JP2004094400A - 流量調整装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の絞り流路31…を有するロータ3を、ハウジング2内に回転自在に備えるとともに、該ロータ3の回転に応じて前記各絞り流路31…のいずれか1つと連通する流体の入口ポート21及び出口ポート22とをハウジング2に備える構成とした。そして、各絞り流路31…の各絞り部31a…をロータ3の回転軸方向において異なる高さ位置となるように形成し、独立して各絞り流路31…が備わる構成とした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、絞り径の変更によって流量や圧力等を調整する流量調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
流体が流通する回路における流量調整や圧力調整等の制御を行うために、オリフィス板(絞りを有する板)を該回路の流路中に差し込んで流路面積を絞ることが従来より行われている。そして、流量や圧力を複数種類に渡って調整する場合には、オリフィス径(絞り径)が異なる種々のオリフィス板を用意し、これらの差し替えを行うことにより変更することが一般的である。
【0003】
また、流路面積を変更する手段として従来より流量調整装置の1つをなすニードル調整弁が一般的に用いられている。このニードル調整弁によれば、ニードルの位置を適宜な位置に移動させることによって流路面積は随時変更される。したがって、ニードルの操作によって目標とする流量や圧力等に調整することが可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、オリフィス径(以下「絞り径」と称する。)を変更しようとするとオリフィス板、つまりはこのオリフィス板を有する継ぎ手、接手、あるいは配管等を交換するために一旦回路を切断する必要がある。この場合、回路の切断を行うためには該回路における流体の流れを止める必要があり、一時的に流体の供給が停止してしまう。さらに、オリフィス板を早急に交換できないばかりか、回路内に不純物が入り込んでしまうこともありうる。また、交換のために多くの労力が必要となる。
【0005】
また、先に説明したニードル調整弁であれば、無段階に流路面積を調整して流量や圧力等の調整を容易に行うことができるが、オリフィス板のように固定された絞りではないため、必要とする流路面積を正確且つ確実に得て流量調整等を行える構成とは言い難い。特に、ニードルは使用される経過時間が進むにつれて微少に移動することが懸念され、正確に流路面積を絞り込んで安定して送出することが困難である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、正確且つ安定して流体の流れを制御する絞りを容易に変更可能とした流量調整装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、以下の手段を採用することとした。
請求項1記載の発明に係る流量調整装置は、複数の絞り流路を有するロータをハウジング内に回転自在に備えるとともに、該ロータの回転に応じて前記各絞り流路のいずれか1つと連通する流体の入口ポート及び出口ポートとを前記ハウジングに備えてなることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、ロータの回転位置によって入口ポートと出口ポートとがロータに形成された複数の絞り流路のうち1つと連通することになり、入口ポートから導入された流体はこの絞り流路を通過することによって流量や圧力調整等がなされた状態で出口ポートから送出される。そして、ロータがさらに回転して別の絞り流路が入口ポート及び出口ポートと連通することになれば、この絞り流路に応じて流体は流量調整等がなされて出口ポートから送出される。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の流量調整装置において、前記各絞り流路が前記ロータの回転軸方向において異なって位置するように備えられてなることを特徴としている。
【0010】
各絞り流路は、ロータを貫通するように形成されてなお且つロータの回転位置によっては必ず入口ポート及び出口ポートに連通する必要がある。このため、各絞り流路がロータの中心付近で接近して互いの絞り流路が連通しかねない。
