、ずらされた特別遊技状態が全部付与されたと認識すると、得られる遊技価値が少なくなったと判断して、遊技の継続意欲を無くしてしまう。そこで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することによって、遊技者の遊技の継続意欲を保つことができると共に、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することができる。なお、所定条件としては、例えば、始動条件の成立に基づいて取得される第1無作為抽出手段の値、始動条件の成立に基づいて取得される第2無作為抽出手段の値、動的表示の回数、又は、記憶手段に記憶される特別遊技状態数等が例示される。
遊技機B7からB9のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記第1無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値である場合に、前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があるか否かを確認する蓄越確認手段を備え、その蓄越確認手段によって前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があると判断された場合に、その記憶手段に記憶されている少なくとも1の前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機B10。第1無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値である場合に、蓄越確認手段によって記憶手段にずらされた特別遊技状態があるか否かを確認し、記憶手段にずらされた特別遊技状態があると判断された場合に、そのずらされている少なくとも1の特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機B7からB10のいずれかにおいて、前記記憶手段は、停電等によって電源が切断されると判断された場合に、前記記憶手段に記憶されるデータを電源の切断後においても保持(記憶)し、電源再入時にその保持されたデータに基づいて遊技を再開可能とするバックアップ機能を有していることを特徴とする遊技機B11。記憶手段にバックアップ機能を付与することによって、停電等による電源断時にもデータを保持し、電源再入時に保持されたデータに基づいて電源断時の状態に復帰して遊技の制御を再開することができると共に、ずらされた特別遊技状態を保持しておくことができるので、遊技者に不利益を被らせることなく適切な遊技を提供することができる。
遊技機B1からB11のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第2無作為抽出手段が第1所定値であるとき前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機B12。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第2無作為抽出手段が第1所定値であるとき特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機B12において、前記特別遊技付与手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第2無作為抽出手段が第2所定値であるとき、少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機B13。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第2無作為抽出手段が第2所定値であるとき、少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機B13において、前記特別遊技付与手段は、少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与する場合に、前記実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた前記特別遊技状態に変更する情報変更手段を備えていることを特徴とする遊技機B14。少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を特別遊技状態に変更する。よって、実行記憶手段に記憶される動的表示情報を書き換えることによって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機B14において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判断する判断手段と、その判断手段により前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するものであると判断された場合は、前記情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す変更蓄越手段とを備えていることを特徴とする遊技機B15。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その変更対象の動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者は2の特別遊技状態に当選したにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、判断手段によって、変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が特別遊技状態を発生するか否かを判断し、その判断手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判断された場合に、変更蓄越手段によって、情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す。よって、少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、特別遊技状態に当選していないときには、動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更することができる。一方、特別遊技状態に当選している場合は、ずらされた特別遊技状態の付与を持ち越して、当選した特別遊技状態を優先することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機B14において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判断する判断手段とを備え、その判断手段により前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するものであると判断された場合は、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、前記情報変更手段により動的表示情報の変更するものであることを特徴とする遊技機B16。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者は2の特別遊技状態に当選したにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、判断手段によって、変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が特別遊技状態を発生するか否かを判断し、その判断手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判断された場合に、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、情報変更手段により動的表示情報を以前にずらさせている特別遊技状態に変更する。よって、特別遊技状態に当選している場合は、当選した特別遊技状態の付与をずらして、以前にずらされた特別遊技状態を付与することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機B1からB16のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機B17。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。また、従来のスロットマシンは、例えば、特別遊技状態を取得した場合、目押し等の遊技者の技量に応じてその特別遊技状態を遊技者に付与していた。しかしながら、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機にスロットマシンを用いると、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量が必要となる。よって、ただでさえ特別遊技状態をずらすという行為によって意図的に射倖性を高めているにもかかわらず、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量を求めることによって、不慣れな遊技者に多大な負担を与えて射倖性を高めてしまい、遊技機における適切な射倖性が維持できなくなってしまう。このため、遊技者はその遊技機における遊技を敬遠しがちになってしまい、遊技場の利益が減少してしまうという問題点があった。一方、パチンコ遊技機は、特別遊技状態に当選した場合、遊技者の技量如何にかかわらず、一義的に遊技者の特別遊技状態を付与することができる。よって、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機において、パチンコ遊技機を用いることによって、例えば、特別遊技状態を取得した場合に、遊技者の技量にかかわらず特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、不慣れな遊技者が遊技を行う場合でも、特別遊技状態に当選した場合には一義的に特別遊技状態を付与することができるので、適度な射倖性を維持しつつ、新たな遊技性による興趣を遊技者に提供することができる。
遊技機B1からB16のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機B18。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機B1からB16のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機B19。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
次に、図18を参照して、本発明の第23−1実施例について説明する。第1実施例のパチンコ機Pでは、始動入賞によって取得された無作為抽出カウンタ13bが大当たりを発生する値であると共に、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合に、蓄越カウンタ13eの値が加算されていた。言い換えれば、蓄越カウンタ13eの値は蓄越図柄での大当たり以外では加算されず、例えば、電源入時にクリアスイッチ30cがオンされていた場合には、蓄越カウンタ13eの値は「0」クリアされてしまっていた。よって、遊技者が蓄越図柄での大当たりをいかに多く発生させて蓄越カウンタ13eの値をどれだけ加算しても、遊技場(ホール)の運営方針等によって、電源断時に蓄越カウンタ13eの値を「0」クリアされてしまうと、蓄越されている大当たりが消去されてしまい、当選した大当たりが遊技者に付与されない場合があった。しかし、第3実施例のパチンコ機Pでは、初期化処理においても蓄越カウンタ13eのデータを「0」クリアしないように構成する。従って、RAM13等を初期化する初期化処理が施された場合でも、ずらされている大当たりのデータは蓄越カウンタ13eによって維持することができるので、電源切断後も当選して付与されるべき大当たりを記憶しておくことができ、遊技場(ホール)に利己的な運営をさせずに、ずらされている大当たりを適切に遊技者へ付与することができる。
図18は、第23−1実施例のパチンコ機Pの電源入時に主制御基板Cのメイン処理の中で実行される初期化処理(S12)のフローチャートである。この処理では、情報保持が有効であれば、情報保持メモリ13aに記憶された各データを元の状態に戻し、遊技の制御を電源が断される前の状態から続行する。一方、情報保持が有効でなかったり、情報保持が有効であっても電源入時にクリアスイッチ30cが押下された場合には、蓄越カウンタ13e以外のRAMクリア及び初期化処理を実行する。なお、この初期化処理(S12)は、サブルーチンの形式で記載されているが、スタックポインタの設定前に実行される処理なので、実際には、サブルーチンコールされずに、S11の処理後に順に実行される。
まず、スタックポインタを設定し(S41)。クリアスイッチ30cがオンされているか否かを確認する(S42)。クリアスイッチ30cがオンされていなければ(S42:No)、情報保持が有効であるか否かを確認する(S43)。この確認は、RAM13の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。キーワードが正しく記憶されていれば情報保持は有効であり、逆に、キーワードが正しくなければ情報保持データは破壊されているので、その情報保持は有効ではない。情報保持が有効であれば(S43:Yes)、処理をS45へ移行して、主制御基板Cの各状態を電源断前の状態に復帰させる。一方、情報保持が有効でなかったり(S43:No)、或いはクリアスイッチ30cがオンされていれば(S42:Yes)、蓄越カウンタ13e以外のRAMクリア及び初期化処理を実行して(S160)、蓄越カウンタ13e以外のRAM13及びI/O等の各値を初期化して、この初期化処理を終了する。このS160の処理の終了後は、図5のS13の処理が実行される。
次に、図19及び図20を参照して、本発明の第23−2実施例について説明する。第23−1実施例のパチンコ機Pでは、電源入時の初期化処理(S12)において、蓄越カウンタ13e以外のRAMクリア及び初期化処理(S160)を行って蓄越カウンタ13eの値を初期化処理後も維持していた。これに代えて、第23−2実施例のパチンコ機Pでは、蓄越カウンタ13e以外のRAMクリア及び初期化処理(S160)が行われた後に、蓄越カウンタ13eに記憶されている大当たり数に応じて、蓄越カウンタ13eの値を設定する蓄越カウンタ初期設定処理(S161)を行うように構成する。
蓄越カウンタ13eに記憶されるデータは、初期化されずに維持され続けるので、例えば、不正行為やプログラムの暴走等によって、通常では考えられない不適切な値が記憶される場合がある。そこで、蓄越カウンタ13eに記憶されるデータをそのデータ内容に応じて設定することによって、遊技者に大当たりが異常に多く付与される等の不具合を解消することができるので、遊技者に適切な遊技を提供することができる。
図19は、第23−2実施例のパチンコ機Pの電源入時に主制御基板Cのメイン処理の中で実行される初期化処理(S12)のフローチャートである。この処理では、情報保持が有効であれば、情報保持メモリ13aに記憶された各データを元の状態に戻し、遊技の制御を電源が断される前の状態から続行する。一方、情報保持が有効でなかったり、情報保持が有効であっても電源入時にクリアスイッチ30cが押下された場合には、蓄越カウンタ13e以外のRAMクリア及び初期化処理を実行して、蓄越カウンタ13eの値に応じて蓄越カウンタ13eの値を再設定する蓄越カウンタ初期設定処理を行う。なお、この初期化処理(S12)は、サブルーチンの形式で記載されているが、スタックポインタの設定前に実行される処理なので、実際には、サブルーチンコールされずに、S11の処理後に順に実行される。
まず、スタックポインタを設定し(S41)。クリアスイッチ30cがオンされているか否かを確認する(S42)。クリアスイッチ30cがオンされていなければ(S42:No)、情報保持が有効であるか否かを確認する(S43)。この確認は、RAM13の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。キーワードが正しく記憶されていれば情報保持は有効であり、逆に、キーワードが正しくなければ情報保持データは破壊されているので、その情報保持は有効ではない。情報保持が有効であれば(S43:Yes)、処理をS45へ移行して、主制御基板Cの各状態を電源断前の状態に復帰させる。一方、情報保持が有効でなかったり(S43:No)、或いはクリアスイッチ30cがオンされていれば(S42:Yes)、蓄越カウンタ13e以外のRAMクリア及び初期化処理を実行して(S160)、蓄越カウンタ13e以外のRAM13及びI/O等の各値を初期化する。その後、蓄越カウンタ初期設定処理を行う(S161)。
図20は、蓄越カウンタ初期設定処理(S161)を示したフローチャートである。この蓄越カウンタ初期設定処理では、まず、蓄越カウンタ13eの値は「200」以上か否かを確認する(S171)。確認の結果、蓄越カウンタ13eの値が「200」以上であれば(S171:Yes)、ずらされている大当たり数があまりにも多いので蓄越カウンタ13eの値を「20」に設定して(S172)、ずらされている大当たり数を適切な値に設定して、この蓄越カウンタ初期設定処理を終了する。
一方、S171の処理において、蓄越カウンタ13eの値が「200」以上でない場合には(S171:No)、次に、蓄越カウンタ13eの値は「100」以上か否かを確認する(S173)。蓄越カウンタ13eの値が「100」以上であれば(S173:Yes)、蓄越カウンタ13eの値を「10」に設定して(S174)、この蓄越カウンタ初期設定処理を終了する。
S173の処理において、蓄越カウンタ13eの値が「100」以上でない場合には(S173:No)、次に、蓄越カウンタ13eの値は「50」以上か否かを確認する(S175)。確認の結果、蓄越カウンタ13eの値が「50」以上であれば(S175:Yes)、蓄越カウンタ13eの値を「5」に設定して(S176)、この蓄越カウンタ初期設定処理を終了する。なお、蓄越カウンタ初期設定処理の終了後は、この初期化処理を終了する。この初期化処理(S12)の終了後は、図5のS13の処理が実行される。
次に、図21から図24を参照して、本発明の第23−3実施例について説明する。第23−2実施例のパチンコ機Pでは、電源入時の初期化処理(S12)において、蓄越カウンタ13e以外のRAMクリア及び初期化処理(S160)を行って、蓄越カウンタ初期設定処理(S161)を行い、蓄越カウンタ13eの値を判断して、その判断された値に応じて蓄越カウンタ13eの値を再設定していた。これに代えて、第23−3実施例のパチンコ機Pでは、蓄越カウンタ13eの値を判断すると共に、LCD3で行われる変動表示の回数を判断して、蓄越カウンタ13eの値を再設定するように構成する。
蓄越カウンタ13eに記憶されるデータは、初期化されずに維持され続けるので、例えば、不正行為やプログラムの暴走等によって、通常では考えられない不適切な値が記憶される場合がある。また、変動回数が少ないにもかかわらず、蓄越カウンタ13eに大当たりのデータが多く記憶されている場合においても、不正行為やプログラムの暴走等によって、通常では考えられない不適切な値が記憶されるときがある。そこで、蓄越カウンタ13eに記憶されるデータと、変動回数をカウントする変動回数カウンタ13pとの値に応じて、蓄越カウンタ13eの値を設定することによって、遊技者に大当たりが異常に多く付与される等の不具合を解消することができるので、遊技者に適切な遊技を提供することができる。
図21は、第23−3実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第5実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのRAM13には、変動回数カウンタ13pが設けられている。
変動回数カウンタ13pは、LCD3で行われる変動表示の回数を記憶するメモリである。この変動回数カウンタ13pの値は、図23に示す保留球カウンタ減算処理の中で、図柄回転1メモリ13kに記憶される変動表示のデータが図柄回転実行エリア13jに書き込まれた場合に「1」加算される(図23、S182参照)。一方、後述する蓄越カウンタ初期設定処理(図22、S181参照)が実行された場合に、この変動回数カウンタ13pの値は「0」クリアされる(図24、S200参照)。
図22は、第23−3実施例のパチンコ機Pの電源入時に主制御基板Cのメイン処理の中で実行される初期化処理(S12)のフローチャートである。この処理では、情報保持が有効であれば、情報保持メモリ13aに記憶された各データを元の状態に戻し、遊技の制御を電源が断される前の状態から続行する。一方、情報保持が有効でなかったり、情報保持が有効であっても電源入時にクリアスイッチ30cが押下された場合には、蓄越カウンタ13e及び変動回数カウンタ13p以外のRAMクリア並びに初期化処理を実行して、蓄越カウンタ13e及び変動回数カウンタ13pの値に応じて蓄越カウンタ13eの値を再設定する蓄越カウンタ初期設定処理を行う。なお、この初期化処理(S12)は、サブルーチンの形式で記載されているが、スタックポインタの設定前に実行される処理なので、実際には、サブルーチンコールされずに、S11の処理後に順に実行される。
まず、スタックポインタを設定し(S41)。クリアスイッチ30cがオンされているか否かを確認する(S42)。クリアスイッチ30cがオンされていなければ(S42:No)、情報保持が有効であるか否かを確認する(S43)。この確認は、RAM13の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。キーワードが正しく記憶されていれば情報保持は有効であり、逆に、キーワードが正しくなければ情報保持データは破壊されているので、その情報保持は有効ではない。情報保持が有効であれば(S43:Yes)、処理をS45へ移行して、主制御基板Cの各状態を電源断前の状態に復帰させる。一方、情報保持が有効でなかったり(S43:No)、或いはクリアスイッチ30cがオンされていれば(S42:Yes)、蓄越カウンタ13e及び変動回数カウンタ13p以外のRAMクリア並びに初期化処理を実行して(S180)、蓄越カウンタ13e及び変動回数カウンタ13p以外のRAM13並びにI/O等の各値を初期化する。その後、蓄越カウンタ初期設定処理を行う(S181)。
図24は、蓄越カウンタ初期設定処理(S181)を示したフローチャートである。この蓄越カウンタ初期設定処理では、まず、蓄越カウンタ13eの値は「200」以上か否かを確認する(S191)。確認の結果、蓄越カウンタ13eの値が「200」以上であれば(S191:Yes)、次に、変動回数カウンタ13pの値が「30000」以下か否かを確認する(S192)。変動回数カウンタ13pの値が「30000」以下である場合には(S192:Yes)、変動表示の回数の割にずらされている大当たり数があまりにも多いので、蓄越カウンタ13eの値を「20」に設定して(S193)、ずらされている大当たり数を適切な値に設定して、処理をS200へ移行する。
一方、S192の処理において、変動回数カウンタ13pの値が「30000」以下でない場合には(S192:No)、次に、蓄越カウンタ13eの値は「100」以上か否かを確認する(S194)。蓄越カウンタ13eの値が「100」以上であれば(S173:Yes)、次に、変動回数カウンタ13pの値が「20000」以下であるか否かを確認する(S195)。変動回数カウンタ13pの値が「20000」以下である場合には(S195:Yes)、変動回数の割にずらされている大当たり数があまりにも多いので、蓄越カウンタ13eの値を「10」に設定して(S196)、処理をS200へ移行する。
S195の処理において、変動回数カウンタ13pの値が「20000」以下でない場合には(S195:No)、次に、蓄越カウンタ13eの値は「50」以上か否かを確認する(S197)。確認の結果、蓄越カウンタ13eの値が「50」以上であれば(S197:Yes)、次に、変動回数カウンタ13pの値が「10000」以下であるか否かを確認する(S198)。変動回数カウンタ13pの値が「10000」以下である場合には(S198:Yes)、変動回数の割にずらされている大当たり数があまりにも多いので、蓄越カウンタ13eの値を「5」に設定して(S199)、処理をS200へ移行する。
S200の処理では、変動回数カウンタ13pの値を「0」クリアして(S200)、変動回数カウンタ13pの値を初期化する。S200の処理の後は、この蓄越カウンタ初期設定処理を終了する。なお、蓄越カウンタ初期設定処理の終了後は、この初期化処理を終了する。この初期化処理(S12)の終了後は、図5のS13の処理が実行される。
次に、図25を参照して、本発明の第23−4実施例について説明する。第23−2実施例のパチンコ機Pでは、電源入時の初期化処理(S12)において、蓄越カウンタ13e以外のRAMクリア及び初期化処理(S160)を行って蓄越カウンタ13eの値を初期化処理後も維持していた。これに代えて、第23−4実施例のパチンコ機Pでは、蓄越カウンタ13eを含めたRAMクリア及び初期化処理を行い(S44)、その後、蓄越カウンタ13eの値を所定値に設定するように構成する。
蓄越カウンタ13eに記憶されるデータを初期化せずに維持し続けると、例えば、不正行為やプログラムの暴走等によって、通常では考えられない不適切な値が記憶される場合がある。そこで、蓄越カウンタ13eに記憶されるデータを初期化して、その後、新たに、蓄越カウンタ13eの値を所定値に設定することによって、プログラムが暴走する等の不具合を解消することができると共に、遊技者に大当たりが異常に多く付与される等の不具合を解消することができるので、遊技者に適切な遊技を提供することができる。
図25は、第23−4実施例のパチンコ機Pの電源入時に主制御基板Cのメイン処理の中で実行される初期化処理(S12)のフローチャートである。この処理では、情報保持が有効であれば、情報保持メモリ13aに記憶された各データを元の状態に戻し、遊技の制御を電源が断される前の状態から続行する。一方、情報保持が有効でなかったり、情報保持が有効であっても電源入時にクリアスイッチ30cが押下された場合には、蓄越カウンタ13eを含めたRAMクリア及び初期化処理を実行する。なお、この初期化処理(S12)は、サブルーチンの形式で記載されているが、スタックポインタの設定前に実行される処理なので、実際には、サブルーチンコールされずに、S11の処理後に順に実行される。
まず、スタックポインタを設定し(S41)。クリアスイッチ30cがオンされているか否かを確認する(S42)。クリアスイッチ30cがオンされていなければ(S42:No)、情報保持が有効であるか否かを確認する(S43)。この確認は、RAM13の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。キーワードが正しく記憶されていれば情報保持は有効であり、逆に、キーワードが正しくなければ情報保持データは破壊されているので、その情報保持は有効ではない。情報保持が有効であれば(S43:Yes)、処理をS45へ移行して、主制御基板Cの各状態を電源断前の状態に復帰させる。一方、情報保持が有効でなかったり(S43:No)、或いはクリアスイッチ30cがオンされていれば(S42:Yes)、蓄越カウンタ13eを含めたRAMクリア及び初期化処理を実行して(S44)、蓄越カウンタ13eを含めたRAM13及びI/O等の各値を初期化して、その後、蓄越カウンタ13eの値を「10」に設定し(S201)、この初期化処理を終了する。このS201の処理の終了後は、図5のS13の処理が実行される。
以下に第23−1実施例、第23−2実施例、第23−3実施例、又は、第23−4実施例の変形例を示す。識別情報等を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段により遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記動的実行手段によって前記表示装置に前記識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に特別遊技状態を発生させる特別遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態が発生し得る場合に、所定条件に応じてその特別遊技状態の付与をずらす特別遊技蓄越手段と、その特別遊技蓄越手段によってずらされた前記特別遊技状態に関する情報を記憶する記憶手段と、その記憶手段に記憶される情報を電源が切断された後も保持する情報保持手段と、その情報保持手段によって前記記憶手段に保持された特別遊技状態に関する情報以外を初期化する第1初期化手段とを備えていることを特徴とする遊技機C1。なお、特別遊技状態の付与をずらすとは、例えば、特別遊技状態の付与を保留させること、特別遊技状態の付与を待機させること、或いは、特別遊技状態の付与を遅延させること等が例示される。
遊技機C1において、前記特別遊技付与手段は、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態に関する情報に応じて、前記記憶手段に特別遊技状態に関する情報を再設定する再設定手段を備えていることを特徴とする遊技機C2。特別遊技付与手段は、再設定手段によって、記憶手段に記憶される特別遊技状態に関する情報に応じて、記憶手段に特別遊技状態に関する情報を再設定する。よって、記憶手段に記憶される特別遊技状態に関する情報を適正な状態に保つことができるので、遊技者に不利益を被らせることなく、特別遊技状態を適切に付与することができる。
遊技機C2において、前記特別遊技付与手段は、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態に関する情報を判断する第1判断手段を備え、前記再設定手段は、前記第1判断手段により前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態に関する情報が所定状態であると判断された場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態に関する情報を変更するものであることを特徴とする遊技機C3。再設定手段は、第1判断手段によって記憶手段に記憶される特別遊技状態に関する情報が所定状態であると判断された場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態に関する情報を変更する。よって、記憶手段に記憶される特別遊技状態に関する情報を適正な状態に保つことができるので、遊技者に不利益を被らせることなく、特別遊技状態を適切に付与することができる。
遊技機C2又はC3において、前記第1判断手段は、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態に関する情報が第1所定値であるか否かを判断するものであり、前記再設定手段は、前記第1判断手段により前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態に関する情報が第1所定値であると判断された場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態に関する情報を第2所定値に変更するものであることを特徴とする遊技機C4。再設定手段は、第1判断手段によって記憶手段に記憶される特別遊技状態に関する情報が第1所定値であると判断された場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態に関する情報を第2所定値に変更する。よって、記憶手段に記憶される特別遊技状態に関する情報を適正な状態に保つことができるので、遊技者に不利益を被らせることなく、特別遊技状態を適切に付与することができる。
識別情報等を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段により遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記動的実行手段によって前記表示装置に前記識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に特別遊技状態を発生させる特別遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態が発生し得る場合に、所定条件に応じてその特別遊技状態の付与をずらす特別遊技蓄越手段と、その特別遊技蓄越手段によってずらされた前記特別遊技状態に関する情報等を記憶する記憶手段と、前記識別情報の動的表示の回数を記憶する動的回数記憶手段と、その動的回数記憶手段及び記憶手段に記憶される情報を電源が切断された後も保持する情報保持手段と、その情報保持手段によって前記動的回数記憶手段に保持された動的表示の回数、及び、前記記憶手段に保持された特別遊技状態に関する情報以外を初期化する第2初期化手段とを備えていることを特徴とする遊技機C5。特別遊技付与手段は、第2初期化手段により、情報保持手段によって記憶手段に保持された特別遊技状態に関する情報及び動的回数記憶手段に記憶された回数以外を初期化する。従って、記憶手段に初期化処理が施された場合でも特別遊技状態に関する情報と動的表示の回数はその初期化処理後も維持することができる。よって、電源切断後も当選して付与されるべき特別遊技状態を記憶しておくことができるので、遊技者に不利益を被らせることなく、特別遊技状態を適切に付与することができる。なお、特別遊技状態の付与をずらすとは、例えば、特別遊技状態の付与を保留させること、特別遊技状態の付与を待機させること、或いは、特別遊技状態の付与を遅延させること等が例示される。
遊技機C5において、前記特別遊技付与手段は、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態に関する情報に応じて、前記記憶手段に特別遊技状態に関する情報を再設定する再設定手段を備えていることを特徴とする遊技機C6。特別遊技付与手段は、再設定手段によって、記憶手段に記憶される特別遊技状態に関する情報、及び、動的回数記憶手段に記憶されている動的表示の回数に応じて、記憶手段に特別遊技状態に関する情報を再設定する。動的表示の回数が少ないにもかかわらず、特別遊技状態に関する情報が多く記憶されている場合には、不正やプログラムの暴走等によって記憶手段に記憶される特別遊技状態に関する情報に異常が発生している場合がある。よって、記憶手段に記憶される特別遊技状態に関する情報を適正な状態に保つことができるので、遊技者に不利益を被らせることなく、特別遊技状態を適切に付与することができる。
遊技機C6において、前記特別遊技付与手段は、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態に関する情報を判断する第1判断手段と、前記動的回数記憶手段に記憶される前記動的表示の回数を判断する第2判断手段とを備え、前記再設定手段は、前記第1判断手段により前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態に関する情報が所定状態であると判断すると共に、前記第2判断手段により前記動的回数記憶手段に記憶される前記動的表示の回数が所定状態であると判断した場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態に関する情報を変更するものであることを特徴とする遊技機C7。再設定手段は、第1判断手段により記憶手段に記憶される特別遊技状態に関する情報が所定状態である判断されると共に、第2判断手段により動的回数記憶手段に記憶される動的表示の回数が所定状態であると判断された場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態に関する情報を変更する。よって、記憶手段に記憶される特別遊技状態に関する情報を適正な状態に保つことができるので、遊技者に不利益を被らせることなく、特別遊技状態を適切に付与することができる。
遊技機C7において、前記第1判断手段は、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態に関する情報が第1所定値であるか否かを判断するものであり、また、前記第2判断手段は、前記動的回数記憶手段に記憶される前記動的表示の回数が第3所定値であるか否かを判断するものであり、前記再設定手段は、前記第1判断手段により前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態に関する情報が第1所定値であると判断すると共に、前記第2判断手段により前記動的回数記憶手段に記憶される前記動的表示の回数が第3所定値であると判断された場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態に関する情報を第2所定値に変更するものであることを特徴とする遊技機C8。
遊技機C4又はC8において、前記第2所定値は、前記第1所定値より小さな値であることを特徴とする遊技機C9。記憶手段に記憶される特別遊技状態は初期化されないので、例えば、プログラムの暴走等によって、通常では考えられない不適切な値が記憶される場合がある。そこで、記憶手段に記憶される特別遊技状態に関する情報を第1所定値より小さな第2所定値に設定することによって、遊技者に特別遊技状態が異常に多く付与される等の不具合を解消することができるので、遊技者に不利益を被らせることなく、適切な遊技を提供することができる。
識別情報等を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段により遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記動的実行手段によって前記表示装置に前記識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に特別遊技状態を発生させる特別遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態が発生し得る場合に、所定条件に応じてその特別遊技状態の付与をずらす特別遊技蓄越手段と、その特別遊技蓄越手段によってずらされた前記特別遊技状態に関する情報を記憶する記憶手段と、その記憶手段に記憶される情報を初期化した後に、前記記憶手段に特別遊技状態に関する情報を設定する再設定手段とを備えていることを特徴とする遊技機C10。特別遊技付与手段は、再設定手段により、記憶手段に記憶されている特別遊技状態に関する情報を初期化した場合に、記憶手段に所定の特別遊技状態に関する情報を設定する。従って、記憶手段に初期化処理が施された場合でも特別遊技状態に関する情報に新たに所定の特別遊技状態に関する情報を設定することができる。よって、電源等が切断された場合も記憶手段に所定の特別遊技状態に関する情報を記憶させておくことができるので、遊技者に不利益を被らせることなく、特別遊技状態を適切に付与することができる。
遊技機C1からC10のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、ランダムに値を取得する無作為抽出手段を備え、始動条件の成立に基づいて取得された前記無作為抽出手段の値に応じて前記特別遊技状態を付与するものであり、前記無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じてその特別遊技状態の付与をずらす特別遊技蓄越手段を備えていることを特徴とする遊技機C11。始動条件の成立に基づいて取得された無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて特別遊技蓄越手段によりその特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、遊技者は、確率的に動的表示の回転回数に応じてずらされた特別遊技状態数が多いと判断することで、動的表示の回転数に応じた遊技機の選択を行うことができるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増加させることができる。なお、第1所定条件とは、例えば、少なくとも1の所定のカウンタ(無作為抽出手段を含む)の値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。また、特別遊技状態とは、例えば、球等の有価価値を有する遊技媒体が遊技者に付与される大当たり状態、特別遊技状態の発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、又は、始動条件の成立が通常状態より容易にされると共に1の動的表示に要する時間が短縮されて特別遊技状態が付与され易い時間短縮状態等が例示される。更に、無作為抽出手段としては、例えば、所定のタイミングで更新される無作為抽出手段や、ランダムに値を取得することができるICカウンタ等が例示される。
遊技機C1からC11のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によりずらされた前記特別遊技状態を、第2所定条件に応じて遊技者に付与する蓄越放出手段を備えていることを特徴とする遊技機C12。特別遊技蓄越手段によりずらされた特別遊技状態を、第2所定条件に応じて蓄越放出手段により遊技者に特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。なお、第2所定条件とは、例えば、少なくとも1の所定のカウンタ(無作為抽出手段を含む)の値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。
遊技機C12において、前記蓄越放出手段は、前記第2所定条件が成立した場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の全部を付与するものであることを特徴とする遊技機C13。第2所定条件が成立した場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の全部を付与することで、ずらした特別遊技状態を一度に遊技者に付与することができる。よって、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することで、遊技者に通常より高い遊技価値が付与することができる。
遊技機C12において、前記蓄越放出手段は、前記第2所定条件が成立した場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の一部を付与するものであることを特徴とする遊技機C14。第2所定条件が成立した場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の一部を付与することで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することができる。特別遊技状態を一度に全部付与してしまうと、記憶手段にずらされた特別遊技状態が無くなってしまい、遊技者は、ずらされた特別遊技状態が全部付与されたと認識すると、得られる遊技価値が少なくなったと判断して、遊技の継続意欲を無くしてしまう。そこで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することによって、遊技者の遊技の継続意欲を保つことができると共に、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することができる。
遊技機C1からC14のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値である場合に、前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があるか否かを確認する蓄越確認手段を備え、その蓄越確認手段によって前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があると判断された場合に、その記憶手段に記憶されている少なくとも1の前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機C15。無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値である場合に、蓄越確認手段によって記憶手段にずらされた特別遊技状態があるか否かを確認し、記憶手段にずらされた特別遊技状態があると判断された場合に、そのずらされている少なくとも1の特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機C1からC15のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第1所定条件に応じて前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機C16。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第1所定条件に応じて特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。なお、所定の条件とは、例えば、所定のカウンタの値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。
遊技機C16において、前記特別遊技付与手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機C17。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機C16において、前記特別遊技付与手段は、少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与する場合に、前記実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた前記特別遊技状態に変更する情報変更手段を備えていることを特徴とする遊技機C18。少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を特別遊技状態に変更する。よって、実行記憶手段に記憶される動的表示情報を書き換えることによって特別遊技状態を付与することができるので、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機C18において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判別する判別手段と、その判別手段により前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するものであると判別された場合は、前記情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す変更蓄越手段とを備えていることを特徴とする遊技機C19。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者は2の特別遊技状態に当選したにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その動的表示情報が特別遊技状態を発生するか否かを判別手段によって判別し、その判別手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判別された場合に、変更蓄越手段によって、情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す。よって、少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、特別遊技状態に当選していないときには、動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更することができる。一方、特別遊技状態に当選している場合は、ずらされた特別遊技状態の付与を持ち越して、当選した特別遊技状態を優先することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機C18において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により前記実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判別する判別手段とを備え、その判別手段により前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するものであると判別された場合は、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、前記情報変更手段により動的表示情報の変更するものであることを特徴とする遊技機C20。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者は2の特別遊技状態に当選したにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が特別遊技状態を発生するか否かを判別手段によって判別し、その判別手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判別された場合に、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、情報変更手段により動的表示情報を以前にずらさせている特別遊技状態に変更する。よって、特別遊技状態に当選している場合は、当選した特別遊技状態の付与をずらして、以前にずらされた特別遊技状態を付与することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機C1からC20のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置に表示される前記識別情報を選定する識別情報カウンタとを備え、始動条件の成立に基づいて取得された前記無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態の付与する値であった場合に、前記識別情報カウンタの値が予め定めた第6所定値であるときは、前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機C21。識別情報カウンタの値に応じて特別遊技状態の付与をずらすことによって、特別遊技状態の発生にランダム性を付与して、遊技機の遊技性を向上させることができる。
遊技機C21において、前記特別遊技付与手段は、始動条件の成立に基づいて所得された前記無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与するものであった場合に、前記識別情報カウンタの値が予め定めた第3所定値であるときは、前記記憶手段に記憶された少なくとも1の前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機C22。識別情報カウンタの値に応じて記憶手段に記憶される少なくとも1の特別遊技状態を付与することによって、特別遊技状態の発生にランダム性を付与して、遊技機の遊技性を向上させることができる。
遊技機C21において、前記特別遊技付与手段は、始動条件の成立に基づいて所得された前記無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与するものであった場合に、前記識別情報カウンタの値が予め定めた第4所定値であるときは、前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機C23。識別情報カウンタの値に応じて特別遊技状態を付与することによって、特別遊技状態の発生にランダム性を付与して、遊技機の遊技性を向上させることができる。
遊技機C1からC23のいずれかにおいて、前記識別情報は、前記特別遊技状態をずらす蓄越識別情報と、前記記憶手段に記憶された少なくとも1の前記特別遊技状態を付与させる放出識別情報と、前記特別遊技状態を付与させる単発識別情報とを備え、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越識別情報、放出識別情報及び単発識別情報により前記動的表示を行うものであることを特徴とする遊技機C24。識別情報の種類により付与される遊技状態を異ならせることによって、動的表示のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機C1からC24のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機C25。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。また、従来のスロットマシンは、例えば、特別遊技状態を取得した場合、目押し等の遊技者の技量に応じてその特別遊技状態を遊技者に付与していた。しかしながら、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機にスロットマシンを用いると、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量が必要となる。よって、ただでさえ特別遊技状態をずらすという行為によって意図的に射倖性を高めているにもかかわらず、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量を求めることによって、不慣れな遊技者に多大な負担を与えて射倖性を高めてしまい、遊技機における適切な射倖性が維持できなくなってしまう。このため、遊技者はその遊技機における遊技を敬遠しがちになってしまい、遊技場の利益が減少してしまうという問題点があった。一方、パチンコ遊技機は、特別遊技状態に当選した場合、遊技者の技量如何にかかわらず、一義的に遊技者の特別遊技状態を付与することができる。よって、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機において、パチンコ遊技機を用いることによって、例えば、特別遊技状態を取得した場合に、遊技者の技量にかかわらず特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、不慣れな遊技者が遊技を行う場合でも、特別遊技状態に当選した場合には一義的に特別遊技状態を付与することができるので、適度な射倖性を維持しつつ、新たな遊技性による興趣を遊技者に提供することができる。
遊技機C1からC24のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機C26。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機C1からC24のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機C27。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
次に、図26から図30を参照して、本発明の第3実施例について説明する。第2実施例のパチンコ機Pでは、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であった場合に、同じく始動入賞に基づいて取得された属性カウンタ13oの値に応じてその大当たりの属性、即ち、その大当たりを保留するか、その大当たりを付与すると共に蓄越カウンタ13eに記憶されている大当たりを付与するか、又は、単発の大当たりを付与するか否かを決定していた。これに代えて、第3実施例のパチンコ機では、大当たりを保留する条件として、1の大当たりが終了した一定期間内の変動表示(本実施例では、50回)において、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生し得る値であった場合、その大当たりの付与をずらして蓄越するように構成されている。
従来、遊技者に大当たりを付与し得る場合に、その大当たりの付与をずらす機能が搭載された遊技機において、例えば、その遊技機の性能(例えば、パチンコ機における釘調整、又は、スロットマシンにおける設定等)により大当たりが発生し難い遊技機の場合、大当たりの付与をずらしてしまうと、長期間遊技者に大当たりを付与できず、遊技者の不満感を増幅させてしまう。そこで、1の大当たりが遊技者に付与された後の一定期間内の変動表示(本実施例では、50回)において、無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを付与する値であった場合に、その大当たりの付与をずらす。従って、遊技者には既に1の大当たりが付与された状態であるので、暫くの間、大当たりが付与されなくても、前回の大当たりの付与の余韻によって不満が募り難いものである。その状態において、1の大当たりの付与から一定期間内の動的表示で大当たりが発生し得る場合に、その大当たりの付与をずらしたとしても、遊技者の不満を募り難くすることができるので、遊技者に不満感を与えることなく、新たな遊技性を遊技者に提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
図26は、第3実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第7実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのRAM13には、当後回数カウンタ13qが設けられている。
当後回数カウンタ13qは、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生し得る値であった場合に、その大当たりを蓄越するか、または、その大当たりを付与するか否かを決定するためのカウンタである。この当後回数カウンタ13qの値は、図30に示す大当たり処理の中で、大当たりが遊技者に付与された場合に「50」がセットされ(S230参照)、逆に、図28に示す保留球カウンタ減算処理の中で、1の変動表示が行われる場合に当後回数カウンタ13qの値が「0」でなければ「1」ずつ減算される(S210及びS211参照)。本実施例では、大当たりが発生し得る場合に、当後回数カウンタ13qの値が「0」でなければ、その大当たりの付与をずらして、その大当たりを蓄越カウンタ13eに記憶するものである。
図27は、大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた大当たりの種別表70である。第3実施例では、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合、同じく始動入賞で取得された大当たり図柄カウンタ13dの値に応じて大当たりの属性、即ち、保留されている大当たりを放出するか、又は、単発の大当たりを付与するか否かを決定する。第3実施例では、大当たり図柄カウンタ13dによって大当たりの蓄越を決定しないので、大当たり図柄カウンタ13dでは大当たりの放出か、単発の大当たりかが決定される。図27の種別表70に示すように、大当たり図柄カウンタ13dの値が「0」、「1」、「2」、「4」、「5」、「6」、「8」、「9」の場合は、単発の大当たりを発生させる単発大当たりが発生するように設定されている。また、大当たり図柄カウンタ13dの値が「3」、「7」の場合は、保留された大当たりが放出されるように設定されている。
図29は、主制御基板Cの通常選択処理(図8及び図9、S68参照)の中で実行される第3実施例の属性選択処理(S132)を示したフローチャートである。この属性選択処理(S132)では、まず、当後回数カウンタ13qの値が「0」か否かを確認する(S221)。確認の結果、当後回数カウンタ13qの値が「0」でなければ(S221:No)、前回の大当たりから50回未満の変動表示で大当たりを取得したということなので、その大当たりを蓄越するために、蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S222)、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を特定の図柄(例えば、ハズレ図柄)に設定し(S223)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを特定の変動パターン(例えば、ハズレの変動パターン)に設定して(S224)、この属性選択処理を終了する。なお、属性選択処理(S132)の終了後は、通常選択処理(S68)が終了する。
一方、S221の処理において、当後回数カウンタ13qの値が「0」である場合には(S221:Yes)、前回の大当たりから変動表示が50回以上行われたということのなので、取得した大当たりを遊技者に付与するために、その大値の種別(属性)を確認するため、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「3」又は「7」であるか否かを確認する(S225)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であった場合には(S225:Yes)、放出フラグ13hをオンして(S226)、処理をS227へ移行する。一方、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値でない場合、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たりを選択する「1」、「2」、「4」、「5」、「6」、「8」又は「9」のいずれかの値であった場合には(S225:No)、S226の処理をスキップして、処理をS227の処理へと移行する。
S227の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定して(S227)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S228)、大当たり処理を実行させるため、大当たりフラグ13fをオンして(S229)、この属性選択処理(S132)を終了する。なお、属性選択処理(S132)の終了後は、通常選択処理(S68)が終了する。
以下に第3実施例の変形例を示す。識別情報等を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段により遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記動的実行手段によって前記表示装置に前記識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に特別遊技状態を発生させる特別遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記特別遊技付与手段は、1の特別遊技状態終了後の一定期間内の前記動的表示に特別遊技状態が発生し得る場合、その特別遊技状態の付与をずらす特別遊技蓄越手段を備えていることを特徴とする遊技機D1。なお、特別遊技状態の付与をずらすとは、例えば、特別遊技状態の付与を保留させること、特別遊技状態の付与を待機させること、或いは、特別遊技状態の付与を遅延させること等が例示される。
遊技機D1において、前記特別遊技付与手段は、ランダムに値を取得する無作為抽出手段を備え、始動条件の成立に基づいて取得された前記無作為抽出手段の値に応じて前記特別遊技状態を付与するものであり、前記特別遊技蓄越手段は、1の前記特別遊技状態終了後の一定期間内の前記動的表示において、前記無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値であった場合、その特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機D2。従来、識別情報の動的表示が予め定めた表示結果を現出した場合に遊技者にとって有利な特別遊技状態を付与する遊技機において、遊技者に特別遊技状態を付与し得る場合に、その特別遊技状態の付与をずらすことができる機能が搭載された遊技機がある。このような遊技機において、例えば、その遊技機の性能(例えば、パチンコ機における釘調整、又は、スロットマシンにおける設定等)により特別遊技状態が発生し難い遊技機の場合、特別遊技状態の付与をずらしてしまうと、長期間遊技者に特別遊技状態を付与できず、遊技者の不満感を増幅させてしまう。そこで、特別遊技蓄越手段によって、1の特別遊技状態が遊技者に付与された後の一定期間内の動的表示において、無作為抽出手段の値が他の特別遊技状態を付与する値であった場合に、その特別遊技状態の付与をずらす。従って、遊技者には既に1の特別遊技状態が付与された状態であるので、暫くの間、特別遊技状態が付与されなくても、前回の特別遊技状態の付与の余韻によって不満が募り難いものである。その状態において、1の特別遊技状態の付与から一定期間内の動的表示で特別遊技状態が発生し得る場合に、その特別遊技状態の付与をずらしたとしても、遊技者の不満を募り難くすることができるので、遊技者に不満感を与えることなく、新たな遊技性を遊技者に提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、特別遊技状態とは、例えば、球等の有価価値を有する遊技媒体が遊技者に付与される大当たり状態、特別遊技状態の発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、又は、始動条件の成立が通常状態より容易にされると共に1の動的表示に要する時間が短縮させて特別遊技状態が付与され易い時間短縮状態等が例示される。また、無作為抽出手段としては、例えば、所定のタイミングで更新される乱数カウンタや、ランダムに値を取得することができるICカウンタ等が例示される。
遊技機D1又はD2において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態終了後の前記動的表示の所定回数を記憶する回数記憶手段と、前記動的表示の動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段と、前記回数記憶手段が所定の値に達する前に前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記特別遊技状態を発生し得るか否かを判断する判断手段とを備え、前記特別遊技蓄越手段は、前記判断手段によって前記回数記憶手段が所定の値に達する前に前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記特別遊技状態を発生し得る値であると判断された場合に、その特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機D3。特別遊技蓄越手段は、判断手段によって回数記憶手段が所定値に達する前に動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が特別遊技状態を発生し得る値であると判断された場合に、その特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機D3において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によりずらされた前記特別遊技状態を、所定条件の成立に応じて遊技者に付与する蓄越放出手段を備えていることを特徴とする遊技機D4。特別遊技蓄越手段によりずらされた特別遊技状態を、所定条件に応じて蓄越放出手段により遊技者に特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生し得る場合に、その特別遊技状態の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。なお、所定条件としては、少なくとも1の所定のカウンタ(無作為抽出手段を含む)の値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。
遊技機D1からD4のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によりずらした前記特別遊技状態数を記憶する記憶手段を備えていることを特徴とする遊技機D5。従来、遊技者は、遊技機の釘調整や、遊技機の特別遊技状態発生回数等で遊技機を選択していた。遊技機D5によれば、ずらした特別遊技状態数を記憶しておくことで、遊技者に不利益を被らせることなく適切な遊技を提供することができると共に、各遊技機毎に記憶手段に記憶される特別遊技状態数が異なり、遊技機毎に差が生じるため、遊技者は、確率的に動的表示の回転回数に応じてずらされた特別遊技状態数が多いと判断することで、動的表示の回転数に応じた遊技機の選択を行うことができるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増加させることができる。
遊技機D5において、前記蓄越放出手段は、所定条件に応じて、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の全部を付与するものであることを特徴とする遊技機D6。所定条件に応じて、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の全部を付与することで、ずらした特別遊技状態を一度に遊技者に付与することができる。よって、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することで、遊技者に通常より高い遊技価値が付与することができる。なお、所定条件としては、例えば、始動条件の成立に基づいて取得される無作為抽出手段の値、動的表示の回数、又は、記憶手段に記憶される特別遊技状態数等が例示される。
遊技機D5において、前記蓄越放出手段は、所定条件に応じて、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の一部を付与するものであることを特徴とする遊技機D7。所定条件に応じて、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の一部を付与することで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することができる。特別遊技状態を一度に全部付与してしまうと、記憶手段にずらされた特別遊技状態が無くなってしまい、遊技者は、ずらされた特別遊技状態が全部付与されたと認識すると、得られる遊技価値が少なくなったと判断して、遊技の継続意欲を無くしてしまう。そこで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することによって、遊技者の遊技の継続意欲を保つことができると共に、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することができる。なお、所定条件としては、例えば、始動条件の成立に基づいて取得される無作為抽出手段の値、動的表示の回数、又は、記憶手段に記憶される特別遊技状態数等が例示される。
遊技機D5からD7のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値である場合に、前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があるか否かを確認する蓄越確認手段を備え、その蓄越確認手段によって前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があると判断された場合に、その記憶手段に記憶されている少なくとも1の前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機D8。無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値である場合に、蓄越確認手段によって記憶手段にずらされた特別遊技状態があるか否かを確認し、記憶手段にずらされた特別遊技状態があると判断された場合に、そのずらされている少なくとも1の特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機D5からD8のいずれかにおいて、前記記憶手段は、停電等によって電源が切断されると判断された場合に、前記記憶手段に記憶されるデータを電源の切断後においても保持(記憶)し、電源再入時にその保持されたデータに基づいて遊技を再開可能とするバックアップ機能を有していることを特徴とする遊技機D9。記憶手段にバックアップ機能を付与することによって、停電等による電源断時にもデータを保持し、電源再入時に保持されたデータに基づいて電源断時の状態に復帰して遊技の制御を再開することができると共に、ずらされた特別遊技状態を保持しておくことができるので、遊技者に不利益を被らせることなく適切な遊技を提供することができる。
