JP2004095988A - 吸着キャッチ用磁石 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸着力が大きく、吸着のバラツキがなく、且つ組立の容易な吸着キャッチ用磁石を提供する。
【解決手段】磁石本体1は、磁性粉と、プラストマー及び/又はエラストマーとを主成分とする磁石組成物からなると共に、吸着作用面2が平面又は被吸着面に沿った形状に成形され、磁性粉の磁化容易軸3が吸着作用面2から磁石内部を通り再び吸着作用面に戻ってくるように配向されて着磁されている。磁束が吸着作用面に集中するように配向されているので、磁石の吸着力が大巾に向上し、更に、吸着面積が広いので、一層強力でバラツキのない吸着力が得られ、また、従来の如く、2枚の鉄板を必要としないので組立作業性が良好である。
【選択図】 図1
【解決手段】磁石本体1は、磁性粉と、プラストマー及び/又はエラストマーとを主成分とする磁石組成物からなると共に、吸着作用面2が平面又は被吸着面に沿った形状に成形され、磁性粉の磁化容易軸3が吸着作用面2から磁石内部を通り再び吸着作用面に戻ってくるように配向されて着磁されている。磁束が吸着作用面に集中するように配向されているので、磁石の吸着力が大巾に向上し、更に、吸着面積が広いので、一層強力でバラツキのない吸着力が得られ、また、従来の如く、2枚の鉄板を必要としないので組立作業性が良好である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、開閉扉等の固定用磁石に関し、更に詳しくは、例えば、本箱、オーディオボックス、サイドボードあるいは食器棚等の各種家具の扉を開閉自在に固定するのに用いられる、吸着力が飛躍的に高められるとともに、部品点数が少なく、従って組立作業性が大巾に改善された吸着キャッチ用磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、マグネットキャッチとも呼ばれている吸着キャッチ用磁石は、例えば特開2001−115723号公報に記載されているように、樹脂等で形成されるケースの中央に本体磁石を取付けた上、この本体磁石を2枚の鉄板でサンドイッチ状に挟み込み、鉄板を磁化して吸着キャッチ用磁石とするものである。
【0003】
そして、例えば、収納ボックスに枢支した開き戸の先端部内面に、金属性の被吸着板を固着し、この被吸着板と前記2枚の鉄板とで磁気回路を形成し、その磁場によって着脱自在に吸着することにより、開き戸を収納ボックスに対して開閉自在としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、本体磁石を挟んでいる2枚の鉄板の側端面である吸着部の面積が小さいため十分な吸着力が得られず、また、該吸着部は鉄板の切断面からなるため表面が平滑ではなく、従って、この凹凸が実質的な吸着面積を左右し、これが吸着力のバラツキ発生の要因になっていた。更に、上記公報に記載の如く、被吸着板と2枚の鉄板との間に間隙を設けたような形態では、被吸着板と2枚の鉄板とが吸着する際、金属粉が発生しにくいというメリットは得られるものの、吸着力が一層低下するという問題を孕んでいた。更にまた、部品点数が多く、組立に手間が掛り、いきおいコスト・アップとならざるを得ないという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、吸着力が大きく、且つ吸着力のバラツキが小さく、更に部品点数が少なく、従って、組立が容易な吸着キャッチ用磁石を安価に提供することを目的にする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意研究の結果、磁束が吸着作用面に集中する特別な配向のプラストマー磁石(プラスチック磁石)、エラストマー磁石(ゴム磁石)、プラストマー及びエラストマーからなる磁石を用いることにより所期の目的が達成されることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、磁性粉とプラストマー及び/又はエラストマーとを主成分とする磁石組成物からなる磁石であって、平面又は被吸着面に沿った形状からなる吸着作用面を有し、磁性粉の磁化容易軸が吸着作用面から磁石内部を通り再び吸着作用面に戻ってくるように配向されていることを特徴とする吸着キャッチ用磁石を内容とする(請求項1)。
【0008】
好ましい態様としての請求項2は、吸着非作用面に取付部を設けた請求項1記載の吸着キャッチ用磁石である。
【0009】
好ましい態様としての請求項3は、取付部が磁石組成物からなり、磁石と接合されている請求項2記載の吸着キャッチ用磁石である。
【0010】
好ましい態様としての請求項4は、取付部が非磁性金属又は合成樹脂からなり、磁石と接合されている請求項2記載の吸着キャッチ用磁石である。
【0011】
好ましい態様としての請求項5は、取付部がビス孔を有する平板部からなる請求項2〜4のいずれか1項に記載の吸着キャッチ用磁石である。
【0012】
好ましい態様としての請求項6は、取付部がネジ部からなる請求項2〜4のいずれか1項に記載の吸着キャッチ用磁石である。
【0013】