しかしながら、本発明によれば、ロータに複数形成された各絞り流路どうしが入口ポート及び出口ポートに連通しつつ、ロータの回転軸方向にて異なる高さ位置に備えられるので、ロータの内部にて互いの絞り流路どうしが連通することはなく、入口ポートから導入された流体は出口ポートに連通する1つの絞り流路のみを流通して出口ポートから送出されることになる。
なお、この場合必ずしも絞り流路の開口部と入口ポート及び出口ポートの開口形状とが一致する必要はない。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の流量調整装置において、前記各絞り流路の両開口部が前記入口ポート及び前記出口ポートの開口形状と略同一に形成されるとともに、前記両開口部の間に所定の絞り径を有してなる絞り部が備えられ、これら各絞り部が前記ロータの回転軸方向において異なって位置するように備えられてなることを特徴としている。
【0012】
ロータに複数形成された各絞り流路に備わる各絞り部は、ロータの回転軸方向において異なる高さ位置となるように備えられるので、ロータの内部にて互いの絞り流路どうしが連通することはなく、入口ポートから導入された流体は出口ポートに連通する1つの絞り流路のみを流通して出口ポートから送出されることになる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の流量調整装置において、前記両開口部から前記絞り部までの間は連続する曲面にて形成されてなることを特徴としている。
【0014】
このことによれば、入口ポートから導入された流体は、発明に係る壁面に誘導されながら絞り部に向かって円滑に流動することになり、また、絞り部を通過した流体は、発明に係る壁面に誘導されながら出口ポートに向かって円滑に流動することになる。このことによって、絞り流路での流動過程における流体の圧力損失は減少することになる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の流量調整装置において、前記各絞り流路が交わる交差部をロータ内に備え、該交差部と該絞り流路の開口部との間に絞り部が形成されてなることを特徴としている。
【0016】
このような構成によれば、流体は入口ポートに連通する絞り流路から交差部に向かって流通し、交差部に流れ込んだ流体は、出口ポートに連通する絞り流路を流通して送出される。この際、入口ポート、あるいは出口ポートに連通していない他の絞り流路にも交差部を通じて流体が流れ込むことになるが、これら他の絞り流路の出口側、つまりロータの外周における開口部が出口ポートと連通していないため、これら絞り流路は流体を導通させる機能を果たさない。したがって、入口ポート、及び出口ポートに連通する絞り流路のみが機能して流量調整等が行われることとなる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1、2、ないし5記載の流量調整装置において、前記絞り流路に絞り径を変更する絞り径変更手段が備えられてなることを特徴としている。
【0018】
このような構成とすることで、絞り径変更手段が有する絞り径に応じて絞り流路のそれぞれが機能することになり、この絞り径が変更されることによれば、同一な流路であっても変更された絞り径に応じて流体の流量調整あるいは圧力調整等がなされることとなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の流量調整装置における各実施形態について図面を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
図1〜図5は、本発明の第1の実施形態における流量調整装置の構造を説明する図である。図1(a)は流量調整装置の外観図、(b)は後述する入口ポート21及び出口ポート22の軸線を含む断面図である。
流量調整装置1は、ハウジング2と、このハウジング2内に回転自在に備えられたロータ3と、このロータ3の上端部に取り付けられてロータ3の回転を操作するための操作ツマミ4とを主に備えて構成されている。
【0020】
ハウジング2は、図1(b)に示すように3つのブロックのそれぞれが組み合わされた状態で構成されており、下方からベースブロック2c、メインブロック2b、カバーブロック2aの各ブロックが樹脂材料によって形成されている。なお、これらの各ブロック2a,2b,2cは、複数のボルト13,14によって締結されている。
【0021】
メインブロック2bは、後述する円柱形状のロータ3を挿入するための空間を有して形成されており、この空間はカバーブロック2aとの取り付け側(紙面上方)に開口している。また、メインブロック2bの側面には上述した空間と繋がる入口ポート21及び出口ポート22が形成されており、これら両ポート21,22は、挿入されたロータ3を挟んで相対するように位置するとともに、該ロータ3の回転軸に直交する同一直線上に位置している。また、メインブロック2b、及びロータ3においては、耐薬品性に優れたフッ素樹脂が用いられている。