遊技機D1からD9のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生し得る場合に、その特別遊技状態が前回の前記特別遊技状態終了後から一定期間内の前記動的表示で発生したときは、その特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機D10。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生し得る場合に、その特別遊技状態が前回の特別遊技状態終了後から一定期間内の変動表示で発生したときは、その特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機D10において、前記特別遊技付与手段は、始動条件の成立に基づいてランダムに値を取得する第2無作為抽出手段を備え、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第2無作為抽出手段が第1所定値であるとき、少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機D11。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第2無作為抽出手段が第1所定値であるとき、少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機D11において、前記特別遊技付与手段は、少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与する場合に、前記実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた前記特別遊技状態に変更する情報変更手段を備えていることを特徴とする遊技機D12。少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を特別遊技状態に変更する。よって、実行記憶手段に記憶される動的表示情報を書き換えることによって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機D12において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判断する判断手段と、その判断手段により前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するものであると判断された場合は、前記情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す変更蓄越手段とを備えていることを特徴とする遊技機D13。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その変更対象の動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者は2の特別遊技状態に当選したにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、判断手段によって、変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が特別遊技状態を発生するか否かを判断し、その判断手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判断された場合に、変更蓄越手段によって、情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す。よって、少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、特別遊技状態に当選していないときには、動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更することができる。一方、特別遊技状態に当選している場合は、ずらされた特別遊技状態の付与を持ち越して、当選した特別遊技状態を優先することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機D12において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判断する判断手段とを備え、その判断手段により前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するものであると判断された場合は、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、前記情報変更手段により動的表示情報の変更するものであることを特徴とする遊技機D14。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者は2の特別遊技状態に当選したにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、判断手段によって、変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が特別遊技状態を発生するか否かを判断し、その判断手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判断された場合に、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、情報変更手段により動的表示情報を以前にずらさせている特別遊技状態に変更する。よって、特別遊技状態に当選している場合は、当選した特別遊技状態の付与をずらして、以前にずらされた特別遊技状態を付与することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機D1からD14のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機D15。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。また、従来のスロットマシンは、例えば、特別遊技状態を取得した場合、目押し等の遊技者の技量に応じてその特別遊技状態を遊技者に付与していた。しかしながら、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機にスロットマシンを用いると、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量が必要となる。よって、ただでさえ特別遊技状態をずらすという行為によって意図的に射倖性を高めているにもかかわらず、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量を求めることによって、不慣れな遊技者に多大な負担を与えて射倖性を高めてしまい、遊技機における適切な射倖性が維持できなくなってしまう。このため、遊技者はその遊技機における遊技を敬遠しがちになってしまい、遊技場の利益が減少してしまうという問題点があった。一方、パチンコ遊技機は、特別遊技状態に当選した場合、遊技者の技量如何にかかわらず、一義的に遊技者の特別遊技状態を付与することができる。よって、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機において、パチンコ遊技機を用いることによって、例えば、特別遊技状態を取得した場合に、遊技者の技量にかかわらず特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、不慣れな遊技者が遊技を行う場合でも、特別遊技状態に当選した場合には一義的に特別遊技状態を付与することができるので、適度な射倖性を維持しつつ、新たな遊技性による興趣を遊技者に提供することができる。
遊技機D1からD14のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機D16。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機D1からD14のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機D17。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
次に、図31から図33を参照して、本発明の第4−1実施例について説明する。第2実施例のパチンコ機Pでは、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であった場合に、同じく始動入賞に基づいて取得された属性カウンタ13oの値に応じてその大当たりの属性、即ち、その大当たりをずらすか、その大当たりを付与すると共に蓄越カウンタ13eに記憶されている大当たりを付与するか、又は、単発の大当たりを付与するか否かを決定していた。これに代えて、第4−1実施例のパチンコ機Pでは、1の始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを付与する値であった場合に、変動表示の待機回数、即ち、保留球カウンタ13iの値に応じて、大当たりの付与をずらすか否かを決定するように構成されている。
従来、遊技の遊技価値は、1の始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値によって決定されている。しかし、遊技価値を決定する条件が1つしかないため、遊技が単調であり、遊技者の興趣を長期間維持することが困難であった。そこで、第4−1実施例のパチンコ機Pによれば、図柄回転実行エリア13jに記憶された変動表示のデータが大当たりを発生し得る場合に、保留球カウンタ13iの値に応じて、その大当たりの付与をずらす。よって、1の始動入賞以外に基づいて遊技の遊技価値を決定することができるので、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、本実施例の説明で用いる図面は、図1、図4、図5、図6、図8、図10、図13、図15、図17、図31、図32及び図33であるが、上記のいずれかの実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図31は、第4−1実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第4−1実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのRAM13には、保留球満タンフラグ13rが設けられている。
保留球満タンフラグ13r(遊技状態判断手段)は、変動表示が既に待機回数分記憶されているか否かを判別するためのフラグであり、保留球カウンタ13iの値が「4」以上の場合にオンされる一方(図32、S241参照)、保留球カウンタ13iが「4」未満の場合にオフされる(図32、S242参照)。この保留球満タンフラグ13rがオンされている最中に、図柄回転実行エリア13jに書き込まれた変動表示のデータが大当たりを発生する値である場合に、その大当たりの付与がずらされ、蓄越カウンタ13eによってその大当たりが記憶される(図33参照)。
図32は、第4−1実施例の変動表示設定処理を示したフローチャートである。この変動表示設定処理では、まず、第1種始動口スイッチ18が球を検出したか否かを確認する(S241)。第1種始動口スイッチ18が球を検出していない場合は(S241:No)、この変動表示設定処理を終了する。一方、第1種始動口スイッチ18が球を検出していれば(S241:Yes)、次に、保留球カウンタ13iの値が「4」以上であるか否かを確認する(S242)。保留球カウンタ13iの値が「4」以上であれば(S242:Yes)、変動表示の待機回数分設けられた図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに既に変動表示のデータが書き込まれているということなので、この変動表示設定処理を終了する。一方、保留球カウンタ13iの値が「4」未満であれば(S242:No)、変動表示のデータが待機回数分記憶されていないということなので、保留球カウンタ13iの値に「1」を加算する(S243)。
S243の処理の後は、加算された保留球カウンタ13iの値が「4」以上であるか否かを確認する(S244)。加算された保留球カウンタ13iの値が「4」以上であれば(S244:Yes)、保留球満タンフラグ13rをオンして(S245)、処理をS246へ移行する。一方。加算された保留球カウンタ13iが「4」未満であれば(S244:No)、保留球満タンフラグ13rをオフして(S245)、処理をS246へ移行する。
S246の処理では、第1種始動口スイッチ18が球を検出したことによって取得される無作為抽出カウンタ13b、ハズレリーチカウンタ13c及び大当たり図柄カウンタ13dの値を変動表示のデータとして、保留球カウンタ13iの値が示す図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに書き込んで(S246)、この変動表示設定処理を終了する。
図33は、第4−1実施例の属性選択処理(S132)を示したフローチャートである。この属性選択処理では、まず、保留球満タンフラグ13rがオンされているか、即ち、図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに既に変動表示のデータが記憶されてるか否かを確認する(S251)。確認の結果、保留球満タンフラグ13rがオンされていれば(S251:Yes)、蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S252)、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を特定の図柄(例えば、ハズレ図柄)に設定し(S253)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを特定の変動パターン(例えば、ハズレの変動パターン)に設定して(S254)、この属性選択処理(S132)を終了する。
一方、S251の処理において、保留球満タンフラグ13rがオフしていれば(S251:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄(図13参照)を示す値であるか否かを確認する(S255)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を示す値であった場合には(S255:Yes)、放出フラグをオンして(S256)、処理をS257へ移行する。一方、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄(図13参照)を示す値であった場合には(S255:No)、S256の処理をスキップして、処理をS257へと移行する。
S257の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定して(S257)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S258)、大当たり処理を実行させるため、大当たりフラグ13fをオンして(S259)、この属性選択処理(S132)を終了する。なお、属性選択処理の終了後は、図15に示す通常選択処理(S68)が終了する。
以上説明したように、第4−1実施例によれば、待機中の変動表示が待機回数分記憶されている場合、即ち、保留球満タンフラグ13rがオンしている場合において、実行中の変動表示で大当たりが発生し得るときに、その大当たりの付与をずらす。遊技者は、常々、大当たりの付与がずらされることよりも、大当たりの付与を望んでいるものである。よって、大当たりが付与される場合であっても、変動表示が待機回数分記憶されている場合には、その大当たりの付与がずらされてしまうので、図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに変動表示のデータを待機回数分記憶させずに、いかに球を始動入賞させて大当たりの抽選を多くするという遊技性が生まれるので、新たな遊技性を遊技者に提供することができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
なお、第4−1実施例において、待機中の変動表示が待機回数分記憶されている場合に実行中の変動表示で大当たりが発生し得るときに、その大当たりの付与をずらしていた。これに代えて、待機中の変動表示が記憶されていない場合に、実行中の変動表示で大当たりが発生し得るときに、その大当たりの付与をずらすように構成しても良い。従来、遊技者は、遊技を行う際において、変動表示の待機回数分設けられた図柄回転1〜4メモリ13k〜13nにすべて変動表示のデータが記憶されている場合は、球を始動入賞させても大当たりの付与が抽選させないので、その図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに記憶された変動表示のデータに基づいた少なくとも1の変動表示が終了するまで遊技を中断し、始動入賞に基づいて再び図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに変動表示のデータを記憶できる状態になったときに、再び遊技を再開するものである。このため、遊技場(ホール)は、遊技者が遊技を中断してしまうことにより、遊技者が継続して遊技を行うことによって本来得られる利益を得ることができないといった問題点があった。しかし、図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに変動表示のデータが記憶されていない場合、即ち、待機中の変動表示のデータが記憶されていない場合に、大当たりの付与をずらすように構成する。遊技者は、常々、大当たりの付与がずらされることよりも、大当たりが付与されることを望んでいるものである。よって、大当たりが付与される場合であっても、変動表示が待機されていない場合には、その大当たりの付与がずらされてしまうので、遊技者は、少なくとも1の変動表示を待機させようと始動入賞させるために積極的に遊技を行う。従って、遊技者の遊技意欲を向上させることができると共に、遊技場は遊技者が積極的に遊技を行うことによる利益を得ることができる。同様に、待機中の変動表示が少なくとも1以上個記憶されている場合に、実行中の変動表示で大当たりが発生し得るときに、その大当たりの付与をずらすように構成しても良い。
次に、図34から図36を参照して、本発明の第4−2実施例について説明する。第2実施例のパチンコ機Pでは、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であった場合に、同じく始動入賞に基づいて取得された属性カウンタ13oの値に応じてその大当たりの属性、即ち、その大当たりをずらすか、その大当たりを付与すると共に蓄越カウンタ13eに記憶されている大当たりを付与するか、又は、単発の大当たりを付与するか否かを決定していた。これに代えて、第4−2実施例のパチンコ機Pでは、1の始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを付与する値であった場合に、他の始動入賞が検出されているか、即ち、大当たりの変動表示のデータが図柄回転1メモリ13kから図柄回転実行エリア13jに書き込まれたときに、第1種始動口スイッチ18が球を検出してその大当たりの変動表示とは別の他の変動表示のデータが取得されているか否かに応じて、大当たりの付与をずらすか否かを決定するように構成されている。
従来、遊技の遊技価値は、1の始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値によって決定されている。しかし、遊技価値を決定する条件が1つしかないため、遊技が単調であり、遊技者の興趣を長期間維持することが困難であった。そこで、第4−2実施例のパチンコ機Pによれば、図柄回転実行エリア13jに記憶された変動表示のデータが大当たりを発生し得る場合に、第1種始動口スイッチ18が球を検出してその大当たりの変動表示とは別の他の変動表示のデータが取得されているか否かに応じて、その大当たりの付与をずらす。よって、1の始動入賞以外に基づいて遊技の遊技価値を決定することができるので、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、本実施例の説明で用いる図面は、図1、図4、図5、図6、図8、図10、図13、図14、図15、図17、図34、図35及び図36であるが、上記のいずれかの実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図34は、第4−2実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第4−2実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのRAM13には、入賞検出フラグ13sが設けられている。
入賞検出フラグ13s(始動条件検出手段)は、第1種始動口スイッチ18によって球が検出されているか否かを判別するためのフラグである。この入賞検出フラグ13sは、図5に示す主制御基板Cのメイン処理の中で定期的に実行されるスイッチ監視処理(S18)内の処理である入賞検出処理において、第1種始動口スイッチ18が球を検出している場合にオンされ、逆に、入賞検出処理において、第1種始動口スイッチ18が球を検出していない場合にオフされる。この入賞検出フラグ13sがオンされている最中に、図柄回転実行エリア13jに書き込まれた変動表示のデータが大当たりを発生する値である場合に、その大当たりの付与がずらされ、蓄越カウンタ13eによってその大当たりが記憶される(図36参照)。
図35は、第4−2実施例において、主制御基板Cのメイン処理の中で定期的に実行されるスイッチ監視処理(S18)内で行われる入賞検出処理を示したフローチャートである。この入賞検出処理では、まず、第1種始動口スイッチ18が球を検出したか否かを確認する(S261)。第1種始動口スイッチ18が球を検出していれば(S261:Yes)、入賞検出フラグ13sをオンして(S262)、この入賞検出処理を終了する。一方、第1種始動口スイッチ18が球を検出していない場合は(S261:No)、入賞検出フラグ13sをオフして(S263)、この入賞検出処理を終了する。
図36は、第4−2実施例の属性選択処理(S132)を示したフローチャートである。この属性選択処理では、まず、入賞検出フラグ13sがオンされているか、即ち、第1種始動口スイッチ18によって球が検出されているか否かを確認する(S271)。確認の結果、入賞検出フラグ13sがオンされていれば(S271:Yes)、蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S272)、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を特定の図柄(例えば、ハズレ図柄)に設定し(S273)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを特定の変動パターン(例えば、ハズレの変動パターン)に設定して(S274)、この属性選択処理(S132)を終了する。
一方、S271の処理において、入賞検出フラグ13sがオフしていれば(S271:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄(図13参照)を示す値であるか否かを確認する(S275)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を示す値であった場合には(S275:Yes)、放出フラグをオンして(S276)、処理をS277へ移行する。一方、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄(図13参照)を示す値であった場合には(S275:No)、S276の処理をスキップして、処理をS257へと移行する。
S277の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定して(S277)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S278)、大当たり処理を実行させるため、大当たりフラグ13fをオンして(S279)、この属性選択処理(S132)を終了する。なお、属性選択処理の終了後は、図15に示す通常選択処理(S68)が終了する。
以上説明したように、第4−2実施例によれば、第1種始動口スイッチ18によって球が検出されている場合、即ち、入賞検出フラグ13sがオンしている場合において、実行中の変動表示で大当たりが発生し得るときに、その大当たりの付与をずらす。よって、1の始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを付与する値であった場合に、他の始動入賞に基づいて、大当たりの付与をずらすことができる。従って、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
次に、図37及び図38を参照して、本発明の第4−3実施例について説明する。第2実施例のパチンコ機Pでは、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であった場合に、同じく始動入賞に基づいて取得された属性カウンタ13oの値に応じてその大当たりの属性、即ち、その大当たりをずらすか、その大当たりを付与すると共に蓄越カウンタ13eに記憶されている大当たりを付与するか、又は、単発の大当たりを付与するか否かを決定していた。これに代えて、第4−3実施例のパチンコ機Pでは、1の始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを付与する値であった場合に、始動入賞に基づかないカウンタ(本実施例では、タイマカウンタ31a)の値が所定値(本実施例では、末尾の値が「1」)であるか否かに応じて、大当たりの付与をずらすか否かを決定するように構成されている。
従来、遊技の遊技価値は、1の始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値によって決定されている。しかし、遊技価値を決定する条件が1つしかないため、遊技が単調であり、遊技者の興趣を長期間維持することが困難であった。そこで、第4−3実施例のパチンコ機Pによれば、図柄回転実行エリア13jに記憶された変動表示のデータが大当たりを発生し得る場合に、リアルタイムクロック(RTC)32によって取得されるタイマカウンタ31aの値に応じて、その大当たりの付与をずらす。よって、1の始動入賞以外に基づいて遊技の遊技価値を決定することができるので、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、本実施例の説明で用いる図面は、図1、図4、図5、図6、図8、図10、図13、図14、図15、図17、図37及び図38であるが、上記のいずれかの実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図37は、第4−3実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第4−3実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのMPU11には、不揮発性のメモリであるEEPROM31が配設され、そのEEPROM31には、タイマカウンタ31aが設けられている。また、主制御基板CのMPU11には、時間を計時するRTC32が接続されている。
タイマカウンタ31a(カウント値取得手段)は、後述するRTC32から取得される時間データが書き込まれるものであり、その書き込まれた時間データに応じて、図柄回転実行エリア13jに記憶された変動表示のデータが大当たりを発生し得る場合に、その大当たりの付与をずらすものである。また、このタイマカウンタ31aの値は、主制御基板Cのメイン処理が1ループする毎にRTC32のカウント値が書き込まれるよう構成されている。なお、RTC32のカウント値をタイマカウンタ31aに書き込むタイミングとしては、上記したタイミングに代えて、電源を投入(切断)するタイミング、球抜き信号が出力されたタイミング、又は、リセット信号が出力されたタイミング等が例示される。また、例示した各タイミングにおいて、特定(例えば、初回)のタイミングでのみカウント値を取得しても良く、或いは、各タイミング毎に毎回カウント値を取得しても良い。
RTC32(カウント手段)は、時刻等の時の計測を行うICであり、上述したタイマカウンタ31aには、このRTC32から取得したカウント値(時間データ)が書き込まれる。ここで、RTC32は、1/100秒単位まで計測可能に構成されており、1/100秒から分までの各桁の値が時間データとして取得される。例えば、RTC32により計測される時刻が「8時34分23秒41」であれば、そのタイミングで取得される時間データの値は「342341」となる。
また、RTC32は、バックアップ用の電池(図示せず)が接続されてバックアップ可能に構成されている。よって、停電の発生やホールの閉店等によりパチンコ機Pの電源がオフされても、時の計測を継続することができるので、RTC32の計測値は、パチンコ機Pの電源投入時においても固定値(例えば、「0時0分00秒」)となることがない。従って、タイマカウンタ31aは、停電の発生やホールの閉店等により電源がオフされても、取得するタイミングに応じて変化するランダムな値(時間データ)をRTC32から取得することができる。
図38は、第4−3実施例の属性選択処理(S132)を示したフローチャートである。この属性選択処理では、まず、タイマカウンタ31aの値の末尾が「1」であるか否かを確認する(S281)。確認の結果、タイマカウンタ31aの値の末尾が「1」であれば(S281:Yes)、蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S282)、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を特定の図柄(例えば、ハズレ図柄)に設定し(S283)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを特定の変動パターン(例えば、ハズレの変動パターン)に設定して(S284)、この属性選択処理(S132)を終了する。
一方、S281の処理において、タイマカウンタ31aの値の末尾が「1」でなければ(S281:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄(図13参照)を示す値であるか否かを確認する(S285)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を示す値であった場合には(S285:Yes)、放出フラグをオンして(S286)、処理をS287へ移行する。一方、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄(図13参照)を示す値であった場合には(S285:No)、S286の処理をスキップして、処理をS287へと移行する。
S287の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定して(S287)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S288)、大当たり処理を実行させるため、大当たりフラグ13fをオンして(S289)、この属性選択処理(S132)を終了する。なお、属性選択処理の終了後は、図15に示す通常選択処理(S68)が終了する。
以上説明したように、第4−3実施例によれば、実行中の変動表示で大当たりが発生し得る場合に、RTC32によって取得されるタイマカウンタ31aの値の末尾が「1」であるときに、その大当たりの付与をずらす。よって、1の始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを付与する値であった場合に、始動入賞では得られないタイマカウンタ31aの値に基づいて、大当たりの付与をずらすことができる。従って、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
次に、図39から図42を参照して、本発明の第4−4実施例について説明する。第2実施例のパチンコ機Pでは、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であった場合に、同じく始動入賞に基づいて取得された属性カウンタ13oの値に応じてその大当たりの属性、即ち、その大当たりをずらすか、その大当たりを付与すると共に蓄越カウンタ13eに記憶されている大当たりを付与するか、又は、単発の大当たりを付与するか否かを決定していた。これに代えて、第4−4実施例のパチンコ機Pでは、図柄作動口4への始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを付与する値であった場合に、他の入賞口(ゲート7)への入賞に基づいて発生する遊技状態に応じて、大当たりの付与をずらすか否かを決定するように構成されている。
従来、遊技の遊技価値は、1の始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値によって決定されている。しかし、遊技価値を決定する条件が1つしかないため、遊技が単調であり、遊技者の興趣を長期間維持することが困難であった。そこで、第4−4実施例のパチンコ機Pによれば、図柄回転実行エリア13jに記憶された変動表示のデータが大当たりを発生し得る場合に、図柄作動口4以外の入賞口であるゲート7を球が通過するに基づいて取得される普通当り状態か否かに応じて、その大当たりの付与をずらす。よって、1の始動入賞以外に基づいて遊技の遊技価値を決定することができるので、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、本実施例の説明で用いる図面は、図4、図5、図6、図8、図10、図13、図14、図15、図17、図39、図40、図41及び図42であるが、上記のいずれかの実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図39は、第4−4実施例のパチンコ機Pの遊技盤1の正面図である。第4−4実施例のLCD3の情報には、表面に「○」と「×」との普通図柄が表示された2つのLED6a,6bで構成された普通図柄表示装置6が配設されている。この普通図柄表示装置6では、遊技領域に打ち込まれた球がLCD3の両側に配設されたゲート7を通過した場合に、「○」と「×」とのLED6a,6bを交互に点灯させる変動表示が行われる。かかる変動表示が「○」のLED6aで終了した場合には、普通当りとなって図柄作動口4が所定時間(例えば、0.5秒)開放される。
図40は、第4−4実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第4−4実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのRAM13には、普通当りフラグ13tが設けられている。
普通当りフラグ13t(遊技状態判断手段)は、球がゲート7を通過して行われる普通図柄の変動表示において、その変動表示で当りが発生して普通当り状態か否かを判別するためのフラグである。この普通当りフラグ13tは、図5に示す主制御基板Cのメイン処理の中で定期的に実行される普通図柄変動処理(S23)内の処理である普通図柄チェック処理において、普通図柄の当りが発生している場合にオンされ、逆に、普通図柄チェック処理において、普通図柄の当りが発生していない場合にオフされる。この普通当りフラグ13tがオンされている最中に、図柄回転実行エリア13jに書き込まれた変動表示のデータが大当たりを発生する値である場合に、その大当たりの付与がずらされ、蓄越カウンタ13eによってその大当たりが記憶される(図36参照)。
図41は、第4−4実施例において、主制御基板Cのメイン処理の中で定期的に実行される普通図柄変動処理(S23)内で行われる普通図柄チェック処理を示したフローチャートである。この普通図柄チェック処理では、まず、普通図柄が当り状態か否かを確認する(S291)。普通図柄が当り状態であれば(S291:Yes)、普通当りフラグ13tをオンして(S292)、この普通図柄チェック処理を終了する。一方、普通図柄が当り状態でない場合は(S291:No)、普通当りフラグ13tをオフして(S293)、この普通図柄チェック処理を終了する。
図42は、第4−4実施例の属性選択処理(S132)を示したフローチャートである。この属性選択処理では、まず、普通当りフラグ13tがオンされているかを確認する(S301)。確認の結果、普通当りフラグ13tがオンされていれば(S301:Yes)、蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S302)、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を特定の図柄(例えば、ハズレ図柄)に設定し(S303)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを特定の変動パターン(例えば、ハズレの変動パターン)に設定して(S304)、この属性選択処理(S132)を終了する。
一方、S301の処理において、普通当りフラグ13tがオフしていれば(S301:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄(図13参照)を示す値であるか否かを確認する(S305)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を示す値であった場合には(S305:Yes)、放出フラグをオンして(S306)、処理をS307へ移行する。一方、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄(図13参照)を示す値であった場合には(S305:No)、S306の処理をスキップして、処理をS307へと移行する。
S307の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定して(S307)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S308)、大当たり処理を実行させるため、大当たりフラグ13fをオンして(S309)、この属性選択処理(S132)を終了する。なお、属性選択処理の終了後は、図15に示す通常選択処理(S68)が終了する。
以上説明したように、第4−4実施例によれば、普通図柄が当り状態の場合において、実行中の変動表示で大当たりが発生し得るときに、その大当たりの付与をずらす。よって、1の始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを付与する値であった場合に、他の始動入賞に基づいて、大当たりの付与をずらすことができる。従って、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
以下に第4−1実施例、第4−2実施例、第4−3実施例、又は、第4−4実施例の変形例を示す。識別情報等を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段により遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記動的実行手段によって前記表示装置に前記識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に特別遊技状態を発生させる特別遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記特別遊技付与手段は、始動条件の成立に基づいてランダムに値を取得する無作為抽出手段と、始動条件の成立に基づいて取得された前記無作為抽出手段の値に応じて前記特別遊技状態を付与する特別遊技状態付与手段と、始動条件の成立に基づいて取得された前記無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値であった場合に、その始動条件の成立と異なる所定条件に基づいて、前記特別遊技状態付与手段で付与される特別遊技状態をずらす特別遊技蓄越手段とを備えていることを特徴とする遊技機E1。なお、特別遊技状態の付与をずらすとは、例えば、特別遊技状態の付与を保留させること、特別遊技状態の付与を待機させること、或いは、特別遊技状態の付与を遅延させること等が例示される。
遊技機E1において、前記特別遊技付与手段は、遊技状態を判断する遊技状態判断手段を備え、前記特別遊技蓄越手段は、前記遊技状態判断手段によって特定の遊技状態と判断された場合に、前記特別遊技状態付与手段で付与される特別遊技状態をずらすものであることを特徴とする遊技機E2。従来、遊技の遊技価値は、1の始動条件の成立に基づいて取得された無作為抽出手段の値によって決定されている。しかし、遊技価値を決定する条件が1つしかないため、遊技が単調であり、遊技者の興趣を長期間維持することが困難であった。遊技機E2によれば、遊技状態判断手段によって特定の遊技状態と判断された場合に、特別遊技蓄越手段によって特別遊技状態付与手段で付与される特別遊技状態をずらす。よって、1の始動条件の成立に基づいて取得された無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値であった場合に、その始動条件の成立と異なる所定条件に基づいて、特別遊技状態付与手段で付与される特別遊技状態をずらすことができるので、1の始動条件の成立以外に基づいて遊技の遊技価値を決定することができる。従って、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機E2において、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記特別遊技蓄越手段は、前記実行記憶手段に記憶された前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生し得る場合に、前記遊技状態判断手段によって前記待機回数記憶手段に記憶されている待機回数が所定状態であると判断されたとき、前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機E3。特別遊技蓄越手段は、実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生し得る場合に、遊技状態判断手段により待機回数記憶手段に記憶されている待機回数が所定状態であると判断されたとき、その特別遊技状態の付与をずらす。よって、1の始動条件の成立に基づいて取得された無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値であった場合に、動的表示の待機回数に基づいて、特別遊技状態の付与をずらすことができる。従って、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機E3において、前記特別遊技蓄越手段は、前記遊技状態判断手段によって、前記動的表示情報記憶手段に前記待機回数記憶手段の待機回数分の動的表示情報が記憶されていると判断された場合、前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機E4。特別遊技蓄越手段は、遊技状態判断手段によって、動的表示情報記憶手段に待機回数記憶手段の待機回数分の動的表示情報が記憶されていると判断された場合に、特別遊技状態の付与をずらす。即ち、待機中の動的表示が待機回数分記憶されている場合において、実行中の動的表示で特別遊技状態が発生し得るときに、その特別遊技状態の付与をずらすよう構成されている。遊技者は、常々、特別遊技状態の付与がずらされることよりも、特別遊技状態の付与を望んでいるものである。よって、特別遊技状態が付与される場合であっても、動的表示が待機回数分記憶されている場合には、その特別遊技状態の付与がずらされてしまうので、動的表示情報記憶手段に動的表示情報を待機回数分記憶させずに、いかに始動条件を多く成立させて特別遊技状態の抽選を多くするという遊技性が生まれるので、新たな遊技性を遊技者に提供することができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
遊技機E3において、前記特別遊技蓄越手段は、前記遊技状態判断手段によって、前記動的表示情報記憶手段に前記動的表示情報が記憶されていない場合、前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機E5。従来、遊技者は、遊技を行う際において、動的表示の待機回数分設けられた動的表示情報記憶手段にすべて動的表示情報が記憶されている場合は、始動条件を成立させても特別遊技状態の付与が抽選させないので、その動的表示情報記憶手段に記憶された動的表示情報に基づいた少なくとも1の動的表示が終了するまで遊技を中断し、始動条件の成立に基づいて再び動的表示情報記憶手段に動的表示情報を記憶できる状態になったときに、再び遊技を再開するものである。このため、遊技場は、遊技者が遊技を中断してしまうことにより、遊技者が継続して遊技を行うことによって本来得られる利益を得ることができないといった問題点があった。しかし、遊技機E5によれば、特別遊技蓄越手段は、遊技状態判断手段によって、動的表示情報記憶手段に動的表示情報が記憶されていない場合に、特別遊技状態の付与をずらす。即ち、待機中の動的表示が記憶されていない場合において、実行中の動的表示で特別遊技状態が発生し得るときに、その特別遊技状態の付与をずらすよう構成されている。遊技者は、常々、特別遊技状態の付与がずらされることよりも、特別遊技状態の付与を望んでいるものである。よって、特別遊技状態が付与される場合であっても、動的表示が待機されていない場合には、その特別遊技状態の付与がずらされてしまうので、遊技者は、少なくとも1の動的表示を待機させようと始動条件を成立させるために積極的に遊技を行う。従って、遊技者の遊技意欲を向上させることができると共に、遊技場は遊技者が積極的に遊技を行うことによる利益を得ることができる。
遊技機E2において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技付与手段は、始動条件の成立を検出する始動条件検出手段と、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記特別遊技蓄越手段は、前記実行記憶手段に記憶された前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生し得る場合に、前記遊技状態判断手段によって前記始動条件検出手段で始動条件の成立を検出していると判断されたとき、前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機E6。特別遊技蓄越手段は、実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生し得る場合に、遊技状態判断手段によって始動条件検出手段で始動条件の成立を検出していると判断されたとき、その特別遊技状態の付与をずらす。よって、1の始動条件の成立に基づいて取得された無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値であった場合に、他の始動条件の成立に基づいて、特別遊技状態の付与をずらすことができる。従って、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機E2において、前記特別遊技付与手段は、所定の間隔毎にカウントを実行するカウント手段と、そのカウント手段のカウント値を所定のタイミングで取得するカウント値取得手段と、そのカウント値取得手段により取得されたカウント値を記憶するカウント値記憶手段と、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記特別遊技蓄越手段は、前記実行記憶手段に記憶された前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生し得る場合に、前記遊技状態判断手段によって、前記カウント値記憶手段に記憶されているカウント値が所定値であると判断された場合に、前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機E7。特別遊技蓄越手段は、実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生し得る場合に、遊技状態判断手段によってカウント値記憶手段に記憶されているカウント値が所定値であると判断された場合に、その特別遊技状態の付与をずらす。よって、1の始動条件の成立に基づいて取得された無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値であった場合に、所定の間隔毎にカウントされて更新されるカウント値に基づいて、特別遊技状態の付与をずらすことができる。従って、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。なお、カウント手段としては、所定間隔毎に更新されるカウンタICや時間の計時を行うRTC(リアルタイムクロック)等が例示される。また、カウント手段がRTCにより構成される場合、遊技機E7において記載したカウント値としてはRTCにより計時される時間データが該当する。
遊技機E2において、前記特別遊技付与手段は、前記無作為抽出手段の始動条件とは異なる始動条件の成立に基づいてランダムに値を取得する普通図柄無作為抽出手段と、その始動条件の成立に基づいて取得された前記普通図柄無作為抽出手段の値に応じて前記無作為抽出手段の始動条件が容易となる普通当り遊技状態を付与する普通当り付与手段と、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記特別遊技蓄越手段は、前記実行記憶手段に記憶された前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生し得る場合に、前記遊技状態判断手段によって、前記普通当り付与手段によって普通当り遊技状態が付与されていると判断された場合に、前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機E8。特別遊技蓄越手段は、実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生し得る場合に、遊技状態判断手段によって普通当り付与手段により普通当り遊技状態が付与されていると判断された場合に、その特別遊技状態の付与をずらす。よって、1の始動条件の成立に基づいて取得された無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値であった場合に、普通当り付与手段による普通当り遊技状態に基づいて、特別遊技状態の付与をずらすことができる。従って、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機E1からE8のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によりずらされた前記特別遊技状態を、所定条件の成立に応じて遊技者に付与する蓄越放出手段を備えていることを特徴とする遊技機E9。特別遊技蓄越手段によりずらされた特別遊技状態を、所定条件に応じて蓄越放出手段により遊技者に特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生し得る場合に、その特別遊技状態の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。なお、所定条件としては、少なくとも1の所定のカウンタ(無作為抽出手段を含む)の値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。
遊技機E1からE9のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によりずらした前記特別遊技状態数を記憶する記憶手段を備えていることを特徴とする遊技機E10。従来、遊技者は、遊技機の釘調整や、遊技機の特別遊技状態発生回数等で遊技機を選択していた。遊技機E10によれば、ずらした特別遊技状態数を記憶しておくことで、遊技者に不利益を被らせることなく適切な遊技を提供することができると共に、各遊技機毎に記憶手段に記憶される特別遊技状態数が異なり、遊技機毎に差が生じるため、遊技者は、確率的に動的表示の回転回数に応じてずらされた特別遊技状態数が多いと判断することで、動的表示の回転数に応じた遊技機の選択を行うことができるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増加させることができる。
遊技機E10において、前記蓄越放出手段は、所定条件に応じて、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の全部を付与するものであることを特徴とする遊技機E11。所定条件に応じて、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の全部を付与することで、ずらした特別遊技状態を一度に遊技者に付与することができる。よって、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することで、遊技者に通常より高い遊技価値が付与することができる。なお、所定条件としては、例えば、始動条件の成立に基づいて取得される無作為抽出手段の値、動的表示の回数、又は、記憶手段に記憶される特別遊技状態数等が例示される。
遊技機E10において、前記蓄越放出手段は、所定条件に応じて、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の一部を付与するものであることを特徴とする遊技機E12。所定条件に応じて、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の一部を付与することで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することができる。特別遊技状態を一度に全部付与してしまうと、記憶手段にずらされた特別遊技状態が無くなってしまい、遊技者は、ずらされた特別遊技状態が全部付与されたと認識すると、得られる遊技価値が少なくなったと判断して、遊技の継続意欲を無くしてしまう。そこで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することによって、遊技者の遊技の継続意欲を保つことができると共に、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することができる。なお、所定条件としては、例えば、始動条件の成立に基づいて取得される無作為抽出手段の値、動的表示の回数、又は、記憶手段に記憶される特別遊技状態数等が例示される。
遊技機E10からE12のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値である場合に、前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があるか否かを確認する蓄越確認手段を備え、その蓄越確認手段によって前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があると判断された場合に、その記憶手段に記憶されている少なくとも1の前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機E13。無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値である場合に、蓄越確認手段によって記憶手段にずらされた特別遊技状態があるか否かを確認し、記憶手段にずらされた特別遊技状態があると判断された場合に、そのずらされている少なくとも1の特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機E10からE13のいずれかにおいて、前記記憶手段は、電源が切断されると判断された場合に、前記記憶手段に記憶される情報を電源の切断後においても保持(記憶)し、電源再入時にその保持された情報に基づいて遊技を再開可能とする情報保持機能を有していることを特徴とする遊技機E14。記憶手段に情報保持機能を付与することによって、電源断時にも情報を保持し、電源再入時に保持された情報に基づいて電源断時の状態に復帰して遊技の制御を再開することができると共に、ずらされた特別遊技状態を保持しておくことができるので、遊技者に不利益を被らせることなく適切な遊技を提供することができる。
遊技機E3からE14のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与する場合に、前記実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた前記特別遊技状態に変更する情報変更手段を備えていることを特徴とする遊技機E15。少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を特別遊技状態に変更する。よって、実行記憶手段に記憶される動的表示情報を書き換えることによって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機E15において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判断する判断手段と、その判断手段により前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するものであると判断された場合は、前記情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す変更蓄越手段とを備えていることを特徴とする遊技機E16。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その変更対象の動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者は2の特別遊技状態に当選したにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、判断手段によって、変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が特別遊技状態を発生するか否かを判断し、その判断手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判断された場合に、変更蓄越手段によって、情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す。よって、少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、特別遊技状態に当選していないときには、動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更することができる。一方、特別遊技状態に当選している場合は、ずらされた特別遊技状態の付与を持ち越して、当選した特別遊技状態を優先することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機E15において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判断する判断手段とを備え、その判断手段により前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するものであると判断された場合は、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、前記情報変更手段により動的表示情報の変更するものであることを特徴とする遊技機E17。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者は2の特別遊技状態に当選したにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、判断手段によって、変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が特別遊技状態を発生するか否かを判断し、その判断手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判断された場合に、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、情報変更手段により動的表示情報を以前にずらさせている特別遊技状態に変更する。よって、特別遊技状態に当選している場合は、当選した特別遊技状態の付与をずらして、以前にずらされた特別遊技状態を付与することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機E1からE17のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機E18。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。また、従来のスロットマシンは、例えば、特別遊技状態を取得した場合、目押し等の遊技者の技量に応じてその特別遊技状態を遊技者に付与していた。しかしながら、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機にスロットマシンを用いると、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量が必要となる。よって、ただでさえ特別遊技状態をずらすという行為によって意図的に射倖性を高めているにもかかわらず、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量を求めることによって、不慣れな遊技者に多大な負担を与えて射倖性を高めてしまい、遊技機における適切な射倖性が維持できなくなってしまう。このため、遊技者はその遊技機における遊技を敬遠しがちになってしまい、遊技場の利益が減少してしまうという問題点があった。一方、パチンコ遊技機は、特別遊技状態に当選した場合、遊技者の技量如何にかかわらず、一義的に遊技者の特別遊技状態を付与することができる。よって、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機において、パチンコ遊技機を用いることによって、例えば、特別遊技状態を取得した場合に、遊技者の技量にかかわらず特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、不慣れな遊技者が遊技を行う場合でも、特別遊技状態に当選した場合には一義的に特別遊技状態を付与することができるので、適度な射倖性を維持しつつ、新たな遊技性による興趣を遊技者に提供することができる。
遊技機E1からE17のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機E19。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機E1からE17のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機E20。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
次に、図43から図48を参照して、本発明の第5実施例について説明する。第2実施例のパチンコ機Pでは、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生し得る値である場合に、同じ始動入賞に基づいて取得された属性カウンタ13oの値に応じてその大当たりの付与のずらし、又は、今までにずらされた大当たりの付与とを決定していた。言い換えれば、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生し得る値で無ければ、その大当たりの付与をずらしたり、又は、今までにずらされていた大当たりの付与が行われなかった。
これに代えて、第5実施例のパチンコ機Pでは、無作為抽出カウンタ13bに代えて大当たりカウンタ13u、及び、属性カウンタ13oに代えて大当たり放出カウンタ13vを設け、始動入賞に基づいて取得された大当たりカウンタ13uの値のみに応じて大当たりの権利を発生させると共にその大当たりの遊技価値の付与をずらすように構成する。また、始動入賞に基づいて取得された大当たり放出カウンタ13vの値のみに応じて今までずらされていた大当たりの付与を決定するように構成する。即ち、大当たりの付与のずらし、又は、ずらされた大当たりの付与の決定をそれぞれ異なる2のカウンタ13u,13vで独立して決定するように構成する。よって、始動入賞に基づいて取得される大当たりカウンタ13uの値と、同じく始動入賞に基づいて取得される大当たり放出カウンタ13vの値とで、遊技者に付与する遊技価値を異ならせることができるので、パチンコ機Pで行われる遊技の遊技性を多様化させ、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、本実施例の説明で用いる図面は、図1、図4、図5、図6、図8、図43、図44、図45、図46、図47及び図48であるが、上記のいずれかの実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図43は、第5実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第5実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのRAM13には、大当たりカウンタ13uと、大当たり放出カウンタ13vとが設けられている。
大当たりカウンタ13uは、大当たりの権利を発生させるためのカウンタであり、乱数更新処理(図5、S16参照)によって「0」〜「100」の範囲で2ms毎に1カウントずつ更新される。遊技盤1に打ち込まれた球が、図柄作動口4へ入賞して第1種始動口スイッチ18で検出されて(始動入賞)、その検出に基づいて取得された大当たりカウンタ13uの値が「7」であった場合に、大当たりの権利が発生する。大当たりの権利が発生すると、蓄越カウンタ13eの値に「1」が加算されて(図45、S323参照)、その大当たりの付与がずらされる代わりに、大当たりの権利が記憶される。
大当たり放出カウンタ13vは、蓄越カウンタ13eに記憶されている大当たりを遊技者に付与するか否かを決定するためのカウンタであり、乱数更新処理(図5、S16参照)によって、「0」から「630」の範囲で2ms毎に1カウントずつ更新される。上記した大当たりカウンタ13uと同様に、始動入賞に基づいて取得された大当たり放出カウンタ13vの値が「7」又は「315」であった場合に、今までに取得されて蓄越カウンタ13eに記憶され、その付与をずらされていた大当たりが遊技者に付与される(図45、S323〜S328参照)。
かかる大当たりカウンタ13u及び大当たり放出カウンタ13vの値は、前記したハズレリーチカウンタ13c及び大当たり図柄カウンタ13dの値と同様に始動入賞時に取得され、このとき取得された大当たりカウンタ13u及び大当たり放出カウンタ13vの値は、ハズレリーチカウンタ13c及び大当たり図柄カウンタ13dの値と共に、変動表示のデータとして保留球カウンタ13iの値が示す図柄回転1〜4メモリ13k〜13nのいずれかに書き込まれて記憶される(図44、S314参照)。
また、この第5実施例において、大当たりカウンタ13uは、大当たり放出カウンタ13vより予め定められた所定値(大当たりカウンタ13uでは「7」、大当たり放出カウンタでは「7」及び「315」)が取得し易いように構成されている。始動入賞に基づいて取得された大当たり放出カウンタ13vの値がずらされた大当たりの付与を決定する所定値(「7」又は「315」)である場合に、蓄越カウンタ13eに付与すべき大当たりが記憶されていないと、遊技者に大当たりの遊技価値を付与できず、遊技性を全うすることができないばかりか、遊技者に不利益を被らせてしまう。そこで、始動入賞に基づいて取得される大当たり放出カウンタ13vが所定値である確率より、同じく始動条件の成立に基づいて取得される大当たりカウンタ13uが所定値である確率を高くするように構成する。即ち、大当たりの権利を発生させると共にその大当たりの付与をずらす大当たりカウンタ13uの抽選確率を、ずらされた大当たりを遊技者に付与するか否かを決定する大当たり放出カウンタ13vの抽選確率より高く設定することで、蓄越カウンタ13eに大当たりを記憶しておき易くすることができるので、遊技者に不利益を被らせることなく新たな遊技性を提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
図44は、第5実施例の変動表示設定処理のフローチャートである。第5実施例の変動表示設定処理では、第1種始動口スイッチ18が球を検出したとき、保留球カウンタ13iの値が「4」以上でない場合に、保留球カウンタ13iの値が示す図柄回転メモリ13k〜13nに、大当たりカウンタ13u及び大当たり放出カウンタ13v等の変動表示のデータが書き込まれる。
この変動表示設定処理では、まず、第1種始動口スイッチ18が球を検出したか否かを確認する(S311)。第1種始動口スイッチ18が球を検出していない場合は(S311:No)、この変動表示設定処理を終了する。一方。第1種始動口スイッチ18が球を検出していれば(S311:Yes)、次に、保留球カウンタ13iの値が「4」以上であるか否かを確認する(S312)。確認の結果、保留球カウンタ13iの値が「4」以上であれば(S312:Yes)、変動表示の待機回数分設けられた図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに既に変動表示のデータが書き込まれているということなので、この変動表示設定処理を終了する。また、確認の結果、保留球カウンタ13iの値が「4」未満であれば(S312:No)、未だ変動表示のデータが待機回数分記憶されていないということなので、保留球カウンタ13iの値に「1」を加算して(S313)、第1種始動口スイッチ18が球を検出したことによって取得されるハズレリーチカウンタ13c、大当たり図柄カウンタ13d、大当たりカウンタ13u及び大当たり放出カウンタ13vの値を変動表示のデータとして、保留球カウンタ13iの値が示す図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに書き込んで(S314)、この変動表示設定処理を終了する。
次に、図45を参照して、第5実施例の通常選択処理(S68)について説明する。第5実施例の通常選択処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータである大当たりカウンタ13uの値が大当たりの権利を発生させる値である場合に、大当たりの権利を発生させると共にその大当たりの遊技価値の付与をずらして蓄越カウンタ13eに「1」を加算する。また、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータである大当たり放出カウンタ13vの値が、ずらされた大当たりを遊技者に付与する値である場合に、蓄越カウンタ13eに記憶されている今までにずらされた大当たりをすべて遊技者に付与するものである。
この通常選択処理(S68)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たりカウンタ13uの値が大当たりの権利を発生する値、即ち、図柄回転実行エリア13jに記憶されている大当たりカウンタ13uの値が「7」であるか否かを確認する(S321)。確認の結果、図柄回転実行エリア13jに記憶されている大当たりカウンタ13uの値が「7」であれば(S321:Yes)、大当たりの権利を発生させると共にその大当たりの遊技価値の付与をずらすために、蓄越カウンタ13eの値に「1」を加算して(S322)、処理をS323へ移行する。一方、図柄回転実行エリア13jに記憶されている大当たりカウンタ13uの値が「7」でない場合、即ち、大当たりを発生させる値でない場合は(S321:No)、S322の処理をスキップして、処理をS323へ移行する。
S323の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり放出カウンタ13vの値が今までにずらされていた大当たりの遊技価値の付与(大当たり放出)を決定する値であるか否か、即ち、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり放出カウンタ13vの値が「7」又は「315」であるか否かを確認する(S323)。確認の結果、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり放出カウンタの値が「7」又は「315」であれば(S323:Yes)、次に、ずらされている大当たりがあるか否かを確認するため、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上であるか否かを確認する(S324)。蓄越カウンタ13eの値が「1」以上であれば(S324:Yes)、今までにずらされた大当たりが存在するということなので、遊技者に大当たりの遊技価値を付与すべく、大当たり設定処理を行う(S325)。
図46は、大当たり設定処理(S325)のフローチャートである。この大当たり設定処理では、まず、放出フラグ13hをオンして(S331)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定する(S332)。そして、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たりの変動パターンに設定し(S333)、蓄越カウンタ13eの値から「1」減算して(S334)、この大当たり設定処理を終了する。
図46に示す大当たり設定処理が終了すると、図45に示す通常選択処理も終了する。また、S323の処理において図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり放出カウンタ13vの値が今までにずらされていた大当たりの遊技価値の付与を決定する値でない場合(S323:No)、又は、S324の処理において蓄越カウンタ13eの値が「1」以上でない場合は(S324:No)、遊技者にずらされている大当たりの遊技価値の付与が行われないので、ハズレ図柄等を設定する各処理を行い(S326)、この通常選択処理を終了する。
