JP2004095212A - 温度ヒューズおよび温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】感温ペレット型温度ヒューズにおいて、高温保管等による感温ペレットの昇華、軟化圧縮、軟化変形を抑制した、保管環境や使用環境の影響を受け難く、信頼性の高い、製造工程の変更の少ない感温ペレット型温度ヒューズとこの感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法を提供する。
【解決手段】感温ペレットに融点の異なる少なくとも二種以上の感温材を用いて、感温ペレット型温度ヒューズの目的とする動作温度で溶融する融点を有する感温材を主組成とし、主組成よりも高い融点を有する他の感温材を副組成として、各々の感温材をそれぞれ造粒後、所定の体積比率になるように配合して混合し、一つの感温ペレットとする。
【選択図】 図1
【解決手段】感温ペレットに融点の異なる少なくとも二種以上の感温材を用いて、感温ペレット型温度ヒューズの目的とする動作温度で溶融する融点を有する感温材を主組成とし、主組成よりも高い融点を有する他の感温材を副組成として、各々の感温材をそれぞれ造粒後、所定の体積比率になるように配合して混合し、一つの感温ペレットとする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は過昇温による機器の破損を防止するために使用される温度ヒューズに関し、特に感温材に特定の融点を持つ絶縁性の化学物質を使用する感温ペレット型温度ヒューズに関する。また、本発明は感温ペレット型温度ヒューズの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子、電気機器を過熱損傷から保護する保護素子として、特定温度で作動して回路を遮断する温度ヒューズが用いられている。この種の温度ヒューズには感温材として特定温度で溶融する低融点合金を用いたものと絶縁性の化学物質よりなる感温ペレットを用いたものとがある。
【0003】特に後者の感温ペレット型温度ヒューズの代表的なものは図4に示す構造を有する。図4は従来の感温ペレット型温度ヒューズの縦断面図であり、図5はその感温ペレット型温度ヒューズの動作後の状態を示す縦断面図である。図4において、良導電性および良熱伝導性の金属を用いた円筒型金属ケース1の一端にリード線2がかしめ固定されている。金属ケース1内に特定温度で溶融する絶縁性の化学物質よりなる円柱状の感温ペレット44、次いで強圧縮スプリング7の弾性力を感温ペレット44に平均して押圧するための円板5、次いで円板5、6の間に圧縮状態で介在する閉回路用の強圧縮スプリング7、強圧縮スプリング7の弾性力を可動電極8に平均して押圧するための前記円板5と同一の円板6、良導電性の金属よりなりその周縁部に金属ケース1の内面に押圧接触している複数個の舌片を有する可動電極8が収容されている。また、金属ケース1の他端開口部を絶縁性セラミックス等からなる絶縁碍管10により閉塞し、大径部の内方端は金属ケース1に形成された段部に係合されており、かつ金属ケース1の開口端の絶縁碍管10よりも張り出す部分は中心軸に向かって屈曲されており、絶縁碍管10が金属ケース1の内方および外方に移動するのを防止している。リード線3が絶縁碍管10の中心孔を貫通しており、リード線3の内方向端が前記可動電極8と接触する接点となり、かつその接点近傍および絶縁碍管10の外側に隣接する部分に膨大部をそれぞれ設けて、リード線3が絶縁碍管10の内方および外方に移動するのを防止している。弱圧縮スプリング9が可動電極8と絶縁碍管10との間に配置され、定常状態において前記強圧縮スプリング7により圧縮された状態にある。また、絶縁碍管10の外方向を封止樹脂11により封止する。
【0004】上記の構成における感温ペレット型温度ヒューズを電子、電気機器に直列に接続し、かつ電子、電気機器の異常温度上昇を検知したい箇所に配置することによって感温ペレット型温度ヒューズを介して電子、電気機器に通電することができる。常温時は感温ペレット44が固体であり、強圧縮スプリング7は弱圧縮スプリング9の弾性力に抗して可動電極8をリード線3の内方向端に強く押圧接触させている。したがって、リード線2―金属ケース1―可動電極8―リード線3が導通状態に保持されている。しかし、電子、電気機器の短絡等に起因する異常発生によって、異常温度上昇を検知したい箇所の温度が感温ペレット型温度ヒューズの動作温度にまで上昇すると、感温ペレット44が溶融し、従って強圧縮スプリング7が伸張してその弾性力が減少する結果、弱圧縮スプリング9が伸張するので可動電極8がリード線3の内方向端から離開してリード線2、3間が非導通状態となる。このことによって、電子、電気機器への通電が停止されて電子、電気機器のそれ以上の温度上昇が阻止され、電子、電気機器の過熱損傷あるいはそれに起因する火災発生が未然に阻止される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように感温ペレットを用いる温度ヒューズは、感温ペレットを構成する感温材として通常は比較的純粋な単一の化学物質粉末が使用されており、この化学物質粉末を造粒し所定の形状に成形加工して感温ペレットとする。この感温ペレットを構成する感温材の化学物質粉末の材質は、個々の特性に差が有り、相対的に昇華性の大きいものや軟化変形を起こしやすいものがある。このため、実際に使用される条件によっては、感温ペレットの昇華、軟化圧縮、軟化変形により動作する温度よりも低い温度で温度ヒューズが動作することが考えられる。