【0022】
ロータ3の外周面と接するハウジング2の内壁面には、入口ポート21及び出口ポート22の開口部をそれぞれ囲むようにOリング溝が形成されており、このOリング溝に各Oリング52,53がそれぞれ嵌め込まれている。これらOリング52,53は、入口ポート21から出口ポート22まで流通する流体がハウジング2内に漏洩することを防止している。
また、ロータ3の上側にもOリング溝が形成されており、ロータ3の直径とほぼ同等な直径を有するOリング51が嵌め込まれている。このOリング51は、ハウジング2内と外部とのシールを確保している。
【0023】
カバーブロック2aは、ロータ3をハウジング2内に挿入した際の脱落防止のために備えられるものであって、ロータ3の上端部を上面開口孔2a1から抜きつつ、ロータ3の外周側を抑えている。
【0024】
次にロータ3の構造について図2〜図5を用いて説明する。
図2は、第1の絞り流路31の開口部を正面から見た正面図、及びこの正面図のA−A断面における断面図である。なお、ここに示す断面図は、図1(b)のロータ3のみを摘出したものと同一である。また、正面図のA1−A1断面は図5(a)に示されている。
図3は、第2の絞り流路32の開口部を正面から見た正面図、及びこの正面図のB−B断面における断面図である。なお、正面図のB1−B1断面は図5(b)に示されている。
図4は、第3の絞り流路33の開口部を正面から見た正面図、及びこの正面図のC−C断面における断面図である。なお、正面図のC1−C1断面は図5(C)に示されている。
【0025】
図1にて説明したように、ロータ3には自らがハウジング2内にて回転した位置に応じて入口ポート21から出口ポート22までの間を連通させる3つの絞り流路が備えられている。すなわち、図1(b)及び図2に示される絞り径φ0.2mmの絞り部31aを有する第1の絞り流路31と、図3に示される絞り径φ0.4mmの絞り部32aを有する第2の絞り流路32と、図4に示される絞り径0.6mmの絞り部33aを有する絞り流路33との計3つがロータ3を貫通するように形成されている。なお、各絞り径φは流量調整装置1の仕様に応じて適宜変更される。
【0026】
また、各絞り流路31,32,33が形成される方向(流路の軸線方向)は、図5(a),(b),(c)断面に示すようにロータ3の中心に対して60度ずつずれて形成されている。これによって、ロータ3を60度回転させる毎に絞り流路のいずれか1つが入口ポート21及び出口ポート22に連通する。
【0027】
各絞り流路31,32,33において共通の構造としては、ロータ3の外周面におけるそれぞれの開口部の中心位置が、ロータ3の回転軸方向における同一な高さ位置に存在し、換言すると、各ポート21,22のハウジング2の内壁面における開口部の中心位置と同一な高さに位置している。さらに、これら各絞り流路31,32,33の開口部の形状は、ハウジング2の内壁面における各ポート21,22の開口形状と同一とされている。
【0028】
各絞り流路31,32,33の各絞り部31a,32a,33aは、図2〜図4に示すようにロータ3の回転軸方向において異なる高さ位置に備えられており、ロータ3の内部にてこれら絞り部31a,32a,33aが立体交差している。したがって、互いの絞り流路31,32,33が交わって連通することが回避されている。
【0029】
そして、各絞り流路31,32,33の両開口部から各絞り部31a,32a,33aの間が緩やかなテーパ状の壁面31b,31c,32b,32c,33b,33c(曲面)にて形成されており、ここを流れる流体は円滑に流通する。
【0030】
次に操作ツマミ4について図1を参照しながら説明する。操作ツマミ4は、この上面から差し込まれたボルト11が、上述したロータ3の上端部に螺合されることによりロータ3と固定されている。また、操作ツマミ4とロータ3との回転における滑りを防止するため、操作ツマミ4とロータ3の上端部とを貫通するロックピン12が取り付けられている。
【0031】
さて、以上説明した構成を有する流量調整装置1における流体の流量調整等を行う上での動作及び作用について説明する。
図1に示すように、操作ツマミ4を手動あるいは動力を用いて回転させ、第1の絞り流路31が入口ポート21と出口ポート22と連通するように位置すると、入口ポート21から導入された流体はこの絞り部31aを通過する。したがって、流体はこの絞り径φ0.2mmに応じた流量や圧力に調整されて出口ポート22から送出される。