好ましい態様としての請求項7は、取付部が磁石収容部を有する請求項5又は6記載の吸着キャッチ用磁石である。
【0014】
好ましい態様としての請求項8は、取付部が磁石組成物からなり、磁石と一体成形されている請求項2記載の吸着キャッチ用磁石である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の吸着キャッチ用磁石は、磁性粉とプラストマー及び/又はエラストマーとを主成分とする磁石組成物からなると共に、吸着作用面が平面又は被吸着面に沿った形状からなり、磁性粉の磁化容易軸が吸着作用面から磁石内部を通り再び吸着作用面に戻ってくるように配向されていることを特徴とする。
尚、被吸着面は、通常、平面からなることが多く、従って、本発明の吸着キャッチ用磁石の吸着作用面も、通常、平面からなるが、被吸着面が、例えば球面や円弧面からなる場合は、本発明の吸着キャッチ用磁石の吸着作用面も球面や円弧面とする必要がある。
【0016】
即ち、図8に示すように、本発明の吸着キャッチ用磁石は、磁石17を構成する磁性粉の磁化容易軸20が吸着作用面18から磁石17の内部を通り、再び吸着作用面18に戻ってくるように配向されている。図中、19は吸着非作用面である。
【0017】
本発明に用いられる磁性粉としては、フエライト系磁性粉、アルニコ系磁性粉及びサマリウム−コバルト系磁性粉やネオジム−鉄−ボロン系磁性粉、サマリウム−鉄−窒素系磁性粉等の希土類元素を含む磁性粉など、従来公知のものいずれもが使用でき、その平均粒子径については、通常、フエライト系では0.5〜2.0μm程度、その他のものでは2〜50μm程度が利用される。
【0018】
本発明に用いられるバインダーとしてのプラストマー(プラスチック)及びエラストマーについても、従来公知のものが使用できる。
本発明に用いられるプラストマーとしては、例えば、、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、芳香環を含む芳香族ポリアミド(アラミド)などのポリアミド系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン及びポリプロピレンなどを単独又は共重合したポリオレフィン系樹脂;ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリサルフォン(PSU)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、液晶樹脂、エポキシ系樹脂,フエノール系樹脂等が挙げられ、これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
【0019】
本発明に用いられるエラストマーとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPN、EPDM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、シリコンゴム(MQ、PMQ)、フッソゴム(FKM)、エチレン−アクリルゴム、ウレタンゴム(EU、AU)、エチレン−酢酸ビニル共重合体エラストマー、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)等が挙げられ、これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
【0020】
これらの中で、特に塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体は、磁性粉の充填性が良いので、磁気特性をはじめとする物理的特性が共に優れたものが得られるので好ましい。
【0021】
上記プラストマー及びエラストマーは、単独で又は必要に応じ組み合わせて用いられるが、弾力性に富み、衝撃の吸収緩和に優れ、被吸着板が磁石に吸着される際の衝撃が緩和され吸着音が静かであり、更に、磁石の寿命を長くする点からはエラストマーが好ましい。
【0022】
磁性粉とバインダーとしてのプラストマー及び/又はエラストマーとの配合割合は、磁性粉が35〜75vol%、好ましくは60〜72vol%、プラストマー及び/又はエラストマーが65〜25vol%、好ましくは40〜28vol%の範囲である。磁性粉が35vol%未満では吸着力が不十分で、一方、75vol%を越えると溶融粘度が高くなり射出成形が困難となり、また射出成形できたとしても、ひび割れが発生したり、吸着キャッチ用磁石として繰り返し使用している間に割れるというトラブルが発生し易くなる。
なお、その他にも、従来から常用される可塑剤や抗酸化剤、表面処理剤などを目的に応じて使用できることはいうまでもない。
【0023】
本発明の吸着キャッチ用磁石を射出成形により製造する際の基本的磁気回路を図9に示す。図9に示したように、非磁性体24の中にキャビティ21を形成し、このキャビティ21の一方側で且つ磁石の吸着作用面となる側に、永久磁石22、強磁性体23を順次配設して構成している。そして、このように構成した磁気回路によって、図示した如く、磁性粉の磁化容易軸が吸着作用面から磁石内部を通り、再び吸着作用面に戻ってくるように配向した磁石が形成される。