【0006】上記した温度ヒューズの動作温度より低い温度で動作することに対して、実開昭57−94142には、金属ケースに圧縮スプリングの感温ペレット側に介在された円板の前面周辺部に密着する筒体を挿入する方法が、また実開昭57−103647には、金属ケースに弾性リングを挟んだ2枚の押圧板を感温ペレットと強圧縮スプリング間に挿入する方法が開示されている。いずれも感温ペレットが露出する金属ケース内部の空間を小さくして感温ペレットの昇華を減少させる方法であるが、いずれも部品点数と組立工数が増加し、また構造が複雑になるという問題もあった。これらのことから、本発明の目的は、感温ペレット型温度ヒューズを保管する環境や使用する環境の影響を受け難く信頼性の高い、製造工程の変更の少ない感温ペレット型温度ヒューズを提供することにある。また、本発明の目的は、上記感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による感温ペレット型温度ヒューズは、感温ペレットに融点の異なる少なくとも二種以上の化学物質粉末を用いたことを特徴とする温度ヒューズである。この感温ペレットは、感温ペレット型温度ヒューズの目的とする動作温度で溶融する融点を有する化学物質粉末を主組成として、その主組成が感温ペレットの60〜95体積%を構成し、残部を主組成より高い融点を有する他の化学物質粉末を副組成として構成することを特徴とする。
【0008】前記感温ペレットは、構成する化学物質粉末をそれぞれ造粒し、造粒後所定の体積比率になる分量を混合したものを、ペレット成形し一つの感温ペレットとするものである。また、この時、用いる化学物質粉末によっては、共融混合物となり、元の融点と異なる共融点を有するように化学物質粉末を調整して用いる方法が、特許第2551754号に開示されている。このような化学物質粉末を、本発明のように、共融混合物とならないように用いる場合において、感温ペレットを構成する化学物質粉末をそれぞれ所定の体積比になるようにそれぞれペレットに成形し、成形後それぞれを軸方向に沿って重ねて並べて金属ケースに収容し、一つの感温ペレットとするものである。このとき、各々に成形されたペレットを接触しないように区分する仕切りをペレット間に介在させて重ねて金属ケースに収容し、一つの感温ペレットとすることもできるものである。
【0009】上記のような構成により、従来の単一組成で構成された感温ペレットを用いる場合と比較して、感温ペレットの昇華量を低減でき、軟化圧縮、軟化変形のしにくい感温ペレットが得られる。この感温ペレットを用いることにより、保管環境や使用環境の条件に影響されない、高信頼性の感温ペレット型温度ヒューズが得られるものである。
【0010】本発明による感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法は、感温ペレットに融点の異なる少なくとも二種以上の特定の温度で溶融する化学物質粉末をそれぞれ別々に造粒し、造粒後それぞれを所定の体積比率となるように混合しペレット成形することを特徴とする感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法である。また、本発明による感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法は、感温ペレットに融点の異なる少なくとも二種以上の特定の温度で溶融する化学物質粉末をそれぞれ別々に造粒し、造粒後それぞれを所定の体積比率となるように各々ペレット成形し、ペレット成形後軸方向に沿って重ね合わせて金属ケースに収容し一つのペレットとすることを特徴とする感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法であり、さらに、各々ペレット成形した後仕切り板を介在させて軸方向に沿って重ね合わせて金属ケースに収容し、一つのペレットとすることもできることを特徴とする感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明による感温ペレット型温度ヒューズは、良導電性と良熱伝導性を有する金属ケースと、この金属ケースの一端に接続されたリード部材と、金属ケース内部の前記リード部材を接続した側から感温ペレット、強圧縮スプリング、スプリングの押圧を感温ペレットと可動電極に平均して伝えるために前記強圧縮スプリングを狭持する円板と、金属ケース内周壁と電気的に接続する可動電極と、この可動電極を押圧する弱圧縮スプリングとを収容し、この金属ケースの他端開口部を閉塞した絶縁碍管とこの絶縁碍管の中心を貫通配置しその先端部が前記可動電極と電気的に接触するリード部材と、この絶縁碍管が閉塞した金属ケース開口部を封止する封止樹脂からなる。
【0012】前記感温ペレットは、感温材として融点の異なる少なくとも二種以上の特定の温度で溶融する絶縁性の化学物質粉末を用いて構成し、主組成として温度ヒューズが目的とする動作温度で作動するための融点を有する化学物質粉末(以下主組成という)と、副組成として一種以上の、主組成より高い融点を有する化学物質粉末(以下副組成という)とから構成される。感温ペレットに用いる各化学物質粉末をそれぞれ造粒し、造粒した後、所定の体積比率で配合し混合され、感温ペレットに成形加工する。このときの体積比率は、主組成の体積比率を、主組成のみを用いて作製された感温ペレットの体積に対して、60〜95体積%とし、副組成の体積比率をその残部の5〜40体積%とするものである。
【0013】このような構成の感温ペレットを用いることによって、温度ヒューズの動作温度より低い動作温度近傍の温度で保管がなされる場合や、その保管の条件下におけるスプリングの押圧によって生じる感温ペレットの昇華、軟化圧縮、軟化変形等に対して、感温ペレットの主組成の構成体積比分かつこの構成体積比率に従う金属ケース内空間への表面露出比率分だけ主組成の昇華量が減少し、また主組成の構成体積比率分かつ主組成より高融点すなわち主組成より昇華、軟化しにくい副組成を選択しこれを混合しているため感温ペレットとしての軟化圧縮、軟化変形の抑止に効果があるものである。また、この高融点の副組成を混合しているため感温ペレットとしての成形強度も増加するものである。