【0032】
そして、流体が絞り流路31を流通する際は、テーパ状の壁面31bに誘導されながら絞り部31aに導かれ、さらに絞り部31aからテーパ状の壁面31cに誘導されながら出口ポート22に送られることになり、流体はキャビテーション等を起こすことなく円滑に流通し、流通する際での圧力損失が抑えられて出口ポートに導かれる。
【0033】
また、操作ツマミ4を60度回転させることで、図2に示した第2の絞り流路32が入口ポート21及び出口ポート22と連通することになり、流体は絞り径φ0.4mmとされた絞り部32aに応じて流量調整あるいは圧力調整されて出口ポート22から送出される。この場合においても、テーパ状の壁面32b,32cによって流体は第2の絞り流路32を円滑に流通し、流体の圧力損失が抑えられて送出されることになる。
【0034】
さらに、操作ツマミ4を60度回転させることで、図3に示した第3の絞り流路33が入口ポート21及び出口ポート22に連通することになり、流体は絞り径φ0.6mmとされた絞り部33aに応じて流量調整あるいは圧力調整されて出口ポート22から送出される。この場合においても、テーパ状の壁面33b,33cによって流体は第3の絞り流路33を円滑に流通し、流体の圧力損失が抑えられて送出されることになる。
【0035】
このように、本実施形態における流量調整装置1によれば、以下の効果を奏することができる。
入口ポート21から導入された流体を、ロータ3の回転によって選択されるいずれか1つの絞り流路31,32,33を用いて流量調整あるいは圧力調整を適宜行うことができる。これによって、流量調整を行うために流体が流通する回路を切断する必要がなくなり、絞りによる流量調整や圧力調整を容易に且つ迅速に行うことができる。そして、各絞り流路31,32,33のそれぞれがロータ3に独立して形成されているので、流体の流れは他の絞り流路に影響されることはなく、確実且つ高精度に流れの制御を行うことができる。
【0036】
また、経過時間によって形状変化しない固定された絞り部31a,32a,33aに流体を通過させることにより、経過時間に左右されずに確実且つ安定して正確な流量調整等を行うことができる。
また、入口ポート21及び出口ポート22に対する絞り流路での段差がなく、各絞り流路31,32,33の両開口部から絞り部31a,32a,33aまでの間が連続する緩やかな曲面にて形成されているので、流体の流れが円滑になり、圧力損失を抑えて安定した流れを導くことができる。したがって、確実且つ高精度に流量の制御を行うことを可能とした流量調整装置を実現することができる。
【0037】
[第2の実施形態]
次に、本発明の流量調整装置における第2の実施形態について図6を参照しながら説明する。なお、本実施形態における流量調整装置1の構成は、第1の実施形態の構成と比較してロータ3の構造が異なるので、この異なる点について詳しく説明するものとし、同様な構成については同一符号を付してその説明を一部省略するものとする。
【0038】
図6は本実施形態における流量調整装置1の構成を説明する断面図であって、(a)は入口ポート21及び出口ポート22の軸線を含む断面図、(b)は(a)のD1−D1断面における断面図である。
本実施形態の流量調整装置1は、図6(b)に示すようにロータ3内に形成される3つの絞り流路41,42,43が、ロータ3の中心部に位置する交差部44にて交わるようにロータ3を貫通して形成されている。また、これら各絞り流路41,42,43が形成される方向(流路の軸線方向)は、第1の実施形態と同様にロータ3の中心に対して60度おきにずれて形成されている。そして、これら各絞り流路41,42,43、及び入口ポート21、出口ポート22の軸線は、全て同一平面上に位置している。したがって、ロータ3の中心には各絞り流路41,42,43が交わる交差部44が形成されるとともに、各絞り流路41,42,43のそれぞれがロータ3の回転によって各ポート21,22に連通可能とされている。
【0039】
また、各絞り流路41,42,43における交差部44から出口ポート22に連通する間には、ねじ込みによって嵌め込まれた絞りアダプター41a,42a,43a(絞り径変更手段)がそれぞれ取り付けられている。
【0040】