更に、大当たり設定処理(S325)において、大当たりの遊技価値が遊技者に付与される場合、S332及びS333の処理において、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄及び変動パターンを大当たりの停止図柄及び変動パターンに設定しているが、ここで設定した大当たりの変動パターンが終了すると略同時に、大当たりが発生して大当たり中であることを示すために、遊技状態を認識するためのフラグである状態フラグ(図示せず)が「大当たり中」に設定される。
この状態フラグは、その値が「1」の場合は「図柄変動中」の遊技状態を示し、「2」の場合は「大当たり中」の遊技状態を示し、「0」の場合は「その他(待機中、又は、エラー中)」の遊技状態を示すように設定されている。
LCD3で行われる変動表示は、状態フラグの値が「1」のときに実行され、変動表示の終了時にその変動表示が大当たりを発生し得るものであるか否かが判定される。変動表示が大当たりを発生し得るものであれば、状態フラグの値が「1」に設定され、以降、大当たり処理(S26)が実行される。一方、変動表示の終了時にその変動表示が大当たりか否かをチェックした結果、大当たりを発生し得る値でない場合は、状態フラグの値が「0」に設定され、特別図柄変動処理(S25)及び大当たり処理(S26)の処理がスキップされる。なお、大当たりの終了時には、状態フラグの値が「0」に設定される。
具体的に説明すると、通常選択処理(S68)において、大当たりの遊技価値の付与を決定する値である場合、即ち、大当たり放出カウンタ13vの値が「7」又は「315」であると判断された場合に、大当たり設定処理(S325)内で大当たり図柄又は変動パターンが設定される。そこで設定された大当たりの変動パターンが終了するタイミングで(変動表示が終了するタイミングで)状態フラグが「2」に設定される。この状態フラグは、図5のS24の処理において参酌され、この処理において状態フラグが「大当たり中」を示す「2」である場合に、後述する図47に示す大当たり処理(図5、S26参照)が実行されるように構成されている。なお、S24の処理において、状態フラグの値が「1」である場合には特別図柄変動処理(図5、S25参照)が実行され、状態フラグの値が「0」である場合には「その他」としてS25及びS26の処理をスキップしてS27の表示データ作成処理が実行される。また、図47に示す大当たりが予め定められた遊技価値を遊技者に付与した場合には、大当たり遊技が終了するので、それに伴って状態フラグも「大当たり中」から「図柄変動中」または「その他」に設定される。
図47は、第5実施例の大当たり処理(S26)を示したフローチャートである。この大当たり処理は、図5に示す主制御基板Cのメイン処理において、状態フラグ(図示せず)が「大当たり中」であると判断された場合に(図5、S24参照)、放出選択フラグ13gをオンして、蓄越カウンタ13eに記憶されるずらされた大当たりを付与(放出)するための処理である。
大当たり処理(S26)では、まず、特定入賞口5の開放等を行う大当たり実行処理を行い(S91)、放出フラグ13hがオンしているか否かを確認する(S341)。放出フラグ13hがオンしていれば(S341:Yes)、2ms後以降の大当たり処理で以下の処理をスキップすることができるように、放出フラグ13hをオフして(S342)、次に、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上か否かを確認して(S343)、ずらされている大当たりがあるかを調べる。蓄越カウンタ13eの値が「1」以上であれば(S343:Yes)、今までにずらされた大当たりが未放出の状態で蓄越されているので、その大当たりを付与(放出)するために放出選択フラグ13gをオンして(S344)、この大当たり処理を終了する。
一方、S343の処理において、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上でなければ(S343:Yes)、ずらされている大当たりがないということなので、放出選択フラグ13gをオフして(S345)、この大当たり処理を終了する。なお、S341の処理において、放出フラグ13hがオンしてない状態、即ち、放出フラグ13hがオフしている場合には(S341:No)、S342〜S345のいずれかの処理を既に実行しているので、これらの処理をスキップして、この大当たり処理を終了する。よって、放出フラグ13hがオフされた後は、この大当たり処理では、大当たり実行処理(S91)のみが行われる。
次に、図48を参照して、第5実施例の放出選択処理(S69)について説明する。この放出選択処理は、放出選択フラグ13gがオンしている場合、即ち、始動入賞に基づいて取得された大当たり放出カウンタ13vの値が「7」又は「315」であって、ずらされた大当たりの付与が行われ、その大当たり遊技が終了した際に行われる保留球カウンタ減算処理の中で実行される処理である。
第5実施例の放出選択処理(S69)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たりカウンタ13uの値は大当たりの権利を発生させる値であるか否か、即ち、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たりカウンタ13uの値が「7」か否かを確認する(S351)。確認の結果、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たりカウンタ13uの値が「7」であれば(S351:Yes)、蓄越カウンタ13eの値に「1」を加算して(S352)、前記した図46に示す大当たり設定処理(S325)を行い、大当たり設定処理(S325)の後はこの放出選択処理を終了する。一方、S351の処理において、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たりカウンタ13uの値が「7」でなければ(S351:No)、S352の処理をスキップして、処理をS325へ移行する。
以上説明したように、第5実施例のパチンコ機Pでは、始動入賞に基づいて取得された大当たりカウンタ13uの値のみに応じて大当たりの権利を発生させると共にその大当たりの遊技価値の付与をずらすように構成する。また、始動入賞に基づいて取得された大当たり放出カウンタ13vの値のみに応じて今までずらされていた大当たりの付与を決定するように構成する。即ち、大当たりの付与のずらし、又は、ずらされた大当たりの付与の決定をそれぞれ異なる2のカウンタ13u,13vで独立して決定するように構成することによって、始動入賞に基づいて取得される大当たりカウンタ13uの値と、同じく始動入賞に基づいて取得される大当たり放出カウンタ13vの値とで、遊技者に付与する遊技価値を異ならせることができるので、パチンコ機Pで行われる遊技の遊技性を多様化させ、遊技の興趣を向上させることができる。
この第5実施例において、始動入賞に基づいて取得された大当たり放出カウンタ13vの値が、今までにずらされている大当たりを遊技者に付与する値であった場合に、蓄越カウンタ13eの値が「0」になるまで、即ち、ずらされて記憶されている大当たりをすべて付与するように構成されていた。これに代えて、ずらされている大当たりを遊技者に付与する場合に、付与する大当たり数の限度を設定するように構成しても良い。ずらした大当たりを一度に全部付与してしまうと、蓄越カウンタ13eに記憶されるずらされた大当たりが無くなってしまい、遊技者は、ずらされた大当たりが全部付与されたと認識すると、得られる遊技価値が少なくなったと判断して、遊技の継続意欲を無くしてしまう。そこで、ずらされた大当たりを分散して遊技者に付与することによって、遊技者の遊技の継続意欲を保ちつつ、且つ、大当たりを付与する際に通常の遊技価値よりも高い遊技価値を付与することができる。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
以下に第5実施例の変形例を示す。識別情報等を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段により遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記動的実行手段によって前記表示装置に前記識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に特別遊技状態を発生させる特別遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態が発生し得る場合にその特別遊技状態の付与を一旦ずらし、所定の条件を満たしたときにずらした前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機F1。特別遊技付与手段は、特別遊技状態が発生し得る場合にその特別遊技状態の付与を一旦ずらし、所定の条件を満たしたときにずらした特別遊技状態を付与するものである。よって、特別遊技状態の付与をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。なお、特別遊技状態の付与をずらすとは、例えば、特別遊技状態の付与を保留させること、特別遊技状態の付与を待機させること、或いは、特別遊技状態の付与を遅延させること等が例示される。
遊技機F1において、前記特別遊技付与手段は、始動条件の成立に基づいてランダムに値を取得する第1無作為抽出手段と、その第1無作為抽出手段の値が予め定めた所定値である場合に、前記特別遊技状態の権利を発生させると共にその特別遊技状態の付与を一旦ずらす特別遊技蓄越手段とを備えていることを特徴とする遊技機F2。特別遊技付与手段は、始動条件の成立に基づいて取得された第1無作為抽出手段の値が予め定めた所定値ある場合に、特別遊技蓄越手段によって、特別遊技状態の権利を発生させると共にその特別遊技状態の付与を一旦ずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。なお、特別遊技状態とは、例えば、球等の有価価値を有する遊技媒体が遊技者に付与される大当たり状態、特別遊技状態の発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、又は、始動条件の成立が通常状態より容易にされると共に1の動的表示に要する時間が短縮されて特別遊技状態が付与され易い時間短縮状態等が例示される。また、第1無作為抽出手段としては、例えば、所定のタイミングで更新される乱数カウンタや、ランダムに値を取得することができるICカウンタ等が例示される。
遊技機F1又はF2において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によりずらされた前記特別遊技状態を所定の条件を満たした場合に遊技者に付与する蓄越放出手段を備えていることを特徴とする遊技機F3。特別遊技蓄越手段によりずらされた特別遊技状態を、所定の条件を満たした場合に応じて蓄越放出手段によって遊技者に付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。なお、所定の条件としては、例えば、少なくとも1の所定のカウンタの値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。
遊技機F3において、前記特別遊技付与手段は、始動条件の成立に基づいてランダムに値を取得する第2無作為抽出手段を備え、前記蓄越放出手段は、前記第2無作為抽出手段の値が予め定めた所定値であった場合にずらされている前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機F4。特別遊技蓄越手段によりずらされた特別遊技状態を、始動条件の成立に基づいて取得された第2無作為抽出手段の値が予め定めた所定値であった場合に蓄越放出手段によって遊技者に付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。また、従来、遊技機で行われる遊技の遊技価値の決定は、1の所定のカウンタのみで決定しており、遊技性が単調になっていた。しかし、遊技機F4によれば、始動条件の成立に基づいて取得される第1無作為抽出手段の値のみに応じて特別遊技状態の権利を発生させると共にその付与をずらし、同じく始動条件の成立に基づいて取得される第2無作為抽出手段の値のみに応じてずらされている特別遊技状態の付与を決定する。即ち、第1無作為抽出手段の値と第2無作為抽出手段の値とがそれぞれ独立して遊技を決定することにより、始動条件の成立に基づいて取得される第1無作為抽出手段の値と、同じく始動条件の成立に基づいて取得される第2無作為抽出手段の値とで、遊技者に付与する遊技価値を異ならせることができるので、遊技性を多様化させ、遊技の興趣を向上させることができる。なお、第2無作為抽出手段としては、例えば、所定のタイミングで更新される乱数カウンタや、ランダムに値を取得することができるICカウンタ等が例示される。
遊技機F2からF4のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によりずらされた前記特別遊技状態数を蓄積して記憶する記憶手段を備えていることを特徴とする遊技機F5。従来、遊技者は、遊技機の釘調整や、遊技機の特別遊技状態発生回数等で遊技機を選択していた。遊技機F5によれば、ずらした特別遊技状態を蓄積して記憶しておくことで、遊技者に不利益を被らせることなく適切な遊技を提供することができると共に、各遊技機毎において記憶手段に記憶される特別遊技状態数が異なり、遊技条件が異なることで各遊技機毎で差が生じるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増やすことができる。
遊技機F5において、前記蓄越放出手段は、前記第2無作為抽出手段の値が予め定めた所定値であった場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の全部を付与するものであることを特徴とする遊技機F6。始動条件の成立に基づいて取得された第2無作為抽出手段の値が予め定めた所定値であった場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の全部を付与することで、ずらした特別遊技状態を一度に遊技者に付与することができる。よって、遊技者に特別遊技状態を付与する際に通常の遊技価値よりも高い遊技価値を付与することができる。
遊技機F5において、前記蓄越放出手段は、前記第2無作為抽出手段の値が予め定めた所定値であった場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の一部を付与するものであることを特徴とする遊技機F7。始動条件の成立に基づいて取得された第2無作為抽出手段の値が予め定めた所定値であった場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の一部を付与することで、ずらした特別遊技状態を分散して遊技者に付与することができる。ずらした特別遊技状態を一度に全部付与してしまうと、記憶手段に記憶されるずらされた特別遊技状態が無くなってしまい、遊技者は、ずらされた特別遊技状態が全部付与されたと認識すると、得られる遊技価値が少なくなったと判断して、遊技の継続意欲を無くしてしまう。そこで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することによって、遊技者の遊技の継続意欲を保ちつつ、且つ、特別遊技状態を付与する際に通常の遊技価値よりも高い遊技価値を付与することができる。
遊技機F5からF7のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記第2無作為抽出手段の値がずらされた前記特別遊技状態を付与する値である場合に、前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があるか否かを確認する蓄越確認手段を備え、その蓄越確認手段によって前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があると判断された場合に、前記記憶手段に記憶されている少なくとも1の前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機F8。始動条件の成立に基づいて取得された第2無作為抽出手段の値がずらされた特別遊技状態を付与する値である場合に、蓄越確認手段によって記憶手段にずらされた特別遊技状態があるか否かを確認し、記憶手段にずらされた特別遊技状態があると判断された場合に、そのずらされている少なくとも1の特別遊技状態を付与する。よって、遊技者は、確率的に動的表示の回転回数に応じてずらされた特別遊技状態数が多いと判断することで、動的表示の回転数に応じた遊技機の選択を行うことができるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増加させることができる。
遊技機F5からF8のいずれかにおいて、前記第1無作為抽出手段は、前記第2無作為抽出手段より前記所定値が取得し易いように構成されていることを特徴とする遊技機F9。始動条件の成立に基づいて取得された第2無作為抽出手段の値がずらした特別遊技状態を付与する所定値である場合に、記憶手段に付与すべき特別遊技状態を記憶されていないと、遊技者に特別遊技状態を付与できず、遊技性を全うすることができないばかりか、遊技者に不利益を被らせてしまう。そこで、第1無作為抽出手段は、第2無作為抽出手段より所定値が取得し易いように構成することによって、始動条件の成立に基づいて取得される第2無作為抽出手段が所定値である確率より、同じく始動条件の成立に基づいて取得される第1無作為抽出手段が所定値である確率を高くすることができる。よって、特別遊技状態の権利を発生させると共にその特別遊技状態の付与をずらすか否かを決定する第1無作為抽出手段の抽選確率を、ずらされた特別遊技状態を遊技者に付与するか否かを決定する第2無作為抽出手段の抽選確率より高く設定することで、記憶手段に特別遊技状態を記憶しておき易くすることができるので、遊技者に不利益を被らせることなく新たな遊技性を提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機F5からF9のいずれかにおいて、前記記憶手段は、停電等によって電源が切断されると判断された場合に、前記記憶手段に記憶されるデータを電源の切断後においても保持(記憶)し、電源再入時にその保持されたデータに基づいて遊技を再開可能とする情報保持機能を有していることを特徴とする遊技機F10。記憶手段に情報保持機能を付与することによって、停電等による電源断時にもデータを保持し、電源再入時に保持されたデータに基づいて電源断時の状態に復帰して遊技の制御を再開することができると共に、ずらされた特別遊技状態を保持しておくことができるので、遊技者に不利益を被らせることなく適切な遊技を提供することができる。
遊技機F1からF10のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置で実行される動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記特別遊技蓄越手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報である前記第1無作為抽出手段の値が予め定められた所定値である場合に、前記特別遊技状態の権利を発生させると共に、その特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機F11。特別遊技付与手段は、特別遊技蓄越手段によって、実行記憶手段に記憶された動的表示情報である第1無作為抽出手段の値が予め定めた所定値である場合に、特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態の付与をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機F11において、前記蓄越放出手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報である前記第2無作為抽出手段の値が予め定められた所定値である場合に、前記記憶手段に記憶されているずらされた特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機F12。特別遊技付与手段は、蓄越放出手段によって、実行記憶手段に記憶された動的表示情報である第2無作為抽出手段の値が予め定めた所定値である場合に、記憶手段に記憶されているずらされた特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態の付与をずらすことができるので、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機F11又はF12において、前記特別遊技付与手段は、少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与する場合に、前記実行記憶手段に記憶される動的表示情報を特別遊技状態の動的表示情報に変更する情報変更手段を備えていることを特徴とする遊技機F13。少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を特別遊技状態の動的表示情報に変更する。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機F13において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判断する判断手段と、その判断手段により前記動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判断された場合は、前記情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す変更蓄越手段とを備えていることを特徴とする遊技機F14。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者には2の特別遊技状態が付与されるべきであるにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、判断手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判断された場合に、変更蓄越手段によって、情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す。よって、少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、特別遊技状態に当選していないときは、動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更することができる。一方、特別遊技状態に当選している場合は、ずらされた特別遊技状態の付与を持ち越して、当選した特別遊技状態を優先することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機F13において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判断する判断手段を備え、その判断手段により前記動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判断された場合は、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、前記情報変更手段により動的表示情報を変更するものであることを特徴とする遊技機F15。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者には2の特別遊技状態が付与されるべきであるにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、判断手段によってその動的表示情報が特別遊技状態を発生するか否かを判断し、判断手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判断された場合に、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、情報変更手段により動的表示情報を以前にずらされている特別遊技状態に変更する。よって、特別遊技状態に当選している場合には、当選した特別遊技状態の付与をずらして、以前にずらされた特別遊技状態を付与することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機F1からF15のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機F16。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。また、従来のスロットマシンは、例えば、特別遊技状態を取得した場合、目押し等の遊技者の技量に応じてその特別遊技状態を遊技者に付与していた。しかしながら、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機にスロットマシンを用いると、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量が必要となる。よって、ただでさえ特別遊技状態をずらすという行為によって意図的に射倖性を高めているにもかかわらず、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量を求めることによって、不慣れな遊技者に多大な負担を与えて射倖性を高めてしまい、遊技機における適切な射倖性が維持できなくなってしまう。このため、遊技者はその遊技機における遊技を敬遠しがちになってしまい、遊技場の利益が減少してしまうという問題点があった。一方、パチンコ遊技機は、特別遊技状態に当選した場合、遊技者の技量如何にかかわらず、一義的に遊技者の特別遊技状態を付与することができる。よって、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機において、パチンコ遊技機を用いることによって、例えば、特別遊技状態を取得した場合に、遊技者の技量にかかわらず特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、不慣れな遊技者が遊技を行う場合でも、特別遊技状態に当選した場合には一義的に特別遊技状態を付与することができるので、適度な射倖性を維持しつつ、新たな遊技性による興趣を遊技者に提供することができる。
遊技機F1からF15のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機F17。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機F1からF15のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機F18。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
次に、図49から図52を参照して、本発明の第9−1実施例について説明する。第1実施例のパチンコ機Pでは、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合に、大当たり図柄カウンタ13dの値に応じてその大当たりのずらし、又は、ずらされた大当たりの付与等を決定していた。従って、無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値で、且つ、大当たり図柄カウンタ13dの値がずらされた大当たりを付与させる値であった場合にのみ遊技者に大当たりが付与されていたので、例えば、頻繁に大当たりがずらされてしまうと、遊技者は大当たりの権利を取得しているにもかかわらず、長期間、遊技者に大当たりを付与することができず、遊技者の不満感を募らせてしまう状況が発生してしまっていた。
これに代えて、第9−1実施例では、変動表示が1000回行われる間に大当たりが遊技者へ付与されているか否かを判断し、大当たりが遊技者へ付与されていないと判断された場合に、ずらされている1の大当たりを遊技者へ付与するように構成する。よって、少なくとも一定の間隔で大当たりを遊技者へ付与することができ、遊技者に所定の遊技価値を付与して不満感を募らせ難くしつつ、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、第9−1実施例の説明で用いる図面は、図1、図3、図4、図5、図6、図7、図47、図49、図50、図51及び図52であるが、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図49は、第9−1実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第9−1実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのRAM13には、変動回数カウンタ13pが設けられている。
変動回数カウンタ13pは、上記した第23−3実施例に用いられた変動回数カウンタ13pと同一であり、LCD3で行われる変動表示の回数を記憶するメモリである。この変動回数カウンタ13pの値は、後述する図50に示す保留球カウンタ減算処理の中で、図柄回転1メモリ13kに記憶される変動表示のデータが図柄回転実行エリア13jに書き込まれた場合に「1」加算される(図50、S360参照)。
一方、この変動回数カウンタ13pは、大当たりが遊技者に付与される場合に「0」クリアされる。具体的には、放出図柄若しくは単発大当たり図柄で大当たりが発生した場合(図52、S390参照)、又は、変動回数カウンタ13pの値が「1000」以上になった場合に(図50、S364参照)、変動回数カウンタ13pの値が「0」クリアされる。
次に、図50を用いて、第9−1実施例の主制御基板Cで行われる保留球カウンタ減算処理について説明する。第9−1実施例の保留球カウンタ減算処理では、変動表示が行われる毎に変動回数カウンタ13pの値に「1」を加算し、その変動回数カウンタ13pの値が「1000」以上になった場合に、変動回数カウンタ13pの値を「0」クリアすると共に、蓄越カウンタ13eの値に「1」を加算して、放出選択フラグ13gをオンせずにその後の処理を放出選択処理(S366)へと移行する。
第9−1実施例の保留球カウンタ減算処理では、まず、変動表示中か否か、即ち、変動表示が終了しているか否かを確認する(S61)。確認の結果、変動表示中であれば(S61:Yes)、この保留球カウンタ減算処理を終了する。一方、変動表示中でなければ(S61:No)、次に、大当たり中であるか否かを確認する(S62)。大当たり中であれば(S62:Yes)、この保留球カウンタ減算処理を終了する一方、大当たり中でなければ(S62:No)、保留球カウンタ13iの値が「1」以上であるか否かを確認し(S63)、保留球カウンタ13iの値が「1」以上であれば(S63:Yes)、処理をS64へ移行する。なお、保留球カウンタ13iの値が「1」未満、即ち、「0」であれば(S63:No)、図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに変動表示のデータは記憶されていないということなので、この保留球カウンタ減算処理を終了する。
S64の処理では、保留球カウンタ13iの値から「1」減算して(S64)、図柄回転1メモリ13kに記憶されている変動表示のデータを図柄回転実行エリア13jに書き込み(S65)、図柄回転2〜4メモリ13l〜13nに記憶されている変動表示のデータをそれぞれ1つずつ小さい図柄回転1〜3メモリ13k〜13mへシフトし(S66)、変動表示カウンタ13pの値に「1」を加算して(S360)、処理をS361へ移行する。
S361の処理では、変動回数カウンタ13pの値が「1000」以上であるか否かを確認する(S361)。確認の結果、変動回数カウンタ13pの値が「1000」未満であれば(S361:No)、処理をS362へ移行する。S362の処理では、放出選択フラグ13gがオンされているか否かを確認し(S362)、放出選択フラグ13gがオンされていなければ(S362:No)、処理をS363の通常選択処理へと移行する。また、放出選択フラグ13gがオンされていれば(S362:Yes)、処理をS366の放出選択処理へと移行する。
一方、S361の処理において、変動回数カウンタ13pの値が「1000」以上であれば(S361:Yes)、LCD3で1000回の変動表示が行われる間に大当たりが遊技者に付与されなかったということなので、遊技者に大当たりを付与する。従って、まず、変動回数カウンタ13pの値を「0」クリアして(S364)、1000回の変動表示が行われたことによる大当たりを付与するために蓄越カウンタ13eの値に「1」を加算し(S365、限度保障)、放出選択フラグ13gをオンせずに処理をS366の放出選択処理へと移行する。よって、通常、放出選択フラグ13gをオンして蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たりをすべて遊技者に付与するために放出選択処理を行うものであるが、放出選択フラグ13gをオンせずに放出選択処理を行うことにより、蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たりを1のみ遊技者に付与することができるのである。なお、S363の通常選択処理、又は、S366の放出選択処理の終了後は、この保留球カウンタ減算処理を終了する。
次に、図51を参照して、第9−1実施例の放出選択処理(S366)について説明する。この放出選択処理では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータは大当たりを発生する値であるか否かを確認する(S371)。図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値でなければ(S371:No)、通常状態の大当たり時には表示されることのない蓄越図柄を大当たり図柄に設定するために、図柄回転実行エリア13jに記憶されている停止図柄を蓄越図柄のいずれかに設定し(S372)、図柄回転実行エリア13jに記憶されている変動パターンを大当たり変動パターンに設定して(S373)、蓄越カウンタ13eの値から「1」減算して(S374)、この放出選択処理を終了する。
なお、S371の処理において、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値である場合は(S371:Yes)、その大当たりを優先して行うために、処理をS375へ移行する。図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータに記憶される変動表示のデータが大当たりであるにもかかわらず、S372〜S374の処理を行って、変動表示のデータを変更してしまうと、せっかく当選した大当たりを損ねてしまう。そこで、蓄越されている大当たりを付与する場合に、大当たりに当選していないときには、変動表示のデータをずらされていた大当たりのデータに変更し、逆に、大当たりに当選している場合は、ずらされた大当たりの付与を保留して、当選した大当たりを優先する。よって、当選した大当たりを損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
S375の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」のいずれかであるか否かを確認する(S375)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合には(S375:Yes)、蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S376)、遊技者に蓄越図柄での大当たりを付与するために、処理をS372へ移行する。一方、S375の処理において、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値でない場合には(S375:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「7」であるか否かを確認する(S377)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であった場合には(S377:Yes)、放出フラグ13hをオンして(S378)、処理をS379へ移行する。一方、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値でない場合、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄を選択する「1」、「3」、「5」又は「9」のいずれかであった場合には(S377:No)、S378の処理をスキップして、処理をS379の処理へと移行する。
S379の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定して(S379)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S380)、この放出選択処理を終了する。
次に、図52を参照して、第9−1実施例の通常選択処理(S362)について説明する。図52は第9−1実施例の通常選択処理のフローチャートであり、遊技者に大当たりが付与される場合に、変動回数カウンタ13pの値を「0」クリアするための処理である。この通常選択処理(S362)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータは大当たりを発生する値であるか否かを確認する(S381)。図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値でない場合には(S381:No)、ハズレリーチやハズレの変動パターン等を設定する各処理を行い(S391)、この通常選択処理を終了する。一方、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値である場合には(S381:Yes)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」のいずれかであるか否かを確認する(S382)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合には(S382:Yes)、蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S383)、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を特定の図柄(例えば、ハズレ図柄)に設定し(S384)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを特定の変動パターン(例えば、ハズレの変動パターン)に設定して(S385)、この通常選択処理を終了する。
一方、S382の処理において、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値でない場合には(S382:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「7」であるか否かを確認する(S386)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であった場合には(S386:Yes)、放出フラグ13hをオンして(S387)、処理をS388へ移行する。一方、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値でない場合、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄を選択する「1」、「3」、「5」又は「9」のいずれかであった場合には(S386:No)、S387の処理をスキップして、処理をS388の処理へと移行する。
S388の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定して(S388)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S389)、大当たりが遊技者に付与されるので、変動回数カウンタ13pの値を「0」クリアして(S390)、この通常選択処理を終了する。
以上説明したように、第9−1実施例のパチンコ機Pでは、LCD3で行われる変動表示が1000回行われる間に、遊技者に大当たりが付与されない場合に、蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たりを遊技者に付与する。よって、少なくとも一定の間隔で大当たりを遊技者へ付与することができ、遊技者に所定の遊技価値を付与して不満感を募らせ難くしつつ、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
また、その際に、LCD3に表示される大当たり図柄を蓄越図柄に設定する。本来、パチンコ機Pにおいて、通常状態時に最初に遊技者に大当たりが付与する場合には、LCD3に放出図柄、又は、単発大当たり図柄のいずれかの図柄が表示される。即ち、最初の大当たり時には蓄越図柄での大当たりが遊技者へ付与されないように構成されている。しかし、第9−1実施例のパチンコ機Pによれば、変動表示が1000回行われる間に遊技者に大当たりが付与されていなければ、大当たりを遊技者へ付与し、その際にLCD3に表示される大当たり図柄を蓄越図柄に設定する。このため、遊技者は、最初の大当たり時に蓄越図柄で大当たりが発生した場合に、所定期間中に大当たりが発生しなかったことによる大当たりの付与であることを認識することができる。よって、遊技者は、変動表示が1000回行われたことにより高確率でずらされた大当たりが存在するということを認識することができるので、そのずらされている大当たりを付与させるために積極的に遊技を行う。従って、遊技の興趣を向上させると共に、遊技者の遊技の継続意欲を高めることができる。
次に、図53から図55を参照して、第9−2実施例について説明する。第9−2実施例のパチンコ機Pでは、ずらされた大当たりが所定数に達した場合に、そのずらされている1の大当たりを遊技者に付与するように構成されている。大当たりが発生し得る場合に、所定条件(本実施例では、大当たり図柄カウンタ13d値)に応じてその大当たりの付与をずらすことができるパチンコ機Pにおいて、遊技者が大当たりに当選して大当たりが発生し得る場合でも、その大当たりが頻繁にずらしてしまうと、長期間、大当たりを遊技者に付与することができず、遊技者に不満感を募らせてしまう。そこで、ずらされた大当たりが所定数溜まった場合、即ち、蓄越カウンタ13eの値が所定値に達した場合に、少なくとも1の大当たりを遊技者に付与する。よって、少なくとも一定の間隔で大当たりを遊技者に付与することができ、遊技者に所定の遊技価値を付与して不満感を募らせ難くしつつ、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、第9−2実施例の説明で用いる図面は、図1、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図47、図53、図54及び図55であるが、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図53は、第9−2実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第9−2実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのRAM13には、蓄越限度保障フラグ13wが備えられている。
蓄越限度保障フラグ13eは、蓄越カウンタ13eの値が「10」の倍数であった場合に、次回に大当たりが発生してその大当たりがずらされる場合に、蓄越カウンタ13eの値を減算させないようにするためのフラグである。この蓄越限度保障フラグ13wは、蓄越カウンタ13eの値が「10」の倍数である場合にオンされ(図55、S406参照)、逆に、蓄越カウンタ13eの値が「10」の倍数であった場合に、次回の大当たりが発生してその大当たりがずらされる場合、即ち、蓄越限度保障フラグ13wがオンされていると判断された後にオフされる(図55、S407)。
図54は、第9−2実施例の通常選択処理(S68)のフローチャートである。この第9−2実施例の通常選択処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値である場合(S71:Yes)、且つ、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を示す値であった場合に(S72:Yes)、蓄越カウンタ13eの値に「1」を加算して(S73)、その後、S400の蓄越限度保障処理を行う。
図55は、蓄越限度保障処理(S400)のフローチャートである。この蓄越限度保障処理では、ずらされた大当たりが10,20,30,・・・、と10の倍数である場合、即ち、蓄越カウンタ13eの値が「10」の倍数である場合に、大当たりを遊技者に付与するための処理である。
この蓄越限度保障処理(S400)では、まず、蓄越限度保障フラグ13wがオンされているか否かを確認する(S401)。蓄越限度保障フラグ13wがオンされていなければ(S401:No)、次に、蓄越カウンタ13eの値が「10」の倍数であるか否かを確認する(S402)。確認の結果、蓄越カウンタ13eの値が「10」の倍数であれば(S402:Yes)、ずらされた大当たりが溜まって、長期間に渡って遊技者に大当たりが付与されていない状況であるので、遊技者に大当たりを付与するために、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13eの値に応じた停止図柄を設定する(S403)。具体的には、蓄越限度保障処理(S400)は、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を示す値でなければ行われないので(図54、S72参照)、この大当たり時には蓄越図柄が表示される。S403の処理の後は、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S404)、蓄越カウンタ13eの値から「1」減算し(S405)、蓄越限度保障フラグ13wをオンして(S406)、この蓄越限度保障処理を終了する。
一方、S401の処理において、蓄越限度保障フラグ13wがオンされていれば(S401:Yes)、前回ずらされた大当たりは10の倍数回目のずらされた大当たりであったということなので、今回の大当たりをずらす場合には蓄越カウンタ13eの値を「1」減算しないように、S403〜S406の処理を回避する。従って、まず、蓄越限度保障フラグ13wをオフして(S407)、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を特定の図柄(例えば、ハズレ図柄)に設定し(S408)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを特定の変動パターン(例えば、ハズレの変動パターン)に設定して(S409)、この蓄越限度保障処理を終了する。
なお、S401及びS402の処理において、蓄越限度保障フラグ13wがオンされていない状態(S401:No)、且つ、蓄越カウンタ13eの値が「10」の倍数でない状態では(S402:No)、その大当たりをずらすために、その後の処理をS408及びS409の処理へ移行する。
以上説明したように、第9−2実施例のパチンコ機Pによれば、大当たりが10の倍数回ずらされる間に、遊技者に大当たりが付与されない場合に、蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たりを遊技者に付与する。よって、少なくとも一定の間隔で大当たりを遊技者へ付与することができ、遊技者に所定の遊技価値を付与して不満感を募らせ難くしつつ、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
また、その際に、LCD3に表示される大当たり図柄を蓄越図柄に設定する。本来、パチンコ機Pにおいて、通常状態時に最初に遊技者に大当たりが付与する場合には、LCD3に放出図柄、又は、単発大当たり図柄のいずれかの図柄が表示される。即ち、最初の大当たり時には蓄越図柄での大当たりが遊技者へ付与されないように構成されている。しかし、第9−2実施例のパチンコ機Pによれば、10の倍数個の大当たりがずらさた場合に、大当たりを遊技者へ付与し、その際にLCD3に表示される大当たり図柄を蓄越図柄に設定する。このため、遊技者は、最初の大当たり時に蓄越図柄で大当たりが発生した場合に、所定期間中に大当たりが発生しなかったことによる大当たりの付与であることを認識することができる。よって、遊技者は、大当たりが10個以上ずらされているということを認識することができるので、そのずらされている大当たりを付与させるために積極的に遊技を行う。従って、遊技の興趣を向上させると共に、遊技者の遊技の継続意欲を高めることができる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、パチンコ機Pにおいて、第9−1実施例と第9−2実施例を同時に行うことが可能に構成しても良い。第9−1実施例及び第9−2実施例を同時に行うことにより、第9−1実施例、又は第9−2実施例を単独で行うことより大当たりを遊技者に付与させやすくすることができるので、遊技者に所定の遊技価値を付与して不満感を募らせ難くしつつ、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
以下に第9−1実施例、又は、第9−2実施例の変形例を示す。識別情報等を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段により遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記動的実行手段によって前記表示装置に前記識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に特別遊技状態を発生させる特別遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態が発生し得る場合に、所定条件に応じてその特別遊技状態の付与をずらす特別遊技蓄越手段を備え、所定期間中に前記特別遊技状態が遊技者へ付与されていない場合に、少なくとも1の前記特別遊技状態を遊技者に付与することを特徴とする遊技機G1。従来、パチンコ機等の遊技機においては、様々なバリエーションの変動表示ゲームが行われるものが主流である。この変動表示ゲームは、表示装置(例えば、LCD)に複数個の図柄を表示し、所定の遊技条件に基づいてその複数個の図柄をスクロールして変動させるものである。そして、図柄のスクロールが停止した際に(所定の停止位置に応じて)、停止図柄が予め定められた組み合わせとなっている場合に、遊技の状態を遊技者にとって有利な遊技状態(例えば、大当たり)とするものである。しかしながら、この変動表示ゲームは、1回の変動表示でゲームが完結しているため、遊技性が断続的であると共に単調且つ均一であり、遊技者は同じ遊技機においてそれまでの遊技結果に応じて遊技を継続して行っても興趣を得ることができないといった問題点があった。そこで、特別遊技蓄越手段によって特別遊技状態が発生し得る場合に、所定条件に応じてその特別遊技状態をずらすことができ、特別遊技付与手段は、所定期間中に特別遊技状態が付与されていない場合に、少なくとも1の特別遊技状態を遊技者に付与することができる。よって、新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができ、また、継続して遊技を行う遊技者の不満感を募らせ難くすることができる。なお、特別遊技状態の付与をずらすとは、例えば、特別遊技状態の付与を保留させること、特別遊技状態の付与を待機させること、或いは、特別遊技状態の付与を遅延させること等が例示される。
遊技機G1において、前記特別遊技付与手段は、所定期間中に前記特別遊技状態が遊技者へ付与されたか否かを判断する付与判断手段と、その付与判断手段により所定期間中に前記特別遊技状態が遊技者へ付与されていないと判断された場合に、少なくとも1の前記特別遊技状態を付与する特別遊技付与手段とを備えていることを特徴とする遊技機G2。特別遊技状態が発生し得る場合に、所定条件に応じてその特別遊技状態の付与をずらすことができる遊技機において、頻繁に特別遊技状態をずらしてしまうと、遊技者は特別遊技状態の権利を取得しているにもかかわらず、長期間、遊技者に特別遊技状態を付与することができず、遊技者の不満感を募らせてしまう。そこで、特別遊技付与手段は、付与判断手段により所定期間中に特別遊技状態が遊技者へ付与されているか否かを判断し、所定期間中に特別遊技状態が遊技者へ付与されていないと判断された場合に、少なくとも1の特別遊技付与手段によって特別遊技状態を遊技者へ付与するように構成する。よって、少なくとも一定の間隔で特別遊技状態を遊技者へ付与することができ、遊技者に所定の遊技価値を付与して不満感を募らせ難くしつつ、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。なお、特別遊技状態とは、例えば、球等の有価価値を有する遊技媒体が遊技者に付与される大当たり状態、特別遊技状態の発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、又は、始動条件の成立が通常状態より容易にされると共に1の動的表示に要する時間が短縮されて特別遊技状態が付与され易い時間短縮状態等が例示される。
遊技機G2において、前記特別遊技付与手段は、前記付与判断手段により所定期間中に前記特別遊技状態が遊技者へ付与されていないと判断された場合に、前記特別遊技蓄越手段によってずらされている少なくとも1の前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機G3。特別遊技付与手段は、付与判断手段により所定期間中に特別遊技状態が遊技者へ付与されていないと判断された場合に、特別遊技蓄越手段によってずらされてたずらされている少なくとも1の特別遊技状態を付与することによって、ずらされている特別遊技状態を効果的に遊技者に付与することができ、新たな遊技性を遊技者に提供することができると共に、遊技者に所定の遊技価値を付与して不満感を募らせ難くすることができる。
遊技機G1からG3のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記動的表示の回数を計数する動的表示計数手段と、その動的表示計数手段が所定値に達したか否かを判断する動的回数判断手段とを備え、その動的回数判断手段により前記動的表示計数手段が所定値に達したと判断された場合に、少なくとも1の前記特別遊技状態を遊技者に付与するものであることを特徴とする遊技機G4。特別遊技付与手段は、動的回数判断手段により動的表示計数手段が所定値に達したと判断された場合に、少なくとも1の特別遊技状態を遊技者に付与する。よって、所定回数の動的表示において特別遊技状態が遊技者へ付与されない場合に、特別遊技状態を遊技者へ付与することができる。従って、少なくとも一定の間隔で特別遊技状態を遊技者へ付与することができ、遊技者に所定の遊技価値を付与して不満感を募らせ難くしつつ、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機G1からG4のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、ずらされた前記特別遊技状態を記憶する記憶手段と、その記憶手段に記憶される前記特別遊技状態が所定値に達したか否かを判断する蓄越数判断手段とを備え、その蓄越数判断手段により前記記憶手段が所定値に達したと判断された場合に、少なくとも1の前記特別遊技状態を遊技者に付与するものであることを特徴とする遊技機G5。特別遊技状態が発生し得る場合に、所定条件に応じてその特別遊技状態の付与をずらすことができる遊技機において、遊技者が特別遊技状態に当選して特別遊技状態が発生し得る場合でも、その特別遊技状態が頻繁にずらしてしまうと、長期間、特別遊技状態を遊技者に付与することができず、遊技者に不満感を募らせてしまう。そこで、特別遊技付与手段は、蓄越数判断手段によりずらされた特別遊技状態を記憶する記憶手段が所定値に達したと判断された場合に、少なくとも1の特別遊技状態を遊技者に付与する。よって、記憶手段に記憶される特別遊技状態が所定数に達した場合に、特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、少なくとも一定の間隔で特別遊技状態を遊技者に付与することができ、遊技者に所定の遊技価値を付与して不満感を募らせ難くしつつ、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機G2からG5のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技付与手段により、少なくとも1の前記特別遊技状態を付与する場合に、その旨を告知する告知手段を備えていることを特徴とする遊技機G6。特別遊技付与手段は、所定期間中に特別遊技状態が遊技者に付与されていないことによって特別遊技付与手段により少なくとも1の特別遊技状態を付与する場合に、その旨を告知するように構成されている。よって、遊技者は、特別遊技付与手段により特別遊技状態が付与された場合に、その特別遊技状態の付与が所定期間中に特別遊技状態が付与されないことによる特別遊技状態の付与であることを認識することができる。
遊技機G1からG6いずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置に表示される前記識別情報を選定する識別情報選定手段を備え、前記特別遊技蓄越手段は、前記特別遊技状態が発生し得る場合に、前記識別情報選定手段が予め定めた第1所定値であるときは、前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機G7。識別情報選定手段の値に応じて特別遊技状態をずらすことによって、特別遊技状態の発生にランダム性を付与して、遊技機の遊技性を向上させることができる。なお、識別情報選定手段としては、例えば、所定のタイミングで更新される無作為抽出カウンタ(乱数カウンタ)や、ランダムに値を取得することができるICカウンタ等が例示される。
遊技機G7において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態が発生し得る場合に、前記識別情報選定手段が予め定めた第2所定値であるときは、前記記憶手段に記憶される少なくとも1の前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機G8。識別情報選定手段の値に応じて記憶手段に記憶される少なくとも1の特別遊技状態を付与することによって、特別遊技状態の発生にランダム性を付与して、遊技機の遊技性を向上させることができる。
遊技機G7又はG8において、前記特別遊技付与手段は、前記付与判断手段により所定期間中に前記特別遊技状態が遊技者へ付与されていないと判断されて、前記特別遊技付与手段により少なくとも1の前記特別遊技状態を付与する場合に、前記表示装置に表示される前記識別情報を前記識別情報選定手段が第1所定値であるときの前記識別情報に設定する設定手段を備えていることを特徴とする遊技機G9。特別遊技状態が発生し得る場合に、識別情報選定手段の値が予め定めた第1所定値であるとき、その特別遊技状態の付与をずらす遊技機において、特別遊技状態を遊技者に付与する場合に最初に表示される識別情報は、識別情報選定手段の第2所定値に応じた識別情報が表示されるものである。即ち、通常状態において、識別情報選定手段が第1所定値であるときの識別情報では、特別遊技状態が遊技者へ付与されないように構成されている。しかし、遊技機G9によれば、ずらされた特別遊技状態を付与する場合に、識別情報選定手段が第1所定値であるときの識別情報で遊技者へ特別遊技状態を付与する。このため、遊技者は、識別情報選定手段が第1所定値であるときの識別情報で特別遊技状態が発生した場合に、所定期間中に特別遊技状態が発生しなかったことによる特別遊技状態の付与であることを認識することができる。よって、遊技者は、ずらされた特別遊技状態が所定数存在する、又は、動的表示が所定回数行われたことにより高確率でずらされた特別遊技状態が存在するということを認識することができるので、その特別遊技状態を付与させるために積極的に遊技を行う。従って、遊技の興趣を向上させると共に、遊技者の遊技の継続意欲を高めることができる。
遊技機G1からG9のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、ランダムに値を取得する無作為抽出手段を備え、始動条件の成立に基づいて取得された前記無作為抽出手段の値に応じて前記特別遊技状態を付与するものであり、前記無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて前記特別遊技蓄越手段により前記特別遊技状態をずらすものであることを特徴とする遊技機G10。始動条件の成立に基づいて取得された無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて特別遊技蓄越手段によりその特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、遊技者は、確率的に動的表示の回転回数に応じてずらされた特別遊技状態数が多いと判断することで、動的表示の回転数に応じた遊技機の選択を行うことができるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増加させることができる。なお、第1所定条件とは、例えば、少なくとも1の所定のカウンタ(無作為抽出手段又は識別情報選定手段を含む)の値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。また、特別遊技状態とは、例えば、球等の有価価値を有する遊技媒体が遊技者に付与される大当たり状態、特別遊技状態の発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、又は、始動条件の成立が通常状態より容易にされると共に1の動的表示に要する時間が短縮されて特別遊技状態が付与され易い時間短縮状態等が例示される。更に、無作為抽出手段としては、例えば、所定のタイミングで更新される無作為抽出手段(乱数カウンタ)や、ランダムに値を取得することができるICカウンタ等が例示される。
遊技機G1からG10のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によりずらされた前記特別遊技状態を、第2所定条件に応じて前記特別遊技付与手段により付与するものであることを特徴とする遊技機G11。特別遊技蓄越手段によりずらされた特別遊技状態を、第2所定条件に応じて特別遊技付与手段により遊技者に特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。なお、第2所定条件とは、例えば、少なくとも1の所定のカウンタ(無作為抽出手段又は識別情報選定手段を含む)の値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。
遊技機G11において、前記特別遊技付与手段は、前記第2所定条件が成立した場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の全部を付与するものであることを特徴とする遊技機G12。第2所定条件が成立した場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の全部を付与することで、ずらした特別遊技状態を一度に遊技者に付与することができる。よって、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することで、遊技者に通常より高い遊技価値が付与することができる。
遊技機G11において、前記蓄越放出手段は、前記第2所定条件が成立した場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の一部を付与するものであることを特徴とする遊技機G13。第2所定条件が成立した場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の一部を付与することで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することができる。特別遊技状態を一度に全部付与してしまうと、記憶手段にずらされた特別遊技状態が無くなってしまい、遊技者は、ずらされた特別遊技状態が全部付与されたと認識すると、得られる遊技価値が少なくなったと判断して、遊技の継続意欲を無くしてしまう。そこで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することによって、遊技者の遊技の継続意欲を保つことができると共に、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することができる。
遊技機G1からG13のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記記憶手段に記憶されたずらされた前記特別遊技状態を付与する場合に、前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があるか否かを確認する蓄越確認手段を備え、その蓄越確認手段によって前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があると判断された場合に、その記憶手段に記憶されている少なくとも1の前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機G14。ずらされた特別遊技状態を付与する場合に、蓄越確認手段によって記憶手段にずらされた特別遊技状態があるか否かを確認し、記憶手段にずらされた特別遊技状態があると判断された場合に、そのずらされている少なくとも1の特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機G1からG14のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第1所定条件に応じて前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機G15。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第1所定条件に応じて特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。なお、所定の条件とは、例えば、所定のカウンタの値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。
遊技機G15において、前記特別遊技付与手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機G16。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機G15において、前記特別遊技付与手段は、少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与する場合に、前記実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた前記特別遊技状態に変更する情報変更手段を備えていることを特徴とする遊技機G17。少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を特別遊技状態に変更する。よって、実行記憶手段に記憶される動的表示情報を書き換えることによって特別遊技状態を付与することができるので、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機G17において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判別する判別手段と、その判別手段により前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するものであると判別された場合は、前記情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す変更蓄越手段とを備えていることを特徴とする遊技機G18。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者は2の特別遊技状態に当選したにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その動的表示情報が特別遊技状態を発生するか否かを判別手段によって判別し、その判別手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判別された場合に、変更蓄越手段によって、情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す。よって、少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、特別遊技状態に当選していないときには、動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更することができる。一方、特別遊技状態に当選している場合は、ずらされた特別遊技状態の付与を持ち越して、当選した特別遊技状態を優先することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機G17において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により前記実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判別する判別手段とを備え、その判別手段により前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するものであると判別された場合は、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、前記情報変更手段により動的表示情報の変更するものであることを特徴とする遊技機G19。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者は2の特別遊技状態に当選したにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が特別遊技状態を発生するか否かを判別手段によって判別し、その判別手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判別された場合に、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、情報変更手段により動的表示情報を以前にずらさせている特別遊技状態に変更する。よって、特別遊技状態に当選している場合は、当選した特別遊技状態の付与をずらして、以前にずらされた特別遊技状態を付与することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機G1からG19のいずれかにおいて、前記識別情報は、前記特別遊技状態をずらす蓄越識別情報と、前記記憶手段に記憶された少なくとも1の前記特別遊技状態を付与させる放出識別情報と、前記特別遊技状態を付与させる単発識別情報とを備え、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越識別情報、放出識別情報及び単発識別情報により前記動的表示を行うものであることを特徴とする遊技機G20。識別情報の種類により付与される遊技状態を異ならせることによって、動的表示のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機G1からG20のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機G21。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。また、従来のスロットマシンは、例えば、特別遊技状態を取得した場合、目押し等の遊技者の技量に応じてその特別遊技状態を遊技者に付与していた。しかしながら、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機にスロットマシンを用いると、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量が必要となる。よって、ただでさえ特別遊技状態をずらすという行為によって意図的に射倖性を高めているにもかかわらず、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量を求めることによって、不慣れな遊技者に多大な負担を与えて射倖性を高めてしまい、遊技機における適切な射倖性が維持できなくなってしまう。このため、遊技者はその遊技機における遊技を敬遠しがちになってしまい、遊技場の利益が減少してしまうという問題点があった。一方、パチンコ遊技機は、特別遊技状態に当選した場合、遊技者の技量如何にかかわらず、一義的に遊技者の特別遊技状態を付与することができる。よって、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機において、パチンコ遊技機を用いることによって、例えば、特別遊技状態を取得した場合に、遊技者の技量にかかわらず特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、不慣れな遊技者が遊技を行う場合でも、特別遊技状態に当選した場合には一義的に特別遊技状態を付与することができるので、適度な射倖性を維持しつつ、新たな遊技性による興趣を遊技者に提供することができる。