【0024】
射出成形は、キャビティ充填時の粘度が低く、冷却固化するまでの磁場印加時間、即ち、配向時間を十分に確保できるので、低コストで品質の良好な永久磁石を得ることができるので特に好適である。反応射出成形(RIM)は特別な成形システムが必要となるが、射出成形の長所を兼ね備えた成形方法として使用することができる。
【0025】
本発明の吸着キャッチ用磁石は、上記射出成形の他、圧縮成形、押出成形等によっても得られる。
押出成形は連続した長尺物を製造し、これを所望の長さにカットして使用でき、また金型も安価であるという利点を有する。押出成形は、押出し直後に形状を保持させるため粘度を高く設定する必要があり、また配向磁場の印加時間が短いために配向度が上がらず、その結果、磁気特性の高い製品が得られ難い場合がある。従って、押出し速度を遅くして磁場配向時間を長くする必要がある。
【0026】
圧縮成形は磁性粉により成形できない場合があり、例えば、平均粒径が1〜5μm程度の粒径の小さいフェライトやSmFeN系の磁性粉は、特に薄物の磁石を得る場合、グリーン成形時にブリッジを起こしキャビティ内にスムーズに導入されず、所謂充填不良を起こす場合がある。その結果、製品に空隙が発生し、機械的強度が不良となり、誤って落下させたような場合に、破損し易くなる傾向がある。
【0027】
磁場配向励磁方法は、既に知られた永久磁石方式と電磁石方式が使用できる。希土類系の磁性粉を用いた場合は、印加磁場が大きく期待できる電磁石方式が有利であるが、フェライト系の場合は、永久磁石使用の方が金型をコンパクトにできる利点がある。
磁場配向励磁用の永久磁石としては、既に知られたネオジム−鉄−ボロン系焼結磁石、サマリウム−コバルト系焼結磁石が好適に使用できる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の吸着キャッチ用磁石の実施例を図面に基ずいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
【0029】
実施例1
本実施例の吸着キャッチ用磁石を図1(a)、(b)、(c)を用いて説明する。図1(a)は平面図、図1(b)はX−X断面図、図1(c)は側面図である。
【0030】
本実施例の吸着キャッチ用磁石は、図1(a)、(b)に示したように、磁石本体1は、前述したそれぞれの磁性粉と、プラストマー及び/又はエラストマーとを主成分とする磁石組成物からなると共に、吸着作用面2が平面又は被吸着面に沿った形状に成形され、更に、図1(c)に示したように、磁性粉の磁化容易軸3が吸着作用面2から磁石内部を通り再び吸着作用面に戻ってくるように配向されて着磁されている。
【0031】
一方、本吸着キャッチ用磁石は、食器棚等の収納ボックスの開口部の先端(図示せず)付近に固設されるように、この磁石本体1を保持するための取付部としては、取付ビス孔4と接合ビス孔5とを有する平板6を備え、磁石本体1はこの平板6にビス7によって固着される。また平板6の材料としては、磁石組成物であっても良いが、全体の剛性やコストの点からはプラスチック或いは非磁性金属が好適である。
【0032】
実施例2
実施例1では、磁石本体1と、取付部となる平板6とを別々に製作した後、この両者をビス7によって固着した例を示したが、本実施例の吸着キャッチ用磁石は、図2に示すように、この磁石本体1と平板6とを接着剤8によって接合した例である。本実施例の構成によれば、接着剤8の厚みを適宜選択すれば、この接着剤8と磁石本体1の両方の弾性も利用できるので、静音性を特に要求されるキャビネット等に用いれば効果的である。
【0033】
実施例3
本実施例の吸着キャッチ用磁石は、図3に示すように、磁石本体1と前述の図2に示した取付部である平板6とを一体成形した形態の吸着キャッチ用磁石である。本実施例によれば、磁石本体1は取付部の厚み相当分厚く形成され、また取付ビス孔4を有する取付部も磁石本体1と同じ磁石組成物によって形成されているので、磁石の吸着力がそれだけ大きくなる。また、取付部としての平板も磁石と同時に成形でき、取付ビス孔も成形時に形成されるので、生産性が大巾に高められる。
【0034】
実施例4
本実施例の吸着キャッチ用磁石は、図4(a)、(b)に示すように、実施例2に示した取付部である平板6の中央に磁石収容部9を設け、この磁石収容部9内に磁石本体1を装着した形態である。装着する手段としては、磁石本体1をやや大きく仕上げた上で磁石収容部9内に圧入したり、また、このとき磁石収容部9の底に接着剤を塗布した上で挿設したり、更に、実施例1で説明したように、ビスによって磁石本体1を固設する方法もある。なお、この形態での磁石収容部9の材料としては、コストや生産性から合成樹脂が好適である。
【0035】
実施例5
本実施例の吸着キャッチ用磁石は、図5(a)、(b)に示すように、取付部がネジ部を形成している形態からなる。即ち、本実施例は実施例1に対応するもので、実施例1の取付部が平板6を形成した形態であるのに対しネジ部12を形成している。