各絞りアダプター41a,42a,43aは、全て同一形状とされた外周部を有する筒状に形成されており、この外周部には各絞り流路41,42,43の内壁に形成される雌ねじ部に螺合される雄ねじ部が形成されている。これに対して、各絞りアダプター41a,42a,43aの内部構造はそれぞれで異なり、絞り径φ0.2mm,φ0.4mm,φ0.6mmを有する絞り部がそれぞれに形成されている。そして、各絞りアダプター41a,42a,43aの両開口部から絞り部までは緩やかなテーパ状の壁面にて形成されている。なお、これら各絞りアダプター41a,42a,43aは仕様に応じて適宜交換することが可能とされている。
【0041】
次に、以上説明した構成を有する流量調整装置1における流体の流量調整等を行うための動作及び作用について説明する。
図6(a)に示される操作ツマミ4を手動あるいは動力を用いて回転させて符号41に示される第1の絞り流路を入口ポート21と出口ポートと連通させると、入口ポート21から導入された流体はこの第1の絞り流路41内を流通し、交差部44に流れ込む。交差部44に流れ込んだ流体は、他の絞り流路である第2及び第3の絞り流路42,43に流れ込むが、これら各絞り流路42,43はハウジング2の内壁によって開口部が閉塞されていることにより、流体は流通しない。したがって、交差部44に流れ込んだ流体は、再び同じ軸線上に位置する流路、すなわち第1の絞り流路41を流通し、この過程で絞りアダプター41aを通過することによって流量調整や圧力調整がなされた状態で出口ポート22から送出されることになる。
【0042】
なお、第2及び第3の絞り流路42,43に流入した流体は、ロータ3とハウジング2との間の僅かな隙間に漏洩するが、ロータ3の上側に位置するOリング51によってハウジング2の外部に漏洩することはなく、また、各ポート21,22の開口部を取り囲んで備えられた各Oリング52,53によって入口ポート21及び出口ポート22に合流することはない。
【0043】
そして、上述した状態から、操作ツマミ4を60度回転させることで、第2の絞り流路42が入口ポート21及び出口ポート22に連通することになり、ここに備わる絞りアダプター42aの絞り部に応じて流体は流量調整や圧力調整がなされて出口ポート22から送出されることになる。
また、第3の絞り流路43が入口ポート21及び出口ポート22に連通する場合においても、ここに備わる絞りアダプター43aに応じて流体の流量調整や圧力調整がなされることになる。
【0044】
以上説明した本実施形態の流量調整装置1によれば、以下の効果を奏することができる。
入口ポート21から導入された流体を、ロータ3の回転によって選択されるいずれか1つの絞り流路41,42,43を用いて流量調整あるいは圧力調整を適宜行うことができる。これによって、流量調整を行うために流体が流通する回路を切断する必要がなくなり、絞りによる流量の制御を容易に且つ迅速に行うことができる。また、各絞り流路41,42,43をロータ3の中心に向かって同様に貫通して形成することができ、製作の容易化を図って製作コストを抑えることができる。
また、絞りアダプター41a,42a,43aの取り付け状態に応じて絞り径を変更することができるので、本装置が有する流量調整等の制御範囲を拡大して汎用性を向上させることができる。
また、絞りアダプター41a,42a,43aは固定された絞りであり、且つ、絞りアダプター41a,42a,43aの絞り部がテーパ状の壁面によって形成されているので、正確且つ安定した流量調整あるいは圧力調整を行うことができる。
【0045】
[第3の実施形態]
次に、本発明の流量調整装置における第3の実施形態について図7、図8を参照しながら説明する。なお、本実施形態の構成は、第1、及び第2の実施形態の構成と比較してロータ3の構造が異なるので、この異なるロータ3の構造について詳しく説明するものとし、該ロータ3が挿入されるハウジング、及び該ロータ3の上端部に取り付けられる操作ツマミについてはその説明を省略する。
【0046】
図7は本実施形態における流量調整装置1に備えられるロータ3の構造を説明する図であって、(a)は絞り流路の1つを含む断面で見た場合におけるロータ3の部分断面図、(b)はロータ3を上方から見た場合における平面図である。ロータ3には、ハウジングに形成される流体の入口ポート及び出口ポートと同一高さに位置する複数の絞り流路61〜66がロータ3を貫通するように形成されている。
【0047】
各絞り流路61〜66は、必要とする絞り径を流路長の全てにおいて有するように形成されており、これら各絞り流路61〜66が交わるロータ3の中心には、先の実施形態に説明した交差部と同等に機能する合流空間70が形成されている。この合流空間70は、ロータ3の下面からこの回転軸に沿って上方向に孔として形成されるものである。
【0048】