【0014】上記構成のように感温ペレットの主組成の構成体積比率が60〜95体積%、副組成が残部をなす条件範囲において、感温ペレット型温度ヒューズとしての動作性能を満足し、かつ化学物質粉末の少なくとも二種以上混合の効果である感温ペレットの昇華率の減少、軟化圧縮、軟化変形の抑制の効果が得られるものである。主組成の構成体積比率が60体積%より小さくなると温度ヒューズの目的とする動作温度での動作特性を満足できなくなる。すなわち、温度ヒューズの溶断温度のばらつきや溶断速度にばらつきが生じる。また、主組成の構成体積比率が95体積%より大きくなると、主組成より高融点の副組成を混合する効果が得られなくなる。すなわち、感温ペレットとしての昇華、軟化圧縮、軟化変形を抑制する効果が得られなくなる。一般的には、主組成の構成体積比率が70体積%、副組成が残部30体積%を構成する条件が、温度ヒューズとしての動作性能を満足し、感温材を少なくとも二種以上混合する効果が得られ、かつ構成体積割合が小さいため形状が小さくなる副組成の感温ペレットの生産性や製造歩留等をも満足できる好適な条件である。しかし、上述した条件については、感温ペレットに用いられる化学物質粉末の物理的特性や温度ヒューズの形状、サイズによって異なるものであり、本発明は、上述した条件に限定するものではない。
【0015】この感温ペレットを用いた感温ペレット型温度ヒューズによって、保管環境や使用環境の温度条件に影響を受け難く、感温ペレットの昇華、軟化圧縮、軟化変形を防止できるため、信頼性の高い感温ペレット型温度ヒューズがえられる。そして、この感温ペレットを用いた温度ヒューズを電子、電気機器に直列に接続し、かつ電子、電気機器の異常温度上昇を検知したい箇所に配置することによって感温ペレット型温度ヒューズを介して電子、電気機器に通電することができる。そして、電子、電気機器の短絡等に起因する異常発生によって、異常温度上昇を検知したい箇所の温度が感温ペレット型温度ヒューズの動作温度にまで上昇すると、感温ペレットが溶融し、従って強圧縮スプリングが伸張してその弾性力が減少する結果、弱圧縮スプリングが伸張するので可動電極がリード線の内方向端から離開してリード線間が非導通状態となる。このことによって、電子、電気機器への通電が停止されて電子、電気機器のそれ以上の温度上昇が阻止され、電子、電気機器の過熱損傷あるいはそれに起因する火災発生が未然に阻止される。
【0016】
【実施例1】
図1は本発明の実施例を示す感温ペレット型温度ヒューズの縦断面図である。本実施例による感温ペレット型温度ヒューズAは、銅、黄銅などの良導電性で良熱伝導性の円筒型金属ケース1とこの円筒型金属ケース1の一端にかしめ固定された銅からなるリード線2と、この円筒型金属ケース1内にリード線2が接続された側から収容された融点の異なる2種の感温材を混合して得られる感温ペレット4、強圧縮スプリング7を狭持した押圧板5、6、強圧縮スプリング7、良導電性で適度の弾性を有する銀合金の可動電極8、円筒型金属ケース1の他端の開口部を閉塞するアルミナセラミックスからなる絶縁碍管10、この絶縁碍管の中心を挿通して内方向端で可動電極8と接触する銅からなるリード線3、前記絶縁碍管10と可動電極8の間に圧縮して介在される弱圧縮スプリング9とから構成される。そして、円筒型金属ケース1の開口部とそれを閉塞する絶縁碍管10の外方部を封止樹脂11によって封止する。
【0017】感温ペレット4には、例えば、動作温度76℃の化学物質粉末を主組成とし、動作温度83℃の化学物質粉末を副組成として用いる。各化学物質粉末をそれぞれ別々に造粒機により造粒し、造粒後主組成と副組成とを体積比率7:3となるように配合し攪拌式混合機により混合して、所定のペレットの形状にプレス成形機を用いてプレス成形加工により作製する。
【0018】この感温ペレット4を用いた感温ペレット型温度ヒューズAを使用することによって、感温ペレット型温度ヒューズAの動作温度以下で動作温度近傍の温度、この場合、例えば70℃程度の温度で保管等なされた場合、感温ペレットが主組成のみで構成されている場合に比較して、感温ペレット4の昇華率および軟化変形率が、主組成の構成体積比率分かつそれに従う感温ペレット型温度ヒューズAの金属ケース1の内部空間への表面積露出比率分すなわち70%に減少し、感温ペレット4の体積減少や形状変化に起因する、可動電極8がリード線3の内方向端から開離する方向へ移動するために生じる、温度ヒューズの動作温度よりも低い温度で温度ヒューズが動作するという誤動作を解消することができる。
【0019】
【実施例2】
次に本発明による第2の実施例を図2を用いて説明する。図2は本発明による第2の実施例を示す感温ペレット型温度ヒューズの縦断面図である。感温ペレット型温度ヒューズの感温材として融点の異なる二種以上の化学物質粉末を混合して用いる場合、用いる化学物質粉末によっては、混合することによって感温材の元の融点と異なる融点を有するようになることがある。