遊技機G1からG20のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機G22。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機G1からG20のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機G23。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
次に、図56から図59を参照して、本発明の第10実施例について説明する。第1実施例のパチンコ機Pでは、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合に、大当たり図柄カウンタ13dの値に応じてその大当たりのずらし、又は、ずらされた大当たりの付与等を決定していた。従って、無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値で、且つ、大当たり図柄カウンタ13dの値がずらされた大当たりを付与させる値若しくは単発の大当たりを発生させる値であった場合にのみ遊技者に大当たりが付与されている。また、例えば、遊技者が大当たりの継続権利を取得し損なった場合(所謂、「パンク」)に、その大当たりを終了(中断)させて、1の大当たりのすべての遊技価値を遊技者へ付与しないように構成されている。大当たりをずらすことのできるパチンコ機Pにおいて、例えば、ずらされている大当たりがすべて付与される状態、即ち、放出図柄での大当たりに当選したにもかかわらず、大当たりの継続権利を取得することができないことによって大当たりが途中で中断してしまうと、遊技者に多大な損害を被らせてしまい、遊技の継続意欲を無くしてしまうといった問題点があった。
これに代えて、第10実施例のパチンコ機Pでは、大当たりの継続権利を取得することができずに、大当たりが途中で終了してしまう場合に、大当たりが終了したラウンド数、及び、図柄回転1メモリ13kに記憶されている無作為抽出カウンタ13bの値に応じて、その図柄回転1メモリ13kに記憶される無作為抽出カウンタ13b及び大当たり図柄カウンタ13dの値を放出図柄での大当たりが発生する値に変更して、蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たりを遊技者に付与する。よって、1の大当たりのすべての遊技価値が遊技者に付与されない場合においても、上記した所定の条件を満たしていれば遊技者に有利な遊技価値(放出図柄での大当たり)を付与することができるので、遊技者に損失を被らせずにすむので、遊技の継続意欲を保ちつつ、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
また、大当たりが途中で終了した場合に、大当たりのラウンド数をカウントするラウンドカウンタ13yの値に応じて、ずらされたの大当たりの付与を決定する無作為抽出カウンタ13bの値を選定する。第10実施例では、大当たりが終了した場合におけるラウンドカウンタ13yの値が小さければ小さい程、放出図柄での大当たりを付与し易いように構成されている。よって、例えば、単発の大当たりが遊技者に付与される場合において、遊技者はその単発の大当たりの遊技価値をすべて付与させるという遊技を選択しても良いし、逆に、単発の大当たりの遊技価値の付与を遊技者の意志で自ら途中で終了(中断)させることによって放出図柄での大当たりの付与という遊技を選択しても良い。このため、大当たりが途中で終了した場合におけるずらされた大当たりの付与にランダム性をもたせることにより、遊技者が自らの意志でその後の遊技状態を選択することができるという新たな遊技性を提供することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うことによって、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、第10実施例の説明で用いる図面は、図1、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図11、図56、図57、図58及び図59であるが、上記した実施例(第1実施例)と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図56は、第10実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第10実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのRAM13には、検出カウンタ13xと、ラウンドカウンタ13yとが設けられている。
検出カウンタ13xは、特定入賞口(大入賞口)5のVゾーン5aに配設されたVカウントスイッチ又は10カウントスイッチ(図示せず)で検出された球を計数するためのカウンタである。この検出カウンタ13xの値は、球が大入賞口5へ入賞して、その球がVカウントスイッチ又は10カウントスイッチのいずれかによって検出された場合に「1」加算され(図58、S424参照)、逆に、検出カウンタ13xの値が「10」となり大入賞口5が閉鎖されてラウンドカウンタ13yの値に「1」が加算される場合に「0」クリアされる(図58、S427参照)。
ラウンドカウンタ13yは、大当たりのラウンド数を計数するためのカウンタである。このラウンドカウンタ13yの値は、前記した検出カウンタ13xの値が「10」となってその検出カウンタ13xの値が「0」クリアされる毎に「1」ずつ加算される(図58、S428参照)。逆に、ラウンドカウンタ13yの値は、ラウンドカウンタ13yの値が「15」となって大当たりが終了する場合に「0」クリアされる(図58、S430参照)。なお、ラウンドカウンタ13yの値が「0」クリアされると、状態フラグ(図示せず)の値が「0」に設定され、大当たりの遊技が終了するように構成されている。
大当たりが途中で終了した場合(所謂、パンク)に、このラウンドカウンタ13yの値に応じて、放出図柄での大当たりを発生させるか否かを決定する無作為抽出カウンタ13bの値が選定される。第10実施例では、大当たりが終了した場合におけるラウンドカウンタ13yの値が小さければ小さい程、放出図柄での大当たりを付与し易いように構成されている(図59参照)。よって、大当たりが遊技者に付与される場合において、遊技者はその大当たりの遊技価値をすべて付与させるという遊技を選択しても良いし、逆に、大当たりの遊技価値の付与を遊技者の意志で自ら途中で終了(中断)させることによって放出図柄での大当たりの付与という遊技を選択しても良い。このため、大当たりが途中で終了した場合におけるずらされた大当たりの付与にランダム性をもたせることにより、遊技者が自らの意志でその後の遊技状態を選択することができるという新たな遊技性を提供することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うことによって、遊技の興趣を向上させることができる。
次に、図57を用いて、第10実施例の主制御基板Cで行われる大当たり処理(図5、S26参照)について説明する。この大当たり処理は、図5に示す主制御基板Cのメイン処理において、状態フラグ(図示せず)が「大当たり中」であると判断された場合に(図5、S24参照)、特定入賞口(大入賞口)5の開放、及び、大当たり実行処理(S91参照)等を実行して、遊技者に所定数の球等を付与するための処理である。
この大当たり処理では、まず、大入賞口5の開放等を行う大当たり実行処理を行う(S91)。この大当たり実行処理の詳細については後述する。大当たり実行処理の終了後は、放出フラグ13hがオンしているか否かを確認する(S411)。放出フラグ13hがオンしていれば(S411:Yes)、放出図柄での大当たりが発生したということなので、2ms後以降の大当たり処理で以下の処理をスキップすることができるように、放出フラグ13hをオフして(S412)、次に、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上か否かを確認して(S413)、ずらされている大当たりがあるかを調べる。蓄越カウンタ13eの値が「1」以上であれば(S413:Yes)、今までにずらされた大当たりが未放出の状態で蓄越されているので、その大当たりを付与(放出)するために放出選択フラグ13gをオンして(S414)、この大当たり処理を終了する。
一方、S413の処理において、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上でなければ(S413:No)、ずらされている大当たりがないということなので、放出選択フラグ13gをオフして(S415)、この大当たり処理を終了する。なお、S411の処理において、放出フラグ13hがオンしていない状態、即ち、放出フラグ13hがオフされている場合には(S411:No)、S412〜S415のいずれかの処理を既に実行しているので、これらの処理をスキップして、この大当たり処理を終了する。
図58は、大当たり実行処理(S91)を示したフローチャートである。この大当たり実行処理は、大入賞口5を開放すると共に、その大入賞口5が開放されてから30秒が経過しても10カウントスイッチ又はVカウントスイッチ(図示せず)によって球が検出されない場合に、所定条件に応じて遊技者に放出図柄での大当たりを付与する保障放出処理(S435参照)を実行するための処理である。なお、大当たりの遊技は、10カウント×15ラウンドで行われるものであり、1ラウンド毎(10カウント)毎に大入賞口5の開閉が行われるように構成されている。
この大当たり実行処理(S91)では、まず、検出カウンタ13xの値は「0」か否かを確認する(S421)。検出カウンタ13xの値が「0」である場合には(S421:Yes)、大当たりの遊技価値を付与するために、大入賞口5を開放し(S422)、S423の処理へ移行する。また、検出カウンタ13xの値が「0」でない場合には(S421:No)、既に大入賞口5は開放されているので、S422の処理をスキップして、処理をS423へ移行する。
S423の処理では、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチ(図示せず)が球を検出したか否かを確認する(S423)。確認の結果、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチで球が検出されている場合には(S423:Yes)、検出カウンタ13xの値に「1」を加算して(S424)、その検出カウンタ13xの値が「10」であるか否か確認する(S425)。検出カウンタ13xの値が「10」であれば(S425:Yes)、1ラウンドの遊技を終了させるために、大入賞口5を閉鎖し(S426)、次ラウンドを開始させるために検出カウンタ13xの値を「0」クリアして(S427)、ラウンドカウンタ13yの値に「1」を加算する(S428)。そして、そのラウンドカウンタ13yの値が「15」であるか否かを確認し(S429)、大当たりの遊技が継続するか否かを判断する。ラウンドカウンタ13yの値が「15」であれば(S429:Yes)、ラウンドカウンタ13yの値を「0」クリアすると共に(S430)、大当たりの遊技を終了させるために状態フラグ(図示せず)を「0」に設定して、LCD3等に表示される演出等を設定する各処理を行い(S431)、この大当たり実行処理を終了する。
なお、S425の処理において、検出カウンタ13xの値が「10」でない場合は(S425:No)、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチで球が10球検出されておらず、1ラウンドの遊技が終了していないので、大入賞口5をそのまま開放させておくためにS426〜S430の処理をスキップして、処理をS431へ移行する。また、S429の処理において、ラウンドカウンタ13yの値が「15」でなければ(S429:No)、大当たりの遊技が終了していないので、S430の処理をスキップして、処理をS431へ移行する。
この大当たり実行処理のS423の処理において、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチが球を検出していない場合に(S423:No)、処理をS432へ移行し、大入賞口5が開放されてから30秒が経過したか否かを確認する(S432)。
パチンコ機Pは、大入賞口5が開放されてから30秒が経過しても10カウントスイッチ又はVカウントスイッチによって球が検出されていない場合に、大当たりの遊技の継続権利が消滅させて、その大当たりが途中で終了するように構成されている。しかし、第10実施例のパチンコ機Pでは、大当たりの継続権利を取得することができずに、大当たりが途中で終了してしまう場合に、大当たりが終了したラウンド数、及び、図柄回転1メモリ13kに記憶されている無作為抽出カウンタ13bの値に応じて、その図柄回転1メモリ13kに記憶される無作為抽出カウンタ13b及び大当たり図柄カウンタ13dの値を放出図柄での大当たりが発生する値に変更して、蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされたの大当たりを遊技者に付与するように構成されている。よって、1の大当たりのすべての遊技価値が遊技者に付与されない場合においても、上記した所定の条件を満たしていれば遊技者に有利な遊技価値(放出図柄での大当たり)を付与することができるので、遊技者に損失を被らせずにすむので、遊技の継続意欲を保ちつつ、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
従って、S432の処理において、大入賞口5が開放されてから30秒が経過していれば(S432:Yes)、ずらされている大当たりがあるか否かを確認するために蓄越カウンタ13eの値が「1」以上であるか否かを確認し(S433)、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上であれば(S433:Yes)、次に、変更すべき変動表示のデータが記憶されているか否かを確認するために図柄回転1メモリ13kに変動表示のデータが記憶されているか否かを確認する(S434)。図柄回転1メモリ13kに変動表示のデータが記憶されていれば(S434:Yes)、処理を保障放出処理(S435)へ移行する。
図59は、保障放出処理(S435)を示したフローチャートである。この保障放出処理では、ラウンドカウンタ13yの値に応じて、図柄回転1メモリ13kに記憶されている無作為抽出カウンタ13bを参酌する範囲を選定し、その参酌した無作為抽出カウンタ13bの値が所定値であった場合に、図柄回転1メモリ13kに記憶される無作為抽出カウンタ13b及び大当たり図柄カウンタ13dの値を変更して、放出図柄での大当たりを発生させる。
第10実施例では、大当たりが途中で終了した場合に、大当たりのラウンド数をカウントするラウンドカウンタ13yの値に応じて、ずらされたの大当たりの付与を決定する無作為抽出カウンタ13bの値を選定する。この第10実施例では、大当たりが終了した場合におけるラウンドカウンタ13yの値が小さければ小さい程、放出図柄での大当たりを付与し易いように構成されている。よって、例えば、単発の大当たり図柄での大当たりが遊技者に付与される場合において、遊技者はその単発の大当たりの遊技価値をすべて付与させるという遊技を選択しても良いし、逆に、単発の大当たりの遊技価値の付与を遊技者の意志で自ら途中で終了(中断)させることによって放出図柄での大当たりの付与という遊技を選択しても良い。このため、大当たりが途中で終了した場合におけるずらされた大当たりの付与にランダム性をもたせることにより、遊技者が自らの意志でその後の遊技状態を選択することができるという新たな遊技性を提供することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うことによって、遊技の興趣を向上させることができる。
保障放出処理(S435)では、まず、ラウンドカウンタ13yの値が「0」であるか否かを確認する(S441)。確認の結果、ラウンドカウンタ13yの値が「0」であれば(S441:Yes)、次に、図柄回転1メモリ13kに記憶されている無作為抽出カウンタ13bの値の末尾は「7」〜「9」か否かを確認する(S442)。確認の結果、無作為抽出カウンタ13bの値の末尾が「7」〜「9」であれば(S442:Yes)、大当たりが途中で終了した場合における放出図柄での大当たりに当選したので、図柄回転1メモリ13kに記憶されている無作為抽出カウンタ13bの値を大当たりを発生する値、即ち、「7」又は「315」に書き換え(S443)、同じく図柄回転1メモリに記憶されている大当たり図柄カウンタ13dの値を放出図柄を示す値、即ち、「7」に書き換えて(S444)、蓄越カウンタ13eの値から「1」減算して(S445)、処理をS446へ移行する。なお、S441の処理においてラウンドカウンタ13yの値が「0」でない場合(S441:No)、又は、S442の処理において図柄回転1メモリ13kに記憶されている無作為抽出カウンタ13bの値の末尾が「7」〜「9」でない場合は(S442:No)、処理をS446へ移行する。
S446の処理では、ラウンドカウンタ13yの値が「1」〜「5」であるか否かを確認する(S446)。確認の結果、ラウンドカウンタ13yの値が「1」〜「5」であれば(S446:Yes)、次に、図柄回転1メモリ13kに記憶されている無作為抽出カウンタ13bの値の末尾は「90」〜「99」か否かを確認する(S447)。確認の結果、無作為抽出カウンタ13bの値の末尾が「90」〜「99」であれば(S447:Yes)、大当たりが途中で終了した場合における放出図柄での大当たりに当選したので、図柄回転1メモリ13kに記憶されている無作為抽出カウンタ13bの値を大当たりを発生する値、即ち、「7」又は「315」に書き換え(S448)、同じく図柄回転1メモリに記憶されている大当たり図柄カウンタ13dの値を放出図柄を示す値、即ち、「7」に書き換えて(S449)、蓄越カウンタ13eの値から「1」減算して(S450)、処理をS451へ移行する。なお、S446の処理においてラウンドカウンタ13yの値が「1」〜「5」でない場合(S446:No)、又は、S447の処理において図柄回転1メモリ13kに記憶されている無作為抽出カウンタ13bの値の末尾が「90」〜「99」でない場合は(S447:No)、処理をS451へ移行する。
S451の処理では、ラウンドカウンタ13yの値が「6」〜「14」であるか否かを確認する(S451)。確認の結果、ラウンドカウンタ13yの値が「6」〜「14」であれば(S451:Yes)、次に、図柄回転1メモリ13kに記憶されている無作為抽出カウンタ13bの値の末尾は「99」か否かを確認する(S452)。確認の結果、無作為抽出カウンタ13bの値の末尾が「99」であれば(S452:Yes)、大当たりが途中で終了した場合における放出図柄での大当たりに当選したので、図柄回転1メモリ13kに記憶されている無作為抽出カウンタ13bの値を大当たりを発生する値、即ち、「7」又は「315」に書き換え(S453)、同じく図柄回転1メモリに記憶されている大当たり図柄カウンタ13dの値を放出図柄を示す値、即ち、「7」に書き換えて(S454)、蓄越カウンタ13eの値から「1」減算して(S455)、この保障放出処理を終了する。なお、S451の処理においてラウンドカウンタ13yの値が「6」〜「14」でない場合(S451:No)、又は、S452の処理において図柄回転1メモリ13kに記憶されている無作為抽出カウンタ13bの値の末尾が「99」でない場合は(S452:No)、この保障放出処理を終了する。
なお、図58のS432の処理において、大入賞口5が開放されてから30秒が経過していない場合は(S432:No)、未だに大当たりの遊技の継続権利が発生し得る状態なので、大当たりの遊技を終了せずに処理をS431へ移行する。また、S433の処理において、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上でなければ(S433:No)、付与すべきずらされた大当たりが存在しないので、大当たりの遊技を終了させるために、処理をS431へ移行する。更に、S434の処理において、図柄回転1メモリ13kに変動表示のデータが記憶されていない場合には(S434:No)、変更すべき変動表示のデータが記憶されていないので、大当たりの遊技を終了させるために、処理をS431へ移行する。
以上説明したように、第10実施例のパチンコ機Pでは、大当たりの継続権利を取得することができずに、大当たりが途中で終了してしまう場合に、大当たりが終了したラウンド数、及び、図柄回転1メモリ13kに記憶されている無作為抽出カウンタ13bの値に応じて、その図柄回転1メモリ13kに記憶される無作為抽出カウンタ13b及び大当たり図柄カウンタ13dの値を放出図柄での大当たりが発生する値に変更して、蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たりを遊技者に付与する。よって、1の大当たりのすべての遊技価値が遊技者に付与されない場合においても、上記した所定の条件を満たしていれば遊技者に有利な遊技価値(放出図柄での大当たり)を付与することができるので、遊技者に損失を被らせずにすむので、遊技の継続意欲を保ちつつ、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
更に、大当たりが途中で終了した場合に、大当たりのラウンド数をカウントするラウンドカウンタ13yの値に応じて、ずらされたの大当たりの付与を決定する無作為抽出カウンタ13bの値を選定し、大当たりが終了した場合におけるラウンドカウンタ13yの値が小さければ小さい程、放出図柄での大当たりを付与し易いように構成する。よって、例えば、単発の大当たりが遊技者に付与される場合において、遊技者はその単発の大当たりの遊技価値をすべて付与させるという遊技を選択しても良いし、逆に、単発の大当たりの遊技価値の付与を遊技者の意志で自ら途中で終了(中断)させることによって放出図柄での大当たりの付与という遊技を選択しても良い。このため、大当たりが途中で終了した場合におけるずらされた大当たりの付与にランダム性をもたせることにより、遊技者が自らの意志でその後の遊技状態を選択することができるという新たな遊技性を提供することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うことによって、遊技の興趣を向上させることができる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、第10実施例では、大当たりの継続権利が取得できずに、大当たりが途中で終了してしまう場合に、大当たりが終了したラウンド数、及び、図柄回転1メモリ13kに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が予め定めた条件(所定値)であったとき、図柄回転1メモリ13kに記憶される無作為抽出カウンタ13b及び大当たり図柄カウンタ13dの値を放出図柄での大当たりが発生する値に変更して、蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たりを遊技者に付与していた。これに代えて、大当たり発生時に条件(所定値)を設定し、大当たりが途中で終了した場合に、遊技状態が大当たり発生時に設定した条件と一致したとき、放出図柄での大当たりを付与するように構成しても良い。
具体的には、主制御基板CのRAM13にラウンドメモリ(図示せず)を設け、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが遊技者に大当たりを付与する値である時に、大当たりを遊技者に付与すると共に、図柄回転1メモリ13kに記憶される無作為抽出カウンタ13bの末尾の値に応じて、大当たりが途中で終了した場合に放出図柄での大当たりを付与するラウンド数を決定してラウンドメモリに記憶する。
従って、例えば、大当たり発生時において、図柄回転1メモリ13kに記憶される無作為抽出カウンタ13bの末尾の値が「0」の場合はラウンドメモリ(図示せず)に「0」を設定し、図柄回転1メモリ13kに記憶される無作為抽出カウンタ13bの末尾の値が「1」の場合はラウンドメモリに「1」を設定し、・・・、図柄回転1メモリ13kに記憶される無作為抽出カウンタ13bの末尾の値が「9」の場合はラウンドメモリに「9」を設定する。そして、その大当たりが途中で終了してしまった場合に、大当たりが終了したときのラウンドカウンタ13yの値とラウンドメモリの値とが一致した場合に、遊技者に放出図柄での大当たりを付与する。よって、大当たりの発生毎に大当たりで行われる遊技性を異ならせることができるので、遊技に幅を設け、新たな遊技性を提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値であった場合に、図柄回転1メモリ13kに変動表示のデータが記憶されていないとき、ラウンドメモリには「0」を設定する。
また、例えば、第10実施例では、大当たりの継続権利が取得できずに大当たりが途中で終了してしまう場合に、大当たりが終了したラウンド数、及び、図柄回転1メモリ13kに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が予め定めた条件(所定値)であったとき、図柄回転1メモリ13kに記憶される無作為抽出カウンタ13b及び大当たり図柄カウンタ13dの値を放出図柄での大当たりが発生する値に変更して、蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たりを遊技者に付与していた。これに代えて、大当たりの継続権利が取得できずに大当たりが途中で終了してしまう場合に、大当たり中に遊技者に付与された遊技価値(例えば、出球数等)に応じて無作為抽出カウンタ13bの値を参酌して、ずらされている大当たりの付与を決定しても良い。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
スロットマシンは、大当たりが発生すると、例えば、BIGゲームにおいては子役ゲームが30回行われ、その30回の子役ゲームを終了するか、又は、30回の子役ゲーム中に3回のJACインが行われた場合にその大当たり(BIGゲーム)が終了するように構成されている。そのスロットマシンにおいて、通常は、30回の子役ゲームが行われる前にJACインが3回行われ、その大当たりが終了するものである。しかし、JACインが2回(又は1回、若しくは、0回)しか行われずに30回の子役ゲームが行われてしまう場合があり、このような場合において遊技者に付与される遊技価値は、JACインが3回行われて大当たりが終了した場合の遊技価値より低く、遊技者に不満感を募らせてしまい、遊技の興趣を低下させてしまっていた。
そこで、第10実施例の本発明をスロットマシンに適用することによって、遊技者の興趣を向上させることができる。具体的には、JACインが3回行われずに30回の子役ゲームが終了した場合には、30回の子役ゲームが終了した時点でのJACイン回数、又は、子役ゲームの成立数等を判定し、その判定結果が予め定めた所定条件(例えば、JACイン2回、且つ、子役ゲーム成立数28回等)を満たしていた場合に、ずらされていた大当たりを付与するように構成する。よって、1の大当たりのすべての遊技価値が遊技者に付与されない場合においても、上記した所定の条件を満たしていれば遊技者に有利な遊技価値を付与することができるので、遊技者に損失を被らせずにすむので、遊技の継続意欲を保ちつつ、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
以下に第10実施例の変形例を示す。識別情報等を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段により遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記動的実行手段によって前記表示装置に前記識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に特別遊技状態を発生させる特別遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態が発生し得る場合に、第1所定条件に応じてその特別遊技状態の付与をずらす特別遊技蓄越手段を備え、前記特別遊技状態の終了時にその特別遊技状態における遊技の達成状態を判断し、その判断結果に基づいて前記特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機H1。従来、パチンコ機等の遊技機においては、様々なバリエーションの変動表示ゲームが行われるものが主流である。この変動表示ゲームは、表示装置(例えば、LCD)に複数個の図柄を表示し、所定の遊技条件に基づいてその複数個の図柄をスクロールして変動させるものである。そして、図柄のスクロールが停止した際に(所定の停止位置に応じて)、停止図柄が予め定められた組み合わせとなっている場合に、遊技の状態を遊技者にとって有利な遊技状態(例えば、大当たり)とするものである。しかしながら、この変動表示ゲームは、1回の変動表示でゲームが完結しているため、遊技性が断続的であると共に単調且つ均一であり、遊技者は同じ遊技機においてそれまでの遊技結果に応じて遊技を継続して行っても興趣を得ることができないといった問題点があった。また、有利な遊技状態における遊技は、変動表示ゲームの結果として得られる利益を獲得するのみの消化的作業であり、遊技性の向上を計ることができないといった問題点があった。そこで、特別遊技状態を遊技者に付与する場合において、その特別遊技状態のすべての遊技価値が遊技者に付与されないとき、第2所定条件に応じて特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与する。よって、新たな遊技性を提供することができると共に、遊技者が積極的に遊技を行うことによって継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、継続して遊技を行う遊技者の不満感を募らせ難くすることができる。なお、特別遊技状態の付与をずらすとは、例えば、特別遊技状態の付与を保留させること、特別遊技状態の付与を待機させること、或いは、特別遊技状態の付与を遅延させること等が例示される。
遊技機H1において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態を遊技者に付与した場合にその特別遊技状態における遊技の達成状態を判断する付与価値判断手段と、その付与価値判断手段によって1の特別遊技状態における遊技の達成状態が所定状態であると判断された場合にその達成状態に応じた第2所定条件を満たしているか否かを確認する条件確認手段と、その条件確認手段によって前記第2所定条件を満たしていることが確認された場合に前記特別遊技蓄越手段によりずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与する蓄越放出手段とを備えていることを特徴とする遊技機H2。付与価値判断手段によって1の特別遊技状態における遊技の達成状態を判断し、その特別遊技状態における遊技の達成状態が所定状態であると判断された場合、且つ、条件確認手段によって第2所定条件を満たしていると確認された場合に、蓄越放出手段によって特別遊技蓄越手段によりずらされた少なくとも1の特別遊技状態を遊技者に付与する。よって、1の特別遊技状態における遊技の達成状態に応じた第2所定条件を満たしていれば、遊技者に少なくとも1のずらされている特別遊技状態を付与することができ、新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。また、遊技者は、特別遊技状態における遊技の達成状態を所定状態にさせようと積極的に特別遊技状態の遊技を行うことで、遊技に幅を持たせ、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、特別遊技状態とは、例えば、球等の有価価値を有する遊技媒体が遊技者に付与される大当たり状態、特別遊技状態の発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、又は、始動条件の成立が通常状態より容易にされると共に1の動的表示に要する時間が短縮されて特別遊技状態が付与され易い時間短縮状態等が例示される。また、第1所定条件又は第2所定条件としては、例えば、始動条件の成立に基づいて取得される所定のカウンタの値や、動的表示の動的回数、或いは、特別遊技蓄越手段によってずらされている特別遊技状態数等が例示される。
遊技機H1又はH2において、前記特別遊技状態における遊技の達成状態は、前記特別遊技状態終了時における遊技者の獲得利益量に関する状態であることを特徴とする遊技機H3。1の特別遊技状態における遊技者の獲得利益量に応じた第2所定条件を満たしていれば、遊技者に少なくとも1のずらされている特別遊技状態を付与することができ、新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。また、遊技者は、特別遊技状態における獲得利益量を所定状態にさせようと積極的に特別遊技状態の遊技を行うことで、遊技に幅を持たせ、遊技の興趣を向上させることができる。なお、獲得利益量とは、例えば、パチンコ機における球の出球数、又は、スロットマシンにおけるコイン若しくはメダルの獲得数等が例示される。
遊技機H1からH3のいずれかにおいて、前記特別遊技状態は、複数の有利状態の集合からなる一連の集合遊技が可能であり、前記特別遊技状態における遊技の達成状態は、前記一連の集合遊技における前記有利状態の発生回数であることを特徴とする遊技機H4。1の特別遊技状態における有利状態の発生回数に応じた第2所定条件を満たしていれば、遊技者に少なくとも1のずらされている特別遊技状態を付与することができ、新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。また、遊技者は、特別遊技状態における有利状態の発生回数を所定状態にさせようと積極的に特別遊技状態の遊技を行うことで、遊技に幅を持たせ、遊技の興趣を向上させることができる。なお、有利状態とは、例えば、パチンコ機におけるラウンド数、又は、スロットマシンにおけるBIGゲーム終了時のJACイン回数、若しくは、子役の成立数等が例示される。
遊技機H1からH4のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態発生時にその特別遊技状態における所定の遊技条件を(第1所定条件に応じて)ランダムに設定する遊技条件設定手段と、その遊技条件設定手段によって設定された前記遊技条件を記憶する遊技条件記憶手段とを備え、前記蓄越放出手段は、前記付与価値判断手段によりその特別遊技状態における遊技の達成状態が前記遊技条件記憶手段に記憶される遊技条件を満たしていると判断されると共に、前記条件確認手段により前記第2所定条件を満たしていると確認された場合に、前記特別遊技蓄越手段によりずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機H5。特別遊技付与手段は、遊技条件設定手段により特別遊技状態発生時に遊技条件記憶手段に所定の遊技条件をランダムに設定し、蓄越放出手段は、特別遊技状態が終了した場合の遊技の達成状態が遊技記憶手段に記憶される遊技条件を満たしている場合に、第2所定条件に応じてずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態の発生毎にその特別遊技状態で行われる遊技性を異ならせることができるので、遊技に幅を設け、新たな遊技性を提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機H1からH5のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態において遊技者に付与されるべき所定の遊技価値を予め設定及び記憶する設定記憶手段を備え、前記蓄越放出手段は、前記特別遊技状態における遊技の達成状態が前記設定記憶手段に記憶される所定の遊技価値を満たさないと共に、前記条件確認手段により前記第2所定条件を満たしていると確認された場合に、前記特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機H6。特別遊技付与手段は、特別遊技状態において遊技者に付与される所定の遊技価値を設定記憶手段に予め設定及び記憶し、蓄越放出手段は、特別遊技状態が終了した場合の遊技の達成状態が設定記憶手段に記憶される所定の遊技価値を満たしていない場合に、第2所定条件に応じてずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態において、本来得られるはずの遊技価値が遊技者に付与されない場合に、所定の条件に応じてずらされている特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、遊技者の不満感を払拭することができると共に、新たな遊技性を遊技者に提供して、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機H1からH6のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態中に特定の入賞口に入賞した遊技媒体を検出する検出手段と、その検出手段によって前記遊技媒体が検出された場合に遊技者に前記特別遊技状態の継続権利を付与すると共に特定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備え、前記蓄越放出手段は、前記付与価値判断手段により所定期間中に前記遊技価値付与手段から遊技者に特定の遊技価値が付与されていないと判断された場合に、第2所定条件に応じてずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機H7。従来、特別遊技状態を遊技者に付与する状況において、所定期間中(例えば、30秒間)に特定の入賞口に配設された検出手段で遊技媒体が検出されない場合、即ち、所定期間中に遊技価値付与手段から遊技者に特定の遊技価値が付与されていない場合に、その特別遊技状態を終了(中断)させるように構成されている。特別遊技状態が付与され難い特別遊技蓄越手段を備えた遊技機において、例えば、ずらされている特別遊技状態がすべて付与される状態に当選したにもかかわらず、検出手段で遊技媒体が検出されずに特別遊技状態の継続権利を取得することができないことによって特別遊技状態が途中で終了してしまうと、遊技者に多大な損害を被らせてしまい、遊技の継続意欲を無くしてしまうといった問題点があった。そこで、特別遊技状態中において、付与価値判断手段によって所定期間中に遊技価値付与手段から遊技者に特定の遊技価値が付与されていないと判断された場合に、第2所定条件に応じて蓄越放出手段によって特別遊技蓄越手段によりずらされた少なくとも1の特別遊技状態を遊技者に付与する。よって、1の特別遊技状態のすべての遊技価値が遊技者に付与されない場合においても、第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされている特別遊技状態を付与することができるので、遊技者に損失を被らせずにすむので、遊技の継続意欲を保ちつつ、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機H1からH7のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によってずらされた前記特別遊技状態を記憶する記憶手段と、その記憶手段に少なくとも1の特別遊技状態が記憶されているか否かを判断する蓄越判断手段とを備え、前記蓄越放出手段は、前記蓄越判断手段により前記記憶手段に少なくとも1の特別遊技状態が記憶されていると判断された場合に、第2所定条件に応じてずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機H8。特別遊技付与手段は、蓄越放出手段によって、ずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与する場合に、蓄越判断手段により記憶手段にずらされた特別遊技状態が記憶されているか否かを判断し、記憶手段に少なくとも1のずらされた特別遊技状態が記憶されていると判断されたとき、そのずらされている少なくとも1の特別遊技状態を付与するように構成する。逆に、特別遊技付与手段は、蓄越放出手段によって、ずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与する場合に、蓄越判断手段により記憶手段にずらされた特別遊技状態が記憶されていないと判断されたとき、特別遊技状態を付与しないように構成する。よって、1の特別遊技状態のすべての遊技価値が遊技者に付与されない場合においても、第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされている特別遊技状態を付与することができるので、遊技者に損失を被らせずにすむので、遊技の継続意欲を保ちつつ、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機H1からH8のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段と、その動的表示情報記憶手段に少なくとも1の動的表示情報が記憶されているか否かを判断する動的情報判断手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記蓄越放出手段は、前記動的情報判断手段によって前記動的表示情報記憶手段に少なくとも1の動的表示情報が記憶されていると判断された場合に、ずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機H9。特別遊技付与手段は、蓄越放出手段によって、ずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与する場合に、動的情報判断手段により動的表示情報記憶手段に少なくとも1の動的表示情報が記憶されているか否かを判断し、動的表示情報記憶手段に少なくとも1の動的表示情報が記憶されていると判断されたとき、ずらされている少なくとも1の特別遊技状態を付与するように構成する。逆に、特別遊技付与手段は、蓄越放出手段によって、ずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与する場合に、動的情報判断手段により記憶手段に動的表示情報が記憶されていないと判断されたとき、特別遊技状態を付与しないように構成する。よって、1の特別遊技状態のすべての遊技価値が遊技者に付与されない場合においても、第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされている特別遊技状態を付与することができるので、遊技者に損失を被らせずにすむので、遊技の継続意欲を保ちつつ、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機H1からH9のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、ランダムに値を取得する無作為抽出手段を備え、始動条件の成立に基づいて取得された前記無作為抽出手段の値に応じて前記特別遊技状態を付与するものであり、前記無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて前記特別遊技蓄越手段により前記特別遊技状態をずらすものであることを特徴とする遊技機H10。始動条件の成立に基づいて取得された無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて特別遊技蓄越手段によりその特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、遊技者は、確率的に動的表示の回転回数に応じてずらされた特別遊技状態数が多いと判断することで、動的表示の回転数に応じた遊技機の選択を行うことができるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増加させることができる。なお、第1所定条件とは、例えば、少なくとも1の所定のカウンタ(無作為抽出手段又は識別情報選定手段を含む)の値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。
遊技機H10において、前記蓄越放出手段は、前記条件確認手段によって前記動的表示情報記憶手段に記憶される前記無作為抽出手段の値が所定値であると確認された場合に、前記特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機H11。蓄越放出手段は、条件確認手段によって動的表示情報記憶手段に記憶される無作為抽出手段の値が所定値であると確認された場合に、特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与するように構成する。よって、蓄越放出手段による特別遊技状態の付与にランダム性をもたせることにより、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機H1からH11のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記検出手段によって検出された遊技媒体数を計数する検出計数手段を備え、前記特別遊技状態は、前記検出計数手段によって所定数の遊技媒体が検出された場合に終了するものであり、前記蓄越放出手段は、前記検出計数手段の値に応じて、前記特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機H12。従来、特別遊技状態の遊技価値の付与が途中で終了してしまう場合は、遊技者が意図するものではなく、遊技者の意志に反した状況で発生するものである。しかし、遊技機11によれば、蓄越放出手段は、検出計数手段の値に応じて、特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与するように構成されている。よって、特別遊技状態が遊技者に付与される場合において、遊技者はその特別遊技状態の遊技価値をすべて付与させるという遊技を選択しても良いし、逆に、特別遊技状態の遊技価値の付与を遊技者の意志で自ら途中で終了(中断)させることによって蓄越放出手段による特別遊技状態の付与という遊技を選択しても良い。また、遊技者が特別遊技状態を自らの意志で途中で終了させて蓄越放出手段による特別遊技状態の付与を選択した際には、検出計数手段の値に応じて特別遊技状態の付与を決定するように構成することで、蓄越放出手段による特別遊技状態の付与にランダム性をもたせることにより、遊技者が自らの意志でその後の遊技状態を選択することができるという新たな遊技性を提供することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うことによって、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機H1からH12のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によりずらされた前記特別遊技状態を、第3所定条件に応じて前記特別遊技付与手段により付与するものであることを特徴とする遊技機H13。特別遊技蓄越手段によりずらされた特別遊技状態を、第3所定条件に応じて特別遊技付与手段により遊技者に特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。なお、第3所定条件とは、例えば、少なくとも1の所定のカウンタ(無作為抽出手段を含む)の値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。
遊技機H13において、前記特別遊技付与手段は、前記第3所定条件が成立した場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の全部を付与するものであることを特徴とする遊技機H14。第3所定条件が成立した場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の全部を付与することで、ずらした特別遊技状態を一度に遊技者に付与することができる。よって、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することで、遊技者に通常より高い遊技価値が付与することができる。
遊技機H13において、前記蓄越放出手段は、前記第3所定条件が成立した場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の一部を付与するものであることを特徴とする遊技機H15。第3所定条件が成立した場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の一部を付与することで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することができる。特別遊技状態を一度に全部付与してしまうと、記憶手段にずらされた特別遊技状態が無くなってしまい、遊技者は、ずらされた特別遊技状態が全部付与されたと認識すると、得られる遊技価値が少なくなったと判断して、遊技の継続意欲を無くしてしまう。そこで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することによって、遊技者の遊技の継続意欲を保つことができると共に、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することができる。
遊技機H1からH15のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第1所定条件に応じて前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機H16。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第1所定条件に応じて特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。なお、第1所定条件とは、例えば、所定のカウンタの値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。
遊技機H16において、前記特別遊技付与手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第3所定条件に応じて少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機H17。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第3所定条件に応じて少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機H16において、前記特別遊技付与手段は、少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与する場合に、前記実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた前記特別遊技状態に変更する情報変更手段を備えていることを特徴とする遊技機H18。少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を特別遊技状態に変更する。よって、実行記憶手段に記憶される動的表示情報を書き換えることによって特別遊技状態を付与することができるので、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機H18において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判別する判別手段と、その判別手段により前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するものであると判別された場合は、前記情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す変更蓄越手段とを備えていることを特徴とする遊技機H19。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者は2の特別遊技状態に当選したにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その動的表示情報が特別遊技状態を発生するか否かを判別手段によって判別し、その判別手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判別された場合に、変更蓄越手段によって、情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す。よって、少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、特別遊技状態に当選していないときには、動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更することができる。一方、特別遊技状態に当選している場合は、ずらされた特別遊技状態の付与を持ち越して、当選した特別遊技状態を優先することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機H18において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により前記実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判別する判別手段とを備え、その判別手段により前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するものであると判別された場合は、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、前記情報変更手段により動的表示情報の変更するものであることを特徴とする遊技機H20。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者は2の特別遊技状態に当選したにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が特別遊技状態を発生するか否かを判別手段によって判別し、その判別手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判別された場合に、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、情報変更手段により動的表示情報を以前にずらさせている特別遊技状態に変更する。よって、特別遊技状態に当選している場合は、当選した特別遊技状態の付与をずらして、以前にずらされた特別遊技状態を付与することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機H1からH20のいずれかにおいて、前記識別情報は、前記特別遊技状態をずらす蓄越識別情報と、前記記憶手段に記憶された少なくとも1の前記特別遊技状態を付与させる放出識別情報と、前記特別遊技状態を付与させる単発識別情報とを備え、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越識別情報、放出識別情報及び単発識別情報により前記動的表示を行うものであることを特徴とする遊技機H21。識別情報の種類により付与される遊技状態を異ならせることによって、動的表示のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機H1からH21のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機H22。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。また、従来のスロットマシンは、例えば、特別遊技状態を取得した場合、目押し等の遊技者の技量に応じてその特別遊技状態を遊技者に付与していた。しかしながら、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機にスロットマシンを用いると、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量が必要となる。よって、ただでさえ特別遊技状態をずらすという行為によって意図的に射倖性を高めているにもかかわらず、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量を求めることによって、不慣れな遊技者に多大な負担を与えて射倖性を高めてしまい、遊技機における適切な射倖性が維持できなくなってしまう。このため、遊技者はその遊技機における遊技を敬遠しがちになってしまい、遊技場の利益が減少してしまうという問題点があった。一方、パチンコ遊技機は、特別遊技状態に当選した場合、遊技者の技量如何にかかわらず、一義的に遊技者の特別遊技状態を付与することができる。よって、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機において、パチンコ遊技機を用いることによって、例えば、特別遊技状態を取得した場合に、遊技者の技量にかかわらず特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、不慣れな遊技者が遊技を行う場合でも、特別遊技状態に当選した場合には一義的に特別遊技状態を付与することができるので、適度な射倖性を維持しつつ、新たな遊技性による興趣を遊技者に提供することができる。
遊技機H1からH21のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機H23。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機H1からH21のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機H24。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
次に、図60から図62を参照して、本発明の第12−1実施例について説明する。第1実施例のパチンコ機Pでは、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合に、大当たり図柄カウンタ13dの値に応じてその大当たりのずらし、又は、ずらされた大当たりの付与等を決定していた。大当たりをずらすことができるパチンコ機Pにおいて、頻繁に大当たりをずらしてしまうと、遊技者は大当たりの権利を取得しているにもかかわらず、長期間、遊技者に大当たりを付与することができず、遊技者の不満感を募らせてしまう。
そこで、第12−1実施例のパチンコ機Pでは、LCD3で所定時間変動表示が行われないことによってタイトル画面が表示され、タイトル画面が表示された後の変動表示において、大当たりが発生し得るとき、且つ、その大当たりがずらされ得るときに、その大当たりをずらさずに付与する。具体的には、主制御基板Cから表示用制御基板Dへデモ画面コマンドが送信され、表示用制御基板Dでデモ画面が表示されて、それから約120秒後に表示されるタイトル画面が表示された場合にタイトルフラグ13zをオンする。そして、そのタイトルフラグ13zがオンされている状態で、無作為抽出カウンタ13bが大当たりを発生する値、且つ、大当たり図柄カウンタ13dが蓄越図柄での大当たりを発生する値である場合に、その大当たりをずらすことなく遊技者に付与する。よって、大当たりをずらすことができるパチンコ機Pにおいて、所定条件に応じて大当たりををずらすことなく付与することによって、通常状態よりも大当たりを遊技者に付与し易くすることができるので、遊技者の不満感を募らせることなく、新たな遊技性を提供して、遊技の興趣を向上させることができる。
また、従来、図柄の変動表示が所定の表示結果(例えば、「7」、「7」、「7」等)が現出した場合に大当たりを付与するパチンコ機において、遊技中に、偶然、所定動作の実行(例えば、10秒毎の止め打ち等)、又は、LCD3に所定の表示結果の現出(例えば、「1」、「2」、「3」のズレ目等)等が行われたタイミングで大当たりが発生し、その事象が偶然にも複数回発生してしまうと、遊技者は、その行為又は表示が大当たりを誘発するものだと認識してしまう。実際にパチンコ機にはそのような特性(遊技性)はなく、偶発的に発生した事象であるにもかかわらず、遊技者はその行為又は表示を現出させようとして遊技を行ってしまう。よって、遊技者は間違った遊技性を認識してしまい、本来の遊技性を十分に理解することができないので、遊技者の遊技の興趣を低下させてしまっていた。
そこで、第12−1実施例のパチンコ機Pでは、蓄越図柄で大当たりが発生して大当たりの付与がずらされ得る場合に、それ以前にLCD3にタイトル画面が表示されていたとき、本来ずらされ得る大当たりをずらすことなく遊技者に付与するように構成する。よって、遊技者は、本来ずらされ得る大当たりが付与されたことによって、LCD3にタイトル画面を表示させたことによって大当たりを誘発したものだと認識する。従って、LCD3にタイトル画面を表示させて大当たりを付与させ易くしようと積極的に遊技を行うので、大当たりを付与させる遊技と、大当たりを付与させ易くする遊技との異なる2種の遊技を同時に遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、第12−1実施例の説明で用いる図面は、図1、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図11、図47、図60、図61及び図62であるが、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図60は、第12−1実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第12−1実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのRAM13には、タイトルフラグ13zが備えられている。
タイトルフラグ13zは、蓄越図柄での大当たりが発生して、その大当たりの付与がずらされる場合に、その大当たりをずらすことなく遊技者に付与させるためのフラグである。このタイトルフラグ13zは、LCD3にパチンコ機Pの名称等が表示されるタイトル画面が表示された場合、即ち、LCD3にデモ(待ち受け)画面を表示させるデモ画面コマンドが主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信されてから120秒経過した場合にオンされるように構成されている(図61、S465参照)。一方、タイトルフラグ13zは、大当たりが遊技者に付与された場合にオフされるように構成されている(図62、S481参照)。
なお、表示用制御基板Dは、主制御基板Cからデモ画面コマンドを受信した場合に、その時点でLCD3に表示されている停止図柄等をその停止位置で回転等させるデモ画面を表示する。そして、デモ画面が表示されてから約120秒後にパチンコ機Pの名称等が表示されるタイトル画面をLCD3に表示するように構成されている。また、表示用制御基板Dは、主制御基板Cから変動表示のコマンドを受信するまで、そのタイトル画面又はデモ画面を交互に繰り返し表示するように構成されている。
次に、図61を参照して、第12−1実施例のパチンコ機Pの主制御基板Cのメイン処理の中で実行される表示データ作成処理(図5、S27参照)について説明する。図61は、第12−1実施例の表示データ作成処理を示したフローチャートである。この表示データ作成処理では、図柄の変動表示以外にLCD3に表示されるデモデータ(デモ画面)等を表示用制御基板Dに表示させるための処理である。
この表示データ作成処理(S27)では、まず、変動表示が終了したか否かを確認する(S461)。確認の結果、変動表示が終了していれば(S461:Yes)、次に、保留球カウンタ13iの値が「0」か否かを確認する(S462)。変動表示が終了した状態で、且つ、保留球カウンタ13iの値が「0」であれば(S462:Yes)、LCD3で行われる変動表示が記憶されていない状態であるので、LCD3にデモ画面を表示させるデモ画面コマンドを送信バッファ(図示せず)にセットする(S463)。送信バッファにデモ画面コマンドをセットすることにより、次ループのメイン処理のポート出力処理(S15)において、そのデモ画面コマンドが表示用制御基板Dへ送信される。なお、S461の処理において変動表示が終了していない場合(S461:No)、又は、S462の処理において保留球カウンタ13iの値が「0」でない場合には(S462:No)、変動表示が行われているか、又は、未だ実行されていない変動表示が記憶されている状態なので、S463の処理をスキップして、処理をS464へ移行する。
S464の処理では、変動表示が終了してから120秒が経過したか、即ち、デモ画面コマンドが表示用制御基板Dへ送信されてから約120秒が経過したか否かを確認する(S464)。確認の結果、変動表示が終了してから120秒が経過していれば(S464:Yes)、LCD3にタイトル画面が表示されたということなので、タイトルフラグ13zをオンして(S465)、その他の表示データ等を作成する各処理を行い(S466)、この表示データ作成処理を終了する。なお、S464の処理において、変動表示が終了してから120秒が経過していなければ(S464:No)、LCD3にタイトル画面が表示されていないので、S465の処理をスキップして、処理をS466へ移行する。
次に、図62を参照して、第12−1実施例の通常選択処理(S68)について説明する。第12−1実施例の通常選択処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であると共に、同じく図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を示す値であった場合に、タイトルフラグ13zの状態を確認し、タイトルフラグ13zがオンされているときに、その蓄越図柄での大当たりの付与をずらすことなく遊技者に付与するものである。
第12−1実施例の通常選択処理(S68)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値は大当たりを発生する値であるか否かを確認する(S471)。図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値でない場合には(S471:No)、ハズレリーチやハズレの変動パターン等を設定する各処理を行い(S482)、この通常選択処理を終了する。一方、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合には(S471:Yes)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」のいずれかであるか否かを確認する(S472)確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合には(S472:Yes)、タイトルフラグ13zがオンされているか否か、即ち、LCD3にパチンコ機Pの名称等が表示されるタイトル画面が表示されたか否かを確認する(S473)。タイトルフラグ13zがオンされていなければ(S473:No)、蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S474)、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を特定の図柄(例えば、ハズレ図柄)に設定し(S475)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを特定の変動パターン(例えば、ハズレの変動パターン)に設定して(S476)、この通常選択処理を終了する。
一方、S473の処理において、タイトルフラグ13zがオンされている場合、即ち、主制御基板Cから表示用制御基板Dへデモ画面コマンドを送信されてから120秒が経過していれば(S473:Yes)、その大当たりをずらすことなく遊技者に付与するために、処理をS479へ移行する。
S479の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定し(S479)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たりの変動パターンに設定して(S480)、大当たりが遊技者に付与されるので、これ以上大当たりを遊技者に付与させ易くする必要がないので、タイトルフラグ13zをオフして(S481)、この通常選択処理を終了する。
なお、S472の処理において、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値でない場合には(S472:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であるか否かを確認する(S477)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であった場合には(S477:Yes)、放出フラグ13hをオンして(S478)、処理をS479へ移行する。一方、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値でない場合、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄を選択する値であった場合には(S477:No)、S478の処理をスキップして、処理をS479へ移行する。
以上説明したように、第12−1実施例のパチンコ機Pによれば、本来、ずらされて遊技者に付与されない大当たりを、LCD3にタイトル画面が表示されたことによってその大当たりをずらすことなく遊技者に付与することにより、通常状態よりも大当たりを遊技者に付与し易くすることができるので、遊技者の不満感を募らせることなく、新たな遊技性を提供して、遊技の興趣を向上させることができる。また、遊技者は、本来ずらされ得る大当たりが付与されたことによって、LCD3にタイトル画面を表示させたことによって大当たりを誘発したものだと認識する。従って、LCD3にタイトル画面を表示させて大当たりを付与させ易くしようと積極的に遊技を行うので、大当たりを付与させる遊技と、大当たりを付与させ易くする遊技との異なる2種の遊技を同時に遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
次に、図63及び図64を参照して、本発明の第12−2実施例について説明する。第12−1実施例のパチンコ機Pでは、LCD3にタイトル画面が表示される場合にタイトルフラグ13zをオンして、その後に発生する蓄越図柄での大当たりをずらすことなく遊技者に付与するように構成していた。これに代えて、第12−2実施例のパチンコ機Pでは、LCD3で行われる変動表示の回数に応じてタイトルフラグ13zをオンして、その後に発生する蓄越図柄での大当たりをずらすことなく遊技者に付与するように構成する。
図63は、第12−2実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第12−2実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのRAM13には、変動回数カウンタ13pと、タイトルフラグ13zとが備えられている。
変動回数カウンタ13pは、上記した第23−3実施例、又は第9−1実施例に用いられた変動回数カウンタ13pと同一であり、LCD3で行われる変動表示の回数を記憶するためのカウンタである。この変動回数カウンタ13pの値は保留球カウンタ減算処理(図64参照)の中で、図柄回転1メモリ13kに記憶される変動表示のデータが図柄回転実行エリア13jに書き込まれた場合に「1」加算される(図64、S490参照)。なお、この変動回数カウンタ13pは、大当たりが遊技者に付与される場合に「0」クリアされるように構成されている(図示せず)。
タイトルフラグ13zは、変動回数カウンタ13pの値が「1000」になった場合にオンされるように構成されている(図64、S492参照)。このタイトルフラグ13zがオンされた状態で、蓄越図柄での大当たりが発生した場合、その大当たりをずらすことなく遊技者に付与する。
以上説明したように、第12−2実施例のパチンコ機Pによれば、変動表示の回数が1000以上行われいた場合に、蓄越図柄での大当たりが発生したとき、その大当たりをずらすことなく遊技者に付与する。よって、遊技者は、本来ずらされ得る大当たりが付与されたことによって、変動表示が1000回以上行われたことで大当たりを誘発したものだと認識する。従って、遊技者は、変動表示を所定回数行わせて特別遊技状態を付与させ易くしようと積極的に遊技を行うので、特別遊技状態を付与させる遊技と、特別遊技状態を付与させ易くする遊技との異なる2種の遊技を同時に遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