磁石本体1Aには、吸着作用面側の中央に溝10が設けられ、またこの溝10の両側には接合ビス孔5が穿設され、さらに溝10の反対側の吸着非作用面には凹部11が設けられている。そして取付部であるネジ部12の根元13には、接合ビス孔5に対応してネジ穴14が螺設された上凹部11と嵌合され、ビス7によって磁石本体1Aと固着される。この形態の吸着キャッチ用磁石は、溝10を利用してドライバー等の工具で簡単に取付が可能である。なお、取付部であるネジ部12の材料としては非磁性金属が好適である。また、図5(a)、(b)では磁石本体1Aを円筒形状として示しているが、この形状に限らず、四角形や六角形等の多角形状にすれば、スパナ等の工具でネジ込んで取り付けられるので、溝10を省略することができる。
【0036】
実施例6
本実施例の吸着キャッチ用磁石は、図6(a)、(b)に示すように、取付部が磁石本体と一体成形された形態の吸着キャッチ用磁石である。この形態では、上記実施例3と同様、一体成形のため生産性が良いという利点があると共に、取付部であるネジ部12は磁石本体1Aの磁石組成物と同一材料になるため、実施例3と同様、磁石の吸着力がそれだけ大きくなる。なお、この形態ではネジ部を螺設して固定するので、ネジ部12及び溝10にある程度の硬度が要求され、従ってエラストマー磁石よりもプラストマー磁石の方が実用的である。エラストマー磁石の場合は、予めネジ部12と略同じ大きさのネジ部を設けておき、螺設することが望ましい。
【0037】
実施例7
本実施例の吸着キャッチ用磁石は、図7(a)、(b)に示すように、取付部がネジ部であって、且つ磁石収容部を有する形態の吸着キャッチ用磁石である。図7から明かのように、溝10を有し断面視T字状の磁石本体1Aが、これと同形状のT字状凹部15を有する収容部付ネジ部16に嵌合して一体となって機能するものである。この形態では取付部でもある収容部付ネジ部16の材料としては非磁性金属を用いれば溝10が収容部付ネジ部16の上端部にも設けられるので、取付の際強固に締められるというメリットがあり、また、磁石本体1Aが深さ方向に大きくとれるのでそれだけ強力な磁石を実現できる。
【0038】
【発明の効果】
叙上のように、本発明の吸着キャッチ用磁石によれば、磁性粉とプラストマー及び/又はエラストマーとを主成分とする磁石組成物からなり、磁性粉の磁化容易軸が吸着作用面から磁石内部を通り再び吸着作用面に戻ってくるように配向された磁石であって、且つ、吸着作用面が平面又は被吸着面に沿った形状に形成した磁石としたことにより、従来の磁石と2枚の鉄板とからなる吸着キャッチ部材に比べて、磁束が有効に利用されるとともに、吸着面積が大巾に広くなり、従って、吸着力が飛躍的に高められる。
【0039】
また、従来の如く、鉄板の切断端面である吸着面の凹凸により吸着面積が左右されることがなく、平滑な吸着表面が得られるので、吸着力にバラツキのない吸着キャッチ用磁石を提供することができる。
【0040】
更に、本発明の吸着キャッチ用磁石は、従来の如く、2枚の鉄板を必要としないから、それだけ部品点数が少なく、組立作業性が良好で、特に、取付部を磁石と一体化した場合は、取付部の製造工程及び取付部と磁石との取付工程が不要となり、作業性は飛躍的に高められる。
【0041】
更にまた、本発明の吸着キャッチ用磁石はプラストマー磁石(プラスチック磁石)、エラストマー磁石(ゴム磁石)、プラストマー及びエラストマーよりなる磁石からなるので、衝撃の吸収緩和に優れており、その結果、被吸着板が磁石に吸着される際の衝撃が緩和され、従って吸着音も静かで、且つ磁石の耐久性に優れるという利点がある。特にエラストマー磁石(ゴム磁石)は弾性に富むので、これらの効果が一層大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施例1の吸着キャッチ用磁石の平面図である。
(b)同磁石のX−X断面図である。
(c)同磁石の磁化容易軸を示した側面図である。
【図2】本発明の実施例2の吸着キャッチ用磁石の側面図である。
【図3】本発明の実施例3の吸着キャッチ用磁石を三方向から見た三面図である。
【図4】(a)本発明の実施例4の吸着キャッチ用磁石の平面図である。
(b)同磁石のY−Y断面図である。
【図5】(a)本発明の実施例5の吸着キャッチ用磁石の部分断面図である。
(b)同磁石の平面図である。
【図6】(a)本発明の実施例6の吸着キャッチ用磁石の部分断面図である。
(b)同磁石の平面図である。
【図7】(a)本発明の実施例7の吸着キャッチ用磁石の部分断面図である。
(b)同磁石の平面図である。
【図8】吸着キャッチ用磁石の磁化容易軸を模式的に示した説明図である。
【図9】吸着キャッチ用磁石を得るための磁気回路を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
1、1A 磁石本体
2 吸着作用面
3 磁化容易軸
4 取付ビス孔
5 接合ビス孔
6 平板
7 ビス
8 接着剤
9 磁石収容部
10 溝
11 凹部
12 ネジ部
13 根元
14 ネジ穴
15 T字状凹部
16 収容部付ネジ部
17 磁石
18 吸着作用面
19 吸着非作用面
20 磁化容易軸
21 キャビティ
22 永久磁石
23 強磁性体
24 非磁性体
【発明の属する技術分野】