【0020】このような場合、本実施例における感温ペレット型温度ヒューズBは、主組成をペレットの体積の70体積%になるようにプレス成形機によりプレス成形加工したペレット24aと、副組成をペレットの30体積%になるようにプレス成形機によりプレス成形加工したペレット24bとを作製し、各ペレットを軸方向に沿って重ねて円筒型金属ケース1に収容し一つの感温ペレットとして用いる。このように感温ペレットを作製し用いることによって、反応等を起こし融点降下等させるような感温材の組み合わせ等の選択をした場合に、反応等を防いで使用することに適し、また新たに混合設備を使用することなく、既存のペレット成形加工設備、例えばプレス成形機の金型を変更するのみで既存の設備を用いることができ、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0021】また、このとき図3に示すように、前記主組成のペレット24aと副組成のペレット24bとの間にNiやステンレス等からなる仕切り板25を介在させて軸方向に沿って重ねて合わせて一つの感温ペレットとして円筒型金属ケース1に収容して用いることによって、各々のペレット同士の接触面において互いに融点を異ならせるような化学反応等を起こすことをより効果的に防ぐことができる構造とすることができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明による感温ペレット型温度ヒューズは、感温ペレットに融点の異なる少なくとも二種以上の化学物質粉末を用い、その温度ヒューズの目的とする動作温度で溶融する融点を有する化学物質粉末を主組成として感温ペレットの60〜95体積%を構成し、副組成として主組成よりも融点が高い化学物質粉末を一種以上用い、感温ペレットの残部を構成することを特徴とし、感温ペレットを構成する各化学物質粉末をそれぞれ造粒し、造粒後所定の構成体積比率となるように配合し混合して一つの感温ペレットとすることから、温度ヒューズの動作温度近傍の温度で保管等なされた場合に生じる感温ペレットの昇華による体積減少やスプリングの押圧による軟化変形等を抑制し、温度ヒューズの動作温度より低い温度で温度ヒューズが動作することを防ぐものである。また、感温ペレットに融点の異なる二種以上の化学物質粉末を用いる別の形態として、選択した化学物質粉末を各々所定の体積比率になるようにペレット成形し重ねて一つの感温ペレットとして用いることによって、新たに混合設備等を用意することなく従来の設備を用いることができる。このとき、感温ペレットに融点の異なる二種以上の化学物質粉末を用いる場合、選択する材料同士が反応等起こしうる場合には、各々の化学物質粉末のみで所定の体積比率になるようにペレット成形加工し、各ペレット間に仕切りを設けて重ねて一つの感温ペレットとすることによって、各ペレットの接触面での化学物質粉末同士の反応等により、融点が元の化学物質粉末の融点と変化したりすること等をより効果的に防ぐ構造とすることができる。
【0023】本発明はまた、感温ペレット型温度ヒューズの製造方法において、感温ペレットの感温材として、融点の異なる少なくとも二種以上の化学物質粉末をそれぞれ別々に造粒する工程と、造粒粉を所定の比率で混合する工程と、この混合粉をペレット成形する工程とを有することを特徴とする感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法であり、また別の形態として感温ペレットの感温材として融点の異なる少なくとも二種以上の化学物質粉末をそれぞれ別々に造粒する工程と、造粒粉を所定の割合でそれぞれペレット成形する工程と、それぞれ成形したペレットを重ね合わせて金属ケースに収容し一つの感温ペレットとする工程とを有する感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法であり、このとき、感温ペレットの感温材として融点の異なる少なくとも二種以上の化学物質粉末をそれぞれ別々に造粒する工程と、造粒粉を所定の割合でそれぞれペレット成形する工程と、それぞれ成形したペレットの間に仕切り板を介在させて重ね合わせて金属ケースに収容し一つの感温ペレットとする工程とを有することもできる感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法であることから、上記のような効果を有する感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す感温ペレット型温度ヒューズの縦断面図。
【図2】本発明の第2の実施例を示す感温ペレット型温度ヒューズの縦断面図。
【図3】本発明の第2の実施例において仕切り板を介在させた感温ペレットを有する感温ペレット型温度ヒューズの縦断面図。
【図4】従来の感温ペレット型温度ヒューズを示す縦断面図。
【図5】従来の感温ペレット型温度ヒューズの動作後の状態を示す縦断面図。
【符号の説明】
1 円筒型金属ケース
2、3 リード部材
4、24a、24b、44 感温ペレット
5、6 円板
7 強圧縮スプリング
8 可動電極
9 弱圧縮スプリング
10 絶縁碍管
11 封止樹脂
25 仕切り板
A 本発明の第1の実施例による感温ペレット型温度ヒューズ
B 本発明の第2の実施例による感温ペレット型温度ヒューズ
C 本発明の第2の実施例において仕切り板を介在させた感温ペレットを有する感温ペレット型温度ヒューズ
D 従来の感温ペレット型温度ヒューズ
【発明の属する技術分野】
本発明は過昇温による機器の破損を防止するために使用される温度ヒューズに関し、特に感温材に特定の融点を持つ絶縁性の化学物質を使用する感温ペレット型温度ヒューズに関する。また、本発明は感温ペレット型温度ヒューズの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子、電気機器を過熱損傷から保護する保護素子として、特定温度で作動して回路を遮断する温度ヒューズが用いられている。この種の温度ヒューズには感温材として特定温度で溶融する低融点合金を用いたものと絶縁性の化学物質よりなる感温ペレットを用いたものとがある。