次に、図65を参照して、本発明の第12−3実施例について説明する。第12−2施例のパチンコ機Pでは、1000回の変動表示が行われた場合にタイトルフラグ13zをオンしてそれ以降の遊技において遊技者に大当たりが付与され易くする構成していた。また、遊技者に大当たりが付与される場合にタイトルフラグ13zをオフして、一旦、大当たりを遊技者に付与した場合には、それ以降の遊技で通常の遊技状態、即ち、大当たりが遊技者に付与し難くするように構成していた。これに代えて、第12−3実施例のパチンコ機Pでは、LCD3で行われる変動表示の回数に応じてタイトルフラグ13zをオフするように構成する(図65、S502参照)。変動表示の回数に応じてタイトルフラグ13zをオン又はオフすることによって、大当たりを遊技者に付与させ易い遊技状態と、大当たりを遊技者に付与し難い遊技状態との異なる2種類の遊技状態を遊技者に提供することができるので、遊技に幅を設けて、遊技の興趣を向上させることができる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、第12−1実施例では、LCD3でタイトル画面が表示された場合にタイトルフラグ13zをオンして、それ以降の遊技で蓄越図柄での大当たりが発生した場合に、その大当たりをずらすことなく遊技者に付与していた。これに代えて、タイトル画面が表示される毎にタイトルフラグ13zをオン又はオフを切り替えるように構成しても良い。タイトル画面が表示される毎にタイトルフラグ13zをオン又はオフすることによって、大当たりを遊技者に付与させ易い遊技状態と、大当たりを遊技者に付与させ難い遊技状態との異なる2種類の遊技状態を遊技者に提供することができる。
また、第12−2実施例では、変動表示の回数に応じてタイトルフラグ13zをオンして、それ以降の遊技において蓄越図柄での大当たりが発生した場合に、その大当たりをずらすことなく遊技者に付与していた。これに代えて、蓄越カウンタ13eに記憶されるずらされた大当たり数に応じてタイトルフラグ13eをオンするように構成しても良い。遊技者は、本来ずらされるはずの大当たりが付与されたことによって、ずらされた大当たりが所定数に達したことで大当たりを誘発したものだと認識する。このため、遊技者は、ずらされた大当たりが少なくとも1つは存在するということを認識することができるので、そのずらされている大当たりを付与させるために積極的に遊技を行う。従って、遊技の興趣を向上させると共に、遊技者の遊技の継続意欲を高めることができる。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
以下に、第12−1実施例、第12−2実施例、及び、第12−3実施例の変形例を示す。識別情報等を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段により遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記動的実行手段によって前記表示装置に前記識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に特別遊技状態を発生させる特別遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記特別遊技付与手段は、始動条件の成立に基づいてランダムに値を取得する無作為抽出手段と、その無作為抽出手段の値に応じて前記特別遊技状態を付与する特別遊技付与手段と、その特別遊技付与手段により前記特別遊技状態を付与する場合に第1所定条件に応じて前記特別遊技状態をずらす特別遊技蓄越手段と、その特別遊技蓄越手段によりずらされた前記特別遊技状態を第2所定条件に応じて前記特別遊技付与手段によって付与する蓄越放出手段と、前記特別遊技蓄越手段によって前記特別遊技状態の付与がずらされ得る場合に第3所定条件に応じてその特別遊技状態をずらすことなく付与する蓄越防止手段とを備えていることを特徴とする遊技機I1。従来、パチンコ機等の遊技機においては、様々なバリエーションの変動表示ゲームが行われるものが主流である。この変動表示ゲームは、表示装置(例えば、LCD)に複数個の図柄を表示し、所定の遊技条件に基づいてその複数個の図柄をスクロールして変動させるものである。そして、図柄のスクロールが停止した際に(所定の停止位置に応じて)、停止図柄が予め定められた組み合わせとなっている場合に、遊技の状態を遊技者にとって有利な遊技状態(例えば、大当たり)とするものである。しかしながら、この変動表示ゲームは、1回の変動表示でゲームが完結しているため、遊技性が断続的であると共に単調且つ均一であり、遊技者は同じ遊技機においてそれまでの遊技結果に応じて遊技を継続して行っても興趣を得ることができないといった問題点があった。そこで、特別遊技付与手段は、特別遊技状態が発生し得る場合に第1所定条件に応じて特別遊技蓄越手段によってその特別遊技状態の付与をずらすと共に、特別遊技状態が発生し得る場合に第2所定条件に応じて蓄越放出手段によってずらされている特別遊技状態を付与することができ、蓄越防止手段は、特別遊技蓄越手段によって特別遊技状態の付与がずらされ得る場合に第3所定条件に応じてその特別遊技状態をずらすことなく付与する。よって、新たな遊技性を提供することができると共に、遊技者が積極的に遊技を行うことによって継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができという効果がある。また、継続して遊技を行う遊技者の不満感を募らせ難くすることができる。なお、特別遊技状態の付与をずらすとは、例えば、特別遊技状態の付与を保留させること、特別遊技状態の付与を待機させること、或いは、特別遊技状態の付与を遅延させること等が例示される。
なお、第1所定条件、又は、第2所定条件とは、例えば、少なくとも1の所定のカウンタの値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、特別遊技状態の発生回数、或いは、ずらされた特別遊技状態数等が例示される。また、第3所定条件とは、例えば、動的表示の変動回数、特別遊技状態の発生回数、ずらされた特別遊技状態数、或いは、表示装置に所定の識別情報が現出した場合等が例示される。更に、無作為抽出手段としては、例えば、所定のタイミングで更新される無作為抽出手段(乱数カウンタ)や、ランダムに値を取得することができるICカウンタ等が例示される。
遊技機I1において、前記特別遊技付与手段は、遊技状態を確認する確認手段を備え、前記蓄越防止手段は、前記確認手段によって所定の遊技状態であると確認された場合に、前記特別遊技状態をずらすことなく付与するものであることを特徴とする遊技機I2。特別遊技状態が発生し得る場合に、第1所定条件に応じてその特別遊技状態の付与をずらすことができる遊技機において、頻繁に特別遊技状態をずらしてしまうと、遊技者は特別遊技状態の権利を取得しているにもかかわらず、長期間、遊技者に特別遊技状態を付与することができず、遊技者の不満感を募らせてしまう。そこで、特別遊技付与手段は、確認手段により所定の遊技状態であると確認された場合、特別遊技蓄越手段によって特別遊技状態がずらされ得るときに、蓄越防止手段によってその特別遊技状態をずらすことなく付与する。よって、特別遊技状態をずらすことができる遊技機において、特別遊技状態をずらすことなく付与することによって、通常状態よりも特別遊技状態を遊技者に付与し易くすることができるので、遊技者の不満感を募らせることなく、新たな遊技性を提供して、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、所定の遊技状態とは、例えば、表示装置に所定の識別情報が表示された遊技状態、又は、識別情報の動的表示が予め定めた所定回数に達している遊技状態等が例示される。また、特別遊技状態とは、例えば、球等の有価価値を有する遊技媒体が遊技者に付与される大当たり状態、特別遊技状態の発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、又は、始動条件の成立が通常状態より容易にされると共に1の動的表示に要する時間が短縮されて特別遊技状態が付与され易い時間短縮状態等が例示される。
遊技機I1又はI2において、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置に所定情報を表示させる表示実行手段を備え、前記蓄越防止手段は、前記確認手段により前記表示実行手段によって前記表示装置に所定情報が表示されたと確認された場合に、前記特別遊技状態をずらすことなく付与するものであることを特徴とする遊技機I3。従来、識別情報の動的表示が所定の表示結果を現出した場合に特別遊技状態を付与する遊技機において、遊技中に、偶然、所定動作の実行、又は、所定情報の表示等が行われたタイミングで特別遊技状態が発生し、その事象が偶然にも複数回発生してしまうと、遊技者はその行為又は表示が特別遊技状態を誘発するものだと認識してしまう。実際には遊技機にそのような特性はなく、偶発的に発生した事象であるにもかかわらず、遊技者はその行為又は表示を現出させようとして遊技を行ってしまう。よって、遊技者は間違った遊技性の認識をしてしまい、本来の遊技性を十分理解することができないので、遊技者の遊技の興趣を低下させてしまっていた。そこで、特別遊技付与手段は、特別遊技蓄越手段によって特別遊技状態をずらすことができる遊技機において、特別遊技状態が発生してその付与がずらされ得る場合に、それ以前に所定情報が表示装置に表示されていたとき、蓄越防止手段によって本来ずらされ得る特別遊技状態をずらすことなく遊技者に付与するように構成する。よって、遊技者は、本来ずらされ得る特別遊技状態が付与されたことによって、その所定情報が表示装置に表示されたことで特別遊技状態を誘発したものだと認識する。従って、表示装置に所定情報を表示させて特別遊技状態を付与させ易くしようと積極的に遊技を行うので、特別遊技状態を付与させる遊技と、特別遊技状態を付与させ易くする遊技との異なる2種の遊技を同時に遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機I1からI3のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置で実行される動的表示の回数を計数する動的回数記憶手段を備え、前記蓄越防止手段は、前記確認手段により前記動的回数記憶手段に記憶される前記動的表示の回数が所定回数に達したと確認された場合に、前記特別遊技状態をずらすことなく付与するものであることを特徴とする遊技機I4。特別遊技付与手段は、特別遊技蓄越手段によって特別遊技状態をずらすことができる遊技機において、特別遊技状態が発生してその付与がずらされ得る場合に、それ以前に表示装置で行われる動的表示が所定回数行われていたとき、蓄越防止手段によって本来ずらされ得る特別遊技状態をずらすことなく遊技者に付与するように構成する。よって、遊技者は、本来ずらされ得る特別遊技状態が付与されたことによって、動的表示が所定回数行われたことで特別遊技状態を誘発したものだと認識する。従って、遊技者は、動的表示を所定回数行わせて特別遊技状態を付与させ易くしようと積極的に遊技を行うので、特別遊技状態を付与させる遊技と、特別遊技状態を付与させ易くする遊技との異なる2種の遊技を同時に遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機I1からI4のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によってずらされた前記特別遊技状態を記憶する記憶手段を備え、前記蓄越防止手段は、前記確認手段により前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数が所定数に達したと確認された場合に、前記特別遊技状態をずらすことなく付与するものであることを特徴とする遊技機I5。特別遊技付与手段は、特別遊技蓄越手段によって特別遊技状態をずらすことができる遊技機において、特別遊技状態が発生してその付与がずらされ得る場合に、それ以前にずらされていた特別遊技状態数が所定数に達していたとき、蓄越防止手段によって本来ずらされ得る特別遊技状態をずらすことなく遊技者に付与するように構成する。よって、遊技者は、本来ずらされ得る特別遊技状態が付与されたことによって、ずらされた特別遊技状態が所定数に達したことで特別遊技状態を誘発したものだと認識する。このため、遊技者は、ずらされた特別遊技状態が所定数存在するということを認識することができるので、そのずらされている特別遊技状態を付与させるために積極的に遊技を行う。従って、遊技の興趣を向上させると共に、遊技者の遊技の継続意欲を高めることができる。
遊技機I1からI5のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越防止手段によって前記特別遊技状態がずらされることなく付与される状態を解除する蓄越防止解除手段を備えていることを特徴とする遊技機I6。特別遊技付与手段は、蓄越防止解除手段によって、蓄越防止手段により特別遊技状態がずらされることなく付与される状態を解除することができるので、遊技に幅を設け、遊技者の遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機I1からI6のいずれかにおいて、前記蓄越放出手段は、前記第2所定条件が成立した場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の全部を付与するものであることを特徴とする遊技機I7。第2所定条件が成立した場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の全部を付与することで、ずらした特別遊技状態を一度に遊技者に付与することができる。よって、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することで、遊技者に通常より高い遊技価値が付与することができる。
遊技機I1からI6のいずれかにおいて、前記蓄越放出手段は、前記第2所定条件が成立した場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の一部を付与するものであることを特徴とする遊技機I8。第2所定条件が成立した場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の一部を付与することで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することができる。特別遊技状態を一度に全部付与してしまうと、記憶手段にずらされた特別遊技状態が無くなってしまい、遊技者は、ずらされた特別遊技状態が全部付与されたと認識すると、得られる遊技価値が少なくなったと判断して、遊技の継続意欲を無くしてしまう。そこで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することによって、遊技者の遊技の継続意欲を保つことができると共に、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することができる。
遊技機I1からI8のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記記憶手段に記憶されたずらされた前記特別遊技状態を付与する場合に、前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があるか否かを確認する蓄越確認手段を備え、前記蓄越放出手段は、その蓄越確認手段によって前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があると判断された場合に、その記憶手段に記憶されている少なくとも1の前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機I9。ずらされた特別遊技状態を付与する場合に、蓄越確認手段によって記憶手段にずらされた特別遊技状態があるか否かを確認し、記憶手段にずらされた特別遊技状態があると判断された場合に、そのずらされている少なくとも1の特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機I1からI9のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第1所定条件に応じて前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機I10。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第1所定条件に応じて特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。なお、所定の条件とは、例えば、所定のカウンタの値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。
遊技機I10において、前記特別遊技付与手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機I11。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機I11において、前記特別遊技付与手段は、少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与する場合に、前記実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた前記特別遊技状態に変更する情報変更手段を備えていることを特徴とする遊技機I12。少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を特別遊技状態に変更する。よって、実行記憶手段に記憶される動的表示情報を書き換えることによって特別遊技状態を付与することができるので、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機I12において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判別する判別手段と、その判別手段により前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するものであると判別された場合は、前記情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す変更蓄越手段とを備えていることを特徴とする遊技機I13。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者は2の特別遊技状態に当選したにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その動的表示情報が特別遊技状態を発生するか否かを判別手段によって判別し、その判別手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判別された場合に、変更蓄越手段によって、情報変更手段による動的表示情報の変更を持ち越す。よって、少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する場合に、特別遊技状態に当選していないときには、動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更することができる。一方、特別遊技状態に当選している場合は、ずらされた特別遊技状態の付与を持ち越して、当選した特別遊技状態を優先することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機I12において、前記特別遊技付与手段は、前記情報変更手段により前記実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するか否かを判別する判別手段とを備え、その判別手段により前記動的表示情報が前記特別遊技状態を発生するものであると判別された場合は、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、前記情報変更手段により動的表示情報の変更するものであることを特徴とする遊技機I14。ずらされた特別遊技状態を付与する場合において、情報変更手段により、実行記憶手段に記憶される動的表示情報をずらされた特別遊技状態に変更する。ここで、変更前の実行記憶手段に記憶されていた動的表示情報が特別遊技状態であった場合、その動的表示情報を変更して特別遊技状態にしてしまうと、遊技者は2の特別遊技状態に当選したにもかかわらず、実際には1の特別遊技状態しか付与されなくなってしまう。そこで、変更手段により実行記憶手段に記憶される動的表示情報を変更する場合に、その変更対象の動的表示情報が特別遊技状態を発生するか否かを判別手段によって判別し、その判別手段により動的表示情報が特別遊技状態を発生するものであると判別された場合に、その特別遊技状態の付与をずらすと共に、情報変更手段により動的表示情報を以前にずらさせている特別遊技状態に変更する。よって、特別遊技状態に当選している場合は、当選した特別遊技状態の付与をずらして、以前にずらされた特別遊技状態を付与することによって、当選した特別遊技状態を損なうことなく確実に遊技者に付与することができる。
遊技機I1からI14のいずれかにおいて、前記識別情報は、前記特別遊技状態をずらす蓄越識別情報と、前記記憶手段に記憶された少なくとも1の前記特別遊技状態を付与させる放出識別情報と、前記特別遊技状態を付与させる単発識別情報とを備え、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越識別情報、放出識別情報及び単発識別情報により前記動的表示を行うものであることを特徴とする遊技機I15。識別情報の種類により付与される遊技状態を異ならせることによって、動的表示のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機I1からI15のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機I16。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。また、従来のスロットマシンは、例えば、特別遊技状態を取得した場合、目押し等の遊技者の技量に応じてその特別遊技状態を遊技者に付与していた。しかしながら、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機にスロットマシンを用いると、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量が必要となる。よって、ただでさえ特別遊技状態をずらすという行為によって意図的に射倖性を高めているにもかかわらず、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量を求めることによって、不慣れな遊技者に多大な負担を与えて射倖性を高めてしまい、遊技機における適切な射倖性が維持できなくなってしまう。このため、遊技者はその遊技機における遊技を敬遠しがちになってしまい、遊技場の利益が減少してしまうという問題点があった。一方、パチンコ遊技機は、特別遊技状態に当選した場合、遊技者の技量如何にかかわらず、一義的に遊技者の特別遊技状態を付与することができる。よって、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機において、パチンコ遊技機を用いることによって、例えば、特別遊技状態を取得した場合に、遊技者の技量にかかわらず特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、不慣れな遊技者が遊技を行う場合でも、特別遊技状態に当選した場合には一義的に特別遊技状態を付与することができるので、適度な射倖性を維持しつつ、新たな遊技性による興趣を遊技者に提供することができる。
遊技機I1からI15のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機I17。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機I1からI15のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機I18。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
次に、図66から図70を参照して、本発明の第13実施例について説明する。第1実施例のパチンコ機Pでは、放出図柄で大当たりが発生した場合、まず、その放出図柄での大当たりを遊技者に付与し、放出図柄での大当たりが終了した後に、図柄回転1メモリ13kに記憶される変動表示のデータが図柄回転実行エリア13jに書き込まれたとき、その変動表示のデータを今までにずらされていた蓄越図柄の大当たりに変更して、ずらされている大当たりを遊技者に付与していた。これに代えて、第13実施例のパチンコ機Pでは、放出図柄で大当たりが発生した場合、その放出図柄での大当たり中に、ずらされている蓄越図柄での大当たりを付与するように構成する。なお、1の大当たり遊技は、放出図柄、蓄越図柄及び単発大当たり図柄を問わず、特定入賞口(大入賞口)5が15回開放されて、1ラウンドずつ計15ラウンドの遊技が行われ、大入賞口5が開放されている間、即ち、1ラウンドの遊技中に球が大入賞口5に入賞することによって遊技者に遊技価値が付与されるように構成されている。
第13実施例を具体的に説明すると、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bが大当たりを発生する値である場合、且つ、同じく始動入賞に基づいて取得された大当たり図柄カウンタ13dが放出図柄を示す値である場合に、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上であったとき、1の大当たりが終了してしまう前、即ち、1ラウンドの遊技開始から15ラウンドの遊技終了までの間に、その大当たりのいずれか1のラウンド遊技においてLCD3に1の大当たり分の遊技価値である15ラウンドを加算する当たり演出(以下、ラウンド加算当たり演出)を表示すると共に、ラウンドカウンタ13yの値に「15」を加算して大当たり状態を継続させることによって、ずらされている大当たりを遊技者に付与するように構成する。よって、新たな遊技性を提供することができると共に、大当たり状態を終了することなく、連続して遊技者に有利な遊技価値を付与することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
なお、第13実施例で用いる図面は、図1、図3、図4、図5、図6、図7、図66、図67、図68、図69及び図70であるが、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図66は、第13実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第13実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのRAM13には、放出フラグ13hと、検出カウンタ13xと、ラウンドカウンタ13yと、放出ラウンドメモリ13Aaとが設けられている。
放出フラグ13hは、放出図柄で大当たりが発生した場合にその放出図柄での大当たり遊技中に今までにずらされている蓄越図柄の大当たりを付与させるためのフラグである。この放出フラグ13hは、放出図柄で大当たりが発生した場合にオンされる(図68、S527参照)。逆に、蓄越カウンタ13eの値が減算されて「0」になった場合、即ち、ずらされている大当たりを放出し尽くした場合にオフされる(図70、S568参照)。なお、第13実施例では、放出図柄で大当たりが発生した場合、それまでにずらされている蓄越図柄の大当たりをすべて付与するように構成されているが、これに代えて、ずらされている蓄越図柄の大当たりの一部を遊技者に付与するように構成しても良い。
検出カウンタ13xは、特定入賞口(大入賞口)5のVゾーン5aに配設されたVカウントスイッチ又は10カウントスイッチ(図示せず)で検出された球を計数するためのカウンタである。この検出カウンタ13xの値は、球が大入賞口5へ入賞して、その球がVカウントスイッチ又は10カウントスイッチのいずれかによって検出された場合に「1」加算され(図69、S546参照)、逆に、検出カウンタ13xの値が「10」となり大入賞口5が閉鎖されてラウンドカウンタ13yの値から「1」が減算される場合に「0」クリアされる(図69、S549参照)。
ラウンドカウンタ13yは、大当たりのラウンド数を計数するためのカウンタであり、このラウンドカウンタ13yの値が「1」以上である場合に、大入賞口5が開放されることで、遊技者に大当たりの遊技価値が付与されるものである。このラウンドカウンタ13yの値は、大当たりの遊技価値が遊技者に付与される場合に「15」が加算される。具体的には、放出図柄、又は、単発大当たり図柄で大当たりが発生した場合に、ラウンドカウンタ13yの値に「15」を設定(加算)する(図68、S531参照)。また、ずらされている蓄越図柄の大当たりを遊技者に付与する場合に、後述する放出ラウンドメモリ13Aaとラウンドカウンタ13yの値が一致した場合に、ラウンドカウンタ13yの値に「15」を加算する(図70、S564参照)。
一方、ラウンドカウンタ13yの値は、検出カウンタ13xの値が「10」となった場合に「1」減算される(図69、S550参照)。なお、ラウンドカウンタ13yの値が「0」になった場合には、状態フラグ(図示せず)の値が「0」に設定され、大当たりの遊技が終了するように構成されている。
放出ラウンドメモリ13Aaは、放出図柄で大当たりが発生した場合に、それまでにずらされている蓄越図柄の大当たりを遊技者に付与させるラウンドを記憶するためのメモリである。この放出ラウンドメモリ13Aaの値は、大当たりが遊技者に付与される場合に、そのときのハズレリーチカウンタ13cの値に応じて設定される(図68のS528、又は、図70のS567参照)。
具体的には、ハズレリーチカウンタ13cの値が「0」である場合には放出ラウンドメモリ13Aaに「1」を設定し、ハズレリーチカウンタ13cの値が「1」の場合には放出ラウンドメモリ13Aaに「2」を設定し、ハズレリーチカウンタ13cの値が「2」の場合には放出ラウンドメモリ13Aaに「3」を設定し、・・・、ハズレリーチカウンタ13cの値が「9」の場合には放出ラウンドメモリ13Aaに「10」を設定するように構成されている。
よって、放出図柄の大当たりを付与すると共にずらされた蓄越図柄の大当たりを付与する場合に、大当たりを付与する毎にずらされた蓄越図柄の大当たりを付与するタイミング(ラウンド)を異なるように構成することにより、ずらされた蓄越図柄の大当たりを付与するタイミングを大当たりを付与する毎に異なせることで、新たな遊技性を提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
次に、図67を用いて、第13実施例の主制御基板Cで行われる保留球カウンタ減算処理について説明する。図67は、第13実施例の保留球カウンタ減算処理を示したフローチャートである。この保留球減算処理では、まず、変動表示中か否か、即ち、変動表示が終了しているか否かを確認する(S511)。確認の結果、変動表示中であれば(S511:Yes)、この保留球カウンタ減算処理を終了する。一方、変動表示中でなければ(S511:No)、次に、大当たり中であるか否かを確認する(S512)。大当たり中であれば(S512:Yes)、この保留球カウンタ減算処理を終了する一方、大当たり中でなければ(S512:No)、保留球カウンタ13iの値が「1」以上であるか否かを確認し(S513)、保留球カウンタ13iの値が「1」以上であれば(S513:Yes)、処理をS514へ移行する。なお、保留球カウンタ13iの値が「1」未満、即ち、「0」であれば(S513:No)、図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに変動表示のデータは記憶されていないということなので、この保留球カウンタ減算処理を終了する。
S514の処理では、保留球カウンタ13iの値から「1」を減算して(S514)、図柄回転1メモリ13kに記憶されている変動表示のデータを図柄回転実行エリア13jに書き込み(S515)、図柄回転2〜4メモリ13l〜13nに記憶されている変動表示のデータをそれぞれ1つずつ小さい図柄回転1〜3メモリ13k〜13mへシフトして(S516)、処理を通常選択処理へと移行する(S517、図68参照)。なお、通常選択処理の終了後は、この保留球カウンタ減算処理を終了する。
図68は、第13実施例の通常選択処理(S517)を示したフローチャートである。通常選択処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値であった場合に、大当たり図柄カウンタ13dの値に応じて遊技者に付与する遊技価値を決定するものである。具体的には、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合には、その大当たりを保留して(ずらして)、蓄越カウンタ13eに大当たりがずらされたこと記憶する。また、大当たり図柄カウンタ13dが放出図柄を選択する値である場合には、1の大当たりを付与すると共に蓄越カウンタ13eに記憶されてその付与をずらされている大当たりをすべて放出(遊技者に付与)する。更に、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄を選択する値である場合には、単発の大当たり、即ち、1の大当たりを遊技者に付与する。
通常選択処理(S517)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値は大当たりを発生する値であるか否かを確認する(S521)。図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値でない場合には(S521:No)、ハズレリーチやハズレの変動パターン等を設定する各処理を行い(S532)、この通常選択処理を終了する。一方、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合には(S521:Yes)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」のいずれかであるか否かを確認する(S522)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合には(S522:Yes)、蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S523)、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を特定の図柄(例えば、ハズレ図柄)に設定し(S524)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを特定の変動パターン(例えば、ハズレの変動パターン)に設定して(S525)、この通常選択処理を終了する。
一方、S522の処理において、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値でない場合には(S522:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「7」であるか否かを確認する(S526)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であった場合には(S526:Yes)、放出フラグ13hをオンして(S527)、ハズレリーチカウンタ13cの値に応じた所定値を放出ラウンドメモリ13Aaにセットし(S528)、処理をS529へ移行する。一方、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値でない場合、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄を選択する「1」、「3」、「5」又は「9」のいずれかであった場合には(S526:No)、S527及びS528の処理をスキップして、処理をS529へ移行する。
S529の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタの値に応じた停止図柄を設定して(S529)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S530)、1の大当たりの遊技価値である15ラウンドの遊技を行わせるためにラウンドカウンタ13yの値に「15」をセットして(S531)、この通常選択処理を終了する。
次に、図69を用いて、第13実施例のパチンコ機Pの主制御基板Cで行われる大当たり処理(図5、S26参照)について説明する。この大当たり処理は、図5に示す主制御基板Cのメイン処理において、状態フラグ(図示せず)が「大当たり中」であると判断された場合に(図5、S24参照)、特定入賞口(大入賞口)5の開放等を実行して、遊技者に所定数の球等を付与するための処理である。
この大当たり処理では、まず、大入賞口5は閉鎖されているか否かを確認する(S541)。確認の結果、大入賞口5が閉鎖されていれば(S541:Yes)、次に、大入賞口5が開放されるタイミングか否かを確認する(S542)。大入賞口5が開放されるタイミングであれば(S542:Yes)、大入賞口5を開放して(S543)、大当たり発生時に設定した放出ラウンドメモリ13Aaの値とラウンドカウンタ13yの値とが一致しているか否か等の確認を行うラウンド抽選処理を行う(S544)。このラウンド抽選処理の詳細については後述する。このラウンド抽選処理の終了後は、処理をS545へ移行する。なお、S541の処理において大入賞口5が閉鎖されていない場合(S541:No)、又は、S542の処理において大入賞口5が開放されるタイミングでない場合には(S542:No)、S543及びS544の処理をスキップして、処理をS545へ移行する。
S545の処理では、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチ(図示せず)が球を検出したか否かを確認する(S545)。確認の結果、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチで球が検出されている場合には(S545:Yes)、検出カウンタ13xの値に「1」を加算して(S546)、その検出カウンタ13xの値が「10」であるか否かを確認する(S547)。検出カウンタ13xの値が「10」であれば(S547:Yes)、1ラウンドの遊技を終了させるために、大入賞口5を閉鎖して(S548)、検出カウンタ13xの値を「0」クリアし(S549)、ラウンドカウンタ13yの値から「1」減算する(S550)。そして、そのラウンドカウンタ13yの値が「0」であるか否かを確認し(S551)、大当たりの遊技が継続するか否かを判断する。ラウンドカウンタ13yの値が「0」であれば(S551:Yes)、大当たりの遊技を終了させるために状態フラグ(図示せず)を「0」に設定して(S552)、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチ等の未検出時間等を監視して、未検出時間が所定時間(例えば、30秒)に達した場合にパンク処理等を実行する各処理を行い(S553)、この大当たり処理を終了する。
なお、S545の処理において、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチで球が検出されていない場合は(S545:No)、S546〜S552の処理をスキップして、処理をS553へ移行する。また、S547の処理において、検出カウンタ13xの値が「10」でない場合は(S547:No)、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチで球が検出されておらず、1ラウンドの遊技が終了していないので、大入賞口5をそのまま開放させておくためにS548〜S552の処理をスキップして、処理をS553へ移行する。更に、S551の処理において、ラウンドカウンタ13yの値が「0」でなければ(S551:No)、大当たりの遊技が終了していないので、S552の処理をスキップして、処理をS553へ移行する。
次に、図70を参照して、上記したラウンド抽選処理(S544)について説明する。図70は、ラウンド抽選処理を示したフローチャートである。このラウンド抽選処理では、放出図柄で大当たりが発生していた場合に、それまでにずらされた大当たりが存在するとき、放出図柄での大当たり発生時に設定された放出ラウンドメモリ13Aaの値とラウンドカウンタ13yの値とが一致しているか否かを確認し、放出ラウンドメモリ13Aaの値とラウンドメモリ13yの値とが一致している場合に、1の大当たりの遊技価値である15ラウンドを遊技者に付与するために、ラウンドカウンタ13yの値に「15」を加算する。
また、このラウンド抽選処理では、LCD3にラウンド毎に抽選演出を行わせ、放出ラウンドメモリ13Aaの値とラウンドメモリ13yの値とが一致している場合にのみ、遊技者にラウンドが加算されることを示唆するラウンド加算当たり演出をLCD3に表示させる一方、その条件を満たす場合以外では遊技者にラウンドが加算されないことを示唆するラウンド加算ハズレ演出をLCD3に表示させる。よって、ラウンド毎に抽選演出を行うことができるので、遊技の興趣を向上させることができる。なお、ラウンド加算当たり演出を行う際に、そのラウンド加算当たり演出内で蓄越図柄での大当たりの表示(例えば、「2」、「2」、「2」の図柄表示)を表示することによって、遊技者はずらされた大当たりが付与されたのだと認識することができる。
ラウンド抽選処理(S544)では、まず、放出フラグ13hがオンされているか否かを確認する(S561)。放出フラグ13hがオンされていれば(S561:Yes)、この放出図柄で大当たりが発生したということなので、次に、蓄越カウンタ13eの値が「0」であるか否かを確認する(S562)。蓄越カウンタ13eの値が「0」でなければ(S562:No)、放出図柄の大当たりが発生する以前に蓄越図柄の大当たりが発生して、その付与がずらされていたということなので、次に、ラウンドカウンタ13yの値と放出ラウンドメモリ13Aaの値とが一致しているか否かを確認する(S563)。ラウンドカウンタ13yの値と放出ラウンドメモリ13Aaの値とが一致していれば(S563:Yes)、放出図柄の大当たり発生時に設定したラウンド数であるので、ラウンドカウンタ13yの値に「15」を加算して(S564)、1の大当たり分の遊技価値を付与する。そして、蓄越カウンタ13eの値から「1」を減算し(S565)、LCD3にラウンド加算当たり演出を表示させる加算演出コマンドをセットする(S566)。そして、再びずらされている大当たりを付与する場合のために、ハズレリーチカウンタ13cの値に応じた所定値を放出ラウンドメモリ13Aaにセットして(S567)、このラウンド抽選処理を終了する。
なお、S561の処理において放出フラグ13hがオンされていない場合(S561:No)、又は、S563の処理においてラウンドカウンタ13yの値と放出ラウンドメモリ13Aaの値とが一致していない場合は(S563:Yes)、そのラウンドでずらされている大当たりが付与されないため、LCD3にラウンド加算ハズレ演出を表示させる加算ハズレコマンドをセットして(S569)、このラウンド抽選処理を終了する。また、S562の処理において、蓄越カウンタ13eの値が「0」である場合には(S562:Yes)、ずらされている大当たりがすべて遊技者に付与されたということなので、放出フラグ13hをオフして(S568)、処理をS569へ移行する。
以上説明したように、第13実施例のパチンコ機Pによれば、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bが大当たりを発生する値である場合、且つ、同じく始動入賞に基づいて取得された大当たり図柄カウンタ13dが放出図柄を示す値である場合に、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上であったとき、1の大当たりが終了してしまう前、即ち、15ラウンドの遊技が終了する前に、その大当たりのいずれか1のラウンド遊技において1の大当たり分の遊技価値である15ラウンドを加算することによって、ずらされている大当たりを遊技者に付与するように構成する。よって、新たな遊技性を提供することができると共に、大当たり状態を終了することなく、連続して遊技者に有利な遊技価値を付与することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、第13実施例のパチンコ機Pでは、ハズレリーチカウンタ13cの値に応じてずらされている大当たりの付与を示唆するタイミング(ラウンド)を設定していたが、これに代えて、無作為抽出カウンタ13bの値、大当たり図柄カウンタ13dの値、変動表示の回数、又は、蓄越カウンタ13eの値等に応じてずらされている大当たりを付与を示唆するタイミングを設定するように構成しても良い。
蓄越カウンタ13eの値に応じてずらされている大当たりを付与するタイミングを設定する場合は、蓄越カウンタ13eの値が少なければ、即ち、ずらされている大当たり数が少なければ、大当たり遊技の開始から小さい値のラウンド、即ち、大当たり遊技の前半においてラウンド加算当たり演出を行わせるように構成しても良い。一方、蓄越カウンタ13eの値が多ければ、即ち、ずらされている大当たり数が多ければ、大当たり遊技の開始から大きい値のラウンド、即ち、大当たり遊技の後半においてラウンド加算当たり演出を行わせるように構成しても良い。
具体的には、例えば、蓄越カウンタ13eの値が「5」未満であった場合に放出ラウンドメモリ13Aaに「1」〜「5」のいずれかの値をセットし、蓄越カウンタ13eの値が「5」以上「10」未満である場合に放出ラウンドメモリ13Aaに「5」〜「10」のいずれかの値をセットし、蓄越カウンタ13eの値が「10」以上であった場合に放出ラウンドメモリ13Aaに「11」〜「15」のいずれかの値をセットするように構成する。
蓄越カウンタ13eの値が多ければ大当たり遊技の後半においてラウンド加算当たり演出を行うことで、放出図柄で大当たりが発生した場合において、大当たり遊技の後半までラウンド加算演出が行われないことで、ずらされている大当たりが大量に存在するか、又は、ずらされている大当たりが存在しないかのいずれかであると遊技者に推測させ、付与される遊技価値が増加するか否かを大当たり遊技の後半まで遊技者に報知しないことによって、大当たり遊技の後半まで興趣を維持することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
また、第13実施例のパチンコ機Pでは、大入賞口5が開放されているラウンド中にLCD3にラウンド加算当たり演出又はラウンド加算ハズレ演出を表示していた。これに代えて、大入賞口5が閉鎖されている間、即ち、1のラウンドと他のラウンドとの間にLCD3においてラウンド加算当たり演出又はラウンド加算ハズレ演出を行うように構成しても良い。大入賞口5が閉鎖中にLCD3においてラウンド加算当たり演出又はラウンド加算ハズレ演出を行うことによって、遊技価値が付与されない期間においても遊技者に興趣を提供することができる。なお、大入賞口5が閉鎖されている間と、大入賞口5が開放されている間とでラウンド加算当たり演出又はラウンド加算ハズレ演出を行うことで、抽選演出を行う機会を増やすことによって、遊技者の興趣の向上を増幅させるように構成しても良い。
更に、第13実施例のパチンコ機Pでは、ラウンド中にLCD3でラウンド加算当たり演出が行われた場合に、そのラウンド加算当たり演出が行われたタイミングで1の大当たり分の遊技価値である15ラウンドを加算していた。これに代えて、LCD3でラウンド加算当たり演出が行われた場合に、そのラウンド加算当たり演出が行われたタイミング以外のタイミング、例えば、1の大当たり分の遊技価値である15ラウンドが終了したタイミングで、1の大当たり分の遊技価値である15ラウンドを加算するように構成しても良い。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
以下に第13実施例の変形例を示す。識別情報等を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段により遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記動的実行手段によって前記表示装置に前記識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に特別遊技状態を発生させる特別遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態が発生し得る場合に、第1所定条件に応じてその特別遊技状態の付与をずらす特別遊技蓄越手段と、その特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を第2所定条件に応じて付与する蓄越放出手段とを備えており、前記蓄越放出手段は、前記特別遊技状態中にずらされている少なくとも1の特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機J1。特別遊技付与手段は、特別遊技蓄越手段によって特別遊技状態の付与をずらすことができると共に、蓄越放出手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を特別遊技状態が遊技者に付与されている間に続けて付与することができる。よって、新たな遊技性を提供することができると共に、特別遊技状態を終了することなく、断続的に遊技者に有利な遊技価値を付与することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。なお、第1所定条件、又は、第2所定条件とは、例えば、少なくとも1の所定のカウンタの値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、特別遊技状態の発生回数、或いは、ずらされた特別遊技状態数等が例示される。なお、特別遊技状態の付与をずらすとは、例えば、特別遊技状態の付与を保留させること、特別遊技状態の付与を待機させること、或いは、特別遊技状態の付与を遅延させること等が例示される。
遊技機J1において、前記特別遊技状態は、複数の有利状態の集合からなる一連の集合遊技が可能であり、前記蓄越放出手段は、いずれか1の有利状態中にずらされた少なくとも1の特別遊技状態分の遊技価値を付け加えることを特徴とする遊技機J2。蓄越放出手段は、いずれか1の有利状態中にずらされた少なくとも1の特別遊技状態分の遊技価値を付け加える。よって、新たな遊技性を提供することができると共に、特別遊技状態を終了することなく、連続して遊技者に有利な遊技価値を付与することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
なお、特別遊技状態とは、例えば、球等の有価価値を有する遊技媒体が遊技者に付与される大当たり状態、特別遊技状態の発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、又は、始動条件の成立が通常状態より容易にされると共に1の動的表示に要する時間が短縮されて特別遊技状態が付与され易い時間短縮状態等が例示される。また、有利状態とは、例えば、パチンコ機におけるラウンド、又は、スロットマシンにおけるBIGゲーム、若しくは、JACイン等が例示される。
遊技機J1又は遊技機J2において、前記特別遊技状態は、複数の有利状態の集合からなる一連の集合遊技が可能であり、前記蓄越放出手段は、いずれか1の有利状態と次の有利状態との間にずらされた少なくとも1の特別遊技状態分の遊技価値を付け加えるものであることを特徴とする遊技機J3。蓄越放出手段は、いずれか1の有利状態と次の有利状態との間にずらされた少なくとも1の特別遊技状態分の遊技価値を付け加える。よって、新たな遊技性を提供することができると共に、特別遊技状態を終了することなく、連続して遊技者に有利な遊技価値を付与することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機J1からJ3のいずれかにおいて、前記蓄越放出手段は、いずれか1の有利状態中にずらされた少なくとも1の特別遊技状態分の遊技価値を付け加えることを遊技者に示唆することを特徴とする遊技機J4。蓄越放出手段は、いずれか1の有利状態中にずらされた少なくとも1の特別遊技状態分の遊技価値を付け加えることを遊技者に示唆する。よって、新たな遊技性を提供することができると共に、特別遊技状態を終了することなく、連続して遊技者に有利な遊技価値を付与することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機J1からJ4のいずれかにおいて、前記蓄越放出手段は、いずれか1の有利状態と次の有利状態との間にずらされた少なくとも1の特別遊技状態分の遊技価値を付け加えることを遊技者に示唆することを特徴とする遊技機J5。蓄越放出手段は、いずれか1の有利状態と次の有利状態との間にずらされた少なくとも1の特別遊技状態分の遊技価値を付け加えることを遊技者に示唆する。よって、新たな遊技性を提供することができると共に、特別遊技状態を終了することなく、連続して遊技者に有利な遊技価値を付与することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機J2からJ5のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記有利状態を計数する有利状態計数手段と、その有利状態計数手段が予め定めた所定値に達した場合に前記特別遊技状態を終了させる特別遊技終了手段とを備え、前記蓄越放出手段は、前記特別遊技終了手段によって前記特別遊技状態が終了する前に、前記特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付け加えるものであることを特徴とする遊技機J6。蓄越放出手段は、特別遊技終了手段によって特別遊技状態が終了する前に、特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付け加える。よって、新たな遊技性を提供することができると共に、特別遊技状態を終了することなく、連続して遊技者に有利な遊技価値を付与することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機J1からJ6のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越放出手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態が付与される場合に、前記特別遊技状態発生時に第3所定条件に応じて前記ずらされた特別遊技状態を付け加えるタイミングを設定する付与時設定手段を備えていることを特徴とする遊技機J7。蓄越放出手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態が付与される場合に、付与時設定手段により第3所定条件に応じて設定されたタイミングでずらされた特別遊技状態を付け加える。よって、特別遊技状態を付与すると共にずらされた特別遊技状態を付与する場合に、特別遊技状態毎にずらされた特別遊技状態を付け加えるタイミングを異なるように構成する。従って、ずらされた特別遊技状態を付け加えるタイミングを特別遊技状態毎に異ならせることで、新たな遊技性を提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。なお、第3所定値とは、例えば、少なくとも1の所定のカウンタの値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、特別遊技状態の発生回数、或いは、ずらされた特別遊技状態数等が例示される。
遊技機J7において、前記付与時設定手段は、前記特別遊技状態発生時に第3所定条件に応じて、前記複数の有利状態の内、いずれか1の有利状態において前記ずらされた特別遊技状態分の遊技価値を付け加えるタイミングを設定し、前記蓄越放出手段は、前記付与時設定手段によって設定された前記有利状態に達した場合にずらされた少なくとも1の特別遊技状態分の遊技価値を付け加えるものであることを特徴とする遊技機J8。付与時設定手段は、特別遊技状態発生時に第3所定値に応じて、複数の有利手段の内、いずれか1の有利状態を設定し、蓄越放出手段は、付与時設定手段によって設定された有利状態に達した場合にずらされた少なくとも1の特別遊技状態分の遊技価値を付け加える。従って、特別遊技状態を付与すると共にずらされた特別遊技状態を付与する場合に、特別遊技状態毎にずらされた特別遊技状態を付け加えるタイミングを異なるように構成する。このため、ずらされた特別遊技状態を付け加える有利状態を特別遊技状態毎に異ならせることで、新たな遊技性を提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機J1からJ8のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越放出手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態が付与される場合に、前記特別遊技状態発生時に第4所定条件に応じて前記ずらされた特別遊技状態を付け加えることを示唆するタイミングを設定する示唆時設定手段を備えていることを特徴とする遊技機J9。蓄越放出手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態が付与される場合に、示唆時設定手段により第4所定条件に応じて設定されたタイミングでずらされた特別遊技状態を付け加えることを示唆する。よって、特別遊技状態を付与すると共にずらされた特別遊技状態を付与する場合に、特別遊技状態毎にずらされた特別遊技状態を付け加えるタイミングを異なるように構成する。従って、ずらされた特別遊技状態を付け加えるタイミングを特別遊技状態毎に異ならせることで、新たな遊技性を提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。なお、第4所定条件とは、例えば、少なくとも1の所定のカウンタの値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、特別遊技状態の発生回数、或いは、ずらされた特別遊技状態数等が例示される。
遊技機J9において、前記示唆時設定手段は、前記特別遊技状態発生時に第4所定条件に応じて、前記複数の有利状態の内、いずれか1の有利状態において前記ずらされた特別遊技状態分の遊技価値を付け加えることを示唆するタイミングを設定し、前記蓄越放出手段は、前記示唆時設定手段によって設定された前記有利状態に達した場合にずらされた少なくとも1の特別遊技状態分の遊技価値を付け加えること示唆するものであることを特徴とする遊技機J10。付与時設定手段は、特別遊技状態発生時に第3所定値に応じて、複数の有利手段の内、いずれか1の有利状態を設定し、蓄越放出手段は、付与時設定手段によって設定された有利状態に達した場合にずらされた少なくとも1の特別遊技状態分の遊技価値を付け加えることを示唆する。従って、特別遊技状態を付与すると共にずらされた特別遊技状態を付与する場合に、特別遊技状態毎にずらされた特別遊技状態を付け加えるタイミングを異なるように構成する。このため、ずらされた特別遊技状態を付け加える有利状態を特別遊技状態毎に異ならせることで、新たな遊技性を提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機J1からJ10のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記有利状態毎に特定の入賞口を開放する入賞口開放手段と、その入賞口開放手段によって前記特定の入賞口が開放された場合に、前記表示装置にずらされた前記特別遊技状態が付け加えられるか否かを示唆させる開放中抽選演出を行わせる開放演出手段とを備えていることを特徴とする遊技機J11。入賞口開放手段によって有利状態が発生する毎に、開放演出手段によって表示装置にずらされた特別遊技状態が付け加えられるか否かを示唆させる開放中抽選演出を行わせる。よって、有利状態毎に抽選演出を行うことができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機J1からJ11のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記有利状態毎に特定の入賞口を開放する入賞口開放手段と、その入賞開放手段によって開放された前記特定の入賞口を閉鎖する入賞口閉鎖手段と、その入賞口閉鎖手段により前記特定の入賞口が閉鎖された場合に、前記表示装置にずらされてた前記特別遊技状態が付け加えられるか否かを示唆させる閉鎖中抽選演出を行わせる閉鎖演出手段とを備えていることを特徴とする遊技機J12。入賞口閉鎖手段によって1の有利状態が終了する毎に、閉鎖演出手段によって表示装置にずらされた特別遊技状態が付け加えられるか否かを示唆させる閉鎖中抽選演出を行わせる。よって、1の有利状態の終了する毎に抽選演出を行うことができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機J11又はJ12において、前記開放演出手段又は閉鎖演出手段は、前記蓄越放出手段によってずらされた前記特別遊技状態が付け加えられる場合に、前記表示装置に、遊技者にとって有利な遊技価値が付与されることを示唆する有利演出を行わせるものであることを特徴とする遊技機J13。
遊技機J11からJ13のいずれかにおいて、前記開放演出手段又は閉鎖演出手段は、前記蓄越放出手段によってずらされた前記特別遊技状態が付け加えられない場合に、前記表示装置に、遊技者にとって有利な遊技価値が付与されないことを示唆する不利演出を行わせるものであることを特徴とする遊技機J14。
遊技機J1からJ14のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、ランダムに値を取得する無作為抽出手段を備え、始動条件の成立に基づいて取得された前記無作為抽出手段の値に応じて前記特別遊技状態を付与するものであり、前記無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて前記特別遊技蓄越手段により前記特別遊技状態をずらすものであることを特徴とする遊技機J15。始動条件の成立に基づいて取得された無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて特別遊技蓄越手段によりその特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、遊技者は、確率的に動的表示の回転回数に応じてずらされた特別遊技状態数が多いと判断することで、動的表示の回転数に応じた遊技機の選択を行うことができるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増加させることができる。なお、無作為抽出手段としては、例えば、所定のタイミングで更新される無作為抽出手段(乱数カウンタ)や、ランダムに値を取得することができるICカウンタ等が例示される。
遊技機J1からJ15のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によりずらされた前記特別遊技状態数を記憶する記憶手段を備えていることを特徴とする遊技機J16。従来、遊技者は遊技機の釘調整や、遊技機の特別遊技状態の発生回数等で遊技機を選択していた。遊技機J16によれば、ずらされた特別遊技状態を記憶しておくことで、遊技者に不利益を被らせることなく適切な遊技を提供することができると共に、各遊技機毎の記憶手段に記憶される特別遊技状態数が異なり、遊技条件が異なることで各遊技機毎で差が生じるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増やすことができる。
遊技機J16において、前記蓄越放出手段は、前記第2所定条件が成立した場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の全部を付与するものであることを特徴とする遊技機J17。第2所定条件が成立した場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の全部を付与することで、ずらした特別遊技状態を一度に遊技者に付与することができる。よって、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することで、遊技者に通常より高い遊技価値が付与することができる。
遊技機J16において、前記蓄越放出手段は、前記第2所定条件が成立した場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の一部を付与するものであることを特徴とする遊技機J18。第2所定条件が成立した場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の一部を付与することで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することができる。特別遊技状態を一度に全部付与してしまうと、記憶手段にずらされた特別遊技状態が無くなってしまい、遊技者は、ずらされた特別遊技状態が全部付与されたと認識すると、得られる遊技価値が少なくなったと判断して、遊技の継続意欲を無くしてしまう。そこで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することによって、遊技者の遊技の継続意欲を保つことができると共に、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することができる。
遊技機J1からJ18のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記記憶手段に記憶されたずらされた前記特別遊技状態を付与する場合に、前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があるか否かを確認する蓄越確認手段を備え、その蓄越確認手段によって前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があると判断された場合に、その記憶手段に記憶されている少なくとも1の前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機J19。ずらされた特別遊技状態を付与する場合に、蓄越確認手段によって記憶手段にずらされた特別遊技状態があるか否かを確認し、記憶手段にずらされた特別遊技状態があると判断された場合に、そのずらされている少なくとも1の特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機J1からJ19のいずれかにおいて、前記付与時設定手段は、前記記憶手段に記憶されるずらされた特別遊技状態数に応じて、前記蓄越放出手段によってずらされた特別遊技状態を付け加えるタイミングを設定するものであることを特徴とする遊技機J20。付与時設定手段は、記憶手段に記憶されるずらされた特別遊技状態数に応じて、蓄越放出手段によってずらされた特別遊技状態を付け加えるタイミングを設定する。よって、特別遊技状態を付与すると共にずらされた特別遊技状態を付与する場合に、特別遊技状態毎にずらされた特別遊技状態を付け加えるタイミングを異なるように構成する。従って、ずらされた特別遊技状態を付け加えるタイミングを特別遊技状態毎に異ならせることで、新たな遊技性を提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機J20において、前記付与時設定手段は、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数が少ない場合はずらされた特別遊技状態を付け加えるタイミングを前記特別遊技状態中の前半に設定する一方、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数が多い場合はずらされた特別遊技状態を付け加えるタイミングを前記特別遊技状態中の後半に設定するものであることを特徴とする遊技機J21。記憶手段に記憶されるずらされた特別遊技状態が多ければ特別遊技状態の後半においてずらされた特別遊技状態を付け加えるように構成することで、特別遊技状態の後半までずらされた特別遊技状態が付け加えられない場合は、ずらされている特別遊技状態が大量に存在するか、又は、ずらされている特別遊技状態が存在しないかのいずれかであると遊技者に推測させることができる。よって、付与される遊技価値が増加するか否かを特別遊技状態の後半まで遊技者に告知せずに、遊技者に遊技状態を推理させることで、特別遊技状態の後半まで遊技者の興趣を維持することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機J1からJ21のいずれかにおいて、前記示唆時設定手段は、前記記憶手段に記憶されるずらされた特別遊技状態数に応じて、前記蓄越放出手段によってずらされた特別遊技状態を付け加えることを示唆するタイミングを設定するものであることを特徴とする遊技機J22。示唆時設定手段は、記憶手段に記憶されるずらされた特別遊技状態数に応じて、蓄越放出手段によってずらされた特別遊技状態を付け加えることを示唆するタイミングを設定する。よって、特別遊技状態ごとにずらされた特別遊技状態を付け加えることを示唆するタイミングを異なるように構成する。従って、ずらされた特別遊技状態を付け加えることを示唆するタイミングを特別遊技状態毎に異ならせることで、新たな遊技性を提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機J22において、前記示唆時設定手段は、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数が少ない場合はずらされた特別遊技状態を付け加えることを示唆するタイミングを前記特別遊技状態中の前半に設定する一方、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数が多い場合はずらされた特別遊技状態を付け加えることを示唆するタイミングを前記特別遊技状態中の後半に設定するものであることを特徴とする遊技機J23。記憶手段に記憶されるずらされた特別遊技状態が多ければ特別遊技状態の後半においてずらされた特別遊技状態を付け加えることを示唆するように構成することで、特別遊技状態の後半までずらされた特別遊技状態を付け加えることが示唆されない場合は、ずらされている特別遊技状態が大量に存在するか、又は、ずらされている特別遊技状態が存在しないかのいずれかであると遊技者に推測させることができる。よって、付与される遊技価値が増加するか否かを特別遊技状態の後半まで遊技者に告知せずに、遊技者に遊技状態を推理させることで、特別遊技状態の後半まで遊技者の興趣を維持することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機J1からJ23のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記特別遊技蓄越手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第1所定条件に応じて前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機J24。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第1所定条件に応じて特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機J24において、前記特別遊技付与手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機J25。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機J1からJ25のいずれかにおいて、前記識別情報は、前記特別遊技状態をずらす蓄越識別情報と、前記記憶手段に記憶された少なくとも1の前記特別遊技状態を付与させる放出識別情報と、前記特別遊技状態を付与させる単発識別情報とを備え、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越識別情報、放出識別情報及び単発識別情報により前記動的表示を行うものであることを特徴とする遊技機J26。識別情報の種類により付与される遊技状態を異ならせることによって、動的表示のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機J1からJ26のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機J27。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。また、従来のスロットマシンは、例えば、特別遊技状態を取得した場合、目押し等の遊技者の技量に応じてその特別遊技状態を遊技者に付与していた。しかしながら、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機にスロットマシンを用いると、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量が必要となる。よって、ただでさえ特別遊技状態をずらすという行為によって意図的に射倖性を高めているにもかかわらず、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量を求めることによって、不慣れな遊技者に多大な負担を与えて射倖性を高めてしまい、遊技機における適切な射倖性が維持できなくなってしまう。このため、遊技者はその遊技機における遊技を敬遠しがちになってしまい、遊技場の利益が減少してしまうという問題点があった。一方、パチンコ遊技機は、特別遊技状態に当選した場合、遊技者の技量如何にかかわらず、一義的に遊技者の特別遊技状態を付与することができる。よって、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機において、パチンコ遊技機を用いることによって、例えば、特別遊技状態を取得した場合に、遊技者の技量にかかわらず特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、不慣れな遊技者が遊技を行う場合でも、特別遊技状態に当選した場合には一義的に特別遊技状態を付与することができるので、適度な射倖性を維持しつつ、新たな遊技性による興趣を遊技者に提供することができる。