本発明は、開閉扉等の固定用磁石に関し、更に詳しくは、例えば、本箱、オーディオボックス、サイドボードあるいは食器棚等の各種家具の扉を開閉自在に固定するのに用いられる、吸着力が飛躍的に高められるとともに、部品点数が少なく、従って組立作業性が大巾に改善された吸着キャッチ用磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、マグネットキャッチとも呼ばれている吸着キャッチ用磁石は、例えば特開2001−115723号公報に記載されているように、樹脂等で形成されるケースの中央に本体磁石を取付けた上、この本体磁石を2枚の鉄板でサンドイッチ状に挟み込み、鉄板を磁化して吸着キャッチ用磁石とするものである。
【0003】
そして、例えば、収納ボックスに枢支した開き戸の先端部内面に、金属性の被吸着板を固着し、この被吸着板と前記2枚の鉄板とで磁気回路を形成し、その磁場によって着脱自在に吸着することにより、開き戸を収納ボックスに対して開閉自在としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、本体磁石を挟んでいる2枚の鉄板の側端面である吸着部の面積が小さいため十分な吸着力が得られず、また、該吸着部は鉄板の切断面からなるため表面が平滑ではなく、従って、この凹凸が実質的な吸着面積を左右し、これが吸着力のバラツキ発生の要因になっていた。更に、上記公報に記載の如く、被吸着板と2枚の鉄板との間に間隙を設けたような形態では、被吸着板と2枚の鉄板とが吸着する際、金属粉が発生しにくいというメリットは得られるものの、吸着力が一層低下するという問題を孕んでいた。更にまた、部品点数が多く、組立に手間が掛り、いきおいコスト・アップとならざるを得ないという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、吸着力が大きく、且つ吸着力のバラツキが小さく、更に部品点数が少なく、従って、組立が容易な吸着キャッチ用磁石を安価に提供することを目的にする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意研究の結果、磁束が吸着作用面に集中する特別な配向のプラストマー磁石(プラスチック磁石)、エラストマー磁石(ゴム磁石)、プラストマー及びエラストマーからなる磁石を用いることにより所期の目的が達成されることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、磁性粉とプラストマー及び/又はエラストマーとを主成分とする磁石組成物からなる磁石であって、平面又は被吸着面に沿った形状からなる吸着作用面を有し、磁性粉の磁化容易軸が吸着作用面から磁石内部を通り再び吸着作用面に戻ってくるように配向されていることを特徴とする吸着キャッチ用磁石を内容とする(請求項1)。
【0008】
好ましい態様としての請求項2は、吸着非作用面に取付部を設けた請求項1記載の吸着キャッチ用磁石である。
【0009】
好ましい態様としての請求項3は、取付部が磁石組成物からなり、磁石と接合されている請求項2記載の吸着キャッチ用磁石である。
【0010】
好ましい態様としての請求項4は、取付部が非磁性金属又は合成樹脂からなり、磁石と接合されている請求項2記載の吸着キャッチ用磁石である。
【0011】
好ましい態様としての請求項5は、取付部がビス孔を有する平板部からなる請求項2〜4のいずれか1項に記載の吸着キャッチ用磁石である。
【0012】
好ましい態様としての請求項6は、取付部がネジ部からなる請求項2〜4のいずれか1項に記載の吸着キャッチ用磁石である。
【0013】
好ましい態様としての請求項7は、取付部が磁石収容部を有する請求項5又は6記載の吸着キャッチ用磁石である。
【0014】
好ましい態様としての請求項8は、取付部が磁石組成物からなり、磁石と一体成形されている請求項2記載の吸着キャッチ用磁石である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の吸着キャッチ用磁石は、磁性粉とプラストマー及び/又はエラストマーとを主成分とする磁石組成物からなると共に、吸着作用面が平面又は被吸着面に沿った形状からなり、磁性粉の磁化容易軸が吸着作用面から磁石内部を通り再び吸着作用面に戻ってくるように配向されていることを特徴とする。
尚、被吸着面は、通常、平面からなることが多く、従って、本発明の吸着キャッチ用磁石の吸着作用面も、通常、平面からなるが、被吸着面が、例えば球面や円弧面からなる場合は、本発明の吸着キャッチ用磁石の吸着作用面も球面や円弧面とする必要がある。
【0016】
即ち、図8に示すように、本発明の吸着キャッチ用磁石は、磁石17を構成する磁性粉の磁化容易軸20が吸着作用面18から磁石17の内部を通り、再び吸着作用面18に戻ってくるように配向されている。図中、19は吸着非作用面である。
【0017】
本発明に用いられる磁性粉としては、フエライト系磁性粉、アルニコ系磁性粉及びサマリウム−コバルト系磁性粉やネオジム−鉄−ボロン系磁性粉、サマリウム−鉄−窒素系磁性粉等の希土類元素を含む磁性粉など、従来公知のものいずれもが使用でき、その平均粒子径については、通常、フエライト系では0.5〜2.0μm程度、その他のものでは2〜50μm程度が利用される。
【0018】