各絞り流路61〜66が形成される方向は、図7(b)のかくれ線に示されるようにロータ3の中心に対して30度ずつ等間隔にずれて形成されている。これによって、ロータ3をハウジングに対して30度回転させる毎に複数ある絞り流路61〜66の中のいずれか1つが入口ポート21及び出口ポート22に連通する。
【0049】
各絞り流路61〜66の開口部をそれぞれ正面から見ると、図7(b)の矢視Jを示した図8(a)のように、φ0.2mmの絞り径とされた第1の絞り流路61がロータ3を紙面鉛直方向に貫通するように形成されている。
そして、この状態から30度回転させた図7(b)の矢視Kを示した図8(b)のように、φ0.4mmの絞り径とされた第2の絞り流路62がロータ3を紙面鉛直方向に貫通するように形成されている。
【0050】
そして、さらに30度ずつ回転させると、図7(b)の矢視Lを示した図8(c)のように、φ0.6mmの絞り径とされた第3の絞り流路63が形成されており、また、図7(b)の矢視Mを示した図8(d)のように、φ0.8mmの絞り径とされた第4の絞り流路64が形成されており、また、図7(b)の矢視Nを示した図8(e)のように、φ1.0mmの絞り径とされた第5の絞り流路65が形成されており、また、図7(b)の矢視Pを示した図8(f)のように、φ1.2mmの絞り径とされた第6の絞り流路66が形成されている。
【0051】
したがって、このように形成されたロータ3を一直線上に入口ポートと出口ポートとを有するハウジングに挿入すると、入口ポートから挿入された流体は出口ポートに向かって連通するいずれかの絞り流路61〜66を通過して流量調整や圧力調整が行われる。そして、流量調整等における本装置1の制御としては、絞り流路61〜66の本数である6つの設定が可能とされている。
【0052】
以上説明した本実施形態に係る流量調整装置1によれば、多くの設定を既存に備えて多様に要求される流量や圧力調整に対してきめ細かく対応可能とした流量調整装置1を実現することができる。また、合流空間70に至るまで切削工具を挿入して絞り流路61〜66を形成することができるので、容易に且つ安価に製作することができる。また、先の実施形態と同様に形状が固定された絞りであるので、正確且つ安定した流量調整等を行うことができる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る流量調整装置によれば、以下の効果を奏することができる。
請求項1記載の発明によれば、複数の絞り流路を有するロータをハウジング内に回転自在に備えるとともに、ロータの回転に応じて絞り流路のいずれか1つと連通する流体の入口ポート及び出口ポートとがハウジングに備えられた流量調整装置であるので、入口ポートから導入された流体を、ロータの回転によって選択されるいずれか1つの絞り流路を用いて流量調整あるいは圧力調整を適宜行うことができる。また、固定された各絞り流路を用いることにより、確実且つ安定して正確な流量調整等を行うことができる。
【0054】
請求項2記載の発明に係る流量調整装置によれば、ロータに形成される各絞り流路がロータの回転軸方向において異なって位置するように備えられているので、各絞り流路を単独で用いて流量調整等を行うことができ、流体の流れは他の絞り流路に影響されなくなる。したがって、確実且つ高精度に流量調整や圧力調整等を行うことができる。
【0055】
請求項3記載の発明に係る流量調整装置によれば、各絞り流路の両開口部が入口ポート及び出口ポートの開口形状と略同一に形成され、且つ、両開口部の間に所定の絞り径を有する絞り部が備えられ、これら各絞り部がロータの回転軸方向において異なって位置するように備えられるので、各絞り流路を単独に用いて流量調整等を行うことができ、流体の流れは他の絞り流路に影響されなくなる。また、入口ポート及び出口ポートに対する絞り流路の段差が除去されることにより、流体の流れが円滑になる。したがって、安定した流れを導いて確実且つ高精度に流量調整や圧力調整等を行うことができる。
【0056】
請求項4記載の発明に係る流量調整装置によれば、各絞り流路の両開口部から絞り部までの間が連続する曲面にて形成されているので、流体の流動が円滑になり圧力損失を低減させることができる。したがって、流量調整における性能向上を図って高い信頼性を得る流量調整装置を実現することができる。
【0057】
請求項5記載の発明に係る流量調整装置よれば、各絞り流路が交わる交差部がロータ内に備えられ、この交差部と絞り流路の開口部との間に絞り部が形成されているので、各絞り流路を容易に形成することができる。また、固定された絞りを有しているので、正確な流量調整や圧力調整を行うことができる。