遊技機J1からJ26のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機J28。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機J1からJ26のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機J29。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
次に、図71から図74を参照して、本発明の第14−1実施例について説明する。第13実施例のパチンコ機Pでは、放出図柄で大当たりが発生した場合、その放出図柄での大当たり中に、ずらされている蓄越図柄での大当たりを付与するように構成されていた。これに代えて、第14−1実施例のパチンコ機Pでは、大当たり遊技が終了するタイミング、即ち、15ラウンドの遊技が終了した時点で、ずらされている蓄越図柄での大当たりを付け加えるように構成する。なお、1の大当たり遊技は、放出図柄、蓄越図柄及び単発大当たり図柄を問わず、特定入賞口(大入賞口)5が15回開放されて、1ラウンドずつ計15ラウンドの遊技が行われ、大入賞口5が開放されている間、即ち、1ラウンドの遊技中に球が大入賞口5に入賞することによって遊技者に遊技価値が付与されるように構成されている。
第14−1実施例について具体的に説明すると、放出図柄での大当たりが発生した場合に、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上であったとき、1の大当たりが終了するラウンド、即ち、15ラウンド目の遊技において、LCD3に1の大当たり分の遊技価値である15ラウンドを付け加える当たり演出(以下、ラウンド加算当たり演出)を表示すると共に、ラウンドカウンタ13yの値に「15」を加算して大当たり状態を継続させることによって、ずらされている大当たりを遊技者に付与するように構成する。よって、新たな遊技性を提供することができると共に、大当たり状態を終了することなく、連続して遊技者に有利な遊技価値を付与することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
また、従来、複数回の抽選演出のうち1の抽選演出によって当否の判定を行うと、遊技者はそれぞれの抽選演出毎に対する集中を欠いてしまい、本来、抽選演出によって期待することができる興趣を十分に付与することができなかった。そこで、大当たりが終了する間際までずらされた1の大当たり分の遊技価値が付与されるか否かを示唆しないように構成することにより、1回の抽選演出に重み付けをすることができると共に、付与される遊技価値が増加するか否かを大当たりの終了間際まで遊技者に認識させないようにすることができる。よって、大当たりの終了間際まで遊技者の興趣を維持することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、第14−1実施例で用いる図面は、図1、図3、図4、図5、図6、図7、図67、図71、図72、図73及び図74であるが、第1実施例(又は、第13実施例)と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図71は、第14−1実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第14−1実施例のパチンコ機Pの主制御基板Cには、放出フラグ13hと、検出カウンタ13xと、ラウンドカウンタ13yとが設けられている。
放出フラグ13hは、放出図柄で大当たりが発生した場合にその放出図柄での大当たり遊技中に今までにずらされている蓄越図柄の大当たりを付与させるためのフラグである。この放出フラグ13hは、放出図柄で大当たりが発生した場合にオンされる(図72、S577参照)。逆に、蓄越カウンタ13eの値が減算されて「0」になった場合、即ち、ずらされている大当たりを放出し尽くした場合にオフされる(図74、S616参照)。なお、第14−1実施例では、放出図柄で大当たりが発生した場合、それまでにずらされている蓄越図柄の大当たりをすべて付与するように構成されているが、これに代えて、ずらされている蓄越図柄の大当たりの一部を遊技者に付与するように構成しても良い。
検出カウンタ13xは、特定入賞口(大入賞口)5のVゾーン5aに配設されたVカウントスイッチ又は10カウントスイッチ(図示せず)で検出された球を計数するためのカウンタである。この検出カウンタ13xの値は、球が大入賞口5へ入賞して、その球がVカウントスイッチ又は10カウントスイッチのいずれかによって検出された場合に「1」加算され(図73、S595参照)、逆に、検出カウンタ13xの値が「10」となり大入賞口5が閉鎖されてラウンドカウンタ13yの値から「1」が減算される場合に「0」クリアされる(図73、S598参照)。
ラウンドカウンタ13yは、大当たりのラウンド数を計数するためのカウンタであり、このラウンドカウンタ13yの値が「1」以上である場合に、大入賞口5が開放されることで、遊技者に大当たりの遊技価値が付与されるものである。このラウンドカウンタ13yの値は、大当たりの遊技価値が遊技者に付与される場合に「15」が加算される。具体的には、放出図柄、又は、単発大当たり図柄で大当たりが発生した場合に、ラウンドカウンタ13yの値に「15」を設定(加算)する(図72、S580参照)。また、放出図柄での大当たりが発生して、ずらされている蓄越図柄での大当たりを付与する場合に、その大当たり遊技が終了するタイミング、即ち、ラウンドカウンタ13yの値が「0」になったタイミングで、大当たり状態を終了せずにラウンドカウンタ13yの値に「15」を加算する(図73、S601参照)。
一方、ラウンドカウンタ13yの値は、検出カウンタ13xの値が「10」となった場合に「1」減算される(図73、S599参照)。なお、ラウンドカウンタ13yの値が「0」になった場合には、状態フラグ(図示せず)の値が「0」に設定され、大当たりの遊技が終了するように構成されている。
次に、図72を参照して、保留球カウンタ減算処理(図67参照)の中で実行される第14−1実施例の通常選択処理について説明する。図72は、第14−1実施例の通常選択処理(S517)を示したフローチャートである。通常選択処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値であった場合に、大当たり図柄カウンタ13dの値に応じて遊技者に付与する遊技価値を決定するものである。具体的には、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合には、その大当たりを保留して(ずらして)、蓄越カウンタ13eに大当たりがずらされたことを記憶する。また、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値である場合には、1の大当たりを付与すると共に蓄越カウンタ13eに記憶されてその付与をずらされている大当たりをすべて放出(遊技者に付与)する。更に、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄を選択する値である場合には、単発大当たり、即ち、1の大当たりを遊技者に付与する。
通常選択処理(S517)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値は大当たりを発生する値であるか否かを確認する(S571)。図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値でない場合には(S571:No)、ハズレリーチやハズレの変動パターン等を設定する各処理を行い(S581)、この通常選択処理を終了する。一方、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合には(S571:Yes)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」のいずれかであるか否かを確認する(S572)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合には(S572:Yes)、蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S573)、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を特定の図柄(例えば、ハズレ図柄)に設定し(S574)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを特定の変動パターン(例えば、ハズレの変動パターン)に設定して(S575)、この通常選択処理を終了する。
一方、S572の処理において、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値でない場合には(S572:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「7」であるか否かを確認する(S576)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であった場合には(S576:Yes)、放出フラグ13hをオンして(S577)、処理をS578へ移行する。一方、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値でない場合、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄を選択する「1」、「3」、「5」又は「9」のいずれかであった場合には(S576:No)、S577の処理をスキップして、処理をS578へ移行する。
S578の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタの値に応じた停止図柄を設定して(S578)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S579)、1の大当たりの遊技価値である15ラウンドの遊技を行わせるためにラウンドカウンタ13yの値に「15」をセットして(S580)、この通常選択処理を終了する。
次に、図73を用いて、第14−1実施例のパチンコ機Pの主制御基板Cで行われる大当たり処理(図5、S26参照)について説明する。この大当たり処理は、図5に示す主制御基板Cのメイン処理において、状態フラグ(図示せず)が「大当たり中」であると判断された場合に(図5、S24参照)、特定入賞口(大入賞口)5の開放等を実行して、遊技者に所定数の球等を付与するための処理である。
この大当たり処理では、まず、大入賞口5は閉鎖されているか否かを確認する(S591)。確認の結果、大入賞口5が閉鎖されていれば(S591:Yes)、次に、大入賞口5が開放されるタイミングか否かを確認する(S592)。大入賞口5が開放されるタイミングであれば(S592:Yes)、大入賞口5を開放して(S593)、処理をS594へ移行する。なお、S591の処理において大入賞口5が閉鎖されていない場合(S591:No)、又は、S592の処理において大入賞口5が開放されるタイミングでない場合には(S592:No)、S543の処理をスキップして、処理をS594へ移行する。
S594の処理では、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチ(図示せず)が球を検出したか否かを確認する(S594)。確認の結果、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチで球が検出されている場合には(S594:Yes)、検出カウンタ13xの値に「1」を加算して(S595)、その検出カウンタ13xの値が「10」であるか否かを確認する(S596)。検出カウンタ13xの値が「10」であれば(S596:Yes)、1ラウンドの遊技を終了させるために、大入賞口5を閉鎖して(S597)、検出カウンタ13xの値を「0」クリアし(S598)、ラウンドカウンタ13yの値から「1」減算する(S599)。そして、そのラウンドカウンタ13yの値が「0」であるか否かを確認し(S600)、大当たりの遊技が継続するか否かを判断する。ラウンドカウンタ13yの値が「0」であれば(S600:Yes)、その大当たりが放出図柄での大当たりであるか否かを確認すると共に、放出図柄での大当たりである場合にずらされている蓄越図柄での大当たりの遊技価値である15ラウンドをその大当たり遊技に付け加える放出演出処理を行う(S601)。この放出演出処理においては、図74において詳述する。放出演出処理(S601)がおこなわれた後は、もう一度ラウンドカウンタ13yの値が「0」であるか否かを確認し(S602)、ラウンドカウンタ13yの値が「0」であれば(S602:Yes)、大当たりの遊技を終了させるために状態フラグ(図示せず)を「0」に設定して(S603)、LCD3に表示される演出や、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチ等の未検出時間等を監視して、未検出時間が所定時間(例えば、30秒)に達した場合にパンク処理等を実行する各処理を行い(S604)、この大当たり処理を終了する。
なお、S594の処理において、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチで球が検出されていない場合は(S594:No)、S595〜S603の処理をスキップして、処理をS604へ移行する。また、S596の処理において、検出カウンタ13xの値が「10」でない場合は(S596:No)、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチで球が検出されておらず、1ラウンドの遊技が終了していないので、大入賞口5をそのまま開放させておくためにS597〜S603の処理をスキップして、処理をS604へ移行する。更に、S600の処理において、ラウンドカウンタ13yの値が「0」でなければ(S600:No)、大当たりの遊技が終了していないので、S601〜S603の処理をスキップして、処理をS604へ移行する。また、S602の処理において、ラウンドカウンタ13yの値が「0」でなければ(S602:No)、放出図柄での大当たりが発生し、且つ、ずらされた蓄越図柄の大当たりが存在して、放出演出処理(S601)においてラウンドカウンタ13yの値に「15」が加算され、大当たり遊技が継続するので、S603の処理をスキップして、処理をS604へ移行する。
次に、図74を参照して、上記した放出演出処理(S601)について説明する。図74は、放出演出処理を示したフローチャートである。この放出演出処理では、放出図柄で大当たりが発生していた場合、即ち、放出フラグ13hがオンしている場合に、それまでにずらされた大当たりが存在するとき、1の大当たりの遊技価値である15ラウンドを遊技者に付与するために、ラウンドカウンタ13yの値に「15」を加算する。
また、この放出演出処理(S601)では、LCD3に抽選演出を行わせ、放出フラグ13hがオンされていると共に、蓄越カウンタ13eの値が「0」でない場合に、遊技者にラウンドが加算されること、即ち、ずらされた大当たり分の遊技価値が付け加えられることを示唆するラウンド加算当たり演出をLCD3に表示させる一方、放出フラグ13hがオンされていない場合、又は、放出フラグ13hがオンされていても、蓄越カウンタ13eの値が「0」である場合には、遊技者にラウンドが加算されないことを示唆するラウンド加算ハズレ演出をLCD3に表示させる。よって、大当たり遊技の最後、即ち、15ラウンドの遊技が終了した段階で抽選演出を行うことにより、大当たりが終了する間際までずらされた1の大当たり分の遊技価値の付け加えが行われないことで、付与される遊技価値が増加するか否かを大当たりの終了間際まで遊技者に認識させないようにすることができる。従って、大当たりの終了間際まで遊技者の興趣を維持することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、ラウンド加算当たり演出とは、例えば、擬似変動表示を行い、その擬似変動表示で蓄越図柄での大当たりの表示(例えば、「2」、「2」、「2」の図柄表示)を表示することによって、遊技者はずらされた大当たりが付与されたのだと認識させるように構成しても良い。
放出演出処理(S601)では、まず、放出フラグ13hがオンされているか否かを確認する(S611)。放出フラグ13hがオンされていれば(S611:Yes)、この放出図柄で大当たりが発生したということなので、次に、蓄越カウンタ13eの値が「0」であるか否かを確認する(S612)。蓄越カウンタ13eの値が「0」でなければ(S612:No)、放出図柄の大当たりが発生する以前に蓄越図柄の大当たりが発生して、その付与がずらされていたということなので、ラウンドカウンタ13yの値に「15」を加算して(S613)、1の大当たり分の遊技価値を付与する。そして、蓄越カウンタ13eの値から「1」を減算し(S614)、LCD3にラウンド加算当たり演出を表示させる加算演出コマンドをセットして(S615)、この放出演出処理を終了する。
なお、S611の処理において放出フラグ13hがオンされていない場合(S611:No)、LCD3にラウンド加算ハズレ演出を表示させる加算ハズレコマンドをセットして(S617)、この放出演出処理を終了する。また、S612の処理において、蓄越カウンタ13eの値が「0」である場合には(S612:Yes)、ずらされている大当たりがすべて遊技者に付与されたということなので、放出フラグ13hをオフして(S616)、処理をS617へ移行する。
以上説明したように、第14−1実施例のパチンコ機Pでは、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bが大当たりを発生する値である場合、且つ、同じく始動入賞に基づいて取得された大当たり図柄カウンタ13dが放出図柄を示す値である場合に、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上であったとき、1の大当たりが終了するラウンド、即ち、15ラウンド目の遊技において、LCD3に1の大当たり分の遊技価値である15ラウンドを付け加える当たり演出(以下、ラウンド加算当たり演出)を表示すると共に、ラウンドカウンタ13yの値に「15」を加算して大当たり状態を継続させることによって、ずらされている大当たりを遊技者に付与するように構成する。よって、新たな遊技性を提供することができると共に、大当たり状態を終了することなく、連続して遊技者に有利な遊技価値を付与することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
また、大当たりが終了する間際までずらされた1の大当たり分の遊技価値の付け加えが行われないことで、付与される遊技価値が増加するか否かを大当たりの終了間際まで遊技者に認識させないことによって、大当たりの終了間際まで遊技者の興趣を維持することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
次に、図75を参照して、本発明の第14−2実施例について説明する。第14−1実施例のパチンコ機Pでは、ずらされている蓄越図柄での大当たりが存在する状況において放出図柄での大当たりが発生した場合に、大当たり遊技の15ラウンドの遊技が終了したタイミング、即ち、大入賞口5が閉鎖されたタイミングで、ずらされている蓄越図柄での大当たりを付け加えていた。これに代えて、第14−2実施例のパチンコ機Pでは、ずらされている蓄越図柄での大当たりが存在する状況において放出図柄での大当たりが発生した場合に、大当たり遊技の最後である15ラウンド目の遊技中にずらされている蓄越図柄での大当たりを付け加えるように構成する。よって、大当たりが終了する間際までずらされた1の大当たり分の遊技価値の付け加えが行われないことで、付与される遊技価値が増加するか否かを大当たりの終了間際まで遊技者に認識させないことによって、大当たりの終了間際まで遊技者の興趣を維持することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
図75は、第14−2実施例の大当たり処理(S26)を示したフローチャートである。第14−2実施例の大当たり処理では、まず、大入賞口5は閉鎖されているか否かを確認する(S621)。確認の結果、大入賞口5が閉鎖されていれば(S621:Yes)、次に、大入賞口5が開放されるタイミングか否かを確認する(S622)。大入賞口5が開放されるタイミングであれば(S622:Yes)、ラウンドカウンタ13yの値が「1」であるか否かを確認する(S623)。ラウンドカウンタ13yの値が「1」であれば(S623:Yes)、その大当たり遊技において15ラウンド目の遊技が開始されるということなので、その大当たりが放出図柄での大当たりであるか否かを確認すると共に、放出図柄での大当たりである場合にずらされている蓄越図柄での大当たりの遊技価値である15ラウンドをその大当たり遊技に付け加える放出演出処理を行う(S601)。放出演出処理の後は、大入賞口5を開放して(S624)、処理をS625へ移行する。
なお、S621の処理において大入賞口5が閉鎖されていない場合(S621:No)、又は、S622の処理において大入賞口5が開放されるタイミングでない場合には(S622:No)、S623,S601及び624の処理をスキップして、処理をS625へ移行する。また、S623の処理において、ラウンドカウンタ13yの値が「1」でない場合は(S623:No)、その大当たりにおけるラウンドが15ラウンド目ではないということなので、放出演出処理(S601)は行わずに、処理をS624へ移行する。
S625の処理では、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチ(図示せず)が球を検出したか否かを確認する(S625)。確認の結果、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチで球が検出されている場合には(S625:Yes)、検出カウンタ13xの値に「1」を加算して(S626)、その検出カウンタ13xの値が「10」であるか否かを確認する(S627)。検出カウンタ13xの値が「10」であれば(S627:Yes)、1ラウンドの遊技を終了させるために、大入賞口5を閉鎖して(S628)、検出カウンタ13xの値を「0」クリアし(S629)、ラウンドカウンタ13yの値から「1」減算する(S630)。そして、そのラウンドカウンタ13yの値が「0」であるか否かを確認し(S631)、大当たり遊技が継続するか否かを判断する。ラウンドカウンタ13yの値が「0」であれば(S631:Yes)、大当たりの遊技を終了させるために状態フラグ(図示せず)を「0」に設定して(S632)、LCD3に表示される演出や、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチ等の未検出時間等を監視して、未検出時間が所定時間(例えば、30秒)に達した場合にパンク処理等を実行する各処理を行い(S633)、この大当たり処理を終了する。
なお、S625の処理において、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチで球が検出されていない場合は(S625:No)、S626〜S632の処理をスキップして、処理をS633へ移行する。また、S627の処理において、検出カウンタ13xの値が「10」でない場合は(S627:No)、10カウントスイッチ又はVカウントスイッチで球が検出されておらず、1ラウンドの遊技が終了していないので、大入賞口5をそのまま開放させておくためにS628〜S632の処理をスキップして、処理をS633へ移行する。更に、S631の処理において、ラウンドカウンタ13yの値が「0」でなければ(S631:No)、大当たりの遊技が終了していないので、S632の処理をスキップして、処理をS633へ移行する。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、第14−2実施例では、予め定められた規定の遊技をこなした場合における最終ラウンド(15ラウンド)が終了した後にずらされた大当たりを付与していた。これに代えて、大当たりの継続権利を取得することができずに、大当たりが途中で終了してしまった場合でも、蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たりを遊技者に付与するように構成しても良い。1の大当たりのすべての遊技価値が遊技者に付与されない場合においても、遊技者に有利な遊技価値であるずらされた大当たりを付与することができるので、遊技者に損失を被らせずにすむので、遊技の継続意欲を保ちつつ、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
以下に第14−1実施例又は第14−2実施例の変形例を示す。識別情報等を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段により遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記動的実行手段によって前記表示装置に前記識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に特別遊技状態を発生させる特別遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態が発生し得る場合に、第1所定条件に応じてその特別遊技状態の付与をずらす特別遊技蓄越手段と、その特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を第2所定条件に応じて付与する蓄越放出手段とを備えており、前記蓄越放出手段は、前記特別遊技状態が終了するタイミングでずらされている少なくとも1の特別遊技状態を付け加えるものであることを特徴とする遊技機K1。特別遊技付与手段は、特別遊技蓄越手段によって第1所定条件に応じて特別遊技状態の付与をずらすことができると共に、蓄越放出手段によって第2所定条件に応じてずらされた少なくとも1の特別遊技状態を特別遊技状態が遊技者に付与されている間に続けて付与することができる。よって、新たな遊技性を提供することができると共に、特別遊技状態を終了することなく、連続して遊技者に有利な遊技価値を付与することができる。従って、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。なお、第1所定条件、又は、第2所定条件とは、例えば、少なくとも1の所定のカウンタの値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、特別遊技状態の発生回数、或いは、ずらされた特別遊技状態数等が例示される。なお、特別遊技状態の付与をずらすとは、例えば、特別遊技状態の付与を保留させること、特別遊技状態の付与を待機させること、或いは、特別遊技状態の付与を遅延させること等が例示される。
遊技機K1において、前記特別遊技状態は、複数の有利状態の集合からなる一連の集合遊技が可能であり、前記蓄越放出手段は、前記特別遊技状態における最後の有利状態が行われるタイミングでずらされている少なくとも1の特別遊技状態分の遊技価値を付け加えるものであることを特徴とする遊技機K2。蓄越放出手段は、特別遊技状態の最後の有利状態が行われるタイミングでずらされている少なくとも1の特別遊技状態分の遊技価値を付け加える。よって、新たな遊技性を提供することができると共に、特別遊技状態を終了することなく、連続して遊技者に有利な遊技状態を付与することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、特別遊技状態が終了する間際までずらされた特別遊技状態分の遊技価値の付け加えが行われないことで、付与される遊技価値が増加するか否かを特別遊技状態の終了間際まで遊技者に認識させないことによって、特別遊技状態の終了間際まで興趣を維持することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、特別遊技状態とは、例えば、球等の有価価値を有する遊技媒体が遊技者に付与される大当たり状態、特別遊技状態の発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、又は、始動条件の成立が通常状態より容易にされると共に1の動的表示に要する時間が短縮されて特別遊技状態が付与され易い時間短縮状態等が例示される。また、有利状態とは、例えば、パチンコ機におけるラウンド、又は、スロットマシンにおけるBIGゲーム、若しくは、JACイン等が例示される。
遊技機K1において、前記特別遊技状態は、複数の有利状態の集合からなる一連の集合遊技が可能であり、前記蓄越放出手段は、前記特別遊技状態における最後の有利状態終了後のタイミングでずらされている少なくとも1の特別遊技状態分の遊技価値を付け加えるものであることを特徴とする遊技機K3。蓄越放出手段は、特別遊技状態の最後の有利状態終了後のタイミングでずらされている少なくとも1の特別遊技状態分の遊技価値を付け加える。よって、新たな遊技性を提供することができると共に、特別遊技状態を終了することなく、連続して遊技者に有利な遊技状態を付与することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、特別遊技状態が終了する間際までずらされた特別遊技状態分の遊技価値の付け加えが行われないことで、付与される遊技価値が増加するか否かを特別遊技状態の終了間際まで遊技者に認識させないことによって、特別遊技状態の終了間際まで興趣を維持することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機K1からK3のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記有利状態毎に特定の入賞口を開放する入賞口開放手段と、その入賞口開放手段によって前記特定の入賞口が1の特別遊技状態における最後の有利状態として開放される場合に、前記表示装置にずらされた前記特別遊技状態が付け加えられるか否かを示唆させる開放中抽選演出を行わせる開放演出手段とを備えていることを特徴とする遊技機K4。従来、複数回の抽選演出のうち1の抽選演出によって当否の判定を行うと、遊技者はそれぞれの抽選演出毎に対する集中を欠いてしまい、本来、抽選演出によって期待することができる興趣を十分に付与することができなかった。そこで、入賞口開放手段によって特定の入賞口が1の特別遊技状態における最後の有利状態として開放される場合に、開放演出手段によて表示装置にずらされた特別遊技状態が付け加えられるか否かを示唆させる開放中抽選演出を行わせる。よって、1の特別遊技状態における最後の有利状態において抽選演出を行うことができるので、1回の開放中抽選演出に重み付けをすることができると共に、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機K1からK4のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記有利状態毎に特定の入賞口を開放する入賞口開放手段と、その入賞口開放手段によって開放された前記特定の入賞口を閉鎖する入賞口閉鎖手段と、その入賞口閉鎖手段により前記特定の入賞口が1の特別遊技状態の最後の有利状態において閉鎖される場合に、前記表示装置にずらされた前記特別遊技状態が付け加えられるか否かを示唆させる閉鎖中抽選演出を行わせる閉鎖演出手段とを備えていることを特徴とする遊技機K5。従来、複数回の抽選演出のうち1の抽選演出によって当否の判定を行うと、遊技者はそれぞれの抽選演出毎に対する集中を欠いてしまい、本来、抽選演出によって期待することができる興趣を十分に付与することができなかった。そこで、入賞口閉鎖手段によって特定の入賞口が1の特別遊技状態における最後の有利状態において閉鎖される場合に、閉鎖演出手段によって表示装置にずらされた特別遊技状態が付け加えられるか否かを示唆させる閉鎖中抽選演出を行わせる。よって、1の特別遊技状態における最後の有利状態終了後において抽選演出を行うことができるので、1回の閉鎖中抽選演出に重み付けをすることができると共に、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機K1からK5のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記有利状態を計数する有利状態計数手段と、その有利状態計数手段が予め定めた所定値に達した場合に前記特別遊技状態を終了させる特別遊技終了手段とを備え、前記蓄越放出手段は、前記特別遊技終了手段が前記特別遊技状態を終了させるタイミングで、前記特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付け加えるものであることを特徴とする遊技機K6。蓄越放出手段は、特別遊技終了手段によって特別遊技状態が終了する前に、特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付け加える。よって、新たな遊技性を提供することができると共に、特別遊技状態を終了することなく、連続して遊技者に有利な遊技価値を付与することができる。従って、遊技者が積極的に遊技を行うので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機K1からK6のいずれかにおいて、前記開放演出手段又は閉鎖演出手段は、前記蓄越放出手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態が付与される場合に、1の特別遊技状態における最後の前記有利状態において、前記表示装置に遊技者にとって有利な遊技価値が付与されることを示唆する有利演出を行わせるものであることを特徴とする遊技機K7。
遊技機K1からK7のいずれかにおいて、前記開放演出手段又は閉鎖演出手段は、前記蓄越放出手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態が付与されない場合に、1の特別遊技状態における最後の前記有利状態において、前記表示装置に遊技者にとって有利な遊技価値が付与されないことを示唆する不利演出を行わせるものであることを特徴とする遊技機K8。
遊技機K1からK8のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態を遊技者に付与した場合にその特別遊技状態における遊技の達成状態を判断する付与価値判断手段とを備え、前記蓄越放出手段は、前記付与価値判断手段によって前記遊技の達成状態が所定状態であると判断した場合に、前記特別遊技蓄越手段によりずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与する蓄越放出手段とを備えていることを特徴とする遊技機K9。付与価値判断手段によって1の特別遊技状態における遊技の達成状態を判断し、その特別遊技状態における遊技の達成状態が所定状態であると判断された場合、蓄越放出手段によって特別遊技蓄越手段によりずらされた少なくとも1の特別遊技状態を遊技者に付与する。よって、1の特別遊技状態における遊技の達成状態に応じた第2所定条件を満たしていれば、遊技者に少なくとも1のずらされている特別遊技状態を付与することができ、新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。また、遊技者は、特別遊技状態における遊技の達成状態を所定状態にさせようと積極的に特別遊技状態の遊技を行うことで、遊技に幅を持たせ、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機K9において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態において遊技者に付与されるべき所定の遊技価値を予め設定及び記憶する設定記憶手段を備え、前記蓄越放出手段は、前記特別遊技状態における遊技の達成状態が前記設定記憶手段に記憶される所定の遊技価値を満たさない場合に、前記特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機K10。特別遊技付与手段は、特別遊技状態において遊技者に付与される所定の遊技価値を設定記憶手段に予め設定及び記憶し、蓄越放出手段は、特別遊技状態が終了した場合の遊技の達成状態が設定記憶手段に記憶される所定の遊技価値を満たしていない場合に、特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態において、本来得られるはずの遊技価値が遊技者に付与されない場合に、所定の条件に応じてずらされている特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、遊技者の不満感を払拭することができると共に、新たな遊技性を遊技者に提供して、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機K9若しくはK10において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態中に特定の入賞口に入賞した遊技媒体を検出する検出手段と、その検出手段によって前記遊技媒体が検出された場合に遊技者に前記特別遊技状態の継続権利を付与すると共に特定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備え、前記蓄越放出手段は、前記付与価値判断手段により所定期間中に前記遊技価値付与手段から遊技者に特定の遊技価値が付与されていないと判断された場合に、ずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機K11。従来、特別遊技状態を遊技者に付与する状況において、所定期間中(例えば、30秒間)に特定の入賞口に配設された検出手段で遊技媒体が検出されない場合、即ち、所定期間中に遊技価値付与手段から遊技者に特定の遊技価値が付与されていない場合に、その特別遊技状態を終了(中断)させるように構成されている。特別遊技状態が付与され難い特別遊技蓄越手段を備えた遊技機において、例えば、ずらされている特別遊技状態がすべて付与される状態に当選したにもかかわらず、検出手段で遊技媒体が検出されずに特別遊技状態の継続権利を取得することができないことによって特別遊技状態が途中で終了してしまうと、遊技者に多大な損害を被らせてしまい、遊技の継続意欲を無くしてしまうといった問題点があった。そこで、特別遊技状態中において、付与価値判断手段によって所定期間中に遊技価値付与手段から遊技者に特定の遊技価値が付与されていないと判断された場合に、蓄越放出手段によって特別遊技蓄越手段によりずらされた少なくとも1の特別遊技状態を遊技者に付与する。よって、1の特別遊技状態のすべての遊技価値が遊技者に付与されない場合においても、ずらされている特別遊技状態を付与することができるので、遊技者に損失を被らせずにすむので、遊技の継続意欲を保ちつつ、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機K1からK11のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、ランダムに値を取得する無作為抽出手段を備え、始動条件の成立に基づいて取得された前記無作為抽出手段の値に応じて前記特別遊技状態を付与するものであり、前記無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて前記特別遊技蓄越手段により前記特別遊技状態をずらすものであることを特徴とする遊技機K12。始動条件の成立に基づいて取得された無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて特別遊技蓄越手段によりその特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、遊技者は、確率的に動的表示の回転回数に応じてずらされた特別遊技状態数が多いと判断することで、動的表示の回転数に応じた遊技機の選択を行うことができるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増加させることができる。なお、無作為抽出手段としては、例えば、所定のタイミングで更新される無作為抽出手段(乱数カウンタ)や、ランダムに値を取得することができるICカウンタ等が例示される。
遊技機K1からK12のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によりずらされた前記特別遊技状態数を記憶する記憶手段を備えていることを特徴とする遊技機K13。従来、遊技者は遊技機の釘調整や、遊技機の特別遊技状態の発生回数等で遊技機を選択していた。遊技機K13によれば、ずらされた特別遊技状態を記憶しておくことで、遊技者に不利益を被らせることなく適切な遊技を提供することができると共に、各遊技機毎の記憶手段に記憶される特別遊技状態数が異なり、遊技条件が異なることで各遊技機毎で差が生じるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増やすことができる。
遊技機K13において、前記蓄越放出手段は、前記第2所定条件が成立した場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の全部を付与するものであることを特徴とする遊技機K14。第2所定条件が成立した場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の全部を付与することで、ずらした特別遊技状態を一度に遊技者に付与することができる。よって、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することで、遊技者に通常より高い遊技価値が付与することができる。
遊技機K13において、前記蓄越放出手段は、前記第2所定条件が成立した場合に、前記記憶手段に記憶される前記特別遊技状態数の一部を付与するものであることを特徴とする遊技機K15。第2所定条件が成立した場合に、記憶手段に記憶される特別遊技状態数の一部を付与することで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することができる。特別遊技状態を一度に全部付与してしまうと、記憶手段にずらされた特別遊技状態が無くなってしまい、遊技者は、ずらされた特別遊技状態が全部付与されたと認識すると、得られる遊技価値が少なくなったと判断して、遊技の継続意欲を無くしてしまう。そこで、ずらされた特別遊技状態を分散して遊技者に付与することによって、遊技者の遊技の継続意欲を保つことができると共に、遊技者が自ら取得した最低限の遊技価値を付与することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与することができる。
遊技機K1からK15のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記記憶手段に記憶されたずらされた前記特別遊技状態を付与する場合に、前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があるか否かを確認する蓄越確認手段を備え、その蓄越確認手段によって前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態があると判断された場合に、その記憶手段に記憶されている少なくとも1の前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機K16。ずらされた特別遊技状態を付与する場合に、蓄越確認手段によって記憶手段にずらされた特別遊技状態があるか否かを確認し、記憶手段にずらされた特別遊技状態があると判断された場合に、そのずらされている少なくとも1の特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機K1からK16のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記特別遊技蓄越手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第1所定条件に応じて前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機K17。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第1所定条件に応じて特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機K17において、前記特別遊技付与手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた前記特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機K18。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機K1からK18のいずれかにおいて、前記識別情報は、前記特別遊技状態をずらす蓄越識別情報と、前記記憶手段に記憶された少なくとも1の前記特別遊技状態を付与させる放出識別情報と、前記特別遊技状態を付与させる単発識別情報とを備え、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越識別情報、放出識別情報及び単発識別情報により前記動的表示を行うものであることを特徴とする遊技機K19。識別情報の種類により付与される遊技状態を異ならせることによって、動的表示のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機K1からK19のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機K20。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。また、従来のスロットマシンは、例えば、特別遊技状態を取得した場合、目押し等の遊技者の技量に応じてその特別遊技状態を遊技者に付与していた。しかしながら、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機にスロットマシンを用いると、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量が必要となる。よって、ただでさえ特別遊技状態をずらすという行為によって意図的に射倖性を高めているにもかかわらず、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量を求めることによって、不慣れな遊技者に多大な負担を与えて射倖性を高めてしまい、遊技機における適切な射倖性が維持できなくなってしまう。このため、遊技者はその遊技機における遊技を敬遠しがちになってしまい、遊技場の利益が減少してしまうという問題点があった。一方、パチンコ遊技機は、特別遊技状態に当選した場合、遊技者の技量如何にかかわらず、一義的に遊技者の特別遊技状態を付与することができる。よって、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機において、パチンコ遊技機を用いることによって、例えば、特別遊技状態を取得した場合に、遊技者の技量にかかわらず特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、不慣れな遊技者が遊技を行う場合でも、特別遊技状態に当選した場合には一義的に特別遊技状態を付与することができるので、適度な射倖性を維持しつつ、新たな遊技性による興趣を遊技者に提供することができる。
遊技機K1からK19のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機K21。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機K1からK19のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機K22。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
次に、図76から図82を参照して、本発明の第15実施例について説明する。第1実施例のパチンコ機Pでは、放出図柄で大当たりが発生した場合、まず、その放出図柄での大当たりを遊技者に付与し、放出図柄での大当たりが終了した後に、図柄回転1メモリ13kに記憶される変動表示のデータが図柄回転実行エリア13jに書き込まれたとき、その変動表示のデータを今までにずらされていた蓄越図柄の大当たりに変更して、ずらされている大当たりを遊技者に付与していた。これに代えて、第15実施例のパチンコ機Pでは、放出図柄で大当たりが発生した場合、その放出図柄での大当たりが終了した後にずらされている大当たり数に応じて所定期間(以下、チャンスタイム)の遊技を設定し、そのチャンスタイム中に無作為抽出カウンタ13bが所定値であったときに、ずらされている大当たりを遊技者に付与するように構成する。
第15実施例を具体的に説明すると、放出図柄での大当たりが発生した場合、蓄越カウンタ13eの値に応じて、変動回数カウンタ13p及び条件メモリ13Bbに値を設定し、その変動回数カウンタ13pに設定された回数分の変動表示が行われる前、即ち、チャンスタイム中に、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が条件メモリ13Bbに設定された値以下である場合、図柄回転実行エリア13jに記憶されている変動表示のデータを書き換えることによって、ずらされている大当たりを遊技者に付与する。よって、チャンスタイムの遊技により複数回の変動表示に跨る遊技演出を行うことが可能になり、新たな遊技性を提供することができるので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
なお、第15実施例で用いる図面は、図1、図3、図4、図5、図6、図7図76、図77、図78、図79、図80、図81及び図82であるが、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図76は、第13実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第15実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのRAM13には、放出選択フラグ13gと、変動回数カウンタ13pと、条件メモリ13Bbとが設けられている。
放出選択フラグ13gは、通常の遊技、即ち、後述する通常選択処理(図77、S648参照)を実行するか、ずらされている大当たりを付与可能なチャンスタイムの遊技、即ち、後述する放出選択処理(図77、S649参照)を実行するか否かを判別するためのフラグである。この放出選択フラグ13gは、放出図柄での大当たり、即ち、「7」の図柄で大当たりが発生した場合に、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上であるときにオンされる。一方、オンされた放出選択フラグ13gは、後述する変動回数カウンタ13pの値が「0」になった場合、即ち、チャンスタイムが終了する場合にオフされる。
なお、この放出選択フラグ13gは、チャンスタイム中を示すフラグであるので、第15実施例では、この放出選択フラグ13gがオンしている場合、即ち、チャンスタイム中に蓄越図柄での大当たりが発生し得るとき、その蓄越図柄での大当たりを蓄越することなく遊技者に付与するように構成されている。
変動回数カウンタ13pは、LCD3で行われる変動表示の回数を計数するためのカウンタである。この変動回数カウンタ13pの値は、大当たり処理(S26、図80参照)の中で実行される変動回数設定処理(図80、S675参照)において、蓄越カウンタ13eの値に応じて設定される。具体的には、蓄越カウンタ13eの値が「20」以上であった場合には変動回数カウンタ13pに「500」が設定され、蓄越カウンタ13eの値が「20」未満「10」以上であった場合には変動回数カウンタ13pに「300」が設定され、蓄越カウンタ13eの値が「10」未満であった場合には変動回数カウンタ13pに「100」が設定される。よって、第15実施例では、蓄越カウンタ13eの値が多ければ多いほど、変動回数カウンタ13pに設定される値が多くなるように構成されているので、ずらされている大当たりが多ければ多いほど、そのずらされている大当たりが付与され易いようにチャンスタイムの期間を長くすることができる。
一方、この変動回数カウンタ13pの値は、基本的に放出選択処理(図82参照)が行われる毎、即ち、放出選択フラグ13gがオンしている場合に1の変動表示が行われる毎に「1」ずつ減算されるように構成されている。ただし、例外として、放出選択処理において図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値であった場合には、変動回数カウンタ13pの値を減算しないように構成する。パチンコ機Pにおける遊技は、大当たりを如何に付与させるかという遊技から成り立っており、チャンスタイムはその遊技の補足としての遊技状態である。そこで、チャンスタイム中に付与された大当たりによって、チャンスタイムの遊技の権利を減らしてしまうと、遊技者に不利益を被らせてしまう。よって、チャンスタイム中の大当たりが付与される場合に、チャンスタイムの遊技の権利を減らさないように構成することによって、遊技者に不利益を被らせることなく、適切な遊技を提供することができる。なお、チャンスタイム中に大当たりに当選した場合に、変動回数カウンタ13pの値を減算するように構成しても良い。
また、第15実施例では、この変動回数カウンタ13pの値は、放出図柄での大当たりが発生する毎に蓄越カウンタ13eの値に応じて書き換えられるが、チャンスタイム中に放出図柄での大当たりに当選した場合には、変動回数カウンタ13pの値を書き換えずに、蓄越カウンタ13eの値に応じた値を変動回数カウンタ13pに加算するように構成しても良い。具体的には、例えば、第15実施例では、蓄越カウンタ13eの値が「21」であると共に、変動回数カウンタ13pの値が「350」の場合に放出図柄での大当たりに当選したとき、変動回数カウンタ13pの値が「500」に再設定される。これに代えて、放出図柄での大当たりに当選した状態における変動回数カウンタ13pの「350」に、「500」を加算して、変動回数カウンタ13pの値を「850」に設定するようにしても良い。遊技者が当選した遊技状態を直接的に付与することができるので、遊技者に不利益を被らせることなく、適切な遊技を提供することができる。
条件メモリ13Bbは、チャンスタイム中において、蓄越図柄の大当たりを付与する条件を記憶するためのメモリである。条件メモリ13Bbの値は、放出図柄での大当たり時に、蓄越カウンタ13eの値に応じて設定されるものであり、蓄越カウンタ13eの値が多ければ多いほど条件メモリに設定される値が大きくなるように構成されている。チャンスタイム中に始動入賞に基づいて取得した無作為抽出カウンタ13bの値が、条件メモリ13Bbに記憶される値以下である場合に、ずらされている蓄越図柄での大当たりを付与するように構成されている。具体的には、条件メモリ13Bbの値に「30」が設定されている場合に、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が「30」以下であれば、ずらされている蓄越図柄での大当たりを付与する。逆に、条件メモリ13Bbの値に「30」が設定されている場合に、始動入賞に基づいて取得された無作為抽出カウンタ13bの値が「31」以上であれば、ずらされている蓄越図柄での大当たりを付与しない。
次に、図77を参照して、図5の特別図柄変動処理(S25)の中で実行される第15実施例の保留球カウンタ減算処理について説明する。この保留球カウンタ減算処理により、LCD3で行われる変動表示が終了した場合および大当たり遊技が終了した場合に、図柄回転1メモリ13kに記憶されている変動表示のデータが図柄回転実行エリア13jに書き込まれると共に、図柄回転2〜4メモリ13l〜13nに記憶されている変動表示のデータが、それぞれ1つずつ小さい図柄回転1〜3メモリ13k〜13mへシフトして記憶される。また、放出選択フラグ13gがオンされている場合には、ずらされている大当たりが放出可能な放出選択処理が実行される。
保留球カウンタ減算処理では、まず、変動表示中か否か、即ち、変動表示が終了しているか否かを確認する(S641)。確認の結果、変動表示中であれば(S641:Yes)、この保留球カウンタ減算処理を終了する。一方、変動表示中でなければ(S641:No)、次に、大当たり中であるか否かを確認する(S642)。大当たり中であれば(S642:Yes)、この保留球カウンタ減算処理を終了する一方、大当たり中でなければ(S642:No)、保留球カウンタ13iの値が「1」以上であるか否かを確認し(S643)、保留球カウンタ13iの値が「1」以上であれば(S643:Yes)、処理をS644へ移行する。なお、保留球カウンタ13iの値が「1」未満、即ち、「0」であれば(S643:No)、図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに変動表示のデータは記憶されていないということなので、この保留球カウンタ減算処理を終了する。
S644の処理では、保留球カウンタ13iの値から「1」減算して(S644)、図柄回転1メモリ13kに記憶されている変動表示のデータを図柄回転実行エリア13jに書き込み(S645)、図柄回転2〜4メモリ13l〜13nに記憶されている変動表示のデータをそれぞれ1つずつ小さい図柄回転1〜3メモリ13k〜13mへシフトする(S646)。次に、放出選択フラグ13gがオンしているか否かを確認する(S647)。確認の結果、放出選択フラグ13gがオンしていなければ(S647:No)、処理をS648の通常選択処理(図78参照)へと移行する。一方、放出選択フラグ13gがオンしている場合は(S647:Yes)、処理をS649の放出選択処理(図82参照)へと移行する。なお、通常選択処理(S648)および放出選択処理(S649)の終了後は、この保留球カウンタ減算処理を終了する。
図78は、保留球カウンタ減算処理(図77参照)の中で実行される第15実施例の通常選択処理(S648)を示したフローチャートである。第15実施例の通常選択処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値であった場合に、属性選択処理(図79参照)を行い、大当たり図柄カウンタ13dの値に応じて付与する遊技価値を決定するものである。
通常選択処理(S648)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値は大当たりを発生する値であるか否かを確認する(S651)。図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値でない場合には(S651:No)、ハズレリーチやハズレの変動パターン等を設定する各処理を行い(S653)、この通常選択処理を終了する。一方、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合には(S651:Yes)、属性選択処理を行う(S652)。
図79は、属性選択処理を示したフローチャートである。この属性選択処理は、通常選択処理(S648、図78参照)において図柄回転実行エリア13jに記憶されるデータが大当たりを発生する値、即ち、無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合に実行される。また、この属性選択処理は、放出選択処理(図82参照)において図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値、即ち、無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合においても同様に実行されるものである。
この属性選択処理(S652)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」のいずれかであるか否かを確認する(S661)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合には(S661:Yes)、次に、放出選択フラグ13gがオンされているか否かを確認し(S662)、その蓄越図柄での大当たりがチャンスタイム中に発生したか否かを確認する。放出選択フラグ13gがオンされていなければ(S662:No)、チャンスタイム中の蓄越図柄での大当たりではないので、その蓄越図柄での大当たりの付与をずらすべく蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S663)、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を特定の図柄(例えば、ハズレ図柄)に設定し(S664)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを特定の変動パターン(例えば、ハズレの変動パターン)に設定して(S665)、この属性選択処理を終了する。なお、S662の処理において、放出選択フラグ13gがオンされていれば(S662:Yes)、チャンスタイム中における蓄越図柄での大当たりであるので、その大当たりをずらすことなく遊技者に付与するために、処理をS668へ移行する。S668からの処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定して(S668)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S669)、この属性選択処理(S652)を終了する。
一方、S661の処理において、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値でない場合には(S661:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「7」であるか否かを確認する(S666)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であった場合には(S666:Yes)、放出フラグ13hをオンして(S667)、処理をS668へ移行する。一方、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値でない場合、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄を選択する「1」、「3」、「5」又は「9」のいずれかの値であった場合には(S666:No)、S667の処理をスキップして、処理をS668の処理へと移行する。
図80は、第15実施例の大当たり処理(S26)を示したフローチャートである。この大当たり処理は、図5に示す主制御基板Cのメイン処理において、状態フラグ(図示せず)が「大当たり中」であると判断された場合に(図5、S24参照)、その大当たりが放出図柄による大当たりであるときのみ、放出選択フラグ13gをオンして、その大当たり状態の終了後において、蓄越カウンタ13eに記憶されるずらされた大当たりを付与可能なチャンスタイムを発生させるための処理である。
大当たり処理(S26)では、まず、特定入賞口5の開放等を行う大当たり実行処理を行い(S91)、放出フラグ13hがオンしているか否かを確認する(S671)。放出フラグ13hがオンしていれば(S671:Yes)、2ms後以降の大当たり処理で以下の処理をスキップすることができるように、放出フラグ13hをオフして(S672)、次に、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上か否かを確認して(S673)、ずらされている大当たりがあるかを調べる。蓄越カウンタ13eの値が「1」以上であれば(S673:Yes)、今までにずらされた大当たりが未放出の状態で蓄越されているので、その大当たり状態の終了後に放出選択処理(図82参照)を実行してずらされている大当たりを付与可能なチャンスタイムを発生させるべく放出選択フラグ13gをオンして(S674)、チャンスタイムの遊技条件を設定する変動回数設定処理を行い(S675)、この大当たり処理を終了する。なお、この変動回数設定処理(S675)については、図81において詳述する。
なお、S673の処理において、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上でなければ(S673:Yes)、ずらされている大当たりがないということなので、放出選択フラグ13gをオフして(S676)、この大当たり処理を終了する。また、S671の処理において、放出フラグ13hがオンしてない状態、即ち、放出フラグ13hがオフしている場合には(S671:No)、S672〜S676のいずれかの処理を既に実行しているか、蓄越図柄又は単発大当たり図柄での大当たりであるので、これらの処理をスキップして、この大当たり処理を終了する。よって、放出フラグ13hがオフされた後は、この大当たり処理では、大当たり実行処理(S91)のみが行われる。
図81は、変動回数設定処理を示したフローチャートである。この変動回数設定処理では、蓄越カウンタ13eに記憶されるずらされた大当たり数に応じて、チャンスタイム、即ち、放出選択処理(S649、図82参照)の変動表示の回数、及び、蓄越図柄での大当たりが付与される条件が設定される。
この変動回数設定処理では、まず、蓄越カウンタ13eの値が「20」以上であるか否かを確認する(S681)。確認の結果、蓄越カウンタ13eの値が「20」以上であれば(S681:Yes)、ずらされている蓄越図柄での大当たりが20個以上あるということなので、そのずらされている大当たりを高確率で付与可能にするために、変動回数カウンタ13pの値に「500」を設定し(S682)、条件メモリ13Bbの値に「30」を設定して(S683)、この変動回数設定処理を終了する。
一方、S681の処理において、蓄越カウンタ13eの値が「20」以上でなければ(S681:No)、次に、蓄越カウンタ13eの値が「10」以上であるか否かを確認する(S684)。確認の結果、蓄越カウンタ13eの値が「10」以上であれば(S684:Yes)、ずらされている蓄越図柄での大当たりが10個以上20個未満あるということなので、そのずらされている大当たりを高確率で付与可能にするために、変動回数カウンタ13pの値に「300」を設定し(S685)、条件メモリ13Bbの値に「20」を設定して(S686)、この変動回数設定処理を終了する。なお、S684の処理において、蓄越カウンタ13eの値が「10」以上でなければ(S684:No)、ずらされている蓄越図柄での大当たりが10個未満ということなので、そのずらされている大当たりを高確率で付与可能にするために、変動回数カウンタ13pの値に「100」を設定し(S687)、条件メモリ13Bbの値に「10」を設定して(S688)、この変動回数設定処理を終了する。
次に、図82を参照して、図77の保留球カウンタ減算処理の中で実行される第15実施例の放出選択処理(S649)について説明する。この放出選択処理は、放出選択フラグ13gがオンしている場合、即ち、放出図柄で大当たりが発生して、更に、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上であった場合に、その放出図柄での大当たりが終了した際に開始されるチャンスタイムの遊技状態を実行させるための処理である。
第15実施例の放出選択処理では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータは大当たりを発生する値であるか否かを確認する(S691)。図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値でなければ(S691:No)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータはハズレの変動表示であるので、変動回数カウンタ13pの値から「1」減算し(S692)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値は条件メモリ13Bbに記憶されている値以下か否かを確認する(S693)。図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が条件メモリ13Bbに記憶されている値以下である場合は、ずらされている蓄越図柄での大当たりを付与するべく、図柄回転実行エリア13jに記憶されている停止図柄を蓄越図柄のいずれかに設定し(S694)、図柄回転実行エリア13jに記憶されている変動パターンを大当たり変動パターンに設定して(S695)、蓄越カウンタ13eの値から「1」減算し(S696)、処理をS697へ移行する。
なお、S691の処理において、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値である場合は、その大当たりを優先するために、変動回数カウンタ13pの値を減算することなく、属性選択処理を行い(S652)、処理をS697へ移行する。また、S693の処理において、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が条件メモリに記憶される値以下でない場合には(S693:Yes)、S694〜S696の処理をスキップして、処理をS697へ移行する。
S697の処理では、変動回数カウンタ13pの値が「0」であるか否かを確認する(S697)。変動回数カウンタ13pの値が「0」であれば(S697:Yes)、放出図柄での大当たり時に設定された変動表示の回数分、チャンスタイムの遊技が行われたということなので、チャンスタイムを終了させるために、放出選択フラグ13gをオフして(S698)、この放出選択処理を終了する。一方、S697の処理において、変動回数カウンタ13pの値が「0」でなければ(S697:No)、放出図柄での大当たり時に設定されたチャンスタイムが継続するということなので、S698の処理をスキップして、この放出選択処理を終了する。
以上説明したように、第15実施例のパチンコ機Pによれば、放出図柄での大当たりが発生した場合に、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上であるならば、その大当たり状態終了後に、蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たり数に応じて設定された所定回数の変動表示において、蓄越カウンタ13eに記憶されている蓄越図柄での大当たりを付与可能なチャンスタイムの遊技を開始する。よって、チャンスタイムの遊技により、複数回の動的表示に跨る遊技演出を行うことが可能になり、新たな遊技性を提供することができるので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、第15実施例のパチンコ機Pでは、放出図柄での大当たりが発生した場合に、チャンスタイムを開始するように構成されていた。これに代えて、単発大当たり図柄での大当たりが発生した場合、大当たりがずらされて蓄越カウンタ13eに「1」が加算された場合、又は、LCD3に予め定められた所定の表示(例えば、左から「3」、「4」、「1」のハズレ出目、或いは、「7」のリーチ等)が現出した場合等に、チャンスタイムを開始するように構成しても良い。
また、第15実施例のパチンコ機Pでは、放出図柄での大当たり時に設定された変動表示の回数が終了した場合に、チャンスタイムを終了するように構成されていた。これに代えて、蓄越カウンタ13eの値が「0」になった場合、又は、LCD3に予め定められた所定の表示(例えば、左から「3」、「4」、「1」のハズレ出目、或いは、「7」のリーチ等)が現出した場合等に、チャンスタイムを終了するように構成しても良い。
更に、第15実施例のパチンコ機Pでは、チャンスタイム中に蓄越図柄での大当たりに当選した場合は、その蓄越図柄での大当たりの付与をずらすことなく遊技者に付与していた。これに代えて、チャンスタイム中の蓄越図柄の大当たりに当選した場合は、その蓄越図柄での大当たりの付与を一旦ずらすように構成しても良い。
また、第15実施例のパチンコ機Pでは、放出図柄での大当たり時に設定された変動表示の回数が終了した場合に、チャンスタイムを終了させて通常の遊技に戻っていた。これに代えて、チャンスタイムが終了する場合に、蓄越カウンタ13eにずらされた大当たりが「1」以上記憶されているとき、チャンスタイムが終了する際にそのずらされた大当たりを付与するように構成しても良い。具体的には、放出図柄での大当たり時に設定された変動回数カウンタ13pの値が「0」になったタイミングで、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上であるか否かを判断し、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上である場合に、その時に行われる変動表示のデータをずらされた蓄越図柄での大当たりのデータに書き換える。チャンスタイムが終了する際に、蓄越図柄での大当たりを遊技者に付与することによって、チャンスタイム中に条件メモリ13Bbに設定された値を満たすことができなかった場合においても、少なくとも1の蓄越図柄での大当たりを遊技者に付与することができるので、所定の遊技価値を保証すると共に、チャンスタイムの遊技により、複数回の変動表示に跨る遊技演出を行うことが可能になり、新たな遊技性を提供することができるので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