本発明に用いられるバインダーとしてのプラストマー(プラスチック)及びエラストマーについても、従来公知のものが使用できる。
本発明に用いられるプラストマーとしては、例えば、、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、芳香環を含む芳香族ポリアミド(アラミド)などのポリアミド系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン及びポリプロピレンなどを単独又は共重合したポリオレフィン系樹脂;ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリサルフォン(PSU)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、液晶樹脂、エポキシ系樹脂,フエノール系樹脂等が挙げられ、これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
【0019】
本発明に用いられるエラストマーとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPN、EPDM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、シリコンゴム(MQ、PMQ)、フッソゴム(FKM)、エチレン−アクリルゴム、ウレタンゴム(EU、AU)、エチレン−酢酸ビニル共重合体エラストマー、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)等が挙げられ、これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
【0020】
これらの中で、特に塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体は、磁性粉の充填性が良いので、磁気特性をはじめとする物理的特性が共に優れたものが得られるので好ましい。
【0021】
上記プラストマー及びエラストマーは、単独で又は必要に応じ組み合わせて用いられるが、弾力性に富み、衝撃の吸収緩和に優れ、被吸着板が磁石に吸着される際の衝撃が緩和され吸着音が静かであり、更に、磁石の寿命を長くする点からはエラストマーが好ましい。
【0022】
磁性粉とバインダーとしてのプラストマー及び/又はエラストマーとの配合割合は、磁性粉が35〜75vol%、好ましくは60〜72vol%、プラストマー及び/又はエラストマーが65〜25vol%、好ましくは40〜28vol%の範囲である。磁性粉が35vol%未満では吸着力が不十分で、一方、75vol%を越えると溶融粘度が高くなり射出成形が困難となり、また射出成形できたとしても、ひび割れが発生したり、吸着キャッチ用磁石として繰り返し使用している間に割れるというトラブルが発生し易くなる。
なお、その他にも、従来から常用される可塑剤や抗酸化剤、表面処理剤などを目的に応じて使用できることはいうまでもない。
【0023】
本発明の吸着キャッチ用磁石を射出成形により製造する際の基本的磁気回路を図9に示す。図9に示したように、非磁性体24の中にキャビティ21を形成し、このキャビティ21の一方側で且つ磁石の吸着作用面となる側に、永久磁石22、強磁性体23を順次配設して構成している。そして、このように構成した磁気回路によって、図示した如く、磁性粉の磁化容易軸が吸着作用面から磁石内部を通り、再び吸着作用面に戻ってくるように配向した磁石が形成される。
【0024】
射出成形は、キャビティ充填時の粘度が低く、冷却固化するまでの磁場印加時間、即ち、配向時間を十分に確保できるので、低コストで品質の良好な永久磁石を得ることができるので特に好適である。反応射出成形(RIM)は特別な成形システムが必要となるが、射出成形の長所を兼ね備えた成形方法として使用することができる。
【0025】
本発明の吸着キャッチ用磁石は、上記射出成形の他、圧縮成形、押出成形等によっても得られる。
押出成形は連続した長尺物を製造し、これを所望の長さにカットして使用でき、また金型も安価であるという利点を有する。押出成形は、押出し直後に形状を保持させるため粘度を高く設定する必要があり、また配向磁場の印加時間が短いために配向度が上がらず、その結果、磁気特性の高い製品が得られ難い場合がある。従って、押出し速度を遅くして磁場配向時間を長くする必要がある。
【0026】
圧縮成形は磁性粉により成形できない場合があり、例えば、平均粒径が1〜5μm程度の粒径の小さいフェライトやSmFeN系の磁性粉は、特に薄物の磁石を得る場合、グリーン成形時にブリッジを起こしキャビティ内にスムーズに導入されず、所謂充填不良を起こす場合がある。その結果、製品に空隙が発生し、機械的強度が不良となり、誤って落下させたような場合に、破損し易くなる傾向がある。
【0027】
磁場配向励磁方法は、既に知られた永久磁石方式と電磁石方式が使用できる。希土類系の磁性粉を用いた場合は、印加磁場が大きく期待できる電磁石方式が有利であるが、フェライト系の場合は、永久磁石使用の方が金型をコンパクトにできる利点がある。