【0003】特に後者の感温ペレット型温度ヒューズの代表的なものは図4に示す構造を有する。図4は従来の感温ペレット型温度ヒューズの縦断面図であり、図5はその感温ペレット型温度ヒューズの動作後の状態を示す縦断面図である。図4において、良導電性および良熱伝導性の金属を用いた円筒型金属ケース1の一端にリード線2がかしめ固定されている。金属ケース1内に特定温度で溶融する絶縁性の化学物質よりなる円柱状の感温ペレット44、次いで強圧縮スプリング7の弾性力を感温ペレット44に平均して押圧するための円板5、次いで円板5、6の間に圧縮状態で介在する閉回路用の強圧縮スプリング7、強圧縮スプリング7の弾性力を可動電極8に平均して押圧するための前記円板5と同一の円板6、良導電性の金属よりなりその周縁部に金属ケース1の内面に押圧接触している複数個の舌片を有する可動電極8が収容されている。また、金属ケース1の他端開口部を絶縁性セラミックス等からなる絶縁碍管10により閉塞し、大径部の内方端は金属ケース1に形成された段部に係合されており、かつ金属ケース1の開口端の絶縁碍管10よりも張り出す部分は中心軸に向かって屈曲されており、絶縁碍管10が金属ケース1の内方および外方に移動するのを防止している。リード線3が絶縁碍管10の中心孔を貫通しており、リード線3の内方向端が前記可動電極8と接触する接点となり、かつその接点近傍および絶縁碍管10の外側に隣接する部分に膨大部をそれぞれ設けて、リード線3が絶縁碍管10の内方および外方に移動するのを防止している。弱圧縮スプリング9が可動電極8と絶縁碍管10との間に配置され、定常状態において前記強圧縮スプリング7により圧縮された状態にある。また、絶縁碍管10の外方向を封止樹脂11により封止する。
【0004】上記の構成における感温ペレット型温度ヒューズを電子、電気機器に直列に接続し、かつ電子、電気機器の異常温度上昇を検知したい箇所に配置することによって感温ペレット型温度ヒューズを介して電子、電気機器に通電することができる。常温時は感温ペレット44が固体であり、強圧縮スプリング7は弱圧縮スプリング9の弾性力に抗して可動電極8をリード線3の内方向端に強く押圧接触させている。したがって、リード線2―金属ケース1―可動電極8―リード線3が導通状態に保持されている。しかし、電子、電気機器の短絡等に起因する異常発生によって、異常温度上昇を検知したい箇所の温度が感温ペレット型温度ヒューズの動作温度にまで上昇すると、感温ペレット44が溶融し、従って強圧縮スプリング7が伸張してその弾性力が減少する結果、弱圧縮スプリング9が伸張するので可動電極8がリード線3の内方向端から離開してリード線2、3間が非導通状態となる。このことによって、電子、電気機器への通電が停止されて電子、電気機器のそれ以上の温度上昇が阻止され、電子、電気機器の過熱損傷あるいはそれに起因する火災発生が未然に阻止される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように感温ペレットを用いる温度ヒューズは、感温ペレットを構成する感温材として通常は比較的純粋な単一の化学物質粉末が使用されており、この化学物質粉末を造粒し所定の形状に成形加工して感温ペレットとする。この感温ペレットを構成する感温材の化学物質粉末の材質は、個々の特性に差が有り、相対的に昇華性の大きいものや軟化変形を起こしやすいものがある。このため、実際に使用される条件によっては、感温ペレットの昇華、軟化圧縮、軟化変形により動作する温度よりも低い温度で温度ヒューズが動作することが考えられる。
【0006】上記した温度ヒューズの動作温度より低い温度で動作することに対して、実開昭57−94142には、金属ケースに圧縮スプリングの感温ペレット側に介在された円板の前面周辺部に密着する筒体を挿入する方法が、また実開昭57−103647には、金属ケースに弾性リングを挟んだ2枚の押圧板を感温ペレットと強圧縮スプリング間に挿入する方法が開示されている。いずれも感温ペレットが露出する金属ケース内部の空間を小さくして感温ペレットの昇華を減少させる方法であるが、いずれも部品点数と組立工数が増加し、また構造が複雑になるという問題もあった。これらのことから、本発明の目的は、感温ペレット型温度ヒューズを保管する環境や使用する環境の影響を受け難く信頼性の高い、製造工程の変更の少ない感温ペレット型温度ヒューズを提供することにある。また、本発明の目的は、上記感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による感温ペレット型温度ヒューズは、感温ペレットに融点の異なる少なくとも二種以上の化学物質粉末を用いたことを特徴とする温度ヒューズである。この感温ペレットは、感温ペレット型温度ヒューズの目的とする動作温度で溶融する融点を有する化学物質粉末を主組成として、その主組成が感温ペレットの60〜95体積%を構成し、残部を主組成より高い融点を有する他の化学物質粉末を副組成として構成することを特徴とする。
【0008】前記感温ペレットは、構成する化学物質粉末をそれぞれ造粒し、造粒後所定の体積比率になる分量を混合したものを、ペレット成形し一つの感温ペレットとするものである。また、この時、用いる化学物質粉末によっては、共融混合物となり、元の融点と異なる共融点を有するように化学物質粉末を調整して用いる方法が、特許第2551754号に開示されている。このような化学物質粉末を、本発明のように、共融混合物とならないように用いる場合において、感温ペレットを構成する化学物質粉末をそれぞれ所定の体積比になるようにそれぞれペレットに成形し、成形後それぞれを軸方向に沿って重ねて並べて金属ケースに収容し、一つの感温ペレットとするものである。このとき、各々に成形されたペレットを接触しないように区分する仕切りをペレット間に介在させて重ねて金属ケースに収容し、一つの感温ペレットとすることもできるものである。
【0009】上記のような構成により、従来の単一組成で構成された感温ペレットを用いる場合と比較して、感温ペレットの昇華量を低減でき、軟化圧縮、軟化変形のしにくい感温ペレットが得られる。この感温ペレットを用いることにより、保管環境や使用環境の条件に影響されない、高信頼性の感温ペレット型温度ヒューズが得られるものである。