以下に第15実施例の変形例を示す。識別情報等を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段により遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記動的実行手段によって前記表示装置に前記識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に特別遊技状態を発生させる特別遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態が発生し得る場合に、第1所定条件に応じてその特別遊技状態の付与をずらす特別遊技蓄越手段と、その特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を第2所定条件に応じて付与する蓄越放出手段とを備え、前記蓄越放出手段は、第3所定条件に応じて発生する所定期間中に前記第2所定条件を満たすことによって、ずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機L1。特別遊技付与手段は、特別遊技状態が発生し得る場合に、第1所定条件に応じてその特別遊技状態の付与をずらす特別遊技蓄越手段と、その特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を第2所定条件に応じて付与する蓄越放出手段とを備え、蓄越放出手段は、第3所定条件に応じて発生する所定期間中に第2所定条件を満たすことによって、ずらされた少なくとも1の特別遊技状態を付与する。よって、複数回の動的表示に跨る遊技を行うことにより、新たな遊技性を提供することができるので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。なお、第1所定条件、又は、第2所定条件としては、例えば、少なくとも1の所定のカウンタの値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、特別遊技状態の発生回数、或いは、ずらされた特別遊技状態数等が例示される。また、第3所定条件としては、例えば、所定の識別情報による特別遊技状態の発生、特別遊技状態の付与がずらされた場合、或いは、表示装置に予め定められた所定表示が現出した場合等が例示される。なお、特別遊技状態の付与をずらすとは、例えば、特別遊技状態の付与を保留させること、特別遊技状態の付与を待機させること、或いは、特別遊技状態の付与を遅延させること等が例示される。
遊技機L1において、前記特別遊技付与手段は、前記第3所定条件に応じて前記所定期間を開始させる期間開始手段と、その期間開始手段によって発生された前記所定期間を終了させる期間終了手段を備えていることを特徴とする遊技機L2。特別遊技付与手段は、期間開始手段および期間終了手段により、所定期間を開始又は終了させることができるので、所定期間の遊技により複数回の動的表示に跨る遊技演出を行うことが可能になり、新たな遊技性を提供することができるので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機L2において、前記期間開始手段は、前記特別遊技状態が遊技者に付与される場合に、その特別遊技状態の終了後に前記所定期間を開始するものであることを特徴とする遊技機L3。期間開始手段は、特別遊技状態が遊技者に付与される場合に、その特別遊技状態の終了後に所定期間を開始する。よって、特別遊技状態による遊技価値を付与した後に、所定期間の遊技により複数回の動的表示に跨る遊技演出を行うことが可能になり、新たな遊技性を提供することができ、遊技者に積極的に遊技を行わせることができるので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機L2又は遊技機L3において、前記期間開始手段は、前記特別遊技状態が発生し得る場合に、前記特別遊技蓄越手段によってその特別遊技状態の付与がずらされたときに、前記所定期間を開始するものであることを特徴とする遊技機L4。期間開始手段は、特別遊技蓄越手段によって特別遊技状態の付与がずらされた場合に、所定期間を開始する。よって、特別遊技状態の付与がずらされた場合に、そのずらされた特別遊技状態を付与可能な所定期間を開始することで、遊技者にずらされた特別遊技状態を付与可能な機会を特別遊技状態がずらされた後に提供することができる。従って、複数回の動的表示に跨る遊技演出が可能になり、新たな遊技性を提供することができるので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機L2からL4のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置に予め定められた所定表示が現出したか否かを判断する表示現出判断手段を備え、前記期間開始手段は、前記表示現出判断手段により前記表示装置に予め定められた所定表示が現出したと判断された場合に、前記所定期間を開始するものであることを特徴とする遊技機L5。期間開始手段は、表示装置に予め定められた所定表示が現出した場合に、所定期間を開始する。よって、表示装置に予め定められた所定表示が現出した場合に、ずらされた特別遊技状態を付与可能な所定期間を開始することで、遊技者は、表示装置で行われる演出(動的表示を含む)に、たとえ特別遊技状態の付与が示唆されない演出であっても、予め定められた所定表示が現出するか否かを常に意識する。従って、遊技者を遊技に集中させることによって、遊技の興趣を向上させることができると共に、新たな遊技性を提供することができるので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機L1からL5のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記期間開始手段により所定期間が開始される場合に、第4所定条件に応じて所定期間の長さを設定する期間設定手段を備えていることを特徴とする遊技機L6。期間開始手段により所定期間が開始される場合に、期間設定手段によって第4所定条件に応じてその所定期間の長さが設定される。よって、所定期間毎の長さを変化させることができるので、遊技に幅を設けて、遊技者の遊技の興趣を向上させることができる。なお、第4所定条件とは、例えば、ずらされている特別遊技状態数、動的表示の変動回数、特別遊技状態発生時に表示装置に現出する識別情報の種類等が例示される。
遊技機L6において、前記特別遊技付与手段は、前記期間設定手段によって設定された前記所定期間の長さを記憶する期間記憶手段を備えていることを特徴とする遊技機L7。期間記憶手段によって、期間設定手段によって設定された所定期間の長さを記憶しておくことができる。
遊技機L6又はL7において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によってずらされた特別遊技状態数を記憶する記憶手段を備え、前記期間設定手段は、前記記憶手段に記憶されているずらされた特別遊技状態数に応じて前記期間記憶手段に前記所定期間の長さを設定するものであることを特徴とする遊技機L8。記憶手段に記憶されるずらされた特別遊技状態数に応じて、ずらされた特別遊技状態を付与可能な所定期間の長さを設定することにより、ずらされた特別遊技状態を付与可能な所定期間の長さと、ずらされた特別遊技状態数とを関連付けることができる。よって、特別遊技状態の付与をずらす遊技性を存分に遊技者に堪能させることができるので、新たな遊技性を提供することができると共に、その遊技性による遊技者の興趣を向上させることができる。
遊技機L6からL8のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記動的表示の回数を計数する動的回数記憶手段を備え、前記期間設定手段は、前記動的回数記憶手段に記憶される前記動的表示の回数に応じて前記期間記憶手段に前記所定期間の長さを設定するものであることを特徴とする遊技機L9。動的回数記憶手段に記憶される動的表示の回数に応じて、ずらされた特別遊技状態を付与可能な所定期間の長さを設定することにより、ずらされた特別遊技状態を付与可能な所定期間の長さと、動的表示の回数とを関連付けることができる。よって、複数回の動的表示、即ち、継続した遊技に応じて所定期間が設定されるので、継続して遊技を行うことによる興趣を向上させることができる。
遊技機L9において、前記動的回数記憶手段は、電源投入後からの前記動的表示の回数を計数するものであることを特徴とする遊技機L10。電源投入後からの動的表示の回数に応じて、ずらされた特別遊技状態を付与可能な所定期間の長さを設定することにより、電源投入後からの動的表示の回数と、ずらされた特別遊技状態を付与可能な所定期間の長さとを関連付けることができる。よって、電源投入後からの動的表示の回数に応じて所定期間が設定されるので、継続して遊技を行うことによる興趣を向上させることができる。
遊技機L9において、前記動的回数記憶手段は、前記特別遊技状態発生後からの前記動的表示の回数を計数するものであることを特徴とする遊技機L11。特別遊技状態発生後からの動的表示の回数に応じて、ずらされた特別遊技状態を付与可能な所定期間の長さを設定することにより、特別遊技状態発生後からの動的表示の回数と、ずらされた特別遊技状態を付与可能な所定期間の長さとを関連付けることができる。よって、特別遊技状態発生後からの動的表示の回数に応じて所定期間が設定されるので、継続して遊技を行うことによる興趣を向上させることができる。
遊技機L6からL11のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態を遊技者に付与する場合に、前記表示装置に表示される前記識別情報を選定する識別情報選定手段を備え、前記期間設定手段は、前記識別情報選定手段で選定される前記識別情報に応じて前記期間記憶手段に前記所定期間の長さを設定するものであることを特徴とする遊技機L12。期間設定手段は、特別遊技状態付与時に表示装置に現出している識別情報に応じて、所定期間の長さを設定するように構成する。よって、特別遊技状態付与時毎に所定期間の長さを変化させることができるので、遊技に幅を設けて、遊技者の遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機L6からL12のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、ランダムに値を取得する抽選手段を備え、前記期間設定手段は、前記抽選手段で取得された値に応じて前記期間記憶手段に前記所定期間の長さを設定するものであることを特徴とする遊技機L13。期間設定手段は、抽選手段がランダムに取得した値に応じて、所定期間の長さを設定するように構成する。よって、所定期間の長さをランダムに設定することができるので、遊技に幅を設けて、遊技者の遊技の興趣を向上させることができる。なお、抽選手段とは、例えば、所定のカウンタ等が例示される。
遊技機L6からL13のいずれかにおいて、前記期間設定手段は、前記期間開始手段により前記所定期間が開始されている間において、前記第4所定条件を満たした場合、その第4所定条件に応じた所定期間の長さを前記期間記憶手段に加算するものであることを特徴とする遊技機L14。遊技者が当選した遊技状態を直接的に付与することができるので、遊技者に不利益を被らせることなく、適切な遊技を提供することができる。
遊技機L2からL14のいずれかにおいて、前記期間終了手段は、前記期間設定手段によって前記期間記憶手段に記憶された前記所定期間が設定した長さに達した場合に、前記所定期間を終了するものであることを特徴とする遊技機L15。
遊技機L2からL15のいずれかにおいて、前記期間終了手段は、表示現出判断手段により前記前記表示装置に予め定められた所定表示が現出したと判断された場合に、前記所定期間を終了するものであることを特徴とする遊技機L16。期間終了手段は、表示装置に予め定められた所定表示が現出した場合に、所定期間を終了する。よって、表示装置に予め定められた所定表示が現出した場合に、ずらされた特別遊技状態を付与可能な所定期間を終了することで、遊技者は、表示装置で行われる演出(動的表示を含む)に、たとえ特別遊技状態の付与が示唆されない演出であっても、予め定められた所定表示が現出するか否かを常に意識する。従って、遊技者を遊技に集中させることによって、遊技の興趣を向上させることができると共に、新たな遊技性を提供することができるので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機L2からL16のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記記憶手段に少なくとも1のずらされた特別遊技状態が記憶されているか否かを判断する記憶判断手段を備え、前記期間終了手段は、前記記憶判断手段によって前記前記記憶手段にずらされた特別遊技状態が記憶されていないと判断された場合に、前記所定期間を終了するものであることを特徴とする遊技機L17。記憶手段にずらされた特別遊技状態が記憶されていない状況で所定期間の遊技を行っていても、全く意味がないばかりが制御が不安定に成りかねない。そこで、記憶判断手段によって記憶手段にずらされた特別遊技状態が記憶されていないと判断された場合は、期間終了手段により所定期間を終了する。よって、無駄な遊技を省くことができると共に、安定した制御を行うことができる。
遊技機L2からL17のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記期間終了手段によって前記所定期間を終了する場合に、前記記憶手段に記憶された少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する終了時付与手段を備えていることを特徴とする遊技機L18。終了時付与手段によって、所定期間が終了する場合に遊技者に少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する。よって、所定の遊技価値を保証すると共に、複数回の動的表示に跨る遊技演出を行うことが可能になり、新たな遊技性を提供することができるので、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機L1からL18のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、ランダムに値を取得する無作為抽出手段を備え、始動条件の成立に基づいて取得された前記無作為抽出手段の値に応じて前記特別遊技状態を付与するものであり、前記無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて前記特別遊技蓄越手段により前記特別遊技状態をずらすものであることを特徴とする遊技機L19。始動条件の成立に基づいて取得された無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて特別遊技蓄越手段によりその特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、遊技者は、確率的に動的表示の回転回数に応じてずらされた特別遊技状態数が多いと判断することで、動的表示の回転数に応じた遊技機の選択を行うことができるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増加させることができる。なお、無作為抽出手段としては、例えば、所定のタイミングで更新される無作為抽出手段(乱数カウンタ)や、ランダムに値を取得することができるICカウンタ等が例示される。
遊技機L19において、前記特別遊技付与手段は、前記期間開始手段により所定期間が開始される場合に、第5所定条件に応じて値を設定する条件設定手段と、その条件設定手段により設定された値を記憶する条件記憶手段とを備え、前記蓄越放出手段は、始動入賞に基づいて取得された前記無作為抽出手段の値と前記条件記憶手段の値とが第6所定条件を満たした場合に、少なくとも1のずらされている特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機L20。第5所定条件に応じて蓄越放出手段によるずらされた特別遊技状態の付与確率を変化させることができる。よって、遊技に幅を設けて、遊技に幅を設けて、遊技者の遊技の興趣を向上させることができる。なお、第5所定条件とは、例えば、ずらされている特別遊技状態数、動的表示の変動回数、特別遊技状態発生時に表示装置に現出する識別情報の種類等が例示される。また、第6所定条件とは、例えば、いずれか1の値を基準にして、他方の値が1の値以上、又は、1の値以下、或いは、1の値と同等である場合等が例示される。
遊技機L1からL20のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記記憶手段に記憶されたずらされた前記特別遊技状態を付与する場合に、前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態が記憶されているか否かを確認する蓄越確認手段を備えていることを特徴とする遊技機L21。蓄越確認手段によって記憶手段にずらされた特別遊技状態が記憶されているか否かを確認することができるので、記憶手段にずらされた特別遊技状態が記憶されていない場合に蓄越放出手段によるずらされた特別遊技状態の付与等の不適切な処理を未然に防ぐことができるので、適切な遊技を提供することができる。
遊技機L1からL21のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記所定期間中において、前記特別遊技蓄越手段によって前記特別遊技状態がずらされ得る場合に、そのずらされ得る特別遊技状態をずらすことなく付与する蓄越防止手段を備えていることを特徴とする遊技機L22。蓄越防止手段により、所定期間中におけるずらされ得る特別遊技状態をずらすことなく遊技者に付与するように構成する。よって、ずらされた特別遊技状態を付与可能な所定期間の遊技において、特別遊技状態に当選した場合にはずらすことなく付与することができるので、所定期間における遊技を遊技者にとって有利な状態とすることができる。従って、通常状態の遊技と、所定期間中の遊技とを明確に区別化することができるので、遊技に幅を設けて、遊技者に興趣を向上させることができる。
遊技機L1からL22のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記特別遊技蓄越手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第1所定条件に応じて前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機L23。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第1所定条件に応じて特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機L1からL23のいずれかにおいて、前記識別情報は、前記特別遊技状態をずらす蓄越識別情報と、前記記憶手段に記憶された少なくとも1の前記特別遊技状態を付与させる放出識別情報と、前記特別遊技状態を付与させる単発識別情報とを備え、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越識別情報、放出識別情報及び単発識別情報により前記動的表示を行うものであることを特徴とする遊技機L24。識別情報の種類により付与される遊技状態を異ならせることによって、動的表示のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機L1からL24のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機L25。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。また、従来のスロットマシンは、例えば、特別遊技状態を取得した場合、目押し等の遊技者の技量に応じてその特別遊技状態を遊技者に付与していた。しかしながら、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機にスロットマシンを用いると、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量が必要となる。よって、ただでさえ特別遊技状態をずらすという行為によって意図的に射倖性を高めているにもかかわらず、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量を求めることによって、不慣れな遊技者に多大な負担を与えて射倖性を高めてしまい、遊技機における適切な射倖性が維持できなくなってしまう。このため、遊技者はその遊技機における遊技を敬遠しがちになってしまい、遊技場の利益が減少してしまうという問題点があった。一方、パチンコ遊技機は、特別遊技状態に当選した場合、遊技者の技量如何にかかわらず、一義的に遊技者の特別遊技状態を付与することができる。よって、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機において、パチンコ遊技機を用いることによって、例えば、特別遊技状態を取得した場合に、遊技者の技量にかかわらず特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、不慣れな遊技者が遊技を行う場合でも、特別遊技状態に当選した場合には一義的に特別遊技状態を付与することができるので、適度な射倖性を維持しつつ、新たな遊技性による興趣を遊技者に提供することができる。
遊技機L1からL24のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機L26。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機L1からL24のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機L27。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
次に、図83から図87を参照して、本発明の第17実施例について説明する。第1実施例のパチンコ機Pでは、放出図柄での大当たりが発生した場合、蓄越カウンタ13eに少なくとも1のずらされている大当たりが記憶されていれば、ずらされた大当たりをすべて付与していた。しかし、ずらされている大当たりを1の放出図柄での大当たりですべて付与してしまうと、遊技性が単調になってしまい、遊技者は、大当たりをずらすことができるパチンコ機によって本来得られるはずの興趣を得ることができないといった問題点があった。
そこで、第17実施例のパチンコ機Pでは、抽選1カウンタ13Cc及び抽選2カウンタ13Ddによって、放出図柄での大当たりが発生した場合に遊技者に付与されるずらされた大当たり数を異ならせることができるように構成されている。具体的には、抽選1カウンタ13Cc及び抽選2カウンタ13Ddに蓄越カウンタ13eの値を設定し、LCD3において変動表示が行われる毎に前記抽選1カウンタ13Cc又は抽選2カウンタ13Ddの値を減算する。その状態において、放出図柄での大当たりが発生した場合に抽選1カウンタCcに記憶されている値を放出数メモリ13Eeに設定し、その放出数メモリ13Eeに設定された値に応じて、ずらされた大当たりを遊技者に付与するように構成する。よって、放出図柄での大当たり後に付与されるずらされた大当たり数を異ならせることができるので、遊技者にずらされた大当たり数の付与数、又は、ずらされている大当たり数を認識し難くすることができ、遊技に幅を設けて遊技の興趣を向上させることができる。
なお、第17実施例の説明で用いる図面は、図1、図3、図4、図5、図6、図7、図78、図83、図84、図85、図86及び図87であるが、上記のいずれかの実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図83は、第17実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第17実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのRAM13には、抽選1カウンタ13Ccと、抽選2カウンタ13Ddと、放出数メモリ13Eeとが設けられている。
抽選1カウンタ13Ccは、放出図柄での大当たりが発生した場合に、その放出図柄での大当たり後に付与されるずらされた大当たり数を決定するためのカウンタである。この抽選1カウンタ13Ccは、抽選1カウンタ13Ccの値が「0」となった場合(図85、S713参照)、又は、大当たりがずらされて蓄越カウンタ13eの値が「1」加算された場合に(図86、S723参照)、蓄越カウンタ13eに記憶されている値が抽選1カウンタ13Ccに設定されるように構成されている。また、放出図柄での大当たりが発生した場合には、抽選1カウンタ13Ccの値が後述する放出数メモリ13Eeに加算され、その後、抽選1カウンタ13Ccの値は「0」クリアされるように構成されている。一方、この抽選1カウンタ13Ccは、後述する抽選2カウンタ13Ddの値が「0」となった場合に「1」ずつ減算されるように構成されている。また、抽選1カウンタ13Ccが「1」減算された場合には、減算された抽選1カウンタ13Ccの値が抽選2カウンタ13Ddに設定されるように構成されている。
抽選2カウンタ13Ddは、上記した抽選1カウンタ13Ccの補助的なものであり、放出図柄での大当たりが発生した場合に、その放出図柄での大当たり後に付与されるずらされた大当たり数を決定するためのカウンタである。この抽選2カウンタ13Ddは、上記したように、抽選1カウンタ13Ccを「1」減算した場合にその減算された抽選1カウンタ13Ccの値が設定されるように構成されている。一方、抽選1カウンタ13Ccの値が「0」でない場合、且つ、抽選2カウンタ13Ddの値が「0」でない場合に「1」減算されるように構成されている。なお、抽選1カウンタ13Ccの値が「0」の場合は、抽選1カウンタ13Cc及び抽選2カウンタ13Ddが共に「0」となるように構成されているので、蓄越カウンタ13eの値を抽選1カウンタ13Cc及び抽選2カウンタ13Ddに設定するように構成されている。
よって、抽選2カウンタ13Ddに設定された値が「0」となった場合に、抽選1カウンタ13Ccの値が「1」減算され、その減算された抽選1カウンタ13Ccの値が再び抽選2カウンタ13Ddに設定されるように構成されている。従って、蓄越カウンタ13eの値が多ければ多いほど、抽選1カウンタ13Ccの値が減算されないように構成されている。このため、放出図柄での大当たりが発生した場合に、ずらされた大当たり数が多ければ多いほど遊技者に多くのずらされた大当たりを付与し易くすることができ、遊技者は多くの遊技価値を付与させようと積極的に遊技を行うので、遊技の興趣を向上させると共に、遊技の継続意欲を高めることができる。
放出数メモリ13Eeは、蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たりを付与する場合に、遊技者に付与する大当たり数を記憶しておくためにメモリである。この放出数メモリ13Eeの値は、放出図柄で大当たりが発生した場合に、上記した抽選1カウンタ13Ccの値が加算され(図86、S728参照)、逆に、1のずらされた大当たりが付与される場合に、蓄越カウンタ13eの値と共に「1」減算される。第17実施例のパチンコ機Pでは、1の始動入賞における変動表示において、放出数メモリ13Eeに加算された値が「0」になるまで、後述する放出選択処理(図87参照)を繰り返し実行し、放出数メモリ13Eeに加算された値分と同等数のずらされた大当たりを付与するように構成されている。
次に、図84を参照して、第17実施例の主制御基板Cで行われる保留球カウンタ減算処理について説明する。図84は、第17実施例の保留球カウンタ減算処理のフローチャートである。
保留球カウンタ減算処理では、まず、変動表示中か否か、即ち、変動表示が終了しているか否かを確認する(S701)。確認の結果、変動表示中であれば(S701:Yes)、この保留球カウンタ減算処理を終了する。一方、変動表示中でなければ(S701:No)、次に、大当たり中であるか否かを確認する(S702)。大当たり中であれば(S702:Yes)、この保留球カウンタ減算処理を終了する一方、大当たり中でなければ(S702:No)、保留球カウンタ13iの値が「1」以上であるか否かを確認し(S703)、保留球カウンタ13iの値が「1」以上であれば(S703:Yes)、処理をS704へ移行する。なお、保留球カウンタ13iの値が「1」未満、即ち、「0」であれば(S703:No)、図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに変動表示のデータは記憶されていないということなので、この保留球カウンタ減算処理を終了する。
S704の処理では、保留球カウンタ13iの値から「1」減算して(S704)、図柄回転1メモリ13kに記憶されている変動表示のデータを図柄回転実行エリア13jに書き込み(S705)、図柄回転2〜4メモリ13l〜13nに記憶されている変動表示のデータをそれぞれ1つずつ小さい図柄回転1〜3メモリ13k〜13mへシフトする(S706)。次に、放出数メモリ13Eeの値が「0」か否か、即ち、ずらされている大当たりが付与されるか否かを確認する(S707)。確認の結果、放出数メモリ13Eeの値が「0」であれば(S707:No)、処理をS708の放出数決定処理(図85参照)に続いて通常選択処理(S709)を実行し、この保留球カウンタ減算処理を終了する。一方、放出数メモリ13Eeの値が「0」でなければ(S707:No)、放出数メモリ13Eeに記憶されている値分のずらされている大当たりを付与するために放出選択処理(S710、図87参照)を実行し、この保留球カウンタ減算処理を終了する。
図85は、放出数決定処理(S708)を示したフローチャートである。この放出数決定処理では、1の変動表示が行われる毎に蓄越カウンタ13eの値に応じて設定された抽選1カウンタ13Cc又は抽選2カウンタ13Ddの値を1ずつ減算する。なお、抽選1カウンタ13Ccの値は、抽選2カウンタ13Ddに設定された値が「0」になったときに「1」減算されるように構成されている。よって、蓄越カウンタ13eの値が多ければ多いほど、抽選1カウンタ13Ccの値が減算されないように構成されているので、放出図柄での大当たりが発生した場合に、ずらされた大当たり数が多ければ多いほど遊技者に多くのずらされた大当たりを付与し易くすることができ、遊技者は多くの遊技価値を付与させようと積極的に遊技を行うので、遊技の興趣を向上させると共に、遊技の継続意欲を高めることができる。
この放出数決定処理(S708)では、まず、放出数メモリ13Eeの値は「0」であるか否かを確認する(S711)。放出数メモリ13Eeの値が「0」でない場合には(S711:No)、ずらされた大当たりを付与する状態であるので、ずらされた大当たりの付与数を抽選しなくても良いので、この放出数決定処理を終了する。一方、放出数メモリ13Eeの値が「0」である場合は、ずらされた大当たりの付与数を抽選するために、抽選1カウンタ13Ccの値が「0」であるか否かを確認する(S712)。確認の結果、抽選1カウンタ13Ccの値が「0」である場合は(S712:Yes)、抽選1カウンタ13Cc及び抽選2カウンタ13Ddが共に「0」であるので、蓄越カウンタ13eの値を抽選1カウンタ13Cc及び抽選2カウンタ13Ddに設定して(S713)、この放出数決定処理を終了する。
一方、S712の処理において、抽選1カウンタ13Ccの値が「0」でなければ(S712:No)、抽選1カウンタ13Ccには既に蓄越カウンタ13eの値が設定されている状態なので、次に、抽選2カウンタ13Ddの値は「0」か否かを確認する(S714)。抽選2カウンタの値が「0」でなければ(S714:No)、抽選2カウンタ13Ddの値から「1」減算して(S715)、この放出数決定処理を終了する。一方、抽選2カウンタ13Ddの値が「0」であれば(S715:Yes)、抽選1カウンタ13Ccの値から「1」減算して(S716)、抽選1カウンタ13Ccの値を抽選2カウンタ13Ddへ設定し(S717)、この放出数決定処理を終了する。放出数決定処理の終了後は、図84に戻って、通常選択処理を実行する(S709)。
図86は、第17実施例の属性選択処理(S652)を示したフローチャートである。この属性選択処理は、通常選択処理(図84、S709参照)において図柄回転実行エリア13jに記憶されるデータが大当たりを発生する値、即ち、無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合に実行される。また、この属性選択処理は、放出選択処理(図87参照)において図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値、即ち、無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合においても同様に実行されるものである。
この属性選択処理(S652)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」のいずれかであるか否かを確認する(S721)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合には(S721:Yes)、次に、放出数メモリ13Eeの値が「1」以上か否かを確認し(S722)、後述する放出選択処理(図87参照)で発生したか否かを確認する。放出数メモリ13Eeの値が「1」以上でなければ、即ち、放出数メモリ13Eeの値が「0」であれば(S722:No)、放出選択処理内における蓄越図柄での大当たりではないので、その蓄越図柄での大当たりの付与をずらすべく蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S723)、蓄越カウンタ13eの値を抽選1カウンタ13Ccへ設定する(S724)。そして、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を特定の図柄(例えば、ハズレ図柄)に設定し(S725)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを特定の変動パターン(例えば、ハズレの変動パターン)に設定して(S726)、この属性選択処理を終了する。
なお、S722の処理において、放出数メモリ13Eeの値が「1」以上であれば(S722:Yes)、放出選択処理内における蓄越図柄での大当たりであるので、その大当たりをずらすことなく遊技者に付与するために、処理をS730へ移行する。S730からの処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定して(S730)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S731)、この属性選択処理(S652)を終了する。
一方、S721の処理において、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値でない場合には(S721:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「7」であるか否かを確認する(S727)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であった場合には(S727:Yes)、抽選1カウンタ13Ccの値を放出数メモリ13Eeへ加算して(S728)、抽選1カウンタ13Ccの値を「0」クリアし(S729)、処理をS730へ移行する。一方、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値でない場合、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄を選択する「1」、「3」、「5」又は「9」のいずれかの値であった場合には(S727:No)、S728及びS729の処理をスキップして、処理をS730の処理へと移行する。
次に、図87を参照して、第17実施例の放出選択処理(S710)について説明する。第17実施例の放出選択処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶された変動表示のデータが大当たりを発生する値でない場合に、放出数メモリ13Ee及び蓄越カウンタ13eの値から「1」減算すると共に、図柄回転実行エリア13jに記憶されている変動表示のデータを蓄越図柄での大当たりに設定する。
この放出選択処理では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶されている変動表示のデータが大当たりを発生する値であるか、即ち、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が「7」又は「315」であるか否かを確認する(S741)。確認の結果、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値である場合には(S741:Yes)、処理をS652へ移行して、属性選択処理を実行し、この放出選択処理を終了する。一方、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値でない場合には(S741:No)、放出数メモリ13Eeに記憶されている値分のずらされた大当たりを遊技者に付与するために、まず、放出数メモリ13Eeの値から「1」減算し(S742)、図柄回転実行エリア13jに記憶されている停止図柄を蓄越図柄のいずれかに設定、即ち、図柄回転実行エリア13jに記憶されている大当たり図柄カウンタ13dの値を「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」に設定して(S743)、図柄回転実行エリア13jに記憶されている変動パターンを大当たりの変動パターンに設定する(S744)。そして、ずらされている大当たりが付与されるので、蓄越カウンタ13eの値から「1」減算して(S745)、この放出選択処理(S710)を終了する。
以上説明したように、第17実施例のパチンコ機Pでは、1の変動表示が行われる毎に抽選1カウンタ13Cc又は抽選2カウンタ13Ddの値を「1」ずつ減算し、放出図柄での大当たりが発生したときの抽選1カウンタ13Ccを放出数メモリ13Eeへ加算し、その放出数メモリ13Eeの値分、放出選択処理(S710)を行うように構成して、放出図柄での大当たりにおけるずらされている大当たり数を決定する。よって、放出図柄での大当たり毎に付与されるずらされた大当たり数が異ならせることができるので、遊技者にずらされた大当たり数の付与数を認識し難くすることができ、遊技に幅を設けて遊技の興趣を向上させることができる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、第17実施例のパチンコ機Pでは、蓄越カウンタ13eの値を抽選1カウンタ13Cc及び抽選2カウンタ13Ddに設定し、その抽選1カウンタ13Cc又は抽選2カウンタ13Ddの値を1の変動表示が行われる毎に減算し、放出図柄での大当たりが発生した場合に、抽選1カウンタ13Ccの値を放出数メモリ13Eeに加算して、放出図柄での大当たりにおけるずらされた大当たり数を決定していた。これに代えて、放出図柄での大当たりが発生した場合に、ハズレリーチカウンタ13c等の値を参酌して、放出図柄での大当たりにおけるずらされた大当たり数を決定するように構成しても良い。
また、第17実施例のパチンコ機Pでは、図84に示す保留球カウンタ減算処理において、1の変動表示が行われ得る、場合に抽選1カウンタ13Cc又は抽選2カウンタ13Ddの値を更新することによって、放出図柄での大当たりが発生した場合に付与されるずらされた大当たり数を異ならせるように構成していた。これに代えて、図5のメイン処理における乱数初期値更新処理(S30)において、抽選1カウンタ13Cc又は抽選2カウンタ13Ddの値を更新するように構成しても良い。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
以下に第17実施例の変形例を示す。識別情報等を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段により遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記動的実行手段によって前記表示装置に前記識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に特別遊技状態を発生させる特別遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態が発生し得る場合に、第1所定条件に応じてその特別遊技状態の付与をずらす特別遊技蓄越手段と、その特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を第2所定条件に応じて付与する蓄越放出手段と、所定の間隔毎に抽選を行う抽選手段とを備え、前記蓄越放出手段は、ずらされた特別遊技状態を付与し得る場合に、前記抽選手段によって抽選された所定値に基づいて、付与され得るずらされた特別遊技状態数を決定するものであることを特徴とする遊技機M1。従来、パチンコ機等の遊技機においては、様々なバリエーションの変動表示ゲームが行われるものが主流である。この変動表示ゲームは、表示装置(例えば、LCD)に複数個の図柄を表示し、所定の遊技条件に基づいてその複数個の図柄をスクロールして変動させるものである。そして、図柄のスクロールが停止した際に(所定の停止位置に応じて)、停止図柄が予め定められた組み合わせとなっている場合に、遊技の状態を遊技者にとって有利な遊技状態(例えば、大当たり)とするものである。しかしながら、この変動表示ゲームは、1回の変動表示でゲームが完結しているため、遊技性が断続的であると共に単調且つ均一であり、遊技者は同じ遊技機においてそれまでの遊技結果に応じて遊技を継続して行っても興趣を得ることができないといった問題点があった。そこで、蓄越放出手段は、ずらされた特別遊技状態を付与し得る場合に、抽選手段によって抽選された所定値に基づいて、付与され得るずらされた特別遊技状態数を決定することができる。よって、蓄越放出手段によるずらされた特別遊技状態の付与が発生する毎に、付与され得るずらされた特別遊技状態数を異ならせることができるので、遊技者にずらされた特別遊技状態数の付与数、又は、ずらされた特別遊技状態数を認識し難くすることができ、遊技に幅を設けて遊技の興趣を向上させることができる。なお、第1所定条件、又は、第2所定条件とは、例えば、少なくとも1の所定のカウンタの値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、特別遊技状態の発生回数、或いは、ずらされた特別遊技状態数等が例示される。なお、特別遊技状態の付与をずらすとは、例えば、特別遊技状態の付与を保留させること、特別遊技状態の付与を待機させること、或いは、特別遊技状態の付与を遅延させること等が例示される。
遊技機M1において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によってずらされた特別遊技状態を記憶する記憶手段を備え、前記抽選手段は、前記記憶手段に記憶される値内で所定値の抽選を行うものであることを特徴とする遊技機M2。抽選手段は、記憶手段に記憶されているずらされた特別遊技状態数以内で、蓄越放出手段によって付与され得るずらされた特別遊技状態数を抽選する。よって、蓄越放出手段によってずらされた特別遊技状態が付与され得る場合に、記憶手段に記憶されている以上の値が取得されることを防止することができるので、適切な遊技の制御を行うことができると共に、付与され得るずらされた特別遊技状態数を異ならせることができるので、遊技者にずらされた特別遊技状態の付与数を認識し難くすることができ、遊技に幅を設けて遊技の興趣を向上させることができる。
なお、特別遊技状態とは、例えば、球等の有価価値を有する遊技媒体が遊技者に付与される大当たり状態、特別遊技状態の発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、又は、始動条件の成立が通常状態より容易にされると共に1の動的表示に要する時間が短縮されて特別遊技状態が付与され易い時間短縮状態等が例示される。
遊技機M1又はM2において、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越放出手段によってずらされた特別遊技状態が付与され得る場合に、前記抽選手段によって抽選された付与され得るずらされた特別遊技状態数を記憶する放出数記憶手段を備えていることを特徴とする遊技機M3。特別遊技付与手段は、放出数記憶手段によって、抽選手段において抽選された付与され得るずらされた特別遊技状態数を記憶しておくことができるので、適切な遊技を提供することができる。
遊技機M3において、前記特別遊技付与手段は、前記放出数記憶手段に少なくとも1のずらされた特別遊技状態が記憶されているか否かを判断する記憶判断手段を備え、前記蓄越放出手段は、前記記憶判断手段により前記放出数記憶手段に少なくとも1のずらされた特別遊技状態数が記憶されていると判断された場合に、ずらされた特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機M4。記憶判断手段により、放出数記憶手段に少なくとも1のずらされた特別遊技状態が記憶されているか否かを判断することによって、蓄越放出手段によって付与すべきずらされた特別遊技状態が存在するか否かを認識することができ、適切な遊技の制御を行うことができる。
遊技機M1からM4のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、所定数を計数する第1計数手段と、同じく所定数を計数すると共に前記第1計数手段が所定数を計数した場合に計数される第2計数手段とを備え、前記抽選手段は、前記蓄越放出手段によりずらされた特別遊技状態を付与する場合に、前記第2計数手段の値を前記放出数記憶手段に設定するものであることを特徴とする遊技機M5。第2計数手段の値は、第1計数手段で計数された値が所定数となったときに計数されるように構成されており、抽選手段は、蓄越放出手段によりずらされた特別遊技状態を付与する場合に、第2計数手段の値を放出数記憶手段に設定するように構成されている。よって、第1計数手段で計数される所定数が多ければ多いほど、第2計数手段の値が計数されないように構成されているので、蓄越放出手段によりずらされた特別遊技状態が付与され得る場合に、抽選手段によって抽選される値、即ち、付与され得るずらされた特別遊技状態数に幅を設けて、遊技の興趣を高めることができる。
遊技機M5において、前記第1計数手段又は第2計数手段は、前記記憶手段に記憶されるずらされた特別遊技状態分の値を計数するものであることを特徴とする遊技機M6。第2抽選手段の値は、第1抽選手段に設定された値が所定数になったときに計数されるように構成されている。よって、記憶手段に記憶されている値が多ければ多いほど、第2抽選手段の値が計数されないように構成されているので、蓄越放出手段によるずらされた特別遊技状態が付与される場合に、ずらされた特別遊技状態数が多ければ多いほど遊技者に多くのずらされた特別遊技状態を付与し易くすることができ、遊技者は多くの遊技価値を付与させようと積極的に遊技を行うので、遊技の興趣を向上させると共に、遊技の継続意欲を高めることができる。
遊技機M5又はM6において、前記抽選手段は、前記特別遊技蓄越手段により前記特別遊技状態の付与がずらされ得る毎に、前記記憶手段に記憶されているずらされている特別遊技状態分の値を前記第1計数手段又は第2計数手段へ設定するように構成されていることを特徴とする遊技機M7。抽選手段は、特別遊技蓄越手段によって特別遊技状態の付与がずらされ得る毎に、記憶手段に記憶されている特別遊技状態分の値を第1計数手段又は第2計数手段へ設定する。即ち、特別遊技蓄越手段によって特別遊技状態がずらされた直後は、抽選手段は最も多くのずらされた特別遊技状態を選定するように構成されている。このため、例えば、特別遊技状態の付与がずらされた直後に、ずらされた特別遊技状態を付与され得る状態に当選した場合には、最も有利な遊技価値を遊技者に付与することができる。よって、ずらされた特別遊技状態を付与され得る状態に当選した場合に、特別遊技状態がずらされてから短時間であればあるほど、遊技者にとって有利な遊技価値を付与することができる。従って、新たな遊技性を提供することによって、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機M5からM7のいずれかにおいて、前記抽選手段は、前記第2計数手段の値が所定数に達する毎に、前記記憶手段に記憶されているずらされた特別遊技状態分の値を前記第1計数手段又は第2計数手段へ設定するように構成されていることを特徴とする遊技機M8。抽選手段は、第2計数手段の値が所定数に達する毎に、記憶手段に記憶されている特別遊技状態分の値を第1計数手段又は第2計数手段へ設定する。即ち、第2計数手段が所定数に達した直後は、抽選手段は最も多くのずらされた特別遊技状態を選定するように構成されている。このため、例えば、第2計数手段が所定数に達した直後に、ずらされた特別遊技状態を付与され得る状態に当選した場合には、最も有利な遊技価値を遊技者に付与することができる。よって、ずらされた特別遊技状態を付与され得る状態に当選した場合に、第2計数手段が所定数に達してから短時間であればあるほど、遊技者にとって有利な遊技価値を付与することができる。従って、新たな遊技性を提供することによって、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機M1からM8のいずれかにおいて、前記抽選手段は、1の前記動的表示が行われる毎に前記所定の間隔を選定するものであることを特徴とする遊技機M9。抽選手段は、1の動的表示が行われる毎に、所定の間隔を選定することによって、蓄越放出手段によって付与され得るずらされた特別遊技状態数を異ならせることができるので、遊技者にずらされた特別遊技状態の付与数を認識し難くすることができ、遊技に幅を設けて遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機M1からM8のいずれかにおいて、前記抽選手段は、前記特別遊技付与手段における処理の待ち時間において前記所定の間隔を選定するものであることを特徴とする遊技機M10。抽選手段は、特別遊技付与手段の処理の待ち時間において、所定の間隔を選定することによって、蓄越放出手段によって付与され得るずらされた特別遊技状態数を異ならせることができるので、遊技者にずらされた特別遊技状態の付与数を認識し難くすることができ、遊技に幅を設けて遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機M1からM10のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、ランダムに値を取得する無作為抽出手段を備え、始動条件の成立に基づいて取得された前記無作為抽出手段の値に応じて前記特別遊技状態を付与するものであり、前記無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて前記特別遊技蓄越手段により前記特別遊技状態をずらすものであることを特徴とする遊技機M11。始動条件の成立に基づいて取得された無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて特別遊技蓄越手段によりその特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、遊技者は、確率的に動的表示の回転回数に応じてずらされた特別遊技状態数が多いと判断することで、動的表示の回転数に応じた遊技機の選択を行うことができるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増加させることができる。なお、無作為抽出手段としては、例えば、所定のタイミングで更新される無作為抽出手段(乱数カウンタ)や、ランダムに値を取得することができるICカウンタ等が例示される。
遊技機M1からM11のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記記憶手段に記憶されたずらされた前記特別遊技状態を付与する場合に、前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態が記憶されているか否かを確認する蓄越確認手段を備えていることを特徴とする遊技機M12。蓄越確認手段によって記憶手段にずらされた特別遊技状態が記憶されているか否かを確認することができるので、記憶手段にずらされた特別遊技状態が記憶されていない場合に蓄越放出手段によるずらされた特別遊技状態の付与等の不適切な処理を未然に防ぐことができるので、適切な遊技を提供することができる。
遊技機M1からM12のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記特別遊技蓄越手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第1所定条件に応じて前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機M13。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第1所定条件に応じて特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機M13において、前記特別遊技付与手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機M14。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機M1からM14のいずれかにおいて、前記識別情報は、前記特別遊技状態をずらす蓄越識別情報と、前記記憶手段に記憶された少なくとも1の前記特別遊技状態を付与させる放出識別情報と、前記特別遊技状態を付与させる単発識別情報とを備え、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越識別情報、放出識別情報及び単発識別情報により前記動的表示を行うものであることを特徴とする遊技機M15。識別情報の種類により付与される遊技状態を異ならせることによって、動的表示のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機M1からM15のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機M16。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。また、従来のスロットマシンは、例えば、特別遊技状態を取得した場合、目押し等の遊技者の技量に応じてその特別遊技状態を遊技者に付与していた。しかしながら、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機にスロットマシンを用いると、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量が必要となる。よって、ただでさえ特別遊技状態をずらすという行為によって意図的に射倖性を高めているにもかかわらず、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量を求めることによって、不慣れな遊技者に多大な負担を与えて射倖性を高めてしまい、遊技機における適切な射倖性が維持できなくなってしまう。このため、遊技者はその遊技機における遊技を敬遠しがちになってしまい、遊技場の利益が減少してしまうという問題点があった。一方、パチンコ遊技機は、特別遊技状態に当選した場合、遊技者の技量如何にかかわらず、一義的に遊技者の特別遊技状態を付与することができる。よって、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機において、パチンコ遊技機を用いることによって、例えば、特別遊技状態を取得した場合に、遊技者の技量にかかわらず特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、不慣れな遊技者が遊技を行う場合でも、特別遊技状態に当選した場合には一義的に特別遊技状態を付与することができるので、適度な射倖性を維持しつつ、新たな遊技性による興趣を遊技者に提供することができる。
遊技機M1からM15のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機M17。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機M1からM15のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機M18。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
次に、図88から図91を参照して、第16実施例のパチンコ機Pについて説明する。第1実施例のパチンコ機Pでは、放出図柄での大当たりが発生した場合、蓄越カウンタ13eに少なくとも1のずらされている大当たりが記憶されていれば、蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たりをすべて付与していた。しかし、ずらされている大当たりを1の放出図柄での大当たりですべて付与してしまうと、遊技性が単調になってしまい、遊技者は、大当たりをずらすことができるパチンコ機によって本来得られるはずの興趣を得ることができないといった問題点があった。
また、1の放出図柄での大当たりで、ずらされていた大当たりをすべて付与してしまうと、放出図柄での大当たり後にずらされた大当たりがなくなってしまう。よって、遊技者は、1の放出図柄での大当たりが付与された場合に、蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たりを付与された後は、そのパチンコ機Pで得られる遊技価値が低下したと判断し易くなり、遊技者の遊技の継続意欲が薄れて、そのパチンコ機Pでの遊技を敬遠又は中断してしまうといった問題点があった。
そこで、第16実施例のパチンコ機Pでは、ずらされている大当たりを付与する場合、即ち、放出図柄での大当たりが発生した場合に、その時点で蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たり数に応じて、付与され得るずらされた大当たり数を決定する。よって、放出図柄での大当たりが発生する毎に、遊技者に付与され得るずらされた大当たり数を多様化することができるので、遊技者にずらされた大当たりの付与数、又は、ずらされている大当たり数を認識し難くすることができ、遊技に幅を設けて遊技の興趣を向上させることができる。
また、第16実施例のパチンコ機Pでは、放出図柄での大当たりが発生して、蓄越カウンタ13eの値に応じてずらされている大当たりを付与する場合に、ずらされた大当たりを付与した後もずらされている大当たりが残るように、即ち、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上になるように構成されている(ただし、放出図柄での大当たりが発生した時点において、蓄越カウンタ13eの値が「1」であった場合を除く)。よって、1の放出図柄での大当たりにおけるずらされた大当たりの付与後も少なくとも1のずらされた大当たりを残して(記憶して)おくことができる。従って、ほぼ常時、蓄越カウンタ13eにずらされた大当たりを記憶させておくことができるので、新たな遊技性を損なうことなく、遊技者に積極的に遊技を行わせることができ、遊技の興趣を向上させると共に遊技者の遊技の継続意欲を高めることができる。
なお、第16実施例の説明で用いる図面は、図1、図3、図4、図5、図6、図7、図78、図87、図88、図89、図90及び図91であるが、上記のいずれかの実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図88は、第16実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第16実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのRAM13には、放出数メモリ13Eeが設けられている。
放出数メモリ13Eeは、蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たりを付与し得る場合に、遊技者に付与する大当たり数を記憶しておくためのメモリである。この放出数メモリ13Eeの値は、放出図柄で大当たりが発生した場合に、後述する放出数決定処理(図91参照)によって、蓄越カウンタ13eに記憶されている値に応じて加算される。一方、1のずらされた大当たりが付与される場合に、蓄越カウンタ13eの値と共に「1」減算される。第16実施例のパチンコ機Pでは、1の始動入賞における変動表示において、放出数メモリ13Eeに加算された値が「0」になるまで、放出選択処理(図87参照)を繰り返し実行し、放出数メモリ13Eeに加算された値分と同等数のずらされた大当たりを付与するように構成されている。
次に、図89を参照して、第16実施例の主制御基板Cで行われる保留球カウンタ減算処理について説明する。図89は、第16実施例の保留球カウンタ減算処理のフローチャートである。
保留球カウンタ減算処理では、まず、変動表示中か否か、即ち、変動表示が終了しているか否かを確認する(S751)。確認の結果、変動表示中であれば(S751:Yes)、この保留球カウンタ減算処理を終了する。一方、変動表示中でなければ(S751:No)、次に、大当たり中であるか否かを確認する(S702)。大当たり中であれば(S752:Yes)、この保留球カウンタ減算処理を終了する一方、大当たり中でなければ(S752:No)、保留球カウンタ13iの値が「1」以上であるか否かを確認し(S753)、保留球カウンタ13iの値が「1」以上であれば(S753:Yes)、処理をS754へ移行する。なお、保留球カウンタ13iの値が「1」未満、即ち、「0」であれば(S753:No)、図柄回転1〜4メモリ13k〜13nに変動表示のデータは記憶されていないということなので、この保留球カウンタ減算処理を終了する。
S754の処理では、保留球カウンタ13iの値から「1」減算して(S754)、図柄回転1メモリ13kに記憶されている変動表示のデータを図柄回転実行エリア13jに書き込み(S755)、図柄回転2〜4メモリ13l〜13nに記憶されている変動表示のデータをそれぞれ1つずつ小さい図柄回転1〜3メモリ13k〜13mへシフトする(S756)。次に、放出数メモリ13Eeの値が「0」か否か、即ち、ずらされている大当たりが付与されるか否かを確認する(S757)。確認の結果、放出数メモリ13Eeの値が「0」であれば(S757:No)、処理をS758の通常選択処理(S758)を実行し、この保留球カウンタ減算処理を終了する。一方、放出数メモリ13Eeの値が「0」でなければ(S757:No)、放出数メモリ13Eeに記憶されている値分のずらされている大当たりを付与するために放出選択処理(S759、図87参照)を実行し、この保留球カウンタ減算処理を終了する。
図90は、第16実施例の属性選択処理(S652)を示したフローチャートである。この属性選択処理は、通常選択処理(図89、S758参照)において図柄回転実行エリア13jに記憶されるデータが大当たりを発生する値、即ち、無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合に実行される。また、この属性選択処理は、放出選択処理(図87参照)において図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータが大当たりを発生する値、即ち、無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合においても同様に実行されるものである。
この属性選択処理(S652)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」のいずれかであるか否かを確認する(S761)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合には(S761:Yes)、次に、放出数メモリ13Eeの値が「1」以上か否かを確認し(S762)、この蓄越図柄での大当たりが放出選択処理(図87参照)で発生したか否かを確認する。放出数メモリ13Eeの値が「1」以上でなければ、即ち、放出数メモリ13Eeの値が「0」であれば(S762:No)、放出選択処理内における蓄越図柄での大当たりではないので、その蓄越図柄での大当たりの付与をずらすべく蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S763)、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を特定の図柄(例えば、ハズレ図柄)に設定し(S764)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを特定の変動パターン(例えば、ハズレの変動パターン)に設定して(S765)、この属性選択処理を終了する。
なお、S762の処理において、放出数メモリ13Eeの値が「1」以上であれば(S762:Yes)、放出選択処理内における蓄越図柄での大当たりであるので、その大当たりをずらすことなく遊技者に付与するために、処理をS768へ移行する。S768からの処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定して(S768)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S769)、この属性選択処理(S652)を終了する。
一方、S761の処理において、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値でない場合には(S761:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「7」であるか否かを確認する(S766)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であった場合には(S766:Yes)、図91に示す放出数決定処理を行う(S767)。一方、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値でない場合、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄を選択する「1」、「3」、「5」又は「9」のいずれかの値であった場合には(S766:No)、S767の処理をスキップして、処理をS768の処理へと移行する。
図91は、放出数決定処理(S767)を示したフローチャートである。この放出数決定処理では、蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たり数に応じて、付与され得るずらされた大当たり数を決定する。よって、放出図柄での大当たりが発生する毎に、遊技者に付与され得るずらされた大当たり数を多様化することができるので、遊技者にずらされた大当たりの付与数、又は、ずらされている大当たり数を認識し難くすることができ、遊技に幅を設けて遊技の興趣を向上させることができる。また、放出図柄での大当たりにおけるずらされた大当たりの付与後も少なくとも1のずらされた大当たりを残して(記憶して)おくことができるように構成する。従って、ほぼ常時、蓄越カウンタ13eにずらされた大当たりを記憶させておくことができるので、新たな遊技性を損なうことなく、遊技者に積極的に遊技を行わせることができ、遊技の興趣を向上させると共に遊技者の遊技の継続意欲を高めることができる。
この放出数決定処理(S767)では、まず、蓄越カウンタ13eの値は「0」であるか否かを確認する(S771)。蓄越カウンタ13eの値が「0」である場合には(S711:Yes)、ずらされた大当たりが存在しないので、この放出数決定処理を終了する。一方、蓄越カウンタ13eの値が「0」でない場合は(S711:No)、ずらされた大当たりが存在するので、付与すべきずらされた大当たり数を決定するために、蓄越カウンタ13eの値が「10」以上であるか否かを確認する(S772)。確認の結果、蓄越カウンタ13eの値が「10」以上である場合は(S772:Yes)、放出数メモリ13Eeの値に「5」を加算して(S773)、この放出数決定処理を終了する。
一方、S772の処理において、蓄越カウンタ13eの値が「10」以上でなければ(S772:No)、次に、蓄越カウンタ13eが「5」以上であるか否かを確認する(S774)。蓄越カウンタ13eの値が「5」以上であれば(S774:Yes)、放出数カウンタ13Eeの値に「3」を加算して(S775)、この放出数決定処理を終了する。一方、蓄越カウンタ13eの値が「5」以上でなければ(S774:No)、放出数メモリ13Eeの値に「1」を加算して(S776)、この放出数決定処理を終了する。放出数決定処理の終了後は、図90に戻って、処理をS768へ移行する。
以上説明したように、第16実施例のパチンコ機Pでは、ずらされている大当たりを付与する場合、即ち、放出図柄での大当たりが発生した場合に、その時点で蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たり数に応じて、付与され得るずらされた大当たり数を決定する。よって、放出図柄での大当たりが発生する毎に、遊技者に付与され得るずらされた大当たり数を多様化することができるので、遊技者にずらされた大当たりの付与数、又は、ずらされている大当たり数を認識し難くすることができ、遊技に幅を設けて遊技の興趣を向上させることができる。
また、第16実施例のパチンコ機Pでは、放出図柄での大当たりが発生して、蓄越カウンタ13eの値に応じてずらされている大当たりを付与する場合に、ずらされた大当たりを付与した後もずらされている大当たりが残るように、即ち、蓄越カウンタ13eの値が「1」以上になるように構成されている(ただし、放出図柄での大当たりが発生した時点において、蓄越カウンタ13eの値が「1」であった場合を除く)。よって、1の放出図柄での大当たりにおけるずらされた大当たりの付与後も少なくとも1のずらされた大当たりを残して(記憶して)おくことができる。従って、ほぼ常時、蓄越カウンタ13eにずらされた大当たりを記憶させておくことができるので、新たな遊技性を損なうことなく、遊技者に積極的に遊技を行わせることができ、遊技の興趣を向上させると共に遊技者の遊技の継続意欲を高めることができる。
更に、蓄越カウンタ13eに記憶されている値が多ければ多いほど、放出図柄での大当たりが発生した場合に遊技者に付与し得る大当たり数が多くなるように構成されているので、大当たりがずらされればずらされる程、新たな遊技性が際立ち、遊技の興趣を向上させることができる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
以下に第16実施例の変形例を示す。識別情報等を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段により遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記動的実行手段によって前記表示装置に前記識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に特別遊技状態を発生させる特別遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技状態が発生し得る場合に、第1所定条件に応じてその特別遊技状態の付与をずらす特別遊技蓄越手段と、その特別遊技蓄越手段によってずらされた特別遊技状態数を記憶する記憶手段と、その記憶手段に記憶されるずらされた少なくとも1の特別遊技状態を第2所定条件に応じて付与する蓄越放出手段とを備え、前記蓄越放出手段は、前記記憶手段に記憶されているずらされた特別遊技状態数に応じて決定されたずらされている特別遊技状態数を付与するものであることを特徴とする遊技機N1。従来、パチンコ機等の遊技機においては、様々なバリエーションの変動表示ゲームが行われるものが主流である。この変動表示ゲームは、表示装置(例えば、LCD)に複数個の図柄を表示し、所定の遊技条件に基づいてその複数個の図柄をスクロールして変動させるものである。そして、図柄のスクロールが停止した際に(所定の停止位置に応じて)、停止図柄が予め定められた組み合わせとなっている場合に、遊技の状態を遊技者にとって有利な遊技状態(例えば、大当たり)とするものである。しかしながら、この変動表示ゲームは、1回の変動表示でゲームが完結しているため、遊技性が断続的であると共に単調且つ均一であり、遊技者は同じ遊技機においてそれまでの遊技結果に応じて遊技を継続して行っても興趣を得ることができないといった問題点があった。そこで、蓄越放出手段は、ずらされた特別遊技状態を付与し得る場合に、記憶手段に記憶されているずらされた特別遊技状態数に応じて決定されたずらされた特別遊技状態数を付与することができる。よって、蓄越放出手段によるずらされた特別遊技状態の付与が発生する毎に、付与され得るずらされた特別遊技状態数を多様化することができるので、遊技者にずらされた特別遊技状態の付与数、又は、ずらされた特別遊技状態数を認識し難くすることができ、遊技に幅を設けて遊技の興趣を向上させることができる。なお、第1所定条件、又は、第2所定条件とは、例えば、1の所定のカウンタの値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の変動回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。なお、特別遊技状態の付与をずらすとは、例えば、特別遊技状態の付与を保留させること、特別遊技状態の付与を待機させること、或いは、特別遊技状態の付与を遅延させること等が例示される。