磁場配向励磁用の永久磁石としては、既に知られたネオジム−鉄−ボロン系焼結磁石、サマリウム−コバルト系焼結磁石が好適に使用できる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の吸着キャッチ用磁石の実施例を図面に基ずいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
【0029】
実施例1
本実施例の吸着キャッチ用磁石を図1(a)、(b)、(c)を用いて説明する。図1(a)は平面図、図1(b)はX−X断面図、図1(c)は側面図である。
【0030】
本実施例の吸着キャッチ用磁石は、図1(a)、(b)に示したように、磁石本体1は、前述したそれぞれの磁性粉と、プラストマー及び/又はエラストマーとを主成分とする磁石組成物からなると共に、吸着作用面2が平面又は被吸着面に沿った形状に成形され、更に、図1(c)に示したように、磁性粉の磁化容易軸3が吸着作用面2から磁石内部を通り再び吸着作用面に戻ってくるように配向されて着磁されている。
【0031】
一方、本吸着キャッチ用磁石は、食器棚等の収納ボックスの開口部の先端(図示せず)付近に固設されるように、この磁石本体1を保持するための取付部としては、取付ビス孔4と接合ビス孔5とを有する平板6を備え、磁石本体1はこの平板6にビス7によって固着される。また平板6の材料としては、磁石組成物であっても良いが、全体の剛性やコストの点からはプラスチック或いは非磁性金属が好適である。
【0032】
実施例2
実施例1では、磁石本体1と、取付部となる平板6とを別々に製作した後、この両者をビス7によって固着した例を示したが、本実施例の吸着キャッチ用磁石は、図2に示すように、この磁石本体1と平板6とを接着剤8によって接合した例である。本実施例の構成によれば、接着剤8の厚みを適宜選択すれば、この接着剤8と磁石本体1の両方の弾性も利用できるので、静音性を特に要求されるキャビネット等に用いれば効果的である。
【0033】
実施例3
本実施例の吸着キャッチ用磁石は、図3に示すように、磁石本体1と前述の図2に示した取付部である平板6とを一体成形した形態の吸着キャッチ用磁石である。本実施例によれば、磁石本体1は取付部の厚み相当分厚く形成され、また取付ビス孔4を有する取付部も磁石本体1と同じ磁石組成物によって形成されているので、磁石の吸着力がそれだけ大きくなる。また、取付部としての平板も磁石と同時に成形でき、取付ビス孔も成形時に形成されるので、生産性が大巾に高められる。
【0034】
実施例4
本実施例の吸着キャッチ用磁石は、図4(a)、(b)に示すように、実施例2に示した取付部である平板6の中央に磁石収容部9を設け、この磁石収容部9内に磁石本体1を装着した形態である。装着する手段としては、磁石本体1をやや大きく仕上げた上で磁石収容部9内に圧入したり、また、このとき磁石収容部9の底に接着剤を塗布した上で挿設したり、更に、実施例1で説明したように、ビスによって磁石本体1を固設する方法もある。なお、この形態での磁石収容部9の材料としては、コストや生産性から合成樹脂が好適である。
【0035】
実施例5
本実施例の吸着キャッチ用磁石は、図5(a)、(b)に示すように、取付部がネジ部を形成している形態からなる。即ち、本実施例は実施例1に対応するもので、実施例1の取付部が平板6を形成した形態であるのに対しネジ部12を形成している。
磁石本体1Aには、吸着作用面側の中央に溝10が設けられ、またこの溝10の両側には接合ビス孔5が穿設され、さらに溝10の反対側の吸着非作用面には凹部11が設けられている。そして取付部であるネジ部12の根元13には、接合ビス孔5に対応してネジ穴14が螺設された上凹部11と嵌合され、ビス7によって磁石本体1Aと固着される。この形態の吸着キャッチ用磁石は、溝10を利用してドライバー等の工具で簡単に取付が可能である。なお、取付部であるネジ部12の材料としては非磁性金属が好適である。また、図5(a)、(b)では磁石本体1Aを円筒形状として示しているが、この形状に限らず、四角形や六角形等の多角形状にすれば、スパナ等の工具でネジ込んで取り付けられるので、溝10を省略することができる。
【0036】
実施例6
本実施例の吸着キャッチ用磁石は、図6(a)、(b)に示すように、取付部が磁石本体と一体成形された形態の吸着キャッチ用磁石である。この形態では、上記実施例3と同様、一体成形のため生産性が良いという利点があると共に、取付部であるネジ部12は磁石本体1Aの磁石組成物と同一材料になるため、実施例3と同様、磁石の吸着力がそれだけ大きくなる。なお、この形態ではネジ部を螺設して固定するので、ネジ部12及び溝10にある程度の硬度が要求され、従ってエラストマー磁石よりもプラストマー磁石の方が実用的である。エラストマー磁石の場合は、予めネジ部12と略同じ大きさのネジ部を設けておき、螺設することが望ましい。
【0037】
実施例7
本実施例の吸着キャッチ用磁石は、図7(a)、(b)に示すように、取付部がネジ部であって、且つ磁石収容部を有する形態の吸着キャッチ用磁石である。図7から明かのように、溝10を有し断面視T字状の磁石本体1Aが、これと同形状のT字状凹部15を有する収容部付ネジ部16に嵌合して一体となって機能するものである。この形態では取付部でもある収容部付ネジ部16の材料としては非磁性金属を用いれば溝10が収容部付ネジ部16の上端部にも設けられるので、取付の際強固に締められるというメリットがあり、また、磁石本体1Aが深さ方向に大きくとれるのでそれだけ強力な磁石を実現できる。