【0010】本発明による感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法は、感温ペレットに融点の異なる少なくとも二種以上の特定の温度で溶融する化学物質粉末をそれぞれ別々に造粒し、造粒後それぞれを所定の体積比率となるように混合しペレット成形することを特徴とする感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法である。また、本発明による感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法は、感温ペレットに融点の異なる少なくとも二種以上の特定の温度で溶融する化学物質粉末をそれぞれ別々に造粒し、造粒後それぞれを所定の体積比率となるように各々ペレット成形し、ペレット成形後軸方向に沿って重ね合わせて金属ケースに収容し一つのペレットとすることを特徴とする感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法であり、さらに、各々ペレット成形した後仕切り板を介在させて軸方向に沿って重ね合わせて金属ケースに収容し、一つのペレットとすることもできることを特徴とする感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明による感温ペレット型温度ヒューズは、良導電性と良熱伝導性を有する金属ケースと、この金属ケースの一端に接続されたリード部材と、金属ケース内部の前記リード部材を接続した側から感温ペレット、強圧縮スプリング、スプリングの押圧を感温ペレットと可動電極に平均して伝えるために前記強圧縮スプリングを狭持する円板と、金属ケース内周壁と電気的に接続する可動電極と、この可動電極を押圧する弱圧縮スプリングとを収容し、この金属ケースの他端開口部を閉塞した絶縁碍管とこの絶縁碍管の中心を貫通配置しその先端部が前記可動電極と電気的に接触するリード部材と、この絶縁碍管が閉塞した金属ケース開口部を封止する封止樹脂からなる。
【0012】前記感温ペレットは、感温材として融点の異なる少なくとも二種以上の特定の温度で溶融する絶縁性の化学物質粉末を用いて構成し、主組成として温度ヒューズが目的とする動作温度で作動するための融点を有する化学物質粉末(以下主組成という)と、副組成として一種以上の、主組成より高い融点を有する化学物質粉末(以下副組成という)とから構成される。感温ペレットに用いる各化学物質粉末をそれぞれ造粒し、造粒した後、所定の体積比率で配合し混合され、感温ペレットに成形加工する。このときの体積比率は、主組成の体積比率を、主組成のみを用いて作製された感温ペレットの体積に対して、60〜95体積%とし、副組成の体積比率をその残部の5〜40体積%とするものである。
【0013】このような構成の感温ペレットを用いることによって、温度ヒューズの動作温度より低い動作温度近傍の温度で保管がなされる場合や、その保管の条件下におけるスプリングの押圧によって生じる感温ペレットの昇華、軟化圧縮、軟化変形等に対して、感温ペレットの主組成の構成体積比分かつこの構成体積比率に従う金属ケース内空間への表面露出比率分だけ主組成の昇華量が減少し、また主組成の構成体積比率分かつ主組成より高融点すなわち主組成より昇華、軟化しにくい副組成を選択しこれを混合しているため感温ペレットとしての軟化圧縮、軟化変形の抑止に効果があるものである。また、この高融点の副組成を混合しているため感温ペレットとしての成形強度も増加するものである。
【0014】上記構成のように感温ペレットの主組成の構成体積比率が60〜95体積%、副組成が残部をなす条件範囲において、感温ペレット型温度ヒューズとしての動作性能を満足し、かつ化学物質粉末の少なくとも二種以上混合の効果である感温ペレットの昇華率の減少、軟化圧縮、軟化変形の抑制の効果が得られるものである。主組成の構成体積比率が60体積%より小さくなると温度ヒューズの目的とする動作温度での動作特性を満足できなくなる。すなわち、温度ヒューズの溶断温度のばらつきや溶断速度にばらつきが生じる。また、主組成の構成体積比率が95体積%より大きくなると、主組成より高融点の副組成を混合する効果が得られなくなる。すなわち、感温ペレットとしての昇華、軟化圧縮、軟化変形を抑制する効果が得られなくなる。一般的には、主組成の構成体積比率が70体積%、副組成が残部30体積%を構成する条件が、温度ヒューズとしての動作性能を満足し、感温材を少なくとも二種以上混合する効果が得られ、かつ構成体積割合が小さいため形状が小さくなる副組成の感温ペレットの生産性や製造歩留等をも満足できる好適な条件である。しかし、上述した条件については、感温ペレットに用いられる化学物質粉末の物理的特性や温度ヒューズの形状、サイズによって異なるものであり、本発明は、上述した条件に限定するものではない。
【0015】この感温ペレットを用いた感温ペレット型温度ヒューズによって、保管環境や使用環境の温度条件に影響を受け難く、感温ペレットの昇華、軟化圧縮、軟化変形を防止できるため、信頼性の高い感温ペレット型温度ヒューズがえられる。そして、この感温ペレットを用いた温度ヒューズを電子、電気機器に直列に接続し、かつ電子、電気機器の異常温度上昇を検知したい箇所に配置することによって感温ペレット型温度ヒューズを介して電子、電気機器に通電することができる。そして、電子、電気機器の短絡等に起因する異常発生によって、異常温度上昇を検知したい箇所の温度が感温ペレット型温度ヒューズの動作温度にまで上昇すると、感温ペレットが溶融し、従って強圧縮スプリングが伸張してその弾性力が減少する結果、弱圧縮スプリングが伸張するので可動電極がリード線の内方向端から離開してリード線間が非導通状態となる。このことによって、電子、電気機器への通電が停止されて電子、電気機器のそれ以上の温度上昇が阻止され、電子、電気機器の過熱損傷あるいはそれに起因する火災発生が未然に阻止される。
【0016】
【実施例1】