遊技機N1において、前記特別遊技付与手段は、前記記憶手段に記憶されるずらされた特別遊技状態数を計数する計数手段と、その計数手段によって計数された値に応じて、前記蓄越放出手段により付与され得るずらされている特別遊技状態数を決定する放出数決定手段とを備えていることを特徴とする遊技機N2。特別遊技付与手段は、ずらされている特別遊技状態を付与し得る場合に、計数手段によって計数された値に応じて、放出数決定手段によって蓄越放出手段により付与され得るずらされている特別遊技状態数を決定する。よって、付与され得るずらされている特別遊技状態数を、それまでのずらされていた特別遊技状態数で決定することができるので、特別遊技状態をずらすという遊技性に適った遊技を遊技者に提供することができる。
なお、特別遊技状態とは、例えば、球等の有価価値を有する遊技媒体が遊技者に付与される大当たり状態、特別遊技状態の発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、又は、始動条件の成立が通常状態より容易にされると共に1の動的表示に要する時間が短縮されて特別遊技状態が付与され易い時間短縮状態等が例示される。
遊技機N1又はN2において、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越放出手段によってずらされた特別遊技状態が付与され得る場合に、前記放出数決定手段により決定された付与され得るずらされた特別遊技状態数を記憶する放出数記憶手段を備えていることを特徴とする遊技機N3。特別遊技付与手段は、放出数記憶手段によって、放出数決定手段により決定された付与され得るずらされた特別遊技状態数を記憶しておくことができるので、適切な遊技を提供することができる。
遊技機N3において、前記特別遊技付与手段は、前記計数手段によって計数された前記記憶手段の値が第1所定値であるか否かを判断する第1判断手段を備え、前記放出数決定手段は、前記第1判断手段によって前記計数手段により計数された値が第1所定値であると判断された場合に、前記第1所定値よりも小さい値である第2所定値を決定するものであることを特徴とする遊技機N4。従来、蓄越放出手段によりずらされた特別遊技状態を付与する場合に、ずらされている特別遊技状態をすべて付与してしまうと、1の蓄越放出手段によるずらされた特別遊技状態の付与後にずらされた特別遊技状態がなくなってしまう。よって、遊技者は、1の蓄越放出手段によるずらされた特別遊技状態の付与が行われた場合に、その遊技機で得られる遊技価値が低下したと判断し易くなり、遊技者の遊技の継続意欲が薄れて、その遊技機での遊技を敬遠又は中断してしまうといった問題点があった。そこで、放出数決定手段は、第1判断手段によって計数手段により計数された値が第1所定値であると判断された場合に、第1所定値よりも小さい値である第2所定値を決定し、その第2所定値を放出数記憶手段に記憶する。即ち、ずらされた特別遊技状態を付与し得る場合に、ずらされた特別遊技状態を付与し終えた後における記憶手段に、少なくとも1のずらされた特別遊技状態を記憶させるように構成する(ただし、ずらされた特別遊技状態を付与し得る場合に、記憶手段に記憶されているずらされた特別遊技状態が「1」の場合は除く)。よって、1の蓄越放出手段におけるずらされた特別遊技状態の付与後も少なくとも1のずらされた特別遊技状態を残しておくことができる。従って、ほぼ常時、記憶手段にずらされた特別遊技状態を記憶させておくことができるので、新たな遊技性を損なうことなく、遊技者に積極的に遊技を行わせることができ、遊技の興趣を向上させると共に遊技者の遊技の継続意欲を高めることができる。
遊技機N4において、前記第2所定値は、前記第1所定値の略半分以下であることを特徴とする遊技機N5。ずらされた特別遊技状態を付与し得る場合に、遊技者に付与するずらされた特別遊技状態数を、記憶手段に記憶されている第1所定値の略半分以下である第2所定値になるように構成する。即ち、1の蓄越放出手段によるずらされた特別遊技状態の付与数は、記憶手段に記憶されている値の略半分以下になるように構成することができるので、1の蓄越放出手段によるずらされた特別遊技状態の付与後における記憶手段に、少なくとも第1所定値の略半分の値を記憶しておくことができる。言い換えれば、1の蓄越放出手段におけるずらされた特別遊技状態の付与後も少なくとも第1所定値の略半分のずらされた特別遊技状態を残しておくことができる。よって、記憶手段に記憶されているずらされた特別遊技状態の大幅な減算を防ぐことができ、ほぼ常時、記憶手段にずらされた特別遊技状態を記憶させておくことができる。従って、新たな遊技性を損なうことなく、遊技者に積極的に遊技を行わせることができ、遊技の興趣を向上させると共に遊技者の遊技の継続意欲を高めることができる。
遊技機N2からN5のいずれかにおいて、前記放出数決定手段は、前記計数手段によって前記記憶手段に記憶されているずらされた前記特別遊技状態数が第1所定値である場合には第2所定値を決定し、前記計数手段によって前記記憶手段に記憶されているずらされた前記特別遊技状態数が第3所定値である場合には第4所定値を決定するように構成されており、前記第3所定値は、前記第1所定値より大きい値であると共に、前記第4所定値は、前記第2所定値より大きい値であることを特徴とする遊技機N6。記憶手段に記憶されている値が多ければ多いほど遊技者に多くの特別遊技状態を付与することができるように構成されているので、特別遊技状態がずらされればずらされる程、新たな遊技性が際立ち、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機N1からN6のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、ランダムに値を取得する無作為抽出手段を備え、始動条件の成立に基づいて取得された前記無作為抽出手段の値に応じて前記特別遊技状態を付与するものであり、前記無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて前記特別遊技蓄越手段により前記特別遊技状態をずらすものであることを特徴とする遊技機N7。始動条件の成立に基づいて取得された無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて特別遊技蓄越手段によりその特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、遊技者は、確率的に動的表示の回転回数に応じてずらされた特別遊技状態数が多いと判断することで、動的表示の回転数に応じた遊技機の選択を行うことができるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増加させることができる。なお、無作為抽出手段としては、例えば、所定のタイミングで更新される無作為抽出手段(乱数カウンタ)や、ランダムに値を取得することができるICカウンタ等が例示される。
遊技機N1からN7のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記記憶手段に記憶されたずらされた前記特別遊技状態を付与する場合に、前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態が記憶されているか否かを確認する蓄越確認手段を備えていることを特徴とする遊技機N8。蓄越確認手段によって記憶手段にずらされた特別遊技状態が記憶されているか否かを確認することができるので、記憶手段にずらされた特別遊技状態が記憶されていない場合に蓄越放出手段によるずらされた特別遊技状態の付与等の不適切な処理を未然に防ぐことができるので、適切な遊技を提供することができる。
遊技機N1からN8のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記特別遊技蓄越手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第1所定条件に応じて前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機N9。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第1所定条件に応じて特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機N9において、前記特別遊技付与手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機N10。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機N1からN10のいずれかにおいて、前記識別情報は、前記特別遊技状態をずらす蓄越識別情報と、前記記憶手段に記憶された少なくとも1の前記特別遊技状態を付与させる放出識別情報と、前記特別遊技状態を付与させる単発識別情報とを備え、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越識別情報、放出識別情報及び単発識別情報により前記動的表示を行うものであることを特徴とする遊技機N11。識別情報の種類により付与される遊技状態を異ならせることによって、動的表示のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機N1からN11のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機N12。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。また、従来のスロットマシンは、例えば、特別遊技状態を取得した場合、目押し等の遊技者の技量に応じてその特別遊技状態を遊技者に付与していた。しかしながら、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機にスロットマシンを用いると、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量が必要となる。よって、ただでさえ特別遊技状態をずらすという行為によって意図的に射倖性を高めているにもかかわらず、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量を求めることによって、不慣れな遊技者に多大な負担を与えて射倖性を高めてしまい、遊技機における適切な射倖性が維持できなくなってしまう。このため、遊技者はその遊技機における遊技を敬遠しがちになってしまい、遊技場の利益が減少してしまうという問題点があった。一方、パチンコ遊技機は、特別遊技状態に当選した場合、遊技者の技量如何にかかわらず、一義的に遊技者の特別遊技状態を付与することができる。よって、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機において、パチンコ遊技機を用いることによって、例えば、特別遊技状態を取得した場合に、遊技者の技量にかかわらず特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、不慣れな遊技者が遊技を行う場合でも、特別遊技状態に当選した場合には一義的に特別遊技状態を付与することができるので、適度な射倖性を維持しつつ、新たな遊技性による興趣を遊技者に提供することができる。
遊技機N1からN11のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機N13。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機N1からN11のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機N14。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
次に、図92から図95を参照して、本発明の第19−1実施例について説明する。第19−1実施例のパチンコ機Pでは、大当たりの付与がずらされる場合、即ち、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であると共に、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を示す値であった場合に、大当たりの付与がずらされ得ることを示唆するために、蓄越ランプ24を点灯するように構成する。
従来、大当たりの付与をずらすことができるパチンコ機Pにおいて、大当たりの付与がずらされ得る場合に、その旨を示唆せずに遊技を継続してしまうと、遊技者は、大当たりに当選しているにもかかわらずその付与がずらされているのか、大当たりに当選していないのかの判別を行うことができず、遊技の継続意欲が薄れ、そのパチンコ機での遊技を敬遠又は中断してしまうといった問題点があった。そこで、大当たりがずらされ得る場合に、蓄越ランプ24を点灯することによって、遊技者に大当たりがずらされたことを示唆することができる。よって、遊技者に大当たりがずらされたことを認識させることができ、そのずらされた大当たりを付与させようと積極的に遊技を行わせることができる。従って、新たな遊技性を損なうことなく、遊技者に積極的に遊技を行わせることができるので、遊技の興趣を向上させると共に遊技者の遊技の継続意欲を高めることができる。
なお、第19−1実施例の説明で用いる図面は、図1、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図10、図11、図92、図93、図94及び図95であるが、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図92は、第19−1実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第19−1実施例の表示用制御基板Dは、ROM32及びRAM33を内蔵したMPU31と、ビデオRAM34と、キャラクタROM35と、画像コントローラ36、入出力ポート37と、出力ポート39と、LCD3とを備えている。表示用制御基板DのMPU31は、主制御基板Cから出力される動作コマンドに応じて、LCD3の表示制御(変動表示)を行うものであり、ROM32には、このMPU31により実行されるプログラムが記憶されている。RAM33は、MPU31によるプログラムの実行時に使用されるワークデータが記憶されるメモリであり、変動実行エリア33aが設けられている。
変動実行エリア33aは、主制御基板Cから送信される変動表示のデータ(制御用コマンド)を記憶しておくためのメモリである。なお、この変動実行エリア33aに記憶される制御用コマンドは、主に、変動パターン指定コマンド、停止図柄指定コマンド、全図柄停止コマンドによって構成されている。
変動パターン指定コマンドは、変動表示を開始させると共に、変動表示の開始から終了までの一連の変動パターンを指定するためのコマンドである。停止図柄指定コマンドは、前記した変動パターン指定コマンドで指定された変動パターンの変動表示の終了時に、LCD3の各表示領域にそれぞれ停止表示される図柄を指定するためのコマンドである。全図柄停止コマンドは、変動パターン指定コマンド及び停止図柄指定コマンドで指定した変動パターン及び停止図柄をLCD3に停止表示(確定表示)させるためのコマンドである。
ビデオRAM34は、LCD3に表示されるデータが記憶されるメモリであり、このビデオRAM34の内容を書き換えることにより、LCD3の表示内容が変更される。即ち、各表示領域における図柄の変動表示は、ビデオRAM34内容が書き換えられることにより行われる。キャラクタROM35は、LCD3に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。画像コントローラ36は、MPU31、ビデオRAM34、入出力ポート37、出力ポート39のそれぞれのタイミングを調整して、データの読み書きを介在すると共に、ビデオRAM34に記憶される表示データをキャラクタROM35を参照して所定のタイミングでLCD3に表示させるものである。
表示用制御基板Dの入出力ポート37は、音声及びランプ制御基板Lに接続されている。音声及びランプ制御基板Lは、スピーカ22から効果音の出力制御と、ランプ23及び蓄越ランプ24等の点灯制御とを行うものであり、この音声及びランプ制御基板Lは、表示用制御基板Dから送信されるコマンドによって制御される。
蓄越ランプ24は、大当たりの付与がずらされたことを示すためのランプであり、大当たりの付与がずらされた場合、即ち、LCD3で行われる変動表示において、停止図柄が「3」、「4」、「1」であった場合に、その変動表示が行われている間、点灯されるように構成されている。具体的に説明すると、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ「3」、「4」、「1」を停止表示とする変動表示のデータが送信されるのは、大当たりの付与がずらされた場合にのみ送信されるように構成されている(図93及び図94参照)。従って、表示用制御基板Dの変動実行エリア33aに記憶される変動表示の停止図柄が「3」、「4」、「1」であると判断された場合に、表示用制御基板Dは、音声及びランプ制御基板Lを介して、蓄越ランプ24を点灯させるのである。
次に、図93及び図94を参照して、第19−1実施例の主制御基板Cで行われる処理について説明する。図93は、第19−1実施例の通常選択処理(S648(又はS68))のフローチャートである。第19−1実施例の通常選択処理では、通常のハズレ状態において、LCD3における変動表示の停止図柄に「3」、「4」、「1」の停止図柄が現出しないように構成されている。
第19−1実施例の通常選択処理(S648)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶されている無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であるか否かを確認する(S651)。確認の結果、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値でなければ(S651:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示の停止図柄は「3」、「4」、「1」か否かを確認する(S781)。図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄が「3」、「4」、「1」であれば(S781:Yes)、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を「3」、「4」、「2」に設定(変更)して(S782)、ハズレリーチやハズレの変動パターン等を設定する各処理を行い(S783)、この通常選択処理を終了する。よって、通常のハズレの停止図柄として、「3」、「4」、「1」の停止図柄を現出させないようにすることができる。一方、S781の処理において、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄が「3」、「4」、「1」でなければ(S781:No)、停止図柄を変更する必要がないので、S782の処理をスキップして、処理をS783へ移行する。なお、S651の処理において、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合には(S651:Yes)、属性選択処理を行う(S652)。
図94は、第19−1実施例の属性選択処理(S652)を示したフローチャートである。この属性選択処理では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」のいずれかであるか否かを確認する(S791)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合には(S791:Yes)、その蓄越図柄での大当たりの付与をずらすべく蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S792)、LCD3に表示される停止図柄によって大当たりがずらされたことを遊技者に示唆するべく図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を「3」、「4」、「1」に設定し(S793)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを特定の変動パターン(例えば、ハズレの変動パターン)に設定して(S794)、この属性選択処理を終了する。
一方、S791の処理において、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値でない場合には(S791:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「7」であるか否かを確認する(S795)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であった場合には(S795:Yes)、放出フラグ13hをオンして(S796)、処理をS797へ移行する。一方、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値でない場合、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄を選択する「1」、「3」、「5」又は「9」のいずれかの値であった場合には(S795:No)、S796の処理をスキップして、処理をS797の処理へと移行する。
S797の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定して(S797)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S798)、この属性選択処理を終了する。
次に、図95を参照して、第19−1実施例の表示用制御基板Dで行われる処理について説明する。図95は、表示用制御基板Dで実行される蓄越ランプ点灯処理(S800)のフローチャートである。この蓄越ランプ点灯処理は、主制御基板Cから受信した変動表示のデータの停止図柄が「3」、「4」、「1」である場合に、音声及びランプ制御基板Lを介して蓄越ランプ24を点灯するための処理である。第19−1実施例のパチンコ機Pにおいて、表示用制御基板Dは、主制御基板Cから大当たりがずらされたことを示すコマンド等が出力されなくとも、主制御基板Cから送信される変動表示のデータが予め定められた所定値(本実施例では、「3」、「4」、「1」の停止図柄)であるか否かを判断することによって、大当たりがずらされたことを示すコマンド等を設定しなくとも表示用制御基板Dは大当たりがずらされたことを認識することができるので、コマンドの種類を削減して、処理が煩雑になることを防止することができる。
この蓄越ランプ点灯処理では、まず、主制御基板Cから変動表示のデータを受信したか否かを確認する(S801)。確認の結果、主制御基板Cから変動表示のデータを受信していれば(S801:Yes)、受信した変動表示のデータを変動実行エリア33aに書き込み(S802)、次に、その変動実行エリア33aに記憶された停止図柄は「3」、「4」、「1」であるか否かを確認する(S803)。変動実行エリア33aに記憶された停止図柄が「3」、「4」、「1」であれば(S803:Yes)、その変動表示において大当たりの付与がずらされたということであるので、音声及びランプ制御基板Lを介して蓄越ランプ24を点灯し(S804)、その他の変動制御等を行う各処理を行い(S806)、この蓄越ランプ点灯処理を終了する。なお、S803の処理において、変動実行エリア33aに記憶される停止図柄が「3」、「4」、「1」でない場合は(S803:No)、大当たりがずらされてはいないので、音声及びランプ制御基板Lを介して蓄越ランプ24を消灯して(S805)、処理をS806へ移行する。また、S801の処理において、主制御基板Cから変動表示のデータを受信していなければ(S801:No)、S802〜S805の処理をスキップして、処理をS806へ移行する。
以上説明したように、第19−1実施例のパチンコ機Pによれば、通常状態のハズレの停止図柄で「3」、「4」、「1」の停止図柄が現出し得ないように構成する一方、大当たりの付与がずらされた場合に、その変動表示における停止図柄としてLCD3に「3」、「4」、「1」の停止図柄を表示すると共に、蓄越ランプ24を点灯するように構成する。よって、遊技者に大当たりがずらされたことを示唆することができ、遊技者に大当たりがずらされたことを認識させることができ、そのずらされた大当たりを付与させようと積極的に遊技を行わせることができる。従って、新たな遊技性を損なうことなく、遊技者に積極的に遊技を行わせることができるので、遊技の興趣を向上させると共に遊技者の遊技の継続意欲を高めることができる。
次に、図96及び図97を参照して、本発明の第19−2実施例について説明する。第19−1実施例のパチンコ機Pでは、通常状態のハズレの停止図柄で「3」、「4」、「1」の停止図柄が現出し得ないように構成する一方、大当たりの付与がずらされ得る場合に、その変動表示における停止図柄としてLCD3に「3」、「4」、「1」の停止図柄を表示すると共に、蓄越ランプ24を点灯して、遊技者に大当たりがずらされたことを示唆していた。これに代えて、第19−2実施例のパチンコ機Pでは、通常状態のハズレの停止図柄で「7」の図柄によるリーチ状態が現出し得ないように構成する一方、大当たりの付与がずらされ得る場合に、その変動表示における停止図柄としてLCD3に「7」の図柄によるリーチ状態を現出して、遊技者に大当たりがずらされたことを示唆するように構成する。
従来、遊技者に遊技価値を付与する期待度が高い、又は、付与する遊技価値が高い示唆表示(予告表示)が現出したにもかかわらず、その示唆表示が虚偽表示(所謂、ガセ表示)であった場合、遊技者は落胆してしまいそのパチンコ機において遊技の継続意欲が薄れ、遊技を中断してしまうといった問題点があった。そこで、大当たりの付与がずらされる場合に、LCD3にずらされた大当たりが付与される放出図柄での大当たりを示唆するリーチ表示を現出するように構成する。放出図柄での大当たりは、放出図柄での大当たりを示唆するリーチ表示から発展するものであるので、遊技者はLCD3に放出図柄での大当たりを示唆するリーチ表示が発展して大当たりとならずに遊技価値が付与されなくとも、放出図柄での大当たりを示唆するリーチ表示によって大当たりの付与がずらされ得ることを推察することができる。従って、ずらされた大当たりが付与され得る放出図柄での大当たりを示唆するリーチ表示が虚偽表示であったとしても、大当たりの付与がずらされたことを遊技者に推察させることによって落胆を防止することができると共に、ずらされた大当たりを付与させようと積極的に遊技を行わせることができ、遊技の興趣を向上させることができるので、遊技を継続させることができる。
また、通常状態のハズレの停止図柄に「7」の図柄によるリーチ表示を現出させないように構成することによって、大当たりの付与がずらされ得る状態、又は、ずらされた大当たりが付与され得る状態以外で放出図柄での大当たりを示唆するリーチ表示が現出しないように構成することができる。従って、LCD3に放出図柄での大当たりを示唆するリーチ表示が現出した場合には、ずらされている大当たりが付与されるか、大当たりの付与がずらされるかのいずれかであることを遊技者に認識させることができ、1の演出に重み付けができ、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、第19−2実施例の説明で用いる図面は、図1、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図10、図11、図92、図96及び図97であるが、第19−1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図96は、第19−2実施例の通常選択処理を示したフローチャートである。第19−2実施例の通常選択処理(S648)では、通常のハズレ状態において、LCD3における変動表示の停止図柄に「7」の図柄によるリーチ表示の停止図柄が現出しないように構成されている。
第19−2実施例の通常選択処理(S648)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶されている無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であるか否かを確認する(S651)。確認の結果、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値でなければ(S651:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示の停止図柄は「7」のハズレリーチで現出し得る停止図柄(例えば、「7」、「7」、「6」の停止図柄)か否かを確認する(S811)。図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンが「7」のハズレリーチで現出し得る停止図柄であれば(S811:Yes)、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を「6」のハズレリーチで現出し得る停止図柄に設定(変更)して(S812)、ハズレリーチやハズレの変動パターン等を設定する各処理を行い(S813)、この通常選択処理を終了する。よって、通常のハズレの停止図柄として、「7」のハズレリーチで現出し得る停止図柄を現出させないようにすることができる。一方、S811の処理において、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄が「7」のハズレリーチで現出し得る停止図柄でなければ(S811:No)、停止図柄を変更する必要がないので、S812の処理をスキップして、処理をS813へ移行する。なお、S651の処理において、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合には(S651:Yes)、属性選択処理を行う(S652)。
図97は、第19−2実施例の属性選択処理(S652)を示したフローチャートである。この属性選択処理では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」のいずれかであるか否かを確認する(S821)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合には(S821:Yes)、その蓄越図柄での大当たりの付与をずらすべく蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S822)、LCD3に表示される停止図柄によって大当たりがずらされたことを遊技者に示唆するべく図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄を「7」のハズレリーチで現出し得る停止図柄(例えば、「7」、「7」、「6」)に設定し(S823)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを「7」の図柄によるハズレリーチの変動パターンに設定して(S824)、この属性選択処理を終了する。
一方、S821の処理において、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値でない場合には(S821:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「7」であるか否かを確認する(S825)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であった場合には(S825:Yes)、放出フラグ13hをオンして(S826)、処理をS827へ移行する。一方、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値でない場合、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄を選択する「1」、「3」、「5」又は「9」のいずれかの値であった場合には(S825:No)、S826の処理をスキップして、処理をS827の処理へと移行する。
S827の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定して(S827)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S828)、この属性選択処理を終了する。
以上説明したように、第19−2実施例のパチンコ機Pによれば、通常状態のハズレの停止図柄で「7」のハズレリーチで現出し得る停止図柄が現出し得ないように構成する一方、大当たりの付与がずらされた場合に、その変動表示における停止図柄としてLCD3に「7」のハズレリーチで現出し得る停止図柄を表示するように構成する。よって、ずらされた大当たりが付与され得る放出図柄での大当たりを示唆するリーチ表示が虚偽表示であったとしても、大当たりの付与がずらされたことを遊技者に推察させることによって落胆を防止することができると共に、ずらされた大当たりを付与させようと積極的に遊技を行わせることができ、遊技の興趣を向上させることができるので、遊技を継続させることができる。
次に、図98から図100を参照して、本発明の第19−3実施例について説明する。第19−1実施例のパチンコ機Pでは、通常状態のハズレの停止図柄で「3」、「4」、「1」の停止図柄が現出し得ないように構成する一方、大当たりの付与がずらされ得る場合に、その変動表示における停止図柄としてLCD3に「3」、「4」、「1」の停止図柄を表示すると共に、蓄越ランプ24を点灯して、遊技者に大当たりがずらされたことを示唆していた。これに代えて、第19−3実施例のパチンコ機Pでは、複数の変動表示において、リーチ表示を連続して現出させることによって、大当たりの付与がずらされたことを遊技者に示唆するように構成する。
例えば、1の変動表示で大当たりの付与がずらされたことを告知する場合、遊技者がその1の変動表示の演出を見逃してしまうと、大当たりの付与がずらされたことを告知しているにもかかわらず遊技者にその旨を認識させることができないといった問題点があった。そこで、少なくとも2以上の連続した変動表示において、リーチ表示を連続して現出させることによって、大当たりの付与がずらされたことを遊技者に認識させ易くすることができる。
なお、第19−3実施例の説明で用いる図面は、図1、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図10、図11、図98、図99及び図100であるが、第19−1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図98は、第19−3実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第19−3実施例のパチンコ機Pの主制御基板CのRAM13には、リーチメモリ13Ffが設けられている。
リーチメモリ13Ffは、大当たりの付与がずらされた場合に、その後の変動表示において現出するリーチ表示の回数を記憶しておくためのメモリである。このリーチメモリ13Ffの値はは、大当たりの付与がずらされる場合、又は、単発の大当たりが発生すると共にリーチメモリ13Ffの値が「1」以上であった場合に「4」が加算される。一方、リーチメモリ13Ffに加算された値は、その後の変動表示において、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動表示のデータがハズレであると共にリーチメモリ13Ffの値が「1」以上である場合に、「7」のハズレリーチを現出する毎に「1」ずつ減算される。
また、リーチメモリ13Ffの値は、放出図柄で大当たりが発生した場合には「0」クリアされるように構成されている。例えば、リーチメモリ13Ffの値が「1」以上である場合に、放出図柄での大当たりが発生して蓄越カウンタ13eに記憶されているずらされた大当たりをすべて付与してしまった後に、リーチメモリ13Ffの値に応じてハズレのリーチ表示を連続して現出させてしまうと、ずらされた大当たりが存在しないにもかかわらず、大当たりがずらされたことを遊技者に示唆してしまい、遊技者に実際の遊技状態とは異なる間違った遊技状態を認識させかねないといった問題点があった。そこで、放出図柄での大当たりが発生した場合に、リーチメモリ13Ffの値を「0」クリアすることによって、遊技者に実際の遊技状態と異なる間違った遊技状態を示唆させないようにすることができる。従って、遊技者に適切な遊技を提供することができる。
図99は、第19−3実施例の通常選択処理を示したフローチャートである。第19−3実施例の通常選択処理(S648)では、大当たりの付与がずらされた後の変動表示において、通常のハズレ状態である場合に、リーチメモリ13Ffの値が「0」になるまで、LCD3における変動表示にハズレのリーチ表示を現出させるように構成されている。
第19−3実施例の通常選択処理(S648)では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶されている無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値であるか否かを確認する(S651)。確認の結果、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値でなければ(S651:No)、次に、リーチメモリ13Ffの値は「1」以上であるか否かを確認する(S831)。リーチメモリ13Ffの値が「1」以上である場合は(S831:Yes)、大当たりの付与がずらされてから4回以内の変動表示であるので、大当たりの付与がずらされたことを示唆するべく、図柄回転実行エリア13jに記憶されているハズレリーチカウンタ13cの値を「7」に設定して(S832)、その変動表示においてハズレのリーチ表示が現出するようにする。そして、リーチメモリ13Ffの値から「1」減算して(S833)、ハズレリーチやハズレの変動パターン等を設定する各処理を行い(S834)、この通常選択処理を終了する。よって、大当たりの付与がずらされてから4回以内の変動表示においてハズレのリーチ表示を連続して現出させることができるのである。一方、S831の処理において、リーチメモリ13Ffの値が「1」以上でなければ(S831:No)、大当たりがずらされてから4回以内の変動表示ではないので、S832及びS833の処理をスキップして、処理をS834へ移行する。なお、S651の処理において、図柄回転実行エリア13jに記憶される無作為抽出カウンタ13bの値が大当たりを発生する値である場合には(S651:Yes)、属性選択処理を行う(S652)。
図100は、第19−3実施例の属性選択処理(S652)を示したフローチャートである。この属性選択処理では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」のいずれかであるか否かを確認する(S841)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合には(S841:Yes)、その蓄越図柄での大当たりの付与をずらすべく蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S842)、LCD3に表示される停止図柄によって大当たりがずらされたことを遊技者に示唆するべく、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄をいずれかの図柄におけるハズレリーチで現出し得る停止図柄(例えば、「5」、「5」、「6」)に設定し(S843)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンをハズレリーチの変動パターンに設定して(S844)、その後の4回の変動表示においてハズレリーチを連続して表示させるために、リーチメモリ13Ffの値に「4」を加算して(S845)、この属性選択処理を終了する。従って、大当たりの付与がずらされた変動表示においてハズレのリーチ表示を現出させると共に、その後の4回の連続した変動表示においてハズレのリーチ表示を現出させることによって、合計5回のハズレのリーチ表示を連続して現出させることができる。よって、大当たりの付与がずらされたことを遊技者に認識させ易くすることができる。
一方、S841の処理において、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値でない場合には(S841:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「7」であるか否かを確認する(S846)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であった場合には(S846:Yes)、放出フラグ13hをオンして(S847)、リーチメモリ13Ffの値を「0」クリアして(S848)、処理をS851へ移行する。
一方、S846の処理において、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値でない場合、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄を選択する「1」、「3」、「5」又は「9」のいずれかの値であった場合には(S846:No)、次に、リーチメモリ13Ffの値は「1」以上であるか否かを確認する(S849)。リーチメモリ13Ffの値が「1」以上である場合には(S849:Yes)、リーチメモリ13Ffの値に「4」を加算して(S850)、処理をS851へ移行する。大当たりの付与がずらされて、連続したリーチ表示を現出して遊技者に大当たりの付与がずらされていることを示唆している最中に、単発図柄での大当たりが発生した場合には、連続したリーチ表示が途切れてしまい、遊技者に大当たりの付与がずらされたことを認識させ難かった。そこで、単発図柄での大当たりが発生した場合に、リーチメモリ13Ffの値が「1」以上であったとき、リーチメモリ13Ffの値に「4」を加算することによって、単発図柄での大当たりが終了した後の複数の変動表示において、連続したハズレのリーチ表示を現出させることができるので、遊技者に大当たりがずらされたことを認識させ易くすることができるのである。
S851の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定して(S851)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S852)、この属性選択処理を終了する。
以上説明したように、第19−3実施例のパチンコ機Pによれば、大当たりの付与がずらされた後の所定回数の変動表示において、連続してハズレのリーチ表示を現出するように構成する。よって、複数回の変動表示に跨って大当たりの付与がずらされたことを告知することができるので、大当たりの付与がずらされたことを遊技者に認識させ易くすることができる。
次に、図101及び図102を参照して、本発明の第19−4実施例について説明する。第19−3実施例のパチンコ機Pでは、大当たりの付与がずらされた場合に、その後の予め定められた複数回の変動表示においてハズレのリーチ表示を現出するように構成されていた。これに代えて、第19−4実施例のパチンコ機Pでは、大当たりの付与がずらされたことを示す連続したハズレのリーチ表示の現出回数を設定可能なスイッチ18を設けることによって、遊技場(ホール)の方針に応じて、大当たりがずらされたことを遊技者に告知し易くするか否かを調整することができる。
なお、第19−4実施例の説明で用いる図面は、図1、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図10、図11、図99、図101及び図102であるが、第19−3実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図101は、第19−4実施例のパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。第19−4実施例のパチンコ機Pの主制御基板Cの入出力ポート15には、スイッチ(SW)18が接続されている。
スイッチ18は、大当たりの付与がずらされた後の変動表示に現出するリーチ表示数を決定するためのスイッチであり、大当たりの付与がずらされた場合に、そのスイッチ18で設定されている値がリーチメモリ13Ffに設定される。このスイッチ18は、3つのスイッチSW0〜SW2を有するディップスイッチによって構成されている。各スイッチSW0〜SW2の入出力ポート15側の一端は、それぞれ抵抗Rを介して+5ボルトにプルアップされており、また、その他端は0ボルトに接続されている。よって、各スイッチSW0〜SW2は、それぞれオフの場合に入出力ポート15へハイ(「1」)が出力され、オンの場合にロウ(「0」)が出力される。リーチ表示の現出回数は、このスイッチ18の各スイッチSW0〜SW2の状態によって表される数値により設定される。例えば、SW2,SW1,SW0の順に「010(オン、オフ、オン)」に設定されていればリーチ表示の現出回数は2回に設定され、「100(オフ、オン、オン)」に設定されていればリーチ表示の現出回数は4回に設定される。
図102は、第19−4実施例の属性選択処理(S652)を示したフローチャートである。第19−4実施例の属性選択処理では、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」のいずれかであるか否かを確認する(S841)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値である場合には(S841:Yes)、その蓄越図柄での大当たりの付与をずらすべく蓄越カウンタ13eに「1」を加算して(S842)、LCD3に表示される停止図柄によって大当たりがずらされたことを遊技者に示唆するべく、まず、図柄回転実行エリア13jに記憶される停止図柄をいずれかの図柄におけるハズレリーチで現出し得る停止図柄(例えば、「5」、「5」、「6」)に設定し(S843)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンをハズレリーチの変動パターンに設定して(S844)、その後の変動表示においてスイッチ18で設定された回数分の変動表示において、ハズレリーチを連続して表示させるために、スイッチ18で設定されている値をリーチメモリ13Ffの値に加算して(S861)、この属性選択処理を終了する。従って、大当たりの付与がずらされた変動表示においてハズレのリーチ表示を現出させると共に、その後の変動表示においてスイッチ18で設定された回数分の変動表示において、ハズレのリーチ表示を現出させることができる。
一方、S841の処理において、大当たり図柄カウンタ13dの値が蓄越図柄を選択する値でない場合には(S841:No)、次に、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であるか否か、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が「7」であるか否かを確認する(S846)。確認の結果、大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値であった場合には(S846:Yes)、放出フラグ13hをオンして(S847)、リーチメモリ13Ffの値を「0」クリアして(S848)、処理をS863へ移行する。
一方、S846の処理において、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値が放出図柄を選択する値でない場合、即ち、大当たり図柄カウンタ13dの値が単発大当たり図柄を選択する「1」、「3」、「5」又は「9」のいずれかの値であった場合には(S846:No)、次に、リーチメモリ13Ffの値は「1」以上であるか否かを確認する(S849)。リーチメモリ13Ffの値が「1」以上である場合には(S849:Yes)、スイッチ18で設定されている値をリーチメモリ13Ffの値に加算して(S862)、処理をS863へ移行する。
S863の処理では、図柄回転実行エリア13jに記憶される大当たり図柄カウンタ13dの値に応じた停止図柄を設定して(S863)、図柄回転実行エリア13jに記憶される変動パターンを大当たり変動パターンに設定し(S864)、この属性選択処理を終了する。
以上説明したように、第19−4実施例のパチンコ機Pによれば、大当たりの付与がずらされた後のスイッチ18で設定された回数の変動表示において、連続してハズレのリーチ表示を現出するように構成する。よって、複数回の変動表示に跨って大当たりの付与がずらされたことを告知することができるので、大当たりの付与がずらされたことを遊技者に認識させ易くすることができる。また、スイッチ18によって、大当たりの付与がずらされ得る場合のハズレのリーチ表示の現出回数を2種以上の値に設定することができるので、遊技場(ホール)の方針に応じて、大当たりがずらされたことを遊技者に告知し易くするか否かを調整することができる。
以上、各実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、第19−1実施例において、表示用制御基板Dは、主制御基板Cから送信された変動表示のデータの停止図柄が「3」、「4」、「1」であった場合に蓄越ランプ24を点灯していた。これに代えて、表示用制御基板Dは、主制御基板Cから送信された変動表示のデータの変動パターンを判断して、その変動パターンが予め定められた所定の変動パターンであった場合に、蓄越ランプ24を点灯するように構成しても良い。
また、第19−1実施例において、通常状態のハズレの停止図柄で「3」、「4」、「1」の停止図柄が現出し得ないように構成すると共に、大当たりの付与がずらされた場合に、その変動表示における停止図柄としてLCD3に「3」、「4」、「1」の停止図柄を表示するように構成していた。これに代えて、通常のハズレの停止図柄で「3」、「4」、「1」の停止図柄が現出するように構成すると共に、大当たりの付与がずらされた場合に、その変動表示における停止図柄としてLCD3に「3」、「4」、「1」の停止図柄を現出するように構成しても良い。通常状態のハズレの停止図柄、及び、大当たりがずらされた場合の停止図柄で「3」、「4」、「1」の停止図柄を現出させることによって、「3」、「4」、「1」の停止図柄が現出した場合に、その停止図柄が通常状態のハズレの停止図柄か、大当たりの付与がずらされた場合の停止図柄かを遊技者に推察させることができる。従って、遊技者を遊技に集中させると共に積極的に遊技を行わせることができるので、遊技の興趣を向上させると共に遊技者の遊技の継続意欲を高めることができる。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
以下に本発明の遊技機及び第19−1実施例、第19−2実施例、第19−3実施例及び第19−4実施例の変形例を示す。識別情報等を表示する表示装置と、その表示装置に現出される複数の前記識別情報を記憶する情報記憶手段と、その情報記憶手段に記憶される前記識別情報を用いた動的表示の動的パターンを記憶するパターン記憶手段と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に遊技者にとって有利な遊技価値の付与抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記パターン記憶手段に記憶される前記動的表示の動的パターンを選定するパターン選定手段と、そのパターン選定手段によって選定された前記動的表示を前記表示装置に行わせる動的実行手段と、前記抽選手段により遊技価値を付与する抽選結果が導出された場合に前記動的実行手段によって前記表示装置に前記識別情報の予め定めた表示結果を現出させると共に特別遊技状態を発生させる特別遊技付与手段とを備えた遊技機において、前記特別遊技付与手段は、前記抽選手段によって前記特別遊技状態を付与する抽選結果が導出された場合に第1所定条件が成立したか否かを判断する第1条件判断手段と、その第1条件判断手段によって前記第1所定条件が成立したと判断された場合に前記特別遊技状態の付与をずらす特別遊技蓄越手段と、その特別遊技蓄越手段によって前記特別遊技状態がずらされ得ることを告知する蓄越告知手段とを備えていることを特徴とする遊技機1。なお、特別遊技状態の付与をずらすとは、例えば、特別遊技状態の付与を保留させること、特別遊技状態の付与を待機させること、或いは、特別遊技状態の付与を遅延させること等が例示される。
遊技機1において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によりずらされた前記特別遊技状態を第2所定条件に応じて遊技者に付与する蓄越放出手段を備えていることを特徴とする遊技機2。特別遊技蓄越手段によってずらされた少なくとも1の特別遊技状態を、第2所定条件に応じて蓄越放出手段によって遊技者に付与する。よって、特別遊技状態の付与をずらすことができるので、新たな遊技性を提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。なお、特別遊技状態とは、例えば、球、コイン又はメダル等の有価価値を有する遊技媒体が遊技者に付与される大当たり状態、特別遊技状態の発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、又は、始動条件の成立が通常状態より容易にされると共に1の動的表示に要する時間が短縮されて特別遊技状態が付与され易い時間短縮状態等が例示される。なお、第2所定条件とは、例えば、少なくとも1の所定のカウンタの値が予め定めた所定値である場合や、動的表示の動的回数、或いは、特別遊技状態の発生回数等が例示される。
遊技機1又は2において、前記蓄越告知手段は、前記特別遊技蓄越手段によって前記特別遊技状態がずらされ得る場合に、前記表示装置に前記特別遊技状態がずらされ得ることを示唆する特定表示を現出させるものであることを特徴とする遊技機3。従来、特別遊技状態の付与をずらすことができる遊技機において、特別遊技状態の付与がずらされ得る場合に、その旨を示唆せずに遊技を継続してしまうと、遊技者は、特別遊技状態に当選しているにもかかわらずその付与がずらされているのか、特別遊技状態に当選していないのかの判別を行うことができず、遊技の継続意欲が薄れ、その遊技機での遊技を敬遠又は中断してしまうといった問題点があった。そこで、特別遊技蓄越手段によって特別遊技状態がずらされ得る場合に、蓄越告知手段は、表示装置に特別遊技状態がずらされ得ることを示唆する特定表示を現出させることができるので、遊技者に特別遊技状態がずらされたことを示唆することができる。よって、遊技者に特別遊技状態がずらされたことを認識させることができ、そのずらされた特別遊技状態を付与させようと積極的に遊技を行わせることができる。従って、新たな遊技性を損なうことなく、遊技者に積極的に遊技を行わせることができるので、遊技の興趣を向上させると共に遊技者の遊技の継続意欲を高めることができる。
なお、特定表示は、例えば、リーチ状態、示唆演出、予め定めた動的表示の表示結果、遊技者が視認可能な位置に配設された発光部材(例えば、LED等)の発光パターン、遊技者が視認可能な位置に配設された役物の動作パターン等が例示される。リーチ状態とは、例えば、複数の識別情報からなる識別情報列が予め定めた識別情報の組み合わせで停止して特別遊技状態が付与される遊技機において、少なくとも1の識別情報列を残して他の識別情報列が停止演出されて、その停止演出で現出表示される識別情報が特別遊技状態を付与する組み合わせの一部分を構成し、残りの1の識別情報列の表示結果如何によって特別遊技状態が付与されることを示唆する表示である。また、示唆演出とは、動的表示の途中で予め定めた識別情報が表示装置に現出表示して、その動的表示がリーチ状態又は特別遊技状態に発展することを示唆する演出である。更に、表示装置としては、例えば、LCDやLED、或いは、ランプ等が例示される。
遊技機3において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によって前記特別遊技状態がずらされ得る場合にのみ、前記特定表示を前記表示装置に現出するものであることを特徴とする遊技機4。特別遊技付与手段は、特別遊技蓄越手段によって特別遊技状態がずらされ得る場合にのみ、特定表示を表示装置に現出させるように構成することによって、遊技者は、表示装置に特定表示が現出した場合に、特別遊技状態の付与がずらされたことを認識することができる。よって、遊技者にその遊技機における遊技状態を的確に把握させることができるので、新たな遊技性を損なうことなく、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機3又は4において、前記特別遊技付与手段は、通常状態の前記動的表示に前記特定表示が現出するか否かを判断する特定判断手段と、その特定判断手段によって通常状態の前記動的表示に前記特定表示が現出すると判断された場合に前記特定表示を変更して普通状態の前記動的表示に現出し得る普通表示に変更する表示変更手段とを備えていることを特徴とする遊技機5。表示変更手段によって、特別遊技蓄越手段によって特別遊技状態がずらされ得る状態以外で特定表示を現出した場合にその特定表示を普通表示に変更するように構成することによって、特別遊技状態がずらされ得る状態のみに特定表示を現出させることができる。よって、通常状態では現出し得ない特定表示を表示装置に現出させることによって、遊技者に特別遊技状態がずらされたことを明確に認識させることができる。なお、普通表示とは、例えば、特定表示とは異なるハズレのリーチ状態、又は、ハズレの動的表示の表示結果(ハズレの停止図柄等)が例示される。
遊技機5において、遊技の制御を行う主制御手段と、その主制御手段からの指示に基づいて前記表示装置に前記識別情報の動的表示を行わせる表示用制御手段とを備え、前記表示用制御手段は、前記主制御手段から出力された前記動的表示の指示が予め定められた所定の指示であるか否かを判断する判断手段を備え、その判断手段によって前記主制御手段から出力された前記動的表示の指示が予め定められた所定の指示であると判断された場合に、前記表示装置に前記特定表示を現出させるものであることを特徴とする遊技機6。表示用制御手段は、判断手段によって主制御手段から出力される動的表示の指示を判断することで、特別遊技状態がずらされたことを認識することができる。よって、主制御手段から特別遊技状態がずらされたことを示す指示を出力しなくとも、表示用制御手段で動的表示の指示を判断することによって、表示用制御手段は特別遊技状態がずらされたことを認識することができるので、指示の種類を削減して、処理が煩雑になることを防止することができる。
遊技機1から6のいずれかにおいて、前記蓄越告知手段は、少なくとも2以上の連続した前記動的表示において、前記表示装置に前記特定表示を現出させるものであることを特徴とする遊技機7。例えば、1の動的表示で特別遊技状態がずらされたことを告知する場合、遊技者がその1の動的表示の演出を見逃してしまうと、特別遊技状態がずらされたことを告知しているにもかかわらず遊技者にその旨を認識させることができないといった問題点があった。そこで、少なくとも2以上の連続した動的表示において、表示装置に特定表示を現出させるように構成する。よって、特別遊技状態がずらされたことを遊技者に認識させ易くすることができる。
遊技機7において、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によって前記特別遊技状態がずらされ得るか否かを判断する蓄越判断手段と、その蓄越判断手段によって前記特別遊技状態がずらされ得ると判断された場合に、少なくとも2以上の前記動的表示において前記特定表示を現出させる継続演出手段と備えていることを特徴とする遊技機8。蓄越判断手段によって特別遊技状態がずらされ得ると判断された場合に、継続演出手段により少なくとも2以上の動的表示に特定表示を連続して現出させることができる。よって、特別遊技状態がずらされたことを遊技者に認識させ易くすることができる。
遊技機8において、前記特別遊技付与手段は、前記特定表示が現出される回数を記憶する回数記憶手段を備え、前記継続演出手段は、前記蓄越判断手段によって前記特別遊技状態がずらされ得ると判断された場合に前記回数記憶手段に所定の値を設定することを特徴とする遊技機9。
遊技機9において、前記特別遊技付与手段は、前記回数記憶手段に記憶される値を2種以上の値に設定可能な現出回数設定手段を備えており、前記継続演出手段は、前記蓄越判断手段によって前記特別遊技状態がずらされたと判断された場合に、前記現出回数設定手段の設定に基づいて前記特定表示の現出回数を前記回数記憶手段に設定するものであることを特徴とする遊技機10。現出回数設定手段によって、特別遊技状態がずらされ得る場合の特定表示の現出回数(動的表示の動的回数)を2種以上の値に設定することができるので、遊技場(ホール)の方針に応じて、特別遊技状態がずらされたことを遊技者に告知し易くするか否かを調整することができる。なお、スイッチ手段としては、例えば、ディップスイッチや、基板に直接形成されたソルダーポイント等が例示される。ディップスイッチやソルダーポイントが3つのスイッチ(又は3つのソルダーポイント)を備えていれば、その3つのスイッチにより「0〜7」までの数値を設定することができるので、該スイッチに基づいて、動的表示の動的回数を「0〜7」の範囲で任意に設定することができる。
遊技機8から10のいずれかにおいて、前記継続演出手段は、前記動的表示が前記特別遊技状態を発生するか否かを判断する特別遊技判断手段と、その特別遊技判断手段によって前記動的表示が前記特別遊技状態を発生しないと判断された場合に前記回数記憶手段に前記動的表示の動的回数が記憶されているか否かを判断する回数判断手段と、その回数判断手段によって前記回数記憶手段に前記動的表示の動的回数が記憶されていると判断された場合に、前記表示装置に前記特定表示を現出させる表示現出手段とを備えていることを特徴とする遊技機11。実行される動的表示に特別遊技状態が発生しないと判断された場合、且つ、回数判断手段によって回数記憶手段に動的表示の動的回数が記憶されていると判断された場合に、表示現出手段によって表示装置に特定表示を表示するように構成する。
遊技機11において、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越放出手段によってずらされた前記特別遊技状態が付与される場合に、前記回数記憶手段に記憶されている前記動的表示の動的回数を消去するものであることを特徴とする遊技機12。例えば、回数記憶手段に動的表示の動的回数が記憶されている状態で蓄越放出手段によってずらされた特別遊技状態をすべて遊技者に付与した場合に、特別遊技状態終了後に特定表示を2以上の動的表示で連続して現出させてしまうと、ずらされた特別遊技状態が存在しないにもかかわらず、特別遊技状態がずらされたことを遊技者に示唆してしまい、遊技者に実際の遊技状態とは異なる間違った遊技状態を認識させかねないといった問題点があった。そこで、回数記憶手段に動的表示の動的回数が記憶されている状態で蓄越放出手段によってずらされた特別遊技状態が付与された場合には、回数記憶手段に記憶されている動的表示の動的回数を消去するように構成することで、遊技者に実際の遊技状態と異なる間違った遊技状態を示唆させないようにすることができる。従って、遊技者に適切な遊技を提供することができる。
遊技機1から6のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越放出手段によりずらされた前記特別遊技状態が付与され得る場合に前記表示装置に放出表示を現出させる放出表示現出手段とを備え、前記蓄越告知手段は、前記特別遊技蓄越手段によって前記特別遊技状態がずらされ得る場合に、前記表示装置に前記放出表示現出手段で現出し得る前記放出表示を示唆する放出示唆表示を現出させるものであることを特徴とする遊技機13。従来、遊技者に遊技価値を付与する期待度が高い、又は、付与する遊技価値が高い示唆表示(予告表示)が現出したにもかかわらず、その示唆表示が虚偽表示(所謂、ガセ表示)であった場合、遊技者は落胆してしまいその遊技機において遊技の継続意欲が薄れ、遊技を中断してしまうといった問題点があった。そこで、蓄越告知手段は、特別遊技蓄越手段によって特別遊技状態がずらされ得る場合に、表示装置にずらされた特別遊技状態が付与される放出表示を示唆する放出示唆表示を現出するように構成する。放出表示は、放出示唆表示から発展するものであるので、遊技者は表示装置に放出示唆表示が放出表示とならずに遊技価値が付与されなくとも、放出示唆表示によって特別遊技状態の付与がずらされ得ることを推察することができる。従って、遊技価値が付与され得る放出示唆表示が虚偽表示であったとしても、特別遊技状態の付与がずらされたことを遊技者に推察させることによって落胆を防止することができると共に、ずらされた特別遊技状態を付与させようと積極的に遊技を行わせることができ、遊技の興趣を向上させることができるので、遊技を継続させることができる。
遊技機13において、前記特別遊技付与手段は、通常状態の前記動的表示に前記放出示唆表示が現出するか否かを判断する示唆表示判断手段と、その示唆表示判断手段によって通常状態の前記動的表示に前記放出示唆表示が現出すると判断された場合に前記放出示唆表示を変更して普通状態の前記動的表示に現出し得る普通表示に変更する示唆表示変更手段とを備えていることを特徴とする遊技機14。示唆表示変更手段によって、特別遊技蓄越手段により特別遊技状態がずらされ得る状態、又は、蓄越放出手段によってずらされた特別遊技状態が付与される状態以外で放出示唆表示を現出した場合にその放出示唆表示を普通表示に変更するように構成する。即ち、特別遊技状態がずらされ得る状態、又は、ずらされた特別遊技状態が付与される状態のみに放出示唆表示が現出するように構成する。よって、表示装置に放出示唆表示が現出した場合には、ずらされている特別遊技状態が付与されるか、特別遊技状態の付与がずらされるかのいずれかであることを遊技者に認識させることができ、1の演出に重み付けができ、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機1から14のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記特別遊技蓄越手段によってずらされた前記特別遊技状態を記憶する記憶手段を備えていることを特徴とする遊技機15。従来、遊技者は、遊技機に釘調整や、遊技機の特別遊技状態発生回数等で遊技機を選択していた。そこで、ずらされた特別遊技状態を記憶しておくことで、各遊技機毎に記憶手段に記憶される特別遊技状態数が異ならせることで、各遊技機毎に遊技条件を異ならせて差が生じるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増やすことができる。
遊技機1から15のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、ランダムに値を取得する無作為抽出手段を備え、始動条件の成立に基づいて取得された前記無作為抽出手段の値に応じて前記特別遊技状態を付与するものであり、前記無作為抽出手段の値が前記特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて前記特別遊技蓄越手段により前記特別遊技状態をずらすものであることを特徴とする遊技機16。始動条件の成立に基づいて取得された無作為抽出手段の値が特別遊技状態を付与する値であった場合に、第1所定条件に応じて特別遊技蓄越手段によりその特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。また、遊技者は、確率的に動的表示の回転回数に応じてずらされた特別遊技状態数が多いと判断することで、動的表示の回転数に応じた遊技機の選択を行うことができるので、遊技者が遊技機を選択する選択肢を増加させることができる。なお、無作為抽出手段としては、例えば、所定のタイミングで更新される無作為抽出手段(乱数カウンタ)や、ランダムに値を取得することができるICカウンタ等が例示される。
遊技機1から16のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記記憶手段に記憶されたずらされた前記特別遊技状態を付与する場合に、前記記憶手段にずらされた前記特別遊技状態が記憶されているか否かを確認する蓄越確認手段を備えていることを特徴とする遊技機17。蓄越確認手段によって記憶手段にずらされた特別遊技状態が記憶されているか否かを確認することができるので、記憶手段にずらされた特別遊技状態が記憶されていない場合に蓄越放出手段によるずらされた特別遊技状態の付与等の不適切な処理を未然に防ぐことができるので、適切な遊技を提供することができる。
遊技機1から17のいずれかにおいて、前記特別遊技付与手段は、前記表示装置で実行されている動的表示の動的表示情報を記憶する実行記憶手段と、その実行記憶手段に動的表示情報が記憶されている場合に前記動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段に記憶される待機回数分設けられ、待機中の動的表示毎に動的表示情報を記憶する動的表示情報記憶手段とを備え、前記実行記憶手段に記憶される前記動的表示が終了した場合に、1の前記動的表示情報記憶手段に記憶される動的表示情報が前記実行記憶手段に記憶されて前記表示装置でその動的表示情報に基づいた動的表示を実行するものであり、前記特別遊技蓄越手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第1所定条件に応じて前記特別遊技状態の付与をずらすものであることを特徴とする遊技機18。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第1所定条件に応じて特別遊技状態の付与をずらす。よって、特別遊技状態をずらすことにより新たな遊技性を提供することができると共に、継続して遊技を行うことによる遊技性を向上させることができる。
遊技機18において、前記特別遊技付与手段は、前記実行記憶手段に記憶された動的表示情報が前記特別遊技状態を発生する場合に、前記第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与するものであることを特徴とする遊技機19。実行記憶手段に記憶された動的表示情報が特別遊技状態を発生する場合に、第2所定条件に応じて少なくとも1のずらされた特別遊技状態を付与する。よって、特別遊技状態が発生する場合に、その特別遊技状態による遊技価値の付与をずらすことで、遊技に幅を設けて新たな遊技性を遊技者に提供することができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機1から19のいずれかにおいて、前記識別情報は、前記特別遊技状態をずらす蓄越識別情報と、前記記憶手段に記憶された少なくとも1の前記特別遊技状態を付与させる放出識別情報と、前記特別遊技状態を付与させる単発識別情報とを備え、前記特別遊技付与手段は、前記蓄越識別情報、放出識別情報及び単発識別情報により前記動的表示を行うものであることを特徴とする遊技機20。識別情報の種類により付与される遊技状態を異ならせることによって、動的表示のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣を向上させることができる。
遊技機1から20のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機21。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。また、従来のスロットマシンは、例えば、特別遊技状態を取得した場合、目押し等の遊技者の技量に応じてその特別遊技状態を遊技者に付与していた。しかしながら、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機にスロットマシンを用いると、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量が必要となる。よって、ただでさえ特別遊技状態をずらすという行為によって意図的に射倖性を高めているにもかかわらず、特別遊技状態の付与条件に遊技者の技量を求めることによって、不慣れな遊技者に多大な負担を与えて射倖性を高めてしまい、遊技機における適切な射倖性が維持できなくなってしまう。このため、遊技者はその遊技機における遊技を敬遠しがちになってしまい、遊技場の利益が減少してしまうという問題点があった。一方、パチンコ遊技機は、特別遊技状態に当選した場合、遊技者の技量如何にかかわらず、一義的に遊技者の特別遊技状態を付与することができる。よって、特別遊技状態をずらすことのできる遊技機において、パチンコ遊技機を用いることによって、例えば、特別遊技状態を取得した場合に、遊技者の技量にかかわらず特別遊技状態を遊技者に付与することができる。従って、不慣れな遊技者が遊技を行う場合でも、特別遊技状態に当選した場合には一義的に特別遊技状態を付与することができるので、適度な射倖性を維持しつつ、新たな遊技性による興趣を遊技者に提供することができる。
遊技機1から20のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機22。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機1から20のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機23。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。