【0038】
【発明の効果】
叙上のように、本発明の吸着キャッチ用磁石によれば、磁性粉とプラストマー及び/又はエラストマーとを主成分とする磁石組成物からなり、磁性粉の磁化容易軸が吸着作用面から磁石内部を通り再び吸着作用面に戻ってくるように配向された磁石であって、且つ、吸着作用面が平面又は被吸着面に沿った形状に形成した磁石としたことにより、従来の磁石と2枚の鉄板とからなる吸着キャッチ部材に比べて、磁束が有効に利用されるとともに、吸着面積が大巾に広くなり、従って、吸着力が飛躍的に高められる。
【0039】
また、従来の如く、鉄板の切断端面である吸着面の凹凸により吸着面積が左右されることがなく、平滑な吸着表面が得られるので、吸着力にバラツキのない吸着キャッチ用磁石を提供することができる。
【0040】
更に、本発明の吸着キャッチ用磁石は、従来の如く、2枚の鉄板を必要としないから、それだけ部品点数が少なく、組立作業性が良好で、特に、取付部を磁石と一体化した場合は、取付部の製造工程及び取付部と磁石との取付工程が不要となり、作業性は飛躍的に高められる。
【0041】
更にまた、本発明の吸着キャッチ用磁石はプラストマー磁石(プラスチック磁石)、エラストマー磁石(ゴム磁石)、プラストマー及びエラストマーよりなる磁石からなるので、衝撃の吸収緩和に優れており、その結果、被吸着板が磁石に吸着される際の衝撃が緩和され、従って吸着音も静かで、且つ磁石の耐久性に優れるという利点がある。特にエラストマー磁石(ゴム磁石)は弾性に富むので、これらの効果が一層大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施例1の吸着キャッチ用磁石の平面図である。
(b)同磁石のX−X断面図である。
(c)同磁石の磁化容易軸を示した側面図である。
【図2】本発明の実施例2の吸着キャッチ用磁石の側面図である。
【図3】本発明の実施例3の吸着キャッチ用磁石を三方向から見た三面図である。
【図4】(a)本発明の実施例4の吸着キャッチ用磁石の平面図である。
(b)同磁石のY−Y断面図である。
【図5】(a)本発明の実施例5の吸着キャッチ用磁石の部分断面図である。
(b)同磁石の平面図である。
【図6】(a)本発明の実施例6の吸着キャッチ用磁石の部分断面図である。
(b)同磁石の平面図である。
【図7】(a)本発明の実施例7の吸着キャッチ用磁石の部分断面図である。
(b)同磁石の平面図である。
【図8】吸着キャッチ用磁石の磁化容易軸を模式的に示した説明図である。
【図9】吸着キャッチ用磁石を得るための磁気回路を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
1、1A 磁石本体
2 吸着作用面
3 磁化容易軸
4 取付ビス孔
5 接合ビス孔
6 平板
7 ビス
8 接着剤
9 磁石収容部
10 溝
11 凹部
12 ネジ部
13 根元
14 ネジ穴
15 T字状凹部
16 収容部付ネジ部
17 磁石
18 吸着作用面
19 吸着非作用面
20 磁化容易軸
21 キャビティ
22 永久磁石
23 強磁性体
24 非磁性体
Claims (8)
- 磁性粉とプラストマー及び/又はエラストマーとを主成分とする磁石組成物からなる磁石であって、平面又は被吸着面に沿った形状からなる吸着作用面を有し、磁性粉の磁化容易軸が吸着作用面から磁石内部を通り再び吸着作用面に戻ってくるように配向されていることを特徴とする吸着キャッチ用磁石。
- 吸着非作用面に取付部を設けた請求項1記載の吸着キャッチ用磁石。
- 取付部が磁石組成物からなり、磁石と接合されている請求項2記載の吸着キャッチ用磁石。
- 取付部が非磁性金属又は合成樹脂からなり、磁石と接合されている請求項2記載の吸着キャッチ用磁石。
- 取付部がビス孔を有する平板部からなる請求項2〜4のいずれか1項に記載の吸着キャッチ用磁石。
- 取付部がネジ部からなる請求項2〜4のいずれか1項に記載の吸着キャッチ用磁石。
- 取付部が磁石収容部を有する請求項5又は6記載の吸着キャッチ用磁石。
- 取付部が磁石組成物からなり、磁石と一体成形されている請求項2記載の吸着キャッチ用磁石。
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JP2018092203A (ja) * | 2018-03-27 | 2018-06-14 | パナソニック株式会社 | 表示装置取付治具 |
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-
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- 2002-09-03 JP JP2002257476A patent/JP2004095988A/ja active Pending
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