図1は本発明の実施例を示す感温ペレット型温度ヒューズの縦断面図である。本実施例による感温ペレット型温度ヒューズAは、銅、黄銅などの良導電性で良熱伝導性の円筒型金属ケース1とこの円筒型金属ケース1の一端にかしめ固定された銅からなるリード線2と、この円筒型金属ケース1内にリード線2が接続された側から収容された融点の異なる2種の感温材を混合して得られる感温ペレット4、強圧縮スプリング7を狭持した押圧板5、6、強圧縮スプリング7、良導電性で適度の弾性を有する銀合金の可動電極8、円筒型金属ケース1の他端の開口部を閉塞するアルミナセラミックスからなる絶縁碍管10、この絶縁碍管の中心を挿通して内方向端で可動電極8と接触する銅からなるリード線3、前記絶縁碍管10と可動電極8の間に圧縮して介在される弱圧縮スプリング9とから構成される。そして、円筒型金属ケース1の開口部とそれを閉塞する絶縁碍管10の外方部を封止樹脂11によって封止する。
【0017】感温ペレット4には、例えば、動作温度76℃の化学物質粉末を主組成とし、動作温度83℃の化学物質粉末を副組成として用いる。各化学物質粉末をそれぞれ別々に造粒機により造粒し、造粒後主組成と副組成とを体積比率7:3となるように配合し攪拌式混合機により混合して、所定のペレットの形状にプレス成形機を用いてプレス成形加工により作製する。
【0018】この感温ペレット4を用いた感温ペレット型温度ヒューズAを使用することによって、感温ペレット型温度ヒューズAの動作温度以下で動作温度近傍の温度、この場合、例えば70℃程度の温度で保管等なされた場合、感温ペレットが主組成のみで構成されている場合に比較して、感温ペレット4の昇華率および軟化変形率が、主組成の構成体積比率分かつそれに従う感温ペレット型温度ヒューズAの金属ケース1の内部空間への表面積露出比率分すなわち70%に減少し、感温ペレット4の体積減少や形状変化に起因する、可動電極8がリード線3の内方向端から開離する方向へ移動するために生じる、温度ヒューズの動作温度よりも低い温度で温度ヒューズが動作するという誤動作を解消することができる。
【0019】
【実施例2】
次に本発明による第2の実施例を図2を用いて説明する。図2は本発明による第2の実施例を示す感温ペレット型温度ヒューズの縦断面図である。感温ペレット型温度ヒューズの感温材として融点の異なる二種以上の化学物質粉末を混合して用いる場合、用いる化学物質粉末によっては、混合することによって感温材の元の融点と異なる融点を有するようになることがある。
【0020】このような場合、本実施例における感温ペレット型温度ヒューズBは、主組成をペレットの体積の70体積%になるようにプレス成形機によりプレス成形加工したペレット24aと、副組成をペレットの30体積%になるようにプレス成形機によりプレス成形加工したペレット24bとを作製し、各ペレットを軸方向に沿って重ねて円筒型金属ケース1に収容し一つの感温ペレットとして用いる。このように感温ペレットを作製し用いることによって、反応等を起こし融点降下等させるような感温材の組み合わせ等の選択をした場合に、反応等を防いで使用することに適し、また新たに混合設備を使用することなく、既存のペレット成形加工設備、例えばプレス成形機の金型を変更するのみで既存の設備を用いることができ、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0021】また、このとき図3に示すように、前記主組成のペレット24aと副組成のペレット24bとの間にNiやステンレス等からなる仕切り板25を介在させて軸方向に沿って重ねて合わせて一つの感温ペレットとして円筒型金属ケース1に収容して用いることによって、各々のペレット同士の接触面において互いに融点を異ならせるような化学反応等を起こすことをより効果的に防ぐことができる構造とすることができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明による感温ペレット型温度ヒューズは、感温ペレットに融点の異なる少なくとも二種以上の化学物質粉末を用い、その温度ヒューズの目的とする動作温度で溶融する融点を有する化学物質粉末を主組成として感温ペレットの60〜95体積%を構成し、副組成として主組成よりも融点が高い化学物質粉末を一種以上用い、感温ペレットの残部を構成することを特徴とし、感温ペレットを構成する各化学物質粉末をそれぞれ造粒し、造粒後所定の構成体積比率となるように配合し混合して一つの感温ペレットとすることから、温度ヒューズの動作温度近傍の温度で保管等なされた場合に生じる感温ペレットの昇華による体積減少やスプリングの押圧による軟化変形等を抑制し、温度ヒューズの動作温度より低い温度で温度ヒューズが動作することを防ぐものである。また、感温ペレットに融点の異なる二種以上の化学物質粉末を用いる別の形態として、選択した化学物質粉末を各々所定の体積比率になるようにペレット成形し重ねて一つの感温ペレットとして用いることによって、新たに混合設備等を用意することなく従来の設備を用いることができる。このとき、感温ペレットに融点の異なる二種以上の化学物質粉末を用いる場合、選択する材料同士が反応等起こしうる場合には、各々の化学物質粉末のみで所定の体積比率になるようにペレット成形加工し、各ペレット間に仕切りを設けて重ねて一つの感温ペレットとすることによって、各ペレットの接触面での化学物質粉末同士の反応等により、融点が元の化学物質粉末の融点と変化したりすること等をより効果的に防ぐ構造とすることができる。