【0058】
請求項6記載の発明に係る流量調整装置によれば、絞り流路に絞り径を変更する絞り径変更手段が備えられているので、各絞り流路を同一に形成しても、絞り径変更手段によって異なる絞り径に変更することが容易に可能となる。したがって、本装置が有する流量調整等の制御範囲を拡大して汎用性を向上させることができ、また、これに伴って絞り流路の共通化がなされることによれば製作する上でのコストを抑えて流量調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における流量調整装置の構成を説明する図であって、(a)は外観図、(b)は入口ポート及び出口ポートの軸線を含む断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における流量調整装置に備わるロータの構成を説明する図であって、第1の絞り流路の開口部を正面から見た正面図、及びこの正面図のA−A断面における断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における流量調整装置に備わるロータの構成を説明する図であって、第2の絞り流路の開口部を正面から見た正面図、及びこの正面図のB−B断面における断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における流量調整装置に備わるロータの構成を説明する図であって、第3の絞り流路の開口部を正面から見た正面図、及びこの正面図のC−C断面における断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における流量調整装置に備わるロータの回転軸に直交する各断面図であって、(a)は図2のA1−A1断面における断面図、(b)は図3のB1−B1断面における断面図、(c)は図4のC1−C1断面における断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における流量調整装置の構成を説明する図であって、(a)は入口ポート及び出口ポートの軸線を含む断面図、(b)は(a)のD1−D1断面における断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における流量調整装置に備わるロータの構成を説明する図であって、(a)は絞り流路の1つを含む断面で見た場合における部分断面図、(b)はロータを上方から見た場合における平面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態における流量調整装置に備わるロータを30度ずつ回転して見た場合における各絞り流路の開口部を説明する各正面図である。
【符号の説明】
1 流量調整装置
2 ハウジング
3 ロータ
4 操作ツマミ
21 入口ポート
22 出口ポート
31〜33,41〜43,61〜66 各絞り流路
31a,32a,33a 各絞り部
31b,31c,32b,32c,33b,33c テーパ状の壁面(曲面)
41a,42a,43a 各絞りアダプター(絞り径変更手段)
44 交差部
70 合流空間(交差部)
Claims (6)
- 複数の絞り流路を有するロータをハウジング内に回転自在に備えるとともに、該ロータの回転に応じて前記各絞り流路のいずれか1つと連通する流体の入口ポート及び出口ポートとを前記ハウジングに備えてなることを特徴とする流量調整装置。
- 前記各絞り流路は、前記ロータの回転軸方向において異なって位置するように備えられてなることを特徴とする請求項1記載の流量調整装置。
- 前記各絞り流路は、これらの両開口部が前記入口ポート及び前記出口ポートの開口形状と略同一に形成されるとともに、前記両開口部の間に所定の絞り径を有してなる絞り部を備えてなり、
これら各絞り部は、前記ロータの回転軸方向において異なって位置するように備えられてなることを特徴とする請求項1記載の流量調整装置。 - 前記両開口部から前記絞り部までの間は連続する曲面にて形成されてなることを特徴とする請求項3記載の流量調整装置。
- 前記各絞り流路が交わる交差部をロータ内に備え、該交差部と該絞り流路の開口部との間に絞り部が形成されてなることを特徴とする請求項1記載の流量調整装置。
- 前記絞り流路には、絞り径を変更する絞り径変更手段が備えられてなることを特徴とする請求項1、2、ないし5記載の流量調整装置。
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