【0023】本発明はまた、感温ペレット型温度ヒューズの製造方法において、感温ペレットの感温材として、融点の異なる少なくとも二種以上の化学物質粉末をそれぞれ別々に造粒する工程と、造粒粉を所定の比率で混合する工程と、この混合粉をペレット成形する工程とを有することを特徴とする感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法であり、また別の形態として感温ペレットの感温材として融点の異なる少なくとも二種以上の化学物質粉末をそれぞれ別々に造粒する工程と、造粒粉を所定の割合でそれぞれペレット成形する工程と、それぞれ成形したペレットを重ね合わせて金属ケースに収容し一つの感温ペレットとする工程とを有する感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法であり、このとき、感温ペレットの感温材として融点の異なる少なくとも二種以上の化学物質粉末をそれぞれ別々に造粒する工程と、造粒粉を所定の割合でそれぞれペレット成形する工程と、それぞれ成形したペレットの間に仕切り板を介在させて重ね合わせて金属ケースに収容し一つの感温ペレットとする工程とを有することもできる感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法であることから、上記のような効果を有する感温ペレット型温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す感温ペレット型温度ヒューズの縦断面図。
【図2】本発明の第2の実施例を示す感温ペレット型温度ヒューズの縦断面図。
【図3】本発明の第2の実施例において仕切り板を介在させた感温ペレットを有する感温ペレット型温度ヒューズの縦断面図。
【図4】従来の感温ペレット型温度ヒューズを示す縦断面図。
【図5】従来の感温ペレット型温度ヒューズの動作後の状態を示す縦断面図。
【符号の説明】
1 円筒型金属ケース
2、3 リード部材
4、24a、24b、44 感温ペレット
5、6 円板
7 強圧縮スプリング
8 可動電極
9 弱圧縮スプリング
10 絶縁碍管
11 封止樹脂
25 仕切り板
A 本発明の第1の実施例による感温ペレット型温度ヒューズ
B 本発明の第2の実施例による感温ペレット型温度ヒューズ
C 本発明の第2の実施例において仕切り板を介在させた感温ペレットを有する感温ペレット型温度ヒューズ
D 従来の感温ペレット型温度ヒューズ
Claims (9)
- 金属ケースの一端にリード部材を接続し、前記金属ケース内に感温ペレット、スプリング、可動電極を収容し、内方向端で前記可動電極と接触するリード部材を挿通した絶縁碍管により閉塞し、かつ、金属ケースのリード部材が導出する他端開口部を封止樹脂で封止してなる温度ヒューズにおいて、前記感温ペレットに融点の異なる少なくとも二種以上の化学物質粉末を用いることを特徴とする温度ヒューズ。
- 前記感温ペレットは、融点の異なる少なくとも二種以上の化学物質粉末をそれぞれ別々に造粒した後、それぞれの造粒粉を混合し、その混合粉をペレット成形し一つの感温ペレットとしたものであることを特徴とする請求項1記載の温度ヒューズ。
- 前記感温ペレットは、融点の異なる少なくとも二種以上の化学物質粉末をそれぞれ別々にペレット成形し、それぞれ成形されたペレットを重ねて一つの感温ペレットとしたことを特徴とする請求項1記載の温度ヒューズ。
- 前記感温ペレットは、融点の異なる少なくとも二種以上の化学物質粉末をそれぞれ別々にペレット成形し、それぞれ成形されたペレットを区分けする仕切り板を介在させて重ねて一つの感温ペレットとしたことを特徴とする請求項1記載の温度ヒューズ。
- 前記感温ペレットは、温度ヒューズの目的とする動作温度で溶融する融点を有する化学物質粉末を感温ペレットの体積の60〜95体積%、残部を他の融点を有する化学物質粉末で構成することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の温度ヒューズ。
- 前記感温ペレットは、温度ヒューズの目的とする動作温度で溶融する融点を有する化学物質粉末の融点よりも、残部を構成する他の化学物質粉末の融点が高いことを特徴とする請求項5記載の温度ヒューズ。
- 金属ケースの一端にリード部材を接続し、前記金属ケース内に感温ペレット、スプリング、可動電極を収容し、内方向端で前記可動電極と接触するリード部材を挿通した絶縁碍管により閉塞し、かつ、金属ケースのリード部材が導出する他端開口部を封止樹脂で封止してなる温度ヒューズの製造方法において、融点の異なる少なくとも二種以上の化学物質粉末をそれぞれ別々に造粒する工程と、造粒されたそれぞれの造粒粉を混合する工程と、混合された混合粉をペレット成形する工程とを有することを特徴とする温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法。
- 金属ケースの一端にリード部材を接続し、前記金属ケース内に感温ペレット、スプリング、可動電極を収容し、内方向端で前記可動電極と接触するリード部材を挿通した絶縁碍管により閉塞し、かつ、金属ケースのリード部材が導出する他端開口部を封止樹脂で封止してなる温度ヒューズの製造方法において、融点の異なる少なくとも二種以上の化学物質粉末をそれぞれ別々に造粒する工程と、それぞれの造粒粉をそれぞれ別々にペレット成形する工程と、別々にペレット成形したペレットを一つに重ね合わせて前記金属ケースに収容する工程とを有することを特徴とする温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法。
- 前記温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法において、それぞれの造粒粉をそれぞれ別々にペレット成形する工程と、別々にペレット成形したペレットの間に仕切り板を介在させて重ね合わせて前記金属ケースに収容する工程とを有することを特徴とする請求項8記載の温度ヒューズに用いられる感温ペレットの製造方法。
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-
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